JP6302347B2 - 岩石内部の診断システム、それに用いられる容器、岩石内部の診断方法および地中岩石内への流体注入方法 - Google Patents

岩石内部の診断システム、それに用いられる容器、岩石内部の診断方法および地中岩石内への流体注入方法 Download PDF

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Description

本発明は、流体を岩石内に注入したときの、流体の挙動を診断するシステムおよび方法に関する。
二酸化炭素等の温室効果ガスの急激な増加による地球温暖化が、気候変動に大きな影響を与えると考えられている。温室効果ガスの削減は、各国の経済活動やエネルギー政策と密接に関連しており、地球規模での環境問題となっている。その一つの解決方法として、温室効果ガスの中で、大きなウェイトを占める二酸化炭素を発生源から分離・回収し、それを地下に貯留する技術(CCS:Carbon Capture and Storage)があり、有効な温暖化対策として位置づけられている。そこで現在、地下深部の塩水性帯水層に、二酸化炭素を安全に貯留するための技術開発が進められている(特許文献1参照)。塩水性帯水層に圧入された二酸化炭素は、塩水性帯水層中の塩水と置き換えられ、塩水性帯水層へと貯留される。
CCSでは、地下深部の岩石の隙間に二酸化炭素を注入していくため、注入時の圧力や速度等の注入条件を適切に設定することが、作業の効率化やコストの面で重要である。また、実際に貯留された二酸化炭素の量を知ることは、排出権取引上、非常に重要な点である。さらに、二酸化炭素を貯留した後の漏出の問題や経時変化、環境変動に対する安全性等についても、予測する必要がある。
しかし、実際に、地下深部に存在する塩水性帯水層における圧入された二酸化炭素の挙動や、どれ位の量の二酸化炭素が貯留されたかを知ることは非常に困難である。
国際公開2011/019053号パンフレット
そこで、地表において、地下深部の環境を再現し、CT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)などの断層撮影等を行うことにより、地下深部での二酸化炭素の挙動や貯留量を予測する試みがなされている。具体的には、地下深部と同じ温度・圧力の環境を再現するために、高圧に耐えうる耐圧容器を用い、その中に岩石のサンプルを入れる。耐圧容器に圧力と温度とを加えながら、耐圧容器内に二酸化炭素を注入していき、その時の岩石内部の比抵抗値や波動速度を測定し、同時に断層撮影する。断層撮影された画像からは、二酸化炭素が岩石内部に浸透していく様子(二酸化炭素の挙動)が把握できる。これにより、同時に測定された比抵抗値や波動速度と、二酸化炭素の挙動とを関連付けることができる。一方、地下深部においても、岩石の比抵抗値や波動速度を測定することは可能である。そこで、地表での再現データと、地下深部での岩石の比抵抗値や波動速度とを照らし合わせることにより、現場にて、地下深部での二酸化炭素の挙動を予測することが可能となる。
岩石の波動速度や比抵抗値の測定に使用されるセンサーや電極は、金属材料を含んでいる。本発明者らは、これらの金属材料が、断層撮影に大きな影響を与えることを見出し、本発明に至った。このような金属材料は、岩石表面のある位置に局所的に複数装着されており、断層撮影を行うと、金属材料を中心として、放射状の広がりを持つ画像の乱れ(ノイズ)が生じる。この画像の乱れが、岩石表面の複数個所で生じるため、補正等を行うことが困難であり、岩石内部を明瞭に示す画像を得ることが非常に難しい。
さらに、現在、地表の再現実験に使用されている主な容器は、アルミニウムまたはアルミニウムと炭素繊維とで構成されている。アルミニウム等の金属は、CTで使用されるX線吸収係数が高いため、アルミニウム製の容器の内部にある岩石を、明瞭にCTで断層撮影することは困難である。
近年、環境問題やコストへの意識が高くなり、さらには電力の火力発電への依存も大きくなっており、二酸化炭素の排出を効率的に削減することのできるCCSに関心が集まっている。また、EOR(石油増進回収法)の一つである、水や二酸化炭素などの流体を油層に圧入し、石油を採収する方法においても、二酸化炭素の地下での挙動や飽和度を予測することは、非常に重要である。
そのため、地下深部での二酸化炭素の挙動、つまり、岩石の隙間に存在している水等の液体が、どのように、そしてどの程度、二酸化炭素に置き換わっているかを予測することは、益々重要になってきている。しかし、現在の手法では、明瞭な断層撮影画像を得ることが困難であり、二酸化炭素の挙動を的確に把握することが難しい。
本発明の第一の局面は、流体の入口および出口を有する被覆材により覆われた岩石を、収容するための耐圧容器と、前記耐圧容器に収容された前記岩石に、前記入口から前記流体を注入する注入装置と、前記耐圧容器内の圧力を制御する圧力制御装置と、前記耐圧容器内の温度を制御する温度制御装置と、前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を撮影する断層撮影装置と、前記岩石内を伝搬する波動の速度を測定する波動測定装置と、を備え、前記波動測定装置が、前記岩石の表面に装着された、少なくとも1つの第1センサーおよび少なくとも1つの第2センサーを含み、前記第1センサーおよび前記第2センサーが、それぞれ金属材料を含み、前記第1センサーおよび前記第2センサーが、前記検査領域外にある、岩石内部の診断システムに関する。
