JP6307190B2 - 阻害性オリゴヌクレオチド及びその使用 - Google Patents

阻害性オリゴヌクレオチド及びその使用 Download PDF

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Description

本発明は、オリゴヌクレオチド、及び、オリゴヌクレオチドを用いる、免疫介在性の障害を治療するための治療薬に関するものである。免疫介在性の障害には、自己免疫疾患、移植片拒絶、過敏症、自己抗原や微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患、及びToll様受容体(TLR)介在性の疾患が含まれる。
免疫系は、ヒトの身体を、細菌感染、寄生生物感染、真菌感染、ウイルス感染から、及び腫瘍細胞の成長から防御する。免疫は、自然免疫として、又は適応免疫として分類することができる。自然免疫応答は、典型的には、感染性疾患に対する早期の障壁をもたらすために、感染するとすぐに生じ、一方、適応免疫応答は、抗原特異的な長期の防御免疫の発生を伴って、後に生ずる。
しかし、免疫応答は、ときに望ましくないものであり得、免疫介在性の障害を生じさせ得る。障害には、自己免疫疾患、移植片拒絶、過敏症、微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患、及びToll様受容体(TLR)介在性の疾患が含まれる。自己免疫疾患は、内因性の及び/又は外因性の抗原に対する適応免疫応答又は自然免疫応答又はその両方の結果生じる。細菌、寄生生物、真菌、又はウイルスに由来する異物は、自己タンパク質を模倣し、免疫系を刺激して、自己細胞及び自己組織に対する応答を開始させ得、その結果、限定はしないが全身性エリテマトーデス(SLE)及び関節リウマチを含む疾患を生じさせる。移植片拒絶は、移植された臓器/組織に対する移植レシピエント(宿主)における免疫応答によって生じる、臓器又は組織の移植の結果である。対象に、腎臓、膵臓、心臓、肺、骨髄、角膜、及び皮膚を含む移植片を移植すると、対象は、移植片に対する免疫応答(拒絶)を開始させ得る。過敏症は、有害な影響を有する不適切な免疫応答であり、かなりの組織ダメージ又は死亡さえももたらす。過敏症は、4つのタイプ(例えば、I型、II型、III型、及びIV型)に分けられる。微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患は、インフルエンザウイルス及び他のウイルスなどの微生物の感染によって引き起こされる。インフルエンザウイルス及びグラム陰性細菌の感染のケースでは、侵入生物に対する過剰な免疫応答は、患者における致命的な要因となると思われる。この応答は、サイトカインの過剰産生によって特徴付けられる。敗血性ショック症候群の研究によって、サイトカインの過剰産生/異常産生が、サイトカイン介在性の致死的ショックに起因して、急速な死亡をもたらし得ることが実証されている(Slifka MK,et al.J Mol Med.2000;78(2):74〜80)。グラム陰性菌の感染に続く敗血性ショックは、重症の患者における死亡の一番の原因である。サイトカインの過大な産生は、サイトカイン介在性の致死的ショックによって特徴付けられる敗血症の一因となることが知られている(Espat NJ,et al.J Surg Res.1995 Jul;59(1):153〜8)。多臓器不全症候群(MODS)は、重症の敗血症及びショックにおける罹患及び死亡の主要な原因である。宿主サイトカインの過剰産生の結果生じるサイトカイン介在性の致死的ショックは、MODSをもたらす主なメカニズムであると考えられる(Wang H,et al.Am J Emerg Med.2008 Jul;26(6):711〜5)。Toll様受容体(TLR)介在性の疾患は、Toll様受容体(TLR)の活性化によって生じる障害である。
TLRは、微生物に由来する分子構造(病原体関連分子パターン、すなわちPAMP)を認識する受容体のファミリーである。TLRを発現する免疫細胞は、PAMPが結合すると活性化される。TLRは、様々な病原体由来生成物を認識し、活性化される。TLR4によって認識される細菌のリポ多糖(LPS)、TLR2−TLR6ダイマーによって認識されるリポテイコ酸及びジアシル化リポペプチド、TLR2−TLR1ダイマーによって認識されるトリアシル化リポペプチド、TLR9によって認識されるウイルス又は細菌のいずれかから合成されるか又は由来するCpG含有オリゴヌクレオチド(CpG ODN)、TLR5によって認識される細菌フラジェリン、TLR2−TLR6ダイマーによって認識されるザイモサン、TLR4によって認識される呼吸器合胞体ウイルス(RSV)由来のFタンパク質、TLR3によって認識されるウイルス由来の二本鎖RNA(dsRNA)及びdsRNAの合成類似体であるポリI:C、TLR9によって認識されるウイルスDNA、TLR7及びTLR8によって認識される一本鎖ウイルスRNA(VSV及びインフルエンザウイルス)、及びイミダゾキノロンやイミキモドなどの合成グアノシン類似体(Foo Y.Liew,et al.Nature Reviews Immunology.Vol 5,June 2005,446〜458)が挙げられる。
近年、TLRの活性化は、敗血症、拡張型心筋症、糖尿病、実験的自己免疫性脳脊髄炎、全身性エリテマトーデス、アテローム性動脈硬化症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、及び臓器不全を含む疾患のうちのいくつかの発病に関連付けられている(Foo Y.Liew,et al.Nature Review Immunology,Vol 5,2005,446〜458)。自己DNAによるTLR9の活性化は、乾癬(Gilliet M,et al.Nat.Rev.Immunol.2008,594〜606)、SLE(Christensen SR,et al.Immunity 2006;25:417〜28;Barrat FJ,et al.J Exp Med 2005;202:1131〜9;Wellmann U,et al.Proc Natl Acad Sci USA 2005;102:9258〜63)、及び関節リウマチ(Leadbetter EA,et al.Nature 2002;416:603〜7;Boule MW,et al.J Exp Med 2004;199:1631〜40)などの自己免疫疾患の発症において重要な役割を有する。
TLR9アゴニストが自然免疫応答及び適応免疫応答の両方を活性化することが記載されている(Arthur M.Krieg.Nature Reviews Drug Discovery,Vol 5.June 2006,471〜484)。ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcct−3’を有するオリゴヌクレオチドが、TLR9アゴニストによって誘導されるヒト末梢血単核球(PBMC)の増殖及びIFNの産生を抑制することが記載された(US8030289B2)。
本明細書において引用される参考文献は、特許請求の範囲に記載の発明に対する先行技術であるとは認められない。
米国特許公報8030289B2号
Slifka MK,et al.J Mol Med.2000;78(2):74〜80 Espat NJ,et al.J Surg Res.1995 Jul;59(1):153〜8 Wang H,et al.Am J Emerg Med.2008 Jul;26(6):711〜5 Foo Y.Liew,et al.Nature Reviews Immunology.Vol 5,June 2005,446〜458 Gilliet M,et al.Nat.Rev.Immunol.2008,594〜606 Christensen SR,et al.Immunity 2006;25:417〜28 Barrat FJ,et al.J Exp Med 2005;202:1131〜9 Wellmann U,et al.Proc Natl Acad Sci USA 2005;102:9258〜63 Leadbetter EA,et al.Nature 2002;416:603〜7 Boule MW,et al.J Exp Med 2004;199:1631〜40 Arthur M.Krieg.Nature Reviews Drug Discovery,Vol 5.June 2006,471〜484
本発明は、式(CCT)nCmを有するオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを提供し、式中、nは6から16までの整数であり、mは0、1、又は2であり、但しnが8である場合、mは1又は2である。
第1の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctc−3’(配列番号1)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcc−3’(配列番号2)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcct−3’(配列番号3)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctc−3’(配列番号4)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcc−3’(配列番号5)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcct−3’(配列番号6)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctc−3’(配列番号7)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcc−3’(配列番号8)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcct−3’(配列番号9)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctc−3’(配列番号10)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcc−3’(配列番号11)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcct−3’(配列番号12)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcct−3’(配列番号13)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcct−3’(配列番号14)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcct−3’(配列番号15)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、ヌクレオチド配列5’−cctcctcctcctcctcctcct−3’(配列番号16)を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
