図1は、この発明が適用されるAVシステム2の構成を示す図である。AVシステム2は、AVレシーバ3に、2台の再生機器4、5、および、2台の映像表示機器6、7が接続された構成である。再生機器4は、たとえばDVDプレーヤであり、再生機器5は、たとえばセット・トップ・ボックス(STB)である。また、映像表示機器6は、たとえばテレビ受像機(TV)であり、映像表示機器7は、たとえばプロジェクターである。再生機器4、5とAVレシーバ3、AVレシーバ3と映像表示機器6、7は、それぞれ、HDMIで接続されている。また、AVレシーバ3、再生機器4および映像表示機器6は、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)などのネットワーク8に接続されている。なお、AVシステム2の構成は図示のものに限定されない。
AVレシーバ3は、再生機器4、5が再生したAV(オーディオ・ビデオ)信号を処理してスピーカ10および映像表示機器6、7に出力する。また、AVレシーバ3は、HDMIまたはネットワーク8経由で、各機器(再生機器4、5および映像表示機器6、7)の現在の消費電力を収集し、この消費電力に基づいて決定された省電力目標値を各機器に対して送信する。
省電力目標値とは、ユーザが現在の消費電力を参照して設定したAVシステム2の省電力モードの動作のための電力目標値である。ユーザは、省電力モードでAVシステム2を動作させようとするとき、現在の動作状態と消費電力とを対照し、もう少し映像の輝度が低くてもよい、操作パネルのバックライトは不要、など許容できる範囲で現在の消費電力よりも小さい値を省電力目標値として設定する。AVレシーバ3は、設定されたAVシステム2全体の省電力目標値を各機器に配分し、その配分値を各機器に通知する。各機器は、その通知を受けて、自己の消費電力がその目標値になるように省電力動作を実行する。省電力動作は、たとえば、電源電圧を低下させる、バックライトを消灯する、などの動作である。
ユーザは、携帯電話機1を用いて省電力目標値を設定する。携帯電話機1は、この省電力目標値をネットワーク8を介してAVレシーバ3に送信する。
携帯電話機1はいわゆるスマートフォンと言われる機種である。携帯電話機(スマートフォン)1は、携帯通信網である3G/4G通信機能を有するとともに、無線LAN(Wi−Fi)通信機能を有しており、アクセスポイント9を介してネットワーク8に接続される。携帯電話機1は、アプリケーションプログラム(アプリ)であるAVコントローラプログラム50を起動することにより、ネットワーク8経由でAVレシーバ3と接続され、ユーザの操作に応じてAVシステム2(AVレシーバ3)を制御する。
ここで、図1を参照してAVレシーバ3の詳細構成について説明する。AVレシーバ3は、制御部50、AV回路部51、パワーアンプ52、LAN通信部53、表示部54、操作部55、チューナ56、電源回路57、HDMI入力部63、64、および、HDMI出力部65、66を有している。制御部50は、コンピュータを含みAVレシーバ3およびAVシステム2の動作を制御する。制御部50には、AV回路部51、パワーアンプ52、LAN通信部53、表示部54、操作部55、チューナ56、電源回路57、HDMI入力部63、64、および、HDMI出力部65、66が接続されている。
HDMI入力部63、64には、ぞれぞれ、再生機器4、5が接続されている。HDMI入力部63、64は、それぞれ、HDMIコネクタおよびHDMI入力回路を有し、再生機器4、5から入力されたデジタルAV信号をAV回路部51に入力するとともに、再生機器4、5と制御部50との間の通信を制御する。再生機器4、5と制御部50の間では、たとえばHDMI/CECによるメッセージの送受信などの通信が行われる。この実施形態の場合、制御部50から再生機器4、5に対する現在の消費電力の問い合わせメッセージや再生機器4、5から制御部50に対する現在の消費電力を報告するメッセージが送受信される。
