JP6289634B2 - 最適なゲージ率を示すピエゾ抵抗材料 - Google Patents

最適なゲージ率を示すピエゾ抵抗材料 Download PDF

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Description

本発明は、多層複合材料に関するものであり、また、この多層複合材料を製造する方法にも関するものである。本発明は、高感度を示す歪みゲージとしての多層複合材料の使用にも関するものである。
ピエゾ抵抗は、印加される機械的応力によって生じる、電気装置の電気抵抗(R)の変化として定義することができる。この現象は歪みゲージ装置で広く使われていて、固体の機械的変形の測定を可能にしている。
歪みゲージの適用例として、i)建築物の部分及び航空機の胴体部分などの、構造構成部材における小さな歪みのリアルタイム測定、ii)血圧及び心拍数のモニターなどの、ポイントオブケア(point−of−care)医療システム、並びにiii)完全に自動化された原子間力顕微鏡を用いた、製造ラインの表面品質制御が挙げられる。
ピエゾ抵抗の大きさは、単位歪み当たりの、印加応力によって生じる抵抗の相対的変化として定義される、いわゆるゲージ率GFによってしばしば定量的に評価される。
以下で説明するように、試料寸法の単純な変化に加えて、印加応力によって電子構造が変化し、そのために固体の電気抵抗が変化する場合がある。この効果は、バルク金属及びシリコン(それぞれGF約2及びGF約100である)において広く研究されてきた。
より大きなゲージ率は、新しい現象が含まれ得るという理由の科学的観点からだけではなく、応力検出の高感度化のためにも関心を引いている。
金属、シリコン系材料、及びナノ構造の他に、他の可能なピエゾ抵抗材料には、導電性粒子の網目構造を有する複合材料がある。導電性複合材料は、体積Vmである絶縁性マトリックス全体にわたって分散された導電性粒子の全体積Vcで構成される。体積分率φ=Vc/Vm+Vcの関数である電気抵抗は、いわゆる臨界体積分率φでの金属−絶縁体転移を明らかにするため広く研究されてきた(Kirkpatrick,S.Rev.Mod.Phys.1973,45,574)。この絶縁体的挙動から金属的挙動への転移は、その間に1%以下の小さいφの変化に対し、抵抗が数桁変化することがあり、パーコレーション輸送と関連づけられる。φは、また、パーコレーション閾値とも呼ばれる。この場合、Rはφに対してR∞(φ−φ−tで、転移の金属性側、すなわちφ≧φへ僅かに変化する(ここで、tは臨界指数として既知である)。
しかし、主として文献では、パーコレーション閾値のかなり下か(φ<<φ)(Zhou et Al,Carbon 2008,46,679)、パーコレーション閾値のかなり上(φ>>φ)(Stankovich et Al.Nature 2006,442,282)のいずれかの場合を扱っており、GFは、通常はせいぜい100程度である。シリコン/金属ハイブリッドにおいて、GF=843からの範囲の値が観測され(Rowe,A.C.H.;Donoso−Barrera,A.;Renner,Ch.;Arscott,S.Phys.Rev.Lett.2008,100,145501)、シリコンナノワイヤーにおいて、3000よりも大きい値が報告されたが(He,R.;Yang,P.Nat.Nanotechnol.2006,1,42)、後者の文献において、その現象の存在及び詳細が疑われている。
応力によりクラスター間の連結が変化するので、応力の影響は容易に理解される。φ<φの場合、印加応力に関わらず、金属粒子のクラスターは常に分離されており、抵抗は依然として大きく、応力に対して僅かしか変化しない。φ>φの場合、印加応力に関わらず、金属粒子のクラスターは常に連結されており、抵抗は依然として低く、変化は僅かである。φに近づくと、金属粒子のクラスター間の連結は印加応力によって大いに影響され、抵抗が著しく変化することになり、その結果、高いゲージ率(GF)がもたらされる。
しかし、GFはパーコレーション閾値にかなり近い、非常に大きい値に到達すると予測されるものの、金属体積分率φを十分に精巧に制御して複合材料を製造する方法を実施することが困難であるために、実験的に研究されてきていない。
さらに、臨界体積分率φ付近では、ゲージ率がGF∞(φ−φ−1のように変化する。すなわちφ→φのときに発散する。
実際に、φ付近での抵抗の変動も発散し、φにおいて抵抗を正確に測定できないため、名目上同一の抵抗測定を複数回繰り返したとき、GFの固有変動が導かれると予想される。
したがって、適用上、最大のゲージ率(抵抗測定値に関する変動が重要である)を示すピエゾ抵抗材料ではなく、最も高い、固有の信号対雑音比が得られるゲージ率を示すピエゾ抵抗材料を提供することが好ましい。この固有の信号対雑音比は、ピエゾ抵抗材料の性能指数によって与えられる。
FR1054532は、金属/シリカナノ複合体薄膜の製造方法に関するものである。この方法は、ナノ複合体薄膜を所与の放射線で照射することによって、多孔質絶縁性マトリックス内の金属性イオンを光触媒還元することに基づく。本明細書で開示される方法において、照射は、パーコレーション閾値に到達するのに十分な時間のものであり、パーコレーション閾値を超えると、(金属イオンの光触媒還元によって得られる)金属性ナノ粒子により導電性構造が形成される。本明細書において、高い導電性が予測されるので、φ>>φの値に到達するように材料を照射し、φ付近での精巧な調整は行わなかった。さらに本明細書は、φ〜φであるときのGF値の変動に関する問題を扱わない。
仏国特許第1054532号明細書
