JP6307728B1 - 下肢装具用部品、下肢装具用靴、及び下肢装具 - Google Patents
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Abstract
【課題】靴のみを容易に交換することができるとともに靴の小型化及び軽量化を可能とすること。【解決手段】短下肢装具用部品30は、靴20と共に用いられて下腿部に装着されるものであり、板状の弾性体により一体に形成された支持部材31を備えている。支持部材31は、前後方向に延在し、靴底21の後側面に開口する凹部23に着脱自在に挿入される挿入部32、挿入部32に連なるとともに挿入部32が凹部23に挿入された状態において靴底21の外部に位置し、上側に向けて屈曲する屈曲部33、及び屈曲部33に連なるとともに上方に向けて延在する起立部34を有している。起立部34には、起立部34に下腿部を保持するベルト35が連結されている。【選択図】図1
Description
本発明は、靴と共に用いられて下肢に装着される下肢装具用部品、下肢装具用靴、及び下肢装具に関する。
脳障害に伴う痙性麻痺者などは、足関節(足首関節)を自己の意志で自由に動かすことが困難となることがある。こうした傷害を負った患者の場合、歩行のための補助具として下肢装具が一般に用いられている。こうした下肢装具には、重度の障害を負った患者のための装具であり大腿部から足底に及ぶ長下肢装具や、軽度の傷害を負った患者のための装具であり下腿部から足底に及ぶ短下肢装具がある。
従来、上記短下肢装具としては、合成樹脂製の板体により形成され、足の裏や後側を覆う靴べら型(シューホーン型)の装具が一般的である。使用者は、外出に際して、この装具を装着した上に専用の靴を履く(非特許文献1参照)。
また、あぶみ(足板)と称される金属板を靴底に固定するとともに同金属板の両側部にて立ち上げられた支持部の先端に金属製の支柱を接続し、同支柱を介して取り付けられたカフバンドを備えた短下肢装具(両側金属支柱付き短下肢装具)も用いられている(非特許文献1参照)。
また、上記両側金属支柱付き短下肢装具は、重く嵩張るため、炭素繊維強化プラスチックを使用した軽量な短下肢装具も販売されている(例えば非特許文献2参照)。この装具は、炭素繊維強化プラスチックからなり、足裏、踵後方、及び脹脛部分に沿った全体としてL字状をなす板体と、同板体の上下に延在する部分の上端部に固定され、下腿部を保持するプラスチック製のカバーと、同板体の足裏に対応する部分に固定され、足底に合わせて形成されたプラスチック製のカバーとを備えている。
渡邉英夫著「脳卒中の下肢装具」医学書院出版 2012年、シューホーン型短下肢装具(138頁)、両側金属支柱付き短下肢装具(164頁)
ottobock社「カーボン アンクル セブン」カタログ
ところで、前記靴べら型(シューホーン型)の短下肢装具の場合、装具を装着した上に靴を履くことになるため、健常者用の一般の靴よりも大きいサイズの専用の靴を履く必要がある。また、左右の下肢のうち傷害のない下肢についても左右のバランスを取るために傷害のある下肢と同様、専用の靴を履く必要がある。こうした専用の靴は、一般の靴よりも高価となる。そのため、使用目的に応じて複数の靴を使い分けることや、新しい靴に買い換えることなどが難しいという問題がある。
また、前記両側金属支柱付き短下肢装具の場合、あぶみ(足板)と称される金属板及びや金属製の支柱を備えているため、装具全体が大型化し、重くなるという問題がある。更に、この装具の場合、金属板が靴底に固定されており、金属板及び金属板の支持部に固定された金属製の支柱を靴に対して着脱することができない。そのため、使用目的に応じて靴を使い分けようとすれば、靴のみでなく、金属板及び金属製の支柱などが靴毎に必要となる。その結果、使用者の経済的負担が大きくなるという問題がある。
また、前記炭素繊維強化プラスチックからなるL字状の板体を備えた短下肢装具についても、板体とプラスチック製のカバーが固定されていることから、上記両側金属支柱付き短下肢装具と同様な問題がある。
本発明の目的は、靴のみを容易に交換することができるとともに靴の小型化及び軽量化を可能とした下肢装具用部品、下肢装具用靴、及び下肢装具を提供することにある。
上記課題を解決するための下肢装具用部品は、靴と共に用いられて下肢に装着される下肢装具用の部品であって、足のつま先側及び踵側をそれぞれ前側及び後側とするとき、板状の弾性体により一体に形成された部材であって、前後方向に延在し、靴底の後側面に開口する凹部に着脱自在に挿入される挿入部、前記挿入部に連なるとともに前記挿入部が前記凹部に挿入された状態において前記靴底の外部に位置し、上側に向けて屈曲する屈曲部、及び前記屈曲部に連なるとともに上方に向けて延在する起立部を有する支持部材と、前記起立部に連結されるとともに同起立部に下腿部を保持するベルトと、を備える。
上記下肢装具用部品及び靴により構成される下肢装具の使用に際して、使用者は、支持部材が装着された靴を履き、ベルトを締め付けることにより起立部に下腿部を保持する。このとき、支持部材の挿入部は靴底の凹部に挿入されており、起立部は、靴の後側から脹脛の後側にわたって位置している。そして、支持部材を介して靴底と下腿部とが支持されることにより、足関節の動きが制御される。
上記構成によれば、支持部材が板状の弾性体により一体に形成されており、靴底に対して着脱自在であるため、支持部材を靴から取り外し、同支持部材を他の靴に装着することが容易にできる。したがって、靴を容易に交換することができる。
また、上記構成によれば、例えば健常者用の一般の靴の靴底に凹部を形成して使用することができるため、靴の小型化及び軽量化が可能となる。
