JP6248253B2 - 溶液中の重質油回収方法及び回収システム - Google Patents

溶液中の重質油回収方法及び回収システム Download PDF

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本発明は、溶液中の重質油を効率的に浮上させつつ回収する方法に関する。
現在、石油燃料代替資源の1つとしてオイルサンドが注目されている。オイルサンドとは砂、粘土、水と油の混合物であり、石油を含んだ油層が地殻変動で地表近くに移動し、揮発や水・バクテリアの影響により軽質分を失ったものである。砂や粘土の中に10%程度のビチューメンと呼ばれるアスファルトに近い重質油分が含まれている。オイルサンドは主にカナダのアルバータ州とベネズエラのオリノコ地域に分布している。オイルサンドの埋蔵量は、通常の石油資源の2倍以上と推定されており、エネルギーの安定供給確保が可能であるとされる。
オイルサンドから重質油を回収する方法としては、(1)熱水や加熱蒸気によってオイルサンドから重質油を分離する方法、(2)オイルサンドに強塩基を添加して、重質油の表面張力を低下させて重質油の分離を促すとともに、重質油の表面を負に帯電させて溶液中に重質油を分散させる方法、(3)溶媒・溶液存在下、オイルサンドに超音波を照射してオイルサンドから重質油を剥離・分離する方法等が知られている(特許文献1〜3、非特許文献1〜4)。
特開2011−256353号公報 米国特許第4,054,506号 米国特許第4,443,322号
O.V.Abramovら他3名、2009年発行、Ultrasonics Sonochemistry、vol.16、pp.408−416 K.M.Sadeghiら他5名、1992年発行、Chemical Engineering Communications、vol.117、pp.191−203 K.M.Sadeghiら他2名、1994年発行、Energy Sources、vol.16、pp.439 Socrates Acevedoら他2名、2001年発行、Journal of Colloid and Interface Science、vol.242、pp.230−238
上記したいずれの方法によっても重質油を含む溶液が得られる。この場合、溶液から重質油を如何にして効率よく回収するかが課題となる。
通常、常温においては、重質油の密度は溶液(溶媒)の密度よりも大きいため、重質油は溶液(溶媒)の下部に沈んでいるか、或いは、薬剤の影響で溶液(溶媒)中に分散されている。一方、温度を上昇させることで、重質油の密度と溶液(溶媒)の密度との大小が逆転するため、例えば密度の大きな砂を沈殿させつつ、重質油のみを溶液の上方へと浮上させることが可能である。しかしながら、このような場合、溶液を加熱するために膨大なエネルギーが必要となるという問題があった。
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、従来よりも低エネルギーで、溶液中の重質油を効率的に浮上させることが可能な、重質油の回収方法を提供することを課題とする。
鋭意研究を進めた結果、本発明者らは以下の数々の知見を得た。
(1)重質油の表面に気泡を付着させることで、気泡による浮力を利用して、常温であっても、溶液中の重質油を浮上させることができる。
(2)重質油の表面に気泡を効率的に付着させるためには、気泡が溶媒中で安定に存在できるように微細化すること、重質油表面における気泡の接触角度ができるだけ大きくなるような気体を用いること、が有効である。
(3)二酸化炭素の気泡は、空気やアルゴンの気泡と比較して、重質油表面における接触角度が大きく、重質油表面に付着しやすい。
(4)アルカリ薬剤が添加された場合、溶液はアルカリ性となる。アルカリ条件下では、空気やアルゴンの気泡は、重質油表面における接触角度が小さくなり、重質油表面に付着し難くなる。
(5)一方、二酸化炭素の気泡は、アルカリ条件下であっても重質油表面における接触角度が大きいままである。
(6)微細な気泡を生成させるには、溶液中に気体を溶解させた後(供給した後)、或いは、溶解させながら(供給しながら)、超音波を照射することが有効である。
(7)二酸化炭素は空気やアルゴンガス等よりも溶液中への溶解度が高く、溶液中に多量に溶解させることができ、超音波照射によって微細気泡を多量に発生させることができる。
(8)超音波照射によって発生した微細気泡に対して超音波を照射し続けることで、溶液において微細気泡の膨張、伸縮、消滅及び生成が繰り返される。これにより、見かけ上、溶液内における気泡の滞留時間が長くなる。すなわち、発生した微細気泡が重質油に付着する確率が高くなる。
本発明は上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、
