JP6237816B2 - プロジェクター、及び、プロジェクターの制御方法 - Google Patents

プロジェクター、及び、プロジェクターの制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、投射面に画像を投射するプロジェクター、及び、プロジェクターの制御方法に関する。
従来、投射面に画像を投射するプロジェクターにおいて、投射画像の台形歪みを補正する機能を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の装置は、画像を補正するための校正画像を投射して、この校正画像の投射状態に基づいて台形歪み補正を繰り返し実行することにより、精度よく補正を行うものである。
特開2010−130225号公報
ところで、特許文献1に記載された装置のように、投射画像の歪みを補正する処理を行ってから、さらに歪み補正する処理を行う場合、投射されている画像は既に補正済みである。このため、二回目以後の補正の処理では、投射されている画像の歪みと、先に行われた補正の内容とを加味して、補正量を算出する必要がある。このため、補正の処理に係る演算の負荷を軽減できる手法が望まれていた。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、投射面における投射画像の歪みを補正する処理を、複数回実行することが可能で、かつ、補正に係る演算処理の負荷を抑えることが可能なプロジェクター、及び、その制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るプロジェクターは、投射面に画像を投射する投射手段と、前記投射手段が投射する画像の歪みを補正する歪み補正処理の開始条件が成立した場合に、前記投射手段によって、投射中の画像に重畳して補正用画像を投射させる制御手段と、前記投射手段により投射された前記補正用画像の状態に基づいて、前記歪み補正処理を行う補正手段と、を備え、前記制御手段は、前記歪み補正処理の開始条件が成立してから、前記歪み補正処理を完了する条件が整うまでの間であって、前記補正手段が複数回の前記歪み補正処理を行う間、前記歪み補正処理の結果を反映しない状態で前記補正用画像を投射させること、を特徴とする。
本発明によれば、投射面に投射した補正用画像の状態に基づいて歪み補正を実行した場合に、補正用画像には歪み補正処理が反映されないで、歪み補正処理が完了されるまで補正用画像が投射されるので、歪み補正の処理を複数回行う際に、既に実行された補正を加味することなく歪み補正を行うことができる。これにより、投射面における投射画像の歪みを補正する処理を、複数回実行することが可能で、かつ、補正に係る演算処理の負荷を抑えることができる。
また、本発明は、上記プロジェクターにおいて、前記制御手段は、前記補正手段が前記歪み補正処理を実行した場合に、前記歪み補正処理の結果を反映しない状態で前記補正用画像を投射させる一方、投射中の前記画像の投射状態を前記歪み補正処理の結果を反映するように更新させることを特徴とする。
本発明によれば、複数回の歪み補正処理が行われる場合に、歪み補正処理が行われる毎に処理の結果が画像の投射状態に反映されるので、一連の歪み補正処理の完了を待たずに、歪み補正処理による画像の変化を即時的にユーザーに知らせることができる。
また、本発明は、上記プロジェクターにおいて、前記制御手段は、前記補正手段が前記歪み補正処理を実行した場合に、前記歪み補正処理の結果を反映しない状態で前記補正用画像を投射させる一方、投射中の前記画像の投射状態を、前記歪み補正処理を反映した状態と反映する前の状態との中間の状態になるように更新させることを特徴とする。
本発明によれば、歪み補正処理が行われる毎に、この処理の結果が画像の投射状態に反映されるとともに、画像の変化の度合いを抑えられる。これにより、複数回の歪み補正処理が行われる場合に、歪み補正処理による画像の変化を即時的にユーザーに知らせることができ、かつ、画像の変化の度合いを抑えることでユーザーの不快感を防止できる。
また、本発明は、上記プロジェクターにおいて、前記制御手段は、前記補正手段が前記歪み補正処理を実行した場合に、前記歪み補正処理の結果を反映しない状態で前記補正用画像を投射させるとともに、前記歪み補正処理後の前記画像の形状を示す投射を行うことを特徴とする。
