JP6243234B2 - 肩部の上端に環状膨出部を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 - Google Patents
肩部の上端に環状膨出部を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6243234B2 JP6243234B2 JP2014007288A JP2014007288A JP6243234B2 JP 6243234 B2 JP6243234 B2 JP 6243234B2 JP 2014007288 A JP2014007288 A JP 2014007288A JP 2014007288 A JP2014007288 A JP 2014007288A JP 6243234 B2 JP6243234 B2 JP 6243234B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- container
- synthetic resin
- blow
- layer
- multilayer container
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
- Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系樹脂を含有する内表面層、バリア層及びエチレン系樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
口部は、外周面に雄螺条域を有し、
環状凹部は、雄螺条域より縮径し、次いで拡径して肩部に連接し、
肩部は、上端に環状膨出部を備え、かつ、
環状膨出部は、内表面層の容器内側の表面が、容器軸方向に沿って、容器外方に向いて屈曲し、次いで、容器内方に向いて屈曲することにより形成されるものであって、口部の厚みに対し20〜55%の厚みを有する
ことを特徴とする前記の合成樹脂製ブロー成形多層容器が提供される。
(2)バリア層が、エチレン・ビニルアルコール共重合体から形成される前記の合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(3)回収層を備える前記の合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(4)内表面層とバリア層との間、または、バリア層と外表面層との間の一方または両方に接着層を備える前記の合成樹脂製ブロー成形多層容器。
(5)環状膨出部のエチレン系樹脂を含有する内表面層が、有機滑剤である不飽和脂肪酸アミド、飽和脂肪酸アミドまたはそれらの混合物を含有するエチレン系樹脂の組成物から形成される前記の合成樹脂製ブロー成形多層容器。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系樹脂を含有する内表面層、バリア層及びエチレン系樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものである。なお、少なくとも、エチレン系樹脂を含有する内表面層、バリア層及びエチレン系樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備える合成樹脂製ブロー成形多層容器とは、エチレン系樹脂を含有する内表面層、バリア層及びエチレン系樹脂を含有する外表面層の3つの層を、容器内側からこの順に備える容器である限り、例えば、後述する回収層や接着層等の1以上の層を、前記の3つの層の層間(1つの層間でも、複数の層間でもよい。)に備える多層容器、更には前記の3つの層のいずれか、例えば、バリア層を複数備える多層容器でもよいことを意味する。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、エチレン系樹脂を含有する内表面層を備える多層容器である。内表面層に含有されるエチレン系樹脂としては、従来、合成樹脂製ブロー成形多層容器の内表面層を形成するために使用されているエチレン系樹脂を使用することができる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等の狭義のポリオレフィン;線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等のエチレン・α−オレフィン共重合体;プロピレン・エチレンランダム共重合体等のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体;変性オレフィン系樹脂(例えば、オレフィン類の単独または共重合体とマレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸や酸無水物やエステル若しくは金属塩等との反応物など);アイオノマー(IO);エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン・メタクリル酸・不飽和脂肪族カルボン酸共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のアクリル系樹脂;などのポリオレフィンが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または他の樹脂とのブレンド物として使用することができる。
(i)低密度ポリエチレン(LDPE)は、密度が910〜930kg/m3のポリエチレンであり、好ましくは912〜928kg/m3である。低密度ポリエチレンは、MFR(温度190℃、荷重21.18N)が、好ましくは0.1〜10g/10分、より好ましくは0.3〜5g/10分、更に好ましくは0.5〜2g/10分の範囲内のものを使用することができる。また、(i)低密度ポリエチレンは、分子量分布の指標である多分散度(Mw/Mn)(以下、単に「多分散度」ということがある。)が、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは1.7以上の範囲にあるものが成形性の改善の点で有効である。該多分散度の上限は、3.0程度である。なお、ポリエチレンの密度及びMFRは、JIS K6922−2に従って測定し、多分散度は、JIS K7252に従って測定したものである(以下、測定方法は同様である。)。