本発明の第二の局面は、流体の入口および出口を有する被覆材により覆われた岩石を、収容するための耐圧容器と、前記耐圧容器に収容された前記岩石に、前記入口から前記流体を注入する注入装置と、前記耐圧容器内の圧力を制御する圧力制御装置と、前記耐圧容器内の温度を制御する温度制御装置と、前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を撮影する断層撮影装置と、前記岩石内の比抵抗値を測定する比抵抗測定装置と、を備え、前記比抵抗測定装置が、前記岩石の表面に装着された、少なくとも1つの第1電極および少なくとも1つの第2電極を含み、前記第1電極および前記第2電極が、それぞれ金属材料を含み、前記第1電極および前記第2電極が、前記検査領域外にある、岩石内部の診断システムに関する。
本発明の第三の局面は、流体の入口および出口を有する被覆材により覆われた柱状の岩石を、収容するための耐圧容器と、前記耐圧容器に収容された前記岩石に、前記入口から前記流体を注入する注入装置と、前記耐圧容器内の圧力を制御する圧力制御装置と、前記耐圧容器内の温度を制御する温度制御装置と、前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を撮影する断層撮影装置と、前記岩石内の比抵抗値を測定する比抵抗測定装置と、を備え、前記比抵抗測定装置が、前記岩石の表面に装着された少なくとも1つの第1電極および少なくとも1つの第2電極を含み、前記第1電極および前記第2電極が、それぞれ炭素材料により構成されており、前記電極により形成される電界の方向と、前記検査領域における走査面との成す鋭角が、0〜90°である、岩石内部の診断システムに関する。
本発明の第四の局面は、前記岩石内部の診断システムに用いられる前記耐圧容器であって、筒状の容器本体と、前記入口と連通し、前記流体を前記入口に注入するための注入口を有し、かつ、前記容器本体と嵌合する第1蓋部と、前記出口と連通し、前記流体を前記出口から排出するための排出口を有し、かつ、前記第1蓋部と対向して前記容器本体と嵌合する第2蓋部と、を備え、前記第1蓋部および前記第2蓋部が、前記容器本体と嵌合して、前記耐圧容器内部を密閉状態に保持し、前記容器本体、前記第1蓋部および前記第2蓋部が、カーボンファイバー強化樹脂により構成されている、耐圧容器に関する。
本発明の第五の局面は、岩石を耐圧容器に収容する工程と、前記耐圧容器内の圧力および温度を制御する工程と、前記耐圧容器内の前記岩石に流体を注入する工程と、前記流体が注入されている前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を、断層撮影する工程と、前記流体が注入されている前記岩石内を伝搬する波動の速度を、前記岩石の表面に装着された、少なくとも1つの第1センサーおよび少なくとも1つの第2センサーを用いて測定する工程と、を備え、前記第1センサーおよび前記第2センサーが、それぞれ金属材料を含み、前記第1センサーおよび前記第2センサーが、前記検査領域外にある、岩石内部の診断方法に関する。
本発明の第六の局面は、岩石を耐圧容器に収容する工程と、前記耐圧容器内の圧力および温度を制御する工程と、前記耐圧容器内の前記岩石に流体を注入する工程と、前記流体が注入されている前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を、断層撮影する工程と、前記流体が注入されている前記岩石内の比抵抗値を、前記岩石の表面に装着された、1つの第1電極および少なくとも1つの第2電極を用いて測定する工程と、を備え、前記第1電極および前記第2電極が、それぞれ金属材料を含み、前記第1電極および前記第2電極が前記検査領域外にある、岩石内部の診断方法に関する。
本発明の第七の局面は、岩石を耐圧容器に収容する工程と、前記耐圧容器内の圧力および温度を制御する工程と、前記耐圧容器内の前記岩石に流体を注入する工程と、前記流体が注入されている前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を、断層撮影する工程と、前記流体が注入されている前記岩石内の比抵抗値を、前記岩石の表面に装着された、1つの第1電極および少なくとも1つの第2電極を用いて測定する工程と、を備え、前記第1電極および前記第2電極が、それぞれ炭素材料により構成されており、前記電極により形成される電界の方向と、前記検査領域における走査面との成す鋭角が、0〜90°である、岩石内部の診断方法に関する。
断層撮影の検査領域内に、センサーや電極に含まれる金属材料が含まれないため、断層撮影により得られる画像が明瞭になり、流体の挙動をより的確に把握することが可能となる。
また、本発明の第八の局面は、前記岩石内部の診断方法により得られた前記岩石の断面映像と、前記波動の速度との関係、または、前記岩石の断面映像と、前記比抵抗値との関係に基づき、地中にある岩石に前記流体を注入するための条件を決定する工程、を有する、地中岩石内への流体注入方法に関する。これにより、最適な条件で、地中岩石内に流体を注入することが可能となる。
本発明によれば、岩石内部に注入された流体の挙動を、従来よりも正確に診断することができる。
本発明の診断システムの一実施形態の概要を表わす説明図である。 本発明に係る被覆材により覆われた岩石の一例を表す斜視図である。 本発明に係るセンサーの取り付け位置の一実施形態を表わす説明図である((a)〜(c))。 本発明に係る断層撮影の様子を表わす説明図である((a)〜(d))。 図4(b)を方向Lから見た場合を表わす説明図である((a)、(b))。 本発明に係るセンサーの取り付け位置により定まる平面を表す斜視図である。 本発明に係る電極の取り付け位置の一実施形態を表わす説明図である((a)、(b))。 本発明に係る断層撮影の他の様子を表わす説明図である((a)、(b))。 本発明に係る断層撮影の他の様子を表わす説明図である((a)、(b))。 本発明に係る断層撮影の他の様子を表わす説明図である((a)、(b))。 本発明の耐圧容器の一実施形態を表わす斜視図である。 本発明の耐圧容器の他の一実施形態を表わす斜視図である。 本発明の耐圧容器と、押さえ部材とを表す斜視図である。 本発明に係る断層撮影画像を表す図である。 金属製センサーを、検査領域内に含んだ場合の断層撮影画像である。 CT値から推定された二酸化炭素の飽和度と、測定されたP波速度(Vp)および比抵抗値(ρ)との関係を示すグラフである。 カーボンファイバー強化樹脂製の耐圧容器を使用した場合の断層撮影画像(a)、および、金属材料を含む耐圧容器を使用した場合の断層撮影画像(b)である。
