《第1の実施形態》
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る照明装置の構成を説明するための正面図である。図1(b)は、本発明の第1の実施形態に係る照明装置の構成を説明するための正面図であって、説明のため導光体2と外カバー8をとり、LED光源4(4L,4D)の配置に着目した図である。図2は、図1(a)のA−A’の断面図である。図2に矢印で示すように方向を定義する。前面方向FDは、照明装置1が主に光を照射する方向である。照明装置1が主に光を照射する方向とは、天井50に設置、または天井50から吊るして室内(周囲)を照明するタイプの照明装置であれば、天井50から床に向かう方向(照明装置1から床に向かう方向、照明装置1の直下方向)である。
背面方向BDは、前面方向FDと反対方向で天井50がある方向である。外側方向ODは、前面方向FDと略垂直方向であって、照明装置1の中心から外側に向かう方向である。前面方向FDと略垂直であり照明装置1の外側から照明装置1の中心に向かう方向を内側方向とする。
図1は、LEDを有する光源であるLED光源4を実装する基板5の法線方向(つまり、前面方向FD)から見た正面図である。LEDを有する光源とは、単体または複数のLEDを有しても良く、単体または複数のLEDを、蛍光体を含む樹脂等で封止した光源でも良い。例えば、発光波長が450nm付近にピークを持つ青色に発光する青色LEDを、1種または多種の蛍光体を含む樹脂等で封止した光源などである。この場合、光源からは、青色LEDの光と蛍光体で波長変換された光が出射する。それゆえ、蛍光体の量、種類、封止する樹脂に入れる蛍光体種類の数などを変えることで光源から出射(発光)する色や光束を調整することが可能である。封止は樹脂で行うこともあればガラスなどを用いる場合もある。また、LEDと蛍光体は分離して配置する構成としても良い。
また、LEDを基板5に直接実装し、それを樹脂等で封止しても良い。当該樹脂には蛍光体を含んでも良く、含まなくても良い。また、LEDをリードフレームなどに実装して封止し、パッケージ化した光源を基板5に実装しても良い。このとき、封止する樹脂に蛍光体を混ぜても良い。所謂、表面実装型LEDを基板5に実装しても良い。LEDを有すれば、光源として機能するので、光源としての様々な組み合わせが可能である。
本発明は、光源や光源の実装方法に限定されず、様々な光源を用いることが可能である。以下の説明は、LEDを有する光源を代表的な光源として説明する。なお、簡単のため、LEDを有する光源をLED光源4と呼ぶことにする。基板5において、LED光源4が実装されている面を実装面と呼ぶことにする。図1(a)は、導光体2、基板5、外カバー8、内カバー9、導光体2に付与されている第1の光取出し部3Aと第2の光取出し部3Bの概略を説明するための正面図であるため、説明に主に関係する箇所のみ記載している。図1(b)は上述したとおり、LED光源4(4L,4D)の配置に着目した図であるため、基板5、LED光源4(4L,4D)、内カバー9のみ記載している。図2の断面は、LED光源4が実装されている基板5の法線と平行な面における断面図である。図2においても、主要な部材のみ記載している。
照明装置1は、正面から見た場合に略円形状である。照明装置1は、導光体2と、LED光源4と、基板5と、反射シート6と、フレーム7と、外カバー8と、内カバー9と、電源回路10と、反射キャップ11と、固定具51などから構成されている。なお、課題を解決するためには、照明装置1は、少なくとも、導光体2と、LED光源4と、基板5と、電源回路10とを有していれば良い。更に、照明装置1として、照明装置1の配光特性を概ねランバート配光とするか、それよりも広い配光特性として、より適正な配光特性となる照明装置1を提供するためには、反射部材としての反射シート6なども有すると良い。
基板5は、正面から見た場合に略円形の輪状の形状をしている。LED光源4は、照明装置1の最外周に1列で、照明装置1の外周に沿って基板5に配置されている。当該構成は、できるだけ多くのLED光源4を、導光体2において一続きの平面からなる入射面2Aに対応して配置できる構成である。それゆえ、大光量であり、薄型であり、且つ、等方的に、床や、部屋の壁、天井50などの照明装置1の周囲を照明するという効果を奏する構成である。多数のLED光源4を配置することができるため、LED光源4の性能にもよるが、本構成における照明装置1は、照明装置1の最大外形を450mmφ〜700mmφとした場合に、6000lm以上の光束を照明装置1から出射可能である。
LED光源4は、光を出射する出射面4Aと、基板5に実装するための基板実装面と、を備えている。本実施形態において、図1(b)に示すように、LED光源4は2色のLED光源(4L,4D)が互い違いになるよう基板5に配置されている。当該2色のLED光源4は、色温度が2500kから3500k程度の暖色のLED光源4Lと、6000kから7000k程度の白色のLED光源4Dである。両者の電流値を電源回路10で制御することで照明装置1から出射する光の色を、LED光源4Lの色温度からLED光源4Dの色温度の範囲で変化させる調色機能を実現する。なお、本発明は、2色のLED光源に限定されず、より多色であっても単色であっても良い。また、本発明における各色の色温度は限定されない。代表的な例で説明する。
基板5が一続きの一枚の基板である場合、全てのLED光源4は等間隔で配置することが容易に可能であり、本例では全てのLED光源4は等間隔で配置されている。LED光源4から発光した光は、LED光源4において光を出射する出射面4Aに対応して配置される導光体2の入射面2Aから導光体2に入射する。
なお、LED光源4の色の数、配置などは上記に限るものではない。
図2に示すように、本実施の形態の導光体2の断面形状は、曲がる部分である伝播方向変換部2Bと、伝播方向変換部2Bに続き、内側方向と略同一方向へ至る部分である面出射部2Cと、を有する形状である。面出射部2Cは、略平行でおおよそ平らな2つの面(2CIと2CO)から構成される。
面出射部2Cを構成する面2CIと2COは、伝播方向変換部2Bを構成する面2BI、2BOよりも、前面方向FDと垂直な面との成す角度が小さく、前記前面方向FDと垂直な面と平行に近い面である。完全に平面としても良いが、本例では射出成形にて形状がばらつか無いようにするために、面2CIと2COの断面形状は略円弧形状であって、当該円弧の長さ(外側の端部から照明装置1の中心までの距離)が300mm程度であるのに対して、曲率半径が約5000mmよりも大きい断面形状を持つ、おおよそ平面に近い面である。本実施形態では断面形状を円弧としたが、これに限定されず、円弧とは異なる曲線でも良く、折れ線でも良く、直線または折れ線と曲線が混ざっていても良く、言うまでも無く直線でも良い。
また、本実施形態の伝播方向変換部2Bを構成する面2BI、2BOの断面形状は、曲率半径が10mmから40mm程度の中心角が概ね90度の略円弧形状である。なお、本実施形態では円弧としたが、光の伝播方向を変換する機能があれば良く、そのために曲がる部分があれば良い。光の伝播方向を少なくとも概ね45度以上変更する機能を有すれば良い(断面形状が略円弧の場合は、中心角が概ね45以上ということである。)。当該曲がる部分は、円弧とは異なる曲線でも良く、直線または折れ線と円弧で構成されていても良く、直線または折れ線と円弧以外の曲線で構成されていても良く、折れ線でも良い。
また、本実施形態の導光体2は、入射面2Aの幅(厚み)が導光体2の中央付近よりも厚い構成となっている。別の言い方をすれば、伝播方向変換部2Bの方が、面出射部2Cの中央付近よりも厚い部分を有する構成となっている。それは、LED光源4からの光をできるだけ導光体2に入射面2Aより入射させ、かつ、面出射部2Cまで、伝播方向変換部2Bにおいて第2の光取出し部3B以外の位置で光が漏れないように伝播させるために、所定の以上の厚さ(4mm以上、本実施形態では5mm)とし、面出射部2Cは厚くすると重くなるので導光体2の軽量化を鑑みて面出射部2Cの中央付近に向けて緩やかに薄くなっている。したがって、面2CIと2COの断面形状の円弧は、原点と曲率半径の異なる円弧となっている。
また、導光体2は透明な材料で形成された部材であって、その材料は、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、または、それらの複合材等の樹脂である。但し、本発明は導光体2が光を導光できる程度に透明であれば、これらの材料に限定されない。例えば、形状を作製できれば、ガラス等を用いても良い。
本実施形態における導光体2の断面形状は、入射面2Aから、LED光源4の略主発光方向(LED光源4の発光光度の角度分布が最も強い方向)であり、また、LED光源4の出射面4Aの法線方向と略同方向(つまり、前面方向FD)に立ち上がっている。入射面2A付近の断面形状を当該形状とすることで、LED光源4の発光光を効率よく入射させ、入射光を導光体2から漏れないように前面方向に導くという効果を奏する。
この際、入射面2Aから面2BI、2BOの立ち上がり角度2Ag(図3に図示)は、0.5度以上、好ましくは5度以上10度未満である。この角度範囲は次の理由による。導光体2を射出成形したあとで、導光体製造用金型から取り出す際に、取り出せるようにするためには角度2Agは最低0.5度以上必要で5度以上が好ましいという点と、角度2Agを10度よりも大きくすると、光が伝播方向変換部2Bを伝播せずに漏れるという現象を鑑みて設定した角度範囲である。とりわけ、5度程度が伝播方向変換部2Bで光がほとんど漏れず、成形の観点からも十分に大きな角度であって、最適な角度である。なお、射出成形で導光体製造用金型から取り出せ、大半の光が伝播方向変換部2Bを伝播せずに漏れることが無ければ、上記立ち上がり角度に限るものではない。また、射出成形以外の方法で成形する場合も上記立ち上がり角度に限るものではない。
図3に、図2の左半面を拡大した図を示す。中心線CLは、照明装置1の中心を通り、前面方向FDと平行な直線である。図3には光線追跡例としてRAY31〜RAY33を示す。
入射面2Aに入射した光は、導光体2の断面形状に沿って、伝播方向変換部2Bで伝播方向が変更され、面出射部2Cを伝播する。なお、導光体2中の光の導光に関しては、光が導光体2の内部において、導光体2を構成する面に当たったときに、当該面の法線と光のなす角度が全反射角度以上の場合に全反射され、この全反射を繰り返すことで導光体2の中を光が導光する。全反射角度以上の角度で導光体2を構成する面に入射して導光する光の条件を導光条件と呼ぶことにする。導光条件が崩れた光は何れ導光体2から出射する。
光取出し部3の役割は、光取出し部3に入射する光であって、全反射を繰り返している光の一部または全部を、光取出し部3にて透過により導光体2の外に出射するか、当該部位での反射光が別の部位で全反射せず透過して導光体2の外に出射するように反射することである。
面出射部2Cには、第1の光取出し部3Aを有する。本実施形態では第1の光取出し部3Aは、面出射部2Cの背面方向側の面である面2CIに配置している。図3中の光線RAY31は、伝播方向変換部2Bを伝播し、面出射部2Cの第1の光取出し部3Aで反射して出射面2COから前面方向側に出射した例である。ここで、前面方向側とは、前面方向FDを原点として前面方向FDからの角度が±90度以内の方向のことである。
図3中の光線RAY32は、伝播方向変換部2Bを伝播し、面出射部2Cの第1の光取出し部3Aにて透過して(屈折して)、反射部材である反射シート6に到達し、当該反射シート6で散乱反射して、面2CIを透過して出射面2COから前面方向に出射した例である。
本実施形態における反射シート6は白色散乱反射部材であり、導光体2の面出射部2Cよりも背面方向側に配置され、導光体2からの入射光を前面方向側に反射する。
本実施形態では、基板5は実装面が白色散乱反射膜で覆われている。基板5はLED光源4の近くに位置するため、入射面2Aでの反射光(フレネルの式で表される反射率に基づく反射)や他の反射部材からの反射光が、基板5に入射するので、実装面は塗装、反射膜、反射シート6の配置などにより反射率を高くして吸収を低減することが望ましい。本実施形態では、フレーム7Aは白色で塗装されており、白色散乱反射する。
伝播方向変換部2Bでは、外側方向側にも光を出射する第2の光取出し部3Bを有する。ここで、外側方向側とは、外側方向ODを原点として外側方向ODからの角度が±90度以内の方向のことである。また、第2の光取出し部3Bは、前面方向FDを原点として前面方向FDから90度以上の背面方向側、つまり、天井に向けても光を出射する部位でもある。図3中の光線RAY33は、第2の光取出し部3Bで反射して背面方向BDに導光体2から出射した例である。本実施形態の光取出し部3の表面には、微細な凹凸が付与されており、RAY33は散乱反射された光線例でもある。
伝播方向変換部2Bが照明装置1の最外周に沿って配置されているため、面2BOから出射した光は、照明装置1の他の部品に遮られることなく、背面方向BDに出射し、天井50を直接照明することが可能となっている。
これら光取出し部3の詳細については後述する。本実施形態では、照明装置1における一部または全部の前面方向FDおよび一部の外側方向ODの最外部は導光体2としてあり、さらに、光取出し部3を溝(凹形状)として、伝播角度変換部2Bおよび面出射部2Cでは、それぞれ内側の面2BI、2CIに付与している。この光取出し部3で角度変換された光は、反射・透過を経て、外側の面2BO、2COから、直接、床や、部屋の壁、天井50など照明装置1の周囲に向かって出射し、周囲全体を照らすという効果を奏する。
ここで、伝播角度変換部2Bおよび面出射部2Cにおける光取出し部3は、内側の面2BI、2CIであっても、外側の面2BO、2COであっても良いし、内側と外側の両側にあっても良いし、一方は内側、他方は外側であっても良い。但し、導光体2からの光で周囲を直接照明する構成(照明装置1における一部または全部の前面方向FDおよび一部の外側方向ODの最外部は導光体2)の場合、両方とも内側にある方が、光取出し部3に埃や汚れが付着しないという利点がある。とりわけ、光取出し部3が溝などの凹形状や散乱するための微小な凹凸がある場合に、光取出し部3を内側にすることで、凹形状や微小な凹凸に詰まる埃や汚れを防止する効果が高くなる。