(ii)チーグラー・ナッタ触媒を用いて得られたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(以下、「チーグラー触媒プロピレンランダム共重合体」ということがある。)は、α−オレフィンの立体規則性重合用触媒として周知のチーグラー・ナッタ触媒を用いて得られた、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体である。
(iii)高密度ポリエチレンは、一般に、密度が942kg/m3以上のポリエチレンである。通常は、密度が980kg/m3以下のポリエチレンであり、好ましくは、945〜970kg/m3、より好ましくは948〜965kg/m3である。高密度ポリエチレンは、MFR(温度190℃、荷重21.18N)が、好ましくは0.1〜10g/10分、より好ましくは0.3〜5g/10分、更に好ましくは0.5〜2g/10分の範囲内のものを使用することができる。また、多分散度が、好ましくは2.5以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上の範囲にあるものが成形性の改善の点で有効である。該多分散度の上限は、12程度である。
さらに、本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器の内表面層に含有されるエチレン系樹脂として、(i)〜(iii)の少なくとも1種と他のエチレン系樹脂とのブレンド物を使用することもできる。他のエチレン系樹脂としては、例えば、メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレンからなる重合体のブロックとエチレン・プロピレン共重合体からなる重合体のブロックとからなるブロック共重合体(以下、単に「メタロセン触媒ブロック共重合体」ということがある。)や、メタロセン触媒を用いて得られたエチレン系ポリオレフィン(以下、単に「メタロセン触媒エチレン系ポリオレフィン」ということがある。)などが好ましく挙げられる。また、他のエチレン系樹脂として、いわゆる高密度または中密度ポリエチレンを更に併用してもよい。これら他のエチレン系樹脂の含有量は、(i)〜(iii)の少なくとも1種と他のエチレン系樹脂との合計量を100質量%としたときに、通常0.5〜40質量%、好ましくは1〜35質量%、より好ましくは2〜30質量%の範囲で、目的に応じて調製すればよい。特に好ましい組み合わせとしては、(ii)チーグラー触媒プロピレンランダム共重合体とメタロセン触媒ブロック共重合体との組成物や、(i)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒エチレン系ポリオレフィン及び(iii)高密度ポリエチレンのブレンド物が挙げられる。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器の内表面層に含有されるエチレン系樹脂には、成形加工性を改善したり、合成樹脂製ブロー成形多層容器の諸特性を改良するために、必要に応じて一般に使用される各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、有機物質(重合体でもよい。)または無機物質のいずれも使用することができ、滑剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、帯電防止剤、防曇剤、フィラー(充填剤)、顔料などが挙げられ、用途に応じて、最適の組み合わせが選択される。これらの添加剤を含有する場合の含有量は、添加剤の種類や目的によって最適の量を定めればよい。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、内部に充填されるマヨネーズ、ケチャップ、ソースなどの粘稠な内容物との滑り性を改良するために、内表面層が、滑剤を含有することが好ましい。これにより容器の内表面の滑り性が向上するので、内容物の充填がスムーズに行われ、消費者の使用時に内容物の液切れ性が優れるなどの効果が得られることがある。滑剤としては、有機滑剤と無機滑剤のいずれを使用することもできるが、有機滑剤が好ましく、有機滑剤である不飽和脂肪酸アミド、飽和脂肪酸アミドまたはそれらの混合物がより好ましい。これらの滑剤は、2種以上を混合して使用してもよく、例えば、不飽和脂肪酸アミドと飽和脂肪酸アミドを併用してもよい。不飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、6−テトラデセン酸アミド、オレイン酸アミド、8−オクタデセン酸アミド、エルカ酸アミド、アラキドン酸アミド等が挙げられ、好ましくはオレイン酸アミドまたはエルカ酸アミドである。飽和脂肪酸アミドとしては、酪酸アミド、吉草酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘン酸アミド(ベヘニン酸アミド)等が挙げられ、好ましくはステアリン酸アミドまたはベヘン酸アミドである。エチレン系樹脂を含有する内表面層が滑剤、より好ましくは有機滑剤を含有する場合の、その含有量は、エチレン系樹脂を含む樹脂成分に対して通常100〜5000ppm、好ましくは150〜4500ppm、より好ましくは200〜4000ppmである。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、バリア層を備えることにより、酸素バリア性、炭酸ガスバリア性等のガスバリア性や、水または水蒸気に対するバリア性を有する合成樹脂製ブロー成形多層容器であり、多層容器内に充填される内容物の保存性を高めることができる。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、エチレン系樹脂を含有する内表面層及びバリア層に加えて、エチレン系樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備える多層容器である。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、少なくとも、エチレン系樹脂を含有する内表面層、バリア層及びエチレン系樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるとともに、更に回収層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であることが好ましい。