JP6268945B2 - 慣性装置、方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、慣性装置、方法及びプログラムに関する。
屋内や地下のように、GPS(Global Positioning System)を用いた測位が行えない環境において、加速度センサや地磁気センサ等が統合された慣性装置の演算により、歩行者の位置を推定する、慣性航法技術(PDR; Pedestrian Dead Reckoning)が知られている。
慣性航法技術を用いた従来の技術には、歩行推定モデルを用いて、一歩ごとに歩幅と進行方向を推定し、歩行に伴う動線を、実時間または過去の時間に遡って算出する技術が存在する(特許文献1、2)。
また、慣性航法技術を実施する従来の慣性装置は、歩行するユーザの体に固定した状態で使用されるか、あるいは、装着後、ユーザにキャリブレーションを実行させることにより、歩行に伴う正しい歩幅推定を可能としている(特許文献3ないし6)。
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術は、歩行するユーザの一歩ごとの移動量又は移動方位を補正して位置推定を行うため、歩行のような進行動作に伴う位置推定の分解能は、「一歩」の単位に律速され、それより高い分解能を実現することは難しい。
また、特許文献3ないし6に記載の技術は、ユーザが慣性装置を腰などに固定し、規定の姿勢で使用する必要があるか、あるいは、姿勢を規定する代わりに、ユーザが装着後にキャリブレーションを行う必要がある。従って、従来の慣性装置は、ユーザにとって使い勝手が悪いという問題点があった。
このように、従来の慣性航法技術を用いる慣性装置は、進行動作に伴う位置推定の分解能、すなわち推定精度が低いものであった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、位置の推定精度を改善し、利便性を向上させる慣性装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し目的を達成するため、本発明の一実施形態における慣性装置は、
慣性センサの出力を用いて現在位置を推定する慣性装置であって、
前記出力から求めた、当該慣性装置を有する対象となるユーザが歩行又は走行する進行動作の特徴を表すパラメータから、進行速度の変化を表す波形を生成する波形生成部と、
生成された複数の前記波形を合成する波形合成部と、
合成された前記波形から取得した進行速度情報と、前記対象の実際の進行速度に対する誤差を表す前記進行速度情報の誤差情報とを用いて現在位置を推定する推定部と、
を有する。
また、本発明の一実施形態における方法は、
慣性センサの出力を用いて現在位置をコンピュータが推定する方法であって、
コンピュータが、前記出力から求めた、慣性装置を有する対象となるユーザが歩行又は走行する進行動作の特徴を表すパラメータから、進行速度の変化を表す波形を生成する波形生成段階と、
コンピュータが、生成された複数の前記波形を合成する波形合成段階と、
コンピュータが、合成された前記波形から取得した進行速度情報と、前記対象の実際の進行速度に対する誤差を表す前記進行速度情報の誤差情報とを用いて現在位置を推定する推定段階と、
を有する。
また、本発明の一実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、上記方法を実行させる。
本発明によれば、位置の推定精度を改善し、利便性を向上させる慣性装置を提供できる。
本発明の一実施形態における慣性装置の概略を表す図。 本発明の一実施形態における慣性装置のハードウェア構成例を表す図。 本発明の一実施形態における慣性装置の機能ブロックの一部を表す図。 姿勢演算処理を説明する図。 時間発展の手続きにおける姿勢演算(ロール・ピッチ・ヨー角)を説明する図。 時間発展の手続きにおける姿勢演算(ロール・ピッチ・ヨー角)を説明する図。 時間発展の手続きにおける姿勢演算(ロール・ピッチ・ヨー角)を説明する図。 第一の観測更新の手続きにおける姿勢演算(ロール・ピッチ角)を説明する図。 第二の観測更新の手続きにおける姿勢演算(ヨー角)を説明する図。 ピーク検出処理を説明する図。 水平成分移動速度特徴情報の算出処理を説明する図。 水平成分移動速度特徴情報の算出処理を説明する図。 歩行判定処理を説明する図。 左右の移動速度ぶれ幅判定処理を説明する図。 進行方向推定処理を説明する図。 TRIADアルゴリズムにより姿勢を求める処理を説明する図。 本発明の一実施形態における慣性装置の機能ブロック全体を表す図。 本発明の一実施形態における慣性装置の進行速度推定部の機能ブロック図。 パラメータデータベースの一例を表す図。 進行速度波形の例を表す図。 合成された進行速度波形の例を表す図。 本発明の一実施形態における慣性装置の絶対位置情報入力部、絶対位置推定部及びマップマッチング部の機能ブロック図。 電波強度と測位時間間隔の関係を表す図。 時間発展の手続きにおける現在位置の演算を説明する図。 時間発展の手続きにおける現在位置の演算を説明する図。 時間発展の手続きにおける現在位置の演算を説明する図。 観測更新の手続きにおける現在位置の演算を説明する図。 拡張カルマンフィルタの一般式を説明する図(従来技術)。 時間更新の手続きにおいて用いられる変数を説明する図(従来技術)。 観測更新の手続きにおいて用いられる変数を説明する図(従来技術)。 歩行動作における鉛直方向の運動特性を説明する図。 歩行動作における水平方向の運動特性を説明する図。 歩行時における歩行速度の推定結果を表す図。 歩行時における現在位置の推定結果を表す図。 歩行時における現在位置の推定結果を表す図。 推定位置が他の位置情報により補正される様子を表す図。 歩行時における測位誤差の推定値の変化を表す図。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1. 概要
2. ハードウェア構成
3. 進行方向推定機能
3.1 座標系変換
拡張カルマンフィルタの一般式
拡張カルマンフィルタの適用
時間発展の手続き
第一の観測更新の手続き
第二の観測項新の手続き
TRIADアルゴリズムを用いた姿勢情報の計算
3.2 進行方向推定
4. 現在位置推定機能
4.1 進行速度推定
4.2 絶対位置情報入力
4.3 絶対位置推定
4.4 マップマッチング
5. 進行速度及び現在位置の推定結果
≪ 1. 概要 ≫
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態における慣性装置の概要を説明する。図1は、慣性装置1を所持するユーザが歩行する様子を表している。本明細書では、ユーザの歩行する方向がx軸で表され、x軸と垂直であり、かつ、地面に平行な方向がy軸で表され、鉛直方向がz軸で表される。
慣性装置1は、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)又はノートブックPCのように、ユーザが持ち運ぶことのできる小型のデバイスである。慣性装置1は、市販されているスマートフォン等に搭載されているような、慣性センサ(加速度センサ、角速度センサ、地磁気センサ)を備えている。慣性装置1は、各センサを利用して、加速度及び角速度の変化並びに装置の向きを検出することができる。
詳しくは後述するが、本発明の一実施形態における慣性装置1は、まず、各センサを利用して、三つの軸方向の加速度(三軸加速度)と、三つの軸方向の角速度(三軸角速度)と、三つの軸で表される地磁気の強さ(三軸地磁気)とを含むセンサ情報を随時取得する。各測定値は、デバイス座標系によって表現されるため、慣性装置1は、各センサ情報を、絶対座標系に変換する。
慣性装置1は、絶対座標空間における移動加速度(ベクトル)を取得する。具体的には、例えば、慣性装置1は、絶対座標系に変換されたセンサ情報から重力成分を除去した、鉛直方向成分と水平成分の加速度(三軸移動加速度)を取得することができる。そして、慣性装置1は、随時取得されて記憶される三軸移動加速度のうち、鉛直方向の移動加速度の変化を表す波形において、歩行中のユーザの一の足(軸足)が着地してから、他方の足が軸足を追い越す時刻を特定する。当該時刻は、鉛直方向の移動加速度の変化を表す波形が、谷のピークとなる時刻に対応ため、本明細書では、当該時刻のことを、ピーク時刻又はピーク位置と呼ぶ。
次に、慣性装置1は、ピーク位置を中心とした所定の期間内の水平成分移動加速度の積算処理を実行する。ここで、算出された値を、水平成分移動速度特徴ベクトルと呼ぶ。慣性装置1は、算出された水平成分移動速度特徴ベクトルと、測定対象の移動に係る動作の周期と、鉛直方向移動加速度のピーク値(鉛直方向ピーク加速度)を用いて、得られたデータが、測定対象による実際の歩行又は進行動作によるものであるか判定する。以下、測定対象の移動に係る動作の周期のことを、移動周期と呼ぶ。移動周期の一例は、人の歩行周期である。また、測定対象による実際の歩行又は進行動作を、単に歩行動作と記述する(但し、「歩行」以外の動作も含む)。
