JP6243846B2 - ニーマン・ピック病の診断のための方法 - Google Patents

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Description

本発明は、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法、対象におけるニーマン・ピック病、ニーマン・ピック病A型およびB型、またはニーマン・ピック病C型を診断するための方法、対象におけるニーマン・ピック病の経過を決定するための方法、ニーマン・ピック病を治療するための化合物の有効性を決定する方法、バイオマーカーを検出するための質量分析の使用、ニーマン・ピック病の診断のためのバイオマーカーの使用、ニーマン・ピック病を診断する方法における使用のための対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベル 対 対象に由来する試料中に存在する少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比の使用、ならびに対象に由来する試料中のバイオマーカーの存在を決定するためのキットに関する。
リソソーム蓄積症は本明細書においてリソソーム貯蔵障害またはLSDとも呼ばれ、リソソーム機能の欠陥に起因する稀な遺伝性代謝障害の一群である。身体細胞内の特定の細胞小器官-リソソームが機能不全になった時にLSDが生じる。よく知られているリソソーム蓄積症のいくつかがゴーシェ病およびファブリー病である。
LSDは、通常、脂質、糖タンパク質、またはいわゆるムコ多糖の代謝に必要な1種類の酵素が欠損した結果であるリソソーム機能不全によって引き起こされる。個人個人としてLSDは約1:10,000〜1:250,000の頻度で発生するが、集団としての発生率は約1:5,000である。これらの障害のほとんどは常染色体劣性遺伝性である。しかしながら、ファブリー病およびハンター症候群(MPSII)などの少数の障害はX連鎖遺伝性である。
他の遺伝病と同様に、典型的にリソソーム蓄積症は親から遺伝する。それぞれの障害は、酵素活性の欠損に変わる異なる遺伝子変異に起因するが、これらは全て、ほぼ全てのリソソーム障害がリソソーム内への物質の異常蓄積から生じるという共通の生化学的特徴を共有する。
リソソーム蓄積症は主に小児がかかり、多くの場合、若くかつ予測できない年齢で死亡し、多くが生後数ヶ月または数年以内に死亡する。他の多くの小児は、特定の障害の様々な症状に数年間罹患した後に、この疾患で死亡する。
リソソーム蓄積症の症状は特定の障害ならびに発症年齢のような他の変数に応じて変化し、軽度から重度になる場合がある。リソソーム蓄積症の症状には、発育遅延、運動障害、発作、認知症、聴覚消失、および/または失明が含まれ得る。リソソーム蓄積症を有する人の中には、肝臓肥大(肝腫大)および脾臓肥大(巨脾腫)、肺問題および心臓問題、ならびに異常に発達した骨をもつ人もいる。
リソソーム蓄積症の原因となる治療法はなく、治療は主として対症的であるが、一部の適応症には骨髄移植および酵素補充療法(ERT)が用いられ、十分な成功を収めている。さらに、臍帯血移植がこれらの多くの疾患の専門センターにおいて行われている。さらに、これらの疾患の一部について、蓄積材料の蓄積を減少させるのに用いられる方法である基質抑制療法(SRT)が現在評価されている。さらに、これらの障害のうちいくつかについては、患者によって産生される欠損酵素を安定化するのに用いられる技法であるシャペロン療法が調べられている。遺伝子療法が、これらの疾患のさらなる治療選択肢を構成する。
ニーマン・ピック病は、有害量の脂肪物質、すなわち脂質が脾臓、肝臓、肺、骨髄、および脳に蓄積する、スフィンゴリピドーシスまたは脂質貯蔵障害と呼ばれるLSDサブグループの一疾患である。
ニーマン・ピック病は常染色体劣性パターンで遺伝する。これは、この障害に罹患している人の遺伝子は両コピーとも、すなわち両対立遺伝子とも変異していなければならない(ヌクレオチド配列が変化しているが、機能破壊を引き起こさない多型とは対照的に、機能が損なわれるように変化していなければならない)ことを意味する。ほとんどの場合、常染色体劣性障害をもつ子供の親は罹患していないが、変化した遺伝子を1コピーもつ保因者である。
1961年に、以下の分類が提唱された:
ニーマン・ピック病A型:古典的幼児発症型;
ニーマン・ピック病B型:内臓型;
ニーマン・ピック病C型:亜急性/青少年型;および
ニーマン・ピック病D型:Nova Scotia型。
現在では遺伝的特徴がさらに深く理解されているので、この状態は以下の通りに分類することができる:
ニーマン・ピック病SMPD1関連。A型およびB型を含む;
ニーマン・ピック病C型。C1型およびC2型を含む;ならびに
ニーマン・ピック病D型。C1型と同じ遺伝子によって引き起こされる。
SMPD1遺伝子の変異はニーマン・ピック病A型およびB型の原因となり、NPC1およびNPC2の変異はニーマン・ピック病C型の原因となる。本明細書においてニーマン・ピック病C型は好ましくはNPCと呼ばれる。
D型は、もともとは、共通のNova Scotia先祖がいることを除けば同一の障害をもつ患者群を説明するためにC型と分けられた。この群の患者は、現在、ある特定のNPC1遺伝子変異を共有することが知られている。NPCは、現在、両群を受け入れるように用いられている。
古典的幼児発症型A型変種では、ミスセンス変異がスフィンゴミエリナーゼ完全欠損の原因となる。スフィンゴミエリンは、細胞小器官膜を含む細胞膜の成分であり、そのため、酵素欠損があると脂質分解が遮断され、その結果、マクロファージ-単球食細胞系列のリソソーム内にスフィンゴミエリンが蓄積する。異常のある細胞は、スフィンゴミエリンおよびコレステロールによるリソソームの膨張に付随して時として直径が90μmまで拡大する。組織学により、骨髄内に脂質を多く含むマクロファージならびに病理学に関しては「シーブルー組織球」が証明されている。サイズが比較的均一な非常に多くの小さな小胞が生じ、これは泡状の外観を細胞質に付与する。
ニーマン・ピックC型は、NPC1遺伝子およびNPC2遺伝子の変異に関連したリソソーム蓄積症である。ニーマン・ピックC型の推定罹患率は150,000人に1人である。症例の約50%は10歳前に存在するが、症状は60歳代と遅い段階で初めて認められることもある。
現在に至るまで、ニーマン・ピック病C型は、培養線維芽細胞をコレステロールエステル化についてアッセイし、非エステル化コレステロールをフィリピンで染色することでしか確定診断することができない。ニーマン・ピック病C型と疑われる患者から採取した小さな皮膚生検材料から線維芽細胞を増殖させ、遺伝子を確認する。非常に多くの異なる変異が特定のリソソーム蓄積症の原因となり得るので、ニーマン・ピック病C型では、診断を確定するためにNPC1遺伝子またはNPC2遺伝子の配列決定が適用される。
関連する生化学的異常に基づく診断方法を適用しようとする試みがあるが、初期段階で前記リソソーム蓄積症を高特異度および高感度で検出し、疾患の進行をモニタリングし、適用された療法の効力を早期モニタリングする簡単な生化学検査の必要性は未だ対処されていない。
したがって、ニーマン・ピック病、ニーマン・ピック病A型/B型、および/またはニーマン・ピック病C型を早期検出および診断するためのバイオマーカーを特定することによって、患者の臨床アウトカムの改善が大いに期待できる。療法に応答しない患者を検出することは、症状がはっきりしない、または症状が無い患者にとって特に重要である。
バイオマーカーは、多くの人が技術的に実施することができ、測定しやすく;患者と対照との間で、または治療と未治療との間で首尾一貫した、相対的な大きさで有用であり;信頼性が高く、かつ臨床的に正確であり、強力に予測するものとして、または強力に予後を示すものとして分類することができなければならない。
現在、ニーマン・ピック病を診断するための、より具体的には、ニーマン・ピック病A型およびB型ならびにニーマン・ピック病C型を鑑別診断するためのバイオマーカーは利用可能ではない。
別のLSDであるゴーシェ病において、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ、ヘキソサミニダーゼ、およびヒトキチナーゼであるキトトリオシダーゼを含む、間接バイオマーカーとして用いられる、いくつかのリソソーム酵素の上昇が見出された。したがって、キトトリオシダーゼおよびCCL18のような、ゴーシェ細胞のこのような代用マーカーを測定することによって、組織内の貯蔵細胞の低減をモニタリングすることが試みられている(C.E. Hollak et al. Marked elevation of plasma chitotriosidase activity. A novel hallmark of Gaucher disease, J. Clin. Invest. 93 (1994) 1288-1292(非特許文献1); R.G. Boot et al. Marked elevation of the chemokine CCL18/PARC in Gaucher disease: a novel surrogate marker for assessing therapeutic intervention, Blood 103 (2004) 33-39(非特許文献2))。しかしながら、ゴーシェ病バイオマーカーとしてのキトトリオシダーゼの使用における他の欠点に加えて、この酵素は、ゴーシェ病病態との直接的なつながりと関係なく蓄積する。さらに、特定の民族のうち35%までが、人為的に低下したキトトリオシダーゼ活性または測定不可能なキトトリオシダーゼ活性の原因となるキトトリオシダーゼコード遺伝子欠陥を示す。
バイオマーカーとしての主要な蓄積分子の使用は、ゴーシェ病患者の血漿中のグルコシルセラミド(Gb1)について評価され、健常個体におけるGb1レベルと比較された(Groener et al. Biochim Biophys Acta. 2008 Jan-Feb;1781(1-2):72-8. Epub 2007 Dec 5.; Plasma glucosylceramide and ceramide in type 1 Gausher disease patients: correlations with disease severity and response to therapeutic intervention.; Groener JE et al.(非特許文献3))。それにもかかわらず、前記研究において測定されたGb1は前記患者の血漿中で増加したが、前記Gb1増加は顕著ではなく、したがって、前記方法の特異度および感度は低い。このことは、Gb1がゴーシェ病のバイオマーカーとして適用できないことを示している。
既に1989年には、Rosengrenら(Lysosulfatide (galactosylsphingosine-3-O-sulfate) from metachromatic leukodystrophy and normal human brain, Rosengren B, Fredman P, Mansson JE, Svennerholm L.; J Neurochem. 1989 Apr;52(4):1035-41(非特許文献4))は、リピドーシスでは主要なスフィンゴ脂質の異化だけでなく、そのリゾ化合物(lyso-compound)の異化も影響を受けることを示した。だが、この研究は、スフィンゴリピドーシスにおける発病機構においてリゾ化合物が重要な役割を果たさないと結論づけた。したがって、リゾ化合物は、ゴーシェ病などのスフィンゴリピドーシスの診断に適したバイオマーカーでない可能性がある。
不十分な検出限界、感度、および/または特異度を示し、したがって、臨床用途に適さないことが分かっており、ニーマン・ピック病A型およびB型ならびにニーマン・ピック病C型などの異なるタイプのニーマン・ピック病を鑑別診断できない前記の方法の他に、現在まで、高特異度および高感度のバイオマーカーが用いられておらず、ニーマン・ピック病を診断するための方法、特に、ニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者を鑑別診断するための方法が利用できなかったことに気付くことは重要である。
したがって、迅速、簡単で、かつより重要なことに信頼性の高いニーマン・ピック病を診断するための方法、特に、ニーマン・ピック病A型およびB型ならびにニーマン・ピック病C型ならびにニーマン・ピック病C型保因者を鑑別診断するための方法が必要とされる。
C.E. Hollak et al. Marked elevation of plasma chitotriosidase activity. A novel hallmark of Gaucher disease, J. Clin. Invest. 93 (1994) 1288-1292 R.G. Boot et al. Marked elevation of the chemokine CCL18/PARC in Gaucher disease: a novel surrogate marker for assessing therapeutic intervention, Blood 103 (2004) 33-39 Groener et al. Biochim Biophys Acta. 2008 Jan-Feb;1781(1-2):72-8. Epub 2007 Dec 5.; Plasma glucosylceramide and ceramide in type 1 Gausher disease patients: correlations with disease severity and response to therapeutic intervention.; Groener JE et al. Lysosulfatide (galactosylsphingosine-3-O-sulfate) from metachromatic leukodystrophy and normal human brain, Rosengren B, Fredman P, Mansson JE, Svennerholm L.; J Neurochem. 1989 Apr;52(4):1035-41
前記を考慮すると、本発明の基礎をなす問題は、ニーマン・ピック病を診断するための方法、特に、ニーマン・ピック病A型およびB型ならびにニーマン・ピック病C型ならびにニーマン・ピック病C型保因者の診断を提供することである。
本発明の基礎をなすさらなる問題は、ニーマン・ピック病A型およびB型からなる第1のニーマン・ピック病群、ニーマン・ピック病C型からなる第2のニーマン・ピック病群、ならびにニーマン・ピック病C型保因者からなる第3のニーマン・ピック病群を鑑別診断するための方法を提供することである。
本発明の基礎をなすなおさらなる問題は、対象が、ニーマン・ピック病C型、ニーマン・ピック病A型およびB型に罹患しているかどうか、ならびに/もしくはニーマン・ピック病C型保因者であるかどうか、または対象がニーマン・ピック病C型、ニーマン・ピック病A型およびB型を罹患するリスクがあるかどうか、ならびに/もしくはニーマン・ピック病C型保因者であるリスクがあるかどうかを決定することを可能にする方法を提供することである。
本発明の基礎をなす基礎をなすさらなる問題は、ニーマン・ピック病の経過および予後、特に、ニーマン・ピック病A型およびB型ならびにニーマン・ピック病C型ならびにニーマン・ピック病C型保因者の診断を決定するための方法を提供することである。
本発明の基礎をなすなおさらなる問題は、ニーマン・ピック病、特に、ニーマン・ピック病A型およびB型もしくはニーマン・ピック病C型に罹患しているかについてならびにニーマン・ピック病C型保因者であるかについて、またはニーマン・ピック病、特に、ニーマン・ピック病A型およびB型もしくはニーマン・ピック病C型を発症するリスクについてならびにニーマン・ピック病C型保因者であるリスクについての試験結果が陽性であった対象に適用された少なくとも1つの治療の有効性を素早く決定するための方法を提供することである。
本発明の基礎をなすさらなる問題は、ニーマン・ピック病、特に、ニーマン・ピック病A型およびB型ならびに/またはニーマン・ピック病C型ならびにニーマン・ピック病C型保因者を治療するための化合物の有効性を決定するための方法を提供することである。
本発明の基礎をなす別の問題は、ニーマン・ピック病の特異的な、かつ感度の高い診断、特に、ニーマン・ピック病A型およびB型ならびにニーマン・ピック病C型ならびにニーマン・ピック病C型保因者の特異的な、かつ感度の高い診断を可能にするバイオマーカーを提供することである。
本発明の基礎をなすなおさらなる問題は、ニーマン・ピック病、特に、ニーマン・ピック病A型およびB型ならびに/またはニーマン・ピック病C型ならびにニーマン・ピック病C型保因者に特異的な、かつ感度の高いバイオマーカーと相互作用する化合物を含むキットである。
これらの問題および他の問題は添付の独立請求項の主題によって解決される。好ましい態様は添付の従属請求項から選ばれてもよい。
これらの請求項は態様として以下に記載される。さらなる態様は、請求項の記載である態様に限定されない場合、本明細書の開示から生じてもよいことが認められる。
態様1.対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程を含む工程(a)
を含む、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法。
態様2.前記試料中に存在する前記バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
を含む、態様1に記載の方法。
態様3.前記バイオマーカーのレベルが、前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかを示す、態様1または2に記載の方法。
態様4.前記対象に由来する前記試料が、以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことのある対象に由来する試料または以前にニーマン・ピック病との診断を受けたことのある対象に由来する試料である、態様1〜3のいずれか1つに記載の方法。
態様5.前記対象に由来する前記試料が、以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことのない対象に由来する試料または以前にニーマン・ピック病との診断を受けたことのない対象に由来する試料である、態様1〜3のいずれか1つに記載の方法。
態様6.前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかに基づいて療法を適用する、維持する、低減させる、増大させる、または適用しない工程を含む工程(c)
を含む、態様1〜5のいずれか1つに記載の方法。
態様7.工程(c)において療法が適用された、維持された、低減された、増大された、または適用されなかった後の前記対象に由来する試料において、前記バイオマーカーを検出する工程を含む工程(d)
を含む、態様1〜6のいずれか1つに記載の方法。
態様8.工程(c)において療法が適用された、維持された、低減された、増大された、または適用されなかった後の前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(e)
を含む、態様1〜7のいずれか1つに記載の方法。
態様9.工程(b)において決定された前記バイオマーカーのレベルが工程(e)において決定された前記バイオマーカーのレベルより低いかどうかを決定する工程を含む工程(f)
を含む、態様8に記載の方法。
態様10.工程(f)に基づいて療法を適用する、維持する、低減させる、増大させる、または適用しない工程を含む工程(g)
を含む、態様9に記載の方法。
態様11.前記バイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、態様1〜10のいずれか1つに記載の方法。
態様12.前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、態様1〜11のいずれか1つに記載の方法。
態様13.前記バイオマーカーが化合物509である、態様1〜11のいずれか1つに記載の方法。
態様14.前記対象に由来する前記試料においてまたは前記対象に由来する試料において少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーを検出する工程を含む、態様1〜13のいずれか1つに記載の方法。
態様15.前記対象に由来する前記試料中のまたは前記対象に由来する試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む、態様14に記載の方法。
態様16.前記バイオマーカーと異なる前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、態様14〜15のいずれか1つに記載の方法。
態様17.前記バイオマーカーが化合物509であり、かつ前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、態様14〜16のいずれか1つに記載の方法。
態様18.前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、かつ前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが化合物509である、態様14〜16のいずれか1つに記載の方法。
態様19.前記試料中のまたは試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509のレベルを決定する工程を含む、態様1〜18のいずれか1つに記載の方法。
態様20.前記試料中のまたは試料中の前記バイオマーカーのレベル 対 前記試料中のまたは試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を決定する工程を含む工程(h)
を含む、態様14〜19のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様17〜19のいずれか1つに記載の方法。
態様21.前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比、好ましくは、工程(h)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比が、前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかを示す、態様20に記載の方法。
態様22.前記試料においてまたは試料において遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を検出する工程を含む、態様1〜21のいずれか1つに記載の方法。
態様23.前記バイオマーカーおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが、イムノアッセイ、質量分析、バイオチップアレイ、機能性核酸、ならびに/または前記バイオマーカーの蛍光誘導体および/もしくは前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーの蛍光誘導体によって検出される、態様1〜22のいずれか1つに記載の方法。
態様24.前記バイオマーカーが質量分析によって検出される、態様23に記載の方法。
態様25.質量分析が、SELDI、MALDI、MALDI-Q TOF、MS/MS、TOF-TOF、およびESI-O-TOFを含む群より選択される、態様24に記載の方法。
態様26.質量分析がMS/MSを含むか、またはMS/MSを使用する、態様25に記載の方法。
態様27.タンパク質沈殿および/またはHPLCを含む、態様1〜26のいずれか1つに記載の方法。
態様28.タンパク質沈殿、HPLC、およびMS/MSを含む、態様1〜27のいずれか1つに記載の方法。
態様29.前記対象がヒトである、態様1〜28のいずれか1つに記載の方法。
態様30.ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者を含む群より選択される、態様1〜29のいずれか1つに記載の方法。
態様31.試料において前記バイオマーカーを検出する工程を含む工程(d)が、該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程と、該試料からタンパク質を沈殿させる工程と、該試料の上清を得る工程と、該試料の上清をHPLCおよびMS/MSに供する工程と、該試料の上清中に存在する前記バイオマーカーのレベルおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程とを含む、態様1〜30のいずれか1つに記載の方法。
態様32.(i)対象に由来する試料に内部標準を添加する工程であって、該対象に由来する該試料が、血漿、血清、および血液を含む群より選択される、工程;
(ii)任意で、内部標準を含有する該試料を混合する工程;
(iii)該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程であって、それによって該試料からタンパク質が沈殿して、該試料の第1の上清が得られる、工程;
(iv)任意で、該試料の第1の上清または少なくともその一部を第1の分離工程に供する工程であって、それによって第2の上清が得られ、好ましくは、第1の分離工程が遠心分離工程である、工程;
(v)第1の上清および/もしくは第2の上清または少なくともその一部を第2の分離工程に供する工程であって、第2の分離工程が、第1の上清の少なくとも一部および/または第2の上清の少なくとも一部をHPLC-MS/MSシステムに注入することと、酸性水からアセトニトリル/アセトンへの勾配を有するHPLCカラムを使用することとを含み、HPLCカラムが、好ましくは、C8 HPLCカラムおよびC18 HPLCカラムを含む群より選択されるHPLCカラムであり、かつ第2の分離工程によって、分離された試料が得られる、工程;
(vi)該分離された試料をMS/MSに供する工程であって、MS/MSがエレクトロスプレーイオン化および多重反応モニタリングを含む、工程
を含み、かつ
該対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程を含む工程(a)
を含み、かつ任意で、
該試料中に存在する該バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
を含む、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法であって、
該バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、方法、好ましくは、態様1〜31のいずれか1つに記載の方法。
態様33.(i)対象に由来する試料に内部標準を添加する工程であって、該対象に由来する該試料が、血漿、血清、および血液を含む群より選択される、工程;
(ii)任意で、内部標準を含有する該試料を混合する工程;
(iii)該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程であって、それによって該試料からタンパク質が沈殿して、該試料の第1の上清が得られる、工程;
(iv)任意で、該試料の第1の上清または少なくともその一部を第1の分離工程に供する工程であって、それによって第2の上清が得られ、好ましくは、第1の分離工程が遠心分離工程である、工程;
(v)第1の上清および/もしくは第2の上清または少なくともその一部を第2の分離工程に供する工程であって、第2の分離工程が、第1の上清の少なくとも一部および/または第2の上清の少なくとも一部をHPLC-MS/MSシステムに注入することと、酸性水からアセトニトリル/アセトンへの勾配を有するHPLCカラムを使用することとを含み、HPLCカラムが、好ましくは、C8 HPLCカラムおよびC18 HPLCカラムを含む群より選択されるHPLCカラムであり、かつ第2の分離工程によって、分離された試料が得られる、工程;
(vi)該分離された試料をMS/MSに供する工程であって、MS/MSがエレクトロスプレーイオン化および多重反応モニタリングを含む、工程
を含み、かつ
該対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程を含む工程(a)
を含み、かつ任意で、
該試料中に存在する該バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
を含む、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法であって、
該バイオマーカーが化合物509である、方法、好ましくは、態様1〜31のいずれか1つに記載の方法。
態様34.(i)対象に由来する試料に内部標準を添加する工程であって、該対象に由来する該試料が、血漿、血清、および血液を含む群より選択される、工程;
(ii)任意で、内部標準を含有する該試料を混合する工程;
(iii)該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程であって、それによって該試料からタンパク質が沈殿して、該試料の第1の上清が得られる、工程;
(iv)任意で、該試料の第1の上清または少なくともその一部を第1の分離工程に供する工程であって、それによって第2の上清が得られ、好ましくは、第1の分離工程が遠心分離工程である、工程;
(v)第1の上清および/もしくは第2の上清または少なくともその一部を第2の分離工程に供する工程であって、第2の分離工程が、第1の上清の少なくとも一部および/または第2の上清の少なくとも一部をHPLC-MS/MSシステムに注入することと、酸性水からアセトニトリル/アセトンへの勾配を有するHPLCカラムを使用することとを含み、HPLCカラムが、好ましくは、C8 HPLCカラムおよびC18 HPLCカラムを含む群より選択されるHPLCカラムであり、かつ第2の分離工程によって、分離された試料が得られる、工程;
(vi)該分離された試料をMS/MSに供する工程であって、MS/MSがエレクトロスプレーイオン化および多重反応モニタリングを含む、工程
を含み、かつ
該対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程と、該対象に由来する試料において少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーを検出する工程とを含む、工程(a)
を含み、かつ任意で、
該試料中に存在する該バイオマーカーのレベルおよび該試料中に存在する該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
を含む、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法であって、
該バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが化合物509である、方法、好ましくは、態様1〜31のいずれか1つに記載の方法。
態様35.工程(b)において決定された化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比を決定する工程を含む工程(c)
を含む、態様34に記載の方法。
態様36.化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が、前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかを示す、態様35に記載の方法。
態様37.(i)対象に由来する試料に内部標準を添加する工程であって、該対象に由来する該試料が、血漿、血清、および血液を含む群より選択される、工程;
(ii)任意で、内部標準を含有する該試料を混合する工程;
(iii)該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程であって、それによって該試料からタンパク質が沈殿して、該試料の第1の上清が得られる、工程;
(iv)任意で、該試料の第1の上清または少なくともその一部を第1の分離工程に供する工程であって、それによって第2の上清が得られ、好ましくは、第1の分離工程が遠心分離工程である、工程;
(v)第1の上清および/もしくは第2の上清または少なくともその一部を第2の分離工程に供する工程であって、第2の分離工程が、第1の上清の少なくとも一部および/または第2の上清の少なくとも一部をHPLC-MS/MSシステムに注入することと、酸性水からアセトニトリル/アセトンへの勾配を有するHPLCカラムを使用することとを含み、HPLCカラムが、好ましくは、C8 HPLCカラムおよびC18 HPLCカラムを含む群より選択されるHPLCカラムであり、かつ第2の分離工程によって、分離された試料が得られる、工程;
(vi)該分離された試料をMS/MSに供する工程であって、MS/MSがエレクトロスプレーイオン化および多重反応モニタリングを含む、工程
を含み、かつ
該対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程と、該対象に由来する試料において少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーを検出する工程とを含む、工程(a); ならびに
該試料中に存在する該バイオマーカーのレベルおよび該試料中に存在する該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b); ならびに
工程(b)において決定された該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 該バイオマーカーのレベルの比を決定する工程を含む工程(c)
を含む、対象におけるニーマン・ピック病、ニーマン・ピック病A型およびB型、またはニーマン・ピック病C型を診断するための方法であって、
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより低いか、または0.031ng/mlと同じである場合、これは、該対象がニーマン・ピック病に罹患していないことを示し、
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより高い場合、これは、該対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより高く、かつ1.7ng/mlより低いか、または1.7ng/mlと同じである場合、これは、該対象がニーマン・ピック病C型保因者であることを示し、
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高い場合、これは、該対象が、ニーマン・ピック病A型またはB型およびニーマン・ピック病C型からなる群より選択されるニーマン・ピック病に罹患していることを示し、かつ
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高く、かつ該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記バイオマーカーのレベルの比が0.045より大きい場合、これは、該対象がニーマン・ピック病A型およびB型に罹患していることを示し、かつ
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高く、かつ該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記バイオマーカーのレベルの比が0.045より小さいか、または0.045と同じである場合、これは、該対象がニーマン・ピック病C型に罹患していることを示し、かつ
前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが化合物509である、方法、好ましくは、態様1〜31のいずれか1つに記載の方法。
態様38.内部標準がD5-プロピオン酸フルチカゾンおよび/またはリゾGb2を含む、態様31〜37のいずれか1つに記載の方法。
態様39.工程(b)、工程(c)、および/または工程(e)が、前記試料中の前記バイオマーカーのレベルを、および/または前記試料中の前記少なくとも1種類のバイオマーカーのレベルを、および/または前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を、カットオフ値と比較する工程を含む、態様1〜38のいずれか1つに記載の方法。
態様40.前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルがカットオフ値より高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患している、または対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあることを示す、態様1〜39のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様39に記載の方法。
態様41.前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベル 対 前記対象に由来する前記試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比がカットオフ値より高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患している、またはニーマン・ピック病に罹患するリスクがあることを示す、態様1〜39のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様39に記載の方法。
