JP6296288B2 - 医薬品製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粉体飛散状態評価方法、トレーサー物質、及び医薬品製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、製造において作業者に影響を与え得る粉体の取り扱い施設における、当該粉体の飛散状態を評価する方法、その評価方法に使用するトレーサー物質、及びその評価方法を使用した医薬品製造方法に関する。
高薬理活性医薬品とは、抗がん剤やホルモン剤に代表される、少量で人体に強い薬効作用を与える医薬品である。例えば、1μg/m以下の気中濃度で人体に何らかの生理活性作用をもたらす高薬理活性医薬品もある。このような医薬品の取り扱い施設においては、製品の品質管理(コンタミネーション防止)、作業者の健康被害の防止、環境汚染の防止の観点から、製造装置と設備における医薬品粉体の飛散防止(医薬品粉体の封じ込め)対策が重要である。一般には、アイソレータ等の物理的に囲われた封じ込め装置内で作業が行われる。しかしながら、医薬品製造のコストダウンや柔軟な生産体制が求められており、クリーンブースのようなセミオープンな設備(半密閉設備)において医薬品粉体を取り扱うニーズも高い。
製造・研究開発の現場では、医薬品粉体の飛散性を把握し、現場環境での封じ込め状態を測定して解析する技術が不可欠である。薬理活性の高い医薬品の皮膚への付着や吸引などによって作業者に悪影響が及ぶことが懸念されるからである。
非特許文献1では、模擬粉体としてラクトース(乳糖)の粉体を用いるSMEPAC法(The Standardized Measurement of Equipment Particulate Airborne Concentration法)が推奨されている。ここで使用されるラクトースは、製薬の賦形剤として用いられる物質であり、人体に無害であり、水に溶けやすく、安定性が良好であるため汎用されている。しかし、測定対象の施設内に飛散させたラクトース粉体を定量分析するためには、高価で大がかりな装置と煩雑な作業が必要である。具体的には、フィルターや拭き取りにより、測定対象施設内に飛散したラクトース粉体のサンプリングを行い、これを分析施設に搬送して、高速液体クロマトグラフやイオンクロマトグラフ等の装置で分析・評価することが行われている。このため、結果を得るまでに数日から1週間程度を要する場合も多く、測定対象の施設内で短時間に評価を行うことが困難である。
一方、特許文献1には、粉体の飛散状態評価を行うにあたり、特定粒径のアデノシン5’−三リン酸(ATP)粉体を「模擬粉体」として利用する発明が開示されている。この発明では、測定対象の施設内にサンプリング用のシートを設置し、ATP粉体を飛散させて、シートに付着したATP粉体を定量分析する。ATP粉体の定量分析には、現場に持ち込み可能な検出装置を用いて行うことができるため、その場で評価結果を得ることができる。簡易な装置で高感度に定量できるATP粉体を「模擬粉体」として用いることにより、定量測定にかかる手間と時間は改善されつつあるが、サンプリングから分析結果の解析までに要する時間を更に短縮することが求められていた。
そこで、本発明者らは以前に、粉体の飛散状態を高精度かつリアルタイムで効率よく評価する方法を開示した(特許文献2)。この発明は、ラクトースなどの賦形剤に微量の蛍光物質を複合化した「模擬粉体」を使用して、評価対象とする空間中で「模擬作業」を行い、その際に飛散した粉体の量を蛍光検出装置で測定し、気中濃度に換算する方法である。この方法によれば、現場において極めて短時間で評価結果を得ることができる。
ISPE(The International Society for Pharmaceutical Engineering Inc.)Good Practice Guide 製薬機器の粒子封じ込め(コンテイメント)性能評価ガイドライン、SMEPAC委員会編、ISBN 1−931879−51−6
特開2010−276468号公報 特開2013−50345号公報
