以下、実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
[第1の実施形態]
はじめに、第1の実施形態における見守りシステムについて説明する。図1は、第1の実施形態における見守りシステムの概要を説明するための図である。
見守りシステム100は、病院の各病室や介護施設の各居室等において、患者や被介護者等(「見守り対象者」と称す)を撮影し、撮影画像を処理することでケアの要否を判定し、看護師や介護士等のケア実行者に、ケアの要求を行うシステムである。
なお、ケア実行者によるケアが必要な状態とは、通常は起こりにくい動作や普段とは異なる動作が行われている状態であって、ケア実行者による看護や介護等のケア行為(「ケア」と称す)が必要な状態を指す。また、通常は起こりにくい動作や普段とは異なる動作とは、例えば、夜間時間帯における、就床→睡眠→起床といった一般的な生活リズムの中で、見守り対象者が暴れている、起きているといった動作を指す。反対に通常起こり得る動作や普段の動作とは、見守り対象者が寝返りをするといった動作を指す。
図1に示すように、見守りシステム100では、見守り対象者を撮影するために、撮像装置120が、見守り対象者が横臥する寝具110の上方に設置されている。寝具とは、例えば病院の各病室や介護施設の各居室等に配置されているベッドである。
なお、見守り対象者は、主に寝具110上で時間を過ごすことから、本実施形態では、寝具110上の領域(見守り対象者の体動の領域)を見守り領域130とする。つまり、撮像装置120は、見守り領域130を撮影することができる高さに配置される。撮像装置120による撮影により得られる撮影画像は、図1において不図示の見守り装置に送信される。
図2は、見守りシステムのシステム構成を示す図である。図2に示すように、見守りシステム100は、撮像装置120と、見守り装置の一例である解析装置200とを有しており、撮像装置120と解析装置200とは、ネットワーク230を介して接続されている。
撮像装置120は近赤外線カメラであり、見守り対象者の動作を解析できるよう、見守り領域130を撮影する。撮像装置120による撮影により得られた撮影画像は、ネットワーク230を介して解析装置200に送信される。
解析装置200は、撮像装置120による撮影により得られた撮影画像を処理することで、見守り対象者の動作を解析する。また、解析装置200は、解析の結果得られた各種情報を、撮影画像とともに動き情報データベース210(以下、データベースをDBと略す)に、時系列的に格納する。
また、解析装置200は、解析の結果得られた各種情報に基づいて、見守り対象者がケアが必要な状態になったか否かを判定し、ケアが必要な状態になったと判定した場合に、ケア実行者に報知する(つまり、ケアの要求を出力する)。更に、解析装置200は、ケア実行者が見守り対象者をケアした場合のケア内容の正否を判定し、ケア内容が正しくないと判定した場合に、ケア実行者に再度報知する(ケアの要求を再出力する)。
なお、解析装置200には、解析プログラム220がインストールされており、解析装置200におけるこれらの処理は、解析装置200が解析プログラム220を実行することで実現される。
図3は、解析装置のハードウェア構成を示す図である。図3に示すように、解析装置200は、CPU301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、記憶部304を備える。また、解析装置200は、通信部305、ユーザインタフェース部306を備える。なお、解析装置200の各部は、バス307を介して相互に接続されている。
CPU301は、記憶部304に格納された各種プログラムを実行するコンピュータである。
ROM302は不揮発性メモリである。ROM302は、記憶部304に格納された各種プログラムをCPU301が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する。具体的には、BIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラムなどを格納する。
RAM303は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の主記憶装置である。RAM303は、記憶部304に格納された各種プログラムがCPU301によって実行される際に展開される、作業領域として機能する。
記憶部304は、解析装置200にインストールされた各種プログラムや、プログラムを実行することで生成されるデータ等を格納する。通信部305は、ネットワーク230を介して撮像装置120との間で通信を行う。
ユーザインタフェース部306は、解析装置200に対する各種操作を受け付ける。また、ユーザインタフェース部306は、ケア実行者に対する報知を行う。
次に、撮影画像を処理し見守り対象者の動作を解析することで得られる各種情報について説明する。図4は、各種情報を説明するための図である。図4(a)は、各時刻において見守り領域130を撮影することで得られた撮影画像を示している。図4(a)の例では、時刻=tにおいて両腕を八の字に開いていた見守り対象者が、時刻=t+1においては、右腕を体の前まで動かしている。更に、時刻=t+2においては、右腕を左腕の近くまで動かし、時刻=t+3においては、右腕を元の位置に戻している。
図4(b)は、連続する2つの時刻において撮影された撮影画像内の各画素の輝度差を算出し、輝度差が所定の閾値以上の画素を1、輝度差が所定の閾値未満の画素を0として二値化した二値画像を示している。なお、二値化した部位をわかりやすくするために、図4(b)の例では、見守り対象者を点線で表している。
図4(b)に示す二値画像において、輝度差分布G't+1(u,v)は、時刻=t+1において撮影された撮影画像と、時刻=tにおいて撮影された撮影画像との輝度差が所定の閾値以上の領域を黒塗りし、それ以外の領域を白塗りして示したものである。また、輝度差分布G't+2(u,v)は、時刻=t+2において撮影された撮影画像と、時刻=t+1において撮影された撮影画像との輝度差が所定の閾値以上の領域を黒塗りし、それ以外の領域を白塗りして示したものである。更に、輝度差分布G't+3(u,v)は、時刻=t+3において撮影された撮影画像と、時刻=t+2において撮影された撮影画像との輝度差が所定の閾値以上の領域を黒塗りし、それ以外の領域を白塗りして示したものである。このように、連続する2つの時刻において撮影された撮影画像に基づいて、輝度差分布G'(u,v)を算出することで、見守り対象者の体動の量を把握することができる。
なお、連続する2つの時刻において撮影された見守り対象者の撮影画像内の輝度分布をg(u,v)、輝度差分布をG(u,v)とし、所定の閾値をTHとして2値化した場合、輝度差分布G'(u,v)は、下式に基づいて求めることができる。
図4(c)は、2つの連続する二値画像のいずれにおいても輝度差分布G'(u,v)が1となる画素の分布(「動き量分布」と称す)を示した二値画像である。図4(c)に示す二値画像において、動き量分布Mt+2(u,v)は、輝度差分布G't+1(u,v)=1であって、かつ輝度差分布G't+2(u,v)=1の画素を1として黒塗りし、それ以外の画素を白塗りして示したものである。
