本発明は、CD79b抗体−薬物コンジュゲートを併用するがんの治療のための、Asn297においてオリゴ糖(糖類)の総量の60%以下の量のフコースを有する、IgG1又はIgG3アイソタイプのアフコシル化抗CD20抗体を含む。
本発明は、CD79b抗体−薬物コンジュゲートを併用するがんの治療のための医薬の製造のための、Asn297においてオリゴ糖(糖類)の総量の60%以下の量のフコースを有する、IgG1又はIgG3アイソタイプのアフコシル化抗CD20抗体の使用を含む。
一実施態様では、フコースの量は、フコースの量は、Asn297においてオリゴ糖(糖類)の総量の40%〜60%である。
用語「抗体」は、限定しないが、全抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、及びモノクローナル抗体、キメラ抗体又は組換え抗体のような遺伝子操作された抗体、並びに本発明による特徴的な特性を保持している限りそのような抗体の断片を含む、様々な形態の抗体を包含する。本明細書で使用される場合、用語「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」は、単一のアミノ酸組成物の抗体分子の調製物を指す。したがって、用語「ヒトモノクローナル抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する、単一の結合特異性を示す抗体を指す。一実施態様では、ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合するヒト軽鎖導入遺伝子及びヒト重鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する、トランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウスから得られるB細胞を含むハイブリドーマにより生成される。
用語「キメラ抗体」は、通常は組換えDNA技術によって調製される、一の供給源又は種由来の可変領域、即ち結合領域と、異なる供給源又は種由来の定常領域の少なくとも一部を含む、モノクローナル抗体を指す。マウス可変領域及びヒト定常領域を含むキメラ抗体が特に好ましい。そのようなマウス/ヒトキメラ抗体は、マウス免疫グロブリン可変領域をコードするDNAセグメントと、ヒト免疫グロブリン定常領域をコードするDNAセグメントとを含む、発現された免疫グロブリン遺伝子の産物である。本発明によって包含される「キメラ抗体」の他の形態は、クラス又はサブクラスが元の抗体のものから改変又は変更されたものである。そのような「キメラ」抗体は、「クラススイッチ抗体」とも称される。キメラ抗体を作製するための方法は、現在当技術分野で周知の一般的な組換えDNA及び遺伝子トランスフェクション技術を含む。例えば、Morrison, S.L., et al., Proc. Natl. Acad Sci. USA 81 (1984) 6851-6855;米国特許第5202238号及び米国特許第5204244号を参照のこと。
用語「ヒト化抗体」は、フレームワーク又は「相補性決定領域」(CDR)が、親免疫グロブリンのものと比較して異なる特異性を有する免疫グロブリンのCDRを含むように改変された抗体を指す。好ましい実施態様では、「ヒト化抗体」を調製するために、マウスCDRがヒト抗体のフレームワーク領域中に移植される。例えば、Riechmann, L., et al., Nature 332 (1988) 323-327; 及び Neuberger, M.S., et al., Nature 314 (1985) 268-270を参照のこと。特に好ましいCDRは、キメラ抗体及び二機能性抗体について上述した抗原認識配列を示すCDRに相当する。
本明細書で使用する用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことが意図される。ヒト抗体は当技術分野で周知である(van Dijk, M.A., 及び van de Winkel, J.G., Curr. Opin. Chem. Biol. 5 (2001) 368-374)。このような技術に基づき、広範な標的に対するヒト抗体を生成することができる。ヒト抗体の例は、例えばKellermann, S.A., et al., Curr Opin Biotechnol. 13 (2002) 593-597に記載されている。
本明細書において使用される「組換えヒト抗体」という用語は、NSO細胞若しくはCHO細胞等の宿主細胞から、又はヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体、或いは宿主細胞中にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現された抗体など、組換え手段により調製、発現、作製又は単離されたすべてのヒト抗体を含むことが意図される。このような組換えヒト抗体は、再配列された形態の、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する。本発明による組換えヒト抗体はインビボ体細胞超変異に供されている。したがって、組換え抗体のVH領域及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH配列及びVL配列に由来し、且つそれらに関連しているが、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内には天然に存在しないであろう配列である。
本明細書で使用される「結合する」又は「特異的に結合する」という表現は、抗体が、精製された野生型抗原を用いたインビトロアッセイ、好ましくはプラズモン共鳴アッセイ(BIAcore、GE−Healthcare Uppsala、Sweden)において腫瘍抗原のエピトープに結合することを指す。結合の親和性は、ka(抗体/抗原複合体からの抗体の解離の速度定数)、kD(解離定数)、及びKD(kD/ka)という観点から規定される。結合又は特異的結合は、10−8M以下、好ましくは10−8M〜10−13M(一実施態様では10−9M〜10−13M)の結合親和性(KD)を意味する。したがって、本発明によるアフコシル化抗体は、結合親和性(KD)10−8mol/l以下、好ましくは10−8M〜10−13M(一実施態様では10−9M〜10−13M)で腫瘍抗原に特異的に結合している。
本明細書で使用される場合、用語「核酸分子」は、DNA分子及びRNA分子を含むことを意図している。核酸分子は、一本鎖又は二本鎖でありうるが、好ましくは二本鎖DNAである。
「定常ドメイン」は、抗体の抗原への結合に直接的に関与していないが、エフェクター機能(ADCC、補体結合及びCDC)に関与している。
本明細書で使用される場合、「可変領域」(軽鎖の可変領域(VL)、重鎖の可変領域(VH))は、抗体の抗原への結合に直接関与する軽鎖及び重鎖の対の各々を意味する。可変ヒト軽鎖及び重鎖のドメインは同じ一般構造を有し、各ドメインは、三つの「超可変領域」(又は相補性決定領域、CDR)によって接続された、配列が広く保存されている四つのフレームワーク(FR)領域を含む。フレームワーク領域は、b−シートコンフォメーションをとり、CDRは、b−シート構造を接続するループを形成しうる。各鎖におけるCDRは、フレームワーク領域によりその三次元構造が保持され、もう一方の鎖に由来するCDRと共に抗原結合部位を形成する。
本明細書において使用される場合、「超可変領域」又は「抗体の抗原結合部分」という用語は、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」即ち「CDR」由来のアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」即ち「FR」領域は、本明細書で定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン領域である。したがって、抗体の軽鎖及び重鎖は、N末端からC末端へ、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4ドメインを含む。特に、重鎖のCDR3は、抗原結合に多くを寄与する領域である。CDR及びFR領域は、Kabat, et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)の標準定義によって決定される、及び/又は「超可変ループ」由来のそれら残留物である。
用語「アフコシル化抗体」は、低レベルのフコース残基を有するAsn297においてFc領域のグリコシル化パターンが改変されている、IgG1又はIgG3アイソタイプの(好ましくはIgG1アイソタイプの)抗体を指す。ヒトIgG1又はIgG3のグリコシル化は、2個までのGal残基で終結するコアフコシル化二分岐複合型オリゴ糖グリコシル化として、Asn297で生じる。これらの構造は、末端Gal残基の量に応じて、G0、G1(α−1,6若しくはα−1,3)、又はG2グリカン残基と命名される(Raju, T.S., Bioprocess Int. 1 (2003) 44-53)。抗体Fc部分のCHO型グリコシル化は、例えばRoutier, F.H., Glycoconjugate J. 14 (1997) 201-207によって記載されている。非糖修飾のCHO宿主細胞において組換え的に発現した抗体は、通常、少なくとも85%の量でAsn297でフコシル化されている。本明細書で使用される場合、アフコシル化抗体という用語は、そのグリコシル化パターンにフコースを有さない抗体を含むものと理解されたい。抗体中の典型的なグリコシル化残基の位置がEU番号付けシステムによる297位のアスパラギン(「Asn297」)であることが一般に既知である。
「EU番号付けシステム」又は「EUインデックス」は、免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基に言及するときに一般に使用される(例えば、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)に報告されているEUインデックス、本文献は引用により本明細書に援用される)。
本発明によるアフコシル化抗体は、フコースの量がAsn297においてオリゴ糖(糖類)の総量の60%以下である(Asn297においてFc領域のオリゴ糖の少なくとも40%以上がアフコシル化されていることを意味する)、IgG1又はIgG3アイソタイプの(好ましくはIgG1アイソタイプの)抗体を意味する。一実施態様では、フコースの量は、Asn297においてFc領域のオリゴ糖の40%〜60%である。別の実施態様では、フコースの量は50%以下であり、また別の実施態様では、フコースの量はAsn297においてFc領域のオリゴ糖の30%以下である。本発明によれば、「フコースの量」は、MALDI−TOF質量分析により測定されて平均値として算出される、297に結合したすべてのオリゴ糖(糖類)(例えば、複合体構造物、ハイブリッド構造物及び高マンノース構造物)の合計に関連した、Asn297においてオリゴ糖(糖類)鎖内部の前記オリゴ糖(フコース)の量を意味する(フコースの量を決定するための詳細な手順については国際公開第2008/077546号を参照)。一実施態様においては更に、Fc領域のオリゴ糖は二分されている。本発明によるアフコシル化抗体は、Fc領域内のオリゴ糖を部分的にフコシル化するために十分な量でGnTIII活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも一つの核酸を発現するように改変された糖修飾宿主細胞に発現されうる。一実施態様では、GnTIII活性を有するポリペプチドは融合ポリペプチドである。代替的に、宿主細胞のα1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性は、米国特許第6946292号によれば、糖修飾宿主細胞を生成するために、低減又は排除することができる。抗体のフコシル化の量は、例えば発酵条件(例えば発酵時間)によって又は異なるフコシル化の量を有する少なくとも二つの抗体の組み合わせによって、予め定めることができる。このようなアフコシル化抗体及びそれぞれの糖鎖工学法は、国際公開第2005/044859号、国際公開第2004/065540号、国際公開第2007/031875号、Umana, P., et al., Nature Biotechnol 17 (1999) 176-180、国際公開第99/154342号、国際公開第2005/018572号、国際公開第2006/116260号、国際公開第2006/114700号、国際公開第2005/011735号、国際公開第2005/027966号、国際公開第97/028267号、米国特許出願公開第2006/0134709号、米国特許出願公開第2005/0054048号、米国特許出願公開第2005/0152894号、国際公開第2003/035835号、国際公開第2000/061739号に開示されている。これらの糖改変抗体は増加したADCCを有する。本発明によるアフコシル化抗体を生産する他の糖鎖工学法は、Niwa, R.. et al., J. Immunol. Methods 306 (2005) 151-160; Shinkawa, T., et al., J. Biol. Chem, 278 (2003) 3466-3473;国際公開第03/055993又は米国特許出願公開第2005/0249722号に記載されている。
本発明の一態様は、CD79b抗体−薬物コンジュゲートを併用するがんの治療のための、Asn297においてオリゴ糖(糖類)の総量の60%以下の量のフコースを有する、CD20に特異的に結合するIgG1又はIgG3アイソタイプの(好ましくはIgG1アイソタイプの)アフコシル化抗CD20抗体である。本発明の別の態様は、CD79b抗体−薬物コンジュゲートを併用するがんの治療のための医薬の製造のための、Asn297においてオリゴ糖(糖類)の総量の60%以下の量のフコースを有する、CD20に特異的に結合するIgG1又はIgG3アイソタイプの(好ましくはIgG1アイソタイプの)アフコシル化抗CD20抗体の使用である。一実施態様では、フコースの量は、Asn297においてオリゴ糖(糖類)の総量の60%〜20%である。一実施態様では、フコースの量は、Asn297においてオリゴ糖(糖類)の総量の60%〜40%である。一実施態様では、フコースの量は、Asn297においてオリゴ糖(糖類)の総量の0%である。
CD20(Bリンパ球抗原CD20、Bリンパ球表面抗原B1、Leu−16、Bp35、BM5、及びLF5としても知られ;配列は、SwissProtデータベースエントリー番号P11836を特徴とする)は、プレB及び成熟Bリンパ球に位置して約35kDの分子量を有する疎水性膜貫通タンパク質である(Valentine, M.A. et al., J. Biol. Chem. 264 (1989) 11282-11287; Tedder, T.F., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85 (1988) 208-212; Stamenkovic, I., et al., J. Exp. Med. 167 (1988) 1975-1980; Einfeld, D.A., et al., EMBO J. 7 (1988) 711-717; Tedder, T.F., et al., J. Immunol. 142 (1989) 2560-2568)。対応するヒト遺伝子は、膜貫通4ドメイン、サブファミリーA、メンバー1であり、MS4A1としても知られる。この遺伝子は、膜貫通4A遺伝子ファミリーのメンバーをコードする。この新生タンパク質ファミリーのメンバーは、共通の構造的特徴及び類似のイントロン/エクソンのスプライス境界により特徴づけられ、造血細胞及び非リンパ系組織の中に固有の発現パターンを示す。この遺伝子は、B細胞の形質細胞への発達及び分化に参画するBリンパ球表面分子をコードする。このファミリーメンバーは、ファミリーメンバーのクラスターの中でも11q12に局在する。この遺伝子の選択的スプライシングは、同じタンパク質をコードする二つの転写変異体をもたらす。
用語「CD20」及び「CD20抗原」は、本明細書において区別せずに使用され、細胞により天然に発現されたか又はCD20遺伝子でトランスフェクトされた細胞上に発現したヒトCD20の任意の変異体、アイソフォーム及び種相同体を含む。本発明の抗体のCD20抗原への結合は、CD20を不活性化することにより、CD20を発現する細胞(例えば腫瘍細胞)の死滅を媒介する。CD20を発現する細胞の死滅は、以下の機序の一又は複数により生じうる:細胞死/アポトーシス誘発、ADCC及びCDC。
当技術分野で認識されているCD20の同義語は、Bリンパ球抗原CD20、Bリンパ球表面抗原B1、Leu−16、Bp35、BM5、及びLF5を含む。
本発明による用語「抗CD20抗体」は、CD20抗原に特異的に結合する抗体である。抗CD20抗原への抗CD20抗体の結合特性及び生物活性に応じて、抗CD20抗体の二つの型(I型及びII型抗CD20抗体)がCragg, M.S., et al., Blood 103 (2004) 2738-2743; and Cragg, M.S., et al., Blood 101 (2003) 1045-1052により区別される。表1を参照のこと。
II型抗CD20抗体の例には、例えばヒト化B−Ly1抗体IgG1(国際公開第2005/044859号に開示されるようなキメラヒト化IgG1抗体)、11B8 IgG1(国際公開第2004/035607号に開示)、及びAT80 IgG1が含まれる。典型的には、IgG1アイソタイプのII型抗CD20抗体は、特徴的なCDC特性を示す。IgG1アイソタイプのI型抗体と比較して、II型抗CD20抗体は、(IgG1アイソタイプの場合)減少したCDCを有する。
I型抗CD20抗体の例は、例えばリツキシマブ、HI47 IgG3(ECACC、ハイブリドーマ)、2C6 IgG1(国際公開第2005/103081号に記載)、2F2 IgG1(国際公開第2004/035607号及び同第2005/103081号に記載)及び2H7 IgG1(国際公開第2004/056312号に記載)を含む。
本発明によるアフコシル化抗CD20抗体は、一実施態様では、II型抗CD20抗体であり、別の実施態様ではアフコシル化ヒト化B−Ly1抗体である。
本発明によるアフコシル化抗CD20抗体は、フコースが低減していない抗CD20抗体とは異なり、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の増大を有する。
「抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の増大を有するアフコシル化抗CD20抗体」は、本明細書におけるこの用語の定義によれば、当業者に既知のいずれかの適切な方法により決定した場合にADCCの増大を有するアフコシル化抗CD20抗体を意味する。一つの受容されるインビトロADCCアッセイは以下の通りである:
1)アッセイは、抗体の抗原結合領域によって認識される標的抗原を発現することが既知である標的細胞を使用する;
2)アッセイは、エフェクター細胞として、無作為に選ばれた健常なドナーの血液から単離されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を使用する;
3)アッセイは、以下のプロトコールに従って実行される:
i)PBMCを、標準の密度遠心分離手順を用いて単離し、RPMI細胞培地において、5×106細胞/mlで懸濁する;
ii)標的細胞を、標準の組織培養法によって増殖させ、指数増殖期に90%を上回る生存率で回収し、RPMI細胞培地中で洗浄し、100マイクロキュリーの51Crで標識し、細胞培地で二回洗浄し、細胞培地中に105細胞/mlの密度で再懸濁する;
iii)100マイクロリットルの上記最終的な標的細胞懸濁液を、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに移す;
iv)抗体を、細胞培地において4000ng/mlから0.04ng/mlへ連続的に希釈し、得られた抗体溶液50マイクロリットルを96ウェルマイクロタイタープレートの標的細胞に加え、上記全濃度範囲をカバーする種々の抗体濃度を三重に試験する;
v)最大放出(MR)コントロールのために、標識した標的細胞を含むプレート内の更に3つのウェルに、抗体溶液(上記iv)の代わりに非イオン性洗剤(Nonidet、Sigma、St.Louis)の2%(VN)水溶液50マイクロリットルを入れる;
vi)自然放出(SR)コントロールのために、標識した標的細胞を含むプレート内の更に3つのウェルに、抗体溶液(上記iv)の代わりにRPMI細胞培地50マイクロリットルを入れる;
vii)次いで96ウェルマイクロタイタープレートを50×gで1分間遠心分離し、1時間4℃でインキュベートする;
viii)PBMC懸濁液50マイクロリットル(上記i)を各ウェルに加えて、エフェクター対標的の比を25:1とし、プレートを、5%のCO2雰囲気下で37℃で4時間インキュベーター内に置く;
ix)各ウェルの無細胞上清を回収し、γ計数器を用いて実験的に放出された放射能(ER)を定量化する;
x)特異的溶解のパーセンテージを、各抗体濃度について、式(ER−MR)/(MR−SR)×100(ERは、その抗体濃度について定量化された平均放射能(上記ix参照)であり、MRはMRコントロール(上記V参照)について定量化された平均放射能(上記ix参照)であり、SRはSRコントロール(上記vi参照)について定量化された平均放射能(上記ix参照)である)に従って算出する;
4)「ADCCの増大」は、上記試験された抗体濃度範囲内で観察される特異的溶解の最大パーセンテージの上昇、及び/又は上記試験された抗体濃度範囲内で観察される特異的溶解の最大パーセンテージの二分の一を達成するために必要な抗体濃度の低減と定義される。ADCCの増大は、同じ標準的な生成、精製、製剤化、及び貯蔵方法(当業者に既知の)を用いて、但しGnTIIIを過剰発現するように改変された宿主細胞により生成されたものでない、同じ型の宿主細胞により生成され、同じ抗体により媒介される、上記アッセイを用いて測定されたADCCと相対的なものである。
前記「ADCCの増大」は、前記抗体の糖鎖工学により得られ、これは、Umana, P., et al., Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180及び米国特許第6602684号に記載のように、モノクローナル抗体の前記天然の細胞媒介性エフェクター機能を、それらのオリゴ糖成分を操作することにより増強させることを意味する。
用語「補体依存性細胞傷害性(CDC)」は、補体の存在下での、本発明の抗体によるヒト腫瘍標的細胞の溶解を意味する。CDCは、好ましくは、補体の存在下で、本発明による抗CD20抗体を用いてCD20発現細胞の調製物を処理することにより測定される。CDCは、抗体が、4時間後に濃度100nMにおいて腫瘍細胞の20%以上の溶解(細胞死)を引き起こした場合に見出される。アッセイは、好ましくは51Cr又はEu標識した腫瘍細胞及び放出された51Cr又はEuの測定により実行される。コントロールには、補体を含むが抗体を含まない腫瘍標的細胞のインキュベーションが含まれる。
「リツキシマブ」抗体(参照抗体;I型抗CD20抗体の例)は、ヒトCD20抗原に対する遺伝子操作キメラヒトγ1マウス定常ドメイン含有モノクローナル抗体である。このキメラ抗体は、ヒトγ1定常ドメインを含み、1998年4月17日に発行され、IDEC Pharmaceuticals Corporationに付与された米国特許第5736137号(Andersen等)に「C2B8」という名称で同定されている。リツキシマブは、再発性又は難治性の低悪性度又は濾胞性のCD20陽性B細胞非ホジキンリンパ腫の患者の治療に対して承認されている。インビトロ作用機序研究は、リツキシマブがヒト補体依存性細胞傷害性(CDC)を呈することを示している(Reff, M.E., et. al, Blood 83(2) (1994) 435-445)。加えて、リツキシマブは、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を測定するアッセイにおいて有意な活性を呈する。リツキシマブはアフコシル化されない。
「ヒト化B−Ly1抗体」なる用語は、国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号に開示されたヒト化B−Ly1抗体を指し、これらは、マウスモノクローナル抗CD20抗体B−Ly1(マウス重鎖の可変領域(VH):配列番号1;マウス軽鎖の可変領域(VL):配列番号2(Poppema, S. and Visser, L., Biotest Bulletin 3 (1987) 131-139を参照)を、IgG1由来のヒト定常ドメインを用いてキメラ化し、続いてヒト化することにより取得された(国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号を参照)。これらの「ヒト化B−Ly1抗体」は、国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号に詳細に開示されている。
一実施態様において、「ヒト化B−Ly1抗体」は、配列番号3から配列番号19の群から選択される重鎖の可変領域(VH)を有する(国際公開第2005/044859及び国際公開第2007/031875号のB−HH2からB−HH9及びB−HL8からB−HL17)。特定の実施態様において、このような可変ドメインは、配列番号3、4、7、9、11、13及び15からなる群より選択される(国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号のB−HH2、BHH−3、B−HH6、B−HH8、B−HL8、B−HL11及びB−HL13)。特定の実施態様において、「ヒト化B−Ly1抗体」は、配列番号20の軽鎖(VL)の可変領域(国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号のB−KV1)を有する。特定の実施態様において、「ヒト化B−Ly1抗体」は、配列番号7の重鎖の可変領域(VH)(国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号のB−HH6)と、配列番号20の軽鎖の可変領域(VL)(国際公開第2005/044859号及び国際公開第2007/031875号のB−KV1)を有する。更に、一実施態様において、ヒト化B−Ly1抗体は、IgG1抗体である。本発明によれば、かかるアフコシル化ヒト化B−Ly1抗体は、国際公開第2005/044859号、国際公開第2004/065540号、国際公開第2007/031875号、Umana, P. et al., Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180及び国際公開第99/154342号に記載された手順に従ってFc領域において糖改変(GE)される。一実施態様では、アフコシル化糖改変ヒト化B−Ly1はB−HH6−B−KV1 GEである。一実施態様では、抗CD20抗体はオビヌツズマブ(WHO Drug Information, Vol. 26, No. 4, 2012, p. 453で推奨されるINN)。本明細書で使用される場合、オビヌツズマブは、GA101の同義語である。これは、全ての旧版を差し替え(例えばVol. 25, No. 1, 2011, p.75-76)、元はアフツズマブとして知られていたものである(WHO Drug Information, Vol. 23, No. 2, 2009, p. 176;Vol. 22, No. 2, 2008, p. 124で推奨されるINN)。
このような糖改変ヒト化B−Ly1抗体は、Fc領域において改変されたグリコシル化パターンを有しており、好ましくは、フコース残基のレベルが低下している。一実施態様では、フコースの量はAsn297のオリゴ糖の総量の60%以下である(一実施態様では、フコースの量は40%〜60%であり、別の実施態様では、フコースの量は50%以下であり、更に別の実施態様では、フコース量は30%以下である)。別の実施態様では、Fc領域のオリゴ糖は好ましくは二分されている。これらの糖改変ヒト化B−Ly1抗体は増加したADCCを有する
特に断らない限り、本明細書で使用される用語「CD79b」は、霊長類(例えばヒト、カニクイザル(cyno))及びげっ歯類(例えば、マウス、ラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物由来の任意の天然型CD79bを指す。ヒトCD79bは、本明細書では「PRO36249」(配列番号22)とも呼ばれ、本明細書で「DNA225786」とも呼ばれるヌクレオチド配列(配列番号21)によってコードされる。カニクイザルCD79bは、本明細書では「cyno CD79b」又は「PRO283627」(配列番号80)とも呼ばれ、本明細書で「DNA548455」とも呼ばれるヌクレオチド配列(配列番号79)によってコードされる。用語「CD79b」は、「完全長」の、未処理のCD79b並びに細胞内でのプロセシングから生じた任意の形態のCD79b包含する。この用語は、天然に存在するCD79bの変異体、例えばスプライスバリアント、対立遺伝子変異体及びアイソフォームも包含する。本明細書に記載されるCD79bポリペプチドは、様々な供給源、例えばヒト組織型から又は別の供給源から単離することができるか、又は組換え若しくは合成法により調製される。「天然配列CD79bポリペプチド」は、天然由来の対応するCD79bポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。このような天然配列CD79bポリペプチドは、自然から単離することができるか、又は組換え手段若しくは合成手段により生成することができる。用語「天然配列CD79bポリペプチド」は、具体的には、特異的なCD79bポリペプチドの天然に存在する切断型又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列)、ポリペプチドの天然に存在する変異形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及び天然に存在する対立遺伝子変異体を包含する。