ところで、従来の方法は「模擬粉体」を使用して、実際の生産作業をシミュレーションした際の模擬粉体の飛散状態を評価するものであり、医薬品そのものの飛散状態を直接的に測定する方法ではない。このため、医薬品製造者の立場からは、「模擬粉体」ではなく、本来の生産品である医薬品の飛散状態をより直接的に測定したい、という強い要望がある。
本発明は、上記事情に鑑み、高薬理活性医薬品等の医薬品の生産作業中において、その医薬品を含む粉体の飛散状態を評価する方法、その評価方法に使用するトレーサー物質、及びその評価方法を使用する医薬品製造方法を提供する。
上記の目的を達するために、本発明は以下の手段を提供している
本発明の医薬品製造方法は、製造過程において粉体状となる医薬品の製造方法であって、前記粉体状の医薬品に、蛍光物質を含む粒子状のトレーサー物質を混入する工程と、前記製造過程における前記トレーサー物質の飛散状況をモニタリングする工程と、を有することを特徴とする。
前記医薬品が高薬理活性医薬品であることが好ましい。
本発明の粉体飛散状態評価方法によれば、高薬理活性医薬品等の粉体が作業空間中に飛散する状況を、その作業中に経時的にモニタリングする、オンサイト・リアルタイム方式で把握することがきる。この方式を医薬品製造方法に適用することにより、作業空間中の粉体の飛散状況を把握し、必要な場合には飛散粉体の低減処置を実施したり、作業者を退避させたりして、作業者が高薬理活性医薬品等の粉体に曝されることを防止できる。
上記方法において、トレーサー物質としてリボフラビンを使用することにより、粉体に混入させた当該トレーサー物質を感度よく検出することができる。さらに、リボフラビンは一般に食品添加物としても使用されるビタミンの一種であるため、医薬品の製造時に当該医薬品に混入させても、当該医薬品の作用に悪影響を及ぼすことは無いと考えられる。
以下、好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。
《粉体飛散状態評価方法、トレーサー物質》
本実施形態の粉体飛散状態評価方法は、粉体の取り扱いにおいて、前記粉体に、蛍光物質を含むトレーサー物質を予め混入しておき、前記取り扱い時の前記トレーサー物質の飛散状況をモニタリングする方法である。
本実施形態の粉体飛散状態評価方法は、例えば抗がん剤等の少量で人体に強い薬効作用を与える高薬理活性医薬品の製造施設や研究開発施設(取り扱い施設)などにおいて、この高薬理活性医薬品を含む粉体を取り扱う際の飛散性、封じ込め性を評価することができる。また、前記粉体は、高薬理活性医薬品を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記粉体は、高薬理活性医薬品を含む粉体に限られず、いかなる粉体であってもよい。例えばアレルギーを惹起し得る食品粉体の取り扱い施設で本発明の評価方法を適用することもできる。
本実施形態の一例として、粉体状の高薬理活性医薬品の取り扱いにおいて、その粉体に蛍光物質を含むトレーサー物質を予め混入しておき、その粉体の取り扱い時にトレーサー物質の飛散状況をモニタリングすることによって、粉体の飛散状況を把握することができる。仮に、高薬理活性医薬品を含む粉体が作業空間中に高濃度で飛散していることが把握された場合には、作業者が当該粉体に暴露されないように封じ込め対策等を実施すればよい。
トレーサー物質は、飛散状況をモニタリングする粉体に均一に混ざる様に予め混入しておくことが好ましい。トレーサー物質と粉体とを均一に混合する方法は特に制限されず、公知方法が適用できる。このトレーサー物質は少なくとも蛍光物質を含む。混入する評価対象の粉体(対象粉体)が医薬品である場合には、一般的な医薬品に使用される賦形剤に蛍光物質を付着させたトレーサー物質を使用することが好ましい。当該賦形剤としては、ラクトースが適している。医薬品粉体の粒子形状を模した、ラクトース及び蛍光物質を含有する粒子がトレーサー物質として適している。
