JP6274409B2 - 無線電力伝送装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ワイヤレスで電力を伝送するための技術に関するものである。
(第1章)
近年、磁界共振結合(磁界共鳴)によるワイヤレス電力伝送に対する期待が高まっている(1)-(3)。なお、この明細書では、右肩の(m)は、明細書末尾の参考文献番号を示す。また、ワイヤレス電力伝送技術については、下記特許文献1及び2にも記載されている。
ワイヤレス電力伝送は、大きなエアギャップと位置ずれ(4)を許容でき、高効率の電力伝送を可能とする技術である。これまでに、等価回路化の提案(5)や効率最大化の提案(6)動作周波数の拡大(7),中継コイルなどの発表(8)がなされている。この技術は、様々なところに適応できるとされ、電気自動車へのワイヤレス給電(9)や走行中の電気自動車へのワイヤレス給電(10)、家庭内の家電へのワイヤレス給電(11)など、様々な検討がされている。ワイヤレス電力伝送の送受コイルは1対1だけでなく、1対多の場合も含まれる(12),(13)。その場合、中継コイルや複数の受電コイル間にはクロスカップリング(cross-coupling)が生じる場合がある。このコイル間のクロスカップリングの影響については、電力伝送技術に限らずフィルタ設計などでも取り上げられており、クロスカップリングによる影響を考慮した設計法(14)やクロスカップリングの抑制法(15)の提示などがある。また、電力伝送においては、クロスカップリングの有無によって周波数特性の変化に影響を及ぼすという報告(16)や、クロスカップリングを考慮したインピーダンスマッチングと任意電力の配分(17)、また、クロスカップリングを考慮した周波数追従制御による最大効率化(18)、クロスカップリングを考慮したインピーダンスマッチングによる最大効率化(19)などの報告がある。しかしながら、これら検討は共振周波数に限られていたり、クロスカップリングの影響があることを述べるに留まったり、影響があることを容認し、それを前提とした解決法を提示しているに過ぎない。この様に、電力伝送を行なうに当たって、クロスカップリングが効率に与える影響について詳細な検討をした報告はこれまでになく、その本質に迫れていない。つまり、クロスカップリングによって、原理的に効率は向上するのか、低下するのかという議論すらないので、クロスカップリングが総合効率に与える影響をまずは明確に示す必要がある。
そこで、本明細書では、以下において、クロスカップリングが生じるための最小構成である送電コイル1個に対して受電コイル2個という構成を一例として、受電コイル間でクロスカップリングが生じる場合と生じない場合においての効率の変化を詳細に議論する。その上で、本明細書では、最大効率を実現する方法、特にクロスカップリングキャンセリング(CCC: Cross coupling cancelling)法を提示する。
特開2013−221875号公報 国際公開WO2007/008646号公報
本発明は、前記の知見に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、受送電コイル間の共鳴条件、あるいは、受電コイルの共振条件を満たしつつ、複数受電コイル間の結合による影響を除去可能な無線電力伝送装置を提供することである。
前記した課題を解決する手段は、以下の項目のように記載できる。
(項目1)
送電部と、第1受電部と、第2受電部と、結合調整部とを備えており、
前記送電部は、電源側に電気的に接続された送電コイルを備えており、
前記第1及び第2受電部は、前記送電コイルからワイヤレスで電力が伝送される受電コイルをそれぞれ備えており、
さらに、前記第1及び第2受電部は、それぞれ、前記受電コイルを含む共振回路を構成しており、
前記第1受電部の前記受電コイルと、前記第2受電部の前記受電コイルとの間には、クロスカップリングを生じており、
前記結合調整部は、前記第1及び第2受電部におけるインダクタンス成分又はキャパシタンス成分を調整することによって、前記第1及び第2受電部におけるそれぞれの共振周波数を、前記クロスカップリングがキャンセルされた状態に実質的に維持する構成となっている
無線電力伝送装置。
(項目2)
前記結合調整部は、前記第1受電部又は前記第2受電部における前記共振回路に挿入されたインダクタンス素子又はキャパシタンス素子である
項目1に記載の無線電力伝送装置。
(項目3)
前記送電部と前記第1受電部、及び、前記送電部と前記第2受電部は、それぞれ、磁界共鳴又は電界共鳴により電力の伝送を行う構成となっている
項目1又は2に記載の無線電力伝送装置。
(項目4)
第1受電部と、第2 受電部と、結合調整部とを備えており、
前記第1及び第2受電部は、電源側に電気的に接続された送電コイルからワイヤレスで電力が伝送される受電コイルをそれぞれ備えており、
さらに、前記第1及び第2受電部は、それぞれ、前記受電コイルを含む共振回路を構成しており、
前記第1受電部の前記受電コイルと、前記第2受電部の前記受電コイルとの間には、クロスカップリングを生じており、
前記結合調整部は、前記第1及び第2受電部におけるインダクタンス成分又はキャパシタンス成分を調整することによって、前記第1及び第2受電部におけるそれぞれの共振周波数を、前記クロスカップリングがキャンセルされた状態に実質的に維持する構成となっている