また、動き量分布Mt+3(u,v)は、輝度差分布G't+2(u,v)=1であって、かつ輝度差分布G't+3(u,v)=1の画素を1として黒塗りし、それ以外の画素を白塗りして示したものである。
つまり、動き量分布M(u,v)は下式により表すことができる。
このようにして求めた動き量分布M(u,v)の各画素の値(1または0)を、それぞれ二値画像単位で合計した値が「動き量I」である。すなわち、動き量Iは、見守り対象者の見守り領域130における体動の量が反映されたパラメータであり、下式により表すことができる。
図5は、解析装置の動き情報DBに格納される動き情報の第1の例を示す図である。図5に示すように、各種情報が撮影画像とともに解析装置200の動き情報DB210に格納されてなる動き情報500は、見守り対象者ごとに管理されている。また、動き情報500は、解析の結果得られた各種情報を撮影画像とともに格納するための、情報の項目として、"画像ID"、"画像データ"、"輝度差分布"、"動き量分布"、"動き量"を含む。
"画像ID"には、撮像装置120より送信された撮影画像に、フレーム単位で付されている識別子が格納される。"画像データ"には、撮像装置120より送信された撮影画像が、フレーム単位で格納される。
"輝度差分布"には、連続する2つの時刻において撮影された撮影画像に基づいて算出された輝度差分布G'(u,v)が格納される。"動き量分布"には、輝度差分布G'(u,v)に基づいて算出された動き量分布M(u,v)が格納される。"動き量"には、動き量分布M(u,v)に基づいて算出された動き量Iが格納される。
図6は、見守り対象者の動き量Iの時間経過に伴う変化の一例を示した図である。図6において、横軸は時間を示しており、縦軸は各時間における動き量Iを示している。図6に示すように、動き量Iを時系列的にプロットした場合、見守り対象者が日常的な行動(例えば、就床→睡眠→起床といった一般的な生活リズムの中で、寝返りをするといった行動)をとっている状態(平静状態)では、動き量Iは小さい値で推移する。
一方、見守り対象者がケア実行者によるケアが必要な状態(例えば、就床→睡眠→起床といった一般的な生活リズムの中で、暴れている、起きているといった行動をとっている状態)になると、動き量Iは増加する。
動き量Iが増加し、動き量Iが閾値を超えた状態が一定時間継続すると、解析装置200では、見守り対象者がケアが必要な状態であることをケア実行者に対して報知する(ケアの要求を出力する)。これにより、ケア実行者によるケアが行われる。
ケア実行者により実行されたケア内容が正しかった場合(ケア実行者によるケアが必要な状態となった原因を、ケア実行者が適切に取り除いた場合)には、見守り対象者は日常的な行動(平静情報)に戻る。このため、動き量Iは再び小さい値で推移することとなる。このように、ケア実行者によるケアが行われた前後の見守り対象者の動き量Iの時間変化を監視することで、ケア実行者に対するケアが正しく行われたか否かを判定することができる。
次に、解析装置200の機能構成について説明する。図7は、解析装置の第1の機能構成を示す図である。解析装置200は、CPU301が解析プログラム220を実行することで、以下の各部の機能を実現する。なお、解析装置200の動き情報DB210は、例えば記憶部304に設けられる。
図7に示すように、解析装置200は、撮影画像取得部701、動き量算出部702、ケア区間情報取得部703、ケア内容判定部704、報知部705を有する。
撮影画像取得部701は、撮像装置120が見守り領域130を撮影することで得られた撮影画像を撮像装置120より取得し、動き情報DB210に格納する。
動き量算出部702は、動き情報DB210に格納された撮影画像に基づいて動き量Iを算出する。また、動き量算出部702は、動き量Iを含む各種情報(輝度差分布、動き量分布、動き量)を動き情報DB210に格納する。更に、動き量算出部702は、算出した動き量Iに基づいて、見守り対象者がケアが必要な状態になったか否かを判定する。
ケア区間情報取得部703は、ケアが必要な状態であることがケア実行者に対して報知されたことで、ケア実行者が見守り対象者のケアを行った場合に、ケア区間情報を取得する。ケア区間情報には、少なくとも、ケアが開始されたことを示す情報及びケアが完了したことを示す情報が含まれ、更には、ケア区間中であることを示す情報が含まれていてもよい。
なお、本実施形態では、ケア実行者が見守り対象者に対するケアを行った場合に、ケアを開始した時間及びケアを終了した時間を、解析装置200に入力するものとし、ケア区間情報取得部703では、ケア実行者により入力された時間を取得するものとする。つまり、ケア区間情報取得部703は、ケア実行者により入力された時間を取得することで、ケアが開始されたこと、ケア区間中であること、ケアが完了したことを識別する。
ケア内容判定部704は、ケア実行者が見守り対象者に対してケアを行った場合に、ケア内容が正しかったか否か(ケア実行者によるケアが必要な状態となった原因を、ケア実行者が適切に取り除くことができたか否か)を判定する。具体的には、ケア実行者によるケアが行われた前後の見守り対象者の動き量Iの時間変化を監視することで、ケア実行者によるケア内容の正否を判定する。なお、動き量Iの時間変化を監視するための監視方法の詳細は後述する。
報知部705は、動き量算出部702において、見守り対象者に対するケアが必要な状態になったと判定された場合に、ケア実行者に対して、見守り対象者がケアが必要な状態になったことを報知する(ケアの要求を出力する)。更に、報知部705は、ケア内容判定部704において、ケア内容が正しくないと判定された場合に、ケア実行者に対して、ケア内容が正しくなかったことを報知する。つまり、報知部705は、ケア内容が正しくなかった場合には、ケアの要求を再度出力する再出力部として機能する。
次に、ケア内容判定部704が、動き量Iの時間変化を監視するための監視方法について説明する。図8は、動き量Iの時間変化を監視するための第1の監視方法を説明するための図であり、横軸は時間を示しており、縦軸は各時間における動き量Iを示している。図8に示すように、見守り対象者が日常的な行動をとっている状態(平静状態)から、ケア実行者によるケアが必要な状態へと移行し、動き量Iの値が所定の閾値を超えると、報知部705では、ケアが必要な状態になったことをケア実行者に報知する。これにより、ケア実行者によるケアが開始される。ケア実行者によるケアが開始されると、ケア区間情報取得部703では、ケア実行者によるケアが開始された時間を取得する。更に、ケア実行者によるケアが完了すると、ケア区間情報取得部703では、ケア実行者によるケアが完了した時間を取得する。
ケア区間情報取得部703が、ケア実行者によるケアが開始された時間及び完了した時間を取得すると、ケア内容判定部704では、ケア実行者のケア内容が正しかったか否かを判定する。具体的には、ケア内容判定部704はケア実行者によりケアが行われた前後の動き量Iの時間変化を監視すべく、ケア実行者によりケアが開始された時間前の一定時間の動き量Iを取得する。また、ケア実行者によるケアが完了した時間後の一定時間の動き量Iを取得する。以下、ケアが開始された時間前の一定時間の動き量Iを、比較対象区間801の動き量と称する。また、ケアが完了した時間後の一定時間の動き量Iを、監視対象区間802の動き量と称する。なお、比較対象区間801と監視対象区間802とは、同じ時間幅に設定されるものとする。