トレーサー物質の構成材料、例えば核粒子、としてラクトースが使用されていると、本実施形態の評価方法によって粉体取り扱い作業空間中に高薬理活性医薬品の漏えいが確認された場合に、従来のISPE SMEPAC法に従ってラクトースの正確な漏えい量(μg/m)を求めて、このラクトース量と医薬品配合比率から高薬理活性医薬品の漏えい量や気中濃度を測定又は推定することができる。OEL(Occupational Exposure Limit:許容暴露管理量)等の管理基準濃度と測定値又は推定値とを比較した結果に基づいて、適切な封じ込め対策や作業手順の改良が実施されることが好ましい。
トレーサー物質を構成する蛍光物質としては、トレーサー物質を検出する機器によって検出可能であれば特に制限されないが、リボフラビン(ビタミンB)が好適である。リボフラビンは少量であっても高感度で検出することができるため、取り扱う粉体に混入するトレーサー物質の量を低減することができる。粉体の全体質量に対するトレーサー物質の混入量は特に制限されないが、例えば0.01〜1質量%という低濃度で実施することができる。
さらに、リボフラビンは一般に食品添加物としても使用される安全な物質であるため、対象粉体の医薬品の薬理活性に悪影響をあたえる恐れはないと考えられる。この観点から、医薬品の薬理活性に悪影響を与えない蛍光物質であれば、リボフラビンに代えて又はリボフラビンと共に、他の蛍光物質をトレーサー物質の構成材料として使用することができる。
蛍光物質の一例であるリボフラビンの検出方法としては、リボフラビンの蛍光発光量をオンサイトで検出可能な装置を利用することが好ましい。これによって、リボフラビンを含む対象粉体の飛散状態をリアルタイムで測定することができる。リボフラビンの蛍光発光量をオンサイトで検出できる検出装置としては、例えば、Bio Vigilant System社製のリアルタイム細菌ディテクタ(Instantaneous Microbial DetectionTM)、TSI社製のウルトラバイトレット空気動力学的パーティクルサイザー(Model 3314)、TSI社製のリアルタイム微生物測定器BioTrak(Model 9510-BD)、などが挙げられる。
このような検出装置は、レーザー散乱理論に基づくパーティクルカウンターとして、粒径が0.5〜15μm程度の粒子(粉体)の空気中の濃度を測定できる。また、これと同時に、蛍光物質を含む粒子に短波長レーザーを照射することによって蛍光発光させ、その蛍光発光量を計測する。そして、予め作成して記憶された検量線と、計測した蛍光発光量を対比して、粒子の気中濃度(粒子量、蛍光発光物質量)を測定することができる。
対象粉体の飛散状況を測定するために当該粉体に混入するトレーサー物質は、対象粉体に類似する粉体であることが好ましい。具体的には、トレーサー物質の粒径、形状、密度等の物性が、対象粉体を構成する粒子の物性に近いことが好ましい。
トレーサー物質を構成する粒子の粒径(トレーサー物質の粒径)は特に制限されないが、例えば0.01μm〜500μmが好ましく、0.1μm〜100μmがより好ましく、0.5μm〜30μmがさらに好ましい。トレーサー物質の粒径が上記範囲であると、一般的な医薬品製造施設等で使用される対象粉体の粒径と同等であり、対象粉体とトレーサー物質とが同様の飛散性を示すため、トレーサー物質を検出することにより対象粉体の飛散状態を精度良く評価することができる。ここでの粒径は、例えばレーザー散乱式粒度分布測定装置を使用して体積平均径として計測することができる。
トレーサー物質の粒度分布は特に制限されず、実際の対象粉体の粒度分布に合わせて適宜調整すればよい。例えば、分級によってトレーサー物質の粒度分布を調整することができる。粒度分布幅の広いトレーサー物質を分級することによって、その粒度分布幅を狭くしてもよい。逆に、粒度分布幅の狭いトレーサー物質を複数混合し、粒度分布幅の広いトレーサー物質を調製してもよい。
トレーサー物質を構成する粒子の形状は特に制限されず、例えば、種々の多面体、球体又は楕円回転体に近似可能な形状が挙げられる。
トレーサー物質を構成する粒子の密度は特に制限されず、例えば、公知のラクトース粉体を構成するラクトース粒子の密度と同程度でよい。