無線電力受信装置。
(項目5)
送電部と、第1受電部と、第2受電部とを用いる電力伝送方法であって、
前記送電部は、電源側に電気的に接続された送電コイルを備えており、
前記第1及び第2受電部は、前記送電コイルからワイヤレスで電力が伝送される受電コイルをそれぞれ備えており、
さらに、前記第1及び第2受電部は、それぞれ、前記受電コイルを含む共振回路を構成しており、
前記第1受電部の前記受電コイルと、前記第2受電部の前記受電コイルとの間には、クロスカップリングを生じており、
前記第1及び第2受電部におけるインダクタンス成分又はキャパシタンス成分を調整することによって、前記第1及び第2受電部におけるそれぞれの共振周波数を、前記クロスカップリングがキャンセルされた状態に実質的に維持するステップを備える
無線電力伝送方法。
本発明によれば、受送電コイル間の共鳴条件、あるいは、受電コイルの共振条件を満たしつつ、複数受電コイル間の結合による影響を除去可能な無線電力伝送装置を提供することが可能になる。
一つの送電コイルと二つの受電コイルとの様々な位置関係を例示するための説明図であって、図1Aは内部タイプ、図1Bは水平タイプ、図1Cは垂直タイプを示す。 一つの送電コイルと二つの受電コイルとを用いた具体的な位置関係の説明図である。 図(a)は送電コイル、図(b)は受電コイルの拡大図である。 コイル間の位置を表すパラメータを説明するための説明図である。 実験例に用いた送受コイルの概略的な説明図である。 受電コイル間のクロスカップリングを考慮した送受コイルの等価回路である。 クロスカップリングの効果を示すグラフであり、図(a)は、負の相互インダクタンスの場合、図(b)は、正の相互インダクタンスの場合を示す。 実験例におけるクロスカップリングの効果を示すグラフである。 受電コイルの配置例を示す説明図であって、図(a)はコイル間距離sw=3mmの場合、図(b)はコイル間距離sw=300mmの場合である。 図(a)は、受電コイル間のクロスカップリングにより生じる相互インダクタンスと距離swとの関係を示し、図(b)は、結合係数kと距離swとの関係を示す。 クロスカップリング効果による効率の変化を示すグラフである。 g=50mmの場合における距離swとクロスカップリング効果との関係を示すグラフである。 g=50mmの場合における距離swとαとの関係を示すグラフである。 クロスカップリングの効果を示すためのグラフである。 クロスカップリングの効果を示すためのグラフである。 キャンセリングコイルを受電コイルに接続した状態を説明するための等価回路である。 クロスカップリングをキャンセルした場合の効果を示すためのグラフである。 それぞれの距離swにおいてクロスカップリングの効果をキャンセルした場合の効果を示すグラフである。 キャンセリングコンデンサを受電コイルに接続した状態を説明するための等価回路である。 図19の例における効果を計算例で示すためのグラフである。 周波数と効率との関係を示すグラフである。 周波数と負荷との関係を示すグラフである。
本明細書では,クロスカップリングなどの外部的影響を受ける前の受電コイル側の共振周波数を,「元の共振周波数」と呼ぶことにする。この共振周波数は、受電コイル側の回路成分(例えば自己インダクタンス、挿入されているコンデンサのキャパシタンスなど)によって決まる。
以下においては、まず第2章において、本発明の一実施形態の説明の前提となるシステムの全体像と実験条件を示す。第3章では、複数給電の効率式の導出を行なう。第4章では、クロスカップリングが効率に及ぼす影響を、理論と実験で示し、比較例として、簡易な周波数追従法を示す。第5章では、元の共振周波数における最大効率化に関して理論的に検討する。比較例として、抵抗値のみでの負荷最適化を示し、その方法では限界があることを示す。第6章では、本実施形態に対応するクロスカップリングキャンセリング法による元の共振周波数での効率最大化を提案し、その効果を検証する。第7章では、他の比較例として、周波数追従と負荷最適化との両者を行なう方式を示し、その効果を検証する。この方式では、周波数シフトした後のピークとなる周波数における最大効率化を図る。第8章では、4〜7章で示された各提案法の比較を行なう。第9章でまとめを述べる。
(第2章:システム全体像と実験構成)
クロスカップリングは様々な場面で生じる。その一例を図1A〜Cに示す。図において送電コイルをTx,受電コイルをRxで表す。送電コイルと受電コイル間に生じる主要な結合ではなく、複数の受電コイル間に生じる結合をクロスカップリングと本明細書では呼ぶことにする。送受電コイル間の相互インダクタンスをLm,受電コイル間のクロスカップリングによる相互インダクタンスをLcとする。クロスカップリングは、コイル間の距離が近い場合、様々なところで生じるが、その現象を明確にするため、図2の例(モデル1と呼ぶことがある)の様に、送電コイル1個、受電コイル2個という、クロスカップリングが生じるための最小構成を用いて、その特性を検討する。様々な場面でのクロスカップリングに対して適用できる現象を本明細書では扱うが、図2のような配置は、例えば、机の下に一つの送電コイルを設置し、机の上に二つのモバイル機器を置き、これらのモバイル機器にそれぞれ備えられた受電コイルへワイヤレス給電を行う場合に生じうる。もちろん、このような例には制約されない。受電コイル間の結合が非常に弱い場合は、クロスカップリングは無視できるが、受電コイル間の結合が強くなった場合においての効率への影響の解明が不可欠である。
