JP6251166B2 - 情報処理システムおよび記録装置 - Google Patents

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Description

本発明はデータ処理技術に関し、特に情報処理システムおよび記録装置に関する。
現在、都市を全体としてマネージメントするための技術としてスマートグリッドが提案されてきている。このスマートグリッドでは、(1)電力エネルギー測定層、(2)電力情報通信層、(3)都市電力マネージメント層の3層モデルを主に電力エネルギーベースで設計することが基本アーキテクチャとなる。
特開2011−257949号公報
本発明者は、家計や、事業所、コミュニティベースでの様々なエネルギーサーバ導入の意思決定や運用を効果的に支援するためには、家庭や事業所等をエネルギーマネージメントの主体として積極的に取込むことが必要であると考えた。またそのためには、家計や事業所等におけるエネルギーの変化量を分析に資する態様で記述するための新たな仕組みが必要であると考えた。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その主な目的は、家計や、事業所、コミュニティベースでの様々なエネルギーサーバ導入の意思決定や運用を効果的に支援するための技術を提供することにある。本発明の目的の一例としては、エネルギーマネージメントに関する原価管理のための技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報処理システムは、所定の組織に配置された複数の機器におけるエネルギーのフローまたはストックに関する情報を記録する複数の記録装置と、複数の記録装置が記録した情報を集計する集計装置と、を備える。複数の記録装置のそれぞれは、エネルギーのフローまたはストックの量の変化を検出する検出部と、エネルギーのフローまたはストックの量の変化に伴って値が変化するエネルギーに関する属性であって、複式簿記において借方にあたる属性を示す借方科目と、複式簿記において貸方にあたる属性を示す貸方科目とを対応づけて保持する科目情報保持部と、検出部がエネルギーのフローまたはストックの量の変化を検出した場合に、その変化量を借方科目と貸方科目のそれぞれに対応づけた仕訳の情報を記録する仕訳処理部と、仕訳処理部が記録した仕訳の情報を集計装置へ通知する通知部と、を含む。集計装置は、複数の記録装置のそれぞれから通知された仕訳の情報を、借方科目と貸方科目に基づいて集計し、その集計結果を記録する集計処理部と、集計処理部が記録した集計結果の情報を外部へ出力する出力部と、を含む。
本発明の別の態様は、エネルギー情報の記録装置である。この装置は、監視対象の機器に搭載される記録装置であって、機器におけるエネルギーのフローまたはストックの量の変化を検出する検出部と、エネルギーのフローまたはストックの量の変化に伴って値が変化するエネルギーに関する属性であって、複式簿記において借方にあたる属性を示す借方科目と、複式簿記において貸方にあたる属性を示す貸方科目とを対応づけて保持する科目情報保持部と、検出部がエネルギーのフローまたはストックの量の変化を検出した場合に、その変化量を借方科目と貸方科目のそれぞれに対応づけた仕訳の情報を記録する仕訳処理部と、仕訳処理部が記録した仕訳の情報を外部装置へ通知する通知部と、を備える。
本発明のさらに別の態様は、情報処理システムである。この情報処理システムは、複数の記録装置と、複数の分散計算装置と、合成計算装置と、を備える。複数の記録装置のそれぞれは、所定の対象物のフローまたはストックの量の変化を検出する検出部と、対象物のフローまたはストックの量の変化に伴って値が変化する対象物に関する属性であって、複式簿記において借方にあたる属性を示す借方科目と、複式簿記において貸方にあたる属性を示す貸方科目とを対応づけて保持する科目情報保持部と、検出部が対象物のフローまたはストックの量の変化を検出した場合に、その変化量を借方科目と貸方科目のそれぞれに対応づけた仕訳の情報を記録する仕訳処理部と、を含む。複数の分散計算装置のそれぞれは、通信網を介して、複数の記録装置の一部であって、予め定められた1つ以上の記録装置において記録された仕訳の情報を取得する仕訳情報取得部と、1つ以上の記録装置のそれぞれで記録された仕訳の情報を、借方科目と貸方科目に基づいて集計し、その集計結果を記録する集計処理部と、を含む。合成計算装置は、通信網を介して、複数の分散計算装置において記録された集計結果を取得する集計結果取得部と、複数の分散計算装置のそれぞれにおいて記録された集計結果を合成することにより、複数の記録装置において記録された仕訳の情報全体の集計結果を生成する合成部と、を含む。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、家計や、事業所、コミュニティベースでの様々なエネルギーサーバ導入の意思決定や運用を効果的に支援することができる。
売上伝票の例を示す図である。 前提技術2のデータ編集装置の機能構成を示すブロック図である。 会計型データを操作するためのユーザコードの一例を示す図である。 図3のユーザコードに対応する実行コードを示す図である。 図3のユーザコードに対応する実行コードを示す図である。 レコード型データを操作するためのユーザコードの一例を示す図である。 図5のユーザコードに対応する実行コードを示す図である。 図5のユーザコードに対応する実行コードを示す図である。 データ編集装置の動作を示すフローチャートである。 エネルギーのフロー・ストック・諸サーバ群の関係を模式的に示す概念図である。 第1の実施の形態のエネルギー収支管理システムの構成を示す図である。 図9のエネルギーイベント記録装置の機能構成を示すブロック図である。 科目情報保持部に格納されるデータの例を示す図である。 図9のエネルギー管理サーバの機能構成を示すブロック図である。 振替規則保持部に格納されるデータの例を示す図である。 複数のエネルギーイベント記録装置により記録された仕訳情報を一覧で示す図である。 第2の実施の形態のエネルギー収支管理システムの構成を示す図である。 PSCAによる分散ストリーム計算を模式的に示す図である。 分散ストリーム計算の並列実行管理の仕組みを模式的に示す図である。
(前提技術1)
本発明の実施の形態の構成を説明する前に、本実施の形態の前提となる交換代数について説明する。
本発明者は、以下に示す2つのデータ構造により、企業等の組織における8〜9割のデータを表現することができると考えた。
1.多分類数値型(以下、「会計型データ」とも呼ぶ。)
データの値とデータの属性(以下、「基底」とも呼ぶ。)の組み合わせであり、データの値として数値が用いられ、データの属性として名称・単位・時間・主体が用いられる。例えば、40<現金,円>+30<ミカン,個>・・・と表現される。
2.多分類混合型(以下、「レコード型データ」とも呼ぶ。)
データの値と基底の組み合わせであり、データの値および基底には数値や数値以外の様々なリテラルが用いられる。例えば、55<年齢>+山田太郎<名前>+津軽<好きな果物>・・・と表現される。
以下では、主に会計型データについて詳細に説明する。
会計型データは、何らかの分類された項目ごとに与えられた数値データをまとめて表現し、その上で演算を行うための代数系(以下、「交換代数」とも呼ぶ。)に属するものであり、交換代数データとも言える。会計型データにおける基底(すなわち分類項目)は、<名称,単位,時間,主体>と4つの項目からなる。データは、1以上の基底に対する値の組み合わせ、言い換えれば、1以上の基底に対する値の和で表現される。
例1:x=200<リンゴ,円,#,#>+400<さんま,円,#,#>
例2:y=200<リンゴ,円,2006年第1四半期,#>+400<リンゴ,円,2006年第2四半期,#>+720<リンゴ,円,2006年第3四半期,#>
上記の例1では時間と主体が省略されており、例2では主体が省略されている。例2は時系列データが表現されたものとも言える。また基底の主体には企業名等の組織の識別情報が設定されてもよい。
交換代数による表現のメリットとして、様々な基底(分類)を用いてデータを表現できること、またプログラムコードではなく人間に解釈容易な文字で基底を表現できることが挙げられる。さらにまた、後述するように振替という演算による統一的なデータ編集が可能になる。
前提技術の交換代数では、マイナスの数値の代わりに^(ハット)という記号を用いる。例えばx=20^<リンゴ,#,#,#>はリンゴが20減ることを示す。言い換えれば、^はある項目に対して相殺すべき反対項目を意味する基底を示す。また相殺操作を表す作用素(オペレータ)として「〜(バー)」を導入する。以下例を示す。
x1=30<現金>+20<リンゴ>+50<負債>
y1=^x1=30^<現金>+20^<リンゴ>+50^<負債>
〜(y1+x1)=(30^<現金>+20^<リンゴ>+50^<負債>)+(30<現金>+20<リンゴ>+50<負債>)=0
次に、交換代数による振替え操作について説明する。簿記では振替という操作がある。これは一種の分類替え(基底変換)の操作と言える。ここでは、図1の(a)に示す八百屋の売上伝票を図1の(b)に示す売上伝票へ振替える例を示す。
図1の(a)および(b)で示す取引は円表示で以下のように表現できる。
x1=200<現金,円>+100^<リンゴ,円>+100<利益,円>
x2=50<光熱費,円>+50^<現金,円>
x3=100^<利益,円>+100<営業収益,円>
x4=50^<営業収益,円>+50^<光熱費,円>
y=x1+x2+x3+x4=(200<現金,円>+100^<リンゴ,円>+100<利益,円>)+(50<光熱費,円>+50^<現金,円>)+(100^<利益,円>+100<営業収益,円>)+(50^<営業収益,円>+50^<光熱費,円>)
〜y=150<現金,円>+100^<リンゴ,円>+50<営業収益,円>
次に、振替え操作と見なすアグリゲーション(合併)と按分について説明する。
1.アグリゲーション
300円の津軽と200円の富士と100円の紅玉(いずれもリンゴの1品種)があったとする。これを、x=300<津軽,円>+200<富士,円>+100<紅玉,円>と表現する。この津軽・富士・紅玉を「リンゴ」とまとめて分類する操作も一種の振替であり、アグリゲーションとよぶ。なお前提として{津軽,富士,紅玉}-->{リンゴ}という対応関係のマップが与えられている必要がある。
この例では上記の対応関係のマップにしたがって、F(x)=300^<津軽,円>+200^<富士,円>+100^<紅玉,円>+300<リンゴ,円>+200<リンゴ,円>+100<リンゴ,円>、という元を生成する。基底<リンゴ>の値は、集約対象の基底<津軽>、<富士>、<紅玉>のそれぞれに対する値である。言い換えれば、集約対象の基底<津軽>、<富士>、<紅玉>のそれぞれに対する値の集計値が、基底<リンゴ>の値として算出される。
アグリゲーションを表す振替G(x)は、F(x)を用いて、〜{x+F(x)}で与えられる。すなわち、G(x)=〜{x+F(x)}=(300<津軽,円>+200<富士,円>+100<紅玉,円>)+(300^<津軽,円>+200^<富士,円>+100^<紅玉,円>+300<リンゴ,円>+200<リンゴ,円>+100<リンゴ,円>)=600<リンゴ,円>、となる。
2.按分
按分とは、1つの分類項目をさらに細かく複数の分類項目へ分割することである。例えば、アグリゲーションに示した例では基底<リンゴ>に対応する値を、津軽・富士・紅玉へ分割することを意味する。なお前提として{リンゴ}-->{津軽,富士,紅玉}の按分比率が与えられている必要があり、ここでは1:1:1であることとする。
この例では上記の按分比率にしたがって、x=600<リンゴ,円>に対して、F(x)=600^<リンゴ,円>+200<津軽,円>+200<富士,円>+200<紅玉,円>、という元を生成する。
按分を表す振替えG(x)は、F(x)を用いて、〜{x+F(x)}で与えられる。すなわち、G(x)=〜{x+F(x)}=600<リンゴ,円>+(600^<リンゴ,円>+200<津軽,円>+200<富士,円>+200<紅玉,円>)=200<津軽,円>+200<富士,円>+200<紅玉,円>、となる。
(前提技術2)
以下、前提技術1の交換代数の考え方を利用してデータ編集処理を実行する情報処理装置(以下、「データ編集装置」と呼ぶ。)について説明する。前提技術2において、ユーザは、対象がその集合に属するための必要十分条件を与えることによって集合を記述する方法である内包的記法を用いて、データの編集内容を記述する。前提技術2のデータ編集装置は、内包的記法により記述された編集内容に基づいて、集合の要素をすべて列挙することで集合を記述する方法である外延的記法で記述されたプログラムコードを出力する。そして、編集対象のデータを、交換代数に対応する形式のデータオブジェクトとしてメモリに読み込み、上記のプログラムコードを実行することによりデータの編集処理を実行する。
図2は、前提技術2のデータ編集装置10の機能構成を示すブロック図である。データ編集装置10は、データ保持部12と、コード対応関係テーブル14と、集約規則テーブル16と、按分規則テーブル18と、コード取得部20と、コード生成部22と、編集処理部24を備える。
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。例えば、図2の各機能ブロックは、ソフトウェアとして記録媒体に格納されデータ編集装置10のハードディスクにインストールされ、データ編集装置10のメインメモリに適宜読み出されてCPUにて実行されてもよい。
データ保持部12は、編集対象となる編集前のデータと編集後のデータとを保持する記憶領域である。データ保持部12は、編集前のデータと編集後のデータのそれぞれについて、データの値と基底とを対応づけたCSV(Comma Separated Values)ファイルを保持する。例えば、CSVファイルの一行が「値,ハットの有無,名称,単位,時間,主体」となり、空白行が元(げん)の区切りを示してもよい。なおデータ保持部12は、データ編集装置10とは異なる情報処理装置、例えばデータベースサーバ内に設けられてもよいことはもちろんである。この場合、LAN・WAN・インターネット等の通信網を介して当該データベースサーバとデータ編集装置10が接続された情報処理システムが構築されてもよい。
コード対応関係テーブル14は、データの編集内容(編集操作)を内包的記法により記述するためのプログラム言語(以下、「内包的記法言語」とも呼ぶ。)と、データの編集内容を外延的記法により記述するためのプログラム言語(以下、「外延的記法言語」)との対応関係を保持する記憶領域である。前提技術2における外延的記法言語はJava(登録商標)言語であることとするが、C言語等、他のプログラム言語であってもよい。
内包的記法言語と外延的記法言語との対応関係は、例えば、内包的記法言語における編集操作を示すキーワードと、外延的記法言語におけるその編集操作を実現するためのロジックを実装したコード(関数)とを対応づけたものである。より具体的には、内包的記法言語における複数のデータから特定のデータを抽出する条件の記述は、外延的記法言語における複数のデータを逐次列挙するための繰り返し命令の記述と対応づけられる。また例えば、内包的記法言語において入力データを指定するコードと、外延的記法言語においてその入力データをメモリ内に読み込むロジックを実装したコードとを対応づけたものである。なお、対応関係の具体例は図3〜図6において後述する。
