JP6309312B2 - 生化学検査システム - Google Patents
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Description
本発明は、健康診断などを目的とする生化学検査を好適に行なうことが可能な生化学検査システムに関する。
健康診断を行なうためのシステムの具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載されたシステムにおいては、生体情報を得るための検査装置と管理サーバとがインターネット接続可能とされており、検査装置を利用して得られた患者の生体情報が管理サーバに送信されるように構成されている。管理サーバにおいては、受信した生体
情報が順次記憶され、その記憶内容は、患者や医師が通信端末を利用して適宜閲覧できるようになっている。
このような構成によれば、管理サーバに記憶された生体情報を医師が閲覧することにより、患者の健康状態を診断し、患者にアドバイスを行なうことができる。患者自身も、管理サーバに適宜アクセスすることにより、自分の健康状態を把握し、健康管理に役立たせることが可能である。
同文献に記載されたシステムにおいては、生体情報を得るための検査装置と管理サーバとがインターネット接続可能とされており、検査装置を利用して得られた患者の生体情報が管理サーバに送信されるように構成されている。管理サーバにおいては、受信した生体
情報が順次記憶され、その記憶内容は、患者や医師が通信端末を利用して適宜閲覧できるようになっている。
このような構成によれば、管理サーバに記憶された生体情報を医師が閲覧することにより、患者の健康状態を診断し、患者にアドバイスを行なうことができる。患者自身も、管理サーバに適宜アクセスすることにより、自分の健康状態を把握し、健康管理に役立たせることが可能である。
しかしながら、前記従来技術においては、次のように改善すべき余地があった。
すなわち、検査装置としては、血液や尿などの検体中の特定成分濃度を光学的あるいは電気的な手法を用いて測定する生化学検査装置を用いたい場合がある。ただし、このような生化学検査装置においては、たとえば患者の身長や体重を測定するといった比較的単純な構造の装置とは異なり、使用時における検査装置の各部のコンディションが所定の厳格な条件に設定されていなければならない場合が多い。たとえば、検体を光学的な手法で検査する装置においては、光源の発光強度が所定の範囲内にあること、受光素子が所定の感度を有していること、および光源から受光素子までの光路途中に透明板が設けられている場合には、この透明板に汚れがないことなどの条件が適切に満たされている必要がある。その反面、生化学検査装置がそのような適正なコンディションにあるか否かについての判断は、検査装置の使用者(患者あるいは医師など)にとって容易ではない。とくに、光源や受光素子は経年変化により機能低下を生じる虞がある。また、使用者の過誤に起因して検体が透明板に付着し、透明板が汚れるといった機会も多い。
このようなことから、従来においては、生化学検査装置を利用して得られた検査結果に十分な信頼をおくことができない虞があった。また、生化学検査装置が適正なコンディションではないにも拘わらず、これに気付くことなく生化学検査が行なわれ、この検査結果が正しいものとして誤解される虞もあった。このような虞は、適切に解消されることが望まれる。
なお、生化学検査装置が適正な状態にあるか否かを判断するための手段として、生化学検査装置自体にある程度の判別機能をもたせることは可能である。ところが、生化学検査装置の各部のコンディションが、たとえば経年変化によって悪化したような場合などには、生化学検査装置自体にもたせた判別機能によってそのようなことを的確に判断させることは難しい。
このようなことから、従来においては、生化学検査装置を利用して得られた検査結果に十分な信頼をおくことができない虞があった。また、生化学検査装置が適正なコンディションではないにも拘わらず、これに気付くことなく生化学検査が行なわれ、この検査結果が正しいものとして誤解される虞もあった。このような虞は、適切に解消されることが望まれる。
なお、生化学検査装置が適正な状態にあるか否かを判断するための手段として、生化学検査装置自体にある程度の判別機能をもたせることは可能である。ところが、生化学検査装置の各部のコンディションが、たとえば経年変化によって悪化したような場合などには、生化学検査装置自体にもたせた判別機能によってそのようなことを的確に判断させることは難しい。
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、生化学検査装置が適正なコンディションであるか否かを容易かつ的確に判別できるようにし、生化学検査装置を利用して得られた検査結果の信頼性を高めることや、不適切な検査結果を適切な検査結果であると誤解するようなことを適切に解消することが可能な生化学検査システムを提供することを、その課題としている。
本発明においては、上述した課題を解決するため、次のような技術的手段を講じている。
本発明により提供される生化学検査システムは、通信機能を備えた生化学検査装置と、この生化学検査装置との相互間で通信網を利用したデータ通信が可能であり、かつ前記生
化学検査装置から送信されてきたデータを記憶部に順次記憶する処理を実行可能な管理サーバと、を備えている、生化学検査システムであって、前記生化学検査装置は、この生化学検査装置のコンディションに関するデータを前記管理サーバに対して所定の時期に送信可能であり、前記管理サーバは、前記コンディションに関するデータを受信した際には、それ以前に受信した前記生化学検査装置のコンディションに関するデータに基づいて、前記生化学検査装置の現在のコンディションが正常であるか否かを判断し、かつ現在のコンディションが正常であると判断したときには、前記生化学検査装置を認証する旨のデータを前記生化学検査装置に送信する一方、そうでないときには、前記認証する旨のデータを前記生化学検査装置に送信しない構成とされていることを特徴としている。
化学検査装置から送信されてきたデータを記憶部に順次記憶する処理を実行可能な管理サーバと、を備えている、生化学検査システムであって、前記生化学検査装置は、この生化学検査装置のコンディションに関するデータを前記管理サーバに対して所定の時期に送信可能であり、前記管理サーバは、前記コンディションに関するデータを受信した際には、それ以前に受信した前記生化学検査装置のコンディションに関するデータに基づいて、前記生化学検査装置の現在のコンディションが正常であるか否かを判断し、かつ現在のコンディションが正常であると判断したときには、前記生化学検査装置を認証する旨のデータを前記生化学検査装置に送信する一方、そうでないときには、前記認証する旨のデータを前記生化学検査装置に送信しない構成とされていることを特徴としている。
本発明においては、次のような効果が得られる。
第1に、生化学検査装置のコンディションが正常であるか否かが管理サーバにより判断され、かつ正常である場合には前記生化学検査装置が認証され、そうでない場合には認証されないために、生化学検査装置のユーザは、前記認証を受けるか否かによって、生化学検査装置が正常に作動するか否かを容易かつ的確に察知することが可能である。したがって、前記認証を受けた場合の生化学検査の結果に信頼をおくことが可能となる。一方、生化学検査装置のコンディションが正常でない状態で生化学検査を行なった場合には、認証を受けないこととなるため、生化学検査の結果が適正なものであると誤解される虞をなくすことができる。
第2に、管理サーバにおいては、生化学検査装置の過去のコンディションのデータに基づいて、生化学検査装置の現在のコンディションが正常であるか否かが判断されるために、現在のコンディションのデータのみに基づいてこのコンディションが正常であるか否かを判断する場合よりも、客観性に優れた妥当な判断を行なうことが可能となる。
第3に、生化学検査装置のコンディションのデータは、管理サーバに順次記憶されるために、生化学検査装置自体にコンディションのデータを順次記憶させて蓄積させる必要はない。したがって生化学検査装置に大容量の記憶部を具備させるといった必要はなく、生化学検査装置のデータ処理負担の軽減、ならびに製造コストの低減を図ることが可能である。
第1に、生化学検査装置のコンディションが正常であるか否かが管理サーバにより判断され、かつ正常である場合には前記生化学検査装置が認証され、そうでない場合には認証されないために、生化学検査装置のユーザは、前記認証を受けるか否かによって、生化学検査装置が正常に作動するか否かを容易かつ的確に察知することが可能である。したがって、前記認証を受けた場合の生化学検査の結果に信頼をおくことが可能となる。一方、生化学検査装置のコンディションが正常でない状態で生化学検査を行なった場合には、認証を受けないこととなるため、生化学検査の結果が適正なものであると誤解される虞をなくすことができる。
第2に、管理サーバにおいては、生化学検査装置の過去のコンディションのデータに基づいて、生化学検査装置の現在のコンディションが正常であるか否かが判断されるために、現在のコンディションのデータのみに基づいてこのコンディションが正常であるか否かを判断する場合よりも、客観性に優れた妥当な判断を行なうことが可能となる。