回収層を備えることにより、合成樹脂製ブロー成形多層容器の強度を高め、また、資源のリサイクル性を高めることができる。回収層は、本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器それ自体から回収される材料(バリや製品容器の不要部分、製品規格外の容器の回収品など)、または、本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器を製造する工程において回収される材料を、主成分として含有する層である。特に、本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、筒状の溶融パリソンにブローエアーを導入して容器形状のブロー成形品を形成した後に多層容器の頭部(以下、「袋部」ということがある。)を切除する必要があるが、該切除された袋部を、破砕機にて粉末化した回収樹脂を原料として、回収層とすることができる。また、容器形状のブロー成形品の前記の袋部以外の部分を切除して回収した樹脂や、ブロー成形前のパリソン、更には、合成樹脂製ブロー成形多層容器の各層を形成する材料や原料などを、主成分として含有するものでもよい。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、多層容器を構成する各層の層間剥離強度を高めるために、更に接着層を各層の間に介在させることができる。合成樹脂製ブロー成形多層容器においては、耐熱性や成形加工性の観点から、接着層を介在させなくてもよい場合もあるが、機械的特性、耐衝撃性や耐層間剥離性などが要望される用途には、接着層を介在させることが好ましい。具体的には、内表面層とバリア層との間、または、バリア層と外表面層との間の一方または両方に接着層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器が好ましい。さらに、本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器が、回収層を備える場合、または、バリア層を2層以上備えるものである場合は、これらの層のいずれかに隣接するように接着層を備えるものとしてもよい。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、少なくとも、エチレン系樹脂を含有する内表面層、バリア層及びエチレン系樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備える多層容器である。好ましくは、更に回収層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であり、また更に接着層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器である。具体的な層構成としては、例えば、内表面層/回収層/バリア層/外表面層の層構成、内表面層/接着層/バリア層/外表面層の層構成、内表面層/バリア層/接着層/外表面層の層構成、内表面層/接着層/バリア層/接着層/外表面層の層構成、内表面層/回収層/接着層/バリア層/接着層/外表面層の層構成、更には、内表面層/回収層/バリア層/接着層/バリア層/外表面層の層構成を有する合成樹脂製ブロー成形多層容器などが挙げられる。したがって、本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器のより具体的な層構成を例示すると、
内表面層/バリア層/外表面層、
内表面層/回収層/バリア層/外表面層、
内表面層/接着層/バリア層/外表面層、
内表面層/バリア層/接着層/外表面層、
内表面層/接着層/バリア層/接着層/外表面層、
内表面層/回収層/接着層/バリア層/接着層/外表面層、
内表面層/回収層/バリア層/接着層/バリア層/外表面層、
内表面層/回収層/接着層/バリア層/接着層/回収層/外表面層、
内表面層/接着層/バリア層/バリア層/接着層/外表面層、
内表面層/接着層/バリア層/接着層/バリア層/接着層/外表面層、
内表面層/回収層/接着層/バリア層/バリア層/接着層/外表面層、
内表面層/回収層/接着層/バリア層/接着層/バリア層/接着層/外表面層、
内表面層/回収層/接着層/バリア層/バリア層/接着層/回収層/外表面層、及び、
内表面層/回収層/接着層/バリア層/接着層/バリア層/接着層/回収層/外表面層などの層構成が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、口部、環状凹部、肩部、胴部及び底部を容器軸方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系樹脂を含有する内表面層、バリア層及びエチレン系樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、口部は、外周面に雄螺条域を有し、環状凹部は、雄螺条域より縮径し、次いで拡径して肩部に連接し、肩部は、上端に環状膨出部を備え、かつ、環状膨出部は、内表面層の容器内側の表面が、容器軸方向に沿って、容器外方に向いて屈曲し、次いで、容器内方に向いて屈曲することにより形成されるものであって、口部の厚みに対し20〜55%の厚みを有することを特徴とする前記の合成樹脂製ブロー成形多層容器である。すなわち、本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、口部、環状凹部、肩部、胴部及び底部を容器軸方向に沿って順次備える多層容器であり、多層容器を正立姿勢とするときには、上方から下方に向かって、口部、環状凹部、肩部、胴部及び底部を順次備えることによって、底部が接地面に当接し、正立することができる多層容器である。本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、後に詳述するように、環状凹部に連接する肩部が、その上端に特有の内面形状及び厚みを有する環状膨出部を備える点に特徴を有する。本発明のブロー成形多層容器の容積は、特に限定されないが、好ましくは100〜3000cm3、より好ましくは200〜2000cm3、更に好ましくは300〜1000cm3の範囲である。