本明細書では、クロスカップリングの影響を式の上でも確認するため、定式化できる範囲で議論する。そのため、受電コイルが複数あっても送受電コイル間の相互インダクタンスLmを一定とし、受電コイル間のクロスカップリングLcも一定として議論する。ただし、本発明の適用範囲は、この条件には制約されない。
図3に送電コイルと受電コイルとをそれぞれ示す。共振周波数は送受共に200kHzであり、共振周波数で動作させる。図3(a)の送電コイルは1200mm×250mmである。巻数は5巻、線の太さは半径1.0mmの銅線、外付けのコンデンサで共振させるショートタイプ(20)である。2つある受電側コイルとしては、同じ形状のコイルを使用し、半径50mmとする。巻数は10巻、線の太さは,半径0.5mmの銅線を使用し、2層構造であり、層間距離ph = 10.0 mmである。送電コイルと受電コイルの位置を示すパラメータを下記表1に示す。添え字n = 1(表1において右側)は送電コイルに関わるパラメータで、n = 2, 3(表1において左側)が受電コイルのパラメータである。受電コイルは同じ構成なので、n = 2とn = 3での差異はない。
Figure 0006274409
表1においてlx, ly はコイルの横と縦の長さ、pはピッチ、phは層間の幅、aは線の太さの半径であり、送電側コイルの自己インダクタンスと外付けコンデンサと内部抵抗とQ値をそれぞれL1, C1, r1, Q1で表し、受電側コイルの自己インダクタンスと外付けコンデンサと内部抵抗とQ値をLn, Cn, rn, Qnで表す。受電コイルの配置パラメータを図4に示す。受電コイルの位置をxで表すときは、受電コイルの中央の位置を示す。結合係数kと送電コイルL1と受電コイルLnの相互インダクタンスLmの関係は式(1)となる。
Figure 0006274409
各受電コイルに接続される負荷の値を同じとする。現実には、クロスカップリングの影響や、配置場所による送電コイルとの結合係数の変化によって、多少の差が生じ、その影響で個別の負荷の最適値が存在する。しかしながら、それでは数式が煩雑になり、クロスカップリングが増えた場合の現象や原理を示すことが困難であるため、今回は同じ値に統一した最適負荷の値を使用する。
実験構成を図5に示す。測定はアジレントテクノロジー社製ベクトルネットワークアナライザ(VNA: Vector Network Analyzer))E5061Bで行い、散乱行列であるSパラメータを測定する。そして、Sパラメータからインピーダンス行列であるZパラメータへ変換して、任意の負荷を接続した時の効率を算出する。回路のSパラメータが得られれば、後は、四則計算で計算できるのは自明のことである。一方の受電コイルには、この例ではVNAのポート2を接続する。VNAが接続されていない他方の受電コイルには、実際の抵抗を負荷として接続する。VNAの各ポートには、内部の抵抗である50Ωが接続されている。VNAでは、任意の負荷を接続した時の効率に変換した値を内部ソフトウエアにより出力できる(20)。そのため、VNAが接続されていない他方の受電コイルの抵抗負荷(実際の抵抗)がポート2側に繋がっているときと等価な状態を作り出すことができる。本明細書では、反射が損失となるかどうかという議論を避けるため、電力伝送効率はηで表し、η=Pout / Pin = η21/ (1-η11)とし、波長が十分長い場合で取り扱われるように、反射波を損失としない式で評価している。Poutは負荷で消費される電力、Pinは入力電力、η21はS21の絶対値の自乗であり、η11はS11の絶対値の自乗である。
(第3章:複数給電の効率の式の導出)
本章では、複数負荷における電力伝送の効率の式を導出する。複数負荷における等価回路を図6に示す。この回路は、送電部10と、第1受電部20と、第2受電部30とを備えている。なお、受電部の数は3以上とすることが可能である。
送電部10は、電源側に電気的に接続された送電コイルTxと、抵抗rと、コンデンサCとを備え、共振器を構成するようになっている。
第1受電部20は、送電コイルからワイヤレスで電力が伝送される受電コイルRxと、抵抗rと、コンデンサCとをそれぞれ備えており、共振器を構成するようになっている。
同様に、第2受電部30は、送電コイルからワイヤレスで電力が伝送される受電コイルRxと、抵抗rと、コンデンサCとをそれぞれ備えており、共振器を構成するようになっている。
ここで、本実施形態では、送電部10と第1受電部20と第2受電部30とにおける共振周波数が一致しており、いわゆる磁界共鳴によるワイヤレス伝送が可能なものとなっている。
図6の例では、第1受電部20の受電コイルRxと、第2受電部30の受電コイルRxとの間には、クロスカップリング(相互インダクタンスL23として示す)を生じている。
図6の例において、全ての箇所におけるクロスカップリングを考慮した自己インダクタンスと相互インダクタンスは、式(2)の様になる。受電コイル間の相互インダクタンスL23がここではクロスカップリングに相当するので、式中ではLcと記載している。