第3に、生化学検査装置のコンディションのデータは、管理サーバに順次記憶されるために、生化学検査装置自体にコンディションのデータを順次記憶させて蓄積させる必要はない。したがって生化学検査装置に大容量の記憶部を具備させるといった必要はなく、生化学検査装置のデータ処理負担の軽減、ならびに製造コストの低減を図ることが可能である。
本発明において、好ましくは、前記生化学検査装置のコンディションに関するデータが前記管理サーバに送信される時期は、前記生化学検査装置を利用して検体の生化学検査が実行される前であり、前記管理サーバが、前記生化学検査装置の現在のコンディションが正常ではないと判断したときには、その内容および現在のコンディションを正常にするための操作内容の少なくとも一方を報知するためのデータが、前記生化学検査装置に送信される構成とされている。
このような構成によれば、生化学検査が実行される前に、生化学検査装置のコンディションが正常であるか否かが判断されるために、コンディションが正常でないにも拘わらず、生化学検査が無駄に実行されることを回避することができる。また、コンディションが正常でない場合には、その内容およびコンディションを正常にするための操作内容の少なくとも一方が報知されるために、生化学検査装置を正常なコンディションに手際よく修正し、生化学検査を円滑に進めることができる。
本発明において、前記生化学検査装置は、検体に光を照射するための光源、この光源から発せられて前記検体を透過した光または前記検体により反射された光を受光してその受光量に対応した信号を出力する受光部、およびこの受光部から出力される信号のデータに基づいて前記検体中の特定成分の濃度演算処理を実行する濃度演算処理部を備えた構成とすることができる。
このような構成によれば、光学的な手法による検体の分析が可能である。
このような構成によれば、光学的な手法による検体の分析が可能である。
本発明において、好ましくは、前記生化学検査装置においては、前記検体の生化学検査が開始される前には、前記検体に代えて、前記光源から発せられた光の進行路に予備検査用部材が配置され、かつこの予備検査用部材を透過し、または反射した光が前記受光部に受光される予備検査が実行され、前記生化学検査装置のコンディションに関するデータとしては、前記予備検査において前記受光部から出力される信号のデータを含む予備検査データがあり、前記管理サーバは、前記予備検査データを受信した際には、前記生化学検査装置の過去の予備検査データに基づいて、前記予備検査データが正常な範囲にあるか否かを判断するように構成されている。
このような構成によれば、光源の発光強度、受光部の受光感度、光源から受光部までの光路が正常か否かといったことが、効率よく、かつ適切に判断することが可能である。
本発明において、好ましくは、前記生化学検査装置は、カメラ付きの携帯型通信端末と、分析用補助装置と、を組み合わせて構成されており、前記分析用補助装置は、前記携帯型通信端末を配置可能な通信端末配置部と、検体と試薬との呈色反応を生じさせるための分析用チップがセットされるチップ装着部とを備え、かつ前記チップ装着部には、このチップ装着部に前記分析用チップがセットされた状態において前記呈色反応が生じた部分に前記光源から光を照射して前記呈色反応部分の透過光または反射光を前記携帯型通信端末のカメラに入射させるための光通過部が設けられており、前記携帯型通信端末のカメラは、前記受光部として利用されており、前記携帯型通信端末が具備するデータ処理部は、前記濃度演算処理部として利用され、前記呈色反応部分の透過光または反射光が前記光通過部を通過して前記カメラに入射した際には、前記カメラから出力される撮像画像信号のデータに基づいて前記濃度演算処理を実行可能とされている。
ここで、携帯型通信端末の具体例としては、携帯電話機、スマートフォン、および携帯型タブレット端末などが挙げられる。
ここで、携帯型通信端末の具体例としては、携帯電話機、スマートフォン、および携帯型タブレット端末などが挙げられる。
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、携帯型通信端末のカメラおよびデータ処理部は、生化学検査専用に構成された従来一般の生化学検査装置の受光部および濃度演算処理部を構成しており、分析用補助装置には、それらに相当する手段を設ける必要はない。検査結果を出力させるための手段としては、携帯型通信端末から外部の適当なプリンタに検査結果のデータを送信して印字出力させるといった手段を採用したり、あるいは携帯型通信端末に具備されているディスプレイに表示させるといった手段を適用することもできる。したがって、分析用補助装置の構成を簡素にすることができる。一方、携帯型通信端末は、生化学検査装置を構成する機器として特化したものである必要はなく、ユーザが所有するスマートフォンなどを有効に利用することができる。このように、前記した構成の生化学検査装置は、携帯型通信端末を効率よく、かつ有効に利用した合理的な構成とされており、システム全体の実質的な製造コストを従来よりも廉価にし、ポイントオブケアを普及・促進する上で好ましいものとなる。また、全体の小型化を促進し、取り扱い性に優れたものとすることもできる。
第2に、携帯型通信端末として、たとえばスマートフォンが用いられる場合、このスマートフォンは、生化学検査に特化したものではないため、ユーザからの信頼を十分に確保することが重要である。これに対し、本発明によれば、携帯型通信端末と分析用補助装置とを組み合わせて構成される生化学検査装置のコンディションが正常であるか否かが適切に判断され、正常である場合にはその旨の認証が行なわれるために、装置に対するユーザの信頼性を十分に高めることができることとなる。
第1に、携帯型通信端末のカメラおよびデータ処理部は、生化学検査専用に構成された従来一般の生化学検査装置の受光部および濃度演算処理部を構成しており、分析用補助装置には、それらに相当する手段を設ける必要はない。検査結果を出力させるための手段としては、携帯型通信端末から外部の適当なプリンタに検査結果のデータを送信して印字出力させるといった手段を採用したり、あるいは携帯型通信端末に具備されているディスプレイに表示させるといった手段を適用することもできる。したがって、分析用補助装置の構成を簡素にすることができる。一方、携帯型通信端末は、生化学検査装置を構成する機器として特化したものである必要はなく、ユーザが所有するスマートフォンなどを有効に利用することができる。このように、前記した構成の生化学検査装置は、携帯型通信端末を効率よく、かつ有効に利用した合理的な構成とされており、システム全体の実質的な製造コストを従来よりも廉価にし、ポイントオブケアを普及・促進する上で好ましいものとなる。また、全体の小型化を促進し、取り扱い性に優れたものとすることもできる。
第2に、携帯型通信端末として、たとえばスマートフォンが用いられる場合、このスマートフォンは、生化学検査に特化したものではないため、ユーザからの信頼を十分に確保することが重要である。これに対し、本発明によれば、携帯型通信端末と分析用補助装置とを組み合わせて構成される生化学検査装置のコンディションが正常であるか否かが適切に判断され、正常である場合にはその旨の認証が行なわれるために、装置に対するユーザの信頼性を十分に高めることができることとなる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1に示す生化学検査システムSYは、複数の生化学検査装置A(A1〜An)、および各生化学検査装置Aと公衆通信網Nを介して通信接続可能な管理サーバ8を備えている。
〔生化学検査装置Aおよびこれに関連する構成〕
各生化学検査装置Aは、カメラ25を備えた携帯型通信端末Bと、分析用補助装置Cとを組み合わせて構成されている。携帯型通信端末Bは、たとえばスマートフォンである。生化学検査装置Aは、後述するように、検体3の所定成分の濃度を測定可能である。検体3は、血液である。検体3の分析処理には、後述する分析用チップ1が利用される。一方、生化学検査の前には、後述するように、予備検査用チップ48を用いた予備検査が実行
される。
各生化学検査装置Aは、カメラ25を備えた携帯型通信端末Bと、分析用補助装置Cとを組み合わせて構成されている。携帯型通信端末Bは、たとえばスマートフォンである。生化学検査装置Aは、後述するように、検体3の所定成分の濃度を測定可能である。検体3は、血液である。検体3の分析処理には、後述する分析用チップ1が利用される。一方、生化学検査の前には、後述するように、予備検査用チップ48を用いた予備検査が実行
される。
理解の容易のため、図5を参照して、分析用チップ1の構造を先ず説明する。
分析用チップ1は、使い捨てタイプであり、複数の反応室12を有している。各反応室12には、呈色反応用の試薬13が配されており、各反応室12に検体3が供給されることにより、検体3と試薬13との呈色反応が生じる。この呈色反応の度合いは、検体3中の特定成分の濃度に対応する。したがって、前記呈色反応の光学的特性に基づき、検体3中の特定成分の濃度を求めることができる。図面においては、4つの反応室12が設けられた例を示しており、検体3についての4種類の生化学検査を同時に実行することが可能である。ただし、反応室12の数は、これに限定されない。複数の反応室12のうち、たとえば1つの反応室12については、試薬13が配されていない参照用の反応室とし、検体3が呈色反応を生じていない状態で検体3の光学的特性を検査する構成とすることもできる。