Kirkpatrick,「S.Rev.Mod.Phys.」1973年,第45巻,第574頁 Zhou et al,「Carbon」 2008年,第46巻,第679頁 Stankovich et al.「Nature」 2006年,第442巻,第282頁 Rowe,A.C.H.;Donoso−Barrera,A.;Renner,Ch.;Arscott,「S.Phys.Rev.Lett.」2008年,第100巻,第145501頁 He,R.;Yang,「P.Nat.Nanotechnol.」2006年,第1巻,第42頁
先行技術を考慮すれば、高感度を示すピエゾ抵抗材料を提供する必要があるという結論に至る。
本発明の目的は、適用上最適のゲージ率を示す、すなわち最大の固有信号対雑音比を示し、そのために高感度を示すピエゾ抵抗材料を提供することである。
鋭意研究の後、出願人らは実在のピエゾ抵抗材料よりもかなり高い、高感度を有する新規のピエゾ抵抗材料を開発した。
したがって、本出願の対象は、
− ベース層と、
− 絶縁性マトリックス相及び金属粒子相から構成される金属質層と
を含む多層複合材料であって、この金属粒子が絶縁性マトリックスに好ましくは均一に分散しており、金属粒子の体積と金属質層の体積の比である体積分率φが、臨界体積分率φ+δφ、但し0<δφ≦5%に対応しており、臨界体積分率φは体積分率φの関数としての金属質層の導電率の増大が最大値となるところの体積分率である、多層複合材料である。
金属質層の電気抵抗が初めに限定的に低下した後、金属質層の金属量が増加すると、電気抵抗は突然低下する。次いで、電気抵抗はより一層ゆっくりと低下する。言い換えれば、第1の段階で電気抵抗の低下が加速され、次いで第2の段階で電気抵抗の低下が減速する。電気抵抗の低下の加速は、この2つの段階の間では零になる。
本発明によれば、2つの段階の間にあるこの点は「臨界体積分率」と名付けられ、φと記される。
数学の微分において、臨界体積分率φは、曲線R=f(φ)の1階微分が極大であるか、又は曲線R=f(φ)の2階微分が零である値に対応する。
本発明によれば、臨界体積分率φをかなり下回る体積分率φの場合、金属粒子は、絶縁性マトリックスに好ましくは均一に分散している。次いで、臨界体積分率φ付近の体積分率φの場合、一部の金属粒子は相互連結され、それにより絶縁性マトリックス相において金属粒子の均一な網目構造を形成する。
本発明によれば、ベース層を任意の適切な固体材料で構成することができる。例えば、プラスチック、シリコン、ガラス、又は絶縁性層によって覆われた任意の導電性基板であってよい。ベース層は、好ましくは薄いガラス基板である。
一具体例によれば、金属質層の絶縁性マトリックス相は、ポリマー、又は任意選択でアルカリ金属イオンを含むゾル−ゲルシリカであってよい。
アルカリ金属イオンは、Li、K、又はNaの各イオンであってよい。好ましくは、アルカリ金属イオンはNaイオンである。
一具体例によれば、ゾル−ゲルシリカは、金属質層の金属粒子の比率を制御するために、光触媒材料を含む。
好ましい一具体例によれば、絶縁性マトリックス相はTiOナノ粒子を含むメソ多孔質シリカである。他の好ましい具体例によれば、絶縁性マトリックス相は、好ましくはNaイオンであるアルカリ金属イオン及びTiOを含むメソ多孔質シリカである。空孔により、TiO粒子の近傍へ金属塩を拡散させることが可能になり、有効な光還元特性を示すことが知られている。
一具体例によれば、金属粒子は、銀粒子、金粒子、パラジウム粒子、白金粒子、コバルト粒子、及びニッケル粒子からなる群から選択される。
好ましい一具体例によれば、金属粒子は、コバルト又はニッケルよりも酸化の影響を受けにくい、銀、金、パラジウム、白金である。
一具体例によれば、金属粒子の平均粒径は1〜500nmであり、好ましくは2〜100nmである。
一具体例によれば、複合材料は金属質層上に他の層を備えることができる。他の層は、光還元種の欠如を除いて、金属質層の絶縁性マトリックスと同じ組成のものでもよい。好ましくは、他の層はメソ多孔質シリカでもよい。
臨界体積分率φの値は、絶縁性マトリックス相の性質によって変わり、また金属粒子の性質によっても変わる。
一具体例によれば、φの値は、以下のステップ、
− 較正曲線R=f(φ)をプロットするステップと、
− φに対応する、曲線の変曲点を決定するステップと
を含む直接的な方法によって決定される。
変曲点は、この点での極大に対応するため、dR/d(φ)を計算することによって決定することができる。
他の具体例によれば、より正確なφの値を得るために、φの値を以下のステップ、
− 較正曲線GF=f(φ)をプロットするステップと、
− φに対応する、曲線の極大点又はd(GF)/d(φ)が零である点を決定するステップと
を含む方法によって決定することができる。
前述したように、ピエゾ抵抗材料に応力を印加するとき、ピエゾ抵抗材料のゲージ率の値は抵抗(R)の変化に直接関係する。
したがって、曲線R=f(φ)をプロットする方法、又はGF=f(φ)をプロットする方法のいずれかにおいて抵抗測定を行うために、複合材料の金属質層にはオーム接点が必要である。
オーム接点は、例えば金属蒸発などの様々な方法で形成することができる。
曲線GF=f(φ)をプロットするために、ゲージ率GFを以下のように決定することができる。
図1aに示したオーム接点を有するピエゾ抵抗材料は、長さn、幅w、及び厚さtである矩形の鋼板4の中央に(例えば接着剤で)固定することができる(図1b参照)。
鋼板の長さnは、40〜60cm、好ましくは48〜50cmであり、鋼板の幅wは、3〜6cm、好ましくは4〜5cmであり、鋼板の厚さtは、ピエゾ抵抗材料よりも少なくとも10倍より厚くあるために、0.2〜0.8mm、好ましくは0.5〜0.6mmである。
図1bに示すように、2つの端部に圧縮力を加えるとき、鋼板は半波長L及び振幅Hの正弦波状に変形する。厚さ<<tである複合材料が鋼板の上面(底面)に接着される場合、鋼板は次式によって与えられる一軸引張り応力を受ける。