次に、慣性装置1は、歩行動作によるものであると判定した場合には、前後の水平成分移動速度特徴ベクトルを合成し、一歩踏み出したときの進行方向ベクトルを、随時算出する。その後、最新の進行方向ベクトルと、直近の進行方向ベクトルの合成方向を、進行方向として推定する。
慣性装置1は、さらに、推定された進行方向や、既に取得済みの水平成分移動速度特徴ベクトル等の情報等をもとに、その時点における測定対象の進行速度の特性を表す進行速度波形(時間に対する水平方向の速度成分の変化)を生成する(図20)。詳しくは後述する。そして、逐次得られた進行速度波形を合成し(図21、詳しくは後述する)、実際の進行速度を表す速度推定ベクトルを得る。
慣性装置1は、このようにして得た速度推定ベクトルと、別途取得した絶対位置座標の情報をもとに、現在位置を推測することができる。
このように、本発明の一実施形態における慣性装置1は、測定対象の移動によってセンサから逐次得られる情報を用いて、測定対象の移動速度を推定する。そして、これと絶対位置座標を表す情報を組み合わせることにより、一歩未満の分解能で、進行方向と現在位置を推定することができる。また、慣性装置1は、測定対象の本来の移動の動作ではない動作を感知すると、この動作が、進行に係る動作でない(例えば、ユーザによる、歩行とは関係ない、手を振る動作等)ものと判定し、得られたデータを方向推定に利用しない。これによって、例えば、測定対象であるユーザは、慣性装置1を任意の姿勢で保持することができる。この利点は、本慣性装置が、ユーザに対してナビゲーション機能を提供する場合に、特に有利である。
なお、慣性装置1は、上で例示したデバイス以外のデバイス(例えば、音楽プレーヤ、活動量計、腕時計等)であってもよい。また、慣性装置1は、他のデバイス(例えば、歩行ロボットや、動物に装着する首輪等)に内蔵されて提供されてもよい。これにより、鉛直方向に一定の周期で運動する多様な人又は物体の進行方向を推定することが可能となる。
≪ 2. ハードウェア構成 ≫
次に、図2を用いて、本発明の一実施形態における慣性装置1のハードウェア構成を説明する。図2は、慣性装置1が、スマートフォンのような携帯デバイスである場合の、ハードウェア構成例である。
慣性装置1は、CPU11、RAM12、ROM13、加速度センサ14、角速度センサ15、地磁気センサ16、マイク17、スピーカ18、通信モジュール19、Bluetooth(登録商標)通信モジュール20、GPS受信モジュール21、ディスプレイ22、タッチパネル23、電池24、気圧センサ25及びバス26を有する。
CPU11は、慣性装置1の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM12は、CPU11のワークエリア等を構成する。ROM13は、CPU11が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。加速度センサ14は、慣性装置1の、デバイス座標系におけるX'、Y'、Z'軸方向の加速度を検出する。角速度センサ15(又はジャイロセンサ)は、慣性装置1の、デバイス座標系におけるX'、Y'、Z'軸方向の角速度を検出する。地磁気センサ16は、磁北を表す三次元のベクトルを出力し、慣性装置1の向きを検出する。気圧センサ25は、気圧を測定し、当該慣性装置1の高度を検出する。
マイク17は、ユーザの声等の音声を電気信号に変換する。スピーカ18は、電気信号を音声として出力する。通信モジュール19は、3Gネットワーク及び/又は無線LANに接続された他の装置と通信するための装置である。Bluetooth(登録商標)通信モジュール20は、Bluetoothを用いて通信するための装置である。GPS受信モジュール21は、GPS衛星やIMES(Indoor Messaging Service)によって送信される測位信号を受信するための装置である。
ディスプレイ22は、ユーザに対して画面を提示するための装置である。タッチパネル23は、ユーザからの入力を受け付ける装置である。電池24は、慣性装置1を駆動するための電力を供給する装置である。バス26は、電池24を除く各装置を相互に接続する。
なお、マイク17、スピーカ18、通信モジュール19、Bluetooth(登録商標)通信モジュール20、GPS受信モジュール21、ディスプレイ22及びタッチパネル23は、任意の構成要素である。例えば、慣性装置1が、表示画面を有しない活動量計のようなデバイスである場合には、これらの装置を備えていなくてもよい。
また、慣性装置1は、Bluetooth(登録商標)通信モジュール20の代わりに、他の規格に従って無線通信する装置(例えば、ZigBee(登録商標)通信モジュール)を備えていてもよい。
≪ 3.進行方向推定機能 ≫
次に、図3を用いて、本発明の一実施形態における慣性装置1の機能ブロックを説明する。本節では、慣性装置1が、測定対象の進行方向を推定する進行方向推定機能を、「座標系変換」機能と、「進行方向推定」機能の、二つに分けて説明する。
≪ 3.1 座標系変換 ≫
慣性装置1において座標系変換機能を実行する座標系変換部100は、加速度取得部101と、角速度取得部102と、地磁気取得部103と、姿勢演算部104と、地磁気信頼性評価部105と、絶対加速度変換部107とを含む。座標系変換部100は、加速度センサ14より取得された、センサの座標系(デバイス座標系)における三軸の加速度を、絶対座標系における加速度(絶対加速度)に変換する。
なお、絶対座標系は、複数種類のセンサによって観測された座標値を統一的に扱うために使用される統一的な座標系であり、例えば、GPSで使用されるWGS84経緯度座標系や、UTM(ユニバーサル横メルカトル図法)など直交座標系がある。絶対座標系は、ワールド(世界)座標系とも呼ばれる。また、デバイス座標系は、ボディー座標系とも呼ばれ、慣性装置1上の1点を原点として定義し、この原点で互いに直交する3軸を夫々X軸、Y軸、Z軸として定義した座標系のことを表す。
加速度取得部101は、加速度センサ14によって検出された三軸加速度の変化を取得する。
角速度取得部102は、角速度センサ15によって検出された三軸角速度の変化を取得する。ここで取得される角速度は、加速度と同様に、デバイス座標系に固定されている。
地磁気取得部103は、地磁気センサ16によって検出された磁北を表す三次元の地磁気ベクトルを取得し、慣性装置1の向きを表す情報を取得する。ここで取得される向きは、加速度と同様に、デバイス座標系に固定されている。
姿勢演算部104は、上述した、加速度取得部101、角速度取得部102及び地磁気取得部103が取得したセンサ情報を用いて、慣性装置1の現在の姿勢を演算し、その姿勢情報(回転行列)から、逆行列計算により、逆回転行列106を求める。
ここで、地磁気取得部103の取得した情報は、屋内環境における環境磁場の影響により、信頼性が低い場合がある。そこで、姿勢演算部104は、後述する、地磁気信頼性評価部105により信頼できると判断された場合にのみ、地磁気取得部103の取得した情報を使用する。
姿勢演算部104は、一般的に知られている拡張カルマンフィルタ(非特許文献1、非特許文献2、図28−30)を利用して、慣性装置1の姿勢を表す行列を求め、その逆行列を出力する。以下、その処理について詳細に説明する。
≪ 拡張カルマンフィルタの一般式 ≫
図28は、一般的に知られている拡張カルマンフィルタの一般式を表す。カルマンフィルタでは、時間ステップをひとつ進めるために、時間発展と観測更新の二つの手続きが実行される。時間発展の手続きでは、前の時刻の推定状態から、現在時刻の推定状態が計算される。また、観測更新の手続では、現在時刻の観測を用い、推定値を補正して、より正確な状態が推定される。これらの手続を逐次繰り返すことによって、最適な状態変数が推定される。
図29は、拡張カルマンフィルタの時間発展の手続きにおいて使用される各変数を説明する図である。図28の時間発展の項目に含まれる(1)−(3)の式に対応して、各変数の説明が付されている。ここで、kは、離散的なステップ時間を表しており、k−1は、今の時間より1ステップ前の時間を表す。
図30は、拡張カルマンフィルタの観測更新の手続きにおいて使用される各変数を説明する図である。図28の観測更新の項目に含まれる(1)−(6)の式に対応して、各変数の説明が付されている。
≪ 拡張カルマンフィルタの適用 ≫
姿勢演算部104は、上述した拡張カルマンフィルタにおける「時間発展の手続き」を、角速度センサ15の出力による姿勢情報の更新に用いる(ロール角、ピッチ角、ヨー角)。また、拡張カルマンフィルタにおける「観測更新の手続き」を、加速度センサ14の出力による姿勢情報の更新に用いる(ロール角、ピッチ角)(以後、「第一の観測更新の手続き」と呼ぶ)。また、「観測更新の手続き」を、さらに、地磁気センサ16の出力による姿勢情報の更新にも用いる(ヨー角)(以後、「第二の観測更新の手続き」と呼ぶ)。
このように、姿勢演算部104は、7状態の拡張カルマンフィルタを構築する。姿勢演算部104は、一つの時間発展の手続きと、二つの観測更新の手続きを、並列にループさせ、姿勢とジャイロゼロ点バイアス値の推定を行う。ここで、姿勢は、以下のようなクオータニオン(ベクトル)によって表される。
