JP6281938B2 - データ処理装置、データ処理方法、及びデータ処理プログラム - Google Patents
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Description
また、ICP法による処理結果は、点群を構成する各サンプル点の初期位置に対する依存性が強く、局所解に陥る傾向がある。つまり、期待される位置合わせの結果が得られる初期位置の範囲が狭いことを意味する。これについて、RANSAC(Random Sample Consensus)法を採用して、各サンプル点の初期位置をランダムに設定することも考えられるが、計算時間がさらに増加してしまう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るデータ処理装置1の構成を示すブロック図である。
データ処理装置1は、データ入力部101、主成分算出部102、対応部103、回転算出部(相対方向算出部)104、データ出力部105、及び記憶部11を含んで構成され、各部はバス12で接続されている。
クエリ点群データは、その他の機器、例えば、サーバ装置からLAN(Local Area Network)、インターネット等の通信路を介して受信した点群データであってもよい。
主成分算出部102は、各サンプル点qpiで算出した法線ベクトルqniの大きさを、例えば、1に規格化する。
例えば、主成分算出部102は、各サンプル点qpiで算出した法線ベクトルqniの分布についてクラスタリング(clustering)を行って複数のクラスタ(cluster:群)に分類し、分類されたクラスタ毎の代表ベクトルを法線主成分として抽出する。これにより、所定の密度よりも高い密度で分布している部分の法線ベクトルを抽出することができる。主成分算出部102は、クラスタリングを行う際、例えば、階層的(hierarchical)クラスタリングの一手法である群平均法(group average method)を用いてもよい。
主成分算出部102は、法線ベクトル空間全体をその範囲とする1つのクラスタを除き、排除されずに残った複数のクラスタのそれぞれについて、代表値を算出する。代表値は、例えば、それぞれのクラスタに属する法線ベクトルの重心(centroid)である。残ったクラスタの数、つまり代表値の数をNCQと表す。以下の説明では、この法線ベクトルの重心を法線主成分と呼び、点群データからクラスタ毎に法線主成分を算出することを法線主成分分析と呼ぶことがある。
主成分算出部102は、2個のクラスタa,bを統合して形成された1個のクラスタの重心cabを、例えば、式(2)を用いて算出することができる。
主成分算出部102は、算出したクラスタ毎の代表ベクトル(例えば、重心)を法線主成分として含む法線主成分点群データを生成し、生成した法線主成分点群データを対応部103に出力する。従って、法線主成分点群データは、NCQ個の3次元のベクトルから形成される。位置合わせに係る処理対象がNCQ個の法線主成分に限定されるので、処理量が著しく低減する。
モデル点群とは、位置合わせの目標とする目標物(モデル、第2の物体)の形状を所定の空間間隔でサンプリングしたサンプル点からなる点群である。モデル点群を示すデータをモデル点群データ(第2の点群データ)と呼ぶことがある。モデル点群に基づく法線主成分点群データは、例えば、モデル点群データについて上述した法線主成分分析を行ってクラスタ毎に算出した重心から形成されるデータである。
対応部103は、例えば、法線主成分cqiに対応する法線主成分cmjを、式(3)を用いて選択する。
対応部103は、法線主成分cqiと法線主成分cmjとの対応関係を示す法線主成分対応データを生成し、生成した法線主成分対応データ、モデル点群並びにクエリ点群それぞれに基づく法線主成分点群データを回転算出部104に出力する。
回転算出部104は、算出した回転行列Rを示す回転データをデータ出力部105に出力する。