第1の本発明は、重質油を含む溶液に二酸化炭素を供給した後で、又は、二酸化炭素を供給しながら、重質油を含む溶液に超音波を照射する工程を備える、溶液中の重質油回収方法である。
本発明において「重質油を含む溶液」とは、溶媒或いは溶液中に、重質油が含まれてなるものである。ただし、本発明においては、溶媒或いは溶液と重質油とが分離した状態、すなわち、溶媒或いは溶液に重質油が溶解していない状態である必要がある。例えば、水中に重質油が沈殿した状態のもの、或いは、重質油が分散されてなるものを挙げることができる。重質油以外にも、任意に、後述の強塩基や細かな砂等が含まれていてもよい。本発明において「重質油」とは、溶媒中(例えば水中)又は溶液中において沈殿するもの、或いは、分散するものであればよく、特に限定されるものではない。仮に溶媒又は溶液よりも密度が小さな重質油であったとしても、溶媒又は溶液において当該重質油がすぐに浮上するわけではなく、本発明を適用することで効率良く重質油を浮上させることができる。ただし、本発明の効果が一層顕著なものとなる観点からは、溶媒又は溶液(重質油を除く)よりも密度が大きな油が好ましい。
第1の本発明において、重質油を含む溶液が、オイルサンドから重質油を分離することによって得られたものであることが好ましい。
第1の本発明において、溶液には強塩基が含まれることが好ましく、この場合、強塩基が水酸化ナトリウムであることが好ましい。強塩基が含まれることで、例えば溶液中に重質油を分散させることができる。尚、本発明においては、溶液がアルカリ性であったとしても、重質油を効率的に浮上させることが可能である。
第2の本発明は、重質油を含む溶液に対して二酸化炭素を供給する手段と、重質油を含む溶液に超音波を照射する手段と、を備える、溶液中の重質油回収システムである。
第2の本発明は、オイルサンドから重質油を分離する手段をさらに備えることが好ましい。当該手段によって「重質油を含む溶液」を得ることができる。
第2の本発明においても、溶液には強塩基が含まれることが好ましく、この場合、強塩基が水酸化ナトリウムであることが好ましい。
本発明によれば、従来よりも低エネルギーで、溶液中の重質油を効率的に浮上させることが可能な、重質油の回収方法を提供することができる。
溶液中の重質油回収方法を説明するための図である。 溶液中の重質油回収方法を説明するための図である。 溶液中の重質油回収システムを説明するための図である。 実施例にて用いた装置を説明するための概略図である。 ビチューメンを含む溶液に各種気体を供給しつつ超音波処理及び攪拌処理を行った場合(10℃、15分)のビチューメン浮上率の結果を示す図である。 ビチューメンを含む溶液に各種気体を供給しつつ超音波処理及び攪拌処理を行った場合(85℃、15分)のビチューメン浮上率の結果を示す図である。 超音波処理及び攪拌処理により、炭酸水から放出された二酸化炭素の量(20℃、大気中)の測定結果を示す図である。 炭酸水に超音波を照射した場合(A)又は攪拌処理を行った場合(B)において、生成する気泡の様子を示す写真図である。 ビチューメン表面における気泡の接触角度を測定するにあたって用いた装置を説明するための概略図である。 ビチューメン表面における空気の気泡の接触角度(A)、二酸化炭素の気泡の接触角度(B)を説明するための写真図である。 pHと接触角度との関係を示す図である。 pHとビチューメン浮上率との関係(10℃)を示す図である。 pHとビチューメン浮上率との関係(85℃)を示す図である。 ビチューメンの剥離実験の際に用いた装置を説明するための概略図である。 雰囲気別に28kHzの超音波を照射した場合の、ビチューメンの剥離の様子を示す写真図である。 空気、アルゴン及び二酸化炭素のいずれかを用いた2段階処理によるオイルサンドからのビチューメン回収率を示す図である。
1.溶液中の重質油回収方法
図1に示すように、本発明に係る方法S10は、重質油を含む溶液に二酸化炭素を供給する工程S1、及び、重質油を含む溶液に超音波を照射する工程S2を有しており、重質油を含む溶液に二酸化炭素を供給した後で、又は、二酸化炭素を供給しながら、重質油を含む溶液に超音波を照射することに特徴を有する。
1.1.重質油を含む溶液
本発明において用いられる「重質油を含む溶液」とは、溶媒或いは溶液中に重質油が含まれてなるものであればよい。ただし、本発明においては、溶媒或いは溶液と重質油とが分離した状態、すなわち、溶媒或いは溶液に重質油が溶解していない状態である必要がある。すなわち、溶媒の種類については、重質油との親和性が低く重質油と分離するものであればよく、特に水が好ましい。また、溶媒或いは溶液の中には、任意に、後述の強塩基の塩や細かな砂・粘土等が含まれていてもよい。「重質油」とは、溶媒中又は溶液中において沈殿するもの、或いは、分散するものであればよく、特に限定されるものではない。仮に溶媒又は溶液よりも密度が小さな重質油であったとしても、溶媒又は溶液において当該重質油がすぐに浮上するわけでなく、本発明を適用することで効率良く重質油を浮上させることができる。ただし、本発明の効果が一層顕著なものとなる観点からは、溶媒又は溶液(重質油を除く)よりも密度が大きな油が好ましい。より具体的には、20℃において水よりも密度が大きな油が特に好ましい。
