一般に、本開示は、長手方向直角度よりも大きい垂直方向直角度を有する、磁気記憶媒体、例えば、磁気テープに関する。より大きい垂直方向直角度を画定する磁気記憶テープを消去し、例えば、バイアスをかけ、およびそれに書き込むための種々の技法が説明される。これらの技法のうちの1つ以上の結果として、磁気記憶テープは、種々のデータ記憶デバイスを用いて、データが磁気記憶テープ上に記憶されることを可能にする、磁気テープの長さに沿った異なる残留磁化のパターン、例えば、サーボパターンを含んでもよい。
本明細書で使用されるように、より大きい垂直方向直角度とは、概して、任意の三次元方向に磁気的に配向されることが可能である磁気テープの磁性粒子を指す。これらの磁性粒子の磁気配向は、例えば、磁気テープの面に垂直である、垂直方向成分と、例えば、磁気テープの面に平行である、長手方向成分とを有する、ベクトルとして表されてもよい。より大きい垂直方向直角度を画定する磁気テープ(すなわち、「垂直方向磁気テープ」)の磁性粒子は、磁気テープといくぶん垂直に配向する傾向をいくらか有してもよいが、より大きい垂直方向直角度を呈する磁性粒子は、磁気テープに使用されるいくつかの材料において等方性であり得る。対照的に、従来の磁気記憶テープは、完全ではないとしても、磁気記憶テープの平面と実質的に平行に配向する、磁性粒子を有する。
より大きい垂直方向直角度を有する磁気記憶テープの利点は、より高いデータ記憶容量である。しかしながら、このタイプの磁気媒体にとっての不利点は、複雑な磁気配向が磁性粒子で起こり得ることである。これらの複雑な配向は、磁気テープ上のマークの読み出しと関連付けられる信号対雑音比を減少させることができ、そのような読み出し中にデータの損失につながり得る、非従来的な磁場を引き起こし得る。したがって、正確なバイアス技法および書込み技法が、垂直方向磁気テープ上に書き込まれる情報のより大きい信号対雑音比を達成するために使用されてもよい。本開示の技法は、典型的には、データ帯域間に位置するサーボ帯域の中に位置する、磁気テープ上のサーボパターンの作成のために特に有用であり得る。
一実施例では、磁気テープは、実質的に垂直方向または長手方向のいずれかで、バイアスをかけられ、すなわち、消去されてもよい。このバイアスは、代替として、磁場をテープに印加した後にテープの磁気層に残される残留磁化として表されてもよい。この実質的に垂直方向または実質的に長手方向の残留磁化は、2つの磁気ヘッドまたは1つの磁気ヘッドを用いて生成されてもよい。2ヘッドバイアスシステムでは、各ヘッドが、磁気テープの反対側に設置される。各ヘッドは、実質的に長手方向のバイアスを作成するように、同一方向にテープに沿って方向付けられた磁場を印加する。逆に、各ヘッドは、実質的に垂直なバイアスを作成するように、反対方向にテープに沿って方向付けられた磁場を印加してもよい。言い換えれば、特定の磁場配向が、単一の磁場の異なる部分を用いて、垂直方向磁気テープ上に作成されてもよい。垂直方向または長手方向のバイアスのいずれかでは、バイアスと実質的に反対であるパターン残留磁化を作成するように、対応するサーボパターン(例えば、複数のサーボマーク)が、バイアス上に書き込まれてもよい。
別の実施例では、磁気テープは、8つの方向八分円のうちの1つにバイアスまたは残留磁化、例えば、非ゼロの垂直方向および長手方向成分を伴う磁場配向を含んでもよい。このタイプのバイアスはまた、磁場の方向、または磁気テープのどちらの側面にヘッドが位置するかに応じて、単一のヘッドを用いて作成されてもよい。サーボパターンは、サーボパターン残留磁化および非パターンまたはバイアス残留磁化の2つの異なる方向の間の界面で信号が生成されるために、バイアス八分円とは略反対の方向八分円に書き込まれてもよい。
バイアスおよびサーボ書込み、例えば、磁気テープのサーボトラックの中へサーボパターンを書き込む方法は、2つの異なる磁気ヘッドを用いて、および/または2つの別個のステップで完成されてもよいが、単一の書込みヘッドが、1つのステップでバイアスおよびサーボパターンを作成するように構成されてもよい。テープが書込みヘッドを通り過ぎるにつれて、単一の書込みヘッドが、連続的に、磁気テープにバイアスをかけ、サーボパターンを磁気テープに書き込んでもよい。この連続書込み技法では、書込みヘッドは、交番磁場の後縁部がテープにバイアスをかけ、サーボパターンを書き込むように、磁場の方向を交互にしてもよい。言い換えれば、バイアスが、磁場の一方の方向で作成され、サーボパターンが、磁場の他方方向で作成される。したがって、バイアスおよびサーボ書込みは、書込みヘッド付近の磁気テープの単一の通過によって完成されてもよい。
磁場はまた、対称サーボマーク、例えば、サーボパターンの部分を作成するように、垂直方向磁気テープに印加されてもよい。磁気ヘッドの間隙幅、または磁場が進行する距離は、サーボマークの長さにほぼ等しいようにサイズ決定されてもよい。磁気テープが磁気ヘッドの付近を通過するにつれて、一時的な磁場を生成するように、短い電流パルスが磁気ヘッドに印加される。この短い電流パルスは、概して10ナノ秒から50ナノ秒の間の短い期間中に発生してもよい。一実施例では、短い期間は、約30マイクロ秒以下であってもよい。短い期間は、少なくとも部分的に、磁気テープが磁気ヘッドを通り過ぎる速度に依存し得る、例えば、より速いテープ速度が、より短い電流パルスを必要としてもよい。磁場が、そのような短い期間にわたって磁気テープに印加されるため、サーボマークの長さにわたって磁気テープにおける結果として生じる磁気配向は、磁場と実質的に同等であり得る。言い換えれば、作成されたサーボマークの磁気配向は、サーボマークの一方の端部からサーボマークの他方の端部まで実質的に対称である。
図1は、例示的な磁気記憶媒体10の断面図である。一例として、磁気テープ10は、データを記憶することが可能な磁気記録媒体または磁気記憶テープであってもよい。磁気テープ10は、基材12を含む。基材12は、第1の側面、および第1の側面と反対側の第2の側面を画定する。非磁性下層14が、基材12の第1の側面を覆って形成される。下層14は、1つの表面上で基材12に接触し、反対側面上に被覆面を画定する。バッキング層20が、基材12の第2の側面を覆って形成されてもよい。加えて、磁気層16が、下層14によって画定される被覆面を覆って形成される。磁気層16は、記録面18を画定する。記録面18は、磁気記録媒体10の最も外側の表面であってもよく、データ読取りまたは書込み動作中に記録ヘッドが横断する表面であってもよい。1つ以上のデータトラックに加えて、磁気層16は、読取り/書込みヘッドがデータトラックと整列することを可能にする1つ以上のサーボトラックを支持してもよい。
基材12は、磁気記録媒体10のための支持担体として機能し、任意の好適な材料から形成されてもよい。例えば、基材12は、ガラス、プラスチック、有機樹脂、金属等を含んでもよい。場合によっては、基材12は、ポリマーフィルムを含んでもよい。任意の好適なポリマーまたはポリマーの組み合わせが使用されてもよい。ポリマーは、機械または電磁気特性を磁気記録媒体10に付与するように、化学的適合性に対して、または他の特性に基づいて選択されてもよい。可撓性、剛性、電気抵抗性、導電性、または同等物であるポリマーが、当技術分野において公知である。好適なポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートの混合物または共重合体等のポリエステル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン)、セルロース誘導体、ポリアミド、ポリイミド、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。加えて、基材12は、種々の他のポリマー、結合剤、またはカーボンブラックおよびシリカ等の添加剤を含んでもよい。
バッキング層20は、基材12の裏面の少なくとも一部分を覆って形成されてもよい。バッキング層20は、例えば、磁気テープ等のあるタイプの磁気記録媒体の巻きおよび巻き戻し特性に影響を及ぼす、制御された表面粗度を有してもよい。バッキング層20はまた、例えば、磁気テープ10の縁のカッピングおよび硬化を最小化することによって、寸法安定性を磁気テープ10に提供してもよい。いくつかの実施例では、バッキング層20は、電気抵抗を複合磁気テープ10に提供する成分を含んでもよい。例えば、バッキング層20は、カーボンブラックを含んでもよい。電気抵抗性バッキング層が、磁気テープ10の電磁気特性を向上させてもよい。加えて、バッキング層20は、結合剤成分を含んでもよい。化学的に適合し、機械的に安定している任意の好適な結合剤成分が使用されてもよい。場合によっては、結合剤成分は、ポリウレタンおよびポリオレフィン、フェノキシ樹脂、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。バッキング層20は、当業者によって理解されるように、付加的なポリマー、色素、溶剤、および添加剤を含んでもよい。
磁気層16は、基材12を覆って形成される。一般に、磁気層16は、結合剤に含有される複数の磁性粒子を含む。データを記録および記憶すること、例えば、磁気層16内の磁性粒子の磁気配向を作成および保持することにおいて、磁気テープ10の品質および性能を向上させるために、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、研磨剤等の添加剤が、複数の磁性粒子に添加されてもよい。磁気層16の組成の種々の成分を組み合わせて、記録面18を画定する磁気層16を形成するように部品の上を被覆することができる。
一般に、磁気層16は、色素を形成する複数の磁性粒子を含む。異なる磁性粒子が異なる形状を画定し、形状プロファイルが形成された磁気テープの記憶密度または記憶品質に影響を及ぼし得る。実施例として、磁性粒子は、針状または針形状、プレートレット形状、低アスペクト比形状を画定してもよく、または磁性粒子は、不定形の形状さえも画定してもよい。磁気層16は、任意の好適な形状の磁性粒子を含んでもよい。例えば、磁気層16は、針状粒子を含んでもよい。典型的な針状粒子は、ガンマ酸化鉄(γ−Fe2O3)等の強磁性またはフェリ磁性酸化鉄の粒子、鉄、コバルト、およびニッケルの複雑酸化物、ならびに種々のフェライト、および金属鉄、コバルト、または合金粒子を含む。しかしながら、非針状の粒子が、針状の粒子よりも良好な充填形態を呈してもよい。例えば、プレートレット形状の粒子は、プレートレット形状の粒子が基材12の面と長手方向の代わりに垂直に配向されたときに、針状粒子よりも高密度の充填形態を呈してもよい。別の実施例として、低アスペクト比粒子は、相互の上に自然に積み重ならなくてもよく、より均一な磁気記録面をもたらす。
したがって、磁気層16はまた、プレートレット形状の粒子および低アスペクト比粒子等の粒子を含んでもよい。好適なプレートレット形状または低アスペクト比粒子は、鉄、コバルト、およびニッケルの合金、ならびに酸素および/または窒素との鉄、コバルト、およびニッケルの化合物を含む、種々の鉄、コバルト、およびニッケルベースの粒子を含んでもよい。いくつかの実施例では、プレートレット形状の粒子および低アスペクト比粒子は、六方格子構造を備える粒子を含んでもよい。例えば、バリウムフェライト(例えば、六方バリウムフェライト)等のいくつかのフェライトは、六方格子構造を備える。本開示の磁気テープで使用するために好適なプレートレット形状の粒子の別の実施例は、ストロンチウムフェライト粒子である。
磁気テープ10は、磁気テープの1つの構造例にすぎない。代替として、他の磁気テープは、バッキング層20を含まなくてもよいか、または複数のバッキング層20を含んでもよい。いくつかの実施例では、磁気層16は、下層14なしで基材12に直接接着されてもよい。他の実施例では、磁気テープ10は、1つ以上の磁気層16を覆って堆積させられるカバー層を含み得るか、または含まない場合がある複数の磁気層16を含んでもよい。一般に、磁気層16は、基材12を覆って形成されるものとして表されてもよい。「覆って形成される」という用語は、1つ以上の層が磁気層16と基材12との間に配置される実施例、あるいは磁気層16が基材12の上に直接形成されるか、または基材12に直接接着される他の実施例を含んでもよい。したがって、基材を覆って形成される磁気層を含む、本明細書で説明される実施例は、それらの間に配置される付加的な層を有してもよく、または有さなくてもよい。
図2Aは、磁場を磁気層16内の磁性粒子に印加した後の残留磁化22の方向例の概念図である。磁気テープ10は、基材12を覆って形成される磁気層16を含む。磁気テープ10は、図1に関して上記で説明されるように、付加的なバッキング層、下層、または(例えば、磁気層16と基材との間の)中間層を含んでもよいが、磁気テープ10は、概して、基材12および基材12を覆って形成される磁気層16を含むものとして表されてもよい。磁気層16内の磁性粒子の各々は、磁気配向22(すなわち、印加された磁場に起因する残留磁化)を有するものとして表されてもよい。加えて、複数の磁性粒子は、概して、残留磁化22を有するものとして、組み合わせて表されてもよい。磁性粒子のうちのいくつかが、一般的な磁気配向とは異なって配向されてもよいので、磁性粒子の一般的に説明される残留磁化22が、磁性粒子の実質的に全ての磁気配向、または磁気層16内の磁性粒子の集合的配向を指してもよい。
残留磁化22は、概して、磁気層16に印加された磁場によって引き起こされる磁性粒子の磁気整列のベクトルを表すために、本開示の中で使用されてもよい。概して、図2Aに示されるような座標系が、磁気テープ10の基材12に対する残留磁化22の方向を識別するために使用されてもよい。座標系は、磁気テープ10の長手方向断面において、かつ矢印24によって示されるような磁気テープ10が読取り/書込みヘッドを通過させられる方向に従って表される。
図2Aの実施例に示されるように、磁気層16の一部分、すなわち、1つ以上の磁性粒子の残留磁化22は、約25度で整列させられる。この残留磁化22の整列または方向は、基材12から離れるように、矢印24によって示される磁気テープ移動の方向に向かっている。残留磁化22はまた、両方ともゼロではない長手方向成分および垂直方向成分を有するものとして表されてもよい。実際に、25度で、残留磁化22は、長手方向成分がベクトルの垂直方向成分よりも小さいことを示す。したがって、残留磁化22はまた、方向八分円I内にある。
方向八分円I、II、III、IV、V、VI、VII、およびVIIIは、残留磁化22の方向を表すために使用されてもよい。方向八分円は、残留磁化22が方向付けられ得るベクトル空間を表す。八分円の各々は、磁気テープ10に対して空間内において面によって分離される。長手方向面21は、基材12に平行であり、磁気層16を二等分する。垂直方向面23は、基材12に直角であり、磁気層16の断面を二等分する。言い換えれば、垂直方向面23は、基材12および基材12の長さに垂直である。加えて、斜面25および27が、ベクトル空間をさらに区分化し、八分円の境界を作成する。このようにして、面21、23、25、および27の各々は、共通線で交差し、本明細書で説明される8つの八分円の各々の境界を作成する。いくつかの実施例では、面のうちの1つの中にある残留磁化22は、その面に隣接する2つの八分円内にあるものとして表されてもよい。
方向八分円は、各八分円が約45度の角度を画定するように、面21、23、25、および27によって等しく分離されてもよい。しかしながら、他の実施例では、面は、面25および27が、長手方向面21と概して20度から70度の間の角度を形成するように、異なって配向されてもよい。一実施例では、面25および27は各々、八分円I、IV、V、およびVIIIが、垂直方向面23に隣接し、垂直方向面23と60度の角度を形成するように、長手方向面21と30度の角度を形成してもよい。別の実施例では、面25および27は各々、八分円I、IV、V、およびVIIIが、垂直方向面23に隣接し、垂直方向面23と30度の角度を形成するように、長手方向面21と60度の角度を形成してもよい。
図2Aに示されるように、方向八分円Iは、0度から45度の間であってもよく、方向八分円IIは、45度から90度の間であってもよく、方向八分円IIIは、90度から135度の間であってもよく、方向八分円IVは、135から180度の間であってもよい。加えて、方向八分円Vは、180度から225度の間であってもよく、方向八分円VIは、225度から270度の間であってもよく、方向八分円VIIは、270度から315度の間であってもよく、方向八分円VIIIは、約315度から360度(すなわち、0度)の間であってもよい。言い換えれば、各方向八分円は、面21、23、25、および27の間の領域にあってもよい。
残留磁化22の正確な度数は、基材12に対する配向の一般的方向ほど重要ではなくてもよいので、方向八分円は、いくつかの実施例では、バイアスおよびサーボマークの残留磁化を表すために使用されてもよい。各方向八分円は、特定の度数、例えば、方向八分円Iについては22.5度を中心としてもよいが、方向八分円は、図2Aに示されるように、面21、23、25、および27のうちのいずれかの間に中心がある必要はない。