従来、一般の照明装置、とりわけ個人の家に設置する住宅用照明装置においては、平面の板形状の導光板の前面に、導光板から出射した光を散乱するための散乱カバー部材が配置され、導光板から出射した光を散乱透過して、床や、部屋の壁など照明装置の周囲を照明する。導光板から出射した光で、直接、周囲を照明する場合、壁や天井方向への光が少なくなる。とりわけ、天井への光がほとんど無くなる。それゆえ、天井で反射して周囲を照明する間接光がなくなってしまうという課題があり、それらを解決するために、導光板の前面に、導光板から出射した光を散乱するための散乱カバー部材が配置されている。
本実施形態の構成の場合、LED光源4が照明装置1の最外周に沿って配置されており、さらに、そのLED光源4に対応して、入射面2Aおよび伝播角度変換部2Bが最外周に配置されている。その上で、外側方向ODに法線が向いた(前面方向FDから法線が傾いた)面2BIがあり、そこに第2の光取出し部3Bがあるので、第2の光取出し部3Bで角度変換された光が面2BOから出射し、その出射光が、照明装置1における一部または全部の前面方向FDおよび一部の外側方向ODの最外部は導光体2となっているため、他の部品に遮られることなく、外側方向ODおよび背面方向BDを照射することが可能である。つまり、照明装置1は、前面方向FDの一部または全部の最外部は導光体2の構成であって、光取出し部3がユーザから直視できる構成であり、導光体2からの光で周囲を直接照明する構成である。それゆえ、第1の光取出し部3Aからの光と合わせて、本実施形態の構成により、床や、部屋の壁、天井50など照明装置1の周囲全体を照らすという効果を奏する。
本実施形態の構成の重要な特徴を別の言葉で言えば、LED光源4からの光を、最外周から中心に向けて伝播させて、所定の位置の光取出し部3で取り出して出射させている点と、導光体2が単なる平面の板形状ではなく立体的な形状であるという点である。本特徴により、本照明装置1は、大光量、薄型、等方出射、照明装置1の周囲全体を照明するなどの効果を得ている。
また、本実施形態では、導光体2から出射した光を散乱するための散乱カバー部材などが無く、導光体2から出射した光で照明装置1の周囲を直接照明する。導光体2から出射した光で照明装置1の周囲を直接照明することで、少なくても、次に述べる利点がある。
第1の利点は次の通りである。導光体2の前面に散乱カバー部材が配置されている場合は、前記散乱カバー部材は、一部の光を透過し、また、反射する。それゆえ、反射光が照明装置の内部に戻り、一部の光が照明装置内の光を吸収する部材で吸収され損失する恐れがある。本実施形態のように、導光体2からの光で照明装置1の周囲を直接照明する場合は、これらの損失が低減し、照明装置1の光利用効率が向上するという効果を奏する。
我々のシミュレーションによれば、全てのLED光源4が発光した光に対して照明装置1で損失する光の割合を損失率とした場合、損失率が7.5%だった導光体2のみを有する照明装置1の光学系に対して、全光線透過率65%の散乱カバー部材を配置した照明装置では、損失率が12%になった。したがって、散乱カバー部材を無くすことで、4.5%損失を低減できることが分かった。この低減の値は照明装置1の光学系と散乱カバー部材の全光線透過率によって変化するが、散乱カバー部材を無くすことで4.5%から10%程度の損失率の改善が見込まれる。
第2の利点は次の通りである。前述のとおり、導光体2の前面に散乱カバー部材が配置されている場合は、前記散乱カバー部材は、一部の光を透過し、また、反射する。反射光の一部は、照明装置内の部材で再度反射するが、一般に該部材での反射率は全ての光の波長で一定ではないので、該部材での再反射光のある波長の光は他の波長の光より反射光束が小さくなる恐れがある。つまり、該部材で光を再度反射すると色が変わる恐れがあるということである。この場合、例えば、LED光源4から出射する光の色温度を6500kとした場合、散乱カバー部材が配置されている照明装置から出射する光は6200Kになったりすることがある。しかしながら、本実施形態のように、導光体2からの光で照明装置1の周囲を直接照明する場合は、導光体2の前面の散乱カバー部材で反射される光が無いので、色の変化が、導光体2の前面に散乱カバー部材がある場合に比べて少ないという効果を奏する。損失率が低減するということは、照明装置1内の部材での反射回数が低減するということであり、つまり、反射回数が少ない分だけ、色の変化も低減するということである。
第3の利点は次の通りである。LED光源4から出射された光が、略透明な導光体2を導光して、第1の光取出し部3Aと第2の光取出し部3Bから出射する照明装置1は、導光体2の透明感と光取出し部3でのきらめく発光(光の出射)により、照明している様が美しいという効果を奏する。
第4の利点は次の通りである。導光体2の前面に散乱カバー部材がないので、廃棄時に当該散乱カバー部材の産業廃棄物の低減となる。また、該散乱カバー部材の作製プロセスが無い分、省エネで照明装置を作製できるという効果を奏する。
なお、前記散乱カバー部材が有する機能である、導光板から出射した光を散乱透過して、床や、部屋の壁など照明装置の周囲を照明するという機能を、本照明装置1では、上述した導光体2の立体的な形状および光取出し部3の位置や光取出し部3への散乱特性の付与や、反射シート6などの反射部材の組み合わせにより実現している。
なお、本実施形態の照明装置1に前記散乱カバー部材を取り付けた場合は、光が更に散乱し、ムラが更に低減するという効果を奏する。
ここで、当該反射部材の役割について言及する。従来は、前記散乱カバーの透過散乱により、照明装置からの出射光の角度分布(配光特性)は概ねランバート配光となった。しかしながら、本実施形態の場合のように、照明装置1における一部または全部の前面方向FDおよび一部の外側方向ODの最外部は導光体2となっていて、導光体2からの光で、床や、部屋の壁、天井50を直接照らすという構成の場合、出射面2BO、2COから出射する光の和の配光特性が概ね照明装置1の配光特性になるので、導光体2の当該面から出射する光の和が概ねランバート配光となる必要があり、導光体2は光が導光できる程度に透明であるので、導光体2だけでは前記散乱カバーの透過散乱程度の散乱効果を得ることは難しい。
そこで、本実施形態では、詳細は後述するが光取出し部3に散乱特性を付与したり、当該反射部材を配置することで、照明装置1の配光特性を概ねランバート配光とするか、それよりも広い配光特性として、適正な配光特性となる照明装置1を提供する。
当該反射部材の効果については、再度、図3中の光線RAY32を用いて説明する。本実施形態では、導光体2の表面に凹形状を作ることで光取出し部3を設けている。導光体2の表面形状を変更しているので、光取出し部3も透明であり、光取出し部3への入射光は、光取出し部3を透過することも反射することもある。透過光と反射光の割合は光取出し部3の形状による。それゆえ、当該光取出し部3は、光線RAY31、RAY32のように、導光体2内を伝播した光を、導光体2から当該反射部材に向かう方向(RAY32)と、導光体2から前面方向FDと略同一方向(RAY31)に出射することが可能となる。なお、RAY31に示すように、本実施形態の第1の光取出し部3Aの場合、当該前面方向FDへも出射するが、前面方向FDから伝播方向(図3では内側方向)に傾いた方向の光度が大きくなることがある。前面方向側を概ね前面方向FDと略同一方向と呼んでいる。
光線RAY32は、反射部材(反射シート6)で散乱され、前面方向FD方向に伝播しているが、これに限らず、若干の指向性はあるものの、外側方向、内側方向にも散乱光が伝播する。反射部材である反射シート6の散乱効果、つまり、広い角度範囲へ反射散乱する効果は、前述の前記散乱カバーの透過散乱程度の散乱効果と同程度以上である。それゆえ、面出射部2Cからは、反射部材での散乱光が導光体2を透過する光と第1の光取出し部3Aで反射して導光条件が崩れて出射する光とが出射するので、概ねランバート配光となる。また、図3に示すように、導光体2と当該反射部材の間に空隙がある構成の場合は、当該空隙を伝播中に光は広がるので、その構成の場合は、さらなる出射位置分布(照度分布)均一性の効果を得ることが可能となる。
また、外側方向を明るくするためには、反射部材を導光体2の内側に配置する場合には、前記反射部材(反射シート6)を面出射部2Cに対向する位置であるフレーム7の中心付近の平面を覆うだけでなく、伝播角度変換部2B付近であって、伝播角度変換部2Bに対向する位置でもあるLED光源4付近にも前記反射部材(反射シート6)を配置し、さらに、フレーム7の中心付近の平面を覆う反射シート6とLED光源4付近に配置される反射シート6との間も、フレーム7Aを白色塗装して反射部材とすることが望ましい。なぜならば、第2の光取出し部3Bからの光を反射する反射部材が離れた位置に有る場合、空気中伝播時の拡散により伝播角度変換部2Bに戻ってくる反射光が少なり、伝播角度変換部2Bから出射する光の量が少なくなるためである。
総じて、光取出し部3を反射・透過、何れも可能な構成として、反射部材を面出射部2Cよりも背面方向側に配置するという構成は、配光特性を良好な特性へ改善するという効果を奏する。
本実施形態の構成によれば、導光体2は、白い反射部材から反射した光が、導光体2全体から出射し、光取出し部3からはより明るい光が出射する。それゆえ、導光体2の透明感と、導光体2を通して見える白さ、光取出し部3でのきらめく発光(光の出射)により、照明している様が美しいという効果を奏する。
基板5が一続きの一枚の基板であり、全てのLED光源4は等間隔で配置されている場合を前述した。LED光源4が等間隔で配置されていない場合には、LED光源4の距離が離れている場所が、当該距離が近い場所に比べて暗くなる光のムラが発生する恐れがある。さらに、本実施形態のように、2色のLED光源4(4L,4D)を用いている場合は、光のムラに加えて色のムラが発生して見た目が著しく損なわれる恐れがある。したがって、LED光源4はおおよそ等間隔で配置することが望ましい。さらに、隣り合うLED光源4間の隙間が10mm未満となるように設置することが望ましい。隣り合うLED光源4間の隙間を10mm以上とすると、隣り合うLED光源4間の隙間に対応して暗くなるムラが発生することを実験にて確認した。また、隣り合う2色のLED光源4(4L,4D)間の隙間を10mm以上とすると、色が混色せず、見た目が著しく損なわれる。これらのムラは、導光体2からの光で照明装置1の周囲を直接照明する場合に、照明装置1における外観である導光体2が人間からも直接見えるために、課題となる。
なお、基板5は、一続きの基板としても良いが、4等分、6等分、8等分など等分割した基板を組み合わせて略円形の輪状の形状を作った方が、産業廃棄物低減の観点からは良い。以下、理由を述べる。基板は、通常、矩形の板材に銅箔パターン等を形成し、必要な部位を切り出して作製される。元となる基板から一続きの略円形の輪状の基板を切り出すよりも、小さい面積の等分割した基板を切り出すほうが、廃棄する部位が少なくなる。つまり、等分割した基板を組み合わせて円形の輪状の形状を作った方が、元となる一枚の基板から取れる、略円形の輪状の形状を構成する基板一式の数が多くなるからである。
等分割した基板を組み合わせて略円形の輪状の形状を作る場合の課題は、基板が分割されている端部において、異なる基板間で隣り合うLED光源4間の距離が、同一の基板内で隣り合うLED光源4間の距離よりも大きくなる点である。しかしながら、この場合も、できるだけLED光源4は等間隔に配置することが望ましい。また、隣り合うLED光源4間の隙間を10mm未満とすることが好ましい。なお、同一の基板内で隣り合うLED光源4間の距離を1.5から3mm程度とすると、異なる基板間で隣り合うLED光源4間の距離も同程度とすることが可能であり、前述の隙間に対応して暗くなるムラが発生しないことを確認済みである。
本実施形態では、LED光源4から導光体2に入射しない光を散乱反射するために、LED光源4の周囲には反射部材としての外カバー8と内カバー9を配置している。
フレーム7は大まかには2枚の金属フレーム7A、7Bで構成され、天井に近い側のフレーム7Bに電源回路10が設置され、フレーム7Aに、導光体2、基板5、反射シート6、外カバー8、内カバー9などの光学部品が設置される。フレーム7における導光体2側の部材であるフレーム7Aは、LED光源4および導光体2からの光を反射するために、白色の塗装をすることが好ましい。さらに、塗装よりも反射率の高い反射シート6で、フレーム7Aを覆うことがさらに望ましい。平面の反射シート6を使うと、正面から見た場合の照明装置1の形状が円形の場合、フレーム7Aの斜面に貼ることが困難であるが、光反射板などの反射部材に成形加工等を施すことで立体的な反射部材にして、フレーム7A全体を覆うことが好ましい。フレーム7Aまたはそれを覆う物は反射部材として活用できるように様々な加工や部材の追加をすることが好ましく、上記反射部材は白色の散乱部材であることが好ましい。
照明装置1の中央には、天井50と照明装置1を接続するための機構がある。天井50には、照明装置1を設置するための器具が設置されている。一般には、天井50には、照明装置1を固定すると同時に電力を供給する引っ掛けシーリング52が設置されている。
照明装置1の固定は、最初に、固定具51を引っ掛けシーリング52に取り付ける。固定具51には、固定具51の中心方向に押せば、固定具51の中に引っ込むことが可能な出っ張り部51Aがある。出っ張り部51Aの断面は略三角形であり、照明装置1を前面方向FDから天井に近づけると、フレーム7Bの端部7BEで押されて、出っ張り部51Aが固定具51の中に引っ込む。フレーム7Bの端部7BEが出っ張り部51Aよりも天井に近づくと、固定具51の中に引っ込んでいた出っ張り部51Aが元の位置まで戻り、図2に示す状態となり、照明装置1が天井50に固定される。なお、本発明は固定具の形状(構造)に限定されるものではない。固定具は、照明装置1を天井等の所定の位置に、固定するための機能を有していれば良い。
引っ掛けシーリング52から固定具51に電力が供給され、その電力は固定具51から配線51Bと配線10Aを介して電源回路10に供給される。配線51Bと10Aはコネクタで接続されている。これら固定具51と配線およびコネクタを収納する空間に光が入ることを抑制するために、反射キャップ11が固定具51と対向して配置されている。反射キャップ11は、光を反射する部材であり、一般に散乱反射する白色の部材である。安全性向上のために反射キャップ11は難燃性の樹脂であることが好ましい。反射キャップ11の表面に反射シート6を貼るとさらに良い。
次に、図4(a)および(b)を用いて、光取出し部3と導光体2の詳細について説明する。図4は、図1のA−A’断面図であり、導光体2の光取出し部3に着目した図であって、説明に必要な箇所のみを表示している。