集約規則テーブル16は、アグリゲーション操作時に参照されるべき複数種類の基底の集約関係を定めた集約規則を保持する記憶領域である。集約規則は、例えば上述の{津軽,富士,紅玉}-->{リンゴ}という集約関係を定めたものである。複数種類の基底を集約する基底(上記例ではリンゴ)を以下では「集約基底」と呼ぶこととする。按分規則テーブル18は、按分操作時に参照される複数種類の基底の按分比率を定めた按分規則を保持する記憶領域である。按分規則は、例えば上述の{リンゴ}-->{津軽,富士,紅玉}という按分関係と、1:1:1という按分比率を定めたものである。
コード取得部20は、キーボード等の所定の入力装置を介してユーザにより入力されたプログラムコード(以下、「ユーザコード」とも呼ぶ。)を取得する。このユーザコードは、内包的記法言語で記述される。具体的なユーザコード例は後述する。
コード生成部22は、コード対応関係テーブル14に保持された対応関係にしたがって、ユーザコードから、ユーザコードに記述されたデータ編集内容が外延的記法言語で記述されたプログラムコード(以下、「実行コード」とも呼ぶ。)を生成する。前提技術2における実行コードはJavaバイトコードであることとする。具体的には、ユーザコードに対応するJavaソースコードを生成し、そのソースコードをコンパイルすることによりJavaバイトコードを生成する。具体的な実行コード例は後述する。
編集処理部24は、コード生成部22において生成された実行コードにしたがって、データ保持部12に保持された編集対象のデータを編集する。編集処理部24は、データ読込部26とデータ編集部28と編集結果出力部30を含む。なお、実行コードが所定の実行エンジンにおいて実行されることにより、編集処理部24(データ読込部26〜編集結果出力部30)の機能が実現されてもよいことはもちろんである。例えば、実行コードがJavaバイトコードの場合、実行エンジンはJVM(Java Virtual Machine)となる。
データ読込部26は、データ保持部12から編集対象のデータを読み込み、そのデータから、データの値と基底とが対応づけられたデータオブジェクトをメモリ上に生成する。データ編集部28は、データ読込部26において生成されたデータオブジェクトに対する操作を実行して編集結果のデータを設定する。編集結果出力部30は、データ読込部26において設定された編集結果のデータをCSVファイルとして記録し、データ保持部12へ格納する。
図3は、会計型データを操作するためのユーザコードの一例を示す。以下のコード例では、左端に行番号を示しており、その行番号によりコードの位置を適宜示す。図3では、編集対象データとして、200<現金>+100<小麦>という元と、200<現金>+200<大豆>という元を含む集合Cが指定されている。ここでは説明の簡明化のため編集対象データを直接入力しているが、典型的には入力ファイルとしてのCSVファイルの名称や、そのCSVファイルにおける入力データの記述位置が指定されることにより入力データを示すデータオブジェクトが生成される。
図3の4行目では、交換代数のプロジェクション処理、すなわち指定された基底と一致する部分要素を抽出する射影操作が指定されている。具体的には、集合Cから基底<現金>もしくは<小麦>に該当し、かつ、値が設定済という条件を充足する元を抽出して集合asetへ代入する処理が指定されている。そして5行目でaset内の元の加算処理が指定されている。asetは200<現金>、100<小麦>、200<現金>を含むため、加算結果alphaは400<現金>+100<小麦>となる。ここでは説明の簡明化のため編集結果を標準出力へ出力することとしているが、典型的には出力ファイルとしてのCSVファイルが指定されて、当該CSVファイルに編集結果(ここでは加算結果alphaの内容)が記録される。
図4(a)は、図3のユーザコードに対応する実行コードを示す。具体的には図3の2行目に応じてコード生成部22が生成する実行コードであり、データ読込部26の機能に対応する。なお、前提技術2の説明では実行コードとして便宜的にJavaソースプログラムを示す。同図では、集合Cに対応するExAlgeSetオブジェクトに、200<現金>+100<小麦>という元に対応するExAlgeオブジェクト(15〜23行目)と、200<現金>+200<大豆>という元に対応するExAlgeオブジェクト(24〜32行目)が格納されている。
図4(b)は、図3のユーザコードに対応する実行コードを示す。具体的には図3の4行目に応じてコード生成部22が生成する実行コードであり、データ編集部28の機能に対応する。同図では、集合Cに含まれる複数の元に対応するExAlgeオブジェクトを列挙するforループと、集合Dに含まれる複数の基底に対応するExBaseオブジェクトを列挙するforループとの2重ループの中で、プロジェクションメソッドが呼び出され、プロジェクション処理の結果がリストへ追加される。そして、そのリストから集合asetが設定されている。
図5は、レコード型データを操作するためのユーザコードの一例を示す。同図では、山田<name>+5<score>、田中<name>+3<score>、鈴木<name>+4<score>、佐藤<name>+2<score>、本田<name>+5<score>の5つの元を含む集合datasetが指定されている。
図5の9行目では、基底<score>に対応づけられた値が4以上の元が存在するたびに、元「1<4以上,人,#,#>」を集合asetへ代入する処理が指定されている。そして、11行目でaset内の元の加算処理が指定されている。この結果として、asetには元「1<4以上,人,#,#>」が3個含まれることになり、ret=3<4以上,人,#,#>となる。すなわちこの例は、scoreが4以上の人数を集計するものとなる。
図6(a)は、図5のユーザコードに対応する実行コードを示す。具体的には図5の2〜7行目に応じてコード生成部22が生成する実行コードであり、データ読込部26の機能に対応する。同図では、集合datasetに対応するDtAlgeSetオブジェクトに、上記5つのレコード型データの元のそれぞれに対応するDtalgeオブジェクトが格納される。レコード型データは値と基底の両方で様々なデータ型を許容するため、値と基底のそれぞれのデータ型を示す情報もDtalgeオブジェクトに設定される。
図6(b)は、図5のユーザコードに対応する実行コードを示す。具体的には図5の9行目に応じてコード生成部22が生成する実行コードであり、データ編集部28の機能に対応する。同図では、集合datasetに含まれる複数の元に対応するDtAlgeSetオブジェクトを列挙するforループの中で、基底<score>に対応する値が4以上の場合に、元「1<4以上,人,#,#>」がリストへ追加される。そして、そのリストから集合asetが設定されている。
なおユーザコードにアグリゲーション命令(関数)が設定された場合、コード生成部22は、集約規則テーブル16に保持された集約規則を参照して、まず簿記の記載に対応するオブジェクト(以下、「中間オブジェクト」とも呼ぶ。)を設定する実行コードを生成する。具体的には、集約対象の複数のデータの集計値を算出し、その集計値と集約基底とを対応づけたデータと、集約対象の複数のデータそれぞれの値を差し引くことを示すデータ(すなわち集約対象の複数のオリジナルデータにハット属性を付加したデータ)とを加算する元を示すオブジェクトを、中間オブジェクトとして設定する実行コードを生成する。この中間オブジェクトは、前提技術1のアグリゲーションで示したF(x)に対応する。
そしてコード生成部22は、集約対象の複数のオリジナルデータが加算される元を示すオブジェクトと中間オブジェクトとを加算する、言い換えれば、集約対象の複数のオリジナルデータとそれらのデータにハット属性を付加したデータとを相殺することにより、集約対象の複数のデータの集計値と集約基底とを対応づけたデータを、集計結果のオブジェクトへ格納する実行コードを生成する。この実行コードは、前提技術1のアグリゲーションで示した〜(x+F(x))に対応するコードである。なおコード生成部22は、中間オブジェクトの内容を所定のファイルへ出力する実行コードをさらに生成してもよい。この態様によると、中間オブジェクトの内容をユーザへ提示することにより、効率的なデバッグを支援するとともに、簿記の振替計算に利用可能な情報をユーザへ提供できる。
またユーザコードに按分命令(関数)が設定された場合、コード生成部22は、按分規則テーブル18に保持された集約規則を参照して、アグリゲーション時と同様にまず中間オブジェクトを設定する実行コードを生成する。具体的には、按分対象のデータの値を按分比率にしたがって按分し、按分した値と按分先の各基底とを対応づけたデータと、按分対象のオリジナルデータにハット属性を付加したデータとを加算する元を示すオブジェクトを、中間オブジェクトとして設定する実行コードを生成する。この中間オブジェクトは、前提技術1の按分で示したF(x)に対応する。
そしてコード生成部22は、按分対象のオリジナルデータの元を示すオブジェクトと中間オブジェクトとを加算する、言い換えれば、按分対象のオリジナルデータとそのデータにハット属性を付加したデータとを相殺することにより、按分した値と按分先の各基底とを対応づけたデータを、按分結果のオブジェクトへ格納する実行コードを生成する。この実行コードは、前提技術1の按分で示した〜(x+F(x))に対応するコードである。なおコード生成部22は、アグリゲーションと同様に、中間オブジェクトの内容を所定のファイルへ出力する実行コードをさらに生成してもよい。
以上の構成による動作を以下説明する。
図7は、データ編集装置10の動作を示すフローチャートである。まずユーザは、内包的記法言語を用いてデータの編集内容を内包的記法により記述し、そのプログラムコードを指定したデータの編集指示をデータ編集装置10へ入力する。データ編集装置10が所定の入力装置を介してデータの編集指示を受け付けた場合(S10のY)、データ編集装置10のコード取得部20は、ユーザにより入力されたプログラムコードをユーザコードとして取得する(S12)。コード生成部22は、コード対応関係テーブル14に保持されたユーザコードと実行コード間の対応関係にしたがって、ユーザコードから実行コードの生成処理を開始する(S14)。
ユーザコードにアグリゲーション命令や按分命令等の振替え命令が存在する場合(S16のY)、コード生成部22はその振替え命令に応じた相殺処理のための中間オブジェクトの出力命令を実行コードへ設定する(S18)。ユーザコードに振替え命令がなければ(S16のN)、S18をスキップする。編集処理部24は、生成された実行コードにしたがって編集対象データに対する編集処理を実行する(S20)。例えば、データ読込部26は、データ保持部12の入力データ格納用のCSVファイルから、ユーザコードおよびユーザコードから生成された実行コードにおいて指定された編集対象のデータを読み込みデータオブジェクトを生成する。そしてデータ編集部28は、生成されたデータオブジェクトに対して実行コードにて指定された編集操作(基底に基づく射影操作・アグリゲーション操作・按分操作等)を実行し、編集結果を示すデータオブジェクトを生成する。編集結果出力部30は、編集処理部24による編集結果、例えばデータ編集部28により生成された編集結果を示すデータオブジェクトの内容(属性値等)を、データ保持部12の編集結果格納用のCSVファイルへ出力する(S22)。データ編集装置10がデータの編集指示を受け付けなければ(S10のN)、S12以降はスキップされる。
前提技術2のデータ編集装置10によれば、従来RDBで扱われていたデータを、会計型データに対応するデータオブジェクト、もしくは、レコード型データに対応するデータオブジェクトとして表現することができる。これにより、コンピュータ上におけるデータオブジェクト表現の標準化を支援することができる。また、編集対象のデータの蓄積においてRDBのような複雑な仕組みを必要とせず、可視性の高いCSVファイルで蓄積することができる。
またデータ編集装置10によれば、ユーザはデータの編集内容を内包的記法言語で記述できるため、データの編集内容を正しく理解しているユーザであれば、実際にコンピュータを動作させるための外延的記法言語について理解していなくても、正しいデータ編集を実現させることができる。またデータ編集装置10では編集対象のデータが値と基底との組み合わせとして保持されるため、ユーザは内包的記法を用いることで、規定に基づく編集内容を容易に記述することができる。また内包的記法はコンピュータに依存せず、データ編集の仕様を反映するものであるため、ユーザは正しい仕様記述を行えば、正しいデータ編集を実現させることができる。例えば、forループ等を意識せずに、ユーザはデータの編集内容を仕様通りに記載すればよい。したがって、ユーザコードへのバグの混入を低減させることができ、言い換えれば、バグの発生箇所をデータそのもののバグに限定させやすくなる。例えば、会計型データの操作においては、アグリゲーションや按分等、様々な振替処理をロバストに記述することができる。
またデータ編集装置10によれば、データの基底に基づいて値の編集処理が行われることにより、データの形式(スキーマ)に変更があった場合でも、その影響範囲を限定することができる。例えば、編集対象のデータを格納したテーブルにおいてカラムの入れ替えが発生しても、ユーザコードにおける編集ロジックへの影響を排除することができる。
またデータ編集装置10によれば、アグリゲーションや按分等の振替処理の規則がプログラムコード外のテーブルに保持されるため、規則に変更が生じてもテーブルのデータを変更すればよく、プログラムコードへの影響を排除できる。
変形例として、データ編集装置10は振替規則テーブルをさらに備えてもよい。振替規則テーブルは、振替操作(ここではアグリゲーションや按分を伴わない基底の変換操作であることとする)において参照されるべき振替規則を保持する記憶領域である。振替規則は、振替元の基底と振替先の基底とを対応づけたデータである。コード生成部22は、ユーザコードに振替命令が設定された場合、振替規則テーブルに保持された振替規則を参照して、中間オブジェクトF(x)を設定する実行コードを生成する。例えば、x=数値A<振替元の基底>の場合、F(x)=数値A^<振替元の基底>+数値A<振替先の基底>となる。そしてコード生成部22は、〜(x+F(x))に対応した実行コードを生成する。当該コードの実行結果として、上記の例では、数値A<振替元の基底>が、数値A<振替先の基底>に変換されることになる。
(第1の実施の形態の概要説明)
1.スマートグリッドとクールグリッド:
一部既述したように、現在、都市を全体としてマネージメントするための技術としてスマートグリッドが提案されている。このスマートグリッドでは、
1)電力エネルギー測定層、
2)電力情報通信層
3)都市電力マネージメント層
の3層モデルを主に電力エネルギーベースで設計することが基本アーキテクチャとなる。また水資源等総合的に都市の資源利用を計測し、デマンドレスポンス等の価格政策を手段として全体最適化計画することがその目的となる。