クオータニオンベクトルとは、4変数からなるベクトルであり、物体の姿勢を表す。ロール・ピッチ・ヨーの姿勢表現ではシンバルロックという特異点問題がある反面、クオータニオンでは、特異点が無く全ての姿勢が表すことができる。また、ジャイロゼロ点バイアス値は、三軸に対応する三変数(bxk,byk,bzk)によって表される(bは定数)。
以下では、上記の三つの手続き(1)−(3)を、それぞれ説明する。
≪ 時間発展の手続き ≫
まず、図5−図7を用いて、拡張カルマンフィルタにおける時間発展の手続きを説明する。姿勢演算部104は、当該手続きを実行し、後述する状態推定モデルにおいて、ジャイロ出力値を入力として、拡張カルマンフィルタの時間発展の手続きに従って時間積分を行う。そして、更新されたクォータニオンベクトルqと、誤差共分散行列Pを得る(ロール・ピッチ・ヨー角)。
図5は、本発明において、拡張カルマンフィルタの一般式における、(1)システムの状態推定モデルに含まれる項目を説明する図である。ここでは、現在時刻の状態推定値を、上述したクォータニオンベクトル及びジャイロゼロ点バイアス値により、図5の式(1)−1のように定義する。
また、入力量ukを、角速度センサの出力値(ω0xk0yk0zk)(rad/sec)を用いて、図5の式(1)−4のように定義する(bは定数)。
すなわち、(ωxkykzk)は、ゼロ点の値を減算し、オフセットがない角速度を表す(rad/sec)。そして、システムの状態推定モデルを、図5の式(1)−5のように表す。ここで、C1、C2、C3は、任意の定数である。
図6は、本発明において、拡張カルマンフィルタの一般式における、(2)時間更新における偏微分行列(ヤコビアン)を説明する図である。図5を用いて説明したように、システムの状態推定モデルは、図5の式(1)−5によって表される。式(1)−5の右辺はfであるため、右辺の偏微分が、時間発展における偏微分行列となる。
図7は、本発明において、拡張カルマンフィルタの一般式における、(3)誤差の共分散行列推定モデルPk|k-1を説明する図である。プロセスノイズQkは、システム同定によって求められる定数であり、予め算出される。
上記のプロセスノイズQkと、1ステップ前の時刻の誤差共分散行列と、時間発展における偏微分行列(ヤコビアン)Fk及びその転置行列Fk Tにより、現在時刻の誤差誤差共分散行列Pk|k-1が求まる(図7の式(3)−5)。なお、現在時刻の誤差誤差共分散行列Pk|k-1及びPk-1|k-1は、7×7の行列となり、行列内の要素は実数となる。
姿勢演算部104は、上記のモデル及び変数の定義を用いて、拡張カルマンフィルタにおける時間発展の手続きを実行し、慣性装置1の、絶対座標系における姿勢を求め、その姿勢を表す行列の逆行列(逆回転行列)を求める。
≪ 第一の観測更新の手続き ≫
次に、図8を用いて、拡張カルマンフィルタにおける第一の観測更新の手続きを説明する。姿勢演算部104は、当該手続きを実行し、加速度取得部101から得られる水平方向の角度情報と、現在のクォータニオンベクトルの水平角度情報とを比較し、その誤差分を補正する処理を行う(ロール・ピッチ角のみ)。
図8は、拡張カルマンフィルタの一般式における、
(1)観測残差
に含まれる項目を説明する図である。まず、1ステップ前の時間の観測値(ベクトル)hは、図8の式(1)−3のように表される。
上記の式に含まれる要素は、三次元の回転行列(4×4)に由来するものであり、予め決められているものとする。また、観測値(ベクトル)zkは、図8の式(1)−2のように表される。
ここで、(ax,ay,az)は、加速度取得部101が取得した、加速度センサ14の出力値である。上記のh及びzkにより、
観測残差
が求まる。
また、拡張カルマンフィルタの一般式における、(2)観測更新における偏微分行列(ヤコビアン)Hkは、図7の式(1)−3に表される観測値hの偏微分を求めることによって求まる。
また、拡張カルマンフィルタの一般式における、(3)残差の共分散Skは、以下の観測ノイズ(行列)Rkと、観測更新における偏微分行列Hk、その転置行列Hk T及び現在時刻の誤差共分散行列Pk|k-1を用いて求められる。
ここで、(r1,r2,r3)は、加速度センサ14のデバイス評価の結果、予め求められた分散値である。
また、拡張カルマンフィルタの一般式における、(4)カルマンゲインKkは、現在時刻の誤差共分散行列Pk|k-1と、観測更新における偏微分行列の転置行列Hk Tと、残差の共分散の逆行列Sk -1から求まる。なお、Kkは、7×3の行列であり、実数値を要素に持つ。
同様に、拡張カルマンフィルタの一般式における、(5)更新された状態推定値xk|k及び(6)更新された誤差共分散行列Pk|kは、これまでに求められた変数を用いて求めることができる。
姿勢演算部104は、上記のモデル及び変数を用いて、拡張カルマンフィルタにおける観測更新の手続きを実行し、水平方向の角度情報と、現在のクォータニオンベクトルの水平角度情報とを比較し、その誤差分を補正する(ロール・ピッチ角のみ)。
≪ 第二の観測項新の手続き ≫
次に、図9を用いて、拡張カルマンフィルタにおける第二の観測更新の手続きを説明する。姿勢演算部104は、後述する地磁気信頼性評価部105から、地磁気取得部103の取得した情報が信頼できるものであるかについての通知を受け取る。そして、地磁気取得部103からの情報が信頼できる場合に、TRIADアルゴリズムに従って取得された姿勢情報から算出されるヨー角の情報を用いて、当該手続きを行い、クオータニオンベクトルのヨー角成分の補正を行う。TRIADアルゴリズムを用いた演算方法については後述する。
図9は、図8と同様に、拡張カルマンフィルタの一般式における、
(1)観測残差
に含まれる項目を説明する図である。図8の場合と同様に、1ステップ前の時間の観測値(ベクトル)hは、図9の式(1)−3のように表される。一方、図8の場合と異なり、観測値(ベクトル)zkは、図9の式(1)−2のように表される。
上記のベクトルは、TRIADアルゴリズムによって求められた、ヨー角方向ベクトルである。
また、拡張カルマンフィルタの一般式における、(2)観測更新における偏微分行列(ヤコビアン)Hkは、第一の観測更新の手続きと同様に、1ステップ前の時間の観測地hの偏微分を求めることによって、求めることができる。
また、拡張カルマンフィルタの一般式における、(3)残差の共分散Skは、以下の観測ノイズ(行列)Rkと、観測更新における偏微分行列Hk、その転置行列Hk T及び現在時刻の誤差共分散行列Pk|k-1を用いて求められる。
ここで、(T1,T2,T3)は、地磁気センサ16のデバイス評価の結果、予め求められた分散値である。
また、拡張カルマンフィルタの一般式における、(4)カルマンゲインKk、(5)更新された状態推定値xk|k及び(6)更新された誤差共分散行列Pk|kは、第一の観測更新の手続きと同様に、求めることができる。
地磁気信頼性評価部105は、地磁気取得部103を通じて地磁気センサ16から取得した地磁気ベクトルが信頼できる情報であるかどうかを判定し、その結果を姿勢演算部104に伝える。地磁気センサ16のセンサ情報は、地磁気の乱れや、周辺の環境磁場の影響により、信頼性が低下することが知られている。地磁気信頼性評価部105は、これらの影響の有無を評価し、データが信頼できるかどうかの判定を行う。以下に、その判定処理の詳細を述べる。
地磁気信頼性評価部105は、まず、上述した手続きにより求められる、最新の姿勢情報である第一の姿勢情報(クオータニオン)を取得する。次に、TRIADアルゴリズムの枠組みに従って、加速度及び地磁気のリファレンスベクトルと、地磁気取得部103から逐次得られる地磁気ベクトルとを元に、第二の姿勢情報(クオータニオン)を取得する。なお、鉛直下向き成分を表す加速度及び地磁気のリファレンスベクトルは、工場出荷時、又はユーザによる設定により設定される。
≪TRIADアルゴリズムを用いた姿勢情報の計算≫
ここで、図16を用いて、地磁気信頼性評価部105が、既知のTRIADアルゴリズムにより、第二の姿勢情報を計算する例を説明する。
まず、ステップS10において、工場出荷時、あるいはユーザによる設定時に、初期化処理が実行され、加速度の鉛直下向き成分を表すベクトルと、地磁気ベクトルのリファレンスベクトルが、AccRef及びMagRefとして、それぞれ記憶される。ここで、加速度の鉛直下向き成分を表すベクトルは、以下のステップS20で説明されるように、クオータニオンから変換して求められる。また、地磁気ベクトルは、地磁気センサから入力された、磁北を表すベクトルである。当該ステップは、工場出荷時、あるいはユーザによる設定時にのみ実行される。すなわち、リファレンスベクトルは、初期化処理が実行されない限り、同じ値が保持される。
ステップS30において、AccFrameとMagFrameを用いて、3×3の行列であるMagFrameMを計算する。
ステップS32において、AccFrameとMagFrameの外積を求め、その結果を正規化することにより、AccCrossMagを求める。
ステップS34において、AccFrameとAccCrossMagの外積を求め、その結果を正規化することにより、AccCrossAcMを求める。
