以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置の構成例を示すブロック図である。図1に示した撮像装置100は、被写体を撮像して得られた画像情報を記憶媒体に記録するだけでなく、画像情報を記憶媒体から再生し、現像処理して表示する機能や、画像情報を外部の装置やサーバ(クラウド)等と送受信する機能を有する。従って、本発明の実施形態に係る撮像装置は、画像処理装置、記録装置、再生装置、記録再生装置、通信装置等と表現することができる。また図1の撮像装置100において、撮像素子、表示素子、入力デバイスや端子のような物理的デバイスを除き、各ブロックは専用ロジック回路やメモリを用いてハードウェア的に構成されてもよい。或いは、メモリに記憶されている処理プログラムをCPU等のコンピュータが実行することにより、ソフトウェア的に構成されてもよい。
図1において、制御部161は、CPUと、当該CPUが実行する制御プログラムを格納するメモリを含み、撮像装置100の全体の処理を制御する。操作部162は、ユーザーが撮像装置100に対して指示を与えるために用いるキーやボタン、タッチパネルなどの入力デバイスを含む。操作部162からの操作信号は、制御部161によって検出され、操作に応じた動作が実行されるよう制御部161によって制御される。表示部123は、撮像装置100において、撮影、或いは再生された画像や、メニュー画面、各種情報等を表示するための液晶ディスプレイ(LCD)等を含む。
操作部162によって撮影動作の開始が指示されると、撮像対象となる被写体の光学像が、撮像光学部101を介して入力され、撮像センサー部102上に結像する。撮影時、撮像光学部101及び撮像センサー部102の動作は、評価値算出部105により取得される絞り、フォーカス、手ぶれ等の評価値算出結果や、認識部131によって抽出される被写体情報に基づいて、カメラ制御部104によって制御される。
撮像センサー部102は、CCDやCMOSセンサー等の撮像素子を備え、画素毎に配置される赤、緑、青(RGB)のカラーフィルターを透過した光を電気信号に変換する。図12は、撮像センサー部102に配置されるカラーフィルターの一例であり、撮像装置100が扱う画像の画素配列を表している。図12に示すように、赤(R)、緑(G)、青(B)が画素毎にモザイク状に配置されていて、2×2の4画素につき赤1画素、青1画素、緑2画素を1セットにして規則的に並べられた構造となっている。このような画素の配置は、一般にベイヤ―配列と呼ばれる。
撮像センサー部102によって変換された電気信号は、センサー信号処理部103によって画素の修復処理が施される。修復処理には、撮像センサー部102における欠落画素や信頼性の低い画素の値に対し、周辺画素値を用いて修復対象の画素を補間したり、所定のオフセット値を減算したりする処理が含まれる。本実施形態では、センサー信号処理部103から出力される画像情報を、生(未現像)の画像を意味するRAW画像と称す。
RAW画像は、現像部110で現像処理される。現像部110は、複数の異なる現像処理部を有し、第1の現像部としての簡易現像部111と、第2の現像部としての高画質現像部112とから成り、それらの出力を選択するスイッチ部121を含んで構成される。簡易現像部111、高画質現像部112は共に、RAW画像に対してデベイヤー処理(デモザイク処理)を施し、輝度と色差から成る信号に変換して、各信号に含まれるノイズを除去、光学的な歪を補正し、画像を適正化するなどの所謂現像処理を行う。
特に、高画質現像部112は、簡易現像部111よりも各々の処理を高精度に行うものである。高精度であるため、簡易現像部111よりも高画質な現像画像が得られるが、一方で、処理負荷が高くなってしまう。そこで、本実施形態の高画質現像部112は、撮影と並行したリアルタイムの現像に特化したものではなく、撮影後に時間をかけて分散処理を行うことが可能な構成になっている。このように高画質現像を撮影時ではなく、時間をかけて後から行うようにすることで、回路規模や消費電力の増大(ピーク)を低く抑えることができる。他方、簡易現像部111は、高画質現像部112よりも、画質は低いものの、撮影中に高速に現像処理を行えるよう、高画質現像よりも現像に係る処理量が少なくなるように構成されている。簡易現像部111の処理負荷は小さいので、撮影動作と並行したリアルタイムの現像の際には簡易現像部111を用いるようにする。スイッチ部121は、操作部162によりユーザーから指示された操作内容や実行中の動作モードに応じた制御に従って、制御部161によって切り替えられる。
なお、本実施形態では、現像部110の中に簡易現像部111と高画質現像部112が独立に存在する構成を示しているが、一つの現像部が動作モードを切り替えて、簡易現像と高画質現像の処理を排他的に行う構成であっても本発明の範疇である。現像部110によって現像処理された画像情報は、表示制御部122によって所定の表示処理がなされた後、表示部123にて表示される。また、現像処理された画像情報は、映像出力端子124により、外部に接続された表示機器に出力してもよい。映像出力端子124は、例えばHDMIやSDIのような汎用インタフェースを含む。
現像部110によって現像処理された画像情報は、評価値算出部105にも供給される。評価値算出部105は、画像情報からフォーカス状態や露出状態などの評価値を算出する。
現像部110によって現像処理された画像情報は、認識部131にも供給される。認識部131は、画像情報中の被写体情報を検出及び認識する機能を有する。例えば、画像情報によって表される画面内における顔を検出し、有る場合は顔の位置を示す情報を出力し、さらに顔などの特徴情報に基づいて特定の人物の認証などを行う。
現像部110によって現像処理された画像情報は、静止画圧縮部141及び動画圧縮部142にも供給される。画像情報を静止画として圧縮する場合は、静止画圧縮部141を用いる。画像情報を動画として圧縮する場合は、動画圧縮部142を用いる。静止画圧縮部141及び動画圧縮部142は、それぞれ対象となる画像情報を高能率符号化(圧縮符号化)し、情報量が圧縮された画像情報を生成して、画像ファイル(静止画ファイル、又は、動画ファイル)に変換する。静止画圧縮はJPEGなどを、動画圧縮にはMPEG−2、H.264、H.265等を用いることができる。
RAW圧縮部113は、センサー信号処理部103が出力したRAW画像を、ウエーブレット変換や、差分符号化等の技術を用いて高能率符号化し、圧縮された状態のRAWファイルに変換して、バッファ部(記憶媒体)115に格納する。RAWファイルは、バッファ部115内に残しておいて再び読み出すことができるが、バッファ部115に格納された後、別の記憶媒体に移動して記録する(バッファ部115から削除する)ようにしても良い。
RAWファイルと、上述の静止画ファイル及び動画ファイルは、記録再生部151によって、記憶媒体152に記録される。記憶媒体152は、内蔵式の大容量メモリやハードディスク、又は、着脱式のメモリカード等である。記録再生部151は、記憶媒体152から静止画ファイル、動画ファイル、RAWファイルを読み出すこともできる。
記録再生部151は、通信部153を介して、外部のストレージやサーバに、各種ファイルを書き込んだり、読み出したりすることができる。通信部153は通信端子154を用いて、無線通信や有線通信によりインターネットや外部機器にアクセス可能な構成を有する。
再生動作が開始されると、記録再生部151は、記憶媒体152から、又は、通信部153を介して、所望のファイルを取得して再生する。再生対象のファイルがRAWファイルであれば、記録再生部151は、取得されたRAWファイルをバッファ部115に格納する。再生対象のファイルが静止画ファイルであれば、記録再生部151は、取得された静止画ファイルを静止画伸張部143に供給する。再生対象のファイルが動画ファイルであれば、記録再生部151は、取得された動画ファイルを動画伸張部144に供給する。
RAW伸張部114は、バッファ部115に格納されているRAWファイルを読みだして、圧縮された状態のRAWファイルを復号してRAW画像を生成する。RAW伸張部114によるRAWファイルの伸張処理により得られたRAW画像は、現像部110内の簡易現像部111、高画質現像部112に供給される。
静止画伸張部143は、入力された静止画ファイルを復号して伸張し、静止画の再生画像として表示制御部122に供給する。動画伸張部144は、入力された動画ファイルを復号して伸張し、動画の再生画像(再生動画)として表示制御部122に供給する。
次に、本実施形態の撮像装置100の動作モードに関して、図を用いて詳細に説明する。図2は、撮像装置100における、各動作モードの遷移を示す状態遷移図である。このような動作状態の遷移は、操作部162からのユーザー操作指示や、制御部161の判断に応じて実行され、操作に応じて手動で遷移することもあれば、自動で遷移することもある。図2のように、撮像装置100は、アイドル状態(200)を経由して4つのモード、静止画撮影モード(201)、静止画再生モード(202)、動画撮影モード(203)、動画再生モード(204)に適宜切り替わって動作する。
次に、撮像装置100の静止画撮影モードにおける動作について説明する。図3に、本実施形態の静止画撮影モードの処理に係るフローチャートを示す。図3のフローチャートは、制御部161によって、各処理ブロックを制御し実行される処理手順を図示したものであり、制御部161が有するメモリ(ROM)に格納されているプログラムをメモリ(RAM)に展開し、CPUが実行することにより実現される。