図4(a)は第2の光取出し部3Bの拡大図である。第2の光取出し部3Bは何れも溝(凹形状)としている。但し、何れの溝もアンダーカット形状の無い溝形状となっている。アンダーカット形状とは、導光体2を2個の導光体製造用金型で成形して、前面方向FDと背面方向BDに導光体製造用金型を開く場合に、導光体2の一部が引っかかって、導光体製造用金型から導光体2が取り出せない引っかかりのある形状である。つまり、本実施形態の導光体2は、導光体2を2個の導光体製造用金型で成形して、例えば前面方向FDと背面方向BDに導光体製造用金型を開く場合に、導光体2が引っかかることなく、導光体製造用金型から導光体2を取り出すことができる引っ掛かりのない形状である。また、別の見方をすれば、導光体2は、前面方向側または背面方向側から見た際に、凸形状または凹形状により見えなくなる部分が無いことを特徴とする導光体である。
もし、溝形状の一部にでもアンダーカット形状が入っていると、成形品を取り出すために、溝を付ける側の型を、さらに分割する必要がある。ところが、さらに分割した場合、型を分割した部分に対応して成形品に分割線が入る。この分割線は、LED光源4が発光してなくても外光の散乱反射により外部から見ることができる。分割線は、LED光源4が発光すると光取出し部3と同じ役割を果たし、分割線にて不要な光漏れ(光が出射する)が起こる。導光体2からの光で周囲を直接照明する場合に、導光体2が人間からも直接見えるために、この分割線からの光漏れは課題となる。ただし、本実施形態のように、第2の光取出し部3Bをアンダーカット形状の無い溝形状とすることで、分割線の無い綺麗な導光体を提供するという効果を奏する。
さらに、複数の型で成形すると生産プロセスが煩雑になると共に、型作製が複雑になる。第2の光取出し部3Bをアンダーカット形状の無い溝形状とすることで、これらの複雑化、煩雑化を無くすことができるという効果を奏する。
とりわけ、第2の光取出し部3Bは、曲がる部分である伝播方向変換部2Bに設けられているため、単純に溝を配置するとアンダーカット形状になり易い。図4(a)において、第2の光取出し部3Bは2つの部位から形成されており、1つは断面形状が円弧の部位3B1で、もう一つは直線の部位3B2であって、直線の部位3B2は成形品を抜く方向と平行な方向(FD)に略平行として、アンダーカット形状になるのを抑制している部位である。つまり、円弧の部位3B1がアンダーカット形状となる位置(FD方向からの角度が90度よりも大きくなる位置)から直線の部位3B2とすることでアンダーカット形状にならないようになっている。また、直線の部位3B2に後述する散乱特性を付与することで、天井方向も含めて、照明装置1の外側方向に主に光を照射する部位とすることが可能である。それゆえ、直線の部位3B2はアンダーカット形状を抑制する効果と、照明装置1の外側方向に主に光を照射するという効果を奏する。
次に、図4(b)は第1の光取出し部3Aの拡大図である。第1の光取出し部3Aについて説明する。面出射部2Cを構成する面2CIと2COは平面に近い面なのでアンダーカット形状になることはまずないが、アンダーカット形状にならない形状としている。
第1の光取出し部3Aは略平面である面2CIに設置され、第2の光取出し部3Bは傾斜面(曲面)である面2BIに設置されるため、第1の光取出し部3Aと前記第2の光取出し部3Bとの形状を異なる形状として、アンダーカット形状にならないようにし、それぞれの位置で適切な光取り出し機能を有するようにしている。
特に、第2の光取出し部3Bは照明装置1の外側方向側にも、つまり、天井50の方向にも光を出射する形状とし、第1の光取出し部3Aは前面方向側に主に光を出射する形状としている。第1の光取出し部3Aおよび第2の光取出し部3Bに対向する面が照射するおおよその角度範囲を、図4(b)3AAG、図4(a)3BAGとして記した。なお、角度範囲はこれに限るものではなく、照明装置1全体から光が出射し、床方向から側部方向および天井方向までを明るくすることのできるような角度範囲であればよい。
とりわけ、光取出し部3に埃や汚れが付着しないという利点を鑑みて、図4(a)および(b)に示すように、光取出し部3が導光体2の内側に有る場合は、光取出し部3がアンダーカット形状にならないようにすることが重要である。なぜならば、導光体2の外側に光取出し部3が有る場合は、アンダーカット形状があっても、導光体製造用金型を4分割して、導光体製造用金型から導光体2を取り出すときは、導光体製造用金型を外側方向(両側)、前面方向、背面方向に開くことで取り出せるが、光取出し部3が導光体2の内側に有って、かつ、アンダーカット形状がある場合は、複雑な導光体製造用金型形状と開き方をしなければ導光体2を取り出せない。つまり、現実的ではない。その上、正面から見た場合に導光体2が略円形の場合は、導光体2を取り出すことが出来ない。したがって、光取出し部3が導光体2の内側に有る場合は、光取出し部3をアンダーカット形状にしてはならない。
なお、本実施形態では、第2の光取出し部3Bを溝(凹形状)形状で説明したが、特に溝形状に限らず、アンダーカット形状の無い構成であれば凸形状でも良い。つまり、アンダーカット形状がないように成形することが可能な凹凸形状であれば良い。図4(c)は第2の光取出し部3Bの光取出し部3が凸形状である場合の例を、図4(d)は第1の光取出し部3Aの光取出し部3が凸形状である場合の例を示す。
図4(c)において、第2の光取出し部3Bは2つの部位から形成されており、1つは断面形状が円弧の部位3B1で、もう一つは直線の部位3B2であって、直線の部位3B2は成形品を抜く方向と平行な方向(BD)に略平行として、アンダーカット形状になるのを抑制している部位である。つまり、円弧の部位3B1がアンダーカット形状となる位置(BD方向からの角度が90度よりも大きくなる位置)から直線の部位3B2とすることでアンダーカット形状にならないようになっている。また、直線の部位3B2に後述する散乱特性を付与することで、天井方向も含めて、照明装置1の外側方向に主に光を照射する部位とすることが可能である。それゆえ、直線の部位3B2はアンダーカット形状を抑制する効果と、照明装置1の外側方向に主に光を照射するという効果を奏する。
図4(d)において、第1の光取出し部3Aは、面出射部2Cを構成する面2CIと2COは平面に近い面なのでアンダーカット形状になることはまずないが、アンダーカット形状にならない形状としている。
図4(c)から(d)に示す凸形状の光取出し部3であっても、凹形状の溝の場合に説明した様々な効果を得ることができる。
光取出し部3の形成方法に関しては、導光体2は立体形状であるため、白色インクのスクリーン印刷は困難である。それゆえ、射出成形で成形できる構造であることが好ましい。また、レーザ加工で表面に凹凸をつけても良いが、射出成形の凹凸形状の方が光学的な制御がし易い。導光体2に散乱剤を含有し、散乱剤にて導光体2からの光取り出しを制御する方式もあるが、この方式は浅い角度でしか導光体2から光が出射しないために角度を変化するために、本実施形態で説明した同様の光取出し部3や光学シートが更に必要となる。それゆえ、射出成形で表面に溝などの凹凸をアンダーカット形状が無いように成形する方法が最も良い。その際、導光体2の内部に散乱剤が入っていても良い。但し、作製方法は射出成形に限定するものではなく、上記、レーザ加工やアクリル等の樹脂等の液滴をたらしてUV硬化また熱硬化等をすることで凸の光取出し部3を成形する方法にて作製しても良い。この場合、伝播方向変換部2Bに樹脂等の液滴をたらして光取出し部3を成形するには、液滴をたらした後で、すぐに液滴が硬化する材料を用いると良い。斜面に印刷する装置があれば、白色インクをスクリーン印刷などで印刷しても良い。印刷方法は問わないが、白色インク(塗料)で光取出し部3を形成すれば良い。また、例えば平面に近い形状である面出射部2Cの第1の光取出し部3Aは、白色インクのスクリーン印刷などで作製し、伝播方向変換部2Bは別の方法で作製しても良い。
但し、白色インクは、インク濃度を濃くすると透過しなくなる。それゆえ、光が透過する程度のインク濃度で印刷すると、上述した光取出し部3を反射・透過、何れも可能な構成として、反射部材を面出射部2Cよりも背面方向側に配置するという構成により、配光特性を良好な特性へ改善するという効果も奏するので、光が透過する白色インクによる光取出し部3を形成することが好ましい。
次に、光取出し部3(3A,3B)を正面から見たときの特徴について図1を用いて説明する。LED光源4は、照明装置1の最外周に1列(図1(b)参照)で、照明装置1の外周に沿って基板5に配置されており、照明装置1において一回りのLED光源4がリング状に囲んでいる構成である。導光体2も正面視で円形であり、中心は照明装置1の中心に一致する。さらに、導光体2の中心を中心として、第1の光取出し部3Aおよび第2の光取出し部3Bも同様に、リング状に配置されている。光取出し部3(3A,3B)の形状は、溝形状に限定されるものでは無いが、本実施形態では溝形状がリング状に配置されている構成である。光取出し部3(3A,3B)の形状は溝形状または凸形状が最も簡単な形状で綺麗に光を取り出す形状と考えられる。LED光源4、導光体2、第1の光取出し部3A、第2の光取出し部3Bを、本実施形態の様に照明装置1の外周に沿って配置することで、照明装置1の周囲を均一に照明できるという効果を奏する。さらに、正面視でLED光源4の配置と光取出し部の配置が円形の場合は、照明装置1の周囲を等方的に照明できるという効果を奏する。また、光取出し部3(3A,3B)が照明装置1(導光体2)の中心を中心として環状に一周した構成であると、光り方が等方的で綺麗であるという効果を奏する。
また、第1の光取出し部3Aおよび第2の光取出し部3Bが照明装置1の中心を囲む場合に、特定の断面形状で一周しても良いが、ピラミッド、三角錐、凹部、凸部などの個別パターンを所定の間隔で配置して、または、繋げて配置して環状に一周しても良い。
光取出し部3と導光体2の表面形状に関して詳細に説明する。光取出し部3の表面を、光取出し部3の大きさに比べて、微小な凹凸のある粗い面とすることで、図5から図7を用いて説明する課題を解決できる。
本課題を分かりやすく説明するために、光取出し部3としての溝が1つだけある平板の導光体2Pを用いた図5にて説明する。本導光体2PとLED光源4Dの斜視図を図5(a)に示す。図5(b)から(d)は、入射面2PAから光が導光体2Pに入射し、光取出し部3で反射して導光体2Pの出射面2PO(入射面と垂直な面)から出射して観測者M1に到達する様子を示している。矢印つきの実線はLED光源4Dからの光線を表している。観測者M1は地点2P1、2P2を見るものとする。地点2P1、2P2は、溝に対応する2つの地点である。地点2P1は、LED光源4Dと観測者M1を結ぶ直線を含み出射面2POに垂直な平面内にあり、地点2P2は当該平面外にある。図5(c)は、説明を分かり易くするために、図5(b)を側面から見た場合における、図5(b)中の光線RAY51が導光して観測者M1に到達する様子を描いている。
図5(b)、(c)において、光取出し部3は、正面から見た場合は直線であって、断面は略半円の溝である。さらに、当該溝を構成する面が鏡面で形成された場合の例である。地点2P1において、LED光源4Dからの光は、そのまま観測者M1に向かって進む。それゆえ、観測者M1は、地点2P1は明るいと知覚する。一方、地点2P2では、LED光源4Dからの光は、観測者M1へ向かう方向とは異なる方向に進む。それゆえ、観測者M1へは光が届かず、地点2P2は暗いと知覚する。したがって、図5(b)、(c)に示すように、光取出し部3としての溝が1つだけある場合は、光取出し部3の一点(地点2P1)が明るく見える。
実際の導光板は図5(e)のように、光取出し部3が複数配置されている。図5(e)は、平板の導光体2Pに、図5(b)の光取出し部3を、1個だけでなく、導光板2Pの長辺方向に所定の間隔を持って3個付けた場合で、図5(c)同様に側面から見た光の導光の様子を示す図である。この場合も、光取出し部3に対応する地点であって、地点2P1のようにLED光源4Dと観測者M1を結ぶ直線を含み出射面2POに垂直な平面内にある地点が明るく見え、それ以外の地点は概ね暗く見える。少なくても、光取出し部3の間隔が20mm未満の場合は、観測者M1からは、光取出し部3に対応して明るい当該3個の地点が繋がって見え、明るい線として知覚される。これが線状のムラである。
導光体2からの光で周囲を直接照明する場合は、この線ムラが直接見えるので、照明装置1の外観が著しく損なわれるという課題が発生する恐れがある。
本課題を解決する方法は、光取出し部3を構成する面に散乱特性を付与することである。図5(d)を用いて、散乱特性を付与した場合の説明をする。図内で使用する記号などは、図5(b)と同じことを意味する。
LED光源4Dからの光は、光取出し部3で散乱して、散乱光の一部は地点2P1から観測者M1に向けて出射する。また、地点2P2へLED光源4Dから出射した光も、光取出し部3で散乱して、散乱光の一部は地点2P2から観測者M1に向けて出射する。したがって、地点2P1からのみならず地点2P2からも光が出射して観測者M1に向かうので、地点2P1だけが明るいだけでなく地点2P2も明るくなり、両地点間の明るさの差が緩和する。十分な散乱性があれば、当該2地点で、おおよそ同じ明るさになる。つまり、光取出し部3の表面に散乱特性を付与することで、実際の導光板のように、光取出し部3が複数配置されている場合に、線として見える線ムラも抑制される。これらの現象に関しては、光取出し部3に散乱特性を付与し、LED光源4を約5mmピッチで基板5に配置した照明装置を作製して、線ムラが抑制されることを確認した。光取出し部3の表面の散乱特性に関する詳細は、後述する。
次に、色に起因するムラに関して図6を用いて説明する。図6は図5と同様に、説明を分かり易くするために、平板の導光体2Pに光取出し部3としての溝が1つだけある場合である。図5と異なる点は、光源として、2個の色違いのLED光源4L、4Dが隣接して配置されている点である。図6(b)から(d)は、2個の色違いのLED光源4L、4Dからの光が、入射面2PAから導光体2Pに入射し、光取出し部3で反射して導光体2Pの出射面2PO(入射面と垂直な面)から出射して観測者M1に到達する様子を示している。点線はLED光源4Lからの光線を表し、実線はLED光源4Dからの光線を表している。観測者M1は地点2PL、2PDを見るものとする。地点2PL、2PDは、LED光源4L、4Dと観測者M1を結ぶ直線を含み出射面2POに垂直な平面内にあり、溝に対応する2つの地点である。図6(c)は、説明を分かり易くするために、図6(b)を側面から見た場合における、図6(b)中の光線RAY61が導光して観測者M1に到達する様子を描いている。
