本発明の実施形態は、概して、機械本体の動きを制御するための改良技術を提供する。いくつかの実施形態は、複数の手術用ツール又は器具が、外科的処置中に、関連する複数のロボットマニピュレータに取り付けられており、且つこれらのマニピュレータによって移動されるような手術用ロボットシステムでの使用に特に有利である。ロボットシステムは、大抵の場合、マスター・スレーブ制御装置として構成されたプロセッサを含むような、遠隔ロボット、遠隔手術、及び/又はテレプレゼンス・システムを有している。マニピュレータ・アセンブリを移動させるように適切に構成されたプロセッサを用いるロボットシステムに、比較的大きい数の自由度を有する多関節リンク機構を設けることによって、リンク機構の動作は、低侵襲性アクセス部位を介して作業に合わせて調整することができる。
本明細書で説明するロボットマニピュレータ・アセンブリは、大抵の場合、ロボット操作用マニピュレータと、そのマニピュレータ上に取付けられたツールとを有する(ツールは、大抵の場合、外科用の手術器具を有する)が、用語「ロボットアセンブリ」は、そのマニピュレータ上に取付けられたツールを含まないようなマニピュレータも包含する。用語「ツール」は、汎用又は産業用ロボットツールと、専門のロボット手術器具との両方を包含しており、後者である専門のロボット手術器具の構造は、大抵の場合、組織の操作、組織の治療、組織の画像化等に適したエンドエフェクタを含む。ツール/マニピュレータ・インターフェイスは、大抵の場合、代替ツールを用いてツールの迅速な取外し及び交換を可能にするクイック取外しツールホルダ又は結合器である。マニピュレータ・アセンブリは、大抵の場合、ロボット手術の少なくとも一部の間に、空間内に固定されたベースを有しており、マニピュレータ・アセンブリは、このベースと、ツールのエンドエフェクタとの間に多数の自由度を含んでもよい。例えば、マニピュレータ・アセンブリは、マニピュレータの運動学的な自由度だけでなく、マニピュレータに接続されたツールの運動学的な自由度も含んでもよい。これら運動学的な自由度の組合せは、本明細書では「マニピュレータの自由度」と呼ばれており、(以下に説明する)関節空間内で典型的に規定される。エンドエフェクタの作動(例えば、把持装置の顎部の開閉、電気外科パドルへの通電、真空にするための空気圧の起動等)は、大抵の場合、これらマニピュレータ・アセンブリの自由度とは別であり、このアセンブリに追加される。これらの自由度は、「作動自由度」として本明細書中で参照され得る。
エンドエフェクタ(すなわち、より一般的には、以下に説明されるような制御フレーム)は、典型的には、2〜6の間の自由度を有した状態で作業空間内を移動する。エンドエフェクタの自由度(すなわち、より一般的には、制御フレームの自由度)は、本明細書では「エンドエフェクタの自由度」と呼ばれており、(以下に説明される)直交座標空間で典型的に規定される。本明細書で使用されるように、用語「位置」は、位置(場所)と向きとの両方を包含する。従って、(例えば)エンドエフェクタの位置の変化は、第1位置から第2位置へのエンドエフェクタの並進、第1の向きから第2の向きへのエンドエフェクタの回転、又はこれらの両方の組合せを含んでもよい。低侵襲性ロボット手術に使用するときに、マニピュレータ・アセンブリの動きは、シャフト若しくは、ツール又は器具の中間部分が、低侵襲性手術用アクセス部位又は他の開口部を介して安全な動作で拘束されるように、システムのプロセッサによって制御することができる。例えばこのような動作は、開口部位を通して外科用作業空間にシャフトを挿入する挿入軸線、その軸線の回りのシャフトの回転、開口部位における旋回点の周りにシャフトを旋回させる旋回動作を含んでもよい。
本明細書で説明するマニピュレータ・アセンブリの多くは、完全に制御した状態でエンドエフェクタを作業空間内に位置付けることに典型的に関連するような使用可能な自由度よりも少ない自由度を有している(エンドエフェクタの完全な制御には、3つの独立した並進と、3つの独立した向きとを含むエンドエフェクタの自由度を必要とする)。つまり、マニピュレータ・アセンブリは、エンドエフェクタの6つの自由度を独立して制御するためには不十分な数の又は種類の自由度を有してもよい。例えば、関節接合される手関節を含まない剛性内視鏡のチップは、手関節のピッチ及び/又はヨー等の手関節の1つ又は2つの自由度を欠いていることがある。従って、内視鏡は、エンドエフェクタを位置付けするために、6つよりというよりも、4つ又は5つのみの自由度を有しており、こうして内視鏡の動作を潜在的に拘束する。
しかしながら、本明細書で説明するマニピュレータ・アセンブリのいくつかは、エンドエフェクタの位置付けを完全に制御するために必要とされる自由度よりも多い数の自由度を有している(エンドエフェクタの完全な制御には、3つの独立した並進と、3つの独立した向きとを含むエンドエフェクタの自由度を必要とする)が、マニピュレータ・アセンブリの関節の種類又は配置によって、マニピュレータ・アセンブリは、依然としてエンドエフェクタの位置付けを完全に制御することができない。例えば、マニピュレータ・アセンブリは、7つの自由度を有するマニピュレータを有することができるが、これらの自由度のうちの3つは、冗長性自由度である。その結果、エンドエフェクタは、4つの自由度を効果的に有する。
エンドエフェクタの位置を制御するために利用可能な自由度の数に関係なく、本明細書で説明するマニピュレータ・アセンブリは、ツールを作動させるための追加の自由度(すなわち、作動自由度)を加える(facilitate)ことができる。例えば、マニピュレータ・アセンブリは、例えば、起動の際に選択した組織を加熱するように作動可能な電気焼灼プローブを有するツールを取り付けるように構成してもよい。別の例では、マニピュレータ・アセンブリは、例えば、起動の際に選択した組織の周囲に吸引力を適用するように作動可能な真空装置を有するツールを取り付けるように構成してもよい。このような例では、これら追加の自由度は、運動学的なものではないので、エンドエフェクタの位置(すなわち、位置(場所)及び向き)には影響を与えない。
用語、関節等の「状態」は、大抵の場合、本明細書において、関節に関連付けられた制御変数を指す。例えば、角度関節の状態は、その可動域内のその関節によって規定される角度、及び/又は関節の角速度を指すことができる。同様に、軸線方向関節又は直動(prismatic)関節の状態は、関節の軸線方向の位置、及び/又はその軸線方向速度を指すことができる。本明細書で説明する制御装置の多くは、速度制御装置を含むが、それら速度制御装置は、大抵の場合、いくつかの位置制御の態様も有している。代替実施形態は、位置制御装置、加速度制御装置等に主に又は完全に依拠することがある。このような装置で使用される制御システムの多くの態様が、米国特許第6,699,177号により完全に記載されており、この文献の全体の開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。こうして、記載される運動が、関連する計算に基づく限り、本明細書で説明する関節の動き及びエンドエフェクタの動きの計算は、位置制御アルゴリズム、速度制御アルゴリズム、これらの両方の組み合わせ等を用いて行うことができる。
多くの実施形態では、例示的なマニピュレータアームのツールは、低侵襲性開口部に隣接する旋回点の周りを旋回する。いくつかの実施形態では、システムは、米国特許第6,786,896号に記載されるような遠隔センタ運動学等のハードウェア遠隔センタを利用することができ、この文献の全体の内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。このようなシステムは、マニピュレータによって支持される器具のシャフトが遠隔センタ点の周りを旋回するように、リンク機構の動きを拘束する二重平行四辺形リンク機構を利用することができる。代替の機械的に拘束された遠隔センタのリンク機構システムが、知られており、及び/又は将来開発されるだろう。他の実施形態では、システムは、米国特許第8,004,229号に記載されるような遠隔センタを実現するためのソフトウェアを利用することができ、この文献の全体の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。ソフトウェアの遠隔センタを有するシステムでは、機械的な拘束とは対照的に、プロセッサは、所望の旋回点の周りに器具シャフトの中間部分を旋回させるように、関節運動を計算する。ソフトウェア旋回点を計算する能力を有することによって、システムの適合性又は剛性によって特徴付けられる異なるモードを、選択的に実行することができる。より具体的には、旋回点/中心の範囲(例えば、可動旋回点、受動旋回点、固定/剛性旋回点、ソフト旋回点)に亘った異なるシステムモードは、必要に応じて実現することができる。
多くの構成では、ロボット手術システムは、遠隔制御のロボットマニピュレータのアーム及び/又はツールが有する自由度よりも少ない、より多い、又は等しい数の自由度を有するマスター制御装置(複数可)を含むことができる。このような例では、ロボット・マニピュレータアーム及び/又はツールを制御するために使用されるヤコビアンベースの又は他の制御装置は、典型的に、完全な数学的な解法及び十分な制御を提供する。例えば、剛体の位置(すなわち、位置及び向き)を完全に制御するには、独立して制御可能な剛体の6つの自由度を用いることができ、これは、並進のための3つの自由度と向きのための3つの自由度とを含む。これは、6×Nのヤコビアン行列が使用されるようなヤコビアンベースの制御アルゴリズムにうまく適している。
しかしながら、6×Nのヤコビアン制御装置を使用して、6つより少ない自由度を有するロボット・マニピュレータアーム及び/又はツールを制御するときに、数学的な問題に過度に制約されるので、問題が生じることがある。例えば、遠隔ツールが、低侵襲性開口部を通って延びる剛性内視鏡(であって、内視鏡がこの開口部で旋回する)である場合に、マニピュレータの2つの自由度は、利用できない場合がある(それら2つの自由度は、大抵の場合、エンドエフェクタに隣接するツール手関節に関連する例えば、手関節ピッチ及びヨーである)。マニピュレータでのこれら欠落する2つの自由度のそれぞれによって、エンドエフェクタの並進及び向きの両方に影響が生じる。こうして、内視鏡は、そのチップに独立して制御可能な4つのみの自由度(すなわち、エンドエフェクタの自由度)を有しており、6×Nヤコビアン・アプローチについて、上述した数学的な問題が発生する可能性がある。実際には、これらの数学的な問題は、大抵の場合、実体的な問題である。例えば、内視鏡のチップが、パン(pan)又はチルト(tilt)のいずれかを行うように命令された場合には、その内視鏡のチップは、手関節を有していない非手関節式チップなので、1つのことだけしか行うことができず、両方の組合せを行う必要がある。換言すると、内視鏡のチップが、パンやチルトするように独立して制御できないものであり、むしろ、その内視鏡のチップは、これらパンやチルトの固定された組合せのみを行うことができる。これは、潜在的に応答が遅くなり、外科医に望ましくない応答時間が遅い感覚を与える。
異なる自由度のツールが同じロボット手術用マニピュレータと一緒に使用されるときに、さらなる問題が、大抵の場合、発生する。例えば、外科医が、3つの運動学的な自由度の顎部の使用を望み、次に、この顎部を2つの運動学的な自由度を有する吸引装置に交換する場合である。顎部の動作を制御するための数学的モデルは、吸引装置の動作を制御するための数学的モデルとは異なるので、ロボットシステムは、同じ数学的モデルを使用することから生じる上述した問題を回避するために、2つの異なるモデルを適用する。例えば、マニピュレータが、ツールの自由度に加えて3つの自由度を提供する場合に、顎部の動作を制御するための制御装置、及び吸引装置は、それぞれ、6×Nのヤコビアンベースの制御装置、及び5×(N−1)のヤコビアンベースの制御装置を有する。マルチ制御装置の使用によって、コストを増加させ及び/又は異なるツールの大規模セットのスケーラビリティを制限するような追加の複雑性のレイヤがもたらされ、5×(N−1)ヤコビアンは、その減少した列数によって使用するのがより複雑になる。
さらに、関節の後続の動きを制御するためにマニピュレータ・アセンブリの現在の関節位置の推定値を使用するときに、別の問題が、大抵の場合、発生する。関節制御装置は、所望の関節位置と現在の関節位置の推定値との組合せを使用して、所望の関節位置に関節をより近接させるように関節に適用される適切なトルクを決定することができる。マニピュレータ・アセンブリの運動学モデルの自由度の数が、マニピュレータ・アセンブリの自由度の数に等しい状況では、しかし、ツールチップの位置は、より大きな数の自由度で測定され、これらの測定値を運動学モデルへの入力として使用して関節角度を決定することは、得られた関節角度計算結果にエラー(誤差)が含まることになる。これらの関節角度計算結果を使用して、マニピュレータ・アセンブリの動作を制御するときに、これらのエラーは、マニピュレータ・アセンブリに望ましくない制御をもたらす。
エンドエフェクタの位置を完全に制御するための6つの自由度よりも少ない、同じ、又はより多い自由度を有するアセンブリを含むような様々な自由度を有するマニピュレータ・アセンブリが、本明細書に開示されるが、これらのアセンブリの多くの実施形態は、エンドエフェクタの位置を完全に制御するための自由度を少なくとも1つ欠いている。マニピュレータ・アセンブリは、これら自由度のうちの1つを欠いているが、マニピュレータ・アセンブリを制御する入力装置(例えば、マスター制御入力装置)は、この欠落した自由度を含むことができる。本発明の実施形態によれば、マニピュレータ・アセンブリで欠落する自由度(複数可)を制御するような入力に応答して、マニピュレータ・アセンブリで利用可能な他の自由度が、動作に提供され、欠落する自由度(複数可)の制御をシミュレートするようにしてもよい。これは、マニピュレータの欠落する自由度(複数可)についての計算を含む及びこの計算を実行するようなマニピュレータ・アセンブリの運動学モデルを使用して行ってもよい。このような計算を行うことにより、マニピュレータ・アセンブリの残りの自由度をより効率的に制御することができ、エンドエフェクタを要求された自由度(複数可)に沿って移動させるように示すことができる。さらに、このような運動学的なモデルの使用によって、有利には、異なる数の自由度を有するツールの位置付け及び/又は作動を容易にする複雑さを低減することができる。
以下の説明では、本発明の様々な実施形態について説明する。説明目的のために、特定の構成及び詳細が、実施形態の完全な理解を提供するために説明される。しかしながら、本発明を特定の詳細なしに実施できることは当業者には明らかであろう。さらに、周知の機構は、説明される実施形態を不明瞭にしないために、省略又は簡略化され得る。
