JP6242249B2 - 太陽追尾装置及び太陽光利用システム - Google Patents

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Description

本発明は、太陽追尾装置及びそれを備える太陽光利用システムに関する。
太陽光発電システムの光電変換効率は、当該システムが備える太陽電池の太陽に対する向きによって変動する。即ち、太陽電池の受光面が太陽に対して正対する場合に、太陽光発電システムの光電変換効率が最大となるが、太陽電池の受光面の向きが、太陽に対して正対する方向からずれると、そのずれの大きさに応じて光電変換効率が低下する。
このような光電変換効率の低下を抑制するための装置として、太陽電池の受光面が常に太陽に対して正対するように太陽電池の向きを経時的に制御する太陽追尾装置が知られている。そのような太陽追尾装置としては、例えば、予め太陽の経時的な動きをプログラムしておき、電動モーター等の電力駆動手段によって太陽の動きに合わせて太陽電池の向きを経時的に変化させる装置が知られている。
しかしながら、電力駆動手段を利用する太陽追尾装置においては、商業電力や太陽光発電システム自身の太陽電池の発電電力を利用する必要があるため、太陽光発電システムの実効的な発電効率が低下してしまう。太陽光発電システム以外の太陽光を受光する要素を備える装置においても、太陽追尾を行うために電力駆動手段を利用する太陽追尾装置を用いると、太陽追尾のための電力が必要になってしまう。
このような問題点を回避可能な装置として、下記特許文献1〜3に記載されているような電力不要の太陽追尾装置が知られている。
特開平6−301420号公報 特開2005−90889号公報 特開平11−125765号公報
上記特許文献1及び2に記載の太陽追尾装置においては、太陽追尾のための駆動力を得るために、液体媒体又は気体媒体の温度上昇時の体積膨張を利用している。具体的には、これらの装置は、太陽電池モジュール等の駆動対象物の太陽光受光部の向きが太陽からずれると、媒体に照射される太陽光の量が増加するような構成を有している。そして、媒体の温度が上昇すると媒体の体積が膨張し、この膨張に伴う圧力によって、太陽光受光部が太陽追尾するようにアクチュエータを作動させている。
しかしながら、液体媒体及び気体媒体の温度上昇に伴う体積膨張率はそれ程大きくないため、駆動力が不足する場合があり、十分な太陽追尾を実現することが難しい場合がある。
それに対して、上記特許文献3に記載の太陽追尾装置においては、駆動力を得るためのアクチュエータとして、金属水素化物(水素吸蔵合金)と、これを収容する容器とを有する金属水素化物アクチュエータが利用されている。具体的には、この装置は、駆動対象物の太陽光受光部の向きが太陽からずれると、集光レンズによって集光された太陽光が、金属水素化物(水素吸蔵合金)アクチュエータに照射されるような構成を有している。そして、金属水素化物アクチュエータ内部の金属水素化物の温度が上昇すると、金属水素化物から水素が放出され、容器内の圧力が増加する。この増加した圧力によって、太陽光受光部が太陽追尾するように金属水素化物アクチュエータの動力伝達部品を作動させている。
水素吸蔵合金は、一般的に、それ自身の体積の1000倍程度の水素を吸蔵することができる。そのため、上記特許文献3のような水素吸蔵合金を利用した金属水素化物アクチュエータは、上記特許文献1及び2に記載の液体媒体又は気体媒体を利用したアクチュエータよりも、はるかに大きな駆動力を生み出すことができる。
しかしながら、上記特許文献3に記載の金属水素化物(水素吸蔵合金)アクチュエータを用いた太陽追尾装置においては、以下のような問題点が存在する。
即ち、金属水素化物から放出される水素の量は、温度上昇量に依存する。そのため、太陽光の強度が低い場合には金属水素化物アクチュエータによって十分な駆動力が得られず、十分な太陽追尾を実現することが難しい。
さらに、上記特許文献3に記載の太陽追尾装置においては、原理的に、受熱面を駆動するために移動可能な複数の部材であって、金属水素化物を収容する容器の内部の圧力変化に直接対応して非動作状態から動作状態に可逆的に変化する互いに独立した複数の部材(動力伝達部品)が必要であるため、複数の金属水素化物アクチュエータを、太陽追尾させる受熱面と台座との間に平行に設けている。そのため、装置構成が複雑になるため、太陽追尾の角度範囲を広くする(例えば、太陽の日周運動を追尾するために、太陽追尾の角度範囲を180度以上にする)ことを試みると、複数の金属水素化物アクチュエータ間の干渉などの複数の部品間の物理的な干渉が生じ易い。そのため、太陽追尾の角度範囲を広くすることが難しい場合がある。
さらに、上記特許文献3に記載の太陽追尾装置においては、集光レンズによって集光された太陽光が、金属水素化物アクチュエータに照射される構成を有している。そのため、装置に直接太陽光が照射される状態であっても、この集光レンズの集光可能範囲外からの太陽光を金属水素化物アクチュエータに照射することができない。そのため、太陽追尾させる受熱面の方向が太陽から大きくずれた場合(例えば、受熱面を太陽の日周運動に1日追尾させ、翌日太陽の日周運動への追尾を開始する場合)、装置自体に太陽光が照射されている状態であっても、金属水素化物アクチュエータの駆動力のみで受熱面を再び太陽に追尾させられず、太陽追尾の続行が難しい場合がある。(この点について、上記特許文献3に記載の太陽追尾装置においては、加熱装置を別途設けることにより受熱面の位置の補正を行っている。)