ここで、lは、応力を受けない複合材料の当初の長さである。
したがって、印加応力εは、L及びHを独立に測定し、上記の式を用いることによって決定される。
一具体例によれば、ε=10−4である。
鋼板の2つの端部に様々な力を印加することによって、印加応力を変化させる(図1bには示していないが、H1とH2の間の正弦波の振幅を変化させることになる)。
所与の体積分率φでのゲージ率を決定するために、抵抗は各応力レベル(H1及びH2によって示された高さ)で測定される。
これら2つの抵抗の差と、より小さい応力で測定した後の抵抗の値との比に、印加応力の差を乗じてゲージ率が与えられる。
所与の体積分率φのゲージ率、したがって特定の複合材料のゲージ率は次の一般式によって与えられ、

ここで、
R(H2)は、鋼板が振幅H2を有する場合の抵抗を表し、
R(H1)は、鋼板が振幅H1を有する場合の抵抗を表し、
avは、2つの抵抗、R(H1)及びR(H2)の平均であり、
Δεは、印加応力によって生じた歪みである。
抵抗測定は、電圧源及び接地ピコアンメータを用いて実施することができ、それによりDC抵抗を測定することができる。
抵抗測定における所望しない変動を避けるために、電流は1μA未満に保持されることが好ましい。
金属粒子の体積及び絶縁性マトリックスの体積は、化学分析及び膜厚分析などの様々な方法によって決定することができる。
一具体例によれば、金属粒子の体積は、以下のステップ、
− 金属質層の所与の表面を、所与の体積の溶媒に溶解させるステップと、
− 金属イオン濃度を化学分析するステップと、
− 分析及び金属性膜の厚さの結果を考慮して、初めの金属の充填を計算するステップと
を含む方法によって決定することができる。
一具体例によれば、絶縁性マトリックスの体積は、金属質層の体積から内部の金属粒子の体積を差し引くことによって決定できる。
前述したように、本発明の多層複合材料の体積分率φは、臨界体積分率φに対応するのではなく、臨界体積分率φより僅かにより大きい体積分率φに対応する。
本発明によれば、用語「僅かにより大きい」は、臨界体積分率φを上回る、0(この値は含まない)〜5%(この値は含む)の区間を含むと解釈できる。
δφは、小さい正の数である。
一具体例によれば、0<δφ≦4%であり、好ましくは0.2%<δφ≦3%であり、より好ましくは0.4%<δφ≦3%であり、さらにより好ましくは0.4%<δφ≦2%である。
また、本発明の対象は、
a)ベース層を準備するステップと、
b)絶縁性マトリックス相及び金属粒子相で構成される金属質層をベース層上に設けるステップであって、この金属粒子が絶縁性マトリックスに均一に分散しており、金属粒子の体積と金属質層の体積の比である体積分率φが、臨界体積分率φ+δφ、但し0<δφ≦5%に対応しており、φは体積分率φの関数としての金属質層の導電率の増大が最大値を有するところの体積分率である、ステップと
を含む本発明の多層複合材料を製造する方法でもある。
金属質層は、ゾル−ゲル法で知られる、溶液から薄膜塗着、又はスピン若しくは浸漬塗布、ブレード塗布、スパッタリングなどのポリマー処理の様々な方法によって、ベース層上に設けることができる。
本発明の複合材料は、絶縁性マトリックス中の金属粒子の充填を精巧に制御することによって製造できる。
出願人らは、照射時間が長くなると、複合材料の金属粒子の体積分率が増加するため、光触媒材料を含む層に行われる照射線量を制御することによって、この精巧な制御が可能になることを見出した。
したがって、金属の充填は照射時間によって制御できるので、パーコレーション閾値付近で非常に精巧な調整を行うことができ、これによって、臨界体積分率φを決定するための、抵抗R又はゲージ率GFなどの、明確に定義されたパラメータの個々の数値をφの関数として実験的に決定することが可能になった。
本発明は、この非常に精巧な調整を成し遂げるための2つの主要な工程、ex situ工程及びin situ工程を提案する。
したがって、本発明の他の対象は、
− ベース層を準備するステップと、
− 光触媒材料を含む層をベース層上に設けるステップと、
− 光触媒材料を含む層で覆われたベース層を、銀イオン、金イオン、パラジウムイオン、白金イオン、コバルトイオン、及びニッケルイオンからなる群から選択される金属イオンを含む溶液と接触させるステップと、
− 光触媒材料を含む層で覆われたベース層を、光触媒材料を活性化させる放射線で体積分率φを有するように十分な時間照射するステップであって、体積分率φは、金属粒子の体積と金属質層の体積の比であり、臨界体積分率φ+δφ、但し0<δφ≦5%に対応しており、臨界体積分率φは体積分率φの関数としての金属質層の導電率の増大が最大値を有するところの体積分率である、ステップと
を含む、ex situ工程によって本発明の多層複合材料を製造する方法である。
本発明によれば、所与のベース層、所与の光触媒材料、溶液中の所与の金属イオン濃度、照射の所与のパワー、及び所与の波長に関して、照射時間を金属粒子の体積分率に適合させるように、較正曲線t=f(φ)をプロットすることができる。
光触媒材料は大きなバンドギャップ材料を含むべきであり、それによりスペクトルの可視部内に吸光度バンドが存在し、その結果、光励起電子が金属還元を可能にする十分なレドックス電位を有する。
さらに、電子−正孔対の再結合に特徴的な存続時間は、電子又は正孔と金属イオンとの反応時間よりも著しく長くあるべきである。
例えば、光触媒材料は、その光還元特性で既知である金属酸化物又はカルコゲニド(chalcogenure)でもよい。
好ましい一具体例によれば、光触媒材料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化鉄、BiFe、又はその混合物、或いは任意のそれらの固溶体からなる金属酸化物の群から選択される。
特に好ましくは、光触媒材料は、その周知の光触媒特性のために二酸化チタンTiOである。
金属イオンを含む溶液は、例えば、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、又はテトラフルオロホウ酸塩を主成分とする塩溶液から選択することができる。
好ましい溶液として、
硝酸銀溶液(Ag用)、又は、
塩化金(HAuCl4)溶液(Au用)、又は、
塩化パラジウム(PdCl2)溶液(Pd用)、又は、
塩化白金(H2PtCl6)溶液(Pt用)、
塩化ニッケル(NiCl.6HO)溶液(Ni用)が挙げられる。
溶媒は、水/イソプロパノール混合物でもよい。
溶液のイオン濃度は10−5モル〜10−1モルであり、好ましくは10−5モル〜10−3モルでもよい。
光触媒材料を活性化するための放射線は、光触媒材料の吸収バンドの波長を有する線源であることが好ましい。特に、光触媒材料がTiOである場合、照射は、通常は、約380nm未満の波長、好ましくは312nm未満の波長を有する線源で実施することができる。
マトリックス内の金属粒子の体積分率は、ランプの強度及び光触媒材料の吸収バンドによって決定される全光子照射線量によって変わる。
本発明の実施に好ましい条件の下で、本発明の多層複合材料を製造するex situ工程は、
a)鋳型剤によってメソ構造化され、光触媒材料及びシリカ含有材料を含む材料の第1の層を、ゾル−ゲル法によってベース層上に付着させるステップと、
b)鋳型剤によってメソ構造化され、シリカ含有材料を含むが、光触媒材料は含まない材料の第2の層を、ゾル−ゲル法によって第1の層上に付着させるステップと、
c)第1の層及び第2の層に熱処理を施こして、それによって緻密化した被膜を得るステップと、
d)ステップc)で得られた緻密化した被膜を、銀イオン、金イオン、パラジウムイオン、白金イオン、ニッケルイオン、及びコバルトイオンからなる群から選択される金属イオンを含む溶液と接触させるステップと、
e)緻密化した被膜によって覆われたベース層を、光触媒材料を活性化させる放射線で体積分率φを有するように十分な時間照射するステップであって、体積分率φは、金属粒子の体積と金属質層の体積の比であり、臨界体積分率φ+δφ、但し0<δφ≦5%に対応しており、臨界体積分率φは体積分率φの関数としての金属質層の導電率の増大が最大値を有するところの体積分率である、ステップとを含む。
前述した方法によって得られる多層複合材料は、3つの異なる層で構成される。実際に図2は、基板に2つの層の被膜で構成される、こうした多層複合材料の概略図を示す。この被膜の中間層2(又は活性層)は、ベース層1に付着された光触媒ナノ粒子を初めに含む多孔質シリカ膜に対応し、この被膜の第3の層3(又は保護層)は多孔質シリカに対応する。
保護層により、活性層にこの粒子を閉じ込めることによって、金属粒子の付着の均一性が改善される。
ステップa)第1の層の形成
本発明の方法は、鋳型剤によってメソ構造化された材料の第1の層を、ゾル−ゲル法によって基板に形成するステップで構成されるステップa)を含む。この材料は、シリカ含有材料及び光触媒材料を初めに含む。
シリカ含有材料及び光触媒材料は、共に、この材料の少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%を示すことができ、残部は、鋳型剤及びゾル−ゲル法によりもたらされた不純物によって形成される。
ゾル−ゲル法は当業者に周知であり、溶液中の前駆物質の加水分解及び濃縮によって固体の非晶質3次元網目構造を形成する方法である。