別の実施形態において、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドを用いる、免疫介在性の障害を治療するための治療薬を提供する。免疫介在性の障害には、自己免疫疾患、移植片拒絶、過敏症、自己抗原や微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患、及びToll様受容体(TLR)介在性の疾患が含まれる。
別の実施形態において、本発明は、DNAウイルス、RNAウイルス、及びSLE患者の血清などのTLRアゴニストによって誘導されるTLRの活性化及びIFNの産生を阻害することによる、本発明のオリゴヌクレオチドを用いる免疫介在性の障害を治療するための治療薬を提供する。
別の実施形態において、本発明は、炎症性サイトカインの産生を阻害することによる、及びサイトカイン介在性の致死的ショックから対象を救うことによる、本発明のオリゴヌクレオチドを用いる免疫介在性の障害を治療するための治療薬を提供する。
別の実施形態において、本発明は、TLRの刺激によって誘導されるNF−κΒの活性化を阻害することによる、本発明のオリゴヌクレオチドを用いる免疫介在性の障害を治療するための治療薬を提供する。
別の実施形態において、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドを用いる、対象におけるSLE、敗血症、及び多臓器不全症候群を治療するための治療薬を提供する。
別の実施形態において、本発明は、個体における免疫応答を調節するために十分な量の免疫刺激化合物を前記個体に投与することを含む、個体における免疫応答を調節する方法を提供する。本発明の方法に従った免疫調節は、免疫応答の望ましくない活性化に関連する障害に罹患した個体を含む個体で行うことができる。
別の実施形態において、本発明は、個体におけるTLR9依存性のサイトカインの産生を抑制するために、十分な量の免疫刺激化合物を前記個体に投与することを含む、個体におけるTLR9依存性の免疫応答を阻害する方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、個体におけるTLR7/8依存性のサイトカインの産生を抑制するために、十分な量の免疫刺激化合物を前記個体に投与することを含む、個体におけるTLR7/8依存性の免疫応答を阻害する方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、個体におけるNF−κΒ依存性のサイトカインの産生を抑制するために、十分な量の免疫刺激化合物を前記個体に投与することを含む、個体におけるNF−κΒ依存性の免疫応答を阻害する方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドを単独で又は薬学的に許容される担体と共に、腸内投与、非経口投与、及び局所的投与、又は吸入の経路を介して対象に投与することによる、免疫介在性の障害を治療するための治療薬を提供する。
別の実施形態において、本発明は、免疫介在性の障害の治療のための、治療上効果的な量の本発明のオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。
別の実施形態において、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドを単独で又はさらなる活性成分と組み合わせて投与することによる、免疫介在性の障害の治療のための治療薬を提供する。
最後の実施形態において、本発明は、送達媒体内の本発明のオリゴヌクレオチドを投与することによる、免疫介在性の障害の治療のための治療薬を提供する。
ヒト形質細胞様DC細胞系における阻害性ODNによるNF−κΒの活性化の抑制を示す図である。CAL−1/NFκB−GFP細胞系を、細胞ベースのアッセイにおいてNF−κΒ転写因子の活性をモニタリングするために設計した。NF−κΒコンセンサス転写応答エレメントによって働くGFPレポーター遺伝子をコードするベクターを、ヒト形質細胞様DC細胞系CAL−1にトランスフェクトした。GFP発現をTLR9アゴニストCpG2395によって誘導した。 ヒト形質細胞様DC細胞系における阻害性ODNによるNF−κΒの活性化の抑制を示す図である。TLR9の刺激によって誘導されるGFP発現を、阻害性ODNの付加によってブロックした。 CAL−1/NFκB−GFP細胞系におけるTLR9の刺激によるNF−κΒの活性化に対する阻害性ODNの抑制能力を示すグラフを示す図である。 CAL−1/NFκB−GFP細胞系におけるTLR9の刺激によるNF−κΒの活性化に対する阻害性ODNの抑制能力を示すグラフを示す図である。 CAL−1/NFκB−GFP細胞系におけるTLR9の刺激によるNF−κΒの活性化に対する阻害性ODNの抑制能力を示すグラフを示す図である。 CAL−1/NFκB−GFP細胞系におけるTLR9の刺激によるNF−κΒの活性化に対する阻害性ODNの抑制能力を示すグラフを示す図である。 TLR9アゴニストCpG2395で刺激されたCAL−1細胞からのIL−6及びTNFαの産生に対する阻害性ODNの抑制能力を示すグラフを示す図である。(cct)8、(cct)8c、(cct)8cc、(cct)9、(cct)10、(cct)11、及び(cct)12の間の阻害活性の比較。 TLR9アゴニストCpG2395で刺激されたCAL−1細胞からのIL−6及びTNFαの産生に対する阻害性ODNの抑制能力を示すグラフを示す図である。(cct)8、(cct)9、(cct)10、(cct)11、(cct)12、(cct)14、及び(cct)16の間の阻害活性の比較。 マウスDC細胞系D2SC/1からのIL−6及びTNFαの産生に対する阻害性ODNの抑制能力を示すグラフを示す図である。D2SC/1細胞を、阻害性ODNの存在下で、TLR9アゴニストCpG1826で刺激した。(cct)8、(cct)8c、(cct)8cc、及び(cct)9の間の阻害活性の比較。 マウスDC細胞系D2SC/1からのIL−6及びTNFαの産生に対する阻害性ODNの抑制能力を示すグラフを示す図である。D2SC/1細胞を、阻害性ODNの存在下で、TLR9アゴニストCpG1826で刺激した。(cct)8、(cct)9、(cct)10、(cct)11、(cct)12、(cct)14、及び(cct)16の間の阻害活性の比較。 CpG2216で刺激されたヒトPBMCからのIFNαの産生に対する阻害性ODNの抑制活性を示すグラフを示す図である。TLR9アゴニストCpG2216によって誘導されるIFNαの産生に対する、(cct)8、(cct)9、(cct)10、(cct)11、(cct)12、(cct)14、及び(cct)16の間の阻害活性の比較。 CAL−1/NFκB−GFP細胞系におけるTLR7/8の刺激によるNF−κΒの活性化に対する阻害性ODNの抑制能力を示すグラフを示す図である。TLR7/8アゴニストガーディキモドによって誘導されるNFκBの活性化についての、(cct)6、(cct)7、及び(cct)8の間の阻害活性の比較。 CAL−1/NFκB−GFP細胞系におけるTLR7/8の刺激によるNF−κΒの活性化に対する阻害性ODNの抑制能力を示すグラフを示す図である。TLR7アゴニストCL264によって誘導されるNF−κBの活性化についての、(cct)8、(cct)9、(cct)10、(cct)11、(cct)12、(cct)14、及び(cct)16の間の阻害活性の比較。
本発明のオリゴヌクレオチドは、TLR9の活性化を強力に阻害する。CpG含有オリゴヌクレオチド(CpG ODN)は、TLR9アゴニストとして知られている[D.M.Klinman,Nat.Rev,Immunol.4(2004)249〜258]。本発明のオリゴヌクレオチドは、CpG ODNによって刺激されるサイトカインを強力に阻害し、このことは、本発明のオリゴヌクレオチドを、TLR9の活性化に関連する疾患の治療のための治療薬として用いることができることを示している。TLR9の活性化は乾癬(Gilliet M,et al.Nat.Rev.Immunol.2008,594〜606)、SLE(Barrat FJ,et al.J Exp Med 2005;202:1131〜9;Wellmann U,et al.Proc Natl Acad Sci USA 2005;102:9258〜63;Christensen SR,et al.Immunity 2006;25:417〜28)、及び関節リウマチ(Leadbetter EA,et al.Nature 2002;416:603〜7;Boule MW,et al.J Exp Med 2004;199:1631〜40)の発症の一因となることが報告されているため、本発明のオリゴヌクレオチドは、TLR9の活性化を阻害することによる、乾癬、SLE、及び関節リウマチの治療のための治療薬として用いることができる。
本発明のオリゴヌクレオチドは、TLR9アゴニストによって誘導されるヒトPBMCからのIFNの産生を強力に阻害する。IFNの増大した産生は、SLEの発症の一因となることが報告されているため(Barrat FJ,et al.J Exp Med 2005;202:1131〜9;Wellmann U,et al.Proc Natl Acad Sci USA 2005;102:9258〜63)、本発明のオリゴヌクレオチドは、IFNの産生を阻害することによる、SLEの治療のための治療薬として用いることができる。
本発明のオリゴヌクレオチドは、TLR7/8アゴニストによって誘導されるサイトカインの産生を強力に阻害する。本発明のオリゴヌクレオチドは、TLR7又はTLR8を阻害することによる、Toll様受容体(TLR)介在性の疾患の治療のための治療薬として用いることができる。
TLR9アゴニストCpG ODNとD−ガラクトサミン(D−Gal)とをマウスに注射すると過剰な免疫反応を誘導することが実証されている。モデルマウスは、12から24時間以内に死亡した。血漿サイトカインの分析によって、TNFαなどの炎症性サイトカインの過剰産生が明らかになった(Marshall AJ,et al.Infect Immun.1998 Apr;66(4):1325〜33;Peter M,Bode K,et al.Immunology.2008 Jan;123(1):118〜28)。本発明のオリゴヌクレオチドは、TLR9の刺激によって誘導されるマウス細胞からのTNFαの産生を強力に阻害する。サイトカイン介在性の致死的ショックは、敗血性ショック(Slifka MK,et al.J Mol Med.2000;78(2):74〜80;Espat NJ,et al.J Surg Res.1995 Jul;59(1):153〜8)及び多臓器不全症候群(MODS)(Wang H,et al.Am J Emerg Med.2008 Jul;26(6):711〜5)の一因となるため、本発明のオリゴヌクレオチドは、サイトカイン介在性の致死的ショックから宿主を救うことによる、敗血症及びMOGSの治療のための治療薬として用いることができる。