いくつかの実施例では、残留磁化22は、方向八分円のうちの1つの中の代わりに、面21、23、25、および27のうちの1つに沿って存在してもよい。残留磁化22が面21に沿っている、例えば、90度または270度である場合、残留磁化22の方向が基材12および磁気テープ10の面に平行であるので、残留磁化22は、長手方向と規定されてもよい。逆に、軸23に沿って整列させられた残留磁化22、例えば、0度または180度は、残留磁化22の方向が基材12および磁気テープ10の面に垂直であるので、垂直と規定されてもよい。
他の実施例では、残留磁化22は、各々、面23または21に対して実質的に垂直方向または実質的に長手方向と規定されてもよい。残留磁化22が、面23または21のうちの1つと正確に整列させられなくてもよいので、「実質的に垂直方向」または「実質的に長手方向」という語句は、面の各々の所定の角度以内の残留磁化22を規定してもよい。例えば、残留磁化22は、残留磁化22が面23の約20度以内、例えば、20から340度の間、または160から200度の間であるときに、実質的に垂直であり得る。実質的に垂直と見なされる面23からの残留磁化22の変動は、概して、面23から45度の変動未満、例えば、45から135度の間、または225度から315度の間であってもよい。実質的に長手方向と見なされる面21からの残留磁化22の変動は、概して、面21から45度の変動未満、例えば、315度から45度の間、または135度から225度の間であってもよい。しかしながら、磁気層16の実質的に垂直方向または実質的に長手方向の残留磁化22は、より具体的には、面21または23のいずれかの25度以内であってもよい。
図2Bは、磁気記憶媒体の磁気層の直角度を画定する、ヒステリシス曲線例の概略図である。磁性粒子の解凝集を示し得る電磁気特性の実施例が、磁気直角度である。本明細書で使用されるような直角度という用語は、10,000エルステッドの規定された飽和磁場を伴う振動試料磁力計(VSM)を使用して測定され得る、磁性材料の飽和モーメントに対する残留モーメントの比を指す。磁性材料の残留モーメントおよび飽和モーメントパラメータが、磁気ヒステリシス曲線上で観察されてもよい。ヒステリシス曲線は、磁場の印加または除去に応じて、どのようにして磁性材料を磁気的に配向または再配向することができるかを規定する。図2Bの実施例では、残留モーメントmrが、強い磁場での飽和後に磁性材料に残留する磁化を指す一方で、飽和モーメントmsは、飽和したときの磁性材料における磁化を指す。加えて、保磁力Hcは、モーメントmをゼロまで低減させるのにちょうど十分である、反対方向への強い磁場による飽和後に磁性材料に印加される磁場強度を指す。図2Bはまた、保磁力Hcによって正規化される所与の磁化を完全に逆転させることができる磁場強度の間隔の尺度であるスイッチング磁場分布(SFD)も図示する。SFDは、典型的には、磁場に対するヒステリシス曲線Hを微分することによって計算される、パルスの最大値の半分でのヒステリシス曲線の全幅wとして測定される。
磁気直角度は、飽和モーメントmsに対する残留モーメントmrの比(すなわち、mr/ms)によって、図2Bのヒステリシス曲線例で識別される。場合によっては、より高い直角度値は、より低い直角度値を伴う対応する磁性材料よりも少ない磁性粒子の凝集または積層を示す。図2Bが、異なるヒステリシスパラメータの一般的な場所を示す一方で、曲線は、直角度の一般的な場合の例示のために提供されるにすぎず、本明細書で検討される任意の特定の材料のヒステリシスプロットを表すことを目的としていない。
磁性材料のヒステリシス曲線は、磁性材料の任意の方向で測定することができる。例えば、ヒステリシス曲線は、磁気記録媒体の記録面に平行な方向(例えば、基材がウェブ製造プロセスにおいて輸送される方向に平行な方向)、磁気記録媒体の記録面に垂直な方向、または磁気記録媒体の記録面に対して横方向に測定することができる。さらに、直角度値を、各異なる方向に測定される各ヒステリシス曲線について決定することができる。一般に、(例えば、磁気記録媒体の表面に垂直な)1つの方向における増加した直角度値は、(例えば、磁気記録媒体の表面に平行な)別の方向における減少する直角度と相関し、その逆も同様である。
磁性材料の直角度は、例えば、材料の中の磁性粒子の配向または材料自体の配向に応じて変化し得る。直角度の1つの配向は、磁気テープの長さに平行な軸、または基材がウェブ製造プロセスにおいて輸送される方向に平行な軸等の記録媒体の長軸に沿っている。したがって、このタイプの直角度は、長手方向直角度、または垂直方向直角度よりも大きい長手方向直角度を伴う磁気層と呼ばれてもよい。ヒステリシス曲線は、媒体が説明された長手方向配列で配向されるときに媒体によって示される磁気特性を測定することによって決定されてもよい。後に、直角度値が、決定されたヒステリシス曲線に基づいて計算されてもよい。
本明細書で概して説明されるように、図1の磁気層16は、50パーセントよりも大きい垂直方向直角度、および50パーセント未満の長手方向直角度を有してもよい。言い換えれば、磁気層16は、垂直方向異方性を伴う磁気媒体を示す、より大きいか、または大きい垂直方向直角度を有してもよい。他の実施例では、磁気層16は、75パーセントよりも大きい垂直方向直角度および/または25パーセント未満の長手方向直角度を有してもよい。いくつかの実施例では、磁気層16は、90パーセントよりも大きい垂直方向直角度および/または10パーセント未満の長手方向直角度を有してもよい。これらの実施例のうちのいずれかでは、50パーセントよりも大きい垂直方向直角度は、磁気層16の残留磁化が基材12に実質的に垂直な方向にあることを可能にしてもよい。
図3は、磁気テープ32上に事前記録サーボパターンを書き込むサーボ書込みシステム例26の概念図である。磁気テープ32は、図1および2で説明される磁気テープ10の実施例であってもよい。システム26は、サーボヘッドモジュール28と、サーボコントローラ30と、スプール34および36上で巻き取られる磁気テープ32とを含む。サーボヘッドモジュール28は、磁気テープ32上にサーボパターンを書き込むために、1つ以上のサーボヘッド、すなわち、磁気ヘッドを含有する。コントローラ30は、サーボヘッドモジュール28の1つ以上のサーボヘッドによって印加される磁場を制御する。磁気テープ32は、サーボヘッドモジュール28にごく接近して、例えば、その付近で、またはそれに隣接して通過し、スプール34からスプール36まで送給される。例えば、磁気テープ32は、サーボ記録中にサーボヘッドモジュール28の1つ以上のサーボヘッドに接触してもよい。
サーボヘッドモジュール28は、磁場を生成する電磁気要素を備える。一実施例では、コントローラ30は、実質的に、磁気テープ32と関連付けられた全サーボ帯域、例えば、1つ以上のサーボトラックにわたって、第1のサーボヘッドに書き込ませてもよい。次いで、コントローラ30は、サーボヘッドモジュール28内の少なくとも1つの付加的なサーボヘッドに、事前記録されたサーボ帯域内のサーボマークを選択的に消去させることができる。サーボヘッドモジュール28は、磁気テープ32における事前作成されたバイアスにわたって1つ以上のサーボトラックの中にサーボパターンを書き込んでもよい。バイアスは、1つ以上の異なるバイアスヘッドによって作成されてもよい。これらの異なるバイアスヘッドは、システム26から独立し、異なるヘッドモジュールの中のシステム26に含まれ、またはサーボヘッドモジュール28の一部としてでもあり得る、磁気ヘッドである。いくつかの実施例では、バイアスは、サーボパターンの書込みの前または間に、サーボヘッドモジュール28内のサーボヘッドによって作成されてもよい。
異なる実施例では、磁気テープ32のサーボ帯域部分が、ランダムに磁化されてもよい。磁気テープ10のランダム磁化は、1つ以上の磁気ヘッドからの交番磁場を用いて作成される、実質的にゼロのバイアスまたは消去であってもよい。コントローラ30は、サーボヘッドモジュール28内の少なくとも1つのサーボヘッドに、ランダムに磁化されたサーボ帯域内でサーボマークを書き込ませてもよい。
概して、サーボヘッドモジュール28上のサーボヘッドは、少なくとも3つのサーボマークを用いてサーボパターンを書き込むか、または作成する。例えば、サーボヘッドは、線形位置誤差信号(PES)計算を可能にする、時間ベースのサーボパターンを提供してもよい。いくつかの実施例では、サーボパターンは、以降では「線形PES計算」と呼ばれるPES計算で線形式が使用されることを可能にするように、PESとサーボパターンの中のサーボマークの検出間の時間増分比との間の直線関係を提供する。例示的な時間ベースのサーボパターンが、図4で図示される。他の実施例では、サーボヘッドモジュール28は、読取り/書込みヘッドが磁気テープ32の中の1つ以上のデータトラックにわたってそれ自体を正確に設置することを可能にするように提供される、振幅ベースのサーボパターンまたは他のサーボパターンを含んでもよい。
スプール34および36の一方または両方は、磁気テープ32を移動させ、サーボヘッドモジュール28付近に磁気テープを通過させるために、スプール34および36を移動させるモータに取り付けられてもよい。コントローラ30、または異なる制御デバイスが、磁気テープ32の移動およびサーボヘッドモジュール28を用いた磁場の生成を協調させてもよい。この協調は、磁気テープ32の速度および/またはサーボヘッドモジュール28を用いた磁場生成のタイミングを含んでもよい。システム26は、サーボヘッドモジュール28を過ぎたいずれか一方の方向またはサーボヘッドモジュール28に対する1つだけの方向に磁気テープを移動させるように構成されてもよい。
システム26は、磁気テープに複数のサーボマークを用いてサーボパターンを作成するために使用されるものとして表されるが、システム26はまた、あるいは代替として、磁気テープに磁気バイアスを作成してもよい。いったんバイアスが作成されると、サーボパターンが磁気バイアスにわたって磁気テープ上に作成されてもよい。バイアスは、磁気テープの中のバイアス域とサーボパターンとの間を遷移するときに、強い信号対雑音比を推進してもよい。バイアスおよびサーボパターンの両方は、図2Aで説明されるように、磁気テープに対する特定の方向での残留磁化によって特徴付けられてもよい。
一般に、サーボモジュール28の磁気ヘッドは、特定の磁気配向を達成するのに適切である、任意の好適な強度の磁場を生成してもよい。磁場強度の選択に影響を及ぼし得る要因は、例えば、磁気層の中の磁性粒子のタイプ、磁気層組成の中の付加的なタイプの成分、および磁場を印加するために使用される特定の機器を含む。いくつかの実施例では、磁場強度は、磁気層の直角度値と相関性があり、磁場から所望の残留磁化を達成するように調整されてもよい。いくつかの実施例では、磁気テープの磁気層の中で磁気バイアスまたはサーボパターンを生成するように、約3000ガウスから約5000ガウスの間の磁場強度が、磁気層に印加されてもよい。
磁気バイアスおよび/またはサーボパターンを作成することが本明細書で説明される磁場は、製造プロセスにおける任意の好適な時点で、または製造プロセスにおける複数の時点でさえも、磁気層に印加されてもよい。例えば、磁性粒子が磁気層内で回転することを可能にするように、磁気層が依然として湿潤している間に、磁場が印加されてもよい。制御可能に回転させられた後、磁性粒子は、適切な磁気異方性を呈してもよい。場合によっては、磁気層が基材を覆って形成された直後に、磁場が印加されてもよい。例えば、磁気記録媒体が、移動ウェブを覆って磁気層を被覆することによって製造されるとき、ウェブが磁気層を適用する被覆装置から退出した直後に、磁場が印加されてもよい。磁気層が定着し、乾燥し始める前に磁場を印加することによって、磁気層内の磁性粒子は、回転および磁気整列の影響をより受けやすくなり得る。結果として、形成された磁気記録媒体は、より強くてより均一な磁気異方性を呈してもよく、それは、データを記憶するために形成された磁気記録媒体上で利用可能な磁気マーク(例えば、情報のビットを示すために使用される領域)の数を増加させてもよい。
図4は、データトラック42、サーボトラック44、およびサーボトラック46を含むデータ記憶テープ40を図示する、概念図である。データ記憶テープ40は、図1−3の磁気テープ10または32の実施例であってもよい。本明細書で参照されるように、サーボマークは、読取りヘッドが媒体表面を通り越すにつれて感知することができる、連続形状である。時間ベースのサーボマークは、概して、線であるが、必ずしも直線ではなく、例えば、いくつかの実施例では、時間ベースのサーボマークは、ジグザグまたは曲線形状を有してもよい。磁気テープに関して、サーボマークは、概して、単一の電磁パルスを用いて、サーボヘッドの中の単一の書込み間隙によって書き込まれる。サーボマークという用語は、真っ直ぐであるサーボストライプを包含し、また、曲線サーボマークまたは他の形状を伴うサーボマークも含み、例えば、各サーボマークは、山形であってもよく、各サーボパターンは、入れ子になった一式の山形であってもよい。
サーボパターンは、複数のサーボマークを含む。単一の時間ベースのサーボパターンの中の複数のサーボマークは、読取りヘッドによるパターン内のサーボマークの検出間の時間測定を使用して、PESの計算を可能にする。概して、単一のサーボパターン内の全てのサーボマークは、サーボ書込み中のテープ速度の任意の不一致が、サーボパターン内のサーボマークの間隔に影響を及ぼさないように、単一の電磁パルスを使用して書き込まれる。本明細書で参照されるように、サーボフレームは、少なくとも1つのサーボパターンを含むが、サーボフレームはしばしば、1つよりも多くのサーボパターンを含む。実施例として、サーボトラック44は、サーボフレーム48A−48B(集合的に「フレーム48」を含む。サーボフレーム48の各々は、4つのサーボパターンを含む。1つよりも多くのサーボパターンを有する、サーボフレームの中のサーボパターンは、概して、サーボフレームの中の各サーボパターンに1つの電磁パルスを使用して、同一のサーボヘッドを用いて書き込まれる。例えば、サーボフレーム48の各々は、4つの電磁パルスを使用して書き込まれる。
サーボフレーム内の別個のサーボパターンの類似形状の隣接サーボマークは、概して、同一の書込み間隙を使用して書き込まれる。サーボフレーム内の別個のサーボパターンのこれらの共通形状の隣接サーボマークは、本明細書ではバーストと呼ばれる。バーストという用語は、ヘッドがバーストを構成するサーボマークを通り越すにつれて検出される信号を指す。例えば、サーボフレーム48Aは、バースト50A−50Bを含む。いくつかの実施例では、サーボフレームは、サーボマーク、サーボパターン、およびバーストが重複し得るように、重複してもよい。簡単にするために、いかなる重複サーボマーク、サーボパターン、バースト、またはサーボフレームも、図4に示されていない。
サーボフレーム48は各々、2つのサーボパターンを含み、各サーボパターンは、単一の線形マークを伴う4つのサーボマークを含む。例えば、バースト50Aの中の4つのマークは、線形である。サーボ帯域44の中のサーボパターンの全ては、同一のサーボ書込みヘッドによって書き込まれ、実質的に同一である。サーボトラック46はまた、2つのサーボフレーム49Aおよび49B(「フレーム49」)も含む。フレーム49の各々もまた、2つのサーボパターンを含む。サーボトラック44と同様に、サーボトラック46の中のサーボパターンの全ては、同一のサーボ書込みヘッドによって書き込まれ、同一である。サーボトラック44の中のサーボパターンは、サーボトラック46の中のサーボパターンに対して逆転されるものとして示される。しかしながら、他の実施例では、各サーボトラックは、同一または独特のサーボパターンを有してもよい。
サーボトラック44および46の中のサーボパターンは、サーボトラック44および46から既知の距離に存在する、データトラック42に対する読取りヘッドまたはデータヘッドの位置付けを促進する。ヘッド経路54Aおよび54B(「経路54」)のうちの1つに沿った読取りヘッドの場所は、各サーボパターンを形成するマークの検出間の時間を測定することによって決定される。サーボマーク52A−52B(「マーク52」)は、サーボフレーム14Aの中でサーボパターンを形成する。サーボマーク52は、それらの幾何学形状が、下方テープ方向に相互から単純に転置される以外に相互と異なるという点で、非同一幾何学形状を有する。例えば、交差テープ方向に対して異なる角度にある、2つの線形サーボマークが、図4に示されるように非同一幾何学形状を有する。同様に、交差テープ方向に対して異なる角度で同一の一般的形状を有する、2つの非線形サーボマーク、例えば、曲線サーボマークが、非同一幾何学形状を有する。対照的に、バーストの各サーボマーク、例えば、バースト50Aの4つのサーボマークは、典型的には、バーストの中の他のマークと同一の幾何学形状を有する。データ記憶テープ40が、ヘッド経路54Bに沿って位置する読取りヘッドを通り過ぎるにつれて、読取りヘッドは、最初に、サーボパターン52Aの第1のサーボマークを検出する。次いで、サーボフレーム49Aのサーボパターン52Bの第1のサーボマークが、読取りヘッドによって検出される。サーボパターン52Aの中の第1のサーボマークおよびサーボパターン52Bの第1のサーボマークの検出間の時間は、図4で「時間A」として示される。この測定から、サーボパターン52Aおよび52Bの間の距離が、読取りヘッドの経路の横方向位置の関数として変化するため、サーボトラック46内の読取りヘッドの位置を決定することができる。例えば、ヘッド経路54Bがデータトラック42により近い場合、時間Aは、より大きくなるであろう。同様に、ヘッド経路54Bがデータトラック42からより遠い場合、時間Aは、より短くなるであろう。