方法のステップa)で形成されるメソ構造化された材料の第1の層は、シリカ含有材料、光触媒材料及び鋳型剤を含み、好ましくは有機鋳型剤を含む。
好ましくは、シリカ含有材料は、メソ構造化された材料の0〜45重量%を示す。
鋳型剤は、好ましくはメソ構造化された材料の5〜60重量%を示す。メソ構造化された材料又はメソ多孔質材料を形成するために鋳型剤を使用することは周知である。この鋳型剤には、この材料においてメソ細孔を形成する技術的効果がある。
用語「メソ細孔」は、2〜50nm(ナノメートル)の孔径を有する細孔を示す。メソ細孔材料は、例えば焼成によって、鋳型剤を取り除くことによって得られる。
鋳型剤が取り除かれるまで、材料は「メソ構造化された」と称される。すなわち、鋳型剤が充填されたメソ細孔を備える。鋳型剤は、薄膜中に開放空孔ができるように選択すべきである。開放空孔の存在は、金属ナノ粒子が互いに連結することを助け、そのために2つのオーム接点の間に導電経路を有することを助ける。開放空孔はまた、光触媒近傍での金属塩の拡散も可能にする。鋳型剤は、ポリマー又は界面活性剤であってよい。
鋳型剤がポリマーである場合、ブロックコポリマー、好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを主体とするブロックコポリマーが用いられる。
鋳型剤が界面活性剤である場合、好ましくは非イオン性界面活性剤から選択される。
本発明で好まれる非イオン性鋳型剤の例として、商品名Pluronic(登録商標)で市販されているものなどのポロキサマーが挙げられる。
例えば、第四級アンモニウム基を有する界面活性剤などのカチオン性界面活性剤を用いることも可能である。
光触媒は大きなバンドギャップ材料を含むべきであり、それによりスペクトルの可視部内に吸光度バンドが存在する。さらに、電子−正孔対の再結合に特徴的な存続時間は、電子又は正孔と金属イオンとの反応時間よりも著しく長くあるべきである。
光触媒材料は、好ましくは金属酸化物又はカルコゲニドである。
光触媒材料は、好ましくは金属酸化物であり、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化バナジウム、WO、酸化鉄、BiFe、又はその混合物、或いは任意のそれらの固溶体からなる群から選択される。特に好ましくは、光触媒材料は二酸化チタンTiOである。
シリカが第1の層に存在する場合、第1の層における、光触媒材料対シリカの重量比は、0.05〜2.7である。層に存在するシリカの量により、薄膜に機械的安定性がもたらされる。
光触媒材料が二酸化チタンである場合、有効且つ速い光触媒効果をもたらすために、原子比Ti/Siは、好ましくは0.05〜2であり、特に0.5〜1.5であり、より好ましくは0.8〜1.2である。
本発明の光触媒材料は、光触媒特性が効果を有するために必要とされる物理的形態にある。例えば、TiOは少なくとも部分的に結晶性であらねばならず、好ましくはナターゼの形態である。
本発明の一具体例によれば、光触媒材料は、シリカの絶縁性マトリックス内に粒子の形態で第1の層に存在する。例えば、ナノ粒子の粒径は0.5〜300nmであり、特に1〜80nmである。これらのナノ粒子は、それ自体、より小さな粒子又は基本微結晶から構成できる。これらの粒子はまた、互いに塊状化又は集合してもよい。
本発明によれば、ベース層を任意の適切な固体材料で構成することができる。例えば、プラスチック材料、シリコン基板、ガラス基板、又は第1の被膜の前に絶縁性層を備える任意の導電性基板であってもよい。ベース層は、好ましくは薄いガラス基板である。
本発明の方法のステップa)は、以下のサブステップを含むことができる。
i)酸性加水分解又は塩基性加水分解の触媒並びに鋳型剤を含む水性有機溶媒に溶解させた、少なくとも1種のシリカ前駆物質、好ましくはテトラエトキシシランなどのテトラアルコキシシランを含むゾルを調製するサブステップ、
ii)好ましくはナノ粒子の形態である光触媒材料をこのゾルへ添加するサブステップ、
iii)得られた懸濁液を基板に塗布するサブステップ。
通常は、水性有機溶媒はアルコール/水混合物であり、アルコールは、通常はメタノール又はエタノールである。
当業者に既知である技術、例えば、スピン塗布、浸漬塗布、ロール塗布、又はスパッタリングによって、ゾルを基板に塗布することができる。
ステップb)第2の層の形成
本発明の方法のステップb)は、鋳型剤によってメソ構造化され、シリカ含有材料を含むが、光触媒材料は含まない材料の第2の層を第1の層にゾル−ゲル塗着するステップで構成される。
特に、シリカ前駆物質(テトラアルコキシシラン)、触媒、溶媒、及び鋳型剤は、第1の層で用いられたものと同じであってよい。
ゾル−ゲル法もまた、同じように実施することができる。
他の具体例によれば、第2の層を付着させる前に、第1の被膜に熟成処理を施すことができ、この熟成処理は、第1の層を室温、湿潤雰囲気下で15分間〜2時間保持するステップと、110℃の温度で10〜20分間加熱するステップとからなる。この雰囲気の相対湿度(RH)は、好ましくは60〜80%である。
本発明の方法のステップb)は、以下のサブステップを含むことができる。
i)酸性加水分解又は塩基性加水分解の触媒並びに鋳型剤を含む水性有機溶媒に溶解させた、少なくとも1種のシリカ前駆物質、好ましくはテトラエトキシシランなどのテトラアルコキシシランを含むゾルを調製するサブステップ、
ii)ステップa)の間に形成された第1の層にこのゾルを添加するサブステップ。
一具体例によれば、この第2の層は第1の層と同じように付着され、唯一の違いは光触媒材料を含まないことである。
ステップc)熱処理
本発明によれば、「凝固処理」と呼ばれる第1の熱処理を、第1の層及び第2の層により覆われた基板に施す。凝固処理の温度は50〜250℃であり、好ましくは80〜120℃である。
この凝固処理により、第1の層及び第2の層を凝固させることができ、優れた化学的安定性及び優れた機械的特性を有する材料を提供することができる。
次いで、任意選択で、「焼成処理」と呼ばれる、より高温での第2の熱処理を、第1の層及び第2の層により覆われた基板に施こすことができる。
基板の性質によって変わる焼成処理の温度は、2〜4時間の間、200℃〜450℃であり、好ましくは300〜450℃である。
この焼成処理により、鋳型剤及び他の有機不純物を取り除くことができる。
焼成処理は、基板がより高温に耐え得る場合に好ましい。
ステップd)金属イオンを含む溶液と被膜との接触
本発明の方法のステップd)は、ステップc)で得られた緻密化した被膜を、金属イオンを含む溶液と接触させるステップであり、金属は、Ag、Au、Pd、Pt、Ni、及びCoからなる群から選択され、好ましくはAgである。
金属イオンを含む溶液は、例えば、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、又はテトラフルオロホウ酸塩を主成分とする塩溶液から選択することができる。
好ましくは、金属イオンを含む溶液は、
硝酸銀溶液(Ag用)、又は、
塩化金(HAuCl)溶液(Au用)、又は、
塩化パラジウム(PdCl)溶液(Pd用)、又は、
塩化白金(HPtCl)溶液(Pt用)、
塩化ニッケル(NiCl.6HO)溶液(Ni用)である。
溶媒は、水/イソプロパノール混合物でもよい。
溶液のイオン濃度は10−5モル〜10−1モルでもよい。好ましくは、溶液のイオン濃度は5×10−4モルである。
本発明の方法の第1の具体例によれば、第1の層及び第2の層を重ね合わせることによって形成され、一体に緻密化した被膜を、照射を行いながら、特に浸漬によって金属イオン溶液と接触させる。これにより、金属イオンの一定の供給が確実になる。
本発明の他の具体例によれば、活性層を所望の塩を含浸させ、乾燥照射によって乾燥させる。
本発明の第2の具体例によれば、被膜を初めに金属イオン溶液を含浸させ、次いで洗い流し及び/又は乾燥させ、次いで照射する。換言すれば、本具体例では、被膜は照射中に金属イオン溶液と接触していない。本具体例は、被膜を伴う溶液とは別の時間及び別の空間で照射を行うことができるため、より容易に実行できるという利点があり、GFのin situ検出が可能になる。しかし、体積分率φ+δφ、但し0<δφ≦5%へ到達するためには、照射ステップの前に、十分な金属イオンを被膜内へ導入することが必要である。
本発明の目的は、高感度を有する複合材料を提供することである。この高感度は、複合材料の性能指数Fに直接関係する。実際に、本発明の複合材料において、可能な限り最も高い性能指数Fが望ましい。
本発明によれば、性能指数は、F=<GF>/σGFで定義され、式中<GF>は平均のゲージ率(信号)であり、σGFは実験でGFの各値を測定するときの変動(雑音)である。
実験データによれば、最大の性能指数は、φに対応するのではなく、φ+δφ、但し0<δφ≦5%に対応する。
したがって、本発明の他の目的は、
a)ベース層を準備するステップと、
b)光触媒材料を含む層をベース層上に設けるステップと、
c)光触媒材料を含む層により覆われたベース層を、銀イオン、金イオン、パラジウムイオン、白金イオン、コバルトイオン、及びニッケイオンからなる群から選択される金属イオンを含む溶液と接触させるステップと、
d)光触媒材料を含む層により覆われたベース層を時間tの間、放射線で照射するステップと、
e)較正曲線t=f(φ)を用いて、照射の時間tを体積分率φと適合させるステップと、
f)以下の式を用いてGFを測定するステップと、