NF−κΒは、明らかに、炎症性遺伝子発現の最も重要な調節因子の1つである。NF−κΒの活性化は、炎症性サイトカインの転写を誘導するその能力を介して、炎症において中心的な役割を有する(Baldwin(Jr)AS,et al.Annu Rev Immunol.1996,649〜683)。NF−κΒは、関節リウマチ(RA)の滑膜線維芽細胞における構成的なIL−6産生において役割を有することが実証されている(Miyazawa K,et al.Am J Pathol 1998,793〜803)。NF−κΒは、ヒト単球におけるIL−1又はTNFαによる炎症性遺伝子の活性化に密接に関与する(Schottelius AJ,et al.J Biol Chem 1999,31868〜31874)。NF−κΒ陽性細胞の数は、胃炎の程度と相関する。同様に、炎症性腸疾患において、固有層マクロファージが活性化NF−κΒを提示しており、NF−κΒの活性化が示されている(Neurath MF,et al.Ann NY Acad Sci 1998,859:149〜159)。
リガンドによるTLRの活性化は、NF−κΒ及びインターフェロン応答性因子(IRF)などの転写因子の活性化を誘導する。活性化された転写因子は、インターロイキン−6(IL−6)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、及びインターフェロン(IFN)などのサイトカインの産生をさらに誘導する。
本発明のオリゴヌクレオチドは、TLRの刺激によって誘導されるNF−κΒの活性化を強力に阻害し、このことは、本発明のオリゴヌクレオチドを、NF−κΒの活性化に関連する疾患の治療のための治療薬として用いることができることを示している。NF−κΒの活性化は、関節リウマチ、胃炎、及び炎症性腸疾患の発症の一因となることが報告されているため、本発明のオリゴヌクレオチドは、NF−κΒの活性化を阻害することによる、関節リウマチ、胃炎、及び炎症性腸疾患の治療のための治療薬として用いることができる。
別段の記載がない限り、本発明における全ての用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。単数形の用語「a」、「an」、及び「the」は、文脈により別段のことが示されない限り、複数形の言及を含む。同様に、語「又は」は、文脈により別段のことが示されない限り、「及び」を含むものとする。矛盾がある場合には、用語の説明を含む本明細書が優先される。さらに、材料、方法、及び例は、例示的なものにすぎず、限定することを意図したものではない。治療する、治療すること、又は治療は、文法に関係なく同じ意味を有する。同様に、予防する、予防すること、又は予防は、文法に関係なく同じ意味を有する。「オリゴヌクレオチド」:オリゴヌクレオチドは、複数のヌクレオチド(すなわち、リン酸基に、及び置換されたピリミジン(Py)(例えば、シトシン(C)、チミン(T))又は置換されたプリン(Pu)(例えば、アデニン(A)又はグアニン(G))のいずれかである交換可能な有機塩基に連結した糖(例えばデオキシリボース)を含む分子)を意味する。本明細書において用いられる用語オリゴヌクレオチドは、オリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)を指す。オリゴヌクレオチドは、既存の核酸源(例えば、ゲノムDNA又はcDNA)から得ることができるが、好ましくは合成のものである。本発明のオリゴヌクレオチドは、市場において入手可能な様々な自動核酸合成装置によって合成することができる。これらのオリゴヌクレオチドは、合成オリゴヌクレオチドと呼ばれる。
「化学修飾」:本発明において開示されるオリゴヌクレオチドは、天然のDNAと比較して、ホスホジエステルヌクレオシド間架橋、リボース単位、及び/又は天然のヌクレオシド塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン)を伴う、様々な化学修飾を包含し得る。修飾は、オリゴヌクレオチドの合成の間、又は後に生じ得る。合成の間、修飾された塩基は、内部に、又はその末端に組み込まれ得る。合成の後、修飾は、活性基を用いて実施することができる(アミノ修飾因子を介して、3’若しくは5’ヒドロキシル基を介して、又はリン酸基を介して)。当業者であれば、化学修飾の例を知っている。本発明に従ったオリゴヌクレオチドは、1つ又は複数の修飾を有し得、ここで、各修飾は、天然のDNAから構成される同一配列のオリゴヌクレオチドと比較して、特定のホスホジエステルヌクレオシド間架橋に、及び/又は特定のリボース単位に、及び/又は特定の天然ヌクレオシド塩基位置に位置する。化学修飾には、本発明のオリゴヌクレオチドの「骨格修飾」が含まれる。本明細書において用いられる場合、本発明のオリゴヌクレオチドの修飾された骨格には、限定はしないが、「ホスホロチオエート骨格」が含まれ、これは、架橋していないリン酸酸素が、少なくとも1つのヌクレオチド間連結で硫黄によって置き換えられている、核酸分子の、安定化された糖リン酸骨格を指す。1つの実施形態において、架橋していないリン酸酸素は、それぞれの及び全てのヌクレオチド間連結で硫黄によって置き換えられている。他の骨格修飾は、アルキルホスホナート及びアリールホスホナート(これは荷電したホスホナート酸素がアルキル基又はアリール基によって置き換えられている)、ホスホジエステル、並びに荷電した酸素部分がアルキル化されているアルキルホスホトリエステルなどの、非イオン性のDNA類似体での修飾を示す。他の例において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート/ホスホジエステルキメラであり得る。化学修飾にはまた、本発明において開示されるオリゴヌクレオチドの塩基置換も含まれる。置換されたプリン及びピリミジンは、C−5プロピンピリミジン及び7−デアザ−7−置換プリンであり得る。置換されたプリン及びピリミジンには、限定はしないが、アデニン、シトシン、グアニン、及びチミン、並びに他の天然に生じる及び非天然に生じる核酸塩基が含まれる。本発明のオリゴヌクレオチドの化学修飾には、オリゴヌクレオチドの塩基の修飾がさらに含まれる。修飾された塩基は、T、C、G、及びAなどのDNAにおいて典型的に見られる天然に生じる塩基と化学的に異なるが、これらの天然に生じる塩基と基本的な化学構造を共有する、あらゆる塩基である。
本発明のオリゴヌクレオチドは、シチジン誘導体を用いて修飾することができる。用語「シチジン誘導体」は、シチジン様ヌクレオチド(シチジンを除く)を指し、用語「チミジン誘導体」は、チミジン様ヌクレオチド(チミジンを除く)を指す。さらに、本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドのいずれかの又は両方の末端でテトラエチレングリコール又はヘキサエチレングリコールなどのジオールを連結することによって、化学的に修飾することができる。
「免疫介在性の障害」:免疫介在性の障害は、対象における望ましくない免疫応答によって生じる疾患である。この障害には、自己免疫疾患、移植片拒絶、過敏症、微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患、及びTLRの活性化に関連する疾患が含まれる。本発明において開示されるオリゴヌクレオチドは、免疫介在性の障害を治療するための治療薬として用いることができる。
「免疫応答」:B細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、好中球、及びマクロファージなどの免疫系の細胞の、刺激に対する応答。この応答には、自然免疫応答及び適応(特異的又は獲得)免疫応答が含まれる。適応(特異的又は獲得)免疫応答には、液性免疫応答及び細胞性免疫応答が含まれる。
「免疫介在性の障害を予防する又は治療する」:本明細書において用いられる場合、予防するは、対象における免疫介在性の障害の完全な発症を予防することを指し、治療するは、免疫介在性の障害の兆候若しくは症候を改善するため、進行を止めるため、又は病的状態を取り除くための、対象における治療的介入を指す。
「対象」:本明細書において用いられる場合、対象は、ヒト又は非ヒト脊椎動物を指す。非ヒト脊椎動物は、非ヒト霊長類、家畜動物、及びコンパニオンアニマルである。本発明のオリゴヌクレオチドは、対象における免疫介在性の障害を予防又は/及び治療するために投与することができる。
「自己免疫疾患」:用語「自己免疫疾患」は、適応免疫系及び自然免疫系が自己抗原に応答し、細胞及び組織のダメージを仲介するようになる、自己寛容の崩壊によって生じる疾患を指す。自己免疫疾患は、単一の臓器若しくは単一の細胞型の関与、又は複数の臓器若しくは組織系の関与によって特徴付けられることが多い。自己免疫疾患はまた、「コラーゲン」疾患又は「コラーゲン血管」疾患又は「通道組織」疾患とも呼ばれている。自己免疫障害は、過敏症反応と関連していることが多い。本発明のオリゴヌクレオチドは、様々なタイプの自己免疫疾患を治療及び/又は予防するために有用であり得る。自己免疫障害の、具体的な、非限定的な例は、全身性エリテマトーデス、インスリン依存性(I型)糖尿病、炎症性関節炎、関節リウマチ、多発性硬化症、自己免疫性肝炎、慢性的侵攻性肝炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、悪性貧血の自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性精巣炎、後天性血友病、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、ベーチェット症候群、心筋症、慢性的炎症性脱髄性多発性神経障害、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症、多発性筋炎皮膚筋炎、円板状ループス、交感性眼炎、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛、線維筋炎、ギランバレー症候群、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、若年性関節炎、全身性硬化症、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、高免疫グロブリンE、進行性全身性硬化症、乾癬、ライター症候群、サルコイドーシス、スティフマン症候群、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー疾患、悪性貧血、アジソン病、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、重症筋無力症、グレーブス病、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎などである(N Engl J Med,Vol.345,No.5,August 2,2001,p340〜350)。DNA含有又はRNA含有微生物から放出されたDNA又はRNAは、自己RNA又は自己DNAを含有する複合体に特異的な自己抗体の産生を刺激し得、結果的に、限定はしないがSLEを含む自己免疫疾患をもたらす。