本発明において、溶液中に強塩基が含まれている場合、重質油の表面張力が低下するとともに、重質油の表面電荷が負となって、重質油を溶液中に分散させることができる。重質油を予め分散させることで、一層効率良く重質油を浮上させることができる。強塩基の添加量については、特に限定されるものではないが、例えば、0.001〜0.1Mの濃度とすることが好ましい。強塩基の具体例としては、水酸化ナトリウムが特に好ましい。この場合、溶液はアルカリ性となるが、本発明においては、このようなアルカリ溶液においても、重質油を効率的に浮上させることができる点に一つの特徴を有する。
本発明においては、重質油を含む溶液が、オイルサンドから重質油を分離することによって得られたものであることが好ましい。すなわち、ビチューメンが沈殿或いは分散された溶媒又は溶液(或いはスラリー状のもの)を処理対象とすることが好ましい。オイルサンドから重質油を分離する方法としては、(1)熱水や加熱蒸気によってオイルサンドから重質油を分離する方法、(2)オイルサンドに強塩基を添加して、重質油の表面張力を低下させて重質油の分離を促すとともに、重質油の表面を負に帯電させて溶液中に重質油を分散させる方法、(3)溶媒又は溶液存在下、オイルサンドに超音波を照射してオイルサンドから重質油を剥離・分離する方法等が挙げられるが、これらいずれによっても、重質油を含む溶液が得られる。
特に、上記(1)〜(3)の方法を組み合わせて、オイルサンドから重質油を分離することが好ましい。例えば、オイルサンドに熱水又は水蒸気を加えた後、オイルサンドに超音波を照射してオイルサンドから重質油を剥離・分離する方法によって、重質油を含む溶液を得ることが好ましい。この場合、溶媒又は溶液中に気体を供給しながら超音波を照射することが特に好ましい。気体としては、空気やアルゴンガス等が挙げられる。溶媒又は溶液中に気体を供給しつつ超音波を照射した場合、微細気泡が生成し、生成した気泡は膨張収縮の後、最終的には圧壊する。気泡の圧壊によって強い流れが生じるため、オイルサンドから重質油を効率的に剥離・分離することができる。尚、この場合においては、気体として二酸化炭素を用いることは適当でない。二酸化炭素は蒸気圧が低く、溶媒への溶解度が高いため、気泡の膨張収縮過程にて溶媒中に溶解してしまい、空気やアルゴンガスを供給する場合と比較して、気泡の圧壊時に生成する速い流れが生じ難く、オイルサンドから重質油を剥離するほどの強い作用が得られ難いためである。
また、上述の通り、溶液中に強塩基が含まれている場合は重質油の表面張力が低下するとともに表面が負に帯電されるため、オイルサンドから重質油を剥離し易くなるとともに重質油が溶液中に分散し易くなる。すなわち、オイルサンドから重質油を剥離する前の段階で、溶媒又は溶液中に上記した強塩基を添加することが好ましい。
溶媒或いは溶液(重質油を除く)と重質油との体積比は、特に限定されるものではないが、溶媒が多量である方が、本発明による効果がより顕著となる。例えば、体積比が、溶媒或いは溶液(重質油を除く):重質油=10:1〜1000:1程度のものが好適に処理できる。
1.2.工程S1
本発明に係る方法S10においては、このような「重質油を含む溶液」に、二酸化炭素を供給する。溶液への二酸化炭素の供給方法は特に限定されるものではないが、二酸化炭素のガスを溶液中に連続的に流入させる(吹き込む)形態が好ましい。供給された二酸化炭素は少なくとも一部が溶液中に溶解し、残りは溶液外へと排出される。排出された二酸化炭素を再び溶液に供給してもよい。
溶液への二酸化炭素の供給量や供給速度は特に限定されるものではなく、処理すべき溶液の量や溶液に含まれる重質油の量等によって決定すればよい。いずれにしても、後述する工程S2において、溶液中に二酸化炭素の微細気泡を発生させることが可能であればよい。
本発明に係る方法S10においては、溶液中に二酸化炭素を供給するだけでは足りず、供給した二酸化炭素が溶液中において微細な気泡となる必要がある。本発明では、超音波を照射することによってこれを実現した。
1.3.工程S2
本発明に係る方法S10においては、重質油を含む溶液に対して二酸化炭素を供給した後で、又は、二酸化炭素を供給しながら、超音波を照射する。溶液に超音波を照射することで、溶液中に溶解していた二酸化炭素を微細気泡として溶液中に多量に生成させることができる。生成した二酸化炭素の微細気泡は、重質油表面における接触角度が大きく、重質油表面に付着しやすい。また、本発明者らは鋭意研究によりアルカリ条件下においても二酸化炭素の微細気泡の当該接触角度が大きなまま維持されることを知見した。すなわち、溶液中に上述したような強塩基が存在していたとしても、重質油表面に気泡を効率的に付着させることができ、溶液において重質油を効率的に浮上させることができる。このような効果は、二酸化炭素のみに見られる顕著且つ特有の効果である。