上述の上記特許文献3に記載の装置に係る問題点は、当該装置を太陽光発電システム以外の、太陽光を受光する要素を備える装置においても、同様に当てはまる。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、水素吸蔵合金を利用した太陽追尾装置であって、太陽光の強度が低い場合であっても安定して太陽追尾を行うこと、追尾させる部材の方向が太陽から大きくずれた場合であっても太陽追尾を続行すること、及び、太陽追尾の角度範囲を広くすることが可能な太陽追尾装置、及び、このような太陽追尾装置を利用した太陽光利用システムを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明に係る太陽追尾装置は、太陽光受光要素を固定することが可能な太陽追尾部と、太陽追尾部を、第1方向に沿って延びる揺動軸の周りに揺動可能に支持する支持部と、太陽追尾部と支持部との間に介在する連動部と、を備える。太陽追尾部は、第1水素吸蔵合金を収容する第1容器と、第2水素吸蔵合金を収容し、第1方向と直交する第2方向に沿って第1容器と離間する第2容器と、第1容器と連通する第1圧力室と、第2容器と連通する第2圧力室と、第1圧力室の一部及び第2圧力室の一部を規定し、第1圧力室内の圧力と第2圧力室内の圧力との圧力差に起因して移動する移動部であって、当該圧力差が存在するとき、第1圧力室と第2圧力室のうち圧力が高い一方の圧力室の容積を増加させると共に他方の圧力室の容積を減少させるように移動することにより、当該圧力差を減少又は解消させる移動部と、第2方向における第1容器と第2容器との間に設けられ、第1方向及び第2方向の両方に直交する第3方向に沿って第1容器と第2容器よりも延びる壁部と、を有する。連動部は、上記圧力差が存在するとき、壁部の第3方向の先端が、第1容器と第2容器のうち圧力が高い一方の容器の側へ移動するように、移動部の移動を、太陽追尾部の揺動軸の周りの揺動運動に連動させる。
本発明に係る太陽追尾装置によれば、太陽追尾部の揺動軸の周りの揺動運動は、移動部の移動に連動しており、移動部の移動は、第1圧力室内の圧力と第2圧力室内の圧力との圧力差に起因している。第3方向が太陽に向くように太陽追尾部が位置する場合、第3方向に延びる壁部は、当該壁部を第2方向に挟むように位置する第1容器及び第2容器に向かう太陽光を遮らないため、上記圧力差は全く又は殆ど発生しない。それに対して、第3方向と太陽の位置がずれた場合、壁部は、第1容器及び第2容器の一方に向かう太陽光を遮らず、他方に向かう太陽光の一部又は全部を遮るため、上記圧力差が発生する。この圧力差は、上記一方の容器に連通する圧力室内の圧力増加量のみ、及び、上記他方の容器に連通する圧力室内の圧力減少量のみよりも必ず大きな値となる。そのため、太陽光の強度が低い場合であっても、上記圧力差は十分に確保することができる。これにより、この圧力差に起因する移動部の移動に連動する太陽追尾部の揺動運動が安定するため、太陽光の強度が低い場合であっても、安定して太陽追尾を行うことができる。
さらに、本発明に係る太陽追尾装置によれば、集光レンズ等の光集光手段を用いずに、第1容器及び/又は第2容器の方向に太陽光を向かわせることが可能である。そのため、第3方向と太陽の位置が大きくずれた場合であっても、第1容器及び第2容器の少なくとも一方に太陽光を向かわせ、上記圧力差を発生させることが可能なため、太陽追尾を続行することが可能である。
さらに、本発明に係る太陽追尾装置によれば、太陽追尾部を揺動運動させるために移動可能な部材であって、第1圧力室内部及び第2圧力室内部の圧力変化に直接対応して非動作状態から動作状態に可逆的に変化する部材は、上記移動部のみとすることができる。そのため、装置構成が簡略化し易くなる。その結果、太陽追尾の角度範囲を広くしても複数の部品間の物理的な干渉が生じ難いため、太陽追尾の角度範囲を広くすることが容易となる。
さらに、本発明に係る太陽追尾装置は、シリンダーと、このシリンダーのシリンダー室内を摺動可能なピストンと、を備え、このピストンが移動部の一部又は全部に対応し、このピストンによって区画される上記シリンダーの上記シリンダー室の一方が第1圧力室に対応し、他方が第2圧力室に対応することが好ましい。
これにより、シリンダー及びピストンによって、第1圧力室、第2圧力室、及び、第1圧力室内の圧力と第2圧力室内の圧力との圧力差に起因して移動する移動部の3つの要素を容易に構成することができる。
さらに、本発明に係る太陽追尾装置において、第1水素吸蔵合金及び第2水素吸蔵合金の10℃〜70℃における下記式(1)で定義されるヒステリシスファクターHfが、0.3以下であることが好ましい。
Hf=Ln(Pa/Pd) (1)
[式(1)中、Paは、平衡水素圧力−合金中水素濃度曲線のプラトー領域の中央における水素吸蔵平衡圧力を示し、Pdは、同プラトー領域の中央における水素放出平衡圧力を示し、Lnは自然対数を示す。]
これにより、第1水素吸蔵合金及び第2水素吸蔵合金の水素吸蔵時と水素放出時の水素平衡圧力の差が小さくなるため、平衡水素圧力−合金中水素濃度曲線におけるヒステリシスに起因する第1圧力室内の圧力及び第2圧力室内の圧力の変動を抑制することができる。その結果、高精度の太陽追尾が可能となる。
また、本発明に係る太陽光利用システムは、上述のいずれかの太陽追尾装置と、上記太陽光受光要素としての、太陽光発電装置又は太陽熱温水器と、を備える。これにより、上述のような効果を発揮する太陽追尾装置を備える太陽光利用システムとなる。
本発明によれば、水素吸蔵合金を利用した太陽追尾装置であって、太陽光の強度が低い場合であっても安定して太陽追尾を行うこと、追尾させる部材の方向が太陽から大きくずれた場合であっても太陽追尾を続行すること、及び、太陽追尾の角度範囲を広くすることが可能な太陽追尾装置、及び、このような太陽追尾装置を利用した太陽光利用システムが提供される。
