JP6265324B2 - 非接触給電システム - Google Patents
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Description
なお、非接触給電システムにおいて、送受信コイルを位置検出に利用する方法はいくつか提案されている(特許文献1、2)。しかしながら、送受信コイルの相互位置を検出する従来方法は、給電と位置検出とを切り替えて行うもので、給電と位置検出とをリアルタイムで同時に行っているものではない。
本発明は、非接触給電システムにおいて、リアルタイムで給電と送受信コイルの位置検出を行うことを可能とし、これによって効率的な給電を可能にする非接触給電システムを提供することを目的とする。
なお、本発明に係る非接触給電システムは、送受信コイルを備える磁界共振結合形、電磁誘導形の給電システムに適用することができ、一対の送信コイルと受信コイルとの間における給電システムの他に、複数の送信コイルと単一または複数の受信コイルとの間の給電システム、単一の送信コイルと複数の受信コイルとの間の給電システムに適用することができる。
また、送受信コイルには、ヘリカルコイル、ソレノイドコイル、スパイラルコイル、鉄心を有するコイルが使用できる。
また、前記送信コイルと前記受信コイルは、単一もしくは複数の送信コイルと単一もし くは複数の受信コイルとの間において給電される配置とすることができる。
図1に送受信コイル相互の位置検出機能を有する非接触給電システムの構成例を示す。
この非接触給電システムは、磁界共振結合形の非接触給電システムであり、一対の送信コイル10と受信コイル12とを備え、給電回路として、周波数fpの給電用電源Epを備え、送信コイル10と受信コイル12とを周波数fpにより共振させて給電する構成としている。
第1のフィルタ回路13と第2のフィルタ回路15は、給電用電源Epの周波数fpにより送信コイル10と受信コイル12とが共振するように回路設計されている。また、第3のフィルタ回路17と第4のフィルタ回路21は、位置検出用電源Edの周波数fdにより送信コイル10と受信コイル12とが共振するように回路設計されている。
なお、第2の給電回路16において、整流回路(不図示)及びバッテリーの負荷をZLとしている。負荷インピーダンスZLは、受信側の充電状態によって変化する。したがって、送信コイル10と受信コイル12との距離を正確に検知できるようにするには、ZLに依存してZdinが変化しないように回路設計する必要がある。
図2、3は、図1に示した非接触給電システムについて、給電における電流の流れ(図2)と、距離検出における電流の流れ(図3)を示したものである。
本実施形態の非接触給電システムでは、上述したように、給電についての共振回路として、第1のフィルタ回路13と第2のフィルタ回路15により、送信コイル10と受信コイル12とを周波数fpで共振させる回路と、距離検出についての共振回路として、第3のフィルタ回路17と第4のフィルタ回路21により、送信コイル10と受信コイル12とを周波数fdで共振させる回路を備える。
送信側では、第1のフィルタ回路13を挿入することで送信コイル10をfpで共振させる。このとき、第3のフィルタ回路17は、給電用電源Ep(第1の給電回路14)による電流Id1(fp)が位置検出用電源Ed(第1の位置検出回路20)へ流れ込むことを防止するように作用する。これにより、Epによる電流Ip1(fp)はEdに流れずに送信コイル10のみに流れる。
受信側では、第2のフィルタ回路15を挿入することで受信コイル12をfpで共振させる。また、第4のフィルタ回路21はEpによる電流Id2(fp)が距離検出用負荷Zd(第2の位置検出回路22)に流れ込むのを防止する。その結果、電流Id2(fp)はZdに流れない。
送信側では、第3のフィルタ回路17(第1の位置検出回路20)を挿入することで送信コイル10をfdで共振させる。また、第1のフィルタ回路13(第1の給電回路14)はEdによる電流Ip1(fd)のEpへの流れ込みを防止する。その結果、Edによる電流Ip1(fd)はEpに流れずに送信コイル10にのみ流れる。
受信側では、第4のフィルタ回路21(第2の位置検出回路22)を挿入することで受信コイル12をfdで共振させる。また、第2のフィルタ回路15はEdによる電流Ip2 (fd)の給電用負荷ZL(第2の給電回路16)への流れ込みを防止し、電流Ip2(fd)は給電回路の負荷インピーダンスZLには流れない。
検出側の入力インピーダンスZdinは、送信コイル10と受信コイル12との距離に依存して変化するから、検出側の入力インピーダンスZdinを検知することにより、送信コイル10と受信コイル12との距離を検出することができる。すなわち、本実施形態の非接触給電システムによれば、給電を行いながら、リアルタイムで送信コイル10と受信コイル12の位置(距離)を検出することが可能となる。