ステップS36において、AccFrameと、ステップS32で求めたAccCrossMagと、ステップS34で求めたAccCrossAcM(何れも1×3の行列(ベクトル))とを組み合わせて、3x3の行列であるMagFrameMを生成する。
一方、ステップS40において、AccRefとMagRefを用いて、3×3の行列であるMagRefMを計算する。
ステップS42において、AccRefとMagRefの外積を求め、その結果を正規化することにより、MagCrossAccを求める。
ステップS44において、AccRefとMagCrossAccの外積を求め、その結果を正規化することにより、MagCrossを求める。
ステップS46において、AccRefと、ステップS42で求めたMagCrossAccと、ステップS44で求めたMagCross(何れも1×3の行列(ベクトル))とを組み合わせて、3x3の行列であるMagRefMを生成する。
ここで、上記ステップS40(S42−S46)は、初期化処理が実行され、AccRef及びMagRefが変更されたときに実行され、以後、再度の初期化処理が実行されるまで、求めたMagRefMの値を保持して利用しても良い。
ステップS50において、MagFrameとMagRefMの内積を求める。求められた行列をmag_triad(3×3)と呼ぶ。行列mag_triadは、デバイス座標系から絶対座標系へ変換するための行列である。TRIADアルゴリズムにおいて、三つの列を、それぞれ、TRIAD1、TRIAD2、TRIAD3と呼ぶ。
ステップS60において、mag_triadの逆行列(絶対座標系からデバイス座標系への変換のための行列)を求め、これをクオータニオンに変換する。このようにして得られたクオータニオンが、第二の姿勢情報である。
地磁気信頼性評価部105は、第一の姿勢情報と、上述した方法によって求められた第二の姿勢情報の、それぞれの微分値を比較し、それぞれが同じ変化をしているか判定する。地磁気信頼性評価部105は、その変化が同じ(すなわち、微分値の差が所定の範囲内)であれば、地磁気センサ16から取得された地磁気は信頼できるものと判定する。
また、地磁気信頼性評価部105は、以下の判断基準を用いて、地磁気ベクトルの信頼性を評価することにより、その評価の精度を高めることができる。
−地磁気ベクトルの絶対値が規定の範囲内か
−第一の姿勢情報と地磁気ベクトルから得られる伏角値が規定の範囲内か
−第二の姿勢情報と地磁気ベクトルから得られる伏角値が規定の範囲内か
ここで、規定の範囲は、国土地理院が発行している、伏角情報と、地磁気ベクトルの大きさの情報を用いて、設定することができる。
そして、地磁気が信頼できるとき、第二の姿勢情報から算出されるヨー角を用いて、第二の観測更新の手続きが実行される。一方で、地磁気が信頼できない場合には、第二の観測更新の手続きは実行されない。
絶対加速度変換部107は、加速度取得部101が取得した加速度に、姿勢演算部104によって求められた逆回転行列106を乗算し、絶対座標系での三軸加速度(絶対加速度)を算出する。
≪ 3.2 進行方向推定 ≫
慣性装置1において進行方向推定機能を実行する進行方向推定部200は、バンドパスフィルタ201と、ピーク検出部204と、ピーク位置記憶部205と、移動加速度記憶部206と、水平成分移動速度特徴情報管理部207と、鉛直成分ピーク移動加速度取得部208と、水平成分移動速度特徴情報取得部209と、周期取得部210と、判定部211と、進行方向算出部212とを含む。進行方向推定部200は、座標系変換部100によって得られた、絶対座標系における加速度から、ユーザの一歩ごとの進行方向を求める。
バンドパスフィルタ201は、座標系変換部100より出力された三軸絶対加速度から、重力成分を除去する。通過帯域は、例えば、一般的な歩行周波数である1−3Hz程度とする。なお、通過帯域は、慣性装置1の測定対象の歩行又は移動に係る周波数に応じて、適宜変更され得る。ここでは、バンドパスフィルタ201が出力する、重力成分が除去された絶対加速度を、移動加速度202と呼ぶ。移動加速度202は、後述する、移動加速度記憶部206に記憶される。また、移動加速度の鉛直成分である、鉛直成分移動加速度203は、後述する、ピーク検出部204に渡される。
ピーク検出部204は、バンドパスフィルタ201から出力される移動加速度202のうち、鉛直成分移動加速度203の変化(時間変化)を観測し、その波形の谷ピークの位置(ピーク時刻又はピーク位置)を検出する。検出されたピーク位置は、後述する、ピーク位置記憶部205に記憶される。以下では、谷ピークの検出方法について説明する。
図10は、横軸を時間とした、鉛直成分移動加速度203(Z)と、移動加速度の水平成分(X、Y)の変化を表す波形である。このように、それぞれの波形は、移動周期(例えば、歩行周期)と整合する周期を持った波形となり、特に、鉛直成分移動加速度203は、±1m/s2程度の、水平成分に比べて大きな振幅波形が出力される。山ピークは、足が地面に着地した際に現れ、谷ピークは、片方の軸足をもう一方の足が追い越す瞬間に現れる。
図31は、歩行動作における鉛直方向の運動特性を説明する図である。歩行動作は、下肢の動作により、一般に、立脚相と遊脚相とに分類される。立脚相(Stance Phase)は、一側下肢の踵が接地して、同側足先が離れるまでの時期である。また、遊脚相(Swing Phase)は、一側下肢の足趾が地面から離れてから、同側足の踵が地面に接するまでの時期である。さらに、歩行動作は、両脚支持期の有無によって特徴付けられる。一般に、歩行が緩徐になると、歩行の全体に占める両脚支持期の割合が増加し、歩行速度が速くなると少なくなることが知られている。また、両脚支持期は、走行状態になると、消失することも知られている。また、体の上下(鉛直方向)移動量および左右(水平面方向)移動量は、立脚中期に最大となることが知られている。
立脚中期の前半は、蹴り出した片方の足が軸足追い抜く(蹴り出した片方の足が体幹直下を通り過ぎる)動作を含む。このとき、体は鉛直上方向に移動し、鉛直上向きの移動加速度が発生する。一方、立脚中期の後半は、蹴り出した片方の足の踵が接地するまでの動作を含む。このとき、体は鉛直下方向に移動し、鉛直下向きの移動加速度が発生する。
図32は、歩行動作における水平方向の運動特性を説明する図である。立脚中期の前半の移動加速度の水平方向成分は、目標となる地点への体幹の移動のために片足を蹴り出した際の加速度と、体の重心移動に伴う横揺れに起因した加速度の影響を含む。一方、立脚中期の後半の移動加速度の水平方向成分は、蹴り出した足を踵接地地点まで移動させることに伴う体幹の移動と、進行方向に対する体の横揺れで発生する加速度と、踵を接地した際の振動に伴う加速度の影響を含む。つまり、立脚中期の後半には、蹴り出しの際に必要となる純粋な移動加速度を包含していないということになる。
従って、本願では、体幹の移動のために片足を蹴り出した際の加速度が大きく反映される、立脚中期の前半の移動加速度を用いて、進行方向の推定を行う。
そこで、鉛直成分の移動加速度203に着目し、シグナルの閾値判定により、谷ピークを検出することで、一歩を計測する。なお、谷ピークを用いて一歩を検出する理由は、足が着地する山ピーク位置での水平方向の移動加速度は、足が着地することに伴う振動やノイズを含む可能性があるためである。谷ピーク位置での水平方向の移動加速度は、足の着地に伴う影響を減少させ、歩行に伴う実際の加速度をより的確に反映する。
ピーク検出部204は、鉛直成分移動加速度203が、所定の閾値Thを下回り、再度、閾値Thを越える瞬間を捉えることにより、ピーク検出を行なう。ここで、所定の閾値Thを下回ったときの時刻taと、閾値Thを越えたときの時刻tbとの中間の時刻を、ピーク位置とすることができる。例えば、閾値Thは、実際に歩行した際の、鉛直方向の移動加速度の半分程度の値を設定するのが望ましい。なお、ピーク検出のために、上記以外の任意の方法を用いても良い。
また、過去のピーク位置を記録しておくことにより、現在のピーク位置と、過去のピーク位置との間の時間を表すピーク間隔を求めることができる。
ピーク位置記憶部205は、ピーク検出部204の検出したピーク位置を記憶する。ピーク位置記憶部205は、例えばリングバッファにより、ピーク位置(時間)を、最新のものから、過去の時間領域に相当するものまでを記憶する。ピーク位置記憶部205は、少なくとも、最新のピーク位置と一つ過去のピーク位置を記憶し、後に得られたピーク位置によって随時更新される。記憶されるピーク位置の数は、慣性装置1の記憶容量に応じて適宜変更されてもよい。
移動加速度記憶部206は、バンドパスフィルタ201から出力された移動加速度202を、観測された時刻情報を付加し時系列データとして記憶する。
水平成分移動速度特徴情報管理部207は、ピーク検出部204によるピーク位置の検出に応じて、そのピーク位置を中心とする所定の期間(τ)内の、水平成分の移動加速度を、各成分(X、Y)ごとに積算処理し、水平速度を算出する。この水平速度を、水平成分移動速度特徴情報と呼ぶ。水平成分移動速度特徴情報は、速さの方向と大きさの相対値を示すベクトルである。水平成分移動速度特徴情報管理部207は、水平成分速度特徴情報を、時刻情報tと共に記憶する。すなわち、水平成分移動速度特徴情報管理部207は、水平成分移動速度特徴情報を算出する算出部としての機能と、水平成分移動速度特徴情報を記憶する記憶部としての機能を有する。
