JP6257229B2 - 合金及びろう材 - Google Patents

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Description

この発明は、合金及びろう材に関し、特に、Agを主成分として含有する合金及びろう材に関する。
高温下で使用される各種配管の接続部には、金属ガスケット及び金属パッキン等の金属シール材が用いられることがある。金属シール材を形成する材料としては、酸化し難い材料である貴金属が用いられることがあり、これらの中でもAgは比較的安価であることから従来から用いられている。また、金属部材同士の接合、セラミック部材同士の接合、及び金属部材とセラミックス部材との接合に用いられる材料としてろう材があり、Agろう材は、軟質であることからセラミック部材と金属部材といった異種部材同士の熱膨張差に起因する熱応力を緩衝することができるので、異種部材同士を接合するのに従来から用いられている。
ところで、Agが高温下(600〜800℃)で水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との両方に曝される環境に置かれると、Agの中に水素と酸素とが拡散して水蒸気ガスが発生し、これによってAg中に気孔が形成されて高温腐食していること、所謂孔食が発生していることが報告されている(例えば、非特許文献1及び2)。
Prabhakar Singh, Zhenguo Yang, Vish Viswanathan, and Jeff W. Stevenson, "Observations on the Structural Degradation of Silver During Simultaneous Exposure to Oxidizing and Reducing Environments", Journal of Materials Engineering and Performance, Volume 13(3) June 2004, 287-294 R. L. Klueh and W. W. Mullins, "Some Observations on Hydrogen Embrittlement of Silver", TRANSACTIONS OF THE METALLURGICAL SOCIETY OF AIME, Volume 242, February 1968, 237-244
Agは上述したようにシール材及びろう材として好適な材料であるが、これが高温下で水素を含む雰囲気及び酸素を含む雰囲気に曝される環境に置かれて孔食が生じると、この孔食によってシール材の場合には気密性が低下し、また、ろう材の場合には接合強度及び気密性が低下する。
この発明は、高温下で水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との両方に暴露される環境に置かれたときに、孔食の発生を抑制することのできる合金及びろう材を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、
(1) 主成分であるAgと、
Ru、Re、及びIrからなる群より選択される少なくとも一種と、
Y及びErからなる群より選択される少なくとも一種と、からなり
前記Ru、Re、及びIrからなる群より選択される少なくとも一種を合計で0.02at%以上10at%以下、並びに、前記Y及びErからなる群より選択される少なくとも一種を合計で0.01at%以上0.8at%以下含有し、溶存酸素の含有割合が、0.35at%以下であることを特徴とする合金である。
前記別の課題を解決するための手段は、
(2) 前記(1)に記載の合金からなるろう材であり、
(3) 2つの部材とこれら2つの部材を接合した状態にあるろう材部とを有する接合体であって、
前記ろう材部は、請求項2に記載のろう材からなると共に、
MgO、Al、Cr、HfO、TiO、ZrOのいずれかを合計で4vol%以上8vol%以下含有することを特徴とする接合体である。
この発明に係る合金は、Agを主成分として含有し、さらに、Ru、Re、及びIrからなる群より選択される少なくとも一種の元素を0.02at%以上10at%以下、又は、Y及びErからなる群より選択される少なくとも一種の元素を0.01at%以上0.8at%以下含有するから、この合金が高温下で水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との両方に暴露される環境に置かれた場合に孔食の発生を抑制することができる。
また、前記合金はろう材として使用することができ、このろう材により得られた接合体のろう材部もまた、水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との両方に暴露される環境に置かれた場合に孔食の発生を抑制することができる。
図1は、固体酸化物形燃料電池スタックの一例を示す概略斜視図である。 図2は、図1に示す固体酸化物形燃料電池スタックにおける単セルのセル本体の概略断面説明図である。 図3は、図1に示す固体酸化物形燃料電池スタックのA−A断面説明図である。 図4は、孔食評価試験で用いた管材継手部品の概略断面説明図である。 図5は、金属酸化物量の影響試験で用いた接合体の概略説明図である。図2(a)は、接合体の上面概略説明図であり、図2(b)は、接合体の側面概略説明図である。