各コイルの負荷を除いた箇所のインピーダンスをZで表し、その時の電圧Vと電流Iは、それぞれ式(3),式(4)となる。それらの関係は式(5)で表される。その際、電圧Vの各要素は式(6)となり、コイル、コンデンサ、内部抵抗で生じる電圧の関係は式(7)〜(9)となる。式(6)に式(7)〜(9)を代入すると式(10)が得られる。
一方、各コイルに接続される負荷の電圧は式(11)で表される。よって、式(12)の様にまとめて表すことが出来る。式(13)で入力電力P1と各負荷で消費される電力Pが求まる。以上より、各負荷での効率η2131は式(14)となり、総合効率ηは式(15)となる。
また、元の共振周波数f = f0で動作させることを目的にする場合、自己インダクタンスLnによるリアクタンスとキャパシタンスCnによるリアクタンスは式(16)の様に、互いに打ち消し合うので、式(17)に集約される。よって、式(18)の様にまとめて表すことが出来る。以上が、複数給電における効率を導出する一般式であり、次章ではこれを用いて検証する。
Figure 0006274409
Figure 0006274409
(第4章:クロスカップリングの影響確認と周波数追従法(比較例A))
クロスカップリングの影響を確認するために、クロスカップリングがない時(Lc = 0)とクロスカップリングがある時(Lc = 1593.2 nH, sw = 3 mm)の数値計算で求めた周波数−効率曲線を図7に示す。負荷の値は、クロスカップリングがない条件下で元の共振周波数f0 = 200 kHzにおいて最大効率となるように最適化した値Ropt = 2.55 Ωを使用している。このRoptは、後述する式(20)を使用して求めた。
図7(a)には、クロスカップリングがマイナスの場合、図7(b)には、クロスカップリングがプラスの場合の効率の変化を示す(16)。いずれの場合も、クロスカップリングが無い場合に対して周波数がシフトしていることが分かる。前記した回路例では、クロスカップリングがマイナスなので、周波数は高い方にシフトする。実験の測定結果を図8に示す。一方、クロスカップリングがプラスで結合する場合は、図7(b)の様に、周波数は低い方にシフトする。
元の共振周波数f0 = 200 kHzに注目すると、周波数シフトによって、効率が低下してしまっている。次章で詳細に検証するが、sw = 3 mm の場合で、4.3%の効率悪化である。ワイヤレス電力伝送を行なう場合、電波法との兼ね合いで容易に周波数を変えることは出来ないことが多いので、元の共振周波数f0における効率悪化は問題となる。
クロスカップリングがない時のf0 = 200.00 kHzにおける効率は、44.121%である。一方、クロスカップリングがマイナスの時のピークの周波数fp = 204.91 kHzにおける効率は44.919%である。また、クロスカップリングがプラスの時のピークとなる周波数fp = 196.00kHzにおける効率は43.402%である。クロスカップリングがマイナスの時のピーク時の効率が、クロスカップリングがプラスの時のピーク時の効率より高い理由は、「本検討においては、周波数が増加した際に、内部抵抗の増加を考慮しておらず、内部抵抗を一定としているため、周波数が上がるほどQ値が大きくなることによって効率が向上する」ためである。現実の現象としては内部抵抗も増えるので、効率が良くなるか悪化するかは一概に言えない。これ以降は、特に断りが無い場合は、本提案の構成に則して、クロスカップリングがマイナスとして議論を進める。
以上の様に、クロスカップリングによって元の共振周波数f0での効率の低下は認められるが、クロスカップリングの本質は周波数特性のシフトであることが分かる。よって、元の共振周波数f0で使用し続けることに代えて、最大効率となるピーク周波数fpを追従しながら電力伝送を行なえば、容易に高効率が達成できることになる。ただし、周波数トラッキングのみでは、ピーク周波数における最大効率となるべき最適負荷からはずれてしまうが、そのことを許容する。ここでの条件を整理すると、クロスカップリングが無い時点においてf0で最適化した負荷のままでの周波数追従法ということになる。ここでは、これを簡易な周波数追従法と呼ぶことにし、比較例A(又は提案A)とする。比較例Aに関しては電源周波数を変化させるだけであるので、これ以上の検証は本稿では行なわない。比較例Aについては、7章と8章において、最適化された他の方式と比較する。
(第5章:負荷抵抗のみの最適化の限界(f = f0, 比較例B))
前章より、クロスカップリングの影響の本質は周波数特性のシフトであることが分かった。また、比較例Aにあるように簡易な周波数追従法を用いれば高効率の電力伝送が可能であることも分かった。しかしながら、電力伝送においては、動作周波数が固定されていることも多い。そこで、5章と6章では周波数が固定された上での最大効率化を目指す。この5章では、従来から行なわれている、負荷のインピーダンスの実数成分のみ、つまり抵抗の値の最適化による高効率化について検討する(6)。本方式を比較例B(又は提案B)とする。クロスカップリングが生じていない従来の最適化においては、抵抗値の最適化のみという簡易な方法で最大効率を実現できている事もあり、最大効率が実現できればそのメリットは大きいが、ここでは、その限界を示す。