[発明の実施形態の説明]
本発明の第一の局面は、流体の入口および出口を有する被覆材により覆われた岩石を、収容するための耐圧容器と、前記耐圧容器に収容された前記岩石に、前記入口から前記流体を注入する注入装置と、前記耐圧容器内の圧力を制御する圧力制御装置と、前記耐圧容器内の温度を制御する温度制御装置と、前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を撮影する断層撮影装置と、前記岩石内を伝搬する波動の速度を測定する波動測定装置と、を備え、前記波動測定装置が、前記岩石の表面に装着された、少なくとも1つの第1センサーおよび少なくとも1つの第2センサーを含み、前記第1センサーおよび前記第2センサーが、それぞれ金属材料を含み、前記第1センサーおよび前記第2センサーが、前記検査領域外にある、岩石内部の診断システムに関する。
また、本発明の第二の局面は、波動測定装置に換えて、比抵抗測定装置を備えた岩石内部の診断システムに関する。比抵抗測定装置は、少なくとも1つの第1電極および少なくとも1つの第2電極を含み、第1電極および第2電極は、それぞれ金属材料を含んでいる。なお、波動測定装置に加えて、比抵抗測定装置を備えてもよい。
本発明の診断システムの一実施形態の概要を、図1に示す。図1では、岩石1を収容する耐圧容器10に、耐圧容器10内部の圧力を地下深部の圧力と同じになるように制御する圧力制御装置30と、耐圧容器10内部の温度を地下深部の温度と同じになるように制御する温度制御装置40とが、接続している。また、岩石1には、二酸化炭素等の流体を注入するための流体注入装置20が接続されている。この状態で、断層撮影装置50により、耐圧容器10内部の断層撮影が行われ、波動測定装置60および/または比抵抗測定装置70により、それぞれ岩石1について測定が行われる。なお、波動測定装置は、弾性波測定装置と言うこともできる。
岩石1は、塩水性帯水層から採取した岩石であってもよいし、塩水性帯水層の岩石を再現した組成物であってもよい。また、流体注入装置20により岩石1に注入される流体は、二酸化炭素以外に、アセチレン、アンモニア、二酸化硫黄、塩化水素、塩素、硫化水素またはメタン等のガスであってもよい。
圧力制御装置30は、耐圧容器10内部の圧力を、例えば1〜200気圧の範囲で制御することが可能である。圧力の制御には、液体(例えば、鉱物油)を媒体とした油圧システムを用いることができる。具体的には、耐圧容器10に対する鉱物油の注入と排出による封圧と、岩石1内部の間隙圧や背圧との双方を制御して、耐圧容器10内部の圧力、すなわち、岩石1に加えられる圧力を一定に制御する。この場合、圧力制御装置30は、封圧制御用ポンプ、間隙圧制御用ポンプおよび背圧制御用ポンプを含むことができる(いずれも図示せず)。
温度制御装置40は、耐圧容器10内部の温度を、例えば15〜100℃の範囲で制御することが可能である。温度の制御は、例えば、耐圧容器10の外側をカーボンヒーターで覆うことにより、行うことができる。圧力制御装置30および温度制御装置40を用いて、実際に二酸化炭素等の流体を貯留する地下深部の環境を忠実に再現することが、重要である。
断層撮影装置50は、岩石1の内部を非破壊で撮影することのできる装置であれば、特に限定されない。例えば、CTやMRIなどが挙げられる。
本発明に係る岩石は、流体の入口および出口を有する被覆材により覆われている。一実施態様を図2に示す。図2では、岩石1の平坦部に、エンドキャップ1Aおよび1Bが装着されており、曲面部は樹脂1Rで覆われている。エンドキャップ1Aには、流体の入口1Finが設けられており、エンドキャップ1Bには、流体の出口1Foutが設けられている。被覆材は、岩石1内部に保持されている流体が耐圧容器10の内部に流出したり、耐圧容器10の内部の流体が岩石1内部に流入したりすることを、抑制するために設けられる。樹脂1Rとしては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン等を例示することができる。エンドキャップの材質は特に限定されず、上記のような樹脂製であっても、金属製であってもよい。エンドキャップが金属製であっても、断層撮影への影響は小さい。特に、断層撮影への影響がより小さい点で、樹脂製であることが好ましい。
なお、以下、岩石1の曲面部に波動測定センサー2を装着する場合は、波動測定センサー2を岩石1に装着した後、岩石1の表面を上記被覆材で被覆する。比抵抗測定用の電極3を装着する場合も、同様である。図2では岩石1は円柱状であるが、特に限定されず、角柱であってもよい。以下、図3〜12において、被覆材を省略して記載する場合がある。また、図3〜12では、岩石1を円柱で表わすが、これに限定されるものではない。
図3に、波動センサー2が装着された岩石1の一例を示す。図3(a)では、第1センサー2aおよび2cを、岩石1の曲面部に装着し、それぞれの第1センサーに対向するように、第2センサー2bおよび2dを、やはり岩石1の曲面部に装着している。ここでは、波動発信側ケーブル18aを通じて、第1センサー2aへと信号が送られ、第1センサー2aからP波(W)が発生する。発生したP波は、第2センサー2bが受信し、信号に変換されて、波動受信側ケーブル18bを通じて、測定器へと送られる。同様に、第1センサー2cからのP波(W)が第2センサー2dへと伝わることにより、岩石1内部の各部位を伝わるP波の速度がそれぞれ測定される。P波に換えて、S波を使用してもよい。