トレーサー物質の飛散性は、通常、粒子の密度によって影響され得る。このため、トレーサー物質と、対象粉体との密度を近くすることが好ましい。この観点から、対象粉体が医薬品粉体である場合には、トレーサー物質を構成する粒子は、例えば、対象粉体を構成する医薬品の賦形剤を核粒子として、その表面に蛍光物質が付着された複合化トレーサー物質を使用することが好ましい。これにより、実際の対象粉体に近い密度を持ち、且つ蛍光発光による検出が可能なトレーサー物質が得られる。
好適なトレーサー物質の一例として、核粒子(母粒子)の表面にリボフラビン等の蛍光物質からなる子粒子が付着してなる複合化粒子が挙げられる。母粒子と子粒子の配合割合を調整することによって、複合化粒子に、対象粉体を構成する粒子と同等の密度や飛散性を容易に付与することができる。以下、複合化粒子の好適な構成例を説明する。
核粒子を構成する材料は特に制限されず、例えば医薬品に使用される公知の賦形剤が適用可能であり、具体的にはラクトース、デンプン、デキストリン、サッカロース、グルコース等が挙げられる。
ラクトースを核粒子の主材料として使用する場合、当該核粒子の全質量に対するラクトースの含有量は特に制限されないが、トレーサー物質を一般的な医薬品粉体(対象粉体)の飛散性に類似させることが容易である観点から、その含有量は、50〜100質量%であることが好ましく、75〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
核粒子の粒径は特に制限されないが、例えば0.01μm〜500μmが好ましく、0.1μm〜100μmがより好ましく、0.5μm〜30μmがさらに好ましい。核粒子の粒径が上記範囲であると、一般的な医薬品製造施設等で使用される対象粉体の粒径と同等のトレーサー物質が得られる。これにより、当該対象粉体の飛散状態をより精度良く評価することができる。なお、ここで示す粒径は、一次粒径であってもよいし、二次粒径であってもよい。
核粒子の粒径、形状、密度等の物性は、医薬品粉体等の実際の粉体に近いことが好ましい。また、核粒子の物性は、従来のSMEPAC法に使用されるラクトース粉体を構成する粒子の物性と同等であることが好ましい。
トレーサー物質である複合化粒子の製造方法の例として、以下に、第一の複合化方法と第二の複合化方法をそれぞれ例示する。
<第一の複合化方法>
第一の複合化方法は、蛍光物質が核粒子の表面に層(コーティング層)を形成してなる又は蛍光物質が核粒子の内部に含浸されてなる、複合化粒子の製造方法である。まず、蛍光物質が所定の濃度で溶解された溶液を準備し、その溶液を核粒子の表面に均一に塗布する。塗布方法は特に制限されず、粒子と前記溶液とを混合する公知の方法が適用できる。次に、核粒子に塗布された前記溶液の溶媒を除去して、核粒子の表面に前記溶液の溶質である蛍光物質を残留させることによって、目的の複合化粒子を得ることができる。この際、核粒子の内部に前記溶液を含浸させることにより、核粒子の内部にも蛍光物質を配置することができる。前記溶液の塗布と前記溶媒の除去を行う装置として、例えば、パン・コーティング装置、転動コーティング装置、流動層コーティング装置が挙げられる。これらの装置を用いることにより、核粒子の表面に蛍光物質を均一に被覆(コーティング)することができる。
<第二の複合化方法>
第二の複合化方法は、蛍光物質の粒子(子粒子)が核粒子(母粒子)に付着してなる複合化粒子の製造方法である。この製造方法においては、母粒子の表面に子粒子が比較的強く付着(固着)させることが可能な処理を行うことが好ましい。
子粒子と母粒子とが比較的弱く付着した状態で複合化粒子を製造する方法として、子粒子及び母粒子をミル等で撹拌しながら混合する混合方法、流動層法による混合方法、高速圧縮・せん断型混合機を用いた混合方法等が挙げられる。
母粒子の表面に子粒子を比較的強く付着させることが可能な方法として、乾式粒子複合化技術が挙げられる。この技術によれば、高速気流中に分散させた母粒子と子粒子とを互いに衝突させて、主にその衝突時の衝撃力により母粒子と子粒子とを乾式で固着(固定)し、母粒子の表面の全部又は少なくとも一部を被覆することができる。この方法は母粒子の表面を子粒子によって表面改質して複合化する方法である、と言い換えることができる。
