以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
図1には、本明細書で開示する技術を適用したディジタル放送システム10の構成例を模式的に示している。図示のディジタル放送システム10は、放送送出システム11と、受信機12で構成される。図1に示したディジタル放送システム10では、放送送出システム11から受信機12へ放送信号を伝送する際のトランスポート方式として、MMTを適用することを想定している。
放送送出システム11は、伝送メディアを含むIP(Internet Protocol)方式の放送信号を送信する。放送信号の伝送ディアには、タイムド・メディアと、ファイルのようなノンタイムド・メディアの両方が含まれる。タイムド・メディアは、例えば、ビデオやオーディオ、字幕などの放送番組本体に関わるストリーム・データである。また、ノンタイムド・メディアは、例えばHTML文書のような、データ放送に利用される各ファイル・データである。タイムド並びにノンタイムドのいずれのデータも、MPUフォーマットで伝送される。
なお、本実施形態では、放送送出システム11は、番組本体の制作元であるキー局(番組制作局)と、地域毎の配信事業者である各地方局(配信局)で構成される。キー局は、制作した放送番組本体に、主に放送番組に連動したデータ放送アプリケーションを多重化して送出する。また、各地方局は、それぞれ自前のデータ放送アプリケーションを、キー局から提供される放送番組本体に多重化して送出する。地方局毎の自前のデータ放送アプリケーションは、必ずしも放送番組本体には連動しないが、例えば天気予報やローカル・ニュースといったその地域に密着した情報を提供する。
一方、受信機12は、放送送出システム11から送られてくる放送信号を受信する。そして、受信機12は、受信した放送信号からビデオやオーディオ、字幕などの伝送メディアを取得して、画像や音声を提示する。また、受信機12は、受信した放送信号からデータ放送用の各ファイル・データを取得すると、HTMLブラウザーなどのアプリケーション・エンジンを起動して、放送番組に連動したデータ放送の提示を行なう。
図2には、トランスポート方式としてMMTを適用する場合の放送信号構成例をスタック・モデル200で示している。
スタック・モデル200の最下層には、物理レイヤー(PHY)201がある。物理例201には、変調方式や誤り訂正方式などが含まれる。
物理レイヤー201の上に、TLV(Type Length Value)の伝送パケットのレイヤー202がある。また、TLV202の上にはIPパケット203が載り、さらにその上にUDP(User Datagram Protocol)204が載る。また、TLVの伝送パケット202の上には、IP203とUDP204のヘッダーを圧縮したヘッダー圧縮IP205と、シグナリング情報(Signaling Information:SI)としての伝送制御信号206も載る。
UDP204の上には、MMTパケット207、現在時刻の情報を含むNTP(Network Time Protocol)パケット208などが載る。MMTプロトコル(MMTP)は、MMTPペイロード209をIPネットワーク上で伝送するためのアプリケーション・レイヤーのトランスポート・プロトコルである。
MMTパケット207のMMTペイロード209には、MFU(MMT Fragment Unit)210あるいはデータ放送に関わるシグナリング・メッセージ(Signaling Message)211が含まれる。MFU210は、符号化されたタイムド・メディア並びにノンタイムド・メディアのコンテナーであるMPUのフラグメントである。MFU210には、ビデオやオーディオ、字幕などのストリーム・データ(タイムド・メディア)212や、HTML文書データなどのファイル・データ(ノンタイムド・メディア)213が挿入される。
図3には、図2に示した放送信号を送出する放送送出システム11の構成例を示している。放送送出システム11は、放送番組本体の制作元であるキー局(番組制作局)、又は、配信事業者である各地方局(配信局)に相当する。図示の放送送出システム11は、時計部301と、信号送出部302と、ビデオ・エンコーダー303と、オーディオ・エンコーダー304と、キャプション・エンコーダー305と、シグナリング・エンコーダー306と、ファイル・エンコーダー307と、情報システム308と、TLVシグナリング・エンコーダー309と、IPサービス・マルチプレクサー(MUX)310と、TLVマルチプレクサー(MUX)311と、変調・送信部312を備えている。
時計部301は、NTPサーバー(図示しない)から取得した時刻情報に同期した時刻情報を生成し、この時刻情報を含むIPパケットをIPサービス・マルチプレクサー310に送る。
信号送出部302は、例えばTV放送局のスタジオやVTRなどの記録再生機であり、タイムド・メディアであるビデオ、オーディオ、字幕などのストリーム・データや、ノンタイムド・メディアであるデータ放送アプリケーション用のファイル・データ(HTML文書データなど)をそれぞれ、ビデオ・エンコーダー303、オーディオ・エンコーダー304、キャプション・エンコーダー305、ファイル・エンコーダー307に送る。
情報システム308は、TV放送局のスケジューラー並びにファイルの供給源であり、ノンタイムド・メディアであるデータ放送アプリケーションと、データ放送アプリケーションに関わる制御情報をそれぞれ、ファイル・エンコーダー307、シグナリング・エンコーダー306に送る。なお、放送送出システム11がキー局などの番組制作局の場合、情報システム308は主に放送番組に連動したデータ放送アプリケーション並びにそれに関わる制御情報をそれぞれ、ファイル・エンコーダー307、シグナリング・エンコーダー306に送出する。また、地方局などの配信局の場合には、情報システム308は、例えば個々の地域に密着した(必ずしも放送番組に連動しない)情報を含んだ自前のデータ放送アプリケーション並びにそれに関わる制御情報をそれぞれ、ファイル・エンコーダー307、シグナリング・エンコーダー306に送出する。
ビデオ・エンコーダー303は、信号送出部302から送出されるビデオ信号を符号化し、さらにパケット化して、ビデオのMMTパケットを含むIPパケットをIPサービス・マルチプレクサー310に送る。また、オーディオ・エンコーダー304は、信号送出部302から送出されるオーディオ信号を符号化し、さらにパケット化して、オーディオのMMTパケットを含むIPパケットをIPサービス・マルチプレクサー310に送る。また、キャプション・エンコーダー305は、信号送出部302から送出される字幕信号を符号化し、さらにパケット化して、字幕のMMTパケットを含むIPパケットをIPサービス・マルチプレクサー310に送る。
シグナリング・エンコーダー306は、情報システム308から送出される情報に基づいて、データ放送アプリケーションに関わる制御情報を記述したシグナリング・メッセージを生成し、ペイロード部にこのシグナリング・メッセージが配置されたMMTパケットを含むIPパケットをIPサービス・マルチプレクサー310に送る。本実施形態では、シグナリング・メッセージは、PA(Package Access)メッセージ、M2セクション・メッセージ、データ・トランスミッション・メッセージの3種類に大別される。各シグナリング・メッセージの詳細については後述に譲る。
ファイル・エンコーダー307は、信号送出部302又は情報システム308から送出されるファイル・データを、必要に応じて分割して、ファイル・データを含むMMTパケットを生成し、このMMTパケットを含むIPパケットをIPサービス・マルチプレクサー310に送る。なお、ファイル・データは、データ放送アプリケーションを構成するものである。
放送送出システム11は、送出するチャンネル(放送番組)毎にIPサービス・マルチプレクサー310を装備する。1つのチャンネルのIPサービス・マルチプレクサー310は、各エンコーダー303〜307から送られてくるビデオ、オーディオ、字幕、シグナリング・メッセージ、及びファイル・データの各々を含むIPパケットをマルチプレクスして、1つのチャンネルを構成するTLVパケットを生成する。
TLVシグナリング・エンコーダー309は、情報システム308から送出されるシグナリング情報をエンコードして、ペイロード部に配置するTLVパケットを生成する。
TLVマルチプレクサー311は、各IPサービス・マルチプレクサー310−1〜310−N及びTLVシグナリング・エンコーダー309で生成されるTLVパケットをマルチプレクスして、放送ストリームを生成する。