図3において静止画撮影モードの処理が開始されると、S301にて制御部161が撮像装置100の処理負荷状況が低いか否かを判定する。負荷状況に応じた頻度で、処理負荷が低い場合はS320でアイドル状態へ遷移し、それ以外の場合はS302へ進む。例えば、高速連写中は処理負荷が高いため、S320へは遷移せず、常にS302へ進む。通常の単発の撮影を行う場合においては、第1の撮影と第2の撮影の合間に、例えば半分の頻度でS320へ遷移する。
S302において、カメラ制御部104が、好適な条件で撮影を行うように撮像光学部101や撮像センサー部102の動作を制御する。例えば、ユーザーのズームやフォーカスの指示に従って、撮像光学部101に含まれるレンズが移動されたり、撮影画素数の指示に従って撮像センサー部102の読み出し領域が設定されたりする。また、後述の評価値算出部105や認識部131から供給される評価値の情報や被写体情報に基づいて、特定被写体へのフォーカス調整や追尾などの制御が行われる。
S303において、撮像センサー部102によって変換された電気信号に対して、センサー信号処理部103が画素の修復のための信号処理を施す。ここでは、欠落画素や、信頼性の低い画素の値に対し、周辺画素値を用いて補間したり、所定のオフセット値を減算したりする。本実施形態では、S303の処理を終えて、センサー信号処理部103から出力される画像情報を、生(未現像)の画像を意味するRAW画像と呼ぶ。
S304において、簡易現像部111がRAW画像を現像処理する。このとき、制御部161が現像部110内のスイッチ部121を切り替えて、簡易現像部111で現像処理された画像情報の出力を選択する。簡易現像部111は、RAW画像に対してデベイヤー処理(デモザイク処理)し、輝度と色差から成る信号へ変換して、各信号に含まれるノイズを除去、光学的な歪を補正し、画像を適正化するなどの所謂現像処理を行う。ここで、簡易現像部111が行う現像処理(簡易現像)について説明する。簡易現像部111は、現像後の画像サイズを200万画素以下に制限したり、ノイズ除去や光学的な歪補正を限定的な処理に留めたり或いは省いたりすることで、現像の高速処理や簡易処理を実現している。簡易現像部111が、画像サイズを縮小した上で処理を行ったり、現像処理の機能を一部制限したりすることで、撮像装置100は、例えば200万画素の毎秒60コマというパフォーマンスの撮影を、小さい回路規模で少ない消費電力で実現することができる。
簡易現像部111で現像処理された画像情報は、評価値算出部105に供給される。S305にて評価値算出部105は、画像情報に含まれる輝度値やコントラスト値などからフォーカス状態や露出状態などの評価値を算出する。なお、評価値算出部105は、現像処理前のRAW画像を取得して、RAW画像から同様に評価値を算出するようにしても良い。また、簡易現像部111で現像処理された画像情報は、認識部131に供給される。S306にて認識部131は、画像情報から被写体(顔など)の検出を行い、被写体情報を認識する。例えば、画像情報内における顔の有無や、その位置、特定の人物の認証などを行って、その結果を情報として出力する。
また、簡易現像部111で現像処理された画像情報は、表示制御部122にも供給される。S307にて表示制御部122は、取得した画像情報から表示画像を形成し、表示部123又は外部の表示装置に出力して、表示する。表示部123による表示画像は、静止画撮影モードにおいて、ユーザーが被写体を適切にフレーミングするためのライブビュー表示(撮影スルー画像表示)のために用いられる。なお、表示画像は、表示制御部122から映像出力端子124を経由して、外部のテレビジョンなどの他の表示装置にて表示されてもよい。さらに、表示制御部122は、評価値算出部105や認識部131から供給される、評価値情報や被写体情報を活用して、例えば、表示画像上のフォーカスの合焦領域にマーキング表示したり、認識された顔の位置に枠を表示したりすることもできる。
S308において、制御部161は、ユーザーからの撮影指示の入力を判定し、撮影の指示があった場合は、S310へ進む。S308で撮影指示が無い場合は、S301へ戻って、撮影の準備動作とライブビュー表示を繰り返す。S308における撮影指示に応答して、簡易現像部111で現像処理された画像情報が、静止画圧縮部141に供給される。S310において静止画圧縮部141は、取得した画像情報に対して高能率符号化処理(静止画圧縮)を施し、静止画ファイルを生成する。なお、静止画圧縮部141は、JPEGなどの公知の静止画圧縮技術を用いて圧縮処理を行う。
S311において、記録再生部151が静止画ファイルを記憶媒体152に記録する。さらに、S308における撮影指示に応答して、S312ではRAW圧縮部113が、撮影された静止画に対応するセンサー信号処理部103から出力されたRAW画像を取得し、RAW画像を高能率符号化(RAW圧縮)してRAWファイルに変換する。RAWファイルはバッファ部115に格納される。RAW圧縮部113が行う高能率符号化は、ウエーブレット変換や、差分符号化などの公知の技術により処理されるものとするが、非可逆符号化でも可逆符号化でも良い。或いは、RAW圧縮部113のRAW圧縮を省略して、RAW画像が非圧縮の状態のままスルー出力されても良い。RAW圧縮の有無に関わらず、本実施形態では、センサー信号処理部103から供給される画像情報を大きく損なわない、高画質ファイルとして復元可能なRAWファイルを生成する。
S313において、記録再生部151がRAWファイルを記憶媒体152に記録した後、フローはS301に遷移する。なお、S311及びS313において、記録再生部151は、静止画ファイル及び/又はRAWファイルを、通信部153を介して、通信端子154から外部のストレージに送って、外部のストレージによって記録するようにしても良い。以上が、本実施形態の静止画撮影モードの処理に係るフローの説明である。
ここで、本実施形態に係る、静止画ファイルの構造と、RAWファイルの構造について説明する。図4は、静止画ファイル及びRAWファイルの構成例を示す図である。図4(a)に示す静止画ファイル400は、記録再生部151によって、例えば記憶媒体152の所定の記録エリアに記録されている。静止画ファイル400は、ヘッダ部401、メタデータ部402、圧縮データ部403から成る。ヘッダ部401には、このファイルが静止画ファイルの形式であることを示す識別コードなどが含まれている。圧縮データ部403には、高能率符号化された静止画の圧縮データが含まれている。
メタデータ部402には、この静止画ファイルと同時に生成されたRAWファイルのファイル名の情報404が含まれる。また、この静止画ファイルが簡易現像部111によって簡易現像されたのか、又は高画質現像部112で高画質現像されたのかを示すフラグを含む現像ステータスの情報405が含まれる。また、評価値算出部105や認識部131で検知された評価値や被写体情報、及び、撮像光学部101や撮像センサー部102からの撮影時の情報(例えば、レンズ種別識別情報、センサー種別識別情報など)を含む撮影メタデータ406が含まれる。また、図示していないが、同時に生成されたRAWファイルが記録されている記憶媒体の識別コードや、記録されているフォルダのパス情報などを更に含んでも良い。
図4(b)に示すRAWファイル410は、記録再生部151によって、例えば記憶媒体152の所定の記録エリアに記録されている。RAWファイル410は、ヘッダ部411、メタデータ部412、圧縮データ部413から成る。ヘッダ部411には、このファイルがRAWファイルの形式であることを示す識別コードなどが含まれている。圧縮データ部413には、高能率符号化された静止画のRAW圧縮データが含まれている(圧縮されていない静止画のRAW画像データであっても良い)。
メタデータ部412には、このRAWファイルと同時に生成された静止画ファイルのファイル名の情報414が含まれる。また、その静止画ファイルが簡易現像部111によって簡易現像されたことを示す現像ステータスの情報415が含まれる。また、評価値算出部105や認識部131で検知された評価値や被写体情報、及び、撮像光学部101や撮像センサー部102からの撮影時の情報(例えば、レンズ種別識別情報、センサー種別識別情報など)を含む撮影メタデータ416が含まれる。また、図示していないが、同時に生成された静止画ファイルが記録されている記憶媒体の識別コードや、記録されているフォルダのパス情報などを更に含んでも良い。或いはまた、同時に生成された静止画ファイルそのものをメタデータ化して、メタデータ部412に格納しても良い。上述した本実施形態に係る各種ファイルの構造は一例であり、DCFやEXIFなどの標準規格に準じた構成であっても良い。
本実施形態に係る撮像装置100は、上述のように、静止画撮影モードにおける撮影指示が行われるまでのライブビュー表示や、撮影指示に応答して生成される静止画ファイルのための現像処理を、簡易現像部111によって行う。簡易現像部111は、現像後の画像サイズを200万画素以下に制限したり、ノイズ除去や光学的な歪補正を限定的な処理に留めたり、或いは省いたりする。そうすることで、例えば200万画素の毎秒60コマというパフォーマンスの現像処理を、小さい回路規模で少ない消費電力で実現することができる。一方で、本実施形態に係る撮像装置100は、上述のように、静止画の撮影指示に応答して、RAWファイルを生成する。RAWファイルは、センサー信号処理部103から供給される画像情報を大きく損なわない高画質ファイルであるが、このファイルの生成に現像処理を必要としない。そのため、画像の画素数や連写のスピードを高めながらも、小規模な回路によって少ない消費電力でRAWファイルを記録することが可能である。