以下において、この発明について詳細を述べる。
この発明の合金は、Agを主成分として含有し、Ru、Re、及びIrからなる群より選択される少なくとも一種の元素(A)を0.02at%以上10at%以下、又は、Y及びErからなる群より選択される少なくとも一種の元素(B)を0.01at%以上0.8at%以下含有する。
この発明の合金は、Agを主成分として含有する。ここで、主成分とは合金に含有される成分の中で原子数の最も多い成分のことをいう。Agの含有量は、合金の全原子数に対して、90.00at%以上であるのが好ましく、91.9at%以上99.99at%以下であるのがより好ましい。Agは高温下において酸化し難い貴金属であり、また比較的安価である点で、高温下で使用される接合部材における部材同士の間に介在される、シール材及びろう材として好適に用いられる。
この発明の合金は、前記元素(A)又は前記元素(B)を合金の全原子数に対して前記含有割合で含有する。純Agを酸素を含む雰囲気と水素を含む雰囲気との隔壁となる部位に配置し、これを高温下に置くと、Ag中に水素と酸素とが相互から拡散し、孔食が発生する。Agにおける孔食は次のようにして形成される。高温下で水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気とに暴露されたAgは、Agにおける一方から水素、他方から酸素がAgの粒界及び粒内を拡散し、Ag中で水素と酸素とが反応して水蒸気ガスを生成し、それによって体積が膨張してAgの粒界にクラックが発生したり、粒内にボイドが形成されたりする。その後、これらのクラック及び/又はボイドが連結することにより孔食となる。シール材にこのような孔食が発生すると、この合金をシール材として使用する場合には気密性が低下し、また、ろう材として使用する場合には接合強度及び気密性が低下する。
一方、この発明の合金は、Agを主成分として、前記元素(A)又は前記元素(B)を前記含有割合で含有するので、合金の粒界にクラックが発生したり、合金の粒内にボイドが形成されたりするのを抑制することができ、それによって孔食の発生を抑制することができる。
Agを主成分として、前記元素(A)を0.02at%以上10at%以下含有すると、前記元素(A)がAgに固溶もしくは析出することにより、Agの格子がひずみ、拡散経路の粒界で拡散を阻害する効果が得られ、水素及び酸素の拡散速度が遅くなり、クラックの発生及びボイドの形成が抑制され、その結果、孔食の発生を抑制することができる。前記元素(A)の含有量が0.02at%未満であると、水素及び酸素の拡散速度を低減する効果が小さく、孔食の発生を抑制することができない。前記元素(A)の含有量が10at%を超えると、酸素を含む雰囲気に暴露されている合金表面において、前記元素(A)の酸化揮発が生じ、孔食とは異なる孔が発生し、それによってさらに孔食が形成され易くなる。
Agを主成分として、前記元素(B)を0.01at%以上0.8at%以下含有すると、合金の粒界の強度が高められ、クラックの発生が抑制され、その結果、孔食の発生を抑制することができる。前記元素(B)の含有量が0.01at%未満であると、合金の粒界の強度を高める効果が小さく、孔食の発生を抑制することができない。前記元素(B)の含有量が0.8at%を超えると、Agへの元素(B)の固溶限界すなわちY及びErの固溶限界が小さいために析出物を形成し、この析出物は水素親和性を有することから合金中への水素の拡散を促進し、孔食が増長する。
この発明の合金は、Agを主成分として、前記元素(A)を0.02at%以上10at%以下、並びに、前記元素(B)を0.01at%以上0.8at%以下含有するのが好ましい。前記元素(A)を0.02at%以上、並びに、前記元素(B)を0.01at%以上含有すると、前記元素(A)がAgに固溶もしくは析出することにより、Agの格子がひずみ、拡散経路の粒界で拡散を阻害する効果が得られ、水素及び酸素の拡散速度が遅くなると共に合金の粒界の強度が高められ、それによってクラックの発生及びボイドの形成が抑制され、その結果、孔食の発生をより一層抑制することができる。前記元素(A)を10at%以下、並びに、前記元素(B)を0.8at%以下含有すると、酸素を含む雰囲気に暴露されている合金の表面において、前記元素(A)の酸化揮発を抑制することができ、また、元素(B)の析出物の形成を抑制することで合金中への水素の拡散速度を低減し、その結果、孔食の発生をより一層抑制することができる。
この発明の合金は、Ru、Re及びIrからなる群より選択される少なくとも一種の元素(A)、又は、Y及びErからなる群より選択される少なくとも一種の元素(B)、所望により、前記元素(A)、前記元素(B)、Fe、Co、及びYbのうちの少なくとも一種、並びに、不可避不純物を含有する。これらの各成分は、前述した各成分の含有量の範囲内で、これら各成分と不可避不純物との合計が100at%になるように含有される。前記不可避不純物としては、例えば、C が挙げられる。不可避不純物の含有量は少ない方が好ましいが、本願発明の目的を達成することができる範囲内で含有していてもよく、不可避不純物の含有量は0.50at%以下であるのがよい。