他方で本発明者は、現実に存在する都市のリノベーション、成長変化する都市に対して、その自律分散的変化の中で家計や、事業所、コミュニティベースでの様々なエネルギーサーバの導入の意思決定や、運用を支援するものとして、「クールグリッド」を提案する。
このクールグリッドは、以下の5層モデルとなっている。
1)エネルギー測定層、
2)情報通信層、
3)家計・事業所内エネルギーデータ記述層:エネルギーサーバ上でエネルギー簿記記述を行う、
4)家計・事業所内エネルギーマネージメント層:エネルギー簿記によるエネルギー伝票を収集して貸借対照表(BL、以下「エネルギー貸借対照表」とも呼ぶ。)および損益計算書(PL、以下「エネルギー損益計算書」とも呼ぶ。)を作成する、
5)都市エネルギーマネージメント層
これまでのスマートメータは、スマートグリッドの1)2)層に関する技術として開発されている。そこでは家計のエネルギー消費が計測され、通信によって都市あるいは電力系統レベルで集約され、中央集権的な電力消費情報の見える化や系統制御による電力消費の抑制政策などが、デマンドレスポンス等の価格政策を通じて可能となるとされていた。
これに対して、本発明者が提案するクールグリッドは、上記の3層モデルに加えて、新たにエネルギーデータ記述層とエネルギーマネージメント層を、家庭や事業所等をエネルギーマネージメントの主体として積極的に取込む為に導入する。それにより家庭や事業所による自律分散的エネルギーマネージメントの体制を持つ都市やコミュニティ、集合住宅を設計することが、クールグリッド概念の基本となる。そこでは個々のエネルギー運用主体が様々な価値観に基づき家計や事業所レベルでエネルギーマネジメントシステムを運営することが可能なエネルギー簿記とエネルギー原価計算の資料が提供される必要がある。その為に、エネルギー簿記とそれに基づいたエネルギーマネージメント概念を導入する。以下の技術は、スマートメータのためのエネルギー簿記の設計方法とも言える。
2.エネルギーサーバとエネルギーイベント:
組織内のエネルギーのストックとフローを正確に把握することにより、その組織にどのようなサービスを提供する装置(以下、「エネルギーサーバ」とも呼ぶ。)が導入可能であるかを分析することができる。このように、組織内のエネルギーのストックとフローの変化を、諸エネルギーサーバと関連して分析することは、組織内のエネルギーマネージメントの基本となる。この組織は、以下では事業所とも呼び、典型的には家庭やオフィスを含む、また複数の家庭やオフィスを包含するコミュニティや地域、国を含む概念である。
図8は、エネルギーのフロー・ストック・諸サーバ群の関係を模式的に示す概念図である。同図では、ストックおよびフローの観点での変化を監視する対象のエネルギーとして4つの次元、すなわち電力・ガソリン・ガス・熱を想定している。これらの監視対象エネルギーに関して、エネルギーの流入(購入)・生産・消費・流出(販売)・蓄積・蓄積の特殊形態としてのタイムシフト等の諸サービスを考えることになる。これらのストックおよびフローは、それぞれのエネルギー(量)単位で計測されるが、それは同時に金銭的にも評価される。
このように多次元で金銭評価を伴う、財のストックとフローを記述することのできるシステムが、前提技術に記載の交換代数である。本実施の形態では、交換代数により、事業所のエネルギー簿記を記述することを提案する。この交換代数によるエネルギー簿記が、上記のクールグリッドの第3層であるエネルギーデータ記述層を構成する。
エネルギーのストック・フローに関わる上記サービスを提供するエネルギーサーバの例として5種類のマシン・エージェントを説明する。
(1)エネルギー消費系マシン・エージェント(図8のエネルギー消費マシン40に対応)
a)照明系装置:電灯、蛍光灯等
b)冷暖房系装置:エアコン、電気毛布等
c)調理系装置:電子レンジ、冷蔵庫等
d)メディア系装置:テレビ、ビデオ等
e)洗濯系装置:洗濯機、乾燥機等
f)コミュニケーション系装置:ゲーム機、パソコン等
g)オフィス機器:FAX、コピー機等
(2)エネルギー発生系マシン・エージェント(図8のエネルギー生産マシン42に対応)
a)太陽光発電装置
b)風力発電装置
c)ガスタービン発電装置
d)ガソリン発電装置:ハイブリッド車を含む
(3)エネルギー変換系マシン・エージェント(図8のエネルギー変換マシン44に対応)
a)直流−交流変換装置
b)ガス−電力変換装置
なおエネルギー変換は、電力変換を特に発電とも言い、発電と同義の場合もある
(4)エネルギー蓄積系マシン・エージェント(図8のエネルギー蓄積マシン46に対応)
a)電力蓄積装置:蓄電装置等
b)ガス蓄積装置:ガスボンベ等
c)液体燃料蓄積装置:ガソリンタンク等
d)蓄熱槽
(5)エネルギー売買系マシン(図8のエネルギー購入マシン48、エネルギー販売マシン50に対応)
a)電力メータ
b)ガスメータ
c)売電装置
なお、エネルギー売買系組織エージェントの例としては以下が挙げられる。
a)電力会社
b)コミュニティ:企業(企業の拠点・オフィス)、学校、役所等
c)家計
これらのエネルギーサーバが処理を実行することにより、エネルギーのフローもしくはストックの量が変化する。この変化を「エネルギーイベント」と呼ぶ。ここでは、上記5種類のエネルギーサーバに対応する5種類のエネルギーイベントを例示する。
(1)エネルギー消費系イベント
(2)エネルギー発生系イベント
(3)エネルギー変換系イベント
(4)エネルギー蓄積・放出系イベント
(5)エネルギー売買系イベント
3.エネルギーデータ記述層:
このようにエネルギーイベントは、エネルギーの発生/消費/変換/蓄積・放出/売買(購入・販売)に分けられる。エネルギーイベントは、例えば、次の様な基底と量で表現される。
<電力量,Wh, Time, 主体>
<電力債務,Wh, Time, 主体>
<電力債権,Wh, Time, 主体>
ここで「主体」は、エネルギーイベントが発生した主体の識別情報であり、典型的には上記のエネルギーエージェントである。例えば、機器単位で記述していたデータを、家計単位で考えるときには、主体のアグリゲートのための振替を行う。部屋や部門単位でアグリゲートしたデータを、更に家計単位でアグリゲートしたり、地域単位、国単位でアグリゲートする操作も、主体の振替変換で行う。また「単位」は、具体的にエネルギーを計測する時は、エネルギー単位としてWh(ワットアワー)を採用する。また理論上の扱いでは、後述するように抽象的なエネルギー単位「ELUnit」等を用いる事とする。また「Time」は、エネルギーイベントを集計する期間の識別情報であり、エネルギーイベントの発生日時を示す情報であってもよい。例えば、年、年月、年月日、○○年×四半期等であってもよい。
基底の4項目の主体の記述は、何段階かの粒度の層が区別できる。
1)家計や事業所の層:基本的な記述の単位
<電力量,Wh, Time, 家計1>
2)家計や事業所の内部の部門の層
<電力量,Wh, Time, 家計1:台所>
3)家計や事業所の内部のエネルギー関連のエージェント層
<電力量,Wh, Time, 家計1:エアコン>
4)家計を含む地域の層
<電力量,Wh, Time, 地域1>
5)地域を含む全体システム(国等)の層
<電力量,Wh, Time, 国>
これらの主体レベルで計測されたデータは、適宜振替計算でアグリゲーションする処理、あるいは按分計算で細かい分類に振替えて分割する等の処理により、基底の水準をあわせた上で様々な演算が可能である。
次に、交換代数によるエネルギーイベントの基本的な記述方法を説明する。
1)機器主体でのエネルギー発生系イベントの記述例:
x=200<電力量,Wh, Time, 太陽光発電装置> + 200<電力収益,Wh, Time, 太陽光発電装置>
これは太陽光発電装置での発電をWh単位で記録したものである。実際には家計主体で合算することが必要なので、上記の元xを、太陽光発電装置が設置された家計主体に振り替えて、z=200<電力量,Wh, Time, 家計> + 200<電力収益,Wh, Time, 家計>とする。
注:この振替は、例えば以下のように計算されたものである。
a=|200<電力量,Wh, Time, 太陽光発電装置>|, b=|200<電力収益,Wh, Time, 太陽光発電装置> |
y1=a<電力量,Wh, Time, 家計> , y2=b<電力収益,Wh, Time, 家計>
z=〜{x+^x+y1+y2}
2)機器主体でのエネルギー消費系イベントの記述例:
x=400^<電力量,Wh, Time, エアコン> + 400<電力消費,Wh, Time, エアコン>
これは、エアコンによる電力消費を記録したものである。これも家計主体に容易に振替えることができる。
z=400^<電力量,Wh, Time, 家計> + 400<電力消費,Wh, Time, 家計>
他の機器での消費データ等も、同様に家計主体単位に振替えることで合算が可能となる。なお一般に電力消費は、電力が何らかのサービスに転換されて消費されたと見なすことができるが、ここでは単純化の為に、電力消費という形でコスト計上している。
サービス経済的には、
x=400^<電力量,Wh, Time, エアコン> + 400<冷房サービス,Wh, Time, エアコン>
y=400<冷房サービス消費,Wh, Time, 家計>+400^<冷房サービス,Wh, Time, エアコン>
として、電力によるサービス生産と、そのサービスの消費の両方が発生したと捉えることができる。実際、目的によっては、つまりエネルギーによってどのようなサービスが生産され、自己消費されたかを明らかにするためには、このようなサービス生産、サービス消費型の記述を適宜導入する。
3)家計主体でのエネルギー変換系イベントの記述例:
x=1000<電力量,Wh, Time, 家計> + 3^<ガス,Kg, Time, 家計>
これは、ガス3Kgが電力量1000Whに変換されたエネルギーイベントを意味する。例えば燃料電池でのエネルギーコンバージョンイベントであり、これは原料の必要な一種のエネルギー発生系イベントと見なすこともできる。
4)家計主体でのエネルギー蓄積系イベントの記述例:
x=100^<電力量,Wh, Time, 家計>+100<蓄積電力量,Wh, Time, 家計>
蓄積された電力量は、フローで利用可能な電力量と区別した基底を用いることにする。これは経済記述における、一定期間内で現金は全て預金にして蓄積し、現金と預金を分けるような処理に対応する。実際、電力はフローは保管できないので(経済システムでは現金はそのまま保管できるが)、蓄積電力量にコンバートして蓄電装置に保管しなければ、熱等で消費してしまう形になる。一般には事業所や家計で蓄電装置のないところでは、消費等に必要な電力を、電力会社から動的に購入し、各時間単位で消費と購入のバランスが取れる様に電力メータと配電盤で管理している。
またこの記述は、家計レベルで例えば購入した電力量を、蓄電装置(リチウムイオン電池等)に振替えてから、蓄電装置主体で記述することもできる。
x=100^<電力量,Wh, Time, 蓄電装置>+100<蓄積電力量,Wh, Time, 蓄電装置>
5)機器主体でのエネルギー放出系イベントの記述例:
x=100<電力量,Wh, Time, 蓄電装置>+100^<蓄積電力量,Wh, Time, 蓄電装置>
6)家計主体でのエネルギー売買系イベント(電力購入)の記述例:
x=1000<電力量,Wh, Time,家計>+ 1000<電力債務,Wh, Time, 家計>
これは電力債務という形で、電力量を購入したケースを表している。仮に1kWhにつき10円とすると、支払いの取引は以下のように示すことができる。
y=1000^<電力債務,Wh, Time, 家計> +10^<現金,円, Time, 家計>
ここでは単位が違うのでバランスはしていない。
同様に、灯油を購入するなどの取引も記述できる。
z=10<灯油,L, Time,家計>+ 1000^<現金,円, Time, 家計>
7)家計主体でのエネルギー売買系イベント(電力販売)の記述例:
x=1000^<電力量,Wh, Time, 家計>+ 1000<電力債権,Wh, Time, 家計>
4.エネルギー簿記の事例
エネルギー簿記の記述は、エネルギーの単位を明確にし、事業所(以下家計を含むものとする)内の諸サーバのエネルギーイベントに対する諸特性を記述することから始まる。エネルギー簿記は通常の複式の表形式で表すこともできるが、表形式では計算の自動化が難しい。本実施の形態では、交換代数によりエネルギー簿記を表現することを提案する。これにより、エネルギーイベントの記述やそれに基づくエネルギー簿記の計算を代数的に表現し、コンピュータを用いた計算の自動化を実現できる。
電力エネルギーは、電力の単位に時間の単位をかけたWh等で表される。電力を消費する装置は、時間当たりのエネルギー消費を表す単位が通常表示されており、1ワット(W)の装置が1時間に消費するエネルギーは1ワット時(Wh)となる。同様に、ガソリン(液体燃料)、ガス、熱に対しても、適宜エネルギー単位を導入する。これらのエネルギー単位をここでは単純化の為に抽象的な単位として表現し、「ELUnit」「OilnUnit」「GasUnit」「HeatUnit」を、電力、ガソリン等の液体燃料、ガス、熱の単位時間あたりのエネルギー量を表す抽象的な単位とする。これらはそれぞれのエネルギー価格で換算され、価格表示も可能である。
ここではエネルギーの、流入(購入)、流出(販売)、消費、変換、蓄積、生産等のエネルギーイベント、更にエネルギー生産、蓄積、変換等の為に必要な設備投資としての装置の購入という投資イベントも、全てエネルギー簿記の上で記述できる。以下では、抽象単位系でのエネルギーイベントの記述を簿記の表形式と交換代数形式を比較して示す
1)家計主体でのエネルギー売買系イベント(電力購入)の記述例:
借方 貸方
---------------------------------------------------------------------
500 <電力量,ELUnit, Time, 家計> 50000<現金,Yen, Time, 家計>
---------------------------------------------------------------------
この仕訳結果は、以下のような交換代数の計算式で表現できる。
x=500 <電力量,ELUnit, Time, 家計>+50000^<現金,Yen, Time, 家計>
ここでは1ELUnitあたり、100Yenとしている。一般的に現在の電力システムでは消費する分電力を購入する形となっている。詳細は後述するが、このような計算式の形式で仕訳結果を記録することにより、コンピュータを用いた仕訳情報の集計処理、言い換えれば、計算の自動化に資することができる。
2)家計主体でのエネルギー消費系イベントの記述例
借方 貸方
---------------------------------------------------------------------
10<電力消費, ELUnit, Time, 家計> 10<電力量,ELUnit, Time, 家計>
---------------------------------------------------------------------