測定された時間Aとサーボトラック46内の読取りヘッドの位置との間の関係は、読取りヘッドを通り過ぎる際のデータ記憶テープ40のテープ速度に依存する。サーボトラック44および46に対するヘッド経路16の位置を特定することによって、データトラックに対する読取りヘッドの横方向設置誤差を識別するようにPESを生成することができる。PES計算は、単一のサーボパターンのみを必要とするのみであるが、サーボトラック内の複数のサーボパターンからのデータが、PESの精度を向上させるように組み合わせられてもよい。サーボトラック44の中のサーボパターンの各々は、相互と実質的に同一であり、サーボトラック46の中のサーボパターンもまた、相互と実質的に同一である。これは、同一のPES計算式が、サーボトラックの中の全てのサーボパターンに使用されてもよいことを意味する。
図5は、磁気記憶テープ92を使用したデータ記憶システム例78の概念図である。磁気テープ92は、本明細書で説明される磁気テープ10、32、および40のうちのいずれかの実施例であり、それと実質的に類似し得る。図5に示されるように、磁気記憶デバイス84が、磁気テープ92の構成、例えば、磁気記録媒体とともに使用されてもよい。磁気記憶デバイス84は、磁気テープドライブ、磁気テープカートリッジドライブ、または同等物を備えてもよい。磁気テープ92は、1つ以上のスプール94Aおよび94B(集合的に「スプール94」)上に巻き取られてもよい。スプール94は、カートリッジに収納されてもよいが、本開示は、その点に関して限定されない。
磁気テープ92は、垂直方向磁気テープを備えてもよく、基材、下層、磁気層、および他の層を含んでもよい。読取り/書込みヘッド86は、磁気ヘッドであり、電磁気遷移、すなわち、テープ94の磁気層内の磁性粒子の磁気配向間の変化を検出するように設置されてもよい。磁気遷移は、磁気配向変化から読取り信号の変化として検出されてもよいが、読取り/書込みヘッド86はまた、いくつかの実施例では、検出された信号に基づいて磁気層の磁気配向を検出することができてもよい。コントローラ88は、テープ92に対して読取り/書込みヘッド86を正確に設置するようにスプール94Aおよび/または94Bを旋回させること等によって、読取り/書込みヘッド86の設置ならびにテープ92の移動を制御する。図4で説明されるように、コントローラ88は、磁気テープ92のデータトラックを覆って読取り/書込みヘッド86を設置するために、1つ以上のサーボトラックの中の検出されたサーボパターンを利用してもよい。信号プロセッサ90は、検出された磁気遷移を解釈する。
図5の磁気記憶デバイス84はまた、インターフェース82を介してコンピュータ80に連結されてもよい。コンピュータ80は、例えば、PC、Macintosh、コンピュータワークステーション、手持ち式データ端末、手のひらサイズのコンピュータ、携帯電話、デジタル紙、デジタルテレビ、無線デバイス、携帯情報端末、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、デジタルカメラ、デジタル記録デバイス、または同等物を含む、種々のコンピュータデバイスのうちのいずれかの中央処理装置を備えてもよい。コンピュータ80は、信号プロセッサ90からの出力信号をデータとして解釈し、磁気テープ92上に記憶されたデータがコンピュータ80および/またはユーザによって使用可能であるように、付加的な計算およびプロセスを行ってもよい。コンピュータ80から磁気テープ92へ記憶される情報はしばしば、コンピュータ80の別の記憶デバイス(例えば、ハードドライブ)に記憶された情報のバックアップコピーである。
図5で図示されるデバイスに加えて、磁気テープ92は、他の種類の記憶デバイスとともに機能するように構成されてもよい。例えば、磁気テープ92は、T10000、LTO3、LTO4、LTO5、Quantum S5、Quantum S6、3592、または他の好適に設計された磁気記録テープドライブとともに使用するため等、高密度記録用途で使用するために構成することができる。
図6Aおよび6Bは、サーボマークを伴う実質的に長手方向の磁気配向でのバイアス例の概念図、および対応する読み出し信号136のグラフを図示する。磁気テープ100および116は、例えば、磁気テープ10の実施例である。図6Aに示されるように、磁気テープ100の反対側に位置する逐次磁気ヘッド110および112が、磁気テープ100に実質的に長手方向のバイアスを作成するために使用される。磁気テープ100は、磁気層103に作成されたバイアスを伴って、基材102および磁気層103を含む。磁気テープ100が、磁気ヘッド110および112付近を通過するように矢印114の方向に移動させられるにつれて、実質的に長手方向の磁気配向(または実質的に長手方向での残留磁化)を伴うバイアスが、磁気層103に作成される。
図6Aで磁気配向を示す全ての矢印は、垂直方向成分および長手方向成分に限定される。言い換えれば、垂直方向成分の部分106の中の矢印は、磁気層103の中の磁気配向での垂直方向成分が、例えば、0度で、基材102から離れるように方向付けられることのみを示す。したがって、長手方向成分の部分104の中の矢印は、磁気層103の中の磁気配向の長手方向成分が、例えば、90度で、矢印114と同一の方向に方向付けられることを示す。したがって、ヘッド110と112との間の磁気層103内の全体的な磁気配向が、例えば、方向八分円IまたはII内にあるだろう。垂直方向成分の大きさが長手方向成分の大きさよりも大きい場合には、全体的な磁気配向が方向八分円I内にあってもよい。逆に、長手方向成分の大きさが垂直方向成分の大きさよりも大きい場合には、全体的な磁気配向が方向八分円II内にあってもよい。磁気配向の垂直方向成分と長手方向成分との分離は、磁気テープの磁気配向または残留磁化をより明確に表すために本明細書で使用される。
第1に、磁気テープ100が、磁場111を生成しているヘッド110を通り過ぎる。同様に垂直方向および長手方向成分を使用して示される、磁場111の矢印は、磁場111の一般的方向を示す。磁気テープ100に印加される磁場111の第1の部分は、基材102に向かって方向付けられる。磁場111の中間部分は、矢印114の方向に磁気テープ100に沿って方向付けられる。磁気テープ100に印加される磁場111の最後の部分は、基材102から離れるように方向付けられる。磁場111のこの最後の部分が、磁気層103に最後の影響を及ぼすため、垂直方向成分の部分106は、作成された磁気配向の垂直方向成分が基材102から離れるように方向付けられることを示す。加えて、磁気層103は、長手方向成分の部分104として図示される、磁場111の中間部分によって作成される長手方向成分を含み、磁気テープ100がヘッド110を通り過ぎた後の磁気配向内に残留する。
第2に、磁気テープ100は後に、磁場113を生成しているヘッド112を通り過ぎる。垂直方向および長手方向成分を使用して示される磁場113の矢印は、磁場113の一般的方向を示す。磁場113は、磁気テープ100の磁場111とは反対の側面に印加されるが、磁場111および113は、矢印114に向かって磁気テープ100に沿った同一の一般的方向に方向付けられる。磁気テープ100に印加される磁場113の第1の部分は、基材102に向かって方向付けられる。磁場113の中間部分は、矢印114の方向に磁気テープ100に沿って方向付けられる。磁気テープ100に印加される磁場113の最後の部分は、基材102から離れるように方向付けられる。磁場113のこの最後の部分が、磁気層103に最後の影響を及ぼすため、いかなる矢印も伴わない垂直方向成分の部分108は、垂直成分が実質的にゼロであることを示す。磁場113の最後の部分は、磁場111の後の磁気層103内に残留する垂直方向成分と反対になるように調整することができる。言い換えれば、磁場113を通過した後の磁気層103の全体的な磁気配向は、テープ100の移動方向において実質的に長手方向であり、例えば、約90度である。したがって、ヘッド110および112を通り過ぎた後の磁気テープ100のバイアス(例えば、磁気配向または残留磁化)は、実質的に長手方向である。
いくつかの実施例では、磁気ヘッド110および112の位置は、磁気テープ100が磁気ヘッド110の前に磁気ヘッド112付近を通過するように、切り替えられてもよい。他の実施例では、反対方向での長手方向のバイアスは、磁場111および113の両方の方向を切り替えること、または矢印114とは反対に磁気テープ100を移動させることによって作成されてもよい。磁場111および113は、磁気層103へのそれらの影響を例示するように、垂直方向または長手方向成分のみを用いて単純化される。実践では、磁場111および113は、概して、各々、磁気ヘッド110および112によって生成される、弓状または馬蹄形状を有してもよい。したがって、磁場111および113は、いくつかの実施例では、磁場の大部分を通して垂直方向または長手方向成分の両方を伴う配向を有してもよい。
図6Bに示されるように、サーボヘッド134は、1つ以上のサーボマークを伴う磁気テープ116を生成するように、磁場135を磁気テープ100に印加する。サーボヘッド134(磁気ヘッドの実施例)は、磁気テープ116の磁気層側に設置されるが、サーボヘッド134は、他の実施例では、基材102の側面上に設置されてもよい。磁気テープ116がサーボヘッド134付近を通過させられる前に、磁気テープ116は、垂直方向成分の部分124によって示されるような垂直方向成分を実質的に伴わず、長手方向成分の部分118によって示されるような長手方向成分のみを伴う磁気配向を含む。サーボヘッド134が磁場135を磁気層103に印加するとき、磁場135は、図6Aからの以前に作成されたバイアスを伴って、いくつかの磁性粒子の磁気配向を変化させる。
磁場135が、移動する磁気テープ116の磁気層103に印加されるにつれて、磁気配向または残留磁化は、磁気テープ116のある領域で変化する。磁場135の前縁部、すなわち、基材102から離れるように方向付けられた磁場135の部分が、磁性粒子を基材102から離れるように方向付けさせ、垂直方向成分の部分126を作成する。磁場135の後縁部、すなわち、基材102に向かって方向付けられた磁場135の部分が、磁性粒子を基材102に向かって方向付けさせ、垂直方向成分の部分130を作成する。磁場135の中間部分が実質的に長手方向の方向を有するため、垂直方向成分の部分128は、実質的にゼロのままである。
矢印114によって示されるテープ移動の方向とは反対である、実質的に長手方向の方向を伴う磁場135の中央は、長手方向成分の部分120によって示されるような長手方向成分の方向を変化させる。言い換えれば、書き込まれたサーボマークの全体的な磁気配向は、約270度であり、書き込まれていない領域中の残りのバイアスの全体的な磁気配向は、約90度である。例えば、磁場135が磁気テープ116のこの領域に印加されなかったため、長手方向成分の部分122は、約90度で不変のままであり、垂直方向成分の部分132は、約ゼロの大きさで不変のままである。したがって、サーボマーク、およびサーボマークを含むサーボパターンは、磁気テープ116上のバイアスの磁気配向と実質的に反対の磁気配向を有する。残りのバイアスはまた、サーボトラックの非パターン化域と呼ばれてもよい。他の実施例では、磁場135が、より長い期間、例えば、より長いパルスにわたって、磁気テープ116に印加されてもよいため、垂直方向成分の部分126および128ならびに長手方向成分の部分120は、磁気テープ116のより大きい長さを覆ってもよい。
図6Bはまた、読取りヘッドによって検出された磁気テープ116の磁気配向の読み出し信号例136も図示する。読み出し信号136の振幅138は、磁気層103内の粒子の磁気配向が磁気テープ116の長さにわたって変化するにつれて変化する。パルス140および142は、磁気テープ116のサーボマークとバイアスとの間の磁気配向の変化を示す。概して、パルス140および142の間のより大きい振幅は、パルス間のより小さい差があった場合に別様に達成されるであろう信号対雑音比よりも高い比を生成するために望ましい。
図7Aおよび7Bは、垂直方向磁気配向でのバイアスおよびサーボパターン例の概念図、および対応する読み出し信号180のグラフを図示する。磁気テープ146および164は、例えば、磁気テープ10の実施例である。図7Aおよび7Bは、長手方向のバイアスの代わりに垂直方向バイアスが作成されることを除いて、図6Aおよび6Bに類似する。図7Aに示されるように、反対方向に磁場161および163を伴う逐次磁気ヘッド160および162が、磁気テープ146に実質的に垂直なバイアスを作成するように、磁気テープ146の反対側に位置する。磁気テープ146は、磁気層149に作成されたバイアスを伴って、基材148および磁気層149を含む。磁気テープ146が、磁気ヘッド160および162付近を通過するように矢印114の方向に移動させられるにつれて、垂直方向磁気配向を伴うバイアスが、磁気層149に作成される。
図6Aおよび6Bと同様に、図7Aで磁気配向を示す全ての矢印は、垂直方向成分および長手方向成分に限定される。言い換えれば、垂直方向成分の部分154の中の矢印は、磁気層149の中の磁気配向における垂直方向成分が、例えば、0度で、基材148から離れるように方向付けられることのみを示す。したがって、長手方向成分の部分150の中の矢印は、磁気層149の中の磁気配向の長手方向成分が、例えば、90度で、矢印114と同一の方向に方向付けられることを示す。したがって、ヘッド160および162の間の磁気層149内の全体的な磁気配向が、例えば、方向八分円IまたはII内にあるだろう。垂直方向成分の大きさが長手方向成分の大きさよりも大きい場合には、全体的な磁気配向が方向八分円I内にあってもよい。逆に、長手方向成分の大きさが垂直方向成分の大きさよりも大きい場合には、全体的な磁気配向が方向八分円II内にあってもよい。磁気配向の垂直方向成分と長手方向成分との分離は、磁気テープの磁気配向または残留磁化をより明確に表すために本明細書で使用される。
第1に、磁気テープ146が、磁場161を生成しているヘッド160を通り過ぎる。同様に垂直方向および長手方向成分を使用して示される、磁場161の矢印は、磁場161の一般的方向を示す。磁気テープ146に印加される磁場161の第1の部分は、基材148に向かって方向付けられる。磁場161の中間部分は、矢印114の方向に磁気テープ146に沿って方向付けられる。磁気テープ146に印加される磁場160の最後の部分は、基材148から離れるように方向付けられる。磁場161のこの最後の部分が、磁気層149に最後の影響を及ぼすため、垂直方向成分の部分154は、作成された磁気配向の垂直方向成分が基材148から離れるように方向付けられることを示す。加えて、磁気層149は、長手方向成分の部分150として図示される、磁場161の中間部分によって作成される長手方向成分を含み、磁気テープ146がヘッド160を通り過ぎた後の磁気配向内に残留する。
第2に、磁気テープ146は後に、磁場163を生成しているヘッド162を通り過ぎる。垂直方向および長手方向成分を使用して示される磁場163の矢印は、磁場163の一般的方向を示す。磁場163は、磁気テープ146の磁場161とは反対の側面に印加され、磁場163は、概して、磁場161の反対方向に、かつ矢印114とは反対に、磁気テープ146に沿って方向付けられる。磁気テープ146に印加される磁場163の第1の部分は、基材148から離れるように方向付けられ、垂直方向部分156によって示されるように、基材148に向かって垂直方向成分を作成する。磁場163の中間部分は、矢印114の反対方向に磁気テープ146に沿って方向付けられる。この反対磁場は、長手方向成分の部分152の中に矢印がないことによって示されるように、任意の長手方向成分をゼロまで低減させるように調整することができる。磁気テープ146に印加される磁場163の最後の部分は、基材148に向かって方向付けられる。磁場163のこの最後の部分はまた、磁気層149に最後の影響を及ぼすため、垂直方向成分の部分158は、垂直方向成分が基材148から離れるように方向付けられることを示すように、基材148から離れて指し示す矢印を含む。磁場163の最後の部分は、磁場163の第1の部分または前縁部から、磁気層149に作成された垂直方向成分を反転させた。言い換えれば、磁場163を通過した後の磁気層149の全体的な磁気配向または残留磁化は、テープ146の移動方向において実質的に垂直であり、例えば、約0度である。
したがって、ヘッド160および162を通過した後の磁気テープ146のバイアス(例えば、磁気配向または残留磁化)は、実質的に垂直であるか、あるいは八分円IまたはVIIIのうちの1つの中で配向される。いくつかの実施例では、実質的に垂直な配向は、複数の磁性粒子の各々の長手方向成分が、複数の磁性粒子の各々の垂直方向成分よりも実質的に小さいことを示す。他の実施例では、実質的に垂直な配向は、複数の磁性粒子の各々の長手方向成分が実質的にゼロであることを示す。