態様42.前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルがカットオフ値より低い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していない、またはニーマン・ピック病に罹患するリスクがないことを示す、態様1〜39のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様39に記載の方法。
態様43.前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比がカットオフ値より低い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していない、またはニーマン・ピック病に罹患するリスクがないことを示す、態様1〜39のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様39に記載の方法。
態様44.対象におけるニーマン・ピック病を診断するための感度が、好ましくは約98.5%〜100%、より好ましくは99.5%〜100%になるように、および/または対象におけるニーマン・ピック病C型を診断するための特異度が99.4%〜100%、好ましくは100%になるように、カットオフ値が選択される、態様1〜43のいずれか1つに記載の方法。
態様45.工程(b)および/または工程(c)および/または工程(e)が以下を含む、態様1〜44のいずれか1つに記載の方法:
前記対象における前記バイオマーカーのレベルおよび/もしくは前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが、対照試料に由来する試料において検出された前記バイオマーカーのレベルおよび/もしくは前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルと比較されること、ならびに/または
前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記バイオマーカーのレベルの比が、対照に由来する試料において検出された前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記バイオマーカーのレベルの比と比較されること。
態様46.前記対照試料が、ニーマン・ピック病を有しない対象に由来する試料である、態様45に記載の方法。
態様47.前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが前記対照試料中の前記バイオマーカーのレベルより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患している、および/またはニーマン・ピック病に罹患するリスクがあることを示す、態様45〜46のいずれか1つに記載の方法。
態様48.前記対象に由来する前記試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルの比が、前記対照試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記対照試料中の前記バイオマーカーのレベルの比より大きい場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患している、および/またはニーマン・ピック病に罹患するリスクがあることを示す、態様1〜46のいずれか1つに記載の方法。
態様49.ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピックA型またはB型、ニーマン・ピックC型、およびニーマン・ピックC型保因者を含む群より選択される、態様1〜48のいずれか1つに記載の方法。
態様50.ニーマン・ピック病C型が、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、およびニーマン・ピック病D型を含む群より選択される、態様49に記載の方法。
態様51.前記対象に由来する前記試料が、血液、血液製剤、尿、唾液、脳脊髄液、糞便、組織試料、およびリンパ液を含む群より選択される、態様1〜50のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様50に記載の方法。
態様52.前記対象に由来する前記試料に由来する前記試料が、血液および血液製剤を含む群より選択される、態様51に記載の方法。
態様53.血液製剤が、血清および血漿を含む群より選択される、態様51〜52のいずれか1つに記載の方法。
態様54.遊離リゾスフィンゴミエリンの検出限界が0.04ng/mlである、態様1〜53のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様53に記載の方法。
態様55.ニーマン・ピック病C型保因者の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、かつカットオフ値が6.5ng/mlであり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清または血漿である、態様1〜54のいずれか1つに記載の方法。
態様56.ニーマン・ピック病C型の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、かつカットオフ値が9.23ng/mlであり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清または血漿である、態様1〜54のいずれか1つに記載の方法。
態様57.ニーマン・ピック病A型またはB型の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、かつカットオフ値が59ng/mlであり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清または血漿である、態様1〜54のいずれか1つに記載の方法。
態様58.ニーマン・ピック病C型保因者の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが化合物509であり、かつカットオフ値が0.031ng/mlであり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清もしくは血漿である、態様1〜54のいずれか1つに記載の方法。
態様59.ニーマン・ピック病C型の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが化合物509であり、かつカットオフ値が1.7ng/mlであり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清もしくは血漿である、態様1〜54のいずれか1つに記載の方法。
態様60.ニーマン・ピック病A型またはB型の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが化合物509であり、かつカットオフ値が5.0ng/mlであり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清または血漿である、態様1〜54のいずれか1つに記載の方法。
態様61.ニーマン・ピック病C型の診断のための方法であって、前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベル 対 前記対象に由来する前記試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンバイオマーカーのレベルの比がカットオフ値と比較され、かつカットオフ値が0.087であり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清もしくは血漿である、態様1〜54のいずれか1つに記載の方法。
態様62.ニーマン・ピック病A型またはB型の診断のための方法であって、前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベル 対 前記対象に由来する前記試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンバイオマーカーのレベルの比がカットオフ値と比較され、かつカットオフ値が0.045であり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清または血漿である、態様1〜54のいずれか1つに記載の方法。
態様63.血液が全血である、態様51〜52のいずれか1つに記載の方法。
態様64.全血が乾燥血液フィルターカード上に収集される、態様63に記載の方法。
態様65.対象におけるニーマン・ピック病の経過を決定するための方法であって、
いくつかの時点において、対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(a)
を含む方法。
態様66.前記バイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、態様65に記載の方法。
態様67.前記バイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509からなる群より選択される、態様65〜66のいずれか1つに記載の方法。
態様68.前記対象が以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことがある、および/または前記対象が以前にニーマン・ピック病との診断を受けたことがある、態様65〜67のいずれか1つに記載の方法。
態様69.前記対象が以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことがない、および/または前記対象が以前にニーマン・ピック病との診断を受けたことがない、態様68に記載の方法。
態様70.前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかに基づいて療法を適用する、維持する、低減させる、増大させる、または適用しない工程を含む工程(b)
を含む、態様65〜69のいずれか1つに記載の方法。
態様71.工程(b)において療法が適用された、維持された、低減された、増大された、または適用されなかった後の前記対象に由来する試料において、前記バイオマーカーを検出する工程を含む工程(c)
を含む、態様65〜70のいずれか1つに記載の方法。
態様72.工程(b)において療法が適用された、維持された、低減された、増大された、または適用されなかった後の前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(d)
を含む、態様65〜71のいずれか1つに記載の方法。
態様73.工程(a)において決定された前記バイオマーカーのレベルが、工程(d)において決定された前記バイオマーカーのレベルより低いかどうかを決定する工程を含む工程(e)
を含む、態様65〜71のいずれか1つに記載の方法。
態様74.工程(e)に基づいて療法を適用する、維持する、低減させる、増大させる、または適用しない工程を含む工程(f)
を含む、態様73に記載の方法。
態様75.前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、態様65〜74のいずれか1つに記載の方法。
態様76.前記バイオマーカーが化合物509である、態様65〜74のいずれか1つに記載の方法。
態様77.前記対象に由来する前記試料において少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーを検出する工程を含む、態様65〜76のいずれか1つに記載の方法。
態様78.前記対象に由来する前記試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む、態様77に記載の方法。
態様79.前記バイオマーカーと異なる前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、態様77〜79のいずれか1つに記載の方法。
態様80.前記バイオマーカーが化合物509であり、かつ前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、態様77〜79のいずれか1つに記載の方法。
態様81.遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび化合物509のレベルを決定する工程を含む、態様65〜80のいずれか1つに記載の方法。
態様82.前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベル 対 前記対象に由来する前記試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を決定する工程を含む工程(h)
を含む、態様77〜81、好ましくは、態様80〜81のいずれか1つに記載の方法。
態様83.工程(h)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比が、前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかを示す、態様82に記載の方法。
態様84.前記対象に由来する前記試料において遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を検出する工程を含む、態様65〜83のいずれか1つに記載の方法。
態様85.前記バイオマーカーおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーがイムノアッセイ、質量分析、バイオチップアレイ、機能性核酸、および/または遊離リゾスフィンゴミエリンの蛍光誘導体によって検出される、態様65〜84のいずれか1つに記載の方法。
態様86.前記バイオマーカーが質量分析によって検出される、態様85に記載の方法。
態様87.質量分析が、SELDI、MALDI、MALDI-Q TOF、MS/MS、TOF-TOF、およびESI-O-TOFからなる群より選択される、態様86に記載の方法。
態様88.質量分析がMS/MS MS/MSを含むか、またはMS/MS MS/MSを使用する、態様87に記載の方法。
態様89.タンパク質沈殿および/またはHPLCを含む、態様65〜88のいずれか1つに記載の方法。
態様90.タンパク質沈殿、HPLC、およびMS/MSを含む、態様65〜89のいずれか1つに記載の方法。
態様91.前記対象がヒトである、態様65〜90のいずれか1つに記載の方法。
態様92.ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者を含む群より選択される、態様65〜91のいずれか1つに記載の方法。
態様93.試料において前記バイオマーカーを検出する工程を含む工程(d)が、該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程と、該試料からタンパク質を沈殿させる工程と、該試料の上清を得る工程と、該試料の上清をHPLCおよびMS/MSに供する工程と、該試料の上清中に存在する前記バイオマーカーのレベルおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程とを含む、態様65〜92のいずれか1つに記載の方法。
態様94.ニーマン・ピック病C型が、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、およびニーマン・ピック病D型を含む群より選択される、態様65〜93のいずれか1つに記載の方法。
態様95.ニーマン・ピック病の罹患についてまたはニーマン・ピック病の罹患リスクについての試験結果が陽性であった対象に適用された少なくとも1つの治療の有効性を決定するための方法であって、
いくつかの時点において、対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルおよび/または少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを検出する工程を含む工程(a)
を含む方法。
態様96.いくつかの時点において、前記対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルおよび/または少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
を含む、態様95に記載の方法。
態様97.工程(b)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を決定する工程を含む工程(c)
を含む、態様96に記載の方法。
態様98.前記バイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、態様95または態様97のいずれか1つに記載の方法。
態様99.前記バイオマーカーと異なる前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、態様95〜98のいずれか1つに記載の方法。
態様100.前記バイオマーカーが化合物509であり、かつ前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、態様95〜99のいずれか1つに記載の方法。
態様101.前記対象が以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことがあるか、または以前にニーマン・ピック病との診断を受けたことがある、態様95〜100のいずれか1つに記載の方法。
態様102.前記対象が以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことがないか、または以前にニーマン・ピック病との診断を受けたことがない、態様95〜100のいずれか1つに記載の方法。
態様103.前記対象に適用された少なくとも1つの治療を、工程(b)において決定された前記バイオマーカーのレベルおよび/もしくは前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの減少ならびに/または工程(c)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比の減少に基づいて、適用する、維持する、低減させる、増大させる、または適用しない工程を含む工程(d)
を含む、態様95〜102のいずれか1つに記載の方法。
態様104.少なくとも1つの治療を工程(d)において適用した、維持した、低減させた、増大させた、または適用しなかった後の治療の開始前に採取された、前記対象に由来する前記試料において、前記バイオマーカーおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーを検出する工程、ならびに任意で、
前記対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルおよび/または少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程、ならびに任意で、
前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を決定する工程
を含む工程(e)
を含む、態様95〜102のいずれか1つに記載の方法。
態様105.治療が、酵素補充療法、基質抑制療法、シャペロン療法、遺伝子療法、DNA/RNAスキッピングの幹細胞移植を含む群より選択される、態様95〜104のいずれか1つに記載の方法。
態様106.工程(b)において決定された前記バイオマーカーのレベルが、工程(e)において決定された前記バイオマーカーのレベルより低いかどうかを決定する工程、および/または
工程(b)において決定された前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが、工程(e)において決定された前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルより低いかどうかを決定する工程、および/または
工程(c)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比が、工程(e)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比より小さいかどうかを決定する工程
を含む工程(f)
を含む、態様95〜105のいずれか1つに記載の方法。
態様107.対象に適用された少なくとも1つの治療を、工程(f)に基づいて適用する、維持する、低減させる、増大させる、または適用しない工程を含む工程(g)
を含む、態様106に記載の方法。
態様108.前記バイオマーカーおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーがイムノアッセイ、質量分析、バイオチップアレイ、機能性核酸、および/または前記バイオマーカーの蛍光誘導体によって検出される、態様95〜107のいずれか1つに記載の方法。
態様109.前記バイオマーカーおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが質量分析によって検出される、態様108に記載の方法。
態様110.質量分析が、SELDI、MALDI、MALDI-Q TOF、MS/MS、TOF-TOF、およびESI-O-TOFからなる群より選択される、態様109に記載の方法。
態様111.質量分析がMS/MSを含むか、またはMS/MSを使用する、態様110に記載の方法。
態様112.タンパク質沈殿および/またはHPLCを含む、態様95〜111のいずれか1つに記載の方法。
態様113.タンパク質沈殿、HPLC、およびMS/MSを含む、態様96〜112のいずれか1つに記載の方法。
態様114.前記対象がヒトである、態様95〜113のいずれか1つに記載の方法。
態様115.ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者を含む群より選択される、態様95〜114のいずれか1つに記載の方法。
態様116.前記対象に由来する前記試料において前記バイオマーカーを検出する工程が、
前記対象に由来する前記試料からタンパク質を沈殿させる工程であって、前記試料からタンパク質を沈殿させることによって前記試料の上清が得られる、工程と、
一定量の上清をHPLCおよびMS/MSに供する工程と、
前記対象に由来する前記試料中に存在する前記バイオマーカーのレベルおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程と
を含む、態様95〜115のいずれか1つに記載の方法。
態様117.ニーマン・ピック病C型が、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、およびニーマン・ピック病D型を含む群より選択される、態様115〜116のいずれか1つに記載の方法。
態様118.(a)ニーマン・ピック病を有する対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルを決定する工程;
(b)該対象に化合物を投与する工程;
(c)該化合物が該対象に投与された後の該対象に由来する試料中の該バイオマーカーのレベルを再び決定する工程; および
(d)工程(c)において決定された該バイオマーカーのレベルが、工程(a)において決定された該バイオマーカーのレベルより低いかどうかを決定する工程
を含む、ニーマン・ピック病を治療するための化合物の有効性を決定する方法であって、工程(c)において決定された該バイオマーカーのレベルが、工程(a)において決定された該バイオマーカーのレベルより低い場合、これは、該化合物の有効性を示す、方法。
態様119.工程(a)および(c)がそれぞれ、前記試料中に存在する少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程をさらに含み、かつ
工程(d)が、工程(c)において決定された前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが工程(a)において決定された前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルより低いかどうかを決定する工程をさらに含み、かつ
工程(a)において決定された前記少なくとも1種類のバイオマーカーのレベルよりも低い、工程(c)において決定された前記少なくとも1種類のバイオマーカーのレベルが、前記化合物の有効性を示す、態様118に記載の方法。
態様120.工程(a)が、前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を決定する工程をさらに含み、
工程(c)が、前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を決定する工程をさらに含み、かつ
工程(d)が、工程(c)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比が、工程(a)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比より小さいかどうかを決定する工程を含み、かつ
工程(a)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比よりも小さい、工程(c)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比が、前記化合物の有効性を示す、態様119に記載の方法。
態様121.前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーと異なる任意の/前記のバイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、態様118〜120のいずれか1つに記載の方法。
態様122.対照試料中の前記バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む、態様121に記載の方法。
態様123.ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピックA型および/またはB型、ニーマン・ピックC型、ならびにニーマン・ピックC型保因者を含む群より選択される、態様118〜121のいずれか1つに記載の方法。
態様124.ニーマン・ピック病C型が、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、およびニーマン・ピック病D型を含む群より選択される、態様123に記載の方法。
態様125.遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択されるバイオマーカーを検出するための質量分析の使用。
態様126.検出がHPLCの使用を含む、態様125に記載の使用。
態様127.質量分析がMS/MSを含むか、またはMS/MSを使用する、態様125〜126のいずれか1つに記載の使用。
態様128.ニーマン・ピック病の診断のための、好ましくは、態様1〜127のいずれか1つに記載の方法におけるニーマン・ピック病の診断のための、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択されるバイオマーカーの使用。
態様129.ニーマン・ピック病の診断のための、好ましくは、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法におけるニーマン・ピック病の診断のための、遊離リゾスフィンゴミエリンであるバイオマーカーの使用。
態様130.ニーマン・ピック病の診断のための、好ましくは、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法におけるニーマン・ピック病の診断のための、化合物509であるバイオマーカーの使用。
態様131.ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピックA型またはB型、ニーマン・ピックC型、およびニーマン・ピックC型保因者を含む群より選択される、態様125〜130のいずれか1つに記載の使用。
態様132.ニーマン・ピック病C型が、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、およびニーマン・ピック病D型を含む群より選択される、態様130に記載の使用。
態様133.ニーマン・ピック病を診断する方法における使用のための、好ましくは、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法における使用のための、前記対象に由来する試料中に存在する遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択されるバイオマーカーのレベル 対 前記対象に由来する試料中に存在する少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比の使用。
態様134.(a)バイオマーカーの相互作用パートナー;
(b)任意で、少なくとも1種類の捕捉用試薬を付着させた状態で含む固体支持体であって、該捕捉用試薬が該バイオマーカーに結合する、該固体支持体; および
(c)該バイオマーカーを検出するために該固体支持体を使用するための説明書
を含む、対象に由来する試料中のバイオマーカーの存在を決定するためのキットであって、該バイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、前記キット。
態様135.(a)ニーマン・ピック病を診断するための方法における使用;
(b)対象におけるニーマン・ピック病の経過を決定するための方法における使用; および/または
(c)対象に適用された少なくとも1つの治療の有効性を決定するための方法における使用
のためのキットであって、好ましくは、(a)、(b)、および/または(c)の方法が態様1〜124のいずれか1つに記載の方法である、態様132に記載のキット。
態様136.ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピックA型またはB型、ニーマン・ピックC型、およびニーマン・ピックC型保因者を含む群より選択される、態様134〜135のいずれか1つに記載のキット。
態様137.ニーマン・ピック病C型が、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、およびニーマン・ピック病D型を含む群より選択される、態様136に記載のキット。
態様138.前記バイオマーカーが化合物509であり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者からなる群より選択される、態様1〜124、好ましくは、態様1〜64のいずれか1つに記載の方法。
態様139.前記バイオマーカーが化合物509であり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより高く、かつ1.7ng/mlより低いか、または1.7ng/mlと同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病C型保因者からなる群より選択される、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様138に記載の方法。
態様140.前記バイオマーカーが化合物509であり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型ならびにニーマン・ピック病C型からなる群より選択される、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様138および態様139のいずれか1つに記載の方法。
態様141.前記バイオマーカーが化合物509であり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高く、かつ5.0ng/mlより低いか、または5.0ng/mlと同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病C型からなる群より選択される、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様138〜140のいずれか1つに記載の方法。
態様142.前記バイオマーカーが化合物509であり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが5.0ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型からなる群より選択される、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様138〜141のいずれか1つに記載の方法。
態様143.前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが6.5ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者からなる群より選択される、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様138〜142のいずれか1つに記載の方法。
態様144.前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが6.5ng/mlより高く、かつ9.23ng/mlより低いか、または9.23ng/mlと同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病C型保因者からなる群より選択される、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様138〜143のいずれか1つに記載の方法。
態様145.前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが9.23ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型ならびにニーマン・ピック病C型からなる群より選択される、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様138〜144のいずれか1つに記載の方法。
態様146.前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが9.23ng/mlより高く、かつ59ng/mlより低いか、または59ng/mlと同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病C型からなる群より選択される、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様138〜145のいずれか1つに記載の方法。
態様147.前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが59ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型からなる群より選択される、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様138〜146のいずれか1つに記載の方法。
態様148.前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が0.087より大きい場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病C型からなる群より選択される、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様138〜147のいずれか1つに記載の方法。
態様149.前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が0.045より大きい場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型ならびにニーマン・ピック病C型からなる群より選択される、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様138〜148のいずれか1つに記載の方法。
態様150.前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が0.045より大きく、かつ0.087より小さいか、または0.087と同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型からなる群より選択される、態様1〜124のいずれか1つに記載の方法、好ましくは、態様138〜149のいずれか1つに記載の方法。
