JP6287376B2 - 遮煙性能評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、遮煙性能評価方法に関するものであり、具体的には、加圧防排煙設備における静圧上昇割合を精度良く計測し、遮煙性能を高精度に評価可能とする技術に関する。
所定規模の構造物においては、火災発生時に生じる煙を適切に排出させ、避難行動や消火活動を容易にする排煙設備の設置が必要となる。そのうち、加圧防排煙設備は、避難階段に隣接する室、特別避難階段の附室、その他これらに類する室といった、避難や消火活動の拠点について、給気口から給気した気流による遮煙開口部の加圧により、内部の煙を排除するとともに外部からの煙の流入を防止する機能を備えている。
一方、このような加圧防排煙設備における遮煙性能を評価することは、加圧防排煙設備の優劣を明確なものとし、必要とされる遮煙性能に向けた給気手法の選択や機能改良等の要否を認識する重要な作業となる。従来は、遮煙開口部に多数の風速計を設置した上で、附室に対する所定量の常温給気を行い、この常温給気時に各風速計から得られる風速値の平均を、所定の基準値や他給気方式での計測値との間で比較して遮煙性能評価を行っていた。
ところが、風速計で測定される風速値は、給気方式による測定箇所間でのばらつきが大きくなる恐れがあり、また、この風速値が大きくとも動圧が支配的であれば遮煙性能は不良である場合もあり、いずれにせよ精度に問題があった。
そこで、上述の風速測定による遮煙性能評価手法とは異なる技術として、以下のような技術が提案されている。すなわち、エレベータ乗降口を閉鎖する乗り場ドアの前側空間をほぼ密閉状態にし、この密閉空間内を気圧差発生手段で加圧もしくは減圧して気圧測定し、密閉空間内と気圧差発生手段との間を流れる気体流量を測定することで性能を測定する装置(特許文献1)などが提案されている。
特開2004−224532号公報
上述のように様々に測定、評価される遮煙性能には、給気口からの気流方向にのみに遮煙効果を及ぼす動圧ではなく、遮煙開口部に対し全方向から遮煙効果を及ぼす静圧の大小が支配的な影響を与えている。そうした静圧が支配的な場すなわち静圧場での開口流れOfは、図1にて示すとおり室間の静圧差のみに起因する(静圧高→静圧小の方向に気流が発生する)。
従って、所定量の給気によって、附室の静圧が隣接室の静圧より相対的に高い状態となるほど、相対的に動圧分は減衰し、遮煙開口部全域における遮煙方向の気流形成が進み、確実な遮煙効果が期待できる。換言すると、遮煙性能に支配的な影響を及ぼす静圧の、給気による上昇割合を精度良く計測することで、加圧防排煙設備における遮煙性能を高精度に評価することにつながるのである。
そこで本発明は、加圧防排煙設備における静圧上昇割合を精度良く計測し、遮煙性能を高精度に評価可能とする技術の提供を目的とする。
上記課題を解決する遮煙性能評価方法は、構造物において給気口から附室を通じて遮煙開口部に給気する加圧防排煙設備の遮煙性能を評価する方法であって、複数の静圧測定装置を互いに異なる方向で前記附室に配置して、前記附室に所定量の常温給気を行った際の静圧上昇割合を測定する測定工程と、各静圧測定装置による測定値と所定基準値とを比較し、各静圧測定装置によるいずれかの測定値が前記所定基準値を上回る乃至近似する程度に応じて遮煙性能を評価する評価工程と、を実行することを特徴とする。
これによれば、複数方向に関しての静圧測定結果のうち、例えば最大値を選び出すことにより、風速を伴う気流に応じた動圧分の影響を出来るだけ抑制しつつ、隣接室等に対する附室の静圧上昇割合を高精度に特定し、ひいては精度良好な遮煙性能評価が可能となる。また、測定方法や手順は簡便なものであり、従来のように多数の風速計を設置して測定にも手間がかかるとった問題も解消される。したがって加圧防排煙設備における静圧上昇割合を精度良く計測し、遮煙性能を高精度に評価可能となる。
なお上述の遮煙性能評価方法における前記評価工程において、各静圧測定装置による測定値と、前記所定基準値たる、前記所定量の常温給気の実行時における静圧場での静圧上昇割合の理論値とを比較し、各静圧測定装置によるいずれかの測定値が前記静圧上昇割合の理論値を上回る乃至近似する程度に応じて遮煙性能を評価する、としてもよい。
これによれば、所定量の給気による静圧上昇の割合に関する理論的な理想値に基づいて、遮煙性能の評価を行うこととなり、精度良好かつ客観的な遮煙性能評価を行うことが可能となる。