上記下肢装具用部品において、前記屈曲部の幅は、前記挿入部及び前記起立部における前記屈曲部に隣接する部分の幅よりも大きくされていることが好ましい。
上記下肢装具用部品において、前記屈曲部の幅は、前記挿入部及び前記起立部における前記屈曲部に隣接する部分の幅よりも大きくされていることが好ましい。
支持部材は、板状の弾性体により形成されているため、足関節の底屈動作(足先が垂れ下がる方向に曲げる動作)や、背屈動作(足先が持ち上がる方向に曲げる動作)を屈曲部の弾性復元力により補助する機能を有している。ここで、支持部材が弾性変形しにくいほど弾性復元力が大きくなり、底屈動作や背屈動作を補助する力が大きくなる。
上記構成によれば、屈曲部の幅が挿入部及び起立部における屈曲部に隣接する部分の幅よりも大きくされており、屈曲部の幅をトリミングすることの可能なトリミング代が予め確保されている。このため、トリミングにより支持部材の弾性、すなわち底屈動作や背屈動作を補助する力を容易に調整することができる。
特に、屈曲部の断面形状をフラットにすれば、トリミングされる幅と支持部材の弾性変形のしやすさとが略比例することから、トリミングにより支持部材の弾性変形のしやすさを直感的に調整することができる。
上記下肢装具用部品において、前記屈曲部は、前記挿入部よりも下方に向けて膨出した膨出部を有していることが好ましい。
屈曲部が挿入部に連なる部分からそのまま上側に向けて屈曲する形状の場合には、支持部材の弾性変形に起因して靴底の凹部に対して荷重が作用しやすく、凹部の内面に亀裂が生じやすい。
屈曲部が挿入部に連なる部分からそのまま上側に向けて屈曲する形状の場合には、支持部材の弾性変形に起因して靴底の凹部に対して荷重が作用しやすく、凹部の内面に亀裂が生じやすい。
この点、上記構成によれば、屈曲部が、挿入部よりも下方に向けて円弧状に膨出した膨出部を有していることから、屈曲部が挿入部に連なる部分からそのまま上側に向けて屈曲する形状の場合に比べて、凹部に対して作用する荷重を低減することができる。したがって、凹部の内面に亀裂が生じることを抑制できる。
上記下肢装具用部品において、前記起立部には、後側または前側に向けて突出した突条が形成されていることが好ましい。
同構成によれば、支持部材全体を厚さを薄くして軽量を図りつつ、起立部の剛性を高めることができる。このため、屈曲部の弾性変形を促しつつ、起立部については弾性変形を抑制することができる。
同構成によれば、支持部材全体を厚さを薄くして軽量を図りつつ、起立部の剛性を高めることができる。このため、屈曲部の弾性変形を促しつつ、起立部については弾性変形を抑制することができる。
上記下肢装具用部品において、前記起立部は前側に向けて屈曲する屈曲部分を有しており、前記ベルトは、前記屈曲部分に連結された下側ベルトと、前記起立部における前記屈曲部分よりも上側の部分に連結された上側ベルトとを含み、前記起立部における前記屈曲部分は同起立部における他の部分に比べて弾性変形しやすい形状を有している。
同構成によれば、足関節の底屈動作のときには、屈曲部分の弾性変形しやすい形状と下側ベルトとが作用することにより、起立部の屈曲部分が更に屈曲するように弾性変形し、起立部の上端部が脹脛の上部に追従して変位する。また、足関節の背屈動作のときには、脹脛と起立部とが接触し屈曲部分の弾性変形しやすい形状と同屈曲部分以外の他の部分の弾性変形しにくい形状とが作用することにより、起立部の屈曲部分が真っ直ぐに伸びるように弾性変形し、起立部の上端部が脹脛の上部に追従して変位するようになる。したがって、起立部の上部に設けられた上側ベルトが脹脛に対して上下動することが抑制されるようになり、ベルトによって脹脛が擦れることを抑制できる。
上記下肢装具用部品において、前記凹部に挿入して固定されるとともに前記支持部材の前記挿入部が挿入される挿入口を有する板状のソケットを備え、前記ソケットは、前記挿入部を係脱可能に係止する係止部を有していることが好ましい。
同構成によれば、靴底の凹部にソケットが挿入して固定されるとともに、ソケットの挿入口を通じて支持部材の挿入部が挿入される。このとき、ソケットの係止部によって挿入部が係脱可能に係止される。したがって、靴底からの支持部材の抜け出しを適切に阻止することができる。
また、上記課題を解決するための下肢装具用靴は、前記下肢装具用部品が装着されることで前記下肢装具用部品と共に前記下肢装具を構成する靴であって、後側面に前記凹部が開口する前記靴底を有している。
同構成によれば、前述した各効果に準じた効果を奏することができる。
また、上記課題を解決するための下肢装具は、前記下肢装具用部品と、後側面に前記凹部が開口する前記靴底を有し、前記下肢装具用部品が装着される靴と、を備え、前記ソケットの剛性は、前記支持部材の前記挿入部の剛性よりも低く、且つ前記凹部を有する前記靴底の剛性よりも高く設定されている。
また、上記課題を解決するための下肢装具は、前記下肢装具用部品と、後側面に前記凹部が開口する前記靴底を有し、前記下肢装具用部品が装着される靴と、を備え、前記ソケットの剛性は、前記支持部材の前記挿入部の剛性よりも低く、且つ前記凹部を有する前記靴底の剛性よりも高く設定されている。
同構成によれば、前述した各効果に準じた効果を奏することができる。
また、上記構成によれば、靴底、ソケット、及び支持部材の挿入部のそれぞれの間に作用する最大応力を低減することができる。したがって、凹部の内面に亀裂が生じることを抑制できる。
また、上記構成によれば、靴底、ソケット、及び支持部材の挿入部のそれぞれの間に作用する最大応力を低減することができる。したがって、凹部の内面に亀裂が生じることを抑制できる。
本発明によれば、靴のみを容易に交換することができるとともに靴の小型化及び軽量化を可能とすることができる。