実施形態に係る太陽追尾装置、及び、当該装置を備える太陽光利用システムの模式的な構成を示す図である。 図1のII−II線に沿った太陽追尾装置及び太陽光利用システムの断面の構成を示す図である。 図3(A)は、+Z軸方向から見た太陽追尾装置の平面図であり、図3(B)は、図1のIIIB−IIIB線に沿った太陽追尾装置の断面の構成を示す図である。 水素吸蔵合金の平衡水素圧力−合金中水素濃度−合金温度の状態図の典型例を示す図である。 移動部及びシリンダーの詳細な構成例を示す断面図である。 図3に示す状態における第1水素吸蔵合金のPC曲線及び第2水素吸蔵合金のPCT状態図を示す図である。 図7は(A)は、図3(A)に示す状態から太陽が移動した場合の+Z軸方向から見た太陽追尾装置の平面図であり、図7(B)は、図7(A)に示す状態における第1水素吸蔵合金と第2水素吸蔵合金のPCT状態図を示す図である。 図8(A)は、+Z軸方向から見た太陽追尾装置の平面図であり、図8(B)は、図1のIIIB−IIIB線に沿った太陽追尾装置の断面図である。 図8に示す状態における第1水素吸蔵合金及び第2水素吸蔵合金のPCT状態図を示す図である。 PC曲線におけるヒステリシスを有する水素吸蔵合金の、ある温度におけるPCT状態図の例を示す図である。 第1圧力室、第2圧力室、及び、移動部を構成する他の例を説明するための図である。 第1圧力室、第2圧力室、及び、移動部を構成する他の例を説明するための図である。 変形例に係る連動部を備える太陽追尾装置、及び、当該装置を備える太陽光利用システムの模式的な構成を示す図である。 2つの太陽追尾装置の組み合わせに係る例を示す図である。
以下、実施の形態に係る太陽追尾装置及び太陽光利用システムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、可能な場合には同一要素には同一符号を用いる。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
図1は、本実施形態に係る太陽追尾装置、及び、当該装置を備える太陽光利用システムの模式的な構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の太陽光利用システム100は、本実施形態の太陽追尾装置1と、太陽光受光要素としての太陽光発電装置Sと、を備えている。図1及び以降に図においては、必要に応じて直交座標系Rを示している。直交座標系Rによって、+Z方向である第1方向、+X軸方向である第2方向、及び、+Y軸方向である第3方向が規定される。
太陽追尾装置1は、支持部3と、太陽追尾部10と、連動部70と、を備えている。支持部3は、地面や建造物等の設置面G上に載置又は固定される基体部5と、支柱部6と、支柱部7と、揺動軸部材8と、を有している。支柱部6及び支柱部7は、基体部5に対して揺動軸部材8を支持する。揺動軸部材8は、直交座標系Rの+Z軸方向(第1方向)に沿って延びる揺動軸8Xを有し、揺動軸8Xに沿って延びる形状、例えば、円柱形状を有する。
支持部3は、揺動軸8Xの周りに揺動可能に太陽追尾部10を支持する。具体的には、揺動軸部材8には、太陽追尾部10の2つの揺動支持部11、13が揺動可能に連結されており、揺動支持部11と揺動支持部13との間には、固定部15が固定されている。太陽追尾部10の他の要素は、揺動支持部11、揺動支持部13、及び、固定部15のいずれかに直接又は間接的に固定されている。そのため、太陽追尾部10は、揺動軸部材8によって、揺動軸8Xの周りに揺動可能に支持される。固定部15は、太陽光発電装置Sを固定することが可能な固定面15Sを有する。固定面15Sは、+Y軸方向と交差し、好ましくは略直交する。
なお、+Z軸方向は、支持部3を基準とした方向であり、+X軸方向及び+Y軸方向は、太陽追尾部10を基準とした方向である。そのため、太陽追尾部10が揺動軸8Xの周りに揺動すると、それに合わせて+X軸方向及び+Y軸方向も揺動軸8Xの周りに揺動する。即ち、直交座標系Rは、太陽追尾部10の揺動軸8Xの周りの揺動に合わせてZ軸の周りに揺動する動座標系である。
図2は、図1のII−II線に沿った太陽追尾装置及び太陽光利用システムの断面の構成を示す図であり、図3(A)は、+Z軸方向から見た太陽追尾装置の平面図であり、図3(B)は、図1のIIIB−IIIB線に沿った太陽追尾装置の断面の構成を示す図である。なお、図2以降の本実施形態に係る図面においては、図の簡略化の観点から支持部3のうち揺動軸部材8以外の要素の図示を省略している。
図2及び図3(A)に示すように、太陽追尾部10は、第1水素吸蔵合金21を収容する第1容器31と、第2水素吸蔵合金22を収容する第2容器32と、壁部41とを有する。第1容器31は、配管33と連通させるための開口部を除いて、第1水素吸蔵合金21を密閉し、第2容器32は、配管34と連通させるための開口部を除いて、第2水素吸蔵合金22を密閉する。第1容器31及び第2容器32の形状は任意であるが、例えば、中空の円柱形状である。
本実施形態では、第1容器31、第2容器32、及び、壁部41は、揺動支持部11に固定されている。第2容器32は、+X軸方向に沿って第1容器31と離間している。壁部41は、+X軸方向における第1容器31と第2容器32との間に設けられている。また、壁部41は、+Y軸方向に沿って、第1容器31及び第2容器32よりも延びる。即ち、壁部41の+Y軸方向の先端41Sは、+Y軸方向において、第1容器31及び第2容器32よりも先端側に位置する。本実施形態では、壁部41は、YZ平面に沿って延びる板状の部材であり、+Z軸方向及び−Z軸方向において、第1容器31及び第2容器32よりも延びている。
