JP6288675B2 - 運動特性計測装置及び運動特性計測方法 - Google Patents
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Description
一般にこれらの特性を取得する試験、解析としては、風洞試験及びCFD等が用いられるが、どちらも実機を用いることができず機体サイズの制約による誤差を避けることができない。
一方、実機を用いることのできる飛行試験は風環境などの再現性が低く体系的なデータの取得が困難である上に、飛行に先立ち各種技術的証明が必要でコストや期間が膨大となる問題点がある。
しかしながら、試験飛行による新規技術の評価試験は上記のようにデータの生産性が低く、一方飛行シミュレータによる評価は、実飛行時と加速度などの体感環境が異なることで操縦特性が異なる可能性が指摘されている(非特許文献2等参照。)。
これらの問題は航空機における新規技術導入の大きな障壁であり、航空機の飛躍的な性能向上を阻む要因となっている。
このような問題に対し、小型ながらも実機を用いることのできる可能性のある地上試験法として曳航試験が公知である(特許文献1、特許文献2、非特許文献1等参照。)。
さらに、推力応答等の非定常特性や横方向自由度の特性取得ができないという問題点があった。
このことで、多様な条件の運動を模擬でき、かつ、応答性よく台車や連結体の運動を制御可能となるため、自由飛行及び推力応答環境を多様に模擬して特性を取得することが可能となり、少ないコストで短期間に自由飛行運動、推力応答、燃費及び操縦特性等を精度よく取得することが可能となる。
本請求項3に記載の構成によれば、台車が、電動モータを動力として移動可能に構成されていることにより、応答性の高い電動モータによって、さらに正確に自由飛行及び推力応答環境を多様に模擬して特性を取得することができる。
本請求項6に記載の構成によれば、台車の前方には、試験体に作用する気流の流向及び流量の少なくとも1つを変化させる複数の動翼を有することにより、横風や突風等の環境を模擬することが可能となり、さらに多様な条件の運動を模擬することが可能となる。
本請求項7及び本請求項9に記載の構成によれば、複数の動翼により変化した気流の流向、流速及び密度の少なくとも1つを検出することにより、横風や突風等の環境を模擬した際の条件をより正確に模擬することができる。
第1実施形態に係る運動特性計測装置100は、図1、図2に概略を示すように、移動可能な台車110と、試験体Tを支持する連結体120と、試験体Tの運動状態を検出する運動状態検出手段121を有している。
連結体120は、台車110の上面に固定された支持枠112に、縦リニアガイド113及び横リニアガイド114を介して変位可能に設けられている。
試験体Tは、縦リニアガイド113及び横リニアガイド114によりx方向及びy方向に関して支持枠112の範囲内で並進運動ができるよう構成されている。
台車110は前後左右の4つの車輪111を有し、電動モータを動力源として走行するように構成されている。
運動状態検出手段121は、本実施形態では試験体Tに配置され、試験体Tの加速度や角速度などを検知するとともに、試験体Tは、揚力を発生する主翼及び推力を発生するプロペラを備えている。
図中のパラメータは、以下のとおりである。
M :試験体Tの質量
Xr:相対変位
V :対気速度
F :推力
D :抗力
U :突風速度(上記実施形態では=0)
添字*は指令値、nはノミナル化された量、dは台車110側の量を指す。
制御手段は、台車110と試験体Tとの相対変位Xrの指令値Xr*を0に維持するよう台車1の運動を制御する。
このとき、前述の制御手段のブロック図に従い、台車110を駆動する電動モータのトルクを高速且つ精密に制御することで、Xrの変動幅を非常に小さく抑えることができ、このときの試験体Tの運動状態を運動状態検出手段121で検知することで、試験体Tの推力応答を得ることができる。
また、連結体220と試験体Tとの間は、ピッチ、ロール、ヨー各軸に数十度程度の回転運動が可能なボールジョイント222で結合されている。
また、本実施形態では、台車210の前方に、試験体Tに作用する気流の流向を変化させる垂直に延びる複数の動翼230を備え、動翼230の後方には気流検出手段240を備えている。
さらに、車輪211は、左右(y方向両側)でそれぞれ独立して駆動可能に設けられ、前後でそれぞれ独立して操舵可能に構成されている。
運動状態検出手段221は、本実施形態では試験体Tに配置され、試験体Tの加速度や角速度などを検知するとともに、試験体Tは、揚力を発生する主翼及び推力を発生するプロペラを備えている。
このとき台車210は、縦リニアガイド213及び横リニアガイド214のエンコーダの情報をフィードバックし、連結体220の変位(=試験体Tの変位)が支持枠212の範囲に収まるよう、台車210の左右の車輪211の駆動力や前後の車輪の操舵を制御して運動を制御する。
このとき気流検出手段240から得られた気流速度ベクトル(x成分及びy成分)と運動状態検出手段221から得られた加速度及び角速度情報から、試験体Tの横方向突風応答関数が直接得られる。
以上のような構成において、水平方向に設置した複数の動翼330を上下に変化させることで、気流検出手段340から得られた気流速度ベクトル(x成分及びz成分)と運動状態検出手段321から得られた加速度及び角速度情報から、試験体Tの鉛直方向突風応答関数が得られる。