<第1実施形態>
以下、図1〜図4を参照して、第1実施形態について説明する。なお、以降において、足92のつま先93側及び踵94側をそれぞれ前側及び後側として説明する。
以下、図1〜図4を参照して、第1実施形態について説明する。なお、以降において、足92のつま先93側及び踵94側をそれぞれ前側及び後側として説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の短下肢装具10は、靴20と、靴底21に着脱自在に装着される短下肢装具用部品30とを備えている。
靴20は、一般に市販されている健常者用のものであり、靴底21とアッパー29とを有している。靴底21には、合成ゴムなどにより形成され、耐久性に優れた厚手のアウトソール22が設けられている。アウトソール22には、後側面に開口するとともに前後方向に沿って延設された扁平な凹部23が形成されている。
靴20は、一般に市販されている健常者用のものであり、靴底21とアッパー29とを有している。靴底21には、合成ゴムなどにより形成され、耐久性に優れた厚手のアウトソール22が設けられている。アウトソール22には、後側面に開口するとともに前後方向に沿って延設された扁平な凹部23が形成されている。
短下肢装具用部品30は、板状の弾性体により一体に形成された支持部材31を備えている。
本実施形態の支持部材31は、軽量で強度の高い繊維強化プラスチック(FRP)により形成されている。この繊維強化プラスチックを構成するマトリクス樹脂としては、例えばPA66などのポリアミド系の熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂を用いた場合には、支持部材31の屈曲部33を加熱して型に押し当てることにより屈曲部33の角度を調整することができる。
本実施形態の支持部材31は、軽量で強度の高い繊維強化プラスチック(FRP)により形成されている。この繊維強化プラスチックを構成するマトリクス樹脂としては、例えばPA66などのポリアミド系の熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂を用いた場合には、支持部材31の屈曲部33を加熱して型に押し当てることにより屈曲部33の角度を調整することができる。
また、強化繊維としては、高い比強度及び比剛性を有する炭素繊維が好ましい。
本実施形態の支持部材31は、一定(例えば2mm)の厚さの炭素繊維強化プラスチック(CFRP、強化繊維は炭素繊維の連続織物、マトリクス樹脂はPA66)により形成されている。
本実施形態の支持部材31は、一定(例えば2mm)の厚さの炭素繊維強化プラスチック(CFRP、強化繊維は炭素繊維の連続織物、マトリクス樹脂はPA66)により形成されている。
図1〜図3に示すように、支持部材31は、前後方向に延在するとともに靴底21の凹部23に着脱自在に挿入される挿入部32、挿入部32に連なるとともに挿入部32が凹部23に挿入された状態において靴底21の外部に位置し、上側に向けて屈曲する屈曲部33、及び屈曲部33に連なるとともに上方に向けて延在する起立部34を有している。
図3(b)、図3(c)、及び図4(a)に示すように、挿入部32全体は、薄くて平らな断面形状を有している。本実施形態の挿入部32では、前後方向の長さが60mm、幅が30mm、厚さが2mmとされている。
支持部材31の材料として、例えば炭素繊維強化プラスチック(強化繊維は連続織物、マトリクス樹脂はPA66)を用いた場合には、幅30mm、厚さ2mm程度で短下肢装具10として十分な強度を有する。挿入部32は、薄くて平らな断面形状を有していることから、アウトソール22の凹部23に対して挿入部32を挿入しやすい。また、挿入部32が挿入されていることに起因して使用者が足裏に感じる硬さの違和感を軽減することができる。
図4(a)に示すように、挿入部32の側面321は円弧状をなしている。このように挿入部32の角が面取りされているため、挿入部32が当たることによってアウトソール22の凹部23の内面に亀裂が生じることを抑制できる。
図3(b)に示すように、起立部34は、上側ほど前側に位置するように傾斜して延在する部分と、同部分に連なるとともに上方に向けて延在する部分とを有している。
図4(b)に示すように、起立部34の幅方向の中央部分には、後側に向けて突出した突条341が上下方向全体にわたって形成されている。このように起立部34の断面を凸形状にすることにより、起立部34の断面係数を大きく、すなわち起立部34を弾性変形しにくくすることができる。
図4(b)に示すように、起立部34の幅方向の中央部分には、後側に向けて突出した突条341が上下方向全体にわたって形成されている。このように起立部34の断面を凸形状にすることにより、起立部34の断面係数を大きく、すなわち起立部34を弾性変形しにくくすることができる。
図1〜図3に示すように、起立部34の上端部には、幅方向の両側に向けて延出されるとともに脹脛95の形状に沿って湾曲した一対の延出部342が形成されている。一対の延出部342には、起立部34に下腿部を保持するためのベルト35が連結されている。
こうしたベルト35の材料としては、柔軟な布や皮、あるいは薄いプラスチックなどが好ましい。延出部342に対するベルト35の連結態様としては、スナップボタンや面ファスナーなどを用いることができる。
延出部342を含む起立部34の上端部の裏面には、ゴムや皮などの裏打ち材(図示略)が貼着されている。
図3(a)及び図3(c)に示すように、屈曲部33の幅は、挿入部32及び起立部34における屈曲部33に隣接する部分の幅(30mm)よりも大きくされている。本実施形態では、屈曲部33の最大幅が40mmに設定されている。