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、図1に示すように、口部1を備え、さらに、口部1は、外周面に雄螺条121が膨出する雄螺条域12を有するものである。具体的には、本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器の口部1は、容器軸(図示しない。)に沿う上端、すなわち口部1の最上端に開口部11を有し、該開口部11の下方にある雄螺条域12に、その周面から外方に雄螺条121が膨出している。雄螺条121は、合成樹脂製ブロー成形多層容器に内容物を充填し、開口部11をシールした後に、内周面に雌螺条を有するキャップ(蓋)を取り付けるために設けられるものである。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、口部1の雄螺条域12に連接して雄螺条域12より縮径し、次いで拡径して肩部3に連接する環状凹部2を備えるものである。環状凹部2は、口部1の雄螺条域12に連接することから、その断面形状が略円形状の外径及び内径を有する環状であり、また、その外径が雄螺条域12の外径より小さいことから凹部が形成されているので、環状凹部という。環状凹部2の外径は、口部1の外径に対して、通常75〜100%、好ましくは80〜100%、より好ましくは85〜100%の範囲であり、環状凹部2の容器軸方向の長さは、口部1の雄螺条域12の容器軸方向の長さに対して、通常15〜50%、好ましくは17〜40%、より好ましくは20〜35%の範囲である。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、環状凹部2に連接する肩部3が、その上端に環状膨出部31を備えるものである。肩部3の上端に備えられる環状膨出部31は、その断面形状が略円形状の外径及び内径を有する環状であり、その外径が口部1の外径より大きいことにより、口部1と比較して膨出部を形成することから、環状膨出部という。本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、肩部3に特有の内面形状及び厚みを有する環状膨出部31を備えることにより、該環状膨出部31の下端面にグリッパ(図示しない。)を挿入して多層容器を把持し、多層容器の姿勢を正立状態に保持することができ、多層容器の正立状態のまま容器の搬送を行うことができる。また、環状膨出部31の外径は略円形状であるので、グリッパの挿入を多層容器のいずれの方向からでも容易に行うことができる。なお、肩部3とは、環状凹部2の下端から胴部4まで、同径または拡径しながら連接する部位をいう。また、口部1及び環状凹部2の断面形状は通常略円形であるので、環状凹部2の下端に連接する肩部3とは、その断面形状が、略円形の形状から、後述する胴部4及び底部の所定の形状に容器軸方向に沿って遷移する領域をいう。肩部3は、その上端に備えられる環状膨出部31の下端面に挿入されるグリッパと常時または頻繁に接触または摺接することがあるので、少なくともその外表面が滑り性に優れることが好ましい。
環状膨出部31の径及び容器軸方向の長さは、環状凹部2及び肩部3の外径、グリッパの大きさ及び形状などを勘案して定めることができる。環状膨出部31の径は、口部1の径に対して、通常110〜600%、好ましくは130〜400%、より好ましくは150〜300%の範囲である。環状膨出部31の容器軸方向の長さは、口部1の雄螺条域12の容器軸方向の長さに対して、通常10〜50%、好ましくは12〜40%、より好ましくは15〜30%の範囲である。環状膨出部31の径及び容器軸方向の長さを上記の範囲内とすることにより、容器の成形後、口部シール工程その他の生産工程における合成樹脂製ブロー成形多層容器の搬送のために該環状膨出部31に挿入され、環状膨出部31の下面と当接して合成樹脂製ブロー成形多層容器を支えるグリッパを安定かつ確実に保持することができ、グリッパの挿入による容器の把持を安定かつ確実とすることができる。環状膨出部31の径が小さすぎたり、容器軸方向の長さが短すぎると、グリッパの挿入が不十分または不可能となり、容器を安定かつ確実に把持することができないおそれがある。また、環状膨出部31の径が大きすぎたり、容器軸方向の長さが長すぎたりすると、容器を安定かつ確実に把持することができなかったり、容器の受け渡しが円滑でなくなったりするおそれがある。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、口部1、環状凹部2、肩部3、胴部4及び底部を容器軸方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器である。胴部4及び底部は、通常の合成樹脂製ブロー成形多層容器と同様の構成とすることができ、その断面形状は、口部1及び環状凹部2に肩部3を介して滑らかに連接することができる限り、特に限定されず、円形、楕円形その他の汎用の形状とすることができる。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、口部、環状凹部、肩部、胴部及び底部を容器軸方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系樹脂を含有する内表面層、バリア層及びエチレン系樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、口部は、外周面に雄螺条域を有し、環状凹部は、雄螺条域より縮径し、次いで拡径して肩部に連接し、肩部は、上端に環状膨出部を備え、かつ、環状膨出部は、内表面層の容器内側の表面が、容器軸方向に沿って、容器外方に向いて屈曲し、次いで、容器内方に向いて屈曲することにより形成されるものであって、口部の厚みに対し20〜55%の厚みを有することを特徴とする前記の合成樹脂製ブロー成形多層容器を得ることができる限り、その製造方法は限定されない。したがって、本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器の製造方法としては、所定の層構成を有する多層のパリソン(以下、「多層パリソン」ということがある。)を、所望の容器形状のキャビティ壁を備える割金型内でブロー成形することによって、ブロー成形品である多層の合成樹脂製ブロー成形多層容器を得ることができればよい。多層パリソンを製造した後、常温または室温に保存しておき、ブロー成形を行うときに所定温度まで加熱するコールドパリソン方式によってもよいし、該多層パリソンを製造し、連続してブロー成形を行うホットパリソン方式によってもよい。多層パリソンは、射出成形により製造することもできるが、溶融押出成形によって筒状(以下、「管状」または「パイプ状」ということがある。)の多層パリソンを製造する方法が好ましく、溶融押出成形方法により共押出した多層パリソンを、続けて容器形状にブロー成形するダイレクトブロー成形方法がより好ましい。以下、ダイレクトブロー成形により形成される合成樹脂製ブロー成形多層容器(ダイレクトブロー成形多層容器)を得る方法について説明する。
