JP6245684B2 - 医療用補助器具 - Google Patents

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本発明は、患者の換気のための気管導入部材が正しく気管内に導入されているか否かを報知する医療用補助器具に関するものである。
従来、例えば、手術の際に患者に対して全身麻酔をかける場合などには、全身麻酔中に、気管内に気管チューブを挿入し、この気管チューブを通じて肺に酸素を供給している。
しかしながら、人体の気管の入口部と食道の入口部とは隣接しており、外部からは両者を区別することは非常に困難である。そのため、オペレーターが気管チューブを食道内に誤って挿入してしまう場合がある。しかも、このような食道挿管の状態に気付かないことも多く、そのため、患者は窒息状態になり、心停止、神経系統へのダメージなどを生じる危険性がある。
このため、従来、気管チューブの食道挿管を防止するための方法についての様々な検討がなされている。
具体的には、例えば、カプノメーターと呼ばれる二酸化炭素分析計によって患者の呼気中の二酸化炭素濃度を監視することにより、気管チューブが気管内に正しく挿入されているか否かを判断することが行われている。
また、特許文献1には、気管チューブに接続した監視装置の信号発生器から発生する信号(周波数)の振幅の変化をメモリに記録した振幅と比較することによって、気管チューブを気管に挿管したか、あるいは、食道に挿管したかを検知する気管挿管監視装置が記載されている。
さらに、気管チューブの閉塞を検出する装置としては、特許文献2の装置が知られている。特許文献2には、流れ発生器によって患者が呼吸可能なガスを供給するとともに、音センサは、検出コントローラによって解析するために、気管チューブ(呼吸治療導管)を移動している音を測定可能とされ、気管チューブ(呼吸治療導管)に閉塞がある場合には、閉塞によって反射される音波を検知することが記載されている。
一方、気管チューブ以外にも、気管内に挿入される器具として、頸部前面から気管内部へ通じる気道を確保するための穿刺器具(気管切開カニューレなどと呼ばれる)が知られている(例えば、スミスメディカル・ジャパン製「クイックトラック」など)。このような穿刺器具は、緊急時の救急蘇生を目的とするものであり、通常、使用者が輪状甲状膜の位置を確認して、シリンジとカニューレをセットした状態で、ニードルを輪状甲状膜に穿刺して気管内に進める。そして、シリンジに陰圧をかけて気管内の空気を吸引できることを確認することでニードルが正しく気管内に到達していることを確認した後、ニードルに沿って気管カニューレを気管内に導入している。その後は、シリンジとニードルを引き抜き、気管カニューレと酸素供給手段とを接続して患者の換気を行っている。
WO94/17731 特表2012−517303
しかしながら、気管チューブの食道挿管を防止する方法としてカプノメーターを使用する場合、挿管操作に続く手順として、気管内チューブに接続した酸素バッグを加圧する必要がある。したがって、食道挿管の状態の場合には、食道へガスを圧入することが避けられず、消化管の内圧を上げることにより内容物の逆流を助長する恐れがある。さらに、患者が心肺停止状態にある場合や、心拍出量が低下した場合には、カプノメーターの信頼性は著しく低下するという問題がある。
また、特許文献1の装置の場合、信号発生器からの信号(周波数)を利用して気管チューブの位置を検知するため、食道挿管の検知精度が必ずしも十分でないという問題がある。また、特許文献1の装置は、装置構成が特殊であるため、臨床現場での実用性に欠け、広く普及するには至っていない。
さらに、特許文献2の装置は、気管チューブを気管へ挿管した後に、粘液などで気管チューブが閉塞することを防止するための装置である。すなわち、特許文献2の装置は、咽頭から気管方向に挿入された気管チューブが正しく気管内に導入されているか否か(気管に挿管された状態にあるか、食道に挿管された状態にあるか)を区別して検知するものではない。したがって、特許文献2では、食道挿管の状態を回避するための具体的な検討はなされていない。また、特許文献2の装置の場合、気管チューブの閉塞によって反射される音波を解析するものであるため、装置構成が複雑であり、気管チューブの閉塞を検知する精度も十分ではない。
一方、緊急時の救急蘇生を目的とした気道確保のための穿刺器具については、ニードルが気管に到達したか否かをシリンジで気管内の空気を吸引することで確認するのは必ずしも容易でないという問題がある。また、患者への酸素供給が滞っている緊急時においては、一刻も早く患者への換気を開始する必要があるが、シリンジの吸引操作や取外し操作によって換気の開始が遅れてしまうことが改善すべき点として挙げられる。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、比較的単純な装置の構成で、例えば、気管チューブや穿刺器具などの、患者の換気のための気管導入部材が気管内に正しく挿入されたことを確実に検知することができるとともに、患者への換気をよりスムーズに実施可能とするための医療用補助器具を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明は、以下の医療用補助器具を提供する。
(1)患者の換気のための気管導入部材が正しく気管内に導入されているか否かを検知する医療用補助器具であって、
一端に気管導入部材と接続する接続口、他端に気流供給手段と接続する気流供給口を有する筒状コネクターと、気流検知手段とを備え、
気流供給手段から気流供給口を通じて気流を供給しながら、接続口に接続した気管導入部材を気管へ導入する際に、
気流検知手段は、気管導入部材の先端が正しく気管内に導入されて開放されている状態と、気管導入部材が気管内に導入されずその先端が閉鎖されている状態とを供給される気流によって区別して検知することを特徴とする医療用補助器具。
(2)気流検知手段は、筒状コネクター内部の気流供給路に配設されたホイッスル部であり、