「MA79b」又は「マウスCD79b抗体」又は「マウス抗CD79b抗体」は、本明細書では具体的には、配列番号26(図7)の軽鎖可変ドメイン及び配列番号29(図8)の重鎖可変ドメインを含む、マウス抗CD79bモノクローナル抗体を指すために使用される。マウス抗CD79bモノクローナル抗体は、Biomeda(抗ヒトCD79b抗体;Foster City, CA)、BDbioscience(抗ヒトCD79b抗体;San Diego, CA)又はAncell(抗ヒトCD79b抗体;Bayport, MN)といった商業的供給源から購入することができるか、又は1993年7月20日にATCCに寄託された、ハイブリドーマクローン3A2−2E7アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)寄託指定番号HB11413から生成することができる。
「chMA79b」又は「キメラMA79b抗体」は、本明細書において、具体的には、配列番号23の軽鎖を含むキメラ抗ヒトCD79b抗体(米国特許出願第11/462,336号(2006年8月3日出願)に以前記載された)を指すために使用される。配列番号23の軽鎖は更に、配列番号26(図7)の可変ドメイン及びヒトIgG1の軽鎖定常ドメインを含む。キメラ抗CD79b抗体は更に、配列番号24の重鎖を含む。配列番号24の重鎖は更に、配列番号29(図8)の可変ドメイン及びヒトIgG1の重鎖定常ドメインを含む。
「抗cynoCD79b」又は「抗cyno CD79b」は、本明細書において、cyno CD79bに結合する抗体(2006年8月3日出願の米国特許出願第11/462336号に以前に記載された配列番号80)を指すために使用される。「抗cynoCD79b(ch10D10)」又は「ch10D10」は、本明細書において、cynoCD79b(配列番号80)に結合するキメラ抗cynoCD79b(2006年8月3日出願の米国特許出願第11/462336号に以前に記載された)を指すために使用される。抗cynoCD79b(ch10D10)又はch10D10は、配列番号81の軽鎖を含むキメラ抗cynoCD79b抗体である。抗cynoCD79b(ch10D10)又はch10D10は更に、配列番号82の重鎖を含む。
「MA79b移植片」又は「MA79b移植「ヒト化」抗体」又は「huMA79b移植片」は、本明細書において、具体的には、マウス抗CD79b抗体(MA79b)由来の超可変領域を、R71A、N73T及びL78によりヒトサブグループIIIコンセンサスVH(huIII)及びアクセプターヒトコンセンサスVL κI(huKI)中に移植することにより生成される移植片を指すために使用される(Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992))(配列番号27(図7)及び配列番号30(図8)参照)。
用語「抗CD79b抗体」、又は「CD79bに結合する抗体」は、CD79bを標的とするうえで診断薬剤及び/又は治療的薬剤として有用であるように十分な親和性でCD79bに結合することができる抗体を指す。好ましくは、抗CD79b抗体の、無関係な、非CD79bタンパク質への結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合、抗体のCD79bへの結合の約10%未満である。特定の実施態様において、CD79b標的に結合する抗体の解離定数(Kd値)は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、又は≦0.1nMである。特定の実施態様において、抗CD79b抗体は、異なる種由来のCD79bの中で保存されているCD79bのエピトープに結合する。用語「抗CD79b抗体」は特に、引用により本明細書に包含される国際公開第2009/099728号に開示されるいずれかの抗CD79b抗体を指す。
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定及び分離され、及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分は、その抗体の治療的使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質を含みうる。好ましい実施態様において、抗体は、(1)ローリー法で決定される抗体の95重量%を超えるまで、及び最も好ましくは99重量%を超えるまで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに充分な程度まで、又は(3)クーマシーブルー又は好ましくは銀染色を使用した還元又は非還元条件下でのSDS−PAGEにより均一になるまで精製される。単離された抗体は、抗体の自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないため、組換え細胞内のin situの抗体を含む。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一つの精製工程により調製される。
基本的な4鎖抗体単位は、二つの同一の軽(L)鎖と二つの同一の重(H)鎖からなるヘテロ四量体の糖タンパク質である(IgM抗体は、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドを伴う基本的なヘテロ四量体単位5個からなり、したがって10個の抗原結合部位を有し、一方分泌型IgA抗体は、重合して、J鎖を伴う基本的な4鎖単位2〜5個を含む多価の集合体を形成することができる。IgGの場合、4鎖単位は通常約150000ダルトンである。各L鎖は、一の共有ジスルフィド結合によりH鎖にリンクし、二つのH鎖は、H鎖のアイソタイプにより一又は複数のジスルフィド結合により互いにリンクしている。また、各H及びL鎖は、一定の間隔で位置する鎖内ジスルフィド架橋を有する。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)を有し、それにα鎖及びγ鎖の各々につき三つの定常ドメイン(CH)と、アイソタイプμ及びεの各々につき四つのCHドメインが続く。各L鎖はN末端に可変ドメイン(VL)を有し、それにその他端の定常ドメイン(CL)が続く。VLはVHと整列しており、CLは重鎖の第1の定常ドメインと(CH1)整列している。特定のアミノ酸残基は、軽鎖及び重鎖可変ドメイン間の境界面を形成すると考えられる。一つのVHと一つのVLを合わせたペリングは、単一の抗原結合部位を形成する。抗体の異なる種類の構造及び特性については、例えばBasic and Clinical Immunology, 8th edition, Daniel P. Stites, Abba I. Terr and Tristram G. Parslow (eds.), Appleton and Lange, Norwalk, CT, 1994, page 71 and Chapter 6を参照されたい。
任意の脊椎動物種由来のL鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる二つの明確に区別される型の一つに割り当てることができる。その重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なる種類又はアイソタイプに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの種類、即ち:それぞれα、δ、ε、γ、及びμと命名される重鎖を有するIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがある。γ及びαの種類は、CH配列及び機能の比較的小さな差異に基づいて、更にサブクラスに分割され、例えばヒトは以下のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2。
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の重鎖又は軽鎖のN末端ドメインを指す。重鎖の可変ドメインを「VH」と称する。軽鎖の可変ドメインを「VL」と称する。これらドメインは、抗体の通常最も可変度の高い部分であり、抗原結合部位を含んでいる。
用語「可変」は、可変ドメインの特定のセグメントは抗体間で配列が広範囲に異なるという事実を指す。Vドメインは、抗原結合を媒介し、その特定の抗原に関する特定の抗体の特異性を定義する。しかしながら、可変性は、可変ドメインの110個のアミノ酸範囲にわたって一様に分布してはいない。そうではなく、V領域は、それぞれ9〜12アミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極度に可変性のより短い領域で分割された、15〜30個のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変のストレッチからなる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ四つのFRを含み、大部分がβシート構成をとり、三つの超可変領域により繋がっており、この三つの超可変領域はβシート構造と繋がり、場合によってはβシート構造の一部を形成する、ループを形成する。各鎖の超可変領域は、FRにより互いに極めて近接した状態で保持され、他の鎖由来の超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)を参照)。定常ドメインは、抗原との抗体の結合には直接関わっていないが、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)における抗体の関与など、多様なエフェクター機能を呈する。
「インタクトな」抗体は、抗原結合部位と、CL、及び少なくとも重鎖定常ドメインCH1、CH2及びCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体でありうる。好ましくは、インタクトな抗体は、一又は複数のエフェクター機能を有する。
本明細書における目的のための「ネイキッド抗体」は、細胞傷害性部分又は放射標識にコンジュゲートされない抗体である。
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部分、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体(米国特許第5641870号、実施例2;Zapata et al., Protein Eng. 8(10): 1057-1062 [1995]参照);一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。一実施態様では、抗体断片は、インタクトな抗体の抗原結合部位を含み、したがって抗原結合能を保持している。
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる二つの同一の抗原結合断片と、残りの「Fc」断片が生じ、消化は容易に結晶化する能力を反映している。Fab断片は、L鎖全体並びにH鎖の可変領域ドメイン(VH)、及び一つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。各Fab断片は、抗原結合に関して一価であり、即ち単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により単一の大きなF(ab’)2断片が生じ、これは凡そ、二価の抗原結合活性を有するジスルフィド結合した二つのFab断片に対応し、依然として抗原に架橋することができる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の一又は複数のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端に数個の残基を更に有している点でFab断片とは異なる。Fab’−SHは、本明細書において、Fab’の一般名称であり、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を持つ。F(ab’)2抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生成された。抗体断片の他の化学結合も知られている。抗体断片の他の化学結合も知られている。
Fc断片は、ジスルフィドによって一緒に保持された両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域内の配列によって決定される。この領域は、特定の細胞型に見られるFc受容体(FcR)によって認識される部分でもある。
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小抗体断片である。この断片は、一つの重鎖及び一つの軽鎖可変領域ドメインが、堅固な非共有結合をなした二量体からなる。単鎖Fv(scFv)種では、柔軟なペプチドリンカーによって一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインが共有結合性に連結することができ、よって軽鎖及び重鎖は、二本鎖Fv種におけるものと類似の「二量体」構造に結合することができる。これら二つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に対する抗原結合特異性を付与する六つの超可変ループ(H鎖及びL鎖それぞれ由来の3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な三つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも親和性が低くなるが、抗原を認識てし結合する能力を有している。
「sFv」又は「scFv」とも略される「単鎖Fv」は、単一ポリペプチド鎖中に接続するVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはsFvが抗原結合に所望の構造を形成することを可能にする。sFvの総説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994); Borrebaeck 1995, infraを参照のこと。
用語「ダイアボディ」は、二つの抗原結合部位を持つ抗体断片を指し、その断片は、同一ポリペプチド鎖(VH−VL)の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。この小さな抗体断片は、sFv断片(前段落参照)を、VHドメインとVLドメインの間に短いリンカー(約5〜10の残基)を用いて、Vドメインの鎖内ペアリングではなく鎖間ペアリングを達成させることにより二価の断片、即ち二つの抗原結合部位を有する断片をつくることにより調製される。ダイアボディは二価でも二特異性でもよい。二重特異性ダイアボディは、二つの抗体のVHドメインとVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する二つの「クロスオーバー」Fv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、EP404097号;国際公開第93/11161号;Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003); 及びHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)に更に詳細に記載されている。トリアボディ及びテトラボディもHudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003)に記載されている。
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、即ち、少量で存在しうる可能な天然発生変異体を除き、集団を構成する個々の抗体は同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。更に、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体によって汚染されずに合成されうるという点で有利である。修飾語の「モノクローナル」は、いずれかの特定の方法による抗体の生成を必要とするものではない。例えば、本発明に有用なモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法により作製されてもよく、又は、細菌、真核生性動物又は植物細胞における組換えDNA法を用いて作製されてもよい(例えば、米国特許第4816567号参照)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al., Nature 352:624-628 (1991)及びMarks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)に記載されている技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
本明細書においてモノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分は特定の種に由来する抗体又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一若しくは相同であるが、鎖(複数可)の残りの部分は別の種に由来する抗体又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一若しくは相同である、「キメラ」抗体、並びに、所望の生物学的活性を呈するものである限りそのような抗体の断片を含む(例えば、米国特許第4816567号;及びMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。本明細書における目的のキメラ抗体は、非ヒト霊長動物(例:旧世界サル、類人猿など)に由来する可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む。
非ヒト(例えばげっ歯類)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト抗体に由来する最小配列を含むキメラ抗体である。大抵の場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基が、非ヒト種、例えば、所望の抗体特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長動物の超可変領域(ドナー抗体)由来の残基により置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例においては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられている。更に、ヒト化抗体はレシピエント抗体又はドナー抗体において見い出されない残基を含みうる。これらの修飾は、抗体性能を更に洗練させるためになされる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも一つ、典型的には二つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、超可変ループのすべて又は実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRのすべて又は実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のものである。また、ヒト化抗体は、場合によっては、免疫グロブリン、通常はヒト免疫グロブリンの定常領域(Fc)の少なくとも一部を含む。更なる詳細については、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照のこと。以下の概説文献及び本明細書の引用文献も参照されたい:Vaswani and Hamilton, Ann. Allergy, Asthma and Immunol., 1:105-115 (1998); Harris, Biochem. Soc. Transactions, 23:1035-1038 (1995); Hurle and Gross, Curr. Op. Biotech., 5:428-433 (1994)。
抗体に言及して本明細書で使用される「Thio」は、システイン操作抗体を指し、抗体に言及して本明細書で使用される「hu」はヒト化抗体を指す。
「ヒト抗体」は、ヒトによって生成される抗体のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するもの、及び/又は本明細書に記載の、ヒト抗体を製造するための任意の技術を使用して製造されたものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む、当技術分野で既知の様々な技術を用いて生成することができる。Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991)。ヒトモノクローナル抗体の調製にやはり利用可能であるのは、Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985); Boerner et al., J. Immunol., 147(1):86-95 (1991)に記載の方法である。van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol., 5: 368-74 (2001)も参照されたい。ヒト抗体は、抗原を、抗原曝露に応答してこのような抗体を生成するように修飾されているが、その内因性座位が無能にされているトランスジェニック動物、例えば免疫化是のマウスに投与することにより調製することができる(例えば、XENOMOUSETM技術に関する米国特許第6075181号及び6150584号参照)。例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により精製されたヒト抗体に関するLi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562 (2006)も参照されたい。
本明細書で使用される用語「超可変領域」、「HVR」又は「HV」は、配列が超可変である、及び/又は構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般的に、抗体は、VHに三つ(H1、H2、H3)、及びVLに三つ(L1、L2、L3)の計六つの超可変領域を含む。複数の超可変領域の描写が使用されており、本明細書に含まれる。Kabat相補性決定領域(CDR)は配列可変性に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))。Chothiaは、代わりに構造的ループの位置に言及している(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。Kabat番号付け法を用いて番号付けした場合のChothia CDR−H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32とH34の間で変化する(これは、Kabat番号付け式ではH35AとH35Bに挿入を置くために;35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終端し;35Aのみが存在する場合、ループは33で終端し;35A及び35Bの両方が存在する場合、ループは34で終端することによる)。AbMの超可変領域は、Kabat CDRとChothia構造的ループの間の妥協を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。「接触」超可変領域は、利用できる複合体結晶構造の解析に基づく。これらの超可変領域の各々由来の残基は以下に記される。
超可変領域は、以下のような「拡張された超可変領域」を含んでいてよい:VLの24〜36又は24〜34(L1)、46〜56又は50〜56(L2)及び89〜97(L3)、並びにVHの26〜35B(H1)、50〜65、47〜65又は49〜65(H2)及び93〜102、94〜102又は95〜102(H3)。可変ドメイン残基には、これら各々の定義のために、上掲のKabat等,に従って番号を付した。
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書で定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
用語「Kabatの可変ドメイン残基番号付け」又は「Kabatのアミノ酸位置の番号付け」及びそれらの変形は、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)の抗体の編集の軽鎖可変ドメイン又は重鎖可変ドメインに対して用いられる番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを用いると、実際の線状のアミノ酸配列は、可変ドメインのFR又はHVRの短縮物又はそれらへの挿入物に相当する、より少ないアミノ酸又は付加的なアミノ酸を含みうる。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入物(Kabatによれば残基52a)及び重鎖FR残基82の後に挿入残基(例えば、Kabatによれば残基82a、82b及び82cなど)を含みうる。残基のKabat番号付けは、「標準的な」Kabat番号付けをされた配列と、抗体の配列相同性がある領域において配列比較することにり、所与の抗体について決定されうる。
Kabatナンバリングシステムは一般に、可変ドメイン内の残基(およそ軽鎖の残基1〜107及び重鎖の残基1〜113)に言及するときに用いられる(例えば、Kabat et al., Sequences of Immunological Interest. 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))。免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基に言及する場合には、一般に「EU番号付けシステム」又は「EUインデックス」を用いる(例えば、上掲のKabat等に記載のEUインデックス)。「KabatのEUインデックス」はヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。本明細書では、特に明記しない限り、抗体の可変ドメイン内の残基番号の参照は、Kabat番号付けシステムによる残基の番号付けを意味する。本明細書では、特に明記しない限り、抗体の定常ドメイン内の残基番号の参照は、EU番号付けシステムによる残基の番号付けを意味する(例えば、米国特許仮出願第60/640323号、EUナンバリングの図参照)。
「親和性成熟」抗体は、その一又は複数のHVRに一又は複数の改変を含むことにより、そのような改変を有さない親抗体と比較して抗原に対する抗体の親和性が向上している抗体である。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対して、ナノモル単位の、場合によってはピコモル単位の親和性を有する。親和性成熟抗体は、当技術分野において既知の手順により生成される。Marks et al. Bio/Technology 10:779-783 (1992)には、VH及びVLドメインのシャフリングによる親和性成熟が記載されている。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は:Barbas et al. Proc Nat. Acad. Sci, USA 91:3809-3813 (1994); Schier et al. Gene 169:147-155 (1995); Yelton et al. J. Immunol. 155:1994-2004 (1995); Jackson et al., J. Immunol. 154(7):3310-9 (1995); and Hawkins et al, J. Mol. Biol. 226:889-896 (1992)に記載されている。
「阻止」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、結合する抗原の生物活性を阻害又は低減する抗体である。好ましい阻止抗体又はアンタゴニスト抗体は、実質的に又は完全に抗原の生物活性を阻害する。
本明細書で使用される「アゴニスト抗体」は、対象のポリペプチドの機能的活性の少なくとも一つを模倣する抗体である。