図6(b)における光取出し部3は、正面から見た場合は直線であって、断面は略半円の溝である。さらに、図6(b)は、当該溝を構成する面が鏡面で形成された場合の例である。地点2PLにおいて、LED光源4Lからの光は、そのまま観測者M1に向かって進む。一方、LED光源4Dからの光は、観測者M1へ向かう方向とは異なる方向に進む。それゆえ、観測者M1は地点2PLの色がLED光源4Lの発光色に見える。同様の現象により、観測者M1は地点2PDの色がLED光源4Dの色に見え、位置に依存して異なる色が見えるという現象が発生する。
この現象は、2色のLED光源4(4L,4D)が互い違いに配置されている照明装置においては、導光体2の表面に、2色のLED光源4(4L,4D)の色に対応した2色の線が互い違いに、縞々模様のムラとして発生する。導光体2からの光で周囲を直接照明する場合は、この色ムラが直接見えるので、照明装置1の外観が著しく損なわれる。さらに、照明装置1においても、色が分離して照明することになるので、照明対象が正確な色で照明されないという課題が発生する恐れがある。
本課題である色ムラを解決する方法は、上述の線ムラと同様に、光取出し部3を構成する面に散乱特性を付与することである。図6(d)を用いて、散乱特性を付与した場合の説明をする。図内で使用する記号などは、図6(b)と同じことを意味する。LED光源4Lからの光は、光取出し部3で散乱して、散乱光の一部は地点2PLから観測者M1に向けて出射する。また、LED光源4Dからの光も、光取出し部3で散乱して、散乱光の一部は地点2PLから観測者M1に向けて出射する。したがって、地点2PLからの出射光は、LED光源4LとLED光源4Dからの光が混色して観測者M1に向かう。同様の現象は、地点2PDでも起こり、LED光源4LとLED光源4Dからの光が混色して観測者M1に向かう。それゆえ、観測者M1は地点2PL、2PDからの出射光は凡そ同じ色に見え、色ムラが抑制される。これらの現象に関しては、光取出し部3に散乱特性を付与した照明装置を作製して、色ムラが抑制されることを確認した。光取出し部3の表面の散乱特性に関する詳細は、後述する。
次に、光取出し部3の表面処理と関係する照明装置1の出射角度分布に関する課題に関して、図7を用いて説明する。図7(a)は、第1の光取出し部3Aが鏡面加工されている溝(断面が半円形状の凹形状)の場合の主な光線出射方向を、光線RAY71を用いて例示している図である。光線RAY71は、導光体2に入射後に面出射部2Cまで導光して、第1の光取出し部3Aで鏡面反射して導光条件が崩れ、面2COから出射し、中心方向から照明装置1を見ている観測者M1に観測される様子を示している。このとき、観測者M2には光が届かない。それゆえ、観測者M2からは、出射に寄与した当該第1の光取出し部3Aが暗く見える。溝が鏡面加工の場合、伝播方向と反対方向への反射光は少なく、伝播方向に大部分の光を反射するため、光が伝播していく方向から照明装置1を見る観測者(上記例では観測者M1)には、照明装置1から出射してくる光を観測できるが、当該方向とは反対側から照明装置1を見る観測者(上記例では観測者M2)は光を観測できない。より具体的には、図7(a)において、観測者M2は照明装置1の中心から手前の照明装置1の半円は暗く見え、中心より遠い側の照明装置1は明るく見えるということである。これは、照明装置1としての美しさ、商品性を著しく低下させる。
また、前面方向FDからの角度(以下、極角θと呼ぶことにする。)が50度以上となる方向に多くの光を発するため、照明装置1の前面方向FDが暗くなるという課題も発生する。これらの課題は、導光体2からの光で周囲を直接照明する場合に顕著な課題となる。
当該課題を解決する最も効果的な方法は、線ムラ、色ムラの解決方法と同様に、光取出し部3を構成する面に散乱特性を付与することである。図7(b)は、光取出し部3を構成する面に散乱特性を付与した場合の主な光線出射方向を、光線RAY71、71’を用いて例示している図である。光取出し部3を構成する面に散乱特性を付与した場合、当該面の散乱性能の程度に応じて光取出し部3に入射した光の一部は散乱により様々な方向に出射する。それゆえ、光取出し部3を構成する面に散乱特性を付与した場合、図7(b)の光線RAY71’が示すように、第1の光取出し部3Aで反射した光は、観測者M1の方向にも出射する(光線RAY71)が、散乱により観測者M2の方向にも出射する(光線RAY71’)。それゆえ、全方位から当該第1の光取出し部3Aが明るく見え、どの方向から照明装置1を見ても明るく見える。
さらに、散乱により前面方向FDへの光束も増え、照明装置としてバランスの取れた光度角度分布になる。散乱特性の有無による光度分布の変化に関しては、図7(c)に、光取出し部3が溝であって、当該溝に散乱がある照明装置1と、散乱が無い照明装置の配光特性を実測した結果を示す。図7(c)のグラフの横軸は、前面方向FDからの角度である極角θを表す。縦軸は、各照明装置において最大となる光度で規格化した規格化光度を示す。光取出し部3に散乱特性が付与されて無い結果は点線で示され、光度は約60度で最大となる。一方、光取出し部3に散乱特性が付与されている結果は実線で示され、光度は前面方向である極角θが0度で最大となり徐々に低下する。極角θが90度よりも大きい方向への照射は天井への光となり、天井で反射して周囲を照明する間接光となる。光取出し部3に散乱特性が付与されている場合は、ランバート配光よりも若干広い配光となっており、照明装置1として概ね適正な配光特性となっている。したがって、光取出し部3の面に散乱特性を付与することは、光取出し部3から全方位に光が出射することにより、どの方向から照明装置1を見ても明るく見え、且つ、照明装置として必要な配光特性を得るという効果を奏する。言うまでも無く、第1の光取出し部3Aだけではなく、第2の光取出し部3Bも含め、全ての光取出し部3の面に散乱特性を付与することは照明装置1の全体で上述した課題を解決するために重要である。
散乱特性を付与した光取出し部3の面について、図8(a)から(f)を用いて説明する。図8(a)は、断面形状が略半円形の溝に対して、その溝を構成する表面3ASが粗い面となっている構成である。図8(b)は、断面形状が略三角形の溝であって、その略三角形の2つの表面3ASが粗い面となっている構成である。図8(c)は、断面形状が略四角形の溝であって、表面3ASが粗い面となっている構成である。図8(d)から図8(f)は、凸形状の光取出し部3Aに散乱するための微小凹凸を付与した例であって、導光体2の表面から突出している凸形状の表面3ASに微小凹凸が付与されている。
ここで、導光体2の面において、隣接する光取出し部3の間にあって、光を反射して導光させる部位を導光部2LGと呼ぶことにする。図8では導光部2LGは面2CIである。
図8(a)、(b)、(d)、(e)の光取出し部3(3A)は、導光部2LGとの境界3ASBDから傾きを持った斜面を有し、当該斜面は微小凹凸を有する面である。さらに、光取出し部3の微小凹凸は、導光部2LGとの一方の境界3ASBDから他方の境界3ASBD’まで連続的に分布している。導光光は、光取出し部3の斜面で反射すると、一部の導光光は導光条件が崩れて、出射面2COから出射する。それゆえ、光取出し部3を構成する全ての斜面に微小凹凸を形成すると、光取出し部3で反射して出射面2COから出射する全て、または、大部分の光に対して、前述の線ムラ、色ムラを抑制する効果を奏する。
図8(c)、(f)は、側面3AS1が導光部2LGから垂直に立ちあがっている場合であって、この場合は、微小凹凸を付けるのが難しいので、光取出し部の高さ(深さ)3AHを小さくすることで、前述の線ムラ、色ムラを抑制する。この場合、(高さ(深さ)3AH/光取出し部の幅3AW)<0.1が望ましい。具体的には、高さ(深さ)3AH<20μm、光取出し部の幅3AW〜200μm程度である。また、別の方法としては、導光部2LGに対する側面3AS1の角度が85度未満の傾斜の有る面とし、微小凹凸を付与することで、光取出し部3を構成する全ての斜面に微小凹凸を形成して、光取出し部3で反射して出射面2COから出射する全て、または、大部分の光に対して、前述の線ムラ、色ムラを抑制する効果を奏することが好ましい。
図8(a)から(f)は、断面形状が略半円や略三角形などの大きな光取り出し構造があり、その構造を構成する表面にさらに散乱するための微小凹凸構造が付与されている構成である。微小凹凸による散乱分布は、微小凹凸が付与されている面への光線の入射角度に依存して変化する。微小凹凸による散乱分布は、正反射方向(透過散乱の時は、屈折方向)にピークがある分布である。したがって、前述した大きな光取り出し構造により散乱分布のピークの方向(正反射方向)を制御し、微小凹凸により散乱の度合い(ピークの幅)を制御可能とする構成である。
図8(a)から(f)は、前述の大きな光取り出し構造が立体的な構造であり、所定の高さ(深さ)3AHがあるため、光取出し部3の幅3AWが小さくても、光を反射して光を取り出すという効果も奏する構成である。導光体2が大きい場合には、導光距離が長くなる。導光体2全体から光が均一に出射するためには、入射面2Aに近い部位では入射面2Aに近い部位に対する光取出し部3の単位面積当たりの密度を小さくし、入射面2Aから遠い部位(導光体2の中心に近づいた部位)では入射面2Aから遠い部位に対する光取出し部3の密度を大きくする。導光距離が長くなると、この密度比率も大きくする必要がある。つまり、入射面2Aから遠い部位では、導光距離が大きい場合にかなりの高密度にする必要があり、したがって、光取出し部3の幅を小さくする必要がある。それゆえ、光取出し部3の幅を小さくすることのできる構成は、導光体2が大きくなっても均一な出射をすることができるという効果を奏する。また、高さ(深さ)3AHが大きく幅3AWが小さい方が、光を伝播方向と反対側に反射する効果が大きくなる。具体的には、次の関係、高さ3AH/(幅3AW/2)≧0.5が成り立つことが好ましい。上記関係が成り立つと、光を伝播方向と反対側に反射する効果が大きくなる。
ここで、前述した大きな光取り出し構造は、半円、三角形、四角形に限らず、円弧、ピラミッド、台形、任意の曲線で構成される断面、任意の折れ線で構成される断面など様々な形状が考えられる。さらに、導光体2の表面よりも凹んでいる形状であっても、導光体2の表面よりも出っ張っている凸形状であっても良い。半円、三角形、円弧、ピラミッド、四角形、台形、任意の曲線で構成される断面、任意の折れ線で構成される断面などを有する様々な形状が考えられる。前述した大きな光取り出し構造は、図2〜4等を用いて前述した光取出し部3の特徴を備えることが望ましい。
図9(a)および(b)は、前述した大きな光取り出し構造3Aが台形、ピラミッドの例であって、台形、ピラミッドが点在している例である。各形状の表面3AS表面には、微小凹凸3ASCが付与されている。参考のため図1で説明した第1の光取出し部3Aの端部を点線3AE’として示す。何れの図も光取出し部3の斜視図である。光取出し部3は全てが、リング状に結合しているわけではなく、リング状に沿ってはいるが、個別に小さな構造が配置されている。図9(a)、(b)では約同程度の大きさの構造が配置されているが、様々な大きさや形状の構造が混在しても良いし、配置もランダムに配置しても良い。なお、図9(a)、(b)の点線3AE’はリングの一部を示しているが、本構造はリング状に沿って配置することに限定されず、さまざまな配置が可能である。このとき、各構造の大きさはLED光源4の発光波長程度以上の大きさであることが好ましい。
また、図9(a)、(b)の光取出し部3(3A)は、導光部2LGとの境界3ASBDから傾きを持った斜面を有し、当該斜面は微小凹凸を有する面である。さらに、光取出し部3の微小凹凸は、導光部2LGとの一方の境界3ASBDから他方の境界3ASBD’(図では斜視図のためおおよその位置)まで連続的に分布している。導光光は、光取出し部3の斜面で反射すると、一部の導光光は導光条件が崩れて、出射面2COから出射する。それゆえ、光取出し部3を構成する全ての斜面に微小凹凸を形成すると、光取出し部3で反射して出射面2COから出射する全て、または、大部分の光に対して、前述の線ムラ、色ムラを抑制する効果を奏する。
言うまでも無く、その他にも様々な形状が考えられるが、特徴はLED光源4から照明装置1の中心に向かう方向である中心方向とは異なる方向に光を反射させる部位3AS1を有するという点である。当該反射部位を持つことで、微小凹凸3ASCだけでなく、大きな光取り出し構造3Aの面の方向も利用して光を散乱でき、前述の線ムラ、色ムラを抑制する効果を奏する。
次に、表面の微小凹凸の特徴に関して順次説明する。初めに、微小凹凸を特徴付ける物理量として、算術平均粗さRaと、算術平均傾斜ma、平均傾斜角度を説明する。なお、当該平均傾斜角度は、算術平均傾斜maを用いて、atan(ma)で表される。算術平均粗さRaは数1で表され、算術平均傾斜maは数3で表される量である。
数1から数4は、連続的な積分形式で定義されていた量を測定データから算出できるように、表示を離散的な式に変更した式である。ある長さLmにわたって測定したN個の測定点がある場合に、Ziは、i番目(i=1,2,・・・N)の位置Xiでの表面の高さ(深さ)を表す測定値である。数2で示されるZaは、測定値Ziの平均値である。数1は、各点において、測定値Ziと平均値Zaの差の絶対値の算術平均であって、算術平均粗さRaとして定義される。数4で示されるZsaは、各測定点Xiでの表面の傾きの平均値である。数3は、各点における表面の傾きと傾きの平均値Zsaの差の絶対値の算術平均であって、算術平均傾斜maとして定義される。
図10は、表面3ASの断面の拡大図であって、数1から4を説明するための図である。矢印SDは、位置Xiの座標軸である。矢印HDは、表面の高さ(深さ)Ziの座標軸である。数2で計算される、測定値Ziの平均値Zaの概略の値も示してある。
本実施形態の照明装置1における溝は、図8(a)に示す略半円形とし、当該略半円形の半径は約0.1mm(幅3AWが約0.2mm)であり、溝の算術平均粗さRaは約0.2μmである。さらに、算術平均傾斜maは約0.03であり、当該値より平均傾斜角度(=atan(ma))は1.7度である。上記のような溝を設けた場合、全方位から当該第1の光取出し部3Aが明るく見え、どの方向から照明装置1を見ても明るく見え、かつ、照明装置1の配光特性は良好な分布となっている。その配光測定結果は、図7(c)のグラフに実線で示した散乱特性が付与されている結果であって、図7(c)の説明で前述した通り、良好な分布となっている。言うまでもないが、その他の形状、例えば、導光体2の表面から突出している凸形状などを用いても、光取出し部3の表面に散乱を付与することで、同様の効果を奏する。また、当該照明装置1は、色ムラも線ムラも十分に抑制おり、光取出し部3の表面への散乱特性付与が色ムラおよび線ムラを抑制する効果を奏することを確認した。