気管導入部材を気管へ導入する際に、気流供給手段から供給されて気流供給路を通過する気流によってホイッスル部による音が発生し、
気管への気管導入部材の導入に伴って、気管導入部材の先端が正しく気管内に導入されて開放されている場合に、供給された気流によってホイッスル部による音が発生し続け、かつ、気管導入部材が気管内に導入されずその先端が閉鎖されている場合に、供給された気流の流れが滞ってホイッスル部からの音が消失することで、気管導入部材が正しく気管内に導入されているか否かを検知可能であることを特徴とする医療用補助器具。
(3)気管導入部材が気管チューブであり、気管チューブを気管内に導入する際において、気管チューブの先端が正しく気管内に導入されて開放されている場合に、供給された気流によってホイッスル部による音が発生し、食道挿管の場合に、ホイッスル部からの音が消失することで、気管チューブが正しく気管内に導入されているか否かを検知可能であることを特徴とする(2)の医療用補助器具。
(4)気管導入部材が、ニードルを備えた輪状甲状膜穿刺器具であって、頸部前面から輪状甲状膜を通じて気管内に向かってニードルを穿刺する際において、ニードルの先端が前頚部付近の軟部組織で閉鎖された状態である場合にホイッスル部によって発生する音が消失し、ニードルの先端が気管内に到達して開放されている場合にホイッスル部による音が発生することで、ニードルが正しく気管内に導入されているか否かを検知可能であることを特徴とする(2)の医療用補助器具。
(5)筒状コネクターは、気流供給路から分岐した分岐部を有するとともに、気流検知手段は、この分岐部に配設されたホイッスル部であり、
気流供給手段から供給口を通じて気流を供給しながら、ホイッスル部が消音状態の筒状コネクターと接続する気管導入部材を気管へ導入するに伴って、気管導入部材の先端が正しく気管内に導入されて開放されている場合に、ホイッスル部の消音状態が維持され、かつ、気管導入部材が気管内に導入されずその先端が閉鎖されている場合に、供給された気流が分岐部へと流れ込んでホイッスル部による音が発生することで気管導入部材が正しく気管内に導入されているか否かを検知可能であることを特徴とする(1)の医療用補助器具。
(6)気管導入部材が気管チューブであり、気管チューブを気管内に導入する際において、気管導入部材の先端が正しく気管内に導入されて開放されている場合に、消音状態が維持され、食道挿管の場合に、供給された気流が分岐部へと流れ込んでホイッスル部による音が発生することで、気管チューブが正しく気管内に導入されているか否かを検知可能であることを特徴とする(5)の医療用補助器具。
(7)気管導入部材が、ニードルを備えた輪状甲状膜穿刺器具であって、頸部前面から輪状甲状膜を通じて気管内に向かってニードルを穿刺する際において、ニードルの先端が頸部付近の軟部組織により閉鎖された状態である場合に、供給された気流が分岐部へと流れ込むことでホイッスル部による音が発生し、ニードルの先端が気管内に到達して開放されている場合にホイッスル部による音が消失することで、ニードルが正しく気管内に導入されているか否かを検知可能であることを特徴とする(5)の医療用補助器具。
(8)気流検知手段は、筒状コネクターと接続し、筒状コネクター内部の圧力を測定可能な圧力トランスデューサーであり、
気管への気管導入部材の導入に伴って、気管導入部材の先端が正しく気管内に導入されて開放されている場合に測定される筒状コネクター内部の圧力と、気管導入部材が気管内に導入されずその先端が閉鎖されている場合に測定される筒状コネクター内部の圧力との違いに基づいて、気管導入部材が正しく気管内に導入されているか否かを検知可能であることを特徴とする(1)の医療用補助器具。
(9)気管導入部材が気管内に導入されずその先端が閉鎖されている場合に、圧力トランスデューサーによって測定される筒状コネクター内部の圧力が、予め設定された設定値以上となるように設計されていることを特徴とする(8)の医療用補助器具。
(10)圧力の設定値が、9mmHgであることを特徴とする(9)の医療用補助器具。
(11)気管導入部材が気管チューブであり、気管チューブを気管内に導入する際において、食道挿管である場合に、筒状コネクター内部の圧力が設定値以上となるように設計されていることを特徴とする(9)の医療用補助器具。
(12)気管導入部材が、ニードルを備えた輪状甲状膜穿刺器具であって、頸部前面から輪状甲状膜を通じて気管内に向かってニードルを穿刺する際において、
ニードルの先端が頸部付近の軟部組織により閉鎖された状態である場合に、圧力トランスデューサーによって測定される筒状コネクター内部の圧力が設定値以上となるように設計されていることを特徴とする(9)の医療用補助器具。
さらに、本発明は、以下の判定方法を提供する。
(13)前記(2)の医療用補助器具を用いて患者の換気のための気管導入部材が正しく気管内に導入されているか否かを判定する判定方法であって、
以下の工程:
接続口に接続した気管導入部材を気管へ導入する前に、気流供給手段から供給口を通じて気流を供給することで、気流供給路を通過する気流によってホイッスル部による音を発生させる工程:
患者の咽頭から気管の方向へ気管導入部材を導入する工程;および
ホイッスル部による音が発生している場合に気管導入部材の先端が正しく気管内に導入されて開放されていると判定し、ホイッスル部による音が消失した場合に、気管導入部材が気管内に導入されずその先端が閉鎖されていると判定する工程
を含むことを特徴とする判定方法。
(14)前記(4)の医療用補助器具を用いて患者の換気のための気管導入部材が正しく気管内に導入されているか否かを判定する判定方法であって、
以下の工程:
気流供給手段から供給口を通じて気流を供給しながら、ホイッスル部が消音状態の筒状コネクターと接続する気管導入部材を患者の咽頭から気管の方向へ導入する工程;および
ホイッスル部が消音状態である場合に気管導入部材の先端が正しく気管内に導入されて開放されていると判定し、ホイッスル部による音が発生した場合に、気管導入部材が気管内に導入されずその先端が閉鎖されていると判定する工程