磁気テープ164の実施例で示されるように、サーボパターン内の磁性粒子の少なくとも一部分の磁気配向174は、実質的に基材に向かって配向され、磁気バイアスの非パターン化域内の磁性粒子の磁気配向176は、実質的に基材148から離して配向される。代替として、サーボパターン内の磁性粒子の少なくとも一部分の磁気配向は、実質的に基材148に向かって配向されてもよく、磁気バイアスの非パターン化域内の磁性粒子の磁気配向は、実質的に基材148に向かって配向されてもよい。いずれか一方の実施例では、磁気テープ164内の磁性粒子の大部分の磁気配向は、基材148に実質的に垂直であり得る。
図7Aに示されるように、残留磁化の方向、例えば、磁気配向158のバイアスまたは方向は、基材148に実質的に垂直である。基材148に実質的に垂直であるために、磁気配向158は、基材148と少なくとも45度の角度を形成してもよい。他の実施例では、磁気配向158は、基材と少なくとも60度の角度を形成してもよい。しかしながら、45度以上の形成される任意の角度が、実質的に垂直と見なされてもよい。
代替として、磁気配向158の残留磁化は、基材148に垂直な垂直方向成分、および基材に平行な長手方向成分を有してもよい。長手方向成分は、垂直方向成分と比べて大きさが50パーセント未満であってもよく、または他の実施例では、長手方向成分は、垂直方向成分と比べて大きさが25パーセント未満、または10パーセント未満でさえある。
いくつかの実施例では、磁気ヘッド160および162の位置は、磁気テープ146が磁気ヘッド160の前に磁気ヘッド162付近を通過するように切り替えられてもよい。他の実施例では、基材148がヘッド162の代わりにヘッド160のより近くを通過するように、磁場161および163の両方の方向を切り替えること、または磁気テープ146を反転させることによって、反対方向での(例えば、基材148に向かった)垂直方向バイアスが作成されてもよい。
図7Bに示されるように、サーボヘッド178は、1つ以上のサーボマークを伴う磁気テープ164を生成するように、磁場179を磁気テープ146に印加する。磁気ヘッドである、サーボヘッド178は、磁気テープ164の磁気層側に設置されるが、サーボヘッド178は、他の実施例では、基材148側に設置されてもよい。磁気テープ164がサーボヘッド178付近を通過させられる前に、磁気テープ164は、長手方向成分の部分166によって示されるような長手方向成分を実質的に伴わず、垂直方向成分の部分172によって示されるような垂直方向成分の部分172のみを伴う磁気配向を含む。サーボヘッド178が磁場179を磁気層149に印加するとき、磁場179は、図7Aからの以前に作成されたバイアスを伴って、いくつかの磁性粒子の磁気配向を変化させる。
磁場179が、移動する磁気テープ164の磁気層149に印加されるにつれて、磁気配向は、磁気テープ164のある領域で変化する。これは、磁場179のパターンが磁気ヘッド178の異なる場所で異なる配向を含み得るため起こる。磁場179の前縁部、すなわち、基材148から離れるように方向付けられた磁場179の部分が、磁性粒子を基材102から離れるように方向付けさせ、垂直方向成分の部分126を作成する。しかしながら、磁場174の後縁部、すなわち、基材148に向かって方向付けられた磁場179の部分が、磁性粒子を基材148に向かって方向付けさせ、垂直方向成分の部分172および176とは反対の垂直方向成分の部分174を作成する。磁場179の中央は、長手方向成分の部分168によって示されるような矢印114と反対の長手方向成分を作成する、実質的に長手方向の方向を有する。
基材148に向かった実質的に垂直な方向を伴う磁場179の後縁部は、垂直方向成分の部分174によって示されるような垂直方向成分の方向を変化させる。言い換えれば、書き込まれたサーボマークの全体的な磁気配向が、約180度の配向を含む一方で、書き込まれていない領域中の残りのバイアスの全体的な磁気配向は、約0度である。例えば、磁場179が磁気テープ164のこの領域に印加されなかったため、垂直方向成分の部分172は、約0度で不変のままであり、長手方向成分の部分170は、約ゼロの大きさで不変のままである。したがって、サーボマーク、およびサーボマークを含むサーボパターンは、磁気テープ164上のバイアスの磁気配向と実質的に反対の磁気配向を有する。残りのバイアスはまた、サーボトラックの非パターン化域と呼ばれてもよい。他の実施例では、磁場179が、より長い期間、例えば、より長いパルスにわたって、磁気テープ164に印加されてもよいため、垂直方向成分の部分174および長手方向成分の部分168は、磁気テープ164のより大きい長さを覆ってもよい。
図7Bはまた、読取りヘッドによって検出された磁気テープ164の磁気配向の読み出し信号例180も図示する。読み出し信号180の振幅182は、磁気層149内の粒子の磁気配向が磁気テープ164の長さにわたって変化するにつれて変化する。パルス184および186は、磁気テープ164のサーボマークとバイアスとの間の磁気配向の変化を示す。概して、パルス184および186の間のより大きい振幅は、パルス間のより小さい差があった場合に別様に達成されるであろう信号対雑音比よりも高い比を生成するために望ましい。
図8は、磁気記憶テープの一部分に作成することができるバイアスの種々の磁気配向の説明図である。図8に示されるように、磁気テープ210A、218A、226A、および234Aは、図2Aで説明されるように、方向八分円I、IV、V、およびVIIIのうちの1つの中に作成された残留磁化を伴う、磁気バイアスのゼロではない垂直方向および長手方向成分値を図示する。八分円I、IV、V、およびVIIIの残留磁化は、対応する長手方向成分よりも実質的に大きい垂直方向成分を有してもよいが、八分円II、III、VI、およびVIIの中の残留磁化が、より大きい長手方向成分が所望されるときに作成されてもよい。磁気テープ210B、218B、226B、および234Bは、磁気テープの磁気層内の複数の磁性粒子の全体的な磁気配向または残留磁化を図示する。磁気テープ242Aおよび242Bは、交流電流を使用した、磁性粒子のランダムな磁気配向または最小の残留磁化を図示する。磁気テープ210A、210B、218A、218B、226A、226B、234A、234B、242A、および242Bの全ては、磁気テープ10に類似し、図2Aで説明されるように、左側に、または90度方向に駆動されるものとして表される。これらのバイアスのうちのいずれかは、バイアス上に1つ以上のサーボパターンを書き込む前に、磁気テープの大部分にわたって、例えば、1つ以上のサーボトラックにわたって作成されてもよい。
磁気テープ210Aは、方向八分円Iの中に残留磁化を有する磁気層を覆って形成される、基材212を含む。磁気層内の磁性粒子の磁気配向は、長手方向成分の部分214および垂直方向成分の部分216によって図示される。長手方向成分の部分214は、長手方向成分が90度方向にあることを示す矢印を提供する。垂直方向成分の部分216は、垂直方向成分が基材212から離れるように方向付けられるか、または0度方向にあることを示す矢印を提供する。したがって、磁気テープ210Bは、磁気配向254が方向八分円Iの中にあることを示す矢印を含む、磁気配向254を提供する。
磁気テープ218Aは、方向八分円Vの中に残留磁化を有する磁気層を覆って形成される、基材220を含む。磁気層内の磁性粒子の磁気配向は、長手方向成分の部分222および垂直方向成分の部分224によって図示される。長手方向成分の部分222は、長手方向成分が270度方向にあることを示す矢印を提供する。垂直方向成分の部分224は、垂直方向成分が基材220から離れるように方向付けられるか、または180度方向にあることを示す矢印を提供する。したがって、磁気テープ218Bは、磁気配向260が方向八分円Vの中にあることを示す矢印を含む、磁気配向260を提供する。
磁気テープ226Aは、方向八分円VIIIの中に残留磁化を有する磁気層を覆って形成される、基材228を含む。磁気層内の磁性粒子の磁気配向は、長手方向成分の部分230および垂直方向成分の部分232によって図示される。長手方向成分の部分230は、長手方向成分が270度方向にあることを示す矢印を提供する。垂直方向成分の部分232は、垂直方向成分が基材228から離れるように方向付けられるか、または0度方向にあることを示す矢印を提供する。したがって、磁気テープ226Bは、磁気配向266が方向八分円VIIIの中にあることを示す矢印を含む、磁気配向266を提供する。
磁気テープ224Aは、方向八分円IVの中に残留磁化を有する磁気層を覆って形成される、基材236を含む。磁気層内の磁性粒子の磁気配向は、長手方向成分の部分238および垂直方向成分の部分240によって図示される。長手方向成分の部分238は、長手方向成分が90度方向にあることを示す矢印を提供する。垂直方向成分の部分240は、垂直方向成分が基材236に向かって方向付けられるか、または180度方向にあることを示す矢印を提供する。したがって、磁気テープ234Bは、磁気配向272が方向八分円IVの中にあることを示す矢印を含む、磁気配向272を提供する。
磁気テープ242Aおよび242Bは、交流電流を使用した、磁性粒子のランダムな磁気配向または実質的にゼロの残留磁化を図示する。磁気テープ242Aは、方向八分円のうちの2つ以上の中でランダム化される磁気配向を有する磁気層を覆って形成される、基材244を含む。磁気層の全体的な残留磁化がないため、長手方向成分の部分246および垂直方向成分の部分248は、影付きの領域として図示される。したがって、磁気テープ242Bは、磁気層内の磁性粒子のランダムな配向を示す矢印を含む、磁気配向278を提供する。各矢印は、各別個の磁性粒子を表さなくてもよいが、各矢印は、磁気テープ242Bのその領域中の少なくとも1つの磁性粒子の磁気配向を図示する。図8の他の磁気テープと異なり、1つ以上の粒子の磁気配向は、ゼロではない長手方向または垂直方向成分値を有してもよい。磁気テープ242Aおよび242Bのランダム化磁気配向バイアスは、いくつかの実施例では、任意の所望の方向八分円の中にサーボパターンを書き込むために使用されてもよい。
図8に示されるように、磁気テープ210B、218B、226B、および234Bは、基材に実質的に垂直である方向で残留磁化を有する。言い換えれば、残留磁化は、方向八分円I、IV、V、またはVIIIのうちの1つの中で方向付けられる。このようにして、方向八分円I、IV、V、またはVIIIのうちの1つの中の残留磁化の垂直方向成分は、対応する長手方向成分よりも大きくてもよい。いくつかの実施例では、垂直方向成分は、長手方向成分よりも75パーセント、または90パーセントさえ大きくてもよい。典型的には、磁気バイアスは、サーボマークの残留磁化の八分円とは略反対の八分円の中にあってもよい。このようにして、例えば、磁気テープは、方向八分円Iに磁気バイアスを、および方向八分円IVまたはVのいずれか一方に残留磁化を伴うサーボマークを含んでもよい。
他の実施例では、磁気テープは、方向八分円II、III、VI、またはVIIのうちの1つの中の方向とともに、実質的に長手方向の残留磁化を利用してもよい。これらの方向八分円では、長手方向成分は、垂直方向成分よりも75パーセントまたは90パーセントさえ大きくてもよい。このようにして、バイアスおよびサーボマークの残留磁化は、実質的に長手方向であり得る。一実施例では、磁気テープは、方向八分円IIの中で配向を伴うバイアス、および反対の方向八分円VIの中で残留磁化を伴うサーボマークを有してもよい。これらの実質的に長手方向の磁化が考慮されるが、実質的に垂直な方向を伴う残留磁化のみが、図9A−13Bで実施例として提供される。
図9Aおよび9Bは、対応する読み出し信号のグラフとともに、方向八分円Iの中に残留磁化を伴う磁気バイアスを含む、磁気媒体例の概念図を図示する。図9Aに示されるように、磁気テープ280は、磁気テープ10の実施例である。図9Aに示されるように、磁気テープ280は、図8からの磁気テープ210Aの方向八分円Iの中で磁気バイアスに書き込まれた1つ以上のサーボパターンを含む。1つ以上のサーボパターンは、方向八分円IVの中に残留磁化を伴って書き込まれる。
磁気ヘッド290、例えば、サーボ書込みヘッドが、磁気テープ280に以前に作成された磁気バイアスにわたって、サーボパターン、すなわち、いくつかのサーボマークを作成するために使用される。磁気テープ280が、磁気ヘッド290付近を通過するように矢印292の方向に移動させられるにつれて、サーボマークが磁気テープ280の磁気層内に作成される。
図9Aで磁気配向を示す全ての矢印は、垂直方向成分および長手方向成分に限定される。言い換えれば、垂直方向成分の部分284の中の矢印は、磁気層内の磁気配向の垂直方向成分が、例えば、90度で、基材から離れるように方向付けられることのみを示す。したがって、長手方向成分の部分282の中の矢印は、磁気層内の磁気配向の長手方向成分が、例えば、0度で、矢印292と同一の方向に方向付けられることを示す。磁気層内の全体的な磁気配向は、磁気バイアスにおいて方向八分円I、およびサーボパターンにおいて方向八分円IV内にあるだろう。磁気配向の垂直方向および長手方向成分の分離は、磁気テープおよび磁場の磁気配向をより明確に表すために本明細書で使用される。しかしながら、図9Bは、長手方向および垂直方向成分を使用することなく、全体的な磁気方向の方向を図示する。
磁気テープ280にサーボパターンを作成するために、磁気テープ280は、磁場291を生成している磁気ヘッド290を過ぎるまで駆動される。垂直方向および長手方向成分を使用して示される、磁場291の矢印は、磁場291の一般的方向を示す。概して、磁場291は、磁気バイアスを作成するために使用される磁場と同一の方向にある。磁気テープ280に印加される磁場291の第1の部分は、磁気テープ280に向かって方向付けられる。磁場291の中間部分は、矢印292の方向に磁気テープ280に沿って方向付けられる。磁気テープ280に印加される磁場291の最後の部分は、基材から離れるように方向付けられる。磁場291のこの最後の部分が、磁気テープ280に最後の影響を及ぼすため、垂直方向成分の部分284は、磁気バイアスの垂直方向成分が方向八分円Iの中で維持されることを示す。
磁場291が磁気テープ280に印加されるにつれて、磁場291の前縁部は、垂直方向成分の部分286で示されるような磁性粒子の垂直方向成分を切り替える。このようにして、垂直方向成分の部分286は、方向八分円IVの中でサーボマークの異なる磁気配向を画定する。垂直方向成分の部分288は、以前に作成された磁気バイアスの一部として磁気テープ上に残留する。
図9Aはまた、読取りりヘッドによって検出された磁気テープ280の磁気配向の読み出し信号例294も図示する。読み出し信号294の振幅296は、磁気層内の粒子の磁気配向が、磁気テープ280の長さにわたって磁気バイアスとサーボパターンとの間で変化するにつれて変化する。パルス298、例えば、単極性パルスは、磁気バイアスの方向八分円Iとサーボマークの方向八分円IVとの間の磁気配向の変化を示す。
図9Bに示されるように、図9Aで提供される長手方向および垂直方向成分を使用する代わりに、磁気テープ280の全体的な残留磁化が図示される。言い換えれば、全体的な残留磁化は、磁場の磁力線またはパターンに類似し得る。磁気テープ280は、図8の磁気テープ210Bで図示される磁気配向で示される。磁気ヘッド290は、磁気テープ280が矢印292の方向に磁気ヘッド290を過ぎるまで駆動されるとき、磁気テープ280に印加される磁場307を生成する。磁気ヘッド290は、磁気バイアスを作成するために使用される磁場と同一の磁気テープ280の側面から磁場307を印加してもよい。概して、磁場307は、弓状または馬蹄形状を有するものとして表されてもよい。
磁場307の前縁部は、方向八分円IVの中で磁気配向302を作成し、磁場307の後縁部は、概して、方向八分円Iの中でバイアスの磁気配向300を回復させる。磁気配向304は、磁気テープ280のその部分が磁場307の影響を受けていないため、方向八分円Iの中に残留する。したがって、サーボマークは、磁気バイアスの方向八分円Iの略反対である方向八分円IVの中に磁気配向を含む。加えて、図9Bで図示されるサーボマークは、方向八分円IVの中に第1の磁気配向、および方向八分円Iの中に第2の磁気配向を有するものとして表されてもよい(例えば、サーボマークは、非パターン域のバイアスと実質的に同一の方向に磁気配向または残留磁化を含んでもよい)。予想されるように、読み出し信号308は、図9Aの読み出し信号294に類似する。読み出し信号294は、磁気バイアスとサーボマークとの間の方向八分円内の変化に対応する、振幅310およびパルス312(例えば、単極性パルス)を含む。
図9Aおよび9Bによれば、磁気テープ280は、基材と、50パーセントよりも大きい垂直方向直角度および50パーセント未満の長手方向直角度を有する磁気層とを含む。磁気層のサーボトラックはまた、サーボパターンと、非パターン域とを含む。サーボパターンは、基材と直角な垂直方向面23に隣接する方向八分円IVの中にパターン残留磁化を伴う複数のサーボマークを含む。非パターン域、例えば、磁気バイアスは、同様に垂直方向面23に隣接する方向八分円Iの中に非パターン残留磁化を含む。八分円IおよびIVは、垂直方向面23の同一側にあり、八分円IおよびIVは、長手方向面21の反対側にある。言い換えれば、八分円IおよびIVの垂直方向成分は、反対方向にあり、八分円IおよびIVの長手方向成分は、同一方向にある。