「過敏症」:過敏症は、組織の損傷が内因由来又は外因由来の抗原に対する液性応答又は細胞介在性応答の結果として生じる障害を言い、4つのタイプに分類されている。I型過敏症(アナフィラキシー性の、即時型の、アトピー性の、レアギン性の、IgE介在性の過敏症反応又はアレルギーと言われることが多い)は、通常、特異的な外因性抗原と接触した後の、IgEで感作された好塩基球及びマスト細胞からの、ヒスタミン、アナフィラキシーの遅反応性物質(SRS−A)、及び好酸球遊走因子(ECF)などの薬理学的に活性な物質の放出の結果生じる。I型過敏症には、限定はしないが、アレルギー性外因性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、及び全身性アナフィラキシーが含まれる。II型過敏症(細胞傷害性の、細胞溶解性相補体依存性の、又は細胞刺激性の過敏症反応とも言われる)は、抗体が、細胞若しくは組織エレメントの抗原性成分と、又は、細胞若しくは組織に密接に結合している抗原若しくはハプテンと反応すると生じる。II型過敏症には、限定はしないが、自己免疫性溶血性貧血、胎児赤芽球症、及びグッドパスチャー疾患が含まれる。III型過敏症(毒性複合体、可溶性複合体、又は免疫複合体の過敏症反応とも言われる)は、血管内又は組織内の可溶性循環抗原抗体複合体の沈着と、それに伴う免疫複合体の沈着部位での急性炎症性反応の結果生じる。III型過敏症には、限定はしないが、アルサス反応、血清病、全身性エリテマトーデス、及びあるタイプの糸球体腎炎が含まれる。IV型過敏症(細胞性の、細胞介在性の、遅延型の、又はツベルクリン型の過敏症反応と呼ばれることが多い)は、特異的抗原との接触の結果生じる感作されたTリンパ球によって生じる。IV型過敏症には、限定はしないが、接触皮膚炎及び同種移植片拒絶が含まれる(Richard A.et al.Immunology,Fifth Edition,2003,W.H.FREEMAN AND COMPANY)。
「微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患」:微生物の侵入は、重症であれば、時々、対象において全身性炎症応答を生じさせて、微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患をもたらし得る。インフルエンザA(H5N1)又は細菌の感染のケースなどの、疾患の発症における事象には、TNFα、インターロイキン−1(IL−1)、IL−6、IL−12、インターフェロンアルファ(IFN−α)、インターフェロンベータ(IFN−β)、インターフェロンガンマ(IFN−γ)、ケモカインインターフェロン誘導性タンパク質10、単球化学誘因物質タンパク質1、インターロイキン−8、インターロイキン−1β、及び単球化学誘因物質タンパク質1の、著しく上昇した血液レベルが含まれる。このような応答は、多くの患者において観察される敗血症、ARDS、及び多臓器不全の原因の一端となるサイトカイン介在性の致死的ショックをもたらし得る(The Writing Committee of the World Health Organization(WHO)Consultation on Human Influenza A/H5.Avian Influenza A(H5N1)Infection in Humans.N Engl J Med 2005;353:1374〜85)。微生物感染に続く、サイトカインの血液レベルの著しい上昇は、高サイトカイン血症(hypercytokinemia)(hypercytokinaemia)又はサイトカインストームと呼ばれる。リサーチによって、鳥インフルエンザ又はSARSに感染した患者には、抗ウイルス薬に加えて免疫応答を抑制する薬剤が必要であり得ることが示唆された。
本発明のオリゴヌクレオチドは、対象における微生物による宿主免疫系の刺激に関連する疾患を治療及び/又は予防するために用いることができる。この疾患を生じさせる微生物には、限定はしないが、ウイルス、細菌、真菌、寄生生物、及び海綿状脳症の病原体が含まれる。
微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患を生じさせるウイルスには、SARS CoV、インフルエンザウイルス、鳥インフルエンザウイルスHIV−1、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス、コロナウイルス、水胞性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、パラインフルエンザウイルス、おたふく風邪ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、インフルエンザウイルス、ハンターンウイルス、ブンガウイルス、フレボウイルス、ナイロウイルス、出血熱ウイルス、レオウイルス、オルビウイルス及びロタウイルス、B型肝炎ウイルス、パルボウイルス、パピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)1及びHSV−2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス、痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、アフリカ豚コレラウイルス、海綿状脳症の病原体、デルタ肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、口蹄疫ウイルス、並びに鳥インフルエンザウイルスが含まれる。微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患を生じさせ得る細菌には、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pyloris)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borelia burgdorferi)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophilia)、マイコバクテリウム属菌(Mycobacteria sps)(結核菌(M.tuberculosis)、マイコバクテリウム・アビウム(M.avium)、マイコバクテリウム・E・イントラセルラーレ(M.E intracellulare)、マイコバクテリウム・カンサシ(M.kansaii)、マイコバクテリウム・ゴルドネ(M.gordonae)など)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、A群連鎖球菌(Group A Streptococcus)、B群連鎖球菌(Group B Streptococcus)、連鎖球菌属(Streptococcus)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcusfaecalis)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、連鎖球菌(嫌気性菌)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、病原性カンピロバクター属菌(Carnpylobacter sp.)、エンテロコッカス属菌(Enterococcus sp.)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、炭疽菌(Bacillus antracis)、ジフテリア菌(corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム属菌(corynebacterium sp.)、豚丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringers)、破傷風菌(Clostridium tetani)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogeytes)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラ・マルトシダ(Pasturella multocida)、バクテロイデス属菌(Bacteroides sp.)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidium)、トレポネーマ・ペルテニュー(Treponema pertenue)、レプトスピラ属(Leptospira)、及びイスラエル放線菌(Actinomyces israelli)が含まれる。微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患を生じさせる真菌には、限定はしないが、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、ブラストマイセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)が含まれる。微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患を生じさせ得る寄生生物には、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)及びトキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)が含まれる。
「移植片拒絶」:移植片拒絶は、臓器又は組織の移植によって生じる免疫介在性の障害であり、移植は、ドナーからレシピエントへの移植物(移植片)の移動を意味する。移植片は、ドナーからレシピエントへ移植された、生きた細胞、組織、又は臓器である。自己移植片は、ある者自身の組織の1つの位置から別の位置へ移動した移植片であり、同系移植片(同種移植片)は、一卵性双生児の間での移植片であり、同種異系移植片(ホモ移植片)は、同一種の遺伝的に類似していないメンバーの間での移植片であり、そして異種移植片(ヘテロ移植片)は、異なる種のメンバーの間での移植物である。対象が同種異系移植片又は異種移植片のレシピエントである場合、身体は、ドナー組織に対する免疫応答を生じさせ得る。この状況において、移植片の拒絶を避けるために、免疫応答を抑制することが明らかに必要である(Richard A.et al.Immunology,Fifth Edition,2003,W.H.FREEMAN AND COMPANY)。本発明のオリゴヌクレオチドは、移植片拒絶を予防するために投与されると有用である。移植片の例は、心臓、腎臓、肝臓、骨髄、皮膚、角膜、肺、膵臓、小腸(intestinum tenue)、肢、筋肉、神経、十二指腸、小腸(small bowel)、膵島細胞などである。いくつかのケースにおいて、レシピエントは、本発明の「対象」において規定されているような動物であり得る。