x=10<電力消費, ELUnit, Time, 家計>+10^<電力量,ELUnit, Time, 家計>
このケースで電力の購入を含めて考えると、以下のようになる。
借方 貸方
---------------------------------------------------------------------
10<電力量,ELUnit, Time, 家計> 1000<現金,Yen, Time, 家計>
10<電力消費, ELUnit, Time, 家計> 10<電力量,ELUnit, Time, 家計>
---------------------------------------------------------------------
x1=10<電力量,ELUnit, Time, 家計>+1000^<現金,Yen, Time, 家計>
x2=10<電力消費, ELUnit, Time, 家計>+10^<電力量,ELUnit, Time, 家計>
y=〜(x1+x2)=1000^<現金,Yen, Time, 家計>+10<電力消費, ELUnit, Time, 家計>
ただしこれが例えば洗濯に使った電力とすると、サービス経済的には、
x2=10<洗濯サービス, ELUnit, Time, 家計>+10^<電力量,ELUnit, Time, 家計>
x3=10<洗濯サービス消費, ELUnit, Time, 家計>+10^<洗濯サービス,ELUnit,Time, 家計>
y=〜(x1+x2+x3)=1000^<現金,Yen, Time, 家計>+10<洗濯サービス消費,ELUnit, Time, 家計>
と記すこともできる。
3)家計主体でのエネルギー発生系イベントとしての太陽光発電の記述例:
借方 貸方
---------------------------------------------------------------------
200<電力量,ELUnit, Time, 家計> 200<電力収益, ELUnit, Time, 家計>
---------------------------------------------------------------------
x=200<電力量,ELUnit, Time, 家計>+200<電力収益, ELUnit, Time, 家計>
4)家計主体でのエネルギー変換系イベントとしての灯油発電の記述例:
ここでは灯油300OilUnitで、300ELUnit発電することとする。
借方 貸方
---------------------------------------------------------------------
300<電力量,ELUnit, Time, 家計> 300<灯油,OilUnit, Time, 家計>
---------------------------------------------------------------------
X=300<電力量,ELUnit, Time, 家計>+300^<灯油,OilUnit, Time, 家計>
5)家計主体でのエネルギー売買系イベント(販売)の記述例:
ここでは家庭で発電した電力200ELUnitを2万円で売却することとする。
借方 貸方
---------------------------------------------------------------------
20000<現金, Yen, Time, 家計> 200<電力量,ELUnit, Time, 家計>
---------------------------------------------------------------------
x=20000<現金, Yen, Time, 家計>+200^<電力量,ELUnit, Time, 家計>
6)家計主体でのエネルギー変換系イベントの記述例:
ここでは、電力エネルギーを熱エネルギー(氷)に変換したこととする。
借方 貸方
---------------------------------------------------------------------
100<氷, kg, Time, 家計> 200<電力量,ELUnit, Time, 家計>
---------------------------------------------------------------------
x=100<氷, kg, Time, 家計>+200^<電力量,ELUnit, Time, 家計>
7)太陽光発電装置を購入する家計主体での投資イベントの記述例
借方 貸方
---------------------------------------------------------------------
2,000,000<太陽光発電装置5Kw級, Yen, Time, 家計> 2,000,000<現金,Yen,Time, 家計>
---------------------------------------------------------------------
y=2,000,000<太陽光発電装置5Kw級, Yen, Time, 家計> +2,000,000^<現金,Yen,Time, 家計>
ここでは、エネルギーサーバへの投資の記述として、発電装置の購入を複式簿記の意味で記載している。これによりこの装置の減価償却や、コスト計算を行うことができる。5年償却残存価値0の定額法で、年間償却金額は400,000円となる。これに対して年間平均発電量と電力料金に応じて、事業所(家計)単位での発電の投資コストと発電の利益の収支(投資効果)が求められる。このように、家計におけるエネルギー関連の諸サーバの投資と、その減価償却、利用等を勘案して、リアルタイムに家計の消費状況やエネルギーコストから、投資を含めた事業所単位のエネルギーマネージメントのための、会計データを容易にエネルギー簿記から構築できる。またこれらのデータに基づき、政策としての適切なインセンティブ設計が可能となる。
5.事業所単位でのエネルギーマネジメント:
エネルギー簿記を利用する事で可能となるエネルギーマネージメントは、通常の事業所における、財務会計データを利用した、戦略会計的な投資効果分析に準じるものとなる。一般的に投資効果分析を行う為には、当該の取引領域に於ける会計記述が必要となる。本実施の形態においては、それは事業所のエネルギー収支の取引になる。ただし本実施の形態でのエネルギーマネージメント戦略の目的は唯一ではない。つまり発電事業者としての収益最大化のためのマネージメントではない。事業所(例えば家計)でのエネルギー消費のサーバ(例えば電力を利用したエアコンから工場の装置に至るまでの諸機械類)のある満足水準での稼動を前提としながら、電力生産サーバや蓄積サーバ、変換サーバへの設備投資と電力購入を勘案して、総電力コストを最適化することが大凡のエネルギーマネージメントの目的となる。
これが結果として都市やコミュニティレベルでのエネルギー買取や諸政策インセンティブと合わさり自律分散的なエネルギーマネージメントシステムして、都市エネルギーのマネージメントに寄与するというのが、ここでいうクールグリッドの特質となる。具体的には、蓄電装置(電気自動車を含む)、ガソリン発電装置(ハイブリッド車を含む)、太陽光発電装置、コジェネ装置、エネルギー蓄積装置付きのエアコン、節電対策を施したエネルギー消費サーバ(節電冷蔵庫への買換え)等様々なエネルギーサーバの投資効果の分析が、上記のエネルギー会計データから戦略的に可能となる。更に、より上位の都市マネージメントの層では、これら諸エネルギーサーバへの補助政策の妥当性などを、計量的に論じることが可能となる。
6.事業所単位でのエネルギーマネジメントの事例:
ここでは、エネルギーイベントとして、複式簿記的にどのような記録があったときに、どのようなマネージメントが可能になるかの事例を説明する。これまでのエネルギーイベントの記述と利用は単式簿記的なものであり、いわば大福帳の世界であった。これに対して本発明者が提案するエネルギー簿記はそれをエネルギーとしての単位表示と金額としての単位表示の両方を許す多元記述複式簿記の世界へ展開するものである。
1)太陽光発電や風力発電の利用改善とリアルタイム投資効果分析
発電サーバは、一般的に平均発電量とエネルギーコストからその投資効果が従来においても分析されている。これに対して、エネルギーイベントをエネルギー簿記で管理することで、単にその投資効果分析だけではなく、その動的な運用戦略を示すことが可能となる。
事業所のエネルギー消費パターンによって、太陽光発電の電力を一度蓄積しタイムシフトするときの効果や、売電することの効果等細かい利用実績に併せた最適戦略を求められる。
2)省エネ型家電のリアルタイムの利用改善と投資効果分析
例えば、空調を熱槽(氷を利用する種類)に交換した場合の、蓄熱槽の冷却処理戦略を会計的に分析する。
また、家庭に蓄電サーバを導入したときの使い方の最適化や家庭内コジェネサーバの利用最適化を実現する。
(第1の実施の形態の詳細説明)
以上概説したクールグリッドを具現化した情報処理システムを詳細に説明する。
図9は、第1の実施の形態のエネルギー収支管理システムの構成を示す。エネルギー収支管理システム100は、事業所(この例では家庭)に設置された複数の機器に組み込まれた複数のエネルギーイベント記録装置102と、エネルギー管理サーバ104とを備える。これらの各装置は、無線通信網および有線通信網を含む通信網106を介して接続される。
図9のエネルギーイベント記録装置102は、洗濯機に搭載されたエネルギーイベント記録装置102aと、太陽光発電装置に搭載されたエネルギーイベント記録装置102bと、蓄電装置に搭載されたエネルギーイベント記録装置102cと、売電装置に搭載されたエネルギーイベント記録装置102dを含む。エネルギーイベント記録装置102は、マイクロプロセッサ(MPU)・メモリ・通信装置を含むマイクロコントローラとして実現されてもよく、図1には不図示の他の種類のエネルギーサーバに組み込まれてもよい。
以下、エネルギーイベント記録装置102が組み込まれた機器を「監視対象機器」とも呼ぶ。また、監視対象機器において各種エネルギーのフローもしくはストックに変化が生じた事実を「エネルギーイベント」とも呼ぶ。エネルギーイベントには、例えば、洗濯機が電気を消費して洗濯動作を行うこと、太陽光発電装置が発電すること、蓄電装置が電気を消費して蓄電を行うこと等が含まれる。
エネルギーイベント記録装置102は、クールグリッドの第3層を構成するものであり、監視対象機器におけるエネルギーイベントの発生を検出し、その内容を記録した仕訳情報をエネルギー管理サーバ104へ通知する。エネルギー管理サーバ104は、クールグリッドの第4層を構成するものであり、事業所単位のエネルギーの収支を管理する情報処理装置である。エネルギー管理サーバ104は、複数のエネルギーイベント記録装置102のそれぞれから仕訳情報を収集して、事業所単位でのエネルギー会計報告書や投資効果分析等の諸会計データを作成する。
なお図9のエネルギー収支管理システム100は、1つの家庭内のエネルギー収支を管理する例を示したが、1企業内(企業の1オフィス内)のエネルギー収支を管理するものであってもよい。また、複数の家庭や企業を含むコミュニティ内、地域内、国内のエネルギー収支を管理するものであってもよい。エネルギー管理サーバ104は、家庭・企業単位に管理するもの、コミュニティ単位に管理するもの、地域単位に管理するもの・・・と、複数のエネルギー管理サーバ104が階層的に設けられてもよい。そして下位階層の管理サーバが、上位階層の管理サーバへ会計データを通知し、上位階層の管理サーバは広範囲に亘る会計データを集計してもよい。
図10は、図9のエネルギーイベント記録装置102の機能構成を示すブロック図である。エネルギーイベント記録装置102は、装置IF120と、通信IF122と、データ保持部130と、データ処理部140を含む。
装置IF120は、監視対象装置とのデータ交換のインタフェースを提供する。例えば、洗濯機の動作を制御する制御装置(MPU等)と通信して、エネルギーイベントの発生を示すデータを制御装置から取得し、データ処理部140に渡す。通信IF122は、通信網106を介してエネルギー管理サーバ104との通信処理を実行する。例えば、通信IF122はアンテナを含む無線通信IFであってもよく、通信網106の無線アクセスポイントを介して、エネルギー管理サーバ104とデータ送受を行ってもよい。
データ保持部130は、データ処理部140の処理に関連する各種データを保持する記憶領域である。データ保持部130は、科目情報保持部132と、換算規則保持部134と、仕訳情報保持部136を含む。データ保持部130は例えばRAMやROMに格納されたテーブルとして実現されてもよい。
科目情報保持部132は、エネルギーイベントの発生に伴って量が変化するエネルギーに関する属性情報であり、前提技術に記載の基底の情報を保持する記憶領域である。具体的には、科目情報保持部132は、エネルギーのフローまたはストックの量の変化に伴って値が変化するエネルギーに関する属性であり、エネルギーに関する基底を含む多元複式簿記において借方にあたる属性を示す借方科目と、複式簿記において貸方にあたる属性を示す貸方科目とを対応づけて保持する。
図11は、科目情報保持部132に格納されるデータの例を示す。同図の情報はエネルギーイベント記録装置102の監視対象装置毎に予め定められたものである。具体的には、図11の(a)はエネルギーイベント記録装置102aの科目情報保持部132のデータ、図11の(b)はエネルギーイベント記録装置102bの科目情報保持部132のデータ、図11の(c)はエネルギーイベント記録装置102cの科目情報保持部132のデータ、図11の(d)はエネルギーイベント記録装置102dの科目情報保持部132のデータを示している。
イベント欄には、監視対象装置においてエネルギーのフローもしくはストックの量に変化が生じる動作・処理・制御等を示すエネルギーイベントの内容が設定される。借方科目欄の基底データには、複式簿記において借方の勘定科目にあたる基底(以下、「借方基底」とも呼ぶ。)が設定され、貸方科目欄の基底データには、複式簿記において貸方の勘定科目にあたる基底(以下、「貸方基底」とも呼ぶ。)が設定される。前提技術で記載したように、基底には、勘定科目の名称・単位・期間・主体が設定される。また、^有無欄には、エネルギーのフローもしくはストックの変化量に^(ハット)を設定すべきか否かを示す値、言い換えれば、交換代数による計算に際してマイナスの値として扱うべきか否かを示す値が設定される。
なお図11には不図示であるが、科目情報保持部132は、後述のエネルギーイベント検出部142が検出したエネルギーイベントが示すエネルギーの変化量が、借方基底の値と貸方基底の値のいずれになるべきものかを定義した情報をさらに保持する。この情報も監視対象装置の種類に応じて予め定める。
エネルギーイベント検出部142が検出したエネルギーイベントが示すエネルギーの変化量を値として設定すべき借方基底もしくは貸方基底を以下では「特定基底」とも呼び、仕訳情報において特定基底と対となる他方の基底を「従属基底」とも呼ぶ。特定基底は借方基底が該当することが多いが、図9のエネルギーイベント記録装置102dのエネルギーイベント検出部142が、売電した電力量を検出する場合、特定基底は貸方基底となる。このように、エネルギーイベント検出部142の検出する変化量の種類に応じて特定基底は借方基底もしくは貸方基底のいずれかに設定される。