八分円IおよびIVの中の残留磁化は、サーボマークの各々を識別する読取りヘッドを用いて、読み出し信号308(例えば、サーボ信号)を生成するように構成されてもよい。信号308は、磁気テープ280の残留磁化がバイアス磁化垂直方向成分と反対である垂直方向成分を有し、残留磁化がバイアス磁化長手方向成分と一致するか、またはそれと同一方向に長手方向成分を有するときに、実質的に単極性のパルス312とともに振幅310(例えば、波形)を含んでもよい。
図10Aおよび10Bは、対応する読み出し信号のグラフとともに、方向八分円Vの中に磁気バイアスを含む、磁気媒体例の概念図を図示する。図10Aに示されるように、磁気テープ314は、磁気テープ10の実施例である。図10Aに示されるように、磁気テープ314は、図8からの磁気テープ218Aの方向八分円Vの中で磁気バイアスに書き込まれた1つ以上のサーボパターンを含む。1つ以上のサーボパターンは、磁気バイアスの方向八分円Vと略反対である、方向八分円IおよびIVの中に書き込まれる。
磁気ヘッド328、例えば、サーボ書込みヘッドが、磁気テープ314に以前に作成された磁気バイアスにわたって、サーボパターン、すなわち、いくつかのサーボマークを作成するために使用される。磁気テープ314が、磁気ヘッド328付近を通過するように矢印292の方向に移動または駆動されるにつれて、サーボマークが磁気テープ314の磁気層内に作成される。
図9Aと同様に、図10Aで磁気配向を示す全ての矢印は、垂直方向成分および長手方向成分に限定される。垂直方向成分の部分322の中の矢印は、磁気層内の磁気配向の垂直方向成分が、例えば、270度で、基材に向かって方向付けられることのみを示す。したがって、長手方向成分の部分316の中の矢印は、磁気層内の磁気配向の長手方向成分が、例えば、180度で、矢印292と反対の方向に方向付けられることを示す。したがって、磁気層内の全体的な磁気配向は、磁気バイアスにおいて方向八分円V、およびサーボパターンにおいて方向八分円I内にあるだろう。磁気配向の垂直方向および長手方向成分の分離は、磁気テープおよび磁場の磁気配向をより明確に表すために本明細書で使用される。しかしながら、図10Bは、長手方向および垂直方向成分を使用することなく、全体的な磁気方向の方向を図示する。
磁気テープ314にサーボパターンを作成するために、磁気テープ314は、磁場329を生成している磁気ヘッド328を過ぎるまで駆動される。垂直方向および長手方向成分を使用して示される、磁場329の矢印は、磁場329の一般的方向を示す。磁場329は、テープ218Aの磁気バイアスを作成するために使用される磁場と反対の方向に生成されてもよい。磁気テープ314に印加される磁場329の第1の部分は、磁気テープ314に向かって方向付けられる。磁場329の中間部分は、矢印292の方向に磁気テープ280に沿って方向付けられる。磁気テープ314に印加される磁場329の最後の部分は、基材から離れるように方向付けられる。磁場329のこの最後の部分が、磁気テープ314に最後の影響を及ぼすため、垂直方向成分の部分324は、全体的な残留磁化が方向八分円Iの中にあるように、磁気配向の垂直方向成分が変化させられることを示す。
磁場329が磁気テープ314に印加されるにつれて、磁場329の前縁部は、垂直方向成分の部分326を維持する。しかしながら、磁場329の中間部分は、長手方向成分の部分320の中の反対の矢印292から長手方向成分の部分318の中の矢印292へ、部分318の中の長手方向成分を切り替える。このようにして、垂直方向成分の部分324および長手方向成分の部分318は、方向八分円IVおよびIの両方の中でサーボマークの異なる磁気配向を画定する。垂直方向成分の部分322および長手方向成分の部分316は、以前に作成された磁気バイアスの一部として磁気テープ314上に残留する。
図10Aはまた、読取りヘッドによって検出された磁気テープ314の残留磁化の読み出し信号例330も図示する。読み出し信号330の振幅322は、磁気層内の粒子の磁気配向が、磁気テープ314の長さにわたって磁気バイアスとサーボパターンとの間で変化するにつれて変化する。パルス334は、磁気バイアスの方向八分円Vと、垂直方向成分の部分324を含むサーボマークの方向八分円Iとの間の磁気配向の変化から、振幅の最大変化を提供する。長手方向成分の部分318から長手方向成分の部分320への変化、例えば、方向八分円VおよびIVを示すパルス336は、パルス334よりも小さい振幅変化を提供する。ともに、パルス334および336は、両極性パルスとして表されてもよい。
図10Bに示されるように、図10Aで提供される長手方向および垂直方向成分を使用する代わりに、磁気テープ314の全体的な残留磁化が図示される。磁気テープ314は、図8の磁気テープ218Bで図示される磁気配向で示される。磁気ヘッド328は、磁気テープ314が矢印292の方向に磁気ヘッド328を過ぎるまで駆動されるにつれて、磁気テープ314に印加される磁場347を生成する。磁気ヘッド328は、磁気バイアスを作成するために使用される磁場と同一の磁気テープ314の側面から磁場347を印加してもよい。概して、磁場347は、弓状または馬蹄形状を有するものとして表されてもよい。
磁場347の前縁部は、方向八分円IVの中で磁気配向342を作成し、磁場347の後縁部は、方向八分円Iの中で磁気配向340を作成する。したがって、磁場によって作成されるサーボマーク全体は、磁気バイアスとは異なる八分円の中で残留磁化を有する。磁気配向338および344は、磁気テープ314のその部分が磁場347の影響を受けていないため、方向八分円Vの中に残留する。したがって、サーボマークは、磁気バイアスの方向八分円(すなわち、方向八分円V)と反対側の方向八分円Iの中に磁気配向、および方向八分円IVの中に磁気配向を含む。加えて、図10Bで図示されるサーボマークは、方向八分円Iの中に第1の磁気配向、およびバイアスまたは非パターン域の方向八分円Vとは異なる第3の方向八分円、例えば、方向八分円IVの中に第2の磁気配向を有するものとして表されてもよい。したがって、サーボマークは、2つ以上の方向八分円の中に磁気配向または残留磁化を含んでもよい。予想されるように、読み出し信号348は、図10Aの読み出し信号330に類似する。読み出し信号348は、磁気バイアスとサーボマークとの間の方向八分円内の変化に対応する振幅350ならびにパルス352および354(ともに両極性パルス)を含む。
図10Aおよび10Bによれば、磁気テープ314は、基材と、50パーセントよりも大きい垂直方向直角度および50パーセント未満の長手方向直角度を伴う磁気層とを含む。磁気層のサーボトラックはまた、サーボパターンと、非パターン域とを含む。サーボパターンは、基材と直角な垂直方向面23に隣接する方向八分円Iの中にパターン残留磁化を伴う複数のサーボマークを含む。非パターン域、例えば、磁気バイアスは、同様に垂直方向面23に隣接する方向八分円Vの中に非パターン残留磁化を含む。八分円IおよびVは、垂直方向面23の反対側にあり、八分円IおよびVは、長手方向面21の反対側にある。言い換えれば、八分円IおよびVの垂直方向成分は、反対方向にあり、八分円IおよびVの長手方向成分は、反対方向にある。
八分円IおよびVの中の残留磁化は、サーボマークの各々を識別する読取りヘッドを用いて、読み出し信号348(例えば、サーボ信号)を生成するように構成されてもよい。信号348は、磁気テープ314の残留磁化がバイアス磁化垂直方向成分と反対である垂直方向成分を有し、残留磁化がバイアス磁化長手方向成分と同様に反対である長手方向成分を有するときに、実質的に反対のパルス352および354とともに振幅350(例えば、波形)を含んでもよい。より強いパルス352は、バイアス磁化垂直方向成分(例えば、垂直方向成分の部分322および324)と反対である垂直方向成分、およびバイアス磁化長手方向成分(例えば、長手方向成分の部分316および318)と反対である長手方向成分を有する、残留磁化の第1の部分に対応してもよい。より弱いパルス354は、バイアス磁化垂直方向成分(例えば、垂直方向成分の部分326)と一致する垂直方向成分、およびバイアス磁化長手方向成分(例えば、長手方向成分の部分318および320)と反対である長手方向成分を有する、残留磁化の第2の部分に対応してもよい。ともに、パルス352および354は、両極性パルスとして表されてもよい。
図11Aおよび11Bは、対応する読み出し信号のグラフとともに、方向八分円VIIIの中に磁気バイアスを含む、磁気媒体例の概念図を図示する。図11Aに示されるように、磁気テープ356は、磁気テープ10の実施例である。図11Aに示されるように、磁気テープ356は、図8からの磁気テープ226Aの方向八分円VIIIの中で磁気バイアスに書き込まれた1つ以上のサーボパターンを含む。1つ以上のサーボパターンは、磁気バイアスの方向八分円VIIIと略反対である、方向八分円IおよびIVの中に書き込まれる。
磁気ヘッド372、例えば、サーボ書込みヘッドが、磁気テープ356に以前に作成された磁気バイアスにわたって、サーボパターン、すなわち、いくつかのサーボマークを作成するために使用される。磁気テープ356が、磁気ヘッド372付近を通過するように矢印292の方向に移動または駆動されるにつれて、サーボマークが磁気テープ356の磁気層内に作成される。
図9Aと同様に、図11Aでは、残留磁化を示す全ての矢印は、垂直方向成分および長手方向成分に限定される。垂直方向成分の部分364の中の矢印は、磁気層内の磁気配向の垂直方向成分が、例えば、90度で、基材から離れるように方向付けられることのみを示す。したがって、長手方向成分の部分358の中の矢印は、磁気層内の磁気配向の長手方向成分が、例えば、180度で、矢印292と反対の方向に方向付けられることを示す。したがって、磁気層内の全体的な磁気配向は、磁気バイアスにおいて方向八分円VIII、およびサーボパターンにおいて方向八分円IおよびIV内にあるだろう。磁気配向の垂直方向および長手方向成分の分離は、磁気テープおよび磁場の残留磁化をより明確に表すために本明細書で使用される。しかしながら、図11Bは、長手方向および垂直方向成分を使用することなく、全体的な磁気方向の方向を図示する。
磁気テープ356にサーボパターンを作成するために、磁気テープ356は、磁場373を生成する磁気ヘッド372を過ぎるまで駆動される。垂直方向および長手方向成分を使用して示される、磁場373の矢印は、磁場373の一般的方向を示す。磁場373は、テープ226Aの磁気バイアスを作成するために使用される磁場と反対の方向に生成されてもよい。磁気テープ356に印加される磁場373の第1の部分は、磁気テープ356に向かって方向付けられる。磁場373の中間部分は、矢印292の方向に磁気テープ356に沿って方向付けられる。磁気テープ356に印加される磁場373の最後の部分は、基材から離れるように方向付けられる。磁場373のこの最後の部分が、磁気テープ356に最後の影響を及ぼすため、垂直方向成分の部分366は、磁気配向の垂直方向成分から磁気バイアスから不変のままであることを示す。
磁場373が磁気テープ356に印加されるにつれて、磁場373の前縁部は、磁気バイアスの垂直方向成分の部分370から垂直方向成分の部分368を変化させる。しかしながら、磁場373の中間部分はまた、長手方向成分の部分362の中の反対の矢印292から長手方向成分の部分360の中の矢印292へ、部分360の中の長手方向成分を切り替える。このようにして、垂直方向成分の部分368および長手方向成分の部分360は、方向八分円IVおよびIの両方の中でサーボマークの異なる磁気配向を画定する。垂直方向成分の部分364および長手方向成分の部分358は、以前に作成された磁気バイアスの一部として磁気テープ356上に残留する。
図11Aはまた、読取りヘッドによって検出された磁気テープ356の磁気配向の読み出し信号例374も図示する。読み出し信号374の振幅376は、磁気層内の粒子の磁気配向が、磁気テープ356の長さにわたって磁気バイアスとサーボパターンとの間で変化するにつれて変化する。パルス378は、磁気バイアスの方向八分円VIIIと、長手方向成分の部分360を含むサーボマークの略反対の方向八分円Iとの間の磁気配向の変化から、振幅の最大変化を提供する。パルス380は、例えば、方向八分円VIIIおよびIVと反対である、長手方向成分の部分362から長手方向成分の部分360へ、および垂直方向成分の部分360から垂直方向成分の部分368へのさらに大きい変化を示す。ともに、パルス378および380は、両極性パルスとして表されてもよい。
図11Bに示されるように、図11Aで提供される長手方向および垂直方向成分を使用する代わりに、磁気テープ356の全体的な残留磁化が図示される。磁気テープ356は、図8の磁気テープ226Bで図示される磁気配向で示される。磁気ヘッド372は、磁気テープ356が矢印292の方向に磁気ヘッド372を過ぎるまで駆動されるとき、磁気テープ356に印加される磁場391を生成する。磁気ヘッド372は、磁気バイアスを作成するために使用される磁場と同一の磁気テープ356の側面から磁場391を印加してもよいが、磁場の方向は切り替えられていてもよい。概して、磁場391は、弓状または馬蹄形状を有するものとして表されてもよい。
磁場391の前縁部は、方向八分円IVの中で磁気配向386を作成し、磁場391の後縁部は、方向八分円Iの中で磁気配向384を作成する。したがって、磁場によって作成されるサーボマーク全体は、磁気バイアスとは異なる八分円の中で残留磁化を有する。磁気配向382および388は、磁気テープ356のその部分が磁場391の影響を受けていないため、方向八分円VIIIの中に残留する。したがって、サーボマークは、磁気バイアスの方向八分円(すなわち、方向八分円VIII)と略反対である方向八分円I、および磁気バイアスの方向八分円(すなわち、方向八分円VIII)と正確に反対の方向八分円IVの中に残留磁化を含む。言い換えれば、図11Bで図示されるサーボマークは、方向八分円IVの中に第1の磁気配向、およびバイアスまたは非パターン域の方向八分円VIIIとは異なる、第3の方向八分円、例えば、方向八分円Iの中に第2の磁気配向を有するものとして表されてもよい。したがって、サーボマークは、2つ以上の方向八分円の中に磁気配向または残留磁化を含んでもよい。予想されるように、読み出し信号392は、図11Aの読み出し信号374に類似する。読み出し信号392は、磁気バイアスとサーボマークとの間の方向八分円内の変化に対応する、振幅394ならびにパルス396および398(ともに両極性パルス)を含む。
図11Aおよび11Bによれば、磁気テープ356は、基材と、50パーセントよりも大きい垂直方向直角度および50パーセント未満の長手方向直角度を伴う磁気層とを含む。磁気層のサーボトラックはまた、サーボパターンと、非パターン域とを含む。サーボパターンは、基材と直角な垂直方向面23に隣接する方向八分円IVの中にパターン残留磁化を伴う複数のサーボマークを含む。非パターン域、例えば、磁気バイアスは、同様に垂直方向面23に隣接する方向八分円VIIIの中に非パターン残留磁化を含む。八分円IVおよびVIIIは、垂直方向面23の反対側にあり、八分円IVおよびVIIIは、長手方向面21の反対側にある。言い換えれば、八分円IVおよびVIIIの垂直方向成分は、反対方向にあり、八分円IVおよびVIIIの長手方向成分は、反対方向にある。
八分円IVおよびVIIIの中の残留磁化は、サーボマークの各々を識別する読取りヘッドを用いて、読み出し信号392(例えば、サーボ信号)を生成するように構成されてもよい。信号392は、磁気テープ356の残留磁化がバイアス磁化垂直方向成分と反対である垂直方向成分を有し、残留磁化がバイアス磁化長手方向成分と同様に反対である長手方向成分を有するときに、実質的に反対のパルス396および398とともに振幅394(例えば、波形)を含んでもよい。より強いパルス398は、バイアス磁化垂直方向成分(例えば、垂直方向成分の部分368および370)と反対である垂直方向成分、およびバイアス磁化長手方向成分(例えば、長手方向成分の部分360および362)と反対である長手方向成分を有する、残留磁化の第1の部分に対応してもよい。より弱いパルス396は、バイアス磁化垂直方向成分(例えば、垂直方向成分の部分364および366)と一致する垂直方向成分、およびバイアス磁化長手方向成分(例えば、長手方向成分の部分358および360)と反対である長手方向成分を有する、残留磁化の第2の部分に対応してもよい。ともに、パルス396および398は、両極性パルスとして表されてもよい。
図12Aおよび12Bは、対応する読み出し信号のグラフとともに、方向八分円IVの中に磁気バイアスを含む、磁気媒体例の概念図を図示する。図12Aに示されるように、磁気テープ400は、磁気テープ10の実施例である。図12Aに示されるように、磁気テープ400は、図8からの磁気テープ234Aの方向八分円IVの中で磁気バイアスに書き込まれた1つ以上のサーボパターンを含む。1つ以上のサーボパターンは、磁気バイアスの方向八分円IVと略反対である、方向八分円Iの中に書き込まれる。
磁気ヘッド410、例えば、サーボ書込みヘッドが、磁気テープ400に以前に作成された磁気バイアスにわたって、サーボパターン、すなわち、いくつかのサーボマークを作成するために使用される。磁気テープ400が、磁気ヘッド410付近を通過するように矢印292の方向に移動または駆動されるにつれて、サーボマークが磁気テープ400の磁気層内に作成される。