ケア内容判定部704では、比較対象区間801の動き量と監視対象区間802の動き量とを比較し、比較対象区間801の動き量と監視対象区間802の動き量とが非類似であると判断した場合に、ケア実行者によるケア内容が正しかったと判定する。監視対象区間802の動き量が、比較対象区間801の動き量に対して非類似であるということは、ケア実行者によるケアが必要な状態における動き量とは大きく異っている(つまり、日常的な行動をとっている状態と同等)と判定できるからである。
一方、比較対象区間801の動き量と監視対象区間802の動き量とが類似していると判断した場合には、ケア実行者によるケア内容が正しくなかったと判定する。監視対象区間802の動き量が、比較対象区間801の動き量に対して類似しているということは、ケア実行者によるケアが必要な状態における動き量と類似している(つまり、平静状態の動き量に対して大きくなった)と判定できるからである。
このように、ケア内容判定部704では、比較対象区間801の動き量と監視対象区間802の動き量とを比較することで、ケア実行者によるケア内容の正否を判定する。
次に、解析プログラム220によるケア内容判定処理の流れについて説明する。図9は、ケア内容の正否を判定する第1の判定処理のフローチャートである。
ステップS901において、撮影画像取得部701は、動き情報DB210に順次格納された撮影画像を1フレームずつ取得する処理を開始する。ステップS902において、動き量算出部702は、取得した撮影画像に基づいて動き量Iを算出する処理を開始する。撮影画像取得部701による撮影画像を取得する処理及び動き量算出部702による動き量を算出する処理は、ケア内容判定処理が終了するまで継続する。また、動き量算出部702では、算出した動き量Iを含む各種情報を、取得した撮影画像に対応付けて動き情報DB210に格納する処理を、ケア内容判定処理が終了するまで継続する。
ステップS903において、動き量算出部702は、算出した動き量Iが一定時間以上継続して閾値を超えているか否かを判定する。ステップS903において一定時間以上継続して閾値を超えていないと判定した場合には、ステップS901に戻る。
一方、ステップS903において、動き量Iが一定時間以上継続して閾値を超えていると判定した場合には、ステップS904に進む。ステップS904において、動き量算出部702は、見守り対象者が、ケア実行者によるケアが必要な状態になっていると判定する。また、報知部705は、ケア実行者に報知する(ケアの要求を出力する)。
ステップS905において、ケア区間情報取得部703は、ケア実行者によるケアが開始されたか否かを判定する。具体的には、ケア区間情報取得部703がケア実行者によるケアが開始された時間を取得していない場合には、ケア実行者によるケアが開始されていないと判定し、ケアが開始された時間を取得するまで待機する。
一方、ステップS905において、ケア実行者によるケアが開始された時間を取得したと判定した場合には、ステップS906に進む。ステップS906において、ケア内容判定部704は、ケア実行者によるケアが開始された時間の直前の比較対象区間801における動き量Iの平均値を算出する。
ステップS907において、ケア内容判定部704は、比較対象区間801における動き量Iの平均値を算出した際の時間幅に基づいて、監視対象区間802の時間幅を設定する。
ステップS908において、ケア区間情報取得部703は、ケア実行者によるケアが完了したか否かを判定する。ステップS908において、ケア区間情報取得部703が、ケア実行者によるケアが完了した時間を取得していない場合には、ケア実行者によるケアが完了していないと判定し、ケアが完了した時間を取得するまで待機する。
一方、ステップS908において、ケア実行者によるケアが完了した時間を取得したと判定した場合には、ステップS909に進む。ステップS909において、ケア内容判定部704は、ケア実行者によるケアが完了した時間から、監視対象区間分の時間が経過したか否かを判定する。ステップS909において、監視対象区間分の時間が経過していないと判定した場合には、監視対象区間分の時間が経過するまで待機する。
一方、ステップS909において、監視対象区間分の時間が経過したと判定した場合には、ステップS910に進む。ステップS910において、ケア内容判定部704は、ケア実行者によるケアが完了した時間から、監視対象区間分の時間が経過するまでの間の動き量I(つまり、監視対象区間における動き量I)の平均値を算出する。
ステップS911において、ケア内容判定部704は、比較対象区間801における動き量Iの平均値と監視対象区間802における動き量Iの平均値とが類似しているか否かを判定する。
ステップS912において、比較対象区間801における動き量Iの平均値と監視対象区間802における動き量Iの平均値との差が所定の閾値未満であると判定した場合には、両者は類似していると判定し、ステップS912に進む。
ステップS912において、ケア内容判定部704は、ケア内容が正しくなかったと判定する。また、報知部705は、ケア内容が正しくなかったことをケア実行者に対して報知する(ケアの要求を再出力する)。
一方、ステップS911において、比較対象区間801における動き量Iの平均値と監視対象区間802における動き量Iの平均値との差が所定の閾値以上であると判定した場合には、両者は非類似であると判定し、ステップS913に進む。
ステップS913において、ケア内容判定部704は、ケア内容が正しかったと判定し、ケア内容判定処理を終了する。
以上の説明から明らかなように、解析装置200では、見守り対象者を撮影することで得られた撮影画像から動き量Iを算出し、動き量Iの時間変化を管理する。そして、ケア実行者によるケアが行われた場合に、ケア実行者によるケアが行われる前後の動き量の類似性を比較することで、ケア実行者のケア内容の正否を判定する。
この結果、本実施形態に係る見守りシステム100によれば、ケア後の見守り対象者の状態をケア実行者が直接観察することなく、ケアの適切性を判断することが可能となる。また、ケアの適切性が判断されることで、ケアの候補を絞ることが可能となる。
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、見守り領域における見守り対象者の体動の量が反映されたパラメータとして「動き量I」を用いた。これに対して、第2の実施形態では、見守り領域における見守り対象者の体動の量が反映されたパラメータとして、「動き量Iの所定時間分の和S」を用いる。
図10は、動き情報DBに格納される動き情報の第2の例を示す図である。図10に示すように、第2の実施形態において動き情報DB210に格納される動き情報1000には、情報の項目として、"所定時間分の動き量の和"が更に含まれる。"所定時間分の動き量の和"には、1フレーム分の撮影画像を取得するごとに算出される動き量Iを、所定時間分、加算することで算出される値(S)が格納される。
図10の例では、S1は、動き量I3〜動き量I100の総和である。所定時間分の動き量の和Sは、所定時間が経過するごとに算出される。