本発明者らは驚いたことに、本明細書において好ましくは遊離リゾスフィンゴミエリンとも呼ばれる化合物465が、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法を可能にするバイオマーカーを構成することを発見し、より具体的には、バイオマーカーとして前記遊離リゾスフィンゴミエリンを用いて、高特異度および高感度で対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法を可能にするバイオマーカーを構成することを発見した。
本発明者らはまた驚いたことに、化合物509が、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法を可能にするバイオマーカーを構成することも発見し、より具体的には、バイオマーカーとして前記化合物509を用いて、高特異度および高感度で対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法を可能にするバイオマーカーを構成することも発見した。
さらに、本発明者らはまた驚いたことに、好ましくは本発明の方法によって両方とも決定された、対象に由来する試料中の化合物509のレベル 対 対象に由来する試料中、好ましくは、前記対象に由来する前記試料中の化合物465のレベルの比が、対象におけるニーマン・ピック病C型を診断するのに適している、より具体的には、高特異度および高感度で対象におけるニーマン・ピック病C型を診断するのに適していることも発見した。
言い換えると、化合物465および化合物509はそれぞれ、ニーマン・ピック病A型およびB型からなる第1のニーマン・ピック病群、ニーマン・ピック病C型からなる第2のニーマン・ピック病群、ならびにニーマン・ピック病C型保因者からなる第3のニーマン・ピック病群を鑑別診断するための方法を可能にするバイオマーカーを構成する。これに従って、第1のニーマン・ピック病群に属する対象または第1のニーマン・ピック病群に属すると考えられる対象と、第2のニーマン・ピック病群および/もしくは第3のニーマン・ピック病群に属する対象または第2のニーマン・ピック病群および/もしくは第3のニーマン・ピック病群に属すると考えられる対象を区別することができる。これに従って、第2のニーマン・ピック病群に属する対象または第2のニーマン・ピック病群に属すると考えられる対象と、第1のニーマン・ピック病群および/もしくは第3のニーマン・ピック病群に属する対象または第1のニーマン・ピック病群および/もしくは第3のニーマン・ピック病群に属すると考えられる対象を区別することもできる。これに従って、第3のニーマン・ピック病群に属する対象または第3のニーマン・ピック病群に属すると考えられる対象と、第1のニーマン・ピック病群および/もしくは第2のニーマン・ピック病群に属する対象または第1のニーマン・ピック病群および/もしくは第2のニーマン・ピック病群に属すると考えられる対象を区別することもできる。
対象に由来する試料中の化合物509のレベル 対 前記対象に由来する前記試料中のまたは前記対象に由来する試料中の化合物465のレベルの比を用いることで、ニーマン・ピック病C型とニーマン・ピック病A型およびB型を区別することが可能になる。したがって、ニーマン・ピック病C型に罹患している対象とニーマン・ピック病A型またはB型に罹患している対象と区別することができる。対象に由来する試料中の化合物509のレベル 対 前記対象に由来する前記試料中のまたは前記対象に由来する試料中の化合物465のレベルの比を用いると、対象がニーマン・ピック病C型に罹患している、またはニーマン・ピック病C型に罹患するリスクがあるかどうかを決定できることも本発明の範囲内である。
驚いたことに、本発明者らはまた、本発明の方法によって検出することができる遊離リゾスフィンゴミエリンが、対象の血中に総スフィンゴミエリンの約1/1000の濃度で循環していることを発見した。さらに、驚いたことに、本発明者らは、総スフィンゴミエリンとは異なり、対象の血中に存在する遊離リゾスフィンゴミエリンが、対象に由来する試料において遊離リゾスフィンゴミエリンであるバイオマーカーを検出する工程を含む対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法において有用なことを発見した。驚いたことに、本発明者らはまた、本発明の方法によって対象に由来する試料において決定された遊離リゾスフィンゴミエリンレベルが、高い感度および高い特異度でのニーマン・ピック病の診断を可能にすることを発見した。
今までのところ、本発明の方法が、リゾ化合物のレベルを決定する工程およびスフィンゴリピドーシスの診断のためのバイオマーカーとしてリゾ化合物を用いる工程を含む点で、本発明は先行技術の開示とは異なる。より具体的には、驚いたことに、本発明者らは、対象に由来する試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルを決定する工程が、高い感度および高い特異度でのニーマン・ピック病の診断を可能にすることを発見した。
ニーマン・ピック病において蓄積される総スフィンゴミエリンの一部が、その遊離リゾ型の分子、すなわち、遊離リゾスフィンゴミエリンとして存在し、スフィンゴミエリンに加えて遊離リゾ型で対象の血中に循環していることを認めたことも、本発明者らの利点である。
さらに、本発明者らはまた驚いたことに、本発明の方法によって検出することができる化合物509が対象の血中に循環していることも発見した。さらに、本発明者らは驚いたことに、対象の血中に存在する化合物509が、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法であって、対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程を含み、バイオマーカーが化合物509である方法において有用であることを発見した。本発明者らはまた驚いたことに、本発明の方法によって対象に由来する試料において決定された化合物509のレベルが、高感度および高特異度でのニーマン・ピック病の診断を可能にすることも発見した。
本発明に関連して、化合物509の濃度またはレベルについて言及される。化合物509のこのような濃度またはレベルは好ましくは以下の通り決定される。実施例パートにおいて詳述される分析設定では、分析しようとする試料に内部標準が添加される。このような分析の間に、試料において検出された様々な化合物を個々のピークとして示すクロマトグラムが得られる。様々な化合物には、特に、化合物509および内部標準が含まれる。このようなクロマトグラムおよびその中に示されたピークから化合物509の濃度またはレベルを決定するために、化合物509に対応するピークのピーク面積および内部標準に対応するピークのピーク面積が決定される。その後に、化合物509に対応するピークのピーク面積 対 内部標準に対応するピークのピーク面積の比が決定され、分析しようとする試料に添加された内部標準の濃度に対して基準化される。このように得られた化合物509の濃度は、本明細書において化合物509の基準化された濃度とも呼ばれる。
化合物509の濃度もしくはレベルがそれ自体で用いられる場合、または化合物509の前記濃度もしくはレベルが関与する比、例えば、対象に由来する試料中の化合物509の濃度 対 対象に由来する試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンの濃度の比を計算した時に用いられる本発明の方法の態様において、化合物509の濃度は、好ましくは、化合物509の基準化された濃度である。
[本発明1001]
対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程を含む工程(a)
を含む、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法。
[本発明1002]
前記試料中に存在する前記バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
を含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記バイオマーカーのレベルが、前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかを示す、本発明1001または1002の方法。
[本発明1004]
前記対象に由来する前記試料が、以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことのある対象に由来する試料または以前にニーマン・ピック病との診断を受けたことのある対象に由来する試料である、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
前記対象に由来する前記試料が、以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことのない対象に由来する試料または以前にニーマン・ピック病との診断を受けたことのない対象に由来する試料である、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかに基づいて療法を適用する、維持する、低減させる、増大させる、または適用しない工程を含む工程(c)
を含む、本発明1001〜1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
工程(c)において療法が適用された、維持された、低減された、増大された、または適用されなかった後の前記対象に由来する試料において、前記バイオマーカーを検出する工程を含む工程(d)
を含む、本発明1001〜1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
工程(c)において療法が適用された、維持された、低減された、増大された、または適用されなかった後の前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(e)
を含む、本発明1001〜1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
工程(b)において決定された前記バイオマーカーのレベルが工程(e)において決定された前記バイオマーカーのレベルより低いかどうかを決定する工程を含む工程(f)
を含む、本発明1008の方法。
[本発明1010]
工程(f)に基づいて療法を適用する、維持する、低減させる、増大させる、または適用しない工程を含む工程(g)
を含む、本発明1009の方法。
[本発明1011]
前記バイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、本発明1001〜1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、本発明1001〜1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
前記バイオマーカーが化合物509である、本発明1001〜1011のいずれかの方法。
[本発明1014]
前記対象に由来する前記試料においてまたは前記対象に由来する試料において少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーを検出する工程を含む、本発明1001〜1013のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記対象に由来する前記試料中のまたは前記対象に由来する試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む、本発明1014の方法。
[本発明1016]
前記バイオマーカーと異なる前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、本発明1014〜1015のいずれかの方法。
[本発明1017]
前記バイオマーカーが化合物509であり、かつ前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、本発明1014〜1016のいずれかの方法。
[本発明1018]
前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、かつ前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが化合物509である、本発明1014〜1016のいずれかの方法。
[本発明1019]
前記試料中のまたは試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509のレベルを決定する工程を含む、本発明1001〜1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
前記試料中のまたは試料中の前記バイオマーカーのレベル 対 前記試料中のまたは試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を決定する工程を含む工程(h)
を含む、本発明1014〜1019のいずれかの方法、好ましくは、本発明1017〜1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比、好ましくは、工程(h)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比が、前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかを示す、本発明1020の方法。
[本発明1022]
前記試料においてまたは試料において遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を検出する工程を含む、本発明1001〜1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
前記バイオマーカーおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが、イムノアッセイ、質量分析、バイオチップアレイ、機能性核酸、ならびに/または前記バイオマーカーの蛍光誘導体および/もしくは前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーの蛍光誘導体によって検出される、本発明1001〜1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
前記バイオマーカーが質量分析によって検出される、本発明1023の方法。
[本発明1025]
質量分析が、SELDI、MALDI、MALDI-Q TOF、MS/MS、TOF-TOF、およびESI-O-TOFを含む群より選択される、本発明1024の方法。
[本発明1026]
質量分析がMS/MSを含むか、またはMS/MSを使用する、本発明1025の方法。
[本発明1027]
タンパク質沈殿および/またはHPLCを含む、本発明1001〜1026のいずれかの方法。
[本発明1028]
タンパク質沈殿、HPLC、およびMS/MSを含む、本発明1001〜1027のいずれかの方法。
[本発明1029]
前記対象がヒトである、本発明1001〜1028のいずれかの方法。
[本発明1030]
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者を含む群より選択される、本発明1001〜1029のいずれかの方法。
[本発明1031]
試料において前記バイオマーカーを検出する工程を含む工程(d)が、該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程と、該試料からタンパク質を沈殿させる工程と、該試料の上清を得る工程と、該試料の上清をHPLCおよびMS/MSに供する工程と、該試料の上清中に存在する前記バイオマーカーのレベルおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程とを含む、本発明1001〜1030のいずれかの方法。
[本発明1032]
(i)対象に由来する試料に内部標準を添加する工程であって、該対象に由来する該試料が、血漿、血清、および血液を含む群より選択される、工程;
(ii)任意で、内部標準を含有する該試料を混合する工程;
(iii)該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程であって、それによって該試料からタンパク質が沈殿して、該試料の第1の上清が得られる、工程;
(iv)任意で、該試料の第1の上清または少なくともその一部を第1の分離工程に供する工程であって、それによって第2の上清が得られ、好ましくは、第1の分離工程が遠心分離工程である、工程;
(v)第1の上清および/もしくは第2の上清または少なくともその一部を第2の分離工程に供する工程であって、第2の分離工程が、第1の上清の少なくとも一部および/または第2の上清の少なくとも一部をHPLC-MS/MSシステムに注入することと、酸性水からアセトニトリル/アセトンへの勾配を有するHPLCカラムを使用することとを含み、HPLCカラムが、好ましくは、C8 HPLCカラムおよびC18 HPLCカラムを含む群より選択されるHPLCカラムであり、かつ第2の分離工程によって、分離された試料が得られる、工程;
(vi)該分離された試料をMS/MSに供する工程であって、MS/MSがエレクトロスプレーイオン化および多重反応モニタリングを含む、工程
を含み、かつ
該対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程を含む工程(a)
を含み、かつ任意で、
該試料中に存在する該バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
を含む、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法であって、
該バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、方法、好ましくは、本発明1001〜1031のいずれかの方法。
[本発明1033]
(i)対象に由来する試料に内部標準を添加する工程であって、該対象に由来する該試料が、血漿、血清、および血液を含む群より選択される、工程;
(ii)任意で、内部標準を含有する該試料を混合する工程;
(iii)該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程であって、それによって該試料からタンパク質が沈殿して、該試料の第1の上清が得られる、工程;
(iv)任意で、該試料の第1の上清または少なくともその一部を第1の分離工程に供する工程であって、それによって第2の上清が得られ、好ましくは、第1の分離工程が遠心分離工程である、工程;
(v)第1の上清および/もしくは第2の上清または少なくともその一部を第2の分離工程に供する工程であって、第2の分離工程が、第1の上清の少なくとも一部および/または第2の上清の少なくとも一部をHPLC-MS/MSシステムに注入することと、酸性水からアセトニトリル/アセトンへの勾配を有するHPLCカラムを使用することとを含み、HPLCカラムが、好ましくは、C8 HPLCカラムおよびC18 HPLCカラムを含む群より選択されるHPLCカラムであり、かつ第2の分離工程によって、分離された試料が得られる、工程;
(vi)該分離された試料をMS/MSに供する工程であって、MS/MSがエレクトロスプレーイオン化および多重反応モニタリングを含む、工程
を含み、かつ
該対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程を含む工程(a)
を含み、かつ任意で、
該試料中に存在する該バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
を含む、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法であって、
該バイオマーカーが化合物509である、方法、好ましくは、本発明1001〜1031のいずれかの方法。
[本発明1034]
(i)対象に由来する試料に内部標準を添加する工程であって、該対象に由来する該試料が、血漿、血清、および血液を含む群より選択される、工程;
(ii)任意で、内部標準を含有する該試料を混合する工程;
(iii)該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程であって、それによって該試料からタンパク質が沈殿して、該試料の第1の上清が得られる、工程;
(iv)任意で、該試料の第1の上清または少なくともその一部を第1の分離工程に供する工程であって、それによって第2の上清が得られ、好ましくは、第1の分離工程が遠心分離工程である、工程;
(v)第1の上清および/もしくは第2の上清または少なくともその一部を第2の分離工程に供する工程であって、第2の分離工程が、第1の上清の少なくとも一部および/または第2の上清の少なくとも一部をHPLC-MS/MSシステムに注入することと、酸性水からアセトニトリル/アセトンへの勾配を有するHPLCカラムを使用することとを含み、HPLCカラムが、好ましくは、C8 HPLCカラムおよびC18 HPLCカラムを含む群より選択されるHPLCカラムであり、かつ第2の分離工程によって、分離された試料が得られる、工程;
(vi)該分離された試料をMS/MSに供する工程であって、MS/MSがエレクトロスプレーイオン化および多重反応モニタリングを含む、工程
を含み、かつ
該対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程と、該対象に由来する試料において少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーを検出する工程とを含む、工程(a)
を含み、かつ任意で、
該試料中に存在する該バイオマーカーのレベルおよび該試料中に存在する該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
を含む、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法であって、
該バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが化合物509である、方法、好ましくは、本発明1001〜1031のいずれかの方法。
[本発明1035]
工程(b)において決定された化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比を決定する工程を含む工程(c)
を含む、本発明1034の方法。
[本発明1036]
化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が、前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかを示す、本発明1035の方法。
[本発明1037]
(i)対象に由来する試料に内部標準を添加する工程であって、該対象に由来する該試料が、血漿、血清、および血液を含む群より選択される、工程;
(ii)任意で、内部標準を含有する該試料を混合する工程;
(iii)該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程であって、それによって該試料からタンパク質が沈殿して、該試料の第1の上清が得られる、工程;
(iv)任意で、該試料の第1の上清または少なくともその一部を第1の分離工程に供する工程であって、それによって第2の上清が得られ、好ましくは、第1の分離工程が遠心分離工程である、工程;
(v)第1の上清および/もしくは第2の上清または少なくともその一部を第2の分離工程に供する工程であって、第2の分離工程が、第1の上清の少なくとも一部および/または第2の上清の少なくとも一部をHPLC-MS/MSシステムに注入することと、酸性水からアセトニトリル/アセトンへの勾配を有するHPLCカラムを使用することとを含み、HPLCカラムが、好ましくは、C8 HPLCカラムおよびC18 HPLCカラムを含む群より選択されるHPLCカラムであり、かつ第2の分離工程によって、分離された試料が得られる、工程;
(vi)該分離された試料をMS/MSに供する工程であって、MS/MSがエレクトロスプレーイオン化および多重反応モニタリングを含む、工程
を含み、かつ
該対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程と、該対象に由来する試料において少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーを検出する工程とを含む、工程(a); ならびに
該試料中に存在する該バイオマーカーのレベルおよび該試料中に存在する該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b); ならびに
工程(b)において決定された該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 該バイオマーカーのレベルの比を決定する工程を含む工程(c)
を含む、対象におけるニーマン・ピック病、ニーマン・ピック病A型およびB型、またはニーマン・ピック病C型を診断するための方法であって、
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより低いか、または0.031ng/mlと同じである場合、これは、該対象がニーマン・ピック病に罹患していないことを示し、
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより高い場合、これは、該対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより高く、かつ1.7ng/mlより低いか、または1.7ng/mlと同じである場合、これは、該対象がニーマン・ピック病C型保因者であることを示し、
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高い場合、これは、該対象が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型ならびにニーマン・ピック病C型からなる群より選択されるニーマン・ピック病に罹患していることを示し、かつ
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高く、かつ該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記バイオマーカーのレベルの比が0.045より大きい場合、これは、該対象がニーマン・ピック病A型およびB型に罹患していることを示し、かつ
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高く、かつ該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記バイオマーカーのレベルの比が0.045より小さいか、または0.045と同じである場合、これは、該対象がニーマン・ピック病C型に罹患していることを示し、かつ
前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが化合物509である、方法、好ましくは、本発明1001〜1031のいずれかの方法。
[本発明1038]
内部標準がD5-プロピオン酸フルチカゾンおよび/またはリゾGb2を含む、本発明1031〜1037のいずれかの方法。
[本発明1039]
工程(b)、工程(c)、および/または工程(e)が、前記試料中の前記バイオマーカーのレベルを、および/または前記試料中の前記少なくとも1種類のバイオマーカーのレベルを、および/または前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を、カットオフ値と比較する工程を含む、本発明1001〜1038のいずれかの方法。
[本発明1040]
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルがカットオフ値より高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患している、または対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあることを示す、本発明1001〜1039のいずれかの方法、好ましくは、本発明1039の方法。
[本発明1041]
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベル 対 前記対象に由来する前記試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比がカットオフ値より高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患している、またはニーマン・ピック病に罹患するリスクがあることを示す、本発明1001〜1039のいずれかの方法、好ましくは、本発明1039の方法。
[本発明1042]
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルがカットオフ値より低い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していない、またはニーマン・ピック病に罹患するリスクがないことを示す、本発明1001〜1039のいずれかの方法、好ましくは、本発明1039の方法。
[本発明1043]
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベル 対 前記対象に由来する前記試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比がカットオフ値より低い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していない、またはニーマン・ピック病に罹患するリスクがないことを示す、本発明1001〜1039のいずれかの方法、好ましくは、本発明1039の方法。
[本発明1044]
対象におけるニーマン・ピック病を診断するための感度が、好ましくは約98.5%〜100%、より好ましくは99.5%〜100%になるように、および/または対象におけるニーマン・ピック病C型を診断するための特異度が99.4%〜100%、好ましくは100%になるように、カットオフ値が選択される、本発明1001〜1043のいずれかの方法。
[本発明1045]
工程(b)および/または工程(c)および/または工程(e)が以下を含む、本発明1001〜1044のいずれかの方法:
前記対象における前記バイオマーカーのレベルおよび/もしくは前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが、対照試料に由来する試料において検出された前記バイオマーカーのレベルおよび/もしくは前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルと比較されること、ならびに/または
前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記バイオマーカーのレベルの比が、対照に由来する試料において検出された前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記バイオマーカーのレベルの比と比較されること。
[本発明1046]
前記対照試料が、ニーマン・ピック病を有しない対象に由来する試料である、本発明1045の方法。
[本発明1047]
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが前記対照試料中の前記バイオマーカーのレベルより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患している、および/またはニーマン・ピック病に罹患するリスクがあることを示す、本発明1045〜1046のいずれかの方法。
[本発明1048]
前記対象に由来する前記試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルの比が、前記対照試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記対照試料中の前記バイオマーカーのレベルの比より大きい場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患している、および/またはニーマン・ピック病に罹患するリスクがあることを示す、本発明1001〜1046のいずれかの方法。
[本発明1049]
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピックA型および/またはB型、ニーマン・ピックC型、ならびにニーマン・ピックC型保因者を含む群より選択される、本発明1001〜1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
ニーマン・ピック病C型が、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、およびニーマン・ピック病D型を含む群より選択される、本発明1049の方法。
[本発明1051]
前記対象に由来する前記試料が、血液、血液製剤、尿、唾液、脳脊髄液、糞便、組織試料、およびリンパ液を含む群より選択される、本発明1001〜1050のいずれかの方法、好ましくは、本発明1050の方法。
[本発明1052]
前記対象に由来する前記試料に由来する前記試料が、血液および血液製剤を含む群より選択される、本発明1051の方法。
[本発明1053]
血液製剤が、血清および血漿を含む群より選択される、本発明1051〜1052のいずれかの方法。
[本発明1054]
遊離リゾスフィンゴミエリンの検出限界が0.04ng/mlである、本発明1001〜1053のいずれかの方法、好ましくは、本発明1053の方法。
[本発明1055]
ニーマン・ピック病C型保因者の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、かつカットオフ値が6.5ng/mlであり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清または血漿である、本発明1001〜1054のいずれかの方法、好ましくは、本発明1040および本発明1042のいずれかの方法。
[本発明1056]
ニーマン・ピック病C型の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、かつカットオフ値が9.23ng/mlであり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清または血漿である、本発明1001〜1054のいずれかの方法、好ましくは、本発明1040および本発明1042のいずれかの方法。
[本発明1057]
ニーマン・ピック病A型および/またはB型の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、かつカットオフ値が59ng/mlであり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清または血漿である、本発明1001〜1054のいずれかの方法、好ましくは、本発明1040および本発明1042のいずれかの方法。
[本発明1058]
ニーマン・ピック病C型保因者の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが化合物509であり、かつカットオフ値が0.031ng/mlであり、かつ好ましくは、前記対象に由来する前記試料が血清または血漿であり、
より好ましくは、ニーマン・ピック病C型保因者の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが化合物509であり、かつ前記バイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより高く、かつ1.7ng/mlより低いか、または1.7ng/mlと同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病C型保因者であることを示し、かつ好ましくは、前記対象に由来する前記試料が血清または血漿である、
本発明1001〜1054のいずれかの方法、より好ましくは、本発明1040および本発明1042のいずれかの方法。
[本発明1059]
(a)ニーマン・ピック病の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが化合物509であり、かつ前記バイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより低いか、もしくは0.031ng/mlと同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していないことを示し、かつ前記バイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、かつ好ましくは、前記対象に由来する前記試料が血清もしくは血漿である、または