まず、条件を整理する。本章の式は、元の共振周波数f0での検討である。3章で求めた式は複数給電の一般式なので、本構成の条件に合わせて検討する。本構成においては、同じ高さ(受送電コイル間の距離に相当)では、コイルの端以外では相互インダクタンスLmはほぼ同じである。コイルの中央付近で検討することにより、クロスカップリングのLcの有無が効率に与える影響を検証することが出来る。まず、受電コイル間のクロスカップリングが無視できるときは、式(2)は式(19)となり、それを用いて算出した最大効率をηaとする。またここで、送受電間距離がどの受電コイルでも等しいので、L12 = L13 = Lmとする。式(15)を微分して極大値を求め、最適負荷条件式を求めると式(20)となる。式(20)を効率ηaの式(21)に代入することで最大効率が求まる。一方、クロスカップリングを考慮する場合の最大効率をηbとする。クロスカップリングを考慮するので、式(2)を使用し、同様に、式(15)を微分して極大値を求め、最適負荷条件式を求めると式(22)となる。式(22)を、効率ηbの式(23)に代入する事で最大効率が求まる。送受コイル間の相互インダクタンスLmに対する、受電コイル間のクロスカップリングLcの割合をαとして式(24)の様に示す。αを用いて、効率の式(23)を計算することで、クロスカップリングの影響を確認することが出来る。
また、クロスカップリングがない時の効率からクロスカップリングがある時の差分δηを式(25)の様に示す。つまり、δηはクロスカップリングの影響によって失う効率分である。式(20)と式(22)から分かるとおり、ω2Lc 2の項の影響で最適負荷値はクロスカップリングの影響で若干増加することが分かる。一方、最大効率に関しては、式(21)と式(23)から分かるとおり、r1ω2Lc 2の項の影響でクロスカップリングがあるときは効率が若干悪化する事が分かる。
Figure 0006274409
以下、送電コイルと受電コイルとの相互インダクタンスLmを一定に保ったまま、クロスカップリングのLcの変化について検討する。
(5−1:受電コイル間距離swの変化(エアギャップg,相互インダクタンスLm固定))
エアギャップを固定して(g = 50mm)、受電コイル間のギャップを変化させる。これは、送電コイルと受電コイルとの相互インダクタンスLmを固定し、クロスカップリングのLcの変化を確認することになる。図9(a)にモデル1での「結合が強い状態」である、sw = 3 mm(x = 51.5mm)の場合、図9(b)に「結合が無視できる状態」である、sw = 150 mm(x = 125 mm)の場合を示す。これら相互インダクタンスの値やクロスカップリングの値は、理論式からは容易には計算できないため、今回は、電磁界解析結果と実験結果の比較をし、その一致を確認した上で、実験結果の値を用いて等価回路の理論計算を行なうこととする。そこで、実験結果Exp.と電磁界解析結果Sim.を図10に示す。受電コイル間の距離に対するクロスカップリングLcを図10(a)に、結合係数kを図10(b)に示す。実験結果Exp.と電磁界解析結果Sim.を同時に記載しており、その一致が確認出来る。電磁界解析はモーメント法で行なった。これ以降、全ての等価回路計算では、実験結果の値を利用している。また、本明細書の各例では、高さ(送受コイル間距離に相当)は固定とし、g = 50 mmとする。コイルの端を除き一定の高さにおいては、相互インダクタンスLmは一定となるため、本例では、実験で求めたx = 0 mmの所における相互インダクタンスLm = 1498.3 nHを採用する。
次に、効率について確認する。比較例Bにあるように、式(22)が常に満たされていると仮定して検討する。つまり、コイル間距離swの変化に対応して、抵抗値による最適負荷が常に設定されるようになっている。式(24)と式(25)より求められた、送電コイルと受電コイルの相互インダクタンスLmに対して、受電コイル間のクロスカップリングの相互インダクタンスLcが効率に与える影響を横軸α縦軸δηとして図11に示す。クロスカップリングがない時、つまり、α = 0の時が一番効率が良く、クロスカップリングの割合が増えてくると効率が悪化する。例えば、Lm = Lcの時、つまり、α = 1の時には、効率が3.92%悪化する。
受電コイル間の距離swを変化させた場合の結果を図12に示す。図12では、クロスカップリングを無視して計算した場合のf0における効率、クロスカップリングを考慮した場合のf0における効率、それらの差分が示されている。また、swとαとの関係を図13に示す。これにより以下のことが分かる。受電コイル間の距離が小さい時にはクロスカップリングの影響で効率が悪化している。例えば、g = 50mm、sw = 3 mmの時は、Lm = 1498.3 nH, Lc = −1593.2 nH なので、α = 1.06となり、δη = 4.3 %となる。一方で、コイル間距離が大きくなるにつれ、クロスカップリングの影響が小さくなり、クロスカップリングの影響で悪化した分の効率が改善されている。例えば、クロスカップリングを無視できるとして設定しているg = 50 mm、sw = 300 mmの時は、Lm = 1498.3 nH, Lc = −17.2 nH なので、α =0.012となり、δη = 6.4×10−4 %となる。また、参考として、同様の結果を、横軸をクロスカップリングによる相互インダクタンスとして図14に、横軸をクロスカップリングによる結合係数kcとして図15に示す。kcは式(26)の通りである。
Figure 0006274409