尚、重質油は温度により粘度が変化する。例えば系内を重質油の粘度が低下する温度(高温)とし、ここに二酸化炭素を供給しつつ超音波を照射した場合、溶液中だけでなく、重質油中にも微細気泡が生成し得る。このような場合、重質油表面への微細気泡の付着と同様に、重質油内における微細気泡の生成も浮上効果に寄与する。また、重質油表面への微細気泡の付着と重質油内における微細気泡の生成とが合わさって、重質油の見かけの密度が一層低下し、本発明による浮上効果が一層顕著となる場合がある。
ただし、温度を高くし過ぎると、エネルギー効率が悪くなるだけでなく、溶液中への二酸化炭素の溶解量が低下して微細気泡の生成量が低下し、結果として重質油の浮上・回収率が低下してしまう虞がある。
工程S2における超音波の照射方法は、溶液に超音波を伝搬させて上記した微細気泡を発生可能な方法であれば特に限定されるものではない。すなわち、重質油を含む溶液中に超音波発生手段を設置して、溶液に直接的に超音波を照射する方法、或いは、溶液外に超音波発生手段を設置して、溶液に間接的に超音波を照射する方法のいずれであってもよい。
照射する超音波の周波数については、溶液中に二酸化炭素の微細気泡を生成可能な周波数であれば特に限定されるものではない。本発明者らは鋭意研究により、低周波数から高周波数のいずれにおいても、二酸化炭素の微細気泡を生成可能であることを突きとめている。例えば、20kHz以上5MHz以下である。下限は好ましくは25kHz以上、より好ましくは28kHz以上であり、上限は好ましくは2MHz以下、より好ましくは600kHz以下である。
超音波の照射時間や出力については、処理すべき溶液の量や溶液に含まれる重質油の量等によって調整可能である。
工程S2においては、気泡径が1μm以上10mm以下の微細気泡を生成させることが好ましい。微細気泡があまりに小さすぎると、重質油に付着する前に溶液中に溶解する虞があり、逆に大きすぎると、不安定で気泡が潰れたり、水上への上昇が早く、重質油に付着し難くなる虞がある。
オイルサンドから重質油を分離することで重質油を含む溶液を得る場合は、図2(A)に示すように、まず、溶液に気体として空気又はアルゴンガスを供給しつつ、超音波を照射してオイルサンドから重質油を剥離させる。この時、超音波の周波数は相対的に低周波数(例えば20kHz〜48kHz)としたほうが、オイルサンドから重質油が剥離されやすい。オイルサンドから重質油が十分に剥離されたら、供給する気体を二酸化炭素に切り替え、二酸化炭素を供給した後又は供給しながら、再び(又は引き続き)超音波を照射することで、溶液中に二酸化炭素の微細気泡を生成させることができ、図2(B)に示すように、微細気泡が重質油表面に付着することによって重質油を溶液の液面へと浮上させることができる。この時は、超音波の周波数に特に限定はなく、例えば、重質油の剥離時よりも相対的に高周波数(例えば28kHz〜5MHz)とすることが可能である。このように、本発明においては、オイルサンドからの重質油の分離処理及び分離した重質油の浮上処理を連続して行うことができ、設備コストを抑制することもできる。
以上の通り、本発明においては、工程S1及びS2によって、重質油を含む溶液中に二酸化炭素の微細気泡を多量に生成させることができる。生成した微細気泡は溶液において沈殿又は分散されている重質油の表面に付着し易く、これにより重質油の見かけ密度を小さくすることができる。一方で、溶液に含まれ得る例えば細かな砂等に対しては、微細気泡による浮上効果は得られない。また、本発明では、溶液に熱エネルギーを供給する必要はなく、常温の溶液に対して、単に二酸化炭素を供給して超音波を照射するだけで、重質油の浮上効果を得ることができる。すなわち、本発明に係る方法によれば、従来よりも低エネルギー(低溶液温度)で溶液中の重質油を選択的に溶液の液面へと浮上させることができ、重質油を効率的に回収することができる。
尚、上記説明では、主に、オイルサンドから重質油としてビチューメンを回収する形態について説明したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。本発明の方法によれば、溶液中に含まれるあらゆる重質油を浮上させて効率的に回収することができる。
2.溶液中の重質油回収システム
本発明は、上記した方法の側面だけでなく、システムとしての側面も有する。図3に示すように、本発明に係るシステム100は、重質油を含む溶液1に対して二酸化炭素を供給する手段10と、重質油を含む溶液1に超音波を照射する手段20とを備えることに特徴を有する。