また、上述の遮煙性能評価方法における前記測定工程において、3体の静圧測定装置を互いに直交させる方向で前記附室に配置して、前記附室に所定量の常温給気を行った際の各方向での静圧上昇割合を測定し、前記評価工程において、3体の各静圧測定装置による測定値のうち最大の測定値と所定基準値とを比較し、前記最大の測定値が前記所定基準値を上回る乃至近似する程度に応じて遮煙性能を評価するとしてもよい。
これによれば、例えば附室内空間におけるxyzの3軸方向に関しての静圧測定結果のうちの最大値、すなわち3軸方向のうち最も気流方向に合致した方向にてその動圧分を排除した静圧測定値を選び出すことにより、風速を伴う気流に応じた動圧分の影響を更に抑制しつつ、隣接室等に対する附室の静圧上昇割合を高精度に特定し、ひいては精度良好な遮煙性能評価が可能となる。
本発明によれば、加圧防排煙設備における静圧上昇割合を精度良く計測し、遮煙性能を高精度に評価可能となる。
静圧場である各室の境界付近における開口流れを示す説明図である。 本実施形態の遮煙性能評価方法の適用対象たる加圧防排煙設備の例を示す断面図である。 本実施形態の遮煙性能評価方法の適用対象たる加圧防排煙設備の例を示す平面図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に用いる静圧測定装置の構成例を示す図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に用いる静圧測定装置の配置例を示す図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験用の概念例を示す図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験用の模型概念を示す平面図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験用の模型概念を示す断面図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験の排出口開口条件例を示す図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験の実験条件例を示す図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験時の静圧測定装置例を示す図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験の結果例1を示す図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験の結果例2を示す図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験の結果例3を示す図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験の結果例4を示す図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験の結果例5を示す図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験の結果例6を示す図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法の手順例を示すフロー図である。 本実施形態の遮煙性能評価方法に関する実証実験用の模型概要を示す説明図である。 本実施形態における遮煙性能評価方法に関する実証実験の給気条件例を示す図である。 本実施形態の遮煙性能評価方法に関する実証実験での給気流量の測定結果を示すグラフである。 本実施形態の遮煙性能評価方法に関する実証実験での静圧測定結果のグラフである。