(b)ニーマン・ピック病C型の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが化合物509であり、かつカットオフ値が1.7ng/mlであり、かつ好ましくは、前記対象に由来する前記試料が血清もしくは血漿である、または
(c)ニーマン・ピック病A型および/もしくはB型ならびにニーマン・ピック病C型からなる群より選択される疾患の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが化合物509であり、かつ前記バイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高い場合、これは、前記対象が、ニーマン・ピック病A型および/もしくはB型ならびにニーマン・ピック病C型からなる群より選択されるニーマン・ピック病に罹患していることを示し、かつ好ましくは、前記対象に由来する前記試料が血清もしくは血漿である、
本発明1001〜1054のいずれかの方法、より好ましくは、本発明1040および本発明1042のいずれかの方法。
[本発明1060]
ニーマン・ピック病A型および/またはB型の診断のための方法であって、前記バイオマーカーが化合物509であり、かつカットオフ値が5.0ng/mlであり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清または血漿である、本発明1001〜1054のいずれかの方法。
[本発明1061]
(a)ニーマン・ピック病C型の診断のための方法であって、前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベル 対 前記対象に由来する前記試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンバイオマーカーのレベルの比がカットオフ値と比較され、かつカットオフ値が0.087であり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清もしくは血漿である; または
(b)ニーマン・ピック病C型の診断のための方法であって、前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベルが1.7ng/mlより高く、かつ前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベル 対 前記対象に由来する前記試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンバイオマーカーのレベルの比が0.045より小さいか、もしくは0.045と同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病C型に罹患していることを示し、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清もしくは血漿である、
本発明1001〜1054のいずれかの方法、好ましくは、本発明1040〜1043のいずれかの方法。
[本発明1062]
(a)ニーマン・ピック病A型および/もしくはB型の診断のための方法であって、前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベル 対 前記対象に由来する前記試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比がカットオフ値と比較され、かつカットオフ値が0.045であり、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清または血漿である、または
(b)ニーマン・ピック病A型および/もしくはB型の診断のための方法であって、前記対象の前記試料中の化合物509のレベルが1.7ng/mlより高く、かつ前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が0.045より高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病A型およびB型に罹患していることを示し、かつ前記対象に由来する前記試料が好ましくは血清または血漿である、
本発明1001〜1054のいずれかの方法、好ましくは、本発明1040〜1043のいずれかの方法。
[本発明1063]
血液が全血である、本発明1051〜1052のいずれかの方法。
[本発明1064]
全血が乾燥血液フィルターカード上に収集される、本発明1063の方法。
[本発明1065]
対象におけるニーマン・ピック病の経過を決定するための方法であって、
いくつかの時点において、対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(a)
を含む方法。
[本発明1066]
前記バイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、本発明1065の方法。
[本発明1067]
前記バイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509からなる群より選択される、本発明1065〜1066のいずれかの方法。
[本発明1068]
前記対象が以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことがある、および/または前記対象が以前にニーマン・ピック病との診断を受けたことがある、本発明1065〜1067のいずれかの方法。
[本発明1069]
前記対象が以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことがない、および/または前記対象が以前にニーマン・ピック病との診断を受けたことがない、本発明1068の方法。
[本発明1070]
前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかに基づいて療法を適用する、維持する、低減させる、増大させる、または適用しない工程を含む工程(b)
を含む、本発明1065〜1069のいずれかの方法。
[本発明1071]
工程(b)において療法が適用された、維持された、低減された、増大された、または適用されなかった後の前記対象に由来する試料において、前記バイオマーカーを検出する工程を含む工程(c)
を含む、本発明1065〜1070のいずれかの方法。
[本発明1072]
工程(b)において療法が適用された、維持された、低減された、増大された、または適用されなかった後の前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(d)
を含む、本発明1065〜1071のいずれかの方法。
[本発明1073]
工程(a)において決定された前記バイオマーカーのレベルが、工程(d)において決定された前記バイオマーカーのレベルより低いかどうかを決定する工程を含む工程(e)
を含む、本発明1065〜1071のいずれかの方法。
[本発明1074]
工程(e)に基づいて療法を適用する、維持する、低減させる、増大させる、または適用しない工程を含む工程(f)
を含む、本発明1073の方法。
[本発明1075]
前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、本発明1065〜1074のいずれかの方法。
[本発明1076]
前記バイオマーカーが化合物509である、本発明1065〜1074のいずれかの方法。
[本発明1077]
前記対象に由来する前記試料において少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーを検出する工程を含む、本発明1065〜1076のいずれかの方法。
[本発明1078]
前記対象に由来する前記試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む、本発明1077の方法。
[本発明1079]
前記バイオマーカーと異なる前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、本発明1077〜1079のいずれかの方法。
[本発明1080]
前記バイオマーカーが化合物509であり、かつ前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、本発明1077〜1079のいずれかの方法。
[本発明1081]
遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび化合物509のレベルを決定する工程を含む、本発明1065〜1080のいずれかの方法。
[本発明1082]
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベル 対 前記対象に由来する前記試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を決定する工程を含む工程(h)
を含む、本発明1077〜1081、好ましくは、本発明1080〜1081のいずれかの方法。
[本発明1083]
工程(h)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比が、前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかを示す、本発明1082の方法。
[本発明1084]
前記対象に由来する前記試料において遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を検出する工程を含む、本発明1065〜1083のいずれかの方法。
[本発明1085]
前記バイオマーカーおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーがイムノアッセイ、質量分析、バイオチップアレイ、機能性核酸、および/または遊離リゾスフィンゴミエリンの蛍光誘導体によって検出される、本発明1065〜1084のいずれかの方法。
[本発明1086]
前記バイオマーカーが質量分析によって検出される、本発明1085の方法。
[本発明1087]
質量分析が、SELDI、MALDI、MALDI-Q TOF、MS/MS、TOF-TOF、およびESI-O-TOFからなる群より選択される、本発明1086の方法。
[本発明1088]
質量分析がMS/MS MS/MSを含むか、またはMS/MS MS/MSを使用する、本発明1087の方法。
[本発明1089]
タンパク質沈殿および/またはHPLCを含む、本発明1065〜1088のいずれかの方法。
[本発明1090]
タンパク質沈殿、HPLC、およびMS/MSを含む、本発明1065〜1089のいずれかの方法。
[本発明1091]
前記対象がヒトである、本発明1065〜1090のいずれかの方法。
[本発明1092]
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者を含む群より選択される、本発明1065〜1091のいずれかの方法。
[本発明1093]
試料において前記バイオマーカーを検出する工程を含む工程(d)が、該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程と、該試料からタンパク質を沈殿させる工程と、該試料の上清を得る工程と、該試料の上清をHPLCおよびMS/MSに供する工程と、該試料の上清中に存在する前記バイオマーカーのレベルおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程とを含む、本発明1065〜1092のいずれかの方法。
[本発明1094]
ニーマン・ピック病C型が、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、およびニーマン・ピック病D型を含む群より選択される、本発明1065〜1093のいずれかの方法。
[本発明1095]
ニーマン・ピック病の罹患についてまたはニーマン・ピック病の罹患リスクについての試験結果が陽性であった対象に適用された少なくとも1つの治療の有効性を決定するための方法であって、
いくつかの時点において、対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルおよび/または少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを検出する工程を含む工程(a)
を含む方法。
[本発明1096]
いくつかの時点において、前記対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルおよび/または少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
を含む、本発明1095の方法。
[本発明1097]
工程(b)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を決定する工程を含む工程(c)
を含む、本発明1096の方法。
[本発明1098]
前記バイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、本発明1095または本発明1097のいずれかの方法。
[本発明1099]
前記バイオマーカーと異なる前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、本発明1095〜1098のいずれかの方法。
[本発明1100]
前記バイオマーカーが化合物509であり、かつ前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、本発明1095〜1099のいずれかの方法。
[本発明1101]
前記対象が以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことがあるか、または以前にニーマン・ピック病との診断を受けたことがある、本発明1095〜1100のいずれかの方法。
[本発明1102]
前記対象が以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことがないか、または以前にニーマン・ピック病との診断を受けたことがない、本発明1095〜1100のいずれかの方法。
[本発明1103]
前記対象に適用された少なくとも1つの治療を、工程(b)において決定された前記バイオマーカーのレベルおよび/もしくは前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの減少ならびに/または工程(c)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比の減少に基づいて、適用する、維持する、低減させる、増大させる、または適用しない工程を含む工程(d)
を含む、本発明1095〜1102のいずれかの方法。
[本発明1104]
少なくとも1つの治療を工程(d)において適用した、維持した、低減させた、増大させた、または適用しなかった後の治療の開始前に採取された、前記対象に由来する前記試料において、前記バイオマーカーおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーを検出する工程、ならびに任意で、
前記対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルおよび/または少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程、ならびに任意で、
前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を決定する工程
を含む工程(e)
を含む、本発明1095〜1102のいずれかの方法。
[本発明1105]
治療が、酵素補充療法、基質抑制療法、シャペロン療法、遺伝子療法、DNA/RNAスキッピングの幹細胞移植を含む群より選択される、本発明1095〜1104のいずれかの方法。
[本発明1106]
工程(b)において決定された前記バイオマーカーのレベルが、工程(e)において決定された前記バイオマーカーのレベルより低いかどうかを決定する工程、および/または
工程(b)において決定された前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが、工程(e)において決定された前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルより低いかどうかを決定する工程、および/または
工程(c)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比が、工程(e)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比より小さいかどうかを決定する工程
を含む工程(f)
を含む、本発明1095〜1105のいずれかの方法。
[本発明1107]
対象に適用された少なくとも1つの治療を、工程(f)に基づいて適用する、維持する、低減させる、増大させる、または適用しない工程を含む工程(g)
を含む、本発明1106の方法。
[本発明1108]
前記バイオマーカーおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーがイムノアッセイ、質量分析、バイオチップアレイ、機能性核酸、および/または前記バイオマーカーの蛍光誘導体によって検出される、本発明1095〜1107のいずれかの方法。
[本発明1109]
前記バイオマーカーおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが質量分析によって検出される、本発明1108の方法。
[本発明1110]
質量分析が、SELDI、MALDI、MALDI-Q TOF、MS/MS、TOF-TOF、およびESI-O-TOFからなる群より選択される、本発明1109の方法。
[本発明1111]
質量分析がMS/MSを含むか、またはMS/MSを使用する、本発明1110の方法。
[本発明1112]
タンパク質沈殿および/またはHPLCを含む、本発明1095〜1111のいずれかの方法。
[本発明1113]
タンパク質沈殿、HPLC、およびMS/MSを含む、本発明1096〜1112のいずれかの方法。
[本発明1114]
前記対象がヒトである、本発明1095〜1113のいずれかの方法。
[本発明1115]
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者を含む群より選択される、本発明1095〜1114のいずれかの方法。
[本発明1116]
前記対象に由来する前記試料において前記バイオマーカーを検出する工程が、
前記対象に由来する前記試料からタンパク質を沈殿させる工程であって、前記試料からタンパク質を沈殿させることによって前記試料の上清が得られる、工程と、
一定量の上清をHPLCおよびMS/MSに供する工程と、
前記対象に由来する前記試料中に存在する前記バイオマーカーのレベルおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程と
を含む、本発明1095〜1115のいずれかの方法。
[本発明1117]
ニーマン・ピック病C型が、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、およびニーマン・ピック病D型を含む群より選択される、本発明1115〜1116のいずれかの方法。
[本発明1118]
(a)ニーマン・ピック病を有する対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルを決定する工程;
(b)該対象に化合物を投与する工程;
(c)該化合物が該対象に投与された後の該対象に由来する試料中の該バイオマーカーのレベルを再び決定する工程; および
(d)工程(c)において決定された該バイオマーカーのレベルが、工程(a)において決定された該バイオマーカーのレベルより低いかどうかを決定する工程
を含む、ニーマン・ピック病を治療するための化合物の有効性を決定する方法であって、工程(c)において決定された該バイオマーカーのレベルが、工程(a)において決定された該バイオマーカーのレベルより低い場合、これは、該化合物の有効性を示す、方法。
[本発明1119]
工程(a)および(c)がそれぞれ、前記試料中に存在する少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程をさらに含み、かつ
工程(d)が、工程(c)において決定された前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが工程(a)において決定された前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルより低いかどうかを決定する工程をさらに含み、かつ
工程(a)において決定された前記少なくとも1種類のバイオマーカーのレベルよりも低い、工程(c)において決定された前記少なくとも1種類のバイオマーカーのレベルが、前記化合物の有効性を示す、本発明1118の方法。
[本発明1120]
工程(a)が、前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を決定する工程をさらに含み、
工程(c)が、前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を決定する工程をさらに含み、かつ
工程(d)が、工程(c)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比が、工程(a)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比より小さいかどうかを決定する工程を含み、かつ
工程(a)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比よりも小さい、工程(c)において決定された前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比が、前記化合物の有効性を示す、本発明1119の方法。
[本発明1121]
前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーと異なる任意の/前記のバイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、本発明1118〜1120のいずれかの方法。
[本発明1122]
対照試料中の前記バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む、本発明1121の方法。
[本発明1123]
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピックA型および/またはB型、ニーマン・ピックC型、ならびにニーマン・ピックC型保因者を含む群より選択される、本発明1118〜1121のいずれかの方法。
[本発明1124]
ニーマン・ピック病C型が、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、およびニーマン・ピック病D型を含む群より選択される、本発明1123の方法。
[本発明1125]
遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択されるバイオマーカーを検出するための質量分析の使用。
[本発明1126]
検出がHPLCの使用を含む、本発明1125の使用。
[本発明1127]
質量分析がMS/MSを含むか、またはMS/MSを使用する、本発明1125〜1126のいずれかの使用。
[本発明1128]
ニーマン・ピック病の診断のための、好ましくは、本発明1001〜1127のいずれかの方法におけるニーマン・ピック病の診断のための、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択されるバイオマーカーの使用。
[本発明1129]
ニーマン・ピック病の診断のための、好ましくは、本発明1001〜1124のいずれかの方法におけるニーマン・ピック病の診断のための、遊離リゾスフィンゴミエリンであるバイオマーカーの使用。
[本発明1130]
ニーマン・ピック病の診断のための、好ましくは、本発明1001〜1124のいずれかの方法におけるニーマン・ピック病の診断のための、化合物509であるバイオマーカーの使用。
[本発明1131]
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピックA型および/またはB型、ニーマン・ピックC型、ならびにニーマン・ピックC型保因者を含む群より選択される、本発明1125〜1130のいずれかの使用。
[本発明1132]
ニーマン・ピック病C型が、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、およびニーマン・ピック病D型を含む群より選択される、本発明1130の使用。
[本発明1133]
ニーマン・ピック病を診断する方法における使用のための、好ましくは、本発明1001〜1124のいずれかの方法における使用のための、前記対象に由来する試料中に存在する遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択されるバイオマーカーのレベル 対 前記対象に由来する試料中に存在する少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比の使用。
[本発明1134]
(a)バイオマーカーの相互作用パートナー;
(b)任意で、少なくとも1種類の捕捉用試薬を付着させた状態で含む固体支持体であって、該捕捉用試薬が該バイオマーカーに結合する、該固体支持体; および
(c)該バイオマーカーを検出するために該固体支持体を使用するための説明書
を含む、対象に由来する試料中のバイオマーカーの存在を決定するためのキットであって、該バイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含む群より選択される、前記キット。
[本発明1135]
(a)ニーマン・ピック病を診断するための方法における使用;
(b)対象におけるニーマン・ピック病の経過を決定するための方法における使用; および/または
(c)対象に適用された少なくとも1つの治療の有効性を決定するための方法における使用
のためのキットであって、好ましくは、(a)、(b)、および/または(c)の方法が本発明1001〜1124のいずれかの方法である、本発明1132のキット。
[本発明1136]
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピックA型および/またはB型、ニーマン・ピックC型、ならびにニーマン・ピックC型保因者を含む群より選択される、本発明1134〜1135のいずれかのキット。
[本発明1137]
ニーマン・ピック病C型が、ニーマン・ピック病C1型、ニーマン・ピック病C2型、およびニーマン・ピック病D型を含む群より選択される、本発明1136のキット。
[本発明1138]
前記バイオマーカーが化合物509であり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者からなる群より選択される、本発明1001〜1124、好ましくは、本発明1001〜1064のいずれかの方法。
[本発明1139]
前記バイオマーカーが化合物509であり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより高く、かつ1.7ng/mlより低いか、または1.7ng/mlと同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病C型保因者からなる群より選択される、本発明1001〜1124のいずれかの方法、好ましくは、本発明1138の方法。
[本発明1140]
前記バイオマーカーが化合物509であり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型ならびにニーマン・ピック病C型からなる群より選択される、本発明1001〜1124のいずれかの方法、好ましくは、本発明1138および本発明1139のいずれかの方法。
[本発明1141]
前記バイオマーカーが化合物509であり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高く、かつ5.0ng/mlより低いか、または5.0ng/mlと同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病C型からなる群より選択される、本発明1001〜1124のいずれかの方法、好ましくは、本発明1138〜1140のいずれかの方法。
[本発明1142]
前記バイオマーカーが化合物509であり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが5.0ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型からなる群より選択される、本発明1001〜1124のいずれかの方法、好ましくは、本発明1138〜1141のいずれかの方法。
[本発明1143]
前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが6.5ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者からなる群より選択される、本発明1001〜1124のいずれかの方法、好ましくは、本発明1138〜1142のいずれかの方法。
[本発明1144]
前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが6.5ng/mlより高く、かつ9.23ng/mlより低いか、または9.23ng/mlと同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病C型保因者からなる群より選択される、本発明1001〜1124のいずれかの方法、好ましくは、本発明1138〜1143のいずれかの方法。
[本発明1145]
前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが9.23ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型ならびにニーマン・ピック病C型からなる群より選択される、本発明1001〜1124のいずれかの方法、好ましくは、本発明1138〜1144のいずれかの方法。
[本発明1146]
前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが9.23ng/mlより高く、かつ59ng/mlより低いか、または59ng/mlと同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病C型からなる群より選択される、本発明1001〜1124のいずれかの方法、好ましくは、本発明1138〜1145のいずれかの方法。
[本発明1147]
前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが59ng/mlより高い場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型からなる群より選択される、本発明1001〜1124のいずれかの方法、好ましくは、本発明1138〜1146のいずれかの方法。
[本発明1148]
前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が0.087より大きい場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病C型からなる群より選択される、本発明1001〜1124のいずれかの方法、好ましくは、本発明1138〜1147のいずれかの方法。
[本発明1149]
前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が0.045より大きい場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型ならびにニーマン・ピック病C型からなる群より選択される、本発明1001〜1124のいずれかの方法、好ましくは、本発明1138〜1148のいずれかの方法。
[本発明1150]
前記対象に由来する前記試料中の化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が0.045より大きく、かつ0.087より小さいか、または0.087と同じである場合、これは、前記対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型からなる群より選択される、本発明1001〜1124のいずれかの方法、好ましくは、本発明1138〜1149のいずれかの方法。
本明細書で使用する「リソソーム貯蔵障害」という用語は本明細書において「リソソーム蓄積症」または「LSD」とも呼ばれ、好ましくは、リソソーム機能の欠陥に起因する遺伝病および代謝障害をいう。リソソーム貯蔵障害は、通常、脂質、糖タンパク質、またはいわゆるムコ多糖の代謝に必要な1種類の酵素が欠損した結果であるリソソーム機能不全によって引き起こされる。他の遺伝病と同様に、リソソーム蓄積症は親から遺伝する。それぞれの障害は、酵素活性の欠損に変わる異なる遺伝子変異に起因するが、これらは全て、全てのリソソーム障害がリソソーム内への物質の異常蓄積から生じるという共通の生化学的特徴を共有する。
ニーマン・ピック病は本明細書において好ましくはNPとも呼ばれ、有害量の脂肪物質、すなわち脂質が脾臓、肝臓、肺、骨髄、および脳に蓄積する、スフィンゴリピドーシスまたは脂質貯蔵障害と呼ばれるLSDサブグループに分類される常染色体劣性遺伝性の遺伝病である。影響を受けるタンパク質の変異に応じて、ニーマン・ピック病は、通常、4つのサブグループ、すなわち、ニーマン・ピック病A型、B型、C型、およびD型に分けられる、本明細書では、それぞれ、好ましくは、ニーマン・ピック病A型の場合NPA、ニーマン・ピック病B型の場合NPB、ニーマン・ピック病C型の場合NPC、ニーマン・ピック病D型の場合NPD NPDとも呼ばれる。したがって、本明細書で使用するニーマン・ピック病は、好ましくは、ニーマン・ピック病A型、ニーマン・ピック病B型、ニーマン・ピック病C型、およびニーマン・ピック病D型を含む。
ニーマン・ピック病が常染色体劣性パターンで遺伝することは、この障害に罹患している人の遺伝子が両コピーとも、すなわち両対立遺伝子とも変異していなければならない、またはヌクレオチド配列が変化しているが、機能破壊を引き起こさない多型とは対照的に、機能が損なわれるように変化していなければならないことを意味する。ほとんどの場合、常染色体劣性障害をもつ子供の親は罹患していないが、変化した遺伝子を1コピーもつ保因者である。このような保因者は、本明細書においてニーマン・ピック病保因者、例えば、ニーマン・ピック病C型保因者と呼ばれる。両親が保因者である場合、病気をもつ子供を妊娠する確率は25%である。ニーマン・ピック保因者である可能性がある家族には遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査が推奨されている。
NPAの予後は極めて不良であり、多くの症例が18ヶ月までに死に至る。通常、NPBおよびNPCの予後はNPAより良く、これらの障害をもつ多くの患者は10代または成人期まで生存する。
ニーマン・ピック病C型はニーマン・ピック病A型またはB型と生化学的、遺伝的、および臨床的に異なる。
SMPD1遺伝子の変異は、酸性スフィンゴミエリナーゼと呼ばれる酵素の完全欠損または部分欠損を引き起こし、その結果、スフィンゴミエリンが蓄積し、それぞれ、NPAおよびNPBになる。
本明細書において好ましくはC1型またはNPC1と呼ばれるニーマン・ピック病C型症例の約95%はNPC1遺伝子の遺伝子変異によって引き起こされるのに対して、本明細書において好ましくはC2型またはNPC2と呼ばれる5%はNPC2遺伝子の変異によって引き起こされる(Mellon SH et al., March 2008. Brain research reviews 57 (2): 410-20)。
NPCにおいて、主要な変異遺伝子NPC1のタンパク質産物は酵素ではないが、細胞を通り抜けて大きな水不溶性分子を移動させる、エンドソーム-リソソーム系の膜貫通輸送体タンパク質として機能するように思われる。NPC2遺伝子によってコードされるタンパク質は、細胞内の分子輸送においてNPC1タンパク質と協力して働くように思われる可溶性非酵素タンパク質である。この輸送系が破壊されると、リソソーム内にコレステロールおよび糖脂質が蓄積する。
NPC1およびNPC2の臨床症状は、それぞれの遺伝子が後期エンドソームまたはリソソームからの脂質、特にコレステロールの放出に関与するので似ている。NPC1遺伝子は18番染色体 (18q11-q12)に位置する(Zhang JR et al., June 2008, The Journal of clinical investigation 118 (6): 2281-90)。
NPDは、もともとは、共通のNova Scotia先祖がいることを除けば同一の障害をもつ患者群を説明するためにNPCと分けられた。この群の患者は、現在、ある特定のNPC1遺伝子変異を共有することが知られている。ニーマン・ピック病C型の一態様において、NPCはNPDを含む。ニーマン・ピック病C型のさらなる態様において、NPCはNPC1およびNPC2を含む。