所望の層構成を有する多層パリソンを共押出によって製造する方法としては、環状ダイを用いる共押出法、Tダイを用いる共押出法、インフレーション成形による共押出法などの方法が挙げられるが、いわゆるボトル形状の容器をブロー成形によって製造する場合は、環状ダイを用いる共押出法により筒状(パイプ状)の多層パリソンを製造することが好ましい。環状ダイを用いる共押出法で多層パリソンを製造する場合は、樹脂の種類に対応する数の押出機を使用し、各層に対応する樹脂をそれぞれ環状に展開しながら、ダイ通路内で溶融樹脂を所定の層構成の積層順序となるように合流させる。表層である内表面層と外表面層が同種の樹脂からなる場合には、更に分岐チャンネルを経て、他の層を形成する樹脂原料等を挟み込むように分岐させ、その後、押出ダイ内で合流させ、環状形状のダイヘッドから所望の層構成に整列積層した状態で樹脂を押し出す。ダイヘッドの温度は通常120〜240℃であり、好ましくは130〜230℃、より好ましくは140〜220℃の範囲の温度を採用することができる。ダイオリフィスの形状としては、円形のほか偏平形状のものも使用可能である。環状ダイを用いる共押出法によれば、多層パリソンの肉厚の変更等の制御調整を比較的容易に行うことができる。
ブロー成形によってパリソンから容器形状のブロー成形品を成形する場合には、前記の方法で共押出した筒状の多層パリソンを、割金型で挟んで、下端を必要に応じて融着させて塞ぐとともに、上端を切断した後、開口した上端から加圧気体等を吹き込んで容器形状に成形し、次いで、不要となる容器の口部の上方に相当する部分(頭部または袋部)を切除することによって、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得る。該ブロー成形によって一体成形した容器の底部には、筒状のパリソンを、割金型で挟んで下端を融着して塞いだ痕跡として、ピンチオフ部がパーティングラインの一部として形成される。なお、射出成形によってパリソンを成形する場合には、ブロー成形多層容器の底部にゲート痕が形成される。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、肩部の上端に備えられる環状膨出部が、内表面層の容器内側の表面が、容器軸方向に沿って、容器外方に向いて屈曲し、次いで、容器内方に向いて屈曲することにより形成されるものであって、口部の厚みに対し20〜55%の厚みを有することを特徴とする。かかる環状膨出部の特有の構成は、環状ダイからブロー成形金型への溶融パリソンの供給速度(吐出速度または押出速度)、エチレン系樹脂を含有する内表面層の組成や厚み、場合によっては更にエチレン系樹脂を含有する外表面層の組成や厚み、ブロー条件(吹込気体の圧力及び吹込速度等)などを調整することによって得ることができる。環状ダイからブロー成形金型への溶融パリソンの供給速度の制御は、溶融パリソンの一部を引き伸ばしたり、溶融パリソンの鉛直下向き方向の速度を制御する、いわゆるパリソンコントローラーによって行うことができる。
ダイレクトブロー成形等によって製造された合成樹脂製ブロー成形多層容器は、通常、容器成形工程後、内容物充填工程において、食品等の内容物を多層容器に充填し、必要に応じて加熱、殺菌及び冷却を行い、充填量等の検査を行った後に、口部シール装置まで容器を搬送して、口部シール工程において、容器の口部開口部をシール材で密封して密封容器とする。次いで、密封容器を整列させながら、キャップ装着装置(キャッパー)まで搬送して、キャップ装着工程において、キャップ装着装置により、密封容器の口部にキャップを巻き締める。
本発明の、口部、環状凹部、肩部、胴部及び底部を容器軸方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系樹脂を含有する内表面層、バリア層及びエチレン系樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、口部は、外周面に雄螺条域を有し、環状凹部は、雄螺条域より縮径し、次いで拡径して肩部に連接し、肩部は、上端に環状膨出部を備え、かつ、環状膨出部は、内表面層の容器内側の表面が、容器軸方向に沿って、容器外方に向いて屈曲し、次いで、容器内方に向いて屈曲することにより形成されるものであって、口部の厚みに対し20〜55%の厚みを有することを特徴とする前記の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、軸対称戻り性に優れる多層容器である。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、軸対称戻り性に優れる多層容器であり、搬送工程において多層容器の正確な把持や受け渡しに支障が生じたり、キャップの装着に支障を生じたりすることがなく、更に内容物を充填した多層容器製品の取扱い中に不測のトラブルが生じたりするおそれもないので、生産効率が向上する。
(1)多層容器に水500cm3を充填して水平面上に鉛直に正立させ、環状膨出部の下面にグリッパが当接するように把持して、多層容器を吊り下げる。試験環境及び水の温度は、常温(20±5℃)とする。
(2)次いで、グリッパを水平から+30度傾斜させ、次に−30度傾斜させる一対の揺動動作を、毎分20対の速さで60分間行った後に、充填した水を抜いた空の多層容器を検体(5本)とする。
(3)前記の検体を水平面上に鉛直に正立させ、口部から直径に沿って鉛直に切断し、光学式拡大器を用いて写真撮影を行い、対向する断面の開口角度(垂直からのずれ角度)を、デジタル式度数計または市販の分度器を使用して、それぞれ測定する。測定された対向する断面の開口角度の差の絶対値(単位:度)を算出(5本の検体の算術平均値)して、多層容器の絶対値算術平均(単位:度)とする。