次に、第2の実施形態におけるケア内容判定処理の流れについて説明する。図11は、ケア内容の正否を判定する第2の判定処理のフローチャートである。なお、図11に示すフローチャートは、図9に示すフローチャートと概ね同じであるため、ここでは図9との相違点について説明する。
図11のステップS1102において、動き量算出部702は、所定時間分の動き量の和Sを所定時間が経過するごとに算出する処理を開始する。また、動き量算出部702は、算出した所定時間分の動き量の和Sを、動き情報DB210に格納する処理を開始する。ステップS1103において、動き量算出部702は、所定時間分の動き量の和Sが所定の閾値を超えたか否かを判定する。ステップS1103において所定の閾値を超えていないと判定した場合には、ステップS901に戻る。
一方、ステップS1103において、所定時間分の動き量の和Sが所定の閾値を超えたと判定した場合には、ステップS904に進む。ステップS904、S905における処理は、図9のステップS904、S905における処理と同じである。
ステップS1106において、ケア内容判定部704は、ケア実行者によるケアが開始された時間の直前の比較対象区間801における、所定時間分の動き量の和Sの平均値を算出し、ステップS907に進む。ステップS907〜S909における処理は、図9のステップS907〜S909における処理と同じである。
ステップS1110において、ケア内容判定部704は、ケア実行者によるケアが完了した時間から、監視対象区間分の時間が経過するまでの間の、所定時間分の動き量の和Sの平均値を算出し、ステップS911に進む。ステップS911〜S913までの処理は図9のステップS911〜S913までの処理と同じである。
このように、見守り領域における見守り対象者の体動の量が反映されたパラメータとして、所定時間分の動き量の和Sを用いることで、例えば、見守り対象者のケアが必要な状態になったことを、ケア実行者に対して、早期に報知することが可能となる。
図12は、動き量の時間変化を監視するための第2の監視方法の利点を説明するための図である。図12の例では、見守り対象者の見守り領域における体動の量が反映されたパラメータとして、「動き量I」を用いた場合と、「所定時間分の動き量の和S」を用いた場合とにおける、報知タイミングの違いを示している。
図12(a)に示すように、見守り対象者の見守り領域における体動の量が反映されたパラメータとして「動き量I」を用いた場合、1フレームごとに動き量Iの値が変動する。このため、動き量Iが閾値を超えている状態が一定時間以上継続するまでには、一定程度の時間がかかる。
一方、図12(b)に示すように、見守り領域における見守り対象者の体動の量が反映されたパラメータとして「所定時間分の動き量の和S」を用いた場合、所定時間が経過するごとにSが算出されるため、変動が少ない。したがって、所定時間分の動き量の和Sが最初に閾値を超えたタイミングで、ケアが必要な状態になったと判断することができる。このため、ケア実行者に対する報知タイミングを早めることができる。
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、ケア内容判定部704がケア内容の正否を判定するにあたり、比較対象区間として、ケア実行者によるケアが開始される直前の時間帯を設定したが、比較対象区間は、ケア実行者によるケアが開始される直前でなくてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態では、ケア内容判定部704がケア内容の正否を判定するにあたり、監視対象区間として、ケア実行者によるケアが完了した直後の時間帯を設定したが、監視対象区間は、ケア実行者によるケアが完了した直後でなくてもよい。
図13は、動き量の時間変化を監視するための第3の監視方法を説明するための図であり、図8同様、横軸は時間を示しており、縦軸は各時間における動き量Iを示している。
このうち、図13(a)は、比較対象区間1301を、動き量Iの値が所定の閾値を超えてからの一定時間として設定した場合を示している。
また、図13(b)は、ケア実行者によるケアが完了してからの一定時間を、監視対象区間1303が設定される区間1303として規定した場合を示している。図13(b)の場合、区間1303は、監視対象区間1302の時間幅よりも広い時間幅に設定される一方、監視対象区間1302は、比較対象区間1301と同じ時間幅に設定される。ケア内容判定部704は、区間1303内の各時間における監視対象区間1302の動き量Iの平均値を算出する。つまり、ケア内容判定部704は、監視対象区間1302を区間1303内においてスライドさせながら、それぞれの時間において動き量Iの平均値を算出する。
このように、区間1303内の各時間における監視対象区間1302の動き量Iの平均値を算出することで、ケアが完了した後、一時的にケアが必要な状態が収まった場合に、ケア内容が正しかったと誤判定されることを回避することができる。
図13(b)の場合、ケア内容判定部704では、区間1303内のいずれかの監視対象区間1302の動き量Iの平均値が、比較対象区間801の動き量Iの平均値と類似していれば、ケア実行者によるケア内容が正しくなかったと判定する。
[第4の実施形態]
上記第1乃至第3の実施形態では、比較対象区間として、ケア実行者によるケアが開始される前であって、ケア実行者によるケアが必要な状態になっている区間を設定したが、比較対象区間は、日常的な行動をとっている区間に設定してもよい。
図14は、動き量の時間変化を監視するための第4の監視方法を説明するための図であり、図8同様、横軸は時間を示しており、縦軸は各時間における動き量Iを示している。
図14の例では、比較対象区間1401を、ケア実行者によるケアが開始される前であって、ケア実行者によるケアが必要な状態になる前の区間(日常的な行動をとっている区間)に設定している。
このように、比較対象区間1401を、見守り対象者が日常的な行動をとっている区間に設定した場合、ケア内容判定部704では、監視対象区間802と比較対象区間1401の動き量Iが類似していた場合に、ケア内容が正しかったと判定する。また、監視対象区間802と比較対象区間1401の動き量Iが非類似の場合に(監視対象区間802の動き量Iが比較対象区間1401の動き量Iに対して大きくなったことが検出された場合に)、ケア内容が正しくなかったと判定する。
つまり、ケア実行者によるケアの前後を比較するにあたり、ケア内容判定部704では、ケア実行者によるケアが必要な状態における動き量と比較することも、日常的な行動をとっている状態における動き量と比較することもできる。
[第5の実施形態]
上記第1乃至第4の実施形態では、比較対象区間と監視対象区間とを比較するにあたり、両区間におけるぞれぞれの動き量I(または所定時間分の動き量の和S)の平均値を比較したが、両区間における動き量の変化を比較するようにしてもよい。
図15は、動き量の時間変化を監視するための第5の監視方法を説明するための図であり、図8同様、横軸は時間を示しており、縦軸は各時間における動き量Iを示している。