を含むことを特徴とする判定方法。
(15)前記(8)の医療用補助器具を用いて患者の換気のための気管導入部材が正しく気管内に導入されているか否かを判定する判定方法であって、
以下の工程:
気流供給手段から供給口を通じて気流を供給しながら、気管導入部材を患者の咽頭から気管の方向へ導入する工程;および
圧力トランスデューサーによって測定される筒状コネクター内部の圧力が設定値より低い場合に、気管導入部材の先端が正しく気管内に導入されて開放されていると判定し、圧力トランスデューサーによって測定される筒状コネクター内部の圧力が設定値以上の場合に、気管導入部材が気管内に導入されずその先端が閉鎖されていると判定する工程
を含むことを特徴とする判定方法。
本発明の医療用補助器具は、比較的単純な装置の構成で、気管導入部材が気管内に正しく導入されたことを確実に検知することができるとともに、患者への換気をよりスムーズに実施可能とすることができる。
本発明の医療用補助器具の第1実施形態を例示した断面概要図である。 図1に例示した医療用補助器具を利用して、気管導入部材としての気管チューブが正しく患者の気管内に導入されているか否かを判定する方法を例示した概要図である。 図1に例示した医療用補助器具を利用して、気管導入部材としての気管チューブが正しく患者の気管内に導入されているか否かを判定する方法を例示した概要図である。 図1に例示した医療用補助器具を利用して、気管導入部材としての気管チューブが正しく患者の気管内に導入されているか否かを判定する方法を例示した概要図である。 本発明の医療用補助器具と、輪状甲状膜穿刺器具の分離状態を例示した図である。 本発明の医療用補助器具と、輪状甲状膜穿刺器具の接続状態を例示した図である。 図5、図6に例示した医療用補助器具を利用して、気管導入部材としての輪状甲状膜穿刺器具が正しく患者の気管内に導入されているか否かを判定する方法を例示した概要図である。 図5、図6に例示した医療用補助器具を利用して、気管導入部材としての輪状甲状膜穿刺器具が正しく患者の気管内に導入されているか否かを判定する方法を例示した概要図である。 図5、図6に例示した医療用補助器具を利用して、気管導入部材としての輪状甲状膜穿刺器具が正しく患者の気管内に導入されているか否かを判定する方法を例示した概要図である。 本発明の医療用補助器具の第2実施形態を例示した断面概要図である。 図10に例示した医療用補助器具を利用して、気管導入部材としての気管チューブが正しく気管内に導入されているか否かを判定する方法を例示した概要図である。 本発明の医療用補助器具の第3実施形態を例示した概要図である。 実施例3において、圧力トランスデューサーによって筒状コネクター(気管チューブ)の内圧(Ptube)の変化を確認しながら、挿管結果を照合した結果を示した図である。
本発明の医療用補助器具は、患者の換気のための気管導入部材が正しく気管内に導入されているか否かを検知する医療用補助器具であって、一端に気管導入部材と接続する接続口、他端に気流供給手段と接続する気流供給口を有する筒状コネクターと、気流検知手段とを備え、気流供給手段から気流供給口を通じて気流を供給しながら、接続口に接続した気管導入部材を気管へ導入する際に、気流検知手段は、気管導入部材の先端が正しく気管内に導入されて開放されている状態と、気管導入部材が気管内に導入されずその先端が閉鎖されている状態とを供給される気流によって区別して検知するものである。
以下、図面とともに、本発明の医療用補助器具の実施形態について説明する。
図1は、本発明の医療用補助器具の第1実施形態を例示した概要断面図である。
医療用補助器具1は、筒状コネクター2と、筒状コネクター2内部の気流供給路Wに配設された、気流検知手段としてのホイッスル部3とを備えている。
筒状コネクター2は、一端に気管挿入部材(図示していない)と接続する接続口2a、他端に気流供給手段(図示していない)と接続する気流供給口2bとを有している。接続口2aおよび気流供給口2bの形状や配設位置などは図1の形態に限定されることはなく、適宜設計することができる。より具体的には、筒状コネクター2は、例えば、図1に例示したような市販のプラスチック製のL字コネクター(アコマ医科工業株式会社製「アコマYコネクタ エルボ PC」など)を利用することもできる。
筒状コネクター2の接続口2aに接続される気管挿入部材は、気管チューブや、頸部前面から気管内部へ穿刺、挿入して気道を確保するための穿刺器具(輪状甲状膜穿刺器具)などの市販の部材を例示することができる。したがって、筒状コネクター2の接続口2aの形状や大きさなどは、気管挿入部材の種類や規格に応じて設計されていることが好ましい。
筒状コネクター2の気流供給口2bと接続する気流供給手段は特に限定されない。気流供給手段は、例えば、ベンチレータ、自動または手動の酸素バック、酸素ボンベ、酸素配管、酸素流量計、人工呼吸器、麻酔器などのうちの1種または2種以上を例示することができ(これらに付属する接続チューブなどが含む)、酸素などの気流の供給を連続的または断続的に行うことができる。具体的には、例えば、ベンチレータからの気流を接続チューブを介して筒状コネクター2の気流供給口2bへ供給する形態などが例示される。
特に好ましい気流供給手段としては、麻酔器、人工呼吸器などと接続して高頻度換気が可能なベンチレータを例示することができる。高頻度換気(HFV:high frequency ventilation)とは、少量の1回換気量(おおよそ1〜4ml/体重kg)で、生理的呼吸回数を大きく上回る回数(おおよそ1〜40Hz)の換気を行う人工呼吸の総称である。高頻度換気には、例えば、高頻度陽圧換気法(HFPPV)、高頻度ジェット換気法(HFJV)、高頻度振動換気法(HFO)などが含まれる。高頻度換気を採用する場合、ホイッスル部3による検知感度をさらに向上させることができる。
また、筒状コネクター2は、例えば、接続口2aと対向する突出部2c付近にスタイレット挿入口などが設けられていてもよい。