また、図2及び図3(B)に示すように、太陽追尾部10は、移動部50と、固定部15に固定されたシリンダー60と、を有する。シリンダー60は、例えば、X軸方向に沿って直線的に延び、中空の円柱形状を有する。移動部50は、シリンダー60のシリンダー室内を、第1圧力室61と第2圧力室62とに区画する。即ち、第1圧力室61の一部、及び、第2圧力室62の一部は、移動部50によって規定される。第1容器31は、配管33によって第1圧力室61と連通する。第2容器32は、配管34によって第2圧力室62と連通する。
水素吸蔵合金は、水素と可逆的に反応可能であり、この反応に基づき水素を可逆的に吸蔵及び放出する性質を持つ合金である。この性質に基づき、水素吸蔵合金の環境圧力や温度を変化させることにより、水素を吸蔵させたり放出させたりすることができる。
水素の吸蔵時には、水素吸蔵合金が水素と発熱反応して金属水素化物を形成する。水素の放出時には、金属水素化物となっている水素吸蔵合金が吸熱反応して、水素を放出する。そのため、水素吸蔵合金が冷却されると水素の吸蔵反応が生じるため、当該水素吸蔵合金は周囲環境の水素を吸蔵し、水素吸蔵合金が加熱されると水素の放出反応が生じるため、当該水素吸蔵合金は周囲環境に水素を放出する。
図4は、水素吸蔵合金の平衡水素圧力−合金中水素濃度−合金温度の状態図(以下、「PCT状態図」という)の典型例を示す図である。この状態図において、横軸は、水素吸蔵合金中の水素濃度(H/M)、即ち、水素吸蔵合金の原子数(M)に対する、当該水素吸蔵合金に吸蔵されている水素の原子数(H)の割合(H/M)を示し、縦軸は、水素の平衡圧力を示す。本実施形態の水素吸蔵合金のPCT状態図は、JIS H7201(水素吸蔵合金の圧力―組成等温線(PCT線)の測定方法)に準拠した方法で測定される。図4の状態図では、同一の水素吸蔵合金に関する2種類の平衡水素圧力−合金中水素濃度曲線(以下、「PC曲線」という)が示されており、一方の曲線Cは、相対的に高温状態の水素吸蔵合金のPC曲線であり、他方の曲線Cは、相対的に低温状態の水素吸蔵合金のPC曲線である。なお、詳細は後述するように、水素吸蔵合金のPC曲線は、ヒステリシスを有する場合があるが、図4の曲線C及び曲線CのPC曲線は、ヒステリシスが無い水素吸蔵合金のPC曲線を示している。
図4に示すように、水素吸蔵合金の温度が上昇すると、PC曲線は、平衡水素圧力が高い側へシフトする。このことからも、水素吸蔵合金は、冷却されると水素を吸蔵し、加熱されると水素を放出することが分かる。また、図4に示すように、ある水素濃度範囲でPC曲線は略直線的になる。この水素濃度範囲を、プラトー領域と呼ぶ。図4に示すように、プラトー領域の傾きは、略0であること(即ち、プラトー領域における水素の平衡圧力は略一定であること)が好ましいが、プラトー領域が有限の傾きを有していてもよい。プラトー領域が有限の傾きを有する場合、JIS H7201に準拠した方法で測定されるPCT状態図において、水素の平衡圧力Pの自然対数の微小変化をΔLnPとし、水素吸蔵合金中の水素濃度(H/M)の微小変化をΔ(H/M)としたきに、ΔLnP/Δ(H/M)で定義されるプラトー領域の傾きが、0.4以下であることが好ましい。
本実施形態の第1水素吸蔵合金21及び第2水素吸蔵合金22としては、例えば、AB型合金であるCaNi、LaNi、MmNi(Mmは、ミッシュメタルを表す)、AB型合金であるTiCr1.8、TiMn1.5、AB型合金であるTiFe、TiCo、AB型合金であるMgNi、MgCu、及び、固溶体型合金であるTi−V、V−Nbのいずれか、又は、いずれかを主成分として他の元素が添加された合金を用いることができる。特に、Mn、Al、Co、B、Zr、Sn、Ge又はこれらのうちの2以上の組み合わせを添加したMmNiは、後述のPC曲線におけるヒステリシスを小さくする観点から、第1水素吸蔵合金21及び第2水素吸蔵合金22として好ましい。なお、上記の水素吸蔵合金の例は、水素と反応して金属水素化物を形成する前の組成を示している。本実施形態の第1水素吸蔵合金21と第2水素吸蔵合金22は、同一の合金であることが好ましいが、互いに異なる合金であってもよい。
移動部50は、第1圧力室61内の圧力と、第2圧力室62内の圧力との圧力差に起因して、シリンダー60の延び方向に沿って移動することができる。即ち、本実施形態では、移動部50は、第2圧力室62内の圧力との圧力差に起因して、+X軸方向又は−X軸方向に沿って直線的に移動可能である。
図5は、移動部及びシリンダーの詳細な構成例を示す断面図である。図5に示すように、移動部50は、内部ピストン51と、外部ピストン55と、からなる。内部ピストン51は、シリンダー60のシリンダー室内を摺動可能な部材である。内部ピストン51は、例えば、シリンダー60の延び方向に沿って延びる円柱形状のピストン本体部52と、ピストン本体部52の周りにピストン本体部52の延び方向に沿って交互に複数固定されたリング形状の内部磁石部53及び内部ヨーク部54と、からなる。
内部ピストン51は、シリンダー60の外周を摺動可能な部材である。外部ピストン55は、例えばシリンダー60の外周においてシリンダー60の延び方向に沿って交互に複数固定されたリング形状の外部磁石部56及び外部ヨーク部57と、外部磁石部56及び外部ヨーク部57の外周に固定された筒状のブロック部58と、からなる。
図2及び図3(B)に示すように、太陽追尾部10は、連動部70を有している。詳細は後述するように、連動部70は、太陽追尾部10と支持部3との間に介在する部材であって、移動する移動部50の駆動力を、太陽追尾部10を揺動軸8Xの周りに所定の態様で揺動運動させるための駆動力に変換するための部材である。即ち、連動部70は、移動部50の移動を、所定の態様で、太陽追尾部10の揺動軸8Xの周りの揺動運動に連動させる。