検出回路19は、送信コイル10と受信コイル12の相互間距離や、中心位置の位置ずれといった位置検出を行うタイミング等についても制御し、位置検出結果を出力して、たとえば、受信コイル12を搭載した自動車を正規位置に移動させるといった制御に利用することも可能である。
以下では、非接触給電システムの実際の回路例について、検出側の入力インピーダンスZdinから送受信コイルの位置(距離)検出が可能であることを解析した結果について説明する。
非接触給電システムにおいては、オープン形ヘリカルコイル(以下、ヘリカルコイル)、ソレノイドコイル、スパイラルコイル、及びこれらに鉄心を挿入したコイル等が使用できる。図4に、非接触給電システムの解析において、送信コイル10及び受信コイル12として使用したヘリカルコイルを示す。ヘリカルコイルの共振周波数を13.56MHzとするため、外径do=304mm、内径di=300mmとし、巻数N=5、ピッチp=3.5mm、軸線方向の長さla=16mmとした。導線の導体径は2mmである。
Q=ωL/R
ここで、ω:角周波数(=2πf rad/s)。R、L、C、Qは送受信コイルで同じ値とする。
図5に、上述した位置(距離)検出機能を備える非接触給電システムの等価回路を示す。送信コイル10と受信コイル12のヘリカルコイルの等価回路はR、L、Cを直列に接続したもので表現される。
給電用電源Ep=10V、位置検出用電源Ed=1Vであり、両者の内部インピーダンスは0Ωとした。なお、給電に用いる周波数fpはISMバンドである13.56 MHz付近とし、周波数分離をしやすくするために、位置検出に用いる周波数fdはfpの10分の1以下である1MHz付近とした。さらに、給電回路と検出回路を絶縁するために絶縁トランス18を挿入する。図5に示すように、給電側の入力電力をPi、出力電力をPoとする。
充電に用いられているリチウムイオン電池は、充電状態によって内部インピーダンスが10Ωから20kΩ程度の範囲で変化する。そこで、負荷インピーダンスZLを10Ω、100Ω、1 kΩ、10kΩとして解析した。
表1と表2のパラメータを使用し、回路シミュレーションソフトを使用して解析した。Ep=10V、Ed=1V、fd=976.6kHzとした。図6に結合係数kをパラメータとする伝送特性を示す(Ep=10V、Ed=1V、fd=976.6kHz、ZL=10Ω)。
図6(a)は、入力電力-周波数特性である。k=0.25とk=0.50の場合に双峰特性があらわれた。双峰特性の影響で13.56MHz付近において入力電力Piが減少した。また、ZL=100Ω、1kΩ、10kΩの場合でも双峰特性があらわれた。
図6(b)は、出力電力-周波数特性である。k=0.25とk=0.50の場合に双峰特性があらわれた。双峰特性の影響で13.56MHz付近において出力電力Poが減少した。
η=(Po/Pi)×100(%)
伝送効率は、13.547MHzで最大となり、k=0.01、0.25、0.50におけるηは、それぞれ33.9%、91.1%、91.1%であった。k=0.25とk=0.50における13.547 MHzでのPi、Poは非常に低いものの伝送効率ηは高くなる。PiおよびPoを向上するためにも双峰特性の改善が必要である。
図7から、結合係数kの値が0.05以上の場合には伝送効率が90%になることがわかる。また、図7は、結合係数0.01付近で急激に伝送効率が低下することを示す。これは非接触給電にみられる現象である。
図8に結合係数kをパラメータとする検出側の入力インピーダンス-周波数特性を示した(Ep=10V、fp=13.547MHz、Ed=1V、ZL=10Ω)。同図に基づきkが変化する際にZdinの変化が最も大きくなる(傾きが最も大きくなる)周波数を選定したところ、周波数fd=976.6 kHzとなった。以降の解析では、位置検出用の周波数をfd=976.6 kHzとして行う。
k=0.01、0.25、0.50のときのZdinは、それぞれ5.49Ω、5.22Ω、4.50Ωであった。これより、k=0.01から0.25に変化させた場合におけるZdinの変化は5%であり、k=0.01から0.50に変化させた場合におけるZdinの変化は18%である。
また、k=0.50でZL=10Ω、10kΩのときのZdinは、それぞれ4.5003Ω、4.5008Ωであり、ZLに依存するZdinの変化は0.01%以下であった。なお、ZLに依存するZdinの変化量はk=0.50のときが最大で、その他の場合はいずれもこれを下回っていた。