ここで図面を参照すると、同様の参照符号は、いくつかの図面を通じて同様の部品を表す。図1Aは、多くの実施形態による、低侵襲性ロボット手術(MIRS)システム10の上面図であり、このシステムは、手術台14の上に横たわっている患者12に低侵襲性の診断又は外科的処置を実施する際に使用される。このシステムは、手術中に外科医18によって使用される外科医コンソール16を含むことができる。1人以上のアシスタント20が、手術に関与することもできる。MIRSシステム10は、患者側カート22(手術用ロボット)と電子機器カート24とをさらに含むことができる。患者側カート22は、外科医18がコンソール16を通じて手術部位を視認しながら、着脱可能に結合された少なくとも1つのツールアセンブリ26(以下、単に「ツール」という)を低侵襲性切開部を介して患者12の体内で操作することができる。手術部位の画像は、立体内視鏡等の撮像装置28により得ることができ、この内視鏡は、撮像装置28を向合せさせるように、患者側カート22によって操作することができる。電子機器カート24を使用し、後続の表示のために手術部位の画像を処理して、外科医コンソール16を介して外科医18に表示することができる。一度に使用される手術用ツール26の数は、一般的に、診断又は外科手術、及び他の要因の中でも手術室内の空間的制約に依存するであろう。手術中に使用される1つ以上のツール26を変更する必要がある場合に、アシスタント20は、患者側カート22からツール26を取り外すことができ、手術室内のトレイ30からの別のツール26をその取り外したツールと交換することができる。
特定の実施形態における、外科医コンソール16、電子機器カート24、及び患者側カート22等の様々な構成要素を含むMIRSシステム10は、低侵襲性の診断や外科的処置を患者に行うためのシステムである。しかしながら、当業者によって理解されるように、このシステムは、図1Aに示されるよりも少ない又はより多い数の構成要素を有することにより、同様に良好に操作することができる。従って、図1Aに示されるシステム10は、本質的に例示として捉えるべきであり、本開示の範囲を制限するものではないことに注意する必要がある。
図1Bは、(図1AのMIRSシステム10等の)ロボット手術システム50を示す概略図である。上述したように、(図1Aの外科医コンソール16等の)外科医コンソール52は、低侵襲性手術中に外科医によって使用されて、(図1Aの患者側カート22等の)患者側カート(手術ロボット)54を制御することができる。患者側カート54は、立体内視鏡等の撮像装置を使用して、手術部位の画像を捕捉することができ、この捕捉した画像を(図1Aの電子機器カート24等の)電子機器カート56に出力することができる。上述したように、電子機器カート56は、後続の表示の前に、取得した画像を様々な方法で処理することができる。例えば、電子機器カート56は、合成画像を外科医コンソール52を介して外科医に表示する前に、取得した画像を仮想制御インターフェイスに重ねる(オーバーレイする)ことができる。患者側カート54は、電子機器カート56の外部で処理するために取得した画像を出力することができる。例えば、患者側カート54は、取得した画像を、この取得した画像を処理するために使用されるプロセッサ58に出力することができる。画像は、電子機器カート56及びプロセッサ58を組み合わせることによっても処理することができ、この画像は、捕捉した画像を一緒に、順番に、及び/又はこれらの組合せで処理するように、一緒に結合することができる。1つ又は複数の別個のディスプレイ60を、プロセッサ58に結合することができ、及び/又は手術部位の画像等の局所的及び/又は遠隔表示画像又は他の関連画像のための電子機器カート56に結合することができる。
特定の実施形態における、外科医コンソール52、電子機器カート56、及び患者側カート54等の様々な構成要素を含むMIRSシステム50は、低侵襲性の診断又は外科的処置を患者に行うためのシステムである。しかしながら、当業者によって理解されるように、このシステムは、図1Bに示されるよりも少ない又はより多い数の構成要素を有することにより、同様に良好に操作することができる。従って、図1Bに示されるシステム50は、本質的に例示として捉えるべきであり、本開示の範囲を制限するものではないことに注意する必要がある。
図2は、外科医コンソール16の斜視図である。外科医コンソール16は、奥行き知覚を可能にするような手術部位の調整された立体視を外科医18に提示するための左眼用ディスプレイ32と右眼用ディスプレイ34とを含む。コンソール16は、1つ以上の入力制御装置36をさらに含んでおり、この入力制御装置によって、次に、(図1Aに示される)患者側カート22に1つ以上のツールを操作させる。入力制御装置36は、外科医にテレプレゼンスを提供するように、(図1Aに示される)それら関連するツール26と同じ自由度又はより多くの自由度を提供することができ、又は外科医がツール26を直接的に制御するための強く認識できる感覚を有するように、入力制御装置36がツール26と一体であるという知覚を提供することができる。この目的を達成するために、位置、力、及び触覚フィードバックセンサ(図示せず)は、位置、力、及び触覚感覚を、ツール26から入力制御装置36を介して外科医の手に返送するように用いることができる。
外科医コンソール16は、通常、外科医が手術を直接的に監視できるように、必要に応じて物理的に存在するように、そして電話又は他の通信媒体を介して話すのではなく、アシスタントに直接的に話すように、患者と同じ部屋に位置している。しかしながら、外科医は、遠隔の外科手術を可能にするように、別の部屋、完全に異なる建物、又は患者から遠隔の他の位置に位置することができる。
特定の実施形態における外科医コンソール16は、手術部位に関する情報を外科医に提示し、且つ外科医からの入力情報を受け取るための装置であり、眼用ディスプレイ及び入力制御装置等の様々な構成要素を含む。しかしながら、当業者によって理解されるように、外科医コンソールは、図2に示されるよりも少ない又はより多い数の構成要素を有することにより、同様に良好に操作することができる。従って、図2に示される外科医コンソール16は、本質的に例示として捉えるべきであり、本開示の範囲を制限するものではないことに注意する必要がある。
図3は、電子機器カート24の斜視図である。電子機器カート24は、撮像装置28に結合することができ、後続の表示のために取得した画像を処理するためのプロセッサを含むことができ、処理した画像を外科医コンソール上で、又は局所的に及び/又は遠隔に位置する別の適切なディスプレイ上で外科医に表示する。例えば、立体内視鏡が使用される場合に、電子機器カート24は、手術部位の調整された立体画像を外科医に提示するように、取り込まれた画像を処理することができる。このような調整は、対向する画像同士間の位置合わせを含むことができ、且つ立体内視鏡の立体作業距離の調節も含むことができる。別の例として、画像処理は、光学収差等の画像取込装置の結像誤差を補償するように、以前に決定されたカメラ較正パラメータの使用を含むことができる。
特定の実施形態における電子機器カート24は、外科医に関する情報を外科チームに提示するための装置であり、様々な要素のディスプレイ、プロセッサ、記憶素子等を含む。しかしながら、当業者によって理解されるように、電子機器カート24は、図3に示されるよりも少ない又はより多い数の構成要素を有することにより、同様に良好に操作することができる。従って、図3に示される電子機器カート24は、本質的に例示として捉えるべきであり、本開示の範囲を制限するものではないことに注意する必要がある。
図4は、複数のマニピュレータアームを有する患者側カート22を示しており、各アームは、手術器具又はツール26をマニピュレータアームの先端部に支持する。示される患者側カート22は、4つのマニピュレータアーム100を含んでおり、これらアームは、手術用ツール26、又は手術部位の画像を捕捉するために使用される立体内視鏡等の撮像装置28のいずれかを支持するために使用できる。操作は、多数のロボット関節を有するロボット・マニピュレータアーム100によって提供され、各関節によって、マニピュレータの自由度が提供される。各関節の角度は、モータ又はモータアセンブリ等のアクチュエータによって制御することができ、いくつかの実施形態では、各関節の角度は、各関節上に又はこの関節に近接して配置された1つ以上のセンサ(例えば、エンコーダ、ポテンショメータ等)を用いて測定することができる。撮像装置28及び手術器具26は、運動学的遠隔センタが、切開部の大きさを最小にするように切開部に維持されて、患者の切開部を介して位置付けされ且つ操作することができる。手術部位の画像は、手術器具又はツール26が、撮像装置28の視野内に位置するときに、手術器具又はツール26の先端部の画像を含むことができる。
手術用ツール26に関して、種々の代替のロボット手術用ツール又は異なる種類の器具及び様々なエンドエフェクタが、外科手術中に取り外され、交換された少なくともいくつかのマニピュレータの器具に使用することができる。DeBakey鉗子、マイクロピンセット、ポッツはさみ、クリップ・アプライヤーを含むこれらのエンドエフェクタのいくつかは、エンドエフェクタの顎部のペアを規定するように、互いに対して旋回するような第1及び第2のエンドエフェクタ要素を含む。メス及び電気メスプローブを含む他のエンドエフェクタは、単一のエンドエフェクタ要素を有する。エンドエフェクタの顎部を有する器具について、この顎部は、大抵の場合、ハンドルの把持部材を絞ることによって作動する。単一のエンドエフェクタ器具は、例えば電気メスプローブにエネルギーを送達するように、把持部材を把持することによって作動させることもできる。
器具26の細長いシャフトによって、エンドエフェクタ及びシャフトの先端部を、低侵襲性開口部を介して、大抵の場合腹壁等を介して手術作業部位に先端方向に挿入することが可能になる。手術作業部位にガス注入することができ、患者内のエンドエフェクタの動きは、大抵の場合、シャフトが低侵襲性開口部を通過する位置の周りに器具26を旋回させることによって、少なくとも部分的に達成される。換言すれば、マニピュレータ100は、エンドエフェクタの所望の動きを提供するのに役立つように、シャフトが低侵襲性開口部の位置を通って延びるように、器具の基端側ハウジングを患者の外部に移動させる。こうして、マニピュレータ100は、大抵の場合、外科的処置中に患者12の外部で著しい動きを受けることになる。
特定の実施形態における患者側カート22は、患者への外科的処置を補助するための手術用ツールを提供する装置であり、マニピュレータアーム100やツール26等の様々な構成要素を含むことができる。しかしながら、当業者によって理解されるように、患者側カートは、図4に示されるよりも少ない又はより多い数の構成要素を有することにより、同様に良好に操作することができる。従って、図4に示される患者側カート22は、本質的に例示として捉えるべきであり、本開示の範囲を制限するものではないことに注意する必要がある。
本発明のいくつかの実施形態による例示的なマニピュレータアームは、図5を参照して理解することができる。上述したように、マニピュレータアームは、一般的に、先端側器具や手術用ツールを支持しており、ベースに対する器具の動きに影響を及ぼす。異なるエンドエフェクタを有する多数の異なる器具が、(典型的には、外科助手の助けを借りて)外科手術中に、各マニピュレータに順番に取り付けられる際に、先端側器具ホルダは、好ましくは、取り付けられた器具又はツールの迅速な取外し及び交換を可能にする。図4を参照して理解することができるように、マニピュレータは、患者側カートのベースに対して基端側に取り付けられる。典型的には、マニピュレータアームは、ベースと先端側器具ホルダとの間に延びる複数のリンク機構及び関連する関節を含む。一態様では、例示的なマニピュレータは、冗長性の又は非冗長性のいずれかの自由度を有する複数の関節を含むが、エンドエフェクタの位置(すなわち、位置及び向き)を完全に規定するために必要な少なくとも1つの自由度を欠いている。
図5に示されるような多くの実施形態では、例示的なマニピュレータアームは、第1関節軸線の回りに回転するような基端側レボリュート(revolute)関節J1を含み、関節J1のマニピュレータアームの先端部を第1関節軸線の回りに周転(revolve)させる。ある実施形態では、レボリュート関節J1は、ベースに直接的に取り付けられるが、他の実施形態では、関節J1は、1つ以上の可動式リンク機構又は関節に取り付けてもよい。組み合わされたマニピュレータの関節は、マニピュレータアームの関節が、エンドエフェクタの所定位置について異なる構成の範囲内で駆動することができるような、冗長自由度を有している。例えば、図5のマニピュレータアームは、異なる構成で操作することができる一方、器具ホルダ510内に支持された先端側器具又はツール511が、エンドエフェクタの所定の位置又は速度を含むような特定の状態を維持する。いくつかの実施形態では、マニピュレータの関節は、ツール511の位置を完全に規定するようなエンドエフェクタの6つの自由度のうちの少なくとも1つを独立して制御するように作動可能ではない。例えば、マニピュレータは、ツール511を独立してロール、ピッチ、ヨー運動を行う及び/又は1つ以上の方向に並進させるように作動可能でないこともある。
図5のマニピュレータアーム500の個々のリンクを、図5に示されるようにリンクを接続する関節の回転軸線に沿って説明する。第1リンク504は、その関節軸線の回りを旋回するような旋回関節J2から先端方向に延びており、その関節軸線の回りを回転するようなレボリュート関節J1に結合される。図5に示されるように、関節の残りの多くは、それら残りの関節に関連する回転軸線によって同定することができる。例えば、第1リンク504の先端部は、その旋回軸線の回りを旋回するような旋回関節J3で第2リンク506の基端部に結合され、第3リンク508の基端部は、示されるように、その軸線の回りを旋回するような旋回関節J4で第2リンク506の先端部に結合される。第3リンク508の先端部は、旋回関節J5で器具ホルダ510に結合される。典型的には、関節J2,J3,J4,J5のそれぞれの旋回軸線は、実質的に平行であり、且つ互いに隣接して位置付けされたときに、リンク機構は、マニピュレータアームの減少した幅を提供するとともにマニピュレータ・アセンブリの操縦中の患者クリアランスを向上させるように、「スタック(stacked)」されるように見える。多くの実施形態では、器具ホルダ510は、低侵襲性開口部を介して器具511の軸線方向の移動を容易にするとともに、器具が摺動自在に挿通されたカニューレに対して器具ホルダ510の取り付けを容易にするような直動関節J6等の追加の関節も含む。いくつかの実施形態では、たとえ器具ホルダ510の自由度とマニピュレータアーム500の残りの自由度とを組み合わせても、得られる自由度は、依然として、ツール511の位置を完全に規定するために必要な6つの自由度のうちの少なくとも1つの自由度を提供するのに不十分である。
器具511は、器具ホルダ510の先端に追加の自由度を含んでもよい。器具の作動に関する自由度は、大抵の場合、マニピュレータのモータによって駆動され、代替実施形態では、器具上に示される1つ以上の関節が、代わりに、インターフェイス上に存在し、又はその逆になるように、クイック取り外し可能な器具ホルダ/器具インターフェイスにおいて、マニピュレータ構造支持体からこの器具を分離することができる。いくつかの実施形態では、器具511は、ツールチップの挿入ポイント、又は低侵襲性の開口部の部位に一般的に配置されるような旋回点PPの付近に又は基端側に回転(rotational)関節J7(図示せず)を含む。器具の先端側手関節によって、器具の手関節における1つ以上の関節の器具関節軸線の回りに手術用ツール511のエンドエフェクタの旋回運動が可能になる。エンドエフェクタの顎部要素同士の間の角度は、エンドエフェクタの位置及び向きとは独立して制御することができる。マニピュレータの自由度の一部であると考えることができるような手術ツール511によって提供されるこれら追加の運動学的な自由度に拘わらず、いくつかの実施形態では、手術ツール511の運動学的な自由度とマニピュレータアーム500の自由度(例えば、器具ホルダ510の自由度も含む)とを組み合わせる場合であっても、得られる運動学的な自由度は、依然として、ツール511のチップの位置を完全に制御するのに不十分である。
特定の実施形態におけるマニピュレータアーム500は、ツールを保持し且つ制御するための機械本体であり、且つ多数のリンク及び関節を含んでもよい。しかしながら、当業者によって理解されるように、マニピュレータアームは、図5に示されるよりも少ない又はより多い数の構成要素を有することにより、同様に良好に操作することができる。従って、図5に示されるマニピュレータアーム500は、本質的に例示として捉えるべきであり、本開示の範囲を制限するものではないことに注意する必要がある。
図6Aは、手術用ツール600を示しており、この手術用ツール600は、基端側シャーシ602と、器具シャフト604と、患者の組織を把持するように関節運動する顎部608を有するような先端側エンドエフェクタ606とを含む。基端側シャーシは、患者側カート22(図1A)の出力カプラとインターフェイス接続し且つこの出力カプラによって駆動されるように構成された入力カプラを含む。入力カプラは、ばねアセンブリ610の入力リンクに駆動可能に結合されている。ばねアセンブリ610は、基端側シャーシ602のフレーム612に取り付けられており、且つ器具シャフト604内に配置された駆動シャフトと一緒に駆動結合された出力リンクを含む。駆動シャフトは、顎部608に駆動可能に結合される。
図6Aに示されるようないくつかの実施形態によれば、手術用ツール600は、エンドエフェクタ606の位置を変更するための自由度を含まない。他の実施形態では、手術用ツール600は、エンドエフェクタ606の位置を変更するために自由度を追加するための1つ以上の関節を含んでもよい。例えば、器具シャフト604は、エンドエフェクタ606のピッチ及び/又はヨーを変化させるための関節を含んでもよい。さらに、図6Aに示されるようないくつかの実施形態では、手術用ツール600は、エンドエフェクタ606を作動させるための1つ以上の自由度を含んでもよい。例えば、ばねアセンブリ610は、顎部608を作動させることができる。手術用ツール600だけでなく他の手術用ツールのさらなる特徴は、2011年11月15日に出願された、同一出願人によって所有される、”Method for Passively Decoupling Torque Applied By a Remote Actuator Into an Independently Rotating Member”という標題の米国特許出願第13/297,158号に記載されており、この文献の開示は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
図6Bは、いくつかの実施形態では、ロボット低侵襲性手術で使用される手関節式内視鏡620を示している。内視鏡620は、細長いシャフト622と、このシャフト622の作業端部に位置する可撓性手関節624とを含む。ハウジング626によって、手術用器具620が、シャフト624の反対側端部に位置するマニピュレータに取外し可能に結合するのを可能にする。内視鏡のカメラレンズが、可撓性手関節624の先端部に実装される。管腔(図示せず)が、可撓性手関節624の先端部をハウジング626に接続するようにシャフト622の長さに沿って延びる。「ファイバスコープ」の実施形態では、電荷結合素子(CCD)等の内視鏡620の撮像センサ(複数可)は、シャフト622の長さに沿って管腔内に延びており且つ可撓性手関節624の先端部で実質的に終了するような光ファイバに接続されたハウジング626の内側に取り付けてもよい。代替の「チップ・オン・スティック」の実施形態では、内視鏡620の撮像センサ(複数可)は、可撓性手関節624の先端に取り付けてもよい。撮像センサ(複数可)は、2次元又は3次元であってもよい。
いくつかの実施形態では、可撓性手関節624は、少なくとも1つの自由度を有しており、内視鏡620が、身体内部組織、臓器等の周りで容易に関節運動し且つ操作され、所望の対象部位(例えば、心外膜又は心筋組織)に到達することを可能にする。ハウジング626は、可撓性手関節624の先端部分を関節運動させるための駆動機構を収容することができる。駆動機構は、その自由度(複数可)に沿って可撓性手関節624を駆動するのに適した、ケーブル駆動、歯車駆動、ベルト駆動、又は別のタイプの駆動機構とすることができる。例えば、一実施形態では、可撓性手関節624は、2つの並進自由度を有しており、シャフト622は、シャフト622の長さに沿った軸線の周りに回転するように作動可能である。いくつかの医療処置では、多関節内視鏡620は、確認するのが困難な及び/又は届きにくい場所の視覚画像を取得するために、内部臓器、組織等の周りで操作され且つ関節運動する。内視鏡620だけでなく他の手術用ツールの追加の特徴は、2005年12月27日に出願された、同一出願人に所有される、”Articulate and Swapable Endoscope for a Surgical Robot”という標題の米国特許出願第11/319,011号に記載されており、この文献の開示は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
図6Cは、吸引ポートを含むオーバーチューブの先端部の斜視図である。オーバーチューブ630は、器具の通過を可能にするようにオーバーチューブ630を通って延びる器具管腔632を規定する。オーバーチューブ630は、真空源に結合される1つ以上の吸引通路634をさらに含む。オーバーチューブ630は、様々な実施形態において、外科的使用に適した任意の種類の材料から形成してもよく、任意の様々な剛性を有した状態で提供することができる。例えば、オーバーチューブ630は、実質的な剛性材料で構成してもよく、可撓性材料を含んでもよく、又は屈曲可能な構造体を提供するために1つ以上の実質的な剛性部分と、1つ以上の可撓性部分との組合せを含んでもよい。オーバーチューブ630の断面形状は、変化してもよい。図示の実施形態では、オーバーチューブ630は、実質的に円形の断面形状であり、ポリウレタンから作られている。他の実施形態では、他の断面形状は、用途に応じて、例えば、楕円形、矩形、三角形等の形状を使用してもよい。
図示の実施形態では、吸引通路634は、オーバーチューブ630の壁内に複数の吸引管腔を有しており、各吸引管腔は、真空源(図示せず)に結合される。真空源は、各吸引通路634内で真空圧力を形成するように作動され、それにより、吸引通路634と接触する組織表面上に吸引力を形成する。この吸引力の結果として、オーバーチューブ630は、組織表面にくっつく。真空圧が中断された場合は、組織表面は解放され、オーバーチューブ630は、もはや組織にくっつかなくなる。従って、吸引通路634を介しての吸引力を制御可能に供給することにより、オーバーチューブ630は、患者の組織表面に取外し可能にくっつくことができる。洗浄ツール、切除ツール等の手術用器具は、次に、器具管腔200を介して挿入されて、器具管腔632に配置された組織を治療することができる。
いくつかの実施形態によれば、オーバーチューブ630は、実質的な剛性材料から形成してもよく、オーバーチューブ630の位置を変更するための自由度を含んでいない。他の実施形態では、オーバーチューブ630は、オーバーチューブ630の先端部の位置を変更するための自由度を追加するような1つ以上の関節を含んでもよい。例えば、オーバーチューブ630は、オーバーチューブ630の先端部のピッチ及び/又はヨーを変化させるための関節を含んでもよい。またいくつかの実施形態では、オーバーチューブ630は、オーバーチューブ630の機能を作動させるための1つ以上の自由度を含んでもよい。例えば、真空源(図示せず)は、1つ以上の吸引通路634内に真空圧を形成し又は解除するように作動可能である。オーバーチューブ630だけでなく他の手術用ツールの追加の特徴は、2006年12月29日に出願された、同一出願人に所有される、”Vacuum Stabilized Overtube for Endoscopic Surgery”という標題の米国特許出願第11/618,374号に記載されており、この文献の開示は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
図6Dは、いくつかの実施形態では、ロボット低侵襲性手術で使用されるような手関節を有さない非手関節式内視鏡640を示している。非手関節式内視鏡640は、図6Bを参照して示され且つ説明した手関節式内視鏡620に類似しており、こうして、同様にハウジング646とシャフト622とを含む。差としては、非手関節式内視鏡640が、可撓性手関節を含まないことである。非手関節式内視鏡は、手関節式内視鏡に比べて減少した数の自由度を有しており、この特定の例では、非手関節内視鏡640は、手関節ヨーや手関節ピッチを有していない。
手術用ツール600、内視鏡620、及びオーバーチューブ630は、様々な構成要素を含むような種々のツールである。もっとも、当業者によって理解されるように、これらのツールは、図6A〜図6Cに示されるよりも少ない又はより多い数の構成要素を有することにより、同様に良好に操作することができる。さらに、他のツールは、把持装置、電気手術用パドル、吸引器、洗浄器、ステープラー、はさみ、ナイフ等であり、或いはこれらを代替的に用いることが理解されるであろう。従って、図6A〜図6Cに示される手術用ツールは、本質的に例示として捉えるべきであり、本開示の範囲を制限するものではないことに注意する必要がある。
図7Aは、一実施形態による外科医コンソール16(図1A)の一部であるマスター制御入力装置700の斜視図である。マスター制御装置700は、多関節アーム740に作動可能に結合されたジンバル又は手関節720を含む。
マスター制御入力装置700は、多数の自由度を有しており、マニピュレータ・アセンブリ(例えば、図5のマニピュレータアーム500)を制御するように作動可能である。入力装置700の自由度は、マニピュレータアーム500の運動学を制御するために使用されるような、入力装置700の関節によって規定される運動学的な自由度を含んでおり、マニピュレータアーム500に接続されたツール(例えば、器具511)を作動させるために使用される作動自由度を含む。マニピュレータアーム500のツール等の入力装置700は、関連するエンドエフェクタ(又は、より一般的に、制御フレーム)を有するように考慮することもでき、そのエンドエフェクタ自体、多数の自由度を有している。
いくつかの実施形態では、入力装置700は、エンドエフェクタの位置を完全に制御するための十分な数の自由度を有することができる。例えば、入力装置700は、器具511のエンドエフェクタの3つの並進自由度及び3つの方向自由度を独立して制御するような6つの自由度を有することができる。いくつかの例では、入力装置700は、このような十分な数の自由度を有しているにも拘わらず、マニピュレータ・アセンブリ(例えば、マニピュレータアーム500)は、エンドエフェクタの3つの並進自由度及び3つの方向自由度を独立して制御するには不十分な数の自由度を有している。例えば、マニピュレータアーム500は、5つのみの自由度を有している。
いくつかの実施形態では、入力装置700は、追加の自由度を有してもよく、この追加の自由度は、エンドエフェクタの位置を制御するように作動可能な自由度(例えば、冗長自由度)であってもよく、及び/又は器具26を作動可能にさせる自由度(例えば、吸引又は洗浄のオン/オフ、クランプの作動、ステープルでの組織の係合等)であってもよい。追加の自由度を有する入力装置が、2002年4月11日に出願された、同一出願人に所有される、”Master Having Redundant Degrees of Freedom”という標題の米国特許出願第10/121,283号に記載されており、この文献の開示は、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。さらに、少なくとも1つの実施形態では、器具511は、単独で又はマニピュレータアーム500との組合せのいずれかで、マニピュレータアーム500の自由度に追加されるような追加の運動学的な自由度を有している。例えば、器具511は、エンドエフェクタの位置を制御するための関節を有してもよい。いくつかの例では、マニピュレータアーム500の運動学的な自由度と器具の運動学的な自由度とを組み合わせる場合であっても、エンドエフェクタの位置を完全に制御できないことがある。これは、例えば器具511の関節によって、マニピュレータアーム500により既に提供される自由度に対して冗長である運動学的な自由度を単に追加しているだけである。いくつかの実施形態では、器具511は、器具511を作動させるための追加の作動自由度(例えば、吸引又は洗浄のオン/オフ、クランプの作動、ステープルでの組織との係合等)を有してもよい。
器具511の制御を容易にするために、マスター制御入力装置700は、1つ以上のアクチュエータ又はモータと、いくつかの実施形態では、マスター制御入力装置700の複数の関節のそれぞれについてのセンサとを含んでもよい。入力装置700のモータ及びセンサは、マニピュレータアーム(例えば、図5のアーム500)に関連付けられたモータ及びセンサに作動可能にリンク付けすることができ、例えば、外科医コンソール16、電子機器カート24、及び/又は患者側カート22、及び/又はMIRSシステム10(図1)の任意の他の要素に配置された制御システムを介してその上(例えば、図5の器具511)に取り付けられた手術用器具に作動可能にリンク付けすることができる。制御システムは、マスター制御装置の入力と、応答性ロボットアームや手術用器具の出力との間の効果的な制御や、或いは例えば力フィードバックの場合に、ロボットアームや手術用器具の入力と、応答性マスター制御の出力との間の効果的な制御を行うための、1つ以上のプロセッサを含んでもよい。
図7Bは、一実施形態によるジンバル又は手関節720の斜視図である。この実施形態によれば、ジンバル又は手関節720によって、3つの軸線、第1軸線、第2軸線、及び第3軸線の回りに作動可能なハンドル722の回転を可能にする。より具体的には、ハンドル722は、第1の旋回関節726によって第1のエルボ形状リンク724に結合される。第1リンク724は、第2の旋回関節730によって、第2のエルボ形状リンク728に結合される。第2リンク728は、第3の旋回関節734によって第3のエルボ形状リンク732に旋回可能に結合される。ジンバル又は手関節720は、第4軸線において(図7Aに示されるように)多関節アーム740に取り付けてもよく、それによって、ジンバル又は手関節720は、第4軸線の周りに角度変位させることができる。このようなリンクや関節によって、ジンバル又は手関節720は、制御入力装置700に多数の自由度を提供することができ、且つエンドエフェクタの自由度の1つ以上を制御するように作動可能である。
いくつかの実施形態では、ハンドル722は、ツール又はエンドエフェクタを作動するための把持部材723のペアを含んでもよい。例えば、把持部材723を開閉することにより、エンドエフェクタ606(図6)の顎部608は、同様に開閉することができる。他の実施形態では、ハンドル722の及び/又は外科医コンソール16の他の要素の1つ以上の入力要素は、器具26の位置を制御するための自由度以外の器具511の1つ以上の自由度で作動させるように操作可能である。例えば、外科医コンソール16は、真空圧を形成するために起動・非起動するように制御システムに接続されたフットペダルを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、ジンバル又は手関節720の関節は、例えば電気モータ等のアクチュエータに作動可能に接続されており、例えば、力フィードバック、重力補償、及び/又は同様のものを提供する。また、エンコーダ、ポテンショメータ等のセンサは、ジンバル又は手関節720の関節位置が制御システムによって決定されるのを可能にするように、ジンバル又は手関節720の各関節上に又は各関節に近接させて位置付けてもよい。
図7Cは、一実施形態による多関節アーム740の斜視図である。この実施形態によれば、多関節アーム740によって、3つの軸線、A軸線、B軸線、及びC軸線の回りにジンバル又は手関節720の回転を可能にする(図7B)。より具体的には、ジンバル又は手関節720は、図7Bを参照して以前説明したように、第4軸線においてアーム740に取り付けてもよい。ジンバル又は手関節720は、第1リンク742に結合されており、第1リンク742は、第1の旋回関節746によって第2リンク744に旋回可能に結合される。第2リンク744は、第2の旋回関節750によって第3リンク748に旋回可能に結合される。第3リンク748は、第3の旋回関節752によって外科医コンソール16(図1)に旋回可能に結合される。このようなリンク及び関節によって、多関節アーム740は、制御入力装置700について多数の運動学的な自由度を提供することができ、且つマニピュレータ・アセンブリの運動学的な自由度の1つ以上を制御するように作動可能であり、それにより器具(例えば、図5の器具511)の位置を制御する。
いくつかの実施形態では、多関節アーム740の関節は、例えば電動モータ等のアクチュエータに作動可能に接続されており、例えば、力フィードバック、重力補償、及び/又は同様のものを提供する。また、エンコーダ、ポテンショメータ等のセンサは、多関節アーム740の関節位置が制御システムによって決定されるのを可能にするように、関節アーム740の各関節上に又は各関節に近接させて位置付けることができる。
特定の実施形態における入力装置700は、外科医又は他のオペレータからの入力を受け取るための装置であり、ジンバル又は手関節720、及び多関節アーム740等の様々な構成要素を含む。もっとも、当業者によって理解されるように、入力装置は、図7A〜図7Cに示されるよりも少ない又はより多い数の構成要素を有することにより、同様に良好に操作することができる。従って、図7A〜図7Cに示される入力装置700は、本質的に例示として捉えるべきであり、本開示の範囲を制限するものではないことに注意する必要がある。
図8は、数学モデルの自由度よりも少ない自由度を有するような機械本体を制御するための簡略化システム800を示すブロック図である。システム800は、情報ソース810と、運動学モデル822を有する運動学プロセッサ820と、1つ以上のアクチュエータ830と、機械本体840とを含む。
情報ソース810は、機械本体の位置を制御するための制御情報812の適切な情報源とすることができる。一実施形態では、情報ソース810は、外科医コンソール16(図1)、入力制御装置36(図2)及び/又はマスター制御入力装置700(図7A〜図7C)等の入力装置である。このような実施形態では、制御情報812は、N個の自由度を有する機械本体の所望の位置とすることができる。一実施形態では、N個の自由度は、機械本体の位置を完全に規定するのに必要な数の自由度であり、すなわち、独立して制御可能な3つの並進及び独立して制御可能な3つの回転である。従って、情報ソース810からの出力は、機械本体の位置を完全に制御するためのパラメータを含むことができる。一実施形態では、N個の自由度は、機械本体の位置を完全に規定するには不十分である。例えば、N個の自由度は、機械本体の3つの並進及び3つの回転の全てを独立して制御するには不十分である。従って、情報ソース810からの出力は、機械本体の位置を完全に制御するために不十分なパラメータを含むことがある。さらに別の実施形態では、N個の自由度は、機械本体の位置を規定しない(すなわち、非運動学的な自由度である)ような1つ以上の自由度を含んでもよい。例えば、N個の自由度は、真空圧を形成する等の器具を作動させるための1つ以上の自由度を含んでもよい。従って、情報ソース810からの出力は、機械本体の非運動学的な特性を制御するためのパラメータを含むことがある。これらは、真空圧による吸引に限定されるものではなく、追加的に又は代替的に、洗浄、通電(例えば、焼灼)、(例えば、単一のブレードやハサミ等の複数のブレードを使用する)切断、(例えば、はさみ、指等を使用する)把持を含む。
いくつかの実施形態では、情報ソース810が入力装置である場合に、入力装置自体が、N個の自由度を有しており、それによって、少なくともいくつかの例では、入力装置の各自由度は、機械本体の自由度に対応することができる。例えば、入力装置のロールは、機械本体の所望のロールに対応しており、或いは入力装置のピッチは、機械本体の所望のピッチに対応することができる。他の実施形態では、入力装置は、機械本体より多い又はより少ない数の自由度を有してもよい。例えば、入力装置は、1つ以上の冗長自由度を有することがあるのに対して、機械本体は、冗長自由度を有しないことがある。別の例では、機械本体は、1つ以上の冗長自由度を有することがあるのに対し、入力装置は、冗長自由度を有しないことがある。
入力装置は、N個の自由度を有する機械本体の所望の位置を示す出力を提供するが、入力装置によって制御される機械本体840は、機械本体の位置を完全に規定するために必要な自由度の少なくとも1つを欠いている。例えば、機械本体840は、ロール、ヨー及び/又はピッチの自由度を欠くことがあり、及び/又は、上/下、左/右、及び/又は前方/後方への並進自由度を欠くことがある。Nが、機械本体の位置を制御するための自由度の数を表す場合には、Mは、機械本体が欠いている、位置に関する自由度の数を表しており、次に一実施形態では、機械本体は、N−Mの自由度を有している。例えば、Nは6に等しく、機械本体の3つの全ての並進及び3つの全ての回転に対応しており、ここで、Mは、機械本体のロールに対応する1つの自由度を表す。もっとも、他の実施形態では、機械本体は、機械本体が冗長自由度を含む場合には、N個の自由度又はN個の自由度より多い自由度を有することができるが、依然として、機械本体の位置を完全に規定するのに必要な少なくとも1つの自由度を欠いている。
他の実施形態では、情報ソース810は、外科医コンソール等の入力装置ではなく、むしろツール位置測定装置である。この場合には、運動学的ブロック820は、制御装置ではなく、むしろ関節位置推定装置である。例えば、ツール位置測定装置は、ツールアセンブリ26の長さをツールアセンブリ26の自由端に延ばすような光ファイバや、マニピュレータ・アセンブリの関節に近接して配置された電磁センサ、又はマニピュレータ・アセンブリの関節の位置を測定するように作動可能である他のセンサ又は撮像装置を含むことができる。多くの実施形態では、ツール位置測定装置は、ツールの動きと干渉しないように、十分に小さく且つ軽量である。ツール位置測定装置が光ファイバを含む実施形態では、光ファイバの特性(例えば、屈折率)は、関節位置の変化の結果として変更される場合がある。光ファイバセンサのいくつかの例は、(2006年7月20日に出願された)Larkin等による”Robotic Surgery System Including Position Sensors Using Fiber Bragg Gratings”という標題の米国特許出願公開第2007/0156,019号明細書、及び(2008年6月30日に出願された)Giuseppe M. Priscoによる”Fiber optic shape sensor”という標題の米国特許出願第12/164,829号に記載されており、これら両文献は、全ての目的のためにその全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。ツール位置測定装置は、次に、光ファイバの変更された特性に基づいて、ツールチップの位置(例えば、ツールアセンブリ26の自由端部)を決定するように作動可能である。ツール位置測定装置は、ツールの位置を多数の自由度で測定するようにさらに作動可能である。例えば、ツール位置測定装置は、ツールの1つ、2つ、又は3つの並進位置(例えば、x,y,zの位置)、及び/又はツールの1つ、2つ、又は3つの方向位置(例えば、ピッチ、ヨー、ロール)を測定することができる。少なくとも1つの実施形態では、ツール位置測定装置は、ツールの1つ以上の自由度の位置を測定するには作動不能となり得る。例えば、ツール位置測定装置が、光ファイバを含んでおり且つ光ファイバの特性の変化に基づいてチップ位置を推定する場合に、ツール位置測定装置は、ツールのロール運動を決定するのが困難になる。情報ソース810がツール位置測定装置である場合の実施形態では、制御情報812は、ツールチップの自由度の測定位置を示す測定情報とすることができる。
いくつかの実施形態では、ツール位置測定装置は、マニピュレータ・アセンブリの自由度よりも少ない、等しい、又はより多い数のツールの複数の自由度の位置を測定するように作動可能である。多くの実施形態では、情報ソースが入力装置である場合について既に説明したように、機械本体は、機械本体の位置を完全に規定するために不十分であるN個の自由度を有しており、非運動学的な自由度を含んでもよく、冗長自由度等を含んでもよい。
情報ソース810からの出力は、情報ソース810が入力装置又はツール位置測定装置であるかに関係なく、運動学プロセッサ820においてN個の自由度の機械本体の運動学モデル822に適用される。運動学プロセッサ820は、外科医コンソール16、電子機器カート24、及び/又は患者側カート22等のMIRSシステム10(図1)の任意の適切な構成要素、ツールアセンブリ26、マニピュレータ・アセンブリ、及び/又は図7Aを参照して説明した制御システムに設けることができる。
情報ソース810が入力装置である場合の実施形態では、運動学モデル822は、所望の制御が入力装置から出力されるようなN個の自由度に対応するN個の自由度を有する機械本体のモデルとすることができる。例えば、入力装置は、機械本体の3つの並進及び3つの回転を制御するためのパラメータ等の、機械本体の位置を完全に制御するためのパラメータを出力することができる。運動学モデル822は、次に、3つの並進及び3つの回転を有する機械本体の運動学モデルとすることができる。いくつかの実施形態では、機械本体の位置を規定しないような1つ以上の自由度が、モデル化され、そうでなければ運動学モデル822とは別に制御することができる。それにも拘わらず、殆どの実施形態では、運動学モデル822は、機械本体840において1つ以上の自由度を欠いているような数学的表現を含む。例えば、機械本体840は、機械本体840のロールを制御するための自由度を欠いている。もっとも、運動学モデル822は、機械本体のロールを制御するための自由度を有する機械本体のモデルであってもよく、入力装置810は、機械本体のロールの所望の制御を示すような情報を出力することができる。
情報ソース810がツール位置測定装置である場合の実施形態では、運動学モデル822は、関節の推定値(すなわち、機械本体840の自由度に対応する関節位置の推定値)が生成されるような機械本体のモデルとすることができる。例えば、ツール位置計測装置がN個の自由度の測定値のみを提供するような関節推定手法が使用される場合に、次に、運動学モデル822は、少なくともN個の自由度を有しており、機械本体は、(N−M)個の自由度等を有する。もっとも、他の実施形態では、機械本体は、N個の自由度より多い自由度を有してもよく、マニピュレータ・アセンブリは、複数の部品に論理的に分離することができ、ここで、各部品は、N個の関節又は運動学的な自由度だけを有するが、ツール位置測定装置は、各部品の端部の位置及び方向を測定するのに使用される。
情報ソース810からの制御情報812を運動学プロセッサ820に適用した結果として、1つ以上の個々の制御出力824が、運動学プロセッサ820によって生成され、1つ以上のアクチュエータ830に伝達されて、機械本体840の1つ以上の自由度の制御に影響を及ぼすように作動可能になる。生成され且つアクチュエータ830に伝達された個々の制御出力824の数は、運動学プロセッサ820によって生成された個々の制御出力824の総数より少ない数である。つまり、アクチュエータ830に伝達された個々の制御出力824は、機械本体840が欠いている自由度(複数可)を制御するための情報を含んでいない。例えば、運動学モデル822は、機械本体の位置を完全に規定するための自由度を有する機械本体をモデル化することができ、これらの全ての自由度を制御するための出力を計算することができる。しかしながら、実際に制御される機械本体(すなわち、機械本体840)が、運動学モデル822によってモデル化された全ての自由度を有していない場合に、これらの計算された出力のサブセットのみが使用される。従って、アクチュエータ830に伝達された個々の制御出力824は、運動学モデル822を使用して生成される可能な指令のサブセットのみとなる。
情報ソース810が入力装置である場合の実施形態では、個々の制御出力824は、機械本体840の自由度の所望の位置を示すような情報を含むことができる。例えば、個々の制御出力824は、機械本体840の1つの自由度に関連する関節の所望の位置(例えば、角度)を示すことができる。
情報ソース810がツール位置測定装置である場合の実施形態では、個々の制御出力824は、機械本体840の自由度の実際の位置を示すような情報を含むことができる。例えば、個々の制御出力824は、機械本体840の1つの自由度に関連する関節の実際の位置(例えば、角度)を示すことができる。
個々の制御出力824は、機械本体840の自由度の少なくともいくつかを制御するための1つ以上のアクチュエータ830によって受信される。例えば、アクチュエータ830は、例えば図5を参照して以前説明したように、機械本体840の関節を作動させるような電気モータ等とすることができる。一実施形態によれば、各アクチュエータは、機械本体840の対応する自由度を制御するように作動可能である。もっとも、他の実施形態では、1つのアクチュエータは、機械本体840の自由度より多い又はより少ない自由度を制御するように作動可能である。
機械本体840は、少なくとも1つの自由度を有する任意の適切な機械本体とすることができる。例えば、機械本体は、ロボット・マニピュレータアーム(例えば、図4を参照して説明したマニピュレータアーム100又は図5を参照して説明したマニピュレータアーム500)、及び/又は手術用器具(例えば、図1を参照して説明した器具26又は図5を参照して説明した機器511)とすることができる。いくつかの実施形態では、機械本体は、マニピュレータアームと手術用器具との両方の運動学的態様を含んでもよい。
前述したように、様々な実施形態は、入力装置であるような情報ソース810を組み込んでおり、それによって、運動学プロセッサ820は、機械本体840の関節の所望の位置を出力する。他の実施形態は、ツール位置測定装置であるような情報ソース810を組み込んでおり、それによって、運動学プロセッサ820は、機械本体840の関節の実際の位置を出力する。さらに他の実施形態では、システムは、入力装置とツール位置測定装置とを両方とも含んでおり、この入力装置は、運動学モデル及びこの入力装置に特有の制御装置(すなわち、運動学プロセッサの一種)に所望の位置を提供しており、このツール位置測定装置は、運動学モデル及びこのツール位置測定装置に特有の推定装置(すなわち、運動学プロセッサの一種)にツールチップ位置情報を提供する。このような場合に、ツールチップ位置測定装置によって使用される運動学モデルは、入力装置によって使用される運動学モデルとは異なっていてもよい。さらに、各運動学モデルの出力、すなわち、マニピュレータ・アセンブリの関節の所望の位置及び実際の位置は、各関節モータに適用される実際のトルク量を計算するために一緒に使用されることがある。ツール位置測定装置が設けられていない場合の実施形態では、システムは、推定された関節位置を取得して、入力装置を使用してトルク量を生成するときに、これら関節位置を所望の位置出力に結び付けることができる。これらの更なる実施形態のいくつかは、図9を参照して説明する。
特定の実施形態における800システムは、機械本体を制御するための簡略化されたシステムであり、入力装置810、運動学プロセッサ820、アクチュエータ(複数可)830、及び機械本体840等の様々な構成要素を含む。もっとも、当業者によって理解されるように、システムは、図8に示されるよりも少ない又はより多い数の構成要素を有することにより、同様に良好に操作することができる。従って、図8に示されるシステム800は、本質的に例示として捉えるべきであり、本開示の範囲を制限するものではないことに注意する必要がある。
図9は、一実施形態によるアクチュエータ830のブロック図である。アクチュエータ830は、関節制御装置832と、モータ834とを含んでおり、ここで、関節制御装置832は、モータ834を制御するためのトルクコマンド836を生成するように作動可能にされる。モータ834は、マニピュレータ・アセンブリの自由度を制御するためにマニピュレータ・アセンブリの1つ以上の関節に結合される。この実施形態では、アクチュエータ830は、自由度(X)を制御するように作動可能である。
トルクコマンド836を生成するために、関節制御装置834は、自由度(X)の所望の位置824Aを受信する。所望の位置は、外科医コンソール等の入力装置から受信することができる。例えば、所望の位置824は、情報ソース810が入力装置である場合に、運動学プロセッサ820(図8)によって生成することができる。従って、所望の位置824Aは、入力装置から伝達された制御情報を運動学モデル822に適用するとともに、個々の制御出力824のサブセットのうちの1つのみを所望の位置824Aとして使用することによって、生成することができる。
トルクコマンド836を生成するために、関節制御装置834は、自由度(X)の実際の位置824Bを受信する。実際の位置は、多数の技術のうちの1つ以上を使用して生成することができる。一実施形態では、実際の位置は、各関節のモータに使用されるエンコーダに基づいて決定することができる。他の実施形態では、実際の位置は、マニピュレータ・アセンブリの端部(例えば、ツールチップ)の位置(例えば、位置及び/又は向き)、及び逆運動学を適用することにより計算することができる。マニピュレータ・アセンブリの端部の位置を感知するためのセンサ装置は、ツールチップに一端が固定された状態でマニピュレータ・アセンブリの長さに沿って配置された光ファイバを含んでおり、そして、関節位置の変化により、光ファイバの特性(例えば、屈折率)に変化が生じる。別の実施形態では、センサ装置は、マニピュレータ・アセンブリの終点(エンドポイント)に取り付けられた1つ以上の電磁センサを含んでおり、それによって、チップ位置での任意の変化を、電磁場発生器により測定することができる。例えば、図8を参照して、情報ソース810は、ツールチップ位置を決定するように作動可能な感知装置であり、ツールチップ測定位置を運動学モデル822に適用することによって、個々の制御出力824のサブセットの1つが、実際の位置824Bとして使用される。
DOF(X)の所望の位置と実際の位置との両方を受信すると、関節制御装置832は、その実際の(すなわち、現在の)位置から所望の位置に移動させるような自由度を有するようにモータトルクの適切な量を決定することができる。関節制御装置832は、次に、このトルク量を示すトルクコマンド836をモータ834に送信する。
図10Aは、第1の実施形態による入力装置を用いて、マニピュレータ・アセンブリを制御するための簡略化したシステムを示すブロック図である。システム1000は、入力装置1010と、制御装置1020と、マニピュレータ・アセンブリ1030とを含む。入力装置1010は、図8を参照して説明した情報ソース810と同様のものとすることができ、制御装置1020は、図8を参照して説明した運動学プロセッサ820と同様のものとすることができ、マニピュレータ・アセンブリ1030は、図8を参照して説明したアクチュエータ及び機械本体840と同様のものとすることができる。一実施形態では、マニピュレータ・アセンブリ1030は、マニピュレータ(例えば、マニピュレータ500)及び/又はツール(例えば、ツール511)を含む。マニピュレータ・アセンブリ1030は、マニピュレータの1つ以上の運動学的な自由度を有しており、いくつかの実施形態では、追加的に又は代替的に、1つ以上の作動自由度を有している。さらに、マニピュレータ・アセンブリ1030は、1つ以上のエンドエフェクタ(すなわち、より一般的には、制御フレーム)の位置を制御するように作動可能である。例えば、エンドエフェクタは、マニピュレータ・アセンブリ1030の一部であるツールのチップや、ツール等のシャフトの途中までに、規定することができる。エンドエフェクタは、マニピュレータの自由度と同じ又は異なる数の自由度を有する。
図10Aに示した実施形態によれば、入力装置1010及び制御装置1020は、マニピュレータ・アセンブリ1030が実際に有するよりも多い数のマニピュレータの運動学的な自由度(すなわち、マニピュレータ・アセンブリ1030の自由度)を制御するように作動可能である。例えば、入力装置1010は、独立して制御可能な3つの回転自由度と独立して制御可能な3つの並進自由度とを含むような6つの運動学的な自由度1012を有している。入力装置1010は、入力装置1010の位置に対応するような、又はそうでなければマニピュレータ・アセンブリ1030に関連するエンドエフェクタの所望の位置を示すようなパラメータ又は他の情報を出力する。
入力装置1010からの出力は、制御装置1020によって受信され且つ処理されて、マニピュレータ・アセンブリ1030を制御するための指令(例えば、マニピュレータ・アセンブリ1030の関節に関連するモータを制御するための指令)を提供する。この実施形態では、制御装置1020は、エンドエフェクタの独立して制御可能な3つの回転自由度及び独立して制御可能な3つの並進自由度を制御するための、6つの運動学的な自由度を有するマニピュレータ・アセンブリの運動学モデル1022を含む。
入力装置1010からの出力を運動学モデル1022に適用することにより得られる結果のサブセットは、次に、マニピュレータ・アセンブリ1030を制御するために使用される。例えば、この結果のサブセットは、マニピュレータ・アセンブリ1030の関節に関連する1つ以上のアクチュエータに伝達される。この実施形態におけるマニピュレータ・アセンブリ1030は、4つの運動学的な自由運度を有する。マニピュレータ・アセンブリ1030は、こうして、2つの運動学的な自由度を欠いている。例えば、マニピュレータ・アセンブリ1030は、ヨー及びピッチ運動に対応する自由度を欠いており、又は2つの並進運動に対応する自由度を欠いていることがある。従って、サブセットは、マニピュレータ・アセンブリ1030の構成に使用されるようなこれらの自由度のみを制御するための指令を含む。この場合に、指令は、マニピュレータ・アセンブリ1030の関節の所望の位置を示すものであり、マニピュレータ・アセンブリ1030の関節の実際の位置を示す情報と組み合わせることができる。この組合せを使用して、適切なトルクを決定し、関節モータに適用することができる。
他の実施形態では、入力装置及び運動学モデルは、6つの運動学的な自由度を有してない場合があり、エンドエフェクタは、4つの運動学的な自由度を有していない場合がある。むしろ、入力装置及び運動学モデルは、マニピュレータ・アセンブリに配備されるよりも多い数の自由度を制御するように構成することができる。例えば、入力装置1010及び制御装置1020は、5つの運動学的な自由度を制御するように構成することができるのに対し、マニピュレータ・アセンブリは、1〜4の運動学的な自由度を有することができる。
図10Bは、第2の実施形態による入力装置を使用して、マニピュレータ・アセンブリを制御するための簡略化したシステム1001を示すブロック図である。システム1001は、図10Aを参照して説明したのと同様の、入力装置1010と、制御装置1020と、マニピュレータ・アセンブリ1030とを含む。
この実施形態によれば、入力装置1010及び制御装置1020は、図10Aを参照して説明した実施形態と同様に、マニピュレータ・アセンブリ1030が有するよりも多い数の運動学的な自由度を制御するように作動可能である。さらに、入力装置1010は、マニピュレータ・アセンブリ1030の非運動学的な自由度を作動させことができる。例えば、入力装置1010は、マニピュレータ・アセンブリ1030に関連する真空圧力を作動させることができる。
従って、この実施形態では、入力装置1010は、6つの運動学的な自由度1012だけでなく、少なくとも1つの作動自由度1014を含んでおり、ここで、作動自由度は、非運動学的な自由度を意味する。一実施形態では、作動自由度は、1つ以上の把持部材723(図7B)等の入力装置1010上の要素を介して作動させることができる。入力装置1010は、6つの運動学的な自由度を介して、次に、入力装置1010の位置に対応するような、又はそうでなければマニピュレータ・アセンブリ1030に関連するエンドエフェクタの所望の位置を示すようなパラメータ又は他の情報を出力する。また、入力装置1010は、1つの作動自由度を介して、マニピュレータ・アセンブリ1030、或いはマニピュレータ・アセンブリ1030に又はこのアセンブリ1030の一部に結合されたツールの機能(例えば、真空装置、1つ以上のはさみ/指等を作動させる)を作動させるためのパラメータ又は他の情報を出力することができる。
入力装置1010からの出力は、制御装置1020によって受信され且つ処理されて、マニピュレータ・アセンブリ1030を制御するための指令を提供する。この実施形態では、制御装置1020は、図10Aを参照して説明したのと同様の、6つの運動学的な自由度を有するようなマニピュレータ・アセンブリの運動学モデル1022を含む。さらに、制御装置1020は、作動自由度1014に関する入力装置1010からの出力を処理するとともに、この出力を使用してマニピュレータ・アセンブリ1030の機能を作動させることができるような作動制御装置1024も含む。
入力装置1010からの出力を運動学モデル1022に適用することにより得られた結果のサブセットは、次に、図10Aを参照して説明したのと同様に、マニピュレータ・アセンブリ1030を制御するために使用される。さらに、入力装置1010からの作動出力を作動制御装置1024に適用することにより得られる結果は、マニピュレータ・アセンブリ1030の作動(マニピュレータ・アセンブリ1030に又はこのアセンブリ1030の一部に結合されたツールの作動)を制御するために使用することができる。図10Aを参照して説明したように、他の実施形態では、入力装置及び運動学モデルは、6つの運動学的な自由度を有していない場合があり、エンドエフェクタは、4つの運動学的な自由度を有していない場合がある。さらに、いくつかの実施形態では、入力装置1010は、複数の作動自由度を含んでもよく、作動制御装置1024は、入力装置1010からの複数の作動自由度についての出力を処理するように作動可能であり、マニピュレータ・アセンブリ1030は、マニピュレータ・アセンブリ1030の制御とは別に、入力装置1010によって制御されるような対応する数の作動自由度を有してもよい。
図10Cは、第3の実施形態による入力装置を使用して、マニピュレータ・アセンブリを制御するための簡略化したシステム1002を示すブロック図である。システム1002は、図10Aを参照して説明したものと同様の、入力装置1010と、制御装置1020と、マニピュレータ・アセンブリ1030とを含む。
この実施形態によれば、マニピュレータ・アセンブリ1030は、少なくとも1つのゼロ空間の自由度(例えば、3つのゼロ空間の自由度)を含むような多数の運動学的な自由度(例えば、8)を有しているが、依然としてマニピュレータ・アセンブリ1030に関連するエンドエフェクタの位置を完全に規定するために必要な自由度のうちの少なくとも1つを欠いている。例えば、マニピュレータ・アセンブリ1030は、冗長自由度を含む8つの運動学的な自由度を含んでいるが、依然として、少なくとも1つの独立して制御可能な回転自由度又は並進自由度を欠いている。
なお、マニピュレータ・アセンブリのゼロ空間の自由度が本明細書で説明される場合に、制御フレームは、マニピュレータ・アセンブリ上に位置している(例えば、制御フレームは、ツールチップに位置している)と想定されることを認識すべきである。もっとも、実施形態は、このようなケースに限定されるものではなく、こうして、マニピュレータ・アセンブリのゼロ空間の自由度が説明される場合に、実施形態は、代替的に、ヤコビアンのゼロ空間の自由度を含む。ここで、ヤコビアンは、患者の組織や、ツールチップから一定距離等での、適宜に規定される位置を有するマニピュレータ・アセンブリ及び制御フレームに関連している。
入力装置1010は、図10Aを参照して説明したものと同様に、6つの運動学的な自由度1012を含む。制御装置1020は、次に、入力装置1010からの出力を9つの運動学的な自由度を含む運動学モデル1026に適用することにより、入力装置1010からの出力を処理するように作動可能であり、この9つの運動学的な自由度は、図10Aを参照して説明したような6つの運動学的な自由度だけでなく、3つのゼロ空間の自由度を含む。こうして、制御装置1020は、マニピュレータ・アセンブリ1030が、9つの運動学的な自由度を含む(その内、3つのゼロ空間の自由度を含む)ような仮定で出力を生成することができる。もっとも、マニピュレータ・アセンブリ1030は、8つの運動学的な自由度のみを有しているので、制御装置1020は、マニピュレータ・アセンブリ1030の欠落している運動学的な自由度に対応する出力を提供しない。むしろ、制御装置1020は、マニピュレータ・アセンブリ1030の8つの運動学的な自由度を制御するための指令を出力する。
図10Dは、第4の実施形態による入力装置を使用して、マニピュレータ・アセンブリを制御するための簡略化したシステム1003を示すブロック図である。システム1003は、図10Aを参照して説明したものと同様の、入力装置1010と、制御装置1020と、マニピュレータ・アセンブリ1030とを含む。
この実施形態によれば、入力装置1010は、1つ以上のゼロ空間の自由度を含んでいるのに対して、マニピュレータ・アセンブリ1030は、ゼロ空間の自由度を何ら含んでおらず、入力装置1010よりも少ない運動学的な自由度を含んでいる。他の実施形態では、マニピュレータ・アセンブリ1030は、入力装置1010と同じ又はより多い数のゼロ空間の自由度を含んでもよい。
従って、この実施形態では、入力装置1010は、7つの運動学的な自由度1016を含む(その内、1つのゼロ空間の自由度を含む)ような多数の自由度を含む。入力装置1010からの出力は、次に、処理され、最終的に制御装置1020に供給され、ここで、制御装置1020は、5つの自由度を有するマニピュレータ・アセンブリの運動学モデルを含むことができる。制御装置1020は、次に、入力装置1010からの出力を運動学モデル1028に適用し、次に、図10Aを参照して説明したのと同様に、この結果のサブセットを使用して、マニピュレータ・アセンブリ1030を制御することができる。
この実施形態では、マニピュレータ・アセンブリ1030は、4つの運動学的な自由度1032を含む。もっとも、他の実施形態では、マニピュレータ・アセンブリ1030は、4つの運動学的な自由度よりも少ない自由度を含んでもよい。また、入力装置1010が、1つのゼロ空間の自由度を有するものとして説明される限り、入力装置1010は、複数のゼロ空間の自由度を有してもよい。例えば、入力装置1010は、2つ、3つ、又は4つのゼロ空間の自由度を有してもよい。
特定の実施形態におけるシステム1000,1001,1002,1003は、入力装置を使用してエンドエフェクタを制御するための簡略化されたシステムであり、入力装置1010、制御装置1020、及びマニピュレータ・アセンブリ1030等の様々な構成要素を含む。しかしながら、当業者によって理解されるように、これらのシステムは、図10A〜図10Dに示されるよりも少ない又はより多い数の構成要素を有することにより、同様に良好に操作することができる。例えば、いくつかの実施形態では、入力装置は、1つ以上の運動学的な自由度に加えて、ゼロ空間の自由度と作動自由度との両方を有してもよく、制御装置は、ゼロ空間の自由度と作動制御装置との両方を有してもよく、マニピュレータ・アセンブリは、ゼロ空間の自由度と作動自由度との両方を有してもよい。従って、図10A〜図10Dに示されるシステムは、本質的に例示として捉えるべきであり、本開示の範囲を制限するものではないことに注意する必要がある。
図11Aは、第1の実施形態によるツール位置測定装置を使用して、マニピュレータ・アセンブリを制御するための簡略化したシステム1100を示すブロック図である。システム1100は、ツール位置測定装置1110と、関節推定装置1120と、マニピュレータ・アセンブリ1130とを含む。
システム1100の要素は、ツール位置測定装置1110が入力装置1010の代わりに設けられており、且つ関節推定装置1120が制御装置の代わりに設けらていることを除いて、システム1000の同様にラベル付けされた要素と同様である。従って、システム1000に関する説明は、制御装置が、所望の位置情報を受信し且つ適用する代わりに、関節推定装置が、位置測定情報受信し且つ適用するようなシステム1100の場合を除いて、システム1100に同様に適用可能である。そして、所望の位置を生成する代わりに、関節推定装置1120は、マニピュレータ・アセンブリの関節の実際の位置(例えば、関節角度)を生成する。いくつかの実施形態では、実際の位置は、マニピュレータ・アセンブリ1130の関節の所望の位置を示すような情報と組み合わせることができる。この組合せを使用し、適切なトルクを決定して関節モータに適用することができる。
また、ツール位置測定装置1100は、5つ以下のみの自由度を測定することができる。この特定の実施形態では、ツール位置測定装置1100は、5つの自由度を測定するように示されるが、もっとも、そのツール位置測定装置は、同様に、4つの自由度、3つの自由度、又は3つ未満の自由度も測定し得る。そして、関節推定装置1120は、5つの関節位置のみを生成するような5つの自由度の運動学モデル1122のみを使用する、ここで、5つの自由度のうちの4つが使用される(これら4つの自由度は、マニピュレータ・アセンブリ1130の実際の関節に対応する)が、1つは廃棄される(マニピュレータ・アセンブリ1130に対応する関節が存在しない)。いくつかの実施形態では、2つの関節推定値がその後廃棄されるような6つのDOFの運動学モデル1122が、使用され、すなわち、5つ未満の運動学的なDOFが使用される。
図11Bは、第2の実施形態によるツール位置測定装置を使用して、マニピュレータ・アセンブリを制御するための簡略化したシステム1102を示すブロック図である。システム1102は、ツール位置測定装置1110と、関節推定装置1120と、マニピュレータ・アセンブリ1130とを含む。
システム1102の要素は、ツール位置測定装置1110が入力装置1010の代わりに設けられており、且つ関節推定装置1120が制御装置の代わりに設けられていることを除いて、システム1002の同様にラベル付けされた要素と同様である。従って、システム1002に関する説明は、制御装置が、所望の位置情報を受信し且つ適用する代わりに、関節推定装置が、位置測定情報受信し且つ適用するようなシステム1102の場合を除いて、システム1102に同様に適用可能である。そして、所望の位置を生成する代わりに、関節推定装置1120は、マニピュレータ・アセンブリの関節の実際の位置(例えば、関節角度)を生成する。いくつかの実施形態では、実際の位置は、マニピュレータ・アセンブリ1130の関節の所望の位置を示すような情報と組み合わせることができる。この組合せを使用し、適切なトルクを決定して関節モータに適用することができる。
さらに、この特定の実施形態では、マニピュレータ・アセンブリは、複数のピッチ及びヨー関節を含むような8つの運動学的な自由度を有するものとして示されている。マニピュレータ・アセンブリのいくつかの実施形態では、マニピュレータ・アセンブリは、複数の部品に論理的に分離することができる。光ファイバが各部品の端部において位置及び向きを測定するために使用されるような実施形態では、各部品は、ツール位置測定装置1112(a),1112(b)が5つの自由度を測定する際に、5つ以下の関節の自由度を有する。これら部品は、それぞれ同じ又は異なる数の自由度を有する。例えば、この実施形態では、マニピュレータ・アセンブリは、2つの部品に論理的に分離され、それぞれの部品が、4つの自由度を有する。
少なくとも1つの実施形態では、各部品の関節の数は、関節を他の部品に組み込む前に最大化してもよい。例えば、7つの自由度を有するマニピュレータ・アセンブリについて、1つの部品が、5つの自由度(すなわち、最大数)を有してもよく、別の部品が、残りの自由度、すなわち2つの自由度を有してもよい。別の例では、12個の自由度を有するマニピュレータ・アセンブリについて、2つの部品は、それぞれ5つの自由度を有しているが、3つめの部品は、2つの自由度のみを有している。いくつかの例では、1つ以上の部品についての関節角度は、計算がより効率的である場合に、逆運動学よりもむしろ幾何学を使用して計算してもよい。例えば、2以下の数の自由度を有する部品について関節推定値を計算する場合に、逆運動学よりも幾何学を使用して、より効率的に計算してもよい。
ツール位置測定装置1110は、マニピュレータ・アセンブリの各論理的な部品についての位置を測定するように作動可能である。例えば、ツール位置測定装置1110は、第1の部品のチップ位置と第2の部品のチップ位置とを測定することができる。各部品のチップ位置は、同じ又は異なる数の自由度として測定され、ここで、測定された自由度は、対応する部品の自由度より小さい、同じ、又はより多い自由度とすることができる。この特定の例では、第1の部品のチップ位置は、5つの自由度1112(a)で測定され、第2の部品のチップ位置は、同様に、5つの自由度1112(b)で測定される。これらの自由度は、必ずしも同じである必要はなく、いくつかの実施形態では、5未満の数であってもよいことを認識されたい。
関節推定装置1120は、次に、マニピュレータ・アセンブリの各論理的な部品の運動学モデルを含んでもよい。この実施形態では、関節推定装置1120は、第1の運動学モデル1126(a)と、第2の運動学モデル1126(b)とを含む。第1の運動学モデル1126(a)は、マニピュレータ・アセンブリ1130の第1の部品の運動学モデルであり、第2の運動学モデル1126(b)は、マニピュレータ・アセンブリ1130の第2の部品の運動学モデルである。各運動学モデルは、それぞれのマニピュレータ・アセンブリ部品に対応するチップ測定からの出力を受け取る。例えば、第1の測定1112(a)の出力は、第1の運動学モデル1126(a)に適用され、第2の測定1112(b)の出力は、第2の運動学モデル1126(b)に適用される。第1の運動学モデル1126(a)は、次に、マニピュレータ・アセンブリ1130の第1の部品の実際の位置を出力するのに対して、第2の運動学モデル1126(b)は、マニピュレータ・アセンブリ1130の第2の部品の実際の位置を出力する。
運動学モデル1126(a),1126(b)のうちの少なくとも1つの自由度は、対応するマニピュレータ・アセンブリ部品の自由度の実際の数よりも多くすることができることは明らかである。この特定の実施形態では、必ずしも必要ではないが、両方の運動学モデルは、それら対応するマニピュレータ・アセンブリ部品より多い数の自由度を有している。すなわち、第1の運動学モデル1126(a)は、5つの自由度を有するのに対して、マニピュレータ・アセンブリ1130の第1の部品は、4つの自由度のみを有する、及び同様のことが当てはまり、第2の運動学モデル1126(b)は、5つの自由度を有するのに対して、マニピュレータ・アセンブリ1130の第2の部品は、4つの自由度のみを有する。この余分な自由度を使用して出力が生成されるが、本明細書で説明した他の余分な運動学モデルの自由度と同様に、その後、マニピュレータ・アセンブリ部品の実際の位置を決定するために使用されない。
図11A及び図11Bを参照して説明したシステムは、説明目的のために同様であると考慮され、図10A〜図10Dを参照して説明した実施形態は、マニピュレータ・アセンブリの関節の所望の位置を生成するためのシステムを対象としているのに対して、図11A及び図11Bを参照して説明した実施形態は、マニピュレータ・アセンブリの関節の実際の位置を生成するためのシステムを対象としていることを認識されたい。いくつかの実施形態では、既に説明したように、これらのシステムは、1つのシステムに組み合わせてもよい。例えば、図10A〜図10Dの入力装置及び制御装置は、所望の位置を生成するために使用することができ、図11A及び図11Bのツール位置測定装置及び関節推定装置は、実際の位置を生成するために使用されることができ、これらの生成された位置は、図9を参照して説明したように組み合わせて使用することができる。
図12Aは、一実施形態によるマニピュレータ・アセンブリ1200である。マニピュレータ・アセンブリ1200は、図11Bを参照して説明したマニピュレータ・アセンブリ1130と同様である。マニピュレータ・アセンブリ1200は、多数のリンク1202と多数の関節1204とを含む。マニピュレータ・アセンブリ1200は、第1の部分1206と第2の部分1208とに論理的に分離される。第1の部分1206は、マニピュレータ・アセンブリのある点(ポイント)から、つまりマニピュレータ・アセンブリの自由端から最も離れた箇所から延びており、それはベース1210として規定される。第1の部分1206は、ベース1210から第1の部品1212のチップ位置として同定されるようなマニピュレータ・アセンブリ内のポイントに延びる。第2の部分1208は、次に、第1の部品1212のチップ位置から第2の部品1214のチップ位置として規定されるポイントに延びており、この実施例では、マニピュレータ・アセンブリ1200の自由端に位置する。
多数の関接が、第1の部分1206内に配置されており、多数の別の関節が、第2の部分1208内に配置されている。この数は同じでなくてもよいが、この例では、第1及び第2の部分のそれぞれは、4つの関節を含む。他の実施例では、関節の総数が8つである場合に、第1及び第2の部分は、それぞれ、5つ及び3つの、又は3つ及び5つの関節を含んでもよい。5つより多くの関節を有するマニピュレータ・アセンブリについての他の様々な組合せを実現することもできる。さらに、マニピュレータ・アセンブリは、2つより多くの部分に論理的に分離してもよい。例えば、関節の総数が8つである場合には、第1の部分は、5つの関節を有しており、第2の部分は、2つの関節を有しており、第3の部分は、1つの関節を有する。殆どの実施形態では、ツール位置測定装置がN個の自由度の測定値のみを提供するような関節推定手法が用いられる場合に、次に、各部分はN個以下の関節又は自由度を含む。さらに、マニピュレータ・アセンブリがN個より多くの運学的な自由度を含む場合に、これらの自由度は、複数の論理的な部分に分離される。一実施形態では、ロール方向の推定が利用できないような光ファイバーアプローチが使用される場合に、次に、各部分は、5つ以下の関節又は運動学的な自由度を含むことになる。
図12Bについて簡潔に説明すると、図12Bには、一実施形態による複数のマニピュレータ・アセンブリ部品の関節位置の計算を示すようなブロック図1250が示されている。この例における関節推定装置1252は、第1の運動学モデル1254と第2の運動学モデル1256とを含む。第1の運動学モデル1254は、マニピュレータ・アセンブリの第1のセグメント又は部分の運動学モデルである。例えば、これは、第1の部分1206の運動学モデルである。第2の運動学モデル1256は、マニピュレータ・アセンブリの第2のセグメント又は部分の運動学モデルである。例えば、これは、第2の部分1208の運動学モデルである。
各運動学モデルは、ファントム(phantom)自由度を含む。つまり、マニピュレータ・アセンブリの対応する部分には存在しないような自由度を含む。例えば、図12Aに示される実施形態では、光ファイバーアプローチを使用するときに、ロール方向の推定値が利用できないが、各運動学モデルは、ファントムのロール自由度を含むことができる。もっとも、他の実施形態では、1つ以上の運動学モデルは、複数のファントムの自由度を含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つの運動学モデルのみが、ファントム自由度を含む。
第1のセグメントのチップ位置が、第1の運動学モデル1254に入力される。例えば、チップ位置1212が、第1の運動学モデル1254に入力される。第1の運動学モデル1254からの出力は、第1セグメント1206の関節位置(だけでなく、無視される、ファントム自由度に対応する出力の1セット)である。第1のセグメントのチップ位置(例えば、チップ位置1212)と、第2のセグメントのチップ位置(例えば、チップ位置1214)との間の差が、第2の運動学モデル1256に入力される。第2の運動学モデル1256からの出力は、第2のセグメント1208の関節位置(だけでなく、無視される、ファントム自由度に対応する出力の1セット)である。
図13は、第1の実施形態による入力装置を用いて、マニピュレータアーム、ツール、及び/又はエンドエフェクタを制御するためのプロセス1300を示すようなフローチャートである。マニピュレータアーム、ツール、及び/又はエンドエフェクタは、本明細書で説明するもののいずれでもよく、例えば、マニピュレータアーム100(図4)、マニピュレータアーム500(図5)、ツール26(図1A)、手術用ツール600(図6A)、内視鏡620(図6B)、オーバーチューブ630(図6C)、アクチュエータ830及び/又は機械本体840(図8)等である。入力装置は、本明細書で説明する入力装置のいずれでもよく、例えば、入力装置36(図2)、入力装置700(図7A〜図7C)、入力装置810(図8)等である。さらに、プロセス1000は、本明細書で説明する制御装置のいずれかによって行うことができ、例えば、図7Aを参照して説明した制御システム、運動学プロセッサ820(図8)、及び/又は、外科医コンソール16、電子機器カート24、及び/又は患者側カート22等のMIRSシステム10(図1)の適切な構成要素に設けられた任意の他の適切な制御装置である。
1つの特定の実施形態では、マニピュレータ・アセンブリの運動学的な自由度は、システムのモータを使用して制御装置により1つ以上の関節を駆動することによって制御され、関節は、制御装置のプロセッサによって計算され、調整された関節運動に従って駆動される。数学的には、制御装置は、ベクトル及び/又は行列を使用して関節コマンドの計算の少なくとも一部を実行することができ、そのうちのいくつかは、関節の構成又は速度に対応する成分を有することができる。プロセッサについて利用可能な代替の関節構成の範囲は、関節空間として概念化することができる。例えば、関節空間は、マニピュレータ・アセンブリが有する自由度と同じ、多くの次元を有することができ、いくつかの例示的実施形態では、関節空間は、マニピュレータ・アセンブリが、マニピュレータ・アセンブリに関連するエンドエフェクタの位置を完全に規定するために必要な少なくとも1つの自由度を欠いている場合に、マニピュレータ・アセンブリが有する自由度より多くの次元を有することができる。さらに、マニピュレータ・アセンブリの特定の構成は、関節空間内の特定の点を表すことができ、各座標は、マニピュレータの関連する関節が存在する場合に、マニピュレータ・アセンブリの関連する関節の関節状態に対応する。
例示的な実施形態では、システムは、作業空間(本明細書で直交空間と呼ぶ)における機構(feature)の命令された位置及び速度が入力されるような制御装置を含む。この機構は、制御入力を使用して関節運動するような制御フレームとして使用できるような、マニピュレータ・アセンブリ上の、又はマニピュレータ・アセンブリから離れた任意の機構であり得る。本明細書で説明する様々な実施例で使用されるマニピュレータ・アセンブリ上の機構の例は、ツールチップであろう。マニピュレータ・アセンブリ上の機構の他の例は、ツールチップ上に存在しないが、ピン又はペイントパターン等のマニピュレータ・アセンブリの一部である物理的な機構であろう。マニピュレータ・アセンブリから離れた機構の例は、ツールチップから離れる正確な一定の距離及び角度である空き(empty)空間の基準点である。マニピュレータ・アセンブリから離れた機構の別の例は、マニピュレータ・アセンブリに対する位置が確立された標的組織であろう。これら全ての場合において、エンドエフェクタは、制御入力を使用して関節運動されるような仮想制御フレームに関連付けられる。ただし、以下では、「エンドエフェクタ」と「ツールチップ」とは、同義的に使用される。一般的には、直交座標空間のエンドエフェクタの所望の位置を等価の関節空間の位置にマッピングするような閉形式の関係は存在しないが、一般的に、直交座標空間のエンドエフェクタと関節空間の速度との間に閉形式の関係が存在する。運動学的ヤコビアンは、関節空間の位置要素に対するエンドエフェクタの直交座標空間の位置要素の偏導関数の行列(matrix)である。このように、運動学的ヤコビアンは、エンドエフェクタとマニピュレータ・アセンブリの関節との間の運動学的関係をキャプチャする。換言すれば、運動学的ヤコビアンは、エンドエフェクタ上の関節動作の影響を捕捉する。運動学的ヤコビアン(J)は、以下の関係を用いて、関節空間の速度(dq/dt)を直交座標空間のエンドエフェクタ速度(dx/dt)にマッピングするために使用することができる:
dx/dt=Jdq/dt
このように、入力位置と出力位置との間に閉形式のマッピングが存在しない場合であっても、速度のマッピングは、ヤコビアンベースの制御装置で、反復的に使用することができ、命令されたユーザ入力からマニピュレータの動きを実現する。しかしながら、様々な実装形態を使用することができる。多くの実施形態は、ヤコビアンベースの制御装置を含んでいるが、いくつかの実装形態は、本明細書で説明した機構のいずれかを提供するために、ヤコビアンにアクセスするように構成された各種制御装置を使用することができる。
このような一実装形態は、以下の簡略化された関係で記述される。命令された関節位置を使用して、ヤコビアン(J)を計算する。各時間ステップ(Δt)によって、直交座標空間速度(dx/dt)を計算し、所望の移動(dxdes/dt)を実行するとともに、直交座標空間の所望の位置から偏差(Δx)を構築するように補正する。この直交座標空間の速度は、次に、ヤコビアンの擬似逆行列(J#)を用いて、関節空間の速度(dq/dt)に変換される。得られた関節空間の命令速度は、次に、関節空間の命令位置(q)を生成するために積分される。これらの関係を以下に示す:
dx/dt=dxdes/dt+kΔx (1)
dq/dt=J#dx/dt (2)
qi=qi−1+dq/dtΔt (3)
ヤコビアンの擬似逆行列(J#)は、ツールチップの所望の動作(いくつかの場合では、旋回ツール動作の遠隔センタ)を関節速度の空間内に直接的にマッピングする。使用されるマニピュレータ・アセンブリが、(6までの)ツールチップ(すなわち、エンドエフェクタ)の自由度より多くの有用な関節軸線を有している場合に、(そして、ツール動作の遠隔センタが使用されるときに、マニピュレータ・アセンブリは、遠隔センタの位置に関連付けられた3つの自由度について追加の3つの関節軸線を有する必要がある)、次に、マニピュレータ・アセンブリは、冗長であると言われる。冗長なマニピュレータ・アセンブリに関連するヤコビアンは、少なくとも1つの次元を有する「ゼロ空間(null-space)」を含む。この文脈において、ヤコビアンの「ゼロ空間」(N(J))は、ツールチップ動作を瞬時に実現しない(そして、遠隔センタが使用されるときに、旋回点の位置の移動がない)ような関節速度の空間である。そして「ゼロ動作(null-motion)」は、ツールチップ及び/又は遠隔センタの位置の瞬間的な移動も生成しないような、関節の位置の経路である。計算されたゼロ空間の速度をマニピュレータ・アセンブリの制御システムに組み込む又は導入して、(本明細書で説明する任意の再構成を含む)マニピュレータ・アセンブリの所望の再構成を達成するには、上記の式(2)を以下のように変形する:
dq/dt=dq垂直/dt+dqゼロ/dt (4)
dq垂直/dt=J#dx/dt (5)
dqゼロ/dt=(I−J#J)z=VnVn Tz=Vnα (6)
式(4)による関節速度は、2つの成分を有する:第1の成分は、ゼロ−垂直空間(null-perpendicular-space)成分、ツールチップの所望の動作を生成する「純粋な(purest)」関節速度(最短ベクトルの長さ)(そして、遠隔センタが使用されるときに、遠隔センタの所望の動作)である。第2の成分は、ゼロ空間成分である。式(2)及び式(5)は、ゼロ空間成分なしで、同じ式が得られることを示している。式(6)は、左辺のゼロ空間成分についての従来の形式で始まり、最も右寄りの右辺で、例示的なシステムで用いられる形式を示している。ここで、(Vn)は、ゼロ空間についての直交基底ベクトルのセットであり、(α)は、それら基底ベクトルをブレンドするための係数である。いくつかの実施形態では、αは、ゼロ空間内の動作を所望されるように形成するために使用されるノブによって決定される。
前述したように、剛体の位置を完全に制御するには、3つの並進及び3つの向きを含むような独立して制御可能な6つの自由度が必要になる。これは、上述したように、6×Nヤコビアン行列が使用されるようなヤコビアンベースの制御アルゴリズムにうまく適している。しかしながら、いくつかの剛体は、これらの自由度のうちの少なくとも1つを欠いている。例えば、関節運動する手関節を有しない剛性内視鏡のチップは、手関節において、特に手関節ピッチ及びヨーの2つの自由度を欠いている。そのため、その剛体は、そのチップにおいて4つの自由度のみ有している。これによって、ここで過度に制約される(overconstrained)ので、6×Nヤコビアン・アプローチについての問題が生じる。6×Nヤコビアンベースの制御装置を使用して、内視鏡のチップが、パン又はチルトのいずれか一方を行うように命令された場合に、その内視鏡は、非手関節式のチップを有しているので、1つのことだけを行うことができ、これは両方の組み合わせを行う必要がある。これは、望ましくない応答時間が遅いような応答感覚になる。従って、他のアームや器具のために使用される同じ計算エンジン及び/又は運動学モデルが、カメラアームにも同様に使用されるので、この応答時間が遅いような応答感覚を解消することが望ましいだけでなく、6×Nヤコビアン・アプローチを使用することも望ましい。
従って、いくつかの実施形態では、上述した式(2)及び(3)を、修正することができる。まず、式(2)は、制御された機械本体の欠落した自由度に対応する数のファントム自由度を使用して修正することができる。これは、既存の自由度とファントム自由度との数の和に等しくなるように(dq/dt)ベクトルの長さを延長する。例えば、ファントム自由度を、式(2)に含めることができ、ここで、これらのファントムDOF(自由度)は、上述した内視鏡を制御するために手関節ピッチ及びヨーを制御するように作動可能とすることができる。ファントム自由度を使用することにより、ヤコビアンベースの制御装置は、内視鏡チップ、すなわち手関節式内視鏡の完全な6つの自由度についての擬似逆行列計算を行うように疑似計算する。この出力は、制御される実際の内視鏡が、独立して制御可能な4つの自由度のみを有していても、6つの自由度の内視鏡を制御するための関節速度のセットとなる。
第2に、式(3)に従って、関節位置は、関節速度を積分することによって計算される。しかしながら、式(3)は、ファントム自由度、例えば存在しない手関節式内視鏡の速度が、積分されず、従って、固定位置に留まるように修正することができる。いくつかの実施形態では、固定位置又は所望の位置は、マニピュレータの姿勢とは無関係な任意の適切な値に設定することができる。例えば、固定位置は、0°,15°,30°,45°,0°〜45°の範囲内の値、0°未満の値、又は45°より大きな値に設定することができる。
上述した制御アルゴリズムについて式(2)及び式(3)を修正することによって、内視鏡に関する実施形態では、内視鏡チップは、結果的に、不必要な遅い応答時間となることなく、指示された命令にうまく追従することができる。非手関節式内視鏡は、作動するための手関節を有しておらず、従って、手関節は、真っ直ぐの状態を継続する。さらにスレーブからマスターに戻るような力反射(力逆走)が存在する場合は、次に、マスターは、内視鏡の直線状チップに従うように命令することができ、有利には直感的な(intuitive)挙動がもたらされる。
いくつかの実施形態では、内視鏡のピッチ及びヨーを独立して制御することができるが、内視鏡は、独立してロールすることができない。パンするように指令されることに応答して、内視鏡のチップは、ピッチ及びヨーの自由度のみを使用してパンするように回転することができる。並進及びロールの代わりに、ピッチ及びヨーを使用することにより、内視鏡は、患者の開口部での位置を実質的に維持しながら、パンするように制御することができる。例えば、内視鏡は、内視鏡が配置されるような患者の開口部上でのサイズ又は打込み(placing)圧力を増加させることなくパンするように制御することができる。これは、例えば、開口部(すなわち、アクセス部位)での旋回点の周りに内視鏡を旋回させることによって、行うことができる。
利点は、制御されるツールの応答性を高めるとともに、異なる自由度のツールを操作するために同じ制御装置を使用してシステムの柔軟性を向上させることに限定されるものではないことを認識されたい。むしろ、いくつかの実施形態では、利点は、入力装置で追加の自由度を必要とせずに、ツールを作動させることができることとして実現される。
例えば、いくつかの実施形態では、マニピュレータ・アセンブリには4つの入力のみが存在しており、ここで3つの入力は、典型的には、ロール、ピッチ、ヨー等の動きを制御するために使用され、そして4つめの入力は、典型的には、器具の単一の作動(例えば、吸引起動)を制御するために使用される。もっとも、マニピュレータ・アセンブリにおいて同じ数の入力を使用して、器具の2つの作動(例えば、吸引起動及び洗浄起動)を制御するように所望してもよい。3つの全ての運動学的な自由度、すなわちロール、ピッチ、及びヨーを使用してツールへの指令を計算するような運動学モデルを用いて、次に、複数の出力のうちのいずれか(ロール等)を破棄して、ツールの動作は、2つの入力のみ、すなわちピッチ及びヨーを使用して制御することができる。他の2つの入力を使用して、次に、吸引起動や洗浄起動等の器具の2つの作動を制御することができる。従って、器具は、運動及び作動の両方の自由度を含むような全体で4つの自由度のみを有するが、制御装置でファントム自由度を使用した結果として、器具は、5つの自由度を有するように示される。いくつかの実施形態では、ファントム自由度を、軸線方向に対称の器具で使用することができ、有利には、システムのオペレータ(例えば、外科医)への器具に実際には存在しないような自由度を制御するような錯視(illusion)をさらに増加させることができる。
ここで図13に戻ると、操作1310では、制御装置は、マニピュレータの関節位置から順方向の運動学を計算する。この計算の結果として、制御装置は、直交座標空間の命令された速度(dxdes/dt)、直交座標空間の命令された位置(xdes)、直交座標空間の実際の位置(x)、及び直交座標空間の命令された位置(xdes)と直交座標空間の実際の位置(x)との間のエラー(dx=xdes−x)を決定する。順方向の運動学を計算するために、制御装置は、以前に命令された関節位置(例えば、直前の時間ステップで計算された変数(q))を使用することができる。操作1320では、制御装置は、式(1)を用いて、所望の移動(dx/dt)を計算する。所望の移動を計算するために、制御装置は、ステップ1310からの出力だけでなくエンドエフェクタの命令された位置(xdes)を使用することができる。操作1330では、制御装置は、ヤコビアン(J)を計算する、ここで、ヤコビアン行列(J)の計算は、以前に命令された関節位置(q)を使用する。操作1340では、制御装置は、ヤコビアンの擬似逆行列(J#)を計算する。
操作1350では、制御装置は、操作1340で計算されたヤコビアンの擬似逆行列(J#)を使用するとともに、操作1320で計算された所望の移動(dx/dt)を使用して、関節空間速度(dq/dt)を計算する。この操作でのヤコビアンの擬似逆行列は、前述したようなファントム自由度を含む。つまり、ヤコビアンの擬似逆行列は、これらの自由度が、制御装置によって制御される機械本体に実際に存在しない場合であっても、機械本体の自由度の数学的な表現を含む。次に、操作1360では、制御装置は、式(3)及び操作1350で計算された関節空間速度(dq/dt)を使用して、関節空間の命令された位置(q)を計算する。もっとも、前述したように、ファントム自由度の速度は、この操作では積分されず、こうして固定位置に留まる(つまり固定位置に設定される)。
当業者は、図13を参照して説明した操作が、ユーザ入力に応答して器具のリアルタイム制御を提供するように、頻繁に実行されることを認識するだろう。例えば、操作は、毎秒複数回実行され、いくつかの実施形態では、約毎秒1,000回、毎秒1,300回、毎秒1,500回、毎秒1,000回〜毎秒1,500回の範囲で、毎秒1,000回未満、又は毎秒1,500回より多く実行される。
なお、図13に示した特定の操作は、本発明のいくつかの実施形態によれば、マニピュレータアーム、ツール、及び/又はエンドエフェクタを制御するような特定の方法を提供することを認識されたい。操作の他のシーケンスは、代替実施形態に従って実行することもできる。例えば、本発明の代替実施形態は、異なる順序で上述した操作の概要を行うことができる。また、図13に示される個々の操作は、個々の操作に応じて、様々なシーケンスで行うことができるようなマルチサブ操作を含む。さらに、追加の操作が、特定の用途に応じて追加される、又は既存の操作を外すことができる。当業者は、多くの変形形態、修正及び代替形態を認識し且つ理解するだろう。
図14は、第2の実施形態による入力装置を用いて、マニピュレータアーム、ツール、及び/又はエンドエフェクタを制御するためのプロセス1400を示すフローチャートである。処理1400を実行するためのマニピュレータアーム、ツール等や、入力装置及び制御装置は、図13を参照して上述したものと同様のものとすることができ、従ってさらなる詳細は省略する。
図13を参照して説明したプロセス1300とは対照的に、プロセス1400は、マニピュレータ・アセンブリに関連するヤコビアンのゼロ空間を計算し且つ制御するように作動可能である。例えば、マニピュレータ・アセンブリは、1つ以上の冗長自由度を有するが、依然として、マニピュレータ・アセンブリが、その冗長自由度を有するとしても、エンドエフェクタやツールの位置を完全に規定するために必要なこれら自由度のうちの1つ以上の自由度を欠いている場合に、1つ以上のファントム関節を使用する。
操作1410〜1440は、図13を参照して説明した操作1310〜1340と同様であり、従ってさらなる説明は省略する。操作1450では、制御装置は、操作1440で計算したヤコビアンの擬似逆行列(J#)及び操作1420で計算した直交座標空間の速度(dx/dt)を用いて、ゼロ−垂直空間内の関節速度成分(dq垂直/dt)を計算する。操作1460では、制御装置は、式(6)に示されるように、操作1430で計算したヤコビアン及び操作1440で計算したヤコビアンの擬似逆行列(J#)を用いて、又はいくつかの実施形態では、ヤコビアンの特異値分解法(SVD(J))を用いて、又は、いくつかの実施形態では、式(6)に示されるようにゼロ空間基底ベクトル(Vn)及びブレンド係数(α)を用いて、又は任意の他の等価な手法を用いて、ゼロ空間内の関節速度成分(dqゼロ/dt)を計算する。少なくとも1つの実施形態では、操作1450の出力を使用して、操作1460でゼロ空間内の関節速度成分(dqゼロ/dt)を計算する。操作1350及び式(2)を参照して説明したのと同様に、ゼロ−垂直空間内の関節速度成分(dq垂直/dt)及びゼロ空間内の関節速度成分(dqゼロ/dt)が、ヤコビアン(例えば、ヤコビアンの擬似逆行列)のファントム自由度を使用して計算することができる。従って、関節空間速度のこれらの成分のそれぞれは、制御されるマニピュレータに実際には存在しないような自由度を数学的に表すヤコビアンを用いて計算することができる。
操作1470では、制御装置は、式(4)に示されるように操作1450及び操作1460で計算した、ゼロ−垂直空間内の関節速度成分(dq垂直/dt)と、ゼロ空間内の関節空間速度成分(dqゼロ/dt)とを合計することによって、関節空間の命令された速度(dq/dt)を計算する。関節空間の命令された速度(dq/dt)の各成分は、1つ以上のファントム自由度を含むように計算されるので、得られた関節空間速度(dq/dt)も、1つ以上のファントム自由度を含む。次に、操作1480は、図13を参照して説明した操作1360と同様であり、従ってさらなる説明は省略する。
なお、図14に示した特定の操作は、本発明の特定の実施形態による、マニピュレータアーム、ツール、及び/又はエンドエフェクタを制御するような特定の方法を提供することを理解すべきである。操作の他のシーケンスは、代替実施形態に従って行うこともできる。例えば、本発明の代替実施形態は、異なる順序で上述した操作の概要を行うことができる。また、図14に示される個々の操作は、個々の操作に応じて、様々なシーケンスで行うことができるようなマルチサブ操作を含むことができる。さらに、追加の操作は、特定の用途に応じて追加する又は既存の操作を外すことができる。当業者は、多くの変形形態、修正及び代替形態を認識し且つ理解するだろう。
図13及び図14のプロセスは、入力情報が、(図10A〜図10Dを参照して説明した実施形態のように)所望の位置であり且つ入力装置からもたらされる場合の実施形態に関して説明したが、このプロセスは、入力情報が、(図11A及び図11Bを参照して説明した実施形態のように)実際の位置であり且つツール位置測定装置からもたらされる場合の実施形態に同様に適用することができることを当業者は認識するだろう。このような実施形態では、エンドエフェクタの命令された位置(Xdes)(例えば、操作1320及び1420への入力等)を使用する代わりに、エンドエフェクタの実際の位置が使用される。命令された関節位置(q)(例えば、操作1360及び1480の出力等)を生成する代わりに、実際の関節位置が生成される。
本出願で説明する操作は、例えば従来の、シーケンシャルな、又はオブジェクト指向技術を使用し、例えばJava(登録商標)、C、C++又はPerl等の適切なコンピュータ言語を使用して、1つ以上のプロセッサによって実行されるソフトウェアコードとして実装することができる。ソフトウェアコードは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)等のコンピュータ可読媒体、ハードドライブ又はフロッピーディスク、フラッシュメモリ等の磁気媒体、又はCD−ROM等の光学媒体に、一連の指令又はコマンドとして記憶することができる。このようなコンピュータ可読媒体は、単一のコンピュータ装置上に又はこの装置内に常駐することができ、及びシステム又はネットワーク内の様々なコンピュータ装置上に又はこの装置内に存在することができる。
本発明は、ソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェア、或いはこれらの組合せにおける制御ロジックの形態で実装することができる。制御ロジックは、本発明の実施形態に開示されたステップのセットを実行するために、情報処理装置を管理するように適合された複数の指示として情報記憶媒体に記憶することができる。本明細書に提供される開示及び教示に基づいて、当業者は、本発明を実施するための他の方法及び/又は方法を理解するであろう。
実施形態を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)における「1つの(a, an)」及び「その(the)」及び同様の指示語の使用は、本明細書に特に指示がない限り又は本明細書の文脈に明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を網羅するように解釈される。用語「備える、有する、含む(comprising)」、「有する(having)」、「有する、含む(including)」、「含む(containing)」は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語に解釈される(すなわち、「有する、含む(including)」を意味するが、これらに限定されるものではない)。用語「接続」は、間に何か介在するものがあっても、何かに部分的に又は完全に含まれる、何かに取り付けられる、又は一緒に接合されるように解釈される。本明細書での値の範囲の記載は、本明細書に特に指示がない限り、この範囲に含まれる各別個の値を個別に参照する簡便な方法の役割を果たすことが単に意図されており、各別個の値は、本明細書に個別に記載されるように、明細に組み込まれる。本明細書で説明する全ての方法は、本明細書に特に指示がない限り又は本明細書の文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書に記載されたいくつかの及び全ての例、又は例示的な言葉(例えば、「等」)の使用は、単に実施形態をより良く説明することを意図しており、他に注記がない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。明細書中の言語は、少なくとも1つの実施形態を実施するのに不可欠な主張していない要素を示す言語として解釈すべきではない。
発明者が知っているベストモードを含む好ましい実施形態が、本明細書に説明されている。これらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者が必要に応じてそのような変形形態を用いることを予想しており、そして本発明者は、実施形態が、本明細書に具体的に記載した以外の形態を構成することを意図している。従って、適当な実施形態は、適用可能な法律で容認されるような、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題の全ての修正物や均等物をも含む。また、それらの全ての可能な変形形態における上述した要素の任意の組み合わせは、本明細書に他に指示がない限り又は本明細書の文脈と明らかに矛盾しない限り、いくつかの好適な実施形態に組み込まれるものとして企図される。本発明の範囲は、従って、上記の説明を参照して決定されるものではなく、代わりに、その完全な特許請求の範囲又は均等物と一緒に係属中の特許請求の範囲を参照して決定すべきである。