NPCに罹患している個体は、巨脾腫、肝腫大、または肝脾腫を含む症状を示すことがあるが、この所見は遅発型症例には無い場合がある。長期間の黄疸またはビリルビンの上昇が出生時に存在する場合がある。しかしながら、場合によっては、脾臓および/または肝臓の肥大は数ヶ月間もしくは数年間起こらないか、または全く起こらない。NPAおよびNPBまたはゴーシェ病などの他のLSDの進行とは対照的に、脾臓および/または肝臓の肥大は時間と共に識別できなくなることが多い。通常、臓器肥大は重い合併症を引き起こさない。
進行性神経学的疾患がNPCの顕著な特徴であり、全症例における幼児期以降の身体障害および早死の原因である。NPCをもつ小児は、認知機能低下、すなわち、例えば、認知症を発現する前に、正常な発達段階への到達の遅延を初期に示すことがある。
神経学的な徴候および症状には、小脳性運動失調、構語障害、嚥下障害、振戦、部分てんかんおよび全般てんかん、上方注視麻痺(upgaze palsy)、下方注視麻痺(downgaze palsy)、衝動性麻痺、または麻痺を含む核上性麻痺、睡眠逆転、笑いによるカタプレキシー(gelastic cataplexy)、失調、最も一般的には、歩行時の片足の方向転換(動作性ジストニー(action dystonia))から始まり、全般性になるまで広がることがある、痙縮、筋緊張低下、下垂、小頭症、精神病、進行性認知症、進行性聴覚消失、双極性障害、大うつ病、および幻覚性発作、妄想、無言症、または昏迷を伴うことがある精神病性うつ病が含まれる。NPC末期には、患者は寝たきりになり、完全眼筋麻痺、随意運動の消失を伴い、重度の認知症を有する。
蓄積される物質であるコレステロールおよび糖脂質には細胞内で様々な役割がある。コレステロールは、全体として細胞を規定し、かつ細胞の細胞小器官を規定する細胞原形質膜の主な成分である。これはまた、神経ステロイドを含むステロイドホルモンの基本要素でもある。NPCでは多量の遊離コレステロールまたは非エステル化コレステロールがリソソーム内に蓄積し、複数の膜内で、およびステロイド合成のために、この分子はかなり不足する。神経系におけるスフィンゴ糖脂質の蓄積は構造変化、すなわち、異所性の樹状突起形成(dendritogenesis)および巨大神経突起(meganeurite)形成と結び付けられてきた。
NPCは、培養線維芽細胞をコレステロールエステル化についてアッセイし、非エステル化コレステロールをフィリピンで染色することによって診断される。NPCと疑われる患者から採取した小さな皮膚生検材料から線維芽細胞を増殖させる。NPC1遺伝子またはNPC2遺伝子の変異を特定することによって診断を確定することができる。
NPCを有する患者の予後は通常、発症年齢と関係がある。出生前発症型または小児発症型の小児は、通常、生まれて最初の数ヶ月または数年で死亡するのに対して、青少年発症型NPCおよび成人発症型NPCは潜伏発症型であり、ゆっくりと進行し、罹患した個体は70歳代まで生存することがある。成人NPC症例はますます頻繁に認められている。疾患に気がつかず、かつ容易に利用可能なスクリーニングまたは診断検査が存在しないために、NPCに罹患した多くの患者の診断が未確定であると考えられている。同じ理由で診断が何年も遅れることが多い。
現在、NPの原因となる治療法はなく、治療は主として対症的かつ限定的であり、治療法は主として支持療法である。臓器移植が試みられているが、限られた成功しか収められていない。NPBには骨髄移植が試みられている。さらなる有力候補には、好ましくは本明細書においてERTとも呼ばれる酵素補充療法、および遺伝子療法が含まれる。NPCの細胞培養モデルおよび動物モデルにおいて他のいくつかの治療戦略が研究されている。これらには、シクロデキストリン、コレステロール動員、神経ステロイド、ならびに抗炎症性剤およびカルシウム調節剤としてのクルクミン(Loyd-Evans E et al., October 2008, Nature medicine 14(11): 1247-55)が含まれる。
ニーマン・ピック病C型疾患を有する成人患者および小児患者における進行性神経学的症状の治療のために、活性成分としてMiglustatを含む薬物Zavescaが少なくとも欧州連合で認可されている。Miglustatは、細胞内のスフィンゴ糖脂質合成を阻害するグルコシルセラミド合成酵素阻害剤である。MiglustatはNPCマウスにおける疾患の発症を遅延することが示されている。米国および英国におけるMiglustatの多施設臨床試験ならびに症例報告からの公表データからMiglustatはヒトNPCの経過を寛解させ得ることが示唆されている。
スフィンゴミエリンは、動物細胞の細胞膜に、特に、一部の神経細胞軸索を取り囲む膜ミエリン鞘に見出されるスフィンゴ脂質である。
ヒトでは、スフィンゴミエリンは、グリセロールに由来しない唯一の細胞膜リン脂質であると考えられている。
全てのスフィンゴ脂質と同様に、スフィンゴミエリンは、セラミドコア、すなわち、アミド結合を介して脂肪酸に結合したスフィンゴシンからなる。さらに、スフィンゴミエリンは、ホスホコリン、ホスホコリルコリン(phosphochorylcholine)、またはホスホエタノールアミンいずれかの1個の極性頭部基を含有する。典型的なスフィンゴミエリンは、以下の式を有する。
Figure 0006243846
NPAおよびNPBでは、酵素欠損によって脂質分解が遮断され、その結果、マクロファージ-単球食細胞系列のリソソーム内にスフィンゴミエリンが蓄積する。異常のある細胞は、スフィンゴミエリンおよびコレステロールによるリソソームの膨張に付随して時として直径が90ミクロンまで拡大する。
本明細書において使用する、好ましくは、本発明の様々な方法に関連して使用する「リゾスフィンゴミエリン」という用語は、好ましくは、この分子が遊離アミノの形で存在することを意味することが当業者により理解されるだろう。より正確には、本明細書で使用するリゾスフィンゴミエリンは、好ましくは、脂肪酸部分が分子のスフィンゴシン部分の一級アミノ基と結合していない点でスフィンゴミエリンと異なる。さらに、リゾスフィンゴミエリンは、本明細書において化合物465、スフィンゴシルホスフォリルコリン、またはスフィンゴシンホスホリルコリンとも呼ばれる。典型的なリゾスフィンゴミエリンは、以下の式を有する。
Figure 0006243846
本明細書で使用する「遊離リゾスフィンゴミエリン」という用語は、好ましくは、前記対象に由来する試料中にまたは対象に由来する試料中に、例えば、血中にそれ自体で存在し、好ましくは、前記対象の試料を操作した結果ではないリゾスフィンゴミエリンを指すことが当業者により理解されるだろう。このような試料操作は、Groener et al. (Groener et al., Biochimica et Biophysica Acta 1781(2908)72-78, 2007)に記載の試料操作でもよい。これに従って、試料が採取された対象の血中にそれ自体で存在する遊離リゾスフィンゴミエリンは、より具体的には、血液および試料にそれぞれ含有される試料、好ましくは、患者の体外にある試料の化学的処理、生化学的処理、または物理的処理によって作製されるリゾスフィンゴミエリンではない。本明細書で使用する遊離リゾスフィンゴミエリンは、好ましくは、スフィンゴミエリンに加えて存在し、対象の代謝活性によって生成される化合物であることも当業者により理解されるだろう。したがって、ニーマン・ピック病、例えば、ニーマン・ピック病A型およびB型に関連して蓄積する分子であるスフィンゴミエリンは対象に由来する試料中に存在し、対象の血中に存在する遊離リゾ型、すなわち、遊離リゾスフィンゴミエリンと比較した。スフィンゴミエリンは、少なくとも1つの脂肪酸部分がリゾスフィンゴミエリンのスフィンゴシン部分の一級アミノ基と結合している。
本発明によるバイオマーカーの一態様において、バイオマーカーは、イムノアッセイ、質量分析、バイオチップアレイ、機能性核酸、および/またはバイオマーカーの蛍光誘導体によって検出される。これに関連して、このような検出は、対象の血中にそれ自体で存在し、特に、前記の先行技術の方法によるGb1からリゾGb1への誘導体化などのバイオマーカーの濃度の変化をもたらす前記対象の試料の操作の結果ではなく、バイオマーカーを選択的に検出することを可能にすることに気付くことは重要である。このような操作は、本発明のバイオマーカー、例えば、遊離リゾスフィンゴミエリンを区別できなくする場合があり、したがって、本発明のバイオマーカーはそれ自体で検出することができず、操作されたさらなる物質、例えば、先行技術の方法に従ってリゾGb1に融合体化されたGb1を検出しなければ、前記バイオマーカーのレベルをそれぞれ、それ自体で決定することができない。このことを考慮して、対象の血中に存在するバイオマーカー、例えば、対象の血中にそれ自体で存在する遊離リゾスフィンゴミエリンはそれ自体で対象の試料中に存在するが、バイオマーカーに特異的に結合する蛍光色素もしくは核酸分子などの手段で選択的に標識されてもよく、および/またはバイオマーカーに特異的に結合する蛍光色素もしくは核酸分子などの手段に連結されてもよいことがすぐに理解されるだろう。このような選択的な標識または連結は、さらなる物質を標識することなく、さらなる物質に連結することなく、またはさらなる物質、例えば、バイオマーカー、より正確には、標識もしくは連結されたバイオマーカーと区別することができない先行技術の変換されたリゾGb1に変換することなく、標識もしくは連結されたバイオマーカーの検出および/または標識もしくは連結されたバイオマーカーのレベルの決定を可能にする。これに関連して、例えば、本発明のバイオマーカーの蛍光誘導体は、蛍光色素もしくは蛍光分子で標識されたバイオマーカーおよび/または蛍光色素もしくは蛍光分子に結合したバイオマーカー、すなわちバイオマーカーの蛍光誘導体に関する。これは、本発明のバイオマーカーの蛍光誘導体の検出および/または本発明のバイオマーカーの蛍光誘導体のレベルの決定を可能にする。
本発明の方法によって検出することができ、本発明による方法においてバイオマーカーとして有用な、本明細書において化合物509と呼ばれる物質は、本発明の方法に従って、より具体的には、本明細書に記載の実施例1および実施例2に従って対象に由来する血漿試料中でポジティブモードで509m/zから184m/zへのMRM移行(MRM transition)として検出される分子量508の物質である。
本明細書において用いられる「試料」という用語は、好ましくは、限られた量の対象の材料を意味する。前記対象の材料は、対象および/または対象の身体の一部であるか、対象および/または対象の身体から採取されている。好ましくは、前記材料は、体液、例えば、血液、血液製剤、尿、唾液、脳脊髄液、およびリンパ液、ならびに糞便、または対象および/もしくは対象の身体の一部である任意の種類の組織および/もしくは細胞材料を含む群より選択される。前記試料中の本発明のバイオマーカーの存在および/またはレベルは対象の多量の材料におけるバイオマーカーの存在および/またはレベルに類似し、バイオマーカーの存在および/またはレベルを表すと意図されることが当業者により認められるだろう。より正確には、および例示的で非限定的な例として、例えば、対象に由来する数mlの血液の試料において決定された本発明のバイオマーカーのレベルは対象身体の血中の前記バイオマーカーのレベルも表す。さらに、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための本発明の方法の一態様において、対象に由来する試料は、前記試料が本発明の方法における使用に適するように、前記対象の材料を、例えば、処理された、固定された、および/または保存された形で含む。このような処理、固定、および/または保存は、好ましくは、患者の血中にそれ自体で存在しないリゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509を生じない。したがって、試料中の対象の材料は、例えば、メタノールおよび/もしくは水などの本発明の方法に適した溶媒で希釈されてもよく、例えば、フィルターカード上で乾燥されてもよく、このように乾燥された後に、例えば、メタノールおよび/もしくは水などの本発明の方法に適した溶媒で分離されてもよく、または血液が凝固するのを防ぐ物質、例えば、EDTAまたはヘパリンが添加されてもよい。さらに、本発明の方法は、前記対象の材料が前記対象の材料の単一の成分に分離されることを含む、および/または前記対象の材料の単一の成分が前記対象の材料から抽出される、例えば、血液が血漿もしくは血清に分離され、細胞血液成分もしくはタンパク質が試料から沈殿されることを含むことが当業者によって理解されるだろう。したがって、前記方法がタンパク質沈殿および/またはHPLCを含む本発明による方法の一態様において、タンパク質沈殿は、好ましくは、(a)細胞血液成分および/またはタンパク質を沈殿させる、より好ましくは、遠心分離工程後にペレットを形成し、(b)バイオマーカーは、好ましくは、遠心分離工程後に沈殿されない、または上清中に存在する。当業者であれば、前記方法がHPLCを含む本発明による方法の一態様において、本発明のバイオマーカーを含有する上清またはその一部はHPLCに供されることがすぐに理解するだろう。これに関連して、HPLCに供された上清またはその一部は、検出しようとするバイオマーカー、ならびに好ましくは内部標準を含むと理解することが重要である。内部標準が試料に添加される本発明の方法の一態様において、沈殿工程の前または後に内部標準は試料に添加されてもよい。すなわち、内部標準は、対象から試料が採取された直後に試料に添加されてもよく、HPLCに供された上清に、ならびにこれらの時点の間に添加されてもよい。当業者であれば、バイオマーカーのレベルを正確に検出および決定するために、内部標準が好ましくは試料に添加される方法および時を知っているだろう。
前記試料に含有されるバイオマーカーを検出するために、および/または前記試料に含有されるバイオマーカーのレベルを決定するために、このような処理、固定、および/または保存の後に、試料は本発明の方法に供されることがすぐに理解されるだろう。このような処理、固定、および/または保存は、好ましくは、患者に由来する試料中にそれ自体で存在しないリゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509を生じない。
本発明の方法の一態様において、全血が乾燥血液フィルターカード上に収集される。好ましくは、約3μlの全血が、直径3mmの前記乾燥血液フィルターカードの一点に収集される。当業者であれば、このように収集された正確な量は、特定の患者のヘマトクリットに応じて変化することがあることを認めるであろう。
グルコシルセラミドおよびその前駆体セラミドのレベルは、先行技術では、血漿中のその存在と、ゴーシェ病I型の重篤度および療法の適用に対する応答とを相関付けるために用いられた(Groener et al., Biochimica et Biophysica Acta 1781(2908) 72-78, 2007)。これによって、Gb1レベルは異なることが見出されたが、治療されたゴーシェ病I型患者および未治療のゴーシェ病I型患者の血漿中のセラミドレベルには有意差がなかった。
Groener et al.(Groener et al., 前記)によって報告された研究では、ゴーシェ病患者と健常患者を区別するためにGb1/セラミドの比が用いられた。Gb1およびセラミドは、本質的に、Groener et al. (J.E.M. Groener et al., Clin. Chern. 53(2007) 742-747)に記載のように高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定された。これに関連して、血漿中に存在するGb1が主に糖部分およびセラミド部分からなることを理解するのは重要である。セラミド部分はスフィンゴシンおよび脂肪酸部分を含む。先行技術の方法によれば、脂質は抽出され、セラミドおよびグルコシルセラミドはアルカリ加水分解によって脱アセチル化され、したがって、リゾ型、すなわち、リゾGb1が形成される(T. Taketomi et al., J. Biochem. (Tokyo) 120 (1996) 573-579)。その後に、このように生成されたリゾGb1を、一級アミン基におけるO-フタルアルデヒド(OPA)を用いた誘導体化によって蛍光色素で標識する。その後に、誘導体化スフィンゴイド塩基を逆相HPLCによって分離し、蛍光検出器で検出した。したがって、先行技術の前記方法は、遊離リゾGb1およびGb1からなる総Gb1を検出することができ、対象に由来する試料中の遊離リゾGb1レベルをGb1レベルと区別することができない。Gb1のNH2基から様々な脂肪酸部分を切断した後の前記総Gb1レベルは、通常、5〜30μg/mL血漿または血清の範囲内である。これから、Groener et al. (Groener et al., 前記)の方法では、血液に含まれる遊離リゾGb1、したがって、脂肪酸部分の切断を行っていない、好ましくは、作業者が試料を取り扱うことによって行われる切断を行っていない試料中の遊離リゾGb1ではなく、対象に由来する試料、好ましくは、血液試料から調製および入手することができる総Gb1がバイオマーカーとして用いられる。今までのところ、本発明は、総スフィンゴミエリンではなく遊離リゾスフィンゴミエリンの検出に関する。
先行技術の前記研究においてリゾGb1として測定された総Gb1は前記患者の血漿中で増加するが、前記総Gb1増加は顕著ではなく、したがって、前記方法の特異度および感度は低い。このことは、Gb1がゴーシェ病のバイオマーカーとして適さないことを示している。
対象に由来する試料において遊離リゾスフィンゴミエリンを検出する工程および/または遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルを決定する工程を含む本発明の方法の一態様は、対象の血中に存在し得るスフィンゴミエリンまたはスフィンゴミエリンレベルと分けて、および/またはそれとは別に、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または遊離リゾスフィンゴミエリンレベルが決定されることである。さらなる態様において、遊離リゾスフィンゴミエリンの検出および/または遊離リゾスフィンゴミエリンレベルの決定に加えて、スフィンゴミエリンおよび/またはスフィンゴミエリンレベルが検出/決定される。
重要なことに、血漿中に循環しており、当技術分野の前記方法に従って有機溶媒を用いてスフィンゴミエリンに付随して抽出されるほど十分に親油性のある、それぞれの一級アミンはそれに応じて標識され、したがって、切断されたリゾスフィンゴミエリンの検出を妨害することができる。
本発明によるバイオマーカーの一態様において、遊離リゾスフィンゴミエリンについて前記で概説されたものは、遊離リゾ型として存在する任意の本発明のバイオマーカーに当てはまる。
今までのところ、本発明のバイオマーカーおよびその使用は、先行技術において公知のニーマン・ピック病、好ましくは、ニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型、ならびに/またはニーマン・ピック病C型保因者を診断するための方法の性能、より具体的には、バイオマーカーを用いたこのような方法の試みを明らかに上回る。ゴーシェ病を診断するためにGroenerらにより適用された方法(Groener et al., 前記)に類似したニーマン・ピック病を診断するための方法は、遊離リゾスフィンゴミエリンではなく総スフィンゴミエリンを使用する先行技術のこのような方法に基づいてニーマン・ピック病を診断するので本発明の方法と比較して不利であることがすぐに理解されるだろう。なぜなら、遊離リゾGb1ではなく総Gb1を使用する先行技術の方法は、信頼性の高いその臨床用途に適さない、すなわち、この方法には、信頼性が高く、統計学的に保証された予測によってゴーシェ病を診断するのに十分な感度および特異度がないからである。
先行技術の方法とははっきりとした対照をなして、本発明は、高感度および高特異度でのニーマン・ピック病の診断を可能にする、ニーマン・ピック病を診断するための方法および前記方法において使用されるバイオマーカーを提供する。より重要なことに、本発明のバイオマーカーを用いた本発明の方法は、対象におけるニーマン・ピック病A型およびB型;ならびにニーマン・ピック病C型;ならびにニーマン・ピック病C型保因者の鑑別診断を可能にする。本発明者らが知る限りでは、本発明者らは、本発明の方法が、臨床用途に適した迅速な、かつより重要なことに高感度および高特異度のアッセイにおいて本発明によるバイオマーカーを用いてニーマン・ピック病A型およびB型からニーマン・ピック病C型を表すことを初めて可能にすると考えている。
本明細書で使用する「ニーマン・ピック病の状況」という用語は、好ましくは、対象における疾患の状況をいう。ニーマン・ピック病の状況のタイプの例には、ニーマン・ピック病に罹患する、またはニーマン・ピック病を発症する対象のリスク、対象における疾患の段階、および疾患の治療の有効性が含まれるが、これに限定されない。他の状況およびそれぞれの状況の程度は当技術分野において公知である。本発明の一態様において、ニーマン・ピック病の状況は、重度、軽度、または健常のニーマン・ピック病の状況を含む。
本明細書で使用する「診断する」という用語は、好ましくは、対象における疾患または障害の存在または非存在を決定する、および/あるいは対象が疾患、障害、または疾患もしくは障害に関連する症状を発症するリスクがあるかどうかを決定する、ならびに疾患の状況を予測することを意味する。本明細書で使用する「診断」または「診断する」はまた、好ましくは、存在する、または存在するであろう疾患の症状の原因が特定されることも意味する。
これに関連して、当業者、例えば、症状に罹患している対象または病気があると疑われる対象の相談を受けている熟練した臨床家が本発明の方法を適用し、したがって、対象が疾患、特に、ニーマン・ピック病、より具体的にはニーマン・ピック病A型/B型、ニーマン・ピック病C型を発症するリスクがあるかどうか、および/もしくはニーマン・ピック病C型保因者であるリスクがあるかどうか、対象がこのような疾患に罹患しているかどうかを決定する、またはこのような疾患の状況を予測する、好ましくは、本発明の方法の実施によって得られる結果に基づいてこのような疾患の状況を予測することに気付くことは重要である。
前記診断に基づいて、当業者であれば、療法を適用する、維持する、低減させる、増大させる、もしくは適用しない、またはさらなる診断検査を実施することを推奨するだろう。
したがって、前記方法は、療法を適用するように、維持するように、低減させるように、増大させるように、または適用しないように推奨する工程を含むことがニーマン・ピック病を診断するための本発明の方法の一態様である。
本発明の方法に関連して本明細書で使用する「鑑別診断する」という用語は、好ましくは、前記方法が対象における疾患または障害の存在または非存在を決定することができる、および/あるいは対象が疾患、障害、または疾患もしくは障害に関連した症状を発症するリスクがあるかどうかを決定することができる、ならびに疾患の状況を予測できることを意味し、ここで、疾患は、ニーマン・ピック病A型およびB型;ニーマン・ピック病C型;ならびにニーマン・ピック病C型保因者のうちのそれぞれ、ならびにニーマン・ピック病A型およびB型;ニーマン・ピック病C型;ならびにニーマン・ピック病C型保因者のうちのいずれかである。
本発明の文脈において「検出する」という用語は、試料において物質の存在もしくは非存在を検出する工程および/または前記タイプの前記物質を定量する工程を含む方法を意味する。検出する工程は、当技術分野において公知の方法、およびさらに、影響を受けるタンパク質の直接測定、例えば、遺伝子SMPD1、NPC1および/またはNPC2の配列決定を含むが、これに限定されない本明細書に記載の方法によって達成することができる。任意の適切な方法を用いて、本明細書に記載のバイオマーカーの1つまたは複数を検出することができる。これらの方法には、質量分析(例えば、HPLC-MS/MS)、蛍光(例えば、サンドイッチイムノアッセイ)、HPLC-蛍光またはHPLC-UV、好ましくは、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509の誘導体化後のHPLC-蛍光またはHPLC-UVが含まれるが、それに限定されるわけではない。
本明細書で使用するバイオマーカーは、好ましくは、別の表現型の状況(例えば、疾患を有しない)と比較して、ある表現型状況の(例えば、疾患を有する)対象に由来する試料に異なって存在し、対象に由来する試料から単離され得る、または対象に由来する試料において測定され得る任意の生物学的化合物、例えば、タンパク質およびその断片、ペプチド、ポリペプチド、プロテオグリカン、糖タンパク質、リポタンパク質、炭水化物、脂質、核酸、有機化学物質または無機化学物質、天然ポリマー、および低分子である。さらに、バイオマーカーは、無傷の分子全体でもよく、その一部でもよく、好ましくは、質量分析、抗体、バイオマーカーに特異的に結合する別のタンパク質、バイオマーカーに特異的に結合する機能性核酸、および/または蛍光標識によって検出される。さらに、バイオマーカーの測定可能な局面が患者の所定の状況、例えば、ニーマン・ピック病C型の特定の状況と関連するのであれば、バイオマーカーには情報価値があるとみなされる。測定可能な局面は、例えば、対象に由来する試料中のバイオマーカーの存在、非存在、もしくはレベル、および/またはバイオマーカーのプロファイルの一部としてのその存在を含んでもよい。測定可能な局面は、バイオマーカーの2つ以上の測定可能な局面の比でもよい。このバイオマーカーは、例えば、既知の同一性のものでもよく、既知の同一性のものでなくてもよい。バイオマーカーのプロファイルは少なくとも2つのこのような測定可能な局面を含み、測定可能な局面は、同じまたは異なるクラスのバイオマーカー、例えば、核酸および炭水化物に対応してもよい。バイオマーカープロファイルはまた少なくとも3、4、5、10、20、30、またはそれより多い測定可能な局面を含んでもよい。1つの態様において、バイオマーカープロファイルは、数百またはさらには数千の測定可能な局面を含む。別の態様において、バイオマーカープロファイルは、少なくとも1つのバイオマーカーの少なくとも1つの測定可能な局面および少なくとも1つの内部標準の少なくとも1つの測定可能な局面を含む。
本発明による方法の一態様において、対象に由来する試料に内部標準が添加される。したがって、本明細書においてISとも呼ばれる内部標準の試料への前記添加によって、すなわち、試料中のISの濃度が既知である、本発明による方法に供される試料のスパイキング(spiking)によって、例えば、内部標準のピーク下面積、すなわち、ピーク面積を求めることによって、例えば、HPLC-質量分析クロマトグラムにおける内部標準のピーク下面積、すなわち、ピーク面積を求めることによって、ピーク面積と、物質の濃度、例えば、ISの濃度および/またはこの場合、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509である本発明のバイオマーカーの濃度との関係は、例えば、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509のピーク面積とISのピーク面積との比を計算することによって計算することができることが認められる。さらに、当業者であれば、ISとして様々な分子を使用できることを認めるであろう。そうではあるが、バイオマーカー、例えば、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509などの分子と比較して類似した化学構造を有するISが好ましい。これによれば、本発明者らは、一態様において、それ自体としては天然に存在しないリゾGb2を選択した。好ましい態様では、ISである分子は本発明の方法において、本発明のバイオマーカー、例えば遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509と区別することができる。さらに好ましい態様において、ISは、理想的には、分子が天然に存在しないか、または稀に存在するように選択される。本発明の一態様において、内部標準が対象に由来する試料に添加される場合、試料への前記添加前に、ISは溶媒、例えば、エタノールに溶解されるように添加されることが好ましい。さらに好ましい態様において、溶媒は、タンパク質沈殿を引き起こすことができるように、好ましくは、本発明の方法に供された時にタンパク質沈殿工程を引き起こすことができるように選択される。
本発明の一部の態様において、タンパク質沈殿および/またはタンパク質沈殿工程は本発明の方法の一部である。本明細書で使用する沈殿は、好ましくは、溶液中での固体の形成、すなわち、例えば、対象に由来する試料、例えば、血清中でのタンパク質沈殿物の形成を意味することが理解されると考えられる。試料中に沈殿、例えば、タンパク質沈殿が生じた時には、形成された固体は沈殿物と呼ばれる、または遠心機によって圧縮された時にはペレットと呼ばれる。固体の上部に残っている液体は、どちらの場合でも上清と呼ばれる。本発明は、特に、沈澱または沈降および遠心分離を含む、前記上清および前記沈殿物またはペレットを沈殿および/または分離する様々な方法を意図する。当業者であれば、タンパク質沈殿のための、ならびに/または上清およびタンパク質沈殿物を分離するためのさらなる方法を知っているだろう。そうではあるが、当業者であれば、方法、好ましくは、本発明の方法が適用されれば、沈殿タンパク質が、装置、例えば、本発明に関連して用いられるカラムまたはHPLC-カラムを不能にすると認めるだろう。沈殿タンパク質は、好ましくは、溶媒および/または試料から分離される。
本発明の一部の態様において、試料中の本発明の方法によって決定された本発明のバイオマーカー、例えば、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509のレベルは、別の試料中の本発明の方法によって決定された本発明の同じバイオマーカーまたは別のバイオマーカーのレベル、例えば、同じ患者に由来する、別の患者に由来する、対照に由来する、ならびに/または同じ時点もしくは異なる時点に由来するレベル、ならびに/あるいはカットオフ値、ならびに/あるいは対照のレベルおよび/もしくはISのレベルと比較される。これに関連して、本明細書で使用する「を比較する」または「と比較される」は、好ましくは、バイオマーカーのレベルの2以上の値の数値比較を意味する。したがって、このような値の少なくとも2つが互いに比較されれば、前記値の1つが大きい、小さい、または同一であるかどうかがすぐに明らかになる。
本発明の一部の態様において、本発明の方法は、本発明の方法によって決定された2種類のバイオマーカーのレベルの比を決定する工程を含む。より好ましい態様において、比は、第1のバイオマーカーのレベル、すなわち、本発明のバイオマーカーのレベルを、第2のバイオマーカーのレベル、すなわち、本発明の少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーで割ることによって決定され、両バイオマーカーのレベルは本発明によって決定された。さらにより好ましい態様において、比は、バイオマーカーのレベルおよび少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを割ることによって決定され、最も好ましくは、バイオマーカーは化合物509であり、少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーは遊離リゾスフィンゴミエリンである。前記2種類のバイオマーカーのレベルの比が、対象がニーマン・ピック病に罹患している、またはニーマン・ピック病に罹患するリスクがある、より具体的には、ニーマン・ピック病A型およびB型;ニーマン・ピック病C型;ならびにニーマン・ピック病C型保因者のいずれか1つに罹患していることを示すと発見したことは本発明者らの利点である。より好ましい態様において、化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比がカットオフ値より高いことは、対象がニーマン・ピック病C型に罹患している、またはニーマン・ピック病C型に罹患するリスクがあることを示す。これに関連して、前記比と比較されるカットオフ値は、最も高い選択性および感度での診断を可能にする値であると理解することが重要である。
本発明の方法によって決定された2種類のバイオマーカーの比が決定され、例えば、前記比をカットオフ値と比較することによって対象がある特定の疾患に罹患していることを示す本発明による方法の一態様において、前記比に基づく診断を、例えば、前記レベルをそれぞれのカットオフ値と比較することによって対象がある特定の疾患に罹患していることを示す試料中に存在する1種類または複数種の単一バイオマーカーのレベルに基づく診断と組み合わせることが考慮される。言い換えると、第1に、対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出し、試料中に存在する前記バイオマーカーのレベルを決定し、前記バイオマーカーの前記レベルを、疾患の診断を可能にする、好ましくは、前記疾患の鑑別診断を可能にする第1のカットオフ値と比較し、第2に、対象に由来する試料においてさらなるバイオマーカーを検出し、試料中に存在する前記さらなるバイオマーカーのレベルを決定し、前記バイオマーカーの前記レベルを、疾患のさらなる診断を可能にする、もしくは最初に用いられたバイオマーカーを用いて診断した結果の確認を可能にする、および/または好ましくは前記疾患を鑑別診断することを可能にする第2のカットオフ値と比較し、第3に、バイオマーカーのレベル 対 さらなるバイオマーカーのレベルの比を決定し、前記比を、疾患のさらなる診断を可能にする、もしくは最初に用いられたバイオマーカーおよびさらなるバイオマーカーを用いて診断した結果の確認を可能にする、ならびに/または好ましくは前記疾患の鑑別診断を可能にする第3のカットオフ値と比較することが考慮される。
本明細書で使用する「カットオフ値」という用語は、好ましくは、本発明のバイオマーカーのレベル、濃度、および/または力価を指す。本発明のバイオマーカーの2つのレベル、濃度、および/または力価の比が考慮され、前記カットオフ値が、バイオマーカーの2つのレベル、濃度、および/または力価の比と比較される比の値と呼ばれる一部の態様において、本発明の方法によって決定された本発明のバイオマーカーの2つのレベル、濃度、および/または力価の前記比が、バイオマーカーの2つのレベル、濃度、および/または力価の比と比較されるカットオフ値と比較して上昇している、増加している、または高い場合、これは、対象がニーマン・ピック病、ならびに/もしくは好ましくはニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型に罹患している、ならびに/もしくはニーマン・ピック病C型保因者である、またはニーマン・ピック病、ならびに/もしくは好ましくはニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型を発症するリスクがある、ならびに/もしくはニーマン・ピック病C型保因者であるリスクがあることを示し、ならびに/あるいは本発明のバイオマーカーの2つのレベル、濃度、および/または力価の前記比が、バイオマーカーの2つのレベル、濃度、および/または力価の比と比較されるカットオフ値と比較して減少している、または低い場合、これは、対象がニーマン・ピック病に罹患していない、またはニーマン・ピック病を発症するリスクがないことを示す。
本発明の一態様において、バイオマーカーとして化合物509を使用すると、
5ng/mlの化合物509カットオフ値を用いて、94.4%の感度および96.1%の特異度でNP A型およびB型を診断すること;ならびに/または
1.7ng/mlの化合物509カットオフ値を用いて、97.2%の感度および93.3%の特異度でNP C型を診断すること;ならびに/または
0.031ng/mlの化合物509カットオフ値を用いて、100%の感度および22.5%の特異度でNP C型保因者を診断すること
が可能になる。
バイオマーカーとして遊離リゾスフィンゴミエリンを使用すると、
59ng/mlの遊離リゾスフィンゴミエリンカットオフ値を用いて、94.4%の感度および99.3%の特異度でNP A型およびB型を診断すること;ならびに/または
9.23ng/mlの遊離リゾスフィンゴミエリンカットオフ値を用いて、94.4%の感度および81.3%の特異度でNP C型を診断すること;ならびに/または
6.5ng/mlの遊離リゾスフィンゴミエリンカットオフ値を用いて、100%の感度および61.2%の特異度でNP C型保因者を診断すること
が可能になる。
化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比を使用すると、
0.045の化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比を用いて、94.4%の感度および82.1%の特異度でNP A型およびB型を診断すること;ならびに/または
0.087の化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比を用いて、94.4%の感度および95.5%の特異度でNP C型を診断すること
が可能になる。