「種依存性抗体」、例えば哺乳動物の抗ヒトIgE抗体は、第一の哺乳動物種由来の抗原に対し、第二の哺乳動物種由来の抗原の相同体に対して有している結合親和性よりも強力な結合親和性を有する抗体である。通常、種依存性抗体は、ヒト抗原と「特異的に結合」する(即ち、1×10−7M、好ましくは約1×10−8以下、及び最も好ましくは約1×10−9M以下の結合親和性(Kd)値を有する)が、ヒト抗原に対するその結合親和性よりも弱い、少なくとも約50分の一、又は少なくとも約500分の一、又は少なくとも約1000分の一の、第二の非ヒト哺乳動物種由来の抗原の相同体に対する結合親和性を有する。種依存性抗体は、上で定義した様々な型の抗体のいずれとすることもできるが、好ましくはヒト化又はヒト抗体である。
一般的に、「結合親和性」は、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有の相互作用の総和の強度を指す。本明細書で使用する場合、特に断らない限り、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映している本質的な結合親和性を指す。そのパートナーYに対する分子Xの親和性は、一般的に解離定数(Kd)で表すことができる。親和性は、本明細書に記載したものを含む、当技術分野で知られている一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は通常、抗原にゆっくり結合して素早く解離する傾向があるのに対し、高親和性抗体は通常、抗原により速く結合し、より長く結合を維持する傾向がある。結合親和性の種々の測定方法は当技術分野において周知であり、それらの何れも本発明の目的ために用いることができる。特定の説明的実施態様を後述する。
本明細書において結合親和性に言及して使用される「又はそれより良好」という表現は、分子とその結合パートナーの間のより強い結合を指す。本明細書で使用される「又はそれより良好」という表現は、数字的なKd値がより小さいことによって表されるより強い結合を指す。例えば、抗原に対して「0.6nM又はそれより良好」の親和性を有する抗体、抗体の抗原に対する親和性は<0.6nM、即ち0.59nM、0.58nM、0.57nMなど、又は0.6nM未満のいずれかの値である。
一実施態様では、本発明による「Kd」又は「Kd値」は、抗原に対するFabの溶液結合親和性を、標識されていない抗原の滴定系列の存在下において、最小濃度の(125I)−標識抗原でFabを均衡化し、次いで抗Fab抗体でコートされたプレートに結合した抗原を捕獲することにより測定する以下のアッセイにより記載されるように、対象の抗体のFabバージョンとその抗原を用いて実行される放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される(Chen, et al., (1999) J. Mol Biol 293:865-881)。アッセイ条件を確立するために、マイクロタイタープレート(Dynex)を、5μg/mlの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)を含む50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)にて一晩コートし、その後2%(w/v))のウシ血清アルブミンを含むPBSにて室温(およそ23℃)で2〜5時間ブロックする。非吸着プレート(Nunc#269620)内で、100pM又は26pMの[125I]−抗原を、段階希釈した目的のFabと混合する(例えば、Presta et. al., (1997) , Cancer Res. 57: 4593-4599の抗VEGF抗体、Fab−12の評価と一致)。次いで目的のFabを一晩インキュベートする;しかしながら、インキュベーションは平衡状態に達したことを確認するまでの期間(例えば65時間)延長してもよい。その後、混合物を捕獲プレートに移し、室温で(例えば1時間)インキュベートする。次いで、溶液を取り除き、プレートを0.1%のTween−20を含むPBSにて八回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルの閃光物質(MicroScint−20;Packard)を加え、プレートをTopcountガンマカウンター(Packard)で10分間計測する。最大結合の20%以下濃度のFabを選択してそれぞれ競合結合測定に用いる。
別の実施態様によれば、10反応単位(RU)の固定した抗原CM5チップを用いて25℃でBIAcoreTM−2000又はBIAcoreTM−2000(BIAcore,Inc./ニュージャージー州ピスカタウェイ)を使用する表面プラズモン共鳴アッセイを使用することによりKd値を測定する。簡潔には、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5,BIAcore Inc.)を、供給業者の指示書に従ってN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化する。抗原を10mM酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入する。抗原の注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入する。反応速度論的な測定のために、Fabの2倍の段階希釈(0.78nM〜500nM))を、25℃で、およそ25ul/分の流速で0.05%Tween 20(PBST)を含むPBSに注入する。会合及び解離センサーグラムを同時にフィットさせることによる単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIAcore Evaluation Software version3.2)を用いて、会合速度(kon)と解離速度(koff)を算出する。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出する。例えば、Chen, Y., et al., (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照されたい。上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる会合速度が106 M−1 S−1を上回る場合、会合速度は、分光計、例えば流動停止を備えた分光光度計(Aviv Instruments社製)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM−Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される漸増濃度の抗原の存在下において、25℃で、PBS(pH7.2)中20nM抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)の増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて決定することができる。
本発明による「on−rate」又は「会合の速度」又は「会合速度」又は「kon」は、上述のように、BIAcoreTM−2000又はBIAcoreTM−3000(BIAcore、Inc./ニュージャージー州ピスカタウェイ)を用いた上述と同じ表面プラズモン共鳴法により決定することができる。
本明細書で使用される表現「実質的に類似」又は「実質的に同じ」は、当業者が、二つの値の間の差異が、前記値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特性という脈絡の中で、わずかに又は全く生物学的及び/又は統計学的有意性がないと考えるために、二つの数値(通常、一つは本発明の抗体に関連するもの、他方は参照/比較抗体に関連するもの)の間の十分に高い類似性を意味する。前記二つの値の間の差異は、基準/比較抗体の値の関数として、好ましくは約50%未満、好ましくは約40%未満、好ましくは約30%未満、好ましくは約20%未満、好ましくは約10%未満である。
本明細書で使用される表現「実質的に低減」又は「実質的に異なる」は、当業者が、二つの値の間の差異が、前記値(例えば、Kd値、HAMA応答)によって測定される生物学的特性という脈絡の中で、統計学的に有意であると考えるために、二つの数値(通常、一つは本発明の抗体に関連するもの、他方は参照/比較抗体に関連するもの)の間の十分に高い相違性を意味する。前記二つの値の間の差異は、基準/比較抗体の値に応じて、好ましくは約10%より大きい、好ましくは約20%より大きい、好ましくは約30%より大きい、好ましくは約40%より大きい、好ましくは約50%より大きい。
「抗原」は、抗体が選択的に結合することができる所定の抗原である。標的抗原は、ポリペプチド、炭化水素、核酸、脂質、ハプテン又は他の天然に存在する化合物若しくは合成の化合物とすることができる。好ましくは、標的抗原はポリペプチドである。
本明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来するVLフレームワーク又はVHフレームワークのアミノ酸配列を含有するフレームワークである。ヒト免疫グロブリンのフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同一のアミノ酸配列を含んでもよく、又は既存のアミノ酸配列の変化を含んでもよい。既存のアミノ酸変化が存在する場合、好ましくは5以下の、好ましくは4以下の、又は3以下の、既存のアミノ酸変化が存在する。既存のアミノ酸変化がVHに存在する場合、好ましくは、それら変化は位置71H、73H及び78Hのうちの三つのみ、二つのみ、又は一つのみであり;例えば、それら位置のアミノ酸残基は71A、73T及び/又は78Aである。一実施態様において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンのフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と、配列が同一である。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に存在するアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的には、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからのものである。一般的には、配列のサブグループはKabat et al.のサブグループである。一実施態様において、VLについて、サブグループはKabat et al.のサブグループカッパIである。一実施態様において、VHについて、サブグループはKabat et al.のサブグループIIIである。
「VHサブグループIIIコンセンサスフレームワーク」は、Kabat et al.の可変重サブグループIIIのアミノ酸配列に由来するコンセンサス配列を含む。一実施態様では、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークのアミノ酸配列は、以下の配列の各々少なくとも一部又は全部を含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号43)−H1−WVRQAPGKGLEWV(配列番号44)−H2−RFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYC(配列番号45)−H3−WGQGTLVTVSS(配列番号46)。
「VLサブグループIコンセンサスフレームワーク」は、Kabat et al.の可変軽カッパサブグループIのアミノ酸配列に由来するコンセンサス配列を含む。一実施態様では、VLサブグループIコンセンサスフレームワークのアミノ酸配列は、以下の配列の各々の少なくとも一部又は全部を含む:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号39)−L1−WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号40)−L2−GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号41)−L3−FGQGTKVEIKR(配列番号42)。
「非修飾ヒトフレームワーク」は、例えば、アクセプターヒトフレームワークにヒトから非ヒトへのアミノ酸置換を欠く、アクセプターヒトフレームワークと同じアミノ酸配列を有するヒトフレームワークである。
本明細書の目的のための「改変された超可変領域」は、その中に一又は複数の(例えば一から約16の)アミノ酸置換を含む超可変領域である。
本明細書の目的のための「非修飾超可変領域」は、それが由来する非ヒト抗体と同じアミノ酸配列を有する、即ち、その中に一又は複数のアミノ酸置換を欠く超可変領域である。
対象の抗原、例えば、腫瘍関連ポリペプチド抗原標的と「結合する」抗体は、十分な親和性で抗原と結合することから、その抗原を発現する細胞又は組織の標的化における治療剤として有用であり、他のタンパク質とはそれほど交差反応しない抗体である。このような実施態様において、抗体と「非標的」タンパク質との結合度は、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析又は放射性免疫沈降法(RIA)により決定した場合、抗体とその特定の標的タンパク質との結合の約10%未満であろう。抗体と標的分子との結合に関しては、特定のポリペプチド、又は特定のポリペプチド標的上のエピトープについて、その「特異的結合」、又はそれと「特異的に結合する」、又はそれに対して「特異的である」という用語は、非特異的相互作用とは測定可能な程度に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、分子の結合をコントロール分子の結合との比較で決定することにより測定でき、コントロール分子は、一般に、結合活性を有さない類似構造の分子である。例えば、特異的結合は、標的と類似しているコントロール分子、例えば過剰な非標識標的との競合により決定することができる。この場合、特異的結合は、プローブとの標識標的の結合が、過剰な非標識標的により競合的に阻害される場合に示される。本明細書において使用される「特異的結合」又は特定のポリプチド若しくは特定のポリペプチド標的上のエピトープ「に特異的に結合する」又は「に特異的である」は、例えば、標的に対して少なくとも約10−4M、代替的には少なくとも約10−5M、代替的には少なくとも約10−6M、代替的には少なくとも約10−7M、代替的には少なくとも約10−8M、代替的には少なくとも約10−9M、代替的には少なくとも約10−10M、代替的には少なくとも約10−11M、代替的には少なくとも約10−12M、又はそれ以上のKdを有する分子により呈される。一実施態様では、用語「特異的結合」は、分子が特定のポリペプチド若しくは特定のポリペプチド上のエピトープに、実質的に他のいずれのポリペプチド若しくはポリペプチドエピトープにも結合することなく結合することを指す。
「CD79bポリペプチドを発現する腫瘍細胞の増殖を阻害する」抗体又は「増殖阻害」抗体は、適切なCD79bポリペプチドを発現若しくは過剰発現するがん細胞の測定可能な増殖の阻害をもたらす抗体である。CD79bポリペプチドは、がん細胞の表面に発現される膜貫通ポリペプチドであるか、又はがん細胞によって生成及び分泌されるポリペプチドである。好ましい増殖阻害性抗CD79b抗体は、CD79bを発現する腫瘍細胞の増殖を、適切なコントロールと比較した場合に、20%を上回って、好ましくは約20%〜約50%、及び更に好ましくは50%を上回って(例えば、約50%〜約100%)阻害する。この場合のコントロールは、典型的には試験される抗体で処理されていない腫瘍細胞である。一実施態様では、増殖の阻害は、細胞培養物中抗体濃度約0.1〜30μg/ml又は約0.5nM〜200nMで測定することができ、増殖の阻害は、抗体に対する腫瘍細胞の暴露から1〜10日後に決定される。インビボでの腫瘍細胞の増殖の阻害は、この後の実験的実施例のせセクションに記載されるように、様々な方法で決定することができる。体重1kg当たり約1μg/kg〜約100mg/kgでの抗CD79b抗体の投与が、抗体の初回投与から5日〜3ヶ月以内に、好ましくは約5〜30日以内に腫瘍の大きさ又は腫瘍細胞の増殖を低減させる場合、抗体はインビボで増殖阻害性である。
「アポトーシスを誘導する」抗体は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の拡張、細胞断片化、及び/又は膜小胞の形成(アポトーシス小体と呼ばれる)により決定されるプログラム細胞死を誘導する抗体である。細胞は通常、CD79bポリペプチドを過剰発現する細胞である。好ましくは、細胞は、腫瘍細胞、例えば、B細胞、T細胞、好塩基球、好酸球、好中球、単球、血小板、又は赤血球といった造血細胞である。アポトーシスに関連づけられる細胞事象を評価するために様々な方法が利用可能である。例えば、ホスファチジルセリン(PS)の転位置を、アネキシン結合により測定することができ;DNA断片化をDNAラダーにより評価することができ;DNA断片化を伴う核/染色質濃縮を、低二倍体細胞のいずれかの増大により評価することができる。好ましくは、アポトーシスを誘導する抗体は、アネキシン結合アッセイにおいて、非処理細胞と比較して約2〜50倍、好ましくは約5〜50倍、最も好ましくは約10〜50倍のアネキシン結合を誘導する抗体である。
「細胞死を誘導する」抗体は、生細胞を育成不能にする抗体である。細胞は、CD79bポリペプチドを発現する細胞であり、CD79bポリペプチドを特異的に発現若しくは過剰発現する細胞型である。細胞は、特定の細胞型のがん性細胞又は正常細胞でよい。CD79bポリペプチドは、がん細胞の表面に発現される膜貫通ポリペプチドであるか、又はがん細胞によって生成及び分泌されるポリペプチドである。細胞は、癌細胞、例えばB細胞又はT細胞でよい。インビトロでの細胞死は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)又は補体依存性細胞傷害(CDC)によって誘導される細胞死を区別するために、補体及び免疫エフェクター細胞の非存在下で決定される。このように、細胞死のアッセイは、熱不活性化血清を用いて(即ち、補体の非存在下で)且つ免疫エフェクター細胞の非存在下で実行される。抗体が細胞死を誘導することができるかどうかを決定するために、ヨウ化プロピジウム(PI)、トリパンブルー(Moore et al. Cytotechnology 17:1-11 (1995)参照)又は7AADの取り込みにより評価される膜統合性の欠失を、非処理細胞と比較して評価することができる。好ましい細胞死誘導抗体は、BT474細胞のPI取り込みアッセイにPIの取り込みを誘導する抗体である。
抗体「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因しうる生物学的活性を指し、抗体のアイソタイプにより変化する。抗体エフェクター機能の例には:C1q結合及び補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;及びB細胞活性化が含まれる。
本明細書において用語「Fc領域」は、天然配列Fc領域及び変異Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化しうるが、通常ヒトIgG重鎖Fc領域は、位置Cys226のアミノ酸残基から又はPro230から、そのカルボキシル末端まで伸長すると定義される。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによる残基447)は、例えば、抗体の生成若しくは精製の間に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換えにより改変することによって、除去することができる。したがって、インタクトな抗体の組成には、すべてのK447残基が除去された抗体集団、K447残基がまったく除去されていない抗体集団、及びK447残基を有する抗体と有さない抗体とを混合して有する抗体集団が含まれうる。
「機能的Fc領域」は、天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を有している。例示的な「エフェクター機能」には、C1q結合;CDC;Fc受容体結合;ADCC;食作用;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体;BCR)の下方制御などが含まれる。このようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域に結合ドメインが混合していることを必要とし(例えば抗体可変ドメイン)、例えば、本明細書の定義に開示される様々なアッセイを用いて評価することができる。
「天然配列Fc領域」は、天然にみられるFc領域のアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域は、天然配列ヒトIgG1 Fc領域(非A及びAアロタイプ);天然配列ヒトIgG2 Fc領域;天然配列ヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域と、天然に存在するその変異体とを含む。
「変異Fc領域」は、少なくとも一つのアミノ酸修飾、好ましくは一又は複数のアミノ酸置換のおかげで天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異Fc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも一つのアミノ酸置換を、例えば、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域に、約一から約十のアミノ酸置換、及び好ましくは約一から約五のアミノ酸置換を有する。本明細書の変異Fc領域は、好ましくは、天然配列Fc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、より好ましくは少なくとも約90%の相同性、最も好ましくは少なくとも約95%の相同性を有する。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」又は「ADCC」は、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)上に結合した分泌されたIgが、これら細胞傷害性のエフェクター細胞を、抗原を保持する標的細胞に特異的に結合させ、続いて細胞毒性により標的細胞を殺すことができる、細胞傷害性の一形態を指す。抗体は、細胞傷害性細胞を「有効化」するもので、そのような死滅に絶対的に必要とされる。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcRの発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-92 (1991)の464ページの表3に要約されている。対象の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5500362号又は同第5821337号に記載されているようなインビトロADCCアッセイを実施してもよい。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血液単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。これに代えて又は加えて、目的の分子のADCC活性は、Clynes et al. (USA) 95:652-656 (1998)に開示されるように、例えば動物モデルにおいて、インビボで評価することができる。
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明する。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)と結合するものであり、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子変異体及び代替的にスプライスされた形態も含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化型受容体」)及びFcγRIIB(「阻害型受容体」)を含み、これらは、その細胞質ドメインが主に異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化型受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン中に免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含む。阻害型受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメイン中に免疫受容阻害チロシンモチーフ(ITIM)を含む。(概説M. in Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)を参照)。FcRsは、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-492 (1991); Capel et al., Immunomethods 4:25-34 (1994); and de Haas et al., J. Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995)に概説されている。将来的に同定されることになるものを含め、他のFcRは、本明細書においては用語「FcR」に包含される。この用語には、胎児への母親のIgGの移行を担う新生児の受容体FcRnも含まれる(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976) and Kim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))。
例えば、ヒトFcRnを発現するトランスフェクトされたヒト細胞株若しくはトランスジェニックマウスにおいて、又は変異Fc領域を有するポリペプチドが投与された霊長類において、ヒトFcRnへのインビボでの結合及びヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期をアッセイすることができる。国際公開第2000/42072号(Presta)には、FcRsへの結合が増大又は低減した抗体変異体が記載されている。例えば、Shields et al. J. Biol. Chem. 9(2):6591-6604 (2001)も参照されたい。
「ヒトエフェクター細胞」とは、一又は複数のFcRを発現し、エフェクター機能を実行する白血球である。好ましくはその細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例は、末梢血液単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞障害性T細胞及び好中球を含むが、PBMCとNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は、天然の供給源、例えば血液から単離することができる。
「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」は、補体の存在下での標的細胞の溶解を指す。標準的補体経路の活性化は、補体系の第1の成分(C1q)の、それらの同種抗原に結合した(適切なサブクラスの)抗体への結合により開始される。補体活性化を評価するため、例えばGazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載のようにCDCアッセイを実行することができる。改変されたFc領域アミノ酸配列及び増大又は低減されたC1q結合能を有するポリペプチド変異体(変異Fc領域を有するポリペプチド)は、例えば、米国特許第6194551B1及び国際公開第1999/51642号に記載されている。例えば、Idusogie et al. J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)も参照されたい。
用語「Fc領域保持抗体」は、Fc領域を含む抗体を指す。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによる残基447)は、例えば、抗体の精製の間に、又は抗体をコードする核酸のエンジニアリングによって、除去することができる。したがって、本発明によるFc領域を有する抗体を含む組成物は、K447を含む抗体、すべてのK447が除去された抗体、又はK447残基を有する抗体と有さない抗体との混合物を含むことができる。