HDMI出力部65、66には、ぞれぞれ、映像表示機器6、7が接続されている。HDMI出力部65、66は、それぞれ、HDMIコネクタおよびHDMI出力回路を有し、AV回路部51で処理されたデジタルAV信号を映像表示機器6、7に出力するとともに、映像表示機器6、7と制御部50との間の通信を制御する。映像表示機器6、7と制御部50の間では、たとえばHDMI/CECによるメッセージの送受信などの通信が行われる。この実施形態の場合、制御部50から映像表示機器6、7に対する現在の消費電力の問い合わせメッセージや映像表示機器6、7から制御部50に対する消費電力を報告するメッセージなどが送受信される。
AV回路部51は、HDMI入力部63、64から入力されたデジタルAV信号を、HDMI出力部65、66に出力するとともに、入力されたデジタルAV信号のうちデジタルオーディオ信号に対してイコライズ、音量調整、遅延などの処理を行ったのち、この処理されたオーディオ信号をパワーアンプ52に出力する。また、入力ソースとして内蔵のチューナ56が選択されている場合は、このオーディオ信号に対してイコライズ、音量調整などの処理を行ったのち、この処理されたオーディオ信号をパワーアンプ52に出力する。なお、チューナ56は、FM放送を受信する受信回路である。パワーアンプ52は入力されたオーディオ信号を増幅し、外部接続されているスピーカ10に出力する。スピーカ10は、入力されたオーディオ信号を音響として放音する。
ここで、デジタルAV信号のオーディオ信号に対して行われる遅延処理は、映像信号のデコード、表示に要する時間(約250ms)オーディオ信号を遅延させるいわゆるリップシンク処理と呼ばれる処理であり、これにより映像と音声の同期がずれないようにしている。
操作部55は、AVレシーバ3のフロントパネルにある各種のボタンスイッチ、ダイヤルを含み、ユーザによる入力ソースの選択や音量の調整などの操作を検出する。操作部55は、検出した操作に応じて操作信号を発生し、この操作信号を制御部50に入力する。
LAN通信部53は、ネットワーク8を介した通信を制御する。ネットワーク8には、アクセスポイント9を介して携帯電話機1が接続されており、制御部50は、LAN通信部53−ネットワーク8を介して携帯電話機1と通信する。
表示部54は、操作パネルに設けられたバックライト付きの液晶ディスプレイであり、AVレシーバ3およびAVシステム2の動作状態などを表示する。表示部54には、たとえば、現在選択されているソース、ボリューム値、演奏中の曲名などが表示される。
電源回路57は、パワーアンプ52を含むAVレシーバ3の全回路に電源を供給する回路である。電源回路57は、パワーアンプ52に供給する電源電圧を、高電圧から低電圧まで複数段階に切り換える。また、電源回路57は、一次側(または二次側)の電流を検出する電流検出回路を備えており、制御部50は、電流検出回路によって電源回路57の電流を読み取ることで、現在の消費電力を取得する。
制御部50は、接続されている回路部に対して以下のような処理を実行する。操作部55および携帯電話機1からユーザによる操作信号を取得する。操作部55、携帯電話機1から入力された操作信号に応じて、AV回路部51に対して入力ソースの選択やボリューム値などを指示する。チューナ56に対して選局を指示する。入力ソースの選択結果、音量設定値、チューナ56の選曲情報などの制御内容を表示させるべく表示部54に対して指示する。電源回路57から現在の消費電力を取得する。
また、制御部50は、AVシステム2全体の消費電力を制御する。制御部50は、この消費電力制御のために、電力制御テーブル500を備えている。電力制御テーブル500は、図2に示すように、AVシステム2を構成する各機器の、現在の消費電力値のほか、動作時最小電力、待機電力、および、省電力目標値を記憶する。現在の消費電力は、制御部50が、HDMI/CECまたはネットワーク8を介して、定期的に(たとえば5秒ごとに)各機器から取得する。動作時最小電力は、機器が必要最小限の電力で動作した場合の消費電力、すなわち、機器の基本機能は維持しつつ、操作パネルのバックライトを消灯するなど基本機能に影響しない範囲で電力の消費を抑えた場合の消費電力である。待機電力は、電源オフ状態で電源オンコマンドが入力されるのを待機している状態における消費電力である。動作時最小電力および待機電力は、制御部50または各機器の起動時に、制御部50が、HDMI/CECまたはネットワーク8を介して取得する。また、省電力目標値の合計値は、携帯電話機1からコマンドメッセージとして送られてくる電力制御の目標値であり、各機器別の省電力目標値は、合計値を制御部50が各機器別に配分した値である。