続いて、図3のS320におけるアイドル状態の処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。図5に、本実施形態のアイドル状態の処理に係るフローチャートを示す。図5のフローチャートは、制御部161によって、各処理ブロックを制御し実行される処理手順を図示したものであり、制御部161が有するメモリ(ROM)に格納されているプログラムをメモリ(RAM)に展開し、CPUが実行することにより実現される。
図5においてアイドル状態の処理が開始されると、S501にて制御部161が、ユーザーによる手動操作に応じて追いかけ現像を行うか否かを判定し、追いかけ現像を行わない場合はS502に、追いかけ現像を行う場合はS520に遷移する。
S501で追いかけ現像を行わない場合、ユーザーからのモード設定に従って、制御部161が図2に示した201,202,203,204の何れかのモードに遷移するか判定する(S502、S503、S504、S505)。そして、制御部161が、選ばれたモードの処理フローへ遷移するよう制御する(S510、S511、S512、S513)。
本実施形態の「追いかけ現像」は、撮影動作終了後、バッファ部115又は記憶媒体152等に記録されたRAWファイルをソースとして、改めて高画質に現像処理を施し、高画質の表示画像や高画質の静止画ファイルを生成する処理を意味する。本実施形態に係る追いかけ現像の対象となるRAWファイルは、静止画と動画の両方を対象とするが、以下では静止画を例に説明する。
上述したように、撮影時に生成される静止画ファイルは、簡易現像部111で現像されているため、画素数が200万画素以下であったり、現像処理を一部省いていたりするために、画質は限定的な品質である。撮影内容の大まかな確認としては有効であるが、画像の細部を確認したり、プリントアウトしたりする用途には十分ではない場合がある。一方、静止画と同時に生成するRAWファイルは、センサー信号処理部103から供給される画像情報を大きく損なわない高品質を有するが、現像処理前のデータであるため、表示やプリントアウトには即時対応ができず、RAW現像のための時間を要してしまう。また、RAWはJPEGなどのように広く普及したファイルではないため、RAWファイルを扱える再生環境も限定されてしまう。
そこで、本実施形態の追いかけ現像が有効な機能となる。本実施形態では、追いかけ現像が実行されると、既に記録されているRAWファイルから1フレーム毎にRAW画像を読みだして、高画質現像部112によって高画質に現像処理を行い、生成した静止画ファイルを記憶媒体152等へ記録する。そして、このような追いかけ現像を、撮影と撮影の合間や、再生モードやスリープ状態などユーザー操作待ちの、比較的、装置の処理負荷が小さい状態において実行させる。追いかけ現像は手動に限らず、制御部161が自動に実行させるように設計すると良い。
このように構成することにより、その後に、細部の確認表示やプリントアウトなど、高画質な再生の要求においても、その都度余計な現像処理が発生せず、また、従来の静止画ファイルと同様の一般的な環境における活用が可能となる。
図5の説明に戻り、記憶媒体152等には、1回の撮影指示に対して、静止画ファイルとRAWファイルが1つずつの組として記録されている。手動または自動によって追いかけ現像を行う場合、S520にて制御部161が、各画像の組について、追いかけ現像が処理済みか未処理かを判定する。判定の方法には、例えば静止画ファイル400の現像ステータス405に含まれる、静止画ファイルが簡易現像部111で処理されたもの否かを識別するためのフラグを参照する方法がある。或いはRAWファイル410の中の現像ステータス415を参照し、同様に判定しても良い。或いは、一連の撮影された静止画に対して、現像処理の状態を示すテーブルファイルを別に用意して判定しても良い。
制御部161によって、追いかけ現像が処理済みと判断されれば、S502に遷移する。追いかけ現像が未処理の静止画があれば、S521に遷移する。S521では制御部161が、追いかけ現像が未処理の静止画に対応するRAWファイルが、バッファ部115にバッファリングされているか否かを判定する。もし、バッファリングされていれば、S523に進み、バッファリングされていなければS522で対応するRAWファイルを記憶媒体152等から読み出す。
バッファ部115は、静止画撮影モードで撮影された、新しい画像から優先的に保持されるように、データが更新される。すなわち、過去に撮影された画像から順にバッファから取り除かれる。こうすることにより、直前に撮影された画像は常にバッファに保持されているので、S522をスキップし、高速に処理できる。さらに、直前に撮影された画像から時刻を遡って、追いかけ現像を実行するようにすれば、バッファに保持されている画像から優先的に処理が完了できるため、処理の効率化ができる。
S523において、RAW伸張部114が、バッファ部115又は記憶媒体152から読み出したRAWファイルを伸張処理し、RAW画像を復元する。復元されたRAW画像は、S524にて高画質現像部112が高画質に現像し、スイッチ部121を経由して表示制御部122や静止画圧縮部141に出力される。高画質現像部112は、RAW画像をデベイヤー処理(デモザイク処理)し、輝度と色差から成る信号へ変換して、各信号に含まれるノイズを除去、光学的な歪を補正し、画像を適正化するなどの所謂現像処理を行う。高画質現像部112によって生成される現像処理済みの画像のサイズ(画素数)は、撮像センサー部102から読出された全体サイズのまま、或いはユーザーから設定されたサイズとなり、200万画素以下に制限された簡易現像の画像よりも格段に高品質となる。高画質現像部112は簡易現像部111よりも各々の処理が高精度であるため、より高画質な現像画像が得られるが、一方で、処理負荷が大きくなってしまう。本実施形態の高画質現像部112は、撮影と並行したリアルタイムの現像処理を避け、時間をかけて現像処理可能としたことで、回路規模や消費電力の増大を抑える構成となっている。
高画質現像部112で現像処理された画像情報は、静止画圧縮部141に供給され、S525にて静止画圧縮部141が、取得した画像情報に対して高能率符号化処理(静止画圧縮)を施し、高画質の静止画ファイルを生成する。なお、静止画圧縮部141は、JPEGなどの公知の技術により圧縮処理を行う。
S526において、記録再生部151が高画質の静止画ファイルを記憶媒体152等に記録したら、フローはS502に遷移する。なお、追いかけ現像の処理は、追いかけ現像が未処理の静止画がある場合、その画像毎に同様の処理を繰り返して実行可能である。
S526で記録される静止画ファイルは、図4(a)に示す静止画ファイル400の構成で、ヘッダ部401、メタデータ部402、圧縮データ部403から成る。ヘッダ部401には、このファイルが静止画ファイルの形式であることを示す識別コードなどが含まれている。圧縮データ部403には、高能率符号化された静止画の圧縮データが含まれている。
メタデータ部402には、この静止画ファイルの元となったRAWファイルのファイル名の情報404が含まれる。また、この静止画ファイルが簡易現像部111によって簡易現像されたのか、又は高画質現像部112で高画質現像されたのかを示すフラグを含む現像ステータスの情報405が含まれる。また、元のRAWファイルのメタデータから抽出された、評価値算出部105や認識部131で検知された評価値や被写体情報、及び、撮像光学部101や撮像センサー部102からの撮影時の情報を含む撮影メタデータ406が含まれる。
記録再生部151は、高画質現像を経て、S526で記録される新たな静止画ファイルには、元となったRAWファイルと同時に記録された簡易現像による静止画ファイルと同じファイル名を与えて、上書き記録する。すなわち簡易現像による静止画ファイルは削除される。そして、記録再生部151は、追いかけ現像の元となったRAWファイルは、メタデータ部412内の現像ステータス415を、高画質現像済(又は追いかけ現像済)を示す情報にて更新する。
このように、本実施形態の撮像装置100は、撮影と撮影の合間や、再生モードやスリープ状態などユーザー操作待ちの、比較的、装置の処理負荷が小さい状態のときに追いかけ現像を実行する。そして、撮影時の簡易現像による静止画ファイルを、RAWファイルを用いた高画質現像による静止画ファイルに置き換えて行く。撮影時の簡易現像による動画ファイルも、RAWファイルを用いた高画質現像による動画ファイルに置き換えて行く。こうすることにより、細部の確認表示やプリントアウトなど、高画質な再生の要求が与えられた場合であっても、その都度余計な現像処理が発生せず、また、従来の静止画ファイルと同様の一般的な環境における活用が可能となる。
次に、撮像装置100の静止画再生モードにおける動作について説明する。図6に、本実施形態の静止画再生モードの処理に係るフローチャートを示す。図6のフローチャートは、制御部161によって、各処理ブロックを制御し実行される処理手順を図示したものであり、制御部161が有するメモリ(ROM)に格納されているプログラムをメモリ(RAM)に展開し、CPUが実行することにより実現される。