図3(a)及び図3(c)に示すように、屈曲部33の幅は、挿入部32及び起立部34における屈曲部33に隣接する部分の幅(30mm)よりも大きくされている。本実施形態では、屈曲部33の最大幅が40mmに設定されている。
図4(c)に示すように、屈曲部33は、薄くて平らな断面形状を有している。
次に、靴20のアウトソール22に凹部23を形成する加工方法の一例について説明する。
次に、靴20のアウトソール22に凹部23を形成する加工方法の一例について説明する。
図1に示すように、まず、電動ドリルのドリル刃により、アウトソール22の後側面から前後方向に沿って2つの長穴24を幅方向に間隔をおいて穿設する。本実施形態では、ドリル刃の直径は4mmとされ、2つの長穴24の中心間の距離は26mmとされ、2つの長穴24の深さは60mmとされている。
続いて、2つの長穴24の間の部分をカッターナイフで除去することにより、上記凹部23を形成する。凹部23のうち長穴24を除いた部分(中央部分)の高さは1mmとされている。
この場合、凹部23の内側面が半径2mmの円弧状となるため、支持部材31の挿入部32がアウトソール22の凹部23の内面に対して与える応力が分散されやすくなり、凹部23の内面に亀裂が生じることを抑制できる。
凹部23のうち長穴24を除いた部分(中央部分)の高さが1mmとされており、支持部材31の挿入部32の厚さ(2mm)よりも小さい。凹部23の幅及び奥行きは、挿入部32の幅及び前後方向の長さと同一である。したがって、挿入部32は凹部23に圧入されることとなり、挿入部32が凹部23内においてずれたり、凹部23から抜け出したりすることを適切に阻止できる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図2に示すように、短下肢装具用部品30及び靴20により構成される短下肢装具10の使用に際して、使用者は、支持部材31が装着された靴20を履き、ベルト35を締め付けることにより起立部34に下腿部を保持する。このとき、支持部材31の挿入部32は靴底21の凹部23に挿入されており、起立部34は、靴20の後側から脹脛95の後側にわたって位置している。このため、支持部材31を介して靴20と脹脛95とが支持されることにより、歩行を困難にしている足関節91の動きが制御される。
図2に示すように、短下肢装具用部品30及び靴20により構成される短下肢装具10の使用に際して、使用者は、支持部材31が装着された靴20を履き、ベルト35を締め付けることにより起立部34に下腿部を保持する。このとき、支持部材31の挿入部32は靴底21の凹部23に挿入されており、起立部34は、靴20の後側から脹脛95の後側にわたって位置している。このため、支持部材31を介して靴20と脹脛95とが支持されることにより、歩行を困難にしている足関節91の動きが制御される。
以上説明した本実施形態に係る下肢装具用部品、下肢装具用靴、及び下肢装具によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)短下肢装具用部品30は、靴20と共に用いられて下腿部に装着されるものであり、板状の弾性体により一体に形成された支持部材31を備えている。支持部材31は、前後方向に延在し、靴底21の後側面に開口する凹部23に着脱自在に挿入される挿入部32、挿入部32に連なるとともに挿入部32が凹部23に挿入された状態において靴底21の外部に位置し、上側に向けて屈曲する屈曲部33、及び屈曲部33に連なるとともに上方に向けて延在する起立部34を有している。起立部34には、起立部34に下腿部を保持するベルト35が連結されている。
(1)短下肢装具用部品30は、靴20と共に用いられて下腿部に装着されるものであり、板状の弾性体により一体に形成された支持部材31を備えている。支持部材31は、前後方向に延在し、靴底21の後側面に開口する凹部23に着脱自在に挿入される挿入部32、挿入部32に連なるとともに挿入部32が凹部23に挿入された状態において靴底21の外部に位置し、上側に向けて屈曲する屈曲部33、及び屈曲部33に連なるとともに上方に向けて延在する起立部34を有している。起立部34には、起立部34に下腿部を保持するベルト35が連結されている。
こうした構成によれば、支持部材31が板状の弾性体により一体に形成されており、靴底21に対して着脱自在であるため、支持部材31を靴20から取り外し、同支持部材31を他の靴に装着することが容易にできる。したがって、靴20を容易に交換することができる。
また、上記構成によれば、例えば健常者用の一般の靴の靴底21に凹部23を形成して使用することができるため、靴20の小型化及び軽量化が可能となる。したがって、歩行時の負担を軽減することができる。
また、使用者の傷害の度合などに応じて短下肢装具用部品30を靴20に装着したり、靴20から取り外したりすることができる。このため、短下肢装具10に頼りすぎないリハビリテーションなど、使用者の傷害の度合に応じて短下肢装具10の使い方を変更することができる。
(2)屈曲部33の幅は、挿入部32及び起立部34における屈曲部33に隣接する部分の幅よりも大きくされている。
支持部材31は、板状の弾性体により形成されているため、足関節91の底屈動作(足先が垂れ下がる方向に曲げる動作)や、背屈動作(足先が持ち上がる方向に曲げる動作)を屈曲部33の弾性復元力により補助する機能を有している。ここで、支持部材31が弾性変形しにくいほど弾性復元力が大きくなり、底屈動作や背屈動作を補助する力が大きくなる。