(4)前記の絶対値算術平均が3度以内であれば、ブロー成形多層容器は「軸対称戻り性に優れる」と評価する。前記の絶対値算術平均が4度を超える場合は、ブロー成形多層容器は「軸対称戻り性に劣る」と評価する。
(5)なお、揺動動作中にグリッパが外れる多層容器検体があった場合は、当該検体について、再度(1)〜(4)の試験を実施するが、再試験を行った旨を表示する。
本発明の合成樹脂製ブロー成形多層容器は、所望により環状膨出部のエチレン系樹脂を含有する内表面層が有機滑剤を含有することにより、容器内壁非付着性に優れる多層容器とすることができる。例えばトマトケチャップ等の粘稠な内容物を充填する容器から内容物を排出させようとするときに、内容物の所望量を短時間で排出することができるので、使用感に優れるとともに、内容物を無駄なく使用することができる。
(1)多層容器に市販のトマトケチャップ(JAS特級品)500gを充填して、水平面上に鉛直に正立させて検体とする(検体数は5本とする。)。試験環境及びトマトケチャップの温度は、常温(20±5℃)とする。
(2)多層容器を倒立させて、内容物であるトマトケチャップを自由落下させて約100gを取り出した後、直ちに蓋をして、倒立状態で10分間静置する(倒立処理)。次いで、多層容器を正立させて24時間静置し、再び多層容器を倒立状態で10分間静置する(正立処理)。前記のトマトケチャップの自由落下による取り出し、倒立処理及び正立処理を1単位として、内容物であるトマトケチャップが、ボトル内壁付着分を除いて、なくなるまでの5単位または6単位を繰り返す。
(3)内容物であるトマトケチャップがボトル内壁付着分を除いてなくなった多層容器について、多層容器内面のトマトケチャップの滑落の有無を目視で観察し、内面に付着するトマトケチャップの滑落があるものを「○」評価とし、トマトケチャップの滑落がなく付着したままのものを「×」評価とする。
(4)以下の基準により、ブロー成形多層容器の容器内壁非付着性の評価判定を行う。容器内壁非付着性が、優良または良好と判定されれば、容器内壁非付着性に優れるということができる。
<容器内壁非付着性の判定基準>
優良: 5つの検体のすべてが「○」評価である。
良好: 1〜4つの検体が「○」評価である。
不良: 5つの検体のすべてが「×」評価である。
エチレン系樹脂及びEVOHの密度及びMFRは、JIS K6922−2またはJIS K7210に準拠して測定した。
ブロー成形多層容器の軸対称戻り性は、以下(1)〜(4)の方法で評価した。
(1)多層容器に水500cm3を充填して水平面上に鉛直に正立させ、環状膨出部の下面にグリッパが当接するように把持して、多層容器を吊り下げた。試験環境及び水の温度は、常温(20±5℃)とした。
(2)次いで、グリッパを水平から+30度傾斜させ、次に−30度傾斜させる一対の揺動動作を、毎分20対の速さで60分間行った後に、充填した水を抜いた空の多層容器を検体(5本)とした。
(3)前記の検体を水平面上に鉛直に正立させ、口部から直径に沿って鉛直に切断し、光学式拡大器を用いて写真撮影を行い、対向する断面の開口角度(垂直からのずれ角度)を、デジタル式度数計または市販の分度器を使用して、それぞれ測定する。測定された対向する断面の開口角度の差の絶対値(単位:度)を算出(5本の検体の算術平均値)して、多層容器の絶対値算術平均(単位:度)とした。
(4)前記の絶対値算術平均が3度以内であれば、ブロー成形多層容器は「軸対称戻り性に優れる」と評価した(「○」と表示する。)。前記の絶対値算術平均が4度を超える場合は、ブロー成形多層容器は「軸対称戻り性に劣る」と評価した(「×」と表示する。)。
(5)なお、揺動動作中にグリッパが外れる多層容器検体があった場合は、当該検体について、再度(1)〜(4)の試験を実施するが、再試験を行った旨を表示した。
ブロー成形多層容器の容器内壁非付着性は、以下(1)〜(4)の方法で評価判定した。
(1)多層容器に市販のトマトケチャップ(JAS特級品)500gを充填して、水平面上に鉛直に正立させて検体とした(検体数は5本とした。)。試験環境及びトマトケチャップの温度は、常温(20±5℃)とした。
(2)多層容器を倒立させて、内容物であるトマトケチャップを自由落下させて約100gを取り出した後、直ちに蓋をして、倒立状態で10分間静置した(倒立処理)。次いで、多層容器を正立させて24時間静置し、再び多層容器を倒立状態で10分間静置した(正立処理)。前記のトマトケチャップの自由落下による取り出し、倒立処理及び正立処理を1単位として、内容物であるトマトケチャップが、ボトル内壁付着分を除いて、なくなるまでの5単位または6単位を繰り返した。
(3)内容物であるトマトケチャップがボトル内壁付着分を除いてなくなった多層容器について、多層容器内面のトマトケチャップの滑落の有無を目視で観察し、内面に付着するトマトケチャップの滑落があるものを「○」評価とし、トマトケチャップの滑落がなく付着したままのものを「×」評価とした。
(4)以下の基準により、ブロー成形多層容器の容器内壁非付着性の評価判定を行った。
<容器内壁非付着性の判定基準>
優良: 5つの検体のすべてが「○」評価である。
良好: 1〜4つの検体が「○」評価である。
不良: 5つの検体のすべてが「×」評価である。
複数の押出機と環状ダイを用いて、層構成が、それぞれ以下の組成からなる外表面層/接着層/バリア層/接着層/回収層/内表面層である筒状パリソンを押し出し、ロータリー式のダイレクトブロー成形機により、口部、環状凹部、肩部、胴部及び底部を一体成形した内容積が540cm3である多層構成のダイレクトブロー成形によって製造される合成樹脂製ブロー成形多層容器(以下、「多層容器」ということがある。)を得た。多層容器の口部は、外径23mm、内径20.2mm、厚み(雄螺条域にあって、雄螺条が存在しない部分の厚みである。)1.4mm、容器軸方向の長さ12mmであり、容器軸に沿う長さ8mmの雄螺条域を有していた。また、雄螺条域から縮径する、外径22.5mm、厚み1.4mm、容器軸方向の長さ2.5mmの環状凹部から拡径して連接する肩部の上端に、外径41mm、容器軸方向の長さ2mmの環状膨出部を備えるものとした。環状膨出部は、内表面の表面が、多層容器軸方向に沿って、多層容器外方に向いて最大深さ約9mmで屈曲し、次いで、多層容器内方に向いて屈曲してなる厚み約0.42mm(口部の厚みに対して、30.0%に相当する。)の薄肉部であった。多層容器の胴部は、外径60mm内径59mm(すなわち厚み0.5mm)であった。多層容器の質量は、20gであった。