分析用チップ1は、使い捨てタイプであり、複数の反応室12を有している。各反応室12には、呈色反応用の試薬13が配されており、各反応室12に検体3が供給されることにより、検体3と試薬13との呈色反応が生じる。この呈色反応の度合いは、検体3中の特定成分の濃度に対応する。したがって、前記呈色反応の光学的特性に基づき、検体3中の特定成分の濃度を求めることができる。図面においては、4つの反応室12が設けられた例を示しており、検体3についての4種類の生化学検査を同時に実行することが可能である。ただし、反応室12の数は、これに限定されない。複数の反応室12のうち、たとえば1つの反応室12については、試薬13が配されていない参照用の反応室とし、検体3が呈色反応を生じていない状態で検体3の光学的特性を検査する構成とすることもできる。
分析用チップ1は、透明なシート体10a〜10cと、遮光カバー14とが積層された構成を有している。分析用チップ1の上面部には、複数の反応室12に対して複数の流路11を介して連通するリザーバ部15が設けられている。このリザーバ部15の開口部15aに検体3が滴下された状態において、キャップ16をリザーバ部15に装着し、キャップ16を押圧変形させると、検体3は、流路11から複数の反応室12に分岐して流れ込む。すると、検体3と試薬13との呈色反応が開始する。流路11の終端は、空気抜き用の孔部11aに相当する。遮光カバー14のうち、各反応室12の直上に相当する部分には、開口部14aが設けられている。検体3の分析処理に際し、反応室12において生じる呈色反応は、携帯型通信端末Bのカメラ25によって開口部14aの上方から撮像される。開口部14aは、反応室12と同様な円形状であり、その直径は、反応室12の直径と同一またはそれよりも僅かに小径である。
図2および図3に示すように、分析用補助装置Cは、全体の概略形状がたとえば略直方体状に形成された樹脂製の筐体4、携帯型通信端末Bを載置させるための載置部4a、筐体4内に設けられたチップ装着部23、光源21、制御部50、通信回路51、予備検査用チップ48の移載装置52、および分析用チップ1のキャップ16を押圧するためのキャップ押圧装置53などを備えている。
筐体4は、たとえば樹脂製であり、下面開口部が蓋体44を用いて閉塞可能な構造とされ、内部に外乱光や埃が進入し難い構造である。チップ装着部23は、筐体4の側面に差し込み口23cを設けることにより構成されており、この差し込み口23cに分析用チップ1が差し込まれた際に、この分析用チップ1を安定的に固定させて載置させておくための載置台23aを有している。載置台23aには、温調ヒータ23bが設けられ、検体3と試薬13との呈色反応を生じさせる際の温度を所定の温度範囲に維持可能とされている。
光源21(21a〜21d)は、たとえばLED光源であり、チップ装着部23の下方に設けられている。光源21a〜21dは、光の中心波長が互いに相違している。光源21a〜21dからそれぞれ発せられる光の中心波長は、たとえば405nm、450nm、570nm、および630nmである。携帯型通信端末Bに搭載されているカメラ25は、後述するように、RGBのカラーフィルタ25bを備えているが、このRGBのカラーフィルタ25bは、トータルすると、380〜700nmの波長域の光を高い透過率で透過させる。前記した光源21は、そのような波長域内の光を発するものである。好ましくは、光源21a〜21dは、個別に点灯駆動させることが可能であり、検体3の分析に際し、呈色反応の種類などに応じて適切な中心波長の光が選択される。波長の切り替えは、光源21a〜21dを個別に点灯駆動させることに代えて、たとえば光源21a〜21
dのそれぞれから発せられる光を個別に遮ることが可能なシャッタ機構を用いることもできる。光源21から発せられた光は、光散乱板22を介して拡散されてから、分析用チップ1の複数の反応室12およびその周辺領域に対してその下方から略均一に照射される。
dのそれぞれから発せられる光を個別に遮ることが可能なシャッタ機構を用いることもできる。光源21から発せられた光は、光散乱板22を介して拡散されてから、分析用チップ1の複数の反応室12およびその周辺領域に対してその下方から略均一に照射される。
筐体4の上面部は、携帯型通信端末B用の載置部4aとされている。この載置部4aには、たとえば図2に示すような位置決め用のガイド42,43が設けられており、載置部4a上に携帯型通信端末Bを載置した際にその位置決めが可能とされている。載置部4aには、分析用チップ1の反応室12を透過してきた光を通過させて携帯型通信端末Bのカメラ25に入射させるための光通過部41が設けられている。この光通過部41は、たとえば載置部4aを構成する筐体4の上壁部に貫通孔を設け、かつこの貫通孔を透光性に優れるカバー部材によって塞いだ構成とすることができる。位置決め用のガイド42は、携帯型通信端末Bの先端部を付き当てるための部分であり、好ましくは、携帯型通信端末Bの長手方向に位置調整自在である。他の一対のガイド43は、携帯型通信端末Bをその両側から挟み込むための部分であり、好ましくは、携帯型通信端末Bの幅方向に位置調整自在である。携帯型通信端末Bは、カメラ25が光通過部41の直上に位置するように載置部4a上に配置される。
図3において、通信回路51は、携帯型通信端末Bとの間で無線通信を可能とするものであり、たとえばWi-Fi対応である。ただし、この通信回路51と携帯型通信端末Bとを配線接続することにより、これらの相互間で通信させるようにしてもよい。制御部50は、携帯型通信端末Bからの指令を受けて分析用補助装置Cの各部の動作制御を行なう。生化学検査装置Aにおいては、後述するように、各部の動作制御や演算処理を携帯型通信端末Bのデータ処理部28に負担させることができるため、制御部50としては、かなり小型の廉価なマイコンを用いた構成とすることが可能であり、さらにはマイコンを用いた制御部50自体が実質的に用いられていない構成とすることもできる。
予備検査用チップ48は、検体3の分析処理に先立って実行される予備検査に用いられる。この予備検査用チップ48は、たとえば図6に示すように、チップ本体40と、このチップ本体49に設けられた複数の光通過部41内に装着されている複数のNDフィルタF1〜F7とを備えている。NDフィルタが装着されていない光通過部41(貫通孔41a)も設けられている。複数のNDフィルタF1〜F7の光の透過率は互いに相違しており、NDフィルタF1〜F7の順序で透過率は徐々に低くなっている。予備検査用チップ48を用いた予備検査の詳細については後述する。
図3において、予備検査用チップ48の移載装置52は、チップ装着部23に分析用チップ1が装着されていない状態において、予備検査用チップ48をチップ装着部23に配置させる動作と、チップ装着部23から退避させる動作とが可能なものである。図3においては、移載装置52を模式的に示し、また予備検査用チップ48が上下方向に比較的大きく移動する様子に示されているが、実際には、予備検査用チップ48は、たとえばチップ装着部23の横(図3の紙面と直交する方向)に退避した位置から略水平に移動してチップ装着部23上に配置される動作と、チップ装着部23上の位置から元の退避位置に略水平に移動する動作を行なわせるだけでよい。移載装置52は、予備検査用チップ48を略水平方向に往復動させる機構を備えた構成とすることができる。
ただし、移載装置52は、省略することが可能である。たとえば、図7に示す予備検査用チップ48Aは、チップ本体49Aが図6に示すチップ本体49よりも長寸法とされており、ユーザがチップ本体49Aの一端部を指で摘んで分析用補助装置Cの外部からチップ装着部23に装着脱可能である。このような予備検査用チップ48Aを用いる場合には、移載装置52は不要である。
ただし、移載装置52は、省略することが可能である。たとえば、図7に示す予備検査用チップ48Aは、チップ本体49Aが図6に示すチップ本体49よりも長寸法とされており、ユーザがチップ本体49Aの一端部を指で摘んで分析用補助装置Cの外部からチップ装着部23に装着脱可能である。このような予備検査用チップ48Aを用いる場合には、移載装置52は不要である。
図3におけるキャップ押圧装置53は、分析用チップ1のキャップ16を押圧するため
の装置であり、キャップ16の上部に当接させるための当接部材53aと、この当接部材53aを昇降させるアクチュエータ53bとを用いて構成されている。既述したように、分析用チップ1は、キャップ16が押圧されることにより、検体3が反応室12側に流れ、この反応室12において検体3と試薬13との呈色反応を生じさせることができる。
ただし、キャップ押圧装置53は、省略することが可能である。たとえば、分析用チップ1をチップ装着部23に装着させた際に、キャップ16が筐体4の外部に位置する構成としておけば(図3においては、筐体4内にキャップ16が位置している)、キャップ16をユーザが指で押圧することが可能である。このような方式を採用する場合には、キャップ押圧装置53は不要である。