CD79bポリペプチド「細胞外ドメイン」又は「ECD」は、本質的に膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを含まないCD79bポリペプチドの一形態を指す。通常、CD79bポリペプチドECDは、このような膜貫通ドメイン及び/又は細胞質ドメインを1%未満で有し、好ましくは、このようなドメインを0.5%未満で有する。本発明のCD79bポリペプチドについて同定された膜貫通ドメインはいずれも、この種の疎水性ドメインを同定するために当技術分野で常套的に用いられる基準に従って同定されると理解されたい。膜貫通ドメインの正確な境界は変動しうるが、多くの場合、その変動幅はここで最初に同定されたドメインのいずれの末端においても約5アミノ酸以下である。したがって、任意選択的に、CD79bポリペプチドの細胞外ドメインは、約5以下のアミノ酸を、実施例又は明細書において同定されるように膜貫通ドメイン/細胞外ドメイン境界のいずれかの側に含むことができ、シグナルペプチドを伴う又は伴わないこのようなポリペプチド、及びそれをコードする核酸は、本発明によって考慮される。
本明細書に開示されるCD79bポリペプチドの「シグナルペプチド」の凡その位置が、本明細書に示される。しかしながら、シグナルペプチドのC末端境界は変動しうるが、多くの場合その変動幅は、ここで最初に同定されるシグナルペプチドC末端境界のいずれの側でも約5アミノ酸以下であり、シグナルペプチドのC末端境界は、この種のアミノ酸配列要素を同定するために当技術分野で常套的に用いられる基準に従って同定されることに注意されたい(例えば、Nielsen et al., Prot. Eng. 10:1-6 (1997) and von Heinje et al., Nucl. Acids. Res. 14:4683-4690 (1986))。更に、場合によっては、分泌されたポリペプチド由来のシグナル配列の切断は全体にわたって均一ではなく、複数の分泌種が生じることも認識されたい。ここで同定されるシグナルペプチドのC末端境界のいずれかの側で約5アミノ酸以下の範囲内でシグナルペプチドが切断される、これら成熟ポリペプチド、及びそれをコードするポリヌクレオチドは、本発明により考慮される。
略称
リンカー成分:
MC=6−マレイミドカプロイル
Val−Cit又は「vc」=バリン−シトルリン(プロテアーゼ切断可能リンカー内の例示的ジペプチド)
シトルリン=2−アミノ−5−ウレイド ペンタン酸
PAB=p−アミノベンジルオキシカルボニル(「自壊的(self immolative)」リンカー成分の一例)
Me−Val−Cit=N−メチル−バリン−シトルリン(リンカーペプチド結合が、カテプシンBによるその切断を防止するように修飾されている)
MC(PEG)6−OH=マレイミドカプロイル− ポリエチレングリコール(抗体システインに結合できる)
細胞傷害性薬:
MMAE=モノ−メチル アウリスタチンE(MW 718)
MMAF=薬物のC末端にフェニルアラニン(MW 731.5)を有するアウリスタチンE(MMAE)の変異体
MMAF−DMAEA=C末端フェニルアラニン(MW 801.5)へのアミド結合にDMAEA(ジメチルアミノエチルアミン)を有するMMAF
MMAF−TEG=フェニルアラニンにエステル化されたテトラエチレングリコールを有するMMAF
MMAF−NtBu=MMAFのC末端にアミドとして結合したN−t−ブチル
DM1=N(2’)−デアセチル−N(2’)−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−メイタンシン
DM3=N(2’)−デアセチル−N2−(4−メルカプト−1−オキソペンチル)−メイタンシン
DM4=N(2’)−デアセチル−N2−(4−メルカプト−4−メチル−1−オキソペンチル)−メイタンシン
更なる略称は以下の通りである:AEはアウリスタチンEであり、BocはN(t−ブトキシカルボニル)であり、citはシトルリンであり、dapはドラプロインであり、DCCは1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドであり、DCMはジクロロメタンであり、DEAはジエチルアミンであり、DEADはアゾジカルボン酸ジエチルであり、DEPCはジエチルホスホリルシアニデート(diethylphosphorylcyanidate)であり、DIADはジイソプロピルアゾジカルボン酸(diisopropylazodicarboxylate)であり、DIEAはN,N−ジイソプロピルエチルアミンであり、dilはドライソロイシン(dolaisoleucine)であり、DMAはジメチルアセトアミドであり、DMAPは4−ジメチルアミノピリジンであり、DMEはエチレングリコールジメチルエーテル(若しくは1,2−ジメトキシエタン)であり、DMFはN,N−ジメチルホルムアミドであり、DMSOはジメチルスルホキシドであり、doeは、ドラフェニン(dolaphenine)であり、dovはN,N−ジメチルバリンであり、DTNBは5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)であり、DTPAはジエチレントリアミン五酢酸であり、DTTはジチオスレイトールであり、EDCIは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリドであり、EEDQは2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンであり、ES−MSはエレクトロスプレー質量分析法であり、EtOAcは酢酸エチルであり、FmocはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)であり、glyはグリシンであり、HATUはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートであり、HOBtは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールであり、HPLCは高速液体クロマトグラフィーであり、ileはイソロイシンであり、lysはリジンであり、MeCN(CH3CN)はアセトニトリルであり、MeOHはメタノールであり、Mtrは、4−アニシルジフェニルメチル(若しくは4−メトキシトリチル)であり、norは(1S,2R)−(+)−ノルエフェドリンであり、PBSはリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)であり、PEGはポリエチレングリコールであり、Phはフェニルであり、Pnpはp−ニトロフェニルであり、MCは6−マレイミドカプロリルであり、pheはL−フェニルアラニンであり、PyBropはブロモトリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートであり、SECはサイズ除外クロマトグラフィーであり、Suはスクシンイミドであり、TFAはトリフルオロ酢酸であり、TLCは薄層クロマトグラフィーであり、UVは紫外線であり、valはバリンである。
一態様では、本発明は、一又は複数の遊離システインアミノ酸を含む、本発明による前記抗体−薬物コンジュゲート中の、システイン操作抗CD79b抗体を含み、この場合、システイン操作抗CD79b抗体はCD79bポリペプチドに結合し、親抗CD79b抗体の一又は複数のアミノ酸残基をシステインにより置換することを含む方法により調製され、この親抗体は、以下から選択される少なくとも一つのHVR配列を含む:
(a)配列A1〜A15を含み、A1〜A15がKASQSVDYDGDSFLN(配列番号31)又はKASQSVDYEGDSFLN(配列番号37)であるHVR−L1;
(b)配列B1〜B7を含み、B1〜B7がAASNLES(配列番号32)であるHVR−L2;
(c)配列C1〜C9を含み、C1〜C9がQQSNEDPLT(配列番号33)であるHVR−L3;
(d)配列D1〜D10を含み、D1〜D10がGYTFSSYWIE(配列番号34)であるHVR−H1;
(e)配列E1〜E18を含み、E1〜E18がGEILPGGGDTNYNEIFKG(配列番号35)であるHVR−H2、及び
(f)配列F1〜F10を含み、F1〜F10がTRRVPVYFDY(配列番号36)又はTRRVPIRLDY(配列番号38)である、HVR−H3。
特定の一態様では、本発明は、本発明による前記抗体−薬物コンジュゲート中の、システイン操作抗CD79b抗体に関し、この抗体は、本明細書に開示される完全長アミノ酸配列を有するシステイン操作抗体、又は本明細書に開示されるシグナルペプチドを欠くシステイン操作抗体のアミノ酸配列と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、代替的に少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
更に別の態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、本発明による前記抗体−薬物コンジュゲート中の、単離されたシステイン操作抗CD79b抗体との組み合わせに関し、この単離されたシステイン操作抗CD79b抗体は、(a)本明細書に開示される完全長アミノ酸配列を有するシステイン操作抗体、(b)本明細書に開示されるシグナルペプチドを欠くシステイン操作抗体アミノ酸配列、(c)シグナルペプチドを含む又は含まない、本明細書に開示される膜貫通システイン操作抗体タンパク質の細胞外ドメイン、(d)本明細書に開示される核酸配列のいずれかによりコードされるアミノ酸配列又は(e)本明細書に開示される完全長システイン操作抗体アミノ酸配列の、他のいずれかの特に定義される断片をコードするDNA分子の補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む。
特定の態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、N末端シグナル配列を含まない及び/又は開始メチオニンを含まない本発明による前記抗体−薬物コンジュゲート中のシステイン操作抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、記載されるそのようなアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によりコードされる。同組み合わせを製造する方法も本明細書において開示され、このような方法は、適切なコード化核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞を、システイン操作抗体の発現に適した条件下で培養すること、及び細胞培養物からシステイン操作抗体を回収することを含む。
本発明の別の態様は、本明細書に開示される抗CD20抗体と、本発明による前記抗体−薬物コンジュゲート中の、単離されたシステイン操作抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この単離されたシステイン操作抗CD79b抗体は膜貫通ドメインが削除されているか、又は膜貫通ドメインが不活性化されている。同組み合わせを製造する方法も本明細書において記載され、このような方法は、適切なコード化核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞を、システイン操作抗体の発現に適した条件下で培養すること、及び細胞培養物からシステイン操作抗体を回収することを含む。
他の態様では、本発明は、本明細書に開示される抗CD20抗体と、本発明による前記抗体−薬物コンジュゲート中の、単離された抗CD79bキメラシステイン操作抗体との組み合わせを提供し、この単離された抗CD79bキメラシステイン操作抗体は、異種(非CD79b)ポリペプチドに融合した、本明細書に記載のシステイン操作抗体のいずれかを含む。このようなキメラ分子の例には、例えば、免疫グロブリンのFc領域又はエピトープタグ配列といった異種ポリペプチドに融合した本明細書に記載のシステイン操作抗体のいずれかが含まれる。
本発明による前記抗体−薬物コンジュゲート中のシステイン操作抗CD79b抗体は、モノクローナル抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体又は抗CD79bポリペプチド抗体のそれに対応する抗原エピトープへの結合を競合的に阻害する抗体でよい。本発明の抗体は、任意選択的に、増殖阻害剤又は毒素のような細胞傷害性薬剤にコンジュゲートすることができ、これには例えば、アウリスタチン、メイタンシノイド、ドロスタチン(dolostatin)誘導体又はカリケアマイシン、抗生物質、放射性同位体、核酸分解酵素などが含まれる。本発明の抗体は、任意選択的に、CHO細胞又は細菌細胞中において生成され、好ましくは、それが結合する細胞の成長若しくは増殖を阻害するか、又はそのような細胞の死を誘導する。診断的目的のために、本発明の抗体は、検出可能に標識する、固体支持体に結合させるなどすることができる。
本発明の他の態様では、本発明は、本発明による前記抗体−薬物コンジュゲート中の、本明細書に記載の抗CD79b抗体及び抗CD79bシステイン操作抗体のいずれかをコードするDNAを含むベクターを提供する。このようなベクターのいずれかを含む宿主細胞も提供される。例として、宿主細胞は、CHO細胞、大腸菌細胞、又は酵母細胞である。本明細書に記載のポリペプチドのいずれかを生成するための方法が更に提供され、この方法は、宿主細胞を、所望のポリペプチドの発現に適した条件下で培養すること、及び所望のポリペプチドを細胞培養物から回収することを含む。
本組み合わせ発明の、本発明による前記抗体−薬物コンジュゲート中のシステイン操作抗体は、がんの治療において有用でありえ、細胞表面及び膜貫通型受容体に特異的な抗体、及び腫瘍関連抗原(TAA)を含む。このような抗体は、ネイキッド抗体(薬物又は標識部位にコンジュゲートしない)として又は抗体−薬物コンジュゲート(ADC)として使用することができる。本発明のシステイン操作抗体は、部位特異性であり、チオール反応性試薬に効果的に結合することができる。チオール反応性試薬は、多機能リンカー試薬、キャプチャー標識試薬、蛍光体試薬、又は薬物−リンカー中間体でよい。システイン操作抗体は、検出可能な標識で標識される、固体相の支持体に固定化される、及び/又は薬物部分にコンジュゲートする。チオール反応性は、反応性のシステインアミノ酸によるアミノ酸の置換が、アミノ酸範囲:L10〜L20、L105〜L115、L109〜L119、L116〜L126、L122〜L132、L163〜L173、L200〜L210から選択される軽鎖内の範囲内;並びにアミノ酸範囲:H1〜H10、H18〜H28、H79〜H89、H107〜H117、H109〜H119、H111〜H121から選択される重鎖内の範囲内、並びに、H270〜H280、H366〜H376、H391〜401から選択される範囲内のFc領域内で行われる、任意の抗体に一般化される。この場合のアミノ酸位置の番号付けは、Kabat番号付けシステムの位置1において開始され(Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD)、その後は国際公開第2006034488号;米国特許出願公開第2007/0092940号に記載のように順番に連続する。チオール反応性はまた、軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメインCH1、CH2及びCH3といった抗体の特定のドメインに一般化される。チオール反応性の値が0.6以上となるシステイン置換は、IgGサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2を含む、インタクトな抗体:IgA、IgD、IgE、IgG,及びIgMそれぞれの、重鎖定常ドメインα、δ、ε、γ、及びμで行われる。このような抗体及びその使用は、国際公開第2006/034488号;米国特許出願公開2007/0092940号に開示されている。
本組み合わせ発明のシステイン操作抗体は、好ましくは、それらの野生型、親抗体のカウンターパートの抗原結合能を保持している。したがって、システイン操作抗体は、好ましくは特異的に、抗原に結合することができる。このような抗原には、例えば、腫瘍関連抗原(TAA)、細胞表面受容体タンパク質及び他の細胞表面分子、膜貫通タンパク質タンパク質、シグナル伝達タンパク質、細胞生存調節因子、細胞増殖調節因子、組織の発達又は分化に関連付けられる(例えば、機能的に寄与することが既知の又は寄与すると思われる)分子、リンホカイン、サイトカイン、細胞周期制御に関与する分子、脈管形成に関与する分子及び血管新生に関連する(例えば、機能的に寄与することが既知の又は寄与すると思われる)分子が含まれる。腫瘍関連抗原は、クラスター分化因子(即ち、限定されないがCD79bを含むCDタンパク質)でありうる。本発明のシステイン操作抗CD79b抗体は、その親抗CD79b抗体カウンターパートの抗原結合能を保持している。したがって、本発明のシステイン操作抗CD79b抗体は、ヒト抗CD79bアイソフォームβ及び/又はαを含むCD79b抗原に、このような抗原が、限定しないがB細胞を含む細胞の表面に発現されるときを含め、好ましくは特異的に、結合することができる。
一態様では、本組み合わせ発明の抗体は、反応性部分、活性化部分、又は反応性システインチオール基を介して抗体に共有結合することができる任意の標識部位にコンジュゲートしうる(Singh et al (2002) Anal. Biochem. 304:147-15; Harlow E. and Lane, D. (1999) Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Springs Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Lundblad R.L. (1991) Chemical Reagents for Protein Modification, 2nd ed. CRC Press, Boca Raton, FL)。結合した標識は:(i)検出可能なシグナルを提供する;(ii)第2の標識と相互作用して、第1又は第2の標識により提供される検出可能なシグナルを修飾し、例えばFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を生じさせる;(iii)抗原又はリガンドとの結合の親和性を上昇させる又は相互作用を安定化する;(iv)電荷、疎水性、形状、又は他の物理的パラメーターにより、移動度、例えば電気泳動移動度又は細胞透過性に影響を与える、又は(v)捕獲部分を提供し、リガンド親和性、抗体/抗原結合、又はイオン錯体生成を調節するように機能することができる。
特定の実施態様では、上記抗体のいずれかをコードするポリヌクレオチドが提供される。一実施態様では、ポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。一実施態様において、ベクターを含む宿主細胞が提供される。一実施態様において、宿主細胞は、真核生物である。一実施態様では、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。一実施態様では、抗CD79b抗体の作製方法が提供され、この方法は、抗体をコードするポリヌクレオチドの発現に適した条件下において宿主細胞を培養すること、及び抗体を単離することを含む。
抗体−薬物コンジュゲート
別の態様では、本発明は、本明細書において定義される抗CD20抗体とイムノコンジュゲートとの組み合わせ、即ち抗体−薬物コンジュゲート(ADC)を提供し、これは、細胞傷害性剤、例えば化学療法剤、薬物、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、若しくは動物起源の酵素活性毒素、又はそれらの断片)、又は放射性同位元素(即ち、ラジオコンジュゲート)にコンジュゲートした抗体を含む。別の態様では、本発明は更に、イムノコンジュゲートを使用する方法を提供する。一態様では、イムノコンジュゲートは、細胞傷害性薬剤又は検出可能な薬剤に共有結合した上記抗CD79b抗体のいずれかを含む。
一態様では、本組み合わせ発明のCD79b抗体は、別のCD79b抗体に結合したCD79b上の同じエピトープに結合する。別の実施態様では、本発明のCD79b抗体は、1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成されたモノクローナル抗体、配列番号26(図7)及び配列番号29(図8)の可変ドメインを含むモノクローナル抗体、又は1993年7月20日にATCCに寄託されたHB11413ハイブリドーマから生成されたいずれかの抗体の可変ドメインとIgG1由来の定常ドメインとを含むか、又は配列番号26(図7)及び配列番号29(図8)の配列を含むモノクローナル抗体の可変ドメインを含むキメラ抗体の、Fab断片により結合されたCD79B上の同じエピトープに結合する。別の実施態様では、本発明のCD79b抗体は、別のCD79b抗体(即ち、CB3.1(BD Biosciences/カタログ#555678/カリフォルニア州サンノゼ)、AT105−1(AbD Serotec/カタログ#MCA2208;ノースカロライナ州ローリー)、AT107−2(AbD Serotec/カタログ#MCA2209)、抗ヒトCD79b抗体(BD Biosciences/カタログ#557592/カリフォルニア州サンノゼ)により結合されたCD79B上の同じエピトープに結合する。
別の態様では、本組み合わせ発明のCD79b抗体は、別のCD79b抗体により結合されたエピトープとは異なるCD79B上のエピトープに結合する。別の実施態様では、本発明のCD79b抗体は、1993年7月20日にATCCに寄託されたHB11413ハイブリドーマから生成されたモノクローナル抗体、配列番号26(図7)及び配列番号29(図8)の可変ドメインを含むモノクローナル抗体、又は1993年7月20日にATCCに寄託されたHB11413ハイブリドーマから生成されたいずれかの抗体の可変ドメインとIgG1由来の定常ドメインとを含むか、又は配列番号26(図7)及び配列番号29(図8)の配列を含むモノクローナル抗体の可変ドメインを含むキメラ抗体の、Fab断片により結合されたエピトープとは異なるCD79B上のエピトープに結合する。別の実施態様では、本発明のCD79b抗体は、別のCD79b抗体(即ち、CB3.1(BD Biosciences/カタログ#555678;カリフォルニア州サンノゼ)、AT105−1(AbD Serotec/カタログ#MCA2208/ノースカロライナ州ローリー)、AT107−2(AbD Serotec/カタログ#MCA2209)、抗ヒトCD79b抗体(BD Biosciences/カタログ#557592/カリフォルニア州サンノゼ))により結合されたCD79B上のエピトープとは異なるCD79b上のエピトープに結合する。
別の態様では、本組み合わせ発明のCD79b抗体は、1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成されたモノクローナル抗体、配列番号26(図7)及び配列番号29(図8)の可変ドメインを含むモノクローナル抗体、又は1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成された抗体の可変ドメインとIgG1由来の定常ドメインとを含むか、又は配列番号26(図7)及び配列番号29(図8)の配列を含むモノクローナル抗体の可変ドメインを含むキメラ抗体の、Fab断片とは異なる(即ち、そのようなFab断片ではない)。別の実施態様では、本発明のCD79b抗体は、別のCD79b抗体(即ち、CB3.1(BD Biosciences/カタログ#555678/カリフォルニア州サンノゼ)、AT105−1(AbD Serotec/カタログ#MCA2208/ノースカロライナ州ローリー)、AT107−2(AbD Serotec/カタログ#MCA2209)、抗ヒトCD79b抗体(BD Biosciences/カタログ#557592/カリフォルニア州サンノゼ))のFab断片とは異なる(即ち、そのようなFab断片ではない)。
一態様では、本発明の抗体は、第1の動物種のCD79bに特異的に結合し、第2の動物種のCD79bに特異的に結合しない。一実施態様では、第1の動物種はヒト及び/又は霊長類(例えば、カニクイザル)であり、第2の動物種はマウス(murine)(例えば、マウス(mouse))及び/又はイヌである。一実施態様では、第1の動物種はヒトである。一実施態様では、第1の動物種は霊長類、例えばカニクイザルである。一実施態様では、第2の動物種はマウス(murine)、(例えば、マウス(mouse)である。一実施態様では、第2の動物種はイヌである。
一態様では、細胞の表面上に発現されるCD79bに結合する抗体が提供される。一実施態様では、抗体は、ドメイン1若しくはドメイン2、又はドメイン1及び2を含むヒト又はマウスCD79bの一領域内のエピトープに結合する。一実施態様では、細胞は哺乳動物細胞である。一実施態様では、細胞はヒト細胞である。一実施態様では、細胞はがん細胞である。一実施態様では、細胞はB細胞である。一実施態様では、がん細胞はB細胞である。
特定の実施態様では、上記抗体はいずれもモノクローナル抗体である。一実施態様において、抗体は、Fab、Fab’−SH、Fv、scFv、又はF(ab’)2断片から選択される抗体断片である。一実施態様では、抗体はヒト化されている。一実施態様では、抗体はヒト抗体である。
本発明の抗CD20抗体との組み合わせにおける抗体−薬物コンジュゲートの一部としての例示的抗CD79b抗体の詳細な説明は以下の通りである。
抗CD79b抗体の具体的実施態様
一態様では、本発明は、上記又は後述のポリペプチドに対し、好ましくは特異的に結合する抗体を提供する。任意選択的に、抗体は、モノクローナル抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片を含む抗体断片、ダイアボディ、シングルドメイン抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、又は抗CD79bポリペプチド抗体の対応する抗原エピトープへの結合を競合的に阻害する抗体である。本発明の抗体は、任意選択的に、増殖阻害剤又は毒素のような細胞傷害性薬剤とすることができ、これには例えば、アウリスタチン、メイタンシノイド、ドロスタチン(dolostatin)誘導体又はカリケアマイシン、抗生物質、放射性同位体、核酸分解酵素などが含まれる。本発明の抗体は、任意選択的に、CHO細胞又は細菌細胞中において生成され、好ましくは、それが結合する細胞の死を誘導する。検出目的のために、本発明の抗体は、検出可能に標識する、固体支持体に結合させるなどすることができる。
一態様において、本発明は、本明細書において定義される抗CD20抗体とヒト化抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この場合、CD79bに対する抗体の一価の親和性(例えばCD79bに対するFab断片としての抗体)又はその二価形態における親和性(例えばCD79bに対するIgG断片としての抗体)はそれぞれ、図7(配列番号26)及び図8(配列番号29)に示される軽鎖及び重鎖可変ドメイン配列を含むか、それら配列からなるか、又は本質的にそれら配列からなる、マウス抗体(例えばCD79bに対するFab断片としての又はIgG断片としてのマウス抗体)又はキメラ抗体(例えばCD79bに対するFab断片としての又はIgG断片としてのキメラ抗体)の、一価の親和性又はその二価形態における親和性と、実質的に同じであるか、又はそれより小さいか、又はそれより大きい。
別の態様では、本発明は、本明細書において定義される抗CD20抗体とヒト化抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この場合、CD79bに対する抗体の一価の親和性(例えば、CD79bに対するFab断片としての抗体の親和性)は、図7(配列番号26)及び図8(配列番号29)に示される軽鎖及び重鎖可変ドメイン配列を含むか、それら配列からなるか、又は本質的にそれら配列からなる、マウス抗体(例えばCD79bに対するFab断片としてのマウス抗体の親和性)又はキメラ抗体(例えばCD79bに対するFab断片としてのキメラ抗体の親和性)の一価の親和性より、例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55又は60倍低い。
別の態様では、本発明は、本明細書において定義される抗CD20抗体とヒト化抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この場合、CD79bに対する抗体の一価の親和性(例えば、CD79bに対するFab断片としての抗体の親和性)は、図7(配列番号26)及び図8(配列番号29)に示される軽鎖及び重鎖可変ドメイン配列を含むか、それら配列からなるか、又は本質的にそれら配列からなる、マウス抗体(例えばCD79bに対するFab断片としてのマウス抗体)又はキメラ抗体(例えばCD79bに対するFab断片としてのキメラ抗体)の二価の親和性より、例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10倍高い。
一態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体とヒト化抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は、図7(配列番号26)及び図8(配列番号29)に示される軽鎖及び重鎖可変ドメイン配列を含むか、それら配列からなるか、又は本質的にそれら配列からなる、その二価形態におけるマウス抗体(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体又はキメラ抗体(例えばCD79bに対するFab断片としてのキメラ抗体)の親和性と実質的に同じである。