(ここで、ΔRは、試料への印加応力の差に対応する、この試料で測定された抵抗の差であり、
R0は、無応力下の試料で測定された抵抗であり、
Δεは、印加応力によって引き起こされる歪みである)
g)次の一般式によって与えられるGFの平均を計算するために、GF測定をm回繰り返すステップと、

h)以下の式でGF測定の標準偏差を測定するステップと、

i)以下の式で性能指数Fを測定するステップと、

j)dF/dφを測定するステップと、
k)dF/dφ=0の場合、Fの最大値Fmaxが得られ、照射を停止するステップと、
l)dF/dφ>0の場合、複合材料をさらなる時間照射し、ステップk)の要件を満たすまで、ステップb)からステップj)までを繰り返すステップと
を含む、本発明の多層複合材料を製造する方法である。
上記方法において、ゲージ率GFを、前述と同様の方法で決定することができる。
本具体例によれば、ゲージ率の平均<GF>を計算するために、GF測定をm回にわたって実施する。
本発明によれば、mは100〜500であり、好ましくは200〜300である。
本発明を実施する他の好ましい条件の下、金属質層を、スピン塗布、浸漬塗布、ロール塗布、又はスパッタリングなどの方法によってベース層上に設けることができる。
本発明の複合材料は有利な圧電特性を有する。
実際に、実験データによれば、本発明の複合材料を使用する最良の方法は、金属粒子の体積分率が、ゲージ率の最大値(すなわちパーコレーション閾値)に対応するのではなく、このパーコレーション閾値の僅かに上にあって、性能指数の最大値Fmaxが得られる体積分率φ+δφ、但し0<δφ≦5%対応する複合材料を使用することである。
したがって、本発明の他の目的は、本発明のピエゾ抵抗材料又は本発明の方法によって得られたピエゾ抵抗材料を歪みゲージとして使用することである。
歪みゲージは、歪みの直接測定又は任意の他の変換量の測定に使用することができる。
本発明の他の目的は、
− 所与のゲージ率を有する本発明の複合材料を応力誘起材料に置くステップと、
− 複合材料の抵抗の変化を決定するステップと、
− 誘起材料で生じた歪みを測定するステップと
を含む試料の歪みを決定する方法である。
感度が数桁増すことによって歪みゲージの使用が可能になる適用例として、それに限定されないが、i)建築物の部分及び航空機の胴体部分などの、構造構成部材における小さな歪みのリアルタイム測定、ii)血圧及び心拍数のモニターなどの、ポイントオブケア医療システム、並びにiii)完全に自動化された原子間力顕微鏡を用いた、製造ラインの表面品質制御が挙げられる。
特に、
i)構造構成部材の非常に小さな歪みを記録する能力は、後々の構造的破損を予測することに用いることができ、それにより、破損する前に構成部材を再設計又は交換することができる。航空機胴体部分の例では、特に、商業用航空機は地上にある間に費用を費やし、地上での大部分の時間は航空機の様々な部分の機械的保全性の整備及び検証に費やされる。リアルタイム(すなわち飛行中に)で機械的応力を記録する能力により、地上で個々の部分を検証する必要性がなくなる。
ii)歪みゲージの製造者らが関心をもつ主な適用例は、ポイントオブケア(すなわち、家などにおける)医療システムである。この場合、小さな圧力変化(したがって、小さな歪み)を、例えば皮膚上に置かれた歪みゲージで圧力変換器によって測定しなければならない。これらの圧力変化は、従来のシリコン歪みゲージを用いて容易に測定できるものより小さいことがある。
iii)表面品質制御(粗さ、平坦さなど)は、自動化された原子間力顕微鏡を用いる半導体産業を含む多くの産業で重要である。これらの機械ではマイクロカンチレバーが使用され、表面形状の変化によるその動作は、反射レーザー光を用いて検出される。カンチレバーが不可避的に破損する場合、カンチレバーをロボットによって交換する必要があり、入射レーザーと反射光検出器の両方の位置調整を自動で行なう必要がある。これは、実行に高価な装置を要する複雑な作業である。形状のナノメートルスケールの変化に対応するカンチレバーの動作を測定できるため、反射光の検出は好ましい解決手段である。これは、市販のシリコン歪みゲージの測定可能な範囲外であるが、本発明の複合材料には、こうした変化を検出するのに十分な感度がある。カンチレバーの動作の電気的検出により、前述した複雑な位置調整工程の必要がなくなる。
さらに、本発明の多層複合材料は、ナノエレクトロメカニカルシステムにおいて、電力供給が制限される低電力遠隔用途について、特に関心を引く。
実際に、入力電圧Vinのホイートストンブリッジに設置される抵抗Rにおいて消費される電力は、Vin /Rに比例する。ブリッジの出力電圧はVinGFに比例し、ここでGFはブリッジのアクティブアーム(active arm)における歪みセンサーのゲージ率である。本発明において、最適の充填率でのゲージ率は1000のオーダーであり、最良のシリコン歪みゲージよりも10倍大きい。したがって、その高感度のためにゲージを使用する代わりに、出力電圧は、シリコン歪みゲージを使用した場合の10分の1のVinで維持することができる。この場合、同じ抵抗の抵抗器に関して、消費電力は、シリコン歪みゲージの場合よりも100分の1小さい。これは、電池寿命が重要である携帯又は遠隔の用途にとって魅力的である。例として、携帯型モバイル機器の加速度計及び鉄道網などの遠隔のインフラストラクチャーでの応力検出が挙げられる。
しかし、本発明の多層複合材料を製造する上記ex situ工程において、電気的測定は、精巧な調整を得るのに非常に長い工程となる、金属粒子を絶縁性層に組み入れる各ステップの後に行われる。
実際に、ex situ工程において、第1の層及び第2の層により覆われた基板を、金属性イオンを含む溶液と接触させ、次いで照射し、水で洗い流し、乾燥させた後、抵抗測定を行い、所望の値φに到達するまで必要な限り何度も繰り返さなければならない。
そのため、本発明はまた、本発明の多層複合材料を製造するin situ工程も提案する。
この工程では、金属粒子の組み込み又は電気的測定を随時停止する必要がなく、絶縁性層で金属粒子が形成されるのと同時に電気的測定が行われる。
したがって、in situ工程によって、金属粒子の体積分率の非常に精密な調整が実現されて、最適の体積分率を正確に決定することができる。
本発明のin situ工程は、イオン交換工程によって金属性イオンを光還元する前に、金属性イオンを薄膜に挿入することを除いて、本発明のex situ工程と同じステップを含む。これにより、光還元と同時に電気的測定を実施することが可能になる。
本発明のin situ工程を、図10に図式的に説明する。
図10において、金属粒子はAg粒子である。
しかし、ex situ工程について本発明で定義されたように、金属粒子が任意の他の金属粒子であってもよいことは当業者に明らかであろう。
図10に戻ると、本発明のin situ工程は、第1のステップとして、鋳型剤によってメソ構造化され、光触媒材料及びシリカ含有材料を含む材料の第1の層を、ゾル−ゲル法によってベース層上に付着させるステップa)を含む。
第2のステップは、ステップa)で付着された第1の層に熱処理を施こすステップb)である。ステップb)の後、緻密化した被膜が得られる。
図10において、ステップb)は、鋳型剤を取り除くために450℃で焼成するステップである。
図10において、用いられた鋳型剤は、エタノールと混合させた界面活性剤PE6800(登録商標)である。
勿論、熱処理の継続時間及び温度は、用いられる鋳型剤によって変わることになる。
本発明のin situ工程の第3のステップは、アルカリ金属イオンを含む第2の層を第1の層上全体に付着させるステップc)である。
これは、アルカリ金属イオン、及び例えば、カルボキシレート、スルホネート、ポリアクリレート、ポリスルホネートなどの各基であり、好ましくは酢酸基である有機基を含む溶液の層を第1の層上全体に付着させることによって行われる。アルカリ金属イオンは、Li、K、又はNaであってよい。
本発明において、Naイオンが好ましい。
より好ましくは、第1の層上全体に付着される溶液は、酢酸ナトリウムを含む溶液である。
実際に、こうした酢酸ナトリウム溶液によって、第1の層上全体に均一な薄膜を非常に容易に得ることが可能になる。
次いで、ステップd)において、第1の層上に付着された溶液に含まれる有機基の除去が行われる。