さらに、色ムラと溝表面粗さの関係をより詳細に明らかにするための実験を行ったので、図11を用いて説明する。なお、色ムラが十分に抑制されれば、同時に、線ムラも抑制され、照明装置1の出射角度分布も良好になることが、上記照明装置1の検討により明らかになったので、色ムラと溝表面粗さの関係を主として説明する。
図11(a)は測定系の正面図(前面側から見た図)である。現象を明確にするために、平板の導光体2Pを用いた。2色のLED光源4(4D、4L)が約2mmの間隔をおいて配置されている。当該間隔2mmは、現実的に実装可能な間隔の概ね最小値である。
入射面2PAから光が導光体2Pに入射し、光取出し部3で反射して導光体2Pの出射面2PO(入射面2PAと垂直な面で、かつ、前面側の面)と出射面2POと対向する面2PBから出射する。光取出し部3は面2PBに配置されている。本実験では光取出し部3は4mm均等ピッチで配置し、導光体2Pの厚さを4mm、長手方向(LED光源4からの光が伝播する方向)の幅を200mm、それと直交する方向の幅を100mmとした。さらに簡単化のため、面2PBからの背面側への出射光は、黒い布を面2PBの下に敷くことで吸収した。導光体2Pの溝の表面粗さに関しては、3種類の溝を作製した。実際に作製した溝の物性値評価と、出射面の色ムラの評価を行った。溝の物性値は、触針式表面形状測定器にて、直線的に5mmにわたって測定した15000個の測定点より、数1〜4を用いて算出した。なお、本実験では触針式表面形状測定器を用いたが、レーザ顕微鏡など、表面形状を測定できる装置で有れば、測定器は特に問わない。
図11(b)は、溝の測定箇所を説明する図である。本実施形態における測定箇所は、図中の矢印SCANが示すように、溝の長手方向に沿って5mmの長さを測定した。簡易に測定できる方向が図中の矢印SCANの方向だったので、本実施形態では溝の長手方向に沿って測定を行ったが、それとは直交する方向である印SCAN1の方向や長手方向ではあるが溝の側面を矢印SCAN2に沿った測定など、測定の方向は任意である。測定距離に関しても表面の凹凸形状が分かり、平均化で、算術平均粗さRaや算術平均傾斜maが、表面の粗さを特徴付けられれば良い。そのために、本質を失わない範囲でRaやmaの計算方法を変えても良い。例えば、一回の測定距離を短くして、その距離内でRaとmaを計算し、複数の短い距離の測定結果の平均値を、算術平均粗さRaや算術平均傾斜maとしても良い。
本質的には、仮想的に平面と考えられる範囲において、微小凹凸の形状を特定出来れば良い。特定する物理量は、算術平均粗さRaや算術平均傾斜maであって、当該平面からどれだけの大きさの凹凸があるかを定量化する指標が算術平均粗さRaであり、当該平面に対して凹凸の斜面はどれだけ傾いているかを定量化する指標が算術平均傾斜maである。
例えば、図10においては、平均値Zaを示す点線を仮想的な平面とすると、当該面からの高さ(深さ)の絶対値の平均値が算術平均粗さRaである。
算術平均傾斜maに関しては、表面3ASの測定プロファイルにおいて、各測定点間の傾き((Zi+1−Zi)/(Xi+1−Xi))から傾きの平均値Zsaを引いた値の絶対値の平均値が算術平均傾斜maである。傾きの平均値Zsaは、当該仮想的な平面のおおよその傾きであって、算術平均傾斜maは、当該平面に対して凹凸の斜面はどれだけ傾いているかを定量化している。
図11(b)において、SCANやSCAN2に沿った測定結果は、数1から4を用いて計算をすれば良いが、SCAN1のように表面3ASが曲線である方向は、当該曲線が概ね直線と見なせるような距離(範囲)毎に算術平均粗さRaや算術平均傾斜maを計算(測定)して、その値を平均すればよい。当該曲線が概ね直線と見なせる範囲とは、次に述べる図11(c)に示す、矢印SCANに沿って概ね直線を測定した測定結果が一つの目安となり、当該測定範囲は前記直線と見なせる範囲と言える。
また、別の観点で述べると、ある測定点と他の測定点を直線で結んだ場合に、当該測定点間の表面形状が当該直線を複数回以上(好ましくは数十回以上、または、凹凸の大部分が)横切る場合に、当該測定点間は、概ね直線と見なせる範囲と言える。上述したように、適切な範囲を定義して、凹凸の本質的な物理量を特定出来れば良い。
図11(c)に測定した結果を示す。横軸は位置(μm)を示し、縦軸は、測定値Ziと平均値Zaの差を示す。縦軸の単位は(nm)である。5mmにわたって測定したが、一部の長さ1mmに関して示す。図11(c)に示す測定結果は、ある2点(離れた2つの領域)間が平行であるとして測定装置にて測定生データをレベリング処理した結果である。点線SA1はサンプル1の結果を示し、破線SA2はサンプル2の結果を示し、実線SA3はサンプル3の結果を示す。何れの形状も縦軸の原点を通る横軸((Zi−Za)=0)に沿って微小凹凸が形成されており、前記直線と見なせる範囲と言える。それぞれの算術平均粗さRa、算術平均傾斜ma、平均傾斜角度を表1に示す。溝表面の微小凹凸の山と谷の差である振幅は、算術平均粗さRaよりも大きい。本実施形態では、サンプル2と3の微小凹凸がある程度周期的な構造となっているが、特に周期構造である必要は無い。
色ムラに関係する量としては散乱角度分布がある。散乱角度分布が広いほど色ムラは軽減する。図11(d)に測定系を示す。測定領域は、出射面2POにおいて点線で囲まれる領域SPTで、領域SPTの中心は、入射面2PAから60mmの距離にあり、入射面2PAの法線に平行でLED光源4の中心を通る線SPLD上に位置する(正面図は図11(a)参照)。測定における座標系は、出射面2POの法線方向2PNからの角度を極角θとし、線SPLDからの角度を方位角φとした極座標系である。なお、実際の照明装置における座標系の定義も、同様に、出射面の法線からの角度を極角θとし、LED光源4と測定点を結ぶ線を方位角の原点にすれば良い。例えば、図2に示す本実施形態の照明装置1の場合は、注目するLED光源4と測定点を結ぶ線を含む平面を方位角の0度方向にすれば良い。なぜならば、当該LED光源4から測定点への伝播方向は当該平面内を進むとして良いからである。
散乱角度分布の広さを定義する量として、半値角(度)を定義する。色ムラに関係のある方向は、方位角方向であって、その方向での半値角が重要である。図11(e)に、LED光源4Dのみを点灯した状態でサンプル3を測定した結果を示すので、これを用いて半値角の定義を説明する。横軸は方位角φを示し、縦軸は最大値で規格化した規格化輝度を示す。本結果は、極角θを10度に固定したときの結果である。我々の測定によれば方位角方向の半値角は定義する極角に大きくは依存しないので、方位角方向の半値角を求める極角θは、0度よりは大きく70度よりも小さい角度を用いると良い。より好ましくは0度から45度の範囲の角度を用いると良い。前面方向FDを重要視する場合は、0度よりは大きく30度よりは小さい角度を用いる方が良い。図11(e)において、輝度が最大となる角度φcは−9度であり、角度φcよりも小さい角度で輝度が約半分の0.5となる角度φmは−108度であり、角度φcよりも大きい角度で輝度が約半分となる角度φPは104度である。角度φmと角度φcとの差の絶対値(|φm−φc|)と角度φPと角度φcとの差の絶対値(|φP−φc|)を求め、2者の平均値が半値角となる。同様に、サンプル1と2に関しても求めた半値角を表1に示す。表1において、×は色ムラ有り、○は色ムラ抑制効果有り、◎は色ムラが完全に消える効果有りを示す。
LED光源4DおよびLED光源4Lを点灯して色ムラを主観評価した。サンプルNO.1は色ムラが酷く許容できないレベルであった。サンプルNo.2は色ムラをわずかに検知できるが許容できるレベルである。サンプルNo.3は、入射面2PA付近のみは、色ムラをわずかに検知できるが、入射面2PAから60mm離れた位置では検知できなかった。
なお、本実施形態で説明した照明装置1はサンプルNo.2と同じ散乱特性が溝に付与してあり、LED光源4が照明装置1を一周するように設けられているので、当該散乱特性とともに更に等方的に光を出射する効果を発揮する。それにより、本実施形態で説明した照明装置1の方位角方向の輝度は、360度全ての方向において、輝度の最大値に対して約80%以上の輝度となっており、良好な出射特性を示している。
したがって、サンプルNo.2程度の散乱性を付与すると色ムラ抑制効果があらわれ、サンプルNo.3程度の散乱性を付与すると色ムラが完全に消えることが分かった。したがって、色ムラ抑制効果を奏するためには、以下のような条件が好ましい。表1より、算術平均粗さRaは約0.2μmより大きい方が良く、約0.8μmより大きい方が更に良い。また、算術平均傾斜maは、0.02より大きい方が良く、0.1より大きい方が更に良い。また、算術平均傾斜角度は、1度より大きい方が良く、5度より大きい方が更に良い。また、散乱分布の方位角方向の半値角は、30度より大きい方が良く、106度より大きい方が更に良い。なお、粗面、粗い面、散乱面とは、サンプルNo1の結果より、算術平均粗さRaが0.077μmより大きく、かつ、算術平均傾斜maは0.002より大きく、かつ、算術平均傾斜角度が0.13度より大きいか、または、半値角が5度よりも大きい面である。
ここで、導光体2の発散度(単位面積当りの出射光束:lm/m2)の位置分布の設計を考慮すると、上述した表面形状に関する何れの物性値もサンプルNo.2の値とサンプルNo.3の値の間にすると、色ムラを抑制しつつ、設計がシミュレーションで可能となり短期開発という効果を奏する。なぜならば、散乱特性をシミュレーションすることは、一般的に難しく、とりわけ、散乱特性を付与した溝を用いて、導光体2の発散度を出射面2BO、2COで均一にするためのシミュレーションをすることは難しいからである。一方、溝が鏡面の場合はシミュレーションにて設計可能である。したがって、散乱度合いが大きいと、設計がトライ&エラーになってしまう。
しかしながら、我々の測定によれば、サンプルNO.1からサンプルNo.3で発散度の位置依存性は概ね変わらないことが分かった。それゆえ、少なくてもサンプルNO.3程度の微小凹凸よりも散乱性がない場合、溝を鏡面と仮定して、発散度の位置分布の設計をシミュレーションにて設計可能ということが分かった。したがって、上述した何れの物性値もサンプルNO.2の値とサンプルNO.3の値の間にすると、色ムラを抑制しつつ、設計がシミュレーションで可能となり短期開発という効果を奏する。
これは、算術平均傾斜角度が約5.9度ということは、鏡面の溝の形状からの微小凹凸によるずれが5.9度程度であっても、上記設計において鏡面とした場合と変わらない設計が可能であるということである。算術平均傾斜角度が10度程度までは、鏡面とした場合と変わらない設計が可能であると考えられる。
つまり、算術平均粗さRaは約0.2μmより大きく、約0.8μm程度以下が好ましい。また、算術平均傾斜角度は1度より大きく10度程度以下が好ましい。また、散乱分布の方位角方向の半値角は30度より大きく110程度以下が好ましい。
光取出し部3の所定の部位が光を散乱させる部位であれば色ムラ抑制効果を奏する。つまり、光の伝播方向を複数の方向へ変更させる機能を光取出し部3が有すれば、色ムラ抑制効果を奏する。光取出し部3の所定の部位が、粗い面(微小凹凸を有する)であれば当該効果を奏する。また、大きな光取り出し構造があり、その構造を構成する表面にさらに散乱するための微小凹凸が付与されている構成であれば良い。
また、導光体2の平面の一部に微小凹凸が設置されていても良く、散乱する粗面であれば色ムラ抑制効果を奏する。当該微小凹凸パターンは光が伝播する方向とは反対方向にも光が反射散乱するパターンであることが望ましい。
上述した散乱特性を付与した光取出し部3を用いることで、とりわけ導光体2からの光で周囲を直接照明する照明装置において大きな課題となる色ムラ、線ムラおよび照明装置1の出射角度分布の課題を同時に解決するという効果を奏する。なお、本実施の形態の照明装置1において、とりわけ、第2の光取出し部3BはLED光源4に近いために色が混色し難いので、散乱特性を第2の光取出し部3Bに付与することは非常に重要である。最も良いのは、全ての光取出し部3に散乱特性を付与することである。なお、導光体2の光取出し部3以外の面は、光を導光可能な程度に鏡面としている。
また、図8から図11を用いて説明した散乱特性を付与した光取出し部3は、導光体が図11(a)のように平板の導光体2Pなど、本実施の形態の導光体2とは異なる外形の導光体を用いた照明装置の場合でもあっても、上述した様々な効果を発揮する。
さらに、導光体2を射出成形にて作製した場合に起こり得る課題について図12(a)を用いて説明する。図12(a)は、断面形状が略半円形の溝に対して、その溝を構成する表面3ASが粗い面となっている構成であって、射出成形で作製した場合に、当該溝の表面3ASの一部である側面3AS1、3AS2(図中点線で囲まれた領域)に、導光体製造用金型には付与されている微小凹凸が、成形した導光体2に転写されなかった例を示している。
導光体2の面において、隣接する光取出し部3(3A)の間にあって、光を反射して導光させる部位を導光部2LGと呼ぶことにする。図12(a)では導光部2LGは面2CIである。また、該導光部と該光取出し部とを接続する部位を接続部2Lと呼ぶことにする。
溝の側面3AS1、3AS2は、例え導光体製造用金型に微小凹凸が付与されていても、射出成形で作製する際に微小凹凸が導光体製造用金型から樹脂に転写され難い場所であり、特に樹脂注入口であるゲートから遠い側の側面はより転写し難いことが、実験により分かった。例えば、成形時に樹脂が矢印129の方向に流れる場合、側面3AS1の方が側面3AS2よりも微小凹凸が転写され難い。なお、図では側面3AS1、3AS2に微小凹凸を書き込んでいないが、多くの場合、完全に転写されないわけではなく、他の面に比べて微小凹凸の数が少なかったり、微小凹凸の形状の大きさが小さくなったり(算術平均粗さRaが小さくなったり)して光を散乱する性能が低くなる。