別の態様では、本発明は、本明細書において定義される抗CD20抗体とヒト化抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は、図7(配列番号26)及び図8(配列番号29)に示される軽鎖及び重鎖可変ドメイン配列を含むか、それら配列からなるか、又は本質的にそれら配列からなる、二価の形態におけるマウス抗体(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体)又はキメラ抗体(例えばCD79bに対するIgG断片としてのキメラ抗体)の親和性より低く、例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55又は60倍低い。
別の態様では、本発明は、本明細書において定義される抗CD20抗体とヒト化抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は、図7(配列番号26)及び図8(配列番号29)に示される軽鎖及び重鎖可変ドメイン配列を含むか、それら配列からなるか、又は本質的にそれら配列からなる、二価の形態におけるマウス抗体(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体)又はキメラ抗体(例えばCD79bに対するIgG断片としてのキメラ抗体)の親和性より、例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10倍高い。
別の態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体とヒト化抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.4nMである。更なる態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.4nM+/−0.04である。
別の態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体とヒト化抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.3nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.32nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.36nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.4nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.44nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.48nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.5nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.3nM〜0.5nMである。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.32nM〜0.48nMである。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.36nM〜0.44nMである。
別の態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体とヒト化抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.2nMである。更なる態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.2nM+/−0.02である。
別の態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体とヒト化抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.1nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.12nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.14nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.16nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.18nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.2nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.22nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.24nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.26nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.28nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.30nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.1nM〜0.3nMである。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.12nM〜0.28nMである。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.14nM〜0.26nMである。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.16nM〜0.24nMである。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.18nM〜0.22nMである。
別の態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体とヒト化抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.5nMである。更なる態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.5nM+/−0.1である。
別の態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体とヒト化抗CD79b抗体との組み合わせを提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.4nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.5nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.6nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.7nM又はそれより良好である。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.3nM〜0.7nMである。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.4nM〜0.6nMである。別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.5nM〜0.55nMである。
一態様では、CD79bに対するマウス抗体の一価の親和性は、配列番号26(図7)及び配列番号29(図8)の可変ドメイン配列を含むFab断片の結合親和性と実質的に同じである。別の態様では、CD79bに対するマウス抗体の一価の親和性は、1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成される抗体の可変ドメイン配列を含むFab断片又は1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成される抗体の可変ドメインを含むキメラ抗体由来の結合親和性と実質的に同じである。
当技術分野で十分に確立されているように、リガンドのその受容体に対する結合親和性は、様々なアッセイのいずれかを用いて決定し、様々な定量的値の観点から表現することができる。したがって、一実施態様では、結合親和性はKd値として表現され、固有の結合親和性を反映する(例えば、最小化されたアビディティ効果)。一般的に及び好ましくは、結合親和性は、細胞の無い設定で又は細胞に関連付けられた設定で、インビトロで測定される。本明細書において詳述されるように、結合親和性の倍数の差異は、ヒト化抗体(例えば、Fab形態の)の一価の結合親和性の値と、参照/比較用抗体(例えば、Fab形態の)(例えば、ドナー超可変領域の配列を有するマウス抗体)の一価の結合親和性の値との比の観点から定量化することができ、この場合、結合親和性の値は、同様のアッセイ条件下において決定される。したがって、一実施態様では、結合親和性の倍数の差異は、Fab形態のヒト化抗体のKd値と前記参照/比較用Fab抗体との比として決定される。例えば、一実施態様では、本発明の抗体(A)が参照抗体(M)の親和性の「3分の1」である場合、AのKd値が3xであれば、MのKd値は1xであり、AのKd対MのKdの比は3:1である。逆に、一実施態様では、本発明の抗体(C)が参照抗体(R)の親和性の「3倍」である場合、CのKd値が1xであれば、RのKd値は3xであり、CのKd値対RのKd値は1:3である。本明細書に記載のものを含め、例えば、Biacore、ラジオイムノアッセイ(RIA)及びELISAを含む、当技術分野で既知の任意の数のアッセイを、結合親和性測定値の取得に使用することができる。
別の態様では、本発明はヒト化抗CD79b抗体を提供し、この場合、CD79bに対する二価の形態における抗体の親和性(例えば、CD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)は0.4nM、0.2nM又は0.5nMである。
一態様では、本明細書に定義される抗CD20抗体との組み合わせのための、CD79bに結合する抗体が提供され、この抗体は:
(i)配列A1〜A15を含み、A1〜A15がKASQSVDYDGDSFLN(配列番号31)であるHVR−L1
(ii)配列B1〜B7を含み、B1〜B7がAASNLES(配列番号32)であるHVR−L2
(iii)配列C1〜C9を含み、C1〜C9がQQSNEDPLT(配列番号33)であるHVR−L3
(iv)配列D1〜D10を含み、D1〜D10がGYTFSSYWIE(配列番号34)であるHVR−H1
(v)配列E1〜E18を含み、E1〜E18がGEILPGGGDTNYNEIFKG(配列番号35)であるHVR−H2、及び
(vi)配列F1〜F10を含み、F1〜F10がTRRVPVYFDY(配列番号36)であるHVR−H3
からなる群より選択される少なくとも一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、又は六つのHVRを含む。
一態様では、本明細書に定義される抗CD20抗体と、CD79bに結合する抗体との組み合わせが提供され、この抗体は、変異HVR配列が、配列番号31、32、33、34、35又は36の配列の少なくとも一つの残基の修飾を含む、少なくとも一つの変異HVRを含む。
一態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、図3B(配列番号50〜52)に示されるHVR1−HC、HVR2−HC及び/又はHVR3−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体との組み合わせを提供する。
一態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、図3A(配列番号47〜49)に示されるHVR1−LC、HVR2−LC及び/又はHVR3−LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体との組み合わせを提供する。
一態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、図4B(配列番号58〜60)に示されるHVR1−HC、HVR2−HC及び/又はHVR3−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体との組み合わせを提供する。
一態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、図4A(配列番号55〜57)に示されるHVR1−LC、HVR2−LC及び/又はHVR3−LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体との組み合わせを提供する。
一態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、図5B(配列番号66〜68)に示されるHVR1−HC、HVR2−HC及び/又はHVR3−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体との組み合わせを提供する。
一態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、図5A(配列番号63〜65)に示されるHVR1−LC、HVR2−LC及び/又はHVR3−LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体との組み合わせを提供する。
一態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、図6B(配列番号74〜76)に示されるHVR1−HC、HVR2−HC及び/又はHVR3−HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体との組み合わせを提供する。
一態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、図6A(配列番号71〜73)に示されるHVR1−LC、HVR2−LC及び/又はHVR3−LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体との組み合わせを提供する。
一態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、配列番号54、62、70又は78から選択される重鎖可変ドメインを含む抗CD79b抗体との組み合わせを含む。別の態様では、本発明は、配列番号53、61、69又は77から選択される軽鎖可変ドメインを含む抗CD79b抗体を含む。
一態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、一又は複数の遊離システインアミノ酸及び配列番号83〜130から選択される配列を含む、システイン操作抗CD79b抗体との組み合わせを含む。システイン操作抗CD79b抗体は、CD79bポリペプチドに結合することができる。システイン操作抗CD79b抗体は、親抗CD79b抗体の一又は複数のアミノ酸残基をシステインにより置換することを含む方法によって調製することができる。
一態様では、本発明は、本明細書に定義される抗CD20抗体と、一又は複数の遊離システインアミノ酸を含むシステイン操作抗CD79b抗体との組み合わせを含み、この場合、システイン操作抗CD79b抗体は、CD79bポリペプチドに結合し、親抗CD79b抗体の一又は複数のアミノ酸残基をシステインにより置換することを含む方法により調製され、この親抗体は、以下から選択される少なくとも一つのHVR配列を含む:
(a)配列A1〜A15を含み、A1〜A15がKASQSVDYDGDSFLN(配列番号31)又はKASQSVDYEGDSFLN(配列番号37)であるHVR−L1;
(b)配列B1〜B7を含み、B1〜B7がAASNLES(配列番号32)であるHVR−L2;
(c)配列C1〜C9を含み、C1〜C9がQQSNEDPLT(配列番号33)であるHVR−L3;
(d)配列D1〜D10を含み、D1〜D10がGYTFSSYWIE(配列番号34)であるHVR−H1;
(e)配列E1〜E18を含み、E1〜E18がGEILPGGGDTNYNEIFKG(配列番号35)であるHVR−H2、及び
(f)配列F1〜F10を含み、F1〜F10がTRRVPVYFDY(配列番号36)又はTRRVPIRLDY(配列番号38)であるHVR−H3。
システイン操作抗CD79b抗体は、モノクローナル抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体又は抗CD79bポリペプチド抗体のそれに対応する抗原エピトープへの結合を競合的に阻害する抗体でよい。本発明の抗体は、任意選択的に、増殖阻害剤又は毒素のような細胞傷害性薬剤にコンジュゲートすることができ、これには例えば、アウリスタチン、又はメイタンシノイドが含まれる。本発明の抗体は、任意選択的に、CHO細胞又は細菌細胞中において生成され、好ましくは、それが結合する細胞の成長若しくは増殖を阻害するか、又はそのような細胞の死を誘導する。診断的目的のために、本発明の抗体は、検出可能に標識する、固体支持体に結合させるなどすることができる。
本組み合わせの発明による用語「CD79b抗体−薬物コンジュゲート(「ADC」)は、以下の式Iのものであり、この場合、抗体は任意選択的なリンカー(L)を介して一又は複数の薬物部分(D)にコンジュゲートする(即ち、共有結合する)。ADCはチオMAb薬物コンジュゲート(「TDC」)を含みうる。
Ab−(L−D)p I
したがって、抗体は、直接的に又はリンカーを介して薬物にコンジュゲートできる。式Iにおいて、pは抗体一つ当たりの薬物部分の平均数であり、例えば抗体一つ当たりの薬物部分は約1〜約20であり、特定の実施態様では、抗体一つ当たりの薬物部分は1〜8である。本発明は、式Iの抗体−薬物化合物の混合物を含む組成物を含み、ここで抗体一つ当たりの平均薬物充填数は約2〜5、又は約3〜約4である。
本発明による組み合わせの一実施態様では、CD79b抗体−薬物コンジュゲートは抗CD79b−MC−vc−PAB−MMAEである。
a.例示的リンカー
リンカーは、一又は複数のリンカー成分を含むことができる。例示的リンカー成分には、6−マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン−シトルリン(「val−cit」又は「vc」)、アラニン−フェニルアラニン(「ala−phe」)、p−アミノベンジルオキシカルボニル(「PAB」)、及びリンカー試薬とのコンジュゲーションにより生じるもの、即ち:N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、N−スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1カルボキシレート(本明細書で「MCC」とも呼ばれる「SMCC」)、及びN−スクシンイミジル(4−ヨード−アセチル)アミノベンゾエート(「SIAB」)が含まれる。様々なリンカー成分が当技術分野で既知であり、そのうちのいくつかについて後述する。
リンカーは、細胞中での薬物の放出を容易にする「切断可能なリンカー」でありうる。例えば、酸に不安定なリンカー(例えば、ヒドラゾン)、プロテアーゼ過敏性(例えば、ペプチダーゼ過敏性)リンカー、光解離性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al., Cancer Research 52:127-131 (1992);米国特許第5208020号)が使用される。
特定の実施態様では、リンカーは、以下の式IIで示される:
式中、Aはストレッチャー単位であり、aは0〜1の整数であり;Wはアミノ酸単位であり、wは0〜12の整数であり;Yはスペーサー単位であり、yは0、1、又は2であり;Ab、D、及びpは式Iについて上述したように定義される。このようなリンカーの例示的実施態様は、米国特許出願公開第2005−0238649号に記載されており、これは参照により本明細書に包含される。
いくつかの実施態様では、リンカー成分は、抗体を、別のリンカー成分又は薬物部分に結合させる「ストレッチャー単位」を含んでもよい。例示的ストレッチャー単位を以下に示す(ここで波線は抗体への共有結合部位を示す):
いくつかの実施態様では、リンカー成分はアミノ酸単位を含む。このような一実施態様では、アミノ酸単位は、プロテアーゼによるリンカーの切断を可能にし、それによりリソソーム酵素のような細胞内プロテアーゼへの暴露時にイムノコンジュゲートからの薬物の放出を容易にする。例えば、Doronina et al. (2003) Nat. Biotechnol. 21:778-784を参照されたい。例示的アミノ酸単位には、限定されないが、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、及びペンタペプチドが含まれる。例示的ジペプチドには:バリン−シトルリン(vc又はval−cit)、アラニン−フェニルアラニン(af又はala−phe);フェニルアラニン−リジン(fk又はphe−lys);又はN−メチル−バリン−シトルリン(Me−val−cit)が含まれる。例示的トリペプチドには、グリシン−バリン−シトルリン(gly−val−cit)及びグリシン−グリシン−グリシン(gly−gly−gly)が含まれる。アミノ酸単位は、天然に存在するアミノ酸残基、並びにシトルリンのような非天然存在アミノ酸アナログ及びマイナーなアミノ酸を含みうる。アミノ酸単位は、特定の酵素、例えば腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C及びD、又はプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断に対するその感受性の点で設計及び最適化することができる。
いくつかの実施態様では、リンカー成分は、抗体を、直接的に又はストレッチャー単位及び/又はアミノ酸単位を介して薬物部分に結合させる「スペーサー」単位を含むことができる。スぺーサー単位は、「自壊性」でも「非自壊性」でもよい。「非自壊性」のスペーサー単位は、スペーサー単位の一部又は全部が、ADCの酵素的(例えば、タンパク分解性の)開裂時に薬物部分に結合したままであるスペーサー単位である。非自壊性スペーサーの例には、限定されないが、グリシンスペーサー単位及びグリシン−グリシンスペーサー単位が含まれる。配列特異的な酵素的切断の影響を受けやすいペプチドスペーサーの他の組み合わせも考慮される。例えば、腫瘍細胞に結合したプロテアーゼによるグリシン−グリシンスペーサー単位を含むADCの酵素的切断は、残りのADCからのグリシン−グリシン−薬物部分の放出を招く。このような実施態様では、次いで腫瘍細胞中においてグリシン−グリシン−薬物部分に別個の加水分解工程を行い、それにより薬物部分からグリシン−グリシンスペーサー単位を切断する。
「自壊性」スペーサー単位は、別個の加水分解工程なしで薬物部分の放出を可能にする。特定の実施態様では、リンカーのスペーサー単位はp−アミノベンジル単位を含む。このような一実施態様では、p−アミノベンジルアルコールは、アミド結合を介してアミノ酸単位に結合し、カルバメート、メチルカルバメート、又は炭酸塩がベンジルアルコールと細胞傷害性薬剤の間に形成される。例えば、Hamann et al. (2005) Expert Opin. Ther. Patents (2005) 15:1087-1103を参照されたい。一実施態様では、スペーサー単位はp−アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)である。特定の実施態様では、p−アミノベンジル単位のフェニレン部分はQmで置換され、ここでQは−C1−C8アルキル、−O−(C1−C8アルキル)、−ハロゲン,−ニトロ又は−シアノであり;mは0〜4の整数である。自壊性スペーサー単位の例には更に、限定されないが、p−アミノベンジルアルコールと電子的に類似の芳香族化合物(例えば、米国特許出願公開第2005/0256030号)、例えば2−アミノイミダゾール−5−メタノール誘導体(Hay et al. (1999) Bioorg. Med. Chem. Lett. 9:2237)及びオルト−又はパラ−アミノベンジルアセタールが含まれる。アミド結合の加水分解時に環化する、置換及び非置換の4−アミノ酪酸アミド(Rodrigues et al., Chemistry Biology, 1995, 2, 223);適切に置換されたビシクロ[2.2.1]及びビシクロ[2.2.2]環系(Storm, et al., J. Amer. Chem. Soc., 1972, 94, 5815);及び2−アミノフェニルプロピオン酸アミド(Amsberry, et al., J. Org. Chem., 1990, 55, 5867)といったスペーサーを使用することができる。グリシンのa位置で置換されたアミン含有薬の排除(Kingsbury, et al., J. Med. Chem., 1984, 27, 1447)も、ADCに有用な自壊性スペーサーの例である。
一実施態様では、スペーサー単位は、以下に示す分枝状のビス(ヒドロキシメチル)スチレン(BHMS)単位であり、これを使用して複数の薬物の取り込み及び放出が可能である。
ここで、Qは−C1−C8アルキル、−O−(C1−C8アルキル)、−ハロゲン、−ニトロ又は−シアノであり;mは0〜4の整数であり;nは0又は1であり;pは1〜約20の範囲である。
別の実施態様では、リンカーLは、一を超える薬物部分の、分枝による共有結合のための樹状型リンカー、抗体に対する多機能リンカー部分とすることができる(Sun et al (2002) Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 12:2213-2215; Sun et al (2003) Bioorganic and Medicinal Chemistry 11:1761-1768)。樹状リンカーは、ACDの力価に関連する、抗体に対する薬物のモル比、即ち負荷を上昇させることができる。このように、システイン操作抗体が反応性システインチオール基を一つのみ保持する場合、多数の薬物部分が樹状リンカーを介して結合することができる。
例示的リンカー成分及びその組み合わせを、式IIのADCの観点から以下に示す:
Val−Cit又はVC
MC−val−cit
MC−val−cit−PAB
ストレッチャー、スペーサー、及びアミノ酸単位を含むリンカー成分は、米国特許出願公開第2005−0238649号に記載のような当技術分野において既知の方法によって合成することができる。
b.例示的薬物部分
(1)メイタンシン及びメイタンシノイド
いくつかの実施態様では、本明細書に定義される抗CD20抗体とイムノコンジュゲートの組み合わせは、一又は複数のメイタンシノイド分子にコンジュゲートした抗体を含む。メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することにより作用する有糸分裂阻害剤である。メイタンシンは、東アフリカの灌木メイテナスセラタ(Maytenus serrata)から最初に単離された(米国特許第3896111号)。続いて、特定の微生物も、メイタンシノイド、例えばメイタンシノール及びC−3メイタンシノールエステル等のマイタンシノイドを生成することが発見された(米国特許第4151042号)。合成メイタンシノイド及びその誘導体及びアナログは、例えば、米国特許第4137230号;同第4248870号;同第4256746号;同第4260608号;同第4265814号;同第4294757号;同第4307016号;同第4308268号;同第4308269号;同第4309428号;同第4313946号;同第4315929号;同第4317821号;同第4322348号;同第4331598号;同第4361650号;同第4364866号;同第4424219号;同第4450254号;同第4362663号;及び同第4371533号に開示されている。
メイタンシノイドの薬物部分は、以下の理由で抗体−薬物コンジュゲーションの魅力的な薬剤成分である:(i)発酵生成物の発酵又は化学的修飾又は誘導体化により調製するために比較的到達可能であり、(ii)ジスルフィド及び非ジスルフィドリンカーを介した抗体へのコンジュゲートに適した官能基による誘導化を行い易く、(iii)血漿中において安定であり、且つ(iv)様々な腫瘍細胞株に対して有効である。
メイタンシノイド薬物部分としての使用に適したメイタンシン化合物は、当技術分野で周知であり、既知の方法に従って自然の供給源から単離することができるか、又は遺伝子工学及び発酵技術を用いて生成することができる(米国特許第6790952号;同出願公開第2005/0170475号;Yu et al (2002) PNAS 99:7968-7973)。メイタンシノール及びメイタンシノールアナログも、既知の方法に従って合成的に調製することができる。