携帯電話機1は、AVコントローラプログラム50により、AVシステム2全体の消費電力の目標値(合計値)をAVレシーバ3に送信してくる。この目標値は、ユーザによって設定されたものである。制御部50は、携帯電話機1から(AVシステム2全体の)省電力目標値が送られてくると、このAVシステム2全体の省電力目標値を自己を含む各機器にこの電力値を配分して各機器毎の省電力目標値を決定する。各機器毎の省電力目標値は、電力制御テーブル500に書き込まれている動作時最小電力やそのときの動作状態などを考慮して決定される。この決定された値が電力制御テーブル500に書き込まれる。制御部50は、算出した各機器の省電力目標値をそれぞれ対応する機器に送信する。そして、自己の消費電力が自己に対して設定された省電力目標値になるように省電力動作を実行する。省電力動作は、たとえば、表示部54に対してバックライトの明るさを暗くする(またはオフする)ように指示する、電源回路57に対してパワーアンプ52の電源電圧を低い電圧に切り換えるように指示する、などの動作である。なお、この省電力動作は、省電力目標値の受信に応じて、AVシステム2を構成する他の機器においても実行されるものとする。
次に、図3のブロック図を参照して、AVコントローラプログラム50が実行される携帯電話機1の構成を説明する。携帯電話機1は、バス26上に、制御部20、操作部30、メディアインタフェース31、Wi−Fi通信回路32および3G/4G通信回路33を有している。制御部20は、CPU21、ROM(フラッシュメモリ)22、RAM23、画像プロセッサ24および音声プロセッサ25を含んでいる。画像プロセッサ24には、ビデオRAM(VRAM)40が接続され、VRAM40には表示部41が接続されている。表示部41は、液晶のディスプレイを含み、待ち受け画面や電話番号などを表示する。また、後述のAVコントローラ100の画面も表示部41に表示される。音声プロセッサ25には、D/Aコンバータを含むアンプ42が接続され、アンプ42にはスピーカ16が接続されている。
画像プロセッサ24は、待ち受け画面や電話番号等などの種々の映像を生成するGPU(Graphics Processing Unit,グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を備えている。画像プロセッサ24は、AVコントローラプログラム50が起動された場合には、CPU21の指示に従ってAVコントローラの画像を生成し、これをVRAM40上に展開する。VRAM40上に展開された画像は表示部41に表示される。
音声プロセッサ25は、通話音声をエンコード/デコードするDSP(Digital Signal Processor:デジタル・シグナル・プロセッサ)を有している。音声プロセッサ25は、デコード/生成した音声をアンプ42に出力する。アンプ42は、この音声信号を増幅してスピーカ16に出力する。
Wi−Fi通信回路32は、無線アクセスポイント9との間でIEEE802.11g規格の無線通信を行い、AVレシーバ3などのネットワーク8上の機器とデータやメッセージの送受信を行う。AVレシーバ3との間は、DLNA(Digital Living Network Alliance)で規定されたフォーマットでメッセージを交換する。3G/4G通信回路33は、携帯電話通信網を介して、音声通話およびデータ通信を行う。データ通信によってアプリケーションプログラムのダウンロードが行われる。なお、アプリケーションプログラムは、3G/4G通信でダウンロードするのみならず、Wi−Fi通信やUSBなどのインタフェース経由で取得するようにしてもよい。