図9Aと同様に、図12Aでは、磁性粒子の磁気配向を示す矢印の全ては、垂直方向成分および長手方向成分に限定される。垂直方向成分の部分404の中の矢印は、磁気層内の残留磁化の垂直方向成分が、例えば、270度で、基材に向かって方向付けられることのみを示す。したがって、長手方向成分の部分402の中の矢印は、磁気層内の残留磁化の長手方向成分が、例えば、0度で、矢印292と同一の方向に方向付けられることを示す。したがって、磁気層内の全体的な磁気配向は、磁気バイアスにおいて方向八分円IV、およびサーボパターンにおいて方向八分円I内にあるだろう。磁気配向の垂直方向および長手方向成分の分離は、磁気テープおよび磁場の磁気配向をより明確に表すために本明細書で使用される。しかしながら、図12Bは、長手方向および垂直方向成分を使用することなく、全体的な残留磁化の方向を図示する。
磁気テープ400にサーボパターンを作成するために、磁気テープ400は、磁場411を生成している磁気ヘッド410を過ぎるまで駆動される。垂直方向および長手方向成分を使用して示される、磁場411の矢印は、磁場411の一般的方向を示す。磁場411は、テープ234Aの磁気バイアスを作成するために使用される磁場と同一の方向に生成されてもよい。磁気テープ400に印加される磁場411の第1の部分は、磁気テープ400に向かって方向付けられる。磁場411の中間部分は、矢印292の方向に磁気テープ400に沿って方向付けられる。磁気テープ400に印加される磁場411の最後の部分は、基材から離れるように方向付けられる。磁場411のこの最後の部分が、磁気テープ356に最後の影響を及ぼすため、垂直方向成分の部分406は、磁気配向の垂直方向成分が垂直方向成分の部分408および404で図示される磁気バイアスから変化させられることを示す。
磁場411が磁気テープ400に印加されるにつれて、磁場411の前縁部は、磁気バイアスの垂直方向成分の部分408から垂直方向成分の部分406を変化させる。磁場411の中間部分は、矢印292と同一の方向で長手方向成分の部分402によって示されるような長手方向方向と整列させられたままである。このようにして、垂直方向成分の部分406は、磁気バイアスの方向八分円IVに隣接する、方向八分円Iの中でサーボマークの異なる磁気配向を画定する。
図12Aはまた、読取りヘッドによって検出された磁気テープ400の磁気配向の読み出し信号例412も図示する。読み出し信号412の振幅414は、磁気層内の粒子の磁気配向が、磁気テープ400の長さにわたって磁気バイアスとサーボパターンとの間で変化するにつれて変化する。パルス416(例えば、単極性パルス)は、磁気バイアスの方向八分円IVと、垂直方向成分の部分406を含むサーボマークの略反対の方向八分円Iとの間の残留磁化の変化から、振幅の変化を提供する。
図12Bに示されるように、図12Aで提供される長手方向および垂直方向成分を使用する代わりに、磁気テープ400の全体的な残留磁化が図示される。磁気テープ400は、図8の磁気テープ234Bで図示される磁気配向で示される。磁気ヘッド410は、磁気テープ400が矢印292の方向に磁気ヘッド410を過ぎるまで駆動されるにつれて、磁気テープ400に印加される磁場425を生成する。磁気ヘッド410は、磁気バイアスを作成するために使用される磁場とは異なる磁気テープ356の側面から磁場425を印加してもよい。概して、磁場425は、弓状または馬蹄形状を有するものとして表されてもよい。
磁場425の前縁部は、方向八分円IVの中で磁気配向422を保持し、磁場425の後縁部は、方向八分円Iの中で磁気配向420を作成する。したがって、磁場425によって作成されるサーボマークの一部分のみが、磁気バイアスとは異なる方向八分円の中で残留磁化を有する。磁気配向418および422は、磁気テープ400のその部分が磁場425の影響を受けていないため、方向八分円IVの中に残留する。したがって、サーボマークは、磁気バイアスの方向八分円IVと略反対である方向八分円Iの中に残留磁化を含む。加えて、図12Bで図示されるサーボマークは、方向八分円Iの中に第1の磁気配向、および方向八分円IVの中に第2の磁気配向を有するものとして表されてもよい(例えば、サーボマークは、非パターン域のバイアスと実質的に同一の方向に磁気配向または残留磁化を含んでもよい)。予想されるように、読み出し信号426は、図12Aの読み出し信号412に類似する。読み出し信号426は、磁気バイアスとサーボマークとの間の略反対の方向八分円内の変化に対応する、振幅428およびパルス430(例えば、単極性パルス)を含む。
図12Aおよび12Bによれば、磁気テープ400は、基材と、50パーセントよりも大きい垂直方向直角度および50パーセント未満の長手方向直角度を伴う磁気層とを含む。磁気層のサーボトラックはまた、サーボパターンと、非パターン域とを含む。サーボパターンは、基材と直角な垂直方向面23に隣接する方向八分円Iの中にパターン残留磁化を伴う複数のサーボマークを含む。非パターン域、例えば、磁気バイアスは、同様に垂直方向面23に隣接する方向八分円IVの中に非パターン残留磁化を含む。八分円IおよびIVは、垂直方向面23の同一側にあるが、八分円IおよびIVは、長手方向面21の反対側にある。言い換えれば、八分円IおよびIVの垂直方向成分は、反対方向にあり、八分円IおよびIVの長手方向成分は、同一方向にある。
八分円IおよびIVの中の残留磁化は、サーボマークの各々を識別する読取りヘッドを用いて、読み出し信号426(例えば、サーボ信号)を生成するように構成されてもよい。信号426は、磁気テープ400の残留磁化がバイアス磁化垂直方向成分と反対である垂直方向成分を有し、残留磁化がバイアス磁化長手方向成分と一致するか、またはそれと同一方向に長手方向成分を有するときに、実質的に単極性のパルス430とともに振幅428(例えば、波形)を含んでもよい。
図13Aおよび13Bは、対応する読み出し信号のグラフとともに、ランダムな方向八分円の中に磁気バイアスを含む、磁気媒体例の概念図を図示する。図13Aに示されるように、磁気テープ432は、磁気テープ10の実施例である。図13Aに示されるように、磁気テープ432は、図8からの磁気テープ242Aのランダムな磁気バイアスに書き込まれた1つ以上のサーボパターンを含む。1つ以上のサーボパターンは、ランダム化バイアスまたは書き込まれていない領域内で、方向八分円IおよびIVの中に書き込まれる。ランダム化磁気バイアスは、実質的にゼロの全体的な残留磁化をもたらし得る。
磁気ヘッド450、例えば、サーボ書込みヘッドが、磁気テープ432に以前に作成されたランダムな磁気バイアスにわたって、サーボパターン、すなわち、いくつかのサーボマークを作成するために使用される。ランダムな磁気バイアスは、磁気テープ432の磁気層から任意の識別可能な信号を排除するように、交流電流または他の技法を用いて作成されてもよい。磁気テープ432が、磁気ヘッド450付近を通過するように矢印292の方向に移動または駆動されるにつれて、サーボマークが磁気テープ432の磁気層内に作成される。
図9Aと同様に、図13Aで磁気配向を示す全ての矢印は、垂直方向成分および長手方向成分に限定される。垂直方向成分の部分442の中の矢印は、磁気層内の磁気配向の垂直方向成分が、例えば、90度で、基材から離れるように方向付けられることのみを示す。したがって、長手方向成分の部分436の中の矢印は、磁気層内の磁気配向の長手方向成分が、例えば、0度で、矢印292と同一の方向に方向付けられることを示す。垂直成分の部分440、444、および448、ならびに長手方向成分の部分434および438が、磁性粒子の磁気配向がランダム化されていることを示すため、磁気テープ432のこれらの影付きの部分は、矢印を含まない。したがって、磁気バイアスには全体的な残留磁化がないが、サーボパターンは、方向八分円IおよびIVの中に磁気配向を含有してもよい。図13Bは、長手方向および垂直成分を使用することなく、全体的な磁気方向の方向を図示する。
磁気テープ432にサーボパターンを作成するために、磁気テープ432は、磁場451を生成している磁気ヘッド450を過ぎるまで駆動される。垂直および長手方向成分を使用して示される、磁場451の矢印は、磁場451の一般的方向を示す。磁場451は、テープ242Aのランダムなバイアスを作成するために使用される交番磁場に反して、単一の方向に生成されるであろう。磁気テープ432に印加される磁場451の第1の部分は、磁気テープ432に向かって方向付けられる。磁場451の中間部分は、矢印292の方向に磁気テープ432に沿って方向付けられる。磁気テープ432に印加される磁場451の最後の部分は、基材から離れるように方向付けられる。磁場451のこの最後の部分が、磁気テープ432に最後の影響を及ぼすため、垂直成分の部分442は、磁気配向の垂直成分が垂直成分の部分444および448で図示されるランダムな磁気バイアスから変化させられることを示す。
磁場451が磁気テープ432に印加されるにつれて、磁場451の前縁部は、ランダムな磁気バイアスの垂直成分の部分448から垂直成分の部分446を変化させる。磁場451の中間部分もまた、長手方向成分の部分438のランダムなバイアスから矢印292と同一の方向へ長手方向成分の部分436を変化させる。このようにして、垂直成分の部分446および442ならびに長手方向成分の部分436は、方向八分円IおよびIVの中でサーボマークの異なる残留磁化を画定する。また、磁場451が図13Aに示されるよりも長い期間にわたって印加されない限り、実質的に長手方向方向の方向がサーボマーク内に作成されるであろうということが留意される。
図13Aはまた、読取りヘッドによって検出された磁気テープ432の磁気配向の読み出し信号例452も図示する。読み出し信号452の振幅454は、磁気層内の粒子の磁気配向が、磁気テープ432の長さにわたってランダムな磁気バイアスとサーボマークの異なる方向八分円との間で変化するにつれて変化する。パルス456は、ランダムな配向から方向八分円Iへの振幅の変化を提供し、パルス458は、ランダムな配向から方向八分円IVへの振幅の変化を提供する。ともに、パルス456および458は、両極性パルスまたは実質的に対称の両極性パルスとしても表されてもよい。
図13Bに示されるように、図13Aで提供される長手方向および垂直成分を使用する代わりに、磁気テープ432の全体的な磁気配向が図示される。磁気テープ432は、図8の磁気テープ242Bで図示される磁気配向で示される。磁気ヘッド450は、磁気テープ432が矢印292の方向に磁気ヘッド450を過ぎるまで駆動されるにつれて、磁気テープ432に印加される磁場471を生成する。磁気ヘッド450は、ランダム化磁気バイアスを作成するために使用される磁場と同一であるか、または異なる磁気テープ432の側面から、磁場471を印加してもよい。概して、磁場471は、弓状または馬蹄形状を有するものとして表されてもよい。
磁場471の前縁部は、ランダム化磁気配向468から方向八分円IVの中で磁気配向466を作成する。磁場471の後縁部は、方向八分円Iの中で磁気配向462を作成する。磁場471の中間部分は、実質的に長手方向の配向464を作成する。したがって、磁場471によって作成されるサーボマーク全体は、ランダム化磁気バイアスとは異なる方向八分円の中で磁気配向を有する。磁気配向468および460は、磁場471によってランダム化され、変化させられない。したがって、サーボマークは、方向八分円IおよびIVの中に磁気配向を含む。予想されるように、読み出し信号472は、図13Aの読み出し信号452に類似する。読み出し信号472は、ランダム化磁気バイアスと書き込まれたサーボマークとの間の方向八分円内の変化に対応する、振幅474ならびにパルス476および478を含む。ともに、パルス476および478は、両極性パルスまたは実質的に対称の両極性パルスとしても表されてもよい。両極性パルスは、完全に対称であり得るが、概して、両極性パルスは、パルス476および478がほぼ類似する(が反対の)振幅および類似する幅であるときに、実質的に対称であり得る。
図13Aおよび13Bによれば、磁気テープ432は、基材と、50パーセントよりも大きい垂直直角度および50パーセント未満の長手方向直角度を伴う磁気層とを含む。磁気層のサーボトラックはまた、サーボパターンと、非パターン域とを含む。サーボパターンは、方向八分円IおよびIVの中にパターン残留磁化を伴う複数のサーボマークを含む。しかしながら、非パターン域、例えば、磁気バイアスは、実質的にゼロである非パターン残留磁化を含む。この最小の残留磁化は、磁気テープ432内の磁性粒子の略ランダムな磁気配向によるものである。
サーボマークの残留磁化は、バイアスの実質的なサーボ磁化とは異なる。この磁気テープ432の構成は、サーボマークの各々を識別する読取りヘッドを用いて、読み出し信号472(例えば、サーボ信号)を生成するように構成されてもよい。信号472は、バイアス磁化が実質的にランダム化された垂直および長手方向成分を有するときに、実質的に対称の反対パルス476および478とともに振幅474(例えば、波形)を含んでもよい。しかしながら、異なる方向八分円を伴うサーボパターンは、わずかに異なるパルス形状を生成してもよい。上記で説明されるように、パルス476および478は、集合的に両極性パルスとして表されてもよい。この両極性パルスは、実質的に対称であり得る。
図9A−13Bのサーボ信号のうちのいずれかと同様に、図示されたサーボ信号は、読取りヘッドから処理されない。言い換えれば、磁気テープの残留磁化から検出される信号は、図示された波形例と実質的に同等であり得る。後処理は、任意の残留磁化を伴う磁気テープから類似タイプの波形またはパルスを再生することが可能であり得るが、増幅以外に、この処理のうちのいずれも、磁気テープにおける説明された残留磁化から類似波形を検出する必要はない。
図9A−13Bは、概して、基材に実質的に垂直な方向を伴う残留磁化に関して説明されるが、バイアスおよびサーボマークは、基材と実質的に平行な方向を伴う残留磁化を用いて作成されてもよい。例えば、磁気テープは、基材と、50パーセントよりも大きい垂直方向直角度および50パーセント未満の長手方向直角度を伴う磁気層とを含んでもよい。テープはまた、磁気層のサーボトラックと、非パターン域とを含んでもよい。サーボパターンは、方向八分円IIの中にパターン残留磁化を伴う複数のサーボマークを含む。しかしながら、非パターン域、例えば、磁気バイアスは、方向八分円VIの中に非パターン残留磁化を含む。このようにして、サーボマークおよび非パターン域が、反対であるが、実質的に長手方向の残留磁化を有してもよい。実質的に長手方向かつ反対の残留磁化を伴う方向八分円を有する、サーボマークおよび非パターン域の他の実施形態は、各々、八分円VIおよびII、IIIおよびVII、ならびにVIIおよびIIIを含んでもよい。
図14は、磁場の前縁部および後縁部によるサーボマーク内の磁性粒子の磁気配向を含む磁気媒体例の概念図、および対応する読み出し信号のグラフである。図14に示されるように、磁気テープ480は、磁気配向484、486、および488として図示され、基材482を覆って形成される磁気層を含む。磁気配向484および488は、サーボトラックの非パターン域中にあり、かつ基材482に向かって実質的に垂直である、磁気バイアスの残留磁化を含む。しかしながら、他の実施例では、磁気配向484および488は、方向八分円、例えば、方向八分円V内として画定されてもよい。磁気配向484の磁気バイアスは、磁気配向486のサーボマークの前に作成された。言い換えれば、サーボマークおよびサーボパターンは、磁気バイアスの非パターン域によって分離される。サーボマークが本明細書で説明されるが、他の実施例では、磁気配向の種々の領域またはマークが、データトラックの中にデータを記憶するために使用されてもよい(例えば、磁気配向は、「1」または「0」等の情報のビットを決定してもよい)。
磁気配向486は、サーボパターンの中の1つのサーボマークの残留磁化の方向を示す。磁気配向486は、磁気テープ480が矢印494の方向にヘッド490を過ぎて移動させられるにつれて、サーボ磁気ヘッド490から生成される磁場492を磁気テープ480に印加することによって作成される。磁場492の前縁部は、基材482に向かった方向にあり、磁場492の後縁部は、基材482から離れた方向にある。磁場492がヘッド490の中の電流パルス中に磁気テープに印加されるため、磁気配向486のサーボマーク全体は、パルス中のP1という距離および磁場492の間隙長Gで磁気テープ480の移動によって作成される。
サーボマークの一部分は、磁気バイアスの配向と反対の磁気配向、例えば、基材494から実質的に離れるように方向付けられる、P1にわたる磁気層を有する。しかしながら、間隙長Gにわたる残りのサーボマークは、実質的に垂直に配向されず、基材482から離れている。代わりに、間隙長Gにわたる磁気配向486の部分は、磁場492の形状に従って可変である。したがって、サーボマークの磁気配向486は、可変であり、磁気バイアスの方向と完全には反対ではない。しかしながら、磁場492の後縁部は、反対の方向八分円Iの方向に残留磁化を残す。この磁気配向変動は、すでに作成されているバイアスに印加されている磁場492によるものである。磁場492がオフにされたとき、磁場492の前部分を除去するために後縁部がない。磁気配向484および488の磁気バイアスは、磁気テープ480の長さに沿ってサーボマークの前後の両方で、サーボマークに直接隣接する。