ホイッスル部3は、気流が通過することで音を発するものであれば、構造などは特に限定されない。具体的には、例えば、ホイッスル部3は、振動して音を発する薄片状のリードを有するものや、エアリード構造を有し、空気(気流)を絞りビーム状にしてエッジに当て振動させて音を発生させるものなどを例示することができる。
ホイッスル部3の形状や大きさなどは、配設される筒状コネクター2の内部形状や供給する気流の流量などに応じて適宜設計することができる。具体的には、ホイッスル部3から発する音の音量は、気流の供給量、供給速度に略比例すると考えられるため、ホイッスル部3の形態は、気管、肺、食道など器官に悪影響を与えない範囲の気流の供給量、供給速度において、オペレーターが聞き取りやすい音(音量、音質など)を発するように設計されたものを採用することができる。
ここで、気流供給手段からの気流は、酸素自体であってもよいし、酸素と他の気体とが混合されたものでもよい。また、気体状の麻酔薬などが混合されていてもよい。
さらに、ホイッスル部3と筒状コネクター2の間に環状のパッキンTを介在させることで外部への気流の漏れを抑制することができる。これによって、供給された気流がホイッスル部3を漏れなく通過するため、より確実にホイッスル部3の音を発生させることができる。
次に、図1に例示した医療用補助器具を利用して、気管導入部材としての気管チューブが正しく患者の気管内に導入されているか否かを判定する方法について、図2、図3、図4の概要図を用いて説明する。
気管チューブMは、筒状コネクター2の接続口2aと接続しており、気流供給手段Sは、筒状コネクター2の気流供給口2bと接続している。
図2に例示したように、気管チューブMを気管へ導入する前に、医療用補助器具1を介して気管チューブMへと気流を供給する。このとき、気管チューブMの先端は解放されているため、筒状コネクター2の気流供給路Wを通じて気管チューブM内へ供給された気流が気管チューブMの先端から放出され、供給される気流の流れが滞ることがない。したがって、筒状コネクター2の気流供給路Wに設けられたホイッスル部3では、気流によって音が発生した状態となる。
そして、図3に例示したように、オペレーターは、気流供給手段Sから気流を供給し続け、ホイッスル部3での音が発生した状態のまま気管チューブMを患者の咽頭から気管Q方向へ挿入する。この際、必要に応じてスタイレットなどを利用することもできる。気管チューブMが、声門Pを通じ、気管Qの内部に適切に挿入されている場合には、気管チューブMの先端は解放されている。このため、気管Qから肺へと気流は流れ続け、筒状コネクター2の気流供給路Wに設けられたホイッスル部3は音を発し続ける。なお、気管チューブMが気管Qに挿入されている場合には、気管チューブMの先端に気管粘膜が付着したとしても、気管チューブMの先端が完全に閉鎖される事態は生じ難い。
一方、図4に例示したように、気管チューブMが気管内に導入されず、誤って食道に挿入された場合には、食道壁の粘膜によって気管チューブMの先端が閉鎖され、供給された気流の流れが滞る。このため、筒状コネクター2の気流供給路Wに設けられたホイッスル部3では、気流が通過し難い状態となり、発生していた音が消失する(極めて微弱な音量になる場合も含む)。なお、「気管チューブの先端が閉鎖」された状態には、気管チューブMの先端が物理的に完全に閉鎖された状態のみならず、気管チューブMの先端の一部が覆われ、気流の放出が十分に行われない状態も含まれる。
このように、医療用補助器具1は、気管チューブMが気管内に適切に挿入されている場合には、筒状コネクター2内のホイッスル部3が音を発し、気管チューブMが食道挿管の状態となった場合には、ホイッスル部3は消音状態となる。すなわち、ホイッスル部3で発生していた音の消失によって食道挿管の状態であることが報知される。したがって、オペレーターは、ホイッスル部3から発せられる音が消失し、食道挿管の状態であると判断した場合には、気管チューブMを引き出して、再びホイッスル部3からの音が発せられていることを確認し、挿入位置を変えて気管Qへの挿入を行うことができる。気管チューブMを気管へ挿入することができれば、ホイッスル部3の音は継続するため、気管チューブMが適切に気管Qへ挿入されたことを判定することができる。
本発明の医療用補助器具1は、筒状コネクター2の気流供給路Wに、気流が通過することで音を発するホイッスル部3を備え、気流供給手段Sからの気流が供給された状態で使用される。このため、肺への酸素の供給と、気管チューブMの挿入位置の確認とを、気管チューブMの先端から流れ出る気流によって同時に実現することができる。また、ホイッスル部3は、患者に気流(酸素)が適切に供給されているか否かを、気流の流れに伴うホイッスル部3の音のON/OFFで直接的に検知することができる。このため、特別な操作を必要とせず、ホイッスル部3から発せられる音に注意を払うだけで食道挿管の状態を回避することができるため、オペレーターの作業負担は少なく、また、操作ミスが起こる危険性も少ない。
このように、本発明の医療用補助器具1は、例えば、従来のように、周波数の振幅や音波の反射を検出する装置と比較して、簡便かつ確実に気管チューブMが正しく気管内に挿入されているか否かを判定できるとともに、比較的単純な装置の構成であるため、製造コストを安価に抑えることでき、メンテナンスの負担も軽減される。
次に、図1に例示した医療用補助器具を利用して、気管導入部材としての輪状甲状膜穿刺器具が正しく気管内に導入されているか否かを判定する方法について説明する。
図5は、本発明の医療用補助器具と、輪状甲状膜穿刺器具の分離状態を例示した図であり、図6は、本発明の医療用補助器具と、輪状甲状膜穿刺器具の接続状態を例示した図である。
