JP6251672B2 - 光学的分析用の測定デバイス - Google Patents
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Description
透明部材は、410nm以下の波長の光を透過するものであることがより好ましい。さらに、透明部材は無色透明であることが好ましい。
透明部材の素材としては、無機物および有機物を問わない。また、1つの測定デバイスの中で、透明部材として、無機物部材および有機物部材のいずれか一方が単独で用いられてもよいし、両方が組み合わされて用いられてもよい。無機物部材と有機物部材とが組み合わされる場合、組み合わせ態様の一例として、1つの検出部において、入射側と検出器側とでそれぞれ異なる素材を用いることができる。組み合わせ態様の他の一例として、1つの測定デバイスに複数の検出部を設け、検出部に応じて異なる素材を用いることもできる。
一局面に従う光学的分析用の測定デバイスは、樹脂部材と、樹脂部材に取付けた無機物部材と、樹脂部材を通って無機物部材と接触しながら通過する流路と、を含むものである。
無機物部材は、樹脂部材の一部に形成された嵌込孔または切欠部に嵌めこまれることによって取り付けられてよい。さらに、無機物部材と樹脂部材との組み合わせ形状が平板状となるように、無機部材が取り付けられることが好ましい。この場合、測定デバイスの外表面において、無機物部材と樹脂部材との境界における表面段差がないこと、または表面段差が0μm超100μm以下程度であることが好ましい。
無機物部材の表面には、凹部が形成されていてもよい。この場合、無機物部材における凹部表面は、樹脂部材における流路を構成する面の少なくともいずれかに連なることにより、当該流路を構成する面と一体となって流路空間を規定する。
樹脂部材表面と無機物部材表面との段差が上記範囲内であることにより、流路内は、樹脂部材と無機物部材との境界近傍であっても、液流が乱れにくい。したがって、液流が層流である場合も、層流状態を好ましく維持することができる。
第2の発明に係る光学的分析用の測定デバイスは、一局面に従う光学的分析用の測定デバイスにおいて、無機物部材は、テーパ部を有するものである。
樹脂部材への嵌め込みやすさを考慮すると、無機物部材のテーパ部傾斜面の角度はある程度以上であることが好ましく、このような観点からは、当該傾斜面の角度はたとえば0度超90度未満であってよい。
また、樹脂部材への嵌め込み後の抜出防止を考慮すると、当該傾斜面の角度は小さい方が好ましい傾向にあり、このような観点からは、たとえば、0度超60度以下、好ましくは5度以上30度以下であってよい。
第3の発明に係る光学的分析用の測定デバイスは、一局面または第2の発明に係る光学的分析用の測定デバイスにおいて、無機物部材は、断面が円形である。
第4の発明に係る光学的分析用の測定デバイスは、一局面または第2の発明に係る光学的分析用の測定デバイスにおいて、無機物部材は、断面が矩形状である。
第5の発明に係る光学的分析用の測定デバイスは、一局面から第4の発明のいずれかに係る光学的分析用の測定デバイスにおいて、無機物部材は、樹脂部材と一体成形されたものである。
第6の発明に係る光学的分析用の測定デバイスは、第5の発明に係る光学的分析用の測定デバイスにおいて、無機物部材は、樹脂部材から抜出防止の凸形状を有するものである。
第7の発明に係る光学的分析用の測定デバイスは、第5または第6の発明に係る光学的分析用の測定デバイスにおいて、無機物部材は、樹脂部材からの抜出防止のための算術平均粗さがRa0.1μm以上1μm以下の面を有するものである。
抜出防止面には、無機物部材の抜出を防止するための表面加工がされていてよい。たとえば、抜出しを防止すべき方向(具体的には、無機物部材の軸体と平行な方向、または測定デバイスの厚み方向)と非平行に、筋目などの滑り止め模様が形成されてよい。
なお、本明細書において、算術平均粗さRaは、JIS B 0601:2001に定められた規格に基づく。
第8の発明に係る光学的分析用の測定デバイスは、一局面から第7の発明のいずれかに係る光学的分析用の測定デバイスにおいて、樹脂部材は、第1樹脂部材および第2樹脂部材からなり、無機物部材は、第1樹脂部材に取付けられた第1無機物部材と、第2樹脂部材に取付けられた第2無機物部材とからなり、流路は、第1樹脂部材に形成された凹部と、第1無機物部材、第2樹脂部材および第2無機物部材の面とが組み合わせられることにより形成されたものである。
無機物部材と樹脂部材との間の固定は、樹脂部材と樹脂部材との間の固定より弱い傾向にある。第2樹脂部材に取り付けられた無機物部材が、第1樹脂部材と接触しないように配設されることにより、検出部における流路の境界で相対的に弱い固定部分が生じることを回避することができる。このため、流路から液体の漏れを防止することができる。