の装置であり、キャップ16の上部に当接させるための当接部材53aと、この当接部材53aを昇降させるアクチュエータ53bとを用いて構成されている。既述したように、分析用チップ1は、キャップ16が押圧されることにより、検体3が反応室12側に流れ、この反応室12において検体3と試薬13との呈色反応を生じさせることができる。
ただし、キャップ押圧装置53は、省略することが可能である。たとえば、分析用チップ1をチップ装着部23に装着させた際に、キャップ16が筐体4の外部に位置する構成としておけば(図3においては、筐体4内にキャップ16が位置している)、キャップ16をユーザが指で押圧することが可能である。このような方式を採用する場合には、キャップ押圧装置53は不要である。
携帯型通信端末Bは、既述したように、たとえばカメラ25を備えたスマートフォンであるが、図4に示すように、データ処理部28の記憶部28aに検体分析処理用の制御プログラムP1が記憶されている点を除くと、それ以外の構成は一般のスマートフォンと同様である。すなわち、携帯型通信端末Bは、前記したデータ処理部28やカメラ25に加え、通信回路70、液晶パネルや有機ELパネルなどを用いて構成された表示部71、タッチパネル方式の操作部72、およびスピーカ73を備えている。データ処理部28は、携帯型通信端末Bの各部の動作処理やデータ処理を実行するものであるが、検体分析処理用の制御プログラムP1を記憶していることにより、検体3の特定成分の濃度を演算する濃度演算処理部としても機能する。
カメラ25は、検体分析処理を行なう際には、光源21から発せられて呈色反応部分12a(後述)を透過してきた光を受光するための受光部として利用され、呈色反応部分12aを撮像可能である。このカメラ25は、具体的には、集光レンズ25a、RGBのカラーフィルタ25b、およびイメージセンサ25cを組み合わせて構成されている。イメージセンサ25cは、たとえばCCDまたはCMOSなどのエリアイメージセンサである。カラーフィルタ25bは、イメージセンサ25cの複数の受光素子のそれぞれに対応して設けられており、RGBの3種類がある。このため、イメージセンサ25cからは、撮像画像信号として、RGBのそれぞれの受光量に対応した出力レベル(電圧レベル)の3種類の信号を出力可能である。カメラ25から出力されるアナログの撮像画像信号は、増幅部26によって増幅された後に、A/D変換部27によってデジタル信号に変換されてからデータ処理部28に入力する。
携帯型通信端末Bが載置部4a上に載置された状態においては、カメラ25の撮像範囲は、分析用チップ1の複数の反応室12が設けられている領域よりも広い範囲となっている。このため、カメラ25は、分析用チップ1をチップ装着部23に装着させた状態で撮像する場合、複数の反応室12とその周辺領域とを一括して撮像可能である。カメラ25が受ける光は、光源21から発せられて分析用チップ1を透過してきた光とすることができるため、カメラ25で撮像された画像の信号レベルに基づき、分析用チップ1の所定部位の吸光度を測定可能である。
光源21は、点灯駆動時間を複数段階で変更可能とされている。カメラ25による撮像画像としては、光源21の点灯駆動時間が長い場合には明るめの撮像画像が得られ、前記時間が短い場合には暗めの撮像画像が得られる。検体3と試薬13との呈色反応部分の色彩およびその明度などは一様ではないため、呈色反応部分の吸光度を求めるのに最適な明るさの撮像画像が得られるように、光源21の点灯駆動時間が制御される。あるいは、明るさが異なる複数の画像を撮像した後に、それらの中から最適と判断される画像が選択され、この選択された画像に基づいて吸光度が求められる。
〔生化学検査の基本的な動作〕
次に、生化学検査装置Aを利用した生化学検査(検体3の分析処理)の基本的な動作手
順について、図8のフローチャートを参照して説明する。管理サーバ8と関連する構成については後述する。
次に、生化学検査装置Aを利用した生化学検査(検体3の分析処理)の基本的な動作手
順について、図8のフローチャートを参照して説明する。管理サーバ8と関連する構成については後述する。
まず、光源21が点灯駆動された状態において、分析用チップ1の複数の反応室12を、検体3が未だ供給されていない状態でカメラ25により撮像する(S1,S2)。この場合、複数の反応室12に加えてその周辺領域も一括して撮像する。このことにより、たとえば図9(a)に示すように、分析用チップ1のうち、複数の反応室12の全てとその周辺領域とを一括して撮像したサブ画像Iaのデータが得られる。
各反応室12の周辺領域は、黒色の遮光カバー14であるのに対し、各反応室12は、内部に試薬13を有するものの、透光性を有する部分である。データ処理部28は、各反応室12とその周辺領域との透光性の相違を利用し、サブ画像Iaのデータ中における各反応室12の位置を特定する(S3)。ただし、その詳細については、後述する。サブ画像Iaを撮像する際には、光源21a〜21dのいずれか1つのみを点灯駆動させるだけでもよい。その後、各反応室12に検体3が供給されると、各反応室12において検体3と試薬13とが混合されて呈色反応を生じる。この呈色反応を生じた状態においても、カメラ25による撮像がなされる。このことにより、たとえば図9(b)に示すように、呈色反応部分12a(反応室12)の全てとその周辺領域とを一括して撮像したメイン画像Ibのデータが得られる(S4:YES,S5)。メイン画像Ibとサブ画像Iaとは、撮像範囲が同一であり、これらは各反応室12において呈色反応を生じている画像であるか否かが相違するだけである。
データ処理部28は、前記したメイン画像Ibを撮像した後には、この画像データの中から、各呈色反応部分12aの画像データを選出する(S6)。この選出処理は、メイン画像Ibのデータの中から、ステップS3において特定した各反応室12の画像データと位置が同一のデータを選出することにより行なう。メイン画像Ibのデータにおいては、各呈色反応部分12aとその周辺領域との明度差が小さくなる可能性があり、各呈色反応部分12aの位置を正確に特定する処理が煩雑化するが、本実施形態の処理方法によれば、そのような不具合が解消される。
次いで、データ処理部28は、前記した呈色反応部分12aの画像のデータから気泡やダスト類の画像データなどの異常データを排除する処理を実行する(S7)。図示説明は省略するが、呈色反応部分12aに気泡が混入した場合、この気泡の周縁部は、光源21から進行してきた光を高い反射率で反射する。したがって、撮像画像において、気泡の画像の周縁部は正常な呈色反応部分の画像領域よりも暗い画像となる。一方、気泡の中央寄り部分は、光源21から進行してきた光を多く透過させる特性をもち、気泡の画像の中央寄り部分は、いわゆる白抜け状態の画像となる。したがって、このような画像の有無を判断し、該当する画像があれば、この部分の画像は気泡の画像などの異常データであるとして除外することができる。
データ処理部28は、呈色反応部分12aの画像のデータのうち、前記した異常データを排除した後には、その残余のデータに基づいて、検体3の特定成分の濃度を演算する(S8)。この演算処理は、まず呈色反応部分12aの吸光度を求めた後に、この吸光度を記憶部28aに記憶されている検量線のデータと照合することにより行なわれる。
前記した一連の動作手順のうち、ステップS3における各反応室12の位置特定処理は、たとえば次のような手法を用いて実行される。
まず、図10に示す画像Ia’は、サブ画像Iaの一部(2つの反応室12とその周辺領域の画像)が模式的に示されたものであり、複数の画素40の集合体である(同図の格
子によって囲まれた細かい桝目のそれぞれは画素40に相当する)。同図において、列L1の各画素40の信号レベルは、図11に示すような状態である。同図において、信号レベルの高低が「カウント値」で示されているが、この「カウント値」は、カメラ25から出力されるアナログ信号のレベルを一定の規則にしたがって数値化(デジタル化)した値である。カウント値が大きいほど、画素40の信号レベルが高い(画素40が明るい)。
同図においては、列L1の複数の画素40のうち、反応室12の領域に相当する画素40a,40b間、および画素40c,40d間に位置する画素40の信号レベルは高く、それ以外の画素40の信号レベルは低い。これは、反応室12は、透光性を有しているのに対し、反応室12の周辺領域には、遮光カバー14が位置しているからである。
子によって囲まれた細かい桝目のそれぞれは画素40に相当する)。同図において、列L1の各画素40の信号レベルは、図11に示すような状態である。同図において、信号レベルの高低が「カウント値」で示されているが、この「カウント値」は、カメラ25から出力されるアナログ信号のレベルを一定の規則にしたがって数値化(デジタル化)した値である。カウント値が大きいほど、画素40の信号レベルが高い(画素40が明るい)。
同図においては、列L1の複数の画素40のうち、反応室12の領域に相当する画素40a,40b間、および画素40c,40d間に位置する画素40の信号レベルは高く、それ以外の画素40の信号レベルは低い。これは、反応室12は、透光性を有しているのに対し、反応室12の周辺領域には、遮光カバー14が位置しているからである。