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図2は本実施形態の遮煙性能評価方法の適用対象たる加圧防排煙設備10の例を示す断面図であり、図3は同平面図である。まずは、本実施形態の遮煙性能評価方法を適用して遮煙性能を評価する加圧防排煙設備10について説明する。ここで例示する加圧防排煙設備10が設置される建築物1は、図2(断面図)、図3(平面図)にて示すように、外気と連通している給気風道8、階段室7及びその附室2、遮煙部扉Sdが開口した際の遮煙開口部3を介して附室2と連絡する廊下等の隣接室6を備えた構造となっている。なお、階段室7は、建築物1の15階以上又は地下3階以下の階に通ずる直通階段である。また、隣接室7に続く一般室(不図示)には空気逃し口が設けられており、給気口4から附室2に取り入れられ、遮煙開口部3を介して隣接室6から一般室に流入した空気の排出が適宜図られるものとする。 一方、加圧防排煙設備10は、吸気ファンなど適宜な吸気機構を介して給気風道8から附室2内に向けた給気を行う給気口4と、この給気口4からの給気Fによる空気量増大で隣接室6より相対的に高まった静圧が作用して附室2への煙の侵入を防ぐ遮煙開口部3とを少なくとも含む構成となっている。なお、火災発生時には、火災報知器等の適宜な火災検知手段からの信号を受けた給気口4の吸気機構が稼働して附室2への給気を開始する。また、遮煙開口部3は遮煙部扉Sdの開口部となる。
上述した加圧防排煙設備10の構成を含む建築物1において、本実施形態の遮煙性能評価方法を実行する場合、複数の静圧測定装置20を附室2内に配置する。附室2内での給気Fによる気流の方向が附室内各所で既知である場合は、静圧測定装置20として既存のピトー管等を採用することも想定出来るが、一般的に附室2の各所における気流方向は未知である。静圧測定を行う場合、該当測定装置における空気取り入れ用の管体の配置方向を、気流の方向に略一致させて測定を行わないと、該当気流による動圧分が測定結果に影響を与えることになり、測定精度が不十分となりやすい。
そこで、気流の方向が不明な場合においても静圧を精度良く測定できる好適な装置として、発明者らは図4に例示する静圧測定装置20を用いることとした。すなわち、略T字型の管体からなる静圧測定装置20である。この静圧測定装置20における管体は、横行する第1管体21と、この第1管体21の長手方向中央付近にて第1管体21と直交する方向に突出する第2管体22とから構成される。第1管体21および第2管体22は、互いの内空21a、22aが上述の長手方向中央付近23にて連通しており、一体の静圧測定装置20としてT字型の内空経路24をなしている。こうした構成においては、第1管体21の内空21aを流れる気流F1(動圧を生む)と直交する方向の第2管体21にて圧力を計測すれば、気流F1による動圧分の影響を受けずに該当領域の静圧を測定することができる。
発明者らはこのような構造の静圧測定装置20に関して、ダクトを用いた実証実験を行い、その有効性について検証を行っている。検証手順の概要としては、まず、径600φの丸ダクトを給気ファンに接続し、一方向の流れを形成した管路内において、熱線風速計(指向性および無指向性)を用いて風速を測定する一方、ピトー管および2方向管を用いて該当測定点の静圧および全圧を測定する。加えて、新たに考案した上述の静圧測定装置20を用いて同管路内の静圧を測定する。
図6に示す実験イメージのように、上述のピトー管および2方向管の測定結果から算出される風速を比較し、それらが熱線風速計による測定風速と等しければ、ピトー管および2方向管の静圧および全圧はおおむね妥当といえる。そこで、ピトー管および2方向管より得られる静圧を真値と考え、静圧測定装置20より得られる測定値と上述の真値とを比較し、静圧測定装置20の妥当性を検証することとした。
また、本実験で用いた模型概要を図7に示す。本実験では、給気ファンに径600φの丸ダクトを接続した。丸ダクトには通過流量を測定する定置式・複合ピトー管センサ(以下、エアロアイ)が接続されている。エアロアイ以降には、図8に示すとおり長さ3.6mの丸ダクト(600φ)が接続されており、エアロアイから1.8mの地点における管内中央点を測定点とする。なお、排出口は開口面積を任意に変更できる仕様となっており、本実験では図9に示す3条件について検討を行った。また、本実験における実験条件として、排出口寸法、給気量(ダクト内通過流量)をパラメータとして、図10の表にて示す計18の条件について検討した。
次に本実験で用いた静圧測定装置の仕様を図11に示す。図11にて示すように、本実験で採用した静圧測定装置は、横行する第1管体が、管径D=11mm、内径d=6.5mm、長さL=104mm(内径dの16倍)の寸法であり、この第1管体に直行する向きに延出する第2管体が、長さB=1000mm、管径6mmの寸法となっている。また、こうした静圧測定装置の第1管体及び第2管体らは、ステンレス中空パイプ(JIS G 3459、SUS304TP)である。