図6において静止画再生モードの処理が開始されると、S601にて制御部161が撮像装置100の処理負荷状況が低いか否かを判定する。負荷状況に応じた頻度で、処理負荷が低い場合にはS610でアイドル状態へ遷移し、それ以外の場合はS602へ進む。例えば、再生指示などのユーザー操作を待っている間は、処理負荷が低いため、S610へ遷移する。ユーザーからの操作に応じて静止画の再生が開始されている(再生中の状態を含む)場合はS602へ進む。S602において、制御部161が、再生される静止画について、ユーザーから拡大表示の指示を受けているかを判定する。拡大表示があればS603に進み、拡大表示がなければS620に進む。
図7に、拡大表示を含む表示形態の種類を説明する。図7は、本実施形態の静止画再生モードの表示処理の例を示す図である。図7(a)の表示例700は、701で示す6つの画像を縮小して表示部123に縮小表示(一覧表示)している例である。図7(b)の表示例710は、ある1つの画像711の全体を表示部123に表示している例であり、この表示の状態を通常表示とする。図7(c)の表示例720は、ある1つの画像の一部領域を拡大した画像721を表示部123に拡大表示している例である。例えば、撮影直後にフォーカスの適否の確認を行うような場合に、表示例720のように被写体像の細部を拡大表示する使われ方が一般的である。
表示例720のように拡大表示する場合、図6のフローはS602からS603へ遷移する。表示例700のように縮小表示する場合は、S602からS620へ遷移する。表示例710のような場合は、表示部123の表示画素数が簡易現像による静止画ファイルの画素数、上述の例ならば200万画素以下であれば等倍もしくは縮小での表示であるため、S602からS620へ遷移する。
S620において、記録再生部151が、記憶媒体152等から再生対象の静止画ファイルを読み出す。そして、S621において、静止画伸張部143が、静止画ファイルを復号して伸張し、S608において、表示制御部122が図7の各図に示すような形態で表示画像を表示部123へ出力する。
表示される画像が、簡易現像による静止画ファイルの画素数、上述の例ならば200万画素以下で足りる場合は、静止画ファイルが簡易現像部111で現像処理されたものであっても、十分な画質で表示できる。静止画ファイルが高画質現像部112で現像処理されたものであるならば、勿論、表示に十分な画質であるということは言うまでも無い。
一方、拡大表示の場合、表示される画像が、簡易現像による静止画ファイルの画素数、上述の例ならば200万画素以下では足りないことが起こり得る。すなわち、簡易現像による静止画ファイルを用いて表示したのでは、解像感の低下を招いてしまう。
よって、拡大表示の場合は、S603において、制御部161が、再生対象となって表示されるべき画像の静止画ファイルが、高画質現像部112で現像されたものであるかどうかを判定する。判定の際、例えば静止画ファイル400のメタデータ部402に格納されている現像ステータス405に含まれる、この静止画ファイルが簡易現像部111で処理されたものなのか、高画質現像部112で処理されたものなのかを識別するためのフラグを参照する。この参照されたフラグから判定する方法がある。或いはRAWファイル410の中の現像ステータス415を参照し、同様に判定しても良い。或いは、一連の撮影された静止画に対して、現像処理の状態を示すテーブルファイルを別に用意して判定しても良い。
S603で、高画質現像されたものと判定された場合、拡大されても十分な画質で表示可能な高画質の静止画ファイルであることを意味するので、S620に進む。S620では、記録再生部151が該当する高画質の静止画ファイルを記憶媒体152等から読み出して、再生表示する。このように、高画質現像部112で現像された静止画ファイルである場合は、このようにS620以降の処理で高画質に表示できる。S603で、高画質現像されたものと判定されなかった場合、簡易現像部111で現像処理された静止画ファイルであることを意味するので、S604に進み、高画質現像(上述した、追いかけ現像)を実行する。S604において、制御部161が再生対象となる静止画に対応するRAWファイルが、バッファ部115にバッファリングされているかどうかを判定する。バッファリングされていれば、S606に進み、バッファリングされていなければS605で記録再生部151が対応するRAWファイルを記憶媒体152等から読み出し、バッファ部115に格納する。なお、バッファ部115は、静止画撮影モードで撮影された新しい画像から優先的に保持されるように、データが更新される。すなわち、過去に撮影された画像から順にバッファから取り除かれる。こうすることにより、直前に撮影された画像は常にバッファに保持されているので、S605をスキップし、高速に表示に至れるようになる。
S606において、RAW伸張部114が、バッファ部115又は記憶媒体152等から読み出したRAWファイルを復号して伸張し、RAW画像を復元する。復元されたRAW画像は、S607で高画質現像部112が高画質に現像処理し、スイッチ部121を経由して表示制御部122に出力される。S608において、表示制御部122が図7(c)に示すような拡大画像を表示部123へ出力する。高画質現像部112は、RAW画像をデベイヤー処理(デモザイク処理)し、輝度と色差から成る信号へ変換して、各信号に含まれるノイズを除去、光学的な歪を補正し、画像を適正化するなどの所謂現像処理を行う。高画質現像部112によって生成される現像処理済みの画像のサイズ(画素数)は、撮像センサー部102から読出された全体サイズのまま、或いはユーザーから設定されたサイズとなり、200万画素以下に制限された簡易現像の画像よりも格段に高品質となる。従って、高画質現像部112で現像された静止画ならば、拡大表示の要求に対して十分な画質で答えることができる。なお、S608の表示が停止されると、フローはS601に戻る。S601において、アイドル状態S610に遷移した場合は、上述した図5のフローチャートに従って処理される。
図6のS604以降の高画質現像は、上述したように、撮影直後等の、まだ追いかけ現像が実行されていないタイミングで発生することが想定される。本実施形態では、撮影と撮影の合間や、再生モードやスリープ状態などユーザー操作待ちの、比較的装置の処理負荷が小さい状態のときに静止画の追いかけ現像が徐々に終了する。その結果、簡易現像による静止画ファイルが自然と高画質現像による静止画ファイルに置き換わる。そうして置き換えが進むに従って、S604以降の高画質現像は発生するケースが減少し、拡大表示に対して速やかに高画質画像を出力できるようになり、操作性が一層高まっていく。
また、バッファ部115にRAWファイルが保持されている場合には、S605をスキップできるため、素早く表示できるようになると上述した。そこで、バッファ部115になるべくRAWファイルが保持された状態になるよう、図7の表示例700や710の場合に、拡大表示に備え、画像701や画像711に対応するRAWファイルを予め記憶媒体から読み出してバッファ部115へ移動すると良い。拡大表示の指示よりも先行して、記録再生部151が記憶媒体152等から該当するRAWファイルを読みだしてバッファリングすることで、表示例720のような拡大表示の指示がなされたときに、より素早く表示することができる。
次に、撮像装置100の動画撮影モードにおける動作について説明する。図8に、本実施形態の動画撮影モードの処理に係るフローチャートを示す。図8のフローチャートは、制御部161によって、各処理ブロックを制御し実行される処理手順を図示したものであり、制御部161が有するメモリ(ROM)に格納されているプログラムをメモリ(RAM)に展開し、CPUが実行することにより実現される。
図8において動画撮影モードの処理が開始されると、S801にて制御部161が撮像装置100の処理負荷状況が低いか否かを判定する。負荷状況に応じた頻度で、処理負荷が低い場合はS820にてアイドル状態へ遷移し、それ以外の場合はS802へ進む。例えば、水平解像度が4000画素相当(4K)のように画素数の多い動画や、毎秒120コマ(120P)のようにフレームレートの高い動画が設定されているときは処理負荷が高いため、S820へは遷移せず、常にS802へ進む。画素数が所定値より少なかったり、フレームレートが所定の速度より低かったりする動画の撮影を行う設定のときは、動画の第1のフレームと第2のフレームの処理の合間に、例えば半分の頻度でS820へ遷移する。
S802において、カメラ制御部104が、好適な条件で動画撮影を行うよう、撮像光学部101や撮像センサー部102の動作を制御する。例えば、ユーザーのズームやフォーカスの指示に従って、撮像光学部101に含まれるレンズが移動されたり、撮影画素数の指示に従って撮像センサー部102の読み出し領域が設定されたりする。また、後述の評価値算出部105や認識部131から供給される評価値の情報や被写体情報に基づいて、特定被写体へのフォーカス調整や追尾などの制御が行われる。
S803において、撮像センサー部102によって変換された電気信号に対して、センサー信号処理部103が画素の修復のための信号処理を施す。ここでは、欠落画素や、信頼性の低い画素の値に対し、周辺画素値を用いて補間したり、所定のオフセット値を減算したりする。本実施形態では、S803の処理を終えて、センサー信号処理部103から出力される画像情報を、生(未現像)の動画を意味するRAW画像と呼ぶ。S804において、簡易現像部111がRAW画像を現像処理する。このとき、制御部161が現像部110内のスイッチ部121を切り替えて、簡易現像部111で現像処理された画像情報の出力を選択する。