2.1.二酸化炭素供給手段10
システム100において、手段10は、外部から溶液1へと二酸化炭素を供給する。システム100においては、外部に設けられた二酸化炭素源(不図示)から手段10を介して二酸化炭素が溶液1内に吹き込まれる。仮に、溶液1に超音波を照射しないまま単に二酸化炭素を供給した場合は、図3(A)に示すように、手段10から二酸化炭素がバブリングされ、その一部が溶液1へと溶解し、残りは溶液1の液面へと上昇して外部へと排出される。ただし、超音波を照射する容器は開放容器に限られず、密閉容器でもかまわない。また、超音波照射前に二酸化炭素を水溶液へ溶解させる場合に圧力をかけてもかまわない。手段10による二酸化炭素の供給量や供給速度については上述した通りである。
2.2.超音波照射手段20
システム100において、手段20は、溶液1に超音波を照射する。システム100においては、溶液1を収容する容器の外部に設置された手段20から、媒体2及び容器壁を介して、溶液1へと超音波が照射される。容器や媒体2については、手段20から溶液1へと超音波を伝達可能なものであればいずれの形態であってよい。手段20において発生させる超音波の周波数や出力については上述した通りである。
手段10を介して二酸化炭素を溶液1へと供給した後で、又は、二酸化炭素を溶液1へと供給しながら、手段20から溶液1へと超音波を照射した場合、図3(B)に示すように、溶液1に二酸化炭素の微細な気泡を生成させることができる。超音波の照射を継続した場合、生成した気泡は、超音波の影響によってしばらくの間、溶液1内を滞留し、膨張、伸縮、圧壊、生成、結合を繰り返し、大きくなったものは、やがては溶液1の液面に到達し外部へと排出されるか、或いは、溶液1に再び溶解する。
このような状態において、溶液1内に重質油が存在している場合、生成した微細気泡は重質油表面に付着し、重質油を溶液1の液面へと浮上させることができる。
或いは、上述の通り、超音波照射によって溶液中だけでなく重質油中にも微細気泡を生成させ得る。このような場合、微細気泡が重質油の表面へ付着した場合と同様に、重質油の見かけの密度が低下し、浮上効果が得られる。また、微細気泡の重質油表面への付着と重質油中の微細気泡の生成により、密度が一層低下し、本発明による浮上効果が一層顕著となる場合がある。
上述したように、二酸化炭素の微細気泡は、空気やアルゴン等のその他のガスと比較して、重質油との接触角度が大きく、重質油に付着しやすい。また、二酸化炭素の微細気泡は、溶液1がアルカリ性であったとしても、重質油との接触角度を大きなまま維持することができる。また、システム100においては、溶液に熱エネルギーを供給する手段を設ける必要はなく、常温の溶液に対して、手段10を介して二酸化炭素を供給するとともに手段20を用いて溶液1へと超音波を照射するだけで、重質油の浮上効果を得ることができる。すなわち、本発明に係るシステムによれば、従来よりも低エネルギー(低溶液温度)で溶液中の重質油を選択的に溶液の液面へと浮上させることができ、重質油を効率的に回収することができる。
尚、上記説明では、システム100において、手段10を介して、溶液1に二酸化炭素のガスが吹き込まれる形態について説明したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。炭酸塩等を添加することで二酸化炭素を供給することも可能である。また、マイクロバブル発生装置を用いて二酸化炭素マイクロバブルとして供給することも可能である。ただし、溶液1に簡便且つ効率的に二酸化炭素を供給する観点からは、システム100のように、手段10を介して二酸化炭素を吹き込む形態とすることが好ましい。
微細な空気を下方から供給して目的物質のみを浮上させる従来の浮選法と、本発明に係る方法との併用、もしくは浮選法において空気の代わりに二酸化炭素を使用しつつ本発明に係る方法を併用すること(例えば、起泡剤等を添加するとともに、二酸化炭素を供給しつつ本発明に係る方法を併用する形態等)も効果的と考えられる。
また、上記の説明では、システム100において、手段20から媒体2等を介して溶液1に超音波が照射される形態について説明したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。手段20を溶液1内に設置することで、溶液1に超音波を直接的に照射するような形態であってもよい。ただし、溶液1の温度管理性に優れるとともに操作性及びメンテナンス性にも優れるシステムとする観点からは、システム100のように、溶液1を収容する容器の外部に手段20を設置することが好ましい。