支持部材31は、板状の弾性体により形成されているため、足関節91の底屈動作(足先が垂れ下がる方向に曲げる動作)や、背屈動作(足先が持ち上がる方向に曲げる動作)を屈曲部33の弾性復元力により補助する機能を有している。ここで、支持部材31が弾性変形しにくいほど弾性復元力が大きくなり、底屈動作や背屈動作を補助する力が大きくなる。
上記構成によれば、屈曲部33の幅が挿入部32及び起立部34における屈曲部33に隣接する部分の幅よりも大きくされており、屈曲部33の幅をトリミングすることの可能なトリミング代が予め確保されている。このため、トリミングにより支持部材31の弾性、すなわち底屈動作や背屈動作を補助する力を容易に調整することができる。
特に、屈曲部33には突条が形成されておらず、屈曲部33の断面形状が薄くて平らであるため、トリミングされる幅と支持部材31の弾性変形のしやすさとが略比例する。したがって、トリミングにより支持部材31の弾性変形のしやすさを直感的に調整することができる。
(3)起立部34には、後側に向けて突出した突条341が形成されている。
こうした構成によれば、支持部材31全体の厚さを薄くして軽量を図りつつ、起立部34の剛性を高めることができる。このため、屈曲部33の弾性変形を促しつつ、起立部34については弾性変形を抑制することができる。
こうした構成によれば、支持部材31全体の厚さを薄くして軽量を図りつつ、起立部34の剛性を高めることができる。このため、屈曲部33の弾性変形を促しつつ、起立部34については弾性変形を抑制することができる。
<第2実施形態>
以下、図5〜図12を参照して、第2実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態の構成と同一または対応する構成については、第1実施形態の符号に対して「40」を加算した符号を付することにより重複する説明を省略している。
以下、図5〜図12を参照して、第2実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態の構成と同一または対応する構成については、第1実施形態の符号に対して「40」を加算した符号を付することにより重複する説明を省略している。
図9(a)〜図9(c)に示すように、靴60の靴底61は、地面に近い方から順に、アウトソール62、ミッドソール63、中底ボード65、及びインソール66を積層して形成されている。アウトソール62は、地面に接する部位であるため、合成ゴムなどの耐久性の高い材料により形成されている。ミッドソール63は、足底への衝撃を緩和するために、発泡ポリウレタンやEVA(エチレン酢酸ビニル)などの軽くて変形しやすい材料により形成されている。また、インソール66は、中底ボード65に対して着脱可能に構成されている。
図5、図9(a)に示すように、ミッドソール63には、後側面に開口するとともに前後方向に沿って延設された扁平な凹部64が形成されている。本実施形態の凹部64では、奥行きが60mmとされ、幅が33mmとされ、高さが5mmとされている。また、凹部64の幅方向の両内面は、半径2.5mmの円弧状をなしている。
図5及び図6に示すように、短下肢装具用部品70は、上記凹部64に挿入して固定される板状のソケット77を備えている。ソケット77は、後側面に開口するとともに前後方向に沿って延設され、支持部材71の挿入部72が着脱自在に挿入される扁平な挿入口771を有している。ソケット77は、凹部64に対応した寸法を有している。すなわち、ソケット77の幅方向の両側面は、凹部64の両内面に対応した円弧状をなしている。これにより、凹部64の内面に亀裂が生じることを抑制できる。
図10(a)及び図10(b)に示すように、ソケット77の下壁773には、コ字状の切欠774が形成されている。切欠774は、幅方向に間隔をおいて前後方向に沿って延在する一対の部分と、これら一対の部分の前端部を繋ぐ部分とからなる。下壁773のうち切欠774によって囲まれた部分により、変形許容部775が形成される。変形許容部775の先端部(前端部)には、前側ほど上側に位置するように傾斜した直径10mmの円形状の係止部776が上側に向けて突設されている。
図10(a)に示すように、ソケット77の上壁772における上記係止部776の直上には、直径5mmの貫通孔777が形成されている。
図9(b)及び図9(c)に示すように、靴60のミッドソール63及び中底ボード65における上記貫通孔777の直上には、操作孔67が貫通して形成されている。
図9(b)及び図9(c)に示すように、靴60のミッドソール63及び中底ボード65における上記貫通孔777の直上には、操作孔67が貫通して形成されている。
ソケット77の外面に接着剤を塗布した後、凹部64に挿入することにより、ミッドソール63の凹部64に対してソケット77が固定される。
ソケット77の剛性は、支持部材71の挿入部72の剛性よりも低く、且つ凹部64を有する靴底61(この場合、ミッドソール63)の剛性よりも高く設定されている。これにより、ミッドソール63、ソケット77、及び支持部材71の挿入部72のそれぞれの間に作用する最大応力を低減することができ、凹部64の内面に亀裂が生じることを抑制できる。
ソケット77の剛性は、支持部材71の挿入部72の剛性よりも低く、且つ凹部64を有する靴底61(この場合、ミッドソール63)の剛性よりも高く設定されている。これにより、ミッドソール63、ソケット77、及び支持部材71の挿入部72のそれぞれの間に作用する最大応力を低減することができ、凹部64の内面に亀裂が生じることを抑制できる。
本実施形態では、ミッドソール63がEVA(エチレン酢酸ビニル)により形成され、支持部材71が炭素繊維強化プラスチック(強化繊維は連続織物、マトリクス樹脂はPA66)であり、ソケット77はPP(ポリプロピレン)により形成されている。