図11は、図10に対応する、移動加速度の水平成分と、鉛直成分の、時間に対する変化を表す波形を示す。この例では、移動加速度の鉛直成分の波形から求められるピーク位置t1、t2、t3を中心とする、τの期間の、水平成分の移動加速度が、時間積分され、水平成分移動速度特徴情報V1、V2、V3が算出される。
期間(τ)は、例えば、(tb−ta)時間以内の期間であることが望ましい。これは、全時間領域において積算を実行すると、進行方向に対する体の横揺れで発生する加速度と、踵を接地した際の振動に伴う加速度の影響を大きく含んだまま積算してしまい、進行方向の推定が正しく行なえない可能性があるためである。
水平成分移動速度特徴情報は、前述のピーク検出処理と、その後の一連の処理によって、一歩足を踏み出し、片足が軸足を追い越す瞬間に生成される。生成される特徴情報は、大きさと方向を特徴として持った水平成分移動速度特徴ベクトルVである。図12に例示されるように、水平成分移動速度特徴ベクトルは、片足が軸足を追い越す瞬間に歩行者の体が移動している方向(進行方向)と強度を表している。
鉛直成分ピーク移動加速度取得部208は、時刻tにおけるピーク位置(時間)に対応する、鉛直成分移動加速度203における移動加速度(鉛直成分ピーク移動加速度)を取得し、この加速度を、後述する、判定部211に渡す。
水平成分移動速度特徴情報取得部209は、水平成分移動速度特徴情報管理部207から、最新の水平成分移動速度特徴情報及び過去の水平成分移動速度特徴情報を取得し、取得した水平成分移動速度特徴情報を、後述する、判定部211に渡す。
周期取得部210は、ピーク位置記憶部205から複数のピーク位置を取得し、測定対象の移動周期(例えば、歩行周期)への換算処理を実行する。また、周期取得部210は、複数のピーク位置の差分を順次計算することによって、最新の移動周期および過去の移動周期を取得することができる。周期取得部210は、取得した複数の移動周期を、後述する、判定部211に渡す。
判定部211は、図13に示される手順を実行することにより、これまでに検出された各種情報が歩行動作に由来して取得されたデータであるかどうかを判定する。歩行動作は、歩行や走行等を含んだ、測定対象による移動動作である。一方、歩行動作でない非歩行動作は、慣性装置を無作為又は意図的にに振る動作や、外部環境から加速度を受けた場合(例えば、外部の移動物体により移動させられている場合)のように、測定対象による移動動作のみに起因しない動作である。以下、図13に示されるステップに沿って説明する。
まず、ステップS100において、鉛直成分ピーク移動加速度取得部208から取得した、鉛直成分ピーク移動加速度が、所定の範囲内である場合に、ステップS200に進む。そうでない場合には、ステップS600に進み、判定部211は、非歩行動作に起因すると判定する。なお、鉛直成分ピーク移動加速度についての所定の範囲は、慣性装置1の測位対象の特性(例えば、歩行者の歩行特性)に応じて、慣性装置1の製造者又はユーザにより、予め設定される。
次に、ステップS200において、水平成分移動速度特徴情報管理部207から取得した、水平成分移動速度特徴情報(ベクトル)の大きさが、所定の範囲内である場合に、ステップS300に進む。そうでない場合には、ステップS600に進み、判定部211は、非歩行動作に起因すると判定する。なお、水平成分移動速度特徴情報(ベクトル)の大きさについての所定の範囲は、慣性装置1の測位対象の特性(例えば、歩行者の歩行特性)に応じて、慣性装置1の製造者又はユーザにより、予め設定される。
次に、ステップS300において、周期取得部210から取得した、移動周期が、所定の範囲内である場合に、ステップS400に進む。そうでない場合には、ステップS600に進み、判定部211は、非歩行動作に起因すると判定する。なお、移動周期についての所定の範囲は、慣性装置1の測位対象の特性(例えば、歩行者の歩行特性)に応じて、慣性装置1の製造者又はユーザにより、予め設定される。
次に、ステップS400において、左右方向の移動速度のぶれ幅が、所定の範囲内である場合に、ステップS500に進み、判定部211は、歩行動作に起因すると判定する。そうでない場合には、ステップS600に進み、判定部211は、非歩行動作に起因すると判定する。
ここで、左右の移動速度のぶれ幅について、図14を用いて説明する。人の歩行では、右足を踏み出すと、右方向に移動速度ベクトルが発生し、左足を踏み出すと、左方向に移動速度ベクトルが発生する。本判定を行うために、水平成分移動速度特徴ベクトルがこの特性に適合するかどうか判定する。
判定部211は、まず、水平成分移動速度特徴ベクトルの始点と終点を、図14(b)のように結合する。次に、判定部211は、各Vnベクトルの中点を結ぶ直線と、各Vnベクトルの終点との距離dnを算出する。そして、判定部211は、dnが所定のの範囲内であるか判定を行い、範囲内であれば、歩行動作に起因すると判定する。なお、dnについての所定の範囲は、慣性装置1の測位対象の特性(例えば、歩行者の歩行特性)に応じて、慣性装置1の製造者又はユーザにより、予め設定される。
ステップS500では、判定部211は、歩行動作に起因すると判定する。
ステップS600では、判定部211は、非歩行動作に起因すると判定する。
なお、上述したステップS100−S400における判断のうち、一部の判断が省略されてもよい。しかしながら、全ての判断がなされることで、より精度の高い進行方向の推定が可能となる。
進行方向算出部212は、上述した判定部211が、「歩行動作に起因する」であると判定した場合に、一歩ごとの進行方向213を求めるために、以下の処理を行う。
進行方向算出部212は、ユーザが、ゼロ歩目から一歩目に移るとき、水平成分移動速度特徴情報取得部209より、水平成分移動速度特徴ベクトルV0を取得する(図15(a))。また、進行方向算出部212は、ユーザが、一歩目から二歩目に移るとき、水平成分移動速度特徴情報取得部209より、水平成分移動速度特徴ベクトルV1を取得する(図15(a))。
ここで、進行方向算出部212は、ベクトルV0とベクトルV1とを規格化し、ベクトルV0'とベクトルV1'を得る(図15(b))。そして、進行方向算出部212は、それらの合成ベクトル(V0'+V1')を求め、合成ベクトルの向きを、一歩ごとの進行方向213と推定する((図15(c)))。上記処理は、ユーザが一歩踏み出すごとに、逐次実行される。
このように、慣性装置1は、一歩ごとの進行方向を推定するために、絶対座標系における加速度の、鉛直方向の加速度の谷ピーク位置を基点とし、その前後の一定の時間枠を用いて算出水平方向の速度ベクトルを用いる。これにより、歩行者の着地の際に生ずる振動等による影響を少なくすることができ、推定の精度が向上する。
さらに、慣性装置1は、地磁気センサによるセンサ情報が信頼できるかどうかを評価し、センサ情報が信頼できる場合に、そのセンサ情報を、慣性装置1の姿勢を表すベクトルを補正(ヨー角成分)するために使用する。これにより、姿勢を表すベクトルを、地磁気センサ情報を用いて、より高い精度で補正することが可能となる。
≪ 4.現在位置推定機能 ≫
以上、本発明の一実施形態における慣性装置1が、慣性センサの出力に基づき、測定対象の進行方向を推定する機能を説明した。以下では、慣性装置1が、進行方向等の情報と、外部から得た絶対位置の情報とを用いて、測定対象の現在位置を推定する機能を説明する。
図17は、現在位置を推定する機能を有する慣性装置1の全体の機能ブロック図である。慣性装置1は、既に図3を用いて説明した座標系変換部100及び進行方向推定部200の他に、進行速度推定部300、絶対位置情報入力部400、絶対位置推定部500及びマップマッチング部600を含む。図17には、各機能ブロックに入力される情報と、各機能ブロックから出力される情報が模式的に示されている。以下の節では、進行速度推定部300と、絶対位置情報入力部400と、絶対位置推定部500と、マップマッチング部600とが提供する機能について、それぞれ説明する。
≪4.1進行速度推定≫
図18は、進行速度推定部300の内部の詳細な機能ブロック図を表す。進行速度推定部300は、水平成分速度特徴情報取得部301と、鉛直成分ピーク加速度取得部302と、周期取得部303と、ぶれ幅取得部304と、進行方向取得部305と、変換部306と、進行速度波形生成部312と、進行速度波形合成部314と、進行速度波形記憶部315とを有する。進行速度推定部300は、進行方向推定部200が算出する、水平成分速度特徴情報214、鉛直成分ピーク加速度215、周期216、ぶれ幅217及び進行方向213に基づき、測定対象の実際の進行速度を表す進行速度推定ベクトルを算出する。以下,その処理内容について説明する。
水平成分速度特徴情報取得部301は、進行方向推定部200の水平成分移動速度特徴情報取得部209と同様に、水平成分移動速度特徴情報管理部207から水平成分速度特徴情報214(水平成分速度特徴ベクトル)を取得し、この情報を変換部306に入力する。