エチレン系樹脂として、低密度ポリエチレン〔住友化学株式会社製のスミカセン(登録商標);密度920kg/m3、MFR(温度190℃、荷重21.18N)1.4g/10分〕を使用し、有機滑剤である不飽和脂肪酸アミドとして、オレイン酸アミド〔H2N−CO−(−CH2−)7−CH=CH−(−CH2−)7−CH3〕を、低密度ポリエチレンに対して、1000ppmとなるように配合した。
(3)回収層:本実施例により製造した多層容器をダイレクトブロー成形する際に生じる容器の頭部(=袋部)を切除して、破砕機にてそれを粉末化した樹脂(回収樹脂)を原料とした。
(4)接着層:三菱化学株式会社製の無水マレイン酸変性ポリオレフィン、商品名モディック(登録商標)
筒状パリソンの押出速度及びブロー圧力を調整して、環状膨出部の厚みを、口部の厚みに対して47.3%に変更した多層容器の形状の変更を除いて、実施例1と同様にして、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得た。多層容器の軸対称戻り性及び容器内壁非付着性の評価・判定結果を表1に示す。
筒状パリソンの押出速度及びブロー圧力を調整して、環状膨出部の厚みを、口部の厚みに対して28.0%に変更した多層容器の形状の変更、及び、有機滑剤であるオレイン酸アミドを含有しなかった表面層(内表面層及び外表面層)の組成の変更を除いて、実施例1と同様にして、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得た。多層容器の軸対称戻り性及び容器内壁非付着性の評価・判定結果を表1に示す。
筒状パリソンの押出速度及びブロー圧力を調整して(ブロー圧力を高く設定した。)、環状膨出部の厚みを、口部の厚みに対して15.0%に変更した多層容器の形状の変更、及び、有機滑剤であるオレイン酸アミドを含有しなかった表面層の組成の変更を除いて、実施例1と同様にして、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得た。多層容器の軸対称戻り性及び容器内壁非付着性の評価・判定結果を表1に示す。
筒状パリソンの押出速度及びブロー圧力を調整して(ブロー圧力を低く設定した。)、環状膨出部の厚みを、口部の厚みに対して60.0%に変更した多層容器の形状の変更、及び、有機滑剤であるオレイン酸アミドを含有しなかった表面層の組成の変更を除いて、実施例1と同様にして、合成樹脂製ブロー成形多層容器を得た。多層容器の軸対称戻り性及び容器内壁非付着性の評価・判定結果を表1に示す。なお、軸対称戻り性の評価試験において、グリッパ揺動動作中にグリッパが外れる多層容器検体が1個あったので、当該検体について再試験を行った。
多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系樹脂を含有する内表面層、バリア層及びエチレン系樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
口部は、外周面に雄螺条域を有し、環状凹部は、雄螺条域より縮径し、次いで拡径して肩部に連接し、肩部は、上端に環状膨出部を備え、かつ、環状膨出部は、内表面層の容器内側の表面が、容器軸方向に沿って、容器外方に向いて屈曲し、次いで、容器内方に向いて屈曲することにより形成されるものであって、口部の厚みに対し20〜55%の厚みを有することを特徴とする前記の合成樹脂製ブロー成形多層容器であることによって、合成樹脂製ブロー成形容器の製造が高速化するもと、容器成形後の諸工程間の搬送の際、グリッパ挿入による把持を安定かつ確実に実施し、容器の所定の姿勢状態を維持できるブロー成形多層容器、特にダイレクトブロー成形多層容器が提供されるので、産業上の利用可能性が高い。
11 開口部
12 雄螺条域
121 雄螺条
2 環状凹部
3 肩部
31 環状膨出部
4 胴部
Claims (6)
- 口部、環状凹部、肩部、胴部及び底部を容器軸方向に沿って順次備える合成樹脂製ブロー成形多層容器であって、
多層容器の層構成は、少なくとも、エチレン系樹脂を含有する内表面層、バリア層及びエチレン系樹脂を含有する外表面層を容器内側からこの順に備えるものであり、
口部は、外周面に雄螺条域を有し、
前記環状凹部は、前記雄螺条域より縮径し、次いで拡径して肩部に連接し、
肩部は、上端に環状膨出部を備え、かつ、
前記環状膨出部は、内表面層の容器内側の表面が、容器軸方向に沿って、容器外方に向いて屈曲し、次いで、容器内方に向いて屈曲することにより形成されるものであって、口部の厚みに対し20〜55%の厚みを有し、
前記環状膨出部の容器軸方向の長さは、前記雄螺条域の容器軸方向の長さに対して、10〜50%の範囲である
ことを特徴とする前記の合成樹脂製ブロー成形多層容器。 - ダイレクトブロー成形により形成される請求項1記載の合成樹脂製ブロー成形多層容器。
- バリア層が、エチレン・ビニルアルコール共重合体から形成される請求項1または2記載の合成樹脂製ブロー成形多層容器。
- 回収層を備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の合成樹脂製ブロー成形多層容器。
- 内表面層とバリア層との間、または、バリア層と外表面層との間の一方または両方に接着層を備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の合成樹脂製ブロー成形多層容器。
- 前記環状膨出部のエチレン系樹脂を含有する内表面層が、有機滑剤である不飽和脂肪酸アミド、飽和脂肪酸アミドまたはそれらの混合物を含有するエチレン系樹脂の組成物から形成される請求項1乃至5のいずれか1項に記載の合成樹脂製ブロー成形多層容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014007288A JP6243234B2 (ja) | 2014-01-17 | 2014-01-17 | 肩部の上端に環状膨出部を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014007288A JP6243234B2 (ja) | 2014-01-17 | 2014-01-17 | 肩部の上端に環状膨出部を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015134629A JP2015134629A (ja) | 2015-07-27 |