図5〜図7に示すように、支持部材71は、挿入部72、屈曲部73、及び起立部74を有している。
図7(b)、図7(c)、及び図8(a)に示すように、挿入部72全体は、第1実施形態と同様にして、薄くて平らな断面形状を有している。このため、挿入部72が挿入されるソケット77の厚さも薄くすることができ、使用者が足裏に感じる硬さの違和感を軽減することができる。
図7(b)、図7(c)、及び図8(a)に示すように、挿入部72全体は、第1実施形態と同様にして、薄くて平らな断面形状を有している。このため、挿入部72が挿入されるソケット77の厚さも薄くすることができ、使用者が足裏に感じる硬さの違和感を軽減することができる。
図8(a)に示すように、挿入部72の側面721は円弧状をなしている。このように挿入部72の角が面取りされているため、挿入部72が当たることによってソケット77の内面に亀裂が生じることを抑制できる。
図5、図7(c)、図9(b)、及び図9(c)に示すように、本実施形態の挿入部72の前端部には、前述したソケット77の係止部776が係止される係止孔722が上下に貫通して形成されている。係止孔722の直径は係止部776の直径である10mmよりも僅かに大きく設定されている。
図5、図6、及び図7(b)に示すように、起立部74は、前側に向けて屈曲する屈曲部分742を有している。上記屈曲部分742は、起立部74のうち屈曲部73に連なるとともに上側ほど前側に位置するように上下方向に対して30度ほど傾斜して延在する部分と、上下に延在するとともに脹脛95の上部に対向する部分との間に設けられている。
図5、図6、7(a)、及び7(c)に示すように、上記屈曲部分742の幅は、同屈曲部分742に隣接する他の部分の幅に比べて大きくされている。屈曲部分742の幅は、例えば40mmに設定されている。
屈曲部分742には、下腿部のうち脹脛95の下部に対応する部位を起立部74に保持するための下側ベルト75が連結されている。
起立部74の上端部には、幅方向の両側に向けて延出されるとともに脹脛95の形状に沿って湾曲した一対の延出部743が形成されている。一対の延出部743には、下腿部のうち脹脛95の上部に対応する部位を起立部74に保持するための上側ベルト76が連結されている。
起立部74の上端部には、幅方向の両側に向けて延出されるとともに脹脛95の形状に沿って湾曲した一対の延出部743が形成されている。一対の延出部743には、下腿部のうち脹脛95の上部に対応する部位を起立部74に保持するための上側ベルト76が連結されている。
ベルト75,76は、第1実施形態のベルト35と同様な構成を有している。また、屈曲部分742の裏面や、延出部743を含む上端部の裏面には、第1実施形態と同様にして裏打ち材(図示略)が貼着されている。
図8(b)に示すように、起立部74のうち上記屈曲部分742を除いた部分の幅方向の中央部分には、後側に向けて突出した突条741が形成されている。
図8(c)に示すように、上記屈曲部分742は、薄くて平らな断面形状を有している。したがって、起立部74における屈曲部分742は同起立部74における他の部分に比べて弾性変形しやすい形状を有している。
図8(c)に示すように、上記屈曲部分742は、薄くて平らな断面形状を有している。したがって、起立部74における屈曲部分742は同起立部74における他の部分に比べて弾性変形しやすい形状を有している。
図5、図6、7(b)及び図7(c)に示すように、屈曲部73には、挿入部72よりも下方に向けて半径10mm程度の円弧状に膨出した膨出部731が形成されている。なお、屈曲部73の最大幅は、例えば40mmに設定されている。
図8(d)に示すように、屈曲部73は、薄くて平らな断面形状を有している。
図9(c)に示すように、靴60に対して支持部材71を装着する際、支持部材71の挿入部72をソケット77の挿入口771に挿入していくと、挿入部72の先端によりソケット77の係止部776が押し下げられることで挿入口771の奥まで到達する。このとき、ソケット77の係止部776が復元力により押し上がることで挿入部72の係止孔722に係止される。
図9(c)に示すように、靴60に対して支持部材71を装着する際、支持部材71の挿入部72をソケット77の挿入口771に挿入していくと、挿入部72の先端によりソケット77の係止部776が押し下げられることで挿入口771の奥まで到達する。このとき、ソケット77の係止部776が復元力により押し上がることで挿入部72の係止孔722に係止される。
一方、靴60から支持部材71を取り外す際には、靴60のインソール66を取り外し、続いて、中底ボード65及びミッドソール63の操作孔67、並びにソケット77の貫通孔777にピン形状の治具(図示略)を挿入する。この治具によってソケット77の係止部776を押し下げることで挿入部72の係止孔722とソケット77の係止部776との係止状態が解除され、挿入部72をソケット77から引き抜くことができる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図11は、本実施形態の短下肢装具50を装着した際に、使用者が底屈方向(足先が垂れ下がる方向)及び背屈方向(足先が持ち上がる方向)に足関節91を動かした場合の、下腿部と支持部材71との位置関係を示している。なお、同図では、靴60及びベルト75,76が省略されている。
図11は、本実施形態の短下肢装具50を装着した際に、使用者が底屈方向(足先が垂れ下がる方向)及び背屈方向(足先が持ち上がる方向)に足関節91を動かした場合の、下腿部と支持部材71との位置関係を示している。なお、同図では、靴60及びベルト75,76が省略されている。