図5に例示したように、輪状甲状膜穿刺器具E(気管切開カニューレなどと呼ばれる)は、例えば、スミスメディカル・ジャパン製「クイックトラック」などの市販品を適宜利用することができる。このような輪状甲状膜穿刺器具Eには、略円筒状のカニューレYと、このカニューレYの内側に中空で円錐形のニードルNが設けられている。カニューレYの先端は、輪状甲状膜へのニードルNの穿刺後、体内に留置されて気道を確保する役割を果たす。そして、図5、図6に例示したように、輪状甲状膜穿刺器具Eの後端には、シリンジの代わりに、ホイッスル部3を備えた筒状コネクター2の接続口2aと接続することで、筒状コネクター2とニードルNを連通させることができる。そして、筒状コネクター2の気流供給口2bには、気流供給手段(ベンチレータ)が接続される。
図7〜図9は、図5、図6に例示した医療用補助器具を利用して、気管導入部材としての輪状甲状膜穿刺器具が正しく患者の気管内に導入されているか否かを判定する方法を例示した概要図である。
図7に例示したように、本発明の医療用補助器具1と、気管導入部材としての輪状甲状膜穿刺器具Eとを接続して患者に処置を施す場合、オペレーターは、気流供給手段Sから酸素を供給し続け、筒状コネクター2内のホイッスル部3からの音が発生した状態とする。そして、ホイッスル部3からの音が発生した状態のまま、カニューレYとともにニードルNを患者の輪状甲状膜Cに穿刺して気管Q方向へ押し進める。このとき、図8に例示したように、ニードルNを輪状甲状膜Cに貫通させる過程で、ニードルNの先端が頸部付近の軟部組織により閉鎖されて供給される酸素の流れが滞るため、正常に操作が進行している場合であっても、一時的にホイッスル部3からの音は消失する。
その後、図9に例示したように、ニードルNが輪状甲状膜Cを貫通し、先端が気管Qの内部に適切に導入された場合には、ニードルNの先端は気管Q内において先端が解放されるため、気管Q内に酸素が供給されるとともに、酸素は肺へと流れ続け、筒状コネクター2の気流供給路Wに設けられたホイッスル部3は再度音を発した状態となる。
一方、ニードルNを輪状甲状膜Cに穿刺する際に、ニードルNの先端が皮下の軟部組織などに迷入して気管Q内に達していない場合、ニードルNの先端が閉塞しているため(図8に例示した状態)、供給される酸素の流れが滞り、ホイッスル部3からの音が消失した状態が続く。
このように、医療用補助器具1は、輪状甲状膜穿刺器具EのニードルNが気管Qの内部に導入された場合には、ホイッスル部3は音を発し、ニードルNが気管Qの内部に到達していない場合には、ホイッスル部3は消音状態となる。したがって、オペレーターは、ホイッスル部3の消音状態が続く場合には、未だニードルNが気管Qの内部に到達していないと判定することができる。そして、気管Q内へのニードルNの導入が完了した場合には、ニードルNの先端から放出される酸素を直ちに患者の体内に供給することができる。
なお、気管Q内へのニードルNの導入が完了した場合には、通常の手順に従うことができ、例えば、ニードルNに沿ってカニューレYを気管Q内に導入した後、ニードルNを引き抜き、新たに気流供給手段S(ベンチレータ、酸素バッグなど)と接続することなどが可能である。
医療用補助器具1は、筒状コネクター2内のホイッスル部3からの音によって、気管Q内へのニードルNの導入を簡便かつ確実に検知することが可能である。このため、例えば従来のように、シリンジに陰圧をかけて気管Q内の空気を吸引して気管QへのニードルNの導入を確認するなどの手間、時間がかからない。特に、輪状甲状膜穿刺器具Eは、緊急時の救急蘇生を目的として使用されるものであり、医療用補助器具1は、気管Q内へのニードルNの導入を確実に判定し、患者への酸素供給、換気を速やかに実施可能とする点において極めて有用である。
なお、従来より、輪状甲状膜穿刺器具Eは、気管Q内へのニードルNの導入に際し、ニードルNが気管Qを貫通して気管Q後壁に到達して軟部組織に刺さってしまう場合があることが問題点として指摘されている。一方、この医療用補助器具1では、そのような状況に陥った場合には、ニードルNの先端が閉鎖されることによってホイッスル部3が消音状態となるため、オペレーターは、直ちに異変に気づき、ニードルNを引き出すなどの処置を行うことができる。
図10は、本発明の医療用補助器具の第2実施形態を例示した概要図である。第2実施形態について、第1実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、以下では説明の一部を省略する。
医療補助器具1は、略T字形の筒状コネクター2と、この筒状コネクター2内部の気流供給路Wから分岐した分岐部4を有するとともに、この分岐部4にホイッスル部3を備えている。
具体的には、筒状コネクター2は、一端に気管導入部材(図示していない)と接続する接続口2aを有し、対向する他端に気流供給手段(図示していない)と接続する気流供給口2bを有している。そして、分岐部4は、接続口2aと気流供給口2bとを連通する気流供給路Wから外側に分岐し、気流供給口2b側に傾斜して形成されている。なお、分岐部4は、筒状コネクター2と一体に形成されていてもよいし、別体として接続されていてもよい。
分岐部4の内部には、ホイッスル部3が配設されている。また、ホイッスル部3の手前(気流供給路側)には、ホイッスル部3へ流れ込む気流の流量を調整する調整手段5を設けることができる。調整手段5は、気流の流量(抵抗)を調整可能であるものであれば特に限定されず、弁やバルブなどを例示することができる。調整手段5は、例えば、所定の圧力以上の気流が流れ込んだ場合に弁やバルブなどが開放されるように設定することで、ホイッスル部3の誤検知を抑制することができる。調整手段5の開放圧は、例えば、気管導入部材の形態(例えば気管チューブMの太さ、スタイレットの有無や太さなど)に応じて適宜設計することができるが、一応の目安としては、例えば、分岐部4へ流れ込んだ気流によって、およそ1〜5cmH0程度の圧力が付加された場合に開放されるように設定することができる。
次に、図10に例示した医療用補助器具を利用して、気管導入部材としての気管チューブMが正しく気管内に導入されているか否かを判定する方法について、図11を用いて説明する。