図10に戻り、換算規則保持部134は、借方基底と貸方基底それぞれの値の対応関係を保持し、例えば、エネルギーの変化量と現金の変化量との対応関係を保持する。換算規則保持部134が保持する対応関係は監視対象装置の種類に応じて予め定められた値である。具体的には、エネルギーイベント記録装置102aおよびエネルギーイベント記録装置102dでは、1ELUnit=100円を示す情報が保持されてもよい。またエネルギーイベント記録装置102bでは、電力量=電力収益を示す情報が保持されてもよい。またエネルギーイベント記録装置102cでは、蓄電電力量=電力量を示す情報が保持されてもよい。また、図9には不図示であるが、監視対象装置がガスコンロである場合は、1GasUnit=10円を示す情報を保持してもよい。
仕訳情報保持部136は、データ処理部140において作成された仕訳情報が格納される記憶領域である。仕訳情報保持部136は、仕訳情報が作成されてからエネルギー管理サーバ104へ通知されるまでの間、その仕訳情報を一時的に保持する。
データ処理部140は、各種のデータ処理を実行する。データ処理部140は、エネルギーイベント検出部142と、仕訳処理部144と、仕訳情報通知部146を含む。データ処理部140は例えば、各機能ブロックに対応するプログラムモジュールがメモリに格納されて、それらのプログラムモジュールをMPUが実行することにより実現されてもよい。
エネルギーイベント検出部142は、装置IF120を介して、監視対象装置におけるエネルギーイベント発生の有無を検出する。例えば、監視対象装置「洗濯機」において洗濯動作が実行された場合、その事実と洗濯動作により消費された電力量を、洗濯動作の制御装置(MPU等)から取得する。この場合、エネルギーイベント検出部142は、洗濯動作が実行された事実を洗濯動作の制御装置から取得する一方で、洗濯機に設けられた電力メータから消費電力量を取得してもよい。同様に、監視対象装置「太陽光発電装置」において発電処理が実行された場合、その事実と発電量を、発電処理の制御装置から取得する。この場合も、太陽光発電装置に設けられた電力メータから発電量を取得してもよい。
仕訳処理部144は、エネルギーイベント検出部142が検出したエネルギーイベントを示す仕訳情報を作成する。具体的には、科目情報保持部132を参照して、監視対象におけるエネルギーのフローもしくはストックの変化量を示す数値を、特定基底にあたる借方基底もしくは貸方基底に対応づける。それとともに、換算規則保持部134を参照してエネルギーの変化量に対応する値を、従属基底にあたる借方基底もしくは貸方基底に対応づける。仕訳処理部144は、借方基底およびその数値と、貸方基底およびその数値の合計を示す元を、仕訳情報として仕訳情報保持部136へ記録する。
なお図10では不図示であるが、データ保持部130は、振替元主体(例えば監視対象装置)と振替先主体(例えば家庭や事業所等の組織)との対応関係を保持する振替規則保持部をさらに備えてもよい。仕訳処理部144は、振替規則保持部の対応関係にしたがって、仕訳情報の各基底の主体を集計処理に視する態様、例えば家計や事業所等の組織を示す主体への振替計算を実行してもよい。
仕訳情報通知部146は、エネルギーイベントの発生をエネルギー管理サーバ104へ通知すべき所定のタイミングになったことを検出すると、仕訳情報保持部136に記録された仕訳情報を、通信IF122を介してエネルギー管理サーバ104へ送信する。このタイミングは、仕訳情報保持部136に対して新たな仕訳情報が記録されたタイミングであってもよく、エネルギーイベント記録装置102が管理するシステム時刻が予め定められた時刻になったことを検出したタイミングであってもよい。仕訳情報通知部146は、定期的に、例えば1日の四半期に一度、エネルギー管理サーバ104へ仕訳情報を通知してもよい。
図12は、図9のエネルギー管理サーバ104の機能構成を示すブロック図である。エネルギー管理サーバ104は、通信IF150と、表示制御部152と、データ保持部160と、データ処理部170を含む。
通信IF150は、通信網106を介して、複数のエネルギーイベント記録装置102それぞれとの通信処理を実行する。また通信IF150は、通信網106を介して、図9には不図示の外部装置、例えば会計データの参照を要求したコンサルタントのPC等との通信処理も実行する。表示制御部152は、所定の表示装置に対して画像データを送出し、表示装置における表示内容を制御する。
データ保持部160は、データ処理部170の処理に関連する各種データを保持する記憶領域である。データ保持部160は、仕訳情報保持部62と、換算規則保持部163と、振替規則保持部164と、集計結果保持部166と、科目情報保持部168を含む。データ保持部160は例えばRAMやROM、各種ストレージに格納されたテーブルとして実現されてよい。
仕訳情報保持部62は、複数のエネルギーイベント記録装置102のそれぞれから通知された仕訳情報を保持する記憶領域である。
換算規則保持部163は、エネルギーの変化量を現金の変化量で換算するための対応関係を保持する。例えば、1ELUnit=100円を示す情報が保持されてもよく、1GasUnit=10円を示す情報を保持してもよい。
振替規則保持部164は、振替計算のための規則を保持する記憶領域である。具体的には、振替元の基底と振替先の基底との対応関係、および、振替元の基底に対応づけられた数値と振替先の基底に対応づけられる数値との対応関係(換算率)を保持する。
図13は、振替規則保持部164に格納されるデータの例を示す。レコード80は、貸方基底の電力収益(値X)を、貸方基底の内部留保(値は電力収益と同じX)へ振替えるための振替規則である。レコード82は、借方基底の電力消費(値Y)を、借方基底の内部留保(値は電力消費と同じY)へ振替えるための振替規則である。なお内部留保は、貸借対照表の純資産の項目に計上するための基底であり、一般的には剰余金に対応するが、その内容は必ずしも現金を意味しないので、理論的な用語である内部留保勘定をここでは用いる。実際には振替規則保持部164は、図13の振替規則を表す、以下の計算式(y[振替])のデータを保持してもよい。
y[振替]=X^<電力収益, Yen, Time, 家計>+X<内部留保,Yen, Time, 家計>+Y^<電力消費, Yen, Time, 家計>+Y^<内部留保,Yen, Time, 家計>
図12に戻り、集計結果保持部166は、複数のエネルギーイベント記録装置102のそれぞれから通知された仕訳情報の集計結果を保持する記憶領域である。具体的には、集計結果として、残高試算表のデータ、損益計算書データ、貸借対照表のデータを保持する。
科目情報保持部168は、後述の集計処理部174が作成した残高試算表のデータおよび貸借対照表のデータに含まれる各基底が、残高試算表および貸借対照表の借方にあたるか、貸方にあたるかの定義を保持する。例えば、正の数値(^無し)と対応づけられた電力消費・蓄電電力量・現金は借方にあたり、その一方で負の数値(^有り)と対応づけられた電力消費・蓄電電力量・現金は貸方にあたるものとして定義される。また、正の数値と対応づけられた電力収益・内部留保は貸方にあたり、その一方で負の数値と対応づけられた電力収益・内部留保は貸方にあたるものとして定義される。
データ処理部170は、各種のデータ処理を実行する。データ処理部170は、仕訳情報取得部172と、集計処理部174と、集計結果出力部176を含む。データ処理部170は、各機能ブロックに対応するプログラムモジュールがメモリに格納されて、それらのプログラムモジュールをCPUが実行することにより実現されてもよい。
仕訳情報取得部172は、通信IF150を介して、複数のエネルギーイベント記録装置102のそれぞれから送信された仕訳情報を取得して仕訳情報保持部62へ記録する。
集計処理部174は、予め定められた集計タイミングとなったことを検出すると、仕訳情報保持部62に記録された複数の仕訳情報を、各仕訳情報に設定された基底に基づいて集計する。具体的には、各仕訳情報における貸方基底(貸方科目)と借方基底(借方科目)に基づき、前提技術1および2で記載した代数的な内包処理の仕様記述にしたがって、複数の仕訳情報を集計する。集計タイミングは、複数のエネルギーイベント記録装置102からの仕訳情報の通知が完了するタイミングであってもよく、集計時刻として予め定められた時刻であってもよい。
集計処理部174は、集計処理として、基本的には同一の科目名称の基底の値を合計する。そして、換算規則保持部163を参照してエネルギー単位の基底を金額単位へ変換することで、当期の残高試算表のデータを作成して集計結果保持部166へ記録する。また、振替規則保持部164を参照して、残高試算表のデータから、収益および消費を内部留保へ振替えることで、当期の損益計算書のデータを作成して集計結果保持部166へ記録する。
また集計処理部174は、集計結果保持部166に記録された(すなわち集計処理部174が過去時点に作成した)前期の貸借対照表のデータと、当期の損益計算書のデータとを合計することにより、当期の貸借対照表のデータを作成して集計結果保持部166へ記録する。すなわち集計処理部174は、エネルギーとしての単位表示と金額としての単位表示の両方を許す多元記述複式簿記に則り、残高試算表・エネルギー損益計算書・エネルギー貸借対照表を作成する。なお集計処理部174は、残高試算表および貸借対照表のデータを作成する場合、科目情報保持部168を参照して各基底が借方科目にあたるものか、もしくは貸方科目にあたるものかを判定する。
集計結果出力部176は、集計結果保持部166に記録された各種会計データを所定の外部装置へ出力する。この会計データには、残高試算表のデータ・損益計算書のデータ・貸借対照表のデータが含まれる。例えば集計結果出力部176は、外部装置からの要求に応じて、もしくは所定の通知タイミングになったことを自立的に判定すると、通信IF150を介して、コンサルタントの端末やデータベースサーバ等へ会計データを送信する。また、表示制御部152に会計データを渡して、所定のディスプレイに会計データを表示させる。
以上の構成によるエネルギーイベント記録装置102およびエネルギー管理サーバ104の動作を以下説明する。
ここではエネルギー会計のシナリオ例として、1日当たりのエネルギー利用を4つの四半期会計期間(四半日を四半期と記す)に分けた場合を示す。
第1四半期は、6時〜12時の会計であり、例えば太陽光発電50%、エアコン利用20%、購入電力コスト100%の割合である。
第2四半期は、12時〜18時の会計であり、例えば太陽光発電量100%、エアコン利用100%、購入電力コスト130%の割合である。
第3四半期は、18時〜0時の会計であり、例えば太陽光発電0%、エアコン利用30%、購入電力コスト50%の割合である。
第4四半期は、0時〜6時の会計である。
装置としては、図9に例示した各種家電を含む。シナリオとして、太陽光が十分あるときは、安価な夜間電力を蓄積した蓄電サーバで昼間のエアコンを運用し、昼間の太陽光の発電は販売する。こうしたマネージメントの為の蓄電サーバと太陽光発電サーバの運営の最適化を行う。
具体的なモデルケースとして、4人家族で昼間は主婦が1人家に残る家庭を想定する。この家庭が図9の事業所であり複数の家電のそれぞれにエネルギーイベント記録装置102が搭載されている。なお今期のエネルギー価格は、1ELUnit=100円、1GasUnit=10円とし、この換算情報はエネルギーイベント記録装置102の換算規則保持部134、エネルギー管理サーバ104の換算規則保持部163に保持されている。
動作の概要を説明する。
1)各エネルギー関連装置、すなわち各種家電に組み込まれたエネルギーイベント記録装置102)が、エネルギーイベントの内容を示す交換代数形式の仕訳情報を通知する。
2)エネルギー管理サーバ104が仕訳情報に基づいて残高試算表を作成する。
3)エネルギー管理サーバ104が残高試算表に基づいて四半期単位のエネルギー決算書(貸借対照表と損益計算書)を作成する。
このように作成されたエネルギー会計情報に基づいてコンサルティングが実施され、家計や、事業所、コミュニティベースでの様々なエネルギーサーバ導入の意思決定や運用を、実際に発生したエネルギーイベントに基づいて、すなわちエビデンスベースで支援することができる。
具体的な動作を説明する。複数の家電に搭載された複数のエネルギーイベント記録装置102のそれぞれは以下のように動作する。すなわち、エネルギーイベント検出部142が監視対象装置におけるエネルギーイベントの発生を検出すると、仕訳処理部144は、そのエネルギーイベントの内容を示す仕訳情報を記録する。
図14は、複数のエネルギーイベント記録装置102により記録された仕訳情報を一覧で示す。図14の各仕訳情報は、第1四半期において1つの家庭内で発生したエネルギーイベントを示している。同図の仕訳情報90〜仕訳情報96のそれぞれは、図9のエネルギーイベント記録装置102a〜エネルギーイベント記録装置102dのそれぞれにより記録されたものである。図14で示すように、エネルギーイベント記録装置102a〜エネルギーイベント記録装置102dそれぞれの仕訳処理部144は、エネルギーイベント検出部142がエネルギーイベントの発生を検出した場合に、エネルギーのフローまたはストックの変化量をエネルギーに関する基底を含む各種基底に対応づけた仕訳の情報を、会計的な意味を持つ代数的データオブジェクトとしてコード化(エンコード)して記録する。仕訳情報通知部146は、自装置で記録された仕訳情報をエネルギー管理サーバ104へ通知する。
エネルギー管理サーバ104の仕訳情報取得部172は複数のエネルギーイベント記録装置102のそれぞれから送信された仕訳情報を受信して仕訳情報保持部62へ格納する。集計処理部174は、予め定められた四半期毎のエネルギー会計データの作成タイミングになったことを検出すると、仕訳情報保持部62に格納された複数の仕訳情報に対して会計処理を実行する。
具体的には、まず、残高試算表のデータ(z)を算出する。
z=〜(x[洗濯]+x[エアコン]+x[TV]+x[電子レンジ]+x[電磁調理器]+x[電気ポット]+x[ガスコンロ]+x[太陽光発電]+x[蓄電]+x[売電])
z=〜(59^<現金,Yen, Time, 家計>+0.58<電力消費, ELUnit, Time, 家計>+0.1<電力消費,GasUnit, Time, 家計>+20<電力量,ELUnit, Time, 家計>+20<電力収益, ELUnit, Time, 家計>+10<蓄電電力量,ELUnit, Time, 家計>+10^<電力量,ELUnit, Time, 家計>+1000<現金,Yen, Time,家計>+10^<電力量,ELUnit, Time, 家計>)
z=0.58<電力消費, ELUnit, Time, 家計>+0.1<電力消費,GasUnit, Time, 家計>+20<電力収益, ELUnit, Time, 家計>+10<蓄電電力量,ELUnit, Time, 家計>+941<現金,Yen, Time, 家計>
集計処理部174は、換算規則保持部163の換算規則にしたがって上記集計結果を金額ベースに換算して、以下のように金額表示の残高計算書のデータを算出する。