簡易現像部111は、動画の各フレームを構成するRAW画像に対してデベイヤー処理(デモザイク処理)し、輝度と色差から成る信号へ変換して、各信号に含まれるノイズを除去、光学的な歪を補正し、画像を適正化するなどの所謂現像処理を行う。ここで、簡易現像部111が行う動画の現像処理(簡易現像)について説明する。簡易現像部111は、現像後の画像サイズを例えばHD映像の200万画素以下に制限したり、ノイズ除去や光学的な歪補正を限定的な処理に留めたり或いは省いたりすることで、現像の高速処理や簡易処理を実現している。簡易現像部111が、画像サイズを縮小した上で処理を行ったり、現像処理の機能を一部制限したりすることで、撮像装置100は、例えばHDサイズの動画の高速撮影を、小さい回路規模で少ない消費電力で実現することができる。
簡易現像部111で現像処理された画像情報は、評価値算出部105に供給される。評価値算出部105は、S805で画像情報に含まれる輝度値やコントラスト値などからフォーカス状態や露出状態などの評価値を算出する。なお、評価値算出部105は、現像処理前のRAW画像を取得して、RAW画像から同様に評価値を算出するようにしても良い。
また、簡易現像部111で現像処理された画像情報は、認識部131に供給される。認識部131は、S806にて画像情報から被写体(顔など)の検出を行い、被写体情報を認識する。例えば、画像情報内における顔の有無や、その位置、特定の人物の認証などを行って、その結果を情報として出力する。
また、簡易現像部111で現像処理された画像情報は、表示制御部122に供給される。表示制御部122は、S807にて取得した画像情報から表示画像を形成し、表示部123又は外部の表示装置に出力して、表示する。表示部123による表示画像は、動画撮影モードにおいて、ユーザーが被写体を適切にフレーミングするための確認表示のために用いられる。具体的に、動画撮影特有の使用形態として、撮影された動画の記録開始前(スタンバイ中)だけでなく、動画の記録中(REC中)においても、被写体を適切にフレーミングするためのライブビュー表示のために用いられる。なお、表示画像は、表示制御部122から映像出力端子124を経由して、外部のテレビジョンなどの他の表示装置にて表示されてもよい。さらに、表示制御部122は、評価値算出部105や認識部131から供給される、評価値情報や被写体情報を活用して、例えば、表示画像上のフォーカスの合焦領域にマーキング表示したり、認識された顔の位置に枠を表示したりすることもできる。
S808において、制御部161は、ユーザーからの記録の開始指示を受けて撮影された動画を記録中(REC中)であるか否かを判定し、REC中の場合は、S810へ進む。S808でREC中では無い場合(すなわちスタンバイ中)は、S801へ戻って、動画の記録開始前の撮影動作とライブビュー表示を繰り返す。
S808によって、撮影された動画のうち、記録開始から記録終了までの記録対象となる動画が、S810にてフレーム単位で動画圧縮部142によって圧縮される。なお、図面を用いての説明は省略するが、動画の撮影と同時に、不図示のマイクロフォンによって入力された音声情報が取得されている。動画圧縮部142は、動画に対応する音声情報に対しても圧縮処理を施すことになる。動画圧縮部142は、取得した簡易現像済の動画の画像情報及び音声情報に対して高能率符号化処理(動画圧縮)を施し、動画ファイルを生成する。なお、動画圧縮部142は、MPEG−2、H.264、H.265などの公知の動画圧縮技術を用いて圧縮処理を行う。S811において、記録再生部151が動画ファイルを記憶媒体152に記録する。
さらに、S808によって記録対象となった動画に対応する期間のRAW画像が、センサー信号処理部103からRAW圧縮部113に供給される。RAW圧縮部113は、S812にて記録対象となった動画と同じシーンを示すRAW画像を高能率符号化(RAW圧縮)してRAWファイルに変換する。RAWファイルはバッファ部115に格納される。RAW圧縮部113が行う高能率符号化は、ウエーブレット変換や、差分符号化などの公知の技術により処理されるものとするが、非可逆符号化でも可逆符号化でも良い。或いは、RAW圧縮部113のRAW圧縮を省略して、RAW画像が非圧縮の状態のままスルー出力されても良い。RAW圧縮の有無に関わらず、本実施形態では、センサー信号処理部103から供給される画像情報を大きく損なわない、高画質ファイルとして復元可能なRAWファイルを生成する。
S813において、記録再生部151がRAWファイルを記憶媒体152に記録した後、フローはS801に遷移する。なお、S811及びS813において、記録再生部151は、動画ファイル及び/又はRAWファイルを、通信部153を介して、通信端子154から外部のストレージに送って、外部のストレージによって記録するようにしても良い。
以上が、本実施形態の動画撮影モードの処理に係るフローの説明である。ここで、本実施形態に係る、動画ファイルの構造と、RAWファイルの構造について説明する。図9は、動画ファイル及びRAWファイルの構成例を示す図である。
図9(a)に示す動画ファイル900は、記録再生部151によって、例えば記憶媒体152の所定の記録エリアに記録されている。動画ファイル900は、ヘッダ部901、メタデータ部902、圧縮データ部903から成る。ヘッダ部901には、このファイルが動画ファイルの形式であることを示す識別コードなどが含まれている。圧縮データ部903には、高能率符号化された動画と音声の圧縮データが含まれている。
メタデータ部902には、この動画ファイルと同時に生成されたRAWファイルのファイル名の情報904が含まれる。また、この動画ファイルが簡易現像部111によって簡易現像されたのか、又は高画質現像部112で高画質現像されたのかを示すフラグを含む現像ステータスの情報905が含まれる。現像ステータスの情報905には1シーンに含まれるフレーム総数と、高画質現像による現像が完了したフレーム数(または現像が完了したフレーム番号)が含まれてもよい。また、評価値算出部105や認識部131で検知された評価値や被写体情報、及び、撮像光学部101や撮像センサー部102からの撮影時の情報(例えば、レンズ種別識別情報、センサー種別識別情報など)を含む撮影メタデータ906が含まれる。また、図示していないが、同時に生成されたRAWファイルが記録されている記憶媒体の識別コードや、記録されているフォルダのパス情報などを更に含んでも良い。
図9(b)に示すRAWファイル910は、記録再生部151によって、例えば記憶媒体152の所定の記録エリアに記録されている。RAWファイル910は、ヘッダ部911、メタデータ部912、圧縮データ部913から成る。ヘッダ部911には、このファイルがRAWファイルの形式であることを示す識別コードなどが含まれている。圧縮データ部913には、高能率符号化された動画のRAW圧縮データが含まれている(圧縮されていない動画のRAW画像データであっても良い)。
メタデータ部912には、このRAWファイルと同時に生成された動画ファイルのファイル名の情報914が含まれる。また、その動画ファイルが簡易現像部111によって簡易現像されたことを示す現像ステータスの情報915が含まれる。また、評価値算出部105や認識部131で検知された評価値や被写体情報、及び、撮像光学部101や撮像センサー部102からの撮影時の情報(例えば、レンズ種別識別情報、センサー種別識別情報など)を含む撮影メタデータ916が含まれる。また、図示していないが、同時に生成された動画ファイルが記録されている記憶媒体の識別コードや、記録されているフォルダのパス情報などを更に含んでも良い。或いはまた、同時に生成された動画ファイルそのもの全部又は一部(先頭フレームなど)を抽出してメタデータ化して、メタデータ部912に格納しても良い。上述した本実施形態に係る各種ファイルの構造は一例であり、DCF、AVCHD、MXFなどの標準規格に準じた構成であっても良い。
本実施形態に係る撮像装置100は、上述のように、動画撮影モードにおける撮影画像表示(ライブビュー表示)や、撮影時に生成される動画ファイルのための現像処理を、簡易現像部111によって行う。簡易現像部111は、現像後の画像サイズを200万画素以下に制限したり、ノイズ除去や光学的な歪補正を限定的な処理に留めたり、或いは省いたりすることで、例えばHDサイズの動画の現像処理を、小さい回路規模で少ない消費電力で実現することができる。一方で、本実施形態に係る撮像装置100は、上述のように、動画ファイルと共に、その動画の記録期間に対応するRAWファイルを生成する。RAWファイルは、センサー信号処理部103から供給される画像情報を大きく損なわない高画質ファイルであるが、このファイルの生成に現像処理を必要としない。そのため、4Kや8K(水平解像度が8000画素相当)のように画像の画素数を高めたり、毎秒120コマ(120P)のようにフレームレートを高めたりしても、小規模な回路によって少ない消費電力でRAWファイルを記録することが可能である。
図10に、本実施形態のアイドル状態からの動画中の所定部分の追いかけ現像処理に係るフローチャートを示す。
本実施形態に係る先頭部分追いかけ現像処理は、前述した追いかけ現像機能を活用した一処理である。具体的には撮影と撮影の合間や、ユーザーの操作待ちの、比較的装置の処理負荷が小さい状態において、バッファ部115又は記憶媒体152等に記録されたRAWファイルをソースとして、改めて高画質な現像処理を施す。すなわち、所定の動作状態(バックグラウンドでも良い)の都度、RAWファイルから得られる高画質の表示画像や高画質の動画ファイルを生成する処理を意味する。また本実施形態では動画ファイルに対して説明するが、静止画連写等の連続する複数枚の関連する静止画ファイルにおいても適応させることは可能である。