第1の層のマトリックスが有機ポリマー製である場合、ステップd)は、ステップe)で得られた積層体を洗浄するステップであることができ、この洗浄は、第1の層上全体に付着された溶液に含まれる有機基を溶解且つ排出するのに適した溶液で実施される。
第1の層のマトリックスがシリカ製である場合、ステップd)はステップe)で得られた積層体を焼成するステップである。さらにこの焼成により、第1の層内でアルカリ金属イオンの均一な拡散が可能になる。
ステップd)の後、図10に示すように、アルカリ金属イオンを第1の層に拡散させる。
次いで図10に示すように、ステップe)において、ステップd)で得られた積層体を、金属イオンを含む溶液に浸漬させる。
金属イオンは、銀イオン、金イオン、パラジウムイオン、白金イオン、ニッケルイオン、及びコバルトイオンからなる群から選択される。
Naイオンと容易に交換し、容易に光還元されるという理由で、好ましくはAgイオンが選択される。
ステップe)のイオン交換工程の温度及び時間は、交換工程の効率性によって変わる。
例えば、NaイオンをAgイオンで交換するには、90℃で1時間あれば十分でもよい。しかし、このイオン交換工程はまた、室温、すなわち15℃〜35℃の温度でも実施されることがある。この後者の場合、時間がより必要である。
一旦、イオン交換工程が完了すると、ステップe)で得られた積層体は、ステップf)において、例えば水で洗い流し、例えば室温(15〜35℃)で乾燥させる(図10に図示せず)。
次いで、金属イオンに還元工程を施す。この金属イオンの還元は、本発明のin situ工程のステップg)の目的である。
この還元は、例えば、ステップf)で得られた層で覆われたベース層に光触媒材料(図10の場合、TiO粒子)を活性化させる放射線で照射することによって実施できる。
好ましくは、入射放射線のエネルギーが光触媒材料のバンドギャップ内である。放射は、金属粒子の体積分率がφ+δφ、但し0<δφ≦5%に至る体積分率φに到達するのに十分な時間で実施され、臨界体積分率φは複合材料が絶縁体から金属へ転移する体積分率である。
電気的接続及び印加応力の方向を示す被膜(上面図)の概略図。 そのピエゾ抵抗特性をφの関数として調べるために、ピエゾ抵抗材料に応力を印加するために用いた原理を示す側面図。 本発明の方法によって得られたピエゾ抵抗材料の概略図(断面図)。 R=f(φ)を表す曲線。 GF=f(φ)を表す曲線。 体積分率φに対する、ゲージ率GF(下の区画)、標準偏差(中間の区間)、性能指数F(上の区間)のプロットを示す曲線。 オーム接点を有する被膜の上面図。 いくつかの異なるUV照射時間での被膜の上面図。 吸光度対体積分率のプロットを示す較正曲線。 吸光度及び輝度対照射時間のプロットを示す曲線。 本発明のin situ工程の様々なステップを図式的に説明する図。 本発明のin situ工程によって得られた多層複合材料で得られる、抵抗(オーム)の変化をφ(%)の関数として表す曲線。 本発明のin situ工程によって得られた他の多層複合材料断面のTEM(透過型電子顕微鏡)画像。 本発明のin situ工程によって得られた他の多層複合材料断面のSEM(走査型電子顕微鏡)画像。
次に、本発明を以下の実施例によって説明する。
「実施例1」
本発明の多層複合材料の製造
ステップa)からステップc)までの被膜を形成するステップ及び熟成処理するステップ
溶液(1)は、以下の化合物を混合し、得られた混合物を還流しながら60℃で加熱し、1時間混合することによって得られる。
TEOS(テトラエトキシシラン)11mL(前駆物質)
エタノール11mL(水性有機溶媒)
pH=1.25のHCl4.5mL(触媒)
溶液(2)は、BASFPluronic(登録商標)PE6800、2.205gをエタノール20mLに溶解させることによって得られる。
溶液(3)は、溶液(1)10mLを溶液(2)へ添加することによって得られる。
次いで、溶液(3)を450nmナイロンフィルターで濾過する。
Crystal Globalより供給されるTiO2S5−300Aコロイド懸濁液(Cm=231g/L)857mLを濾過した溶液(3)4mLへ添加する。
次いで、得られた混合物を混合する。
この溶液を、スピン塗布(1分間に2000rpm)によってソーダ石灰ガラス基板(厚さ20μm)に付着させる。第1の層により覆われた基板はこうして得られ、酢酸マグネシウム飽和溶液を用いた湿潤雰囲気(HR=65%)で30分間保持される。
次いで、他の層を、溶液(3)を用いて第1の層へ付着させる。付着は、制御された湿潤雰囲気下での保持を含む、第1の層の付着と同じ条件の下で、スピン塗布によって行われる。
第1の層及び第2の層は「被膜」と称される。
被膜により覆われた基板は、次いで450℃で2時間加熱され、それによって緻密化した被膜が得られる。
ステップd)金属性イオンを含む溶液と被膜を接触させるステップ及びステップe)φ+0.3%に到達するようにこの被膜を照射するステップ
被膜の活性部分(すなわち、図2の領域C)を覆うように、AgNO溶液の液滴を置く。次いで、被膜にUV光(波長312nm、パワー=1mW/cm)を用いて様々な時間で照射した。
各々の照射時間について、被膜を水で洗い流し、乾燥させた後、抵抗測定を行った。
φを決定するために、較正曲線R=f(φ)をプロットした(図3参照)。
図3によれば、φが12.5%〜13.5%に対して、高抵抗領域(ポイント1及び2)から導電性領域(ポイント6)へ非常に急激な転移(ポイント3、4、及び5)を示す。この方法で、φは約13%であると考えられる。
φのより正確な値を得るために、較正曲線GF=f(φ)をプロットした(図4参照)。図4で、φ=φ=13.1%(パワー1mW/cm、照射時間15分に対応する)で最大値(4330)を有する、明確且つ非常に鋭いGFのピークが観測され、バルク又はナノ構造化されたシリコンのものをかなり上回る。
曲線GF=f(φ)から得られた、これらの決定されたφの値から、15分20秒の照射時間に対応する、φの値に0.3%加えることによって、本発明の多層複合材料を製造することが可能である。
「実施例2」
性能指数Fの最大値との関係
実施例1のステップd)で得られた試料を様々な時間で照射した。
図5によれば、ゲージ率の値、ゲージ率の標準偏差、及び性能指数の各値が、明確なφの値である個々の数値(所与の照射時間に対応する、上記の照射時間と体積分率の関係を参照)に対してプロットされている。
図5(下の区画)に示すように、φ=φ〜13.1%(パワー1mW/cm、照射時間15分に対応する)で最大値(4330)を有する、明確且つ非常に鋭いGFのピークが観測され、バルク又はナノ構造化されたシリコンのものをかなり上回る。他の試料において、約12000までの値が観測された(データは示さず)。ここで、GFのピークは、球体がランダムに分布した網目構造における3次元連続パーコレーションで予測される16%付近に生じる。
図5(中間の区間)には、φの関数として測定されたσGFが示され、予測通り、実際にσGFはφで最大値を示す。ここでGF測定を200回繰り返し、したがってσGFの値は確かなものである。σGFはまた、φ付近の期待値付近でべき乗則指数0.97にも従うことが分かる(データは示さず)。
図5(上の区間)に示すように、次いで性能指数F(又はFOM)対照射時間をプロットすることができ、この較正曲線についていくつかの重要な点が注目される。
第1の点は、FOM(性能指数)がφで最大化するのではなく、むしろφ+0.3%、すなわちパーコレーション閾値の導電性の金属性側へ僅かな所で最大化することである。
したがって、本実施例において、15分20秒に対応する照射時間で(すなわち、体積分率13.4%で)Fmaxに到達する。
ここで決定されたFOMのピークの値は3であり、これはバルクシリコンで測定されたFOMの値よりも約5〜10倍大きい(別個に測定された、図4の上の区間における水平の破線をそれぞれ参照)。したがって、本発明によれば、最適化ピエゾ抵抗材料(較正曲線F=f(φ)が得られたピエゾ抵抗材料と、同じ材料を含み、且つ同じ方法で調製される)を波長312nm、パワー1mW/cmで、且つ15分20秒の照射時間で得ることができる。
実施例1及び実施例2の付属実験部分、抵抗測定のためのオーム接点作製、ゲージ率測定、金属粒子の体積分率と照射時間との関係