また、データ出力部105は、データ入力部101から入力されたクエリ点群データが示すサンプル点毎の座標に、回転算出部104で算出した回転行列Rを乗じて得られる回転後の座標を示す回転座標データをデータ処理装置1の外部に出力してもよい。これにより、クエリ点群とモデル点群との間の相対姿勢が補償されたサンプル毎の座標が得られる。
次に、点群データの一例について説明する。
図2は、点群データの一例を示す図である。
図2に示す点群データは、建造物の廊下とロビーとが交差した部位とその周辺における内壁の形状をサンプリングしたサンプル点で形成される。この形状の基本的構成は、Z軸方向の長さ(高さ)がX軸方向に進むほど長くなる台形をX−Z平面の断面として有する 四角柱が、Y軸方向の長さ(幅)が他の方向よりも長い直方体のほぼ中央部で結合して形成される。X軸,Y軸,Z軸は、それぞれ3次元直交座標系を構成する互いに直交する座標軸の方向を示す。
図3は、法線ベクトルの一例を示す。
図3(a)は、図2に示す点群データに基づいて算出されたサンプル毎の長さ1の法線ベクトルを、その起点を原点ONに配置して形成された終点の分布を示す。法線ベクトルの終点は、半径が1である単位球面上に分布しているため、この法線ベクトルの分布を法線球と呼ぶ。法線球の濃度は法線ベクトルの分布の密度を示す。濃度が高いほど法線ベクトルの密度が高く、濃度が低いほど法線ベクトルの密度が低い。
本実施形態では、このような法線ベクトルに基づく法線主成分を用いることで、原点を中心とする回転変換を示す回転行列Rを算出する際にクエリ点群やモデル点群が示す物体の表面の形状や、それらの点群間での相対並進位置が捨象される。これに対し、各点群が示す物体間の姿勢の差異を示す情報が維持されるので、回転行列Rを精度よく求めることができる。また、上述したように回転行列Rを算出する際の基礎となる点群間での法線主成分の対応付けが、法線主成分間の近似の度合いの指標として、それらの間のなす角度に基づいて行われる。これらのことから、回転行列Rを算出する際の演算量を著しく低減させることができる。
法線ベクトルの密度を示す指標は、例えば、法線方向の分散値qσiである。法線方向の分散値qσiは、そのサンプル点iから予め定めた範囲内におけるサンプル点毎の法線ベクトルの分散である。従って、分散値qσiが小さいほど平面度が高いことを示し、分散値qσiが大きいほど平面度が低いことを示す。
次に、本実施形態に係るデータ処理について説明する。
図4は、本実施形態に係るデータ処理を示すフローチャートである。
(ステップS101)データ入力部101は、被写体の形状を示すクエリ点群データを取得する。その後、ステップS102に進む。
(ステップS102)主成分算出部102は、クエリ点群データが示す被写体の表面の法線を示す方向を示す法線ベクトルをサンプル点毎に算出する。その後、ステップS103に進む。
(ステップS104)対応部103は、クエリ点群に基づく法線主成分のそれぞれと、モデル点群に基づく法線主成分のいずれかとの対応付けを、両者間の近似の度合いに基づいて行う。その後、ステップS105に進む。
(ステップS105)回転算出部104は、クエリ点群に基づく法線主成分と、その法線主成分に対応するモデル点群に基づく法線主成分との間の相対的な方向を示す回転行列を算出する。その後、図4に示す処理を終了する。
また、第1の法線主成分とこれに対応する第2の法線主成分を用いることで第1の物体の方向と第2の物体の方向とを合わせる際に、第1の物体の表面が疎らな領域や曲率が高い領域を一部に含んでいても安定した処理が実現する。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。上述した実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を援用する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図5は、本実施形態に係るデータ処理装置2の構成を示すブロック図である。
データ処理装置2は、データ処理装置1(図1)において、主成分算出部102及び対応部103に代えて主成分算出部202及び対応部203を備え、さらに相対並進位置算出部206及び座標変換部207を含んで構成される。