気管チューブMを気管へ導入する前に、医療用補助器具1を介して気管チューブMへと気流を供給する。このとき、気管チューブMの先端は解放されているため、筒状コネクター2の気流供給路Wを通じて気管チューブM内へ供給された気流が気管チューブMの先端から放出され、供給される気流の流れが滞ることがない。したがって、医療用補助器具1の分岐部4には気流が流れ込まないため、ホイッスル部3では音が発生しない。
そして、図11(A)に例示したように、オペレーターは、気流供給手段Sから気流を供給し続け、ホイッスル部3での音が発生しない状態のまま気管チューブMを患者の咽頭から気管方向へ挿入する。気管チューブMが、声門Pを通じ、気管Qの内部に適切に挿入されている場合には、気管チューブMの先端は解放されている。このため、気管Qから肺へと気流は流れ続け、筒状コネクターの分岐部4には気流が流れ込まないため、ホイッスル部3では音が発生しない。
一方、図11(B)に例示したように、気管チューブMが気管内に導入されず、誤って食道に挿入された場合には、食道壁の粘膜によって気管チューブMの先端が閉鎖され、供給された気流の流れが滞る。すると、気管チューブM内の内圧が高まり、気管チューブMへと供給された気流は、例えば図11(B)中の矢印に例示したように、ホイッスル部3が配設された分岐部4へと流れ込むように流路が変更される。このため、気流が、調整手段5およびホイッスル部3を通過することで、ホイッスル部3から音が発生するため、食道挿管の状態であると判定することができる。
このように、医療用補助器具は、気管チューブMが気管内に適切に挿入されている場合には、ホイッスル部3は消音状態であり、気管チューブMが食道挿管の状態となった場合には、ホイッスル部3は音を発する。すなわち、ホイッスル部3での音の発生によって食道挿管の状態であることが報知される。
また、気管チューブMの先端が開放されている状態であっても、少量の気流がホイッスル部3(笛)が配設された分岐部4へと流れ込むことも考えられるが、気管チューブMの先端が閉鎖されている状態の気流の流量などを考慮して、気流に対するホイッスル部3の抵抗や、調整手段5の抵抗を適宜調整することで、食道挿管時にのみホイッスル部3の音が発生するように設計することができる。
さらに、図10に例示した医療用補助器具を利用して、気管導入部材としての輪状甲状膜穿刺器具が正しく気管内に導入されているか否かを判定する方法について説明する。
オペレーターは、気流供給手段Sから酸素を供給し続け、ホイッスル部からの音が発生しない状態のまま、ニードルを患者の輪状甲状膜に穿刺して気管方向へ押し進める。このとき、ニードルを輪状甲状膜に貫通させる過程で、ニードルの先端が頸部付近の軟部組織により閉鎖されて供給される酸素の流れが滞り、分岐部へと流れ込むため、一時的にホイッスル部からの音が発生する。
その後、ニードルが輪状甲状膜を貫通し、先端が気管の内部に適切に導入された場合には、ニードルの先端は気管内において先端が解放されるため、気管内に酸素が供給されるとともに、酸素は肺へと流れ続け、筒状コネクターの気流供給路Wに設けられたホイッスル部3の音が消失した状態となる。
一方、ニードルを輪状甲状腺膜に穿刺する際に、ニードルの先端が皮下の軟部組織などに迷入して気管内に達していない場合には、ニードルの先端が閉塞しているため、供給される酸素の流れが滞り、分岐部へと流れ込むため、ホイッスル部からの音が発生した状態が継続する。
このように、医療用補助器具は、輪状甲状腺膜穿刺器具のニードルが気管の内部に導入された場合には、ホイッスル部の音は消音状態となり、ニードルが気管の内部に到達していない場合には、ホイッスル部は音を発する。したがって、オペレーターは、ホイッスル部3から発せられる音が発生している場合には、未だニードルが気管の内部に到達していないと判定することができる。そして、気管内へのニードルの導入が完了した場合には、ニードルの先端から放出される酸素を直ちに患者の体内に供給することができる。
図12は、本発明の医療用補助器具の第3実施形態を例示した概要図である。第3実施形態について、第1実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、以下では説明の一部を省略する。
医療補助器具1は、略T字形の筒状コネクター2を有し、この筒状コネクター2は、内部の気流供給路Wから分岐した分岐部4が形成されている。
具体的には、筒状コネクター2は、一端に気管導入部材のチューブと接続する接続口2aを有し、対向する他端に気流供給手段のチューブと接続する気流供給口2bを有している。
第3実施形態では、気流検知手段としての圧力トランスデューサーDを含む。圧力トランスデューサーDは、筒状コネクター2の分岐部4と接続し、筒状コネクター2内部(チューブの内部)の圧力を測定可能とされている。
圧力トランスデューサーDは、流入する気流によって生じる圧力の変化をリアルタイムで測定することができるものであれば特に限定されず、公知のものを適宜採用することができる。
図12に例示した形態では、気管導入部材は、気管チューブM、連結部材J、スタイレットK、第1接続チューブL1を含んでおり、気流供給手段Sは、ベンチレータ(図示していない)、第2接続チューブL2、APL弁V、第3接続チューブL3を含んでいる。
第3実施形態では、気管への気管導入部材(気管チューブM)の導入に伴って、気管導入部材(気管チューブM)の先端が正しく気管内に導入されて開放されている場合に測定される筒状コネクター2内部の圧力と、気管導入部材(気管チューブM)が気管内に導入されずその先端が閉鎖されている場合に測定される筒状コネクター2内部の圧力との違いに基づいて、気管導入部材(気管チューブM)が正しく気管内に導入されているか否かを検知可能である。
具体的には、気管チューブMを気管へ導入する前に、医療用補助器具1を介して気管チューブMへと気流を供給する。このとき、気管チューブMの先端は解放されているため、筒状コネクター2の気流供給路Wを通じて気管チューブM内へ供給された気流が気管チューブMの先端から放出され、供給される気流の流れが滞ることがない。したがって、医療用補助器具1は、圧力トランスデューサーDによって測定される筒状コネクター2の内部の圧力は2〜4mmHg程度となる。