但し、放送送出システム11が配信局の場合には、信号送出部302やビデオ・エンコーダー303、オーディオ・エンコーダー304、キャプション・エンコーダー305を装備せず、番組制作局からB2B通信路などを経由して放送ストリームを受信し、これをTLVマルチプレクサー311でマルチプレクスするという構成になる。
変調・送信部312は、TLVマルチプレクサー311で生成された放送ストリームに対してRF変調処理を行なって、RF伝送路に送出する。但し、放送送出システム11が番組制作局の場合には、変調・送信部312は、B2B通信路などを介して、放送ストリームを地方局などの各配信局に送出する。
図3に示した放送送出システム11の動作について説明しておく。
時計部301では、NTPサーバーから取得した時刻情報に同期した時刻情報が生成され、この時刻情報を含むIPパケットが生成される。
信号送出部302から送出されるビデオ信号は、ビデオ・エンコーダー303、に供給される。ビデオ・エンコーダー303では、ビデオ信号が符号化され、さらにパケット化されて、ビデオのMMTパケットを含むIPパケットが生成される。このIPパケットは、IPサービス・マルチプレクサー310に送られる。
また、信号送出部302から送出されるオーディオ信号、字幕信号に対しても、同様の処理が行なわれる。そして、また、オーディオ・エンコーダー304で生成されるオーディオのMMTパケットを含むIPパケットがIPサービス・マルチプレクサー310に送られ、キャプション・エンコーダー305で生成される字幕のMMTパケットを含むIPパケットがIPサービス・マルチプレクサー310に送られる。
また、シグナリング・エンコーダー306では、情報システム308から送出される情報に基づいてデータ放送に関わるシグナリング・メッセージを生成され、ペイロード部にこのシグナリング・メッセージが配置されたMMTパケットを含むIPパケットが生成される。このIPパケットは、IPサービス・マルチプレクサー310に送られる。
また、信号送出部302又は情報システム308から送出されるファイル・データは、ファイル・エンコーダー307に供給される。ファイル・エンコーダー307では、ファイル・データが必要に応じて分割され、ファイル・データを含むMMTパケットが生成され、このMMTパケットを含むIPパケットが生成される。このIPパケットは、IPサービス・マルチプレクサー310に送られる。
各IPサービス・マルチプレクサー310では、各エンコーダー303〜307から送られてくるビデオ、オーディオ、字幕、シグナリング・メッセージ、及びファイル・データの各々を含むIPパケットがマルチプレクスされて、1つのチャンネルを構成するTLVパケットが生成される。
TLVシグナリング・エンコーダー309では、情報システム308から送出されるシグナリング情報がエンコードされて、ペイロード部に配置するTLVパケットを生成する。
TLVマルチプレクサー311では、各IPサービス・マルチプレクサー310−1〜310−N及びTLVシグナリング・エンコーダー309で生成されるTLVパケットがマルチプレクスされて、放送ストリームが生成される。変調・送信部312では、TLVマルチプレクサー311で生成された放送ストリームに対してRF変調処理が行なわれ、そのRF変調信号がRF伝送路に送出される。
図4には、図2に示した放送信号を受信する受信機12の構成例を示している。図示の受信機12は、チューナー・復調部401と、デマルチプレクサー(DEMUX)402と、時計部403と、ビデオ・デコーダー404と、オーディオ・デコーダー405と、キャプション・デコーダー406と、アプリケーション・データ制御部407と、キャッシュ・メモリー408と、データ放送アプリケーション・エンジン409と、システム制御部410と、合成部411と、IPインターフェース412を備えている。
チューナー・復調部401は、RF変調信号を受信して、復調処理を行なって、放送ストリームを得る。デマルチプレクサー402は、この放送ストリームに対して、デマルチプレクス処理及びでパケット化処理を行なって、NTP時刻情報、、シグナリング情報、放送番組本編に関わるビデオ、オーディオ、キャプションの各符号化信号、放送番組に連動するデータ放送アプリケーション用のファイル・データ(HTML文書など)、並びにデータ放送アプリケーションに関わる制御情報を含んだシグナリング・メッセージを出力する。なお、データ放送に利用されるファイル・データは、例えばHTML5形式で記述されたデータ放送アプリケーションである。
ビデオ・デコーダー404は、デマルチプレクサー402で得られる符号化ビデオ信号をデコードして、ベースバンドのビデオ信号を得る。また、オーディオ・デコーダー405は、デマルチプレクサー402で得られる符号化オーディオ信号をデコードして、ベースバンドのオーディ信号を得る。また、キャプション・デコーダー406は、デマルチプレクサー402で得られる符号化字幕信号をデコードして、字幕の表示信号を得る。
アプリケーション・データ制御部407は、データ放送アプリケーション用の各ファイル・データの処理を行なう。本実施形態では、データ放送アプリケーション用のファイル・データは放送信号並びにIPネットワークの2系統から伝送されることを想定し、前者はチューナー・復調部401及びデマルチプレクサー402経由で、後者はIPインターフェース412経由で、それぞれアプリケーション・データ制御部407が取得する。アプリケーション・データ制御部407は、デマルチプレクサー402から出力されるシグナリング・メッセージで記載されている制御情報に基づいて、取得したファイル・データの処理を制御する。例えば、アプリケーション・データ制御部407は、シグナリング・メッセージを解析して、デフォルト・エントリーに設定されているデータ放送アプリケーションを見つけると、該当するファイル・データ(HTML文書など)の処理をHTMLブラウザーなどのデータ放送アプリケーション・エンジン409に指示する。また、アプリケーション・データ制御部407は、シグナリング・メッセージに基づいて、放送信号で受信したファイル・データのキャッシュ408へのプリキャッシュや強制キャッシュを制御する。シグナリング・メッセージに基づくファイル・データのキャッシュ処理の詳細については、例えば本出願人に既に譲渡されている特願2014−116283号明細書を参照されたい。
なお、放送ストリームでは、放送中の番組に関連するデータ放送アプリケーション用のファイル・データが繰り返し送られてくる。システム制御部410は、デマルチプレクサー402におけるフィルタリング動作を制御して、繰り返し送られてくるファイル・データ群の中からデマルチプレクサー402において必要なもののみがアプリケーション・データ制御部407で取得されるようにする。
システム制御部410は、デマルチプレクサー402で得られるシグナリング情報や、ユーザー操作部(図示しない)を介したユーザーからの操作情報などに基づいて、当該受信機12の各部の動作を制御する。時計部403は、デマルチプレクサー402で得られるNTP時刻情報に基づいて、この時刻情報に同期した時刻情報を生成する。
また、システム制御部410は、各デコーダー404〜406におけるデコード・タイミングをシグナリング情報に基づいて制御し、ビデオ、オーディオ、字幕の提示タイミングを調整する。合成部411は、ベースバンドのビデオ信号に、字幕の表示信号及びデータ放送の表示信号を合成し、映像表示用のビデオ信号を得る。また、オーディオ・デコーダー405で得られるベースバンドのオーディオ信号は、音声出力用のオーディオ信号となる。ビデオ信号及びオーディオ信号からなる放送番組本編は、図示しないモニター・ディスプレイから映像及び音声出力される。また、データ放送アプリケーション・エンジン409が処理したデータ放送も、モニター・ディスプレイ上で放送番組本編の画面に重畳して表示される。
図4に示した受信機12の動作について説明しておく。
チューナー・復調部401では、RF変調信号が受信され、復調処理が行なわれて、放送ストリームが得られる。デマルチプレクサー402では、この放送ストリームに対して、デマルチプレクス処理及びでパケット化処理を行なわれ、NTP時刻情報、シグナリング・メッセージ、ビデオ、オーディオ、キャプションの各符号化信号、並びに、ファイル・データが抽出される。
デマルチプレクサー402で抽出されたNTP時刻情報は、時計部403に送られる。時計部403では、NTP時刻情報に基づいて、この時刻情報に同期した時刻情報が生成される。つまり、時計部403では、放送送出システム11側の時計部301で生成された時刻情報に合った時刻情報が生成される。