第9の発明に係る光学的分析用の測定デバイスは、一局面から第8の発明のいずれかに係る光学的分析用の測定デバイスにおいて、無機物部材は、光学的測定に使用する波長の光に対する透過率が80%以上であることがより好ましい。
第10の発明に係る光学的分析用の測定デバイスは、一局面から第9の発明のいずれかに係る光学的分析用の測定デバイスにおいて、無機物部材は、シリカガラスである。
第11の発明に係る光学的分析用の測定デバイスは、一局面から第10の発明のいずれかに係る光学的分析用の測定デバイスにおいて、無機物部材は、180nm以上1000nm以下の波長の光を90%以上透過し、且つ1000nm以上2500nm以下の波長の光を80%以上透過する合成シリカガラスである。
第12の発明に係る光学的分析用の測定デバイスは、一局面から第11の発明のいずれかに係る光学的分析用の測定デバイスにおいて、無機物部材は、平行な2つの鏡面を持ち、且つ鏡面の一方が流路と接すると共に鏡面の他方が外気と接している。
111 第1平板
112 第2平板
300,310,320,330,360 シリカガラス部、合成シリカガラス部
220,240 流路
346,356 凸部
301,302,311,312,321,322,331,332,341,351,361,364,381,382,371,390,301a,302a シリカガラスチップ、合成シリカガラスチップ
図1は、第1の実施の形態に係る測定デバイス(マイクロ流路デバイス)の一例を示す模式図であり、図2および図3は図1の測定デバイスのシリカガラス部の模式的拡大図である。
なお、本発明において、シリカガラスチップの上面および下面とは、シリカガラスチップを構成する面のうちの対向する一対の面であって、かつ、シリカガラスチップがマイクロ流路デバイスに組み込まれ測定に供される場合に、測定光の入射面となる面およびその対向面からなる一対の面をいう。
図1に示すように、測定デバイス100は、第1平板111および第2平板112を張り合わせて形成される。第1平板111および第2平板112は、後述するシリカガラス部300を除いてプラスチック樹脂で構成される。
また、測定デバイス100は、主に送液合流部、検出部、および排出部の3つの領域を含む。
なお、流路240は、検出部に近づくにつれて管路断面が小さくなるよう形成される。
図2および図3を用いてシリカガラスチップの説明を行う。
図2に示すように、シリカガラスチップ301は、切頭逆円錐の形状を有する。シリカガラスチップ301の長さL1は1mmであり、小直径R2は0.2mmであり、シリカガラスチップ301の軸心方向(すなわち図2(b)の上下方向)に対する側面のテーパ傾斜θ1は、例えば30度である。
第1液導入口210から導入された第1液が流路220を通過し、第2液導入口230から導入された第2液が別の流路220を通過する。流路220を通過した第1液の液流と第2液の液流とは、流路220と流路240との境界で合流し、流路240内で層流を形成する。
続いて、第1の実施の形態にかかる測定デバイスの他の例について説明を行う。なお、第1の実施の形態において説明した部分と同じ部分については同符号を記載し、説明を省略する。
ここで、図5および図6を用いてシリカガラスチップの説明を行う。
図5に示すように、シリカガラスチップ311は、溝が設けられた六面体の形状を有する。当該六面体は、上面(図5(a)参照)と下面(図5(c)参照)とが大きさの異なる長方形で構成され、対向する2対の側面のうち一方の1対の側面が同形の台形(図5(b)参照)で構成され、他方の1対の側面が同形の長方形(図5(d)参照)で構成される。そして、シリカガラスチップ311の下面には、幅H3の溝が形成されている。これにより、他方の一対の側面の下部が幅H3の矩形状の切欠きを有する(図5(d)参照)。シリカガラスチップ311の長さL11は1mmであり、幅H1は4mmであり、幅H2は2mmである。また、溝幅H3は、0.19mmである。また、シリカガラスチップ311の軸心方向(すなわち図5(b)の上下方向)に対する側面のテーパ傾斜θ1は、例えば30度である。
続いて、第1の実施の形態にかかる測定デバイスのさらに他の例について説明を行う。なお、上記の実施の形態において説明した部分と同じ部分については同符号を記載し、説明を省略する。
ここで、図8および図9を用いてシリカガラスチップの説明を行う。
図8に示すように、シリカガラスチップ321は、溝が設けられた直方体の形状を有する。当該直方体は、下面に幅H3の溝が形成されている(図8(c)参照)。これにより、一対の側面の下部が幅H3の矩形状の切欠きを有する(図8(d)参照)。シリカガラスチップ321の長さL11は1mmであり、幅H1は4mmであり、幅H2は2mmであり、溝の幅H3は0.19mmである。