図15の例では、縦軸を3つのレベル(レベル0〜レベル2)に分け、各時間において動き量Iがいずれのレベルに属しているかをベクトルとして示したものである。例えば、比較対象区間801において、動き量Iは、常にレベル2に属しているため、比較対象区間801のベクトル1501は(2,2,2,2,2,2,2,2,2,2)となる。一方、監視対象区間802において、動き量Iは、常にレベル0に属しているため、監視対象区間802のベクトル1502は(0,0,0,0,0,0,0,0,0,0)となる。
ケア内容判定部704では、比較対象区間801における動き量のベクトル1501と監視対象区間802における動き量のベクトル1502とのハミング距離を算出することで、両区間における動き量が類似しているか否かを判定することができる。
なお、両区間における動き量が類似しているか否かを判定するにあたっては、ハミング距離を用いる方法に限られるものではなく、例えば、コサイン類似度等を用いてもよい。
[第6の実施形態]
上記第1乃至第4の実施形態では、ケア内容の正否を判定するにあたり、比較対象区間と監視対象区間それぞれの動き量Iの平均値を対比したが、例えば、監視対象区間において、所定の閾値を超える動き量があるか否かに基づいて判定するようにしてもよい。
つまり、ケアが完了してからの所定時間内に、所定の閾値を超える動き量が検出されたか否かに基づいて判定するようにしてもよい。
なお、監視対象区間において動き量を判定する際に用いる閾値は、ケア実行者によるケアが必要な状態か否かを判定する際に用いる閾値と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図16は、動き量の時間変化を監視するための第6の監視方法を説明するための図であり、ケア実行者によるケアが必要な状態か否かを判定する際に用いる閾値と監視対象区間1601における閾値とが異なるように設定した様子を示している。図16の例では、監視対象区間1601における閾値の方が、ケア実行者によるケアが必要な状態か否かを判定する際に用いる閾値よりも低い値に設定されている。
このように、監視対象区間における閾値を、ケア実行者によるケアが必要な状態か否かを判定する際に用いる閾値よりも低い値に設定することで、ケアが正しくなかったにも関わらず、正しかったと誤判定される可能性を、より低減させることができる。
[第7の実施形態]
上記第1乃至第6の実施形態では、ケア実行者が、ケアを開始した時間及びケアを完了した時間を入力し、ケア区間情報取得部703が、これらの時間を取得することで、ケア実行者によるケアが行われた区間(以下、ケア区間と称す)を識別した。これに対して、第7の実施形態では、ケア実行者がこれらの時間を手動で入力することなく、解析装置200が撮影画像に基づいて自動的にケア区間を識別する。
図17は、第7の実施形態における見守りシステムの概要を説明するための図である。なお、第7の実施形態における見守りシステム1700は、ケア区間を自動的に識別することが可能な見守りシステムである。
このため、図17(a)に示すように、撮像装置120は、見守り領域130に加え、寝具110の両脇の領域(見守り対象者以外の者が往来する領域)を撮影する。なお、以下の説明では、見守り対象者以外の者が往来する領域(見守り対象者以外の者の体動の領域)を監視領域1740と称す。見守り対象者以外の者とは、例えば見守り対象者の看護や介護等のケアを行う看護師や介護士等のケア実行者のほか、見守り対象者の見舞客、見守り対象者と同室の患者等が含まれる。また、以下の説明では、監視領域1740を往来する見守り対象者以外の者を来床者と称す。
図17(b)は、来床者(ケア実行者)が監視領域1740において、見守り対象者に対してケアを行っている様子を示している。また、図17(c)は、来床者(ケア実行者)が監視領域1740において、見守り対象者に対してケアを行っている様子を撮影した撮影画像の一例である。図17(c)に示すように、撮影画像1750には、見守り領域130または監視領域1740内にいる見守り対象者または来床者が描画される。
第7の実施形態における解析装置200では、撮影画像1750に基づいて自動的にケア区間を識別するにあたり、撮影画像1750内の来床者の様々な動作パターンから、見守り対象者のケアを行っている動作パターンを識別する。
ここで、第7の実施形態における解析装置200では、撮影画像1750内の来床者が見守り対象者のケアを行っている動作パターンを識別するためのパラメータとして、「変動量」を用いる。変動量とは、監視領域1740における来床者の体動の量を反映したパラメータである。以下、図18を用いて変動量について説明する。
図18は、変動量の算出方法を説明するための図である。このうち、図18(a)は、撮影画像1750の監視領域1740を所定の大きさのメッシュに分割し、監視領域1740における輝度差分布を二値画像として示した図である。図18(b)は、輝度差分布を用いて変動量を算出する算出方法を示した図である。
図18(a)に示すように、解析装置200では、監視領域1740における時刻tの各メッシュの輝度値と、時刻t+1の各メッシュの輝度値との差分を算出する。また、解析装置200では、輝度値の差分が所定の閾値以上であるメッシュを1、輝度値の差分が所定の閾値未満のメッシュを0として輝度差分布を算出し、二値画像1801を生成する。
図18(b)に示すように、解析装置200では、時刻tから時刻t+T(Tは所定の時間)までのT時間分の輝度差分布を加算することで、監視領域1740についてメッシュごとの加算値を求め、多値画像1811を生成する。また、解析装置200では、多値画像1811において1以上の加算値を有するメッシュを「動き領域」とし、動き領域において、加算値が所定の閾値TH1以上のメッシュの数と、加算値が所定の閾値TH1未満のメッシュの数との比率を算出する。
同様に、解析装置200では、時刻t+1から時刻t+T+1までのT時間分の輝度差分布を加算することで、監視領域1740についてメッシュごとの加算値を求め、多値画像1812を生成する。また、解析装置200では、多値画像1812において1以上の加算値を有するメッシュを「動き領域」とし、動き領域において、加算値が所定の閾値TH1以上のメッシュの数と、加算値が所定の閾値TH1未満のメッシュの数との比率を算出する。
更に、解析装置200では、多値画像1811に基づいて算出した比率と、多値画像1812に基づいて算出した比率との差分を変動量として算出する。
このようにして算出された変動量は、次のような特性を有する。すなわち、来床者が静止している状態から動作を開始させた場合や、動作していた状態から動作を停止させた場合、あるいは、動作している状態から、動作の内容が大きく異なる内容に変更した場合等に、変動量は大きくなる。反対に、来床者が動作を停止させている場合や、動作しているが同じような動作を繰り返している場合等には、変動量は小さくなる。
次に、監視領域1740における変動量と、来床者の動作パターンとの関係について説明する。図19は、監視領域における変動量と、来床者の動作パターンとの関係を示す図である。図19に示すように、来床者の動作パターンとしては、以下の4つが挙げられる。
動作パターン(1)は、来床者が監視領域1740内に不在である場合を示しており、この場合、変動量はゼロになる。ただし、見守り対象者が動き、見守り対象者の手足や布団が寝具110(見守り領域130)からはみ出すなどして、監視領域1740に変化が生じた場合には、監視領域1740における変動量が大きくなる。