本実施形態では、連動部70は、移動部50に固定されたラック等のギア71と、中心軸が揺動軸部材8の揺動軸8Xと略一致するように揺動軸部材8に固定された平歯車等のギア72と、からなり、ギア71とギア72は、互いに係合する。
次に、本実施形態の太陽追尾装置1の太陽追尾動作について説明する。例えば太陽追尾装置1を太陽の日周運動に追尾させる場合、図1に示すように、太陽追尾装置1を使用する場所の緯度を考慮し、揺動軸8Xが太陽の周回軌道面と略垂直になるように、太陽追尾装置1を配置する。
図3(A)に示すように、壁部41の延び方向(+Y軸方向)が太陽の方角に向いている状態が、太陽に対する太陽追尾部10の適切な位置となる。この状態においては、壁部41は+Y軸方向に延びると共に、第1容器31及び第2容器32は、+X軸方向に壁部41を挟むように位置しているため、壁部41は、第1容器31及び第2容器32に向かう太陽80からの太陽光80Sを遮らない。図6は、図3(A)(B)に示す状態における第1水素吸蔵合金及び第2水素吸蔵合金のPCT状態図を示す図である。図6では、第1水素吸蔵合金21と第2水素吸蔵合金22が同一の合金である場合の、それぞれのPC曲線21PC、22PCを示している。そのため、これらのPC曲線は互いに一致している。図6に示す第1水素吸蔵合金21のPC曲線21PC上に図3に示す状態における第1水素吸蔵合金21の状態に対応する点を白丸のプロット21Sで示し、第2水素吸蔵合金22のPC曲線22PC上に、図3に示す状態における第2水素吸蔵合金22の状態に対応する点を黒三角のプロット22Sで示す。
図3(A)(B)に示す状態においては、壁部41は、第1容器31及び第2容器32に向かう太陽80からの太陽光80Sを遮らないため、第1容器31及び第2容器32の内部の温度は略等しくなる。そのため、第1水素吸蔵合金21及び第2水素吸蔵合金22の温度も略等しくなるため、図6に示すように、プロット21S及びプロット22Sの位置は、略一致する。そして、プロット21S及びプロット22Sが、それぞれPC曲線21PCのプラトー領域内に位置するように調節されている。なお、本実施形態では、図3(A)(B)に示す状態において、第1水素吸蔵合金21中の水素濃度と第2水素吸蔵合金22中の水素濃度が略等しく調整されているが、これらの濃度は互いに異なっていてもよい。
この状態においては、第1水素吸蔵合金21と第2水素吸蔵合金22の平衡水素圧力は略等しいため、第1容器31内と第2容器32内の圧力は略等しくなり、第1圧力室61内と第2圧力室62内の圧力も略等しくなる。そのため、第1圧力室61内と第2圧力室62内との圧力差は全く又は殆ど発生しない。ゆえに、移動部50の移動は起こらないため、移動部50の移動と連動している太陽追尾部10の揺動軸8Xの周りの揺動運動も起こらない。その結果、太陽に対する太陽追尾部10の位置が適切に保たれる。
次に、太陽が日周運動で移動した場合について説明する。図7は(A)は、図3(A)に示す状態から太陽が移動した場合の+Z軸方向から見た太陽追尾装置の平面図である。この状態においては、+Y軸方向と太陽の位置がずれる。具体的には、揺動軸8Xが太陽の周回軌道面と略垂直であるため、太陽追尾部10から見て、太陽は、一方の容器側、即ち、第1容器31側に移動する。そのため、+Y軸方向に延びる壁部41は、第1容器31に向かう太陽光80Sを遮らないのに対して、第2容器32に向かう太陽光80Sの一部又は全部を遮る。そのため、第1容器31内の温度は上がる又は略不変であるのに対して、第2容器32内の温度は下がるため、第2水素吸蔵合金22の温度は第1水素吸蔵合金21の温度よりも低くなる。
図7(B)は、図7(A)に示す状態における第1水素吸蔵合金と第2水素吸蔵合金のPCT状態図を示す図である。図7(B)に示すように、第1水素吸蔵合金21と第2水素吸蔵合金22の温度が異なるため、PC曲線21PCとPC曲線22PCは分離する。そして、第1水素吸蔵合金21の状態を示すプロット21Sと、第2水素吸蔵合金22の状態を示すプロット22Sは、縦軸方向に分離する。具体的には、第1水素吸蔵合金21の平衡水素圧力は高くなる又は略不変であるのに対して、第2水素吸蔵合金22の平衡水素圧力は低くなる。
その結果、図7(A)(B)に示す太陽追尾部10の状態は定常状態とはならず、太陽追尾部10の状態の変化が生じる。具体的には、第1水素吸蔵合金21から水素が第1容器31内に放出される又は略放出されないと共に、第2水素吸蔵合金22は第2容器32内の水素を吸蔵する。図8(A)は、そのような状態の変化が生じた後の+Z軸方向から見た太陽追尾装置の平面図であり、図8(B)は、そのような状態の変化が生じた後の図1のIIIB−IIIB線に沿った太陽追尾装置の断面図である。
第1水素吸蔵合金21から水素が第1容器31内に放出される又は略放出されないと、第1容器31内の圧力及び第1容器31と連通する第1圧力室61内の圧力が高くなる又は略不変となる。また、第2水素吸蔵合金22が第2容器32内の水素を吸蔵すると、第2容器32内の圧力及び第2容器32と連通する第2圧力室62内の圧力が低くなる。そのため、第1圧力室61内の圧力と第2圧力室62内の圧力との間に圧力差が生じるため、この圧力差に起因して、移動部50が第1圧力室61の延び方向に沿って移動する。移動部50は、第1圧力室61の一部及び第2圧力室62の一部を規定しているため、移動部50が移動すると、第1圧力室61及び第2圧力室62の容積が変化する。具体的には、移動部50は、相対的に圧力の高い第1圧力室61の容積を増加させると共に、相対的に圧力の低い第2圧力室62の容積を減少させるように移動する。これにより、上記圧力差が減少又は解消される。