そして、例えば、オペレーターは、気流供給手段Sから気流を供給し続け、圧力トランスデューサーDの数値を監視しながら、気管チューブMを患者の咽頭から気管方向へ挿入する。気管チューブMが、声門を通じ、気管の内部に適切に挿入されている場合には、気管チューブMの先端は解放されている。このため、気管から肺へと気流は流れ続け、圧力トランスデューサーDの数値は大きく変化しない。
一方、気管チューブMが気管内に導入されず、誤って食道に挿入された場合には、食道壁の粘膜によって気管チューブMの先端が閉鎖され、供給された気流の流れが滞る。すると、筒状コネクター2、気管チューブM、第1〜第3接続チューブL1、L2、L3などの内部の内圧が高まるため、圧力トランスデューサーDの数値が上昇し、これによって、気管チューブMが食道挿管の状態であると判定することができる。
このように、医療用補助器具1は、気管チューブMの先端が閉鎖されている場合には、気流の供給によって圧力トランスデューサーDの数値(筒状コネクター2内部の圧力)が上昇する。したがって、例えば、気流の供給量、使用するチューブの径などを考慮して、基準となる圧力の設定値を設定しておき、測定される圧力の最大値が、この設定値以上となった場合に、気管チューブMの先端が閉鎖されている状態(食道挿管の状態)であることを検知することができる。
気流の供給量やチューブの径などにもよるが、圧力の設定値は、例えば、5mmHg〜15mmHgの範囲において適宜設定することができ、特に、通常の手術環境や汎用されているチューブの形態を考慮すると、9mmHgであることが好ましい。圧力の設定値が9mmHgであると、より確実に気管チューブMの先端が閉鎖されている状態(食道挿管の状態)を検知することができる。なお、圧力トランスデューサーDによって測定される圧力の最大値が、設定値以上となった場合に、音や画面表示などによる警報を発する報知手段を含むこともできる。
図12では、気管導入部材として気管チューブを使用する形態を例示したが、第3実施形態においても、第1、第2実施形態と同様に、例えば、気管導入部材が、ニードルを備えた輪状甲状膜穿刺器具であってもよい。この場合、頸部前面から輪状甲状膜を通じて気管内に向かってニードルを穿刺する際において、ニードルの先端が頸部付近の軟部組織により閉鎖された状態である場合に、測定される筒状コネクターの内圧の最大値が基準となる設定値以上となるように設計することが好ましい。
オペレーターは、気流供給手段から酸素を供給し続け、ニードルを患者の輪状甲状膜に穿刺して気管方向へ押し進める。このとき、ニードルを輪状甲状膜に貫通させる過程で、ニードルの先端がの軟部組織により閉鎖されて供給される酸素の流れが滞り、内圧が高まるため、一時的に圧力トランスデューサーの数値が上昇する。
その後、ニードルが輪状甲状膜を貫通し、先端が気管の内部に適切に導入された場合には、ニードルの先端は気管内において先端が解放されるため、気管内に酸素が供給されるとともに、酸素は肺へと流れ続け、圧力トランスデューサーの数値が低下する。
一方、ニードルを輪状甲状腺膜に穿刺する際に、ニードルの先端が皮下の軟部組織などに迷入して気管内に達していない場合には、ニードルの先端が閉塞しているため、供給される酸素の流れが滞り、圧力トランスデューサーの数値が上昇した状態が継続する。
このように、医療用補助器具は、輪状甲状腺膜穿刺器具のニードルが気管の内部に正しく導入された場合には、圧力トランスデューサーの数値が低下し、ほぼ、導入前の数値に戻る。一方、ニードルが気管の内部に到達していない場合には、圧力トランスデューサーの数値が上昇した状態が継続する。したがって、オペレーターは、圧力トランスデューサーの数値が上昇した状態が続く場合には、未だニードルが気管の内部に到達していないと判定することができる。そして、気管内へのニードルの導入が完了した場合には、ニードルの先端から放出される酸素を直ちに患者の体内に供給することができる。
本発明の医療用補助器具は、以上の形態に限定されることはない。例えば、筒状コネクターは、例えば円筒状に形成することもできるし、その他各種の医療器具、装置と接続可能に形成することもできる。また、ホイッスル部の配設位置、配設形態は適宜設計することができる。さらに、例えば、本発明の気管挿管器具の第2実施形態において設けられる分岐部は、気管チューブが解放された状態において供給される気流の影響を受けず、かつ、気管チューブが閉鎖された際に気流が流れ込む適宜な位置に設けることができる。
以下、本発明の医療用補助器具について、実施例とともに説明するが、本発明の医療用補助器具は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
図1〜図4に例示したように、上記の第1実施形態に対応する医療用補助器具を作製した。
具体的には、筒状コネクターとして、プラスチック製のL字コネクター(アコマ医科工業株式会社製「アコマYコネクタ エルボ PC」)を使用し、この筒状コネクターの気流供給口の内部に、ホイッスル部としての笛をパッキンを介して配設した。
そして、この筒状コネクターの接続口に気管チューブを接続し、気流供給口にベンチレータを接続した。さらに、気管チューブの先端には、小型カメラを配設して、気管チューブの先端の状況をモニタリングできるようにした。
そして、発明者が自ら麻酔を吸引した後、気流を6L/minで供給して笛の音を発生させ、気管チューブの先端の状況をモニタリングしながら、気管チューブを自らの咽頭から気管方向へ挿入した。
その結果、気管チューブが食道挿管の状態にあり、その先端が閉鎖された場合には、笛の音は消失し、気管チューブが気管挿管の状態になり、その先端が解放されている場合には、笛の音が持続することが確認された。
<実施例2>
上記第1実施形態に対応する医療用補助器具を作製した。
具体的には、筒状コネクターとして、プラスチック製のL字コネクター(アコマ医科工業株式会社製「アコマYコネクタ エルボ PC」)を使用し、この筒状コネクターの気流供給口の内部に、ホイッスル部としての笛をパッキンを介して配設した。そして、この筒状コネクターの接続口に輪状甲状膜穿刺器具(スミスメディカル・ジャパン製「クイックトラック」)を接続し、気流供給口にベンチレータを接続した。