続いて、第1の実施の形態にかかる測定デバイスのさらに他の例について説明を行う。なお、上記の実施の形態において説明した部分と同じ部分については同符号を記載し、説明を省略する。
図10に示すように、検出部の一部および排出部をシリカガラス部330で形成してもよい。
この場合、第1平板111の切欠部280に、流路240の凹部が形成されたシリカガラスチップ331を圧入し、第2平板112の切欠部281に、流路240の凹部が形成されたシリカガラスチップ332を圧入し、第1平板111と第2平板112とを貼り合わせて測定デバイス100を形成する。
続いて、図11および図12は、測定デバイス100を形成する際のシリカガラス部のさらに他の例を示す模式的断面図である。
以下、第2の実施の形態に係る測定デバイスの一例について説明を行う。なお、第1の実施の形態に係る測定デバイス100と同部材および同構造については、同一の符号を付し、説明を省略する。
また、第1の実施の形態に係る測定デバイス100と異なり、第2の実施の形態に係る測定デバイス100は、送液合流部を有さない。
ここで、図14を用いて合成シリカガラスチップ361の説明を行う。
図14に示すように、合成シリカガラスチップ361は、切頭逆円錐部362と円筒部363とが組み合わされた形状を有する。
合成シリカガラスチップ361の長さL1は0.875mmであり、大直径R1は1mmであり、流路240(図13参照)の境界を構成する面の小直径R2は0.2mmである。小直径R2は、流路240(図13参照)の幅よりも小さく設定される。合成シリカガラスチップ361の軸心に対する、切頭逆円錐部362のテーパ傾斜θ2は、例えば45度である。
これに対して、合成シリカガラスチップ361の側面は、鏡面より粗い表面で形成されている。より粗い表面で形成されている側面は、少なくとも円筒部363の側面であればよく、円筒部363の側面と切頭逆円錐部362のテーパ面との両方であってもよい。より粗い表面の算術平均粗さRaは、たとえば0.1μm以上1μm以下、好ましくは0.2m以上1μm以下、さらに好ましくは0.3μm以上0.7μm以下である。これにより、合成シリカガラスチップ361の、嵌合孔290,291からの抜出防止を図ることができる。
図15は、図13の測定デバイスの他の例を示す模式図である。図15(a)は模式的平面視(上面視)を示し、図15(b)は図15(a)のA−A線の模式的断面を示す。
図16は、図13の測定デバイスのさらに他の例を示す模式図である。図16(a)は模式的平面視(上面視)を示し、図16(b)は図16(a)のA−A線の模式的断面を示す。
図17、図18、図19、図20は、図13から図16に示した測定デバイスのさらに他の例を示す模式的断面図である。
しかしながら、この態様に限定されず、たとえば、合成シリカガラスチップ382の流路240側の面の最大径(R41と同じ)も、流路240の幅より小さくてよい。また、合成シリカガラスチップ381,382の少なくとも一方または両方において、流路240側の面の最大径が流路240の幅と同じであってもよい。
次いで、図21は、図13から図20に示した測定デバイス100に適用可能な例を示す模式図である。
次いで、図22は、図13から図21に示した測定デバイス100に適用可能な例を示す模式図である。
さらに、図24および図25に示すように、図2および図3に示した切頭逆円錐形状のシリカガラスチップの代わりに、切頭逆四角錐形状のシリカガラスチップ301a,302aを用いてもよい。
無機物部材の材質は、透明の無機物であれば特に限定されない。たとえば、透明の無機酸化物が挙げられる。透明の無機酸化物としては、ケイ素、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、インジウムからなる群から選ばれる元素の酸化物が挙げられる。透明の無機物の具体例としては、ガラス、サファイア、およびダイアモンドなどが挙げられる。ガラスとしては、シリカガラス、一般ガラス、および光学用ガラスなどが挙げられる。シリカガラスとしては、合成物および天然物を含む。
上述の実施形態では、無機物部材を用いた例を示したが、本発明の測定デバイスは、当該無機物部材の代わりに有機物部材を用いてもよい。
有機物部材は、450nm以下、好ましくは410nm以下の波長の光を透過する紫外線透過性透明樹脂である。このような透明樹脂は、220nm以上450nm以下の波長の光を、例えば50%以上、好ましくは80%以上透過するものである。また、このような透明樹脂は、自家蛍光が少ないものであることが好ましい。具体的には、芳香族環を有しない樹脂であることが好ましい。
なお、式(I)で表される硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下である。
図26は、図15に示した測定デバイスのさらに他の例を示す模式的断面図である。図26の測定デバイスにおいては、第1平板111および第2平板112の間に、第3平板113が設けられる。