操作部30は、表示部41上に形成されたタッチパネルを含み、タッチパネル上のタッチ操作、フリック操作を検出する。メディアインタフェース31にはメモリカード15が接続される。メモリカード15は、たとえばマイクロSDカードである。3G/4G通信回路33によってサーバからダウンロードされたアプリケーションプログラムは、メモリカード15またはROM22に保存される。この携帯電話機1では、図3に示すように、AVコントローラプログラム50(アプリケーションプログラム)がメモリカード15に保存されている。
AVコントロールプログラム50は、プログラム本体に加えてプログラムの実行に必要なデータを含んでいる。プログラムの実行に必要なデータは、たとえば、コマンドテーブル501などである。コマンドテーブル501は、AVシステム2に対する制御内容とその制御内容を表すコマンドを対応づけたテーブルである。コマンドテーブル501には、音量を上げる/下げる、入力ソースとしてDVDプレーヤ/STBを選択する、現在の消費電力を取得して携帯電話機1に送信する、消費電力を添付の省電力目標値に制御する、などのコマンドが記憶されている。
ROM22には、この携帯電話機1の通話やアプリケーションプログラムを実行するための基本プログラムが記憶されている。また、ROM22はフラッシュメモリであり、基本プログラムのほか、ダウンロードされたアプリケーションプログラムなどを記憶することも可能である。
RAM23には、CPU20がAVコントローラプログラム50を実行する際に使用されるワークエリアが設定される。ワークエリアとして、システム構成記憶エリア231、動作状態記憶エリア232、消費電力記憶エリア233などが設定される。システム構成記憶エリア231には、AVレシーバ3から取得したAVシステム2の構成情報が記憶される。システムの構成情報とは、AVレシーバ3の上流、下流に接続されている機器、AVレシーバ3が選択可能な入力ソースなどの情報である。この実施形態(図1)の場合、AVレシーバ3の上流に再生機器4、5が接続され、下流に映像表示機器6、7が接続されており、選択可能な入力ソースは、再生機器4、5およびチューナ56である旨の情報が記憶される。また、AVシステム2の動作状態とは、選択されている入力ソース、ボリューム値、再生中の楽曲名などである。これらの情報は、入力ソースの選択やボリューム制御のために使用される。消費電力記憶エリア233には、現在のAVシステム2の現在の消費電力が記憶される。この記憶内容は、定期的に(たとえば5秒ごとに)更新される。この消費電力情報は、後述の電力設定画面において、省電力目標値の設定のために使用される。
携帯電話機1は、メモリカード15に保存されているAVコントローラプログラム50との協働によって、図4に示すようなAVコントローラ100を構成し、Wi−Fi経由でAVレシーバ3にコマンドメッセージを送信してAVシステム2を制御する。
図4の機能ブロック図を参照して、携帯電話機1(ハードウェア)にAVコントローラプログラム50が読み込まれることによって実現されるAVコントローラ100について説明する。AVコントローラ100は、操作画面表示部110、操作検出部120、メッセージ編集送信部130およびシステム状態取得部140を有している。
操作画面表示部110は、制御部20、VRAM40、表示部41およびAVコントローラプログラム50の協働によって実現され、携帯電話機1の表示部41に、各種の操作画面を表示する。また、操作検出部120は、制御部20、操作部30およびAVコントローラプログラム50の協働によって実現され、表示部41に表示された操作画面に対する操作(たとえば、クリック操作やドラッグ操作)を検出する。
操作画面表示部110が表示部41に表示する操作画面は、たとえば、入力ソースの選択画面、DSP設定画面、シーン選択画面、電力設定画面などである。入力ソース選択画面は、AVレシーバ3に接続されている再生機器5、6や内蔵のチューナ56など選択可能な入力ソースのアイコンを配列表示した画面である。DSP選択画面は、複数の音場プログラムのアイコンを配列表示した画面である。シーン選択画面は、入力ソースや音場プログラムを一括で切り換えるシーンアイコンを配列表示した画面である。ユーザが、いずれかのアイコンを操作することにより、AVコントローラ100は、そのアイコンに対応した制御を指示するコマンドメッセージをAVレシーバ3に対して送信する。