なお、波動センサー2は、少なくとも1つずつ第1センサーと第2センサーとを含んでいればよく、図3(b)に示すように、第1センサー2aから発生したP波(W)を、第2センサー2bおよび2dがそれぞれ受信するようにしてもよい。第1センサーおよび第2センサーの装着位置は、特に限定されず、図3(c)に示すように、岩石1の平坦部にそれぞれ装着してもよい。波動センサーとしては、例えば、圧電素子を用いたAE(アコースティック エミッション)センサーを用いることができる。
波動センサー2は、金属材料を含んでいるため、明瞭な断層撮影の障害となる。そこで、波動センサー2が、断層撮影の検査領域外にあることを要件とする。図4は、通常、中空円柱状である断層撮影装置50を縦断するように見た図であり、検査領域Rと波動センサー2との位置関係を示している。図4(a)は、図3(a)で例示した岩石1を、岩石1の長さ方向L1と、断層撮影装置50の長さ方向L50とが平行になるように、断層撮影装置50にセットした場合を示している。図4(b)は、図3(a)で例示した岩石1を、岩石1の長さ方向L1と、断層撮影装置50の長さ方向L50とが垂直になるように、断層撮影装置50にセットした場合を示している。図4(c)は、図3(c)で例示した岩石1を、岩石1の長さ方向L1と、断層撮影装置50の長さ方向L50とが平行になるように、断層撮影装置50にセットした場合を示している。図4(d)は、図3(c)で例示した岩石1を、岩石1の長さ方向L1と、断層撮影装置50の長さ方向L50とが垂直になるように、断層撮影装置50にセットした場合を示している。また、それぞれの場合の検査領域をRとして図示している。
図4(a)および(d)においては、検査領域R内にケーブル18aおよび18bが存在する。ケーブル18aおよび18bが金属線である場合であっても、波動センサー2の金属部分と比較して、断層撮影への影響は少ない。また、ケーブル18aおよび18bとして、導電性を有する非金属線を用いると、その影響をさらに小さくすることができる。
図4(b)および(c)においては、ケーブル18aおよび18dが検査領域Rの外にあるため、より好ましい。また、平均的な流体の注入方向Dは、岩石1の長さ方向L1と平行である。よって、断層撮影装置50としてCTを用いた場合、図4(b)および(d)においては、流体の注入方向Dと、CTの走査面(後述参照)とが略平行(例えば、0〜20°)になる。
次に、図4(b)をLの方向から見た図を、図5(a)に示す。つまり、図5(a)は、断層撮影装置50を通して、岩石1を、その平坦部方向から見た図である。断層撮影装置50として、CTを用いた場合、検査領域Rは、複数の走査面P50(ここでは、P50a〜P50g)から構成される。
ここで、図6に示すように、岩石1上に装着された第1センサー2aは、ある面積をもって岩石1に装着されている。まず、その接触面の中心点C2aを決める。同様に、他の波動センサー2b、2cおよび2dについても、中心点C2b、C2c(図示せず)およびC2dを決める。これら4つの中心点から任意の3点(図6では、中心点C2a、C2bおよびC2d)を選び、それらを結ぶと、一つの平面P2が定まる。図5(a)では、この平面P2と、各走査面P50a〜P50gとが垂直に交わっている場合を示している。波動センサー2の位置を、断層撮影の検査領域外とするには、平面P2と各走査面P50a〜P50gとの成す鋭角θWは90°に限定されず、図5(b)に示すように、θW=45°であってもよい。つまり、θWが、45〜90°の範囲となるように、岩石1を断層撮影装置50にセットすることができる。θWは、80〜90°の範囲であることが好ましい。
図7には、電極3が装着された岩石1の一例を示す。図7(a)では、第1電極3aおよび第2電極3bを、岩石1の両方の平坦部近傍に装着している。ここでは、電線19から電流を流し、第1電極3aと第2電極3bとの間の比抵抗値を測定する。なお、電極3の位置は特に限定されず、図7(b)に示すように、岩石1の曲面部に一対のリング状の第1電極3aおよび第2電極3bを装着してもよい。さらに、電圧端子として、電極3cおよび3dを装着し、4端子法により比抵抗値を測定してもよい(図7(a)参照)。また、針状の電極を用いる4探針法により、比抵抗値を測定してもよい。
電極3が、金属材料を含んでいる場合、明瞭な断層撮影の障害となる。そこで、金属材料を含む電極3が、断層撮影の検査領域外にあることを要件とする。図8は、通常、中空円柱状である断層撮影装置50を縦断するように見た図であり、検査領域Rと電極3との位置関係を示している。図8(a)は、図7(a)で例示した岩石1を、岩石1の長さ方向L1と、断層撮影装置50の長さ方向L50とが平行になるように、断層撮影装置50にセットした場合を示している。図8(b)は、図7(b)で例示した岩石1を、岩石1の長さ方向L1と、断層撮影装置50の長さ方向L50とが平行になるように、断層撮影装置50にセットした場合を示している。それぞれの場合の検査領域をRとして図示している。なお、電極3は、非金属の導電体、例えば、カーボンナノチューブやカーボングラファイトなどの炭素材料から構成されることが、好ましい。検査領域Rを、岩石1の全体をカバーするように設定できるためである。
断層撮影装置50として、CTを用いた場合、検査領域Rは、複数の走査面P50(図9(a)では、P50a〜P50g)から構成される。検査領域Rと電極3との位置関係が、図8(a)で示される場合、電極3aおよび3bにより形成される電界の方向E3と、各走査面P50a〜P50gとの成す鋭角は90°である(図9(a)参照)。電極3の位置を、断層撮影の検査領域外とするには、E3と各走査面P50a〜P50gとの成す鋭角θE1は90°に限定されず、図9(b)に示すように、θE1=45°であってもよい。つまり、θE1が、45〜90°の範囲となるように、岩石1を断層撮影装置50にセットすることができる。θE1は、80〜90°の範囲であることが好ましい。