デマルチプレクサー402で抽出された符号化ビデオ信号は、ビデオ・デコーダー404に送られてデコードされ、ベースバンドのビデオ信号が得られる。また、デマルチプレクサー402で抽出された符号化字幕信号はキャプション・デコーダー406に送られてデコードされ、字幕の表示信号が得られる。また、デマルチプレクサー402で抽出されたファイル・データはデータ放送アプリケーション・エンジン407に送られて処理され、データ放送の表示信号が得られる。なお、システム制御部410によってデマルチプレクサー402におけるフィルタリング動作が制御されて、必要なファイル・データのみがデマルチプレクサー402で取得されるようにする。
そして、合成部411では、ベースバンドのビデオ信号に、字幕の表示信号及びデータ放送の表示信号が合成され、映像表示用のビデオ信号が得られる。
また、デマルチプレクサー402で抽出された符号化オーディオ信号はオーディオ・デコーダー405に送られてデコードされ、音声出力用のベースバンドのオーディ信号が得られる。ビデオ信号及びオーディオ信号からなる放送番組本編は、図示しないモニター・ディスプレイから映像及び音声出力される。
一方、アプリケーション・データ制御部407は、シグナリング・メッセージに含まれているシグナリング・テーブルを参照して、HTMLブラウザーなどからなるデータ放送アプリケーション・エンジン409に対して、データ放送アプリケーション用のファイル・データ(HTML文書など)の処理を対して指示する。例えば、アプリケーション・データ制御部407は、シグナリング・メッセージを解析して、デフォルト・エントリーに設定されているデータ放送アプリケーションを見つけると、該当するファイル・データ(HTML文書など)の処理をHTMLブラウザーなどのデータ放送アプリケーション・エンジン409に指示する。
データ放送アプリケーション・エンジン409は、適宜キャッシュ・メモリー408にキャッシュされたファイル・データを用いて、データ放送アプリケーションを処理する。データ放送アプリケーション・エンジン409が処理したデータ放送も、モニター・ディスプレイ上で放送番組本編の画面に重畳して表示される。
図1に示したディジタル放送システム10では、放送送出システム11から受信機12へ放送信号を伝送する際のトランスポート方式として、MMTを適用することを想定している。図5には、MMT方式に従って放送送出システム11からRF伝送路に送出される放送信号500のイメージを示している。
1つのサービス(チャンネル:放送番組)の放送信号は、ビデオ、オーディオ、字幕などの放送番組本編に関わるタイムド・メディアと、放送番組に連動するデータ放送に利用されるファイル・データのようなノンタイムド・メディアで構成され、これらをエンコードしたメディア・データをMPUフォーマットで伝送する。また、これらの放送信号の伝送制御などに関する情報を、シグナリング・メッセージで伝送する。MMTでは、1つのチャンネル(放送番組)を構成するタイムド・メディア及びノンタイムド・メディアのデータを異なる伝送路の組み合わせで利用することが容易である。図5に示す例では、放送信号500として、ビデオ、オーディオ、字幕、ファイル・データ、シグナリング・メッセージなど、データのタイプ毎のMMT伝送路501〜504が利用されている。なお、図中、字幕データ用の伝送路は便宜上、図示を省略している。
同じIPアドレス内の各MMT伝送路501〜504で伝送されるMMTP(MMTプロトコル)パケットは、パケット識別子(packet_id:PID)で一意に指定することができる。また、異なるIPアドレス上のMMTPパケットは、パケット識別子と、IPアドレスと、ポート番号の組み合わせにより指定することができる。
1つのチャンネル(放送番組)は、ビデオ、オーディオ、字幕、ファイル・データ(データ放送アプリケーション)などタイプの異なる複数のアセットで構成される「パッケージ」と言うことができる(パッケージは、MMT伝送路を使って伝送されるメディア・データの論理集合である)。各アセットは、同じasset_id(アセット識別子)を共有する1又はそれ以上のMPUの集合(論理グループ)であり、それぞれ専用のES(Elementary Stream)すなわちMMT伝送路上で伝送される(アセットは、固有の識別子に関連付けられ、マルチメディアのプレゼンテーションを構成するために使用されるデータのエンティティーである)。すなわち、伝送路501では、共通のasset_idを持つMPU論理グループからなるビデオのMMTパケット(MMTP)が伝送され、伝送路502では、共通のasset_idを持つMPU論理グループからなるオーディオのMMTパケットが伝送され、伝送路503では、共通のasset_idを持つMPU論理グループからなるファイル・データのMMTパケットが伝送される。MPUは、asset_idと、該当する伝送路上でのMPUのシーケンス番号で特定される。また、各メディアを伝送するMMT伝送路は、asset_idで識別することができる。
付言すれば、1つのパッケージ(放送番組)で、タイプが同じ複数の(すなわち、asset_idが異なる)アセットが伝送されることもある。例えば、同じ放送番組に対して、2以上のファイル・コンテント(データ放送アプリケーション)が提供される場合である。このような場合、異なるファイル・コンテントには別々のasset_idが割り振られ、別々のMPU論理グループとして異なるMMT伝送路上で伝送されることになる。図5では、簡素化のため、ファイル・データ用の伝送路503を1本しか描いていない。
また、MMT方式は、放送や通信の複数の伝送路に共通に用いることができる。例えば、HTML文書データのようなノンタイムド・メディアは、図5に示したように放送の伝送路504を用いてタイムド・メディアとともに伝送される以外に、IPネットワークなど通信の伝送路を介して提供することもできる。
また、伝送路504では、同じシグナリング・メッセージを含んだMMTパケットが、繰り返し伝送される。伝送路504で伝送されるシグナリング・メッセージとして、PAメッセージ510、M2セクション・メッセージ520、データ・トランスミッション・メッセージ530を挙げることができる。各種シグナリング・メッセージで、シグナリング・テーブルが伝送される。
例えば、PAメッセージ510は、放送番組の構成などを示す制御情報であり、アセットのリストやその位置などパッケージを構成する情報を記述するMP(MMT Package)テーブル511が含まれている。
MMTによるメディア・トランスポート方式を適用する放送規格では、PAメッセージを伝送するMMTPパケットには、固定のパケット識別子(例えば、0x0000)が割り当てられている。したがって、受信機側では、MMT伝送路上で、上記固定のパケット識別子を指定してPAメッセージを取得することができる。そして、PAメッセージで伝送されるMPテーブルを参照して、パッケージ(放送番組)を構成する各アセット(ビデオ、オーディオ、字幕、ファイル・データ(データ放送アプリケーション)など)を指定することができる(図6を参照のこと)。
また、M2セクション・メッセージ520は、MPEG−2 Systemsのセクション拡張形式を伝送するメッセージである。MH−AIT(Application Information Table)521や、EMT(Event Message Table)522といったシグナリング・テーブルが、それぞれ単体でM2セクション・メッセージ520に格納される。
MH−AIT521は、MMT伝送路で送られてくるデータ放送アプリケーション(ファイル・データ)の処理方法(アプリケーションに適用される起動状態など)、並びにロケーション(URL)を指定するテーブルである。
EMT522は、イベント・メッセージ伝送方式に用いるシグナリング・テーブルであり、イベント・メッセージ(放送局から受信機上のアプリケーションに対する同期・非同期のメッセージ)に関する情報(イベント・メッセージ記述子)を格納する。イベント・メッセージ伝送方式は、放送局から受信機で動作しているデータ放送アプリケーションに対して、即座にあるいは指定した時刻に、メッセージ情報を送る手段を提供する。
また、データ・トランスミッション・メッセージ530は、データ放送アプリケーションの伝送に関する制御情報を伝送するためのメッセージである。1つのデータ・トランスミッション・メッセージ530には、データ・ディレクトリー・マネジメント・テーブル531、データ・アセット・マネジメント・テーブル532、データ・コンテント・コンフィギュレーション・テーブル533の各シグナリング・テーブルが格納される。