本明細書で使用する「比」という用語は、好ましくは、同じ種類の2つの数の間で、例えば、本発明の2種類のバイオマーカーのレベル、例えば、化合物509のレベルと化合物465のレベルとの間で、「a対b」、「a:b」、または「a対bの比」、例えば、「化合物509のレベル 対 化合物465のレベルの比」と通常表される関係が存在することを意味する。より好ましくは、「比」は、第1の数すなわち「a」が第2の数すなわち「b」の何倍であるかを示す。前記比は必ずしも整数であるとは限らない。言い換えると、例えば、「化合物509のレベル 対 化合物465のレベルの比」が関与する場合、化合物509のレベルを表す値は化合物465のレベルを表す値で割られる。
これに関連して、2種類のバイオマーカーの関係が診断上、価値があり、それぞれのカットオフ値と比較することによってニーマン・ピック病、より具体的にはニーマン・ピック病C型の診断が可能になると認めたことが本発明者らの利点であることに気付かなければならない。したがって、本発明による2種類のバイオマーカーのレベルの間の前記関係は様々な数学操作によって表され得る、および/もしくは処理され得る、ならびに/または2種類のバイオマーカーの一方のレベルもしくは両方のレベルに様々な数学モデルが適用され得るとすぐに理解されるだろう。したがって、本発明に従って決定されたバイオマーカーの1つまたは複数のレベルに数学操作および/または様々な数学モデルが適用されることは本発明の範囲内である。一例として、2種類のバイオマーカーのレベルの比そのものの代わりに、その比の逆数値が用いられることがある。
本発明の一部の態様において、バイオマーカーのレベルは対照においても決定される。本明細書で使用する、対照は、好ましくは、前記対象のニーマン・ピック病の状況が分かっている対象に由来する試料である。一態様において、対照は健常患者の試料である。さらなる態様において、ある量の前記バイオマーカーが健常患者の前記試料に添加された後に、本発明の方法を用いて、前記添加されたバイオマーカーを含む健常患者の前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが決定される。さらなる態様において、対照は、公知のニーマン・ピック病の状況を有する少なくとも1つの対象に由来する試料である。このような公知のニーマン・ピック病の状況は、重度のニーマン・ピック病の状況、軽度のニーマン・ピック病の状況、または健常なニーマン・ピック病の状況、例えば、対照患者を含む。さらに好ましい態様において、ニーマン・ピック病の状況はまた、ニーマン・ピック病のタイプを含み、より好ましくは、ニーマン・ピック病A型、B型、C型を含み、なおさらなる好ましい態様において、SMPD1、NPC1、およびNPC2を含む前記疾患に影響を及ぼす遺伝子の変異について遺伝子の状況も含み、すなわち、ホモ接合性変異を有する対象および/または複合ヘテロ接合性変異を有する対象、変異の保因者である対象を含む。
さらに好ましい態様において、対照は、ニーマン・ピック病の治療を受けていない対象に由来する試料である。なおさらに好ましい態様において、対照は、1つの対象に由来する試料もしくは異なる対象に由来する試料のプールおよび/または異なる時点において対象から採取された試料である。
本明細書で使用する「レベル」または「バイオマーカーのレベル」という用語は、好ましくは、対象の試料中の物質の、好ましくは本発明のバイオマーカーの、より好ましくは遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509の、濃度および/または力価を意味する。ある特定の態様において、前記試料は、未処理試料として、前記バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む本発明の方法に供されるとは限らないことが当業者によって理解されるだろう。すなわち、前記試料は、例えば、タンパク質沈殿、分離、例えば、遠心分離、および/またはHPLCに供され、その後に、例えば、質量分析を用いてバイオマーカーのレベルを決定する工程に供されてもよい。さらに、バイオマーカーの「1つの(a)」レベルという用語は、本発明に従って決定される本発明のバイオマーカーのレベルに関連して用いられる時はいつでも、本発明の方法によって決定され、本発明の方法に供された試料中に含まれる本発明のバイオマーカーの「その(the)」レベルが意図されることに注目しなければならない。
異なる群におけるバイオマーカーのレベルの平均または中央値が統計的に有意であると計算されれば、バイオマーカーのレベルはニーマン・ピック病の異なる状況間で異なる。統計的有意性の一般的な検定には、特に、t検定、ANOVA、ウィルコクソン、マンホイットニー、オッズ比、およびクラスカル・ワリス(Kruskal-Wallis)が含まれる。バイオマーカーは単独でまたは組み合わされて、対象がある表現型の状況に属する相対リスクまたは対象が別の表現型の状況に属する相対リスクの尺度を提供する。したがって、本発明のバイオマーカーは、本発明の一態様では、疾患、薬物または治療の治療有効性のマーカーとして有用である。
本明細書で使用するバイオマーカーの「レベルを決定する工程」という用語は、好ましくは、対象に由来する試料中の少なくとも1種類の物質の量を定量する工程、および/または対象の身体の一部、例えば、唾液、血液、リンパ液、血清、血漿、もしくは液に含まれる前記物質の量を定量する工程、および/または対象における前記物質の量を定量する工程を含む方法であって、物質がバイオマーカーを含む群より選択される方法を意味する。
したがって、対象に由来する試料において遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509を検出する工程および/または対象に由来する試料において遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509のレベルを決定する工程は、好ましくは、スフィンゴミエリンと分けて、および/またはそれとは別に遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509を検出することができなくなるような、および/またはそのレベルを決定することができなくなるような、対象の血中に存在するスフィンゴミエリンの化学的変換、変形、または誘導体化を行わないことを含むことが当業者によって理解されるだろう。当業者であれば、脱アセチル化工程、例えば、メタノールを含有する水酸化ナトリウム中での加水分解による脱アセチル化工程に供された対象に由来する試料中に存在するスフィンゴミエリンが、スフィンゴミエリンから脂肪酸部分を切断し、したがって、望ましくないことに、遊離リゾスフィンゴミエリンと区別できない化学的に変換された、変形された、または誘導体化された形のスフィンゴミエリンをもたらすことを認めるだろう。したがって、本発明者らの利点は、スフィンゴミエリンとは別の遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509がニーマン・ピック病を診断するための方法において有用だと認めたことである。
本発明の方法の好ましい態様において、前記方法は、対象に由来する試料において遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509を検出するための方法および/または遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509のレベルを決定するための方法であって、対象に由来する試料中に存在するスフィンゴミエリンが、スフィンゴミエリンの脱アセチル化工程に供されない、好ましくは、試料に含まれるスフィンゴミエリンからの脂肪酸部分の切断工程に供されない方法である。本発明の方法のさらに好ましい態様において、対象に由来する試料中に存在するスフィンゴミエリンは化学的に変換されない、変形されない、または誘導体化されない。本発明の方法のなおさらに好ましい態様において、スフィンゴミエリンから脂肪酸部分を切断する工程の前に、および/またはスフィンゴミエリンが化学的に変換される、変形される、もしくは誘導体化される工程の前に、対象に由来する試料中に存在する遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509は、対象に由来する試料中に存在するスフィンゴミエリンから分離される。なおさらなる好ましい態様において、対象に由来する試料において遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509であるバイオマーカーを検出する工程および/または遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509であるバイオマーカーのレベルを決定する工程は、HPLCを用いた分離の後に質量分析を適用することによって行われる。
本発明の方法の一態様において、対象は、SMPD1遺伝子の機能的部分の変異、および/またはそれぞれのタンパク質もしくはその活性を低減もしくは欠損してニーマン・ピック病A型もしくはB型に関連する症状をもたらすSMPD1遺伝子変異を有しなければ、ニーマン・ピック病A型またはB型に関して健常であるとみなされる。
対象はニーマン・ピック病に関連する症状に罹患していなければ、ニーマン・ピック病に関して健常対象とみなされる。さらに、本発明の方法の一態様において、対象は、NPC1遺伝子およびNPC2遺伝子の機能的部分の変異、ならびに/またはそれぞれのタンパク質もしくはその活性を低減もしくは欠損してニーマン・ピック病C型に関連する症状をもたらすNPC1遺伝子およびNPC2遺伝子の変異を有しなければ、ニーマン・ピック病C型に関して健常とみなされる。本発明の方法のある特定の態様において、ニーマン・ピック病C型保因者の診断が関与する。これに関連して、前述されたような変異の保因者であるこのような患者は本発明の意味の範囲内で健常対象であるとみなされないが、前記保因者はニーマン・ピック病に関連した症状に罹患していない可能性があると理解することが重要である。本発明の方法のある特定の態様において、ニーマン・ピック病はニーマン・ピック病C型保因者も含む。本発明の方法はニーマン・ピック病C型保因者を特定するのに等しく適していることに気付くことが重要である。本発明の方法は対象がニーマン・ピック病C型保因者であるかどうかを診断するのに適している。さらに、本発明の方法は、対象が健常であるかどうか、またはニーマン・ピック病C型保因者、もしくはニーマン・ピック病患者、より具体的には好ましくはニーマン・ピック病A型/B型患者および/もしくはニーマン・ピック病C型患者であるかどうかを区別する、診断する、および/または鑑別診断するのに適している。
対象に由来する試料が、本明細書に記載のような変異の遺伝子検査に供されれば、前記変異、すなわち、SMPD1、NPC1、またはNPC2の変異は検出される。本発明のさらなる態様において、健常対象に由来する試料は、本発明の方法において対照試料として、またはブランクマトリクス(blank matrix)として用いられる。本明細書において使用されるブランクマトリクスとは、好ましくは、健常対象に由来する試料である。そうではあるが、このようなブランクマトリクスはネイティブレベルの遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509を含有し得ることが理解されるだろう。
本発明の一態様において、バイオマーカーのレベルは、対象が疾患もしくは障害に罹患している、または疾患もしくは障害を発症するリスクがあることを示す。本発明による方法によって決定されたバイオマーカーのレベルはバイオマーカーの対照レベルと比較され、前記比較の結果が疾患の診断を可能にする。
より具体的には、対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの対照レベルと比較する工程は、対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルをカットオフ値と比較する工程を含み、対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルがカットオフ値と比較して上昇している、増加している、または高い場合、これは、対象がニーマン・ピック病、ならびに/もしくは好ましくはニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型に罹患している、ならびに/もしくはニーマン・ピック病C型保因者である、またはニーマン・ピック病、ならびに/もしくは好ましくはニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型を発症するリスクがある、ならびに/もしくはニーマン・ピック病C型保因者であるリスクがあることを示し、ならびに/あるいは対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルがカットオフ値と比較して減少している、または低い場合、これは、対象がニーマン・ピック病に罹患していない、またはニーマン・ピック病を発症するリスクがないことを示す。
本発明による2種類のバイオマーカーの比がカットオフ値と比較された場合に同じことが当てはまる。対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルがカットオフ値と比較して上昇している、増加している、または高い場合、これは、対象がニーマン・ピック病に罹患している、ならびに/もしくは好ましくはニーマン・ピック病A型およびB型に罹患している、ニーマン・ピック病C型に罹患している、ならびに/もしくはニーマン・ピック病C型保因者である、最も好ましくはニーマン・ピック病C型に罹患している、またはニーマン・ピック病を発症するリスクがある、ならびに/もしくは好ましくはニーマン・ピック病A型およびB型を発症するリスクがある、ニーマン・ピック病C型を発症するリスクがある、ならびに/もしくはニーマン・ピック病C型保因者であるリスクがある、最も好ましくはニーマン・ピック病C型を発症するリスクがあることを示す。
本明細書で使用する「疾患を発症するリスクがある」という用語は、好ましくは、対象が前記疾患に罹患している可能性が高い、および/または前記疾患もしくは前記疾患に関連する症状を発症する、特に、治療が適用されなければ前記疾患もしくは前記疾患に関連する症状を発症する可能性が高いことを意味する。これに関連して、LSDは遺伝的障害であり、したがって、前記疾患を有する、または前記疾患の原因となることが知られている変異を有する親類、特に親がいることは、対象、例えば、2人のニーマン・ピック病C型患者の子供が前記疾患を発症するリスクがあることを示すと認めなければならない。さらに、疾患の進行は症状の発生ならびに前記症状の重篤度と関連することが認められるだろう。したがって、しかしながら、症状に現在のところ罹患していない人は、疾患を発症するリスクがあり得る。例えば、疾患を引き起こすことが分かっている遺伝子の遺伝子変異が存在するが、症状は発生していない、または重度の症状は発生していないからである。そうではあるが、特に本発明による前記バイオマーカーのレベルが上昇している場合、本発明の方法およびバイオマーカーは、症状の存在または非存在に関係なく、このような対象が疾患を発症するリスクがあると診断することを可能にするとすぐに理解されるだろう。したがって、本発明による方法は、対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかを決定することを可能にする。対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかに基づいて、療法を適用する、維持する、低減させる、増大させる、もしくは適用しないことも本発明の範囲内である。
対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルを対照レベルと比較することによってニーマン・ピック病の重篤度の決定が可能になることも本発明の範囲内である。対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルが対照レベルと比較して上昇している、増加している、または高い場合、これは、対象が重篤度の高い状況もしくは進行のニーマン・ピック病に罹患している、または重篤度の高い状況もしくは進行のニーマン・ピック病を発症するリスクがあることを示し、対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルが対照レベルと比較して減少している、または低い場合、これは、対象が重篤度の低い状況もしくは進行のニーマン・ピック病に罹患している、または重篤度の低い状況もしくは進行のニーマン・ピック病を発症するリスクがあることを示す。対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルを対照レベルと比較する工程が、前記対象におけるバイオマーカーのレベルを対照に由来する試料中で検出されたバイオマーカーのレベルと比較する工程を含む本発明のさらなる態様において、対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルが対照試料と比較して上昇している、増加している、または高い場合、これは、対象がニーマン・ピック病に罹患している、および/またはニーマン・ピック病を発症するリスクがあることを示し、ならびに/あるいは対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルが対照試料と比較して上昇している、増加している、または高い場合、これは、対象が重篤度の高い状況もしくは進行のニーマン・ピック病に罹患している、または重篤度の高い状況もしくは進行のニーマン・ピック病を発症するリスクがあることを示す。前記対照は、好ましくは、健常対象、ニーマン・ピック病に罹患している対象またはニーマン・ピック病症状に罹患する可能性のある対象、遺伝子SMPD1、NPC1、およびNPC2の変異についてまたは変異の組み合わせについての試験結果が陽性であった対象を含む群より選択される。遺伝子SMPD1、NPC1、およびNPC2の変異または変異の組み合わせは、対象が重篤度の高い状況もしくは進行または重篤度の低い状況もしくは進行のニーマン・ピック病C型を発症する見通しを示す。対照レベルが対照に由来する試料において決定される本発明のさらなる態様では、任意で、対照に由来する試料に特定の量の遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509が添加された後に、対照に由来する試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/または化合物509のレベルが決定される。
対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法であって、対象に由来する試料において、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509であるバイオマーカーを検出する工程を含み、好ましくは、対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルを決定する工程をさらに含み、より好ましくは、対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルをカットオフ値と比較する工程をさらに含み、高感度、すなわち、少なくとも99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の感度を示す方法を確立できたことは本発明者らの利点である。言い換えると、感度とは、陽性と正しく特定された実際の陽性の割合が高いことを意味し、疾患があると正しく特定されたニーマン・ピック病患者のパーセントが前述されたものと同じくらい高いことを意味する。対照的に、本明細書に記載の統計的検定において、特異度とは、陰性と正しく特定された陰性の割合、言い換えると、ニーマン・ピック病がないと正しく特定された健常患者のパーセントを意味する。したがって、当業者であれば、例えば、本発明による方法の一部の態様において、診断検査の最適な予測は、一般的に、100%の感度を実現する、すなわち、ニーマン・ピック病などの疾患を有する患者または前記疾患に罹患するリスクのある患者全員を、それぞれ、疾患を有する患者または前記疾患に罹患するリスクのある患者として予測することを目標とすることを認めるだろう。
本発明による方法の一態様において、少なくとも80.0%、85.0%、90.0%、95.0%、97.5%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の特異度が好ましい。本発明による方法の本発明のさらなる態様において、前記方法は、対象におけるニーマン・ピック病の進行状況とは無関係に対象におけるニーマン・ピック病を診断することを可能にする。より具体的には、本発明の方法は、ニーマン・ピック病の初期の状況を有する対象において、ならびにニーマン・ピック病の進行した、または進んだ状況を有する対象においてニーマン・ピック病を診断することを可能にする。
ニーマン・ピック病、より具体的には、ニーマン・ピック病A型およびB型、またはニーマン・ピック病C型またはニーマン・ピック病C型保因者を正しく診断する方法の検出力は、一般的に、この方法の感度、この方法の特異度、または受信者動作特性曲線(本明細書において「ROC曲線」とも呼ばれる)下の面積として測定される。ROC曲線は、診断方法の可能性のある異なるカットオフ値について偽陽性率に対して真の陽性率をプロットしたものである。ROC曲線は感度と特異度との関係を示す。感度は、試験によって陽性であると予測された真の陽性のパーセントであるのに対して、特異度は、試験によって陰性であると予測された真の陰性のパーセントである。ROC曲線は、1-特異度の関数としての試験の感度を示す。ROC曲線下面積が大きくなればなるほど試験の予測値が強力になる。したがって、感度の増加には特異度の減少が伴う。曲線がROC空間の左軸、次いで、上端に近づけば近づくほど、試験の正確度が高くなる。逆に、曲線がROCグラフの45度対角線に近づけば近づくほど、試験の正確度が低くなる。したがって、ROC下面積は試験の正確度の尺度である。試験の正確度は、試験が、試験されている群を、問題になっている疾患のある群および疾患のない群にどの程度うまく分離するかに左右される。1の曲線下面積(本明細書において「AUC」とも呼ばれる)は完璧な方法を表すのに対して、0.5の面積は有用でない方法を表す。したがって、本発明の好ましい診断方法のAUCは0.50超であり、より好ましい方法のAUCは0.9超であり、最も好ましい方法のAUCは0.97超である。
方法の有用性の他の有用かつ適切な尺度は陽性予測値および陰性予測値である。陽性予測値は、試験結果が陽性であったもののうち実際に陽性であったパーセントである。陰性予測値は、試験結果が陰性であったもののうち実際に陰性であったパーセントである。
当業者であれば、本発明による方法の特異度および/または感度は前記と同程度に高く、下記の実施例に記載のように決定されたが、本発明の方法により、ニーマン・ピック病を有する患者の試験結果が偽陰性になる、またはニーマン・ピック病を有しない患者の試験結果が偽陽性になる個々の症例は排除されない場合があることを認めるだろう。したがって、当業者であれば、バイオマーカーのレベルが、または2種類のバイオマーカーのレベルの比が、カットオフ値と比較され、前記カットオフ値との前記比較が、ニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者のうちのそれぞれ、ならびにそのいずれか1つを含む疾患を鑑別診断するのに用いられる本発明による方法に従って、前記カットオフ値は、ある特定の疾患を別の疾患と区別する前記バイオマーカーのレベルおよび/または前記比の値、例えば、対象がニーマン・ピック病A型またはB型を有することを示すバイオマーカーのレベルを、対象がニーマン・ピック病C型を有することを示すバイオマーカーのレベルならびに/または健常対象におけるレベルおよび/もしくは値と区別する前記バイオマーカーのレベルおよび/または前記比の値を表すことをすぐに認めるだろう。そうは言っても、ニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型、ならびに/またはニーマン・ピック病C型保因者を鑑別診断するための本発明の方法に従って、ニーマン・ピック病を有する患者の試験結果が偽陰性になる、またはニーマン・ピック病を有しない患者の試験結果が偽陽性になる、または本発明の方法を用いて型および/もしくは状況が誤って診断される個々の症例が排除されない場合があることも当業者に明らかである。
本発明による方法の特異度および感度を決定している間に前記の事例を考慮に入れると、特異度および感度は前記の値より低くなると考えられる。そうではあるが、当業者であれば、ニーマン・ピック病を診断するための方法について、前記で概説されたような高特異度および高感度は以前に述べられたことがないことも認めるであろう。したがって、実施例のパートにおいて報告された患者集団以外の患者集団、例えば、患者数の点で異なる集団が本発明の方法に供されれば、本発明の方法の感度および特異度が変化する場合があることに注目するのは重要である。バイオマーカーを特に用いた先行技術において公知の方法は、本発明による方法と比較して高い特異度および高い感度を実現しないと本発明者らは固く信じている。このことは、本発明の方法の検出限界が多くの健常対象における遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509のレベルの決定を可能にするので特に当てはまる。したがって、本発明の方法を適用して試験結果が偽陰性となった罹患対象は、前記の試験結果が偽陰性となった罹患対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルが、健常対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルと同じくらい高いという理由で試験結果が偽陰性となる。特に、バイオマーカーのレベルが低すぎて本発明の方法によって決定できなかったという理由で、前記の試験結果が偽陰性となった対象が、試験結果が陰性とならないことに注目するのは重要である。
本明細書で使用する物質、例えば、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509の「検出限界」は、好ましくは、物質レベルを決定するための方法によって決定された物質レベルである。前記検出限界より少ない、または前記検出限界より低いレベルは前記方法によって決定することができない。したがって、本明細書で使用する「カットオフ値」および「検出限界」は好ましくは同一であるとは限らないが、両方とも、物質、例えば、本発明のバイオマーカーのある特定のレベルを反映することがすぐに明らかになる。対照的に、カットオフ値は、好ましくは、方法の選択性および感度が可能な限り高くなるように選択されることがすぐに理解されると考えられる。これとは対照的に、検出限界は、前記バイオマーカーのレベルを決定するための方法を用いて検出することができるバイオマーカーの最小レベルを反映する、本発明の絶対的なバイオマーカーレベルを反映する。したがって、検出限界は、物質のレベルを決定するための方法、および前記方法によってレベルが決定される物質に左右されることがすぐに明らかになる。当業者であれば、試験によって陽性と予測された真の陽性のパーセンテージも、前記真の陽性についてバイオマーカーのレベルが決定され得るかどうかに左右されるので、高い検出限界、例えば、理想的なカットオフ値より高い検出限界が方法の低い感度をもたらす可能性があることをすぐに理解するだろう。言い換えると、検出限界が理想的なカットオフ値より高ければ、バイオマーカーのレベルがカットオフ値よりわずかに高い真の陽性は、バイオマーカーのレベルがカットオフ値より低い真の陰性と区別されない可能性がある。なぜなら、バイオマーカーのレベルがカットオフ値よりわずかに高い真の陽性とバイオマーカーのレベルがカットオフ値より低い真の陰性の両方について、バイオマーカーのレベルは決定されない可能性があるからである。したがって、低い検出限界が有利であることがすぐに明らかになる。したがって、低い検出限界が、高い選択性および感度で試料中に存在するバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む、対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法を可能にすることを示すことも本発明者らの利点である。本明細書で使用する「理想的なカットオフ値」は、好ましくは、本明細書に記載のカットオフ値であり、前記の理想的なカットオフ値を用いた前記方法の選択性および感度が最も高い。
本発明の方法によって対象における疾患または障害、好ましくは、ニーマン・ピック病を診断することによって前記方法を検証する工程;遺伝子の配列決定、好ましくは、遺伝子変異が疾患または障害を引き起こすと当業者に知られている遺伝子の配列決定、より好ましくは、ニーマン・ピック病C型およびニーマン・ピック病C型保因者の場合はNPC1遺伝子およびNPC2遺伝子、ならびにニーマン・ピック病A型およびB型の場合は遺伝子SMPD1の配列決定を含む遺伝子検査によって対象における疾患または障害、好ましくは、ニーマン・ピック病を診断する工程;ならびに前記方法および前記遺伝子検査の結果を比較する工程を含むことが本発明による方法の一態様である。本明細書で使用する健常対象は、好ましくは、対象が疾患または障害に関連した症状に罹患していなければ、および遺伝子検査の結果によって、遺伝子変異が疾患または障害を引き起こすと当業者に知られている遺伝子の変異がないことが明らかになれば、疾患または障害に関して健常とみなされる。健常対象はまた、ニーマン・ピック病の非存在ついての試験結果が陽性であった対象であると理解される。好ましい態様において、健常対象は、ニーマン・ピック病保因者でない対象であり、より好ましくは、ニーマン・ピック病C型保因者でない対象である。
本明細書で使用する、対象における「ニーマン・ピック病の状況を定量する」という用語は、好ましくは、対象におけるニーマン・ピック病の存在または非存在の特定または検出、対象におけるニーマン・ピック病の発症またはニーマン・ピック病の発症のリスクの予測、対象におけるニーマン・ピック病の経過の決定、対象におけるニーマン・ピック病の重篤度の決定および/または予測、対象がニーマン・ピック病の初期状況またはニーマン・ピック病の進行した、もしくは進んだ状況に罹患しているかどうかの決定、あるいは対象におけるバイオマーカーのレベルが有意に経時変化するかどうかの決定を含む群より選択される対象のバイオマーカープロファイルの分類を意味する。
本明細書で使用する「対象治療を管理する」または「対象管理」という用語は、好ましくは、ニーマン・ピック病の状況を決定した後の臨床家または医師の行為をいう。例えば、本発明による方法の結果が決定的でなければ、または状況の確認が必要な理由があれば、医師は、影響を受けるタンパク質の機能の検査、ならびに/またはSMPD1遺伝子、NPC1遺伝子、およびNPC2遺伝子それぞれの配列決定などの新たな試験を命じることがある。または、状況からニーマン・ピック病治療が妥当であると分かれば、医師は、対象にニーマン・ピック病A型およびB型またはニーマン・ピック病C型治療の予定を組み込むことがある。同様に、状況が陰性であれば、または結果から治療が成功したと分かれば、さらなる管理は必要でない場合がある。そうではあるが、当業者であれば、遺伝子療法に加えて任意の療法が適用されることを認めるだろう。さらに、対象治療の管理は、ニーマン・ピック病治療として適用される薬物の用量、例えば、患者に投与される、ERTにおいて適用される組換え酵素の単位の滴定(titrating)を含むことが本発明の一態様である。対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルが、および/または2種類のバイオマーカーのレベルの比が、いくつかの時点において決定される、あるいはバイオマーカーの他のレベル、カットオフ値、および/もしくは対照における前記バイオマーカーのレベル、ならびに/または2種類のバイオマーカーのレベルの比の別の値と比較される本発明の方法の一部の態様において、当業者は、ニーマン・ピック病を治療するために、もしくはニーマン・ピック病を治療しないために、またはニーマン・ピック病の治療を続けるために、療法を適用する、もしくは療法を適用しない、または既に適用されている療法を変更する。
バイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比のこのような比較から、例えば、前記バイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比が、例えば、カットオフ値より高いと分かれば、すなわち、患者がニーマン・ピック病を有すると診断されれば;または以前に同じ患者において決定されたレベルおよび/もしくは比の方が低いもしくは同じであると分かれば、すなわち、適用された療法が十分でなければ、すなわち、レベルが減少しなければ、当業者が投与量を適用する、および/または投与量を維持する、もしくは投与量を変更する、例えば、投与量またはさらに高い投与量を適用する、すなわち、投与量を増大させることは本発明の範囲内である。他方で、バイオマーカーのレベルおよび2種類のバイオマーカーのレベルの比のこのような比較から、例えば、前記バイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比が、例えば、カットオフ値より低いと分かれば、すなわち、患者がニーマン・ピック病を有しないと診断されれば;または以前に同じ患者において決定されたレベルおよび/もしくは比の方が高いと分かれば、すなわち、適用された療法が十分であれば、すなわち、レベルが減少すれば、当業者が投与量を適用する、もしくは適用しない、または投与量を維持するもしくは低減させる、例えば、投与量を適用しない、もしくはさらに低い投与量を適用する、すなわち、投与量を減少させる。本発明の一態様において、このような比較に基づいた比較的高い遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/または化合物509のレベルは、ERTにおいて適用される高い投与量の組換え酵素の適用を示す、および/またはこのような比較に基づいた比較的低い遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/または化合物509のレベルは、ERTにおいて適用される低い投与量の組換え酵素を適用することを示す。そうではあるが、当業者は患者の病歴を考慮し、すなわち、バイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比がカットオフ値より低くなるように、ニーマン・ピック病に罹患し、治療を受けている患者の対象治療を管理している当業者は、例えば、投与量を減少させずに、および本発明の方法のさらなる適用と適用の間の時間を延ばさずに治療を止めることを決断することはないこともすぐに理解されるだろう。