データ処理部28は、前記したような撮像画像を対象とし、図12のフローチャートに示すような処理を実行する。
すなわち、データ処理部28は、サブ画像Iaのデータを取り込んだ後には、所定のカウント値(たとえば、図11では、カウント値「100,000」)を閾値TH1として設定し、複数の画素40のデータの中から、閾値TH1を超える信号レベルの画素データを選出する(S20,S21)。このことにより、受光量が多い画素データが選出される。次いで、データ処理部28は、そのようにして選出された画素データの信号レベルの平均値または中央値を求めてから、この平均値または中央値に基づき乖離範囲(分散範囲)を設定し、この乖離範囲内にある画素データの集合を、反応室12の画像のデータであると仮判断する(S22,S23)。
すなわち、データ処理部28は、サブ画像Iaのデータを取り込んだ後には、所定のカウント値(たとえば、図11では、カウント値「100,000」)を閾値TH1として設定し、複数の画素40のデータの中から、閾値TH1を超える信号レベルの画素データを選出する(S20,S21)。このことにより、受光量が多い画素データが選出される。次いで、データ処理部28は、そのようにして選出された画素データの信号レベルの平均値または中央値を求めてから、この平均値または中央値に基づき乖離範囲(分散範囲)を設定し、この乖離範囲内にある画素データの集合を、反応室12の画像のデータであると仮判断する(S22,S23)。
その後は、前記の仮判断の妥当性が判断される(S24)。この判断においては、たとえば反応室12の画像のデータであると仮判断されたデータのサイズや位置が、所定の範囲から大きく逸脱していないか否かといったことが判断され、データのサイズや位置が明らかに異常であるような場合には、前記データは反応室12の画像のデータではないと判断される(S24:NO,S27)。このことにより、たとえば分析用チップ1の空気抜き用の孔部11aや、分析用チップ1の周囲の領域が、反応室12であると過誤判断されることは回避される。前記の仮判断が妥当であると判断される場合には、その判断が確定され、反応室12の画像のデータの位置が記憶部28aに記憶される(S24:YES,S25)。前記した処理は、サブ画像Iaのデータの全てについて終了するまで繰り返し実行される(S26)。このため、複数の反応室12のそれぞれの位置が適切に特定される。
〔携帯型通信端末と分析用補助装置との協働動作〕
次に、携帯型通信端末Bと分析用補助装置Cとの協働による具体的な動作処理手順の一連について、図13および図14のフローチャートを参照しつつ説明する。
次に、携帯型通信端末Bと分析用補助装置Cとの協働による具体的な動作処理手順の一連について、図13および図14のフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、携帯型通信端末Bの操作部72において、ユーザにより所定のスイッチ操作がなされると、携帯型通信端末Bは、分析処理対応モードに設定され、その旨が表示部71に画面表示される(S31:YES,S32)。携帯型通信端末Bが分析処理対応モードに設定されるための条件としては、スイッチ操作に代えて、たとえば携帯型通信端末Bと分析用補助装置Cとが配線を介して通信接続される仕様である場合に、この配線接続されることを条件としてもよい。データ処理部28は、前記した分析処理対応モードになると、分析用補助装置Cに対して測定準備を開始すべき旨を指令するデータ送信を行ない、表示部71には待機画面を表示させる(S33)。この指令に対応し、分析用補助装置Cにおいては、光源21および温調ヒータ23bがともにオンとされる(S51:YES,S52)。
分析用補助装置Cにおいて前記の測定準備が完了すると、データ処理部28は、分析用補助装置Cに対して予備検査用の補助動作を行なうべき旨を指令するデータ送信を行ない
、かつ表示部71には今から予備検査が実行される旨の画面表示を行なわせる(S34:YES,S35)。分析用補助装置Cにおいて前記測定準備が完了したか否かは、たとえば分析用補助装置Cから測定準備が完了した旨の信号を送信させることにより判断させることができる。また、測定準備開始指令がなされてから所定時間が経過した時点で、準備が完了したものと判断させるようにしてもよい。
、かつ表示部71には今から予備検査が実行される旨の画面表示を行なわせる(S34:YES,S35)。分析用補助装置Cにおいて前記測定準備が完了したか否かは、たとえば分析用補助装置Cから測定準備が完了した旨の信号を送信させることにより判断させることができる。また、測定準備開始指令がなされてから所定時間が経過した時点で、準備が完了したものと判断させるようにしてもよい。
予備検査は、本来的には、カメラ25の受光量とその出力信号との関係を検査し、これらをリニアの関係に補正するための補正用データを取得するためのものである。携帯型通信端末Bに搭載されているカメラ25の出力特性は、撮像画像が人の目にとって綺麗に見えるようにするといった観点から、受光量とその出力信号との相対関係はリニアではないのが通例であるため、このことに起因する測定誤差を少なくすることが要望される。予備検査はそのような要望に応え得るものである。ただし、後述するように、予備検査によって得られるデータは、分析用補助装置Cのコンディションが正常であるか否かを判断するのにも利用される。
分析用補助装置Cにおいては、データ処理部28から予備検査用の補助動作を行なうべき旨の指令を受けると、予備検査用チップ48をチップ装着部23に装着させる(S53:YES,S54)。また、光源21を予備検査用に点灯駆動させる(S55)。この際の光源21の点灯駆動は、たとえば複数の光源21(21a〜21d)のそれぞれを単独で順次駆動させるようにして行なわれる。また、その際にはカメラ25の露光時間あるいはISOを変更しながら、前記した各光源21の単独駆動が複数回にわたって繰り返される。一方、前記した光源21の点灯駆動が行なわれる際には、カメラ25を利用して予備検査用チップ48が撮像される(S36:YES,S37)。予備検査用チップ48の撮像画像Idの範囲は、たとえば図6に示すような範囲であり、複数のNDフィルタF1〜F7、貫通孔41a、およびその周辺部分が撮像される。周辺部分の画像データは、先に述べた手法と同様な手法で除外し、複数のNDフィルタF1〜F7および貫通孔41aに関するデータのみを選出し、または区別化することが可能である。データ処理部28は、このような撮像画像のデータに基づき、カメラ出力特性の補正用データを作成する(S38)。この補正用データの作成手法は、次のとおりである。
まず、図15(a)に示すようなデータを作成する。同図に示すデータは、光源21dを駆動させて、中心波長が630nmの光(赤色光)を予備検査用チップ48に照射することにより得られた撮像画像から、複数のNDフィルタF1〜F7の吸光度(測定Abs)を算出し、これをプロットしたものである(同図のF1〜F7の符号で示された各ドットは、図6のNDフィルタF1〜F7の測定Absを示す)。また、同図に示されたデータは、予備検査用チップ48の撮像を3回行なったものである。予備検査用チップ48の貫通孔41aの吸光度は、ゼロであり、この貫通孔41aの撮像画像の信号は、測定Absの算出基準として利用される。図15(a)に示すように、測定Absは、同一直線上にはなく、カメラ25の受光量と出力信号とはリニアの関係にはないことが理解できる。
次いで、補正用データを作成するには、図15(a)に示したデータに基づき、同図(b)に示すデータを作成する。このデータは、同図(a)に示したグラフの縦軸と横軸とを入れ替えたものである。同図(b)において、曲線Laは、NDフィルタF1〜F7の測定Absの近似曲線であり、この近似曲線Laの方程式は、たとえば次の式1のとおりである。
y=0.097135x3−0.515497x2+1.645791x …式1
ばらつきは、R2=0.996614である。
このような近似曲線の方程式を得ると、この方程式のxの値として、測定Absの値を代入することにより、誤差の殆どない正確な吸光度の値を得ることができる。したがって、式1は、前記補正用データの一例に相当する。
y=0.097135x3−0.515497x2+1.645791x …式1
ばらつきは、R2=0.996614である。
このような近似曲線の方程式を得ると、この方程式のxの値として、測定Absの値を代入することにより、誤差の殆どない正確な吸光度の値を得ることができる。したがって、式1は、前記補正用データの一例に相当する。
前記した例は、光源21dから発せられる中心波長630nmの赤色光について述べたが、これ以外の光源21a〜21cから発せられる他の波長域の光についても、前記と同様な手法を用いて、補正用データとしての方程式を求める。光源21aから発せられる青色光については便宜上省略するが、光源21cから発せられる中心波長570nmの緑色光、および光源21bから発せられる中心波長405nmの青色光については、たとえば図16および図17に示すようなデータとなり、正確な吸光度を得るための方程式の例(近似曲線Lb,Lcの方程式)としては、次の式2,式3となる。
y=0.136983x3−0.649015x2+1.722011x …式2