この発明の合金に含まれる各成分の含有量は、次のようにして測定することができる。すなわち、少量の合金片を酸もしくはアルカリ溶液にて溶解し、その後イオンクロマトグラフィーにて測定する。合金に含まれるカーボンは、酸素雰囲気下にて加熱することにより酸素と反応し炭酸ガスとなるので、その燃焼ガスを非分散型赤外線吸収法により測定する。また、合金に含まれる各成分の含有量が極度に少ない場合は、合金における任意の複数個所を選択し、EPMAを利用して、WDS分析を行うことにより、各々の箇所の組成を測定する。次に、測定した複数個所の値の平均値を算出して、この平均値を合金の組成とする。
この発明の合金は、溶存酸素の含有量が、合金の全原子数に対して0.35at%以下であるのが好ましい。前記合金における溶存酸素の含有量は少ないほど好ましく、生産性等を考慮すると0.007at%以上であるのが好ましい。合金中の孔食は、前述したように、酸素と水素との反応により水蒸気ガスが発生することにより、合金の粒界に形成されたクラック及び粒内に形成されたボイドが連結することにより形成される。したがって、合金における溶存酸素が多いほど孔食が促進され、0.35at%を超えると加速するので、孔食の発生を抑制する点で、0.35at%以下であるのが好ましい。
この発明の合金における溶存酸素の含有量は、合金を製造する工程において、原料粉末を溶解する方法、例えば、真空溶解、高周波溶解及びアーク溶解等の違いによって大きく変わることはなく、前記溶解を繰り返し行う回数、前記溶解前後の雰囲気等を適宜変更することにより調整することができる。
この発明の合金に含まれる溶存酸素の含有量は、酸素・窒素分析装置により測定することができる。具体的には、合金の試料を加熱溶解し、溶湯から発生したガスを分離後、非分散型赤外線吸収法により酸素量を定量することにより行われる。
この発明の合金は、ガスケット、パッキン等のシール材として、また、金属部材同士の接合、セラミック部材同士の接合、及び金属部材とセラミック部材といった異種部材同士の接合に用いられるろう材等として使用されることができる。
この発明の合金からなるシール材は、高温下で水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との両方に暴露される環境に置かれたときに、孔食の発生を抑制することができるから、高温下で水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との両方に暴露される環境で使用されるのが好ましく、このような環境で使用されても、この発明の合金からなるシール材は気密性を確保することができる。
この発明の合金からなるろう材は、Agを主成分としているので、融点が比較的低いことから、ろう材として好適に用いられ、特に、この発明の合金からなるろう材は軟質であるので、異種部材同士を接合するのに好適である。例えば、金属部材とセラミック部材との間にこの合金からなるろう材を介在させ、前記ろう材を溶融及び凝固させて得られるろう材部は、金属部材及びセラミック部材といった熱膨張率の異なる異種部材の熱膨張率の差に起因する熱応力を緩衝することができる。したがって、この発明の合金からなるろう材は、温度変化の大きい環境下に置かれる異種部材同士の接合に好適に用いられる。
また、この発明の合金からなるろう材は、部材同士を接合して形成されたろう材部が高温下で水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との隔壁となる部位に配置されて、両方の雰囲気に暴露される環境に置かれても、孔食の発生を抑制することができるから、接合強度及び気密性を確保することができる。
この発明の合金からなるろう材は、さらに、Al、Cr、Mg、Ti、Zr、及びHfからなる群より選択される少なくとも一種を含む金属の酸化物、並びに前記群より選択される金属の複合酸化物、又は、前記群より選択される少なくとも一種を含む金属の酸化物、若しくは前記群より選択される金属の複合酸化物を、ろう材全体積に対して合計で4vol%以上8vol%以下含有するのが好ましい。
この発明のろう材が、前記酸化物及び前記複合酸化物のうちの少なくとも一種を合計で4vol%以上含有すると、ろう材を部材同士の間に介在させて溶融したときに、接合する部材に対する濡れ性が良好になり、所望の領域に広がって所望の位置に留まるので、部材同士の間の所望の領域に所望の量のろう材部が形成され、その結果、接合強度及び気密性を確保することができる。前記酸化物及び前記複合酸化物の含有量が過度であると、ろう材部が粗くなり、緻密性が悪くなり、接合強度及び気密性が低下するおそれがあるが、この発明のろう材は前記酸化物及び前記複合酸化物の少なくとも一つを合計で8vol%以下含有するので、ろう材部の緻密性を維持して、接合強度及び気密性を確保することができる。
前記酸化物及び前記複合酸化物としては、Al、Cr、Cr、MgO、TiO、ZrO、HfO等を挙げることができる。
前記ろう材における前記酸化物及び前記複合酸化物の含有量は、次のようにして測定することができる。例えば、分析に供するろう材の試料を酸溶液に溶解することにより前記合金を溶解すると前記酸化物及び前記複合酸化物が残渣となるので、この残渣の体積Vを測定し、試料の全体積Vに対する残渣の体積Vの割合(V/V)×100(%)を算出することにより求めることができる。