本発明によれば、複数回の歪み補正処理が行われる場合に、歪み補正処理が行われる毎に処理の結果を反映した画像の形状を示すので、一連の歪み補正処理の完了を待たずに、歪み補正処理による画像の変化をユーザーに知らせることができる。また、歪み補正処理の結果を反映した画像の形状を求める処理は画像を変形させる処理に比べて負荷が軽いため、歪み補正処理に係る負荷を軽減できる。
また、本発明は、上記プロジェクターにおいて、前記制御手段は、前記プロジェクターの動き或いは外部からの操作に基づき、前記歪み補正処理の開始条件が成立したと判定することを特徴とする。
本発明によれば、歪み補正処理を速やかに開始して、例えば複数回の歪み補正処理を、処理の負荷を抑えて実行できる。
また、本発明は、上記プロジェクターにおいて、前記制御手段は、前記プロジェクターの動き或いは外部からの操作に基づき、前記歪み補正処理を完了する条件が成立したと判定することを特徴とする。
本発明によれば、条件が整うまで歪み補正処理を継続して実行することで、投射画像の歪みを、確実に、かつ高精度に補正できる。
また、上記目的を達成するために、本発明に係るプロジェクターの制御方法は、投射面に画像を投射する投射手段を備えたプロジェクターの制御方法であって、前記投射手段が投射する画像の歪みを補正する歪み補正処理の開始条件が成立した場合に、前記投射手段によって、投射中の画像に重畳して補正用画像を投射し、投射した前記補正用画像の状態に基づいて、前記歪み補正処理を実行し、前記歪み補正処理の開始条件が成立してから、前記歪み補正処理を完了する条件が整うまでの間であって、前記補正手段が複数回の前記歪み補正処理を行う間、前記歪み補正処理の結果を反映しない状態で前記補正用画像を投射させること、を特徴とする。
本発明によれば、投射面に投射した補正用画像の状態に基づいて歪み補正を実行した場合に、補正用画像には歪み補正処理が反映されないで、歪み補正処理が完了されるまで補正用画像が投射されるので、歪み補正の処理を複数回行う際に、既に実行された補正を加味することなく歪み補正を行うことができる。これにより、投射面における投射画像の歪みを補正する処理を、複数回実行することが可能で、かつ、補正に係る演算処理の負荷を抑えることができる。
本発明によれば、投射面における投射画像の歪みを補正する処理を複数回実行可能で、かつ、補正に係る演算処理の負荷を抑えることができる。
第1の実施形態に係るプロジェクターの構成を示すブロック図である。 プロジェクターが画像と補正パターンとを投射する動作を示す説明図であり、(A)は画像の例を示し、(B)は補正パターンの例を示し、(C)は光変調装置が画像と補正パターンを描画した例を示す。 プロジェクターが投射画像の歪みを補正する動作の例を示す説明図であり、(A)は補正前のスクリーンへの投射例を示し、(B)は画像形成可能領域に形成される画像の例を示し、(C)は補正後のスクリーンへの投射例を示す。 第1の実施形態におけるプロジェクターの動作を示すフローチャートである。 第2の実施形態でプロジェクターが投射画像の歪みを補正する動作の例を示す説明図であり、(A)は補正前のスクリーンへの投射例を示し、(B)は画像形成可能領域に形成される画像の例を示し、(C)は補正後のスクリーンへの投射例を示す。 第2の実施形態におけるプロジェクターの動作を示すフローチャートである。
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るプロジェクター100の全体構成を示すブロック図である。プロジェクター100は、内蔵する画像記憶部171に記憶した画像データ、または、パーソナルコンピューターや各種映像プレーヤー等の外部の画像供給装置(図示略)から入力される画像データに基づいて、スクリーンSCに画像を投射する。本実施例では、スクリーンSCはほぼ直立しており、スクリーン面は矩形形状とされている。
プロジェクター100に入力される画像データは、動画像(映像)のデータであっても静止画像のデータであってもよく、プロジェクター100は映像をスクリーンSCに投射することも、静止画像をスクリーンSCに投射し続けることも可能である。以下の実施形態では、外部の画像供給装置からケーブル200を介して入力されたアナログ画像信号に基づいて画像を投射する場合を例に挙げて説明する。