また、本明細書では特に言及しないが、αが大きくなる場合としては、
1)受電コイル間が離れてLcが小さくなるとき、あるいは、
2)送電コイルから空間的に少し離れた位置で受電コイルが使われるとき
がある。後者の場合、送電コイルと受電コイルとの結合が弱まり、相互インダクタンスLmが小さくなるため、Lcが相対的に大きくなり、結果αが大きくなりクロスカップリングの影響が強く出る。
以上の様に、抵抗値の最適化のみという簡易な方法である比較例Bでは、クロスカップリングの影響を受けた際に、効率を改善させるには限界があることが分かる。
(第6章:クロスカップリングキャンセリング法(実施例))
クロスカップリングによる周波数特性シフトの影響により、元の共振周波数f0における効率の悪化と、従来の抵抗値だけによる最適化での限界を前章までで確認した。そこで、この第6章では、本発明の一実施例として、クロスカップリングキャンセリング法(CCC: Cross Coupling Canceling)を提案する。この明細書では、本方式を提案Cと呼ぶことがある。また、本章は前章に引き続き、固定周波数f0での最大効率化を検討する。
前記した第5章より、共振周波数時の電圧電流の関係式(18)におけるクロスカップリングの相互インダクタンスLcを打ち消し、クロスカップリングがない時までの効率に戻れば、効率は改善されることが推測される。
(6.1:−LcとキャンセリングコイルLcan
本例では、クロスカップリングがマイナスである。そこで、クロスカップリングをキャンセリングさせるためのコイルLcan(結合調整部の一例に相当)を受電側に挿入する(等価回路としての図16参照)。その式を式(27)に示す。式(27)には、検討のために送電側にコイルLTxも挿入されているが、後述するように効率改善に対しての効果は無い。
Figure 0006274409
(27)より、下記効率の式(28)が求まる。
Figure 0006274409
最大効率を実現する最適負荷の値を求める。効率を負荷で微分して極値から最適負荷を求めると式(29)となる。
Figure 0006274409
まず、LTxは関与していない。つまり効率にLTxは影響を及ぼさない。次に、クロスカップリングがない時の式(20)とクロスカップリングの影響を受けている式(22)と式(29)を比較すると、LcはLcanによって相殺すれば、クロスカップリングの影響が最適負荷の式からはキャンセルされることが分かる(式(30))。つまり、クロスカップリングがない時の共振周波数f0の時の最適負荷値にしたまま、キャンセリングコイルを追加するだけで良い。また、キャンセリングコイルのインダクタンス値はクロスカップリングで生じている値と等しくなる。また、−Lcを相殺するためには、コンデンサではなくコイルである必要があることも分かる。
Figure 0006274409
すなわち、前記した提案Cによれば、結合調整部(キャンセリングコイル)が、第1及び第2受電部におけるインダクタンス成分を調整することによって、第1及び第2受電部におけるそれぞれの共振周波数を、クロスカップリングがキャンセルされた状態に実質的に維持することができる。
クロスカップリングが強い状況であるsw = 3 mmの値を使用して数値計算により検証する。g = 50 mmとする。図17にクロスカップリングがない状態(Lc = 0)、クロスカップリングが生じた状態(−Lc)、提案Cで行なったクロスカップリングキャンセリングによる共振周波数f0での効率の改善を示す。提案Cの条件で、f0における最大効率を計算すると、キャンセリング用コイルLcan、最適負荷Ropt、総合効率ηは、Lcan = 397.5 nH、Ropt = 2.554 Ω、総合効率η = 44.12%となる。Roptと総合効率は、クロスカップリングがない時の値と完全一致しており、受電側に挿入したコイルLRxによってクロスカップリングの効果がキャンセリングた時に、最大効率が達成できることが分かる。この際、式(30)の条件が満たされている。周波数シフトも元に戻り、200kHzで共振した元の波形に戻る。
実験で確認した結果を図18に示す。ここでは、sw = 3 mm, 5 mm, 10 mm, 20 mmの時に、コイル間距離を近づけてクロスカップリングが生じた後に、キャンセリングコイルを挿入して周波数シフトをなくした実験を行なった。当然ながらコイル間距離が近いほど、周波数シフトは大きい。また、キャンセリングコイルを挿入することにより、200kHzでの共振現象に戻っている。一方で、計算結果と違うのは効率の低下がわずかながら生じていることである。挿入したキャンセリングコイルは約100mΩ程の抵抗分を持っており、損失が生じ効率が低下したと考えられる。
(6.2:+LcとキャンセリングコンデンサCcan
前記の例では、クロスカップリングがマイナスであるが、もしプラスであった場合について検討を行なう。そこで、クロスカップリングをキャンセリングさせるためのコンデンサCcan(結合調整部の他の例)を受電側に挿入する(図19参照)。その式を式(31)に示す。先ほどの検討と同様、式(31)には、検討のために送電側にコンデンサCTxも挿入されているが、後述するように効率改善に対しての効果は無い。
Figure 0006274409
式(31)より、下記効率の式(32)が求まる。
Figure 0006274409