オーム接点作製技術
抵抗値又はゲージ率の値をφの関数として決定するための抵抗測定の実施を考慮すると、被膜にオーム接点を形成することが必要である。そのためには、初めに被膜をその中心(図6の、領域A及び領域Cで示される薄膜の活性部分)においてKapton(登録商標)マスクで覆う。
被膜をAgNO0.05M:イソプロパノール混合物(1:1体積比)の水溶液に浸漬させることによって、覆われていない部分(図6の領域B)を銀で充填する。
次いで、UV光(312nm、1mW/cm2、50分間)で照射を実施して、Agイオンから金属性銀粒子へ光触媒還元が行われる。照射時間は、被膜における飽和するまでの銀の充填、すなわち約18体積%を確実にするものである。図6に概略的に図示するように、被膜を洗い流し、乾燥させた後、銀が充填されたパターンは2つの導電端子を形成する。
さらなるステップにおいて、試料(5mm×5mm正方形)の中心部分(図6の領域C)を除いた未露出部分の被膜(図6の領域A)(初めにKaptonマスクの下)を引っかいて機械的に取り除く。2つの導電端子(B)の間にある残りの中心部分(C)が、対象の、電気的特性が測定される活性部分である。
最後に、2つの導電端子(B)を銀塗料を用いて外部の銅線に接続する。
パラメータ、GF、<GF>、及びσGFの決定
図1aに示したオーム接点を有する試料を、cyanolit(登録商標)202接着剤を用いて、図1bに概略的に図示すように鋼板(長さ=50cm、厚さ=0.6mm、及び幅=5cm)の中心に付けた。
鋼板の2つの端部に圧縮力を印加する。鋼板は半波長L及び振幅Hの正弦波状に変形する。結果として、ピエゾ抵抗材料は一軸引張り応力を受ける。
(鋼板の2つの端部に印加した力を調整することによって)印加応力を調整する。次いで、H1とH2の間にある正弦曲線の振幅は、200回にわたって求められる。
DC抵抗を電圧源及び接地ピコアンメータを用いて測定する。
抵抗測定における所望しない変動を避けるために、電流は1μA未満に常に保たれる。
抵抗は各応力レベル(H1及びH2によって示された高さ)で測定され、それぞれR(H1)及びR(H2)と名付けられる。
各回の抵抗の差と、同じ回のより小さい(R(H1))応力で測定した後、印加応力の差を乗じた抵抗R(H1)及びR(H2)の値との比をとることによって、ゲージ率(GF)が測定される。
次いで、測定を200回繰り返し、GFの平均値を計算する。
<GF>の値があれば、標準偏差σGFを計算することができ、次いでFGFを決定することができる。
照射時間と体積分率φを関係づけるために、様々な照射時間(様々な体積分率に対応する)での試料の画像を図7に示す。銀の充填が増すと、薄膜が黄色から暗褐色を示し、薄膜の吸収が増す。
先行研究において、異なる波長で、化学分析によって決定された銀の充填φの関数として吸光度をプロットして、実験曲線を得た。化学分析は、既知の面積及び厚さの銀充填薄膜に存在する銀粒子を硝酸で溶解させることによって行われた。
次いで、薄膜の銀イオン含有量をICPによって分析する。その結果より、薄膜における初めの銀の体積分率を計算することができる。
吸光度対φの曲線が分かれば、その吸収を測定した後、薄膜の銀の充填を決定することが可能である。
様々な照射時間で(同じ焦点合わせ及び光状態を維持して)、試料の画像を撮った。
第2の曲線は、イメージジェイ(imageJ)ソフトウェアを用いて定量化された活性部分(C)の輝度を照射時間の関数としてプロットすることによって、実験的に決定された(図9)。輝度は、グレー値分布のヒストグラムの平均として定義される。
予め決定された吸光度対体積分率の曲線(図8)を用いて、照射時間と直接関係する活性部分の輝度の関数として、銀の充填を決定することができる。
「実施例3」
市販の歪みゲージの性能指数と本発明の複合材料の性能指数との比較
2つの市販の歪みゲージ(1つの金属性ゲージ及び1つのシリコンゲージ(Siゲージ))の性能指数を、以下の式F=<GF>/σGFを用いて、ゲージ率の平均<GF>及び標準偏差σGF(使用者から周知である)から計算した。
実施例1によって得られた複合材料の性能指数を計算し、市販のゲージ性能指数と比較した。
結果を以下の表にまとめる。
上記の表により、本発明の複合材料の性能指数が金属性ゲージ及びシリコンゲージの性能指数より6倍大きいことが明らかである。
したがって、本発明の複合材料は市販の歪みゲージに比べてより高感度である。
「実施例4」
in situ工程による本発明の多層複合材料の製造
溶液(1)は、以下の化合物を混合し、得られた混合物を還流しながら60℃で加熱し、1時間混合することによって得られる。
TEOS(テトラエトキシシラン)11mL(前駆物質)
エタノール11mL(水性有機溶媒)
pH=1.25のHCl4.5mL(触媒)
溶液(2)は、BASFPluronic(登録商標)PE6800、2.205gをエタノール20mLに溶解させることによって得られる。
溶液(3)は、溶液(1)10mLを溶液(2)へ添加することによって得られる。
次いで、溶液(3)を450nmナイロンフィルターで濾過する。
Crystal Globalより供給されるTiO2S5−300Aコロイド懸濁液(Cm=231g/L)857mLを濾過した溶液(3)4mLへ添加する。
次いで、得られた混合物を混合する。
この溶液を、スピン塗布(1分間に2000rpm)によってソーダ石灰ガラス基板(厚さ20μm)に付着させる。第1の層で覆われた基板はこうして得られ、酢酸マグネシウム飽和溶液を用いた湿潤雰囲気(HR=65%)で30分間保持される。
勿論、基板は、ソーダ石灰ガラスの代わりにシリコンウェハであってもよい。
付着後、焼成を450℃で2時間施こした。次いで、酢酸Na溶液(ETOH1ml及びH2O2ml中に4g)0.4mlを多孔質層にスピン塗布した。次いで、焼成を450℃で2時間施こした。これにより、酢酸基が取り除かれ、ナトリウムイオンを多孔質マトリックス内で拡散させることができる。
銀の光還元工程
光還元工程は、1.金属イオン交換、2.金属イオン還元の2つのステップで行った。イオン交換工程は、薄膜を、AgNO(100mlに4g)のイソプロパノールと水(8:2比率)の溶液中へ90℃で1時間浸漬させることによって行った。これにより、銀イオンを多孔質マトリックス内で拡散させ、ナトリウムイオンと交換させることができる。水で洗い流し、窒素を吹き付けて乾燥させた後、試料をUVランプ(312nm、4.5mW/cm2)で照射した。初めに試料は褐色になり、照射を3時間した後、金属性の銀色に輝く試料を得る。
光還元工程の間、抵抗を連続的に測定した。図11に得られた曲線を示す。
図11と図3を比較すると、本発明のin situ工程について、本発明のex situ工程よりもより精巧な調整が得られることが分かる。
図12は、本発明のin situ工程によって得られた、ベース層がシリコン基板である多層複合材料の断面のTEM画像を示し、図13は、本発明のin situ工程によって得られた、ベース層がガラス基板である多層複合材料の断面のSEM画像を示す。
実際に、ベース層(基板)は、ガラス、シリコン、又は任意の他の材料で作製することができる。本実施例では、基板はガラス製である。
図12及び図13から分かるように、本発明の多層複合材料は、絶縁性マトリックス内に金属粒子相を有する絶縁性マトリックス相で構成される金属質層を含む。
ここで、絶縁性マトリックスは、ゾル−ゲル法によって得られた、いくつかの残留アルカリ金属イオンを含むシリカである。
結論
したがって、本発明による方法では、複合材料を歪みゲージとして使用する最適の方法は、金属粒子の体積分率が、ゲージ率の最大値(すなわちパーコレーション閾値)に対応するのではなく、パーコレーション閾値の僅かに上の性能指数の最大値Fmaxに対応する複合材料を使用することである。
GFの変動は、φ(すなわち、この点でのより高い標準偏差)で発散するので、パーコレーション閾値(φ)で任意の複合材料を使用することは推奨しない。最適のAg体積分率は、φの金属性、導電性側へ1%未満のところにあることが実験的に示される。この場合、ナノ複合材料歪みゲージの性能指数は、市販の歪みゲージの相当量よりも5〜10倍より大きいことが示される。したがって、歪みゲージとして複合材料を最適に開発するには、金属性の体積分率を精巧に制御する能力を要する。