第1平板111には嵌合孔290が形成され、合成シリカガラスチップ361が嵌合させられている。第2平板112には嵌合孔295が形成され、円柱形状の紫外線透過性エポキシ樹脂チップ365が嵌合させられている。
第3平板113には矩形状の孔が形成され、第3平板の一方の面を第1平板111と張り合わせ、他方の面を第2平板と張り合わせることで、流路240が形成される。
このように無機物部材と有機物部材とを組み合わせることにより、たとえば、入射側では無機物部材による優れた光透過性を利用する一方、検出器側では有機物部材による優れた表面修飾多様性を利用する、というように、それぞれの特性を組み合わせて利用することが可能となる。
樹脂部材の材質としては特に限定されず、当業者によって適宜選択される。好ましくは、透明樹脂である。樹脂部材の材質の例として、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ビニル−アセテート共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ナイロン、ポリメチルペンテン、シリコン樹脂、アミノ樹脂、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、およびポリイミドなどが挙げられる。
透明部材および樹脂部材の流路側表面には、分析デバイスの用途、分析方法、および分析に供する液体の特性などによって、当業者によって適宜表面改質処理が行われてよい。表面改質処理によって、物理的、化学的および生化学的の少なくともいずれかの特性を付与することができる。具体的には、生理活性物質の固定化、機能性材料の固定化、官能基の導入、親水性付与、および疎水性付与などが挙げられる。
特に、本発明に係る光学的分析用の測定デバイス100は、セルソータ、遺伝子検出チップ、たんぱく質検出チップ等として利用することができる。
Claims (11)
- 樹脂部材と、
前記樹脂部材に取付けた無機物部材と、
前記樹脂部材を通って前記無機物部材と接触しながら通過する流路と、を含み、
前記樹脂部材は、第1樹脂部材および第2樹脂部材からなり、前記無機物部材は、前記第1樹脂部材に取付けられた第1無機物部材と、前記第2樹脂部材に取付けられた第2無機物部材とからなり、
前記流路は、前記第2樹脂部材に形成された凹部と、前記第2無機物部材、前記第1樹脂部材および前記第1無機物部材の面とが組み合わせられることにより形成され、
前記流路内においては、前記無機物部材と前記樹脂部材との境界における表面段差が、0μm以上100μm以下であることを特徴とする光学的分析用の測定デバイス。 - 前記無機物部材は、テーパ部を有することを特徴とする請求項1記載の光学的分析用の測定デバイス。
- 前記無機物部材は、断面が円形からなることを特徴とする請求項1または2に記載の光学的分析用の測定デバイス。
- 前記無機物部材は、断面が矩形状からなることを特徴とする請求項1または2に記載の光学的分析用の測定デバイス。
- 前記無機物部材は、前記樹脂部材と一体成形されたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光学的分析用の測定デバイス。
- 前記無機物部材は、前記樹脂部材から抜出防止の凸形状を有することを特徴とする請求項5記載の光学的分析用の測定デバイス。
- 前記無機物部材は、前記樹脂部材からの抜出防止のための算術平均粗さがRa0.1μmから1μmの面を有することを特徴とする請求項5または6に記載の光学的分析用の測定デバイス。
- 前記無機物部材は、光学的測定に使用する光の波長に対する透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の光学的分析用の測定デバイス。
- 前記無機物部材は、シリカガラスであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の光学的分析用の測定デバイス。
- 前記無機物部材は、180nmから1000nmの波長の光を90%以上透過し、且つ1000nmから2500nmの波長の光を80%以上透過する合成シリカガラスであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の光学的分析用の測定デバイス。
- 前記無機物部材は、平行な2つの鏡面を持ち、且つ前記鏡面の一方が前記流路と接すると共に前記鏡面の他方が外気と接していることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の光学的分析用の測定デバイス。
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