「Toll様受容体(TLR)介在性の疾患」:Toll様受容体(TLR)介在性の疾患は、TLRファミリーのメンバーの活性化に関連する免疫介在性の障害を意味する。この疾患には、限定はしないが、リポ多糖(LPS)によるTLR4の活性化に関連する敗血症、TLR2、3、4、9の活性化に関連する拡張型心筋症、TLR2、3、4、9の活性化に関連する糖尿病、TLR3の活性化に関連する実験的自己免疫性脳脊髄炎、TLR9の活性化に関連する全身性エリテマトーデス、TLR4の活性化に関連するアテローム性動脈硬化症、LPSによるTLR4の活性化に関連する喘息、TLR4の活性化に関連する慢性閉塞性肺疾患、TLR4の活性化に関連するEAE、及びTLR4の活性化に関連する臓器不全が含まれる(Foo Y.et al.Nature Review Immunology,Vol 5,2005,446〜458)。SLEの発症の一因となると考えられているIFNα分泌によって支配されている効率的な免疫応答を誘導する、核酸含有感染性物質に由来するCpG含有DNA(TLR9アゴニスト)を、SLE血清から同定することができた。本発明のオリゴヌクレオチドは、対象における、限定はしないがSLEを含むToll様受容体(TLR)介在性の疾患を治療及び/又は予防するために投与することができる。
「CpG ODN」:TLR9アゴニストが自然免疫応答及び適応免疫応答の両方を活性化することが記載されている(Arthur M.Krieg.Nature Reviews Drug Discovery,Vol 5.June 2006,471〜484)。CpG含有オリゴヌクレオチド(CpG ODN)は、TLR9アゴニストである[D.M.Klinman,Nat.Rev.,Immunol.4(2004)249〜258]。機能的特徴に基づいて、CpG ODNは3つのタイプに分けられる(Tomoki Ito,et al.Blood,2006,Vol 107,Num 6:2423〜2431)。A型CpG ODNは、ヒト形質細胞様樹状細胞(pDC)を活性化して、大量のI型インターフェロン(IFN−a/β)を産生し、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)を強力に活性化する。B型CpG ODNは、B細胞を主に活性化して、それらの増殖及び抗体の分泌を生じさせる。C型CpG ODNは、A型及びB型のCpG ODNの両方の活性を共有する。CpG2216又はCpG2006又はCpG2395などのTLR9アゴニストCpG ODNは、細胞区画内に取り込まれ得、そこで、それらは、TLR9に暴露され、TLR9を活性化する。pDCにおいて、TLR9の活性化は、炎症誘導性サイトカイン[IL−6、腫瘍壊死因子−α(TNFα)]の分泌、I型インターフェロン(IFN)の分泌、及びIFN誘導性のケモカインの分泌によって特徴付けられる迅速な自然免疫応答を開始させる。IFN依存性の及びIFN非依存性の経路の両方を介して、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、及び好中球を含む自然免疫細胞は、pDCによって二次的に活性化される。TLR9を介して活性化されたB細胞は、抗原の刺激に対する感度が大きく増大しており、抗体分泌細胞に効率的に分化し、したがって、適応免疫応答、特に液性免疫応答に寄与する。TLR9を介して活性化されたpDCはIFNαを分泌し、これは、リンパ節及び他の二次リンパ組織へのpDCの移動及びクラスター化を引き起こし、そこでpDCは、未感作T細胞及び記憶T細胞を活性化し、CD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)への可溶性タンパク質抗原の交差提示をアシストし、そして強力なTH1に偏った細胞性CD4及びCD8T細胞応答を促進する。上記の発見に基づいて、CpG ODNの活性と拮抗する作用物質を、自然免疫応答及び適応免疫応答の両方を阻害することによって免疫介在性の障害を治療又は予防するために用いることができることが明らかである。
「薬学的に許容される担体」:薬学的に許容される担体は、本発明のオリゴヌクレオチドを対象に投与するために適切な、1つ又は複数の固体又は液体の充填剤、希釈剤、又はカプセル化物質を示す。担体は、有機の、無機の、天然の、又は合成のものであり得る。担体には、あらゆる及び全ての溶液、希釈剤、溶媒、分散媒質、リポソーム、エマルジョン、被覆剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、並びに本発明のオリゴヌクレオチドを投与するために適切なあらゆる他の担体が含まれ、それらの使用は、当技術分野において周知である。薬学的に許容される担体は、オリゴヌクレオチドの特定の投与態様に応じて選択される。非経口製剤は、通常、水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、グリセロールなどの薬学的に及び生理学的に許容される流体を媒体として含む、注射可能な流体を含む。固体組成物(例えば、粉末、ピル、錠剤、又はカプセルの形態)では、従来の無毒の固体担体は、例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、又はステアリン酸マグネシウムを含み得る。生物学的に中性の担体に加えて、投与される医薬組成物は、湿潤剤又は乳化剤、防腐剤、及びpH緩衝剤などの微量の無毒の補助物質、例えば酢酸ナトリウム又はソルビタンモノラウラートを含有し得る。
「治療上効果的な量」:免疫介在性の障害を治療又は予防するために、治療上効果的な量の本発明のオリゴヌクレオチドが対象に投与される。オリゴヌクレオチドの1つの「治療上効果的な量」は、対象における免疫介在性の障害の治療又は予防の所望の結果を達成するために用いられるオリゴヌクレオチドの十分な量を意味する。本発明のオリゴヌクレオチドは、純粋な形態で、又は薬学的に許容される担体内で採用され得る。或いは、オリゴヌクレオチドは、医薬組成物として投与することができる。本発明における「量」は、用量を指す。用量は、当業者に周知の標準的な技術によって決定することができ、限定はしないが、対象のサイズ若しくは/及び全体的な健康、又は疾患の重症度を含む因子に応じて変化し得る。本発明のオリゴヌクレオチドの導入は、1回の治療として、又は一連の治療にわたって実施することができる。投与のための本発明のオリゴヌクレオチドの対象用量は、投与当たり約1μgから100mgの範囲である。しかし、免疫介在性の障害の治療のための用量は、上記の用量よりも10から1000倍高い範囲で用いることができる。さらに好ましい用量は、正しい医学的判断の範囲内で、当業者によって、例えば担当医によって、最適な治療効果を得るために調整することができる。
「投与経路」:臨床的な使用では、本発明のオリゴヌクレオチドは、所望の治療的結果を達成するために効果的な、あらゆる適切な投与経路を介して、単独で投与することができるか、又は医薬組成物中に製剤することができる。本発明のオリゴヌクレオチドを投与する「経路」は、腸内投与、非経口投与、及び局所的投与、又は吸入を意味する。本発明のオリゴヌクレオチドの投与の腸内経路には、経口経路、胃経路、腸経路、及び直腸経路が含まれる。非経口経路には、静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、髄腔内経路、皮下経路、局部注射、膣投与、局所的投与、鼻投与、粘膜投与、及び肺投与が含まれる。本発明のオリゴヌクレオチドの投与の局所的経路は、表皮に、口腔に、並びに耳、目、及び鼻の中に外的にオリゴヌクレオチドを塗布することを示す。
「医薬組成物」 医薬組成物は、治療上効果的な量の本発明のオリゴヌクレオチドを薬学的に許容される担体と共に又は無しで含む組成物を意味する。医薬組成物は、1つ又は複数の本発明のオリゴヌクレオチドを含み得る。組成物には、限定はしないが、水溶液又は生理食塩水、粒子、エアゾール、ペレット、顆粒、粉末、錠剤、被覆された錠剤、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、エマルジョン、懸濁液、クリーム、ドロップ、及び様々な薬剤送達系において使用するために適切な他の医薬組成物が含まれる。組成物は、非経口的に、経口的に、直腸に、膣内に、腹腔内に、局所的に(粉末剤、軟膏剤、ゲル剤、ドロップ剤、又は経皮パッチ剤の投与形態で)、口内に、又は経口若しくは経鼻スプレー剤として、投与することができる。全てのケースにおいて、組成物は、製造及び保存の条件下で無菌及び安定でなくてはならず、微生物汚染から保護されなくてはならない。非経口注射のための本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される無菌の水溶液若しくは非水溶液、分散液、懸濁液、又はエマルジョン、並びに無菌の注射可能な溶液又は分散液内に使用直前に再構成するための無菌の粉末を含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、約3.0から約8.0のpH、好ましくは約3.5から約7.4、3.5から6.0、又は3.5から約5.0のpHで、水性担体、例えば等張緩衝液内に懸濁することができる。緩衝液には、クエン酸ナトリウム−クエン酸緩衝液、及びリン酸ナトリウム−リン酸緩衝液、及び酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液が含まれる。経口投与では、組成物は、粉末錠剤、ピル、ドラジェ、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などを形成するための食用担体と製剤される。固体組成物では、従来の無毒の固体担体には、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、又はステアリン酸マグネシウムが含まれ得る。口内投与では、組成物は、従来の様式の錠剤又はのど飴である。吸入剤では、組成物は、加圧されたパック若しくは噴霧器からのエアゾールスプレー、又は乾燥粉末であり、当業者によって選択され得る。いくつかのケースにおいて、本発明のオリゴヌクレオチドの効果を延ばすために、本発明のオリゴヌクレオチドはまた、持続放出系によって適切に投与される。本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの放出を遅らせるために、水溶解度が低い結晶性の又は非晶質の材料の液体懸濁液内において用いることができる。或いは、オリゴヌクレオチドの非経口投与される薬剤形態の遅延放出が、オリゴヌクレオチドを疎水性材料(許容される油性媒質)内に溶解又は懸濁することによって達成される。注射可能なデポー形態は、オリゴヌクレオチドを、リポソーム又はマイクロエマルジョン、又はポリラクチド−ポリグリコシド、ポリ(オルトエステル)、及びポリ(アンヒドライド)などの他の生分解性半透性ポリマーマトリクス内に封入することによって作製される。