z=58<電力消費, Yen, Time, 家計>+1<電力消費, Yen, Time,家計>+2000<電力収益, Yen, Time, 家計>+1000<蓄電電力量,Yen, Time, 家計>+941<現金,Yen, Time, 家計>
z=59<電力消費, Yen, Time, 家計>+2000<電力収益, Yen, Time, 家計>+1000<蓄電電力量,Yen, Time, 家計>+941<現金,Yen, Time, 家計>
集計処理部174は、金額ベースに換算した集計結果を残高試算表のデータとして集計結果保持部166へ記録する。
なお集計処理部174は、科目情報保持部168を参照して、表形式の残高試算表のデータを集計結果保持部166へ記録してもよい。この場合の記録データ例を以下に示す。
借方 貸方
---------------------------------------------------------------------
59<電力消費, Yen, Time, 家計> 2000<電力収益, Yen, Time, 家計>
1000<蓄電電力量,Yen, Time, 家計>
941<現金,Yen, Time, 家計>
---------------------------------------------------------------------
集計処理部174は、残高試算表のデータに対して、振替規則保持部164の振替規則にしたがって収益および消費を内部留保へ振替えるための振替計算を実行し、今期の損益計算書のデータ(x[PL])を算出する。
x[PL]=〜(z+y[振替])
x[PL]=〜(59<電力消費, Yen, Time, 家計>+2000<電力収益, Yen,Time, 家計>+1000<蓄電電力量,Yen, Time, 家計>+941<現金,Yen, Time, 家計>+59^<電力消費, Yen, Time, 家計>+59^<内部留保,Yen, Time, 家計>+2000^<電力収益, Yen, Time, 家計>+2000<内部留保,Yen, Time, 家計>)
x[PL]=1000<蓄電電力量,Yen, Time, 家計>+941<現金,Yen, Time, 家計>+1941<内部留保,Yen, Time, 家計>
集計処理部174は、今期の損益計算書のデータを集計結果保持部166へ記録する。
ここで、集計結果保持部166には、前期の貸借対照表のデータ(「繰越エネルギーバランスシート」とも呼ぶ。)が予め格納されている。この動作例での繰越エネルギーバランスシートは以下の通りとする。
z[第1四半期期首BL]=900<現金, Yen, Time, 家計>+100<蓄電電力量,Yen, Time, 家計>+1000<資本金, Yen, Time, 家計>
なおエネルギー単位では、以下のように換算することもできる。
z[第1四半期期首BL]=900<現金, Yen, Time, 家計>+1<蓄電電力量,ELUni, Time,家計>+1000<資本金, Yen, Time, 家計>
集計処理部174は、繰越エネルギーバランスシートのデータと今期の損益計算書のデータとを合計して、今期の貸借対照表のデータ(z[第1四半期期末BL])を算出する。
z[第1四半期期末BL]=〜(z[第1四半期期首BL]+x[PL])
z[第1四半期期末BL]=〜(900<現金, Yen, Time, 家計>+100<蓄電電力量,Yen, Time, 家計>+1000<資本金, Yen, Time, 家計>+1000<蓄電電力量,Yen, Time, 家計>+941<現金,Yen, Time, 家計>+1941<内部留保,Yen, Time, 家計>)
z[第1四半期期末BL]=1841<現金,Yen, Time, 家計>+1100<蓄電電力量,Yen, Time, 家計>+1000<資本金, Yen, Time, 家計>+1941<内部留保,Yen, Time, 家計>
集計処理部174は、今期の貸借対照表のデータを集計結果保持部166へ記録する。
なお集計処理部174は、科目情報保持部168を参照して、表形式の貸借対照表のデータを集計結果保持部166へ記録してもよい。この場合の記録データは以下のようになる。
借方 貸方
---------------------------------------------------------------------
1841<現金,Yen, Time, 家計> 1000<資本金, Yen, Time, 家計>
1100<蓄電電力量,Yen, Time, 家計> 1941<内部留保,Yen, Time, 家計>
---------------------------------------------------------------------
集計結果出力部176は、集計結果保持部166に記録されたエネルギー会計の各種成果物のデータを、外部装置の要求に応じてもしくは自立的に外部装置へ提供する。この外部装置は、1つの家庭内のエネルギー会計処理を実行した実施の形態のエネルギー管理サーバ104の上位階層に位置する他のエネルギー管理サーバであってもよい。この場合、他のエネルギー管理サーバは、複数の家庭を含む地域全体のエネルギー会計処理(地域のエネルギー会計データの作成)を実行するものであってもよく、各家庭のエネルギー会計を実行する下位階層のエネルギー管理サーバから会計データを収集してもよい。
本実施の形態のエネルギー収支管理システム100によれば、家計や事業所等、様々な粒度の組織におけるエネルギーのフローおよびストックに関する変化をエネルギー簿記により記録し、すなわち複式簿記的に把握して管理する。これにより、組織における総合的なエネルギー管理が容易となる。
例えば、(1)一都市のエネルギー収支をこのエネルギー簿記を用いてシミュレーションすることが可能となり、予測やエネルギーシステムの設計に活用できる。(2)エネルギーの自己生産と自己消費に関する帰属計算が可能になり、エネルギー生産のGDP計算が可能になる。(3)エネルギー変換装置の性能が変わった場合や、エネルギー蓄積装置の性能が変わった場合等、エネルギーサーバの性能が変化した場合の影響の計算が容易になる。(4)各種エネルギーサーバへの投資について、エネルギーイベント記録装置102により記録されるエネルギー簿記を用いて減価償却計算をすることで、その投資効率を把握しやすくなる。
また、エネルギーの生産・流入・流出・変換・蓄積等、様々なエネルギーイベントによるエネルギーのフローおよびストックの変化を、交換代数として開発された多元簿記の形式で記述する。これにより、組織内での様々なエネルギーイベントを、エネルギー単位ベース・価格ベースのどちらでも記述でき、また変換容易となり、様々な分析を容易に実行できる。
なお、本実施の形態で提案したエネルギー簿記は、金銭だけでないエネルギーに関する基底を含む多元簿記であり、エネルギー固有の単位表示と金銭的な単位表示のどちらを用いても表現可能な簿記形式を実現する。さらに、本実施の形態で提案したエネルギー簿記では、多元簿記データを代数的オブジェクトとして表現し、これによりコンピュータを用いた計算を容易なものとする。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態として、複数のエネルギー収支管理システム100を階層化した、クールグリッドの構成を説明する。好適な態様として、このクールグリッドでは、パブリッシュ・サブスクライブのアーキテクチャを採用する。
情報処理のデザインフレームワークには、データフロー型とパブリッシュ・サブスクライブ型(以下、「パブサブ型」とも呼ぶ。)のデザインパターンがある。パブサブ型のシステム記述は、マルチエージェントのシステムであり、エージェント間のデータのやり取りを、エージェントの固有名や固有アドレスを指定することなく、ブローカとそこに提示するデータのタグ(データの内容を示す識別情報であり、「トピック」とも呼ばれる。)に基づいて行う。これは個々のエージェントが他にデータを渡す仕組みを、エージェントの個人属性でなく役割属性として表現するためのモデル化の優れた方法である。
さらに、それぞれのエージェントが持つ固有のデータ構造やエージェント間、組織間でのデータ処理のプロセスを明示的に設計するために、代数的なデータオブジェクトによるデータの表現という枠組みを導入する。すなわち、エージェント間でデータが受け渡されてなされるデータ処理を、前提技術の1および2で示したように、代数的なデータオブジェクトに対する集合論的な計算処理として代数的に仕様記述する。これにより、個々のデータ処理のプロセスを代数的なオブジェクトに対するデータフローの連なりとして、仕様記述と実装とが結びついたロバストな開発が可能となる。第2の実施の形態では、パブサブ型のデザインパターンの利点と、代数的な仕様記述によるデータフロー型のデザインパターンの利点とを取り入れたクールグリッドの構成を説明する。
Pub,Sub,Calc&Action(以下、「PSCA」とも呼ぶ。)モデリングでは、アクターとして、エージェント(Agent)とブローカ(Broker)と計算機(Calculator)が登場する。エージェントは、パブリッシャとサブスクライバの役割を果たすとともに、購読した情報や計算結果の情報を受けて何らかの動作(アクション)を実行する主体(システムやコンピュータを含む)である。
ブローカは、パブリッシャとしてのエージェントと、サブスクライバとしてのエージェントとを繋ぐデータの配信を担う主体(システムやコンピュータを含む)である。エージェントは、ブローカに対して、何らかのトピックが付加されたデータの購読(サブスクライブ)を申請しておく。ブローカに対してトピックのついたデータがパブリッシュされたときに、ブローカはそのトピックについて購読申請をしているエージェントへデータを配信する。
計算機は、入力データに対して何らかの計算(情報処理)を行う主体(システムやコンピュータを含む)である。第2の実施の形態のモデルでは、計算機はブローカから計算に必要なデータを委譲されて計算委託され、計算結果(データ処理の結果)をブローカへ返却する。ブローカは、この計算結果を示すトピックを購読申請しているエージェントに対して、計算結果のデータを配信する。
以下、ボトムアップなエネルギーマネジメントシステムの設計をPSCAモデリングで行う。これを具象化したエネルギー収支管理システムの構成を図15に示す。第2の実施の形態では、1)家計あるいは事業所のエネルギーマネジメントシステム(家庭単位エネルギー収支管理システム200)、2)複数の家庭や事業所を含む地域のエネルギーマネジメントシステム(地域単位エネルギー収支管理システム210)、3)複数の地域を含む国家のエネルギーマネジメントシステム(国家単位エネルギー収支管理システム220)という3階層のエネルギーマネジメントシステムを想定する。なお、地域単位エネルギー収支管理システム210は様々な粒度のコミュニティ・自治体単位に設けられてよい。また、3階層に限らず任意の数の階層化が可能であり、例えば、家庭単位・市区町村単位・都道府県単位・地方単位(電力会社単位)・国家単位の5階層であってもよい。
図15において、エネルギー機器202は、パブリッシャとしてのエージェントに対応し、ユーザ端末206・ユーザ端末216・ユーザ端末226は、サブスクライバとしてのエージェントに対応する。家庭階層ブローカ204・地域階層ブローカ214・国家階層ブローカ224はブローカに対応し、各階層のエネルギー管理サーバ104は計算機に対応する。家庭階層ブローカ204・地域階層ブローカ214・国家階層ブローカ224は、例えば、MQTT(Message Queue Telemetry Transport)にしたがって装置間通信を実現する公知の製品により実現されてもよい。
家庭単位エネルギー収支管理システム200では、家庭内(事業所内)に設置されたエネルギー機器202(例えば、各エネルギー機器202に組み込まれたエネルギーイベント記録装置102の仕訳情報通知部146)が、エネルギーイベントを家庭階層ブローカ204へパブリッシュする。具体的にはエネルギーイベントして、エネルギー会計オブジェクトの形式でエンコードされたデータオブジェクト、すなわち仕訳情報を家庭階層ブローカ204が取得する。家庭階層ブローカ204は、それらのデータオブジェクトをエネルギー管理サーバ104へ渡す。エネルギー管理サーバ104の仕訳情報取得部172はそれらのデータオブジェクトをサブスクライブする。集計処理部174は、それらのデータオブジェクトに基づきエネルギー簿記を実行して、家庭(事業所)単位でのエネルギー損益計算書・エネルギー貸借対照表を作成する。そして集計結果出力部176は、それらのエネルギー簿記の結果を家庭階層ブローカ204へパブリッシュする。
ユーザ端末216は、計算結果を示すトピックを指定した購読申請を家庭階層ブローカ204へ予め登録しておき、エネルギー管理サーバ104が作成したエネルギー損益計算書・エネルギー貸借対照表を、家庭階層ブローカ204を介してサブスクライブする。そして、単一の家庭(事業所)についてのエネルギー収支のレポートを出力する。所定のファイルに記録しておき、ユーザの操作に応じてディスプレイに表示させてもよい。
また家庭階層ブローカ204は、個々のエネルギー機器202から取得した仕訳情報の集計結果(例えばエネルギー管理サーバ104が作成した残高試算表や、エネルギー損益計算書、エネルギー貸借対照表のデータであり、以下単に「エネルギー会計データ」とも呼ぶ。)を、地域階層ブローカ214へ渡す。なお、家庭階層ブローカ204〜地域階層ブローカ214間でエネルギー会計データがレプリケーションされてもよい。また、エネルギー会計データとして、個々の仕訳情報が地域階層ブローカ214へ渡されてもよい。
地域単位エネルギー収支管理システム210において、地域階層ブローカ214は、複数の家庭単位エネルギー収支管理システム200のそれぞれから得られたエネルギー会計データをエネルギー管理サーバ104へ渡す。なお、図15には不図示であるが、地域単位エネルギー収支管理システム210においても、地域で管理される発電装置や蓄電装置等のエネルギー機器にエネルギーイベント記録装置102が搭載されてよい。この場合、地域階層ブローカ214は、それらのエネルギーイベント記録装置102がパブリッシュした仕訳情報もエネルギー管理サーバ104へ渡す。エネルギー管理サーバ104は、地域階層ブローカ214から取得したエネルギー会計データに基づいて、地域単位でのエネルギー損益計算書・エネルギー貸借対照表を作成する。ユーザ端末216は、計算結果を示すトピックを指定した購読申請を地域階層ブローカ214へ予め登録しておき、エネルギー管理サーバ104が作成したエネルギー損益計算書・エネルギー貸借対照表を、地域階層ブローカ214を介してサブスクライブする。そして、地域全体に亘るエネルギー収支のレポートを出力する。
また地域階層ブローカ214は、エネルギー管理サーバ104により作成されたエネルギー会計データを国家階層ブローカ224へ渡す。なお、地域階層ブローカ214〜国家階層ブローカ224間でエネルギー会計データがレプリケーションされてもよい。また、エネルギー会計データとして、複数の家庭単位エネルギー収支管理システム200のそれぞれから取得したエネルギー会計データを国家階層ブローカ224へ渡してもよい。