最大効率を実現する最適負荷の値を求める。効率を負荷で微分して極値から最適負荷を求めると式(33)となる。
Figure 0006274409
まず、CTxは関与していない。つまり効率にCTxは影響を及ぼさない。次に、クロスカップリングがない時の式(20)とクロスカップリングの影響を受けている式(22)と式(33)を比較すると、LcはCcanによって相殺すれば、クロスカップリングの影響が最適負荷の式からはキャンセルされることが分かる(式(34))。つまり、クロスカップリングがない時の共振周波数f0の時の最適負荷値にしたまま、キャンセリングコンデンサを追加するだけで良い。また、式(34)より、キャンセリングコンデンサのキャパシタンス値Ccanはクロスカップリングで生じている相互インダクタンスLcとf0で共振させて相殺していると見なす事が出来る。また、+Lcを相殺するためにはコイルではなくコンデンサである必要性も分かる。
Figure 0006274409
したがって、結合調整部としてキャンセリングコイルを用いた場合においては、第1及び第2受電部におけるキャパシタンス成分を調整することによって、第1及び第2受電部におけるそれぞれの共振周波数を、クロスカップリングがキャンセルされた状態に実質的に維持することができる。
クロスカップリングが強い状況であるsw = 3 mmの値を使用して数値計算により検証する。先にも述べた構成例では、+Lcは生じない。そのため、クロスカップリングにより生じる相互インダクタンスLcの値以外は0で使用した値を参考値として利用する。理論計算結果を図20に示す。クロスカップリングがない状態(Lc = 0)、クロスカップリングが生じた状態(+Lc)、提案Cで行なったクロスカップリングキャンセリングによる共振周波数f0での効率の改善を示す。提案Cの条件で、f0における最大効率を計算すると、キャンセリング用コンデンサCcan、最適負荷Ropt、総合効率ηは、Ccan = 397.5 nF、Ropt = 2.554 Ω、総合効率η = 44.12%となる。Roptと総合効率は、クロスカップリングがない時の値と完全一致しており、受電側に挿入したコンデンサCcanによってクロスカップリングの効果がキャンセリングした時に、最大効率が達成できることが分かる。この際、式(34)の条件が満たされている。
(第7章:負荷最適化を考慮した周波数追従法(提案D))
厳密な最大効率の実現として、負荷最適化を考慮した周波数追従法を提案Dとして本章で検討する。式(12)を使用し、クロスカップリングで生じた周波数特性シフト後のピーク周波数で最適負荷とする。
式(12)より、下記効率の式が導ける。
Figure 0006274409
効率の式(35)を周波数で微分し、ピーク周波数fpを求めると式(36)が得られる。ピーク周波数fpは負荷値が関与していることが分かる。
Figure 0006274409
この時の周波数−効率曲線は図21となる。
一方、最大効率を実現する最適負荷の値を求める。効率を微分して極値から最適負荷を求めると式(37)となる。
Figure 0006274409
この時の最適負荷−効率曲線の理論計算結果は図22となる。
ピークとなる周波数と最適負荷は同時に満たす必要があり、それを満たした周波数追従は図21の様になる。また、最適負荷の値は大きく変動しないが、最大効率を実現させるには、変化した分だけ微調整する必要がある。sw = 3mm, g = 50 mm において、最大効率となる周波数は204.92 kHz、最適負荷は2.61Ω、効率は44.923%となる。この様に最適負荷かつ周波数制御を行なう事により、最大効率44.923%を実現させることが出来る。しかしながら、提案Dの効率は、提案Aの44.919%に比べ、0.004%しか向上しない。最適負荷は提案Aの時は、Ropt = 2.55 Ωであるので、最適負荷の変動が少ないことも効率変動が少ない要因の一つである。
(第8章:各提案(提案A〜D)の比較)
第4章から第7章までに行なった各提案を表にまとめる。f = f0の時のクロスカップリングが無い場合と提案Bと提案Cの比較を表2に、f = fpの時の提案Aと提案Dの比較を表3に示す。
f = f0での効率改善をめざした提案Bと提案C に関しては、表2より、抵抗成分のみでの最適化では限界があることを提案Bが示している。また、表2によれば、クロスカップリングキャンセリング法の提案C(本実施例の方法)によってクロスカップリングの影響を除去し、クロスカップリングが無い場合の効率にまで改善出来ることがわかる。
また、表3より、200kHzで最適化したままの状態で周波数シフトした際に、ピークとなる周波数fpで使用する提案Aの効率は、ピーク周波数で最適化する提案Dの効率とほぼ変わらないことが分かる。提案Dと提案Aの差は僅か0.004%だけである。原理的には、提案Dが最大効率となるので望まれるが、周波数追従法だけで高効率が達成できる利点を考えると、実用的には提案Aも有効な方法と言える。
Figure 0006274409
Figure 0006274409
(第9章:まとめ)
本明細書では、受電コイル間でクロスカップリングが生じる場合と生じない場合においての効率の変化を詳細に検討した。その結果、クロスカップリングが強く生じる程元の共振周波数で効率が低下する事が判明すると共に、その原因が周波数シフトであることも示した。このため、元の共振周波数での使用の場合、提案B(従来の抵抗負荷のみの最適化)では限界があることを示した。