また、図7(a)で例示した岩石1を、岩石1の長さ方向L1と、断層撮影装置50の長さ方向L50とが垂直になるように、断層撮影装置50にセットした場合を、図10(a)に示す。ここで、第1電極3aおよび第2電極3bは、非金属の導電体、例えば、前記したような炭素材料により構成されていることを要する。この場合、第1電極3aおよび第2電極3bにより形成される電界の方向E3と、走査面P50との成す鋭角θE2は0°である。電極3の位置を、断層撮影の検査領域外とするには、E3と走査面P50との成す鋭角θE2は0°に限定されず、図10(b)に示すように、θE2=45°であってもよいし、90°であってもよい。電極3が炭素材料により構成されているため、θE2は、0〜90°の範囲の任意の角度に設定することができる。
このように、断層撮影装置50の検査領域Rに金属材料が入らないようにして、断層撮影が行われる。図4〜10では図示されていないが、岩石1を覆う被覆材の一方の平坦部には、流体の入口1Finが設けられており、他方の平坦部には流体の出口1Foutが設けられている。この入口と出口とは、液体注入装置20に接続されている。入口1Finから岩石1内部に流体(例えば、二酸化炭素)を注入しながら、断層撮影が行われる。流体の注入により、岩石1内部に保持されていた他の流体(例えば、水。以下、間隙水と称す)が押し出され、出口1Foutから排出される。このようにして、液体注入装置20から注入される流体が、岩石1の内部に浸透していく。
断層撮影装置50としてCTを使用した場合、岩石1と、水と、二酸化炭素とのX線吸収係数の違いは、断層撮影画像に白と黒とのコントラストとして表現される。検査領域Rに金属材料が含まれないため、非常に鮮明なコントラストをもつ画像が得ることができる。そのため、断層撮影画像により、岩石1内部に、どれくらいの流体が浸透したか(飽和度)、またどのように浸透しているか(二酸化炭素の挙動)を、より正確に算出あるいは判断することができる。ここで、飽和度とは、二酸化炭素注入前の状態を0とし、岩石の内部に蓄えられている間隙水のすべてが二酸化炭素に置き換わった状態を1として、間隙水が二酸化炭素に置き換わった程度を示す。
以下、CTを使用した場合について、二酸化炭素の飽和度の推定方法を説明する。
CT値は、空気を−1000HU(ハンスフィールド ユニット)、水を0HUとして、物質のX線吸収値を2000分割したものであり、CT値が高いほど、白く表示される。
二酸化炭素(CO2)の飽和度(岩石内部の水の何割が、二酸化炭素に置き換わったか)は、このCT値を使用して、断層撮影された画像データにヒストグラム等の処理を施すことにより、推定される。具体的には、CO2圧入前後の画像による差分演算処理を行い、差分画像の作成を実施する。水およびCO2のCT値は、所定の値が決まっているため、それぞれ閾値を設定して、水部分およびCO2部分の抽出を行う。抽出作業を行った画像をもとに、水部分とCO2部分の占める領域面積を計算し、それらに基づいて、CO2の飽和度を計算する。CO2の飽和度の計算は、CO2の注入前に水が占めていた領域と、CO2の圧入後、CO2が占めた領域との比で行う。すなわち、CO2飽和度が0.3とは、CO2の注入前に水が占めていた領域1に対して、CO2の注入により、0.3の領域がCO2に置き換わったことを意味する。
図14(a)〜(c)に、二酸化炭素を注入した場合の、岩石内部の断層撮影画像を示す。図14(a)は、二酸化酸素と間隙水との割合が1:9(飽和度0.1)の場合、図14(b)は、割合が5:5(飽和度0.5)の場合、図14(c)は、割合が9:1(飽和度0.9)の場合を示している。中程度の濃さのグレーで示される部分が間隙水を示しており、その他の部分は、主に二酸化炭素を示している。図14(a)、(b)、(c)の順に、間隙水を示す中程度の濃さのグレーの割合が少なくなり、二酸化炭素の割合が多くなっていることがわかる。
また、CT値を使用して、下記式により、岩石の間隙率を推定することができる。間隙率とは、どの程度、岩石の内部に隙間があるかの指標であり、間隙率が小さいと、浸透する二酸化炭素の量も少なくなる。
間隙率=(CTsat water−CTdry)/(CTwater−CTair
ここで、CTsat waterは二酸化炭素を注入する前(間隙部がすべて水で満たされている状態)の岩石のCT値、CTdryは乾燥させた岩石のCT値、CTwaterは水のCT値、CTairは空気のCT値である。
検査領域内に金属材料からなるセンサーを含む岩石の断層撮影画像を、図15に示す。図15は、岩石のほぼ平坦部方向から撮影した複数の断層撮影画像を、合成処理している。岩石は、その曲面部に5つの第1センサー(2a等)と、第1センサーに対向するように5つの第2センサー(2b等)とを有している。図15からわかるように、第1センサー2aと第2センサー2bとを繋ぐような虚像Vが現れ、また、第1センサー2aを中心とする円錐状のノイズNが写っている。このように、検査領域内に金属材料からなるセンサーが含まれる場合、岩石と、水と、二酸化炭素とのコントラストが不明瞭になり、飽和度を推定することは困難である。
上記断層撮影とともに、波動速度の測定や比抵抗値の測定が行われる。これにより、流体(二酸化炭素)の飽和度等と、波動速度および/または比抵抗値とを関連付けることができる。さらに、後述するように、岩石1にかける圧力や温度は任意に設定できる。そのため、様々な環境における、流体の飽和度等と、波動速度および/または比抵抗値との関連付けが可能である。
岩石として、べレア砂岩(直径35mm、長さ70mmの円筒形)を用い、封圧12,000kPa、間隙圧10,000kPaの条件下で、CT値から推定された二酸化炭素の飽和度と、測定されたP波速度(Vp)および比抵抗値(ρ)との関係を、図16に示す。P波速度(Vp)は、二酸化炭素の飽和度が低い段階では変化が大きく、ある一定量を超えるとあまり変化がなくなる。一方、比抵抗値(ρ)は、二酸化炭素の飽和度が低い段階では、緩やかに上昇し、一定量を超えると、直線的に上昇することがわかる。つまり、図16においては、P波速度(Vp)と飽和度との関係および比抵抗値(ρ)と飽和度とが、互いに補完的な関係である。ただし、使用する岩石や、圧力、温度等の条件によって、これらの関係は変化するため、飽和度を的確に把握することが重要となる。すなわち、断層撮影で得られる情報が重要である。
また、飽和度と、P波速度およびS波速度との関係を利用することもできる。S波速度は、二酸化炭素の飽和度が低い段階では変化が小さく、ある一定量を超えると変化が大きくなる。そのため、飽和度が高い段階で、P波速度に換えてS波速度を用いて、二酸化炭素の飽和度との関連付けを行うことができる。
図4〜10では図示されていないが、岩石1は、耐圧容器10に収容されている(図11および12参照)。耐圧容器10は、2つの蓋部(12、13)と筒状の容器本体11とを主な構成要素とする。これら主な構成要素の材質は、高圧に耐えられる限り特に限定されず、金属材料やカーボンファイバー強化樹脂などを例示できる。なかでも、カーボンファイバー強化樹脂により構成されていることが好ましい。岩石内部の断層撮影画像が、より明瞭になるためである。母材である樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアミドイミド等を例示することができる。
ここで、図17(a)に、カーボンファイバー強化樹脂製の耐圧容器を使用し、ベレア砂岩(直径35mm、長さ70mmの円筒形)を断層撮影した画像を示す。図17(a)では、ベレア砂岩の層構造が鮮明に捉えられている。なお、上下に白く写っているのは、ベレア砂岩に装着された金属製のエンドキャップである。図17(b)には、金属材料を含む耐圧容器を使用し、ベレア砂岩にエンドキャップを装着しなかったこと以外は、図17(a)と同じ条件で断層撮影した画像を示す。図17(b)では、ベレア砂岩の輪郭は確認できるものの、図17(a)と比較して全体的に画像が不鮮明であり、ベレア砂岩の層構造を確認することは困難である。
図11に、耐圧容器10の一実施形態を示す。図11では、岩石1の表面に第1第1センサー2a、2c、および、第2センサー2b、2dが装着されている場合を示す。耐圧容器10は、筒状の容器本体11と、第1蓋部12と、第2蓋部13とを、主な構成要素とし、岩石1を内部に収容することができる。第1蓋部および第2蓋部は、それぞれ容器本体11と嵌合して、耐圧容器10の内部を密閉状態に保持する。
第1蓋部12は、岩石1に設けられた入口1Aと連通し、流体を注入するための注入口16Aが設けられており、容器本体11と嵌合する部分に、O−リング14を有している。さらに、圧力制御装置30からの圧力媒体を注入するための貫通口16Bや、波動ケーブル18(18aまたは18b)等を通すための貫通口16Cおよび16Dなどが設けられている。O−リング14は、耐圧容器10内部の圧力を保つ点で、重要である。すなわち、O−リング14は、耐圧容器10の内部が高圧になった場合にも、耐圧容器10の内部を密閉状態に保持し、大気圧空間から隔離するために配される。なお、耐圧容器10内の圧力が比較的低い場合には、O−リング14および後述するO−リング15を配さずに、容器本体11と、第1蓋部12および第2蓋部13とを、強化したねじ構造により嵌合し、圧力を維持することも可能である。
第2蓋部13は、第1蓋部12と同様の構造を有しており、岩石1に設けられた出口1Bと連通し、流体を排出するための排出口17Aが設けられており、容器本体11と嵌合する部分に、O−リング15を有している。さらに、圧力制御装置30からの圧力媒体を排出するための貫通口17Bや、波動ケーブル18(18aまたは18b)等を通すための貫通口17Cおよび17Dなどが設けられている。O−リング15も、耐圧容器10内部を密閉状態に保持し、耐圧容器10内部の圧力を保つ点で、重要である。
図12に、岩石1の表面に第1電極3aおよび第2電極3bが装着されている場合を示す。ここでは、貫通口16Dおよび17Dに、波動ケーブル18a、18bに換えて電線19が通されている。
耐圧容器10には、高い圧力が加えられる場合がある。容器本体11と、第1蓋部12および第2蓋部13とは、ねじ構造および/またはO−リングとにより嵌合しているが、さらに高圧に耐えられるよう、第1蓋部12および第2蓋部13とを押さえ部材により押さえることが好ましい。例えば、図13に示すように、棒状の4本の押さえ部材80(80A、80B)を井桁に組んで、第1蓋部12および第2蓋部13のそれぞれに固定してもよい。このとき、第1蓋部12および第2蓋部13に近い方の押さえ部材(図13では、押さえ部材80Bおよび80D)は、金属材料以外の材料により構成されていることが好ましく、例えば、耐圧容器10と同様に、カーボンファイバー強化樹脂により構成されていることが好ましい。外側の押さえ部材80Aおよび80Cの材料は、特に限定されないが、強度等の点で、金属材料であることが好ましい。
また、本発明の他の局面は、岩石を耐圧容器に収容する工程と、前記耐圧容器内の圧力および温度を制御する工程と、前記耐圧容器内の前記岩石に流体を注入する工程と、前記流体が注入されている前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を、断層撮影する工程と、前記流体が注入されている前記岩石内を伝搬する波動の速度を、前記岩石の表面に装着された、少なくとも1つの第1センサーおよび少なくとも1つの第2センサーを用いて測定する工程と、を備え、前記第1センサーおよび前記第2センサーが、それぞれ金属材料を含み、前記第1センサーおよび前記第2センサーが、前記検査領域外にある、岩石内部の診断方法に関する。また、波動速度を測定する工程に換えて、比抵抗値を測定する工程を備えた岩石内部の診断方法に関する。なお、波動速度を測定する工程に加えて、比抵抗値を測定する工程を備えていてもよい。
岩石内部の診断方法において、岩石1を耐圧容器10に収容するのに先立って、岩石1の表面に、センサー2および/または電極3を装着し(図3または図7参照)、岩石1の全体を被覆材によって被覆する(図2参照)。なお、被覆材には、流体の入口1Finおよび出口1Foutが設けられている。次いで、この岩石1を耐圧容器10に収容する(図11または図12参照)。
耐圧容器10には、貫通口16Bおよび17Bが設けられており、ここから圧力媒体を注入または排出することにより、耐圧容器10内の圧力、つまり岩石1にかかる圧力が制御される。また、耐圧容器10の外側をカーボンヒーターで覆うこと等により、耐圧容器10内の温度を制御する。このようにして、岩石1にかかる圧力および温度が、地下深部と同じになるように制御される。その後、岩石1に流体(例えば、二酸化炭素)が入口1Finから注入されるとともに、岩石1内に保持されていた流体(例えば、水)が出口1Foutから排出される。流体が注入される様子は、断層撮影される。さらに、岩石1内部の波動速度の測定および/または比抵抗値の測定が、同時になされる。
断層撮影された画像から、流体(二酸化炭素)の飽和度を算出し、このデータと、波動速度および/または比抵抗値とを関連付ける。その結果、岩石1内部の波動速度および/または比抵抗値を測定することにより、流体(二酸化炭素)の飽和度を予測することができるようになる。また、断層撮影された画像からは、流体(二酸化炭素)の挙動が観察できる。これにより、ある圧力および温度の下で、特定の組成をもつ岩石内に、流体(二酸化炭素)が、蓄えられている間隙水等に換わって、どのように浸透していくかを把握することができる。
以上のように、本発明に係る診断方法は、地下深部の環境を地表で再現して、岩石内部の正確な診断を行うものである。そして、この診断方法により得られた情報に基づいて、地中にある岩石に流体を注入するための条件を決定することにより、最適の条件で、岩石内に蓄えられている間隙水等を押し出し、効率的に、二酸化炭素をはじめとする流体を、塩水性帯水層に貯留することができる。したがって、本発明は、地中岩石内への流体注入方法を提供することができる。さらに、本発明に係る診断方法によれば、貯留後の流体の挙動も、地表での実験から予測することが可能であるため、漏出や経時的変化への対応策を立てることもできる。
以上、本発明に係る診断システムおよび診断方法について、主にCCSの関連技術として述べたが、以下の場合にも、応用することができる。
例えば、EORの関連技術として使用することができる。この場合、上記で述べた間隙水に代わり、地中に埋蔵されている石油やメタンガスを、効率よく大量に地表へ押し出す目的で、二酸化炭素を注入する。そのため、注入されるのは二酸化炭素に限定されず、他のガス(例えば、空気)であってもよい。
また、一旦、採収されたシェールガスやメタンハイドレート等の天然ガスを、貯蔵する技術としても使用することができる。採収された天然ガスを、地上で大量に貯蔵する方法としては、極低温状態のLNGにする方法があるが、施設や冷却などにコストがかかる。このため、多くの国では、一度地上に取り出した天然ガスを、別の地下ガス層へと再び圧入し、貯蔵する方法を採用している。本発明に係る診断システムおよび診断方法を用いれば、天然ガスを岩石に注入した時の挙動に関する情報を得ることができる。
さらに、本発明の適用はこれらに限定されず、地中深くに埋蔵されている貴重な資源を地中から産出するために、使用することができる。地中内部の状況を地表から把握することは非常に困難であるが、本発明の方法等によれば、地表において、採収するための条件等を決定することが可能となる。
1:岩石、1A、1B:エンドキャップ、1R:樹脂、1Fin:流体入口、1Fout:流体出口、2:波動センサー、2a、2c:第1センサー2b、2d:第2センサー、3、3c、3d:電極、3a:第1電極、3b:第2電極、10:耐圧容器、11:容器本体、12:第1蓋部、13:第2蓋部、14、15:O−リング16A:注入口、16B、16C、16D:貫通口、17A:排出口、17B、17C、17D:貫通口、18a:波動発信側ケーブル、18b:波動受信側ケーブル、19:電線、20:流体注入装置、30:圧力制御装置、40:温度制御装置、50:断層撮影装置、60:波動測定装置、70:比抵抗測定装置、80A、80B、80C、80D:押さえ部材

Claims (12)

  1. 流体の入口および出口を有する被覆材により覆われた岩石を、収容するための耐圧容器と、
    前記耐圧容器に収容された前記岩石に、前記入口から前記流体を注入する注入装置と、
    前記耐圧容器内の圧力を制御する圧力制御装置と、
    前記耐圧容器内の温度を制御する温度制御装置と、
    前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を撮影する断層撮影装置と、
    前記岩石内を伝搬する波動の速度を測定する波動測定装置と、を備え、
    前記波動測定装置が、前記岩石の表面に装着された、少なくとも1つの第1センサーおよび少なくとも1つの第2センサーを含み、
    前記第1センサーおよび前記第2センサーが、それぞれ金属材料を含み、
    前記第1センサーおよび前記第2センサーが、前記検査領域外にある、岩石内部の診断システム。
  2. 前記少なくとも1つの第1センサーと前記少なくとも1つの第2センサーとの合計数が3以上であり、
    前記各センサーと前記岩石との接触面の中心点のうち、任意の3点を結んでできる平面と、前記検査領域における走査面との成す鋭角が、45〜90°である、請求項1に記載の岩石内部の診断システム。
  3. 流体の入口および出口を有する被覆材により覆われた岩石を、収容するための耐圧容器と、
    前記耐圧容器に収容された前記岩石に、前記入口から前記流体を注入する注入装置と、
    前記耐圧容器内の圧力を制御する圧力制御装置と、
    前記耐圧容器内の温度を制御する温度制御装置と、
    前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を撮影する断層撮影装置と、
    前記岩石内の比抵抗値を測定する比抵抗測定装置と、を備え、
    前記比抵抗測定装置が、前記岩石の表面に装着された、少なくとも1つの第1電極および少なくとも1つの第2電極を含み、
    前記第1電極および前記第2電極が、それぞれ金属材料を含み、
    前記第1電極および前記第2電極が、前記検査領域外にある、岩石内部の診断システム。
  4. 前記電極により形成される電界の方向と、前記検査領域における走査面との成す鋭角が、45〜90°である、請求項3に記載の岩石内部の診断システム。
  5. 流体の入口および出口を有する被覆材により覆われた柱状の岩石を、収容するための耐圧容器と、
    前記耐圧容器に収容された前記岩石に、前記入口から前記流体を注入する注入装置と、
    前記耐圧容器内の圧力を制御する圧力制御装置と、
    前記耐圧容器内の温度を制御する温度制御装置と、
    前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を撮影する断層撮影装置と、
    前記岩石内の比抵抗値を測定する比抵抗測定装置と、を備え、
    前記比抵抗測定装置が、前記岩石の表面に装着された少なくとも1つの第1電極および少なくとも1つの第2電極を含み、
    前記第1電極および前記第2電極が、それぞれ炭素材料により構成されており、
    前記電極により形成される電界の方向と、前記検査領域における走査面との成す鋭角が、0〜90°である、岩石内部の診断システム。
  6. 前記耐圧容器が、少なくとも前記検査領域内において、カーボンファイバー強化樹脂により構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の岩石内部の診断システム。
  7. 前記温度制御装置が、カーボンヒーターを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の岩石内部の診断システム。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の岩石内部の診断システムに用いられる前記耐圧容器であって、
    筒状の容器本体と、
    前記入口と連通し、前記流体を前記入口に注入するための注入口を有し、かつ、前記容器本体と嵌合する第1蓋部と、
    前記出口と連通し、前記流体を前記出口から排出するための排出口を有し、かつ、前記第1蓋部と対向して前記容器本体と嵌合する第2蓋部と、を備え、
    前記第1蓋部および前記第2蓋部は、前記容器本体と嵌合して、前記耐圧容器内部を密閉状態に保持し、
    前記容器本体、前記第1蓋部および前記第2蓋部が、カーボンファイバー強化樹脂により構成されている、耐圧容器。
  9. 岩石を耐圧容器に収容する工程と、
    前記耐圧容器内の圧力および温度を制御する工程と、
    前記耐圧容器内の前記岩石に流体を注入する工程と、
    前記流体が注入されている前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を、断層撮影する工程と、
    前記流体が注入されている前記岩石内を伝搬する波動の速度を、前記岩石の表面に装着された、少なくとも1つの第1センサーおよび少なくとも1つの第2センサーを用いて測定する工程と、を備え、
    前記第1センサーおよび前記第2センサーが、それぞれ金属材料を含み、
    前記第1センサーおよび前記第2センサーが、前記検査領域外にある、岩石内部の診断方法。
  10. 岩石を耐圧容器に収容する工程と、
    前記耐圧容器内の圧力および温度を制御する工程と、
    前記耐圧容器内の前記岩石に流体を注入する工程と、
    前記流体が注入されている前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を、断層撮影する工程と、
    前記流体が注入されている前記岩石内の比抵抗値を、前記岩石の表面に装着された、1つの第1電極および少なくとも1つの第2電極を用いて測定する工程と、を備え、
    前記第1電極および前記第2電極が、それぞれ金属材料を含み、
    前記第1電極および前記第2電極が前記検査領域外にある、岩石内部の診断方法。
  11. 岩石を耐圧容器に収容する工程と、
    前記耐圧容器内の圧力および温度を制御する工程と、
    前記耐圧容器内の前記岩石に流体を注入する工程と、
    前記流体が注入されている前記岩石の少なくとも一部を含む検査領域を、断層撮影する工程と、
    前記流体が注入されている前記岩石内の比抵抗値を、前記岩石の表面に装着された、1つの第1電極および少なくとも1つの第2電極を用いて測定する工程と、を備え、
    前記第1電極および前記第2電極が、それぞれ炭素材料により構成されており、
    前記電極により形成される電界の方向と、前記検査領域における走査面との成す鋭角が、0〜90°である、岩石内部の診断方法。
  12. 請求項9〜11のいずれか一項に記載の岩石内部の診断方法により得られた前記岩石の断面映像と、前記波動の速度との関係、または、前記岩石の断面映像と、前記比抵抗値との関係に基づき、地中にある岩石に前記流体を注入するための条件を決定する工程、を有する、地中岩石内への流体注入方法。
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