こうした装置構成や実験条件の下で得られた実証実験の結果としては以下のようなものとなった。すなわち、2方向管、ピトー管及び熱線風速計による測定点風速に関して、図12のグラフおよび図13の表にて示すように、2方向管と熱線風速計に比べて、ピトー管の値はわずかに小さい値を示すがおおむね一致することが分かった。
また、2方向管、ピトー管及び静圧測定装置による測定点静圧に関して、図14のグラフおよび図15の表にて示すように、ピトー管と静圧測定装置の測定値に比べて、2方向管の値はわずかに小さい値を示すが、おおむね一致することが分かった。なお、静圧測定装置は流れ方向に先端を向けた状態で測定した。以上のことから、静圧測定装置は流れ方向に先端を向けた状態では、おおむね適切に静圧を測定できることが明らかとなった。
また、流れ方向と静圧測定装置の向きが異なる場合について、例えば、流れ方向と静圧測定装置の向きの角度差θのときの静圧測定装置測定精度を図16のグラフにて示す。また、図17に流れ方向に先端を向けた状態(θ=0)において静圧測定装置で得られた静圧と風速計(指向性)による測定値から算出される動圧の比率を示す。図16のグラフより、排出口寸法によって測定精度が異なる応答を示すことが分かる。また、図17のグラフに示す通り、静圧と動圧の比率は、管路内風速によらず、排出口寸法ごとに一定となる。排出口寸法が小さくなる(管路内の静圧が大きくなる)と測定精度はよくなる。以上、実証実験によって本実施形態の静圧測定装置の有効性を確認した。
なお、本実施形態における静圧測定の前提として、計測対象空間の附室2との間での静圧の比較対象となる、すなわち基準側の室となる隣接室6にも静圧測定装置25が配置されている。また、附室2の静圧測定装置20と隣接室6の静圧測定装置25のそれぞれの第2管体22は、気密チューブ26によって一体の差圧計30に各々接続されているものとする。従って、給気による附室2での静圧上昇値は、給気開始以降に附室2で上昇した静圧と隣接室6の静圧との差分を差圧計30で計測したものとなる。以上のような静圧測定装置20、25は、ユーザが手持ちで携行可能なサイズおよび重量の装置であって、測定場所において第1管体21の向きを容易に変更出来る、取り回し自在な装置である。
以降、こうした静圧測定装置20らを用いて遮煙性能評価を行う手順について図18のフローとあわせて説明することとする。上述の静圧測定装置20を携行したユーザは、測定場所を直交座標系の空間とみなした場合の座標軸(図5参照)となる、x、y、zの直交する3軸方向のいずれかに、上述の第1管体21を沿わせる形で配置する(s100)。この時、隣接室6にも上述の静圧測定装置25を配置し、両者の間に差圧計25を配置することは上述の通りである。静圧測定装置20の第1管体21を所定の座標軸に沿わせる配置動作を行うことで、第1管体21の内空を流れる気流を、当該第1管体21を沿わせた該当座標軸の方向に沿ったものに限定するのである。
続いて、上述の差圧計30の指示値を、給気実行前にゼロとする所定のキャリブレーションを行った後、附室2に所定量の常温給気を行い(s101)、この際の差圧計30の指示値を、給気による、附室2における隣接室6との相対的な静圧上昇割合として取得する(s102)。上述したs100〜s102の一連の工程は、各座標軸方向についてそれぞれ実行する(s103)。
次に、x、y、zの各座標軸方向に関して得られた静圧上昇割合のうち最大のもの、すなわち、最も的確に気流の流路軸に第1管体21の軸線を一致させ、動圧分を排除した精度良好な計測値を、所定の基準値と比較して、この静圧上昇割合の値が所定基準値を上回る乃至近似する程度を判定する(s104)。
この工程に用いる所定基準値としては、所定の精度を満たすものであるならばユーザが任意に定めたものでも良いが、好ましくは、所定量の常温給気の実行時における静圧場での静圧上昇割合の理論値を用いることとする。この、静圧場での静圧上昇割合の理論値ΔP理論を算定する式1を以下に示す。
ここで、
ρL:附室空気の密度[kg/m
W:遮煙開口部通過流量[kg/s]
α:流量係数
A:遮煙開口部面積[m