また、上記説明では、システム100に手段10、手段20等のみが備えられる形態について説明したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。オイルサンドから重質油を回収する場合は、本発明に係るシステムは、オイルサンドから重質油を分離する手段をさらに備えることが好ましい。当該手段の具体例としては、オイルサンドに熱水や加熱蒸気を供給する手段や液中のオイルサンドに超音波を照射する手段等が挙げられる。例えば、オイルサンドを含む溶液において、手段10と同様の手段によって空気又はアルゴンガスを供給しながら、手段20を介して溶液に超音波を照射することで、オイルサンドから重質油を効率的に剥離・分離することができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳述するが、本発明は以下の実施例に記載された具体的な形態に限定されるものではない。
<実験1:溶液中のビチューメン浮上実験>
(実験方法)
ビチューメン懸濁液を作成し、各種ガスを流入させながら超音波を照射することで溶液上面に浮上するビチューメン量の違いを確認した。尚、オイルサンドからビチューメンを分離する際、通常は、ビチューメンの表面張力の低下と溶液内での分散とを狙ってアルカリ薬剤が添加される。すなわち、通常、砂と分離された後の溶液はアルカリ性であるため、本実験でもそれを模擬して溶液を作成した。ビチューメン懸濁溶液はイオン交換水(60ml)にビチューメン(0.5g)とNaOH(0.03g)を入れることで作成した。溶液のpHは11、溶液温度は10℃若しくは85℃とした。図4に示すような装置を用いて、空気、アルゴン若しくは二酸化炭素ガスを100ml/minで溶液内へ30分流入させて十分に置換を行なった後、超音波照射処理(28kHz若しくは200kHz)を15分間行った。処理後、水面へ浮上したビチューメンを回収し、重量を測定することでビチューメン浮上率(回収率)を算出した。尚、超音波照射処理に替えて、スターラー撹拌(750rpm)を15分間行った場合についても個別に実験した。
(実験結果)
図5に、溶液温度10℃におけるビチューメン浮上率を示す。28kHzの超音波を照射した場合、各種ガス別の浮上率は、空気5.48%、アルゴン6.34%、二酸化炭素55.3%となり、二酸化炭素が群を抜いて高い値を示した。また、二酸化炭素を供給した場合において、超音波の周波数28kHzの場合と200kHzの場合とで、浮上率に大きな違いは見られなかった。しかしながら、超音波処理と撹拌処理とを比較すると、浮上率に大きな違いが見られた。
以上の結果から、二酸化炭素の供給と超音波照射とを併用することで、ビチューメン浮上に効果的に働くことがわかった。
図6に、溶液温度85℃におけるビチューメンの浮上率を示す。溶液温度10℃の場合と同様、二酸化炭素の供給と超音波照射との組み合わせのみが、高いビチューメンの浮上率を示した。
<実験2:超音波照射及び撹拌処理による溶解ガスの放出量および放出の様子>
(実験方法)
気体が溶解している状態で、超音波を照射すると、溶解ガスが脱気され、微細気泡となって現れる。上記実験1では、これらの微細気泡がビチューメン表面に付着することで、見かけ密度が小さくなり、水面への浮上を促進したと考えられる。そこで炭酸水に超音波照射又はスターラー撹拌を行い、二酸化炭素の放出量(脱気量)を測定した。溶液は、イオン交換水(20℃、60ml)に二酸化炭素(100ml/min)を20分間流入させて作成した。二酸化炭素の溶解により、溶液の重量は0.08g増加した。この炭酸水に超音波照射及びスターラー撹拌を行うことで、溶存二酸化炭素の脱気による溶液の重量減少を測定し比較を行なった。
(実験結果)
図7に、各処理を20℃で行った場合の、溶液からの二酸化炭素放出量を示す。図7に示す通り、超音波処理の方が、撹拌処理より脱気量が多いことがわかった。このことが、二酸化炭素共存下で超音波照射した場合に、ビチューメン浮上率が高くなった要因の一つと考えられる。
脱気量以外の因子を特定すべく、炭酸水に各処理を施した場合において溶液内に生成する気泡の様子を観察した。図8に観察写真を示す。図8(A)が超音波を照射した場合、図8(B)が攪拌した場合である。図8(A)から明らかなように、超音波照射により生成した気泡は、微細で且つ数が多く、また、生成後すぐには消滅せずにしばらくの間、溶液中に存在することがわかった。一方、図8(B)から明らかなように、撹拌処理の場合は、超音波照射と比較して、生成気泡のサイズが大きく、生成する気泡数が少ないことが確認できた。これらの結果から、超音波照射によって生成する気泡の数とサイズがビチューメン浮上に効果的であることが示唆された。
しかしながら、ビチューメン浮上率が、溶液中の気泡数と気泡サイズのみに依存するのであれば、二酸化炭素共存下で超音波を照射した場合と、空気又はアルゴン共存下で超音波を照射した場合とで、ビチューメンの浮上率に、実験1で得られた結果程の大きな差は生じないものと考えられる。すなわち、溶液中に生成する気泡の数やサイズ以外の因子が、ビチューメンの浮上に寄与しているものと考えられる。本発明者らは、気体の種類によって、ビチューメン表面への気泡の付着のし易さが異なるのではと考えた。