読み出し信号496は、磁気テープ480にわたって変化する磁気配向間の界面によって生成された振幅498を図示する。パルス500は、磁気バイアスとサーボマークの後端との間の反対かつ実質的に垂直の磁気配向による、振幅の強い増加を示す。しかしながら、停滞状態502が、間隙長Gにわたって、ゆっくり変化する磁気配向から作成される。停滞状態502は、磁場492によって作成されるサーボマークの比較的弱い信号対雑音比をもたらし得る。
本明細書の種々の磁気配向は、概して、磁気バイアスまたはサーボマークを作成するものとして表される(例えば、いくつかのサーボマークがサーボパターンを作成する)。したがって、磁気バイアスおよびサーボマークは、磁気テープに沿った磁気遷移として記録されてもよい。しかしながら、他の実施例では、ある磁気配向を含むマークが、情報のビット(例えば、「1」または「0」)を規定するために使用されてもよい。次いで、マーク間の磁気遷移が、磁気テープ上の記憶された情報を示すために使用されてもよい。このようにして、ここでサーボマークおよびサーボパターンに使用される技法はまた、データトラックにも適用可能であり得る。
図15は、磁場の後縁部の連続書込みによるサーボマーク内の磁性粒子の磁気配向を含む磁気媒体例の概念図、および対応する読み出し信号のグラフである。図15に示されるように、図14のサーボ磁気ヘッド490および磁場492が、サーボマークを作成するために使用される。しかしながら、磁気ヘッド490は、磁場492を用いてサーボマークを書込み、次いで、サーボマークの磁気配向510と反対である方向に残留磁化を用いて磁気バイスを作成するように、磁場492の方向を切り替える。
磁気テープ504は、磁気配向508、510、および512として図示され、基材506を覆って形成される磁気層を含む。磁気テープは、磁気テープ10に類似し得る。磁気配向508および512は、サーボトラックの非パターン域中にあり、かつ基材506に向かって実質的に垂直である、磁気バイアスを示す。しかしながら、他の実施例では、磁気配向508および512は、方向八分円、例えば、方向八分円V内として画定されてもよい。磁気バイアスの磁気配向508および512ならびにサーボマークの磁気配向510は、矢印494の方向での磁気テープ504の移動を止めることなく、連続的に作成された。磁気テープ504のサーボマークおよびサーボパターンは、磁気バイアスの非パターン域によって分離される。
磁気配向510は、サーボパターンの中の1つのサーボマークの磁気配向を示す。磁気配向510は、磁気テープ504が矢印494の方向にヘッド490を過ぎて移動させられるにつれて、サーボ磁気ヘッド490から生成される磁場492を磁気テープ504に印加することによって作成される。基材506から実質的に離して配向される、磁場492の後縁部のみが、サーボマークの磁気配向510を作成するために使用される。言い換えれば、磁場492は、サーボマークの距離P2全体に及んで、ヘッド490の中の電流パルス中に磁気テープ504に印加される。間隙長Gは、磁気テープ504の非サーボマーク域(非パターン域)の中へ延在するが、磁気ヘッド490は、新しい後縁部が磁気バイアスの方向磁気配向512と整列するように、磁場492を切り替えるか、または逆転させる。
この交番磁場技法を使用して、磁場492の後縁部は、基材506に実質的に垂直な磁気配向510、および磁気バイアスの反対の磁気配向508および512を伴ってサーボマーク全体を作成する。言い換えれば、磁場510の残留磁化は、方向八分円Iの中にあり、かつ方向八分円Vの磁気バイアスと反対の方向を有する。したがって、磁気配向508および512の磁気バイアスは、磁気テープ504の長さに沿ってサーボマークの前後の両方で、磁気配向510のサーボマークの残留磁化に直接隣接する。また、非パターン域の磁気配向508および512とサーボパターンの磁気配向510との間の遷移は、例えば、2つの反対の八分円の中で、2つの方向の残留磁化のみを含む。磁気テープ504の実施例では、遷移は、基材に向かった、および基材から離れた両方で、基材506に実質的に垂直な配向を含む。
読み出し信号514は、磁気テープ504にわたって変化する磁気配向間の界面によって生成された振幅516を図示する。パルス518は、磁気バイアスとサーボマークとの間の反対かつ実質的に垂直の磁気配向による、振幅の強い増加を示す。加えて、サーボマークから磁気バイアスへの遷移もまた、パルス520によって示されるような振幅の大きな変化を提供する。磁気バイアスおよびサーボマークを連続的に作成するように磁場を交互にすることによって、図15のサーボマークの信号対雑音比は、図14のサーボマークの信号対雑音比よりも大きくてもよい。
図16Aおよび16Bは、サーボパターンを書き込むように磁場の方向を交互にする、単一の磁気ヘッドの概念図である。磁気テープ522は、図15で説明される磁気テープ504に類似し得る。概して、磁気ヘッド534は、静止しており、磁気テープ522が磁気ヘッド534付近を通過するにつれて、交互の様式で反対方向の磁場536Aおよび536B(集合的に「磁場536」)を生成する。この磁場536の交番は、磁気バイアス(例えば、非パターン域)が、サーボパターンのサーボマークを伴って連続的に作成されることを可能にする。交番磁場、または磁場の切り替えは、磁気テープ522のサーボマークおよび非パターンバイアス域の所定の長さと対応するように時期を選択されてもよい。
磁気テープ522が磁気ヘッド534を過ぎて矢印538の方向に移動するにつれて、磁場536のいずれか一方が磁気テープ522に印加される。図16Aに示されるように、磁気バイアス、例えば、磁気配向526を有する残留磁化が、磁気テープ522上にすでに作成されている。磁気配向526の方向は、基材524に実質的に垂直であり、基材に向かっている。磁気配向526が作成された後、磁気ヘッド534は、磁場536Aに切り替わった。磁場536Aは、矢印538の同一の方向に、概して磁気テープ522の長さに沿って方向付けられる。磁場536Aは、磁場536Aの後縁部が長さP3にわたって磁気テープ522に印加されるように生成される。P3はまた、磁場536Aを作成するために使用される電流パルスにも対応する。したがって、サーボマークの磁気配向528が、遷移AおよびBの間に作成される。
磁気ヘッド534が異なる方向を有する磁場に交代する前に、磁場536Aは、磁場536Aの変動配向を模倣する磁気配向530を作成する。図16Aに示される磁気テープ522の残りの部分は、磁気ヘッド534からの磁場の影響を受けていない。したがって、磁気配向532は、磁性粒子の種々のランダムな磁気方向を含んでもよい。他の実施例では、磁気配向532は、磁気テープ522の構造から磁気方向にいくらかの均一性を有してもよい。
いったん連続的に移動する磁気テープ522の遷移Bが磁場536Aの後端に達すると、例えば、磁気配向528のサーボマークが完成すると、磁気ヘッド534は、磁場536Aの方向から磁場536Bの方向へ切り替わるように交互に入れ替わる。図16Bに示されるように、いったん磁場の後縁部が遷移Bに達すると、磁気ヘッド534は磁場536Bを生成する。磁場536Bは、例えば、図3からのサーボ書込みシステム26のコントローラ30によって制御されるように、方向を切り替える電流を用いて生成されてもよい。いくつかの実施例では、電流は、磁気テープ522の中のサーボマークおよび非パターンバイアス域の所望の長さを作成するために必要な時間にわたって、変調または制御される交流電流であってもよい。
磁場536Bは、磁気バイアス、例えば、非パターン域の磁気配向540を作成するように、P4にわたって磁気テープ522に印加される。P4はまた、磁場536Bを作成するために使用される電流パルスにも対応する。磁気配向540は、遷移Bと遷移Cとの間の磁気テープ522の長さに沿って伸張する。遷移Cの後、磁気ヘッド534は、サーボパターンの別のサーボマークを作成するように磁場536Aに再び交代してもよい。図16Aの磁気配向530と同様に、磁気配向542は、磁場536Aの後縁部が配向を変化させるまで磁場536Bの方向を模倣する。
磁気テープ522は、サーボマークに直接隣接する磁気バイアス、例えば、非パターン域を含む。このようにして、遷移A、B、およびCは、基材524に向かった実質的に垂直な配向、および基材524から離れた反対の実質的に垂直な配向のみを含む。交番磁場を用いて磁気バイアスおよびサーボパターンを連続的に書き込むことにより、垂直方向媒体のサーボトラックにおいてより大きい信号対雑音比を可能にしてもよい。加えて、1つの連続ステップでサーボパターンおよびバイアスを書き込むことにより、ユーザに準備ができている磁気記憶テープを作成するために必要な時間量、およびテープを生産するために必要とされるシステムの数を削減してもよい。
図17Aおよび17Bは、磁気ヘッド544の間隙幅Wおよび間隙幅Wにほぼ等しい長さWを伴う各サーボマーク552の概念図である。図18Aに示されるように、磁気ヘッド544は、間隙端546および548によって作成される間隙を含む。間隙端546および548の間の距離が、間隙幅Wである。磁気テープにバイアスをかけ、サーボパターンおよびデータを書き込むために使用される磁場が、間隙端546および548の間に生成される。
典型的には、間隙幅Wは、長さが約1.4μmである。加えて、サーボマークの長さは、約2.1μmである。したがって、磁場は、磁気テープ内の約0.7μmの移動にわたって間隙幅が磁気テープに印加されるように時期が選択されるパルスにわたって、磁気層に印加される。間隙幅Wおよび磁気テープの結果として生じる移動は、約2.1μmの全体的なマーク長をもたらす。
磁場の印加中にテープ移動に依存する代わりに、間隙幅Wは、サーボマークの近似長にサイズ決定されてもよい。磁気ヘッド544は、所望の間隙幅Wを伴って構築されてもよく、または磁気ヘッド544は、サーボマークの所望の長さに調整可能であり得る。間隙幅Wを調整することにより、磁場の幾何学形状に影響を及ぼし得るため、磁気ヘッド544と磁気テープとの間の電流および/または距離は、磁気テープの中でサーボマークの所望の磁気配向を達成するように調整されてもよい。
図18Bに示されるように、磁気テープ550の断面側面図は、サーボマーク552A−C(集合的に「サーボマーク552」)および非パターン域553A−C(集合的に「非パターン域553」)を含む。磁気テープ550は、磁気ヘッド544の間隙幅Wにほぼ等しいマーク長Bを有するサーボマーク552を作成するように、磁気ヘッド544付近を通過させられていてもよい。マーク長が間隙幅Wにほぼ等しいため、磁場は、非常に短い時間、例えば、電流の瞬間パルスにわたって、磁気ヘッド544によって生成されてもよい。たとえサーボマーク552を書き込むように磁場が印加されるときに磁気テープ550が移動していても、磁場は、マーク長Bが間隙幅Wにほぼ等しいままであるように、十分短い期間にわたって印加される。図18Bの実施例に示されるように、サーボマーク552の各々(例えば、磁気テープ550の領域)は、非パターン化域553(例えば、サーボマーク552間の空間にわたって残留するバイアス)によって分離される。他の実施例では、サーボマーク552および/または非パターン域553は、データを表してもよく、例えば、磁気ヘッド544は、サーボマーク552の代わりに、磁気テープ550のデータトラックの中にデータマークを作成するために磁場を使用してもよい。
短い電流パルスは、概して10ナノ秒から50ナノ秒の間の短い期間中に発生してもよい。一実施例では、短期間は、約30マイクロ秒以下であってもよい。短い期間は、少なくとも部分的に、磁気テープが磁気ヘッドを通り過ぎる速度に依存し得る、例えば、より速いテープ速度が、より短い電流パルスを必要としてもよい。概して、マーク長Bおよび間隙幅Wは、2.1μmにほぼ等しくあり得る。約1.0μmのマーク長等の他の寸法例も考慮される。例えば、マーク長Bおよび間隙幅Wは、概して、約0.1μmから20μmの間であってもよい。より具体的には、マーク長Bは、約0.5μmから3.0μmの間であってもよい。マーク長Bおよび間隙幅Wがほぼ等しい限り、任意の寸法が可能であり得る。
図18Aは、対称サーボマーク561のマーク長Bに合致した磁場566を用いて作成される対称サーボマーク561を作成する、磁気ヘッド564の概念図である。図18Aに示されるように、対称サーボマーク561は、移動する磁気テープ554が実質的に磁場566を通って移動することを防止する、短い期間にわたって磁場566を印加することによって作成される。磁気テープ544は、磁気テープ10に類似し得る。磁気テープ544は、基材556と、磁気配向558、560、および562によって図示される磁気層とを含む。磁気テープ544は、磁気ヘッド564(例えば、書込みヘッド)を過ぎるまで駆動または移動させられる。磁場556の生成時に、磁気配向560は、磁気配向558および562で示される磁気バイアスから磁気配向560へ切り替えられる。
図17Aおよび17Bで示されるように、マーク長Bは、磁気ヘッド564の間隙長Gにほぼ等しい。マーク長Bが間隙長Gよりも大きい場合には、磁場の後縁部がサーボマークにおいてより長い後縁部配向を作成するであろうため、対称サーボマーク561の磁気配向560は、もはや対称ではなくてもよい。磁気配向560は、対称サーボマーク561の配向である。対称サーボマーク561は、マーク長Bに沿って変化する、変動磁気配向560を含む。磁気配向560は、磁場566の方向にほぼ等しく、線対称であり得る。
磁気ヘッド564は、ある特性を有する磁力線を伴う磁場566を生成してもよい。例えば、磁場566は、(例えば、磁気配向562に隣接する)対称サーボマークの第1の端部において、磁気テープに実質的に垂直であり、かつ磁気テープに向かって方向付けられる第1の磁場パターン領域を、磁場566の前縁部に含んでもよい。磁場566はまた、(例えば、磁気配向558に隣接する)対称サーボマークの第2の端部において、磁気テープに実質的に垂直であり、かつ磁気テープから離れるように方向付けられる第2の磁場パターン領域を、磁場の後縁部に含んでもよい。加えて、磁場566は、第1の端部と第2の端部との間(例えば、磁場566の中間)で磁気テープと実質的に平行な第3の磁場パターン領域を含んでもよい。
概して、(前縁部における)第1の磁場パターン領域と基材556との間の角度は、(後縁部における)第2の磁場パターン領域と基材556.17との間の角度にほぼ等しくあり得る。一実施例では、第1の磁場パターン領域および第2の磁場パターン領域の両方の磁気方向は、約45度よりも大きい角度を基材556と形成してもよい。他の実施例では、第1の磁場パターン領域および第2の磁場パターン領域の両方の磁気方向は、約75度よりも大きい角度を基材556と形成してもよい。しかしながら、いくつかの実施例では、第1の磁場パターン領域および第2の磁場パターン領域の両方と基材556との間の角度は、約90(例えば、基材556に垂直)であってもよい。
磁場566は、同様に配向された対称サーボマーク561を作成してもよい。磁気配向560内で、対称サーボマーク561の一方の端部は、基材556に実質的に垂直であり、それに向かって方向付けられた磁気配向を含み、対称サーボマーク561の他方の端部は、基材556と質的に垂直であり、そこから離れるように方向付けられた磁気配向を含み、2つの端部の間の対称サーボマーク561の中央は、基材556と実質的に平行な磁気配向を含む。
図18Bは、図19で説明される磁気テープ554の対称サーボマーク561を作成するために使用される磁場を生成する、電流パルス572のタイミング図である。図18Bに示されるように、タイミング図570は、磁気テープに対称サーボマークを作成するための磁場を生成するために使用される電流を図示する。パルス572は、非常に短いパルス幅Pを有する。パルス572は、例えば、図3のコントローラ30によって生成および/または制御されてもよい。パルス幅Pは、可能な限り短く提供されてもよい。理想的には、パルス幅Pは、パルス572がほぼ瞬間的であるように、実質的にゼロの値に近づいてもよい。パルス幅Pは、概して、持続時間が10ナノ秒から50ナノ秒の間であってもよい。一実施例では、パルス幅Pの短い期間は、約30マイクロ秒以下であってもよい。短い期間は、少なくとも部分的に、磁気テープが磁気ヘッドを通り過ぎる速度に依存し得る、例えば、より速いテープ速度が、より短い電流パルスを必要としてもよい。
いくつかの実施例では、パルス572は、実質的に方形波であってもよい。他の実施例では、パルス572は、より複雑な幾何学形状を有してもよい。例えば、コントローラ30は、可能な限り速くパルス572の電流振幅を上昇させてもよい。コントローラ30は後に、いったん電流振幅が所定の閾値に達すると、電流を切断または停止してもよい。代替として、コントローラ30は、いったん短い期間が経過または終了すると、パルス572の電流振幅を上昇させてもよい。したがって、短パルスの送達は、閾値振幅または時限期間によって制御されてもよい。いずれの場合も、パルス572は、磁気ヘッド564付近を移動する磁気テープ554の速度に関して、比較的瞬時である。
図19Aおよび19Bは、バイアスに作成された対称サーボマークを伴う磁気媒体の概念図および対応する読み出し信号を図示する。図19Aに示されるように、磁気テープ574は、基材576と、磁気配向578および582と、対称サーボマーク580とを含む。磁気テープ574および対称サーボマーク580は、各々、図18Aの磁気テープ554および対称サーボマーク561に実質的に類似し得る。例えば、対称サーボマーク580は、図18Aの磁場566に類似する磁場を用いて作成されてもよい。概して、磁気テープ554は、各々のサーボトラックの中にサーボパターンを作成する複数の対称サーボマーク580を各々含有する、1つ以上のサーボトラックを含んでもよい。しかしながら、1つ以上のデータトラックもまた、同様に対称であるデータマークを含んでもよい。