また、ろう付後のろう材部を分析することによりろう材における前記酸化物及び前記複合酸化物の含有量を推定することもできる。すなわち、ろう材部を切断して切断面を露出させ、この切断面を観察して、前記酸化物及び前記複合酸化物の平均粒半径Dと前記酸化物等の占める総面積Tを測定する。T/(D1^2×π)により観察面における前記酸化物等の平均個数Sが算出される。さらに観察面積Tと酸化物平均直径(2×D)を厚さと想定した体積中の前記酸化物等の体積割合を算出することにより前記酸化物等の含有量を求めることができる。すなわち、前記酸化物等の含有量は、酸化物平均体積{(4/3×π×D^3)×平均個数S/観察部分の体積(T×2×D)}×100(%)で算出する。
前記ろう材の形態としては、特に限定されず、例えば、前記合金の粉末に、所望により前記酸化物を混合して、さらに有機溶剤及び有機バインダー等を加えたペースト、前記合金の粉末に、所望により前記酸化物を混合した粉末、前記合金及び所望により前記酸化物を含む合金により形成される箔並びにワイヤー等を挙げることができる。
この発明の合金からなるろう材を、例えば熱膨張率の異なる部材の間に介在させ、前記ろう材を溶融及び凝固させて得られたろう材部により前記部材が接合された接合体において、前記ろう材部は、ビッカース硬度(Hv)が35以上60以下であるのが好ましい。接合部材同士の熱膨張率の差に起因する熱残留応力を緩衝するには、Agの硬度は低い方が好ましい。しかしながら、接合部には機械的強度(例えば、引張り,曲げ,せん断)が求められることからろう材層の硬度(Hv)が35未満の場合、ろう材部の機械的強度が低くなり、接合強度が低くなる。硬度上昇に伴い熱残留応力を緩衝しつつ接合強度も上昇するが、逆に、硬度(Hv)が60を超えると応力緩衝能が低下し、部材がセラミックスのような脆性材料である場合、セラミックスにクラックが入るなどして接合強度が低下し、気密性が劣化する。
前記ろう材部におけるビッカース硬度は、次のようにして測定することができる。すなわち、ろう材部を含む接合体を樹脂に包埋した試料を、接合部材同士の接合面に垂直に切断し、この切断面を鏡面研磨してビッカース硬度の測定を行う。測定箇所は、前記酸化物等が存在する場合にはこれらを避けて合金部分における任意の30箇所を選択し、マイクロビッカース硬度計により、1Nの荷重でJIS Z 2244に準じて測定する。得られた測定値の算術平均を算出し、これをろう材部のビッカース硬度とする。
前記ろう材部の厚さは、15μm以上100μm以下であるのが好ましい。前記ろう材部の厚さが15μm未満であると接合強度及び気密性が低下するおそれがあり、接合強度及び気密性を確保するにはろう材部の厚さが100μmあれば十分である。なお、前記ろう材部の厚さは、接合部材同士の距離として測定される。
前記ろう材部は、溶存酸素の含有量が0.35at%以下であるのが好ましい。前記ろう材部における溶存酸素の含有量は少ないほど好ましく、生産性等を考慮すると0.007at%以上であるのが好ましい。この発明の合金中の孔食は、前述したように、酸素と水素との反応により水蒸気ガスが発生することにより、合金の粒界に形成されたクラック及び粒内に形成されたボイドが連結することにより形成される。したがって、ろう材部における溶存酸素が多いほど孔食が促進され、0.35at%を超えると加速するので、孔食の発生を抑制する点で、0.35at%以下であるのが好ましい。
前記ろう材部における溶存酸素の含有量は、合金を製造する工程において、原料粉末を溶解する方法、例えば、真空溶解、高周波溶解及びアーク溶解等の違いによって大きく変わることはなく、前記溶解を繰り返し行う回数、前記溶解前後の雰囲気等を適宜変更することにより調整することができ、また、ろう材を部材間に介在させて接合するときの加熱雰囲気を適宜変更することにより調整することができる。前記溶融前後の雰囲気及び前記加熱雰囲気としては、例えば、真空、Ar等の不活性雰囲気、酸素分圧を調整した雰囲気、大気雰囲気等を挙げることができる。
前記ろう材部に含まれる溶存酸素の含有量は、酸素・窒素分析装置により測定することができる。具体的には、接合体を剥離又は研削することによってろう材部を露出させ、ろう材部を剥ぎ取り、これを試料として加熱溶解し、溶湯から発生したガスを分離後、非分散型赤外線吸収法により酸素量を定量することにより行われる。なお、試料を加熱溶解するときの温度は、ろう材部に前記酸化物又は前記複合酸化物が含まれる場合には、その酸化物の酸素と区別するために、前記酸化物又は前記複合酸化物の融点以下の温度とする。
前記ろう材部は、この発明の合金からなるろう材が溶解及び凝固することにより形成されており、この発明の合金と同様に、高温下で水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との隔壁となる部位に配置されて、両方の雰囲気に暴露される環境に置かれても、孔食の発生を抑制することができる。したがって、固体酸化物形燃料電池及び水素製造装置等において、水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との隔壁となる部位に配置される部材同士の接合部として、この発明のろう材を好適に用いることができる。