データ・ディレクトリー・マネジメント・テーブル531は、アプリケーションのファイル構成とファイル伝送のための構成を分離するため、1つのパッケージに含まれるディレクトリー並びにディレクトリーに含まれるサブディレクトリーやファイル(アイテム)に関するディレクトリー構造を管理するテーブルであり、データ・トランスミッション・メッセージ530内に1つ格納される。また、データ・アセット・マネジメント・テーブル532は、アセット内のMPUの構成とのMPU毎のバージョン情報を記述したテーブルである。また、データ・コンテント・コンフィギュレーション・テーブル533は、データ放送アプリケーション用のファイル・データの柔軟で有効なキャッシュ制御を実現するために、データ・コンテンツとしてのファイルの構成情報を記述したテーブルであり、1つのパッケージで各コンテント(データ放送アプリケーション)をデータ放送提示単位(PU)で記述する。データ・ディレクトリー・マネジメント・テーブル531、データ・アセット・マネジメント・テーブル532、データ・コンテント・コンフィギュレーション・テーブル533の各シグナリング・テーブルの詳細なデータ構造については説明を省略する。
図7には、受信機において、MMT伝送されるデータ放送アプリケーションを構成するファイルを取得する仕組みを図解している。
データ放送アプリケーションを構成するファイルは、HTML5などのアプリケーション記述内でパス名を指定される。ここで言うパス名は、ディレクトリー・ノード名とファイル名の組み合わせで記述される。また、ディレクトリー・ノードとファイルを統合した記述子としてノード・タグを規定し、各シグナリング・テーブルをリンクする情報として使用する。
受信機は、データ放送アプリケーションからパス名を指定されると、参照番号701で示すように、データ・トランスミッション・メッセージ内のデータ・ディレクトリー・マネジメント・テーブルから、指定されたパス名のファイルのノード・タグを得る。
次いで、受信機は、参照番号702で示すように、同じくデータ・トランスミッション・メッセージ内のデータ・アセット・マネジメント・テーブルから、データ・ディレクトリー・マネジメント・テーブルで得られたノード・タグを持つアイテムが伝送されるアセットのコンポーネント・タグ、ダウンロードID、MPUシーケンス番号、及びアイテムIDを得る。
さらに、受信機は、参照番号703で示すように、MPテーブルから、データ・アセット・マネジメント・テーブルで得られたコンポーネント・タグを持つアセットのロケーション情報を取得すると、参照番号704で示すように、該当するファイルが実際に伝送されるデータ・アセットを特定する。
そして、受信機は、特定されたデータ・アセット内で、データ・アセット・マネジメント・テーブルから得られたダウンロードIDとアイテムを伝送するMMTPパケットのマルチ拡張ヘッダー領域に記載されたダウンロードIDとにより、カルーセルに対応するファイルの繰り返し伝送の単位を一意に識別することができる。参照番号705で示すように、繰り返し伝送されるアイテムのうち、データ・アセット・マネジメント・テーブルから得られたMPUシーケンス番号及びアイテムIDを持つアイテムを所望のファイルとして指定することができる。ノード・タグは、データ・トランスミッション・メッセージ内で、MPUシーケンス番号はアセット内で、アイテムIDはサービス事業者内で、それぞれ一意であるものとする。
また、受信機は、データ・アセット・マネジメント・テーブルを常に監視することで、データ放送アプリケーションを構成するファイルが更新されたことを検知して、常に最新の状態のデータ放送アプリケーションを提示することができる。更新通知は、アセット単位、MPU単位、ファイル単位と、各段階で可能である。データ・アセット・マネジメント・テーブルにより、更新されたファイルのコンポーネント・タグとMPUシーケンス番号及びアイテムIDを得る。図7に示すファイル取得と同様に、MPテーブルを参照してアセットを特定し、得られたMPUシーケンス番号及びアイテムIDを持つアイテムが、所望の更新されたファイルということになる。
要するに、データ・ディレクトリー・マネジメント・テーブルとデータ・アセット・マネジメント・テーブル、受信機において、MMT伝送されるデータ放送アプリケーションを構成するファイルに関する情報を取得するために必須のシグナリング・テーブルである。
また、データ・コンテント・コンフィギュレーション・テーブルは、データ放送アプリケーション用のファイル・データの柔軟で有効なキャッシュ制御を実現するために、データ・コンテンツとしてのファイルの構成情報を記述したテーブルである。具体的には、データ・コンテンツ内で提示する単位(例えば、ページ)をプレゼンテーション・ユニット(PU)と定義し、データ・コンテント・コンフィギュレーション・テーブルは、その単位で、アイテム間の関係や、プレゼンテーション・ユニットとのリンク関係に関する情報を記述する。受信機は、データ・コンテント・コンフィギュレーション・テーブルを参照することで、データ放送アプリケーションを実行する(ページを提示する)際に、最初に要求されたアイテムと同じプレゼンテーション・ユニットに属する他のアイテムを指定することができる。また、データ・コンテント・コンフィギュレーション・テーブルに基づいて、プレゼンテーション・ユニットのキャッシュ制御(プリキャッシュや強制キャッシュ)に必要な情報を得ることができるので、受信機はページ全体の取得時間の短縮と、次のページの優先的なキャッシュなどを実現することができる。なお、データ・コンテント・コンフィギュレーション・テーブルに基づくキャッシュ制御の詳細については、例えば本出願人に既に譲渡されている特願2014−116283号明細書を参照されたい。
データ・ディレクトリー・マネジメント・テーブルと、データ・アセット・マネジメント・テーブル、データ・コンテント・コンフィギュレーション・テーブルは、MH−AITテーブルとともに、データ放送アプリケーションの伝送方式に用いる必要又は重要なシグナリング・テーブルであることを理解されたい。
図5では、説明の便宜上、番組制作局であるキー局(すなわち、単一の放送局のみ)から、データ放送アプリケーション及びその制御情報を記述したシグナリング・メッセージが、すべて同じIPアドレス内となる単一のIPデータ・フロー内で伝送されることを前提として、放送信号の構成を描いている。
しかしながら、放送番組本体の制作元であるキー局が主に放送番組に連動したアプリケーションを付与する一方、配信事業者である各地方局でも自前のアプリケーションを付与する、というデータ放送サービスの運用が民間放送などでは想定される。例えば、地方局は、必ずしも放送番組本体には連動しないが、天気予報やローカル・ニュースといったその地域に密着した情報を自前のアプリケーションで提供することができる。さらに、番組制作局でも配信局でもない第3者が、インターネットなどのネットワーク経由でデータ放送アプリケーションを配信することも想定される。すなわち、データ放送アプリケーションを独立して運用すべき複数のグループが存在する。
図8には、ある放送番組に対して、番組制作局、配信局、第3者がそれぞれ制作したデータ放送アプリケーション間のリンク関係の一例を示している。
図8中、App1、App2、App4は、番組制作局であるキー局自身が制作した放送番組本体と放送番組に関連若しくは連動するデータ放送アプリケーションである。番組制作局は、App1、App2、App4などの自局で制作したアプリケーションを、例えばビデオやオーディオ、字幕など放送番組本体を構成するアセットとともに、同じIPデータ・フローで放送信号として伝送する。
また、App3、App5は、配信局である地方局が制作した自前のアプリケーションである。App3やApp5は、例えば天気予報やローカル・ニュースといったその地域に密着した情報を提供する、放送番組に非連動のデータ放送アプリケーションである。配信局は、App3、App5などの自前のアプリケーションを、番組制作局が放送番組本体を伝送するのとは異なるIPデータ・フローで放送信号として伝送する。
また、App6は、番組制作局でも配信局でもない第3者が制作した、放送番組に連動又は非連動のデータ放送アプリケーションである。第3者は、App6などの自前のアプリケーションを、インターネットなどのネットワーク経由で配信する。なお、番組制作局や配信局も、それぞれが制作したデータ放送アプリケーションを、放送信号ではなくネットワーク経由で配信することもある。
図8に示す例では、番組制作局が制作したアプリケーションApp1が、当該放送番組のデフォルト・エントリーに設定されるとともに、番組制作局が制作した他のアプリケーションApp2、並びに、配信局が制作したアプリケーションApp3にリンクしている。図示のようなアプリケーション間のリンク関係が形成されている場合に期待されるページ遷移動作について、以下に説明しておく。