また、電力設定画面は、図5に示すようなものである。この図において、表示部41にはウィンドウ410が形成され、このウィンドウ410内に、上から順に、現在の消費電力の表示エリア411、省電力目標値設定用の電力スケール412、スライダ413、スライダ413によって選択された省電力目標値の表示エリア414、および、決定ボタン415が表示されている。表示エリア411には、AVレシーバ3から取得されたAVシステム2全体の消費電力値が表示される。この消費電力値は定期的に(たとえば5秒ごとに)更新される。この図では、「542W」が表示エリア411に表示されている。電力スケール412には、現在の消費電力値を最大値として−60ワットまでの電力値が1次元の目盛りとして表示される。この図では、482Wから542Wまでのスケールが表示されている。スライダ413は、ユーザの指やスタイラスペンによるドラッグによって左右にスライドされる。スライダ413が指し示す電力スケール412上の位置が、現在選択されている電力の省電力目標値として選択される。この値が表示エリア414に表示される。この図では、「502W」が表示エリア414に表示されている。すなわち、スライダ413の操作により−40Wの省電力目標値が選択されている。また、電力スケール412は、その左端からスライダ413の指し示す位置までが着色され、現在どの程度の電力値が選択されているかを直感的にわかり易く示している。
ユーザは、スライダ413をドラッグ操作して所望の電力値を選択し、そののち決定ボタン415をクリック操作する。この操作を行うことで、その電力値が省電力目標値としてAVレシーバ3に送信される。すなわち、操作検出部120が決定ボタン415のクリック操作を検出すると、この操作情報および電力の省電力目標値がメッセージ編集送信部130に入力される。メッセージ編集送信部130は、コマンドメッセージを編集してAVレシーバ3に送信する。
また、図5において、表示部41のウィンドウ410の下には、入力ソースの選択画面、DSP設定選択画面、シーン選択画面、電力設定画面を選択するためのアイコン群420が表示されている。ユーザは、いずれかのアイコンをクリックすることで、ウィンドウ410内にその操作画面を表示させることができる。現在は、電力設定画面が選択されているため、ウィンドウ410には、電力設定画面のアイコンを指し示す突起が付加されている。
メッセージ編集送信部130は、制御部20、Wi−Fi通信回路32およびAVコントローラプログラム50の協働によって実現される。メッセージ編集送信部130は、操作検出部120から入力された操作情報に基づき、その操作情報に対応するコマンドをコマンドテーブル501から読み出してコマンドメッセージを編集する。そして、そのコマンドメッセージをAVレシーバ3に送信する。コマンドメッセージは、上述したコマンド(制御内容:音量を上げる/下げる、入力ソースとしてDVDプレーヤ/STBを選択する、現在の消費電力を取得して携帯電話機1に送信する、消費電力を添付の省電力目標値に制御する、など)をAVレシーバ3に指示するメッセージである。
システム状態取得部140は、制御部20、Wi−Fi通信回路32およびAVコントローラプログラム50の協働によって実現される。システム状態取得部140は、AVコントローラ100の起動時またはAVレシーバ3の起動時に、AVレシーバ3からAVシステム2のシステム構成情報を取得する。取得されたシステム構成情報は、システム構成記憶エリア231に記憶される。