<実験3:二酸化炭素とビチューメンの接触角の測定>
(実験方法)
気泡のビチューメン表面への付着のし易さを確認するため、以下の方法で、ビチューメン表面に付着した気泡の接触角を調べた。すなわち、ガラスプレートにビチューメンを均等に塗り、それを溶液の上面に置き、シリンジでガス気泡(二酸化炭素気泡、又は、空気の気泡)をビチューメンへ付着させた。図9に装置の概略図を示す。気泡のサイズは約4mmとした。溶液の温度は20℃、pHは1.9〜12.3で行った。
(実験結果)
図10にpH11におけるビチューメン表面に付着した気泡の様子を示す。図10(A)が空気の気泡の場合、図10(B)が二酸化炭素の気泡の場合である。図10に示すように、二酸化炭素気泡のほうが、空気の気泡よりもビチューメン表面における接触角度が大きいことが目視によっても明らかである。
図11に各pHにおける接触角度の測定結果を示す。図11に示すように、接触角度の具体的な測定値を見ると、pH11.2において二酸化炭素気泡の接触角度は81°と大きな値を示す一方で、空気の気泡の接触角度は64°であることから、二酸化炭素の気泡は空気の気泡よりもビチューメン表面に付着し易いことが分かる。すなわち、上記実験1では、ビチューメン表面への気泡の付着のし易さの差が、ビチューメンの浮上率の差となって表れたものと考えられる。
また、pH12.3においても二酸化炭素の気泡は74°と高い接触角度を維持しているのに対し、空気の気泡は55°となり、アルカリ領域においては二酸化炭素の気泡のほうが、大きな接触角を示すことがわかった。すなわち、上記実験1では、アルカリ条件下におけるビチューメン表面への気泡の付着のし易さの差が、ビチューメンの浮上率の大きな差となって表れたものと考えられる。
<実験4:ビチューメン浮上回収率のpH依存性>
(実験方法)
イオン交換水(60ml)にビチューメン(0.5g)とNaOH(0.03g)を添加し、溶液を作製した。0.1mol/Lの硫酸を用いて溶液のpHを2、3、4、6、7、9、11に調整した。溶液温度は10℃若しくは85℃に設定した。空気又は二酸化炭素を供給(100ml/min)して、それぞれ30分置換後、引き続きガスを溶液内へ流入させながら超音波照射(28kHz)を15分間行った。照射後、水面へ浮上したビチューメンを回収し、重量を測定することでビチューメン浮上率を算出した。
(実験結果)
図12に溶液温度10℃における、溶液pHとビチューメン浮上回収率との関係を示す。中性〜アルカリ性の領域において炭酸ガスの方が空気より良好な結果が得られていることがわかる。特にpH11における浮上率は、空気6.34%、二酸化炭素55.3%となり二酸化炭素が高い浮上率を示した。二酸化炭素を流入させると溶液のpHは低下し、実験終了後のpHは11から9(空気の場合は11のまま変わらない)まで低下した。そこでpH9における空気の浮上率と、pH11における炭酸ガスの浮上率とを比較すると、それでもなお、pH11の炭酸ガスの方が浮上率は高いことが分かった。
図13に溶液温度85℃における溶液pHとビチューメン浮上回収率との関係を示す。溶液温度10℃の条件と同様に、二酸化炭素の方が良好な結果を示した。ただし、溶液温度10℃の場合と比較して浮上率は全体的に低下した。これは溶液温度が上昇したことで、ガスの溶解度が低下したためと考えられる。
以上のことから、用いるガスの種類、溶液のpH、超音波照射による脱気泡量と気泡サイズ、気体の存在時間、及び、ビチューメン表面における気泡の接触角度が、ビチューメンの浮上に大きく影響していると考えられる。特に、本実験結果から明らかなように、溶液中のビチューメンを効率的に浮上させるには、溶液への二酸化炭素の供給と、溶液への超音波の照射とを組み合わせることが極めて有効であることが分かる。
<実験5:気泡の圧壊による剥離作用の実験>
(実験方法)
上述したように、超音波を水溶液中に照射すると微細気泡が生成し、その気泡が膨張収縮し、最終的に気泡は圧壊する。その際に強い流れを生じる。この作用は、使用場面により必要、不必要が分かれる。二酸化炭素は、蒸気圧が低いため、この作用が小さいことが予測される。実験は図14に示すような装置を用いて行った。すなわち、スライドガラスにビチューメンを0.1g塗り(塗布面積35mm×28mm)、各雰囲気(塗布面を、アルゴン、空気又は二酸化炭素を溶解させた溶液に接触)にて10℃で28kHzの超音波を5分照射することで行った。
(実験結果)