当該放送番組を受信した受信機は、データ放送を起動時にはまずアプリケーションApp1を実行し、その後、ユーザーの操作やイベント・メッセージに応じて、アプリケーションApp2又はApp3に遷移する。
番組制作局が制作したアプリケーションApp2は、さらに、番組制作局が制作した他のアプリケーションApp4、並びに、配信局が制作したアプリケーションApp5にリンクしている。したがって、受信機は、アプリケーションApp2を実行してページを遷移した後、ユーザーの操作やイベント・メッセージに応じて、アプリケーションApp4又はApp5に遷移する。
また、配信局が制作したアプリケーションApp3は、さらに、第3者が制作した他のアプリケーションApp6にリンクしている。したがって、受信機は、アプリケーションApp3を実行してページを遷移した後、ユーザーの操作やイベント・メッセージに応じて、アプリケーションApp6に遷移する。
現状のBMLを利用したデータ放送や、ハイブリッドキャストの放送局運用では、特に民間放送において、図8に示したような、放送番組本体の制作元であるキー局が主に放送番組に連動したアプリケーションを付与する一方、配信事業者である各地方局や放送局以外の第3者でもそれぞれ自前のアプリケーションを付与するという運用がなされている。
MMTによるメディア・トランスポート方式を適用する次世代の放送規格でも、各地方局や第3者など番組制作局以外でも自前のアプリケーションを付与する(すなわち、1つの放送番組に対して、複数のグループがそれぞれ自前のアプリケーションを付与する)、という民間放送の要求を十分考慮すべきである。
ここで、複数のグループのデータ放送アプリケーションをすべて一系統に統合して運用してしまうと、例えばキー局から配信される放送番組に対して地方局でデータ放送アプリケーションを付与する必要がある。このような場合、地方局は、キー局が放送番組並びにそれに付随するアプリケーション並びにアプリケーションの制御情報を伝送するIPデータ・フローに対して、自前のアプリケーションの付け足しや付け替え作業を行なわなければならない。その結果、地方局は、配信設備や配信コストの負担が増大するとともに、アプリケーションの付け足しや付け替え作業を行なう際のリスクが発生し、キー局と地方局間の責任分界が不明になる。
本明細書では、MMTによるメディア・トランスポート方式を適用する次世代の放送規格において、番組制作局としてのキー局、配信局としての各地方局、並びに第3者といった、データ放送サービスを提供する複数のグループがそれぞれ独立したアプリケーションの運用を実現するための技術について提案する。以下では、提案する内容について、さらに詳細に説明する。
シグナリング・メッセージの1つであるPAメッセージが放送番組のエントリー・ポイント(固定のパケット識別子(例えば、0x0000)が割り当てられる)となり、PAメッセージ内には、アセットのリストやその位置などパッケージを構成する情報を記述するMPテーブルが含まれていることは、既に述べた通りである。
また、MH−AITテーブル、データ・ディレクトリー・マネジメント・テーブルと、データ・アセット・マネジメント・テーブル、データ・コンテント・コンフィギュレーション・テーブルは、データ放送アプリケーションの伝送方式に用いる重要なシグナリング・テーブルである。これらに加えて、イベント・メッセージ伝送方式に用いるEMTも、アプリケーションの運用に重要なシグナリング・テーブルである。
そこで、データ放送サービスを提供する各グループによる独立したアプリケーションの運用を実現するために、まず、アプリケーションを独立して運用すべきグループ毎に、シグナリング・メッセージやシグナリング・テーブルをグルーピングする。ここで、グルーピングの対象とするシグナリング・メッセージやシグナリング・テーブルは、データ・トランスミッション・メッセージ、MH−AIT、EMTといった、アプリケーションの運用に必要又は重要な制御データである。
そして、放送のサービス・レベルの制御情報を記述するMPテーブルに、アプリケーション・サービス記述子という新たな記述子を配置する。このアプリケーション・サービス記述子内に、グループ毎のアプリケーションの運用に必要又は重要な上記の各制御データの取得先情報と、グループを識別するグループ・タグを示すようにする。また、アプリケーション・サービス記述子には、アプリケーションがデフォルト・エントリーに設定されていることを示すデフォルト・フラグと、各グループが所属する組織を識別する組織識別子(organization_id)をさらに示すようにしてもよい。なお、データ・トランスミッション・メッセージの取得先情報により、同メッセージに格納されるデータ・ディレクトリー・マネジメント・テーブル、データ・アセット・マネジメント・テーブル、及びデータ・コンテント・コンフィギュレーション・テーブルの3つのシグナリング・テーブルの取得先情報を示すことになる。他方、MH−AIT、EMTの取得先情報は、各々のテーブルを単体で格納するM2セクション・メッセージの取得先情報と等価である。
また、アプリケーション・サービス記述子では、各グループが提供するデータ放送サービスで用いられているデータ放送アプリケーションのフォーマットのバリエーションと、アプリケーション制御情報及びアプリケーションのコンテンツ本体の伝送方法のバリエーションを示す情報をさらに示すようにしてもよい。
図9には、上述したようなアプリケーション・サービス記述子に記述した情報に基づいて、同一の放送番組に対するグループ毎のデータ放送アプリケーション及びアプリケーションに関連する制御情報をそれぞれ独立した系統で配信する信号の構成例を示している。但し、同図では、アプリケーションのグループとして、番組制作局としてのキー局、配信局としての地方局、第3者という3つのグループが存在することを想定し、各グループが運用するアプリケーション間のリンク関係は図8に示した通りとする。
参照番号910は、番組制作局が生成するIPデータ・フローである。IPデータ・フロー910は、同じIPアドレス内の複数のMMT伝送路911〜914を含んでいる。IPデータ・フロー910内は、同一のIPアドレスであり、伝送される各MMTPパケットをパケット識別子だけで指定することができる。
参照番号911、912で示すMMT伝送路は、番組制作局により制作した放送番組本体のビデオ、オーディオの各データをMPUフォーマットでそれぞれ伝送している。また、参照番号913で示すMMT伝送路は、番組制作局が上記の放送番組本体に関連して制作したデータ放送アプリケーションApp1、App2、App4を伝送している。
参照番号914で示すMMT伝送路は、上記のMMT伝送路913で伝送されるデータ放送アプリケーションに関連する制御情報、すなわち各種シグナリング・メッセージ並びにシグナリング・テーブルを伝送している。図9では、図面の簡素化のため、PAメッセージに格納して伝送されるMPテーブル914Aと、データ放送アプリケーションを運用するために必要又は重要となるデータ・トランスミッション・メッセージ(DTM)914B、MH−AIT914C、EMT914Dのみを描いている。
参照番号920は、配信局が生成するIPデータ・フローであり、複数のMMT伝送路921、922を含んでいる。
参照番号921で示すMMT伝送路は、配信局が、上記の放送番組本体に関連して制作したデータ放送アプリケーションApp3を伝送している。
参照番号922で示すMMT伝送路は、上記のMMT伝送路921で伝送されるデータ放送アプリケーションに関連する制御情報、すなわち各種シグナリング・メッセージ並びにシグナリング・テーブルを伝送している。図9では、図面の簡素化のため、データ放送アプリケーションを運用するために必要又は重要となるデータ・トランスミッション・メッセージ922A、MH−AIT922B、EMT922Cのみを描いている。
参照番号930は、インターネットなどのIPネットワークである。配信局は、上記の放送番組本体に関連して制作したデータ放送アプリケーションApp5を、IPネットワーク930上で配信している。また、第3者は、上記の放送番組本体に関連して制作したデータ放送アプリケーションApp6をIPネットワーク上で配信している。さらに第3者は、自分が提供するデータ放送アプリケーションApp6の処理方法(アプリケーションに適用される起動状態など)並びにロケーション情報(URL)を記述したMH−AIT931を、IPネットワーク上で配信している。なお、IPネットワーク上で配信するデータ放送アプリケーションApp5、App6については、データ・トランスミッション・メッセージ並びにEMTは不要である。