追いかけ現像の有効性は前述のとおりである。一方で、動画ファイルのように1秒間に数十フレーム存在し、数分から数十分といった比較的長い時間記録されているデータに対して、すべてのシーン(フレーム)を追いかけ現像することは、アイドル中のバッテリーの消費といった課題も発生する。そこで、各動画ファイルの一部として、先頭部分のみを追いかけ現像しておくことで、バッテリー消費も抑制しつつ、高画質の動画ファイルの即時再生を行うことを可能にする。各動画ファイルの先頭部分に関して即時再生、表示できるので、各シーンの確認再生に有効である。また、所望の動画ファイルが再生開始された直後は先頭部分の高画質現像済みの映像を即時再生し、その再生期間のバックグラウンドで、先頭以降の続き部分を高画質現像する使用形態も実現できる。
図10のフローチャートは、制御部161によって、各処理ブロックを制御し実行される処理手順を図示したものである。制御部161が有するメモリ(ROM)に格納されているプログラムをメモリ(RAM)に展開し、CPUが実行されることにより実現される。
図10においてアイドル状態の処理が開始されると、制御部161が、S1001にてユーザー設定によって指示される、動画ファイルに対しての追いかけ現像を行うか否かを判定する。追いかけ現像を行わない場合はS1002に遷移し、追いかけ現像を行う場合はS1020に遷移する。
S1001で追いかけ現像を行わない場合は、ユーザーからのモード設定に従って、制御部161が図2に示した201、202、203、204の何れかのモードに遷移するか判定する(S1002、S1003、S1004、S1005)。そして、制御部161が、選ばれたモードの処理フローへ遷移するよう制御する(S1010、S1011、S1012、S1013)。
記憶媒体152等には、1回の撮影指示(1シーンの記録開始指示)に対して、動画ファイルとRAWファイルが1つずつの組として記録されている。手動または自動によって追いかけ現像を行う場合、制御部161が、S1020において各画像の組について、追いかけ現像が処理済みか未処理かを判定する。判定の際、例えば動画ファイル900のメタデータ部902に格納されている現像ステータス905に含まれている情報の中の、動画ファイルが簡易現像部111で処理されたものか、高画質現像部112で処理されたものかを識別するためのフラグを参照する。この参照された、このフラグから判定する方法がある。或いはRAWファイル910の中の現像ステータス915を参照し、同様に判定しても良い。或いは、一連の撮影された動画に対して、現像処理の状態を示すテーブルファイルを別に用意して判定しても良い。
また、S1020で追いかけ現像が処理済みか未処理かを判定する場合に、複数ある動画ファイル各先頭フレームからの所定時間に対して、追いかけ現像処理が済んでいるか否かを判定し、全動画ファイルが満遍なく高画質処理されるような判定方法にしても良い。また、処理済みか否かの判断として、いくつかのステップを設けてもよい。例えば動画の撮影時間全てに対して処理されているかを判断する構成にしてもよい。また、動画先頭部分から予め定められた時間(例えば、1分)毎に区切って、先頭から所定の時間分追いかけ現像処理がなされていれば、処理済みと判断する構成でもよい。更に、追いかけ現像処理が所定時間なされているか判断する場合においては、操作部162からの操作によって追いかけ現像処理済みか否かを判断する際の時間を動画ファイル単位に設定できる構成にしてもよい。
さらに、1回の記録開始指示に応じて撮影された1シーンの動画ファイルに含まれるフレーム総数と、高画質現像による現像が完了したフレーム数を参照して当該フレームが高画質現像されたフレームか否かを判定するようにしても良い。高画質現像による現像が完了したフレーム数に替えて、現像が完了したフレーム番号でも良い。これらの場合、動画ファイル900の現像ステータス905或いはRAWファイル910の現像ステータス915に、高画質現像による現像が完了したフレーム数(または現像が完了したフレーム番号)の情報を格納しておく。
制御部161によって、追いかけ現像が処理済みと判断されれば、S1002に遷移する。追いかけ現像が未処理の動画があれば、S1021に遷移する。S1021では、制御部161が追いかけ現像が未処理の動画に対応するRAWファイルが、バッファ部115にバッファリングされているかを判断する。バッファリングされていればS1023に進み、バッファリングされていなければS1022にて記録再生部151が対応するRAWファイルを記憶媒体152等から読み出し、バッファ部115に格納する。バッファ部115は、動画撮影モードで撮影された新しい画像から優先的に保持されるように、データが更新されるので、上述の静止画撮影モードと同様の効果が得られる。
S1023において、RAW伸張部114が、バッファ部115又は記憶媒体152から読み出したRAWファイルの時間的先頭から所定時間分(先頭部分)を伸張処理し、RAW画像を復元する。当該所定時間は固定的な値であってもよいし、可変(ユーザによる設定が可能)であってもよい。また、動画ファイル毎に異なっていてもよいし、同一であってもよい。復元された先頭部分のRAW画像は、S1024にて高画質現像部112が高画質に現像しスイッチ部121を経由して動画圧縮部142に出力される。本実施形態では、静止画モードでも得られる上述の効果に加えて、高画質現像部112での追いかけ現像処理を動画の先頭部分にのみ処理を適応することで、追いかけ現像で費やされる電力を低減できる。よって、電力消費の抑制とユーザーが撮影動画を高画質で視聴したい場合に、処理待ち時間なく軽快に視聴することが可能となる。ただし、当然のごとく操作部162からの指示により強制的に先頭部分のみならず、動画の撮影時間全てに対して、高画質現像を行うことが可能なのは言うまでもない。
高画質現像部112で現像処理された画像情報は、動画圧縮部142に供給され、動画圧縮部142は、S1025にて取得した画像情報に対して高能率符号化処理(動画圧縮)を施し、高画質の静止画ファイルを生成する。なお、動画圧縮部142は、MPEG−2、H.264、H.265などの公知の技術により圧縮処理を行う。S1026において、記録再生部151が高画質の動画ファイルを記憶媒体152等に記録したら、フローはS1002に遷移する。
S1026で記録される動画ファイルは、図9(a)に示す動画ファイル900の構成で、ヘッダ部901、メタデータ部902、圧縮データ部903から成る。ヘッダ部901には、このファイルが動画ファイルの形式であることを示す識別コードなどが含まれている。圧縮データ部903には、高能率符号化された動画(先頭部分)の圧縮データが含まれている。メタデータ部902には、この動画ファイルの元となったRAWファイルのファイル名の情報904が含まれる。また、この動画ファイルが高画質現像部112によって高画質現像されたことを示す現像ステータスおよび、現像された範囲として現像されたフレームの先頭からの時間情報905が含まれる。また、元のRAWファイルのメタデータから抽出された、評価値算出部105や認識部131で検知された評価値や被写体情報、及び、撮像光学部101や撮像センサー部102からの撮影時の情報を含む撮影メタデータ906が含まれる。
記録再生部151は、高画質現像を経て、S1026で記録される新たな動画ファイルには、元となったRAWファイルと同時に記録された簡易現像による動画ファイルと同じファイル名を与えて、上書き記録する。すなわち簡易現像による動画ファイルは削除される。そして、記録再生部151は、追いかけ現像の元となったRAWファイルは、メタデータ部912内の現像ステータス915を高画質現像済(又は追いかけ現像済)であることを示す情報として更新する。なお、先頭部分のみが高画質現像処理されている場合には、元となったRAWファイルと同時に記録された簡易現像動画ファイルは削除せずに、簡易現像動画ファイルは保持しつつ、高画質現像された動画ファイルを記憶媒体152等へ記録する。
高画質現像された動画ファイルを記憶媒体152等へ記録した場合には、高画質現像された動画ファイル900の構成におけるメタデータ部902に、関連する簡易現像動画ファイルのファイル名等が含まれる。また、簡易現像動画ファイルの圧縮データ部913は保持しつつ、メタデータ部912に高画質現像処理された動画ファイルのファイル名や高画質現像処理された部分などを含むようにメタデータ部912を更新する。
このように、本実施形態の撮像装置100は、撮影と撮影の合間や、再生モードやスリープ状態などユーザー操作待ちの、比較的、装置の処理負荷が小さい状態のときに追いかけ現像を実行する。そして、撮影時の簡易現像による動画ファイルを、RAWファイルを用いた高画質現像による動画ファイルに置き換えて行く。すなわち、所定の動作状態の都度、追いかけ現像を実行することによって、経過時間に応じて高画質現像済みの期間が増加し、最終的には動画ファイルの全部の期間が高画質現像済みとなる。こうすることにより、高画質現像前に高画質な再生の要求が与えられた場合であっても、その都度余計な現像処理待ちが発生せず、また、従来よりも高品質な画像の視聴環境の提供が可能となる。そして、最終的には全てが高画質となった画像を提供することもできる。
次に、撮像装置100の動画再生モードにおける動作について説明する。