例示的メイタンシノイド薬物部分には、修飾された芳香族環、例えば:C−19−デクロロ(米国特許第4256746号)(アンサマイトシン(ansamytocin)P2の水素化アルミニウムリチウム還元により調製);C−20−ヒドロキシ(又はC−20−デメチル)+/−C−19−デクロロ(米国特許第4361650号及び同第4307016号)(ストレプトマイセス又はアクチノミセスを用いた脱メチル化、又はLAHを用いた脱塩素化により調製);及びC−20−デメトキシ、C−20−アシルオキシ(OCOR)、+/−デクロロ(米国特許第4294757号)(塩化アシルを用いたアシル化により調製)、及び他の位置に修飾を有するものが含まれる。
例示的メイタンシノイド薬物部分は、C−9−SH(米国特許第4424219号)(メイタンシノールのH2S又はP2S5との反応により調製);C−14−アルコキシメチル(デメトキシ/CH2 OR)(米国特許第4331598号);C−14−ヒドロキシメチル又はアシルオキシメチル(CH2OH又はCH2OAc)(米国特許第4450254号)(ノカルジアから調製);C−15−ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4364866号)(ストレプトマイセスによるメイタンシノールの変換により調製);C−15−メトキシ(米国特許第4313946号及び同第4315929号)(トレウィアヌドロフローラ(Trewia nudlflora)から単離);C−18−N−デメチル(米国特許第4362663号及び同第4322348号)(ストレプトマイセスによるメイタンシノールの脱メチル化により調製);及び、4,5−デオキシ(米国特許第4371533号)(メイタンシノールの三塩化チタン/LAH還元により調製)といった修飾を有するものも含む。
メイタンシン化合物上の多数の位置が、結合の種類に応じて、結合位置として有用であることが既知である。例えば、エステル結合を形成するために、ヒドロキシル基を有するC−3位置、ヒドロキシメチルで修飾されたC−14位置、ヒドロキシル基で修飾されたC−15位置、及びヒドロキシル基を有するC−20位置はすべて適している(米国特許第5208020号;米国再発行特許第39151号;米国特許第6913748号;米国特許第7368565号;米国特許出願公開第2006/0167245号;同第2007/0037972号)。
メイタンシノイド薬物部分は、構造:
を有するものを含み、構造中、波線は、メイタンシノイド薬物部分の硫黄原子の、ADCのリンカーへの共有結合を示す。Rは、独立して、H又はC1−C6アルキルでよい。硫黄原子へアミド基を結合するアルキレン鎖は、メタニル、エタニル、又はプロピルでよく、即ちmは1、2、又は3である(米国特許第633410号;同第5208020号;同第7276497号;Chari et al (1992) Cancer Res. 52:127-131; Liu et al (1996) Proc. Natl. Acad. Sci USA 93:8618-8623)。
メイタンシノイド薬物部分のすべての立体異性体、即ち、Dの不斉炭素におけるRとS構造のあらゆる組み合わせが、本発明の化合物のために考慮される。一実施態様では、メイタンシノイド薬物部分は以下の立体化学を有する:
メイタンシノイド薬物部分の例示的実施態様には:構造:
を有するDM1;DM3;及びDM4が含まれ、ここで波線は、薬物の硫黄原子の、抗体−薬物コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す。(国際公開第2005/037992;米国特許出願公開第2005/0276812号)。
他の例示的メイタンシノイド抗体−薬物コンジュゲートは、以下の構造及び略称を有する(ここでAbは抗体であり、pは1〜約8である):
Ab −SPP−DM1
Ab−SPDB−DM4
Ab−SMCC−DM1
DM1がBMPEOリンカーを介して抗体のチオール基に結合している例示的な抗体−薬物コンジュゲートは、構造及び略称:
を有し、ここでAbは抗体であり;nは0、1、又は2であり;pは1、2、3、又は4である。
メイタンシノイドを含有するイムノコンジュゲート、同イムノコンジュゲートの作製方法、及びその治療的使用が、例えば、Erickson, et al (2006) Cancer Res. 66(8):4426-4433;米国特許第5208020号、同第5416064号、米国特許出願公開第2005/0276812号、及びヨーロッパ特許EP0425235B1に開示されており、これらの開示内容は参照により本明細書に明示的に包含される。
本組み合わせ発明の抗体−メイタンシノイドコンジュゲートは、抗体をメイタンシノイド分子に、抗体又はメイタンシノイド分子いずれの生物活性も大きく低減させることなく、化学的に結合することにより調製される。例えば、米国特許第5208020号参照(開示内容は参照により本明細書に明示的に包含される)。メイタンシノイドは、既知の技術により合成することができるか、又は自然の供給源から単離することができる。適切なメイタンシノイドは、例えば、米国特許第5208020号及び上述の他の特許文献及び非特許文献に開示されており、それらはメイタンシノール及びメイタンシノールの芳香環又は分子の他の位置で修飾されたメイタンシノールアナログなど、例えば様々なメイタンシノールエステルである。
抗体−メイタンシノイドコンジュゲートを作製するための、当技術分野において既知の多くの連結基があり、これには、例えば、米国特許第5208020号又はEP特許0425235B1;Chari et al. Cancer Research 52:127-131 (1992);及び米国特許出願公開第2005/016993号に開示されているものが含まれ、これら文献の開示内容は参照により本明細書に明示的に包含される。リンカー成分SMCCを含む抗体−メイタンシノイドコンジュゲートは、米国特許出願公開第2005/0276812号、「Antibody−drug conjugates and Methods」に記載のようにして調製することができる。そのようなリンカーは、上記特許において開示されている、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸解離性基、光解離性基、ペプチダーゼ解離性基、又はエステラーゼ解離性基を含む。更なるリンカーが本明細書に記載及び例示される。
抗体とメイタンシノイドのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン−2,6−ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。特定の実施態様では、ジスルフィド結合を提供するためのカップリング剤は、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルチオ)プロピオン酸(SPDP)(Carlsson et al., Biochem. J. 173:723-737 (1978))又はN−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)である。
リンカーは、連結の種類に応じて、多様な位置でメイタンシノイド分子に結合させることができる。例えば、エステル結合は、従来のカップリング技術を使用したヒドロキシル基との反応により形成される。この反応は、ヒドロキシル基を有するC−3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC−14位、ヒドロキシル基で修飾されたC−15位、及びヒドロキシル基を有するC−20位で発生しうる。一実施態様において、結合は、メイタンシノール又はメイタンシノールアナログのC−3位で形成される。
(2)アウリスタチン及びドラスタチン
いくつかの実施態様では、本明細書に定義される抗CD20抗体とイムノコンジュゲートの組み合わせは、ドラスタチン又はドラスタチンのペプチド性アナログ若しくは誘導体、例えばアウリスタチン(米国特許第5635483号;同第5780588号)にコンジュゲートした抗体を含む。ドラスタチン及びアウリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解、並びに核及び細胞分裂に干渉し(Woyke et al (2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12):3580-3584)抗がん活性(米国特許第5663149号)及び抗真菌活性(Pettit et al (1998) Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965)を有することが示されている。ドラスタチン又はアウリスタチン薬物部分は、ペプチド性薬物部分のN(アミノ)末端又はC(カルボキシル)末端を介して抗体に結合しうる(国際公開第02/088172)。
例示的アウリスタチンの実施態様には、N末端結合モノメチルアウリスタチン薬物部分DE及びDFが含まれる(米国特許出願公開第2005/0238649号、Senter et al, Proceedings of the American Association for Cancer Research, Volume 45, Abstract Number 623, presented March 28, 2004に開示、これら文献の開示内容全体は参照により本明細書に明示的に包含される)。
ペプチド性薬物部分は、以下の式DE及びDFから選択される:
式中、DE及びDFの波線は、抗体又は抗体リンカー成分への共有結合部位を示し、各位置において独立して:
R2はH及びC1−C8アルキルから選択され;
R3はH、C1−C8アルキル、C3−C8炭素環、アリール、C1−C8アルキル−アリール、C1−C8アルキル−(C3−C8炭素環)、C3−C8複素環及び C1−C8アルキル−(C3−C8複素環)から選択され;
R4はH、C1−C8アルキル、C3−C8炭素環、アリール、C1−C8アルキル−アリール、C1−C8アルキル−(C3−C8炭素環)、C3−C8複素環及び C1−C8アルキル−(C3−C8複素環)から選択され;
R5はH及びメチルから選択されるか;
又はR4及びR5は一緒に炭素環式環を形成し、式(CRaRb)n(Ra及びRbは独立してH、C1−C8アルキル及びC3−C8炭素環から選択され、nは2、3、4、5及び6から選択される)を有し;
R6はH及びC1−C8アルキルから選択され;
R7はH、C1−C8アルキル、C3−C8炭素環、アリール、C1−C8アルキル−アリール、C1−C8アルキル−(C3−C8炭素環)、C3−C8複素環及び C1−C8アルキル−(C3−C8複素環)から選択され;
各R8は独立してH、OH、C1−C8アルキル、C3−C8炭素環及びO−(C1−C8アルキル)から選択され;
R9はH及びC1−C8アルキルから選択され;
R10はアリール又はC3−C8複素環から選択され;
ZはO、S、NH、又はNR12(R12はC1−C8アルキル)であり;
R11はH、C1−C20アルキル、アリール、C3−C8複素環、−(R13O)m−R14、又は−(R13O)m−CH(R15)2から選択され;
mは1〜1000にわたる整数であり;
R13はC2−C8アルキルであり;
R14は、H又はC1−C8−アルキルであり;
R15の各発生は独立してH、COOH、−(CH2)n−N(R16)2、−(CH2)n−SO3H、又は−(CH2)n−SO3−C1−C8アルキルであり;
R16の各発生は独立してH、C1−C8アルキル、又は−(CH2)n−COOHであり;
R18は−C(R8)2−C(R8)2−アリール、−C(R8)2−C(R8)2−(C3−C8複素環)、及び−C(R8)2−C(R8)2−(C3−C8炭素環)から選択され;
nは0〜6にわたる整数である。
一実施態様では、R3、R4及びR7は独立してイソプロピル又はsec−ブチルであり、R5は-H又はメチルである。例示的一実施態様では、R3及びR4の各々はイソプロピルであり、R5は−Hであり、R7はsec−ブチルである。
また別の実施態様では、R2及びR6の各々はメチルであり、R9は−Hである。
また別の実施態様では、R8の各発生は−OCH3である。
例示的一実施態様では、R3及びR4の各々はイソプロピルであり、R2及びR6の各々はメチルであり、R5は−Hであり、R7はsec−ブチルであり、R8の各発生は−OCH3であり、R9は−Hである。
一実施態様では、Zは−O−又は−NH−である。
一実施態様では、R10はアリールである。
例示的一実施態様では、R10は−フェニルである。
例示的一実施態様では、Zが−O−であるとき、R11は−H、メチル又はt−ブチルである。
一実施態様では、Zが−NHであるとき、R11は−CH(R15)2であり、ここでR15は−(CH2)n−N(R16)2であり、R16は−C1−C8アルキル又は−(CH2)n−COOHである。
別の一実施態様では、Zが−NHであるとき、R11は−CH(R15)2であり、ここでR15は−(CH2)n−SO3Hである。
式DEの例示的アウリスタチンの実施態様はMMAEであり、式中の波線は、抗体−薬物コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す:
MMAE
式DFの例示的アウリスタチンの実施態様はMMAFであり、式中の波線は、抗体−薬物コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す(米国特許出願公開第2005/0238649号及びDoronina et al. (2006) Bioconjugate Chem. 17:114-124参照):
MMAF
他の例示的実施態様は、ペンタペプチドアウリスタチン薬物部分のC末端にフェニルアラニンカルボキシ修飾を有するモノメチルバリン化合物(国際公開第2007/008848号)及びペンタペプチドアウリスタチン薬物部分のC末端にフェニルアラニン側鎖修飾を有するモノメチルバリン化合物(国際公開第2007/008603号)を含む。
他の薬物部分は、以下のMMAF誘導体を含み、式中の波線は、抗体−薬物コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す:
,
,
,
,
、及び
一態様では、上述のような、限定しないが三エチレングリコールエステル類(TEG)を含む親水基は、薬物部分にR11で結合することができる。いずれの理論にも縛られないが、親水基は薬物部分の内部移行及び非凝集作用を補助する。
アウリスタチン/ドラスタチン又はその誘導体を含む、式IのADCと本明細書に定義される抗CD20抗体との組み合わせの例示的実施態様は、米国特許出願公開第2005−0238649号及びDoronina et al. (2006) Bioconjugate Chem. 17:114-124に記載されており、これら文献は参照により本明細書に明示的に包含される。MMAE又はMMAFと、様々なリンカー成分とを含む式IのADCの例示的実施態様は、以下の構造及び略称を有する(ここで「Ab」は抗体であり;pは1〜約8であり、「Val−Cit」又は「vc」はバリン−シトルリンジペプチドであり;「S」は硫黄原子である)。本明細書の硫黄に結合したADCの構造の記載のうち特定のものにおいては、抗体は「Ab−S」と表記されているが、これは単に硫黄結合の特性を示すためであって、特定のリンカー−薬物部分を保持することを示しているのはな原子が複数のリンカー−薬物部分を保持することを示しているのではない。以下の構造の左の括弧は、硫黄原子の左側のAbとSの間に配置してもよく、これは本明細書を通して記載される本発明のADCの等価な記載である。
MMAF及び様々なリンカー成分を含む式IのADCと本明細書に定義される抗CD20抗体との組み合わせの例示的実施態様は更に、Ab−MC−PAB−MMAF及びbAb−PAB−MMAFを含む。興味深いことに、タンパク質分解性に切断可能でないリンカーにより抗体に結合したMMAFを含むイムノコンジュゲートは、タンパク質分解性に切断可能なリンカーにより抗体に結合したMMAFを含むイムノコンジュゲートに匹敵する活性を保持することが示されている。Doronina et al. (2006) Bioconjugate Chem. 17:114-124参照。このような場合、薬物の放出は、細胞中の抗体分解によって行われると考えらえる。Id.
通常、ペプチドベースの薬物部分は、二つ以上のアミノ酸及び/又はペプチド断片の間にペプチド結合を形成することにより調製することができる。このようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の分野で周知の液体相合成法に従って調製することができる(E. Schroder and K. Lubke, “The Peptides”, volume 1, pp 76-136, 1965, Academic Press参照)。アウリスタチン/ドラスタチン薬物部分は、米国特許出願公開第2005−0238649号;米国特許第5635483号;同第5780588号;Pettit et al (1989) J. Am. Chem. Soc. 111:5463-5465; Pettit et al (1998) Anti-Cancer Drug Design 13:243-277; Pettit, G.R., et al. Synthesis, 1996, 719-725; Pettit et al (1996) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 5:859-863; 及びDoronina (2003) Nat. Biotechnol. 21(7):778-784の方法に従って調製される。
特に、式DFのアウリスタチン/ドラスタチン薬物部分、例えばMMAF及びその誘導体は、米国特許出願公開第2005−0238649号及びDoronina et al. (2006) Bioconjugate Chem. 17:114-124に記載の方法を用いて調製される。式DEのアウリスタチン/ドラスタチン薬物部分、例えばMMAE及びその誘導体は、Doronina et al. (2003) Nat. Biotech. 21:778-784に記載の方法を用いて調製される。薬物−リンカー成分であるMC−MMAF、MC−MMAE、MC−vc−PAB−MMAF、及びMC−vc−PAB−MMAEは、簡便には、例えばDoronina et al. (2003) Nat. Biotech. 21:778-784、及び米国特許出願公開第2005/0238649号に記載の常套的な方法により合成され、次いで対象の抗体にコンジュゲートされる。
(3)カリケアマイシン
他の実施態様では、本明細書に定義される抗CD20抗体とイムノコンジュゲートの組み合わせは、一又は複数のカリケアマイシン分子にコンジュゲートした抗体を含む。カリケアマイシンファミリーの抗生物質は、ピコモル濃度未満で二本鎖DNA切断を生じさせる能力がある。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許第5712374号、同第5714586号、同第5739116号、同第5767285号、同第5770701号、同第5770710号、同第5773001号、同第5877296号(すべてAmerican Cyanamid Company)を参照のこと。使用されうるカリケアマイシンの構造的アナログには、限定されないが、γ1 I、α2 I、α3 I、N−アセチル−γ1 I、PSAG及びθI 1が含まれる(Hinman et al., Cancer Research 53:3336-3342 (1993), Lode et al., Cancer Research 58:2925-2928 (1998)、及び上述のAmerican Cytents to American Cyanamidの米国特許)。抗体をコンジュゲートすることができる別の抗腫瘍薬は、抗葉酸薬であるQFAである。カリケアマイシンとQFAはどちらも、細胞内作用部位を有しており、原形質膜を容易に越えない。したがって、細胞が抗体媒介性の内部移行を通じてこれらの薬剤を取り込むと、その細胞傷害効果は大きく強化される。
c.他の細胞傷害性薬剤
抗体にコンジュゲートすることができる他の抗腫瘍剤には、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリスチン及び5−フルオロウラシル、総称的にLL−E33288複合体として知られる薬剤ファミリー(米国特許第5053394号、同第5770710号に記載)、並びにエスペラマイシン(米国特許第5877296号)が含まれる。
使用可能な酵素的に活性な毒素及びその断片は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ−サルシン、アレウリテスフォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、モモルディカチャランチア(momordica charantia)阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリアオフィシナリス(sapaonaria oficinalis)阻害剤、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)を含む。例えば、1993年10月28日公開の国際公開第93/21232号を参照。
本発明は更に、核分解活性を有する化合物と抗体との間に形成されたイムノコンジュゲートと本明細書に定義される抗CD20抗体の組み合わせを含む(例えば、リボヌクレアーゼ又はDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNase)。
特定の実施態様では、本明細書に定義される抗CD20抗体とイムノコンジュゲートの組み合わせは、高度に放射性の原子を含みうる。様々な放射性同位体が放射性コンジュゲート抗体の生成のために入手可能である。例として、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体が挙げられる。検出のためにイムノコンジュゲートを使用するとき、それはシンチグラフィー試験のための放射性原子、例えばTc99m又はI123、又は核磁気共鳴(NMR)画像化(磁気共鳴画像化MRIとしても知られている)のためのスピン標識、例えばヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含んでよい。
放射能又は他の標識は、既知の方法でイムノコンジュゲートに取り込むことができる。例えば、ペプチドは、例えば、生合成されるか、例えば水素の代わりにフッ素19を伴う適切なアミノ酸前駆体を用いた化学アミノ酸合成により合成される。tc99m又はI123、Re186、Re188及びIn111といった標識は、ペプチド中のシステイン残基を介して結合させることができる。Yttrium−90は、リジン残基を介して結合させることができる。IODOGEN法(Fraker et al (1978) Biochem. Biophys. Res. Commun. 80 49-57を、ヨウ素−123を取り込むために使用することができる。「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」(Chatal, CRC Press 1989)には、他の方法が詳細に記載されている。
特定の実施態様では、本明細書に定義される抗CD20抗体とイムノコンジュゲートの組み合わせは、プロドラッグを活性薬物、例えば抗がん薬に変換するプロドラッグ活性酵素にコンジュゲートした抗体を含みうる(例えば、ペプチジル化学療法剤、国際公開第81/01145号参照)。このようなイムノコンジュゲートは、抗体依存性酵素媒介性プロドラッグ療法(「ADEPT」)において有用である。抗体にコンジュゲートしうる酵素としては、限定されるものではないが、以下を含む:ホスフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換させるのに有用なアルカリホスファターゼ;スルフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換させるのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性の5−フルオロシトシンを抗がん薬の5−フルオロウラシルに変換させるのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換させるのに有用なプロテアーゼ、例えば、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、及びカテプシン(例えばカテプシンB及びL);D−アミノ酸置換基を含有するプロドラッグを変換させるのに有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化されたプロドラッグを遊離薬物に変換させるのに有用な炭水化物開裂酵素、例えばβ−ガラクトシダーゼ及びノイラミニダーゼ;β−ラクタムで誘導体化されている薬物を遊離薬物に変換させるのに有用なβ−ラクタマーゼ;並びに、アミン窒素の位置においてそれぞれフェノキシアセチル基又はフェニルアセチル基で誘導体化されている薬剤を遊離薬物に変換させるのに有用なペニシリンアミダーゼ、例えばペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼ。酵素は、当技術分野で周知の組換えDNA技術により抗体に共有結合しうる。例えば、Neuberger et al., Nature 312:604-608 (1984)を参照のこと。
d.薬物負荷
薬物負荷は、式Iの一分子中の抗体一つ当たりの薬物部分の平均数であるpにより表される。薬物負荷は、抗体一つ当たり1〜20個の薬物部分(D)にわたってよい。式IのADCは、1〜20個の範囲の薬物部分にコンジュゲートした抗体の集団を含む。コンジュゲート反応に基づくADCの調製における抗体一つ当たりの薬物部分の平均数は、質量分析、ELISAアッセイ、及びHPLCのような一般的な手段により特徴づけられる。pの観点からADCの量的分布も決定される。場合によっては、均一なADCの分離、精製、及び特徴づけ(pは他の薬物負荷を伴うADCに基づく何らかの値である)は、逆相HPLC又は電気泳動などの手段により達成される。このように、式Iの抗体−薬物コンジュゲートの薬学的製剤は、このようなコンジュゲートと1、2、3、4、又はそれより多い薬物部分に結合した抗体との不均一な混合物でありうる。
いくつかの抗体−薬物コンジュゲートの場合、pは抗体の結合部位の数によって限定される。例えば、上記例示的実施態様のように結合がシステインチオールである場合、抗体は一又は複数のシステインチオール基のみを有するか、又はそれを介してリンカーが結合する一又は複数の十分に反応性のチオール基を有することができる。特定の実施態様では、より高い薬物負荷、例えばp>5は、特定の抗体−薬物コンジュゲートの凝集、不溶化、毒性、又は細胞透過性の欠失を引き起こすことがある。特定の実施態様では、本発明のADCの薬物負荷は、1〜約8;約2〜約6;又は約3〜約5にわたる。実際、特定のADCについて、抗体一つ当たりの薬物部分の最適な比が8未満であり、約2〜約5でありうることが示されている。米国特許出願公開第2005−0238649号参照。
特定の実施態様では、理論的最大値を下回る薬物部分がコンジュゲート反応の間に抗体にコンジュゲートする。抗体は、例えば、後述するように、薬物−リンカー中間体又はリンカー試薬と反応しないリジン残留物を含むことができる。通常、抗体は、薬物部分に結合しうる、遊離する反応性システインチオール基を多くは含まず;実際、抗体中の大部分のシステインチオール残基はジスルフィド架橋として存在する。特定の実施態様では、抗体は、部分又は全還元条件下において、ジチオスレイトール(DTT)又はトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)といった還元剤により還元されて、反応性システインチオール基を生成する。特定の実施態様では、抗体は、リジン又はシステインといった反応性求核基を明らかにするために、変性条件にさらされる。
ADCの負荷(薬物/抗体の比)は、様々な方法によって制御され、それらは例えば以下である:(i)抗体に反応性の過剰モルの薬物−リンカー中間体又はリンカー試薬を制限すること、(ii)コンジュゲート反応時間又は温度を制限すること、並びに(iii)システインチオール修飾の還元条件を一部に制限すること。
複数の求核基が薬物−リンカー中間体又はリンカー試薬とそれに続く薬物部分試薬と反応する場合、結果として得られる生成物が、ADC化合物と、抗体に結合した一又は複数の薬物部分の分配の混合物であることを理解されたい。抗体一つ当たりの薬物の平均数は、二重ELISA抗体アッセイにより混合物から計算することができ、これは抗体に特異的であり、且つ薬物に特異的である。個々のADC分子は、質量分析により混合物中において同定され、HPLC、例えば疎水性相互作用クロマトグラフィーによって分離される(例えば、McDonagh et al (2006) Prot. Engr. Design and Selection 19(7):299-307; Hamblett et al (2004) Clin. Cancer Res. 10:7063-7070; Hamblett, K.J., et al. “Effect of drug loading on the pharmacology, pharmacokinetics, and toxicity of an anti-CD30 antibody-drug conjugate,” Abstract No. 624, American Association for Cancer Research, 2004 Annual Meeting, March 27-31, 2004, Proceedings of the AACR, Volume 45, March 2004; Alley, S.C., et al. “Controlling the location of drug attachment in antibody-drug conjugates,” Abstract No. 627, American Association for Cancer Research, 2004 Annual Meeting, March 27-31, 2004, Proceedings of the AACR, Volume 45, March 2004)。特定の実施態様では、単一の負荷値を有する均一なADCは、電気泳動又はクロマトグラフィーによりコンジュゲート混合物から単離される。