「活性成分」。本発明のオリゴヌクレオチドは、単独で、それ自体で組み合わせて、薬学的に許容される担体内で、1つ又は複数のさらなる活性成分と組み合わせて、用いることができる。本発明のオリゴヌクレオチド及びさらなる活性成分の投与は、連続的又は同時であり得る。活性成分には、非ステロイド抗炎症剤、ステロイド、非特異的免疫抑制剤、生物学的応答修飾因子、化学的化合物、低分子、核酸分子、及びTLRアンタゴニストが含まれる。活性成分はまた、ケモカインに拮抗することにより、調節性T細胞(CD4+CD25+T細胞)の生成を誘導することにより、補体、マトリクス金属プロテアーゼ、及び一酸化窒素合成酵素を阻害することにより、共刺激因子をブロックすることにより、並びに免疫細胞におけるシグナル伝達カスケードを阻害することにより免疫活性化を抑制する、作用物質を示す。非ステロイド抗炎症剤には、限定はしないが、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、トーネチン、セレコキシブ、及びロフェコキシブが含まれる。ステロイドには、限定はしないが、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、及びトリアムシノロンが含まれる。非特異的免疫抑制剤は、免疫介在性の障害の発症を抑制するために用いられる作用物質を意味する。非特異的免疫抑制剤には、限定はしないが、シクロホスファミド、シクロスポリン、メトトレキサート、ステロイド、FK506、タクロリムス、ミコフェノール酸、及びシロリムスが含まれる。生物学的応答修飾因子には、組換えインターロイキン−1−受容体アンタゴニスト(キネレット又はアナキマ)、可溶性p75TNFα受容体−IgG1融合タンパク質(エタネルセプト又はエンブレル)、又はTNFαに対するモノクローナル抗体(インフリキシマブ又はレミケードX)が含まれる。作用物質にはまた、インターフェロンベータ−1a、インターロイキン−10、及びTGFβが含まれる。
「送達媒体」:本発明のオリゴヌクレオチドは、送達媒体内で/と、又は媒体と連結した形態で、投与することができる。媒体には、限定はしないが、ステロール(例えばコレステロール)、コクリエート(cochleate)、エマルソーム、ISCOM、脂質(例えば、陽イオン性脂質、陰イオン性脂質)、リポソーム、エチレングリコール(PEG)、生細菌ベクター(例えば、サルモネラ属(Salmonella)、大腸菌(Escherichia coli)、カルメット−ゲラン桿菌(bacillus Calmette−Gurin)、赤痢菌属(Shigella)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、生ウイルスベクター(例えば、ワクシニア(Vaccinia)、アデノウイルス、単純ヘルペス(Herpes simplex))、ビロソーム、ウイルス様粒子、ミクロスフェア、核酸ワクチン、ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース、キトサン)、ポリマー環、及び特異的受容体によって標的細胞を認識する標的化剤が含まれる。
「ペグ化」:ペグ化は、ポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の、通常は薬剤又は治療的タンパク質である別の分子への、共有結合による付着のプロセスである。ペグ化は、通常は、PEGの反応性誘導体と標的作用物質とのインキュベーションによって達成される。ペグ化された作用物質は、宿主免疫系から作用物質を「マスキング」し得、作用物質の流体力学的サイズを増大させ得、これはその循環時間を延ばす。本発明のオリゴヌクレオチドは、ペグ化することができる。
本発明を、以下の実施例においてさらに詳細に記載する。しかし、本発明は、これらの実施例に限定されない。これらの実施例において、ここでは、別段の記載が無い限り、市販されているキット及び試薬を用いた実験が付属のプロトコルに従って行われた。当業者には、本発明のオリゴヌクレオチドが免疫介在性の障害を治療するために容易に適用され得ることが理解されよう。本発明を、以下の非限定的な実施例によって実証する。
実施例において用いられる全てのオリゴヌクレオチド(ODN)は、北海道システム・サイエンス株式会社(札幌、日本)において合成された。TLR9刺激性のODNは、CpG2395(5’−tcgtcgttttcggcgcgcgccg−3’、配列番号17)、CpG1826(5’−tccatgacgttcctgacgtt−3’、配列番号18)、CpG2216(5’−gggggacgatcgtcgggggg−3’、配列番号19)であった。実施例において用いられる他のODNは、(CCT)6(5’−cctcctcctcctcctcct−3’、配列番号15)、(CCT)7(5’−cctcctcctcctcctcctcct−3’、配列番号16)、(CCT)8(5’−cctcctcctcctcctcctcctcct−3’、配列番号20)、(CCT)8C(5’−cctcctcctcctcctcctcctcctc−3’、配列番号1)、(CCT)8CC(5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcc−3’、配列番号2)、(CCT)9(5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcct−3’、配列番号3)、(CCT)10(5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcct−3’、配列番号6)、(CCT)10C(5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctc−3’、配列番号7)、(CCT)10CC(5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcc−3’、配列番号8)、(cct)11(5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcct−3’、配列番号9)、(CCT)11C(5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctc−3’、配列番号10)、(CCT)11CC(5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcc−3’、配列番号11)、(CCT)12(5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcct−3’、配列番号12)、(CCT)14(5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcct−3’、配列番号13)、及び(CCT)16(5’−cctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcctcct−3’、配列番号14)であった。以下の実施例においてオリゴヌクレオチド(ODN)を操作するために用いられる全ての試薬は、発熱性物質を含まないものであった。
(例1)
TLR9の刺激によって誘導されるNF−κΒの活性化に対する阻害性ODNの影響
<実験方法>
CAL−1/NFκΒ−GFP細胞系を、細胞ベースのアッセイにおいてNF−κΒ転写因子の活性をモニタリングするために樹立した。NFκΒコンセンサス転写応答エレメントによって働くGFPレポーター遺伝子をコードするベクターを、エレクトロポレーションによって、ヒト形質細胞様DC細胞系CAL−1にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、ゼオシンでさらに選択した。(A)TLR9アゴニストCpG2395によって誘導されたGFP発現を評価した。簡潔に述べると、CAL−1/NFκΒ−GFP細胞(1×105個/ウェル)を96ウェル平底プレート(Costar)に播種し、CpG2395(1μΜ)と共に又は無しで培養した。細胞を、37℃で、5%C02加湿インキュベーター内で、6時間インキュベートした。細胞におけるGFP発現レベルを、フローサイトメーター(FACS Calibur、BD Bioscience Co.Ltd)によって評価した。GFP陽性細胞のパーセンテージを、図に記載した。(B)CAL−1/NFκΒ−GFP細胞(1×105個/ウェル)を、(CCT)7、(CCT)8、及び(CCT)9(0.1μΜ、0.3μΜ、1.0μΜ)と共に2時間、プレインキュベートした。細胞を、CpG2395(1μΜ)で6時間刺激した。細胞におけるGFP発現レベルを、フローサイトメーター(FACS Calibur、BD Bioscience Co.Ltd)によって評価した。各条件におけるGFP陽性細胞のパーセンテージを、図に記載した。
<実験結果>
図1に示されるように、GFPは、CpG2395の刺激によってCAL−1/NFκΒ−GFP細胞において誘導され、このことは、NF−κΒの活性化がTLR9の刺激によって誘導されたことを示している。さらに、このGFP発現は、阻害性ODNの付加によってブロックされた。阻害性ODNの濃度が高いほど、CAL−1/NFκΒ−GFP細胞におけるGFP発現の誘導の良好な阻害が示されたため、阻害活性の用量依存性が裏付けられた(最大阻害は、1.0μΜの各阻害性ODNで観察された)。(CCT)9は、(CCT)8又は(CCT)7よりも優れた有効性で、GFP発現をブロックした。これらのデータは、本発明者らが調べた阻害性ODNが、ヒト細胞系においてTLR9アゴニストによって誘導されるNF−κΒの活性化を抑制し得ることを示す。
(例2)
TLR9の刺激によって誘導されるNF−κΒの活性化に対する阻害性ODNの抑制活性の比較
<実験方法>
CAL−1/NFκΒ−GFP細胞(1×105個/ウェル)を、上記の様々な阻害性ODNと共に、2時間プレインキュベートした。細胞を、CpG2395(1μΜ)で6時間刺激した。各条件における細胞のGFP発現レベルを、フローサイトメーター(FACS Calibur、BD Bioscience Co.Ltd)によって評価した。CpG2395単独でのGFP陽性細胞のパーセンテージを、グラフにおいて100%と規定した。各条件におけるGFP陽性のパーセンテージを、数値から計算した。
<実験結果>
図2Aに示されるように、NF−κΒの活性化についての阻害活性の用量依存性が、各阻害性ODNにおいて裏付けられた。(CCT)8は、CpG2395によって誘導されるGFP発現を阻害し、ヒトpDC細胞系において(CCT)6及び(CCT)7よりも良好な活性を示した。(CCT)9は、(CCT)8よりも良好な有効性で、GFP発現を強力にブロックした。(CCT)10、(CCT)11、及び(CCT)12は、(CCT)9よりもはるかに良好な阻害活性を示した。これらの結果は、長いODNの方が短いODNよりも良好な活性を有することを示唆する。しかし、(CCT)14及び(CCT)16の阻害活性は、(CCT)12の活性と同一であり(図2B)、このことは、(CCT)12並びに(CCT)14及び(CCT)16が、TLR9の刺激によって誘導されるNF−κΒ活性の阻害について最大の有効性を有し得ることを示唆している。重要なことに、1.0μΜでの(CCT)8の阻害活性は、0.1μΜでの(CCT)11及び(CCT)12の阻害活性とほぼ同一であった。このデータは、(CCT)11及び(CCT)12が、ヒト細胞において、(CCT)8よりも、NF−κΒの活性化の阻害について10倍高い有効性を有することを示す。図2C及び2Dに示されるように、(CCT)8C及び(CCT)8CCは、(CCT)8よりも良好な阻害活性を示した。(CCT)10C及び(CCT)10CCが(CCT)10よりも良好な阻害活性を示すことも実証された。