JP6243234B2 true JP6243234B2 (ja) | 2017-12-06 |
Family
ID=53766817
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014007288A Active JP6243234B2 (ja) | 2014-01-17 | 2014-01-17 | 肩部の上端に環状膨出部を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6243234B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5056674A (en) * | 1988-11-15 | 1991-10-15 | Larry Swartley | Liquid container |
JP5755081B2 (ja) * | 2011-08-22 | 2015-07-29 | 株式会社クレハ | 環状凹部を備える合成樹脂製ブロー成形容器 |
-
2014
- 2014-01-17 JP JP2014007288A patent/JP6243234B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015134629A (ja) | 2015-07-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TW201103719A (en) | Preform and method for forming a container | |
WO2016084300A1 (ja) | 二軸延伸ブロー成形用のプリフォーム及び容器 | |
JP6121201B2 (ja) | 環状凹部に厚肉の環状凸部を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 | |
JP5883234B2 (ja) | 回収層を備える樹脂製多層容器 | |
JP5755081B2 (ja) | 環状凹部を備える合成樹脂製ブロー成形容器 | |
US20200131350A1 (en) | Blow molded articles formed from polyolefin compositions | |
JP2021020421A (ja) | ポリオレフィン系多層シュリンクフィルム | |
JP6263431B2 (ja) | 喰い切り支持部を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 | |
JP5997879B2 (ja) | 樹脂製多層容器 | |
JP2012035466A (ja) | 多層ポリオレフィン系熱収縮フィルム | |
JP6243234B2 (ja) | 肩部の上端に環状膨出部を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 | |
US20110226723A1 (en) | Hollow body with improved barrier action | |
JP2010214910A (ja) | 非油性内容物用多層プラスチック容器 | |
JP5948719B2 (ja) | 多層熱収縮フィルム及びその製造方法 | |
JP2015134632A (ja) | 肩部の上端に環状膨出部を備え、植物由来のエチレン系樹脂を含有する表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 | |
BR112012008194A2 (pt) | recipiente de parede fina moldado por expansão por sopro | |
JP2014213903A (ja) | 環状凹部に厚肉の環状凸部を備え、植物由来のエチレン系樹脂を含有する表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 | |
JPH0473695B2 (ja) | ||
JP5886569B2 (ja) | 接地凸部を備える合成樹脂製容器 | |
JP5679572B2 (ja) | 樹脂製多層容器 | |
JP2015199514A (ja) | 喰い切り支持部を備え、植物由来のエチレン系ポリオレフィン樹脂を含有する表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 | |
JP2014213902A (ja) | 環状凹部に厚肉の環状凸部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 | |
JP2015134630A (ja) | 肩部の上端に環状膨出部を備え、カーボンラベリングされた表面層を備える合成樹脂製ブロー成形多層容器 | |
JP5824244B2 (ja) | 回収層を備える樹脂製多層容器 | |
CN113195186B (zh) | 塑料容器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20160318 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160930 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170712 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170725 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170920 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20171101 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20171109 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6243234 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |