JP6296288B2 - 医薬品製造方法 - Google Patents
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Description
非特許文献1では、模擬粉体としてラクトース(乳糖)の粉体を用いるSMEPAC法(The Standardized Measurement of Equipment Particulate Airborne Concentration法)が推奨されている。ここで使用されるラクトースは、製薬の賦形剤として用いられる物質であり、人体に無害であり、水に溶けやすく、安定性が良好であるため汎用されている。しかし、測定対象の施設内に飛散させたラクトース粉体を定量分析するためには、高価で大がかりな装置と煩雑な作業が必要である。具体的には、フィルターや拭き取りにより、測定対象施設内に飛散したラクトース粉体のサンプリングを行い、これを分析施設に搬送して、高速液体クロマトグラフやイオンクロマトグラフ等の装置で分析・評価することが行われている。このため、結果を得るまでに数日から1週間程度を要する場合も多く、測定対象の施設内で短時間に評価を行うことが困難である。
本発明の医薬品製造方法は、製造過程において粉体状となる医薬品の製造方法であって、前記粉体状の医薬品に、蛍光物質を含む粒子状のトレーサー物質を混入する工程と、前記製造過程における前記トレーサー物質の飛散状況をモニタリングする工程と、を有することを特徴とする。
前記医薬品が高薬理活性医薬品であることが好ましい。
《粉体飛散状態評価方法、トレーサー物質》
本実施形態の粉体飛散状態評価方法は、粉体の取り扱いにおいて、前記粉体に、蛍光物質を含むトレーサー物質を予め混入しておき、前記取り扱い時の前記トレーサー物質の飛散状況をモニタリングする方法である。
トレーサー物質を構成する粒子の密度は特に制限されず、例えば、公知のラクトース粉体を構成するラクトース粒子の密度と同程度でよい。
第一の複合化方法は、蛍光物質が核粒子の表面に層(コーティング層)を形成してなる又は蛍光物質が核粒子の内部に含浸されてなる、複合化粒子の製造方法である。まず、蛍光物質が所定の濃度で溶解された溶液を準備し、その溶液を核粒子の表面に均一に塗布する。塗布方法は特に制限されず、粒子と前記溶液とを混合する公知の方法が適用できる。次に、核粒子に塗布された前記溶液の溶媒を除去して、核粒子の表面に前記溶液の溶質である蛍光物質を残留させることによって、目的の複合化粒子を得ることができる。この際、核粒子の内部に前記溶液を含浸させることにより、核粒子の内部にも蛍光物質を配置することができる。前記溶液の塗布と前記溶媒の除去を行う装置として、例えば、パン・コーティング装置、転動コーティング装置、流動層コーティング装置が挙げられる。これらの装置を用いることにより、核粒子の表面に蛍光物質を均一に被覆(コーティング)することができる。
第二の複合化方法は、蛍光物質の粒子(子粒子)が核粒子(母粒子)に付着してなる複合化粒子の製造方法である。この製造方法においては、母粒子の表面に子粒子が比較的強く付着(固着)させることが可能な処理を行うことが好ましい。
以上で説明した本発明にかかる粉体飛散状態評価方法の実施形態を利用した、本発明にかかる医薬品製造方法の実施形態の一例を以下に説明する。
<第一のデータ取得方法>
作業空間中に対象粉体が飛散し得る事象が発生した場合、通常数分〜数時間の間、作業空間中にトレーサー物質及び医薬品粉体を含む対象粉体が浮遊していると考えられる。空間中の空気(気体)を特許文献2に記載の方法で捕集し測定する。より具体的には、まず、評価対象空間において、検出装置を作業ブース(秤量ブース)内外などの所定箇所に設置したり、検出装置に接続した複数のサンプリング用チューブを所定の各ポイントまで配管したりする。次に、作業者は、例えば秤量や詰め替え、回収などの日常実施している作業(対象粉体の取扱い作業)を行う。この際、作業者が作業を行うとともに、リアルタイムで検出装置によって各ポイントで検出される蛍光発光量を測定する。これによって、捕集位置に浮遊していた対象粉体をオンサイト・リアルタイムで検出することができる。検出装置としては、例えば、前述の装置が適切である。
次に、予め作成された検量線とこの蛍光発光量を対比し、リボフラビン(即ち、対象粉体)の気中濃度を求める。続いて、予め設定された高薬理活性医薬品の許容曝露管理量と、リボフラビン(対象粉体)の気中濃度を対比して評価を行う。さらに、計測した気中濃度や許容曝露管理量をリアルタイムで作業者に表示してもよい。なお、サンプリングの間隔は、粒子濃度にもよるが、通常30〜60秒間隔である。この間隔でサンプリングすると、ほぼリアルタイムで気中の蛍光発光量、物質量をモニタリングできる。
作業空間中に対象粉体が飛散し得る事象が発生した場合、通常数分〜数時間の間、作業空間中にトレーサー物質及び医薬品粉体を含む対象粉体が浮遊していると考えられる。空間中の空気(気体)をフィルターが備えられた捕集器(プローブ)に導いて、このフィルターで空間中に浮遊している対象粉体を捕集することができる。捕集後にフィルターを例えば精製水やアルコール等で洗浄することにより、捕集した対象粉体を洗浄液中に溶解させることができる。この洗浄液中に含まれる蛍光物質の量又はその有無を公知の方法で定量又は検出することにより、捕集位置に浮遊していた対象粉体を定量的に又は定性的に分析することができる。さらに、洗浄液中には蛍光物質量と正の相関を示す量のラクトースが溶解しているので、SMEPAC法又はそれに準じた液体クロマトグラフィー(HPLC)によって洗浄液中のラクトース量を定量すれば、さらに信頼性の高い結果が得られる。
作業空間中に対象粉体が飛散し得る事象が発生した場合、通常数分〜数時間の間、作業空間中にトレーサー物質及び医薬品粉体を含む対象粉体が浮遊していると考えられる。この対象粉体が落下するのを待ち、その後、作業空間を構成する地面や壁又は前記空間に設置された机等に付着した対象粉体を定量する。この場合、予めサンプリング用のシートを作業対象の空間の壁等に設定しておき、そのシートに落下した対象粉体を捕集し、この対象粉体を適当な溶媒に溶解した溶液を調製し、この溶液中の蛍光物質を公知の方法で定量的に又は定性的に分析することにより、捕集位置に落下した対象粉体を定量又は定性分析することができる。さらに、前記溶液中には蛍光物質量と正の相関を示す量のラクトースが溶解しているので、SMEPAC法又はそれに準じた液体クロマトグラフィーによって前記溶液中のラクトース量を定量すれば、さらに信頼性の高い結果が得られる。
Claims (5)
- 製造過程において粉体状となる医薬品の製造方法であって、
前記粉体状の医薬品に、蛍光物質を含む粒子状のトレーサー物質を混入する工程と、
前記製造過程における前記トレーサー物質の飛散状況をモニタリングする工程と、
を有することを特徴とする医薬品製造方法。 - 前記医薬品が高薬理活性医薬品であることを特徴とする請求項1に記載の医薬品製造方法。
- 前記トレーサー物質が、前記医薬品の賦形剤及び前記蛍光物質を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬品製造方法。
- 前記賦形剤がラクトースであり、前記蛍光物質がリボフラビンであることを特徴とする請求項3に記載の医薬品製造方法。
- 前記トレーサー物質の粒径が0.01μm〜500μmであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の医薬品製造方法。
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