国家単位エネルギー収支管理システム220において、国家階層ブローカ224は、複数の地域単位エネルギー収支管理システム210のそれぞれから得られたエネルギー会計データをエネルギー管理サーバ104へ渡す。なお、図15には不図示であるが、国家単位エネルギー収支管理システム220においても、国で管理される発電装置や蓄電装置等のエネルギー機器にエネルギーイベント記録装置102が搭載されてよい。この場合、国家階層ブローカ224は、それらのエネルギーイベント記録装置102がパブリッシュした仕訳情報もエネルギー管理サーバ104へ渡す。エネルギー管理サーバ104は、国家階層ブローカ224から取得したエネルギー会計データに基づいて、地域単位でのエネルギー損益計算書・エネルギー貸借対照表を作成する。ユーザ端末226は、計算結果を示すトピックを指定した購読申請を国家階層ブローカ224へ予め登録しておき、エネルギー管理サーバ104が作成したエネルギー損益計算書・エネルギー貸借対照表を、国家階層ブローカ224を介してサブスクライブする。そして、国家全体に亘るエネルギー収支のレポートを出力する。
第2の実施の形態のクールグリッドでは、個々のエネルギー機器のエネルギーデータから、エネルギー簿記の形式に則り、まず家庭や事業所レベルでエネルギーマネジメントシステムのためのエネルギー会計を行う。そこからボトムアップ的に、地域(コミュニティ)レベルのエネルギーマネジメントシステムのための計算を行い、さらに階層を上げて国家レベルのエネルギーマネジメントへと繋げる。
いわゆるスマートグリッドでは、スマートメータからのデータをセンターのサーバに集中させ、それによりデマンドレスポンスによる価格調整を目指すものである。すなわち、家計レベルや事業所レベル、さらにコミュニティレベルでのエネルギーマネジメントシステムの構築を目的としていない。またデータの計算は、センターのクラウド(サーバ)上で実行する集中方式が想定されている。
これに対し、ここでいうクールグリッドでは、家計や事業所でのエネルギーマネージメントシステムの構築がまずなされ、そこでのデータをもとに、各家計や事業所での節電や、エネルギー関連機器の投資計画、原価計算、更に売電などの計画の資料が提供される。更にそこからアグリゲートされたデータが各家庭や事業所の了解のもとにコミュニティレベルでのエネルギーマネージメントシステムに送られる。そこではコミュニティ独自の発電や蓄電などの設備とともに、地域エネルギーマネージメント計画の資料が策定される。更にその上でこれらの統計データが国に送られ、国のエネルギーマネージメント計画が策定可能となる。このようにクールグリッドは、ボトムアップ的なエネルギーマネージメントシステムの階層構造ととして設計される。これは家計・事業所等のエネルギー活動の一次的な主体と、複数の一次的活動主体からなるコミュニティレベルのエネルギーマネージメント、更にその上位のエネルギーマネージメントシステムというように、マネージメントシステムをボトムアップに階層的に捉える方式である。いわゆるスマートグリッドが、上位の電力会社のマネージメントとしてトップダウンにシステムを設計するのと真逆に、クールグリッドではまずベースとなる家計や事業所が自律的にエネルギーマネージメントを行うためのシステムとして設計され、そこから階層的に上位のエネルギーマネージメントシステムが設計される。
以下、PSCAによる分散ストリーム計算を用いたエネルギー簿記計算について、PSCAの枠組をクールグリッドでのデータ処理系として実装した計算例を説明する。ここでは手入力あるいはセンサー(例えばエネルギーイベント記録装置102)で収集して得られた局所データセットD1〜Dnを用いて、そのデータサイズやデータに応じて、Calcノードで計算処理(例えばエネルギー簿記計算)を実行する構成とする。
図16は、PSCAによる分散ストリーム計算を模式的に示す。Ω=D1∪D2,,...,,∪Dnという形で合成した統合データに対して行われる計算F(Ω)に対して、各々の局所データセットに対する計算としてF[D1],F[D2],...,F[Dn]が得られるとする。このとき、各々のF[D1],F[D2],...,F[Dn]に対して合成計算G(F[D1],F[D2],...,F[Dn])が定義され、G(F[D1],F[D2],...,F[Dn])=F(Ω)が成り立つときには、図16の分散ストリーム計算において、異なる計算ノードでF[D1],F[D2],...,F[Dn]を求めてから合成計算を行ったG(F[D1],F[D2],...,F[Dn])と、単一のノードでビックデータ計算を行うF(Ω)の計算結果は同じ事を意味する。前者は、図16の二点鎖線エリア内、合成計算ノードにおける最終的な計算結果に相当する。また後者は、図16の一点鎖線エリア内、一括計算ノードにおける最終的な計算結果に相当する。
ここで事例としたエネルギーの勘定科目等の会計データ(交換代数データ)に対して、D1,..,Dnを交換代数の集合とする。また、x[Di]=Σ{ x | x∈Di}と定義し、F[Di]=?x[Di]と定義し、G(y1,...,yn)=?(y1+y2+...+yn)と定義すると、以下の式1が成立する。
Figure 0006251166
したがって、合計をとってからバー(上記式の「~」)を取る演算は分散ストリーム計算で実行してもまとめて実行しても結果は同じとなる。言い換えれば、図16における合成計算ノードにおける最終的な計算結果と、一括計算ノードにおける最終的な計算結果は同じになる。同様な性質が成り立つ計算では、Pub-Sub-Calcの仕組みにより、膨大な量の計算をブローカを経由して分散して実行し、その結果を合成すること、すなわち図16における二点鎖線エリアの構成を採ることができる。これにより、単一のノードが一括して巨大計算をする必要はなくなる。
センサーで測定された膨大なデータストリームに対して、クールグリッドのような自律分散の計算を行うために、クラウド上に巨大なデータベースを作りそこで計算するのでなく、すなわち図16におけるビッグデータ計算に代えて、分散ストリーム計算によってデータをそれぞれの組織等で局所的に計算することで、単一の計算装置に要求される資源量(例えばハードウェアリソース量)を低減することができる。また、このようにデータ処理を地産地消として実行し、更にそれを統合する計算を上位のブローカ(および計算装置)で実行することが、データの組織内利用と組織間利用という意味でも自然となる。Pub-Sub-Calcによる分散ストリーム計算は、個々のノードの能力は制限されるとしても、上記の式1の条件を満たすデータ計算のクラスに対して、強力な分散ストリーム計算の枠組みを与える。
図16の分散ストリーム計算を実現する情報処理システムの構成例を説明する。この情報処理システムは、図12のエネルギー管理サーバ104に対応する複数の分散計算装置と、1つの合成計算装置を備える。また、図12のエネルギーイベント記録装置102に対応する複数の記録装置を備える。また、この情報処理システムは、図15の家庭単位エネルギー収支管理システム200、地域単位エネルギー収支管理システム210、国家単位エネルギー収支管理システム220の中の1つもしくは複数に適用されてよい。
複数の記録装置のそれぞれは、検出部、科目情報保持部、仕訳処理部、仕訳情報通知部を含む。検出部は、エネルギーイベント検出部142に対応し、所定の対象物(エネルギーに限られない、予め定められた監視対象物)のフローまたはストックの量の変化を検出する。科目情報保持部は、対象物のフローまたはストックの量の変化に伴って値が変化する対象物に関する属性であり、複式簿記において借方にあたる属性を示す借方科目と、複式簿記において貸方にあたる属性を示す貸方科目とを対応づけて保持する。仕訳処理部は、検出部が対象物のフローまたはストックの量の変化を検出した場合に、その変化量を借方科目と貸方科目のそれぞれに対応づけた仕訳情報を生成して記録する。各記録装置が生成する仕訳情報は、図16の局所データセットD1〜Dnに対応する。仕訳情報通知部は、生成された仕訳情報のデータをブローカへパブリッシュする。
複数の分散計算装置は図16の分散計算ノードに対応する。複数の分散計算装置のそれぞれは、仕訳情報取得部、集計処理部、集計結果通知部を含む。仕訳情報取得部は、複数の記録装置の一部であり、予め定められた1つ以上の記録装置において記録された仕訳情報のデータをブローカからサブスクライブする。集計処理部は、1つ以上の記録装置のそれぞれで記録された仕訳の情報を、借方科目と貸方科目に基づいて集計し、その集計結果を記録する。集計結果通知部は、集計結果のデータをブローカへパブリッシュする。
合成計算装置は図16の合成計算ノードに対応する。合成計算装置は、個別集計結果取得部、合成部、合成結果出力部を含む。個別集計結果取得部は、複数の分散計算装置のそれぞれで記録された集計結果のデータをブローカからサブスクライブする。合成部は、複数の分散計算装置のそれぞれで記録された集計結果を合成することにより、複数の記録装置(典型的には全ての記録装置)で記録された仕訳情報の全体を集計したデータ(図16の合成計算ノードにおける計算結果)を生成して記録する。合成結果出力部は、合成部による計算結果を所定の外部装置へ出力する。例えば、所定の表示装置に表示させる。
このように、Pub-Sub-Calcの分散ストリーム計算の適用範囲は、クールグリッド、すなわちエネルギー簿記に限られない。すなわち、一般的な会計データ処理、更には様々なセンサーデータ等のデータ代数での処理も含む広範な計算に適用可能である。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、サービス生産・消費型の記述についてリソース一般での記述を説明する。すなわち、上記第1の実施の形態のエネルギー簿記では、必要に応じてエネルギーと関連する諸資源についても記述できることを示した。また、エネルギーの事例の中で、エネルギーが何のサービスを生産するかを詳述するサービス生産、サービス消費を含む記述が可能なことも示した。第3の実施の形態では、エネルギーに制限されない一般的なリソースについて同様の記述が可能であることを示す。
具体的には、エネルギーのみならず、一括表現された様々な費用項目を、何らかのサービスの生産とその消費という形で展開する。言い換えれば、交換代数を用いた多通貨多財記述の代数的な表現により、一括表現された様々な費用項目を、その費用項目に含まれるより詳細な費用項目へ細分化する。これにより、費用項目によって作り出された個々のサービスの目的別に費用のマネージメントが容易になる。
(1)水などの諸資源についてのサービス生産・サービス消費の表示:
「30000<光熱水道費,円,#,#> + ^30000<現金,円,#,#>」という水道光熱費としての会計表示は、3万円の現金が光熱水道費というコストとして支払われたことを意味している。ただしこの表示では、どのようなサービスを生産し、消費されたのかは明らかでない。これが分からない場合、エネルギーを含む諸資源を適切に管理することが困難なことがある。そこでここでは、電気エネルギーという資産を購入したとして、その資産がどのようなサービスに用いられたかを明らかにする事例を説明する。この考え方は他の資源についても同様に適用できる。
ここでは、光熱水道費3万円が、1万円ずつ電気、水、都市ガスの購入に充てられたとして、その代数的表現を以下に示す。
(1−1)資源としての電気、水、ガスの購入:
10000<電気,円,#,#> + ^10000<現金,円,#,#>
10000<水,円,#,#> + ^10000<現金,円,#,#>
10000<都市ガス,円,#,#> + ^10000<現金,円,#,#>
これらの情報は最初からセンサー(例えば住宅の分電盤や水道メータ等に設置されたセンサー)において計測されてもよい。また、別のデータから光熱水道費3万円を、1:1:1に按分する振替変換の計算で得られたと考えてもよい。
1つの実装例として、エネルギー収支管理システム100において事業所内の資源購入装置(例えば分電盤や水道メータ)に設置されたエネルギーイベント記録装置102は、資源の購入(エネルギーイベントの発生)を検出すると、上記の計算式を仕訳データとして記録し、エネルギー管理サーバ104へ通知してもよい。例えば、水道メータに取り付けられたエネルギーイベント記録装置102は、1万円分に相当する量の水の供給(購入)を検出すると、資源「水」を示す仕訳データをエネルギー管理サーバ104へ通知してもよい。
別の実装例として、エネルギーイベント記録装置102は、資源の購入(エネルギーイベントの発生)を検出すると、そのイベント内容を示す情報をエネルギー管理サーバ104へ通知してもよい。そしてエネルギー管理サーバ104が、上記3つの仕訳データを記録し、第1の実施の形態と同様に適宜集計してもよい。
さらに別の実装例として、エネルギー管理サーバ104の振替規則保持部164は、光熱水道費を電気:水:都市ガス=1:1:1に按分する比率を示す按分規則(振替規則)を保持してもよい。このエネルギー管理サーバ104は、不図示の取得部と変換部をさらに備えてもよい。取得部は、光熱水道費の総額を示すデータを所定の外部装置、例えば事務所の会計装置から取得してもよい。変換部は、按分規則したがって、光熱水道費の総額を電気、水、都市ガスに振替えてもよく、すなわち、上記3つの仕訳データを生成し、記録してもよい。エネルギー管理サーバ104の仕訳情報取得部172は、変換部の変換結果を取得し、エネルギー管理サーバ104の集計処理部174は、変換部による変換結果をもとに第1の実施の形態に記載の集計処理を実行してもよい。
(1−2)資源の諸サービスへの振替:
購入された電気、水、都市ガスのそれぞれが、照明、エアコン、洗浄、飲料、暖房という諸サービスに変換されるとすると、以下のように記述できる。
5000<照明サービス,円,#,#> + ^5000<電気,円,#,#>
5000<エアコンサービス,円,#,#> + ^5000<電気,円,#,#>
8000<洗浄サービス,円,#,#> + ^8000<水,円,#,#>
2000<飲料サービス,円,#,#> + ^2000<水,円,#,#>
10000<暖房サービス,円,#,#> + ^10000<都市ガス,円,#,#>
上記の各式は、照明サービスに5千円分の電気、エアコンサービスに5千円分の電気が用いられたことを意味する。言い換えると、5千円分の照明サービスが5千円分の電気により生産され、5千円分のエアコンサービスが5千円分の電気により生産されたことを意味する。同様に、8千円分の洗浄サービスが8千円分の水により生産され、2千円分の飲料サービスが2千円分の水により生産され、1万円分の暖房サービスが1万円分の都市ガスにより生産されたことを意味する。これらのサービスや資源について、実物財の単位を用いることができるのはエネルギー簿記と同様である。これにより、事業所や家庭から都市(地域)に至るまでの様々な粒度に亘りサービスの原価が管理可能になる。
実装例として、資源購入時と同様に、エネルギー収支管理システム100において事業所内のサービス提供装置(例えば照明や洗濯機)に設置されたエネルギーイベント記録装置102は、サービスの提供(エネルギーイベントの発生)を検出すると、上記の計算式を仕訳データとして記録し、エネルギー管理サーバ104へ通知してもよい。例えば、照明に取り付けられたエネルギーイベント記録装置102は、5千円分に相当する照明サービスの実行(例えば点灯)を検出すると、サービス「照明サービス」を示す仕訳データをエネルギー管理サーバ104へ通知してもよい。また資源購入時と同様に、仕訳データをエネルギー管理サーバ104が生成してもよいことはもちろんである。