MMT伝送路914で伝送されるPAメッセージに格納されるMPテーブル914Aには、アプリケーション・サービス記述子が配置されている。このアプリケーション・サービス記述子内に、グループ毎のアプリケーションの運用に必要又は重要な上記の各制御データの取得先情報と、グループを識別するグループ・タグを示している。具体的には、アプリケーション・サービス記述子は、番組制作局のグループ・タグに対応付けて、番組制作局から放送信号(MMT伝送路)で配信されるデータ・トランスミッション・メッセージ914B、MH−AIT914C、EMT914Dの取得先情報(同じIPアドレス内のパケット識別子)を記述し、配信局のグループ・タグに対応付けて、配信局から放送信号(MMT伝送路)で配信されるデータ・トランスミッション・メッセージ922A、MH−AIT922B、EMT922Cの取得先情報(パケット識別子、IPアドレス、及びポート番号)を記述するとともに、第3者のグループ・タグに対応付けて、第3者からIPネットワークで配信されるMH−AIT931の取得先情報(URL)を記述している。
受信機は、番組制作局からの放送配信信号を受信すると、MMT−SIのエントリー・ポイントとなるPAメッセージに格納されているMPテーブル914Aを解析して、番組制作局から放送信号(MMT伝送路)で配信されるデータ・トランスミッション・メッセージ914B、MH−AIT914C、EMT914Dの取得先情報を得ることができる。そして、受信機は、MH−AIT914Cに基づいて、番組制作局から配信される各データ放送アプリケーションApp1、App2、App4のアプリケーションの処理方法(アプリケーションに適用される起動状態など)並びにロケーション情報(URL)を取得することができる。また、受信機は、データ・トランスミッション・メッセージ914Bに格納されている各シグナリング・テーブルを参照して、MMT伝送される各データ放送アプリケーションを構成するファイルを取得したり(図7を参照のこと)、柔軟なキャッシュ制御を行なったりすることができる。
また、受信機は、MPテーブル914Aを解析して、配信局から放送信号(MMT伝送路)で配信されるデータ・トランスミッション・メッセージ922A、MH−AIT922B、EMT922Cの取得先情報を得ることができる。そして、受信機は、MH−AIT922Bに基づいて、番組制作局からMMT伝送路並びにIPネットワークで配信される各データ放送アプリケーションApp3、App5の処理方法(アプリケーションに適用される起動状態など)並びにロケーション情報(URL)を取得することができる。また、受信機は、データ・トランスミッション・メッセージ922Aに格納されている各シグナリング・テーブルを参照して、MMT伝送されるデータ放送アプリケーションApp3を構成するファイルを取得したり(図7を参照のこと)、柔軟なキャッシュ制御を行なったりすることができる。
また、受信機は、MPテーブル914Aを解析して、第3者からIPネットワークで配信されるMH−AIT931の取得先情報を得ることができる。そして、受信機は、MH−AIT931に基づいて、第3者がIPネットワーク上で配信するデータ放送アプリケーションApp6の処理方法(アプリケーションに適用される起動状態など)並びにロケーション情報(URL)を取得することができる。
また、アプリケーション・サービス記述子には、特定のアプリケーションがデフォルト・エントリーに設定されていることを、当該アプリケーションを制御するMH−AITに対するデフォルト・フラグにより示している。さらに上記MH−AITは制御対象である複数のアプリケーションうち1つのアプリケーションのみを唯一自動起動指定することにより結果的に特定のアプリケーションがデフォルト・エントリーと認識される。図9に示す例では、アプリケーション・サービス記述子は、番組制作局から配信されるアプリケーションApp1がデフォルト・エントリーであることを、App1を制御するMH−AIT914Cの取得先情報とともに、デフォルト・フラグ(default_AIT_flag:後述)で示している。したがって、受信機は、アプリケーション・サービス記述子からデフォルト・フラグを見つけると、番組制作局から配信される当該MH−AITにおいて制御対象であるApp1、App2、App4のうち唯一自動起動を設定したアプリケーションApp1をデフォルト・エントリーとして起動することができる。
要するに、図9に示すように、番組制作局としてのキー局、配信局としての各地方局、並びに第3者といった複数のアプリケーションのグループは、同一の放送番組に対するグループ毎のデータ放送アプリケーション及びアプリケーションに関連する制御情報を、それぞれ独立した系統で配信することができる。したがって、データ放送アプリケーションを提供するグループ毎に独立してアプリケーションの運用を実現することができる。
また、図10には、図9に示した複数系統配信信号の変形例を示している。同図でも、アプリケーションのグループとして、番組制作局としてのキー局、配信局としての地方局、第3者という3つのグループが存在することを想定している。但し、図11及び図12に示すように、番組切り替えにより、各グループが運用するアプリケーション間のリンク関係が変化する。
図10に示す例では、時間の経過とともに、番組#1、番組#2、番組#3に、順次切り替わるものとする。但し、図面の簡素化のため、番組制作局が放送するIPデータ・フローで、放送番組本体を構成するビデオ並びにオーディオのMMT伝送路を省略している。
番組#1では、各グループが運用するアプリケーション間のリンク関係は図8に示した通りとする。したがって、番組#1における複数系統配信信号は、図9と同様の構成となるので、ここでは説明を省略する。
続く番組#2では、各グループが運用するアプリケーション間のリンク関係は図11に示す通りとする。番組制作局であるキー局は、番組制作局が放送するIPデータ・フロー1010で、データ放送サービスを停止している。これに伴って、データ・トランスミッション・メッセージ、MH−AIT、EMTといったシグナリング・メッセージ並びにシグナリング・テーブルの配信も停止している。一方、配信局は、自局が放送するIPデータ・フロー1020で、番組#2に関連するデータ放送アプリケーションApp3、App7を伝送するとともに、データ・トランスミッション・メッセージ、MH−AIT、EMTといったシグナリング・メッセージ並びにシグナリング・テーブルも配信している。また、配信局から配信されるApp7にデフォルト・エントリーが設定されるとともに、App7からApp3を参照するというアプリケーション間のリンク関係が形成されている。
受信機は、番組制作局からの放送配信信号を受信すると、番組のエントリー・ポイントとなるPAメッセージに格納されているMPテーブルを解析して、番組#2が放映される時間帯に合わせて配信局から放送信号(MMT伝送路)で配信されるデータ・トランスミッション・メッセージ、MH−AITの取得先情報を得ることができる。そして、受信機は、MH−AITに基づいて、配信局からMMT伝送路で配信される各データ放送アプリケーションApp3、App7のアプリケーションの処理方法(アプリケーションに適用される起動状態など)並びにロケーション情報(URL)を取得することができる。また、受信機は、データ・トランスミッション・メッセージに格納されている各シグナリング・テーブルを参照して、MMT伝送されるデータ放送アプリケーションApp3、App7を構成するファイルを取得したり(図7を参照のこと)、柔軟なキャッシュ制御を行なったりすることができる。
また、アプリケーション・サービス記述子には、アプリケーションがデフォルト・エントリーに設定されていることを、当該アプリケーションを制御するMH−AITに対するデフォルト・フラグにより示している。番組#2が放映される時間帯では、配信局から配信されるデータ放送アプリケーションApp7がデフォルト・エントリーであることを、配信局からのMH−AITの取得先情報とともに、デフォルト・フラグ(default_AIT_flag:後述)で示している。したがって、受信機は、アプリケーション・サービス記述子からデフォルト・フラグを見つけると、当該MH−AITにおいて制御対象であるApp3、App7のうち唯一自動起動を設定した、配信局から配信されるアプリケーションApp7をデフォルト・エントリーとして起動することができる。
続く番組#3では、各グループが運用するアプリケーション間のリンク関係は図12に示す通りとする。番組制作局であるキー局は、自局が放送するIPデータ・フロー1010で、番組#3に関連するデータ放送アプリケーションApp8を伝送するとともに、データ・トランスミッション・メッセージ、MH−AIT、EMTといったシグナリング・メッセージ並びにシグナリング・テーブルも配信している。