また、システム状態取得部140は、定期的(たとえば5秒毎)にAVレシーバ3から現在のAVシステム2の状態を取得する。AVシステム2の状態とは、動作状態や消費電力などであり、たとえば、選択されている入力ソース、現在の消費電力、再生中の曲名、音量値などの情報である。受信したシステム状態情報は、動作状態記憶エリア232、消費電力記憶エリア233に記憶されるとともに、操作画面表示部110によって表示部41の操作画面に表示される。
フローチャートを参照して携帯電話機1(AVコントローラ100)およびAVレシーバ3の動作を説明する。図6、図7は、携帯電話機1とAVコントローラプログラム50との協働によって実現されるAVコントローラ100の動作を示すフローチャートである。また、図8はAVレシーバ3の制御部50の動作を示すフローチャートである。
図6(A)は、AVコントローラ100の起動時、すなわち、携帯電話機1上でAVコントローラプログラム50が起動されたときの動作を示すフローチャートである。まず、ネットワーク8内のAVレシーバ3を検索し(S1)、検出したAVレシーバ3にコマンドメッセージを送信してシステム構成情報、現在の動作状態、および、現在の消費電力を取得する(S2、S3、S4)。取得した情報は、システム構成情報記憶エリア231、動作状態記憶エリア232および消費電力記憶エリア233に記憶される。そして、取得したこれらの情報に基づいて、入力ソース選択画面や電力設定画面などのAVコントローラ100の操作画面を構成する(S5)。
図6(B)は、AVコントローラ100の定期通信動作を示すフローチャートである。この動作は、定期的に(たとえば5秒ごとに)実行される。AVレシーバ3にコマンドメッセージを送信して、現在の動作状態および現在の消費電力を取得する(S6、S7)。取得した情報で、動作状態記憶エリア232および消費電力記憶エリア233の記憶内容が更新される。そして、取得したこれらの情報に基づいて、操作画面の表示内容を更新する(S8)。
図6(C)は、AVコントローラ100の通常動作を示すフローチャートである。この動作は所定期間(たとえば10ms)毎に繰り返し実行される。まず、ユーザによる操作があったか否かを判断する(S10)。操作がない場合には(S10でNO)、そのまま動作を終了する。ユーザによる操作があった場合には(S10でYES)、その操作に応じた制御を行うためのコマンドをコマンドテーブル501から読み出し(S11)、このコマンドを埋め込んだコマンドメッセージを編集して(S12)、AVレシーバ3に送信する(S13)。これにより、ユーザが携帯電話機1を用いてAVシステム2をコントロールすることができる。
図7は、図6(B)、(C)の定期通信動作、通常動作のうち、図5に示した電力設定画面が表示されている場面における処理の流れを表すフローチャートである。ユーザによる(図5右下隅の)電力設定アイコンのクリック操作に対応してこの動作がスタートする。まず、図5に示す電力設定画面を表示する(S20)。この表示ののち、AVレシーバ3から最新の消費電力を取得するか(S21)、スライダ413スライド操作を検出するか(S22)、または、決定ボタン415のクリック操作を検出するまで(S23)、S21、S22、S23の待機ルーチンで待機する。
最新の消費電力を取得した場合は(S21でYES)、図5の表示エリア411に表示される電力値をこの最新のものに更新するとともに、この電力値が最大値となるように、電力スケール412のレンジを更新する。このレンジの更新に伴って、スライダ413が指し示す電力値も更新されるため、表示エリア414に表示される省電力目標値の値も更新する(S26)。スライダ413のスライド操作が検出された場合には(S22でYES)、そのスライド操作に応じた位置にスライダ413の画像を移動させ(S27)、電力スケール412上のスライダが指し示す位置の電力を読み取って省電力目標値として表示エリア414に表示する(S28)。
決定ボタン415のクリック操作が検出された場合には(S23でYES)、そのとき表示エリア414に表示されている省電力目標値にAVシステム2を制御する。すなわち、省電力目標値を記載したコマンドメッセージを作成し(S28)、このコマンドメッセージをAVレシーバ3に送信する(S30)。ユーザによって、図5の下辺に表示されている他のアイコン(入力選択アイコン、DSPアイコン、シーン選択アイコン)がクリック操作されたとき、この電力設定動作を終了する。