(1−3)諸サービスの消費:
資源の諸サービスの多くはその場で消費される。上記の諸サービスの消費状況は、以下のように表現できる。
5000<照明サービス消費,円,#,#> + ^5000<照明サービス,円,#,#>
5000<エアコンサービス消費,円,#,#> + ^5000<エアコンサービス,円,#,#>
8000<洗浄サービス消費,円,#,#> + ^8000<洗浄サービス,円,#,#>
2000<飲料サービス消費,円,#,#> + ^2000<飲料サービス,円,#,#>
10000<暖房サービス消費,円,#,#> + ^10000<暖房サービス,円,#,#>
これらの仕訳データは、(1−2)資源の諸サービスへの振替と同様に、事業所内のサービス提供装置(例えば照明や洗濯機)に設置されたエネルギーイベント記録装置102が記録してもよく、エネルギー管理サーバ104が記録してもよい。
上記の各々の消費項目はさらに一括して振替(アグリゲーション)を実行することで、
30000<光熱水道費,円,#,#> + ^30000<現金,円,#,#>
を得ることができる。例えば、エネルギー管理サーバ104は、光熱水道費と、上記の複数の消費項目を対応づけたアグリゲーション規則を予め保持してもよい。そして、複数のエネルギーイベント記録装置102から通知された仕訳データ(例えば上記(1−3)の仕訳データ)をアグリゲーション規則にしたがって集約することで、上記の光熱水道費の式を生成してもよい。このように、ボトムアップにエネルギーのサービス別の計測を実行することで、組織単位(組織全体)でのエネルギー利用状況の記録と、サービス目的別のエネルギー利用状況の記録を実現できる。また、サービス目的別のエネルギー利用のマネジメントも容易になる。
(2)サービスコスト一般の按分:
様々なプロジェクトに要するコスト(経費)は、サービス単位に分割して管理することが有用な場合がある。例えば、「30000<人件費,円,#,#> + ^30000<現金,円,#,#>」という人件費としての一括した会計表示は、3万円の現金が人件費(例えば給与)というコスト費目として支払われたことを意味している。ただしこの表現では、人件費がどのようなサービスに用いられたかは明らかでない。
そこでここでは、エネルギー簿記と同様に、コスト費目がどのようなサービスを生産したかを明らかにする手法を提案する。この考え方は、個別のサービスに展開してマネージメントすべきコスト項目一般についても同様に適用可能となる。例えば、上記の一括した会計表示を、以下のように複数のプロジェクトの費用として按分することで、プロジェクト単位での原価を適切に管理しやすくなる。
20000<プロジェクトA向け開発サービス,円,#,#> + ^20000<人件費,円,#,#>
10000<プロジェクトB向け開発サービス,円,#,#> + ^10000<人件費,円,#,#>
エネルギー簿記に限らない一般的な会計処理を実現する構成を説明する。1つの情報処理装置は、前提技術2に記載の按分規則テーブル18と、データ編集部28(ここでは「変換部」と呼ぶ。)を備えてもよい。按分規則テーブル18は、上記の一括した会計表示における「人件費」に相当する一括コスト費目と、上記の個々のサービス(「プロジェクトA向け開発サービス」等)に相当する複数の詳細コスト費目との対応関係(言い換えれば按分比率)を格納してもよい。上記の例では、一括コスト費目「人件費」を、「プロジェクトA向け開発サービス」:「プロジェクトB向け開発サービス」=2:1に按分することを示す規則を保持してもよい。変換部は、一括した会計表示を示す仕訳データの入力を受け付けると、按分規則にしたがって人件費を按分した仕訳データ、すなわち上記のプロジェクト単位での原価を示す仕訳データを生成してもよい。
このように第3の実施の形態で提案した技術によると、従来は見える化されていなかったサービス一般に関する按分と、サービス毎の原価計算をエネルギー簿記の概念と同様に実現できる。第3の実施の形態で提案した技術は、エネルギー簿記だけでなく広範な簿記の拡張と会計データ処理に適用可能である。
なお本発明者は、分散ストリーム計算を効率的に実行するために、ノード(例えば計算ノード)間の並列計算の繰り返しをコントロールするメカニズムを設けることが望ましいと考えた。以下、このメカニズムの実現方法を説明する。
分散ストリーム計算では、複数の計算ノード間で同期を維持しつつ、複数の計算ノードが役割分担をして何らかの計算を並列して実行するプロセスを、一定のサイクルで繰り返し実行することが求められることがある。例えば会計計算も会計期間単位での繰り返し計算であり、具体的にエネルギー会計では、数分から数時間単位で会計期間を設定し、エネルギーに関するバランスシートや試算表を計算する。
一般に一定期間を単位とし(「ティック」とも呼ばれる)、この単位時間を複数のスライス(以下「ステージ」と呼ぶ)に分割する。同じステージの前後では因果関係は認めるが、同じステージでは計算順序によらないで同じ結果が得られるという条件が満たされる計算方式をここでは「ステージ型計算モデル」と呼ぶ。ステージ型計算モデルが適用できる計算について、その計算の実行プロセスをPub,Sub,Calc&Action(PSCA)の枠組みの中で適切にコントロールしながら遂行するための仕組みとして、ここでは分散ストリーム計算の並列実行管理をブローカを用いて実現する例を示す。具体的には、人のエージェントの替わりに、繰り返しのある分散ストリーム計算を専用の計算ステージ管理用のノードを用いて実行する。
図17は、分散ストリーム計算の並列実行管理の仕組みを模式的に示す。図17のCalcノード(以下「計算ノード」と呼ぶ)は、図16の分散計算ノードおよび合成計算ノードに対応するものであってもよい。図17のステージ管理用ノードは、図16には不図示のステージ管理のための専用ノードであってもよい。また、図16の合成計算ノードが、図17のステージ管理用ノードの機能を備えてもよい。
ステージ管理用ノードは、前段階のステージでの計算が終了し、かつ、何らかの条件(例えば予め定められたステージ開始条件)が充足された場合に、次のステージの開始を示すステージ情報をブローカへパブリッシュする(S1)。計算ノードは、ブローカからステージ情報をサブスクライブすることにより、あるステージが開始されたことを検出する(S2)。計算ノードは、ステージ情報で指定されたステージで予め定められた計算処理を実行し(S3)、その計算処理が終了した旨を示す計算完了情報をブローカへパブリッシュする(S4)。図17には不図示だが、計算ノードは、計算結果を示す情報を所定のブローカ(例えば図16の「計算結果の合成のためのブローカ」)へパブリッシュしてもよいことはもちろんである。
ステージ管理用ノードは、ブローカから計算完了情報をサブスクライブする(S5)。ステージ管理用ノードは、現段階のステージ(言い換えれば実行中のステージ)の計算が全ての計算ノードで終了したか否か、言い換えれば、ステージ情報の配信先である全ての計算ノードから計算完了情報が通知されたか否かを確認する。さらに、何らかの条件(例えば次のステージの開始条件)が充足されたか否かを確認する(S6)。そしてS1に戻り、実行すべき全てのステージが完了するまでS1〜S6を繰り返す。なお典型的には、ブローカへパブリッシュされるステージ情報、計算完了情報、および計算結果を示す情報のそれぞれには異なるトピックが設定される。各ノードは、サブスクライブした情報に設定されたトピックによってその情報種別を識別する。
以上、本発明を第1〜第3の実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
上述した実施の形態、変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、変形例それぞれの効果をあわせもつ。
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
100 エネルギー収支管理システム、 102 エネルギーイベント記録装置、 104 エネルギー管理サーバ、 132 科目情報保持部、 142 エネルギーイベント検出部、 144 仕訳処理部、 146 仕訳情報通知部、 172 仕訳情報取得部、 174 集計処理部、 176 集計結果出力部。
本発明は、データ編集処理を実行すべき情報処理システムに適用可能である。

Claims (7)

  1. 定の組織に配置された複数の機器におけるエネルギーのフローまたはストックに関する情報を記録する複数の記録装置と、
    前記複数の記録装置が記録した情報を集計する集計装置と、を備え、
    前記複数の記録装置のそれぞれは、
    エネルギーのフローまたはストックの量の変化を検出する検出部と、
    エネルギーのフローまたはストックの量の変化に伴って値が変化するエネルギーに関する属性であって、複式簿記において借方にあたる属性を示す借方科目と、複式簿記において貸方にあたる属性を示す貸方科目とを対応づけて保持する科目情報保持部と、
    前記検出部がエネルギーのフローまたはストックの量の変化を検出した場合に、その変化量を前記借方科目と前記貸方科目のそれぞれに対応づけた複式簿記形式の仕訳の情報であって、かつ、エネルギーの単位表示を許す交換代数を用いた仕訳の情報を記録する仕訳処理部と、
    前記仕訳処理部が記録した仕訳の情報を前記集計装置へ通知する通知部と、を含み、
    前記集計装置は、
    前記複数の記録装置のそれぞれから通知された仕訳の情報を記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された仕訳の情報を、前記借方科目と前記貸方科目に基づいて集計し、その集計結果を記録する集計処理部と、
    前記集計処理部が記録した集計結果の情報を外部へ出力する出力部と、を含むことを特徴とする情報処理システム。
  2. 前記記録装置の科目情報保持部は、エネルギーのフローまたはストックの量の変化に伴って値が変化するエネルギーに関する属性であって、エネルギーに関する基底を含む多元複式簿記において借方にあたる属性を示す借方科目と、複式簿記において貸方にあたる属性を示す貸方科目とを対応づけて保持し、
    前記記録装置の仕訳処理部は、前記検出部がエネルギーのフローまたはストックの量の変化を検出した場合に、その変化量を前記借方科目と前記貸方科目のそれぞれに対応づけた仕訳の情報を、代数的なオブジェクトとしてコード化して記録し、
    前記集計装置の集計処理部は、前記複数の記録装置のそれぞれから通知された仕訳の情報を、前記借方科目と前記貸方科目に基づいて、代数的な内包処理の仕様記述にしたがって集計することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
  3. 前記仕訳の情報は、前記借方科目の変化量と前記貸方科目の変化量とを合計することを示す計算式であり、
    前記集計装置の集計処理部は、前記複数の記録装置のそれぞれから通知された仕訳の情報について、同じ名称の科目に対応づけられた変化量を合計することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
  4. 前記集計装置の集計処理部は、前記集計結果において貸方科目に計上されたエネルギーの収益を、貸方科目に計上される内部留保へ振替え、前記集計結果において借方科目に計上されたエネルギーの消費を、借方科目に計上される内部留保へ振替えることにより、前記組織におけるエネルギーのフローまたはストックに関する損益計算書の情報を記録することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の情報処理システム。
  5. 前記集計装置の集計処理部は、前記組織におけるエネルギーのフローまたはストックに関する前期の貸借対照表の情報と、前記組織におけるエネルギーのフローまたはストックに関する当期の損益計算書の情報とにしたがって、前記組織におけるエネルギーのフローまたはストックに関する当期の貸借対照表の情報を記録することを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
  6. 所定の機器に搭載される記録装置であって、
    記機器におけるエネルギーのフローまたはストックの量の変化を検出する検出部と、
    エネルギーのフローまたはストックの量の変化に伴って値が変化するエネルギーに関する属性であって、複式簿記において借方にあたる属性を示す借方科目と、複式簿記において貸方にあたる属性を示す貸方科目とを対応づけて保持する科目情報保持部と、
    前記検出部がエネルギーのフローまたはストックの量の変化を検出した場合に、その変化量を前記借方科目と前記貸方科目のそれぞれに対応づけた複式簿記形式の仕訳の情報であって、かつ、エネルギーの単位表示を許す交換代数を用いた仕訳の情報を記録する仕訳処理部と、
    複数の記録装置が記録した情報を集計する集計装置へ前記仕訳処理部が記録した仕訳の情報を通知することにより、当該仕訳の情報を前記集計装置に記憶させる通知部と、
    を備えることを特徴とするエネルギー情報の記録装置。
  7. 所定の組織に配置された複数の機器におけるエネルギーのフローまたはストックに関する情報を記録する複数の記録装置と、複数の分散計算装置と、合成計算装置と、を備え、
    前記複数の記録装置のそれぞれは、
    エネルギーのフローまたはストックの量の変化を検出する検出部と、
    エネルギーのフローまたはストックの量の変化に伴って値が変化するエネルギーに関する属性であって、複式簿記において借方にあたる属性を示す借方科目と、複式簿記において貸方にあたる属性を示す貸方科目とを対応づけて保持する科目情報保持部と、
    前記検出部がエネルギーのフローまたはストックの量の変化を検出した場合に、その変化量を前記借方科目と前記貸方科目のそれぞれに対応づけた複式簿記形式の仕訳の情報であって、かつ、エネルギーの単位表示を許す交換代数を用いた仕訳の情報を記録する仕訳処理部と、を含み、
    前記複数の分散計算装置のそれぞれは、
    通信網を介して、前記複数の記録装置の一部であって、予め定められた1つ以上の記録装置において記録された仕訳の情報を取得する仕訳情報取得部と、
    前記1つ以上の記録装置のそれぞれで記録された仕訳の情報を、前記借方科目と前記貸方科目に基づいて集計し、その集計結果を記録する集計処理部と、を含み、
    前記合成計算装置は、
    通信網を介して、前記複数の分散計算装置において記録された集計結果を取得する集計結果取得部と、
    前記複数の分散計算装置のそれぞれにおいて記録された集計結果を合成することにより、前記複数の記録装置において記録された仕訳の情報全体の集計結果を生成する合成部と、を含むことを特徴とする情報処理システム。
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