側面3AS1で反射して導光体2から出射する主な光の例として光線RAY121を示す。光線RAY121は、接続部2Lで反射した後に、側面3AS1で反射して出射面2COから出射する様子を示している。この場合、光取出し部3Aで反射して出射面2COから出射する光の内、光線RAY121と同様の経路を通って、出射面2COから出射した光は、色ムラや線ムラを発生することがある。同様の経路を通って出射する光は、照明装置1から概ね同じ角度で出射するので、当該溝の表面3ASの一部である側面3AS1、3AS2に微小凹凸が無い場合は、照明装置1を見た場合に、ある角度範囲で色ムラ、線ムラが発生する。その角度範囲が広い場合は目立つので照明装置1の外観が損なわれる。特に、本実施形態の照明装置1のように、導光体2からの光で周囲を直接照明する場合は、この色ムラが直接見えるので、照明装置1の外観が著しく損なわれる。
当該課題を解決する方法に関して、図12(b)を用いて説明する。側面3AS1、3AS2で反射して出射面2COから出射する光の多くは、接続部2Lで反射した後で側面3AS1、3AS2に到達する。そこで、接続部2Lにも微小凹凸を設けることで、光が側面3AS1、3AS2に到達前に散乱させ、散乱光を側面3AS1、3AS2で反射する構成とした(光線RAY122参照)。側面3AS1、3AS2より、接続部2Lは導光部2LGの面と平行または平行に近い面なので、微小凹凸が転写され易い。それゆえ、当該構成は、側面3AS1、3AS2に微小凹凸が十分に転写されてなくても、接続部2Lで散乱されているので、色ムラや線ムラを抑制する効果を奏する。また、たとえ、接続部2Lに付与された微小凹凸が、表面3ASの微小凹凸に比べて散乱性が弱かったと(または、算術平均粗さRaが小さかったり)しても、光線RAY122の経路の光線は、接続部2Lと側面3AS1、3AS2とで、2回の散乱反射になるので、接続部2Lに微小凹凸を付与することは、色ムラや線ムラを抑制する効果を奏する。
ここで、接続部の幅3LWは、光取出し部3の大きさに依存するが、光取出し部3の高さ3AHが0.1mm程度の場合は、接続部の幅3LWは、約5μmよりも大きくすることで効果が得られることが分かっている。厳密に言えば、接続部の幅3LWは、導光体2を導光する光の波長よりも長ければ、効果は得られる。上記5μmは、一般に照明装置1で用いられる光の波長の略中心の波長が500nmであることから、当該波長の10倍の大きさである5μmとすれば、光は接続部2Lの微小凹凸の表面で面の傾きに応じて散乱反射して、色ムラ抑制の効果を奏する。なお、光取出し部3を大きくした場合は、側面3AS1、3AS2も大きくなるので接続部の幅3LWも大きくした方が良い。
次に、図12(c)を用いて、導光部2LG、接続部2L、光取出し部3の特徴を詳細に説明する。図12(c)は、光取出し部3の一例を、レーザ顕微鏡で測定した結果であって、上段は表面状態の写真であって、当該写真のB−B’断面図が下段のグラフである。グラフの横軸は位置(μm)を表し、縦軸は高さ(μm)を表している。断面形状の高さデータは、光取出し部3全体を測定したために、ノイズが多く精度が低くなっているが、おおよその形状を示している。なお、算術平均粗さRa等を測定する場合は、レーザ顕微鏡の倍率を上げて高さ方向の測定精度を上げて測定したり、触針式表面形状測定器を併用して測定する。
図12(c)の光取出し部3の高さ3AHは、約70μmで、幅3AWは約310μmである。接続部2Lの幅は、製造上のばらつきにより左右で異なり、幅3LWは約100μm、幅3LW’は約80μmである。接続部2Lは、光取出し部3の側面3AS1、3AS2と導光部2LGとの間を緩やかな斜面となって接続している。たとえ、導光体製造用金型における接続部2Lに対応する箇所が斜面ではなくても、図12(c)の場合のように、成形品は熱収縮等により緩やかに傾くことが多い。接続部2Lは、光取出し部3の側面3AS1、3AS2とは傾きが大きく異なる。側面3AS1、3AS2の傾きは、atan(3AH/3AW/2)で見積もると約25度で、接続部2Lの傾きは、図12(c)のグラフよりatan(5μm/100μm) で見積もると約3度で、側面3AS1、3AS2の傾きとは大きく異なり、側面3AS1、3AS2よりも緩やかな傾斜となっている。なお、側面3AS1、3AS2の立ち上がり(接続部2Lから側面3AS1、3AS2が開始する部位)の傾きは85度よりも小さいことが好ましい。85度よりも大きいと側面の微小凹凸は殆ど転写されない。
別の観点で形状を見ると、導光体2は、光取出し部3としての導光部2LGから傾いた斜面(側面3AS1、3AS2)と当該斜面よりも傾斜が緩やかな面(接続部2L)を有し、当該緩やかな面(接続部2L)は導光部2LGに接続し、光取出し部3と当該緩やかな面に微小凹凸が付与されていることを特徴としている。当然、当該緩やかな面は平面でも良い。これら特徴を有することで色ムラや線ムラを抑制することが可能となる。当該緩やかな面は、側面3AS1、3AS2よりは微小凹凸が導光体製造用金型から転写しやすいので、当該緩やかな面に微小凹凸が付与されていれば、色ムラ等の抑制に効果を奏する。
なお、側面3AS1、3AS2や接続部2Lの定義において、これらの部位が厳密に平面であることは少ないが、断面形状における曲線の接平面を用いたり、また、例えば上述にて、図12(c)において傾斜角度を見積もったように、形状を近似する平面を適切に設定して、側面3AS1、3AS2や接続部2Lを定義できる。
図12(c)の構成は接続部2Lの幅3LW、3LW’を十分に大きくした例であって、色ムラを概ね完全に抑制したときの例である。上述したように、光取出し部3の高さ3AHが0.1mm程度の場合は、光取出し部3の端部から5μm程度よりも大きければ効果を得られることが分かっている。色ムラの観点では、接続部2Lの幅は大きい方が好ましいが、接続部2Lの幅が大きくなりすぎるとデザイン性や、導光体2の発散度の位置分布の設計に影響がでるので、光取出し部3の幅3AWよりは小さくする方が好ましい。つまり、接続部2Lの幅は、5μm以上で光取出し部3の幅3AWより小さいことが好ましい。
接続部2Lと表面3ASに対応する導光体製造用金型部位は、同時に微小凹凸を付与する加工をした方が工程数が少なくなるので、同時に加工することが好ましい。同時に加工すると、概ね同じ微小凹凸が、接続部2Lと表面3ASに付与される。図12(c)は、接続部2Lと表面3ASに対応する導光体製造用金型部位を同時に加工した導光体製造用金型で射出成形した例であって、図12(c)の写真で確認する限り接続部2Lと表面3ASは概ね同じ微小凹凸が、接続部2Lと表面3ASに付与されている。また、同時に加工した導光体製造用金型の場合は、接続部2Lと表面3ASの境界で微小凹凸は、途切れることなく連続的に分布することが多い。特にサンドブラストやエッチングなどで導光体製造用金型を同時に加工した場合は、図12(c)の写真に示すように、成形品も接続部2Lと表面3ASの境界で微小凹凸は途切れずに連続的に分布する。
図12(c)に示す形状を、さらに別の観点で見ると、光取出し部3を横断するある断面(図12(c)では例えばB−B’断面)を考えた場合に、導光部2LGの面から面の傾斜が概ね始まった位置から面の傾斜が終了して導光部2LGに略平行になる面の位置まで、連続的に微小凹凸が分布しているとも言える。
導光部2LGは、当該箇所に対応する導光体製造用金型を鏡面処理したので、図12(c)の写真およびグラフで確認できるように、接続部2Lや表面3ASに比べて十分に滑らかである。導光部2LGの算術平均粗さRaは100nm程度未満であって、照明装置として導光体2に入射する光の波長よりも小さい。但し、導光部2LGは特に本例のように十分な鏡面とすることに限定されない。
光取出し部3の表面3ASと同じ微小凹凸が、導光部2LGに付与されると、光が散乱して導光しないなどの問題が発生する恐れがあるが、表面3ASとは異なる散乱性の低い凹凸が多少付与されていても色ムラや線ムラなどの問題が発生しないことが多い。図12(c)において、主として光を導光体2から取り出して出射する部位は半円状の大きな光取り出し構造3であって、その表面3ASに光を散乱するための微小凹凸があることが重要であるので、導光体2から光を取り出すことにほとんど寄与しない導光部2LGの表面は鏡面であることが好ましいが、多少は粗れていても色ムラや線ムラなどの問題にならないことが多い。例えば、精密に加工された導光体製造用金型の表面の場合、色ムラや線ムラなどの問題にはほとんどならなかった。
本実施の形態の照明装置1のように、導光体2からの光で周囲を直接照明する場合に、導光部2LGの透明性が照明装置1のデザイン性を向上させるので、導光部2LGの表面は鏡面であることが好ましく、導光部2LGの表面の算術平均粗さRaや算術平均傾斜角度は、光取出し部3の表面3ASの算術平均粗さRaや算術平均傾斜角度よりも小さいことが好ましい。しかしながら、色ムラや線ムラのみに焦点をあてる場合、導光部2LGは光を反射して導光させる面があれば良く、光取出し部3の表面3ASと同じ微小凹凸が付与されてなければ良い。
図13に別の光取出し部3(3A)と接続部2Lの形状の例を示す。図13(a)は、断面形状が略三角形の溝であって、その略三角形の2つの表面3AS(側面3AS1、3AS2)と、表面3ASと導光部2LGとの間に配置される接続部2Lが粗い面となっている構成である。
図13(b)は、断面形状が略四角形の溝であって、表面3ASと接続部2Lが粗い面となっている構成である。側面3AS1、3AS2は、微小凹凸が転写され難い場所であるが、粗い面となっている場合もある。断面形状が四角形というより台形であって、側面3AS1、3AS2が緩やかな斜面となっている場合は、微小凹凸の付与が容易である。
図13(c)は、断面形状が略半円の凸形状に散乱するための微小凹凸を付与し、当該光取出し部3Aと導光部2LGとの間に接続部2Lがある例であって、導光体2の表面から突出している凸形状の表面3ASと接続部2Lに微小凹凸が付与されている例である。
図13(d)は、光取出し部3Aの形状が台形の例の斜視図であって、台形が個別の小さな構造として点在している例である。表面3ASには、微小凹凸3ASCが付与されている。光取出し部3Aの周囲には、接続部2Lがあり、微小凹凸が付与されている。参考のため図1で説明した第1の光取出し部3Aの端部を点線3AE’として示す。光取出し部3は全てが、リング状に結合しているわけではなく、リング状に沿ってはいるが、個別に小さな構造が配置されている。なお、図13(d)の点線3AE’はリングの一部を示しているが、本構造はリング状に沿って配置することに限定されず、さまざまな配置が可能である。このとき、各構造の大きさはLED光源4の発光波長程度以上の大きさであることが好ましい。
図13の例は、一例であって、図8や図9で説明した様々な構成に接続部2Lを付加することが可能である。半円、三角形、円弧、ピラミッド、四角形、台形、任意の曲線で構成される断面、任意の折れ線で構成される断面を有する形状など様々な光取り出し形状に接続部2Lを付与することが考えられる。これら接続部2Lを有する形状は、側面3AS1、3AS2の微小凹凸の付き具合が弱い場合であっても、線ムラ、色ムラを抑制する効果を奏する。前述した大きな光取り出し構造は、図2〜4等を用いて前述した光取出し部3の特徴を備えることが望ましい。
次に、光取出し部3の凹および凸形状の斜面の角度に関して図22を用いて詳細に説明する。光取出し部3の形状による効果を分かり易く説明するために、平板(直方体)の導光体2Pを用いた光学系を用いて説明する。図22(b)は、導光体2Pの面2PBに入射する導光光の角度分布で、図22(a)の光学系が当該導光光の角度分布を算出した光学系である。面2PO(入射面と垂直な面)は、出射面であり、面2PBは出射面2POに対向する面である。導光光を吸収して当該導光光の角度分布を算出する長方形の平面2PDを、入射面2PAから約40mmの位置に配置した。平面2PDは、面2PBに平行であり、その幅WDは0.55mmで、奥行きは、導光体2Pの奥行きと等しくした。入射光線RAY221の平面2PDへの入射角度を、法線方向2PDNからの角度θiを用いて規定した。なお、LED光源4からの発光光の配光分布はランバート配光とした。
図22(b)の縦軸は、平面2PDへの入射光の単位立体角に入射するエネルギー(W/sr)を表す量であって、最大値で規格化した量(規格化強度)である。以後、強度と呼ぶ。横軸は入射角度θi(度)である。入射角度θiが55度から60度にピークがあり、強度が最大値の半分より大きいのは、概ね入射角度50度から75度の範囲である。したがって、当該入射角度範囲の光が、光取出し部3で反射して、出射面2POから出射する光取出し部形状(斜面)とすることが好ましい。
照明装置1内の白い反射部材から反射した光が、導光体2全体から出射し、さらに光取出し部3からより明るい光を出射することで、光取出し部3でのきらめく発光(光の出射)により、照明している様が美しいという効果を奏するためには、図2に示すように、光取出し部3が面2CIにある場合は、第1の光取出し部3Aで反射した光が、直接、出射面2COから前面方向側に出射する光量(前面出射光量)が、第1の光取出し部3Aを透過して背面方向側に出射する光量(背面出射光量)に比較して、(前面出射光量/背面出射光量)>1/10であることが好ましく、当該比が1/3以上あることが更に好ましい。当該比が1/10よりも低くなると、光取出し部3が薄い線となって、照明装置1の構成によっては、見え難くなり、きらめく様子が低下する恐れがある。なお、出射面2COに光取出し部3が配置された場合は、光取出し部3を透過して前面方向側に出射する光量が前面出射光量であり、光取出し部3で反射して背面方向側に出射する光量が背面出射光量である。
光取出し部3での反射・透過率はフレネルの式に従い、導光体2の材料の屈折率と、光取出し部3への入射角度θi(度)により決まる。前面出射光量を増やすためには、面2CIに光取出し部3がある場合は、光取出し部3の反射率を大きくした方が良い。
図22(c)を用いて、反射・透過率と斜面3PSCの傾斜角度αの関係を説明する。光線RAY222を入射角度θiで傾斜角度αの斜面3PSCに入射すると、フレネルの式で表現される透過率と反射率に従って、透過光RAY224と反射光RAY223が生成される。透過光RAY224は背面出射光量となる。反射光RAY223は出射面2POから屈折して出射角度θ(法線2PNからの角度)で出射する。
入射角度50度から85度の範囲において、傾斜角度αを変えたときの反射率を表2に示す。表2によれば、入射角度50度から75度の範囲において、傾斜角度αが35度以下の場合に、反射率が20%を超える場合が発生するようになる。したがって、少なくても面2CIに光取出し部3がある場合は、斜面3PSCとしては、傾斜角度αが35度以下の斜面3PSCを有することが望ましく、当該斜面3PSCを有することで、前面出射光量が増え、光取出し部3でのきらめく発光(光の出射)により、照明している様が美しいという効果を奏する。