以下において、この発明のろう材を用いて部材同士を接合することにより前記ろう材部を有する固体酸化物形燃料電池の一例を説明する。
図1に示すように、固体酸化物形燃料電池は、固体電解質形燃料電池スタック1を備え、この固体電解質形燃料電池スタック1は、固体電解質形燃料電池の基本構成である単セル3を複数層積層してなる。
この単セル3内には、図2に示すように、発電を行う要部であるセル本体5を備えており、セル本体5では、水素等の燃料ガスに接する燃料極7と、酸素イオン導電性を有する固体電解質体9と、固体電解質体9と空気極13との間の反応を防止する反応防止層11と、空気中の酸素等の酸化ガスに接触する空気極13とが、この順に積層されている。
なお、図2では、燃料極7が支持基体となるいわゆる燃料極支持膜式の単セル3を例に挙げているが、それに限定されるものではなく、例えば空気極支持膜式の単セル、固体電解質体が支持基体となる自立膜式の単セル等に適用することができる。
また、図3に示すように、前記固体電解質形燃料電池スタック1では、単セル3が、金属製のインターコネクタ15を介して、同図の上下方向に複数積層されている。
固体電解質形燃料電池スタック1の外周側には、空気極13や燃料極7等を気密にして囲むように、四角形の筒状の枠部17が設けられており、この枠部17には、各単セル3の燃料極7側の空間(燃料ガス流路)19に燃料ガスを供給するように、枠部17を同図の上下方向に貫通する燃料ガス供給路21が設けられている。なお、同図の紙面側には、燃料ガス供給路21と同様に、各単セル3の空気流路33に空気を供給するように、枠部17を上下方向に貫く空気供給路(図示せず)が設けられている。
各単セル3の燃料極7は、燃料極側集電体23によりインターコネクタ15に電気的に接続され、各空気極13は、空気極側集電体25によりろう材により形成されたろう材部27を介して他のインターコネクタ15に電気的に接続されている。
なお、最上部と最下部のインターコネクタ15を、それぞれ蓋体29、底部31と称し、最上部の空気極13は蓋体29に、最下部の燃料極7は底部31に、それぞれ電気的に接続されている。
各単セル3は、燃料ガス流路19を流通する燃料ガスと空気流路33を流通する酸化ガスである空気とを隔離するためのセル内セパレータ35を備えており、このセル内セパレータ35は、この発明のろう材部37により、固体電解質体9に接合されている。
また、それぞれの単セル3間を電気的に絶縁するため、絶縁体である四角形の枠状のセラミックフレーム39が、積層方向の所定部分に配設されており、このセラミックフレーム39は、ろう材部49により、セル内フレーム35に接合されている。
さらに、各単セル3には、その強度を高めるために、四角形の枠状の金属フレーム41、43が、積層方向に配設されて、ろう材部45、47、51、53によりその上下の部材と一体に接合されている。
つまり、固体電解質形燃料電池スタック1の枠部17においては、図3の上方より、蓋体29、ろう材部45、金属フレーム41、ろう材部47、セラミックフレーム39、ろう材部49、セル内セパレータ35、ろう材部51、金属フレーム43、ろう材部53、インターコネクタ15等の順で積層され、各部材は、その間のろう材部45〜53により接合一体化されている。
次に、固体電解質形燃料電池スタック1の各構成について詳細に説明する。
前記固体電解質体9は、固体電解質形燃料電池の運転時に燃料極7に導入される燃料ガス又は空気極13に導入される酸化ガスのうち一方の少なくとも一部をイオンとして移動させることができるイオン伝導性を有する。どのようなイオンを伝導することができるかは特に限定されないが、イオンとしては、例えば、酸素イオン及び水素イオン等が挙げられる。
前記固体電解質体9は、セラミックにより形成され、ZrO2系酸化物、BaCeO3系酸化物、及びLaGaO3系酸化物のうち、少なくとも一つからなることが好ましい。また、これらのうち、ZrO2系酸化物を用いた固体電解質体が、機械的強度、化学的安定性、高い酸素イオン伝導性をあわせ持つという点において、特に好ましい。
前記セラミックフレーム39は、セラミックにより形成され、セラミックとしては、酸化物系セラミック、窒化物系セラミック、炭化物系セラミック、ケイ化物系セラミック等が挙げられる。酸化物系セラミックとしては、ジルコニア、マグネシア、スピネル、アルミナ、チタニア等が挙げられる。また、2種以上の元素を含有する複合酸化物からなるセラミックが挙げられる。窒化物系セラミックとしては、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等が挙げられる。炭化物系セラミックとしては、炭化ケイ素、炭化タングステン等が挙げられる。ケイ化物系セラミックとしては、ケイ化モリブデン等が挙げられる。
インターコネクタ15、セル内セパレータ35、金属フレーム41、43は、金属部材であり、金属のうち、特に、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金等の耐熱合金により形成されるのが好ましい。