主成分算出部202は、クエリ点群データが示すサンプル点毎の座標に回転算出部104で算出した回転行列Rを乗算して回転後の座標を算出して、クエリ点群が示す物体の方向についてモデル点群が示す物体の方向との間の相対姿勢を補償する。なお、主成分算出部202は、回転行列Rを乗算することに代え、回転算出部104で回転行列Rを算出する過程で算出された回転後の座標を採用してもよい。
ここで、主成分算出部202は、サンプル点毎に算出した深さ情報付き法線ベクトルについて、上述した法線主成分分析と同様な処理を行うことで壁面主成分を算出することができる。この処理を特に壁面主成分分析と呼ぶ。
主成分算出部202は、2つのクラスタa,b間の類似度s(ハット)abを、例えば、式(4)を用いて算出してもよい。ここで、「(ハット)」という記載は、その直前の文字の真上にハット記号(circumflex)が付されていることを示す。ここでは、ハット記号は、壁面主成分に係ることを示す。
また、主成分算出部202は、2個のクラスタa,bを統合して形成された1個のクラスタの重心c(ハット)abを、例えば、式(5)を用いて各クラスタにおける壁面主成分の重心cabを代表ベクトルとして算出することができる。
対応部203は、例えば、クエリ点群に基づく壁面主成分点群データが示す壁面主成分c(ハット)qiに対応するモデル点群に基づく壁面主成分点群データが示す壁面主成分c(ハット)mjを、式(6)を用いて選択する。
なお、対応部203は、対応部103と同様に、クエリ点群に基づく法線主成分点群データが示す法線主成分のそれぞれと、モデル点群に基づく法線主成分データが示す法線主成分との対応付けを行う。
並進誤差ベクトルεは、クエリ点群とモデル点群との間の相対並進位置に近似する。そのため、並進誤差ベクトルεは、クエリ点群とモデル点群との間の相対並進位置を補償する際に用いられる。
従って、壁面主成分εは、3個の壁面主成分からなる組m毎の並進誤差ベクトルε(ハット)mを、それぞれ重み係数wmで乗算して得られる乗算値を組m間で加算し、加算した値を総和Wで正規化して算出される。
重み係数wmは、式(9)に示されるように、組mに係る3個の壁面主成分cqj,cqk,cqlに基づいて算出される。
壁面主成分の組m毎の並進誤差ベクトルε(ハット)mは、式(10)に示されるように、その組mを構成する3個の壁面主成分c(ハット)qj,c(ハット)qk,c(ハット)qlと、それらにそれぞれ対応するペア間誤差ベクトルνj,νk,νlに基づいて算出される。
従って、重み係数wmで乗算された並進誤差ベクトルε(ハット)mは、ペア間誤差ベクトルνj,νk,νlを、それぞれ対応する壁面主成分c(ハット)qj,c(ハット)qk,c(ハット)qlに射影し、射影して得られる成分をさらにX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に射影した成分を示す。このようにペア間誤差ベクトルνj,νk,νlを、互いに直交した成分に射影し、射影した成分を並進誤差ベクトルε(ハット)mとして取得することで、高い精度で位置決めをすることができる。また、全ての壁面主成分の組m毎の並進誤差ベクトルε(ハット)mを、重み係数wmで加重平均をとることで、ペア間の相対姿勢の差異を緩和することができる。
相対並進位置算出部206は、算出した並進誤差ベクトルεを示す並進データを座標変換部207に出力する。
座標変換部207は、クエリ点群データが示すサンプル点毎の座標を、回転行列Rと並進誤差ベクトルを用いて変換する。ここで、座標変換部207は、サンプル点毎の座標(ベクトル)に回転行列Rを乗算して回転後の座標を算出し、算出した座標に並進誤差ベクトルεを加算して、変換後の座標を算出する。この演算を示す4行4列の同次変換行列Sを、式(11)に示す。
なお、座標変換部207は、回転行列Rを乗算することに代え、回転算出部104もしくは主成分算出部202で回転行列Rを算出する過程で算出された回転後の座標を採用してもよい。