ばらつきは、R2=0.998177である。
y=0.146076x3−0.816404x2+1.939300x …式3
ばらつきは、R2=0.999317である。
y=0.136983x3−0.649015x2+1.722011x …式2
ばらつきは、R2=0.998177である。
y=0.146076x3−0.816404x2+1.939300x …式3
ばらつきは、R2=0.999317である。
図18および図19は、そのような補正処理が行なわれた場合と行なわれていない場合との具体例を示している。
図18(a)は、生化学検査装置A(携帯型通信端末Bとして、市販されている通常のスマートフォンを使用)を利用してAMYの吸光度を求めた例を示している。ただし、データ補正は行なわれていない。この場合には、高精度の専用検査装置を用いて得られるAMYの吸光度との差がかなり大きいものとなっている。これに対し、同図(b)に示すように、生化学検査装置Aを利用した場合であって、前述したような補正を行なった場合には、AMYの吸光度の値が、専用検査装置を用いた得られるAMYの吸光度にかなり近いものとなっている。
図19(a),(b)は、AMYに代えて、TGを対象としてその吸光度を求めた場合の例を示しているが、やはり同図(a)に示す補正なしの場合と比較して、同図(b)に示す補正ありの場合には、TGの吸光度の値が、専用検査装置を用いた場合の値にかなり近いものとなっている。
このような例から理解されるように、本実施形態の生化学検査装置Aでは、カメラ25の出力特性に起因して分析結果の精度が低くなることを、前記したような補正処理により、好適に回避し、精度が高く信頼のおける分析結果を得ることが可能である。
図18(a)は、生化学検査装置A(携帯型通信端末Bとして、市販されている通常のスマートフォンを使用)を利用してAMYの吸光度を求めた例を示している。ただし、データ補正は行なわれていない。この場合には、高精度の専用検査装置を用いて得られるAMYの吸光度との差がかなり大きいものとなっている。これに対し、同図(b)に示すように、生化学検査装置Aを利用した場合であって、前述したような補正を行なった場合には、AMYの吸光度の値が、専用検査装置を用いた得られるAMYの吸光度にかなり近いものとなっている。
図19(a),(b)は、AMYに代えて、TGを対象としてその吸光度を求めた場合の例を示しているが、やはり同図(a)に示す補正なしの場合と比較して、同図(b)に示す補正ありの場合には、TGの吸光度の値が、専用検査装置を用いた場合の値にかなり近いものとなっている。
このような例から理解されるように、本実施形態の生化学検査装置Aでは、カメラ25の出力特性に起因して分析結果の精度が低くなることを、前記したような補正処理により、好適に回避し、精度が高く信頼のおける分析結果を得ることが可能である。
前記した補正用データを求めた後には、データ処理部28は、測定項目(たとえば、AMY(アミラーゼ)測定、TG(中性脂肪)測定、血糖値測定など)や、これに関連する項目を表示部71に表示させ、ユーザが要望する測定項目を選択させる(S39)。この選択操作が終了すると、分析用補助装置Cに検体分析用の補助動作の実行指令を行なうとともに、表示部71には、待機画面を表示させる(S40:YES,S41)。その際、好ましくは、ユーザには、分析用チップ1をチップ装着部23に装着することを促す旨のメッセージなども表示される。なお、分析用補助装置Cにおいては、予備検査用チップ48の撮像を終えた段階で、予備検査用チップ48は元の待機状態に復帰させる動作が行なわれており、分析用チップ1の装着に支障を生じないようにされる(S56)。分析用補助装置Cは、前記の検体分析用の補助動作実行指令を受けると、分析用チップ1のキャップ16を押圧する動作を実行し、検体分析用の光源点灯駆動を行なわせる(S57:YES,S58,S59)。この場合、点灯駆動対象となる光源21は、検体の測定項目に好ましい中心波長の光を発する光源とされる。
キャップ16の押圧により、検体3が反応室12に供給されると、その後はこの反応室12において呈色反応が発生するが、そのようなタイミングでカメラ25により分析用チップ1が撮像され、そのデータがデータ処理部28に取り込まれる(S42:YES,S43)。その後は、図8などを参照して説明したように、撮像画像データの中から呈色反応部分12aの画像データを選出し、かつ呈色反応部分12aの吸光度を求めるが、この吸光度の値については、既述した補正用データを用いて補正し、この補正後の吸光度に基
づいて検体3の特定成分の濃度を求める(S44)。このようにして求められた分析結果のデータは、測定対象項目やその他の関連事項と一緒に表示部71に表示出力させ、また携帯型通信端末Bに予め登録されているプリンタ90(図3を参照)に無線送信し、このプリンタ90を利用して印字出力させる(S46)。勿論、プリンタ90以外のパソコン91などの装置・機器類に前記データを送信し、データ管理を行なうこともできる。また、携帯型通信端末Bにネットワーク上のアドレスを登録しておくことにより、この登録先のアドレスに前記データを送信するといったこともできる。
づいて検体3の特定成分の濃度を求める(S44)。このようにして求められた分析結果のデータは、測定対象項目やその他の関連事項と一緒に表示部71に表示出力させ、また携帯型通信端末Bに予め登録されているプリンタ90(図3を参照)に無線送信し、このプリンタ90を利用して印字出力させる(S46)。勿論、プリンタ90以外のパソコン91などの装置・機器類に前記データを送信し、データ管理を行なうこともできる。また、携帯型通信端末Bにネットワーク上のアドレスを登録しておくことにより、この登録先のアドレスに前記データを送信するといったこともできる。
分析結果のデータ送信などが終了した後には、分析用補助装置Cに動作終了の指令を発し、その後は携帯型通信端末Bの分析処理対応モードを解除する。その際には、表示部71に分析処理対応モードが終了した旨の表示を行なわせ、その後に携帯型通信端末Bを通常状態の画面表示に復帰させる(S47,S48)。分析用補助装置Cにおいては、前記した動作終了の指令を受けると、光源21および温調ヒータ23bをオフとする(S60:YES,S61)。
〔管理サーバ8の構成〕
図1において、管理サーバ8は、通信網Nを利用して携帯型通信端末Bとの相互間でデータ通信を行なうための通信回路80、データ処理部81、および記憶部82を備えている。データ処理部81は、機能的にみると、生化学検査装置Aのコンディションが正常であるか否かを判断するためのコンディション判断部81aや、生化学検査装置Aにおいて実行される生化学検査の測定濃度範囲などを判断する検査条件判断部81bなどを有している。記憶部82には、各生化学検査装置Aのコンディションに関するデータD1、各生化学検査装置Aの使用履歴データD2、および各生化学検査装置Aを利用して実行された生化学検査の結果のデータD3などが記憶されるように構成されている。
図1において、管理サーバ8は、通信網Nを利用して携帯型通信端末Bとの相互間でデータ通信を行なうための通信回路80、データ処理部81、および記憶部82を備えている。データ処理部81は、機能的にみると、生化学検査装置Aのコンディションが正常であるか否かを判断するためのコンディション判断部81aや、生化学検査装置Aにおいて実行される生化学検査の測定濃度範囲などを判断する検査条件判断部81bなどを有している。記憶部82には、各生化学検査装置Aのコンディションに関するデータD1、各生化学検査装置Aの使用履歴データD2、および各生化学検査装置Aを利用して実行された生化学検査の結果のデータD3などが記憶されるように構成されている。
〔生化学検査システムSYの動作〕
次に、生化学検査システムSYの全体の動作処理手順の一例について、図20のフローチャートを参照しつつ説明する。同図において、破線で示すステップS73,S79は、管理サーバ8における処理であり、これ以外は、生化学検査装置Aにおける処理である。
次に、生化学検査システムSYの全体の動作処理手順の一例について、図20のフローチャートを参照しつつ説明する。同図において、破線で示すステップS73,S79は、管理サーバ8における処理であり、これ以外は、生化学検査装置Aにおける処理である。
まず、生化学検査装置Aにおいて、予備検査用チップ48を利用した予備検査が実行されると、その際にカメラ25から出力される信号のデータ(撮像画像データ)が管理サーバ8に送信される(S71:YES,S72)。このデータは、本発明でいう「生化学検査装置のコンディションに関するデータ」の一例に相当し、具体的には、図6で示した予備検査用チップ48の撮像画像データである。このデータが管理サーバ8に送信される際には、生化学検査装置Aを特定するためのIDコード、および携帯型通信端末Bの種別などを示すためのデータも付される。
管理サーバ8は、前記データを受信すると、これを記憶部82に記憶し、このデータを将来のコンディション判断に利用可能とする。また、前記データを送信してきた生化学検査装置Aの現在のコンディションが正常であるか否かを判断し、さらには後述するデータ処理を実行する(S73)。