上述の式1で得られる静圧上昇割合の理論値ΔP理論を例えばXとし、上述のs103で得た静圧上昇割合の実測値のうち最大のものをYとした場合に、実測値が理論値を上回るY>Xであったならば、少ない給気量で理論値の静圧上昇すなわち遮煙性能を達成しており、該当加圧防排煙設備10の遮煙性能は良好であると判定できる。他方、実測値が理論値を下回るY<Xであったならば、大きな給気量を施さなければ理論値の静圧上昇すなわち遮煙性能を達成出来ないことを示しており、該当加圧防排煙設備10の遮煙性能は良好でないと判定できる。
こうした判定により出力する評価値としては、静圧上昇割合の実測値が理論値を上回る乃至近似する値となる。よって、遮煙性能の評価値を、実測値のYから理論値のXの減算処理を行って算定する(s105)。例えば、所定給気量において静圧上昇割合の実測値Yが“6”(Pa)、理論値Xが“4”(Pa)であったならば、少ない給気量で理論値の静圧上昇すなわち遮煙性能を達成しており、該当加圧防排煙設備10の遮煙性能の評価値は、“6−4”=“2”となる。また同様に、静圧上昇割合の実測値Yが“5”(Pa)、理論値Xが“7”(Pa)であったならば、大きな給気量を施さなければ理論値の静圧上昇すなわち遮煙性能を達成出来ないことを示しており、該当加圧防排煙設備10の遮煙性能の評価値は、“5−7”=“−2”となる。
こうした遮煙性能の評価手順とその結果について、発明者らは実物大模型を使用した実証実験を行っている。以下にその内容について説明する。図7に本実験で用いた模型概要を示す。実験模型は附室(幅5.4m、奥行2.7m、高さ3.0m)と火災室(幅2.7m、奥行2.7m、高さ3.0m)の2室から成る。附室、火災室ともに天井は15mmの強化石膏ボード、床はコンクリートとした。壁は厚さ12.5mmの石膏ボード片面張りとし、附室と火災室の境界部分のみ両面張りとした。火災室には外気に通ずる空気逃し口(幅0.85m、高さ1m)を下端高さが床面となるように設置した。また、室中央に0.5m角の角型パンを設置した。附室と火災室は開口部(幅0.9m、高さ2m)〔以下、遮煙開口部〕によって接続し、この遮煙開口部には厚さ70mmの扉を設置した。
また、こうした構成での給気口に対する給気方式として、図20に示す計5種類の給気方式を想定した。(a)静圧場、の給気方式は加圧煙制御で考えられている静圧場が支配的な状況での給気を再現したものである。また、(b)、(c)、(d)、(e)、の各給気方式は、動圧場(動圧が遮煙開口部に影響を及ぼしている)が作用している状況での給気を再現したものといえる。このうち(b)給気口上部、(c)給気口下部の各給気方式は現在、運用されている給気手法に近いものである。
一方、(d)遮蔽板、(e)垂れ壁、の各給気方式は、従来の給気方式を改良したものであり、以下の構造を加圧防排煙設備が有する形態での給気手法となる。このうち(d)遮蔽板、の給気方式に対応する加圧防排煙設備は、構造物の給気口から附室を通じて遮煙開口部に給気を行う給気構造を備えるものであり、給気口から遮煙開口部に向かう給気による気流経路を延長する給気抵抗手段として、給気口の開口面と略平行な平面部を備えた遮蔽板を備えた構造物である。
この遮蔽板の作用により、給気口からの給気を遮蔽板で一旦受けとめて、その気流を遮蔽板外周の開口から複数方向に導いて分離させることが可能である。このように給気による気流の経路延長を図ることで、附室内での風速を減衰させ、附室内を静圧場に近づけることが可能となる。
また、(e)垂れ壁、給気方式に対応する加圧防排煙設備は、給気口からの給気による気流を、遮煙開口部の上方からの下降流とする気流誘導手段として、給気口と略対向し、附室天井から遮煙開口部の直上に至る垂れ壁を備えた構造となっており、遮煙開口部上方に垂れ壁による下降流を作用させ、静圧場より更に給気量を低減した状態にて効率的な遮煙作用を実現しようとうしたものとなる。
以上の条件の下、附室に対して給気口を介した常温給気を実行し、附室での遮煙達成に必要となった給気流量の測定を行った。その結果を図21のグラフに示す。このグラフは、遮煙達成に必要となった給気流量の測定値(測定流量)を縦軸に、静圧場において理論的に算出される給気流量(理論流量)を横軸にプロットしたものである。グラフ中、勾配1の線より上の領域に測定流量がプロットされた給気方式は、遮煙性能が静圧場より悪いことを意味している。他方、勾配1の線より下の領域に測定流量がプロットされた給気方式は、静圧場より遮煙性能がよいことを意味している。