また、番組#3では、配信局は、自局が放送するIPデータ・フロー1020で、番組#3に関連するデータ放送アプリケーションApp3、App7を伝送するとともに、これらのアプリケーションに関連するデータ・トランスミッション・メッセージ、MH−AITといったシグナリング・メッセージ並びにシグナリング・テーブルも配信している。
また、番組#3では、第3者は、IPネットワーク1030上で、番組#3に関連するデータ放送アプリケーションApp9とMH−AITを配信している。
また、番組#3では、配信局から配信されるApp7にデフォルト・エントリーが設定されるとともに、App7からApp3、App8を参照し、さらにApp8からApp9を参照するというアプリケーション間のリンク関係が形成されている。
受信機は、番組制作局からの放送配信信号を受信すると、番組のエントリー・ポイントとなるPAメッセージに格納されているMPテーブルを解析して、番組#3が放映される時間帯に合わせて番組制作局から放送信号(MMT伝送路)で配信されるデータ・トランスミッション・メッセージ、MH−AIT、EMTの取得先情報、配信局から放送信号(MMT伝送路)で配信されるデータ・トランスミッション・メッセージ、MH−AITの取得先情報、並びに、第3者からIPネットワークで配信されるMH−AITの取得先情報を得ることができる。そして、受信機は、グループ毎のMH−AITに基づいて、番組制作局から配信されるデータ放送アプリケーションApp8、配信局から配信される各データ放送アプリケーションApp3、App7、並びに、第3者から配信されるデータ放送アプリケーションApp9それぞれについてのアプリケーションの処理方法(アプリケーションに適用される起動状態など)とロケーション情報(URL)を取得することができる。また、受信機は、番組制作局並びに配信局からそれぞれ配信されるデータ・トランスミッション・メッセージに格納されている各シグナリング・テーブルを参照して、MMT伝送されるデータ放送アプリケーションApp3、App7、App8を構成するファイルを取得したり(図7を参照のこと)、柔軟なキャッシュ制御を行なったりすることができる。
また、アプリケーション・サービス記述子には、アプリケーションがデフォルト・エントリーに設定されていることを、当該アプリケーションを制御するMH−AITに対するデフォルト・フラグにより示している。番組#3が放映される時間帯では、配信局から配信されるデータ放送アプリケーションApp7がデフォルト・エントリーであることを、配信局からのMH−AITの取得先情報とともに、デフォルト・フラグ(default_AIT_flag:後述)で示している。したがって、受信機は、アプリケーション・サービス記述子からデフォルト・フラグを見つけると、当該MH−AITにおいて制御対象であるApp3、App7のうち唯一自動起動を設定した、配信局から配信されるアプリケーションApp7をデフォルト・エントリーとして起動することができる。
図13には、番組制作局と、各配信局A及びBの各グループが、同一の放送番組に対するグループ毎のデータ放送アプリケーション及びアプリケーションに関連する制御情報を、それぞれ独立した系統で配信するアプリケーション配信システム系統1300を模式的に示している。
番組制作局1310では、ビデオ・エンコーダーやオーディオ・エンコーダーなどからなるAVエンコーダー1311が、ビデオやオーディオなどの放送番組本体を構成するデータをエンコードする。また、アプリケーション生成部1312は、例えば放送番組に連動したデータ放送アプリケーション、並びにそのアプリケーションに関連する制御情報を生成する。マルチプレクサー(MUX)1313は、エンコードした放送番組のデータと、データ放送アプリケーション及びその制御情報のデータを多重化する。
番組制作局1310では、アプリケーションに関連する制御情報を生成し符号化する際、放送のサービス・レベルの制御情報を記述するMPテーブルに、アプリケーション・サービス記述子という新たな記述子を配置する。そして、このアプリケーション・サービス記述子内に、グループ毎のアプリケーションの運用に必要又は重要な制御データの取得先情報と、グループを識別するグループ・タグを示すようにする。ここで言う、アプリケーションの運用に必要又は重要な制御データは、データ・トランスミッション・メッセージ、MH−AIT、EMTである。
そして、番組制作局1310から、多重化された配信信号を、B2Bなどの通信伝送路1340を介して、各配信局1320、1330に分配する。
配信局1320では、アプリケーション生成部1321が、例えば天気予報やローカル・ニュースといったその地域に密着した情報を提供する、放送番組に非連動のデータ放送アプリケーション、並びにそのアプリケーションに関連する制御情報を生成する。マルチプレクサー1322は、番組制作局1310から分配された配信信号と、データ放送アプリケーション及びその制御情報のデータを多重化する。
配信局1320において自前のアプリケーションに関連する制御情報を生成し符号化する際、MPテーブル内のアプリケーション・サービス記述子で指定されている取得先情報の通りに、自前のアプリケーションの運用に必要又は重要な制御データを格納する。そして、配信局1320から、多重化された配信信号が、放送波として送出される。
同様に、配信局1330では、アプリケーション生成部1331が、例えば天気予報やローカル・ニュースといったその地域に密着した情報を提供する、放送番組に非連動のデータ放送アプリケーション、並びにそのアプリケーションに関連する制御情報を生成する。マルチプレクサー1332は、番組制作局1310から分配された配信信号と、データ放送アプリケーション及びその制御情報のデータを多重化する。
配信局1330において自前のアプリケーションに関連する制御情報を生成し符号化する際、MPテーブル内のアプリケーション・サービス記述子で指定されている取得先情報の通りに、自前のアプリケーションの運用に必要又は重要な制御データを格納する。そして、配信局1330から、多重化された配信信号が、放送波として送出される。
図13に示すように、データ放送アプリケーションを提供するグループ毎に独立してアプリケーションの運用を実現することができる。
上記で説明してきたように、本明細書で開示する技術では、データ放送サービスを提供する複数のグループがそれぞれ独立したアプリケーションの運用を実現するために、MMT−SIのエントリー・ポイントとなるPAメッセージに格納されるMPテーブル内に、アプリケーション・サービス記述子という新たな記述子を配置する。
図14には、シグナリング・メッセージの1つであるPAメッセージ1401と、PAメッセージに含まれるMPテーブル1402の構成例を示している。また、図15には、PAメッセージ1500のデータ構造例を示し、図16には、PAメッセージに含まれるパラメーターの説明を示している。
まず、PAメッセージのデータ構造について説明する。message_idは、各種シグナリング情報において、PAメッセージを識別する16ビットの固定値である。versionは、PAメッセージのバージョンを示す、8ビットの整数値のパラメーターである。例えばMPテーブルを構成する一部のパラメーターでも更新した場合には、versionは+1だけインクリメントされる。lengthは、このフィールドの直後からカウントされる、当該PAメッセージのサイズをバイト単位で示す、32ビット長のパラメーターである。
extensionフィールドには、後続のpayloadのフィールド(message_payload)に配置されるMPテーブル(MPT)の属性情報が配置される。number_of_tablesフィールドには、このPAメッセージに格納するMPテーブルの数が示される。そして、number_of_tablesで示される数分だけ繰り返される属性情報ループでは、各MPテーブルの属性情報として、table_idと、table_versionと、table_lengthが配置される。table_idは、このPAテメッセージに格納するMPテーブルの識別情報を示す。table_versionは、このPAメッセージに格納するMPテーブルのバージョンを示す。table_lengthは、このPAメッセージに格納するMPテーブルのサイズをバイト単位で示す。
PAメッセージのpayloadフィールドには、number_of_tablesで示される数分だけ、MPテーブルが配置される。MPテーブルは、すべてのアセットのリストを含むパッケージに関連する情報を格納する(図6を参照のこと)。
図17には、PAメッセージに格納されるMPテーブル1700のデータ構造例を示している。また、図18には、MPテーブルに含まれるパラメーターの説明を示している。以下、MPテーブルの構成について説明する。