図8(A)は、AVレシーバ3の制御部50の起動時の動作を示すフローチャートである。AVレシーバ3の電源がオンされると、制御部50は、AVレシーバ3の各部の機能を設定するとともに、以下の処理を行う。まず、HDMIのDDC(Display Data Channel)信号等により、HDMI入力部63、64、および、HDMI出力部65、66にどのような機器が接続されているかを検索する(S35)。この検索により、システム構成を把握し、システム構成情報を作成する(S36)。こののち、各機器から消費電力情報を取得する(S37)。S37で取得される消費電力情報は、動作時最小電力および待機電力であり、図2の電力制御テーブル500に書き込まれる。
なお、AVレシーバ3に接続されている機器が、AVレシーバ3よりも後に電源オンされた場合、AVレシーバ3は、その機器が電源オンされたときに消費電力情報を受信するものとする。
図8(B)は、AVレシーバ3の制御部50の消費電力情報収集動作を示すフローチャートである。AVレシーバ3は、定期的に(たとえば5秒ごとに)この処理を実行する。制御部50は、この処理を、AVレシーバ3が自主的に行ってもよく、携帯電話機1から収集要求のコマンドメッセージを受信したことに応じて実行してもよい。
まず、AVレシーバ3に接続されている各機器に対して消費電力問い合わせのメッセージを送信する(S40)。これに応じて各機器から消費電力を回答するメッセージが送られてくるため、これを受信する(S41)。また、自己の消費電力を読み取る(S42)。これらの消費電力を合成してAVシステム2全体の消費電力を算出する(S43)。この消費電力値を、(消費電力送信要求のコマンドメッセージに応じて)携帯電話機1に送信する(S44)。
図8(C)は、省電力目標値を受信したときの制御部50の動作を示すフローチャートである。携帯電話機1から省電力目標値を受信する(S50)と、この省電力目標値を各機器に配分して、各機器毎の省電力目標値を決定する(S51)。各機器毎の省電力目標値は、電力制御テーブル500に書き込まれている動作時最小電力やそのときの動作状態などを考慮して決定される。決定された各機器ごとの省電力目標値は、それぞれ対応する機器に対して電力制御コマンドとして送信される(S52)。そして、制御部50は、自己の消費電力を自己に配分した省電力目標値に制御する(S54)。
AVレシーバ3と他の機器との通信はHDMI/CECで行ってもよいし、ネットワーク8に接続されている機器との間は、ネットワーク8を介した通信で行ってもよい。
また、AVコントローラ100に、ユーザの操作に応じて、AVシステム2の省電力モード、すなわち、AVシステムが省電力目標値に消費電力を制御して動作するモードを解除するコマンドメッセージをAVレシーバ3に送信する機能をさらに設けてもよい。
以上の実施形態では、図2の電力制御テーブルをAVレシーバ3の制御部50に設け、この制御部50が、携帯電話機1から受信したAVシステム2全体の省電力目標値を各機器に配分する構成である。すなわち、携帯電話機1は、ユーザによって設定されたAVシステム全体の省電力目標値をAVレシーバ3に送信するのみである。しかし、電力制御テーブル3を携帯電話機1に設け、携帯電話機1(AVコントローラ100)が、ユーザによって設定されたAVシステム全体の省電力目標値を各機器に配分する処理を行ってもよい。この場合に、各機器別の省電力目標値は、携帯電話機1からAVレシーバ3経由で対応する機器に送信されてもよく、ネットワーク8を介して、携帯電話機1から直接対応する機器に送信されてもよい。
また、この場合に、携帯電話機1の電力制御テーブルの内容、すなわち、接続機器名、動作最小電力および待機電力は、AVレシーバ3が収集したものを転送してもらえばよいが、携帯電話機1が独自に収集してもよい。
この実施形態では、映像を含むAVシステムを例にあげて説明したが、本発明は、オーディオのみのシステムにおいても適用可能である。