鉛直成分ピーク加速度取得部302は、進行方向推定部200の鉛直成分ピーク移動加速度取得部208と同様に、移動加速度記憶部206から、鉛直成分ピーク加速度215を取得し、この情報を変換部306に入力する。
周期取得部303は、進行方向推定部200の周期取得部210と同様に、ピーク位置記憶部205に記憶された情報を用いて、測定対象の移動に係る周期216を取得し、この情報を変換部306に入力する。
ぶれ幅取得部304は、進行方向推定部200の判定部211と同様に、水平成分速度特徴情報214を用いて、左右の移動速度のぶれ幅(以後、ぶれ幅217とする)を取得し、この情報を変換部306に入力する。ぶれ幅217の算出方法は、図14を用いて説明した通りである。
進行方向取得部305は、進行方向推定部200の進行方向算出部212が出力した進行方向213を取得し、この情報を変換部306に入力する。
変換部306は、入力された水平成分速度特徴情報214、鉛直成分ピーク加速度215、周期216、ぶれ幅217及び進行方向213を、それぞれ、速度パラメータPa307、強度パラメータPb308、周期パラメータPc209、ぶれ幅パラメータPd310及び進行方向パラメータPe311に変換する。当該変換は、例えば、各情報214−217を、所定の規則に従って正規化する。変換部306は、入力された各種情報を、所定の範囲のパラメータに変換するために、任意の方法を用いることができる。
進行速度波形生成部312は、入力された各パラメータ307−311と、予め登録された測定対象の属性情報とをキーとして、パラメータDB313(例えば、図19)を参照し、対応する速度生成係数Ca−Ccを取得する。次に、進行速度波形生成部312は、入力された各パラメータと、取得した速度生成係数Ca−Ccを用いて、後述する式により、進行速度波形を生成する。
ここで、測定対象の属性情報は、例えば、ユーザの性別、年齢、身長等を含む。なお、測定対象の属性情報は、測定対象を特定するための任意の情報であってもよい。例えば、その他の属性情報の例として、測定対象の種別(人、動物、二足歩行ロボット等)、識別番号、型番、性質(高速、低速)等が挙げられるが、この限りではない。
図19に例示されるパラメータDB313は、測定対象の属性情報である、性別、年齢及び身長を、パラメータ307−310及び速度生成係数Ca−Ccと関連付けている。図19の例では、簡単のため、速度生成係数Ca−Ccを取得するために,進行方向パラメータ311を用いていない(すなわち、速度生成係数は、進行方向に拠らず決定される)。しかしながら、進行方向パラメータ311を用いて、パラメータDB313を構築しても良い。
パラメータDB313は、慣性装置1の提供者等が、属性情報によって特定される測定対象の集団に対して、パラメータ307−311で特定される動作を行わせることにより、取得したデータをもとに、予め構築するものである。なお、速度パラメータPaについては、そのノルムの値がテーブルに登録される。
進行速度波形生成部312は、入力された各種パラメータと一致するエントリが、パラメータDB313に存在しない場合には、パラメータの組み合わせと類似するエントリの速度生成係数Ca−Ccを取得する。例えば、進行速度波形生成部312は、類似するエントリを検出するために、各パラメータの二乗平均平方根(Root mean Square)の合計値が最も小さいものを選択することができる。類似するエントリを検出するために、任意の方法を用いることができる。進行速度波形生成部312は、取得した速度生成係数Ca−Ccを、進行速度波形生成部312に渡す。
進行速度波形生成部312は、速度生成係数Ca−Ccと、入力された各パラメータPa−Pe307−311とを用いて、例えば、以下のような式により、時刻0≦t≦Pcにおける、測定対象の速度変化を表す進行速度波形を生成する。
なお、進行速度波形生成部312は、上記の式以外の任意の式を用いて、進行速度波形を生成しても良い。
生成された進行速度波形の例を図20に示す。ここで、θは、進行方向パラメータPeに対応する。数11によって示される式は、速度パラメータ307による推定項(第1項)と、強度パラメータ308での推定項(第2項)と、ぶれ幅パラメータ310での推定項(第3項)を含む。各項は、それぞれの重みとして、速度生成係数Ca−Ccが乗算されており、複数のパラメータに基づく速度推定を行うことにより、精度の高い歩行速度波形を生成することが可能である。なお、速度生成係数Ca−Ccは、和が1となるように、予め正規化されて、パラメータDB313に格納されている。進行速度波形生成部312は、生成した進行速度波形を、進行速度波形合成部314に渡す。
進行速度波形合成部314は、進行速度波形生成部312から進行速度波形を取得すると、後述する、進行速度波形記憶部315に記憶された、過去に合成された進行速度波形を取得し、これらを合成する。このとき、進行速度波形合成部314は、対応する時間位置において、これらの進行速度波形を積算することにより合成する。進行速度波形合成部314は、進行速度波形を任意の方法で合成してもよい(例えば、複数の進行速度波形が重なった場合には各々を比較しその最大値を採用する、等)。図21は、進行速度波形合成部314が、複数の進行速度波形を積算して合成した例を表している。進行速度波形合成部314は、合成した進行速度波形を、進行速度波形記憶部315に記憶する。
進行速度波形記憶部315は、進行速度波形合成部314により合成された進行速度波形を、時刻情報とともに記憶する。
このようにして、随時取得されるパラメータに基づいて合成された最新の進行速度波形が、進行速度波形記憶部315に記憶される。後述する絶対位置推定部500及びマップマッチング部600は、現時点における、合成された当該進行速度波形の値を参照することにより、最新の進行速度を表す進行速度情報を取得することができる。進行速度情報は、上述したように、水平方向の二成分によって表されるため、以下では、この進行速度情報を、進行速度推定ベクトル316と呼ぶ。
≪4.2 絶対位置情報入力≫
図22は、絶対位置情報入力部400、絶対位置推定部500及びマップマッチング部600のそれぞれの内部の詳細な機能ブロック図を表す。
絶対位置情報入力部400は、第一の絶対位置取得部401と、第二の絶対位置取得部402と、測位時間計測部403と、誤差補正部404とを含む。絶対位置情報入力部400は、慣性装置1の絶対位置を表す情報と、その情報に含まれる誤差の大きさを表す誤差情報とを、絶対位置推定部500に入力する。
第一の絶対位置取得部401は、例えば、Bluetooth(登録商標)通信により、外部に設けられた位置情報送信装置と通信し、慣性装置1の絶対位置を表す絶対位置情報を取得する。絶対位置情報は、例えば、緯度、経度、高度によって表される位置ベクトルX1、Y1、Z1であってもよいし、決まった地点を基点とする、位置を表す任意のベクトルであってもよい。また、第一の絶対位置取得部401は、位置情報送信装置から、上記情報の誤差を表す誤差情報σ1も取得する。誤差情報σ1は、上記の位置情報送信装置から取得される、絶対位置についての誤差共分散行列である。誤差情報σ1は、例えば、位置情報送信装置と慣性装置1との通信に係る電波強度に応じて決定される誤差値を含む。例えば、電波強度が低い値を示す場合には、より誤差の大きな値を有する誤差共分散行列が取得される。誤差情報は、予め慣性装置1に記憶されていてもよいし、位置情報送信装置から送信されてもよい。取得した位置ベクトル及び誤差情報は、後述する、絶対位置推定部500の第一の観測更新処理部502に渡される。
第二の絶対位置取得部402は、第一の絶対位置取得部402と異なる通信手段(例えば、GPS又はIMES(Indoor Messaging System))により、絶対位置情報X2、Y2、Z2と誤差情報σ2を取得する。なお、絶対位置取得部は、少なくとも一つ存在していればよく、その数は任意である。取得した位置ベクトル及び誤差情報は、後述する、絶対位置推定部500の第二の観測更新処理部503に渡される。
測位時間計測部403は、第一の絶対位置取得部401及び第二の絶対位置取得部402が、それぞれ絶対位置情報を取得する間隔を計測し、その間隔を、後述する誤差補正部404に渡す。
誤差補正部404は、測位時間計測部403から受け取った間隔が、所定の間隔であるかどうかを判定し、その間隔の大きさに応じて、各絶対位置取得部から出力される誤差共分散行列(σ1又はσ2)の各分散値が大きくなるよう補正をかける。このために、誤差補正部404は、予め用意した、間隔[秒]と補正量(分散値に乗算する値)とを関連付けるテーブルを利用することができる。あるいは、誤差補正部404は、間隔の大きさの閾値を設け、閾値を超えると、誤差共分散行列に対して所定の補正をかけてもよい。
特に、GPSやIMESの誤差情報は、マルチパスの影響を考慮して生成されないため、誤差情報に対する信頼度が、電波状況によって変化する可能性がある。信号量と雑音量の比率を表すS/N比と、測位間隔の大きさとの間には、図23に示すような相関関係がある。そこで、誤差補正部404は、測位間隔が所定の間隔を超える場合には、測位誤差がより大きくなるよう補正をかけることにより、誤差情報の信頼度の変化を吸収することができる。