さらに、(CCT)11の阻害活性はすでにほとんど飽和していたが、(CCT)11C及び(CCT)11CCは、(CCT)11よりも良好な阻害活性を有していた。これらの結果は、(CCT)反復の3’末端でのC又はCCの付加がODNの阻害活性を増大させることを示した。
活性化されたNF−κΒがインターロイキン−6(IL−6)及び腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)などの炎症性サイトカインの産生をさらに誘導することが、十分に確立されている。本発明者らが調べたオリゴヌクレオチド(ODN)は、TLRの刺激によって誘導されるNF−κΒの活性化を強力に阻害するため、ODNは、NF−κΒの活性化に関連する疾患の治療のための治療薬として用いることができる。NF−κΒの活性化は、関節リウマチ、胃炎、及び炎症性腸疾患などの自己免疫疾患の発症の一因となることが報告されているため、本発明者らが調べたODNは、NF−κΒの活性化を阻害することによる、疾患の治療のための治療薬として用いることができる。
(例3)
ヒト細胞での、TLR9の刺激によって誘導される炎症性サイトカインの産生に対する阻害性ODNの抑制活性の比較
<実験方法>
ヒト形質細胞様DC細胞系CAL−1細胞を培養し(1×105個/ウェル)、96ウェル平底プレート(Costar)に播種し、阻害性ODNの存在下で、CpG2395(0.4μΜ)で、24時間刺激した(阻害性ODNの濃度は図に記載されている)。24時間の刺激の後、培養上清を回収し、炎症性サイトカインの産生を評価した。IL−6及びTNFαの産生のレベルを、製造者のプロトコルにおいて記載されているように、ELISAによって測定した(R&D systems Co.Ltd、Minneapolis、USA)。
<実験結果>
図3に示されるように、CAL−1細胞において、CpG2395によって誘導されるIL−6及びTNFαの産生の両方は、阻害性ODNの付加によってブロックされた。IL−6及びTNFαの産生についての阻害活性の用量依存性が、各阻害性ODNにおいて裏付けられた。(CCT)9、(CCT)10、(CCT)11、及び(CCT)12は、CpG2395によって誘導されるIL−6及びTNFαの産生の両方を強力にブロックした。これらのODNの有効性は(CCT)8の有効性よりもはるかに良好であった。重要なことに、0.4μΜでの(CCT)8の阻害活性は、0.04μΜでの(CCT)11及び(CCT)12の阻害活性とほぼ同一であった。このデータは、(CCT)11及び(CCT)12が、ヒト細胞において、(CCT)8よりも10倍高い有効性を有することを示す。(CCT)11及び(CCT)12は、0.04uMでほぼ100%の阻害を示したため、本発明者らは、低濃度での阻害活性をさらに評価した(図4)。図に示されるように、(CCT)9及び(CCT)10は、(CCT)8よりもはるかに良好な有効性でTNFαの産生をブロックした。さらに、(CCT)11、(CCT)12、(CCT)14、及び(CCT)16は、ヒト細胞において、非常に低い用量で、TNFαの産生の阻害についての強力な有効性を示した。これらの結果は、ODNを、自己免疫疾患、移植片拒絶、過敏症、自己抗原及び微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患などの、様々な免疫介在性の障害の治療のための治療薬として用いることができることを示唆する。IL−6及びTNFαは、関節リウマチ、胃炎、及び炎症性腸疾患などの疾患の発症について鍵となる役割を有することが報告されているため、本発明者らが調べたODNは、IL−6及びTNFαの阻害による疾患の治療のための治療薬として用いることができる。
(例4)
マウス細胞での、TLR9の刺激によって誘導される炎症性サイトカインの産生に対する阻害性ODNの抑制活性の比較
<実験方法>
マウスDC細胞系D2SC/1細胞を培養し、D2SC/1(1×105個/ウェル)を96ウェル平底プレート(Costar)に播種し、阻害性ODNの存在下で、CpG1826(0.65μΜ)で、24時間刺激した(阻害性ODNの濃度は図に記載されている)。24時間の刺激の後、培養上清を回収し、炎症性サイトカインの産生を評価した。IL−6及びTNFαの産生のレベルを、製造者のプロトコルにおいて記載されているように、ELISAによって測定した(R&D systems Co.Ltd、Minneapolis、USA)。
<実験結果>
図5に示されるように、マウスDC細胞系D2SC/1細胞において、CpG1826によって誘導されるIL−6及びTNFαの産生の両方は、阻害性ODNの付加によってブロックされた。IL−6及びTNFαの産生についての阻害活性の用量依存性が、各阻害性ODNにおいて裏付けられた。(CCT)9、(CCT)10、(CCT)11、(CCT)12、(CCT)14、及び(CCT)16は、CpG1826によって誘導されるIL−6及びTNFαの産生の両方を強力にブロックした。重要なことに、これらのODNの有効性は(CCT)8の有効性よりもはるかに良好であった。図5Bに示されるように、0.1μΜでの(CCT)8は、CpG1826によって誘導されるTNFαの産生をほとんど阻害しなかった。しかし、同一の濃度での(CCT)10、(CCT)11、(CCT)12、(CCT)14、及び(CCT)16は、TNFαの産生を強力に阻害した。このデータは、(CCT)10、(CCT)11、(CCT)12、(CCT)14、及び(CCT)16が、マウス細胞において、TLR9の刺激について(CCT)8よりもはるかに良好な阻害的影響を有することを示す。
D−ガラクトサミンで前感作された、CpG ODNを有するマウスが、過剰な免疫反応の誘導が原因で、サイトカイン介在性の致死的ショックを発症することが記載された(Peter M,et al.Immunology.2008 Jan;123(1):118〜28)。血漿サイトカインの分析によって、TNFαなどの炎症性サイトカインの過剰産生が明らかになった(Marshall AJ,et al.Infect Immun.1998 Apr;66(4):1325〜33;Peter M,Bode K,et al.Immunology.2008 Jan;123(1):118〜28)。本発明者らが評価したODNは、TLR9の刺激によって誘導されるマウス細胞からのTNFαの産生を強力に阻害する。サイトカイン介在性の致死的ショックは、敗血性ショック(Slifka MK,et al.J Mol Med.2000;78(2):74〜80;Espat NJ,et al.J Surg Res.1995 Jul;59(1):153〜8)及び多臓器不全症候群(MODS)(Wang H,et al.Am J Emerg Med.2008 Jul;26(6):711〜5)の一因となるため、本発明者らが評価したODNは、サイトカイン介在性の致死的ショックから宿主を救うことによる、敗血症及びMOGSの治療のための治療薬として用いることができる。
(例5)
TLR9アゴニストで刺激されたヒトPBMCからのIFNαの産生に対する阻害性ODNの抑制活性。
<実験方法>
以下の試料において用いるヒト末梢単核球(huPBMC)を、フィコールハイパック(Pharmacia)密度勾配遠心分離によって末梢血から単離した(P.M.Daftarian et al.,(1996):Journal of Immunology,157,12〜20)。細胞を、10%FCS(v/v)及び抗生物質(1ml当たり100IUのペニシリン及び1ml当たり100IUのストレプトマイシン)を補ったRPMIにおいて、37℃で、5%C02加湿インキュベーター内で培養した。TLR9の刺激によって誘導されるPBMCからのIFNαの産生を評価した。簡潔に述べると、huPBMC(5×106個/ml)を96ウェル平底プレートに播種し、阻害性ODN(0.1μΜ)(CCT)8、(CCT)9、(CCT)10、(CCT)11、(CCT)12、(CCT)14、及び(CCT)16の存在下で、CpG2216(1μΜ)で刺激した。IFNαの産生のレベルを測定するために、培養上清を回収した。IFNαの産生のレベルを、製造者のプロトコルにおいて記載されているように、ELISAによって測定した(R&D systems Co.Ltd、Minneapolis、USA)。
<実験結果>
図6に示されるように、ヒトPBMCは、TLR9アゴニストCpG2216に応答してIFNαを産生した。(CCT)8は、CpG2216によって誘導されるIFNαの産生をブロックした。しかし、(CCT)8の抑制の有効性はそれほど強力ではなかった。(CCT)9、(CCT)10、(CCT)11、(CCT)12、(CCT)14、及び(CCT)16は、(CCT)8よりも、CpG2216によるIFNαの産生について良好な阻害活性を示した。特に、(CCT)11、(CCT)12、(CCT)14、及び(CCT)16は、CpG2216によって誘導されるIFNαの産生を強力に阻害した。これらの結果は、本発明者らが評価した阻害性ODNが、ヒトPBMCにおいて、TLR9及びIFNαの産生の阻害剤であり得ることを示す。IFNの増大した産生がSLEの発症の一因となることが十分に確立されている(Barrat FJ,et al.J Exp Med 2005;202:1131〜9;Wellmann U,et al.Proc Natl Acad Sci USA 2005;102:9258〜63)。内因性IFN誘導因子がSLE患者の血清内に存在することが報告されていることが実証されており(Kwok SK,et al.Arthritis Res Ther.2008;10(2):R29)、SLE患者は、IFNの産生の循環誘導因子を有し、SLE患者の血清は、健康な血液ドナーのPBMCの培養物において、TLR9を介してIFNの産生を誘導することが多い。本発明者らが調べたODNはIFNαの産生を効率的にブロックし得たため、本発明者らが評価したODNは、IFNの産生を阻害することによる、SLE患者の治療のための治療薬として用いることができる。
(例6)
TLR7/8の刺激によって誘導されるNF−κΒの活性化に対する阻害性ODNの抑制活性の比較
<実験方法>