Claims (13)

  1. ベース層と、
    絶縁性マトリックス相及び金属粒子相から構成される金属質層と
    を有する多層複合材料であって、
    前記金属粒子が絶縁性マトリックス中に分散しており、前記金属粒子の体積と前記金属質層の体積の比である体積分率φが、臨界体積分率φ+δφ、但し0<δφ≦5%に対応しており、前記臨界体積分率φは、前記体積分率φの関数としての前記金属質層の導電率の増大が最大値となる体積分率である、多層複合材料。
  2. 前記金属粒子が、銀粒子、金粒子、パラジウム粒子、白金粒子、コバルト粒子、及びニッケル粒子からなる群から選択される、請求項1に記載された多層複合材料。
  3. 前記金属粒子の粒径が1〜500nmである、請求項1又は請求項2に記載された多層複合材料。
  4. φの値が、以下のステップ、すなわち、
    較正曲線R=f(φ)をプロットするステップと、
    φに対応する、前記曲線の変曲点を決定するステップと
    を含む方法によって決定される、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された多層複合材料。
  5. φの値が、以下のステップ、すなわち、
    較正曲線GF=f(φ)をプロットするステップと、
    φに対応する、前記曲線の極大点又はd(GF)/d(φ)が零である点を決定するステップと
    を含む方法によって決定される、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された多層複合材料。
  6. 0<δφ≦4%である、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された多層複合材料。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された多層複合材料を製造する方法であって、該方法が、
    a)ベース層を準備するステップと、
    b)絶縁性マトリックス相及び金属粒子相から構成される金属質層を前記ベース層上に形成するステップであって、前記金属粒子が絶縁性マトリックス中に分散しており、金属粒子の体積と前記金属質層の体積の比である体積分率φが、臨界体積分率φ+δφ、但し0<δφ≦5%に対応しており、φが、前記体積分率φの関数としての前記金属質層の導電率の増大が最大値となる体積分率である、前記金属質層を前記ベース層上に形成するステップと
    を含む方法。
  8. 前記ステップb)が、
    光触媒材料を含む層を前記ベース層上に形成するステップと、
    前記光触媒材料を含む層により覆われた前記ベース層を、銀イオン、金イオン、パラジウムイオン、白金イオン、コバルトイオン、及びニッケルイオンからなる群から選択される金属イオンを含む溶液と接触させるステップと、
    前記光触媒材料を含む層により覆われた前記ベース層を、前記光触媒材料を活性化させる放射線により体積分率φを有するに十分な時間、照射するステップであって、前記金属粒子の体積と前記金属質層の体積の比である前記体積分率φが、臨界体積分率φ+δφ、但し0<δφ≦5%に対応しており、φが、前記体積分率φの関数としての前記金属質層の導電率の増大が最大値を有する前記臨界体積分率である、照射するステップと
    を含む、請求項7に記載された方法。
  9. a)鋳型剤によってメソ構造化され、光触媒材料及びシリカ含有材料を含む材料の第1の層を、ゾル−ゲル法によってベース層上に付着させるステップと、
    b)鋳型剤によってメソ構造化され、シリカ含有材料を含むが、光触媒材料は含まない材料の第2の層を、ゾル−ゲル法によって前記第1の層上に付着させるステップと、
    c)前記第1の層及び前記第2の層に熱処理を施して、それによって緻密化した被膜を得るステップと、
    d)任意選択で、前記鋳型剤を取り除くために、前記第1の層及び前記第2の層を焼成するステップと、
    e)ステップc)で得られた前記緻密化した被膜を、銀イオン、金イオン、パラジウムイオン、白金イオン、ニッケルイオン、及びコバルトイオンからなる群から選択される金属イオンを含む溶液と接触させるステップと、
    f)前記緻密化した被膜によって覆われた前記ベース層を、前記光触媒材料を活性化させる放射線により体積分率φを有するように十分な時間、照射するステップであって、前記金属粒子の体積と前記金属質層の体積の比である前記体積分率φが、臨界体積分率φ+δφ、但し0<δφ≦5%に対応しており、φが、前記体積分率φの関数としての前記金属質層の導電率の増大が最大値を有する前記臨界体積分率である、照射するステップと
    を含む、請求項8に記載された方法。
  10. ステップb)が、
    b)光触媒材料を含む第1の層を前記ベース層上に形成するステップと、
    c)前記光触媒材料を含む第1の層により覆われた前記ベース層を、銀イオン、金イオン、パラジウムイオン、白金イオン、コバルトイオン、及びニッケルイオンからなる群から選択される金属イオンを含む溶液と接触させるステップと、
    d)前記光触媒材料を含む第1の層により覆われた前記ベース層を時間tの間、放射線により照射するステップと、
    e)較正曲線t=f(φ)を用いて、前記照射の時間tを体積分率φと対応させるステップと、
    f)以下の式を用いてGFを測定するステップであって、

    ここで、ΔRは、試料への印加応力の差に対応する、前記試料で測定された抵抗の差であり、R0は、無応力下の試料で測定された抵抗であり、Δεは、印加応力によって引き起こされる歪みである、GFを測定するステップと、
    g)以下の一般式に従ってGFの平均を計算するために、GF測定をm回繰り返すステップと、

    h)以下の式によりGF測定の標準偏差を測定するステップと、

    i)以下の式により性能指数Fを測定するステップと、

    j)dF/dφを測定するステップと、
    k)dF/dφ=0の場合、Fの最大値Fmaxが得られ、照射を停止するステップと、
    l)dF/dφ>0の場合、前記複合材料をさらなる時間照射し、ステップk)の要件を満たすまで、ステップb)からj)までを繰り返すステップと
    を含む、請求項7に記載された方法。
  11. 前記光触媒材料が、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ビスマス、及び酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化鉄、BiFe、又はその混合物、或いは任意のそれらの固溶体からなる金属酸化物の群から選択される、請求項8から請求項10までのいずれか一項に記載された方法。
  12. ステップb)が、
    a)鋳型剤によってメソ構造化され、光触媒材料及びシリカ含有材料を含む材料の第1の層を、ゾル−ゲル法によって前記ベース層上に付着させるステップと、
    b)任意選択で、前記第1の層に熱処理を施すステップと、
    c)有機基、及び好ましくはNaイオンであるアルカリ金属イオンを含む溶液、より好ましくは酢酸ナトリウムを含む溶液である第2の層を、前記第1の層上全体に付着させるステップであって、それにより前記第1の層上に均一な薄膜を得るステップと、
    d)焼成によって前記有機基を取り除き、前記第1の層内で前記アルカリ金属イオンを均一に拡散させるために、前記試料に熱処理を施すステップと、
    e)ステップd)で得られた前記被膜を、銀イオン、金イオン、パラジウムイオン、白金イオン、ニッケルイオン、及びコバルトイオンからなる群から選択される金属イオンを含む溶液に15℃〜90℃の温度で少なくとも1時間浸漬させて、前記アルカリ金属イオンを前記金属イオンによって完全に交換させるステップと、
    f)ステップe)で得られた前記被膜を洗い流し、乾燥させるステップと、
    g)ステップf)で得られた前記被膜層を、前記光触媒材料を活性化させ、好ましくは入射放射線のエネルギーが前記光触媒材料のバンドギャップ内である放射線により、十分な時間照射することにより、金属粒子の体積分率である体積分率φが、φ+δφ、但し0<δφ≦5%に到達させるステップであって、前記臨界体積分率φが、得られた前記多層複合材料が絶縁体から金属へ転移する体積分率である、ステップと
    を含む、請求項7に記載された方法。
  13. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された多層複合材料、又は請求項7から請求項12までのいずれか一項に記載された方法によって得られた多層複合材料の歪みゲージとしての使用。
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