座標変換部207は、サンプル毎の変換後の座標を示す変換座標データを、データ出力部105を介してデータ処理装置2の外部に出力する。出力される変換座標データは、第2の物体の位置及び姿勢に合うように、相対姿勢及び相対並進位置が補償されたクエリ点群データが示す第1の物体の形状を示す。ここで、データ出力部105は、変換座標データに代えて、もしくは変換座標データとともに並進データを出力してもよいし、更に回転算出部104で生成された回転データを出力してもよい。
図6は、深さ情報付き法線ベクトルの一例を示す。
図6(a)は、図2に示す点群データに基づいて算出されたサンプル毎の深さ情報付き法線ベクトルを、その起点を原点ONに配置して形成された終点の分布を示す。法線ベクトルの終点は、それぞれの深さを半径とする曲面上に分布する。この法線ベクトルの分布を深さ情報付き法線球と呼ぶ。深さ情報付き法線球の濃度は、深さ情報付き法線ベクトルの分布の密度を示す。濃度が高いほど深さ情報付き法線ベクトルの密度が高く、濃度が低いほど深さ情報付き法線ベクトルの密度が低い。
図6(c)は、図6(b)のA領域を拡大した拡大図である。
図6(b)、(c)は、深さ情報付き法線ベクトルの分布が高い密度で集中している点Pが存在する。この点Pは、その座標を示す位置ベクトルと同一の方向に法線を有する壁面Lが、その位置ベクトルのノルムに相当する深さだけ離れた位置に存在することを示す。
従って、サンプル点毎の深さ情報付き法線ベクトルについてクラスタリングを行って、その分布の密度が高い領域を抽出し、壁面主成分として算出されたその領域の代表をもって、壁面の法線方向と位置に関する情報を維持することができる。
次に、本実施形態に係るデータ処理について説明する。
図7は、本実施形態に係るデータ処理を示すフローチャートである。
図7に示すデータ処理は、ステップS101−S105(図4)とステップS206−S210を有する。ステップS101−S105の処理が終了した後、ステップS206に進む。
(ステップS206)主成分算出部202は、クエリ点群データが示すサンプル点毎の座標に回転行列Rを乗算して回転後の座標を算出する。これにより、クエリ点群についてモデル点群との間の相対姿勢を補償する。その後、ステップS207に進む。
(ステップS207)主成分算出部202は、サンプル点毎に回転後の座標について法線ベクトルを算出し、算出した法線ベクトルと座標に基づいて深さ情報付き法線ベクトルを算出する。その後、ステップS208に進む。
(ステップS209)対応部203は、クエリ点群に基づく壁面主成分のそれぞれと、モデル点群に基づく壁面主成分のいずれかとの対応付けを行う。その後、ステップS210に進む。
(ステップS210)相対並進位置算出部206は、クエリ点群に基づく壁面主成分の組と、その壁面主成分のそれぞれに対応するペア間誤算ベクトルに基づいてクエリ点群とモデル点群との間の相対並進位置を示す並進誤差ベクトルを算出する。その後、図7に示す処理を終了する。
その他、並進データは、重力加速度等の加速度を検出する加速度センサを備えた電子機器において、その位置の補償に用いることができる。そのような電子機器には、検出した加速度を2階積分することによって自機の位置を算出する位置推定機能を備えた多機能携帯電話機(いわゆるスマートフォン)がある。その他、自機が備える駆動機構の動作状態(例えば、モータの回転速度)に基づいて自機の位置を算出する位置算出機能を備えたロボットがある。
次に、本実施形態による効果を示すために行った評価実験について説明する。ここでは、(1)初期位置依存性評価実験、(2)実時間性評価実験、(3)堅牢性評価実験、と3つのそれぞれ異なる観点で行われた評価実験について述べる。いずれの評価実験でも比較対象として、従来技術としてICP法による実験結果と比較する。
また、それぞれの初期位置について大局解が得られるか否かを調査する。大局解が得られない場合には、局所解に陥る場合がある。大局解が得られるか否かの判断は、誤差が予め期待される誤差の閾値を下回るか否かによって行う。これにより、大局解を導くことができる初期位置の範囲を示す収束限界も評価値として扱う。