図11に示すように、足関節91と、支持部材71の回転中心78とが異なるものの、足関節91の底屈動作のときには、屈曲部分742の弾性変形しやすい形状と下側ベルト75とが作用することにより、起立部74の屈曲部分742が弾性変形して更に大きく屈曲し、起立部74の上端部が脹脛95の上部に追従して変位する。
また、足関節91の背屈動作のときには、脹脛95と起立部74とが接触し屈曲部分742の弾性変形しやすい形状と同屈曲部分742以外の他の部分の弾性変形しにくい形状とが作用することにより、屈曲部分742が真っ直ぐに伸びるように弾性変形し、起立部74の上端部が脹脛95の上部に追従して変位するようになる。
したがって、起立部74の上部に設けられた上側ベルト76が脹脛95に対して上下動することが抑制されるようになり、上側ベルト76によって脹脛95が擦れることを抑制できる。
これに対して、図12に示すように、上記屈曲部分742を有していない比較例の支持部材81の場合、足関節91と、支持部材81の回転中心88とが異なる。そのため、足関節91が底屈動作や背屈動作をすると、支持部材81の起立部84の上端部が脹脛95の上部に対して上下動してずれP,Qが生じることとなり、同上端部に設けられたベルトによって脹脛95が擦れることとなる。
以上説明した本実施形態に係る下肢装具用部品、下肢装具用靴、及び下肢装具によれば、第1実施形態の効果(1)〜(3)に加えて、新たに以下に示す効果が得られるようになる。
(4)起立部74は前側に向けて屈曲する屈曲部分742を有している。屈曲部分742には下側ベルト75が連結されており、起立部74における屈曲部分742よりも上側の部分には、上側ベルト76が連結されている。起立部74における屈曲部分742は同起立部74における他の部分に比べて弾性変形しやすい形状を有している。
こうした構成によれば、上記作用を奏することから、上側ベルト76と上側ベルト76で保持している下腿部の位置とを歩行時に一致させることができ、擦れることなく快適に歩行することができる。
(5)屈曲部73は、挿入部72よりも下方に向けて円弧状に膨出した膨出部731を有している。
第1実施形態のように屈曲部33が挿入部32に連なる部分からそのまま上側に向けて屈曲する形状の場合には、支持部材31の弾性変形に起因して靴底21の凹部23に対して上方への荷重が作用しやすく、凹部23の内面に亀裂が生じやすい。
第1実施形態のように屈曲部33が挿入部32に連なる部分からそのまま上側に向けて屈曲する形状の場合には、支持部材31の弾性変形に起因して靴底21の凹部23に対して上方への荷重が作用しやすく、凹部23の内面に亀裂が生じやすい。
この点、上記構成によれば、屈曲部73が、挿入部72よりも下方に向けて円弧状に膨出した膨出部731を有していることから、第1実施形態のように屈曲部33が挿入部32に連なる部分からそのまま上側に向けて屈曲する形状の場合に比べて、凹部64に対して作用する荷重を低減することができる。したがって、凹部64の内面に亀裂が生じることを抑制できる。
(6)短下肢装具用部品70は、凹部64に挿入して固定されるとともに支持部材71の挿入部72が挿入される挿入口771を有するソケット77を備えている。ソケット77は、挿入部72を係脱可能に係止する係止部776を有している、こうした構成によれば、靴底61の凹部64にソケット77が挿入して固定されるとともに、ソケット77の挿入口771を通じて支持部材71の挿入部72が挿入される。このとき、ソケット77の係止部776によって挿入部72が係脱可能に係止される。したがって、靴底61からの挿入部72の抜け出しを適切に阻止することができる。
(7)短下肢装具50は、凹部64を有する靴底61を有し、短下肢装具用部品70が装着される靴60とを備えている。ソケット77の剛性は、支持部材71の挿入部72の剛性よりも低く、且つ凹部64を有する靴底61の剛性よりも高く設定されている。
こうした構成によれば、靴底61、ソケット77、及び支持部材71の挿入部72のそれぞれの間に作用する最大応力を低減することができる。したがって、凹部64の内面に亀裂が生じることを抑制できる。
(8)起立部74における屈曲部分742の幅は、同屈曲部分742に隣接する他の部分の幅に比べて大きくされている。
こうした構成によれば、屈曲部分742の幅をトリミングすることの可能なトリミング代が予め確保されている。このため、トリミングにより屈曲部分742の弾性変形のしやすさを容易に調整することができる。
こうした構成によれば、屈曲部分742の幅をトリミングすることの可能なトリミング代が予め確保されている。このため、トリミングにより屈曲部分742の弾性変形のしやすさを容易に調整することができる。
特に、屈曲部分742には突条が形成されておらず、屈曲部分742の断面形状は薄くて平らであるため、トリミングされる幅と屈曲部分742の弾性変形のしやすさとが略比例する。したがって、トリミングにより屈曲部分742の弾性変形のしやすさを直感的に調整することができる。
<変形例>
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第1実施形態において、短下肢装具用部品30を取り外して靴20のみを使用する場合、凹部23内に異物が入り込むことを阻止するために、挿入部32と同一の形状を有するスペーサ(図示略)を凹部23に挿入しておくことが好ましい。また、第2実施形態においても同様である。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第1実施形態において、短下肢装具用部品30を取り外して靴20のみを使用する場合、凹部23内に異物が入り込むことを阻止するために、挿入部32と同一の形状を有するスペーサ(図示略)を凹部23に挿入しておくことが好ましい。また、第2実施形態においても同様である。