ニーマン・ピック病の経過は、疾患の経過中に異なる時点において対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルを決定することにより、および/または2種類のバイオマーカーのレベルの比を決定することにより、本発明による方法によって決定されてもよい。本発明によるニーマン・ピック病を診断するための方法の1回の適用はニーマン・ピック病の診断を可能にし、ある特定の態様では、対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、またはニーマン・ピック病を発症するリスクがあるかどうかの診断に基づいて対象治療を管理する工程を含むことに注目するのは重要である。対象試料が本発明の方法にこのように供される対象は、ニーマン・ピック病の罹患についてまたはニーマン・ピック病の発症リスクについての試験結果が陽性であれば、当業者であれば、対象治療の管理に関して決断するやり方、すなわち、どのように対象を治療するかを、例えば、ERTに関してある特定の用量の酵素を適用することを知っているだろう。対象治療を管理するやり方についての当業者の決断とは関係なく、当業者は、後の時点で本発明による方法の少なくとも1回のさらなる適用を決断し得ることがすぐに理解されるだろう。したがって、異なる時点で決定されたバイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比は比較されてもよいことが本発明の一態様である。異なる時点とは少なくとも2つの時点を意味する。いかなる理論にも拘束されるつもりはないが、本発明者らは、ある特定の患者に由来する試料中の本発明のバイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比が、患者から試料が採取された時点における前記患者における疾患の重篤度と相関付けられ得ると発見した。したがって、前の時点における試料において決定されたバイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比と比較して後の時点における試料において決定されたバイオマーカーのレベルが上昇しているおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比が上昇していることは、前の時点における対象の状況と比較して後の時点における対象の重篤度が高い状況を示すとすぐに理解されるだろう。前の時点における試料において決定されたバイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比と比較して後の時点における試料において決定されたバイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比が低いことは、前の時点における対象の状況と比較して後の時点における対象の重篤度が低い状況を示す。したがって、一局面において、本発明は、対象におけるニーマン・ピック病の経過を決定するための方法であって、いくつかの時点において、対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルを決定するおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比を決定する工程であって、バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509である工程を含む方法を提供する。さらなる局面において、本発明は、ニーマン・ピック病の罹患についてまたはニーマン・ピック病の発症リスクについての試験結果が陽性であった対象に適用された少なくとも1つの治療の有効性を決定するための方法であって、いくつかの時点において、対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルを決定するおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比を決定する工程であって、バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509である工程を含む方法に関する。したがって、本発明の方法は、本発明の方法の結果に基づいて、療法の選択、ならびに/または選択された療法の用量および/もしくは投与量の調節を可能にすることが当業者によってすぐに理解されるだろう。例えば、対象にニーマン・ピック病治療の予定が組み込まれれば、本発明による対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法は3ヶ月ごとに適用されてもよく、対象に適用された治療および/または療法の有効性を決定するために、このように決定されたバイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比が比較される。安定したバイオマーカーのレベルおよび/または安定した2種類のバイオマーカーのレベルの比がある期間にわたって維持されている状況に対象が達したら、本発明による対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法の適用の頻度を6ヶ月ごとに低減させてもよい。療法の投与量が変わったら、例えば、ERTにおいて適用される組換え酵素の単位が低減または増加されたら、本発明による対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法の適用の頻度を3ヶ月ごとに逆戻りさせてもよい。対象に由来する試料において決定されたバイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比を比較することによって、熟練した医師であれば、バイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比が増加している、減少しているかどうか、またはある期間にわたって安定したバイオマーカーのレベルおよび/または安定した2種類のバイオマーカーのレベルの比が維持されているかどうかを認めるであろう。したがって、熟練した医師は、本発明による方法を用いて決定されたバイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比の比較に従って、療法の投与量、例えば、ERTにおいて適用される組換え酵素の単位を低減させることを決断してもよく、療法の投与量を増加させることを決断してもよく、療法の投与量を維持することを決断してもよい。12ヶ月以内に遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/または化合物509のレベルが約60%低減することは、ニーマン・ピック病の療法が成功したことを示す。本明細書で使用する低減は、好ましくは、期間の終わりに決定された本発明の方法によって決定された遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/または化合物509のレベルが、前記期間の開始において決定された本発明の方法によって決定された遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/または化合物509のレベルと比較されることを意味する。したがって、熟練した医師は、適用された療法の投与量を低減させることを決断してもよく、療法の投与量を維持することを決断してもよい。遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/または化合物509のレベルの低減が有意に弱ければ、熟練した医師は療法の投与量を増加させることを決断してもよい。遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/または化合物509のレベルの低減が療法の有効性と相関関係にあると認めたことも本発明者らの利点である。期間内での、例えば、12ヶ月以内での遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/または化合物509のレベルの低減が強ければ強いほど、療法、例えば、ERT、SRT、またはシャペロンに基づく療法は成功している。したがって、本発明の方法は、対象に適用された療法または少なくとも2つの療法の有効性を比較するための方法であることが本発明のさらなる態様である。
したがって、当業者であれば、1人の対象におけるニーマン・ピック病の進行、すなわち経過、ならびに療法の有効性は、対象に由来する試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/もしくは化合物509のレベルを、ならびに/または2種類のバイオマーカーのレベルの比を頻繁に決定することによってモニタリングできることを認めるであろう。
さらなる局面において、本発明は、ニーマン・ピック病の罹患についてまたはニーマン・ピック病の発症リスクについての試験結果が陽性であった対象に適用された少なくとも1つの治療の有効性を決定するための方法であって、いくつかの時点において対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルを決定するおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比を決定する工程であって、バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509である工程を含む方法に関する。対象治療の管理に関して前記で概説されたものに関連して、当業者であれば、本発明の方法を適用して1種類の治療または少なくとも2種類の治療の組み合わせの有効性を比較できることをすぐに理解するだろう。したがって、本発明の方法によってニーマン・ピック病のいくつかの新たな薬物、剤形、投与量、または治療を試験および比較することは可能である。
本発明によるニーマン・ピック病を診断するための方法は、対象が以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことがあるかどうかに関係しないことが本発明の一態様である。したがって、対象に由来する試料は、以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことがある対象に由来する試料ならびに以前にニーマン・ピック病の治療を受けたことがない対象に由来する試料でもよい。したがって、本発明の方法が、対象治療を管理する工程、ならびに/または対象管理後の対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルを決定するおよび/もしくは2種類のバイオマーカーのレベルの比を決定する工程を含むことは本発明のさらなる態様である。前記対象管理は、対象がニーマン・ピック病に罹患している、もしくはニーマン・ピック病を発症するリスクがあるかどうかの診断;対象管理後の対象に由来する試料におけるバイオマーカーの検出;または対象管理後の対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルの決定および/もしくは2種類のバイオマーカーのレベルの比の決定に基づいてもよい。そうではあるが、当業者であれば、ニーマン・ピック病を有しない一部の患者の試料またはニーマン・ピック病の治療が成功した一部の患者の試料が、検出限界より低い遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび化合物509のレベルを示すことを理解するだろう。
いかなる理論にも拘束されるつもりはないが、本発明者らは、さらに、対象に由来する試料中に存在する遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび化合物509のレベルが、ならびに化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が、ニーマン・ピック病に罹患している対象における疾患の重篤度と相関関係があると考える。これに関連して、本発明者らは、原則として、遊離リゾスフィンゴミエリンのレベル、化合物509のレベル、および/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が特定の個体において異なるが、より具体的には、同じ変異を有する特定の個体において異なる場合があるが、遊離リゾスフィンゴミエリンのレベル、化合物509のレベル、および化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比がそれぞれ高ければ高いほど、臨床スコアによる統計平均の点から見てニーマン・ピック病の経過の重篤度はひどくなると考える。これによって、一般的にニーマン・ピック病の軽度または重度の経過を引き起こすことが知られているSMPD1遺伝子、NPC1遺伝子、およびNPC2遺伝子それぞれの別個の変異についての試験結果が陽性であった患者において、前記患者において決定された遊離リゾスフィンゴミエリンのレベル、化合物509のレベル、および/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が、このような変異に一般的に関連する重篤度と統計的に相関関係にあったので、遊離リゾスフィンゴミエリンのレベル、化合物509のレベル、および/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比はそれぞれニーマン・ピック病の重篤度と相関関係がある。
したがって、本発明の異なる局面のさらなる態様は、対象におけるニーマン・ピック病の重篤度を決定するための方法であって、以下の工程を含む方法に関する:
(a)対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルを決定するおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比を決定する工程であって、バイオマーカーは遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509である工程、ならびに
(b)ニーマン・ピック病の重篤度を決定する工程、例えば、好ましくは、本発明の方法によって決定された、対象における遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/もしくは化合物509のレベルをならびに/または2種類のバイオマーカーのレベルの比を臨床スコアと比較することによってニーマン・ピック病の重篤度を決定する工程。
これに関連して、本発明の方法に供されたそれぞれの遺伝子(ホモ接合性および複合ヘテロ接合性)の配列決定時にニーマン・ピック病の重度の経過と通常関連する変異を示すニーマン・ピック病に罹患している患者に由来する試料において遊離リゾスフィンゴミエリンのレベル、化合物509のレベル、および/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比がそれぞれ決定された場合に、遊離リゾスフィンゴミエリンのレベル、化合物509のレベル、および/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比の平均がそれぞれ、同じ方法を適用した、それぞれの遺伝子の配列決定時に、ニーマン・ピック病の軽度の経過と通常関連する変異を示すニーマン・ピック病に罹患している患者に由来する試料において決定された遊離リゾスフィンゴミエリンのレベル、化合物509のレベル、および/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比それぞれの平均より高いことに気付くことは重要である。本明細書で使用する「ニーマン・ピック病の重度の経過と通常関連する変異」は、好ましくは、ニーマン・ピック病の重度の経過を引き起こすことが知られている。これは、対象が前記変異に関してホモ接合性である場合に特に当てはまる。これと一致して、一態様において、ニーマン・ピック病の軽度の経過と通常関連するホモ接合性変異と比較して高い、遊離リゾスフィンゴミエリンのレベル、化合物509のレベル、および/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比の平均がそれぞれホモ接合性において決定された。さらに、ニーマン・ピック病の重度の経過と通常関連する複合ヘテロ接合性を有する患者の遊離リゾスフィンゴミエリンレベル、化合物509のレベル、および/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比はそれぞれホモ接合性患者より有意に低い。当業者であれば、ニーマン・ピック病の重篤度もしくは症状またはその症状の全体を分類するための臨床スコアを知っているだろう。したがって、本発明の方法に従って決定されたバイオマーカーのレベルに基づいて患者におけるニーマン・ピック病の経過が予測され、より具体的には、ニーマン・ピック病の重篤度が決定されることが本発明の方法の一態様である。
当業者であれば、対象に由来する試料において決定され、前記のようにニーマン・ピック病の重篤度と相関付けられた本発明のバイオマーカーのレベルは、ある特定の療法および/または前記療法の用量もしくは投与量の適用を示すことを認めるであろう。例えば、本発明の方法に従って決定されたバイオマーカーのレベルおよび/または2種類のバイオマーカーのレベルの比が「重篤な」ニーマン・ピック病の状況と相関付けられれば、対象はニーマン・ピック病治療の予定が組み込まれ、本発明による対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法は3ヶ月ごとに適用されてもよく、対象に適用された治療および/または療法の有効性を決定するために、このように決定されたバイオマーカーのレベルが比較される。バイオマーカーのレベルおよび/もしくは2種類のバイオマーカーのレベルの比がそれぞれ「軽度の」ニーマン・ピック病と相関付けられている状況、または安定したレベルおよび/もしくはバイオマーカーの比がある期間にわたって維持されている状況に対象が達したら、本発明による対象におけるニーマン・ピック病を診断するための方法の適用の頻度を6ヶ月ごとに低減させてもよい。
別の局面において、本発明は、ニーマン・ピック病を治療するための組成物の有効性を決定する方法に関する。このような方法は、ニーマン・ピック病を有する対象における、遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/もしくは化合物509のレベルを、ならびに/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比をそれぞれ決定する工程;前記化合物の有効性を決定するのに十分な量の前記化合物を前記対象に投与する工程;前記対象における、遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/もしくは化合物509のレベルを、ならびに/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比をそれぞれ再び決定する工程;前記組成物の投与の前後に決定された、遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/もしくは化合物509のレベルを、ならびに/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比をそれぞれ比較する工程を含んでもよく、前記組成物の投与後に決定された、遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/もしくは化合物509のレベルが、ならびに/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比が、前記組成物の投与後に決定された、遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび/もしくは化合物509のレベルと比較して低いこと、ならびに/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比と比較して小さいことはニーマン・ピック病を治療するための前記化合物の有効性を示す。
ニーマン・ピック病は主に小児に罹患し、若年齢および予測不可能な年齢で死亡することが多く、多くは出生して数ヶ月または数年で死亡する。他の多くの小児は、特定の障害の様々な症状に罹患して数年たった後に、この疾患で死亡する。
ニーマン・ピック病、好ましくは、ニーマン・ピック病C型を診断するための好ましいバイオマーカーを用いると、対象の年齢に関係なく高感度および高特異度でニーマン・ピック病、好ましくは、ニーマン・ピック病C型を診断することが可能になる。
本発明のバイオマーカーが、対象の年齢に関係なく対象におけるニーマン・ピック病を診断するのに有用であると発見したことは本発明者らの利点である。したがって、本発明の方法が、年齢に関係なく対象におけるニーマン・ピック病を診断することを可能にすることが本発明の一態様である。本発明の方法の好ましい態様において、対象は若年齢の対象である。本明細書で使用する若年齢の対象は、好ましくは、30歳未満、より好ましくは、20歳未満、最も好ましくは、10歳未満の対象である。
これより本発明を以下の図および実施例によってさらに例示する。以下の図および実施例から、さらなる特徴、態様、および利点が選ばれ得る。
化合物465のレベルをng/ml血漿で示したボックスプロットである。 化合物509のレベルをng/ml血漿で示したボックスプロットである。 化合物509のレベル 対 化合物465のレベルの比を示したボックスプロットである。 図4A、4B、および4Cは、NP A型およびB型を診断するための受信者動作特性(ROC)を示したグラフである。 図5A、5B、および5Cは、NP C型を診断するための受信者動作特性(ROC)曲線を示したグラフである。 NP C型保因者を診断するための化合物465および化合物509の受信者動作特性(ROC)曲線を示したグラフである。 時間の関数としての、合計6人のニーマン・ピック病C型患者および1人のニーマン・ピック病C型保因者の本発明のバイオマーカーの血漿中レベルを示した図である。 図8Aは、健常対象の遊離リゾスフィンゴミエリン、化合物509、およびISのピーク強度を示したHPLC-質量分析クロマトグラムである。図8B、8C、8D、および8Eは、ニーマン・ピック病C型患者の遊離リゾスフィンゴミエリン、化合物509、およびISのピーク強度を示したHPLC-質量分析クロマトグラムである。 図9A、9B、9C、および9Dは、患者の年齢に従って化合物465または化合物509のレベルをng/ml血漿で示したボックスプロットまたは散布図である。
以下に記載の実施例では、対象に由来する試料としてヒト血漿を使用した。そうではあるが、当業者であれば、例えば、唾液、液、血漿、血清、全血(full blood)、乾燥血液フィルターカード(dry blood filter card)上にある血液、または別の血液製剤を含む、対象に由来する試料の使用されたタイプに応じて、本発明の方法を試料タイプに合わせなければならず、さらに、以下の実施例に記載の方法に従って、それぞれの試料タイプについてカットオフ値を決定しなければならないことを認めるであろう。本発明者らは、ヒト血清試料およびヒト血漿試料が同じ対象に由来し、同じ時点で採取され、試料が同時に測定されれば、ヒト血漿試料の代わりに、下記のように方法においてヒト血清試料を用いても、遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび化合物509のレベルそれぞれについて同一の結果が得られる、より具体的には、同じカットオフ値が得られることを発見した。
実施例1:ヒト血清において遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509を検出するための方法
機材
対象に由来する血漿試料中にある遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または本明細書において化合物509とも呼ばれる、ポジティブモードで509m/zから184m/zへのMRM移行として検出される分子量508の物質を検出するために、以下の機材を使用した。
Figure 0006243846
試薬
対象に由来する血漿試料において遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509を検出するために、以下の試薬を使用した。
値(例えば、pH値)が温度に左右される限りにおいては、このような値を温度25℃で求めた。
Figure 0006243846
本明細書で使用する「p.a.」という略語は「プロアナリシス(pro analysis)」を意味する。
本明細書で使用する「purum」という用語は、好ましくは、前記で特定された値の純度を有する商業グレードの化合物を意味する。
本明細書で使用するASTM-Iは、逆浸透および紫外線(UV)酸化を含む精製法によって達成される水グレード標準純度(water grade standard purity)をいう。
較正標準の調製
2.16mgのリゾスフィンゴミエリン(Matreyaによって送付された、提示された純度95.1%)を5mLのMeOH/水(1:4;v/v)に溶解することによってリゾスフィンゴミエリンストック溶液を調製した。
この後に、以下に表示したように、74μLのリゾスフィンゴミエリンストック溶液および5mLのMeOH/水(1:4;v/v)の混合物として溶液V1-Aを調製した。
Figure 0006243846
この後に、溶液V1-Aまたは高濃度の較正標準を溶媒MeOH/水(1:1;v/v)にスパイキングすることによって較正標準を調製した。
詳細なスパイキング計画を以下に表示する。
Figure 0006243846
較正のために、2.00〜200ng/mLの5つの濃度レベルを有する前述の較正標準を全て使用した。
対照試料の調製
溶液V1-Aをブランクマトリクスにスパイキングすることによって対照試料を調製した。
詳細なスパイキング計画を以下に表示する。
Figure 0006243846
*ネイティブ濃度は10ng/mL未満であり、したがって、QC-B1-NPCレベルはほとんど影響を受けない。
ブランクマトリクス
ブランクマトリクスとして健常対象のヒト血漿を使用した。当業者であれば、健常対象に由来する前記血漿が遊離リゾスフィンゴミエリンのネイティブレベルおよび/または化合物509のネイティブレベルを含有することを認めるであろう。遊離リゾスフィンゴミエリンの前記ネイティブレベルは本発明の方法によれば約3.9ng/mlである。したがって、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509の前記ネイティブレベルをそれぞれ含むブランクマトリクスのスパイキングによって調製された対照試料が、濃縮溶液または高濃度の対照試料によるスパイキングによって得られた遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509のレベルに加えて、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509の前記ネイティブレベルも含むことは明らかである。したがって、対照試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンレベルは以下の通りである。
QC-B1-NPC 100ng/mL+ブランクマトリクスにおけるネイティブ濃度
当業者であれば、ブランクマトリクスとして用いられた健常対象のヒト血漿は当業者に公知の任意の商業的供給業者において購入できること認めるであろう。非健常対象、すなわち、ニーマン・ピック病を有する対象の血漿がブランクマトリクスとして間違って用いられたら、これが、本発明による方法によって決定された対照試料中の異常に高い遊離リゾスフィンゴミエリンまたは化合物509のレベルをもたらすことに注目するのは重要である。したがって、この方法の許容範囲は、本発明による方法に供される対象の推定レベルの±15%の範囲内にあるとすぐに認められる。
試験試料
内部標準の調製
リゾGb2(Matreyaによって送付された)1.00mgをDMSO/MeOH(1/1;vol/vol)2mLに溶解することによって内部標準(IS1)ストック溶液を調製した。
この後、内部標準標準溶液をIS1ストック溶液410μLおよびエタノール500mLの混合物として調製した。エタノールは任意の商業的供給業者から購入することができる。エタノールは、本明細書に記載の方法に適したグレードを有する無水エタノールである。当業者であれば、試料に前記内部標準標準溶液100μLを添加するのであれば、試料50μlに含まれているタンパク質は沈殿しなければならないと認めるだろう。
試料および溶液の保管
対照試料または試験試料を-20℃より低い温度ですぐに保管した。または、アリコートを新しいガラスバイアルに移した後に、同じ条件下で保管した。
濃縮溶液(ストック溶液、V1-A-534など)ならびに内部標準ストック溶液を次のスパイキングまで-20℃より低い温度で凍結した。
内部標準標準溶液を使用するまで2℃〜8℃で保管した。
いかなる理論にも拘束されるつもりはないが、本発明者らは、前述された溶液中で遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509がそれぞれ安定していると考える。より正確には、本発明による方法によって決定されたニーマン・ピック病患者の血漿試料および/または血清試料のリゾスフィンゴミエリンレベルおよび化合物509レベルは、37℃で2日間、保管される前および保管された後に前記試料中で遊離リゾスフィンゴミエリンレベルおよび化合物509レベルがそれぞれ決定された場合に、同一であることが見出される。したがって、本発明の溶液および試料は当業者に周知の多くのやり方で輸送することができる。患者材料の輸送にはコールドチェーンの使用が好ましいが、必ずしも必要されるとは限らない。当業者であれば、溶液および試料を適切に保管するための方法およびこれらのそれぞれの条件も知っているだろう。例えば、前記の溶液および試料は数週間保管されてもよい。
分析のための試料調製
分析バッチにおいて使用する全ての試料を、以下の通り分析のために調製した:
凍結試料を、周囲条件から選んだ水浴中で約20〜25℃で解凍した。解凍後、試料を混合した。
50μLの試料を試料バイアルに移した。
100μLの内部標準標準溶液(EtOH中)を試料に添加した。
この後に、このように得られた混合物を、DVX-2500マルチチューブボルテックス装置を用いて2500rpmで約30秒間、混合した。
相分離のために、このように得られた混合物を4000rpmで2分間、遠心分離した。
注入目的に十分な一定量(約100μL)の上清を適切な(コニカル)オートサンプラーバイアルに移した。
方法
クロマトグラフィーパラメータおよびオートサンプラーパラメータ
この後、前記のように分析のために調製した試料を以下に記載の方法に供した。
Figure 0006243846
本明細書において使用したACE 3 C8カラム(ACE C8カラムNr.ACE-112-0502)は、Advanced Chromatography Technologies, Aberdeenから購入された。
本明細書で使用するシーケンスは、好ましくは、規定された数、好ましくは、連続して分析される最大250個の試料からなるバッチである。流速および温度を含むパラメータは変化しない。シーケンス間で行われる調整および較正は当業者に公知であり、カラムの交換を含む。
明記された限界の範囲内でのこれらの調整はわずかな変化であり、測定ステーションにおいて試験の生データに記録される。
検出
この後に、このように調製された試料を検出方法に供した。検出方法のパラメータを以下に記載した。
Figure 0006243846
当業者であれば、質量分析を用いて、対象に由来する試料において遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509を検出するための方法および/または遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509のレベルを決定するための方法は、対象に由来する前記試料における遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509の特異的な検出および/または定量を可能にする他の移行および断片も使用し得ることを認めるであろう。
結果の評価および計算
前記の明記された方法を用いて得られた結果を評価および計算するために、以下のプロトコールを適用した。
丸め手順
クロマトグラフィーデータシステム(CDS)に送り出され、取り出された濃度データを有効数字5桁に丸めた。さらに、スプレッドシートの中の計算値を完全な計算精度まで行い、その後に、報告しようとする有効桁/小数位に丸めた。したがって、丸めによって、中間結果のずれが引き起こされたかもしれない。正確度および変動係数(CV)をそれぞれ小数第1位および小数第2位で報告する。
丸め手順に関する注意点:報告された桁の数字よりも下の桁の数字が「5」以上であった場合、報告された桁に切り上げられた。
回帰および統計値
較正標準に基づいて、データ処理ソフトウェアを用いて、ピーク面積比(対象に由来する試料にそれぞれ含まれる遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509のピーク面積/内部標準のピーク面積)によって較正曲線フィッティングを証明した。遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509の濃度を、内部標準法A二次方程式(y=ax2+bx+c)回帰モデルを用いて評価した。評価しようとする全てのバッチにある、それぞれの分析物の濃度を計算するために、重み係数(weighting factor)1/conc.を使用する。濃度を以下の式によって計算した。
Figure 0006243846
これに基づいて、平均値、精度の結果(CVで表した)、および正確度(式を以下に示した)をプログラム「Lotus123」を用いて計算する。
Figure 0006243846
適切な統計モデルは、例えば、
Green, J.R., Statistical Treatment of Experimental Data (Elsevier, New York, 1977), page 210 ff
Lothar Sachs, Angewandte Statistik - Anwendung statistischer Methoden (Springer, Berlin, Heidelberg, New York, Tokyo 1984)
に記載されている。
当業者であれば、未知の分子構造を有する物質によって参照物品が合成されないことを認めるだろう。したがって、このような物質の評価は、それぞれの試料に添加された内部標準とのピーク面積比ならびに患者と健常者との比較に基づく。
ソフトウェア
データ習得、データ処理、統計値および計算は、Analyst(登録商標)ソフトウェア1.4.2以上(AB SCIEX, USA/Canada)ならびにLotus 1-2-3 97以上(Lotus Corp, USA)を用いて行った。
ハンドブック
- ハンドブック
Arbeiten mit SmartSuite 97(Lotus Development Corp., 1997)。
- 使用したソフトウェアドキュメンテーション
Documentation of Analyst(登録商標) Software (AB SCIEX, USA/Canada):
Operator's Manual & Operator's Manual Addendum 「New Functionality in Analyst 1.2」およびOnline Help System Analyst 1.4(またはそれ以上)。
実施例2:試験参加者の遺伝子検査および分類
試験参加への患者の同意を得た後に、患者を遺伝子SMPD1、NPC1、およびNPC2の変異の遺伝子検査に供した。したがって、Seeman et al.(Seeman et al., 1995)に従って、5〜10mlのEDTA血液を配列決定した。さらに、遺伝子SMPD1、NPC1、およびNPC2に加えて適切な他の遺伝子を特に対照において配列決定した。前記の遺伝子検査を、年齢および性別が同じ対照患者の試験試料を用いて調整した。
304人の対象に由来する448個の血漿試料を分析した。より正確には、274人の患者については1個の血漿試料、14人の患者については2個の血漿試料、16人の患者については2個より多い血漿試料を利用することができた。
前記の遺伝子検査の結果に従って、試験に参加した患者を以下の群に分類した。
1.) ニーマン・ピック病A型またはB型を有する患者。診断のためのゴールドスタンダードは、ホモ接合性または複合ヘテロ接合性のいずれかのSMPD1遺伝子内の2個の病原性変異を検出することであった(図中では「ニーマン・ピックA型/B型」という名で群を呼んだ)。
2.) ニーマン・ピック病C型を有する患者。診断のためのゴールドスタンダードは、ホモ接合性または複合ヘテロ接合性のいずれかのNPC1遺伝子またはNPC2遺伝子内の病原性変異を検出することであった(図中では「ニーマン・ピックC型」という名で群を呼んだ)。
3.) NPC1遺伝子またはNPC2遺伝子内の1個の変異のヘテロ接合性保因者である患者(典型的には罹患患者の親類)(図中では「ニーマン・ピックC型保因者」という名で群を呼んだ)。
4.) 対照として他のリソソーム貯蔵障害を有する患者(図中では「他のLSD」という名で群を呼んだ)。これは特にクラッベ病を有する患者を含む。ゴーシェ病についての試験結果が陽性であった患者を別々にグループ分けした。診断は全て2個の病原性変異の検出によって証明された。
5.) 年齢および性別が同じ健常対照(図中では「対照」という名で群を呼んだ)。
304人の患者の性別分布を表1bに示した。
(表1b)性別により分類された304人の対象
Figure 0006243846
以下の表1Cは、304人の患者の年齢分布および前述の遺伝子検査の結果ならびに前記患者の性別に基づく前記患者の分類を示す。
(表1c)304人の対象の患者特徴
Figure 0006243846
前記304人の対象の試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509のレベルは、実施例1に記載の方法に従って決定した。表1dは、前記304人の対象の前記試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルおよび化合物509のレベルならびに化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比の平均および中央値を示す。
(表1d)異なる群における中央値(および四分位数範囲)の値
Figure 0006243846
遺伝子分析による分類に従って、前記患者に由来する試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルを図1に示した。
図1は、遊離リゾスフィンゴミエリン、すなわち、化合物465のレベルを示したボックスプロットである。y軸は、本発明による方法によって患者血漿中に決定された、遊離リゾスフィンゴミエリンの対数化したレベルをng/mlで示す。x軸は患者群(dgn)を示し、実施例2に記載のようにグループ化されている。ボックスプロットは、ボックスの下端により各患者群の25パーセンタイル、ボックスの上端により各患者群の75パーセンタイルを表す。ボックスの真ん中付近にあるバンドは各群の50パーセンタイル(すなわち、中央値)を表す。ひげはデータの平均からの±1標準偏差を表す。ひげの間に含まれないデータは小さな丸または星を付けて外れ値として示した。
処理された症例は以下の通りであった。
Figure 0006243846
遺伝子分析による分類に従って、前記患者に由来する試料中の化合物509のレベルを図2に示した。
図2は、化合物509のレベルを示したボックスプロットである。y軸は、本発明による方法によって患者血漿中に決定された、化合物509の対数化したレベルをng/mlで示す。x軸は患者群(dgn)を示し、実施例2に記載のようにグループ化されている。ボックスプロットは、ボックスの下端により各患者群の25パーセンタイル、ボックスの上端により各患者群の75パーセンタイルを表す。ボックスの真ん中付近にあるバンドは各群の50パーセンタイル(すなわち、中央値)を表す。ひげはデータの平均からの±1標準偏差を表す。ひげの間に含まれないデータは小さな丸または星を付けて外れ値として示した。
処理された症例は以下の通りであった。
Figure 0006243846
遺伝子分析による分類に従って、前記患者に由来する試料中の化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比を図3に示した。
図3は、y軸に、本発明による方法によって患者血漿中に決定された化合物509のレベル 対 化合物465の比を示したボックスプロットである。x軸は患者群(dgn)を示し、実施例2に記載のようにグループ化されている。ボックスプロットは、ボックスの下端により各患者群の25パーセンタイル、ボックスの上端により各患者群の75パーセンタイルを表す。ボックスの真ん中付近にあるバンドは各群の50パーセンタイル(すなわち、中央値)を表す。ひげはデータの平均からの±1標準偏差を表す。ひげの間に含まれないデータは小さな丸または星を付けて外れ値として示した。
処理された症例は以下の通りであった。
Figure 0006243846
前記のように遺伝子検査において得られた結果に従ってニーマン・ピック病C型患者として分類された患者におけるNPC1遺伝子の変異のタイプおよび変異のタイプの分布を以下の表2Aに示した。
(表2A)ニーマン・ピック病C型患者において検出された変異の分布。72回の測定のうち48回が有効である/36人の個体(1個体あたり2回の測定)。
Figure 0006243846
Figure 0006243846
前記のように遺伝子検査において得られた結果に従ってニーマン・ピック病A型/B型患者として分類された患者におけるSMPD1遺伝子の変異のタイプおよび変異のタイプの分布を以下の表2Bに示した。
(表2B)ニーマン・ピック病A型/B型患者において検出された変異の分布。36回の測定のうち34回が有効である/18人の個体(1個体あたり2回の測定)。
Figure 0006243846
実施例3:バイオマーカーとして遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/または化合物509を使用したニーマン・ピック病の診断
前記の実施例1に記載のプロトコールを用いて、304人の対象に由来する448個の血漿試料のHPLC-質量分析クロマトグラムを作製した。4人のニーマン・ピック病C型患者および1人の健常対照者の遊離リゾスフィンゴミエリンおよびISのピーク強度を示した例示的なHPLC-質量分析クロマトグラムを、図8A、図8B、図8C、図8D、および図8Eに図示した。
より具体的には、図8Aは、分単位での保持時間の関数としての、健常対象に由来する試料の遊離リゾスフィンゴミエリン(上パネル)、化合物509(中央パネル)、およびIS(下パネル)のピーク強度をcpsで示したHPLC-質量分析クロマトグラムを示す。図8B、図8C、図8D、および図8Eは、分単位での保持時間の関数としての、健常対象に由来する試料の遊離リゾスフィンゴミエリン(上パネル)、化合物509(中央パネル)、およびIS(下パネル)のピーク強度をcpsで示したHPLC-質量分析クロマトグラムを示す。本明細書で使用する物質の保持時間は好ましくはx軸に図示され、本発明による溶質、例えば、バイオマーカーおよび/または内部標準の注入時間と前記溶質のピーク最大の溶出時間との間の経過時間である。当業者であれば、本明細書に記載の方法による物質の保持時間は前記溶質の独特の特徴であり、特定に使用できることを認めるであろう。実施例1に記載のように、内部標準としてリゾGb2を含む内部標準標準溶液を試料に添加した。したがって、試料へのISの前記添加、すなわち、本発明による方法に供される試料のスパイキングを行い、前記HPLC-質量分析クロマトグラムにおいて内部標準のピーク下面積、すなわち、ピーク面積を求めることによって、ピーク面積と、物質、例えば、ISおよび/またはバイオマーカーの濃度との関係を計算できると理解することが重要である。前記試料中のIS濃度は既知である。より正確には、当業者であれば、HPLC-質量分析クロマトグラム、例えば、図8A、図8B、図8C、図8D、または図8Eに図示したHPLC-質量分析クロマトグラムに図示した物質のピーク面積が、HPLC-質量分析に供された前記物質の量の尺度であることを認めるであろう。さらに、当業者であれば、前記方法によって量が決定される遊離リゾスフィンゴミエリンのピーク面積 対 IS、例えば、遊離リゾGb2のピーク面積の比;ならびに前記方法ならびに前記遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/またはISを用いて作成された較正曲線を用いて、HPLC-質量分析に供された対象に由来する試料中の物質の量、例えば、本発明の方法に供された試料中の遊離リゾスフィンゴミエリンの量を計算できるだろう。したがって、この後に、遊離リゾスフィンゴミエリンレベルの決定が可能になる。化合物465に関して、<lloqは、検出限界の半分を意味する0.02に置き換えられている。
異なるバイオマーカーの診断値を比較するために、およびバイオマーカー間の相関関係を計算するために、まず最初に、本発明者らは、患者全員について全マーカーの最初に測定された値を使用することによってデータをまとめた。
2種類のバイオマーカーを比較するために対標本(paired sample)統計法を使用した。この方法は、AUCがマンホイットニーU統計値と数学的に等価であることを利用する(Delong E.R., Delong D.M., Clarke-Pearson D.L., 1988, Biometrics, 44, 837-45.)。
ニーマン・ピック病患者をニーマン・ピック病のない患者と区別するために、ならびにニーマン・ピック病C型患者をニーマン・ピック病A型/B型患者と区別するために、前記の実施例1に記載の方法によって得られた異なるバイオマーカー(遊離リゾスフィンゴミエリン、化合物509)のレベルの正確度ならびに本発明による2種類のバイオマーカーの比の正確度を受信者動作特性(ROC)曲線分析を用いて評価した(Metz C.E.,1978, Semin Nucl Med, 8, 283-98; Zweig M.H., Campbell G., 1993, Clin Chem, 39, 561-77)。
ROC曲線は、PASW Statistics 18, Release Version 18.0.2 ((著作権) SPSS, Inc., 2009, Chicago, IL, www.spss.com)を用いて計算した。ROC曲線および線型混合モデルの比較は、SAS software, Version 9.2 of the SAS System for Windows. ((著作権) 2008 SAS Institute Inc., Cary, NC, USA)を用いて行った。
図4、図5、および図6に示したROC曲線に図示した結果から、遊離リゾスフィンゴミエリンの異なるカットオフ値に応じた、本発明による方法の特異度および感度も分かる。遊離リゾスフィンゴミエリンの曲線下面積(AUC)および95%信頼限界を表3に報告する。
図4A〜Cは、NP A型およびB型を診断するための受信者動作特性(ROC)曲線を示したグラフである。x軸は「1-特異度」を表し、y軸は感度を表す。
図4Aは、NP A型およびB型を診断するための化合物465および化合物509のROC曲線を示す。ROC曲線間の差を検定することによって0.363のp値が得られた。実線で示した化合物465のROC曲線は0.9628のAUCを反映するのに対して、点線で示した化合物509のROC曲線は0.9916のAUCを反映する。グラフは合計303人の患者の診断に基づく。このうち18人は、本明細書の実施例2に記載のように遺伝子検査によってNP A型/B型についての試験結果が陽性であった。
図4Bは、NP A型およびB型を診断するための化合物465ならびに化合物509のレベル 対 化合物465のレベルの比のROC曲線を示す。ROC曲線間の差を検定することによって0.0083のp値が得られた。実線で示した化合物465のROC曲線は0.9669のAUCを反映するのに対して、点線で示した化合物509のROC曲線は0.9903のAUCを反映する。グラフは合計146人の患者の診断に基づく。このうち15人は、本明細書の実施例2に記載のように遺伝子検査によってNP A型/B型についての試験結果が陽性であった。
図4Cは、303件の試料のNP A型およびB型を診断するための化合物509および化合物509のレベル 対 化合物465のレベルの比のROC曲線を示す。18件がNPC A型/B型陽性であり、ROC曲線間の差をワルド(Wald)検定することによってp<0.0001のp値が得られた。実線で示した化合物509のROC曲線は0.9916のAUCを反映するのに対して、点線で示した化合物509のレベル 対 化合物465のレベルの比のROC曲線は0.8520のAUCを反映する。グラフは合計303人の患者の診断に基づく。このうち18人は、本明細書の実施例2に記載のように遺伝子検査によってNP A型/B型についての試験結果が陽性であった。
図5A〜Cは、NP C型を診断するための受信者動作特性(ROC)曲線を示したグラフである。x軸は「1-特異度」を表し、y軸は感度を表す。
図5Aは、NP C型を診断するための化合物465および化合物509のROC曲線を示す。ROC曲線間の差を検定することによって0.0003のp値が得られた。実線で示した化合物465のROC曲線は0.8944のAUCを反映するのに対して、点線で示した化合物509のROC曲線は0.9371のAUCを反映する。グラフは合計303人の患者の診断に基づく。このうち36人は、本明細書の実施例2に記載のように遺伝子検査によってNP C型についての試験結果が陽性であった。
図5Bは、NP C型を診断するための化合物465および化合物509のレベル 対 化合物465のレベルの比のROC曲線を示す。ROC曲線間の差を検定することによって0.0001のp値が得られた。実線で示した化合物465のROC曲線は0.8685のAUCを反映するのに対して、点線で示した化合物509のレベル 対 化合物465のレベルの比のROC曲線は0.9654のAUCを反映する。グラフは合計303人の患者の診断に基づく。このうち36人は、本明細書の実施例2に記載のように遺伝子検査によってNP C型についての試験結果が陽性であった。
図5Cは、NP C型を診断するための化合物509および化合物509のレベル 対 化合物465のレベルの比のROC曲線を示す。ROC曲線間の差を検定することによって0.0065のp値が得られた。実線で示した化合物509のROC曲線は0.9371のAUCを反映するのに対して、点線で示した化合物509のレベル 対 化合物465のレベルの比のROC曲線は0.9800のAUCを反映する。グラフは合計303人の患者の診断に基づく。このうち36人は、本明細書の実施例2に記載のように遺伝子検査によってNP C型についての試験結果が陽性であった。
図6は、NP C型保因者を診断するための化合物465および化合物509の受信者動作特性(ROC)曲線を示したグラフである。グラフは合計146人の患者の診断に基づく。このうち、本明細書の実施例2に記載のように遺伝子検査によってNP C型保因者についての試験結果が陽性であった。x軸は「1-特異度」を表し、y軸は感度を表す。ROC曲線間の差を検定することによって0.5991のp値が得られた。実線で示した化合物465のROC曲線は0.7468のAUCを反映するのに対して、点線で示した化合物509のROC曲線は0.6984のAUCを反映する。
(表3)NPCに関する異なるバイオマーカーの感度および特異度
Figure 0006243846
したがって、以下の表4は、遊離リゾスフィンゴミエリンの様々なカットオフ値に応じた本発明による方法の感度および特異度を示す。
したがって、本発明による方法によって決定された対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルを、カットオフ値、好ましくは、特異度および高感度の診断を可能にするカットオフ値と比較することによって、前記対象におけるニーマン・ピック病を診断することが可能になる。カットオフ値と比較して、対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルが上昇していることは、対象がニーマン・ピック病に罹患している、またはニーマン・ピック病を発症するリスクがあることを示す。カットオフ値と比較して、対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルが低いことは、対象がニーマン・ピック病に罹患していない、またはニーマン・ピック病を発症するリスクがないことを示す。
したがって、本発明による方法によって決定された対象に由来する試料中の2種類のバイオマーカーのレベルの比を、カットオフ値、好ましくは、特異度および高感度の診断を可能にするカットオフ値と比較することによって、前記対象におけるニーマン・ピック病を診断することが可能になる。カットオフ値と比較して、対象に由来する試料中の2種類のバイオマーカーのレベルの比が上昇していることは、対象がニーマン・ピック病に罹患している、またはニーマン・ピック病を発症するリスクがあることを示す。カットオフ値と比較して、対象に由来する試料中の2種類のバイオマーカーのレベルの比が低いことは、対象がニーマン・ピック病に罹患していない、またはニーマン・ピック病を発症するリスクがないことを示す。
したがって、表3では、対象に由来する試料におけるニーマン・ピック病、より具体的には、異なるタイプのニーマン・ピック病を診断するための方法においてバイオマーカーとして使用した遊離リゾスフィンゴミエリンの感度および特異度を異なるカットオフ値を用いて比較した。遊離リゾスフィンゴミエリンを本発明の方法に従って決定した。それぞれのバイオマーカーおよび疾患について理想的なカットオフ値を前記の表3から選ぶことができる。
当業者であれば、ニーマン・ピック病を診断するための、バイオマーカーとして遊離リゾスフィンゴミエリンおよび/もしくは化合物509を使用した、ならびに/または化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比を使用した、本発明による方法が先行技術の方法より明らかに有利であることを認めるだろう。
したがって、本願の方法に従って対象に由来する試料において決定された、5ng/mlより高い化合物509のレベルは、94.4%の感度および96.1%の特異度で、対象がNP A型およびB型に罹患している、またはNP A型およびB型を発症するリスクがあると診断することを可能にする。
本願の方法に従って対象に由来する試料において決定された、1.7ng/mlより高い化合物509のレベルは、97.2%の感度および93.3%の特異度で、対象がNP C型に罹患している、またはNP C型を発症するリスクがあると診断することを可能にする。
本願の方法に従って対象に由来する試料において決定された、0.031ng/mlより高い化合物509のレベルは、100%の感度および22.5%の特異度で、対象がNP C型保因者である、またはNP C型保因者であるリスクがあると診断することを可能にする。
本願の方法に従って対象に由来する試料において決定された、59ng/mlより高い遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルは、94.4%の感度および99.3%の特異度で、対象がNP A型およびB型に罹患している、またはNP A型およびB型を発症するリスクがあると診断することを可能にする。
本願の方法に従って対象に由来する試料において決定された、9.23ng/mlより高い遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルは、94.4%の感度および81.3%の特異度で、対象がNP C型に罹患している、またはNP C型を発症するリスクがあると診断することを可能にする。
本願の方法に従って対象に由来する試料において決定された、6.5ng/mlより高い遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルは、100%の感度および61.2%の特異度で、対象がNP C型保因者である、またはNP C型保因者であるリスクがあると診断することを可能にする。
本願の方法に従って対象に由来する試料において決定された、0.045より大きな化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比は、94.4%の感度および82.1%の特異度で、対象がNP A型およびB型に罹患している、またはNP A型およびB型を発症するリスクがあると診断することを可能にする。
本願の方法に従って対象に由来する試料において決定された、0.087より大きな化合物509のレベル 対 遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルの比は、94.4%の感度および95.5%の特異度で、対象がNP C型に罹患している、またはNP C型を発症するリスクがあると診断することを可能にする。
実施例4:バイオマーカーの経時変化の分析
本実施例に関連して用いられた方法および患者は実施例1〜3に記載の方法および患者であった。
化合物509などのバイオマーカーのレベルがニーマン・ピック病患者、すなわち、6人のNPC C型患者および1人のNPC C型保因者においてどのように経時変化したかを分析するために、複数の血漿試料が分析された患者の非統合データを分析した。時点0を、それぞれの患者の療法下での最初の測定に設定した。時間依存的低減が起こったかどうか検定するために線形混合モデルを使用した。
ある期間にわたる患者一人一人の化合物509のレベルを図7に示した。
より具体的には、図7は、時間の関数としての、合計6人のニーマン・ピック病C型患者および1人のニーマン・ピック病C型保因者の化合物509のレベルをng/ml血漿で示した図である。
試験経過中に療法に供されたニーマン・ピック病C型患者に由来する血漿試料中のそれぞれのバイオマーカーのレベルを本発明による方法によって決定した。それぞれの曲線およびそれぞれの患者数はそれぞれ、x軸に示したように異なる時点において同じ患者から収集された血漿中に決定されたレベルを表す。x軸は血漿収集の時点を表す。時点0は、それぞれの患者の療法下での最初の測定を示す。実施例3に記載のようにニーマン・ピック病C型患者における本発明によるバイオマーカーレベルの経時変化を分析するために、複数の血液試料が分析された患者については非統合データを使用した。
図7において、y軸は時間の関数としての化合物509のレベルを示す。
実施例5:対象の年齢に応じたバイオマーカーのレベルの分析
リソソーム蓄積症は主に小児に罹患し、若年齢および予測不可能な年齢で死亡することが多く、多くは出生して数ヶ月または数年で死亡する。他の多くの小児は、特定の障害の様々な症状に罹患して数年たった後に、この疾患で死亡する。
したがって、若年齢患者群においてニーマン・ピック病を診断するために本発明のバイオマーカーの値を試験することは特に関心が高い。
ニーマン・ピック病、好ましくは、ニーマン・ピック病C型を診断するための好ましいバイオマーカーを用いると、対象の年齢に関係なく高感度および高特異度でニーマン・ピック病、好ましくは、ニーマン・ピック病C型を診断することが可能になる。
本発明の方法に従って決定された化合物465のレベルおよび化合物509のレベルをそれぞれ対象の年齢について分析した。
結果を表5および図9に示した。
以下の表5は、試験された対象間の年齢の分布を示す。
(表5A)年齢の分布
Figure 0006243846
より具体的には、図9Aは、遊離リゾスフィンゴミエリン、すなわち化合物465のレベルを示したボックスプロットであり、図9Bは、遊離リゾスフィンゴミエリン、すなわち化合物465のレベルを示した散布図である。図9Cは、化合物509のレベルを示したボックスプロットであり、図9Dは、化合物509のレベルを示した散布図である。y軸は、本発明による方法によって患者血漿中に決定された、遊離リゾスフィンゴミエリンの対数化したレベルおよび化合物509の対数化したレベルをng/mlで示す。x軸は患者群を年齢によって示す。ボックスプロットでは、患者は、示されたように年齢によってグループ化されている。すなわち、患者は、0〜10歳、11〜20歳、21〜30歳、31〜40歳、41〜50歳、51〜60歳、61〜70歳、または71歳以上である。ボックスプロットは、ボックスの下端により各患者群の25パーセンタイル、ボックスの上端により各患者群の75パーセンタイルを表す。ボックスの真ん中付近にあるバンドは各群の50パーセンタイル(すなわち、中央値)を表す。ひげはデータの平均からの±1標準偏差を表す。ひげの間に含まれないデータは小さな丸または星を付けて外れ値として示した。
化合物509ならびに化合物465は、対象の年齢に関係なく高感度および高特異度でニーマン・ピック病、好ましくは、ニーマン・ピック病A型/B型、より好ましくは、ニーマン・ピック病C型を診断することを可能にするバイオマーカーであるとすぐに理解され得る。
したがって、本発明の方法は年齢に関係なく対象におけるニーマン・ピック病を診断することを可能にするとさらに理解することができる。より具体的には、本発明の方法は、若年齢、より具体的には30歳未満、20歳未満、または10歳未満の対象である対象におけるニーマン・ピック病を診断することを可能にする。
実施例6:トランスジェニックラット小脳中の遊離リゾGb3
3匹のトランスジーンNPC1-/-ラットの小脳中の遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルを決定し、対照動物(NPC1+/+)に由来する試料中のレベルと比較した。
結果を表6に示した。
(表6)リゾGb3ラット動物小脳
Figure 0006243846
NPC1-/-動物小脳中の遊離リゾスフィンゴミエリンのレベルは、遺伝子ノックアウトされていない対照動物、すなわち、NPC1+/+に由来する試料に対して約2〜3倍上昇していることが前記から理解することができる。
言い換えると、NOC1ノックアウト動物の小脳中の遊離リゾスフィンゴミエリン濃度は野生型対照の約2倍である。
前記所見は、ヒトにおける病理組織学的状況と相関関係にある。ヒトでは、好ましくは、小脳が影響を受ける。
明細書、特許請求の範囲、配列表、および/または図面に開示された本発明の特徴は、別々に、または任意の組み合わせで、本発明を様々な形で実現するための材料となり得る。

Claims (22)

  1. 対象に由来する試料において、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509からなる群より選択されるバイオマーカーを検出する工程を含む工程(a)
    を含む、対象におけるニーマン・ピック病を検査するためのインビトロの方法であって、該試料が、血液、全血、乾燥血液フィルターカード上に収集された全血、血清および血漿からなる群より選択され、かつ該化合物509が、ポジティブモードで509m/zから184m/zへのMRM移行として検出される分子量508を有する、方法
  2. 前記試料中に存在する前記バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記バイオマーカーのレベルが、前記対象がニーマン・ピック病に罹患しているかどうか、または前記対象がニーマン・ピック病に罹患するリスクがあるかどうかを示す、請求項2に記載の方法。
  4. 前記対象に由来する前記試料においてまたは前記対象に由来する試料において少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーを検出する工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. (i)対象に由来する試料に内部標準を添加する工程であって、該対象に由来する該試料が、血液、全血、乾燥血液フィルターカード上に収集された全血、血清および血漿からなる群より選択される、工程;
    (ii)任意で、内部標準を含有する該試料を混合する工程;
    (iii)該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程であって、それによって該試料からタンパク質が沈殿して、該試料の第1の上清が得られる、工程;
    (iv)任意で、該試料の第1の上清または少なくともその一部を、第2の上清を与える第1の分離工程に供する工程;
    (v)第1の上清および/もしくは第2の上清または少なくともその一部を第2の分離工程に供する工程であって、第2の分離工程が、第1の上清の少なくとも一部および/または第2の上清の少なくとも一部をHPLC-MS/MSシステムに注入することと、酸性水からアセトニトリル/アセトンへの勾配を有するHPLCカラムを使用することとを含みかつ第2の分離工程によって、分離された試料が得られる、工程;
    (vi)該分離された試料をMS/MSに供する工程であって、MS/MSがエレクトロスプレーイオン化および多重反応モニタリングを含む、工程
    を含み、かつ
    該対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程を含む工程(a)
    を含み、かつ任意で、
    該試料中に存在する該バイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
    を含み、
    該バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンである、
    対象におけるニーマン・ピック病を検査するためのインビトロの方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法である、請求項5に記載の方法。
  7. 第1の分離工程が遠心分離工程である、請求項5または6に記載の方法。
  8. HPLCカラムが、C8 HPLCカラムおよびC18 HPLCカラムを含む群より選択されるHPLCカラムである、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. (i)対象に由来する試料に内部標準を添加する工程であって、該対象に由来する該試料が、血液、全血、乾燥血液フィルターカード上に収集された全血、血清および血漿からなる群より選択される、工程;
    (ii)任意で、内部標準を含有する該試料を混合する工程;
    (iii)該試料をタンパク質沈殿工程に供する工程であって、それによって該試料からタンパク質が沈殿して、該試料の第1の上清が得られる、工程;
    (iv)任意で、該試料の第1の上清または少なくともその一部を、第2の上清を与える第1の分離工程に供する工程;
    (v)第1の上清および/もしくは第2の上清または少なくともその一部を第2の分離工程に供する工程であって、第2の分離工程が、第1の上清の少なくとも一部および/または第2の上清の少なくとも一部をHPLC-MS/MSシステムに注入することと、酸性水からアセトニトリル/アセトンへの勾配を有するHPLCカラムを使用することとを含み、第2の分離工程によって分離された試料が得られる、工程;
    (vi)該分離された試料をMS/MSに供する工程であって、MS/MSがエレクトロスプレーイオン化および多重反応モニタリングを含む、工程
    を含み、かつ
    該対象に由来する試料においてバイオマーカーを検出する工程と、該対象に由来する試料において少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーを検出する工程とを含む、工程(a); ならびに
    該試料中に存在する該バイオマーカーのレベルおよび該試料中に存在する該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b); ならびに
    工程(b)において決定された該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 該バイオマーカーのレベルの比を決定する工程を含む工程(c)
    を含み、
    該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより低いか、または0.031ng/mlと同じである場合、これは、該対象がニーマン・ピック病に罹患していないことを示し、
    該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより高い場合、これは、該対象がニーマン・ピック病に罹患していることを示し、
    該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが0.031ng/mlより高く、かつ1.7ng/mlより低いか、または1.7ng/mlと同じである場合、これは、該対象がニーマン・ピック病C型保因者であることを示し、かつ
    該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高い場合、これは、該対象が、ニーマン・ピック病A型および/またはB型ならびにニーマン・ピック病C型からなる群より選択されるニーマン・ピック病に罹患していることを示し、かつ
    該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高く、かつ該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記バイオマーカーのレベルの比が0.045より大きい場合、これは、該対象がニーマン・ピック病A型およびB型に罹患していることを示し、かつ
    該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルが1.7ng/mlより高く、かつ該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベル 対 前記バイオマーカーのレベルの比が0.045より小さいか、または0.045と同じである場合、これは、該対象がニーマン・ピック病C型に罹患していることを示し、かつ
    前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、
    該少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが、ポジティブモードで509m/zから184m/zへのMRM移行として検出される分子量508を有する化合物509である、
    対象におけるニーマン・ピック病、ニーマン・ピック病A型およびB型、またはニーマン・ピック病C型を検査するためのインビトロの方法。
  10. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法である、請求項9に記載の方法。
  11. 第1の分離工程が遠心分離工程である、請求項9または10に記載の方法。
  12. HPLCカラムが、C8 HPLCカラムおよびC18 HPLCカラムを含む群より選択されるHPLCカラムである、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 工程(b)が、前記試料中の前記バイオマーカーのレベルを、および/または前記試料中の前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを、および/または前記対象に由来する前記試料中の前記バイオマーカーのレベル 対 前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルの比を、カットオフ値と比較する工程を含む、請求項2〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. ニーマン・ピック病C型保因者の検査のためのインビトロの方法であって、前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、かつカットオフ値が6.5ng/mlであるか、または
    ニーマン・ピック病C型の検査のためのインビトロの方法であって、前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、かつカットオフ値が9.23ng/mlであるか、または
    ニーマン・ピック病A型および/もしくはB型の検査のためのインビトロの方法であって、前記バイオマーカーが遊離リゾスフィンゴミエリンであり、かつカットオフ値が59ng/mlであ
    請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. いくつかの時点において、対象に由来する試料中に存在する、遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509からなる群より選択されるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(a)
    を含む、対象におけるニーマン・ピック病の経過を決定するための方法であって、該試料が、血液、全血、乾燥血液フィルターカード上に収集された全血、血清および血漿からなる群より選択され、かつ該化合物509が、ポジティブモードで509m/zから184m/zへのMRM移行として検出される分子量508を有する、方法
  16. いくつかの時点において、対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルおよび/または少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを検出する工程を含む工程(a)
    を含み、かつ任意で、
    いくつかの時点において、対象に由来する試料中に存在するバイオマーカーのレベルおよび/または少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーのレベルを決定する工程を含む工程(b)
    を含む、ニーマン・ピック病の罹患についてまたはニーマン・ピック病の罹患リスクについての試験結果が陽性であった対象に適用された少なくとも1つの治療の有効性を決定するための方法であって、該バイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよびポジティブモードで509m/zから184m/zへのMRM移行として検出される分子量508を有する化合物509からなる群より選択され、該試料が、血液、全血、乾燥血液フィルターカード上に収集された全血、血清および血漿からなる群より選択される、方法。
  17. 前記バイオマーカーおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが、イムノアッセイ、質量分析、バイオチップアレイ、機能性核酸、および/または前記バイオマーカーの蛍光誘導体、および/または前記少なくとも1種類のさらなるマーカーの蛍光誘導体によって検出される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記バイオマーカーおよび/または前記少なくとも1種類のさらなるバイオマーカーが質量分析によって検出され、質量分析が、SELDI、MALDI、MALDI-Q TOF、MS/MS、TOF-TOF、およびESI-O-TOFからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  19. ニーマン・ピック病が、ニーマン・ピック病A型およびB型、ニーマン・ピック病C型、ならびにニーマン・ピック病C型保因者を含む群より選択される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509からなる群より選択される、試料中のバイオマーカーを検出するための質量分析の使用であって、該試料が、血液、全血、乾燥血液フィルターカード上に収集された全血、血清および血漿からなる群より選択され、かつ該化合物509が、ポジティブモードで509m/zから184m/zへのMRM移行として検出される分子量508を有する、使用
  21. 試料でのニーマン・ピック病の検査のための遊離リゾスフィンゴミエリンおよび化合物509からなる群より選択されるバイオマーカーのインビトロでの使用であって、該試料が、血液、全血、乾燥血液フィルターカード上に収集された全血、血清および血漿からなる群より選択され、かつ該化合物509が、ポジティブモードで509m/zから184m/zへのMRM移行として検出される分子量508を有する、使用
  22. (a)バイオマーカーの相互作用パートナー;
    (b)任意で、少なくとも1種類の捕捉用試薬を付着させた状態で含む固体支持体であって、該捕捉用試薬が該バイオマーカーに結合する、該固体支持体; および
    (c)該バイオマーカーを検出するために該固体支持体を使用するための説明書
    を含む、対象に由来する試料中のバイオマーカーの存在を決定するためのキットであって、該バイオマーカーが、遊離リゾスフィンゴミエリンおよびポジティブモードで509m/zから184m/zへのMRM移行として検出される分子量508を有する化合物509をからなる群より選択され、該試料が、血液、全血、乾燥血液フィルターカード上に収集された全血、血清および血漿からなる群より選択される、前記キット。
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