なお、外部の位置情報送信装置は、上記の通信方式のほか、赤外線、無線LAN、可視光通信、カメラを用いた測位手段等の手段により、絶対位置情報及び誤差情報を送信してもよい。慣性装置1は、対応する受信手段により、絶対位置情報及び誤差情報を受信することができる。受信した絶対位置情報及び誤差情報は、上述した絶対位置取得部と同様に、絶対位置推定部500の観測更新処理部に入力される。絶対位置取得部及び観測更新処理部の数は、任意である。
≪4.3 絶対位置推定≫
絶対位置推定部500は、時間発展処理部501と、第一の観測更新処理部502と、第二の観測更新処理部503と、第三の観測更新処理部504とを含む。
絶対位置推定部500は、進行速度推定ベクトル316と、進行速度推定ベクトル316と共に提供される進行速度測定誤差情報317とを用いて、現在位置と、その誤差を表す誤差情報(現在位置と誤差情報505)を求める。進行速度測定誤差情報317は、進行速度推定ベクトル316の誤差を表す誤差共分散行列σvであり、システム同定によって求めた固定のデータが使用される。あるいは、進行速度測定誤差情報317は、進行速度に応じて用意された、複数のデータが使用されてもよい。
また、絶対位置推定部500は、絶対位置情報入力部400が出力した絶対位置情報(位置ベクトル)及び誤差情報(誤差共分散行列)とを用いて、現在位置と誤差情報505を更新する。さらに、絶対位置推定部500は、マップマッチング部600の出力する位置情報(位置ベクトル)と誤差情報(誤差共分散行列)とを用いて、現在位置と誤差情報505を更新する。
拡張カルマンフィルタを用いて、現在位置と誤差情報505を算出又は更新する。ここでは、一つの時間発展の手続き(時間発展処理部501)と、三つの観測更新の手続き(観測更新処理部502、503、504)が、並列に実行される。各手続きにおいて用いられる変数及びモデルを以下で説明する。
時間発展処理部501は、図24−図26に示す変数及びモデルの定義に従って、拡張カルマンフィルタの時間発展の手続きを実行し、慣性装置1の現在位置と誤差情報505を算出又は更新する。ここで、拡張カルマンフィルタにおける変数とモデルを、図24に示すように定義する。すなわち、今の時刻の状態推定値は、図24の式(1)−1のように、三次元の位置ベクトルによって定義される。また、入力量は、図24の式(1)−4のように、進行速度推定部300によって出力された、進行速度推定ベクトル316によって定義される。また、システムの状態推定モデルは、図24の式(1)−4のように定義される。
また、図25に示す通り、時間発展における偏微分行列(ヤコビアン)は、システムの状態推定モデルにおける右辺の偏微分が、そのまま偏微分行列となる。
また、図26に示す通り、プロセスノイズQkは、システム同定によって予め求められる、進行速度測定誤差情報317(σv)であり、予め算出された定数である。なお、現在時刻の誤差誤差共分散行列Pk|k-1及びPk-1|k-1は、3×3の行列となり、行列内の要素は実数となる。
第一の観測更新処理部502は、拡張カルマンフィルタの観測更新の手続きを実行し、慣性装置1の現在位置と誤差情報505を算出又は更新する。ここで、拡張カルマンフィルタにおける変数を、図27を用いて説明する。すなわち、1ステップ前の時間の観測値は、図27の式(1)−3のように、三次元の位置ベクトルとなる。また、観測値は、図27の式(1)−2のように、第一の絶対位置取得手段401が出力する位置ベクトル(絶対位置情報)である。上記のh及びzkにより、
観測残差
が求まる。
また、拡張カルマンフィルタの一般式における(2)観測更新における偏微分行列(ヤコビアン)Hkは、図27の式(1)−3に表される観測値hの偏微分を求めることによって求まる。
また、拡張カルマンフィルタの一般式における(3)残差の共分散Skは、第一の絶対位置取得手段401の出力した誤差情報である観測ノイズ(行列)Rkと、観測更新における偏微分行列Hk、その転置行列Hk T及び現在時刻の誤差共分散行列Pk|k-1を用いて求まる。
なお、r1はX軸、r2はY軸、r3はZ軸の成分を表す。
また、拡張カルマンフィルタの一般式における、(4)カルマンゲインKkは、現在時刻の誤差共分散行列Pk|k-1と、観測更新における偏微分行列の転置行列Hk Tと、残差の共分散の逆行列Sk -1から求まる。
同様に、拡張カルマンフィルタの一般式における、(5)更新された状態推定値xk|k及び(6)更新された誤差共分散行列Pk|kは、これまでに求められた変数を用いて求めることができる。
第二の観測更新処理部503は、第一の観測更新処理部502と同様に、拡張カルマンフィルタの観測更新の手続きを実行し、慣性装置1の現在位置と誤差情報505を算出又は更新する。拡張カルマンフィルタにおける変数は、観測値zk及び観測ノイズRkが、第二の絶対位置取得部402によって出力される位置ベクトル及び誤差情報である点を除いて、 第一の観測更新処理部502と同様である。
第三の観測更新処理部504は、第一の観測更新処理部502と同様に、拡張カルマンフィルタの観測更新の手続きを実行し、慣性装置1の現在位置と誤差情報505を算出又は更新する。拡張カルマンフィルタにおける変数は、観測値zk及び観測ノイズRkが、後述する、マップマッチング部600によって出力される位置ベクトル及び誤差情報である点を除いて、 第一の観測更新処理部502と同様である。
絶対位置推定部500は、以上の通り、拡張カルマンフィルタの枠組みにおいて、現在位置と誤差情報505を逐次更新することで、現在位置を高精度に推定することができる。慣性装置1に搭載された外部のアプリケーションは、現在位置と誤差情報505を参照することにより、現在位置の推定位置だけでなく、慣性装置の向き(ヘディング情報、ヨー角推定値)を取得することができる。
≪4.4 マップマッチング≫
マップマッチング部600は、マップマッチング処理部601を含み、最新の現在位置と誤差情報505と、進行速度推定ベクトル316を取得し、マップマッチング処理を実行する。
マップマッチング処理部601は、最新の現在位置と誤差情報505と、進行速度推定ベクトル316を取得し、予め用意された地図データベース602を参照して、進行可能な領域を表す領域情報を取得する。次に、マップマッチング処理部601は、既知の技術であるパーティクルフィルタのアルゴリズムを適用し(例えば、非特許文献6)、マップマッチング処理を実行する。マップマッチング処理部601は、現在位置が、マップ上で進行が不可能な場所を示していた場合には、進行可能な領域に現在位置を修正する。また、マップマッチング処理部601は、内部処理により、修正された位置を表す位置ベクトルの各成分の誤差量を表す誤差共分散行列σmを算出する。マップマッチング処理部601は、修正された現在位置を表す位置ベクトル(Xm、Ym、Zm)及び誤差共分散行列σmを、上述したように、絶対位置推定部500の第三の観測更新処理部504に渡す。
以上のように、本発明の一実施形態における慣性装置1は、進行動作を元に取得された、進行動作の特徴を示す複数のパラメータから、進行速度波形を生成して随時合成し、その波形に基づいて進行速度を算出する。複数のパラメータは、測定対象の特徴と関連付けられてデータベース化されており、進行速度波形は、測定対象とその動作に適するように生成される。また、歩行速度波形を表す式は、複数の項(モデル)によって表現され、各モデルの信頼度となる重みを乗算する。従って、分解能が高く、かつ信頼度の高い、進行速度の推定が可能となる。
また、慣性装置1は、相対値である進行速度及びその誤差情報を、絶対位置情報及びその誤差情報と融合させることにより、現在位置を高精度に求めることができる。また、慣性装置1は、地図データを用いたマップマッチングにより上記現在位置を補正することにより、さらに信頼度の高い現在位置を求めることができる。
≪ 5. 進行速度及び現在位置の推定結果 ≫
以下、図33−図37を参照し、本発明の一実施形態における慣性装置1を用いて、進行速度及び現在位置の推定を行った場合に得られた結果を説明する。
まず、本実施形態における慣性装置1は、慣性センサとして、加速度センサ、ジャイロセンサ及び地磁気センサを有し、位置情報を受信する手段(測位手段)として、GPS/IMESモジュールおよびBluetooth(登録商標)モジュールを有する。慣性装置1は、上記装置を有する、スマートフォン型の携帯端末である。
図33は、人が慣性装置1を腹部に装着して歩行した場合に得られた、進行速度の推定結果を表す図である。ここで、人は、図34において破線の矢印で示されるように、約2m直進した後に、90度左折し、さらに直進する歩行動作を行っている。図33の横軸は、経過時間(100ミリ秒)を表し、縦軸は、100ミリ秒ごとの進行速度(メートル毎秒)を示している。図中に示されている時間領域は、一連の歩行動作中の、約8秒の時間窓について結果を抽出したものである。慣性装置1を所持した人は、この時間窓内で、合計7歩の歩行を実施している。