図11に、本実施形態の動画再生モードの処理に係るフローチャートを示す。図11のフローチャートは、制御部161によって、各処理ブロックを制御し実行される処理手順を図示したものであり、制御部161が有するメモリ(ROM)に格納されているプログラムをメモリ(RAM)に展開し、CPUが実行することにより実現される。
図11において動画再生モードの処理が開始されると、S1101において制御部161が撮像装置100の処理負荷状況が低いか否かを判定する。負荷状況に応じた頻度で、処理負荷が低い場合はS1110でアイドル状態へ遷移し、それ以外の場合はS1102へ進む。例えば、再生指示などのユーザー操作を待っている間は、処理負荷が低いため、S1110へ遷移する。ユーザーからの操作に応じて動画の再生が開始されている(再生中の状態を含む)場合はS1102へ進む。
S1102において、制御部161が、記憶媒体152等に高画質現像処理がなされた動画ファイルが存在するか否かを判定する。S1102で高画質現像処理された動画ファイルが存在する場合は、S1103に進む。動画ファイルが存在しない場合はS1107に進む。S1103において、制御部161が、高画質現像処理された動画ファイルの終端部分再生が完了したか否かを判定する。高画質現像処理された動画ファイルの再生が完了したと判定された場合には、S1107へ進む。高画質現像処理された動画ファイルの再生が完了していないと判定された場合には、高画質現像処理された動画再生を行うためにS1104へ進む。
S1104において、記録再生部151が記憶媒体152等から再生対象の高画質現像処理された動画ファイルを読み出す。そして、S1105において、動画伸張部144が、読み出された動画ファイルを1フレームずつ復号して伸張し、S1106において、表示制御部122が再生された動画の表示画像を表示部123へ出力する。なお、S1005の表示は1フレーム毎に行われ、動画再生中は、次のフレームの表示を行うため、フローはS1001に戻る。
S1102で高画質現像処理された動画ファイルが存在しないと判定された場合又はS1103で高画質現像処理された動画ファイルの再生が完了したと判定された場合はS1107に進む。S1107において、制御部161が、記憶媒体152等に簡易現像処理された動画ファイルが存在するか否かを判定する。簡易現像処理された動画ファイルが存在しないと判定されたということは、言い換えると、動画ファイル全編に対して高画質現像処理が完了し、簡易現像された動画ファイルによって全て上書きされたことを意味する。簡易現像処理された動画ファイルが存在すると判定された場合は、S1108へと進む。
S1108において、簡易現像処理された動画ファイルの終端部分再生が完了したか否かを判定する。簡易現像処理された動画ファイルの再生が完了していないと判定された場合には、S1109へ進む。S1109において、記録再生部151が記憶媒体152等から再生対象の簡易現像処理された動画ファイルを読み出す。そして、S1105において、動画伸張部144が、読み出された動画ファイルを1フレームずつ復号して伸張し、S1106において、表示制御部122が再生された動画の表示画像を表示部123へ出力する。
S1107で簡易現像処理された動画ファイルが存在しないと判定された場合ないし、S1108で簡易現像処理された動画ファイルの再生が完了したと判定された場合には、それぞれS1001のフローに戻る。S1001において、アイドル状態S1010に遷移した場合は、上述した図11のフローチャートに従って処理される。
図13は、先頭部分追いかけ現像を施した場合の各動画ファイルの概念図である。図のように、各動画ファイル(ストリーム)のそれぞれ先頭部分では高画質現像済のシーンが再生可能となる。なお、図13(a)は上述したように先頭部分として一定期間を高画質現像対象とした例であり、図13(b)は先頭部分の期間を、各動画ファイルごとに個別設定可能(可変)にした例を示す。いずれの場合も、各ストリームの先頭から所定期間は高画質現像済のシーン再生が可能となるが、残りの期間については簡易現像されたシーンを再生することとなる。
以上の実施形態によれば、撮影時には簡易現像を行う一方、撮像装置のアイドル状態において、より処理負荷の高い高画質現像を行うことで高い撮影パフォーマンスを実行し、再生画像も高速に出画可能にすることが可能となる。
<実施形態2>
上記実施形態1では、動画像ファイルの追いかけ処理について、RAWファイルの時間的先頭から所定時間分(先頭部分)を順番に伸張処理し高画質現像部112にて高画質に現像を行った。これに対して本実施形態では、追いかけ処理において1シーンの連続するフレームに対して順番に行うのではなく、所定の間隔でフレーム間引きし、複数回に分けて高画質現像を行う場合を説明する。
本実施形態におけるフローチャートは基本的には図10と同様であるが、S1023からS1026までの処理が異なる。S1023からS1026までの代わりに実施される本実施形態に対応する追いかけ現像処理について図14に処理の一例を示す。図14のフローチャートは、制御部161によって、各処理ブロックを制御し実行される処理手順を図示したものであり、制御部161が有するメモリ(ROM)に格納されているプログラムをメモリ(RAM)に展開し、CPUが実行することにより実現される。
まず制御部161は、S1401において動画ファイル900の現像ステータスを参照し、追いかけ現像が既に実施されたか否かを判定する。本実施形態に対応する動画ファイル900の現像ステータスの情報905には、追いかけ現像が実行された回数に関する情報が含まれていてもよい。もし、まだ追いかけ現像が行われていなかった場合はS1402に移行し、1回目の追いかけ現像が既に行われていた場合にはS1406に移行する。
図15(a)はRAWファイルに存在する1シーン全ての画像フレームを表しており、フレームレートは例えば60フレーム/秒の画像フレームである。1回目の追いかけ現像では、S1402において図15の(b)に示すように1フレーム間隔となるよう偶数番目(2n番目、但しnは整数)のフレームを選択することを決定する。次に、選択されたフレームについてS1403においてRAW伸張部114が記憶媒体152から読み出したRAWファイルにおける選択フレームに対応する圧縮データを伸張処理し、RAW画像を復元する。復元されたRAW画像は、S1404にて高画質現像部112が高画質に現像する。次いで、S1405では動画圧縮部142が高能率符号化処理を行い、動画ファイルを生成し、S1406で記憶媒体に記録する。このフレーム間引かれた状態で生成された動画ファイルを以下「動画ファイルβ」と言う。1フレーム間隔で間引きする事で、動画ファイルβのフレームレートは30フレーム/秒となるが、全てのフレームを追いかけ現像する処理時間と比較して半分の時間で1シーンの追いかけ現像を完了させる事ができる。また、動画ファイルβは上述の動画ファイルと同様に図9の900のファイル構造となっており、動画ファイルβ単独での動画再生が可能である。
1回目の追いかけ現像がシーンの終端に達し完了すると、記憶媒体に記録されている他のRAWファイル(他のシーン)に対しての1回目の追いかけ現像へと処理が移行する。そして全てのRAWファイルに対して1回目の追いかけ現像が完了すると、最初のRAWファイルに対する2回目の追いかけ現像が実行される。
S1401で1回目ではないと判定された場合の2回目の追いかけ現像では、図15の(c)に示すように1回目で未現像のフレーム、すなわち奇数番目(2n+1番目、但しnは整数)のフレームに対して高画質現像、高能率符号化処理がなされる。なお、1回目に奇数番目を選択し、2回目に偶数番目を選択してもよい。即ち、S1407において図15の(c)に示すように1フレーム間隔となるよう例えば偶数番目(2n+1番目)のフレームを選択することを決定する。次に、選択されたフレームについてS1408においてRAW伸張部114が記憶媒体152から読み出したRAWファイルにおける選択フレームに対応する圧縮データを伸張処理し、RAW画像を復元する。復元されたRAW画像は、S1409にて高画質現像部112が高画質に現像する。次いで、S1410では動画圧縮部142が高能率符号化処理を行い、動画ファイルを生成する。その際、動画ファイルβを記憶媒体から読み出し、1回目(動画ファイルβ)の符号化データと2回目の符号化データとをフレーム毎に多重して、60フレーム/秒の動画ファイルを生成する。そして、S1411において記録再生部151が60フレーム/秒の動画ファイルを記憶媒体152に記録する。2回目の追いかけ現像がシーンの終端に達し完了した時点で、動画ファイルβを記憶媒体152から削除するようにしてもよい。
なお、動画圧縮部142での高能率符号化処理においては1回目の追いかけ現像で生成される動画ファイルβと、2回目以降の追いかけ現像で生成される符号化データとをフレーム毎に多重可能な符号化とする必要がある。フレーム内符号化(イントラ符号化)を用いることで、フレーム毎に独立して符号化がされ、フレーム間相互の符号化データに依存が生じないため、上記の1回目と2回目の符号化データの多重を行う事が可能である。
また、フレーム間予測符号化(インター符号化)を用いる場合は、予測符号化におけるフレームの参照先が既に処理済みのフレームとなるように符号化モード及び参照先フレームを選定する。こうすることで、上記の1回目と2回目の符号化データの多重を行う事が可能である。この場合の符号化モードの選定例を図16用いて説明する。