抗体薬物コンジュゲートの調製:
本明細書に記載される、本組み合わせ発明の抗体薬物コンジュゲート(ADC)は、当業者に既知の方法により調製される。例示的方法は、例えば国際公開第2009/099728号に記載されている。前記方法は、例えば国際公開第2009/099728号の段落538−545(イムノコンジュゲートの調製)、段落546−585(例示的なイムノンジュゲート−チオ抗体薬物コンジュゲート)、段落586−591(リンカー)、段落592−605(ストレッチャー単位)、段落606−610(アミノ酸単位)、段落611−617(スペーサー単位)、段落618−624(樹状リンカー)、段落625−632(リンカー試薬);段落633−636(システイン操作抗CD79b抗体−薬物コンジュゲートの調製)に記載されており、これらすべては参照により包含される。
本組み合わせ発明によるCD79b抗体−薬物コンジュゲートのIC50決定のためのインビトロ活性アッセイ
「IC50」は、測定された比活性の50%を阻害するために必要な特定の化合物の濃度を指す。CD79bの相互作用を阻害する薬剤のIC50は、特に以下のようにして測定することができる。
用語「細胞傷害活性」は、抗体−薬物コンジュゲート又は抗体−薬物コンジュゲートの細胞内代謝物質の細胞死滅効果、細胞分裂停止効果、又は増殖阻害効果を指す。細胞傷害活性は、IC50値として表すことができ、これは細胞の半分が生存する単位体積当たりの濃度(モル又は質量)である。
複数のリンパ腫細胞株上のヒトCD79bの表面発現
様々な量でその表面上にCD79bを発現している19のリンパ腫細胞株を培養し、ログ段階増殖において収穫した。細胞を、それぞれ100μg/mlの正常なマウスIgG及び正常なヒトIgGを含むFACS洗浄バッファー(PBS;0.5%ウシ血清アルブミン;0.1%アジ化ナトリウム)中に懸濁し、氷上に維持した。100μl当たり約1×106個の細胞を、抗huCD79b APC(mIgG1、クローンRFB4、Southern Biotech #9361−11)又はマウスIgG1 APCアイソタイプ(BD Pharmingen #555751)で30分間氷上で染色した。死細胞は7−AAD(BD Pharmingen #559925)で染色した。データは、BD FacsCaliburTMフローサイトメーター上で取得し、FlowJoTMソフトウェアで分析した。huMA79b.v28−MCvcPAB−DM1又はhuMA79b.v28−MCvcPAB−MMAF又はhuMA79b.v28−MCvcPAB−MMAE又は各遊離薬物(DM1、MMAF、又はMMAE)のIC50の決定は、上述のようにリンパ腫細胞を培養すること、ログ段階の培養細胞を収穫すること、及び5000個の細胞を、96ウェルプレートの一ウェル当たり90μlの培地に播種することによって行われた。ADC及び遊離薬物を、検出範囲内で順番に希釈した(ADCについて300μg/mlから、又は遊離薬物について90nMから開始して、本質的にゼロのアッセイ標的まで希釈)。10μlの希釈ADC又は遊離薬物のアリコートを、細胞を含有する複製ウェルに加え、3日間37℃でインキュベートした。各ウェルに対し、100μlのCellTiter GloTMを加え、30分間インキュベートした。化学発光を検出し、データを、PrismTMソフトウェアを用いて分析した。
オリゴ糖成分は、物理的安定性、プロテアーゼ攻撃に対する耐性、免疫系との相互作用、薬物動態、及び特定の生物活性を含む、治療用糖タンパク質の効能に関連した特性に有意に影響することができる。そのような特性は、オリゴ糖の有無だけでなく、その特定の構造にも依存しうる。オリゴ糖構造と糖タンパク質機能との間で、何らかの一般化が可能である。例えば、特定のオリゴ糖構造が特定の糖結合タンパク質との相互作用を通じて血流からの糖タンパク質の迅速な排除を媒介する一方、他のオリゴ糖構造は抗体に結合し、望まれない免疫反応を惹起する(Jenkins, N., et al., Nature Biotechnol. 14 (1996) 975-981)。
哺乳動物細胞は、ヒトへの応用に最も適合性の形態にタンパク質をグリコシル化するその能力のために、治療用糖タンパク質生産のための優良な宿主である(Cumming, D.A., et al., Glycobiology 1 (1991) 115-130; Jenkins, N., et al., Nature Biotechnol. 14 (1996) 975-981)。細菌は非常に希にしかタンパク質をグリコシル化せず、酵母、糸状菌、昆虫及び植物細胞などの他の種類の一般的な宿主と同様に、血流からの迅速な排除、望ましくない免疫相互作用、及び何らかの特定の場合では、生物活性の低下に関与するグリコシル化パターンを生じる。哺乳動物細胞の中で、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、最近20年間に最も一般的に使用されている。適切なグリコシル化パターンを生じることに加えて、これらの細胞は、遺伝的に安定で、高度に生産性のクローン細胞株の一貫した産生を可能とする。これらは、簡単なバイオリアクター中で、無血清培地を使用して高密度で培養することが可能で、安全かつ再現性のよいバイオプロセスの開発を可能にする。他の一般的に使用される動物細胞は、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、NSO−及びSP2/0−マウス骨髄腫細胞を含む。より最近では、トランスジェニック動物由来の生産も試験されている(Jenkins, N., et al., Nature Biotechnol. 14 (1996) 975-981)。
全ての抗体は、重鎖定常領域の保存位置に炭水化物構造を含み、各アイソタイプはN結合型糖鎖構造の別個のアレイを有し、これらはタンパク質集合、分泌又は機能的活性に様々に影響する(Wright, A., and Morrison, S.L., Trends Biotech. 15 (1997) 26-32)。結合したN結合炭水化物の構造は、プロセシングの度合いに応じて大きく変化し、多重に分岐した高マンノース、並びに二分岐複合体オリゴ糖を含みうる(Wright, A., and Morrison, S.L., Trends Biotech. 15 (1997) 26-32)。典型的には、特定のグリコシル化部位で結合したコアオリゴ糖構造の不均一なプロセシングが存在し、モノクローナル抗体であっても複数の糖形態として存在する。同様に、抗体のグリコシル化における大きな差異が細胞株の間で生じることが示されており、場合によっては異なる培養条件下で増殖した所定の細胞株に対して僅かな差異が見られる(Lifely, M.R., et al., Glycobiology 5 (1995) 813-822)。
単純な生産プロセスを維持し、有意な望ましくない副作用を潜在的に回避しながら、効力を大きく増加させる一つの方法は、Umana, P., et al., Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180及び米国特許第6602684号に記載されるように、そのオリゴ糖成分を操作することにより、モノクローナル抗体の天然の細胞媒介性エフェクター機能を亢進させることである。がん免疫療法において最も一般的に使用される抗体であるIgG1型抗体は、各CH2ドメインのAsn297に保存されたN結合型グリコシル化部位を有する糖タンパク質である。Asn297に結合した2つの複合二分岐オリゴ糖はCH2ドメイン間に包埋されて、ポリペプチド骨格を有する広範な接触部を形成し、それらの存在は、抗体が、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)などのエフェクター機能を媒介するのに必須である(Lifely, M.R., et al., Glycobiology 5 (1995) 813-822; Jefferis, R., et al., Immunol. Rev. 163 (1998) 59-76; Wright, A., 及び Morrison, S.L., Trends Biotechnol. 15 (1997) 26-32)。
二分岐オリゴ糖の形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼであるβ(l,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI11(「GnTII17y」)のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における過剰発現が、操作されたCHO細胞により生産される抗神経芽細胞腫キメラモノクローナル抗体(chCE7)のインビトロADCC活性を有意に増加させることが既に示されている(Umana, P., et al., Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180;及び国際公開第99/154342号を参照のこと。これらの全内容は参照により本明細書中に援用される)。抗体chCE7は、高い腫瘍親和性及び特異性を有するが、GnTIII酵素を欠く標準的な工業用細胞株において生産された場合、殆ど効力を有さず臨床的に有用ではない非コンジュゲートモノクローナル抗体の大きなクラスに属する(Umana, P., et al., Nature Biotechnol. 17 (1999) 176-180)。その研究は、二分岐非フコシル化オリゴ多糖を含む、定常領域(Fc)に結合した二分岐オリゴ糖の割合の増加も引き起こす、GnTIIIを発現するように、抗体産生細胞を操作することにより、天然に存在する抗体に見出されるレベルを超えて、ADCC活性の大幅な増加が達成され得ることを最初に示したものである。
本明細書で使用される用語「がん」は、リンパ腫、リンパ性白血病、肺がん、非小細胞肺(NSCL)がん、細気管支肺胞上皮細胞肺がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚黒色腫又は眼球内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん(stomach cancer)、胃がん(gastric cancer)、結腸がん、乳がん、子宮がん、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟組織の肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、膀胱がん、腎臓又は尿管のがん、腎細胞癌、腎盂癌、中皮腫、肝細胞がん、胆道がん、中枢神経系(CNS)の腫瘍、脊椎腫瘍、脳幹神経膠腫、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、シュワン腫、上衣腫、髄芽腫、髄膜腫、扁平上皮癌、下垂体腺腫を含み、上記がんのいずれかの難治型、又は上記がんの一又は複数の組み合わせも含まれる。一実施態様では、用語がんはCD20を発現するがんを指す。
用語「CD20の発現」抗原は、細胞中、好ましくは、腫瘍又はがん(好ましくは非固形腫瘍)にそれぞれ由来する、好ましくはT又はB細胞(より好ましくはB細胞)の細胞表面上における、CD20抗原の発現の有意なレベルを示すことが意図される。「CD20を発現するがん」に罹患している患者は、当技術分野で既知の標準的アッセイにより決定することができる。例えば、CD20抗原発現は、免疫組織化学(IHC)検出、FACSを使用して、又は対応するmRNAのPCRに基づく検出を介して測定することができる。
本明細書において使用される用語「CD20を発現するがん」は、がん細胞がCD20抗原の発現を示すすべてのがんを指す。本明細書において使用されるCD20を発現するがんは好ましくは、リンパ腫(好ましくはB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL))及びリンパ性白血病を指す。このようなリンパ腫及びリンパ性白血病は、例えばa)濾胞性リンパ腫、b)小型非開裂性細胞リンパ腫/バーキットリンパ腫(地方病性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫及び非バーキットリンパ腫を含む)c)辺縁帯リンパ腫(節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(粘膜関連リンパ組織リンパ腫、MALT)、節性辺縁帯B細胞リンパ腫及び脾性辺縁帯リンパ腫)、d)マントル細胞リンパ腫(MCL)、e)大細胞リンパ腫(B細胞びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、びまん性混合型細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、縦隔原発B細胞リンパ腫、血管中心性肺B細胞リンパ腫を含む)f)毛様細胞白血病、g)リンパ球性リンパ腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、h)急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞前リンパ球性白血病、i)形質細胞腫、形質細胞骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄腫、j)ホジキン病を含む。
一実施態様では、CD20を発現するがんはB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)である。別の実施態様では、CD20を発現するがんは、マントル細胞リンパ腫(MCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、B細胞びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、バーキットリンパ腫、毛様細胞白血病、濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、辺縁帯リンパ腫、移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、HIV関連リンパ腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、又は中枢神経系原発リンパ腫である。
用語「治療方法」又はこれと同義の用語は、例えばがんに適用される場合、患者におけるがん細胞の数を減少又は消滅させるように、又はがんの症状を緩和するように設計された手順又は行動方針を指す。がん又は他の増殖性疾患の「治療方法」は、がん細胞若しくは他の疾患が実際に消滅し、細胞の数若しくは疾患が実際に低減し、又はがん若しくは他の疾患の症状が実際に緩和することを必ずしも意味しない。しばしば、成功の確率が低くても患者の既往歴や推定生存期間を前提として総合的に有益な行動方針を誘導するとみなされるがんの治療方法が実施される。
用語「共投与」又は「共投与すること」は、前記アフコシル化抗CD20、及び前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートの、二つの別個の製剤(又は単一の製剤)としての投与を指す。共投与は、同時であっても、又は任意の順序で連続的であってもよく、両方(又はすべて)の活性剤がそれらの生物活性を同時に発揮する期間があることが好ましい。前記抗CD20アフコシル化抗体及び前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートは、同時に又は連続して共投与される(例えば連続的注入により静脈内(i.v.)に(抗CD20抗体について一回、及び最終的に前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートについて一回;又は例えば抗CD20抗体は連続的注入により静脈内(i.v.)投与され、前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートは経口投与される)。両方の治療剤が連続的に共投与されるとき、用量は、二回の別々の投与に分けて同日に投与されるか、又は薬剤の一方が1日目に投与され、二番目が2〜7日目に、好ましくは2〜4日目に共投与される。このように、一実施態様では、用語「連続的に」は、第1の成分(抗CD20抗体又はCD79b抗体−薬物コンジュゲート)の用量の後の7日以内を、好ましくは第1の成分の用量の後の4日以内を意味し;用語「同時に」は同じ時点でを意味する。前記アフコシル化抗CD20抗体及び前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートの維持量に関する用語「共投与」は、治療周期、例えば毎週1回、が両方の薬物にとって適切である場合は、維持量が同時に共投与されうることを意味する。或いは、例えばCD79b抗体−薬物コンジュゲートは、例えば毎第1日目〜第3日目に投与され、前記アフコシル化抗体は毎週投与される。或いは、維持量は、一日以内又は七日以内に、連続的に共投与される。
対象化合物の量又は併用量が、研究者、獣医、医師若しくは他の臨床家が求める組織、系、動物若しくはヒトの生物学的又は医学的奏功を引き出す量である、「治療的有効量」(又は単に「有効量」)で抗体が患者に投与されることは自明である。
前記抗CD20アフコシル化抗体及び前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートの共投与の量及び共投与のタイミングは、治療される患者の種類(人種、性別、年齢、体重など)及び状態、並びに治療される疾患又は状態の重症度に依存する。前記アフコシル化抗CD20抗体及び前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートは、単回で、又は一連の治療にわたって、例えば同日又は後日、患者に対して適切に共投与される。
投与が静脈内投与である場合、前記アフコシル化抗CD20抗体又は前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートの最初の点滴時間は、次の点滴時間より長く、例えば最初の点滴が約90分間であり、次の点滴が約30分間である(最初の点滴が良好な耐容性を示せば)。
疾患の種類及び重度に応じて、約0.1mg/kg〜50mg/kg(例えば0.1〜20mg/kg)の前記アフコシル化抗CD20抗体;及び1μg/kg〜50mg/kg(例えば0.1〜20mg/kg)の前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートが、両方の薬物の患者への共投与のための初回の候補投与量である。一実施態様において前記アフコシル化抗CD20抗体の好ましい投与量(好ましくはアフコシル化されたヒト化B−Ly1抗体)は、約0.05mg/kg〜約30mg/kgである。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、10mg/kg又は30mg/kgの一又は複数の用量(又はこれらのいずれかの組み合わせ)を患者に共投与してよい。一実施態様において前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートの好ましい投与量は、約0.05mg/kg〜約30mg/kgである。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、10mg/kg又は30mg/kgの一又は複数の用量(又はこれらのいずれかの組み合わせ)を患者に共投与してよい。
これらのがんを治療するために、一実施態様では、前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートは、上述のように、静脈内注入を介して投与される。点滴により投与される用量は、一用量当たり約1μg/m2〜約10000μg/m2の範囲であり、通常は週に一用量で合計で一、二、三、又は四用量である。代替的に、投与量の範囲は、約1μg/m2〜約1000μg/m2、約1μg/m2〜約800μg/m2、約1μg/m2〜約600μg/m2、約1μg/m2〜約400μg/m2、約10μg/m2〜約500μg/m2、約10μg/m2〜約300μg/m2、約10μg/m2〜約200μg/m2、及び約1μg/m2〜約200μg/m2である。用量は毎日一回、週一回、週複数回但し毎日一回より少ない量で、月に複数回但し毎日一回より少ない量で、月に複数回但し週一回より少ない量で、月に一回、又は断続的に、疾患の症状を軽減又は緩和するために、投与されうる。投与は、治療されているリンパ腫、白血病の腫瘍又は症状の寛解まで、開示される間隔のいずれかで継続されうる。投与は、症状の寛解又は軽減が達成された後、このような寛解又は軽減が投与の継続によって延長するならば、継続されうる。
患者の種類(種、性別、年齢、体重など)及び状態と、アフコシル化抗CD20抗体の種類とに応じて、前記アフコシル化抗CD20抗体の投与量及び投与計画は前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートとは異なってよい。例えば、前記アフコシル化抗CD20抗体は、一〜三週間に一回投与されてよく、前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートは毎日又は2〜10日毎に投与されてよい。また、初期の高負荷用量の後、一以上の低用量を投与してよい。
一実施態様では、本発明によりCD79b抗体−薬物コンジュゲートと併用される前記アフコシル化抗CD20抗体(好ましくは、アフコシル化されたヒト化B−Ly1抗体)の好ましい投与量は、3〜6週の投薬サイクルの1、8、15日目に800〜1600mg(一実施態様では800〜1200mg)、及び次いで九回までの3〜4週の投薬サイクルの1日目に400〜1200(一実施態様では800〜1200)mgである。最も好ましくは、用量は3週間の投薬計画においてフラット用量1000mgであり、第2週にフラット用量1000mgのサイクルが追加可能である。
また別の実施態様では、本発明によりアフコシル化抗CD20抗体と併用されるCD79b抗体−薬物コンジュゲートの用量は、3週間の投薬計画において約1.5mg/kg〜約3mg/kg、好ましくは約1.7mg/kg〜約2.5mg/kg、最も好ましくは約1.8mg/kg〜約2.4mg/kgである。前記最も好ましい投与量は、現在CD79b抗体−薬物コンジュゲート単剤療法の第2相試験において試験されている。
また別の実施態様では、本発明によりCD79b抗体−薬物コンジュゲートと併用されるアフコシル化抗CD20抗体の用量は、1日目に約1000mgのフラット用量(サイクル1の1日目(C1D1))、8日目に約1000mgの更なるフラット用量(C1D8)及び15日目に約1000mgの更なるフラット用量(C1D15)と、続いて更に六回にわたる、三週毎の前記アフコシル化抗CD20抗体約1000mgのフラット用量(サイクル2):22日目(C2D1)、43日目(C2D2)、64日目(C2D3)、85日目(C2D4)、106日目(C2D5)、及び127日目(C2D6)である。前記実施態様では、本発明によりアフコシル化抗CD20抗体と併用されるCD79b抗体−薬物コンジュゲートの用量は、三週毎に約2.4mg/kg又は代替的に三週毎に1.8mg/kgである。前記実施態様では、本発明によりアフコシル化抗CD20抗体と併用されるCD79b抗体−薬物コンジュゲートの投薬は、1日目(C1D1)、22日目(C2D1)、43日目(C2D2)、64日目(C2D3)、85日目(C2D4)、106日目(C2D5)及び127日目(C2D6)である。
好ましくは、上述の前記投薬計画では、アフコシル化抗CD20抗体はオビヌツズマブ又はGA101である。また、好ましくは、上述の前記投薬計画では、前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートは抗CD79b−MC−vc−PAB−MMAEである。
本発明は、自己免疫疾患を緩和する方法も提供し、この方法は、自己免疫疾患に罹患している患者に対し、本明細書に開示される前記アフコシル化抗CD20抗体及び前記実施態様のうちのいずれか一つのヒト化huMA79b.v28抗体−薬物コンジュゲートの治療的有効量を投与することを含む。好ましい実施態様では、抗体は、静脈内投与又は皮下投与される。抗体−薬物コンジュゲートは、一用量当たり約1μg/m2〜約100mg/m2の投与量で静脈内投与され、特定の実施態様では、投与量は1μg/m2〜約500μg/m2である。用量は毎日一回、週一回、週複数回但し毎日一回より少ない量で、月に複数回但し毎日一回より少ない量で、月に複数回但し週一回より少ない量で、月に一回、又は断続的に、疾患の症状を軽減又は緩和するために、投与されうる。投与は、治療されている自己免疫疾患の症状の軽減又は緩和まで、開示される間隔のいずれかで継続されうる。投与は、症状の軽減又は緩和が達成された後、このような緩和又は軽減が投与の継続によって延長するならば、継続されうる。
本発明は、B細胞疾患の治療方法も提供し、この方法は、B細胞増殖性疾患(限定しないがリンパ腫及び白血病を含む)又は自己免疫疾患といったB細胞疾患に罹患している患者に対し、本明細書に開示される前記アフコシル化抗CD20抗体及び前記実施態様のうちのいずれか一つのヒト化huMA79b.v28抗体の治療的有効量を投与することを含み、この場合抗体は細胞傷害性分子又は検出可能な分子にコンジュゲートしていない。抗体は、典型的には、約1μg/m2〜約1000mg/m2の投与量範囲で投与される。
推奨される用量は、さらに化学療法剤が共投与されるかどうかによって、且つ化学療法剤の種類に基づいて変化する。
一実施態様では、医薬は、がん、好ましくはCD20を発現するがんに罹患しているこのような患者における転移又は更なる播種を防止又は低減するために有用である。医薬は、生存期間、無増悪生存期間、応答率又は奏功期間により測定して、このような患者の生存期間を延長するため、このような患者の無増悪生存期間を延長するため、奏功期間を延長するため、治療対象患者の統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善をもたらすために有用である。好ましい一実施態様では、医薬は、一群の患者において応答率を上昇させるために有用である。
この発明の文脈において、更に他の細胞傷害性剤、化学療法剤又は抗がん剤、又はこのような薬剤の効果を増強する化合物(例えばサイトカイン)は、がんのアフコシル化抗CD20抗体及び前記CD79b抗体−薬物コンジュゲート併用治療に使用されうる。このような分子は、好適には、意図した目的に有効な量で組み合わされて存在する。一実施態様では、前記アフコシル化抗CD20抗体及び前記CD79b抗体−薬物コンジュゲート併用治療は、このような更なる細胞傷害性剤、化学療法剤又は抗がん剤、又はこのような薬剤の効果を増強する化合物なしで使用される。
そのような薬剤は、例えば以下を含む:シクロホスファミド(CTX;例えば、シトキサン(登録商標))、クロラムブシル(CHL;例えば、ロイケラン(登録商標))、シスプラチン(CisP;例えば、プラチノール(登録商標))、ブスルファン(例えば、ミレラン(登録商標))、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンCなどのアルキル化剤又はアルキル化作用を有する薬剤;メトトレキサート(MTX)、エトポシド(VP16;例えば、べプシド(登録商標))、6−メルカプトプリン(6MP)、6−チオグアニン(6TG)、シタラビン(Ara−C)、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(例えば、ゼロータ(登録商標))、ダカルバジン(DTIC)などの代謝拮抗剤;アクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR;例えば、アドリアマイシン(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミスラマイシン等の抗生物質;ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチンなど)などのアルカロイド;及び、パクリタキセル(例えば、タキソール(登録商標))及びパクリタキセル誘導体などの他の抗腫瘍剤、細胞増殖抑制剤、デキサメサゾン(DEX;例えば、デカドロン(登録商標))などのグルココルチコイド、プレドニゾンなどのコルチコステロイド、ヒドロキシウレアなどのヌクレオシド酵素阻害剤、アスパラギナーゼ、ロイコボリン及び他の葉酸誘導体などのアミノ酸除去酵素、並びに、類似の様々な抗腫瘍剤。以下の薬剤も、追加の薬剤として使用されてよい:アミホスチン(例えば、エチオール(登録商標))、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシンリポ(例えば、ドキシル(登録商標))、ゲムシタビン(例えば、ジェムザール(登録商標))、ダウノルビシンリポ(例えば、ダウノキソーム(登録商標))、プロカルバジン、マイトマイシン、ドセタキセル(例えば、タキソテール(登録商標))、アルデスロイキン、カルボプラチン、オキサリプラチン、クラドリビン、カンプトセシン、CPT11(イリノテカン)、10−ヒドロキシ 7−エチル−カンプトセシン(SN38)、フロクスウリジン、フルダラビン、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンベータ、インターフェロンアルファ、ミトキサントロン、トポテカン、ロイプロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペグアスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロラムブシル。一実施態様では、アフコシル化抗CD20抗体及び前記CD79b抗体−薬物コンジュゲート併用治療は、このような追加的薬剤なしで使用される。