ステンレス鋼としては、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる。フェライト系ステンレス鋼としては、SUS430、SUS434、SUS405等が挙げられる。マルテンサイト系ステンレス鋼としては、SUS403、SUS410、SUS431等が挙げられる。オーステナイト系ステンレス鋼としては、SUS201、SUS301、SUS305等が挙げられる。さらに、ニッケル基合金としては、インコネル600、インコネル718、インコロイ802等が挙げられる。クロム基合金としては、Ducrlloy CRF(94Cr5Fe1Y23)等が挙げられる。
なお、前記金属部材としては、接合部であるろう材部27、37、45〜53側の表面にCr酸化物被膜を生成するCrを含有する合金(例えば、SUS430、SUS316)、及びAlを含む合金(例えば、SUH21)を採用することができる。
前記ろう材部27、37、45〜53は、この発明のろう材により形成されることができる。この発明のろう材は、高温下で水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との両方に暴露される環境に置かれたときに、孔食の発生を抑制することができるから、燃料ガスと酸化ガスとを隔離するためのセル内セパレータ35と固体電解質体9とを接合するのに好適に用いられ、少なくともろう材部37がこの発明のろう材により形成されるのが好ましい。前記ろう材部27、45〜53は、この発明の合金からなるろう材により形成されてもよいし、公知のろう材により形成されてもよい。
前記燃料極7は、水素源となる燃料ガスと接触し、単セル3における負電極として機能する。前記燃料極7を形成する材料は、固体酸化物形燃料電池の使用条件等により適宜選択することができ、例えば、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Ir、Ru、Rh、Ni及びFe等の少なくとも一種の金属、又は前記金属とYSZ(イットリア安定化ジルコニア)及びセリア系セラミック等の金属酸化物との混合物により形成されることができる。
前記空気極13は、酸素源となる酸化ガスと接触し、単セル3における正電極として機能する。前記空気極13を形成する材料は、固体酸化物形燃料電池の使用条件等により適宜選択することができ、例えば、各種の金属、金属の酸化物、金属の複合酸化物等を用いることができる。金属としては、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru及びRh等の金属又は2種以上の金属を含有する合金が挙げられる。金属の酸化物としては、La、Sr、Ce、Co、Mn及びFe等の酸化物が挙げられる。複合酸化物としては、少なくともLa、Pr、Sm、Sr、Ba、Co、Fe及びMn等を含有する複合酸化物が挙げられる。
燃料極側集電体23は、金属により形成されるのが好ましく、例えばNi又はNi基合金等により形成することができる。この燃料極側集電体23の形態は、弾性があるものが好ましく、多孔体、発泡体及び金属繊維からなるフェルト又はメッシュ等を挙げることができる。
前記空気極側集電体25は、金属及び導電性セラミック等により形成されることができる。金属としては、燃料極側集電体23と同様のものを用いることができるが、非弾性の緻密な板状体であってもかまわない。
前記燃料ガスとしては、水素、水素源となる炭化水素、水素と炭化水素との混合ガス、及びこれらのガスを所定温度の水中を通過させて加湿した燃料ガス、これらのガスに水蒸気を混合させた燃料ガス等が挙げられる。炭化水素としては、特に限定されず、例えば、天然ガス、ナフサ、石炭ガス化ガス等が挙げられる。燃料ガスは、メタン、エタン、プロパン、ブタン及びペンタン等の炭素数が1〜10、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜4の飽和炭化水素、並びにエチレン及びプロピレン等の不飽和炭化水素を主成分とするものが好ましく、飽和炭化水素を主成分とするものがさらに好ましい。燃料ガスはこれらのうちの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。また、燃料ガスは、50体積%以下の窒素及びアルゴン等の不活性ガスを含有していてもよい。
前記酸化ガスとしては、酸素と他の気体との混合ガス等が挙げられる。前記混合ガスには、80体積%以下の窒素及びアルゴン等の不活性ガスが含有されていてもよい。これらの酸化ガスのうちでは安全であって、且つ安価であるため空気(約80体積%の窒素が含まれている。)が好ましい。
次に、固体電解質形燃料電池スタック1の製造方法について、簡単に説明する。
まず、例えばSUS430からなる板材を打ち抜いて、インターコネクタ15、セル内セパレータ35、金属フレーム41、43を製造する。
また、定法により、MgOとスピネルを主成分とするグリーンシートを所定形状に形成し、焼成して、セラミックフレーム39を製造する。
さらに、単セル3のセル本体5を製造する。具体的には、燃料極7のグリーンシートの一方の表面(表面側)に、表面全体を覆うように、固体電解質体9の材料を印刷し、更に、この固体電解質体9の印刷層の上に、反応防止層11の材料を印刷し、一旦焼成する。その後、反応防止層11の表面に空気極13の材料を印刷し、焼成してセル本体5を製造する。