さらに、上述した傾斜角度αと反射率の関係は、光取出し部3の形状が凹であるか凸であるかによって、さらに重要性が変わってくる。光取出し部3の形状が凹の場合、例えば、図12(a)に示した断面形状が半円の凹形状の場合、半円には傾斜角度αが0度から90度の表面(傾斜した面)が連続的に分布している。傾斜角度αが45度よりも大きい場合には、反射率が著しく低下するように思えるが、光線RAY121に示されるように、光取出し部3が配置されている面2CIで反射して、傾斜角度αが45度よりも大きい面に到達して高い反射率で出射面に向けて反射される光の量も一定量ある。それゆえ、図12(a)のように、光取出し部3が凹形状の場合、(前面出射光量/背面出射光量)〜2.6であり、光取出し部3でのきらめく発光(光の出射)により、照明している様が美しいという効果を奏する。
一方で、例えば、図13(c)のように、光取出し部3の断面形状が半円の凸形状の場合、(前面出射光量/背面出射光量)〜0.03であり、これは、傾斜角度αが45度よりも大きい面で光が透過してしまうことに起因している。それゆえ、例えば、楕円や円の一部を使うことにより、凸形状を構成する面の傾斜角度分布が、傾斜角度αが35度以下となる斜面が、断面形状全体の半分以上を占有するようにすることで、前面出射光量を増やすことが望ましい。
その形状例を、図22(d)に示す。光取出し部3は、断面形状が円弧の凸形状である。金型作製において、ボールエンドミルの一部を用いて光取出し部3に対応する金型部位を作製し、当該金型で射出成形したときにできる形状である。光取出し部3が凸形状の場合は、凹形状に比べて金型作製が容易であるという効果を奏する。光取出し部3の高さ3AHを0.1mmとした場合に、円弧の半径をパラメータとして計算した結果を表3に示す。表3より、傾斜角度αが35度以下となる斜面が、断面形状全体の半分以上を占有するようにすることで、(前面出射光量/背面出射光量)の比が、0.1を十分に超え、1以上となる。このとき、(3AH/3AW)<0.3である。当該占有率が83%より大きい時に、当該比が、光取出し部3の断面形状が半円の凹の場合よりも大きくなる。
以上、光取出し部3の凹および凸形状の斜面の角度に関して総じて、光取出し部3が凹形状の場合は、傾斜角度αが35度以下の斜面を有すれば、前面出射光量が増え、光取出し部3でのきらめく発光(光の出射)により、照明している様が美しいという効果を奏する。
光取出し部3が凸形状の場合は、傾斜角度αが35度以下となる斜面が、断面形状全体の半分以上を占有する構成とすると、前面出射光量が増え、光取出し部3でのきらめく発光(光の出射)により、照明している様が美しいという効果を奏する。また、光取出し部3が凸形状の場合は同時に、金型作製が容易であるとい効果を奏する。
また、光取出し部3が凸形状は、微小凹凸をサンドブラストやエッチングで金型に作製する際に、マスク無で微小凹凸を金型全体に作製した後に、光取出し部3凸形状に対応する金型凹部以外の表面を鏡面にするために磨いて、光取出し部3凸形状に対応する金型凹部と導光部2LGに対応する金型部位を作製するという金型製造工程が可能となる。それゆえ、光取出し部3が凹(対応する金型は凸)形状に微小凹凸を作製する際に必要となる微小凹凸加工領域以外をマスクする工程を無くすことが可能となるという効果も奏する。
また、光取出し部3を凸形状として、光取出し部3でのきらめく発光(光の出射)を得るために、半円の凹形状の機能を一部用いる形状を図22(e)に示す。光取出し部3は直線部3ASLと斜面3ASC(図では円弧)を有し、両者が隣接して配置している構成である。また、入射面に近い側(光が伝播してくる側)に直線部3ASLを配置した構成である。この場合、光線RAY225のように、直線部3ASLと斜面3ASCで2重反射して伝播してきた方向へ光を戻す光線経路を有し、きらめく発光を全方位に出射する効果を奏する。直線部3ASLは多少傾きを持っていても良いし、多少うねりのある直線で有っても良い。斜面3ASCは曲線でも折れ線であっても良い。斜面3ASCの断面形状が出射面側に凸であることが望ましい。
なお、微小凹凸を光取出し部3の表面3ASに付与することで、表面3ASの散乱にて一部の光を取り出したり、出射角度を広げる効果を奏することができるが、微小凹凸によって表面3ASから完全に鏡面の部位がなくなることは少ないので、さらに、光取出し部3の凹および凸形状の斜面も制御することで、よりきらめく発光を実現し、照明している様が美しいという効果を奏する構成とすることが望ましい。なお、傾斜角度αが小さい方が微小凹凸の転写性も良くなるため、傾斜角度αが35度以下となる斜面が、断面形状全体の半分以上を占有する構成とすると、微小凹凸転写性向上による散乱性向上の効果も得られる。
図14(a)および(b)に、第2の光取出し部3Bのように、曲面である導光部2LGの曲率が小さく、局所的に見ても平面と見ることが難しい箇所に位置する光取出し部3と接続部2Lの形状の例を示す。図14(a)は図4(a)の形状に、接続部2Lを設け、表面3BSと接続部2Lに微小凹凸を付与した例である。図14(b)は図4(c)に、同様に、接続部2Lを設け、表面3BSと接続部2Lに微小凹凸を付与した例である。何れの例でも、接続部2Lは導光部2LG延長線上から表面3BSに接続している。また、図12(c)で説明したように、接続部2Lは導光部2LGから緩やかに傾斜して(傾斜は図示無)、表面3BSに接続しても良い。
さらに、図15を用いて微小凹凸の形状に方向性を持たせたときの効果について説明する。図15(a)において、矢印151は光の主な伝播方向である。本実施形態における主な伝播方向は、内側方向である。LED光源4から発光した光は入射面2Aから入射して、主に内側方向に向かって伝播する。
板状の導光体の場合は、入射面の法線方向が主な伝播方向である。曲面の導光体も含めて、より一般化すると、導光体の断面形状を考えたときに、導光体の表面(本実施形態の場合、面2BI、2BO、2CI、2CO)に沿って、導光体の入射面から遠ざかる方向を主な伝播方向と定義できる。
図15(a)に示す微小凹凸3ASCは、主な伝播方向151と略同じ方向に長い形状である。微小凹凸3ASCは凸であっても凹であっても良いが、微小凹凸の形状が伝播方向に長い形状である。微小凹凸は、繋がって線状になって伝播方向に伸びていても良い。
図15(b)に示すように、微小凹凸の長辺に沿って入射する光は、微小凹凸において、その伝播方向を変換される表面の面積が多いので、伝播方向に微小凹凸形状が長い場合、色ムラ抑制効果が高くなる。例えば、図15(b)において、RAY152の色がD色でRAY153の色がL色の場合、微小凹凸3ASCで同一方向に反射されて混色される。
図15(c)は、微小凹凸が繋がって線状になって伝播方向に伸びている例であって、凸部の稜線3ASC1を示している。稜線3ASC1と稜線3ASC1の間は凹んでいる。稜線3ASC1は主な伝播方向151の方向に長い。ここでは微小凹凸の形状を厳密に規定してないが、例えば、微小プリズムや微小シリンドリカルレンズなどの形状を、表面3ASに付与しても良い。
図15(d)は、微小凹凸3ASCの凸部の輪郭を例示した図である。一部の輪郭は、伝播方向151の方向に長いわけでは無いが、全体的には、伝播方向151の方向に輪郭が伸びていて、伝播方向を変換する表面積が多くなっており、色ムラ抑制効果が高くなっている例である。
図15(c)や図15(d)の微小凹凸の形状を規定する場合に、例えば、主な伝播方向151の方向と当該方向に直行する方向で、微小凹凸の長さを測定して、両方向での長さを比較すればよい。図15(c)および図15(d)に、主な伝播方向151の方向の微小凹凸の長さ3ASCHと、当該方向に直交する方向の長さ3ASCW を記載した。光取出し部3にある全ての微小凹凸に亘って、長さ3ASCH、3ASCWを測定するのは現実的ではないが、10個以上の微小凹凸に関して測定して、長さ3ASCHが長さ3ASCWより長ければ、微小凹凸の形状が伝播方向に長い形状であると言える。または、より具体的に、複数個の微小凹凸の形状を測定した場合に、平均的には、微小凹凸の形状が伝播方向に長い形状であると言える。
次に、図16(a)を用いて光取出し部3の別の例について説明する。これは、面2CIの一部に微小凹凸を設けた構造である。本構成の最大の特徴は、製造方法が多様で簡易である点である。最も簡易なのは、射出成形の導光体製造用金型に微小凹凸パターンを設けておく構成である。また、別の方法としては成形した導光体2をレーザ加工する方法や、アクリル等の樹脂の液滴をたらしてUV硬化また熱硬化等をすることで成形する方法である。また、サンドブラストやイオンミーリングなどで作製しても良い。微小な凹凸があれば良い。但し、微小凹凸パターンは光が伝播する方向とは反対方向にも光が反射散乱するパターンである必要がある。そのときの微小凹凸パターンの算術平均粗さRaは約0.2μm以上が好ましい。また、算術平均傾斜maは約0.03以上、平均傾斜角度は1.7度以上が好ましい。上記条件であると、光が伝播する方向とは反対方向にも光が反射散乱する。
図16(b)を用いて微小凹凸パターンが持つべき散乱特性を説明する。光線追跡例RAY161、162において、第1の光取出し部3Aで散乱する前までの光線の伝播方向は、矢印PDで示す方向である。光線RAY161は、第1の光取出し部3Aで散乱した後でも、伝播方向は変えずに矢印PDで示す方向に進む光線である。光線RAY162は、第1の光取出し部3Aでの散乱により、伝播方向が矢印PDと反対方向に変わった例を示している。照明装置1の全体から光が照射するためには、光線RAY162が発生する微小凹凸パターンである必要がある。
図16で説明した光取出し部3は、導光体2の樹脂の一部が光取り出し構造になるように形成した例である。したがって、当該光取出し部3は、透明な部材で形成される。それゆえ、本実施形態の照明装置1における一部または全部の前面方向FDおよび一部の外側方向ODの最外部は導光体2としてあり、導光体2からの光で周囲を直接照明する構成の場合に、照明装置1が光ってないときでも外光を散乱するものの、透明な導光体2の一部として違和感なく見え、外観が美しいという効果を奏する。但し、光取出し部3は、上記に限るものではなく、散乱に関する光学特性を満たせば様々な変更が可能である。例えば、白色インク(白色塗料)や蒸着膜を用いることも考えられる。さらに、光取出し部3を反射・透過、何れも可能な構成として、反射シートなどの反射部材を面出射部2Cよりも背面方向側に配置するという構成にして、反射シートの反射光も利用することにより、配光特性を良好な特性へ改善するという効果を奏するために、光が透過する白色インク(白色塗料)や蒸着膜による光取出し部3を形成することが好ましい。
ここで、白色インク(白色塗料)を平板の導光体(外形は直方体)に印刷することで光取出し部を作製した白色印刷導光体および平板の導光体(外形は直方体)をレーザ加工して光取出し部を作製したレーザ加工導光体を評価したので、その結果を説明する。評価は色ムラの主観評価と、前述した散乱角度分布を定義する量である半値角測定である。半値角の測定系は図11(d)に示す系で行い、半値角の定義は、図11(e)を用いて説明した通りである。また、導光体2Pの外形は、図11(a)で説明した導光体2Pとおおよそ同様で、導光体2Pの光取出し部3は4mm均等ピッチで配置し、導光体2Pの厚さを4mmとし、長手方向(LED光源4からの光が伝播する方向)の幅を200mmとした。該長手方向と直交する方向の幅は、120mmとした。当該測定においては、当該長手方向と直交する方向の幅は約60mm以上あれば測定に影響はほとんどない。
なお、白色印刷導光体2Pの場合は、図23に示すように、光取出し部3を出射面2POと対向する面2PBに配置した場合(この場合を裏面白色導光体と呼ぶことにする。図23(a)参照)と、光取出し部3を出射面2POに配置した場合(この場合を表面白色導光体と呼ぶことにする。図23(b)参照)の2つの場合に関して評価した。一般に、白色インクは必ず反射はするが、透過は必ずしもしない。本例では、白色インクの材料と濃度を検討して、光が白色インクを透過するようにした。上述したように、照明装置内の反射シートの反射光も利用することにより、配光特性を良好な特性へ改善するという効果を奏するために、光が白色インクを透過するようにした。さらに、光が白色インクを透過すると、光取出し部3が半透明な線となり、光取出し部3がユーザから直視できる構成である場合に、照明装置として全体的に透明感のある照明装置が提供でき、デザイン性が良くなるという効果があり、その効果も鑑みて光が白色インクを透過するようにした。通常の導光体を用いた装置では、白色インクは光が透過しないために、影になるので、出射面と対向する面に配置するが、本例では、光が白色インクを透過するので、以下説明するように、出射面と対向する面に配置する場合(裏面白色導光体)と、出射面に配置する場合(表面白色導光体)との2つの場合を検討した。また、光取出し部3として機能するためには、インクが形成された後に、形成されたインク形状が図4に示される凹凸形状や図16に示される微小凹凸形状となるか、形成されたインク自体が散乱性を有している必要がある。何れも、導光光の導光条件を崩して光を取り出す手段である。本例の白色インクは、散乱性を有するインクである。
裏面白色導光体は、光取出し部3としての白色インクで光(RAY230)が散乱して、一部の反射光の導光条件が崩れて、出射面2POから出射する(RAY231、232)。透過光(RAY233、234)は、例えば、本実施形態の照明装置1の場合、照明装置1内で反射シート6などで再度散乱反射を繰り返して、出射面(2BO、2CO)から出射する。表面白色導光体は出射面2POに配置される光取出し部3で、光(RAY235)が散乱して、透過光(RAY236、237)が導光体2Pの外に光が出射する。反射光(RAY238、239)の一部は、再度導光体2P内を導光し、その他は、裏面2PBから出射する。
本評価においては、白色印刷導光体の光取出し部3で反射または透過して導光体2Pから取出される光量(発散度(lm/m2))が、裏面白色導光体と表面白色導光体とでおおよそ等しくなる白色インクの濃度(透過率)とした。また、本評価では、白色インクは、十条ケミカル株式会社製の「100シリーズ スーパーグロスインキ」を用いた。本評価では裏面白色導光体と表面白色導光体の発散度がおおよそ等しくなるように上記白色インクを導光体2Pに付与したが、白色インクの濃度などは光が透過すれば良いので、これに限定されない。
表4に評価結果を示す。白色印刷導光体の場合は、光取出し部3の散乱効果が高く、方位角180度でも輝度は最大値の半分よりも大きくなった。それゆえ、半値角は180度と表示した。白色印刷導光体の場合は、色ムラも完全に消えた。