そして、連動部70は、上記圧力差が存在するとき、壁部41の+Y軸方向の先端41Sが、第1容器31の側へ移動するように、移動部50の上記移動を、太陽追尾部10の揺動軸8Xの周りの揺動運動に連動させるように構成されている。そのため、移動部50の上記移動に伴い、壁部41の延び方向である+Y軸方向が太陽の方角に近づくように太陽追尾部10が揺動軸8Xの周りに揺動する。太陽追尾部10の上述のような揺動は、上記圧力差が実質的に無くなるまで続く。
図9(A)(B)は、図8に示す状態における第1水素吸蔵合金及び第2水素吸蔵合金のPCT状態図を示す図である。図9(A)に示すように、太陽追尾部10が図8(A)(B)に示す状態になった直後においては、第1水素吸蔵合金21は水素を放出しているため、プロット21SはPC曲線21PC上を水素濃度が低い側に移動し(第1水素吸蔵合金21が水素を略放出しなかった場合は、プロット21Sの位置は略不動)、プロット22SはPC曲線22PC上を水素濃度が高い側に移動する。図8(A)に示す状態においては、図3(A)に示す状態の場合と同様に、壁部41は、第1容器31及び第2容器32に向かう太陽80からの太陽光80Sを遮らない。そのため、図8(A)に示す状態の後に、第1容器31と第2容器32の温度は、互いに略等しい温度に近づくように変化してゆくため、第1水素吸蔵合金21と第2水素吸蔵合金22の温度も、互いに略等しい温度に近づくように変化してゆく。図9(B)は、図8(A)に示す状態の後に、第1水素吸蔵合金21と第2水素吸蔵合金22の温度が略等しい温度まで変化した際の、第1水素吸蔵合金21と第2水素吸蔵合金22のPCT状態図を示す図である。図9(B)に示す状態においては、第1水素吸蔵合金21のPC曲線21PCと第2水素吸蔵合金22のPC曲線22PCとは略一致する。図9(B)の第1水素吸蔵合金21のプロット21Sは、図6で示される状態よりも、水素濃度が低い状態に対応しており、図9(B)の第2水素吸蔵合金22のプロット22Sは、図6で示される状態よりも、水素濃度が高い状態に対応している。
図9(B)に示す状態になると、第1圧力室61内の圧力と第2圧力室62内の圧力差が無くなるため、太陽追尾部10の揺動軸8Xの周りの揺動は停止する。即ち、図8(A)(B)に示されるように、壁部41の延び方向である+Y軸方向が太陽の方角に略向いた状態で、太陽追尾部10の揺動軸8Xの周りの揺動は停止する。このような原理に基づき、壁部41の延び方向である+Y軸方向を太陽の方角に追尾させることが可能である。そのため、太陽光発電装置Sのような太陽光受光要素の受光面が+Y軸と交差するように、好ましくは略直交するように当該太陽光受光要素を太陽追尾部10に固定すれば、太陽光受光要素の向きを太陽に追尾させることができる。
上述のような本実施形態の太陽追尾装置1によれば、図3(A)に示す状態から図7(A)に示す状態まで、太陽追尾部10の+Y軸方向と太陽の位置がずれると、第1圧力室61内の圧力と第2圧力室62内の圧力との圧力差に起因して、太陽追尾部10の+Y軸方向が太陽の方角に近づくように太陽追尾部10が揺動軸8Xの周りを揺動する。
この圧力差は、図3(A)に示す状態から図7(A)に示す状態までの変化が生じた際の、第1容器31に連通する第1圧力室61内の圧力増加量のみ、及び、第2容器32に連通する第2圧力室62内の圧力減少量のみよりも必ず大きな値となる。そのため、太陽光の強度が低い場合であっても、上記圧力差は十分に確保することができる。これにより、この圧力差に起因する移動部50の移動に連動する太陽追尾部10の揺動運動が安定するため、太陽光の強度が低い場合であっても、安定して太陽追尾を行うことができる。
さらに、上述のような本実施形態の太陽追尾装置1によれば、集光レンズ等の光集光手段を用いずに、第1容器31及び/又は第2容器32の方向に太陽光80Sを向かわせることが可能である(図3(A)、図7(A)及び図8(A)参照)。そのため、+Y軸方向と太陽80の位置が大きくずれた場合であっても、第1容器31及び第2容器32の少なくとも一方に太陽光80Sを向かわせ、上記圧力差を発生させることが可能なため、太陽追尾を続行することが可能である。
さらに、上述のような本実施形態に係る太陽追尾装置1によれば、太陽追尾部10を揺動運動させるために移動可能な部材であって、第1圧力室61内部及び第2圧力室62内部の圧力変化に直接対応して非動作状態から動作状態に可逆的に変化する部材は、上述の移動部50のみとすることができる(図3(B)及び図8(B)参照)。そのため、太陽追尾装置1の構成が簡略化し易くなる。その結果、太陽追尾の角度範囲を広くしても複数の部品間の物理的な干渉が生じ難いため、太陽追尾の角度範囲を広くすることが容易となる。
また、上述のような本実施形態に係る太陽追尾装置1は、シリンダー60と、シリンダー60のシリンダー室内を摺動可能な内部ピストン51と、を備え、内部ピストン51が移動部50の一部に対応し、内部ピストン51によって区画されるシリンダー60のシリンダー室の一方が第1圧力室61に対応し、他方が第2圧力室62に対応している(図3(B)、図5、及び図8(B)参照)。
これにより、シリンダー60及び内部ピストン51によって、第1圧力室61、第2圧力室62、及び、第1圧力室61内の圧力と第2圧力室62内の圧力との圧力差に起因して移動する移動部50の3つの要素を容易に構成することができる。