このとき、試験体Tに発生した鉛直方向及び前後方向運動情報を、縦リニアガイド313及び連結体320のエンコーダの情報を制御手段にフィードバックし、連結体320の変位(=試験体Tの変位)が支持枠312の範囲及び連結体320の鉛直方向可動範囲に収まるよう台車310の運動を制御する。
そして、前述と同様に、気流検出手段340から得られた気流速度ベクトル(x成分及びz成分)と運動状態検出手段321から得られた加速度及び角速度情報から、試験体Tの追風突風応答関数を得ることできる。
また、複数の動翼330を前述とは逆に駆動した場合には、遮られていた気流が減速せず試験体Tに作用するようになるため、同様の制御により向かい風突風応答関数を得ることもできる。
また、第2実施形態及び第3実施形態に係る運動特性計測装置200、300において、試験体Tのピッチ、ロール、ヨーの各軸の姿勢を積極的に変更するアクチュエータを備え、制御手段によって制御可能としてもよい。
また、台車や連結体の運動や姿勢制御に、試験体の運動状態をフィードバックすることで、多様な条件の運動を模擬でき、かつ、応答性よく台車や連結体の運動を制御可能となり、少ないコストで短期間に自由飛行運動、推力応答、燃費及び操縦特性等を精度よく取得することが可能となる。
試験体は、航空機に限定されず、気流内での運動特性を計測すべき対象であればいかなるものであってもよい。
また、運動状態検出手段、エンコーダ、気流検出手段は、上記実施形態では、具体的な構成は示していないが、機能的に検出すべき変位、速度、加速度、姿勢、角速度、角加速度、力、モーメント等を検知する手段であればいかなるものであってもよく、複数の検知手段を組み合わせたり、他の検知手段のパラメータから演算で検知するものであってもよい。
110、210、310 ・・・ 台車
111、211、311 ・・・ 車輪
112、212、312 ・・・ 支持枠
113、213、313 ・・・ 縦リニアガイド
114、214、314 ・・・ 横リニアガイド
120、220、320 ・・・ 連結体
121、221、321 ・・・ 運動状態検出手段
222、322 ・・・ ボールジョイント
230、330 ・・・ 動翼
240、340 ・・・ 気流検出手段
T ・・・ 試験体
Claims (9)
- 移動可能な台車と、試験体を支持する連結体と、試験体の運動状態を検出する運動状態検出手段とを有し、
前記連結体が、前記台車に対して複数の自由度の運動軸で所定範囲の変位可能に設けられた運動特性計測装置であって、
前記連結体の台車に対する位置又は姿勢を変更するように、前記台車の移動を制御して前記台車の位置、速度及び姿勢を変更、制御する制御手段をさらに有し、
前記制御手段が、演算部と台車運動制御部を有し、
前記演算部が、運動状態検出手段から得られた情報から前記連結体の台車に対する複数の自由度の運動軸の変位を所定範囲内とするように演算し、台車運動制御部に出力することを特徴とする運動特性計測装置。 - 前記制御手段が、運動推定部を有し、
前記運動推定部が、試験体が発生する力、モーメント又は運動の少なくとも1つを推定し、推定された力、モーメント又は運動から生じる少なくとも1つの自由度の運動を演算部に出力し、
前記演算部が、前記運動状態検出手段から得られた情報と前記運動推定部の出力情報を基に演算することを特徴とする請求項1に記載の運動特性計測装置。 - 前記台車が、電動モータを動力として移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運動特性計測装置。
- 前記台車が、進行方向に対して左右に車輪を有し、
前記電動モータが、左右の車輪を独立して駆動可能に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の運動特性計測装置。 - 前記台車が、進行方向に対して前後に車輪を有し、
前記前後の車輪が、独立して操舵可能に構成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の運動特性計測装置。 - 前記台車上の前方には、試験体に作用する気流の流向及び流量の少なくとも1つを変化させる複数の動翼を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の運動特性計測装置。
- 前記台車上には、前記複数の動翼により変化した気流の流向、流速及び密度の少なくとも1つを検出する気流検出手段を有することを特徴とする請求項6に記載の運動特性計測装置。
- 移動可能な台車と、試験体を支持する連結体を有し、試験体の運動状態を検出する運動特性計測方法であって、
前記連結体が、前記台車に対して複数の自由度の運動軸で所定範囲の変位可能に設けられ、
前記検出された運動状態を用いて前記連結体の台車に対する複数の自由度の運動軸の変位を所定範囲内とするように演算し、
前記連結体の台車に対する位置又は姿勢を変更するように、前記台車の移動を制御して前記台車の位置、速度及び姿勢を変更、制御することを特徴とする運動特性計測方法。 - 前記台車上の前方には、試験体に作用する気流の流向及び流量の少なくとも1つを変化させる複数の動翼を設け、
前記複数の動翼により変化した気流の流向、流速及び密度の少なくとも1つを検出することを特徴とする請求項8に記載の運動特性計測方法。
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