乾式粒子複合化技術を用いれば、衝突時の条件を適宜調整することにより、母粒子の表面に子粒子からなる膜を成膜することも可能である。この成膜時には、衝突前の子粒子の形状を維持させることもできるし、衝突エネルギーによって子粒子の形状を変形させることもできる。基本的には、衝突後(複合化後)においても、衝突前の母粒子の形状及び粒子径を維持させることができる。
乾式粒子複合化技術を用いる場合、子粒子として使用する蛍光物質は予め微粉砕して数μmの大きさに調整しておくことが好ましい。
乾式粒子複合化技術による複合化粒子の形成において、母粒子と子粒子を衝突させるチャンバーを乾燥及び冷却し、チャンバー内を窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気にすることにより、子粒子を構成する蛍光物質の熱分解や酸化分解を抑制し、複合化粒子の検出感度が損なわれることを防止できる。このような複合化方法は、公知の市販装置(例えば、奈良機械製作所製のハイブリダイザー、ホソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステム等)により、実施することができる。
《医薬品製造方法》
以上で説明した本発明にかかる粉体飛散状態評価方法の実施形態を利用した、本発明にかかる医薬品製造方法の実施形態の一例を以下に説明する。
本実施形態の医薬品製造方法は、当該医薬品の製造過程において粉体状の医薬品又は医薬品原体(材料)を取り扱う。さらに、医薬品粉体(対象粉体)に蛍光物質を含むトレーサー物質を混入する工程(混入工程)と、その後の製造過程におけるトレーサー物質の飛散状況をモニタリングする工程(検出工程)と、を有する。医薬品は高薬理活性医薬品であってもよいし、通常の医薬品であってもよい。
一般に、医薬品の固形製剤は、医薬品原体の秤量、造粒、混合、打錠、コーティング、印刷、検査、充填、包装といった一連の工程を有する。本実施形態においては、このような従来の固形製剤プロセスに、混入工程および検出工程をさらに付加する。
本実施形態の混入工程においては、上記固形製剤の「混合」のプロセス時に、トレーサー物質を医薬品粉体(対象粉体)に所定量混合する。これにより、「混合」以降の各プロセスにおいて、医薬品粉体の飛散状況をトレーサー物質の検出によりモニタリングする検出工程を同時並行的に実施することができる。具体的には、例えば、生産装置及び施設周辺の空気中のリボフラビン等の蛍光物質を検出装置でモニタリングする。
例えば、作業室内中において、サンプリング用のプローブを、作業室内の任意の箇所、作業者の口元、粉体を取り扱うグローブボックスの周辺、の順にスキャンしながらデータを取ることにより、オンサイトで対象粉体の検出、対象粉体の漏えい箇所(又は発塵現場)の特定を行うことができる。
具体的なデータ取得方法の例として、以下に三つの方法を説明する。
<第一のデータ取得方法>
作業空間中に対象粉体が飛散し得る事象が発生した場合、通常数分〜数時間の間、作業空間中にトレーサー物質及び医薬品粉体を含む対象粉体が浮遊していると考えられる。空間中の空気(気体)を特許文献2に記載の方法で捕集し測定する。より具体的には、まず、評価対象空間において、検出装置を作業ブース(秤量ブース)内外などの所定箇所に設置したり、検出装置に接続した複数のサンプリング用チューブを所定の各ポイントまで配管したりする。次に、作業者は、例えば秤量や詰め替え、回収などの日常実施している作業(対象粉体の取扱い作業)を行う。この際、作業者が作業を行うとともに、リアルタイムで検出装置によって各ポイントで検出される蛍光発光量を測定する。これによって、捕集位置に浮遊していた対象粉体をオンサイト・リアルタイムで検出することができる。検出装置としては、例えば、前述の装置が適切である。
次に、予め作成された検量線とこの蛍光発光量を対比し、リボフラビン(即ち、対象粉体)の気中濃度を求める。続いて、予め設定された高薬理活性医薬品の許容曝露管理量と、リボフラビン(対象粉体)の気中濃度を対比して評価を行う。さらに、計測した気中濃度や許容曝露管理量をリアルタイムで作業者に表示してもよい。なお、サンプリングの間隔は、粒子濃度にもよるが、通常30〜60秒間隔である。この間隔でサンプリングすると、ほぼリアルタイムで気中の蛍光発光量、物質量をモニタリングできる。