その後、各セル本体5の周縁部の表面に、セル内セパレータ35の内縁部が接するように配置するとともに、枠部17を形成するように、金属フレーム41、セラミックフレーム39、金属フレーム43の順で重ね合わせ、さらに、図3の固体電解質形燃料電池スタック1の構成となるように、インターコネクタ15、空気極側集電体25、燃料極側集電体23などを積層し、治具を用いて組み付けるとともに、接合箇所すなわちろう材部27、37、45〜53を形成する部分にこの発明のろう材を配置する。
次いで、このように組み付けた組付体を、加熱した後に冷却して、ろう付け接合により一体化し、固体電解質形燃料電池スタック1が形成される。
前記固体酸化物形燃料電池は、水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との両方に曝される部位である、セル内セパレータ35と固体電解質体9との接合部がこの発明のろう材により接合されてろう材部を形成しているので、この固体酸化物形燃料電池が650〜900℃の高温下で運転されても、ろう材部における孔食の発生を抑制することができるから、接合強度及び気密性を確保することができ、それによって耐久性を向上させることができる。
なお、本発明を実施するための形態では、本発明の合金又はろう材、ろう材を熱膨張率の異なる部材の間に介在させ接合した接合体の実施の形態として、燃料電池を一例に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、高温化で水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との隔壁となる部位に配置される部材として好適に用いられ、例えば水素製造装置等に用いられる場合でも本発明の効果を奏する。
<孔食評価試験>
(合金の製造)
表1に示す組成を有する原料粉末を配合し、これをアーク溶解してインゴットを形成し、このインゴットを冷間鋳造して厚さ1mmの板材に加工し、この板材をAr雰囲気で700℃で2時間焼鈍を行った。得られた板材を直径13mmの円盤状に加工して供試体を得た。
なお、供試体の組成は、供試体における任意の20個所を選択し、EPMAを利用して、WDS分析を行うことにより、各々の箇所の組成を測定する。次に、測定した20個所の値の平均値を算出して、この平均値を供試体の組成とした。
(試験方法)
図4に示す管材継手部品61に、得られた供試体62を配置して、これを電気炉に入れ、管材継手部品61の内部に水素を流しながら750℃で16時間保持した。このときの管材継手部品61の外部の雰囲気は大気である。
(評価方法)
前記試験前後における供試体62の厚さを測定し、試験前の供試体62の厚さdに対する試験後の供試体62の厚さdの増加割合{(d−d)/d}×100(%)を算出し、以下の評価基準にしたがって評価した。供試体62における孔食の発生の程度を供試体62の厚さの増加割合で評価したのは、供試体62に形成された孔食の発生の程度を定量化するためである。合金における孔食は、水素と酸素との反応により生じた水蒸気ガスにより形成されて体積が膨張するので、この体積の膨張の程度を供試体の厚さの増加割合で示し、これにより孔食の発生の程度を評価することができる。結果を表1に示す。
なお、試験後の供試体62の厚さdは、次のようにして求めた。前記試験後、供試体62を樹脂に埋め込み、供試体62を円形の面に直交する方向に切断して切断面に鏡面研磨を施した。鏡面研磨を施した断面における任意の60箇所の厚さを測定し、この測定値の算術平均を算出して、この平均値を試験後の供試体の厚さとした。

◎:供試体の厚さの増加割合が10%未満
○:供試体の厚さの増加割合が10%以上17%未満
×:供試体の厚さの増加割合が17%以上
<溶存酸素量の影響試験>
(合金の製造)
表2に示す組成を有する原料粉末を各種溶解法によりインゴットを作製し、これを厚さ1mm直径13mmの円盤状に加工して供試体を得た。
原料粉末の溶解方法として、真空溶解、Ar雰囲気で高周波溶解、及び真空引き後Arガスを封入してアーク溶解のいずれの方法で作製した供試体も溶存酸素量は0.014at%であった。一方、真空溶解を2回繰り返して作製した供試体の溶存酸素量は、0.007at%、真空溶解を3回以上繰り返して作製した供試体の溶存酸素量は、0.006at%であり、真空溶解を6回以上繰り返しても供試体の溶存酸素量は0.006at%より小さくならなかった。供試体の溶存酸素量が0.014at%よりも大きい供試体については、アーク溶解する前に真空引き後にArガスを封入する際に微量酸素濃度を調整することにより作製した。
なお、供試体の組成は、「孔食評価試験」と同様にして測定し、供試体における溶存酸素の含有量は、酸素・窒素分析装置により測定した。
(試験方法)
得られた供試体62を「孔食評価試験」と同様にして管状継手部品に配置して試験を行った。
(評価方法)