図16の例では図16(a)に示す1シーンのフレームを処理対象とする。まず、図16(b)に示すように1回目の追いかけ現像での符号化ではフレーム0をフレーム内符号化ピクチャ(Iピクチャ)とし、それ以降のフレーム2、4、6・・・をフレーム間前方予測符号化ピクチャ(Pピクチャ)とする。そして図16(c)に示すように2回目の追いかけ現像での符号化ではフレーム1をフレーム内符号化ピクチャ(Iピクチャ)とし、それ以降のフレーム3、5、7・・・をフレーム間前方予測符号化ピクチャ(Pピクチャ)とする。予測方向は図中の矢印で示すように既に処理済みのフレームとなるため、1回目と2回目の符号化データの多重化が可能となる。
また、図16(d)に示すように1回目の追いかけ現像での符号化ではフレーム0をフレーム内符号化ピクチャ(Iピクチャ)とし、それ以降のフレーム2、4、6・・・をフレーム間前方予測符号化ピクチャ(Pピクチャ)とする。そして図16(e)に示すように2回目の追いかけ現像での符号化ではフレーム1、3、5をフレーム間双方向予測符号化ピクチャ(Bピクチャ)としている。予測方向は図中の矢印で示すように既に処理済みのフレームとなるため、1回目と2回目の符号化データの多重化が可能となる。
このように動画の追いかけ現像においてはフレーム間引きして処理することで1回目の追いかけ現像に要する時間が短縮されるため、フレームレートは落ちるものの、撮影から高画質現像による動画ファイルの再生が可能となるまでの時間を短縮できる。
以上説明したように、本実施形態の撮像装置100は、撮影と撮影の合間や、再生モードやスリープ状態などユーザー操作待ちの、比較的、装置の処理負荷が小さい状態のときに追いかけ現像を実行する。そして、撮影時の簡易現像による動画ファイルを、RAWファイルを用いた高画質現像による動画ファイルに置き換えて行く。撮影時の簡易現像による動画ファイルも、RAWファイルを用いた高画質現像による動画ファイルに置き換えて行く。これにより、細部の確認表示や大画面モニターでの観賞など、高画質な再生の要求が与えられた場合であっても、その都度余計な現像処理が発生しなくなる。また、従来の動画ファイルと同様の一般的な環境における活用が可能となる。 <実施形態3>
次に、第3の実施形態として、撮像装置100の動画再生モードにおける動作について説明する。図17に、本実施形態の動画再生モードの処理に係るフローチャートを示す。図17のフローチャートは、制御部161によって、各処理ブロックを制御し実行される処理手順を図示したものであり、制御部161が有するメモリ(ROM)に格納されているプログラムをメモリ(RAM)に展開し、CPUが実行することにより実現される。
図17において動画再生モードの処理が開始されると、S1701にて制御部161が撮像装置100の処理負荷状況が低いか否かを判定する。負荷状況に応じた頻度で、処理負荷が低い場合はS1710にてアイドル状態へ遷移し、それ以外の場合はS1702へ進む。例えば、再生指示などのユーザー操作を待っている間は、処理負荷が低いため、S1710へ遷移する。ユーザーからの操作に応じて動画の再生が開始されている(再生中の状態を含む)場合はS1702へ進む。
S1702において、制御部161が、再生される動画について、ユーザーから再生の一時停止(ポーズ)の指示を受けているかを判定する。S1702で一時停止指示がなければ動画再生を継続するためにフローはS1703に進む。S1703からS1705までの処理は図11のS1104からS1106と同様であるので省略する。 S1702で一時停止指示を受けた場合、制御部161が、再生及び表示中の動画を一時停止状態にするともに、一時停止されたときの停止位置のフレームを静止画として表示させるために、S1720へフローを遷移させる。一時停止状態では、画像が静止して表示されるので、動いているときよりも細部の画質を視認しやすい状態になる。さらに、一時停止中には拡大表示の指示を受けやすいと考えられる。そこで、簡易現像されている動画ファイルよりも高画質な画像の表示を提供するため、S1720において再生中の動画ファイルに対応する動画のRAWファイルの、更に一時停止表示中のフレームに対応するRAW画像のフレームを記録再生部151が再生する。このとき再生対象となるRAWファイルが、バッファ部115にバッファリングされていればバッファ部115からRAWファイルを読み出し、バッファリングされていなければ記憶媒体152等からRAWファイルを読み出す。
S1721において、RAW伸張部114が、バッファ部115又は記憶媒体152等から読み出したRAWファイルを復号して伸張し、RAW画像を復元する。復元されたRAW画像は、S1722において高画質現像部112が高画質に現像処理する。撮像装置100は、このように動画のRAWファイルから高画質に現像された、一時停止表示中のフレームに対応する高画質静止画を、新たな静止画ファイルとしてキャプチャすることも可能である。S1723において、制御部161が、静止位置の表示画像を静止画としてキャプチャするユーザー指示を受けつけたか否かを判定する。S1723で静止画キャプチャ指示を受けつけないならば、動画のRAWファイルから高画質に現像された静止画像は表示制御部122に供給され、S1705において、表示制御部122が高画質に現像された静止画像の表示画像を表示部123へ出力する。この処理によって、動画ファイルによる一時停止表示中の画像は、RAW画像から高画質に現像された静止画像の表示画像によって置き換わる。
S1723で静止画キャプチャの指示を受けつけたならば、S1722で高画質現像部112によって現像処理された画像情報が静止画圧縮部141に供給される。静止画圧縮部141は、S1724においてキャプチャによって取得した画像情報に対して高能率符号化処理(静止画圧縮)を施し、高画質の静止画ファイルを生成する。なお、静止画圧縮部141は、JPEGなどの公知の技術により圧縮処理を行う。
S1725において、記録再生部151が高画質の静止画ファイルを記憶媒体152等に記録したら、フローはS1705に遷移する。動画のRAWファイルから高画質に現像された静止画像は表示制御部122に供給され、S1705において、表示制御部122が高画質に現像された静止画像の表示画像を表示部123へ出力する。この処理によって、動画ファイルによる一時停止表示中の画像は、RAW画像から高画質に現像された静止画像の表示画像によって置き換わる。
S1724で静止画圧縮部141によって生成される高画質の静止画ファイルは、図4(a)の静止画ファイル400の構成を成す。メタデータ部402には、RAWファイルのファイル名の情報404として、キャプチャの元となった動画のRAWファイルのファイル名が格納される。また、撮影メタデータ406として、静止画としてキャプチャされたフレームの時刻情報が格納され、動画のRAWファイルの対応するフレーム位置を指し示すことができる。また、動画のRAWファイルの対応するフレームを静止画として抽出して、対となる新たなRAWファイル410をこのとき作成しても良い。静止画のRAWファイルの生成に関しては、図3の静止画撮影モードのS310からS313で説明したような方法で、静止画ファイルとRAWファイルを構成する。
なお、S1705の表示は1フレーム毎に行われ、動画再生中は、次のフレームの表示を行うため、フローはS1701に戻る。S1701において、アイドル状態S1710に遷移した場合は、上述した図14のフローチャートに従って処理される。
このように、本実施形態の撮像装置100は、撮影時に記録された動画ファイルを用いて、遅延なく容易に動画を再生することができ、一時停止状態では、RAWファイルから高画質に現像した静止画を差し替えて表示できる。さらに、この高画質な静止画を容易に静止画ファイルとしてキャプチャすることができる。
また、図17のS1720以降の高画質現像は、撮影直後等の、まだ追いかけ現像が実行されていないタイミングで発生することが想定される。本実施形態では、撮影と撮影の合間や、再生モードやスリープ状態などユーザー操作待ちの、比較的、装置の処理負荷が小さい状態のときに動画の追いかけ現像が徐々に終了し、簡易現像による動画ファイルが自然と高画質現像による動画ファイルに置き換わる。そうして置き換えが進むに従って、S1720以降の高画質現像は発生するケースが減少し、常時速やかに高画質画像を出力できるようになり、操作性が一層高まっていく。 なお、動画再生モードにおいては、再生を開始するにあたり、記憶媒体152に記録されている動画ファイルを一覧表示するようにしてもよい。図18に示す1800は動画ファイルの一覧表示であり、表示部123に表示している例である。図中1801は6つの動画ファイルの各々1フレーム(例えば先頭フレームなど)を縮小した縮小画像である。1802は動画ファイルの各々の撮影された時間を表すタイムバーである。このタイムバーには併せて、上述した動画ファイルの現像ステータスを表現するようにしてもよい。
現像ステータスには、「簡易現像の状態」や、「先頭部分が高画質現像されている状態」、「フレーム間引き高画質現像がされている状態(前述の動画ファイルβの状態)」、「全てのフレームが高画質現像された状態」などがある。これらの現像ステータス情報をそれぞれ模様や色を変えて表示したり、現像処理の進捗状況に応じてタイムバーの長さを変えて表示したりしても良い。このような表示形態を採用することによって、高画質現像された動画ファイルはどれなのか、あるいは高画質現像の所用時間どれほどかをユーザーが把握しやすくなり、一層利便性が向上する。
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。