これに対して、提案C(本発明の一実施例に対応)において、クロスカップリングキャンセリング法を提案した。これによれば、クロスカップリングの影響を除去して最大効率になることが示された。固定周波数での使用が望まれることが多いワイヤレス電力伝送においては、提案Cは非常に有効な方法である。
一方、周波数が自由に使える場合は、そのピーク周波数を追従する方法として、提案Aでは、ピーク周波数毎の最適負荷調整を不要とした簡易な周波数追従法の効果を示し、提案Dでは、厳密にピーク毎に最適負荷を行なった最大効率を示した。当然ながら、提案Dは最大効率となるので、提案Aより効率は良くなるが、その差は僅か、0.004%なので、簡易な周波数追従法である提案Aが実用上は有効であることも示した。
なお、本発明の内容は、前記各実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、具体的な構成に対して種々の変更を加えうるものである。
例えば、前記説明では、磁界共鳴を前提として説明したが、電界共鳴を用いたワイヤレス電力伝送においても、本発明を適用することができる。
さらに、送電部が共振回路を構成していない場合(受電部のみが共振器となっている場合)においても、本発明を適用することができる。この場合でも、結合調整部としてのインダクタンス成分又はキャパシタンス成分を、第1受電部及び/又は第2受電部に挿入することによって、挿入された回路における元の共振特性(クロスカップリングの影響が除去された周波数特性)を維持することができる。
また、前記説明では、集中定数素子を用いた等価回路で説明したが、分布定数回路においても本発明を適用することができる。その場合、コイルはインダクタンス成分、コンデンサはキャパシタンス成分と読み替えればよい。
Figure 0006274409
Figure 0006274409
Figure 0006274409
Figure 0006274409
10 送電部
20 第1受電部
30 第2受電部
Tx 送電コイル
Rx 受電コイル
can キャンセリングコイル(結合調整部;インダクタンス素子)
can キャンセリングコンデンサ(結合調整部;キャパシタンス素子)

Claims (5)

  1. 送電部と、第1受電部と、第2受電部と、結合調整部とを備えており、
    前記送電部は、電源側に電気的に接続された送電コイルを備えており、
    前記第1及び第2受電部は、前記送電コイルからワイヤレスで電力が伝送される受電コイルをそれぞれ備えており、
    さらに、前記第1及び第2受電部は、それぞれ、前記受電コイルを含む共振回路を構成しており、
    前記第1受電部の前記受電コイルと、前記第2受電部の前記受電コイルとの間には、クロスカップリングを生じており、
    前記結合調整部は、前記第1及び第2受電部におけるインダクタンス成分又はキャパシタンス成分を調整することによって、前記第1及び第2受電部におけるそれぞれの共振周波数を、前記クロスカップリングがキャンセルされた状態に実質的に維持する構成となっている
    無線電力伝送装置。
  2. 前記結合調整部は、前記第1受電部又は前記第2受電部における前記共振回路に挿入されたインダクタンス素子又はキャパシタンス素子である
    請求項1に記載の無線電力伝送装置。
  3. 前記送電部と前記第1受電部、及び、前記送電部と前記第2受電部は、それぞれ、磁界共鳴又は電界共鳴により電力の伝送を行う構成となっている
    請求項1又は2に記載の無線電力伝送装置。
  4. 第1受電部と、第2 受電部と、結合調整部とを備えており、
    前記第1及び第2受電部は、電源側に電気的に接続された送電コイルからワイヤレスで電力が伝送される受電コイルをそれぞれ備えており、
    さらに、前記第1及び第2受電部は、それぞれ、前記受電コイルを含む共振回路を構成しており、
    前記第1受電部の前記受電コイルと、前記第2受電部の前記受電コイルとの間には、クロスカップリングを生じており、
    前記結合調整部は、前記第1及び第2受電部におけるインダクタンス成分又はキャパシタンス成分を調整することによって、前記第1及び第2受電部におけるそれぞれの共振周波数を、前記クロスカップリングがキャンセルされた状態に実質的に維持する構成となっている
    無線電力受信装置。
  5. 送電部と、第1受電部と、第2受電部とを用いる電力伝送方法であって、
    前記送電部は、電源側に電気的に接続された送電コイルを備えており、
    前記第1及び第2受電部は、前記送電コイルからワイヤレスで電力が伝送される受電コイルをそれぞれ備えており、
    さらに、前記第1及び第2受電部は、それぞれ、前記受電コイルを含む共振回路を構成しており、
    前記第1受電部の前記受電コイルと、前記第2受電部の前記受電コイルとの間には、クロスカップリングを生じており、
    前記第1及び第2受電部におけるインダクタンス成分又はキャパシタンス成分を調整することによって、前記第1及び第2受電部におけるそれぞれの共振周波数を、前記クロスカップリングがキャンセルされた状態に実質的に維持するステップを備える
    無線電力伝送方法。
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