図21のグラフに示すとおり、方式aすなわち静圧場の給気方式は、おおむね勾配1の線上にあり、よく静圧場を再現できている。一方で、方式b〜eのように動圧場を考慮する必要がある給気方式の場合、方式によって遮煙性能が大きく異なり、方式dや方式eは勾配1の線より下の領域に測定流量がプロットされており、遮煙性能がよい。これと比べ方式bや方式cの従来型の給気方式の場合、勾配1の線より下の領域に測定流量がプロットされており、遮煙性能が悪い結果となっている。
また、上述の実験において静圧測定装置により得られた測定結果のグラフを図22にて示す。ここでは、縦軸に静圧場のときに得られる静圧差すなわち静圧上昇割合の理論値、横軸に各給気方式a〜eの場合に静圧測定装置によって得られた静圧上昇割合の実測値を示す。グラフ中、勾配1の線より上の領域に実測値がプロットされていることは、静圧場の場合よりも静圧上昇割合が小さい、すなわち遮煙性能が良くないことを意味する。他方、勾配1の線より下の領域に実測値がプロットされていることは、静圧場の場合よりも静圧上昇割合が大きい、すなわち遮煙性能が良いことを意味する。なお、静圧場の場合の静圧上昇割合の値は勾配1の線にのる。
図22のグラフにおいて、上述の図21にて遮煙性能が低いとされた給気方式b、cは、おおむね勾配1の線より上の領域にあり、遮煙性能が低いことはここでも裏付けられる。こうした給気方式では静圧上昇を静圧場よりも確保できないことを意味する。また、上述の図21にて遮煙性能が高いとされた給気方式d、eは、おおむね勾配1の線より下の領域にあり、遮煙性能が高いことはここでも裏付けられる。こうした給気方式では静圧上昇を静圧場よりも確保しやすいことを意味する。以上の実証実験の結果から、本実施形態における遮煙性能の評価方法は有効性があると認められる。
なお本実施形態においては、構造物として建築物を想定した例について説明を行ったが、これのみに本発明の適用対象は限定されない。ビルやプラント等の建築物の他、トンネル等の各種土木構造物やその付帯施設(例:土木構造物における避難路や待避所など)も本発明の適用対象となる。
本実施形態によれば、加圧防排煙設備における静圧上昇割合を精度良く計測し、遮煙性能を高精度に評価可能となる。
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
F 給気
Sd 遮煙部扉
1 建築物(構造物)
2 附室
3 遮煙開口部
4 給気口
6 隣接室
7 階段室
8 給気風道
10 加圧防排煙設備
20 静圧測定装置
21 第1管体
22 第2管体
25 静圧測定装置
30 差圧計

Claims (3)

  1. 構造物において給気口から附室を通じて遮煙開口部に給気する加圧防排煙設備の遮煙性能を評価する方法であって、
    複数の静圧測定装置を互いに異なる方向で前記附室に配置して、前記附室に所定量の常温給気を行った際の静圧上昇割合を測定する測定工程と、
    各静圧測定装置による測定値と所定基準値とを比較し、各静圧測定装置によるいずれかの測定値が前記所定基準値を上回る乃至近似する程度に応じて遮煙性能を評価する評価工程と、
    を実行することを特徴とする遮煙性能評価方法。
  2. 前記評価工程において、各静圧測定装置による測定値と、前記所定基準値たる、前記所定量の常温給気の実行時における静圧場での静圧上昇割合の理論値とを比較し、各静圧測定装置によるいずれかの測定値が前記静圧上昇割合の理論値を上回る乃至近似する乃至近似する程度に応じて遮煙性能を評価する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の遮煙性能評価方法。
  3. 前記測定工程において、3体の静圧測定装置を互いに直交させる方向で前記附室に配置して、前記附室に所定量の常温給気を行った際の各方向での静圧上昇割合を測定し、
    前記評価工程において、3体の各静圧測定装置による測定値のうち最大の測定値と所定基準値とを比較し、前記最大の測定値が前記所定基準値を上回る乃至近似する程度に応じて遮煙性能を評価する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の遮煙性能評価方法。
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