化学療法レジメンにおける上記細胞傷害性剤及び抗がん剤、並びにプロテインキナーゼ阻害剤のような抗増殖性標的特異的抗がん剤の使用は、一般に、がん治療の分野において特徴が明らかにされており、本明細書におけるその使用も、耐性及び有効性のモニタリング並びに投与経路及び投与量の制御について、いくらか調節した上で、同様に考慮される。例えば、細胞傷害性剤の実際の用量は、組織培養法を用いることにより決定される患者の培養細胞応答に応じて変化しうる。一般に、投与量は、追加の他の薬剤の非存在下で使用される量と比較して減らされる。
有効な細胞傷害性剤の典型的な投与量は、製造者によって推奨される範囲であってよく、インビトロ反応又は動物モデルにおける反応により指示される場合、最大約1桁までの範囲で濃度又は量を減らすことができる。したがって、実際の投与量は、医師の判断、患者の状態、及び初代培養悪性細胞若しくは組織培養試料のインビトロ応答性に基づくか、又は適切な動物モデルにおいて観察される応答に基づく治療法の有効性によって決まる。
本発明の文脈では、CD20を発現するがんのアフコシル化抗CD20抗体及び前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートの併用治療に加えて、電離放射線の有効量が実施されてよく、及び/又は放射性医薬品が使用されてもよい。放射線源は、治療されるべき患者の外部又は内部のいずれかにあってよい。放射線源が患者に対して外部である場合、治療は外部照射療法(EBRT)として知られている。放射線源が患者に対して内部である場合、治療は近接照射療法(BT)と称される。本発明の文脈で使用される放射性原子は、ラジウム、セシウム−137、イリジウム−192、アメリシウム−241、金−198、コバルト−57、銅−67、テクネチウム−99、ヨウ素−123、ヨウ素−131、及びインジウム−111を含むがこれらに限定されない群から選択される。また、抗体をこのような放射性同位体で標識することができる。一実施態様では、アフコシル化抗CD20抗体及び前記CD79b抗体−薬物コンジュゲート併用治療は、このような電離放射線なしで使用される。
放射線療法は、切除不可能若しくは手術不可能な腫瘍及び/又は腫瘍転移物を制御するための標準的な治療である。放射線療法が化学療法と併用される場合に、改善した結果が見られている。放射線療法は、標的領域に送達された高用量の放射線が腫瘍組織及び正常組織の両方において生殖細胞の死をもたらすという原理に基づいている。放射線投与レジメンは、一般的に、放射線吸収用量(Gy)、時間及び細分化の観点から定義され、がん専門医によって注意深く定められる必要がある。患者が受ける放射線量は、様々な考慮に依拠することになるが、二つの最も重要なことは、身体の他の重要な構造又は臓器に対する腫瘍の位置、及び腫瘍が広がっている範囲である。放射線療法を受ける患者の典型的な治療過程は、10〜80Gyの総用量を、一回約1.8〜2.0Gyの分量で毎日、週5日患者に投与する、1から6週間にわたる治療スケジュールである。本発明の好ましい実施態様において、ヒト患者の腫瘍が本発明の併用療法と放射線とを用いて治療される場合に相乗効果がある。換言すれば、本発明の併用療法を構成する薬剤よる腫瘍増殖の阻害は、放射線と組合わされた時に、場合により追加の化学療法剤又は抗癌剤と組合わされた時に、亢進される。アジュバント放射線療法のパラメーターは、例えば、国際特許公開第99/60023号に包含されている。
本発明によるアフコシル化抗CD20抗体、及び/又はCD79b抗体−薬物コンジュゲートは、既知の方法に従って、ボーラスとして静脈内投与により、又は一定時間かけて連続的注入により、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑膜内に、若しくは腱鞘内経路で、患者に投与される。一実施態様では、抗体の投与は静脈内投与又は皮下投与である。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、薬物投与に適合するすべての物質を含むことを意図し、そのような物質には、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌性及び抗真菌性薬剤、等張及び吸収遅延剤、並びに薬物投与に適合する他の物質及び化合物が含まれる。但し、活性化合物と適合性である限り従来の媒体又は薬剤のいずれについても、本発明の組成物におけるその使用が考慮される。補足的活性化合物も、組成物中に取り込むことができる。
薬学的組成物:
薬学的組成物は、本発明による抗CD20抗体及び/又はCD79b抗体−薬物コンジュゲートを、薬学的に許容される、無機又は有機担体を用いて処理することにより得られる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを、例えば、錠剤、コーティングされた錠剤、ドラフェ及び硬質ゼラチンカプセルのためのこのような担体として使用することができる。軟質ゼラチンカプセルに適した担体は、例えば、植物油、ワックス、油脂、半固体及び液状ポリオールなどである。しかしながら、活性物質の性質によっては、通常軟質ゼラチンカプセルの場合担体は不要である。溶液及びシロップ剤生成ための適切な担体は、例えば、水、ポリオール、グリセロール、植物油などである。坐剤に適した担体は、例えば、天然油又は硬化油、ワックス、油脂、半液状又は液状ポリオールなどである。
さらに、薬学的組成物は、保存料、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香味料、浸透圧を変えるための塩、バッファー、マスキング剤、又は抗酸化物質を含有することができる。薬学的組成物は、他の治療的に価値のある物質を含有することもできる。
本発明の一実施態様では、組成物は、フコースの量が60%以下である前記アフコシル化抗CD20抗体(好ましくは、前記アフコシル化されたヒト化B−Ly1抗体)及びがん、特にCD20を発現するがん(好ましくはリンパ腫又はリンパ性白血病、例えばB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL))の治療に使用される前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートの両方を含む。
前記薬学的組成物は、一又は複数の薬学的に許容される担体を更に含んでもよい。
本発明は更に、例えばがんに使用される薬学的組成物を提供し、この薬学的組成物は、(i)フコースの量が60%以下であるアフコシル化抗CD20抗体(好ましくはアフコシル化されたヒト化B−Ly1抗体)の有効な第1の量、及び(ii)CD79b抗体−薬物コンジュゲートの有効な第2の量を含む。このような組成物は、任意選択的に、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を含む。
本発明によって単独で使用されるアフコシル化抗CD20抗体の薬学的組成物は、貯蔵のために、所望の純度を有する抗体を、任意選択的な薬学的に許容される担体、賦形剤又は安定剤と混合することにより、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態に調製される(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. (ed.) (1980))。許容される担体、賦形剤又は安定剤は、使用される投与量及び濃度でレシピエントに毒性でなく、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸といった緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチオルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロライド;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM若しくはポリエチレングリコール(PEG)といった非イオン性界面活性剤を含む。
抗体CD79b抗体−薬物コンジュゲートの薬学的組成物は、アフコシル化抗CD20抗体について上述したものに類似のものとすることができる。
小分子CD79b抗体−薬物コンジュゲートの薬学的組成物は、経口投与、鼻腔内投与、局所(頬側及び舌下を含む)投与、直腸内投与、膣内投与及び/又は非経口投与に適したものを含む。簡便には、組成物は、単位投与量の形態で提示することができ、薬学の分野において周知の何れかの方法により調製することができる。単一投与形態を製造するために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は、治療されている宿主、並びに特定の投与様式によって様々であろう。単一投与形態を製造するために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は通常、治療効果を生じさせる式Iの化合物の量であろう。一般的に、100パーセントのうち、この量は、約1パーセントから約99パーセント、好ましくは約5パーセントから約70パーセント、最も好ましくは約10パーセントから約30パーセントの活性成分の範囲となるであろう。このような組成物を調製する方法は、CD79b抗体−薬物コンジュゲートをを担体、及び任意選択的に一又は複数の副成分と会合させる工程を含む。一般に、CD79b抗体−薬物コンジュゲートの薬学的組成物は、CD79b抗体−薬物コンジュゲートを液体担体、又は微粉固体担体、又は両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて、製品を成形することにより調製される。経口投与に適した組成物は、それぞれ所定の量の本発明の化合物を活性成分として含む、カプセル、オブラート薬包、小袋、ピル、錠剤、甘味錠剤(香料ベース、通常はショ糖及びアカシア又はトラガカントを用いる)、粉末、顆粒の形態で、又は水性若しくは非水性の液体中の溶液若しくは懸濁液として、又は水中油型若しくは油中水型エマルジョンとして、又はエリキシル剤若しくはシロップ剤として、又はトローチ(不活性基剤、例えばゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアカシアを用いる)及び/又はマウスウォッシュなどである。本発明の化合物は、ボーラス、舐剤、又はペーストとして投与されてもよい。
本発明の更なる一実施態様では、アフコシル化抗CD20抗体及びCD79b抗体−薬物コンジュゲートは、二つの別個の薬学的組成物に製剤化される。
また、活性成分は、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合により調製したマイクロカプセル、例えば、それぞれ、コロイド状薬物送達系(例えばリポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)において又はマクロエマルジョンにおいて、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンのマイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリラート)マイクロカプセル中に封入されてもよい。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
持続放出性調製物が調製されてもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、そのマトリックスが成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L−グルタミン酸とガンマ−エチル−L−グルタメートとの共重合体、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOTTM(乳酸−グリコール酸共重合体及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフェア)のような分解性乳酸−グリコール酸共重合体、並びにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
インビボでの投与に使用される製剤は無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜を通した濾過により容易に達成される。
一実施態様は、がんの治療のための、Asn297においてオリゴ糖(糖類)の総量の60%以下の量のフコースでアフコシル化されたヒト化B−Ly1抗体、及び本明細書に開示されるCD79b抗体−薬物コンジュゲートを含む組成物である。
本発明は更に、がんの治療のための方法を提供し、この方法は、そのような治療を必要とする患者に対し、(i)フコースの量が60%以下であるアフコシル化抗CD20抗体(好ましくはアフコシル化されたヒト化B−Ly1抗体)の有効な第1の量、及び(ii)CD79b抗体−薬物コンジュゲートの有効な第2の量を投与することを含む。
一実施態様では、フコースの量は40%〜60%である。
好ましくは、前記がんはCD20を発現するがんである。
好ましくは、前記CD20を発現するがんは、リンパ腫又はリンパ性白血病である。
好ましくは、前記アフコシル化抗CD20抗体はII型抗CD20抗体である。
好ましくは、前記抗体はヒト化B−Ly1抗体である。好ましくは、前記ヒト化B−Ly1抗体はオビヌツズマブである。
好ましくは、前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートは抗CD79b−MC−vc−PAB−MMAEである。好ましくは、このCD79b抗体−薬物コンジュゲート中の抗CD79b抗体はhuMA79b.v28である。
最も好ましくは、前記抗CD20抗体は、抗CD79b−MC−vc−PAB−MMAEである前記CD79b抗体−薬物コンジュゲーと併用されるオビヌツズマブである。
好ましくは、前記アフコシル化抗CD20抗体はヒト化B−Ly1抗体であり、前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートは抗CD79b−MC−vc−PAB−MMAEであり、前記がんはCD20を発現するがん、好ましくはリンパ腫又はリンパ性白血病である。
本明細書において使用される用語「患者」は、あらゆる目的のために、アフコシル化抗CD20抗体による治療を必要とするヒト(例えばCD20を発現するがんに罹患した患者)、更に好ましくは、がん、又は前がん状態若しくは病変を治療するためにこのような治療を必要とするヒトを指す。しかしながら、用語「患者」は、非ヒト動物、中でも好ましくはイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ及び非ヒト霊長類を指すこともできる。
本発明は更に、がんの治療において使用されるフコースの量が60%以下であるアフコシル化抗CD20抗体、及びCD79b抗体−薬物コンジュゲートを含む。
好ましくは、前記アフコシル化抗CD20抗体はヒト化B−Ly1抗体である。
好ましくは、前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートは、本発明による方法の一実施態様では、CD79b抗体−薬物コンジュゲートは抗CD79b−MC−vc−PAB−MMAEである。好ましくは、このCD79b抗体−薬物コンジュゲート中の抗CD79b抗体はhuMA79b.v28である。
好ましくは、前記アフコシル化抗CD20抗体はヒト化B−Ly1抗体であり、前記CD79b抗体−薬物コンジュゲートは抗CD79b−MC−vc−PAB−MMAEである。最も好ましくは、このCD79b抗体−薬物コンジュゲート中の抗CD79b抗体はhuMA79b.v28である。
好ましくは、前記がんは、CD20を発現するがん、好ましくはリンパ腫又はリンパ性白血病である。
以下の実施例及び図面は、本発明の理解を助けるために提供されるが、本発明の真の範囲は特許請求の範囲に記載されている。本発明の精神から逸脱することなく、記載された手順で改変がなされうる。
実施例1−CD79b抗体薬物コンジュゲート
BJAB−ルシフェラーゼ(バーキットリンパ腫)異種移植片
インビボ腫瘍細胞死滅アッセイ
A.異種移植片−DM1コンジュゲート
HVR−L2及びHVR−H3(huMA79b L2/H3)に変化を有するMA79bを移植された「ヒト化」抗体変異体のIgG変異体の有効性を試験するために、huMA79b L2/H3変異体をDM1にコンジュゲートし、コンジュゲートされた変異体のマウスの腫瘍に対する影響を分析した。
具体的には、複数の異種移植片モデルにおいて腫瘍を退縮させる抗体能力が試験され、このような移植モデルには、RAMOS細胞、BJAB細胞(転座t(2;8)(p112;q24)(IGK−MYC)、変異p53遺伝子を含み、エプスタインバーウイルス(EBV)陰性であるバーキットリンパ腫細胞株)(Drexler, H.G., The Leukemia-Lymphoma Cell Line Facts Book, San Diego: Academic Press, 2001))、グランタ519細胞(サイクリンD1(BCL1)の過剰発現をもたらす転座t(11;14)(q13;q32)(BCL1−IGH)を含み、P16INK4B及びP16INK4Aの欠失を含み、且つEBV陽性であるマントル細胞リンパ腫細胞株)(Drexler, H.G., The Leukemia-Lymphoma Cell Line Facts Book, San Diego: Academic Press, 2001))、U698M細胞(リンパ芽球性リンパ腫B細胞株)(Drexler, H.G., The Leukemia-Lymphoma Cell Line Facts Book, San Diego: Academic Press, 2001)及びDoHH2細胞(Ig重鎖により引き起こされるBcl−2の過剰発現をもたらす濾胞性リンパ腫t(14;18)(q32;q21)の転座特性を含み、P16INK4Aの欠失を含み、転座t(8;14)(q24;q32)(IGH−MYC)を含み、且つEBV陰性である濾胞性リンパ腫細胞株)(Drexler, H.G., The Leukemia-Lymphoma Cell Line Facts Book, San Diego: Academic Press, 2001))が含まれる。
MA79bを移植された「ヒト化」抗体変異体の有効性の分析のために、メス CB17 ICR SCIDマウス(週齢6〜8、Charles Rivers Laboratories/カリフォルニア州ホリスター)に、2×107個のBJAB−ルシフェラーゼ細胞又はグランタ519細胞を、CB17 ICR SCIDマウスの脇腹に注入することにより皮下接種し、異種移植腫瘍を平均200mm2に成長させた。後述で特に示されない限り、0日目は、腫瘍が平均200mm2であり、最初/又は一回のみの治療用量が投与される日を指す。腫瘍体積は、ノギスを用いて測定された二つの寸法に基づいて計算され、式:V=0.5a×b2(式中、a及びbは、それぞれ腫瘍の長辺及び短辺である)に従ってmm3で表される。各実験群から収集されるデータは平均+SEとして表した。10匹のマウスの群を、マウス1m2当たり抗体結合薬物50μg〜210μg(マウス1kg当たり1〜4mgに相当)の単一静脈内(i.v.)用量と、MA79bを移植した「ヒト化」抗体変異体又はコントロール抗体−薬物コンジュゲートとにより処置した。実験を通して、腫瘍は週に一又は二回測定した。実験を通して、マウスの体重は週に一又は二回測定した。マウスは、腫瘍体積が3000mm3に到達する前に、又は腫瘍が潰瘍形成の徴候を示したとき、安楽死させた。すべての動物プロトコールは、Institutional Animal Care and Use Committee (IACUC)によって承認された。
使用した抗体と毒素との間のリンカーは、DM1の場合チオエーテルクロスリンカーSMCCであった。さらなるリンカーには、DM1についてはジスルフィドリンカーSPP又はチオエーテルクロスリンカーSMCCが、又はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)又はモノメチルアウリスタンチンF(MMAF)については、MC又はMC−バリン−シトルリン(vc)−PAB又はマレイミド成分及びパラ−アミノベンジルカルバモイル(PAB)自壊性成分を有する(バリン−シトルリン(vc))ジペプチドリンカー試薬)が含まれうる。使用した毒素はDM1であった。更なる毒素にはMMAE又はMMAFが含まれうる。
この実験のためのCD79b抗体には、2006年8月3日出願の米国特許出願第11/462336号に記載のキメラMA79b(chMA79b)抗体、並びに本明細書に記載のMA79bを移植した「ヒト化」抗体変異体が含まれた。更なる抗体には、ATCCにHB11413として1993年7月20日に寄託されたハイブリドーマから生成されたMA79bモノクローナル抗体、及び抗CD79b抗体を含む、市販の抗体が含まれた。
B.異種移植片−更なるコンジュゲート
陰性コントロールには、抗HER2(HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ))ベースのコンジュゲート(SMCC−DM1)が含まれていた。同様の研究において、実施例A(上記)に開示されているものと同じ異種移植片試験プロトコールを用いて、薬物コンジュゲート及び投与用量を変化させ、追加の薬物コンジュゲートの有効性を、CB17 SCIDマウス内のBJAB−ルシフェラーゼ異種移植片(バーキットリンパ腫)において試験した。薬物コンジュゲート及び用量(すべてのADC及びコントロールについて0日目に投与)を以下の表3に示す。
コントロール抗体はhuMA79b.v28(SMCC−DM1にコンジュゲート)であった。コントロールHC(A118C)チオMAbは、チオhu−抗HER2−HC(A118C)抗体チオMAb(BMPEO−DM1、MC−MMAF又はMCvcPAB−MMAEにコンジュゲート)、チオhuMA79b.v28−HC(A118C)チオMAb又はチオhu−抗CD22(10F4v3)−HC(A118C)チオMAb(MC−MMAFにコンジュゲート)であった。結果を以下の表3に示す。
示されるチオhuMA79b.v28−HC(A118C)−BMPEO−DM1、チオ−huMA79b.v28−HC(A118C)−MC−MMAF及びチオhuMA79b.v28−HC(A118C)−MCvcPAB−MMAE チオMAb薬物コンジュゲートの投与は、ネガティブコントロール抗体薬物コンジュゲート(チオ−hu−抗HER2−HC(A118C)−BMPEO−DM1、チオ−hu−抗HER2−HC(A118C)−MC−MMAF及びチオ−hu−抗HER2−HC(A118C)−MCvcPAB−MMAE)と比較して、腫瘍増殖の阻害を示した。他のコントロールは、チオ−huMA79b.v28−HC(A118C)、huMA79b.v28−SMCC−DM1及びチオ−hu−抗CD22(10F4v3)−HC(A118C)−MC−MMAFであった。
更に、同じ試験において、最初の7日間のパーセント体重変化を、各投与量群において決定した。この結果、これらチオMAb薬物コンジュゲートの投与が、この期間中に有意な体重増又は体重減を引き起こさないことが示された。
更に表3では、試験したマウスの合計数のうち、PR=部分的後退(投与後の任意の時点での腫瘍体積が、0日目に測定された腫瘍体積の50%未満に減少)又はCR=完全寛解(投与後の任意の時点で腫瘍体積が0mm3に減少)を示した数が示されており、NA=なしを示す。(DAR=薬物対抗体比)
実施例2−GA101とCD79b抗体薬物コンジュゲートの組み合わせ
この実験パートは、CD79b抗体薬物コンジュゲート抗CD79b−MC−vc−PAB−MMAEと併用されるGA101(本明細書に定義されるオビヌツズマブ)に関し、ここでこのCD79b抗体−薬物コンジュゲート中の抗CD79b抗体はhuMA79b.v28である。このCD79b抗体薬物コンジュゲートは、本明細書では「CD79b−ADC」と呼ばれる。本試験の主要な目的は、SCIDベージュマウスに播種されたZ138マントル細胞リンパ腫(MCL)異種移植モデルにおいて、CD79b−ADCと併用されるGA101の効果を、GA101を用いた単剤療法、リツキシマブを用いた単剤療法及びリツキシマブとCD79b−ADCの併用と比較して調べることである。試験設計を表4に示す。
細胞培養及び細胞適用
Z138ヒトマントル細胞リンパ腫(MCL)細胞は、最初にMartin Dyerから得られ、増殖後Glycart社内部細胞バンクに寄託された。腫瘍細胞株を、常套的に、10%FCS(Gibco)を含むDMEM中において、5%CO2の水飽和雰囲気中37℃で培養した。生存率96.4%において、継代26を移植に使用した。動物1当たり10x106個の細胞を、200μlのAim V細胞培地(GIBCO)において、尾静脈に静脈内注入した。CD20及びCD79bの発現を、Z138 MCL細胞上においてFACSにより確認した。この目的のために、0.2Mioの細胞を、抗ヒトCD20 PE(BD Bioscience #555623)、抗ヒトCD79b−PE(BD Bioscience #555679)又はアイソタイプコントロールのマウスIgG1(BD Bioscience #555749)又はマウスIgG2b(BD Bioscience #555743)を用いて3重に染色した。平均蛍光を、FACS CantoII(Software FACS Diva)において、プレートプロトコールを用いて測定した。
動物
62のSCIDベージュのメスのマウス;実験開始時に週齢7〜8(Taconic、Denmarkから購入)を、関連するガイドライン(GV−Solas;Felasa;TierschG)に従い、毎日、12時間明所/12時間暗所のサイクルで、特定の病原体のいない条件下で保持した。実験的な試験プロトコールは、地域の獣医(免許証番号P2008016)により確認及び承認された。動物は到着後1週間、新しい環境への馴致及び観察のために保持された。継続的な健康モニタリングが定期的に実施された。
治療
治療は、細胞移植の21日後に開始された。治療抗体及び対応するビヒクルを、試験の21、28及び35日目に、30mg/kgの用量で、単剤として静脈内に与えた。CD79bADCを、試験21日目に4mg/kgの用量で1回与えた。抗体希釈物を、使用前に在庫から新しく調製した。試験は309日目に終了した。
モニタ、終了基準及び解剖
動物は、臨床症状及び有害作用の検出について毎日検査した。動物の終了基準は目に見える病気、即ち:汚い毛皮、背中の湾曲、荒い呼吸、運動障害、HLP(後肢麻痺)であった。マウスは、終了基準に従って屠殺した。腫瘍量をチェックするために、実験開始時に1のスカウトを採取した。マウスは、終了基準に従って屠殺した。
統計
生存データを、ペア毎のWilcoxon及びペア毎のログランク検定により統計学的に分析した。
結果
ヒトマントル細胞リンパ腫細胞株Z138を、マウスの尾静脈中に静脈内接種(細胞10x106個)した。マウスを、第1療法の前に無作為化し、治療を細胞移植後21日目に開始した。抗体薬物コンジュゲートは、21日目に4mg/kgの用量で1回与えられ、GA101、リツキシマブ及び対応するビヒクルは、試験日21、28及び35に30mg/kgの用量で静脈内に与えられた。コントロール群の動物にはPBSを与えた。すべての動物を、臨床症状及び有害作用の検出について毎日検査し、設定された終了基準に従って屠殺した。試験終了は試験日309であった。生存データは生存曲線で表され(図1)、ペア毎のWilcoxon及びペア毎のログランク検定によって統計学的に分析された(図2)。図2の*でマークした値は、有意な差異を示す。異なる治療群の中央値及び全生存期間値を、表4及び表5に示す。実験が終了した309日目まで生存したすべての動物は、生検中見かけ上腫瘍を有していなかった。
全ての群は、ペア毎のログランク検定において、リツキシマブを除いてビヒクルと有意に異なっている。両組み合わせ、即ちGA101+抗CD79b−ADC、並びにリツキシマブ+抗CD79b−ADCは、対応する単剤療法と比較して、生存期間の有意な延長を示している。GA101+CD79b−ADCの組み合わせは、最大の生存期間中央値を示し、それに続いてリツキシマブ+CD79b−ADC組み合わせの値が大きく、それぞれ腫瘍を有さない動物は2/10又は3/10であった。更に、リツキシマブ及びGA101とCD79b−ADCの組み合わせは、全生存期間の観点から、RTX、GA101又は抗CD79b−ADCによる対応する単剤療法と比較して強い抗腫瘍活性を示す。