動作パターン(2)は、来床者が監視領域1740を通る場合を示しており、この場合、変動量は小さい値となる。
動作パターン(3)は、来床者が監視領域1740内に留まる場合を示している。具体的には、例えば来床者が見守り対象者と会話をしている場合や、来床者が見守り対象者を目視で観察している場合等である。なお、動作パターン(3)の場合も、変動量は小さい値となる。
動作パターン(4)は、来床者が見守り対象者に接触し、介護又は看護等のケアを行っている場合を示しており、この場合、変動量は大きくなる。ただし、来床者が行うケア動作が、同じような動作の繰り返しであった場合には、変動量がゼロになることもある。
このように、動作パターンを識別するためのパラメータとして変動量を用いることで、動作パターン(1)、(4)と、動作パターン(2)、(3)とを識別することができる。一方で、変動量がゼロの場合であっても、動作パターン(1)に分類される場合と動作パターン(4)に分類される場合とがある。同様に、変動量が大きい場合であっても、動作パターン(1)に分類される場合と動作パターン(4)に分類される場合とがある。つまり、撮影画像1750に基づいてケア区間を識別するには、動作パターン(1)と動作パターン(4)とを更に明確に区別する必要がある。
そこで、以下では、動作パターン(1)と動作パターン(4)とを更に識別するための識別方法について説明する。第7の実施形態の見守りシステム1700では、動作パターン(1)と動作パターン(4)とを識別するために、「ステート」を用いる。ステートとは、変動量の大きさに応じて、来床者の動作パターンを以下の3つに分類したものである。
・動作パターン(1) :ステート1
・動作パターン(2)、(3) :ステート2
・動作パターン(4) :ステート3
ここで、来床者の動作パターン(1)〜(4)は、それぞれの動作パターンに至るまでの来床者の動作(つまり、動作パターンの組み合わせ)において違いがある。そして、変動量の大きさに基づいて定義したステートを用いることで、その違いを明確にすることができる。
図20は、来床者の動作パターン(1)〜(4)の組み合わせ(来床者の動作の推移)と、ステートの遷移との関係を示す図である。図20に示すように、来床者の動作パターン(1)〜(4)は、例えば、以下のように組み合わされ、それぞれの組み合わせに対して、ステート1〜3は以下のように遷移する。
(i)見守り対象者しかおらず、来床者がいない場合、来床者の動作パターンは(1)から変化しない。この場合、ステートは1のまま遷移しない。ただし、見守り対象者が動き、見守り対象者の手足や布団が寝具110からはみ出すなどした場合には、監視領域1740における変動量が大きくなる。この場合、ステートは3に遷移する(つまり、ステート2には遷移しない)。
(ii)来床者が監視領域1740を通りすぎる場合、来床者の動作パターンは、(1)→(2)→(1)と変化する。この場合、ステートは1と2の間で遷移する。
(iii)来床者が見守り対象者と会話する場合、来床者の動作パターンは、(1)→(2)→(1)と変化する。この場合も、ステートは1と2の間で遷移する。
(iv)来床者が見守り対象者をケアする場合、来床者の動作パターンは、(1)→(2)→(3)→(2)→(1)と変化する。この場合、ステートは1〜3の間で遷移する。なお、来床者が見守り対象者をケアする動作として、同じような動作が繰り返されていた場合には、来床者がケアを行っている最中に変動量がゼロになる場合もある。ただし、この場合も、ステートは1〜3の間で遷移し、ステート3に遷移する場合には、ステート2を経由する。
このように、変動量に加えてステートの遷移を判断することで、監視領域1740における来床者の動作パターンのうち、動作パターン(1)と動作パターン(4)とを識別し、現在のステートを導出することができる。図21は、変動量とステートの遷移とに基づいて現在のステートを導出するためのステートテーブルの一例を示す図である。
図21に示すように、ステートテーブル2100は、情報の項目として、"監視領域における変動量"、"1つ前のステート"、"現在のステート"を有する。
"監視領域における変動量"は、変動なし、変動量小、変動量大の3つに区分けされる。"監視領域における変動量"=変動なしの場合、現在のステートは1または3となる。ただし、1つ前のステートが1または2の場合には、現在のステートとして1が導出され、1つ前のステートが3の場合には、現在のステートして3が導出される。
このため、ステートテーブル2100には、"1つ前のステート"の1及び2と"現在のステート"の1とが対応づけて格納され、"1つ前のステート"の3と"現在のステート"の3とが対応付けて格納される。
また、"監視領域における変動量"=変動量小の場合、1つ前のステートに関わらず、現在のステートは2となる。このため、ステートテーブル2100には、"1つ前のステート"の1〜3と"現在のステート"の2とが対応付けて格納される。
また、"監視領域における変動量"=変動量大の場合、現在のステートは1または3となる。ただし、1つ前のステートが1の場合には、現在のステートとして1が導出され、1つ前のステートが2または3の場合には、現在のステートとして3が導出される。
このため、ステートテーブル2100には、"1つ前のステート"の1と"現在のステート"の1とが対応付けて格納され、"1つ前のステート"の2及び3と"現在のステート"の3とが対応付けて格納される。
次に、第7の実施形態において解析装置200の動き情報DB210に格納される動き情報について説明する。図22は、動き情報の第3の例を示す図である。
図22に示すように、動き情報2200には、情報の項目として、"画像ID"、"画像データ"、"輝度差分布"、"動き量分布"、"動き量"に加え、"変動量"、"ステート"、"時刻"が含まれる。なお、"画像ID"、"画像データ"、"輝度差分布"、"動き量分布"、"動き量"に格納される情報は、図5を用いて説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
"変動量"には、図18に示す算出方法のもと、輝度差分布に基づいて算出された変動量が格納される。"ステート"には、図21に示すステートテーブル2100のもと、格納された変動量と1つ前のステートとに基づいて導出された現在のステートが格納される。"時刻"には、対応する画像データが格納された時刻が格納される。
次に、第7の実施形態における解析装置200の機能構成について説明する。図23は、解析装置の第2の機能構成を示す図である。解析装置200は、CPU301が解析プログラム220を実行することで、以下の各部の機能を実現する。
なお、図23に示す各部のうち、図7と同様の機能構成については、同じ参照番号を付すこととし、ここでは説明を省略する。図7に示す第1の機能構成との相違点は、変動量算出部2301、ステート判定部2302、状態判定部2303である。
変動量算出部2301は、監視領域1740における変動量を算出する。ステート判定部2302は、ステートテーブル2100を参照し、変動量算出部2301により算出された監視領域1740の変動量と、動き情報2200に格納されている1つ前のステートとに基づき、現在のステートを判定する。また、ステート判定部2302は、判定した現在のステートを動き情報2200に格納する。