・第1実施形態において、凹部23の内面が磨耗して支持部材31が抜け出しやすくなった場合には、靴底21及び挿入部32に同軸上の貫通孔を上下に穿設し、ボルト及びナットなどの締結部材を用いて締結することもできる。
・支持部材31,71を形成する炭素繊維強化プラスチックの繊維形態をランダム方向の短繊維に変更することもできる。
・繊維強化プラスチックの強化繊維をガラス繊維やアラミド繊維などに変更することもできる。
・繊維強化プラスチックの強化繊維をガラス繊維やアラミド繊維などに変更することもできる。
・繊維強化プラスチックを構成するマトリクス樹脂を熱硬化性樹脂に変更することもできる。
・例えば第1実施形態において、使用者によっては支持部材31の剛性がそれほど必要ではないことがある。この場合には、起立部34の突条341を省略し、平らな断面形状にすることもできる。また、第2実施形態についても同様である。
・例えば第1実施形態において、使用者によっては支持部材31の剛性がそれほど必要ではないことがある。この場合には、起立部34の突条341を省略し、平らな断面形状にすることもできる。また、第2実施形態についても同様である。
・第1実施形態の屈曲部33に対して、第2実施形態の屈曲部73のような膨出部731を適用することもできる。
・第1実施形態において、屈曲部33の幅を挿入部32及び起立部34と同様に30mmにすることもできる。
・第1実施形態において、屈曲部33の幅を挿入部32及び起立部34と同様に30mmにすることもできる。
・支持部材は板状の弾性体により一体に形成されているものであればよく、プラスチックや、アルミニウム、ばね鋼、チタンなどの強化繊維プラスチック以外の材料によって形成することができる。
・本発明を長下肢装具に対して適用することもできる。
10…短下肢装具、20…靴、21…靴底、22…アウトソール、23…凹部、24…長穴、29…アッパー、30…短下肢装具用部品、31…支持部材、32…挿入部、321…側面、33…屈曲部、34…起立部、341…突条、342…延出部、35…ベルト、50…短下肢装具、60…靴、61…靴底、62…アウトソール、63…ミッドソール、64…凹部、65…中底ボード、66…インソール、67…操作孔、69…アッパー、70…短下肢装具用部品、71…支持部材、72…挿入部、721…側面、722…係止孔、73…屈曲部、731…膨出部、74…起立部、741…突条、742…屈曲部分、743…延出部、75…下側ベルト、76…上側ベルト、77…ソケット、771…挿入口、772…上壁、773…下壁、774…切欠、775…変位許容部、776…係止部、777…貫通孔、78…回転中心、81…支持部材、84…起立部、88…回転中心、91…足関節、92…足、93…つま先、94…踵、95…脹脛。
Claims (7)
- 靴と共に用いられて下肢に装着される下肢装具用の部品であって、
足のつま先側及び踵側をそれぞれ前側及び後側とするとき、
板状の弾性体により一体に形成された部材であって、前後方向に延在し、靴底の後側面に開口する凹部に着脱自在に挿入される挿入部、前記挿入部に連なるとともに前記挿入部が前記凹部に挿入された状態において前記靴底の外部に位置し、上側に向けて屈曲する屈曲部、及び前記屈曲部に連なるとともに上方に向けて延在する起立部を有する支持部材と、
前記起立部に連結されるとともに同起立部に下腿部を保持するベルトと、
前記凹部に挿入して固定されるとともに前記支持部材の前記挿入部が挿入される挿入口を有する板状のソケットと、を備え、
前記ソケットは、前記挿入部を係脱可能に係止する係止部を有している、
下肢装具用部品。 - 前記屈曲部の幅は、前記挿入部及び前記起立部における前記屈曲部に隣接する部分の幅よりも大きくされている、
請求項1に記載の下肢装具用部品。 - 前記屈曲部は、前記挿入部よりも下方に向けて膨出した膨出部を有している、
請求項1または請求項2に記載の下肢装具用部品。 - 前記起立部には、後側または前側に向けて突出した突条が形成されている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の下肢装具用部品。 - 前記起立部は前側に向けて屈曲する屈曲部分を有しており、
前記ベルトは、前記屈曲部分に連結された下側ベルトと、前記起立部における前記屈曲部分よりも上側の部分に連結された上側ベルトとを含み、
前記起立部における前記屈曲部分は同起立部における他の部分に比べて弾性変形しやすい形状を有している、
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の下肢装具用部品。 - 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の下肢装具用部品が装着されることで前記下肢装具用部品と共に前記下肢装具を構成する靴であって、
後側面に前記凹部が開口する前記靴底を有している、
下肢装具用靴。 - 請求項5に記載の下肢装具用部品と、
後側面に前記凹部が開口する前記靴底を有し、前記下肢装具用部品が装着される靴と、を備え、
前記ソケットの剛性は、前記支持部材の前記挿入部の剛性よりも低く、且つ前記凹部を有する前記靴底の剛性よりも高く設定されている、
下肢装具。
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US20040186401A1 (en) * | 2001-05-31 | 2004-09-23 | Norbert Guenther | Lower leg orthosis |
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