図8に示すモデル点群は、初期位置依存性評価実験及び実時間性評価実験で用いた点群である。この点群は、建造物の内壁で構成される屋内の形状を模擬する450万個のサンプル点で形成される。模擬している形状は、長手方向がそれぞれX方向、Y方向である2つの直方体がそれぞれ中心部で交差して形成される。但し、標準偏差が5cmであるガウシアンノイズが重畳されている。この点群が網羅する空間は、X,Y,Z方向、それぞれの方向の長さが、15m、15m、5mである。点群の最大密度、つまり解像度は、1m2当たり1万サンプルである。
図9(a)は、方位角の誤差の初期位置依存性を本実施形態、従来技術のそれぞれについて示す。図9(a)において、縦軸、横軸は、それぞれ方位角の誤差、初期の方位角を示す。◆印、×印は、それぞれ本実施形態、従来技術を示す。収束限界を与える誤差の閾値を1°とする。
これによれば、本実施形態では、方位角の誤差は、概ね0.01°未満と極めて誤差が小さく、初期の方位角に依存しない。但し、初期の方位角が−89°、89°の場合、それぞれ誤差が90°となる。従って、収束限界は88°となる。この現象は、モデル点群が90°(4相)の回転対称性を有するために、90°回転した方向に位置合わせが行われてしまうことによる。
また、大局解が得られたか否かにより、誤差が大きく異なることから収束限界を越えたか否かの判定を安定して行うことができる。
一般に、n相対称を有する点群の位置合わせの収束限界の上限は360/n度(この例では、90度)となる。この上限でそれぞれの収束限界を正規化すると、正規化した収束限界は本実施形態では0.98、従来技術では0.10となる。この結果は、本実施形態の方が広範に高精度の位置合わせを実現できることを示す。
これに対して、従来技術では仰角の誤差が−6°〜6°の範囲では、仰角の誤差は1°未満となる。また、初期の仰角が−7°以下又は7°以上の範囲では、初期の仰角の絶対値が大きくなるほど仰角の誤差が増加する傾向が現れる。これより、大局解を得ることができる収束限界は6°となる。
これによれば、本実施形態では、X座標の誤差は概ね0.001m未満と極めて小さく、初期のX座標に依存しない。但し、初期のX座標が−5.0m、5.0mの場合、誤差が3.3mとなる。よって、収束限界は、4.9mとなる。
これに対して、従来技術ではX座標の誤差が−1.6m〜1.6mの範囲では、X座標の誤差は概ね0.1m未満となる。また、初期のX座標の誤差が−1.7m以下又は1.7m以上の範囲では、X座標の誤差は0.1mを越え初期のX座標の絶対値が大きくなるほどX座標の誤差が増加する。よって、大局解を得ることができる収束限界は1.6mとなる。
これに対して、従来技術ではZ座標の誤差が−1.8m〜1.8mの範囲では、Z座標の誤差は0.2m未満となる。また、初期のZ座標の誤差が−1.9m以下又は1.9m以上の範囲では、Z座標の誤差は0.1mを越え初期のZ座標の絶対値が大きくなるほどZ座標の誤差が増加する。よって、大局解を得ることができる収束限界は1.8mとなる。
以上に述べたように、初期位置依存性評価実験により、本実施形態によれば、各初期位置について高精度でクエリ点群について位置合わせを行うことができること、大局解を得ることができる初期位置の範囲が広くなることが示される。
◆印、×印は、それぞれ本実施形態、従来技術を示し、○印は収束限界を示す。縦軸、横軸は、それぞれ処理時間、初期のX座標を示す。
本実施形態では、処理時間は、いずれも0.524−0.537秒と従来技術の数十秒単位よりも格段に短く、初期のX座標にも依存しない。これは、本実施形態では、従来技術のように反復処理に頼らずに回転行列Rと並進誤差ベクトルεが直接算出されるためである。これに対し、従来技術では処理時間は9秒から111秒の間であり、初期のX座標が大きくなるほど処理時間が長くなる。
実環境で取得した点群は、一部に点が疎らな曲面や曲率が大きい曲面を含むため、精度が低下するおそれがあるからである。
ここで、取得した点群について回転及び並進移動を与えて処理前のクエリ点群を生成し、取得した点群はそのままモデル点群として用いる。そして、本実施形態による処理後のクエリ点群とモデル点群の位置とを比較する。