<第二のデータ取得方法>
作業空間中に対象粉体が飛散し得る事象が発生した場合、通常数分〜数時間の間、作業空間中にトレーサー物質及び医薬品粉体を含む対象粉体が浮遊していると考えられる。空間中の空気(気体)をフィルターが備えられた捕集器(プローブ)に導いて、このフィルターで空間中に浮遊している対象粉体を捕集することができる。捕集後にフィルターを例えば精製水やアルコール等で洗浄することにより、捕集した対象粉体を洗浄液中に溶解させることができる。この洗浄液中に含まれる蛍光物質の量又はその有無を公知の方法で定量又は検出することにより、捕集位置に浮遊していた対象粉体を定量的に又は定性的に分析することができる。さらに、洗浄液中には蛍光物質量と正の相関を示す量のラクトースが溶解しているので、SMEPAC法又はそれに準じた液体クロマトグラフィー(HPLC)によって洗浄液中のラクトース量を定量すれば、さらに信頼性の高い結果が得られる。
この第二の方法で使用する捕集器としては、上述のフィルターを備えた捕集器に代えて、複合化粒子を溶解可能な溶媒が入ったインピンジャーを捕集器として使用してもよい。
<第三のデータ取得方法>
作業空間中に対象粉体が飛散し得る事象が発生した場合、通常数分〜数時間の間、作業空間中にトレーサー物質及び医薬品粉体を含む対象粉体が浮遊していると考えられる。この対象粉体が落下するのを待ち、その後、作業空間を構成する地面や壁又は前記空間に設置された机等に付着した対象粉体を定量する。この場合、予めサンプリング用のシートを作業対象の空間の壁等に設定しておき、そのシートに落下した対象粉体を捕集し、この対象粉体を適当な溶媒に溶解した溶液を調製し、この溶液中の蛍光物質を公知の方法で定量的に又は定性的に分析することにより、捕集位置に落下した対象粉体を定量又は定性分析することができる。さらに、前記溶液中には蛍光物質量と正の相関を示す量のラクトースが溶解しているので、SMEPAC法又はそれに準じた液体クロマトグラフィーによって前記溶液中のラクトース量を定量すれば、さらに信頼性の高い結果が得られる。
検出した対象粉体に含まれる蛍光物質を定量的又は定性的に分析することにより、作業空間における対象粉体及びこれを構成する医薬品粉体の飛散状態を評価することができる。
また、本実施形態の評価方法により、作業空間(第一空間)に隣接する空間(第二空間)に、対象粒子が拡散しているか(漏出しているか)を評価してもよい。第一空間および第二空間に前記捕集器又は前記サンプリング用シートを設置し、第一空間と第二空間における対象粉体の量又は有無をモニターし、第二空間で検出された対象粉体の量が、想定範囲内であるか否かを評価することができる。第二空間において対象粉体が検出されない又は検出量が所定値よりも低ければ、第一空間における対象粉体の封じ込め性が良好であると判断できる。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。

Claims (5)

  1. 製造過程において粉体状となる医薬品の製造方法であって、
    前記粉体状の医薬品に、蛍光物質を含む粒子状のトレーサー物質を混入する工程と、
    前記製造過程における前記トレーサー物質の飛散状況をモニタリングする工程と、
    を有することを特徴とする医薬品製造方法。
  2. 前記医薬品が高薬理活性医薬品であることを特徴とする請求項1に記載の医薬品製造方法。
  3. 前記トレーサー物質が、前記医薬品の賦形剤及び前記蛍光物質を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬品製造方法。
  4. 前記賦形剤がラクトースであり、前記蛍光物質がリボフラビンであることを特徴とする請求項3に記載の医薬品製造方法。
  5. 前記トレーサー物質の粒径が0.01μm〜500μmであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の医薬品製造方法。
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