そして、厚さ5mmのエラストマー樹脂をヒトの輪状甲状膜に模し、輪状甲状膜穿刺器具のニードルの通過状況における笛の音の変化について検討した。
その結果、ベンチレータのモードをHFO、HFOレート10Hz、MAP1mBar、デルタP24 mBar、Fi02 21%と設定して笛の音を発生させながら、輪状甲状膜穿刺器具のニードルをエラストマーに当接させると、ニードルの先端が閉鎖されて笛の音は消失した。そして、ニードルの先端がエラストマーを貫通すると、ニードルの先端が解放されて、気流の供給とともに再び笛の音が発生することが確認された。
したがって、本発明の医療用補助器具を輪状甲状膜穿刺器具に接続して使用することで、気管内へのニードルの導入を簡便かつ確実に検知できることが確認された。
<実施例3>
上記第3実施形態に対応する医療用補助器具を作製した。
具体的には、筒状コネクターとして、プラスチック製のT字コネクター(トップ社製三方活栓)を使用し、この筒状コネクターの分岐部と圧力トランスデューサー(エドワーズライフサイエンス社製圧力モニタリング用チューブセットより転用)とを接続した。そして、この筒状コネクターの接続口に気管チューブのコネクターを酸素チューブで接続し、気流供給口に酸素流量計を接続した。
対象となる患者は、ASA PS1-2の成人予定手術患者103名とし、通常通りの全身麻酔を導入し、酸素を6L/minで供給しながら気管チューブを咽頭から気管方向へ挿入し、圧力トランスデューサーによって筒状コネクター(気管チューブ)の内圧(Ptube)の変化を確認しながら、挿管結果と照合した。
結果を図13に示す。
図13に示したように、挿管操作中の内圧(Ptube)の最大値が9mmHg未満である場合(2〜8mmHg)は気管チューブは気管挿管され(96名)、挿管操作中の内圧(Ptube)の最大値が9mmHg以上である場合(10mmHg)には、食道挿管であった(7名)ことが確認された。
したがって、例えば、筒状コネクター(気管チューブ)の内圧(Ptube)の数値として、9mmHgを設定値として設定することで、筒状コネクター(気管チューブ)の内圧(Ptube)が設定値未満の場合は気管挿管であり、設定値以上の場合は食道挿管であることが、100%に近い精度で検知可能であることが確認された。
さらに、圧力トランスデューサーによる検知によれば、従来の聴診とカプノメトリーを利用した方法よりも42.6±21.9秒(平均±標準偏差)早く、食道挿管を検知できることが確認された。
1 医療用補助器具
2 筒状コネクター
2a 接続口
2b 気流供給口
3 ホイッスル部
4 分岐部
D 圧力トランスデューサー
N ニードル
W 気流供給路

Claims (6)

  1. 患者の換気のための気管導入部材が正しく気管内に導入されているか否かを検知する医療用補助器具であって、
    気管導入部材は、ニードルを備えた輪状甲状膜穿刺器具であり、
    一端に輪状甲状膜穿刺器具と接続する接続口、他端に気流供給手段と接続する気流供給口を有する筒状コネクターと、
    気流検知手段と、
    を備え、
    筒状コネクターは、内部の気流供給路から分岐した分岐部を有するとともに、気流検知手段は、この分岐部に配設されたホイッスル部であり、
    気流供給手段から気流供給口を通じて気流を供給しながら、ホイッスル部が消音状態の筒状コネクターと接続する輪状甲状膜穿刺器具のニードルを頸部前面から輪状甲状膜を通じて気管内に向かって穿刺する際において、ニードルの先端が頸部付近の軟部組織により閉鎖された状態である場合に、供給された気流が分岐部へと流れ込むことでホイッスル部による音が発生し、ニードルの先端が気管内に到達して開放されている場合にホイッスル部による音が消失することで、ニードルが正しく気管内に導入されているか否かを検知可能であることを特徴とする医療用補助器具。
  2. 患者の換気のための気管導入部材が正しく気管内に導入されているか否かを検知する医療用補助器具であって、
    一端に気管導入部材と接続する接続口、他端に気流供給手段と接続する気流供給口を有する筒状コネクターと、
    気流検知手段と
    を備え、
    気流検知手段は、筒状コネクターと接続し、筒状コネクター内部の圧力を測定可能な圧力トランスデューサーであり、
    気管への気管導入部材の導入に伴って、気管導入部材の先端が正しく気管内に導入されて開放されている場合に測定される筒状コネクター内部の圧力と、気管導入部材が気管内に導入されずその先端が閉鎖されている場合に測定される筒状コネクター内部の圧力との違いに基づいて、気管導入部材が正しく気管内に導入されているか否かを検知可能であることを特徴とする医療用補助器具。
  3. 気管導入部材が気管内に導入されずその先端が閉鎖されている場合に、圧力トランスデューサーによって測定される筒状コネクター内部の圧力が、予め設定された設定値以上となるように設計されていることを特徴とする請求項2の医療用補助器具。
  4. 圧力の設定値が、9mmHgであることを特徴とする請求項の医療用補助器具。
  5. 気管導入部材が気管チューブであり、気管チューブを気管内に導入する際において、食道挿管である場合に、筒状コネクター内部の圧力が設定値以上となるように設計されていることを特徴とする請求項の医療用補助器具。
  6. 気管導入部材が、ニードルを備えた輪状甲状膜穿刺器具であって、頸部前面から輪状甲状膜を通じて気管内に向かってニードルを穿刺する際において、
    ニードルの先端が頸部付近の軟部組織により閉鎖された状態である場合に、圧力トランスデューサーによって測定される筒状コネクター内部の圧力が設定値以上となるように設計されていることを特徴とする請求項の医療用補助器具。
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