table_idは、各種シグナリング情報においてMPテーブルであることを識別する8ビットの固定値である。versionは、MPテーブルのバージョンを示す8ビットの整数値である。例えば、MPテーブルを構成する一部のパラメーターでも更新した場合には、versionは+1だけインクリメントされる。lengthは、このフィールドの直後からカウントされる、MPテーブルのサイズをバイト単位で示す、32ビット長のパラメーターである。また、MPT_modeは、このMPテーブルがサブセットに分割されているときの動作を示すが、詳細な説明は省略する。
MMT_package_id_lengthは、パッケージ識別情報(MMT_package_id)のテキスト情報のサイズをバイト単位で示す。続くパッケージ識別情報のループでは、MMT_package_idをバイト単位(MMT_package_id_byte)で示す。MMT_package_idは、放送信号で伝送されるすべての信号(ビデオ、オーディオ、字幕)、並びにファイル・データなどのアセットを構成要素とする全体のパッケージとしての識別情報である。この識別情報は、テキスト情報であり、上位16ビットはサービスを識別するためのサービス識別情報と同じ値とする。
MMT_descriptor_lengthは、MPテーブル記述子領域のサイズをバイト単位で示す。続くMPテーブル記述子のループでは、MPテーブル記述子の内容をバイト単位(MPT_descriptors_byte)で記述する。MP_table_descriptorsのフィールドは、パッケージ全体に関わる記述子の格納領域である。アプリケーション・サービス記述子は、MPテーブル記述子の1つとして配置される。アプリケーション・サービス記述子は、独立して運用すべきアプリケーションのグループ毎の情報を示す。
number_of_assetsは、パッケージを構成する要素としてのアセット(信号、ファイル)の数を示す、8ビットのパラメーターである。number_of_assetの数分だけ、アセット情報のループが配置される。アセット情報のループ内に配置される情報について、以下に説明する。
identifier_typeは、MMTPパケット・フローのID体系を示す。アセット識別情報を示すID体系であれば0x00とする。asset_id_schemeは、アセット識別情報の形式を示す。asset__id_lengthは、アセット識別情報(asset_id)のテキスト情報のサイズをバイト単位で示す。続くアセット識別情報のループでは、asset_idをバイト単位(asset_id_byte)で示す。
asset_typeは、アセットの種類を32ビットで示す。asset_clock_relation_flagは、アセットのクロック情報フィールドの有無を示す。location_countは、アセットのロケーション情報の数を示し、続くlocation_countの数だけ繰り返されるロケーション情報のループでは、該当するアセットのロケーション情報MMT_general_location_infoが示される。MMT_general_location_infoのデータ構造については、後述に譲る。asset__descriptor_lengthは、アセット記述子(asset_descriptor)のテキスト情報のサイズをバイト単位で示す。続くアセット記述子のループでは、asset_descriptorの内容をバイト単位(asset_id_byte)で示す。
図19には、MPテーブル内に配置されるアプリケーション・サービス記述子のデータ構造例を示している。
descriptor_tag(記述子タグ)は、8ビットのフィールドで記述子を識別する。descriptors_lengthは、このフィールドより後に続くデータ・バイト数を書き込む領域である。
application_format_mapは、データ放送アプリケーションが使用するアプリケーションを8ビット長のビットマップで示す。application_format_mapは、アプリケーション・フォーマットのバリエーションを示す情報である。受信機は、当該ビットマップを参照すれば,使用するアプリケーションを俯瞰して、番組制作局や配信局など各グループが配信するアプリケーションのフォーマットを適切に処理することができる。例えばビット0がアプリケーション・フォーマットA、ビット1がアプリケーション・フォーマットB、ビット2がアプリケーション・フォーマットCを示すとすると、本値が00000101(2進数)の場合にはフォーマットAとフォーマットCの2方式が適用されていることを示す。受信機はこれにより本アプリケーション・サービスを完全に利用するにはフォーマットAとフォーマットCの両方に対応する必要があることを認識できる。
application_transmission_useは、アプリケーションの制御情報の伝送方式(放送、通信のいずれか、又は両方か)を2ビットの値で示す。application_transmission_useは、アプリケーション及びアプリケーションの制御情報の伝送方法のバリエーションを示す情報である。受信機は、application_transmission_useを参照して、番組制作局や配信局など各グループがさまざまな伝送方式で配信するアプリケーションを適切に取得することができる。
number_of_delivery_segmentは、該当するサービス(放送番組)についてデータ放送アプリケーションを伝送する系統(グループ)の数を表す。続くアプリケーション伝送系統のループでは、アプリケーションを伝送する系統(グループ)毎の系統(グループ)情報を示す。各ループに含まれる系統情報の内容を、以下で説明する。
delivery_segment_tagは、3ビットのフィールドで当該系統(グループ)を識別する。organization_indication_flagは、当該ループ内にorganization_id(組織識別情報)を含むかどうかを示す。
AIT_flag、DT_message_flag、EMT_flagは、当該系統(グループ)からデータ放送アプリケーションの制御情報として、MH−AIT、default_AIT、データ・トランスミッション・メッセージ、EMTが伝送されるかどうかをそれぞれ示すフラグである。また、default_AIT_flagは、当該系統(グループ)から伝送されるデータ放送アプリケーションがデフォルト・エントリーに設定されているかどうかを示すデフォルト・フラグである。
organization_indication_flagが1のときには、起動すべきデータ放送アプリケーションの組織識別情報organization_idを16ビットで示す。
AIT_flagが1のときには、シグナリング・テーブルMIT−AITの取得先情報AIT_location_infoが、MMT_general_location_infoのデータ構造に従って示される。
また、DT_message_flagが1のときには、データ・トランスミッション・メッセージの取得先情報DT_message_location_infoが、MMT_general_location_infoのデータ構造に従って示される。
また、EMT_flagが1のときには、シグナリング・テーブルEMTの取得先情報EMT_location_infoが、MMT_general_location_infoのデータ構造に従って示される。
図20には、MMT_general_location_info(ロケーション情報)のデータ構造例を示している。
location_typeは、ロケーション情報の種類を8ビットで示し、以下の表1の割り当てに従う。
packet_idは、MMTPパケットのパケット識別情報を示す。
ipv4_src_addrは、IPv4データ・フローの送信元アドレスを示し、ipv4_dst_addrは、IPv4データ・フローの宛先アドレスを示す。dst_portは、IPデータ・フローの宛先ポート番号を示す。また、ipv6_src_addrは、IPv6データ・フローの送信元アドレスを示し、ipv6_dst_addrは、IPv6データ・フローの宛先アドレスを示す。
network_idは、放送ネットワークを識別するためのネットワーク識別情報を示す。MPEG_2_transport_stream_idは、MPEG−2 TSを識別するためのトランスポート・ストリーム識別情報を示す。MPEG_2_PIDは、MPEG−2 TSパケットのパケット識別情報を示す。
URL_lengthは、URLバイト・フィールドの長さをバイト単位で示す。続くURLバイトのループでは、URL文字列をバイト単位(URL_byte)で示す。