また、上述のような本実施形態に係る太陽追尾装置1においては、第1水素吸蔵合金21及び第2水素吸蔵合金22として、PC曲線におけるヒステリシスが小さい水素吸蔵合金を用いることが好ましい。図10は、PC曲線におけるヒステリシスを有する水素吸蔵合金の、ある温度におけるPCT状態図の例を示す図である。図10に示すように、PC曲線におけるヒステリシスを有する水素吸蔵合金は、水素の吸蔵時と水素の放出時との間にヒステリシスが存在する。そして、JIS H7201に準拠した方法で測定されたPCT状態図におけるプラトー領域の中央における水素吸蔵時の平衡水素圧力(水素吸蔵平衡圧力)をPaとし、プラトー領域の中央における放出時の平衡水素圧力(水素放出平衡圧力)をPdとし、Lnを自然対数としたとき、下記式(1)のようにヒステリシスファクターHfが定義される。
Hf=Ln(Pa/Pd) (1)
ヒステリシスファクターHfが小さい程、PC曲線におけるヒステリシスが小さくなる。本実施形態に係る太陽追尾装置1において、第1水素吸蔵合金21及び第2水素吸蔵合金22として用いられる水素吸蔵合金の10℃〜70℃における上記ヒステリシスファクターHfは、0.3以下であることが好ましく、0.08以下であることがさらに好ましく、実質的に0であることがさらに好ましい。
これにより、第1水素吸蔵合金21及び第2水素吸蔵合金22の水素吸蔵時と水素放出時の水素平衡圧力の差が小さくなるため、平衡水素圧力−合金中水素濃度曲線におけるヒステリシスに起因する第1圧力室61内の圧力及び第2圧力室62内の圧力の変動を抑制することができる。その結果、高精度の太陽追尾が可能となる。
また、上述のような本実施形態の太陽光利用システム100は、上述のような太陽追尾装置1と、太陽光受光要素としての太陽光発電装置Sとを備える。これにより、上述のような効果を発揮する太陽追尾装置1を備える太陽光利用システム100となる。
本発明は上述の実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。例えば、第1圧力室、第2圧力室、及び、移動部を構成する方法は、上述の実施形態における方法に限られない。図11及び図12は、第1圧力室、第2圧力室、及び、移動部を構成する他の例を説明するための図である。例えば、図11(A)に示すようなシリンダー60Aと移動部50Aによって、第1圧力室61A、第2圧力室62A、及び、移動部50Aを構成してもよい。移動部50Aは、図の左右方向に延びるシリンダー60Aのシリンダー室内を、シリンダー60Aの延び方向に沿って摺動可能な内部ピストン50A1と、内部ピストン50A1に固定され、シリンダー60Aの延び方向に沿ってシリンダー60Aの一方の端部を通って外部まで延びるロッド部50A2と、からなる。
また、図11(B)に示すような2つのシリンダー60B1、60B2と、移動部50Bによって、第1圧力室61B、第2圧力室62B、及び、移動部50Bを構成してもよい。2つのシリンダー60B1、60B2は、図の左右方向に延びると共に、互いの中心軸が略一致するように互いに向かい合って離間した状態で、固定部15(図1〜図3参照)に対応する固定部15Bに固定されている。移動部50Bは、2つのシリンダー60B1、60B2の各々のシリンダー室内を、それらの延び方向に沿って摺動可能なピストン50B1、50B2と、ピストン50B1とピストン50B2とを連結するようにこれらの間に設けられたロッド部B3と、からなる。
また、図11(C)に示すようなシリンダーからなる移動部50Cと固定ピストン部60Cによって、第1圧力室61C、第2圧力室62C、及び、移動部50Cを構成してもよい。固定ピストン部60Cは、図の左右方向に延びる移動部50Cのシリンダー室内を摺動可能な部材であり、固定部15(図1〜図3参照)に対応する固定部15Cに固定されている。移動部50Cは、固定ピストン部60Cに対して左右方向に移動可能である。
また、図12に示すように、ベローズを利用して第1圧力室、第2圧力室、及び、移動部を構成することもできる。例えば、図12(A)に示すような2つのベローズ管60D1、60D2と、これらの間に設けられた移動部50Dによって、第1圧力室61D、第2圧力室62D、及び、移動部50Dを構成してもよい。図の左右方向に伸縮可能なベローズ管60D1、60D2の一端は、固定部15(図1〜図3参照)に対応する固定部15Dに固定され、ベローズ管60D1、60D2の他端は、移動部50Dに固定されている。
また、図12(B)に示すような2つのシリンダー60E1、60E2と、2つのベローズ管60E3、60E4と、ロッド部からなる移動部50Eによって、第1圧力室61E、第2圧力室62E、及び、移動部50Eを構成してもよい。2つのシリンダー60E1、60E2の一端は、固定部15(図1〜図3参照)に対応する固定部15Eに固定され、2つのシリンダー60E1、60E2の他端は、これらの内部に設けられた2つのベローズ管60E3、60E4の一端に固定される。2つのベローズ管60E3、60E4の他端は、移動部50Eに固定される。
また、図12(C)に示すようなシリンダーからなる移動部50Fと、2つのベローズ管60F1、60F2とによって、第1圧力室61F、第2圧力室62F、及び、移動部50Eを構成してもよい。移動部50Fのシリンダー室は、図の左右方向に2つに分割されている。移動部50Fの両端部は、移動部50Fの内部に設けられた2つのベローズ管60F1、60F2の一端に固定される。2つのベローズ管60F1、60F2の他端は、固定部15(図1〜図3参照)に対応する固定部15Fに固定される。
また、連動部は、上述の実施形態の連動部70のような態様に限られず、様々な変形態様が可能である。図13は、変形例に係る連動部70Xを備える太陽追尾装置1X、及び、当該装置を備える太陽光利用システム100Xの模式的な構成を示す図である。