状態判定部2303は、判定されたステートに基づき、ケア区間情報を生成し、時刻情報とともにケア内容判定部704に出力する。具体的には、状態判定部2303では、現在のステートが3になった場合に、ケア区間情報として、ケアが開始されたことを示す情報を生成する。また、状態判定部2303では、現在のステートが3の状態が継続している間は、ケア区間情報として、ケア区間中であることを示す情報を生成する。更に、状態判定部2303では、現在のステートが3から3以外になった場合に、ケア区間情報として、ケアが完了したことを示す情報を生成する。
次に、解析装置200によるケア区間情報生成処理について説明する。図24は、第1のケア区間情報生成処理のフローチャートである。
ステップS2401において、撮影画像取得部701は、動き情報DB210に順次格納された撮影画像をT時間分ずつ取得する。
ステップS2402において、変動量算出部2301は、T時間分の撮影画像それぞれについて見守り領域130と監視領域1740とを識別する。
ステップS2403において、変動量算出部2301は、監視領域1740におけるT時間分の輝度差分布を加算することで多値画像を生成し、動き領域を抽出する。ステップS2404において、変動量算出部2301は、ステップS2403において生成した多値画像について、動き領域における閾値以上のメッシュの数と閾値未満のメッシュの数との比率を算出する。更に、算出した比率を用いて変動量を算出し、動き情報DB210に格納する。
ステップS2405において、ステート判定部2302は、ステートテーブル2100を参照することにより、算出した変動量と1つ前のステートとに対応する、現在のステートを導出する。また、ステート判定部2302は、導出した現在のステートを動き情報DB210に格納する。
ステップS2406において、状態判定部2303は、導出したステートに基づいて、必要に応じてケア区間情報を生成し、時刻情報とともにケア内容判定部704に出力する。
以上のとおり、第7の実施形態によれば、撮影画像に基づいて自動的にケア区間を識別することができる。
[第8の実施形態]
上記第7の実施形態では、変動量と1つ前のステートとに基づいて現在のステートを導出したが、更に、見守り領域と監視領域との間の連結性を考慮して、現在のステートを導出するようにしてもよい。
具体的には、撮影画像において見守り領域130と監視領域1740との境界線を含む境界領域を設定し、境界領域と隣接する領域における輝度差分布から、動き領域が見守り領域130と監視領域1740とにまたがっているか否か(連結性)を判定する。
第8の実施形態では、動き領域が見守り領域130と監視領域1740とにまたがっていた場合に、来床者が見守り対象者をケアしている(つまり、ステート3)と判定する。
すなわち、第8の実施形態では、監視領域1740内の変動量が大きく、かつ1つ前のステートが2であり、更に、動き領域が見守り領域130と監視領域1740とにまたがっていた場合に、現在のステートを3と判定する。
なお、以下の説明では、動き領域が、見守り領域130と監視領域1740とにまたがっていることを、見守り領域130と監視領域1740において動き領域が連結している、と表現する。
第8の実施形態では、見守り領域130と監視領域1740とにおける動き領域の連結の有無を判定することで、ケア区間情報を精度よく生成することができる。
図25は、見守り領域の動き領域と監視領域の動き領域との連結について説明する図である。図25(a)は、動き領域が連結しているか否かの判定を説明するための図である。図25(b)、(c)は、見守り対象者の状態と来床者の状態との組み合わせの例を示す図である。
第8の実施形態では、撮影画像1750において、見守り領域130と監視領域1740との間の境界線2501を含む境界領域2502を設定する。そして、第8の実施形態では、動き領域に境界領域2502の一部が含まれる場合、動き領域に含まれる境界領域2502を領域R0とし、領域R0と隣接する領域R1、R2、R3、R4、R5、R6それぞれについて、T時間分の輝度値分布の加算値を確認する。
第8の実施形態では、領域R0〜R6が、以下に示す条件を満たすか否かに基づき、動き領域が見守り領域130と監視領域1740とにおいて連結しているか否かを判定する。第8の実施形態では、領域R0〜R6が以下の条件1〜3を全て満たす場合に、見守り領域130と監視領域1740とにおいて動き領域が連結していると判定する。
<条件>
・条件1:領域R0におけるT時間分の輝度値分布の加算値が所定の閾値TH2以上である。
・条件2:領域R1、R2、R3の何れかの領域におけるT時間分の輝度値分布の加算値が閾値TH2以上である。
・条件3:領域R4、R5、R6の何れかの領域におけるT時間分の輝度値分布の加算値が閾値TH2以上である。
例えば、見守り対象者の状態と来床者の状態が、図25(b)に示すように動作パターン(4)であった場合、来床者の体の一部は、見守り領域130内に入っている。このような場合には、境界線2501の近傍において、見守り領域130内のT時間分の輝度値分布の加算値と、監視領域1740内のT時間分の輝度値分布の加算値とがほぼ同じになる。すなわち、見守り領域130と監視領域1740において動き領域が連結している場合、条件1〜3を満たす。
これに対し、見守り対象者の状態と来床者の状態が、図25(c)に示すように、見守り領域130と監視領域1740において動き領域が連結していない場合、境界線2501の近傍の見守り領域130内の動作と監視領域1740内の動作とは独立している。このため、T時間分の輝度値分布の加算値は異なる。すなわち、見守り領域130と監視領域1740において動き領域が連結していない場合、条件1〜3の全てを満たすことはない。
本実施形態では、以上のように、境界線2501の近傍における見守り領域130内のT時間分の輝度値分布の加算値と、監視領域1740のT時間分の輝度値分布の加算値とに基づき、動き領域の連結の有無を判定する。したがって、本実施形態では、例えば来床者が監視領域1740内のみで大きな動きをしている状態を判定でき、この状態と、見守り対象者をケアしている状態とを区別できる。
図26は、ステートテーブルの第2の例を示す図である。ステートテーブル2600は、情報の項目として、"監視領域の変動量"、"1つ前のステート"、"連結の有無"、"現在のステート"を有する。
ステートテーブル2600では、監視領域1740において変動がない場合及び変動量が小さい場合には、連結の有無は判断しない。一方、監視領域1740の変動量が大きい場合に、連結の有無を判定する。
第8の実施形態では、変動量が大きく、1つ前のステートが2であった場合でも、動き領域が見守り領域130と監視領域1740とで連結していない場合には、ステート2が導出される。一方、変動量が大きく、1つ前のステートが2であった場合であっても、動き領域が見守り領域130と監視領域1740とで連結している場合には、ステート3が導出される。
図27は、解析装置の第3の機能構成を説明する図である。解析装置200は、CPU301が解析プログラム220を実行することで、以下の各部の機能を実現する。
なお、図27に示す各部のうち、図23と同様の機能構成については、同じ参照番号を付すこととし、ここでは説明を省略する。図23に示す第2の機能構成との相違点は、連結有無判定部2701である。
連結有無判定部2701は、監視領域1740内のT時間分の輝度差分布の加算値が閾値TH2以上であった場合に、見守り領域130と監視領域1740とに、境界領域2502及び領域R0〜R6を設定し、動き領域の連結の有無を判定する。動き領域の連結の有無の判定は、図25を用いて説明した通りである。
次に、第8の実施形態におけるケア区間情報生成処理について説明する。図28は、第2のケア区間情報生成処理のフローチャートである。
なお、図28のステップS2401からステップS2404までの処理は、図24のステップS2401からステップS2404までの処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
ステップS2801において、連結有無判定部2701は、監視領域1740の変動量が大きいか否かを判定する。ステップS2801において、変動量が大きくない場合はステップS2405に進む。
一方、ステップS2405において、変動量が大きいと判定された場合、ステップS2802に進む。ステップS2802において、連結有無判定部2701は、見守り領域130内の動き領域と、監視領域1740内の動き領域との連結の有無を判定する。
ステップS2405において、ステート判定部2302は、ステートの判定を行う。本実施形態では、変動量が大きくないと判定された場合は、図24のステップS2405と同様の処理によりステートを判定する。一方、変動量が大きいと判定された場合、ステート判定部2302は、ステップS2802における判定結果と、動き情報2200に格納された1つ前のステートとに対応する現在のステートを、ステートテーブル2600を参照することで導出する。
より具体的には、ステート判定部2302は、変動量が大きく、1つ前のステートが2であり、かつ見守り領域130の動き領域と監視領域1740の動き領域とが連結している場合に、現在のステートとして、ステート3と導出する。
ステップS2406の処理は、図24のステップS2406の処理と同様であるため、説明を省略する。
以上のように、本実施形態では、見守り領域130と監視領域1740とにおける動き領域の連結の有無を用いて、来床者が見守り対象者をケアしている状態であるか否かを判定する。したがって、本実施形態によれば、より適切なケア区間情報を出力することができる。
なお、本実施形態では、見守り対象者と来床者の両方を動作解析の対象者としており、
・見守り領域における対象者の体動の量に基づいて、ケアが必要な状態になったか否かを判定し、
・見守り領域及び監視領域における対象者の体動の量に基づいて、ケアしている状態であるか否かを判定する。
換言すると、本実施形態では、領域(見守り領域、監視領域)と対象者の動きの量(見守り領域における見守り対象者の体動の量、見守り領域または監視領域における来床者の体動の量)とに基づいて、ケア要状態か、ケア中状態かを判定する。
なお、開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
対象者の体動を時系列的に取得し、体動の領域及び動きの量に基づいて、該対象者をケアすることが必要な状態または該対象者をケアしている状態のいずれかを判定する判定部と、
対象者をケアすることが必要な状態と判定された場合には、ケアの要求を出力し、対象者をケアしている状態と判定された場合には、ケアの完了を判断して出力する出力部と、
ケアの完了を判断して出力してから所定時間内に、対象者の体動の量が平静状態の体動の量に対して大きくなったことを検出した場合に、ケアの要求を再度出力する再出力部と
を有することを特徴とする見守り装置。
(付記2)
前記再出力部は、
前記平静状態の体動の量として、前記ケアが行われる前の対象者の体動の量を用い、
前記ケアの完了を判断して出力してから所定時間内における対象者の体動の量と、前記ケアが行われる前の対象者の体動の量との類似性に基づいて、対象者の体動の量が平静状態の体動の量に対して大きくなったことを検出することを特徴とする付記1に記載の見守り装置。
(付記3)
前記再出力部は、
前記ケアの完了を判断して出力してから所定時間内における対象者の体動の量と、前記ケアが行われる前であって、対象者をケアすることが必要な状態における対象者の体動の量との類似性に基づいて、対象者の体動の量が平静状態の体動の量に対して大きくなったことを検出することを特徴とする付記1に記載の見守り装置。
(付記4)
前記再出力部は、
前記ケアの完了を判断して出力してから所定時間内における対象者の体動の量と、前記ケアが行われる前であって、対象者をケアすることが必要な状態になる前の対象者の体動の量との類似性に基づいて、対象者の体動の量が平静状態の体動の量に対して大きくなったことを検出することを特徴とする付記1に記載の見守り装置。
(付記5)
前記再出力部は、
前記ケアの完了を判断して出力してから所定時間内における対象者の体動の量が、閾値を超えたことで、対象者の体動の量が平静状態の体動の量に対して大きくなったことを検出することを特徴とする付記1に記載の見守り装置。
(付記6)
前記判定部は、
前記画像内の第1の領域の第1の対象者の体動を時系列的に取得し、体動の量に基づいて、該第1の対象者をケアすることが必要な状態かを判定し、
前記画像内の第2の領域の第2の対象者の体動を時系列的に取得し、体動の量に基づいて、前記第1の対象者をケアしている状態かを判定する
ことを特徴とする付記1に記載の見守り装置。
(付記7)
対象者の体動を時系列的に取得し、体動の領域及び動きの量に基づいて、該対象者をケアすることが必要な状態または該対象者をケアしている状態のいずれかを判定し、
前記対象者をケアすることが必要な状態と判定された場合には、ケアの要求を出力し、前記対象者をケアしている状態と判定された場合には、ケアの完了を判断して出力し、
ケアの完了を判断して出力してから所定時間内に、対象者の体動の量が平静状態の体動の量に対して大きくなったことを検出した場合に、ケアの要求を再度出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
(付記8)
コンピュータによる見守り方法であって、該コンピュータが、
対象者の体動を時系列的に取得し、体動の領域及び動きの量に基づいて、該対象者をケアすることが必要な状態または該対象者をケアしている状態のいずれかを判定し、
前記対象者をケアすることが必要な状態と判定された場合には、ケアの要求を出力し、前記対象者をケアしている状態と判定された場合には、ケアの完了を判断して出力し、
ケアの完了を判断して出力してから所定時間内に、対象者の体動の量が平静状態の体動の量に対して大きくなったことを検出した場合に、ケアの要求を再度出力する、
ことを特徴とする見守り方法。
(付記9)
対象者を撮影した画像からケア要否を判定してケアの要求を出力する見守り装置であって、
対象者のケアの完了を識別してから所定時間内に、対象者の体動の量が平静状態の体動の量に対して大きくなったことを検出した場合に、完了したケアが適切なケアでなかったと判定し、判定結果を含むケアの要求を再度出力することを特徴とする見守り装置。
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。