レーザ加工導光体の場合は、加工面が鏡面では無いので、表1のサンプル2と同程度の半値角と色ムラ抑制効果を示し、色ムラをわずかに検知できるが許容できるレベルであった。レーザ加工導光体の良い点は、射出成形における微小凹凸の転写性などの難しさが無く、本実施の形態の照明装置1の導光体2のように立体的な形状であっても、レーザを照射すれば良いので、伝播方向変換部2Bにある第2の光取出し部3Bを形成できる点である。
一方で、前述したが、白色印刷導光体の場合は、伝播方向変換部2Bにある第2の光取出し部3Bを形成するには、専用の装置が必要となり、斜面への印刷は可能であっても難しい生産工程となる。生産工程の難易度は、主に曲面の曲率半径との兼ね合いで決まる。例えば、曲面の曲率半径が約5000mmよりも大きければ、特に難しい生産工程にはならない。
また、例えば、本実施形態の導光体2のように、出射面側の面(面2BOと面2CO)または出射面に対向する側の面(面2BIと面2CI)の何れかの面の断面形状が2つ以上の曲率半径を有する形状である場合に、曲率半径が小さくない方の面(面出射部2C(面2COまたは面2CI))への光取出し部としての白色インクの形成は、容易に可能であるという効果を奏し、曲率半径が小さくない方の面(面出射部2C)は、導光体2において大面積を占めるので、散乱性の高い白色インクを用いることで、導光体2の大部分で、色ムラ、線ムラを完全に抑制した照明装置1を提供するという効果を奏する。さらに、伝播方向変換部2Bにある第2の光取出し部3Bは白色インクで形成しても良いが、射出成形など別な方法で形成しても良い。この構成の場合、導光体2において大面積を占める面出射部2Cは、大面積のため目立つので、色ムラ、線ムラを完全に抑制してデザイン性を最も良くし、第2の光取出し部3Bによる外側方向ODへの出射も鑑みた構成であって、デザイン性と外側方向側への配光特性を両立して向上するという効果を奏する。また、さらに面出射部2Cのみ白色インクの光取出し部3を形成する場合、伝播方向変換部2Bは光の伝播方向を変換する部位となる。つまり、導光体2の出射面側の面(面2BOと面2CO)または出射面に対向する側の面(面2BIと面2CI)の何れかの面の断面形状が2つ以上の曲率半径を有する形状である場合に、最も曲率半径が大きくない面には、光取出し部3を形成しない構成である。または、最も曲率半径が小さい面には、光取出し部3を形成しない構成である。
さらに、導光体2のように凸(本例では、前面方向に凸)な立体形状の場合、導光体2の外側の面(2BO,2CO)への印刷の方が容易である。したがって、導光体2の外側の面(導光体2が凸になる方向において、外側の面)に白色インクを用いた光取出し部3を形成することで生産性が向上するという効果を有する。または、出射面側(2BO,2CO)に白色インクを用いた光取出し部3を形成することで生産性が向上するとも言える。なお、光学的には、出射面側に白色インクを付けた方が、図23(b)に示すように、導光体2Pからの出射光(RAY236、237)は白色インクを透過した光であるので、ランバート配光に近い出射散乱分布となる。それゆえ、どの方向から見ても光取出し部3の明るさが概ね一定であるという効果を奏する。出射面側とは照明装置が主に光を照射する方向で、前面方向FD側である。
本実施形態の照明装置1のように、照明装置における一部または全部の前面方向FDおよび一部の外側方向ODの最外部は導光体2の構成であって、光取出し部3がユーザから直視できる構成であり、導光体2からの光で周囲を直接照明する構成である場合に、光が透過する白色インクを用いて光取出し部を形成した導光体やレーザ加工にて光取出し部を形成した導光体を用いることで、前述の線ムラを抑制し、色の異なるLED光源を照明装置が有する場合は色ムラを抑制し、照明装置からの配光分布が良好な分布となるという効果を奏する。
ここで、白色インクとは、完全に白いインクだけを指すものではない。多少は、灰色でも良いし、色が付いたインクでも良い。インクと言っているが塗料全般を指し、散乱等により光を導光体から取り出す機能を有すれば良い。言うまでも無く光吸収が少ない方が良い。また、導光体への付着方法は、印刷に限定されず、塗布等、他の方法を用いても良い。
なお、散乱性の少ない透明なインク(例えば、UV光で硬化して成形する透明なインク)を用いた場合は、形成されたインクの表面の凹凸により光が取り出され、色ムラ抑制効果は散乱性の高い白色インクを用いた導光体に比べて低いが、レーザ加工導光体程度であることを主観評価により確認した。
<<変形例1>
本変形例は、導光体2の前面に、導光体2から出射した光を散乱するための散乱カバー部材19を配置した例であり、図17を用いて説明する。第1の実施形態で説明した照明装置に、散乱カバー部材19を追加したものである。本例は、導光体2を用いたときに得られる薄型均一照明の効果を得つつ、散乱カバー部材19により、全体が白い外観の照明装置1を提供する例である。散乱カバー部材19を追加したので、外カバー8は不要になる。第1の実施形態で説明した導光体2の特徴およびそれによる効果は本例においても同様に得られる。
例えば、複数の色のLED光源を用いた場合の色ムラの課題も、散乱カバー部材19を用いれば緩和する。しかしながら、散乱カバー部材19の全光線透過率を高くして光損失を低減したり、散乱カバー19と導光体2の距離を近づけたりする場合には、当該色ムラの課題が重要な課題になる。
また、導光体2全体から均一に光が出射してない場合には、それが前記散乱カバー19に投影され、ムラとして課題になる。
それゆえ、第1の実施形態で説明した様々な効果を発揮する導光体2の特徴を本構成でも備えることは、同様の効果を発揮して、照明装置全体から光が出射し、床方向から側方および天井方向まで空間全体を明るくする薄型の照明装置を提供するために重要である。
《第2の実施形態》
第1の実施形態で説明した光取出し部3の何れかを適用した導光体を有する、前述にて詳細に説明していない他の照明装置の例を、図18および図19を用いて説明する。図18および図19に示される照明装置1は天井50から吊るされるタイプの照明装置であって、所謂ペンダントと呼ばれる照明装置である。
第1の実施形態と同じ個所、または、同じ機能を有する箇所に関しては説明を省略する。図18は湾曲した導光体2を用いた例で、図18(a)は正面図であって、前面方向FDから見た図である。図18(b)は、図18(a)に記載のC−C’の断面図である。何れの図も導光体2の形状、構成に着目した図である。本照明装置1における前面方向FD、背面方向BD、外側方向ODは、図中に矢印で示される通りである。
導光体2の両端面に対向して2色のLED光源4L、4Dが交互に配置されている。LED光源は基板5に実装され、基板5は光源カバー60に取り付けられている。光源カバー60は、導光体2に固定されるとともに、吊り具61で吊られて、電源回路10が収納されている電源筐体62にも固定されている。電源筐体62は、配線兼吊り具63で吊るされ、第1の実施形態と形状は変わるが引っ掛けシーリング52に照明装置1を固定する固定具51を介して天井50に固定される。
LED光源4L、4Dから出射した光は、入射面2Aから入射して、中心に向かって導光し、所定の位置で光取出し部3で反射して導光体2から出射する。ここで、第1の実施形態の図15の説明において導入した主な伝播方向は矢印151で示される方向で、LED光源4L、4Dから中心に向かう方向である。
本照明装置1も、前面方向FDの一部または全部の最外部は導光体2の構成であって、光取出し部3がユーザから直視できる構成であり、導光体2からの光で周囲を直接照明する構成である。したがって、第1の実施形態で説明した様々な構成を導入して、照明装置1の性能を向上させることは重要である。特に、第1の実施形態で説明した光取出し部3の特徴を導入して、前述の線ムラ、色ムラを抑制し、照明装置1からの配光分布を良好な分布にすることは重要である。
第1の実施形態で説明した光取出し部3の特徴を本照明装置1にも適宜適用することで、光源に対応して導光体に発生するムラを抑制し、良好なデザインの照明装置を提供するという効果を奏する。
図19は、図18に示したペンダント型の照明装置の変形例であって、主に導光体2の形状とLED光源4L、4Dの配置が異なっている。主な変更箇所についてのみ説明する。図19(a)は正面図であって、前面方向FDから見た図である。図19(b)は、図19(a)に記載のD−D’の断面図である。本例では、導光体2は円盤の中心に穴が開いた形状であって、中心の穴の端面に対向して、LED光源4L、4Dが配置された例である。当該中心の穴は、本例では六角形の穴である。
LED光源4L、4Dから出射した光は、入射面2Aから入射して、外側方向ODに向かって導光し、所定の位置で光取出し部3で反射して導光体2から出射する。ここで、主な伝播方向は矢印151で示される方向で、LED光源4L、4Dから外側方向ODに向かう方向である。
本照明装置1も、前面方向FDの一部または全部の最外部は導光体2の構成であって、光取出し部3がユーザから直視できる構成であり、導光体2からの光で周囲を直接照明する構成である。したがって、第1の実施形態で説明した様々な構成を導入して、照明装置1の性能を向上させることは重要である。特に、第1の実施形態で説明した光取出し部3の特徴を導入して、前述の線ムラ、色ムラを抑制し、照明装置1からの配光分布を良好な分布にすることは重要である。
第1の実施形態で説明した光取出し部3の特徴を本照明装置1にも適宜適用することで、光源に対応して導光体に発生するムラを抑制し、良好なデザインの照明装置を提供するという効果を奏する。
本実施形態の照明装置1は例であって、導光体2、LED光源、光源カバー60、電源筐体62の形状や配置、吊り具61の配置等は様々な変更が可能である。例えば、電源筐体に光源カバー60が固定されても良いし、さらなる固定部材を導入しても良い。それら形状や配置に限定されずに、第1の実施形態で説明した光取出し部3の特徴を導入することで、前述の線ムラ、色ムラを抑制し、照明装置1からの配光分布を良好な分布にする効果を得られる。
《第3の実施形態》
第1の実施形態で説明した光取出し部3の何れかを適用した導光体を有する、前述にて詳細に説明していない他の照明装置の例を、図20を用いて説明する。図20に示される照明装置1は電球型の照明装置である。図20(a)は照明装置1の斜視図であって、照明装置1の外観を示すものである。図20(a)の構成は、光を出射する導光体2と、電源回路(図示無)等を収納する電球筐体65と、照明装置1を照明器具に固定するとともに、電力を供給される口金64からなる。導光体2は透明であって、所謂クリア電球と呼ばれる電球の例である。電球型照明装置の場合、前面方向等の定義が難しい場合があるが、図20に矢印で示すように各方向を定義する。背面方向BDは口金の方向であって、前面方向FDは背面方向BDと反対方向である。外側方向ODは、前面方向FDと略垂直方向であって、照明装置1の中心から外側に向かう方向である。
図20(b)は本実施形態の照明装置1の断面図である。電球筐体65内に基板5が配置され、基板5上にLED光源4が配置され、導光体2は、入射面2AからLED光源4からの光を入射して、光を導光体2の表面に沿って導光し、所定の位置で光取出し部3で反射して導光体2から出射する。ここで、第1の実施形態の図15の説明において導入した主な伝播方向は、矢印151に示すように、図20(b)の断面形状において、導光体2の表面に沿って、導光体の入射面2Aから遠ざかる方向である。
本照明装置1も、前面方向FDの一部または全部の最外部は導光体2の構成であって、光取出し部3がユーザから直視できる構成であり、導光体2からの光で周囲を直接照明する構成である。したがって、第1の実施形態で説明した様々な構成を導入して、照明装置1の性能を向上させることは重要である。特に、第1の実施形態で説明した光取出し部3の特徴を導入して、前述の線ムラ、色ムラを抑制し、照明装置1からの配光分布を良好な分布にすることは重要である。
第1の実施形態で説明した光取出し部3の特徴を本照明装置1にも適宜適用することで、光源に対応して導光体に発生するムラを抑制し、良好なデザインの照明装置を提供するという効果を奏する。
なお、以上説明した各実施形態において、入射面2Aは平坦な面であるが、これに限らず、入射面は、光源の出射面からの光を当該部位より導光体2に入射させ、当該光が導光体内を伝播する機能を有すれば良い。例えば、入射面2Aに凹凸などの形状が付与されていても良い。平坦な面とは異なる一例を図21に示す。図21(a)は、側面から第1の実施形態の導光体2の入射面2A付近を見た図である。図21(b)は、図21(a)のF−F’で示す箇所の断面図である。図21(a)は、図21(b)に示す矢印AINの方向より、入射面2A付近を見た図である。本例は、入射面2Aに凹凸が有る例であって、外側方向に平行方向に沿って凸(または凹)形状が付与された例である。当該入射面2Aにおいて、外側方向に平行方向に沿って凸(または凹)形状が付与される構成は、入射面2Aに入射した光が凸(または凹)形状が延在する方向と直交方向に光を広げる効果を有するので、隣接するLED光源(4D,4L)からの出射光が外側方向に直交な方向で混じり易くなり、色ムラや線ムラを抑制するとい効果を奏する。
なお、以上説明した各実施形態において、光源はLED光源4として説明したが、これに限らず、有機発光ダイオードOLED(Organic Light Emitting Diode)など、別の光源を用いることも可能である。
なお、以上説明した各実施形態において、様々な導光体2の外形を説明したが、これら説明したものに限らず、円形、四角形、多角形、任意の曲線、任意の折れ線およびそれらの組み合わせなどで構成される平面的な導光体や、立体的な導光体など、任意の導光体の外形に対して、第1の実施形態で説明した様々な構成は、照明装置1の性能を向上させるという効果を奏する。特に、第1の実施形態で説明した光取出し部3の特徴は、任意の導光体の外形に対して、光源に対応して導光体に発生するムラを抑制し、良好なデザインの照明装置を提供するという効果を奏する。
なお、以上説明した各実施形態において、各実施形態で説明した特徴は、それぞれ独立に適用することも可能であるが、適宜組み合わせて用いることも可能である。
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の説明のために示した具体例であって、これらの各実施形態に本発明を限定するものではない。例えば、以上の各実施形態において図示した各部材の形状および構成は、当該部材が有すべき機能を満足するものであれば、必要に応じ適宜設計乃至は最適化するべきものである。