図13に示す太陽追尾装置1Xの連動部70Xは、ギア71と、ウォームギア構成部72Xと、からなる。また、太陽追尾装置1Xの移動部50は、上述の実施形態における場合と異なり、第1方向である+Z軸方向に沿って移動する。ウォームギア構成部72Xは、ギア71と係合する+X軸に沿った回転軸を有するギア73と、ギア73と係合する+X軸に沿った回転軸を有するウォームギア74と、ウォームギア74と係合する+Z軸方向に沿った回転軸を有するウォームホイール75と、ウォームホイール75と共通の回転軸を有して連動する、ギア72と係合するギア76と、からなる。
また、上述の実施形態では、太陽追尾装置1を太陽の日周運動に追尾させるように用いているが、太陽の高度変化に追尾するように用いることもできる。その場合、揺動軸8Xの向きを適切に配置する、例えば、揺動軸8Xの向きが東西方向に沿うように太陽追尾装置1を配置すればよい。
また、2つの太陽追尾装置を適切に組み合わせることにより、太陽の日周運動と太陽の高度変化の両方に追尾させることもできる。図14は、そのような2つの太陽追尾装置の組み合わせに係る例を示す図である。図14に示すように、太陽の日周運動と太陽の高度変化の両方に追尾可能な太陽追尾装置は、太陽追尾装置1Yと、太陽光利用システム100Yと、を備えている。太陽追尾装置1Yは、上述の実施形態の太陽追尾装置1に対応しており、揺動軸8Xが+Z軸に沿うように支持部3Xが構成されている点以外は、太陽追尾装置1と実質的に同一である。太陽光利用システム100Yは、上述の実施形態の太陽光利用システム100に対応しており、揺動軸8Xが+X軸に沿うように支持部3Yが太陽追尾装置1Xの固定部15に固定されている点以外は、太陽光利用システム100と実質的に同一である。このような装置によれば、太陽追尾装置1Yによって太陽の日周運動を追尾すると共に、太陽光利用システム100Yによって太陽の高度変化を追尾することが可能となる。
また、上述の実施形態では、太陽光受光要素としての太陽光発電装置Sを有しているが、太陽光受光要素として他の要素、例えば、太陽熱温水器、太陽熱利用スターリングエンジン又はこれに太陽光を取り入れるための反射板、太陽光炉又はこれに太陽光を取り入れるための反射板、太陽光照明又はこれに太陽光を取り入れるための太陽光取入口、又はその他の太陽光を集光する必要のある機器、を有していてもよい。
1…太陽追尾装置、3…支持部、10…太陽追尾部、21…第1水素吸蔵合金、22…第2水素吸蔵合金、31…第1容器、32…第2容器、41…壁部、41S…壁部の先端、50…移動部、61…第1圧力室、62…第2圧力室、70…連動部、100…太陽光利用システム、S…太陽光発電装置(太陽光受光要素)。

Claims (4)

  1. 太陽光受光要素を固定することが可能な太陽追尾部と、
    前記太陽追尾部を、第1方向に沿って延びる揺動軸の周りに揺動可能に支持する支持部と、
    前記太陽追尾部と前記支持部との間に介在する連動部と、
    を備える、太陽光受光要素の向きを太陽に追尾させるための太陽追尾装置であって、
    前記太陽追尾部は、
    第1水素吸蔵合金を収容する第1容器と、
    第2水素吸蔵合金を収容し、前記第1方向と直交する第2方向に沿って前記第1容器と離間する第2容器と、
    前記第1容器と連通する第1圧力室と、
    前記第2容器と連通する第2圧力室と、
    前記第1圧力室の一部及び前記第2圧力室の一部を規定し、前記第1圧力室内の圧力と前記第2圧力室内の圧力との圧力差に起因して移動する移動部であって、当該圧力差が存在するとき、前記第1圧力室と前記第2圧力室のうち圧力が高い一方の圧力室の容積を増加させると共に他方の圧力室の容積を減少させるように移動することにより、当該圧力差を減少又は解消させる移動部と、
    前記第2方向における前記第1容器と前記第2容器との間に設けられ、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向に沿って前記第1容器と前記第2容器よりも延びる壁部と、
    を有し、
    前記連動部は、前記圧力差が存在するとき、前記壁部の前記第3方向の先端が、前記第1容器と前記第2容器のうち圧力が高い一方の容器の側へ移動するように、前記移動部の移動を、前記太陽追尾部の前記揺動軸の周りの揺動運動に連動させる、太陽追尾装置。
  2. シリンダーと、前記シリンダーのシリンダー室内を摺動可能なピストンと、を備え、前記ピストンが前記移動部の一部又は全部に対応し、前記ピストンによって区画される前記シリンダーの前記シリンダー室の一方が前記第1圧力室に対応し、他方が前記第2圧力室に対応する、請求項1に記載の太陽追尾装置。
  3. 前記第1水素吸蔵合金及び前記第2水素吸蔵合金の10℃〜70℃における下記式(1)で定義されるヒステリシスファクターHfが、0.3以下である、請求項1又は2に記載の太陽追尾装置。
    Hf=Ln(Pa/Pd) (1)
    [式(1)中、Paは、平衡水素圧力−合金中水素濃度曲線のプラトー領域の中央における水素吸蔵平衡圧力を示し、Pdは、同プラトー領域の中央における水素放出平衡圧力を示し、Lnは自然対数を示す。]
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽追尾装置と、
    前記太陽光受光要素としての、太陽光発電装置又は太陽熱温水器と、
    を備える太陽光利用システム。
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