磁気配向578および582は、磁気テープ574のこれらの特定の場所における磁性粒子の一般的磁気配向を図示する。磁気配向578および582はまた、磁気テープ574に提供されるバイアスの方向も図示する。磁気配向578および582の磁気バイアスは、対称サーボマーク580の作成前に作成されてもよい。磁気配向578および582のバイアスは、矢印584によって示されるテープの移動方向に関して、方向八分円III内として図示される。このようにして、サーボトラックの非パターン域中で磁気配向578および582によって作成される磁気バイアスは、垂直方向成分および長手方向成分の両方(例えば、非ゼロの垂直方向成分および非ゼロの長手方向成分)によって画定されてもよい。しかしながら、磁気バイアスの他の実施例は、完全に垂直(ゼロ長手方向成分)または完全に長手(ゼロ垂直成分)のいずれかである、磁気配向を含んでもよい。
対称サーボマーク580は、区分A、B、C、D、およびEを含む。これらの区分は、対称サーボマーク580の磁気特徴を例示するために使用される。対称サーボマーク580内の磁性粒子の磁気配向への変更は、概して、対称サーボマーク580の一方の端部から他方の端部まで連続的であり得る。例えば、対称サーボマーク580の後部(区分E)での磁気配向は、約170度から始まり、区分Cの中央で次第に90度に変化してもよい。次いで、区分Cの中央での磁気配向は、対称サーボマーク580の前部(区分A)で次第に約10度に変化してもよい。しかしながら、図19Aで図示される5つの区分A、B、C、D、およびEは、対称サーボマーク580内の磁性粒子の磁気配向への一般化変化を提供する。軸21および23によって画定されるような図2Aで説明される座標系が、変化する磁気配向を説明するために使用されるであろう。
基材576と磁気配向との間に形成される角度が、サーボマークの前部からサーボマークの後部まで実質的に左右対称であるため、対称サーボマーク580は、対称として表されてもよい。例えば、区分Aは、対称サーボマーク580の前部が(図2Aに関して)約10度で磁気配向を有することを示す。したがって、区分Aの磁気配向は、基材576より上側で約80度の角度を形成する。区分Eは、対称サーボマーク580の後部が(図2Aに関して)約170度で磁気配向を有することを示す。しかしながら、この170度配向はまた、基材576より下側で約80度の角度も形成する。このようにして、区分AおよびEの磁気配向によって形成される角度は、ほぼ等しい。概して、区分AおよびEの磁気配向は、約45度以上の角度を基材576と形成してもよい。他の実施例では、区分AおよびEの磁気配向は、約75度以上の角度を基材576と形成してもよい。各々の区分AおよびEの磁気配向は、相互と正反対ではない(例えば、磁気配向が180度離れていた場合、区分AおよびEは正反対の磁気配向を有するであろう)が、磁気配向が基材576に対して形成する角度が、サーボマークの前部とサーボマークの後部との間で実質的に類似するため、対称サーボマーク580は依然として対称として表される。
区分AおよびEと同様に、区分BおよびDも対称である。例えば、区分Bは、対称サーボマーク580の前部・中央は、約60度で磁気配向を有することを示す。したがって、区分Bの磁気配向は、基材576より上側で約30度の角度を形成する。区分Dは、対称サーボマーク580の後部・中央が約120度で磁気配向を有することを示す。しかしながら、この330度配向はまた、基材576より下側で約30度の角度も形成する。したがって、区分BおよびDの磁気配向は、実質的に対称である。区分Cは、対称サーボマーク580の中央で対称である、約90度の磁気配向を有する。
いくつかの実施例では、区分A、B、C、D、およびEの磁気配向は、磁気テープ574の対称サーボマーク580内で、少なくとも部分的に磁力線を画定してもよい。これらの磁力線は、対称サーボマーク580のマーク長B内で磁性粒子の磁気配向を生成するために使用される磁場によって生成される、磁力線に対応してもよい。概して、対称サーボマーク580の磁気配向によって少なくとも部分的に画定される磁力線は、対称サーボマーク580の全長にわたって(例えば、全マーク長Bにわたって)弓状形状を形成してもよい。この弓状形状は、対称サーボマーク580を作成するために使用される磁場に基づいて、異なる曲率半径を有してもよい。
他の実施例では、対称サーボマーク580内の磁気配向の特定の角度は、変化し得る。言い換えれば、区分AおよびE内の磁気配向の角度は、他の実施例では、0度により近くあり得る。対称サーボマーク580の磁気配向によって作成される基材576との正確な角度は、変化し得るが、対称サーボマーク580の前部と後部との間の磁気配向は、実質的に対称のままであってもよい。
対称サーボマーク580は、図19Aに示されるものとは異なる残留磁化を有してもよい。例えば、対称サーボマーク580は、一方の方向では実質的に垂直である磁場パターンの第1の部分、および反対方向では実質的に垂直である磁場パターンの第2の部分を用いて作成されてもよい。サーボマーク580の中間部分は、以前の磁気バイアスに類似する残留磁化を保持してもよい。このタイプの対称サーボマーク580は、消去されているバイアスに存在してもよく、例えば、磁気配向は、残留磁化が実質的にゼロであるようにランダム化されている。
図19Bに示されるように、読み出し信号586は、図19Aで図示される磁気テープ574の長さにわたって変化する磁気配向間の界面によって生成された振幅588を図示する。パルス590は、磁気配向578の磁気バイアスとサーボマークの対称サーボマーク580の区分Aとの間の反対かつ実質的に垂直の磁気配向による、振幅の強い増加を示す。加えて、対称サーボマーク580の区分Eから磁気配向578の磁気バイアスへの遷移もまた、パルス592によって示されるような振幅の大きな変化を提供する。対称サーボマーク580内の変化する磁気配向は、パルス590および592の間で図示される振幅の変化を生成する。
図20は、2つの磁気ヘッドを使用して、長手方向または垂直方向バイアス、例えば、実質的に垂直方向または長手方向の残留磁化のいずれかを磁気テープに作成するための技法例を図示する、フロー図である。図20の実施例では、システム26および磁気テープ32が説明されるであろう。しかしながら、長手方向または垂直方向バイアスは、より大きい垂直方向直角度を有する、本明細書で説明される磁気テープ例のうちのいずれか(例えば、磁気テープ10)に作成されてもよい。
図20に示されるように、磁気テープ32が、2つの磁気ヘッド(例えば、サーボヘッドモジュール28内の2つのヘッド)の間に送給される(600)。次いで、システム26が、第1の方向に磁気ヘッドの両方に向かって磁気テープ32を駆動する(602)。第1のヘッドが、磁気テープ32の片側(A面)から磁場を生成し、磁場は、概して、第1の方向に磁気テープ32に沿って配向される(604)。第1のヘッドの実施例は、図6Aに示されるような磁場111を生成する磁気ヘッド110である。この磁場は、磁場の後縁部に類似する磁気配向を作成してもよい。
磁気バイアスが長手方向となる場合(ブロック606の「はい」の分岐)、第2の磁気ヘッドが、磁気テープ32の反対側(B面)から磁場を生成し、磁場は、概して、第1の方向に磁気テープ32に沿って配向される(608)。この第2のヘッドの実施例は、図6Aに示されるような磁場113を生成する磁気ヘッド112である。ステップ608後に磁気テープ32に作成される、結果として生じる磁気バイアスは、実質的に長手方向の磁気バイアスである。言い換えれば、バイアスにおける磁気配向の垂直方向成分は、約ゼロである。
磁気バイアスが垂直となる場合(ブロック606の「いいえ」の分岐)、第2の磁気ヘッドが、磁気テープ32の反対側(B面)から磁場を生成し、磁場は、概して、第1の方向と反対の第2の方向に磁気テープ32に沿って配向される(610)。この第2のヘッドの実施例は、図7Aに示されるような磁場163を生成する磁気ヘッド162である。ステップ610後に磁気テープ32に作成される、結果として生じる磁気バイアスは、実質的に垂直な磁気バイアスである。言い換えれば、バイアスにおける磁気配向の長手方向成分は、約ゼロである。
磁気バイアスが、ステップ608または610のうちの1つで磁場を用いて磁気テープ32に作成された後、磁気テープ32は、データ記憶にさらに備えてもよい。例えば、1つ以上のサーボパターンが、磁気テープ32のサーボトラックの中で作成されてもよい。このサーボ書込みプロセスは、本明細書で説明される種々の技法のうちのいずれかに従って進んでもよい。
図21は、1つの方向八分円にバイアスを作成し、バイアスとは異なる方向八分円内にサーボマークを作成するための技法例を図示する、フロー図である。図21の技法は、図9A−13Bの磁場を用いて作成されるサーボマーク例を対象とする。例示目的で、図21は、磁気テープ280にサーボマークを書き込むために磁気ヘッド290および磁場307を使用する、図9Bで説明される磁気バイアスおよびサーボマークに関して説明されるであろう。異なる磁気ヘッドが、バイアスおよびサーボマークを生成するものとして表されるが、他の実施例では、同一の磁気ヘッドが使用されてもよい。
図21に示されるように、ユーザが、磁気バイアスのための所望の方向八分円を選択してもよい(624)。磁気バイアスのための方向八分円の選択は、任意の数の要因、例えば、完成したサーボパターンの予測される信号対雑音比、生成されることが可能な磁場、または磁気テープの特定の組成に基づいてもよい。図21の実施例では、磁気バイアスのための選択された方向八分円は、図9Bに示されるような方向八分円Iであってもよい。
次いで、磁気テープ280は、磁気バイアスが方向八分円Iの中で作成されることを可能にするように、バイアスヘッド(磁気ヘッド)に配向される(626)。次いで、バイアスヘッドが、方向八分円Iの中で磁気バイアスを作成するために必要な方向(例えば、磁気テープの移動と同一の方向)に磁場を生成する(628)。したがって、磁気テープ280がバイアスヘッド付近を通過した後、磁気テープ280は、方向八分円Iの中に磁気バイアスを含む。図9Bに示されるように、磁気バイアスは、磁気配向304を含んでもよい。
次に、磁気テープ280は、複数のサーボマークを使用したサーボパターンの作成のために設置され、磁気ヘッド290(例えば、サーボヘッド)を過ぎるまで駆動される(630)。図9Bの実施例では、磁気テープ280の基材は、磁気ヘッド290から離して設置されるであろう。次いで、磁気ヘッド290が、以前に作成された磁気バイアスとは異なる方向八分円の中でサーボパターンを作成するように、サーボマークを書き込む(632)。図9Bの実施例では、磁気ヘッド290は、八分円Iの中のバイアスの配向と略反対である、方向八分円IVの中に残留磁化を含むサーボマークを作成するように、磁気テープ280の移動方向に磁場307を生成する。各時間磁場307が生成され、磁気テープ280に印加され、新しいサーボマークが、バイアスとは異なる磁気配向で作成されるであろう。
概して、バイアス(例えば、非パターン域)の残留磁化および複数のサーボマークは、反対の方向八分円の中で方向を有する。図9−12で説明される八分円等の反対の八分円は、相互と正反対である必要がなくてもよい。正反対の八分円、例えば、八分円ペアIおよびVまたはVIIIおよびIVは、それらを分離する3つの他の八分円を有する。少なくとも2つの他の八分円、例えば、八分円ペアIおよびIVまたはVおよびVIIIによって分離される八分円は、依然として、相互と略反対と呼ばれてもよい。言い換えれば、八分円IおよびVの長手方向成分および垂直方向成分の両方は、例えば、相互から反対方向にある。八分円ペアIおよびIVでは、垂直方向成分は、反対方向にあるが、長手方向成分は、共通の方向を共有する。
図22は、磁場の方向を交互にすることによって、連続的にバイアスをかけ、サーボマークを書き込むための技法例を図示する、フロー図である。図22は、概して、図16Aおよび16Bの磁気ヘッド534、磁場536、および磁気テープ522を用いて説明される。しかしながら、この技法はまた、他の磁気テープ(例えば、磁気テープ10)にバイアスおよびサーボパターンを作成するために使用されてもよい。
図22に示されるように、サーボ書込みシステム(例えば、図3のシステム26)が、単一の磁気ヘッド534を過ぎて磁気テープ522を駆動する(634)。磁気テープ522が移動するにつれて、磁気ヘッド534が、磁気テープ522に磁気バイアスを作成するように第1の方向に磁場536Bを生成する(636)。磁気ヘッド534がサーボパターンのサーボマークを書き込む場合(ブロック638の「はい」の分岐)、磁気ヘッド534が、第2の方向に磁場536Aを生成するように磁場を切り替え、磁場536Aの後縁部を用いてサーボマークを書き込む(642)。磁気ヘッド534が磁場536Bの方向を切り替えため、第2の方向は、第1の方向と反対である。このようにして、磁気バイアスの磁気配向は、サーボマーク磁気配向と実質的に反対である。サーボマークを書き込んだ後(642)、磁気ヘッド534が、磁気バイアスを作成するために磁場536Aから磁場536Bへ再び切り替わる(636)。このようにして、磁気ヘッド534は、連続的に磁気バイアスまたはサーボマークのいずれかを生成するように、磁場の方向を連続的に交互にするか、または切り替えてもよい。
磁気ヘッド534がサーボマークを書き込まず(ブロック638の「いいえ」の分岐)、書込みプロセスが完了していない(ブロック640の「いいえ」の分岐)場合、磁気ヘッド534が、磁場534Bを生成し続ける(636)。しかしながら、磁気ヘッド534がサーボマークを書き込まず(ブロック638の「いいえ」の分岐)、書込みプロセスが完了している(ブロック640の「はい」の分岐)場合には、磁気ヘッド534が、磁場生成を停止する(644)。
図23は、磁気記憶テープに対称サーボマークを作成するための技法例を図示する、フロー図である。図23は、概して、図18Aの磁気ヘッド564、磁場566、および磁気テープ554を用いて説明される。しかしながら、この技法はまた、他の磁気テープ(例えば、磁気テープ10)に対称サーボマークを作成するために使用されてもよい。本技法は、サーボパターンのための対称サーボマークを書き込むことを対象としているが、対称サーボマークはまた、データトラック内でデータマークとして書き込まれてもよい。
図23に示されるように、サーボ書込みシステム(例えば、図3のシステム26)が、単一の磁気ヘッド564を過ぎて磁気テープ554を駆動する(646)。磁気テープ554は、テープ上に作成された磁気バイアスをすでに有してもよい。磁気ヘッド564がサーボマークを書き込む場合(ブロック648の「はい」の分岐)、コントローラ30が、サーボマークから所望の波形を達成する所望の残留磁化を作成するように印加する適切な磁場(例えば、磁場の方向)を決定してもよい(651)。このようにして、サーボマークは、本明細書で説明されるような八分円の中で特定の残留磁化を達成するように、磁場を用いて書き込まれてもよい。磁気テープ554におけるバイアス磁化に基づいて、結果として生じるサーボマークは、読取りヘッドによって読み取られたときに波形を達成してもよい。次に、磁気ヘッド564が、短い期間にわたって磁場566のフラッシュパルスを送達する(652)。言い換えれば、磁場566が、そのような短い時間にわたって作成されるため、磁場566は、磁気テープ554が移動している際にテープに印加されない。本明細書で説明されるように、短い期間は、概して約10ナノ秒から50ナノ秒の間、またはそれより少なくてもよい。これが作成する磁場566は、実質的に対称である、磁気テープ554の中のサーボマークの全長にわたって磁気配向である。
磁気ヘッド564がサーボマークを書き込まない(ブロック648の「いいえ」の分岐)が、より多くのサーボマークが磁気テープ554に書き込まれる場合には、本システムは、対称サーボマークとしてサーボマークを書き込み続けるように、磁気テープ544を駆動し続ける。磁気ヘッド564がサーボマークを書き込まず(ブロック648の「いいえ」の分岐)、もはやサーボマークが磁気テープ554に書き込まれない場合には、本システムは、サーボ書込みプロセスが完了しているため磁気テープ544を停止する(654)。
他の実施例では、サーボパターンのための対称サーボマークは、テープ経路に沿って連続的に並んだ複数の磁気ヘッドを用いて書き込まれてもよい。次いで、磁場のフラッシュパルスが、磁気ヘッドの同一の間隔を伴って対称サーボマークを同時に作成するように、全ての磁気ヘッドによって送達されてもよい。このようにして、サーボパターンの複数のサーボマークが、同時に書き込まれてもよい。
種々の異なるバイアスおよびサーボ書込み技法が、より大きい垂直方向直角度を画定する磁気記憶媒体に関して本明細書で説明される。これらの技法の各々は、所望の方向の残留磁化を作成するために、単独で、または任意の組み合わせで使用されてもよい。本明細書で説明される磁気テープ例の各々はまた、磁気テープ全体の複数部分のみでもあり、各部分は、磁気テープ内の一部分例として表される。