図11は、建造物の内部である廊下であり、その基本的構成態様は、一方向の長さが他の方向の長さよりも長い直方体である。但し、直方体の側面が随所で開放され、机、椅子、廃物入れ等の什器が備えられているために、具体的構成態様として、サンプル点が疎らである部分や、曲率が大きい部分が含まれる。図11(a)、(b)間では、互いに撮影した視点が異なる。
図12(a)、(b)は、図11に示す環境で取得された点群データの平面図、斜視図を示す。薄く表示された部分が処理前のクエリ点群を示し、濃く表示された部分がモデル点群を示す。処理前のクエリ点群とモデル点群の間では、X−Y平面内で回転と相対並進移動が与えられている。
図12(c)は、図12(a)、(b)に示した、処理前のクエリ点群とモデル点群のそれぞれについて算出した深さ情報付き法線ベクトルの分布を示す。薄く表示された部分が処理前のクエリ点群に係る深さ情報付き法線ベクトルの分布を示し、濃く表示された部分がモデル点群に係る深さ情報付き法線ベクトルの分布を示す。これらの分布は、いずれも深さ情報付き法線ベクトルの分布が密な領域が、撮影領域に含まれる平面に応じて数点に集中している。このことは、深さ情報付き法線ベクトルの分布が算出された壁面主成分で代表できることを示す。
図13(a)、(b)は、それぞれ点群データの平面図、斜視図を示す。薄く表示された部分が処理後のクエリ点群を示し、濃く表示された部分がモデル点群を示す。図13は、両点群が互いに重なり合っていることを示す。この結果は、本実施形態では、一部に点が疎らな部分や曲率が大きい部分を含む実環境で取得した点群であっても、一定の精度をもって位置合わせを行うことができることを示す。なお、建造物の内部に限らず、屋外で取得した点群データであっても、建造物、その他の設置物のように一部に平面を含む環境であれば、同様に位置合わせを行うことができる。
これに対し、従来技術のICP法では、全サンプル点について各最近傍点との誤差の総和の最小解を与えるため、これほど疎らな点群同士を重ね合わせることは原理的に困難である。
また、上述した実施形態におけるデータ処理装置の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。データ処理装置1、2の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
103、203…対応部、104…回転算出部、105…データ出力部、
11…記憶部、206…相対並進位置算出部、207…座標変換部
Claims (7)
- 第1のデータが示す第1の物体の表面の法線のうち、所定の密度よりも高密度で分布している領域の法線の代表を第1の法線主成分として算出する主成分算出部と、
第2のデータが示す第2の物体の表面の法線のうち、所定の密度よりも高密度で分布している領域の法線の代表である第2の法線主成分から、前記第1の法線主成分との近似の度合いに基づいて前記第1の法線主成分に対応する第2の法線主成分を定める対応部と、
前記第1の法線主成分の方向と前記第2の法線主成分の方向との間の相対的な方向を算出する相対方向算出部と、
を備え、
前記主成分算出部は、前記第1の物体の表面までの原点からの深さを大きさとして有する法線である第1の深さ付き法線のうち、予め定めた密度よりも高密度で分布している深さ付き法線の代表を第1の壁面主成分として算出し、
前記対応部は、前記第2の物体の表面までの原点からの深さを大きさとして有する法線である第2の深さ付き法線のうち、所定の密度よりも高密度で分布している領域の深さ付き法線の代表である第2の壁面主成分から、前記第1の壁面主成分との近似の度合いに基づいて前記第1の壁面主成分に対応する第2の壁面主成分を定め、
前記第1の壁面主成分と、当該第1の壁面主成分に対応する第2の壁面主成分との差分に基づいて前記第1の物体と前記第2の物体との間の相対的な位置を算出する相対並進位置算出部を、
さらに備えるデータ処理装置。 - 前記主成分算出部は、前記第1の物体の形状を表す複数の点からなる第1の点群データに基づいて前記第1の物体の表面の法線のうち、予め定めた密度よりも高密度で分布している領域における法線の重心を前記第1の法線主成分として算出する請求項1に記載のデータ処理装置。
- 前記主成分算出部は、前記第1の物体の表面の法線を、当該第1の物体の表面の法線間の距離に基づいて複数の法線の群に分類し、各群に属する法線毎に前記第1の法線主成分を算出する請求項2に記載のデータ処理装置。
- 前記主成分算出部は、前記第1の物体の形状を表す複数の点からなる第1の点群データに基づいて前記第1の物体の表面の深さ付き法線のうち、予め定めた密度よりも高密度で分布している領域における深さ付き法線の重心を前記第1の壁面主成分として算出する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
- 前記主成分算出部は、前記第1の物体の表面の深さ付き法線を、当該第1の物体の表面の深さ付き法線間の距離に基づいて複数の深さ付き法線の群に分類し、各群に属する深さ付き法線毎に前記第1の壁面主成分を算出する請求項4に記載のデータ処理装置。
- 第1のデータが示す第1の物体の表面の法線のうち、所定の密度よりも高密度で分布している領域の法線の代表を第1の法線主成分として算出する主成分算出過程と、
第2のデータが示す第2の物体の表面の法線のうち、所定の密度よりも高密度で分布している領域の法線の代表である第2の法線主成分から、前記第1の法線主成分との近似の度合いに基づいて前記第1の法線主成分に対応する第2の法線主成分を定める対応過程と、
前記第1の法線主成分の方向と前記第2の法線主成分の方向との間の相対的な方向を算出する相対方向算出過程と、
を有し、
前記主成分算出過程は、前記第1の物体の表面までの原点からの深さを大きさとして有する法線である第1の深さ付き法線のうち、予め定めた密度よりも高密度で分布している深さ付き法線の代表を第1の壁面主成分として算出し、
前記対応過程は、前記第2の物体の表面までの原点からの深さを大きさとして有する法線である第2の深さ付き法線のうち、所定の密度よりも高密度で分布している領域の深さ付き法線の代表である第2の壁面主成分から、前記第1の壁面主成分との近似の度合いに基づいて前記第1の壁面主成分に対応する第2の壁面主成分を定め、
前記第1の壁面主成分と、当該第1の壁面主成分に対応する第2の壁面主成分との差分に基づいて前記第1の物体と前記第2の物体との間の相対的な位置を算出する相対並進位置算出過程を、
さらに有するデータ処理方法。 - データ処理装置のコンピュータに、
第1のデータが示す第1の物体の表面の法線のうち、所定の密度よりも高密度で分布している領域の法線の代表を第1の法線主成分として算出する主成分算出手順と、
第2のデータが示す第2の物体の表面の法線のうち、所定の密度よりも高密度で分布している領域の法線の代表である第2の法線主成分から、前記第1の法線主成分との近似の度合いに基づいて前記第1の法線主成分に対応する第2の法線主成分を定める対応手順と、
前記第1の法線主成分の方向と前記第2の法線主成分の方向との間の相対的な方向を算出する相対方向算出手順と、
を実行させるためのデータ処理プログラムであって、
前記主成分算出手順は、前記第1の物体の表面までの原点からの深さを大きさとして有する法線である第1の深さ付き法線のうち、予め定めた密度よりも高密度で分布している深さ付き法線の代表を第1の壁面主成分として算出し、
前記対応手順は、前記第2の物体の表面までの原点からの深さを大きさとして有する法線である第2の深さ付き法線のうち、所定の密度よりも高密度で分布している領域の深さ付き法線の代表である第2の壁面主成分から、前記第1の壁面主成分との近似の度合いに基づいて前記第1の壁面主成分に対応する第2の壁面主成分を定め、
前記第1の壁面主成分と、当該第1の壁面主成分に対応する第2の壁面主成分との差分に基づいて前記第1の物体と前記第2の物体との間の相対的な位置を算出する相対並進位置算出手順を、
さらに実行させるためのデータ処理プログラム。
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