前記試験前後における供試体62の厚さを測定し、「孔食評価試験」と同様にして試験前後の供試体62の厚さの増加割合を求め、以下の評価基準にしたがって評価した。通常の合金の製造工程で形成したときの合金の溶存酸素量が0.014at%であったので、溶存酸素量が0.014at%であるときの供試体62の厚さの増加量を基準にして、供試体62の厚さの増加量が減っている供試体62又は増えているが5%以下である供試体62を「○」、供試体62の厚さの増加量が増えていて5%を超える供試体62を「△」として評価した。結果を表2に示す。

<金属酸化物量の影響試験>
(接合体の製造)
図5に示すように、フェライト系ステンレス鋼により形成された円環状の板64(外径32mm、内径12mm、厚さ0.2mm)の一方の面に、表3に示す組成を有するろう材(合金粉の平均粒径:20μm)に有機バインダーと混合してペースト状としてこれを塗布し、その塗布面に酸化ジルコニウムからなるセラミックにより形成された円盤状の板65(直径16mm、厚さ2mm)を載置し、円盤状の板に100gの荷重をかけて、Ar雰囲気の中で1000℃で60分間置き、円環状の板64と円盤状の板65とがろう材部66で接合された接合体63を得た。
なお、表3における合金の組成は、酸化物を避けて合金部分を選択して「孔食評価試験」と同様にして測定した。
(金属酸化物量の測定)
接合体63におけるろう材部66を切断して切断面を露出させ、この切断面を観察して、酸化物の平均粒半径Dと前記酸化物の占める総面積Tを測定した。T/(D1^2×π)により観察面における前記酸化物の平均個数Sが算出される。さらに観察面積Tと酸化物平均直径(2×D)を厚さと想定した体積中の前記酸化物の体積割合を算出することにより前記酸化物の含有量を求めた。すなわち、前記酸化物の含有量は、酸化物平均体積{(4/3×π×D^3)×平均個数S/観察部分の体積(T×2×D)}×100(%)により算出した。なお、表3における酸化物の含有量(vol%)は、合金と酸化物との合計体積に対する割合である。
(試験方法及び評価方法)
[接合状態]
ろう材部66の断層画像を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、その画像からろう材部66における欠陥の総面積Sb及びろう材部の断面積Sを算出し、ろう材部66の断面積Sに対する欠陥以外の面積の割合である接合面積率{(S−Sb)/S}×100を算出した。結果を表3に示す。
[気密性]
前記接合体63の気密性をHeリークディテクタを用いて評価した。接合体63における円環状の板64をHeリークディテクタ側に設置して、真空引きを行い、真空引きをしている状態で、Heガスをろう材部に吹き付け、そのときのHeのリーク量を測定し、以下の基準にしたがって評価した。

○:Heのリーク量が1×10−10Pa・m/s以下
△:Heのリーク量が1×10−10Pa・m/sを超える
本発明の範囲に含まれる合金は、表1に示されるように、高温下で水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との両方に暴露される環境に置かれても、孔食の発生が抑制されていた。一方、本発明の範囲外にある合金は、表1に示されるように、孔食の発生が抑制されなかった。したがって、この発明の合金がシール材又はろう材として使用されて、高温下で水素を含む雰囲気と酸素を含む雰囲気との両方に暴露される環境に配置された場合に、接合強度及び気密性を確保することができることが分った。
表2に示されるように、合金中の溶存酸素量が所定量より少ない場合には、孔食の発生がより一層抑制されていた。
表3に示されるように、この発明のろう材が所定量の金属酸化物を含有する場合には、接合性及び気密性が良好であった。これは、この発明のろう材が所定量の金属酸化物を含有することにより、濡れ性が良好になり、所望の領域に所望の量のろう材を配置してろう材部を形成することができたことによる。
1 固体酸化物形燃料電池スタック
3 単セル
5 セル本体
7 燃料極
9 固体電解質体
11 反応防止層
13 空気極
15 インターコネクタ
27、37、45、47、49、51、53 ろう材部
29 蓋体
31 底部
35 セル内セパレータ
39 セラミックフレーム
41、43 金属フレーム
61 管材継手部品
62 供試体
63 接合体
64 円環状の板
65 円盤状の板
66 ろう材部

Claims (3)

  1. 主成分であるAgと、
    Ru、Re、及びIrからなる群より選択される少なくとも一種と、
    Y及びErからなる群より選択される少なくとも一種と、からなり
    前記Ru、Re、及びIrからなる群より選択される少なくとも一種を合計で0.02at%以上10at%以下、並びに、前記Y及びErからなる群より選択される少なくとも一種を合計で0.01at%以上0.8at%以下含有し、溶存酸素の含有割合が、0.35at%以下であることを特徴とする合金。
  2. 請求項1に記載の合金からなるろう材。
  3. 2つの部材とこれら2つの部材を接合した状態にあるろう材部とを有する接合体であって、
    前記ろう材部は、請求項2に記載のろう材からなると共に、
    MgO、Al、Cr、HfO、TiO、ZrOのいずれかを合計で4vol%以上8vol%以下含有することを特徴とする接合体。
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