生化学検査装置Aの現在のコンディションが正常であるか否かの判断は、今回受信したコンディションに関するデータに加え、以前に受信した生化学検査装置Aのコンディションに関するデータ、および生化学検査装置Aの使用履歴などに基づいて判断される。この場合、携帯型通信端末Bが同機種の他の生化学検査装置Aのコンディションに関するデータも適宜参照することができる。このようなデータの参照は、たとえば生化学検査装置Aが使い始めの状態にあって、参考となるデータが管理サーバ8に未だ十分に蓄積されていないような場合に有用である。
生化学検査装置Aのコンディションに関するデータは、既述したように、予備検査用チップ48の撮像画像であるために、たとえば図6の貫通孔41aに相当する箇所の撮像画像が所定レベルよりも暗い撮像画像である場合には、光源21の発光量不足、あるいは光通過部41に汚れが付着しているといった異常が生じていることが考えられ、このような場合には生化学検査装置Aのコンディションは正常ではないと判断される。また、貫通孔41aならびにNDフィルタF1〜F7のそれぞれに相当する複数の撮像画像の明るさに所定の差が生じていない場合、あるいはその差が不当な場合には、予備検査用チップ48自体に異常があると考えられる。この場合には、適正な補正処理が実行できないため、この場合にもコンディションは正常でないと判断される。その他、管理サーバ8には、前記したコンディションのデータに基づいて、光源21a〜21dの各波長ごとの補正用データ(図15〜図17を参照して説明した補正用データ)を作成させたり、あるいは生化学検査装置Aの最大測定吸光度や吸光度分解能などを演算させて、これらの値が妥当であるか否かによって、生化学検査装置Aのコンディションが正常であるか否かを判断させるように構成することもできる。
管理サーバ8は、生化学検査装置Aの現在のコンディションが正常であると判断した場合には、生化学検査装置Aに対して認証番号のデータを送信する。生化学検査装置Aは、前記の認証番号を受けると、その旨を携帯型通信端末Bの表示部71に表示させるとともに、生化学検査(検体3の分析処理)を実行可能なモードに移行する(S74:YES,S75)。このモード移行の初期には、測定項目(たとえばAMY測定、TG測定、血糖値測定などの項目)が表示部71に表示されるが、その際に管理サーバ8において先に算出された最大測定吸光度や吸光度分解能などの数値を表示させて、その内容をユーザに報知させるようにしてもよい。また、管理サーバ8において、補正用データを算出した場合には、このデータを生化学検査装置Aに送信させるようにしてもよい。このような構成によれば、生化学検査装置Aにおいては補正用データの算出処理を実行する必要がなくなり、生化学検査装置Aにおけるデータ処理負担が軽減する。
生化学検査が終了した後には、検査結果のデータに、前記認証番号のデータが付加される(S76:YES,S77)。このことにより、たとえば検査結果のデータを、表示部71に表示させた場合や、図3に示したプリンタ90を用いて印字出力した場合には、検査結果のデータに伴って認証番号が表示または印字出力されることとなる。検査結果のデータは、認証番号が付された状態で管理サーバ8に送信され、管理サーバ8においては、このデータが記憶部82に記憶される(S78,S79)。好ましくは、このようにして記憶された検査結果のデータは、生化学検査を行なった患者や医師などによって適宜閲覧され、健康状態の推移などを確認するのに利用される。
前記とは異なり、生化学検査装置Aのコンディションが正常でない場合には、管理サーバ8から生化学検査装置Aに認証番号のデータは送信されない。この場合、生化学検査装置Aは、管理サーバ8から正常でないコンディションの内容や、コンディションを正常にするための操作内容のデータを受信することとなり、そのデータが表示部71に表示出力される(S74:NO,S80)。ここで、コンディションを正常にするための操作内容とは、たとえば光通過部41が汚れている可能性がある場合には、この部分を清掃することを促す内容、あるいは予備検査用チップ48が損傷している可能性がある場合には、予備検査用チップ48を他の新たなものと交換することを促す内容が該当する。
その後、生化学検査装置Aにおいて、再度の予備検査が実行された場合には、生化学検査装置Aのコンディションに関するデータが管理サーバ8に再度送信される(S81:YES,S72)。この場合においても、管理サーバ8においては生化学検査装置Aの現時点におけるコンディションが正常か否かが再度判断され、コンディションが正常状態にな
った場合には、生化学検査装置Aに対して前記した認証番号の付与がなされる。これに対し、認証番号の付与がなされないまま生化学検査が実行された場合には、その検査結果のデータに、未認証である旨のデータが付加される(S82:YES,S83)。この場合においては、検査結果のデータを表示部71に表示させ、あるいはプリンタ90を用いて印字出力させると、検査結果のデータに伴って未認証である旨のデータが表示または印字出力される。
った場合には、生化学検査装置Aに対して前記した認証番号の付与がなされる。これに対し、認証番号の付与がなされないまま生化学検査が実行された場合には、その検査結果のデータに、未認証である旨のデータが付加される(S82:YES,S83)。この場合においては、検査結果のデータを表示部71に表示させ、あるいはプリンタ90を用いて印字出力させると、検査結果のデータに伴って未認証である旨のデータが表示または印字出力される。
前記したような動作処理によれば、生化学検査装置Aのユーザは、管理サーバ8から認証を受けるか否かによって、生化学検査装置Aのコンディションが正常であるか否かを的確に察知することができる。前記認証を受けた場合には、生化学検査の結果に大きな信頼をおくことが可能である。一方、前記認証を受けていない場合の検査結果については、これを適切な高精度の検査結果であると誤解しないようにすることができる。また、前記認証を受けることができない場合には、正常ではないコンディションの内容、およびコンディションを正常にするための操作内容などユーザに報知されるために、生化学検査装置Aを正常なコンディションに設定することも容易となる。
生化学検査装置Aの現在のコンディションが正常であるか否かの判断は、管理サーバ8の記憶部82に記憶されている過去のコンディションのデータ、生化学検査装置Aの使用履歴、およびその他の前述したようなデータに基づいて行なわれるために、前記判断を的確に行なうことが可能である。さらに、生化学検査装置Aのコンディションのデータが記憶される先は、管理サーバ8であるために、生化学検査装置A自体にコンディションのデータを順次記憶させていく必要はない。したがって、携帯型通信端末Bにメモリ不足が生じるといった不具合を回避することもできる。また、メモリ容量が比較的小さい携帯型通信端末Bを、生化学検査装置Aの構成要素として利用することができる。
本実施形態においては、生化学検査装置Aがカメラ25を備えた携帯型通信端末Bを利用して構成されているために、次のような効果も得られる。
すなわち、携帯型通信端末Bのカメラ25およびデータ処理部28は、呈色反応部分12aなどを透過してきた光を受ける受光部および濃度演算処理部として利用されている。このため、分析用補助装置Cには、それらに相当する手段を設ける必要はない。分析結果のデータを出力させるための手段としては、携帯型通信端末Bの表示部71を利用できる他、携帯型通信端末Bが本来有する通信機能を利用して、外部のプリンタ90などに適宜送信するといった手段を簡易に採用することができる。分析用補助装置Cにプリンタ90を具備させる必要もなく、分析用補助装置Cの全体構成を簡素にすることが可能である。一方、携帯型通信端末Bは、生化学検査装置Aを構成する機器として特化したものではなく、日常において通話、メール送受信、あるいはインターネット接続などに支障なく使用することが可能である。その結果、たとえば生化学検査装置の全体を専用機器で構成した場合と比較すると、本実施形態の生化学検査装置Aは携帯型通信端末Bを有効に利用した合理的な構成とされており、システム全体の実質的な製造コストを廉価にすることが可能である。また、システム全体の小型化が容易であり、取り扱い性に優れたものとすることもできる。
すなわち、携帯型通信端末Bのカメラ25およびデータ処理部28は、呈色反応部分12aなどを透過してきた光を受ける受光部および濃度演算処理部として利用されている。このため、分析用補助装置Cには、それらに相当する手段を設ける必要はない。分析結果のデータを出力させるための手段としては、携帯型通信端末Bの表示部71を利用できる他、携帯型通信端末Bが本来有する通信機能を利用して、外部のプリンタ90などに適宜送信するといった手段を簡易に採用することができる。分析用補助装置Cにプリンタ90を具備させる必要もなく、分析用補助装置Cの全体構成を簡素にすることが可能である。一方、携帯型通信端末Bは、生化学検査装置Aを構成する機器として特化したものではなく、日常において通話、メール送受信、あるいはインターネット接続などに支障なく使用することが可能である。その結果、たとえば生化学検査装置の全体を専用機器で構成した場合と比較すると、本実施形態の生化学検査装置Aは携帯型通信端末Bを有効に利用した合理的な構成とされており、システム全体の実質的な製造コストを廉価にすることが可能である。また、システム全体の小型化が容易であり、取り扱い性に優れたものとすることもできる。