超音波照射前後の写真を図15に示す。空気、アルゴンガスでは、主に微細気泡が生成して圧縮される腹の位置でビチューメンが剥離されていることが確認された。一方、二酸化炭素を用いた場合は剥離がほとんど確認されなかった。各ビチューメンの剥離量は、アルゴンを用いた場合は0.038g、空気を用いた場合は0.035g、二酸化炭素を用いた場合は0.002gであった。二酸化炭素は、その蒸気圧が他のガスより低く、水に溶けやすいため、超音波照射により生成した気泡は、収縮時に気体が水に溶け込み、気泡を維持できず小さくなれない。それゆえ、気泡圧壊に伴う強い流れといった作用が低下し、スライドガラスからのビチューメンの剥離作用が低下したと考えられる。このことから二酸化炭素は、オイルサンドからビチューメンを剥離する場合には好適とは言えない一方で、微細気泡圧壊による強い流れを抑制して、容器内を傷つけることなくビチューメンを効率的に浮上させることが可能と言える。
<実験6:超音波照射によるオイルサンドからビチューメン分離実験>
(実験方法)
フラスコ内に85℃のイオン交換水(60ml)、カナダ産オイルサンド(2.97g)、NaOH(0.03g)を入れることでオイルサンド懸濁液を作成した。溶液温度は温水循環装置を用いて維持した。懸濁液にアルゴンガス又は空気を100ml/minの流量で30分流入させ、十分に置換を行なった後、引き続きガスを供給しながら超音波照射を15分間行いオイルサンドからビチューメンを分離させた(第1処理)。その際、水面に浮上したビチューメンを回収した。その後、二酸化炭素又はアルゴンガスを100ml/minの流量で30分流入させ、十分に置換を行なった後、超音波照射を行い(第2処理)、水面に浮上したビチューメンを回収した。
(実験結果)
図16に実験結果を示す。オイルサンドからビチューメンを剥離・分離する第1処理においては、空気よりもアルゴン共存下で超音波を照射したほうが、ビチューメンの回収量が多かった。これは実験5の結果と一致する。また、第1処理後に二酸化炭素を用いた場合とアルゴンガスを用いた場合とでは、ビチューメン回収量に大きな差があり、その回収率は二酸化炭素の場合は86.5%、アルゴンの場合は49.6%であった。
以上の結果から、超音波照射時のガスを変更することで、オイルサンドからのビチューメンの剥離・分離と、ビチューメンの浮上回収とを選択的に行うことができることが分かった。また、ビチューメンの回収にあたって、有機溶剤や界面活性剤などの薬剤添加は不要で、超音波、空気(或いはアルゴン)及び二酸化炭素の組み合わせのみでオイルサンドからビチューメンを高効率に回収できることも分かった。当該方法は、従来よりも低エネルギーでビチューメンを効率的に回収でき、低環境負荷技術といえる。
以上、現時点において、最も実践的であり、且つ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う溶液中の重質油の回収方法及び回収システムもまた本発明の技術範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明は、溶液に含まれる重質油を効率的に浮上回収する技術として利用可能である。特に、オイルサンドからビチューメンを回収する際に好適に利用可能である。

Claims (8)

  1. 重質油を含むpHが7以上の溶液に二酸化炭素を供給しながら超音波を照射して前記溶液中に二酸化炭素の微細気泡を発生させ、発生させた二酸化炭素の微細気泡を前記重質油の表面に付着させ、前記溶液において前記重質油を浮上させる、
    溶液中の重質油回収方法。
  2. 前記重質油を含むpH7以上の溶液が、オイルサンドから重質油を分離することによって得られたものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記溶液には強塩基が含まれる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記微細気泡の気泡径が1μm以上10mm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 重質油を含むpHが7以上の溶液に対して二酸化炭素を供給する手段と、
    前記溶液に超音波を照射する手段と、
    を備え、
    前記重質油を含むpHが7以上の溶液に二酸化炭素を供給しながら超音波を照射して前記溶液中に二酸化炭素の微細気泡を発生させ、発生させた二酸化炭素の微細気泡を前記重質油の表面に付着させ、前記溶液において前記重質油を浮上させる、
    溶液中の重質油回収システム。
  6. オイルサンドから重質油を分離する手段をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
  7. 前記溶液には強塩基が含まれる、請求項5又は6に記載のシステム。
  8. 前記微細気泡の気泡径が1μm以上10mm以下である、請求項5〜7のいずれか1項に記載のシステム。
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