図10は送信側における電流-結合係数特性を示したものである。
図10(a)は、送信側の給電用電源に流れる電流-結合係数特性を示す(Ep=10V、fp=13.547MHz、Ed=1V、fd=976.6kHz、ZL=10Ω)。k=0.01のとき、給電側の電流Ip1(fp)と、位置検出回路から給電側に流れ込む電流Ip1(fd)は、それぞれ627.4 mAと11.1 mAであり、位置検出回路から給電用電源へ流れる電流の影響は回避されている。また、k=0.50のとき、Ip1(fp)とIp1(fd)は、それぞれ8.2 mAと13.5 mAで同程度となっている。これは、双峰特性の影響により、Ip1(fp)が減少したためである。
k=0.01のとき、位置検出回路に流れ込む給電側からの電流Id1(fp)と、位置検出電源の電流Id1(fd)は、それぞれ81.9μAと182.2 mAであり、位置検出電源の電流Id1(fd)に対して給電用電源からの電流Id1(fp)は0.04%以下であり、給電用電源Epの電流が位置検出用電源Edに流れ込む作用は確実に回避されている。なお、図10はZL=10Ωの場合を示すが、ZL=10Ω以外のZLについても同様の結果が得られた。
図11(a)は給電用電源Epと位置検出用電源Edが負荷インピーダンスZLの電流に及ぼす影響を解析したものである。図11(a)に示すように、k=0.50のとき、Ip2(fp)とIp2(fd)は、それぞれ25.6mAと61.9μAであった。すなわち、給電用電源Epから流れる電流に対して、位置検出用電源EdからZLに流れ込む電流は常に0.2%以下であり、位置検出用電源Edによる負荷インピーダンスZLに対する影響は十分に小さくなっている。
図12は、平面内に2個以上の送信コイル10を配置し、送信コイル10に対向配置した一つの受信コイル12との間において給電する例である。この場合も、複数の送信コイル10と受信コイル12との間に、給電用と位置検出用として異なる共振周波数を有する共振回路を設定することにより個々の送信コイル10と受信コイル12との間における給電と位置検出を分離して行うことができる。
また、給電に使用する送受信コイルを用いて給電と位置検出を行うことにより、回路構成を簡素化し、回路の小型化を図ることができるという利点がある。
12 受信コイル
13 第1のフィルタ回路
14 第1の給電回路
15 第2のフィルタ回路
16 第2の給電回路
17 第3のフィルタ回路
18 絶縁トランス
19 検出回路
20 第1の位置検出回路
21 第4のフィルタ回路
22 第2の位置検出回路
Claims (4)
- 送信コイルと受信コイルとの間における非接触給電システムであって、
前記送信コイルには、第1の給電回路と第1の位置検出回路が接続され、
前記受信コイルには、第2の給電回路と第2の位置検出回路が接続され、
前記第1の給電回路と第2の給電回路は、共振周波数fpにより前記送信コイルと受信コイルとを共振させて給電する共振回路を備え、
前記第1の位置検出回路と第2の位置検出回路は、前記共振周波数fpとは異なる共振周波数fdにより前記送信コイルと受信コイルとを共振させて前記送信コイルと受信コイルとの相互位置を検出する手段を備え、
前記第1の給電回路の入力には給電用電源が接続され、
前記第2の給電回路はバッテリーを含む負荷を有し、
前記第1の位置検出回路の入力には位置検出用電源が接続され、
前記第2の位置検出回路は位置検出用負荷を有する、
ことを特徴とする非接触給電システム。 - 前記第1の給電回路は、前記共振周波数fpにより前記送信コイルを共振させる第1のフィルタ回路を備え、
前記第2の給電回路は、前記共振周波数fpにより前記受信コイルを共振させる第2のフィルタ回路を備え、
前記第1の位置検出回路は、前記共振周波数fdにより前記送信コイルを共振させる第3のフィルタ回路を備え、
前記第2の位置検出回路は、前記共振周波数fdにより前記受信コイルを共振させる第4のフィルタ回路を備えることを特徴とする請求項1記載の非接触給電システム。 - 前記第1の位置検出回路は、前記送信コイルと受信コイルの相互間の位置の変動に基づく入力インピーダンスの変動を検知して、前記送信コイルと受信コイルとの相互位置を検知する検知回路を備えることを特徴とする請求項1または2記載の非接触給電システム。
- 前記送信コイルと前記受信コイルは、単一あるいは複数の送信コイルと単一あるいは複数の受信コイルとの間において給電される配置に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の非接触給電システム。
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