分析用補助装置Cの各部は、携帯型通信端末Bのデータ処理部28を介して制御されているために、分析用補助装置Cに多くの操作スイッチを設け、かつこの操作スイッチをユーザが操作するといった煩わしさを無くすことができる。したがって、操作が容易であり、使い勝手もよい。
カメラ25によって分析用チップ1の呈色反応部分12aを撮像する際には、この呈色反応部分12aのみならず、その周辺領域をも撮像されるために、呈色反応部分12aのみがカメラによって撮像されるようにカメラ25と呈色反応部分12aとの位置合わせを高精度に行なう必要はない。また、分析用チップ1に設けられている複数の呈色反応部分
12aを一纏めに撮像して処理することも可能となるために、測定速度を速めることもできる。光源21や携帯型通信端末Bのカメラ25の位置を、複数の呈色反応部分12aのそれぞれに対応する箇所に移動させるといった必要もない。
カメラ25から出力される撮像画像の信号レベルは、カメラ25の受光量とリニアの関係にはないものの、本実施形態においては、そのような関係を解消するための補正処理が実行されている。このため、分析結果のデータをかなり正確なものとすることが可能である。
カメラ25によって分析用チップ1の呈色反応部分12aを撮像する際には、この呈色反応部分12aのみならず、その周辺領域をも撮像されるために、呈色反応部分12aのみがカメラによって撮像されるようにカメラ25と呈色反応部分12aとの位置合わせを高精度に行なう必要はない。また、分析用チップ1に設けられている複数の呈色反応部分
12aを一纏めに撮像して処理することも可能となるために、測定速度を速めることもできる。光源21や携帯型通信端末Bのカメラ25の位置を、複数の呈色反応部分12aのそれぞれに対応する箇所に移動させるといった必要もない。
カメラ25から出力される撮像画像の信号レベルは、カメラ25の受光量とリニアの関係にはないものの、本実施形態においては、そのような関係を解消するための補正処理が実行されている。このため、分析結果のデータをかなり正確なものとすることが可能である。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る生化学検査システムの各構成要素の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更可能である。
上述した実施形態においては、カメラ付きの携帯型通信端末を利用して生化学検査装置を構成しているが、本発明はこれに限定されない。本発明でいう生化学検査装置は、携帯型通信端末などを用いない構成、たとえば1つの筐体内に、光源、受光部、および濃度演算処理部が組み込まれたような構成をもつ装置として構成されていてもよい。
生化学検査装置は、検体の透過光を利用して検体の分析を行なうものに限らず、たとえば検体からの反射光を利用し、検体の光反射率や色彩に基づいて検体を分析するように構成することもできる。検体を試薬と反応させているか否かは問わない。
生化学検査装置は、光学的な手法により検体の分析を行なうものに限らない。たとえば、検体に接触させるための電極を備え、かつ電気的な手法によって検体の分析を行なうものでもよい。この場合には、たとえば電極の汚れや断線に起因する導通不良、電極に対する印加電圧の不足、あるいは電極への過度な電圧印加などがあると、生化学検査を適切に行なうことができない。本発明によれば、そのような状況にある場合には、コンディションが正常ではない旨の判断を行なって、生化学検査装置を認証しないようにする反面、コンディションが正常である場合には、生化学検査装置を認証するように構成することが可能である。
生化学検査装置は、光学的な手法により検体の分析を行なうものに限らない。たとえば、検体に接触させるための電極を備え、かつ電気的な手法によって検体の分析を行なうものでもよい。この場合には、たとえば電極の汚れや断線に起因する導通不良、電極に対する印加電圧の不足、あるいは電極への過度な電圧印加などがあると、生化学検査を適切に行なうことができない。本発明によれば、そのような状況にある場合には、コンディションが正常ではない旨の判断を行なって、生化学検査装置を認証しないようにする反面、コンディションが正常である場合には、生化学検査装置を認証するように構成することが可能である。
生化学検査装置のコンディションに関するデータが管理サーバに送信される時期は、生化学検査が開始される前のタイミングが好ましいものの、やはりこれに限定されず、たとえば生化学検査中などであってもよい。検体は、血液に限定されず、たとえば尿、便などとすることも可能であり、その具体的な種類を問わない。
SY 生化学検査システム
A 生化学検査装置
B 携帯型通信端末
1 分析用チップ
3 検体
48 予備検査用チップ
12 反応室
12a 呈色反応部分(反応室)
13 試薬
21 光源
23 チップ装着部
25 カメラ(受光部)
28 データ処理部(濃度演算処理部)
4a 載置部
41 光通過部
51 通信回路
A 生化学検査装置
B 携帯型通信端末
1 分析用チップ
3 検体
48 予備検査用チップ
12 反応室
12a 呈色反応部分(反応室)
13 試薬
21 光源
23 チップ装着部
25 カメラ(受光部)
28 データ処理部(濃度演算処理部)
4a 載置部
41 光通過部
51 通信回路
Claims (5)
- 通信機能を備えた生化学検査装置と、
この生化学検査装置との相互間で通信網を利用したデータ通信が可能であり、かつ前記生化学検査装置から送信されてきたデータを記憶部に順次記憶する処理を実行可能な管理サーバと、
を備えている、生化学検査システムであって、
前記生化学検査装置は、この生化学検査装置のコンディションに関するデータを前記管理サーバに対して所定の時期に送信可能であり、
前記管理サーバは、前記コンディションに関するデータを受信した際には、それ以前に受信した前記生化学検査装置のコンディションに関するデータに基づいて、前記生化学検査装置の現在のコンディションが正常であるか否かを判断し、かつ現在のコンディションが正常であると判断したときには、前記生化学検査装置を認証する旨のデータを前記生化学検査装置に送信する一方、そうでないときには、前記認証する旨のデータを前記生化学検査装置に送信しない構成とされていることを特徴とする、生化学検査システム。 - 請求項1に記載の生化学検査システムであって、
前記生化学検査装置のコンディションに関するデータが前記管理サーバに送信される時期は、前記生化学検査装置を利用して検体の生化学検査が実行される前であり、
前記管理サーバが、前記生化学検査装置の現在のコンディションが正常ではないと判断したときには、その内容および現在のコンディションを正常にするための操作内容の少なくとも一方を報知するためのデータが、前記生化学検査装置に送信される構成とされている、生化学検査システム。 - 請求項1または2に記載の生化学検査システムであって、
前記生化学検査装置は、検体に光を照射するための光源、この光源から発せられて前記検体を透過した光または前記検体により反射された光を受光してその受光量に対応した信号を出力する受光部、およびこの受光部から出力される信号のデータに基づいて前記検体中の特定成分の濃度演算処理を実行する濃度演算処理部を備えている、生化学検査システム。 - 請求項3に記載の生化学検査システムであって、
前記生化学検査装置においては、前記検体の生化学検査が開始される前には、前記検体に代えて、前記光源から発せられた光の進行路に予備検査用部材が配置され、かつこの予備検査用部材を透過し、または反射した光が前記受光部に受光される予備検査が実行され、
前記生化学検査装置のコンディションに関するデータとしては、前記予備検査において前記受光部から出力される信号のデータを含む予備検査データがあり、
前記管理サーバは、前記予備検査データを受信した際には、前記生化学検査装置の過去の予備検査データに基づいて、前記予備検査データが正常な範囲にあるか否かを判断するように構成されている、生化学検査システム。 - 請求項3または4に記載の生化学検査システムであって、
前記生化学検査装置は、カメラ付きの携帯型通信端末と、分析用補助装置と、を組み合わせて構成されており、
前記分析用補助装置は、前記携帯型通信端末を配置可能な通信端末配置部と、検体と試薬との呈色反応を生じさせるための分析用チップがセットされるチップ装着部とを備え、かつ前記チップ装着部には、このチップ装着部に前記分析用チップがセットされた状態において前記呈色反応が生じた部分に前記光源から光を照射して前記呈色反応部分の透過光または反射光を前記携帯型通信端末のカメラに入射させるための光通過部が設けられてお
り、
前記携帯型通信端末のカメラは、前記受光部として利用されており、
前記携帯型通信端末が具備するデータ処理部は、前記濃度演算処理部として利用され、前記呈色反応部分の透過光または反射光が前記光通過部を通過して前記カメラに入射した際には、前記カメラから出力される撮像画像信号のデータに基づいて前記濃度演算処理を実行可能とされている、生化学検査システム。
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