CAL−1/NFκΒ−GFP細胞(1×105個/ウェル)を、先に記載した阻害性ODNと共に、2時間プレインキュベートした。細胞を、TLR7/8アゴニストガーディキモド又はCL264(Invivogen、USA)で、4時間刺激した。各条件におけるGFP発現レベルを、フローサイトメーター(FACS Calibur、BD Bioscience Co.Ltd)によって評価した。図7(A)CAL−1/NFκΒ−GFP細胞を、(CCT)6、(CCT)7、及び(CCT)8(0.1uM、0.3uM、及び1.0uM)の存在下で、TLR7/8アゴニストガーディキモド(2μg/ml)で、4時間刺激した。ガーディキモド単独でのGFP陽性細胞のパーセンテージを、グラフにおいて100%と規定した。各条件におけるGFP陽性のパーセンテージを、数値から計算した。図7(B)CAL−1/NFκΒ−GFP細胞を、(CCT)8、(CCT)9、(CCT)10、(CCT)11、(CCT)12、(CCT)14、及び(CCT)16(0.01uM、0.03uM、及び0.1uM)の存在下で、TLR7/8アゴニストCL264(1μg/ml)で、4時間刺激した。各条件におけるGFP陽性のパーセンテージを、先に記載したように計算した。
<実験結果>
図7Aに示されるように、GFP発現は、ガーディキモドの刺激によってCAL−1/NFκΒ−GFP細胞において誘導され、このことは、NF−κΒの活性化がTLR7の刺激によって誘導されたことを示している。さらに、このGFP発現は、阻害性ODNの付加によってブロックされた。TLR7の刺激によるNF−κΒの活性化についての阻害活性の用量依存性が、各阻害性ODNにおいて裏付けられた。(CCT)6及び(CCT)7は、(CCT)8よりもガーディキモドの刺激について良好な活性を示し、一方、(CCT)8もまた、GFP発現をブロックした。重要なことに、1.0μΜでの(CCT)8の阻害活性もまた、0.1μΜでの(CCT)6及び(CCT)7の阻害活性と同一であった。このデータは、(CCT)6及び(CCT)7が、(CCT)8よりも、TLR7の刺激によって誘導されるNF−κΒの活性化の阻害について10倍高い有効性を有することを示す。図2に示されるように、(CCT)8は、(CCT)6及び(CCT)7よりも、TLR9の刺激について良好な阻害活性を示した。したがって、このことは、(CCT)6及び(CCT)7がTLR7の刺激について固有の阻害活性を有するが、TLR9の刺激については有さないことを示唆する。
図7Bに示されるように、GFP発現は、CAL−1/NFκΒ−GFP細胞において、CL264の刺激によって誘導され、このGFP発現は、阻害性ODNの付加によってブロックされた。(CCT)9、(CCT)10、(CCT)11、及び(CCT)12は、CL264の刺激によるGFP発現を効率的にブロックし、(CCT)8よりも良好な阻害活性を示した。これらの結果は、長いODNがTLR7の刺激について良好な阻害活性を有することを示唆するが、しかし、TLR7の刺激についての(CCT)14及び(CCT)16の阻害活性は、(CCT)12の活性よりもはるかに悪かった。このことは、(CCT)12が、TLR7の刺激によって誘導されるNF−κΒの活性の阻害について最大の有効性を有し得ることを示す。本発明者らのデータは、本発明者らが調べたODNがヒト細胞においてTLR7の刺激をブロックし得ることを提供する。制御されていないIFNの産生がSLEの発症の一因となることが実証されており(Barrat FJ,et al.J Exp Med 2005;202:1131〜9;Wellmann U,et al.Proc Natl Acad Sci USA 2005;102:9258〜63)、huPBMCからのIFNの産生が、TLR7の刺激によってもたらされた。
実施例の結果と組み合わせて、本発明者らが調べたODNは、TLR7又はTLR9の活性化を阻害することによる、SLEなどのTLR介在性の疾患の治療のための治療薬として用いることができる。
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。いくつかの実施形態が示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得る。

Claims (21)

  1. 以下の一または複数の選択されるオリゴヌクレオチドを有効成分として含有することを特徴とする、対象における免疫介在性の障害を治療するための医薬組成物:
    5’−cctcctcctcctcctcct−3’(配列番号15)、または
    5’−cctcctcctcctcctcctcct−3’(配列番号16)
    であって;
    免疫介在性の障害が、自己免疫疾患、又は過敏症、又は移植片拒絶、又は微生物による宿主免疫系の過剰刺激に関連する疾患、又はNF−κBの活性化によって生じるNF−κΒ介在性の疾患、又はToll様受容体(TLR)の活性化によって生じるTLR介在性の疾患、或いはインターフェロンまたは炎症性サイトカインの過剰産生によって生じるサイトカイン介在性の疾患である、上記医薬組成物。
  2. 前記オリゴヌクレオチドのリン酸骨格が、部分的に若しくは完全にホスホロチオエート修飾されているか、又は非修飾である、請求項1に記載の医薬組成物
  3. 前記オリゴヌクレオチドが、末端に1つのヌクレオチドを付加されており、かつTLR7/8の活性化を阻害する、請求項1又は2に記載の医薬組成物
  4. 前記オリゴヌクレオチドが、末端の1つのヌクレオチドが削除されており、かつTLR7/8の活性化を阻害する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  5. 前記オリゴヌクレオチドが、1つの塩基が変更されており、かつTLR7/8の活性化を阻害する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  6. 前記オリゴヌクレオチドが他のDNA分子、プラスミド、又はウイルスベクターの一部を構成する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の医薬組成物
  7. 前記オリゴヌクレオチドがさらにリン酸骨格のホスホロチオエート化以外の化学修飾を受けている、請求項1からまでのいずれか一項に記載の医薬組成物
  8. 前記オリゴヌクレオチドが、ペグ化を受けている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の医薬組成物
  9. 対象がヒト又は非ヒト脊椎動物である、請求項1からまでのいずれか一項に記載の医薬組成物
  10. 薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. 内投与、非経口投与、及び局所的投与、又は吸入を含む経路を介して対象に投与される、請求項1から10までのいずれか一項に記載の医薬組成物
  12. 独で又はさらなる活性成分と組み合わせて用いられる、請求項1から11までのいずれか一項に記載の医薬組成物
  13. 免疫介在性の障害が、TLRの活性化によって生じるTLR介在性の疾患である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の医薬組成物
  14. 免疫介在性の障害が、NF−κBの活性化によって生じるNF−κΒ介在性の疾患である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  15. 免疫介在性の障害が、インターフェロンの過剰産生によって生じるサイトカイン介在性の疾患である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  16. 免疫介在性の障害が、炎症性サイトカインの過剰産生によって生じるサイトカイン介在性の疾患である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  17. Toll様受容体(TLR)介在性の疾患が、敗血症、拡張型心筋症、糖尿病、自己免疫性脳脊髄炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、アテローム性動脈硬化症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、EAE、又は臓器不全である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  18. NF−κΒ介在性の疾患が、関節リウマチ(RA)、胃炎、又は炎症性腸疾患である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  19. サイトカイン介在性の疾患が、敗血症又は多臓器不全症候群(MODS)である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  20. 自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデス(SLE)、インスリン依存性(I型)糖尿病、炎症性関節炎、関節リウマチ、多発性硬化症、自己免疫性肝炎、慢性的侵攻性肝炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、悪性貧血の自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性精巣炎、後天性血友 病、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、ベーチェット症候群、心筋症、慢性的炎症性脱髄性多発性神経障害、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素症、多発性筋炎皮膚筋炎、円板状ループス、交感性眼炎、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛、線維筋炎、ギランバレー症候群、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、若年性関節炎、全身性硬化症、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、高免疫グロブリンE症候群、進行性全身性硬化症、乾癬、ライター症候群、サルコイドーシス、スティフマン症候群、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー疾患、悪性貧血、アジソン病、シェーグレン症候群、重症筋無力症、グレーブス病、アレルギー性脳脊髄炎、又は糸球体腎炎である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
  21. 過敏症がアレルギー性外因性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、全身性アナフィラキシー、自己免疫性溶血性貧血、胎児赤芽球症、グッドパスチャー疾患、アルサス反応、血清病、全身性エリテマトーデス、糸球体腎炎、接触皮膚炎及び同種移植片拒絶である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の医薬組成物
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