図33は、進行方向推定部200が取得した、一歩ごとの進行方向、周期、ブレ幅、等のパラメータを、進行速度波形生成部312が取得し、その後、進行速度波形合成部314が合成した進行速度波形を示す。図からわかるように、慣性装置1を用いることにより、複数歩の歩行に伴う進行速度が、100ミリ秒という高い時間分解能で出力される。
図34は、人が慣性装置1を腹部に装着して歩行した場合に得られた、現在位置の推定結果を表す図である。上述したように、人は、図34において破線の矢印で示されるように、約2m直進した後に、90度左折し、さらに直進する歩行動作を行った。図34に示される丸印は、慣性装置1が、図33に示される進行速度波形から得られた現在の速度を元に、絶対位置推定部500が推定した、現在位置の履歴を示すものである。図34が示すように、慣性装置1を用いて現在位置を推定することにより、推定される現在位置は、実際の歩行動作とほぼ一致する。
図35は、人が慣性装置1を片手に保持した状態で、約75mの時計回りの周回歩行(合計92歩)を行った場合の、現在位置の推定結果を表す図である。ここで、歩行経路上には、IMESによる絶対位置情報(緯度、経度)及びその誤差情報を送信する、2台の位置情報送信機が設置されている。従って、慣性装置1は、加速度情報等による現在位置の推定と、位置情報送信機から送信される情報を用いた現在位置の推定とを行うこととなる。
図35において、破線で示される線が、実際の歩行経路を示し、丸印が、慣性装置1により取得された現在位置の履歴を示す。図35に示されるように、慣性装置1を用いることにより、100ミリ秒ごとの、高い時間分解能を持った現在位置情報が得られ、実際の歩行に対して、精度の高い位置推定が可能となる。なお、時間分解能は、パラメータ設定によって任意に変更することができる。
図36は、図35に示した現在位置の推定結果のうち、歩行開始位置(又は歩行終了位置)付近を拡大して示した図である。図36に示されるように、歩行終了直前(すなわち、位置情報送信機Aからの位置情報による観測更新処理発生前の位置)では、約1mの測位誤差が発生している。これは、進行速度波形合成部314から得られる現在の進行速度の推定値に誤差が含まれること、および、該推定値の時間発展処理により現在位置へ測位誤差が蓄積することに起因する。すなわち、実際の測位環境において、想定される範囲の誤差である。
図37は、図35を用いて説明した人の歩行動作における、カルマンフィルタが推定する測位誤差推定値の変化を示す。慣性装置1は、進行速度波形合成部314の進行速度に含まれる誤差と現在位置の誤差を、カルマンフィルタの枠組みによって誤差共分散行列として、逐次推定する。このため、図37が示すように、歩行に伴って、カルマンフィルタによって推定される測位誤差推定値(誤差共分散行列の対角成分に対して二乗和平方根を取ったもの)が増加していくのが分かる。
一方で、位置情報送信機から絶対位置情報及び誤差情報を受信できた場合には、慣性装置1は、位置情報送信機の測位手段による測位誤差と、カルマンフィルタによって推定されている現在位置に対する測位誤差の推定値とを、観測更新処理によって比較する。そして、慣性装置1は、誤差共分散行列が小さくなるように、現在位置の推定値に対して補正を実施する。その結果、図37に示されるように、位置情報送信機A及び位置情報送信機Bによる観測更新が実施された場合に、カルマンフィルタが推定する測位誤差推定値が減少する。結果として、慣性装置1は、外部から得た位置情報及び測位誤差を用いて、推定した現在位置を補正し、推定精度を改善することができる。
再び図36を参照すると、歩行終了直前に、位置情報入力部から入力された正しい位置情報を用い観測更新処理を実行することで、蓄積した測位誤差が解消され、正しい現在位置(観測更新処理終了後の位置)に修正されていることがわかる。
このように、本実施形態における慣性装置1により、進行動作に伴う位置推定の分解能および推定精度が改善され、様々な携行形態に対応する、利便性が高い慣性装置および慣性航法技術が実現される。
1 慣性装置
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 加速度センサ
15 角速度センサ(ジャイロセンサ)
16 地磁気センサ
17 マイク
18 スピーカ
19 通信モジュール
20 Bluetooth通信モジュール
21 GPS通信モジュール
22 ディスプレイ
23 タッチパネル
24 電池
25 気圧センサ
100 座標系変換部
101 加速度取得部
102 角速度取得部
103 地磁気取得部
104 姿勢演算部
105 地磁気信頼性評価部
107 絶対加速度変換部
201 バンドパスフィルタ
204 ピーク検出部
205 ピーク位置記憶部
206 移動加速度記憶部
207 水平成分移動速度特徴情報管理部
208 鉛直成分ピーク移動加速度取得部
209 水平成分移動速度特徴情報取得部
210 周期取得部
211 判定部
212 進行方向推定部
300 進行速度推定部
301 水平成分速度特徴情報取得部
302 鉛直成分ピーク加速度取得部
303 周期取得部
304 ぶれ幅取得部
305 進行方向取得部
306 変換部
312 進行速度波形生成部
314 進行速度波形合成部
315 進行速度波形記憶部
400 絶対位置情報入力部
401 第一の絶対位置取得部
402 第二の絶対位置取得部
403 測位時間計測部
404 誤差補正部
500 絶対位置推定部
501 時間発展処理部
502 第一の観測更新処理部
503 第二の観測更新処理部
504 第三の観測更新処理部
505 現在位置と誤差情報
600 マップマッチング部
601 マップマッチング処理部
特開2012−088253号広報 特許第4714853号広報 特開2003−302419号公報 特開2011−237452号公報 特開2000−97722号公報 特開2002−139340号公報
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Claims (10)

  1. 慣性センサの出力を用いて現在位置を推定する慣性装置であって、
    前記出力から求めた、当該慣性装置を有する対象となるユーザが歩行又は走行する進行動作の特徴を表すパラメータから、進行速度の変化を表す波形を生成する波形生成部と、
    生成された複数の前記波形を合成する波形合成部と、
    合成された前記波形から取得した進行速度情報と、前記対象の実際の進行速度に対する誤差を表す前記進行速度情報の誤差情報とを用いて現在位置を推定する推定部と、
    を有する、慣性装置。
  2. 前記波形生成部は、前記パラメータ及び前記対象の属性情報と関連付けられた係数を用いて前記波形を生成する、
    請求項1に記載の慣性装置。
  3. 前記パラメータは、当該慣性装置の進行動作に係る、水平方向の移動速度、鉛直方向の加速度、周期、進行方向、及び、進行方向に対する左右方向のぶれ幅に関するパラメータを含む、
    請求項1又は2に記載の慣性装置。
  4. 位置情報送信装置から送信された情報に基づいて取得した絶対位置情報及び該絶対位置情報の誤差情報を前記推定部に入力する入力部
    をさらに有し、
    前記推定部は、入力された前記絶対位置情報及び該絶対位置情報の誤差情報を用いて、推定された前記現在位置を更新する、
    請求項1ないし3の何れか一項に記載の慣性装置。
  5. 前記絶対位置情報を取得する間隔を計測する計測部と、
    計測された前記間隔に応じて、前記絶対位置情報の誤差情報を補正する補正部と、
    をさらに有する、請求項4に記載の慣性装置。
  6. 前記入力部は、通信方式の異なる複数の前記位置情報送信装置から送信された前記絶対位置情報及び該絶対位置情報の誤差情報を入力する、
    請求項4又は5に記載の慣性装置。
  7. 一の前記位置情報送信装置は、IMESの規格に準ずる絶対位置情報を送信する、
    請求項6に記載の慣性装置。
  8. 推定された前記現在位置と、地図データベースを用いてマップマッチングを行い、前記現在位置を修正するマップマッチング部
    をさらに有し、
    前記推定部は、修正された前記現在位置を表す情報を用いて、推定された前記現在位置を更新する、
    請求項1ないし7の何れか一項に記載の慣性装置。
  9. 慣性センサの出力を用いて現在位置をコンピュータが推定する方法であって、
    コンピュータが、前記出力から求めた、慣性装置を有する対象となるユーザが歩行又は走行する進行動作の特徴を表すパラメータから、進行速度の変化を表す波形を生成する波形生成段階と、
    コンピュータが、生成された複数の前記波形を合成する波形合成段階と、
    コンピュータが、合成された前記波形から取得した進行速度情報と、前記対象の実際の進行速度に対する誤差を表す前記進行速度情報の誤差情報とを用いて現在位置を推定する推定段階と、
    を有する、方法。
  10. コンピュータに、請求項9に記載の方法を実行させるプログラム。
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