プロジェクター100は、大きく分けて光学的な画像の形成を行う投射部101(投射手段)と、プロジェクター100全体の動作を制御し、画像信号を電気的に処理する画像処理系とからなる。投射部101は、光源140、光変調装置130、投射光学系150から構成される。光源140としては、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED(Light Emitting Diode)、レーザー光源等を使用できる。なお、光源140に、光源140が発した光を光変調装置130に導くリフレクター及び補助リフレクターや、光源140が発した光を光変調装置130に至る経路上で減光させる調光素子(図示略)等を備えてもよい。
光変調装置130は、後述する画像処理系からの信号を受けて、光源140が発した光を変調して画像光とする。光変調装置130の具体的な構成としては、例えば、RGBの各色に対応した3枚の透過型または反射型の液晶ライトバルブを用いた方式が挙げられる。この場合、光変調装置130には、光源140が発した光がダイクロイックミラー等によりR、G、Bの各色光に分離されて入射し、光変調装置130が備える各色の液晶パネルによって各色光が変調され、その後、クロスダイクロイックプリズムにより各色光が合成されて、投射光学系150に導かれる。本実施形態では、光変調装置130が透過型液晶パネルを備えた構成とする。光変調装置130は、後述する光変調装置駆動部134によって駆動され、マトリクス状に配置された各画素における光の透過率を変化させることにより、画像を形成する。
投射光学系150は、投射する画像の拡大・縮小及び焦点の調整を行うズームレンズ151、ズームの度合いを調整するズーム調整用モーター152、フォーカスの調整を行うフォーカス調整用モーター153を備える。投射光学系150には、光変調装置130で変調された光が入射され、この光がズームレンズ151を経てスクリーンSC上に投射され、投射画像を結像する。ズームレンズ151は、複数のレンズを含むレンズ群により構成される。ズームレンズ151を、ズーム調整用モーター152とフォーカス調整用モーター153とによって駆動し、各レンズの位置調整等を行うことで、スクリーンSC上の投射画像の拡大・縮小を行うズーム調整や、スクリーンSC上に投射画像を適正に結像させるフォーカス調整が行われる。
画像処理系は、プロジェクター100全体を統合的に制御するCPU120と画像用プロセッサー131とを中心に構成され、A/D変換部110、光変調装置駆動部134、光源駆動部141、レンズ駆動部154、RAM160、画像記憶部171及び補正パターン記憶部172を含むROM170、CCDカメラ181を備えた撮像部180、撮影画像メモリー182、動き検出部185、リモコン制御部190、リモコン191、操作部195等を備える。これらの画像処理系を構成する各要素は、バス102を介して互いに接続されている。
A/D変換部110は、上述した外部の画像供給装置からケーブル200を介して入力されたアナログ入力信号をA/D変換するデバイスであり、変換後のデジタル信号を画像用プロセッサー131に出力する。
CPU120は、画像用プロセッサー131と共に、プロジェクター100における画像処理を行う。CPU120は、プロジェクター100の投射に係る制御を行う投射制御部121のほか、補正制御部122、ズーム比算出部123と、焦点距離算出部124と、三次元測量部125と、投射角算出部126とを備えている。これらの各部は、CPU120がROM170に予め記憶したプログラムを実行することにより実現される。CPU120は、制御手段として機能し、特に投射制御部121の機能は制御手段に相当する。
画像用プロセッサー131は、台形歪み補正部132と、重畳処理部133とを備えている。画像用プロセッサー131は、CPU120の制御に従って、A/D変換部110から入力される画像データを処理し、光変調装置130により投射画像を描画するための画像信号を生成して、光変調装置駆動部134に出力する。この画像用プロセッサー131は、台形歪み補正用や画像処理用のDSP(デジタルシグナルプロセッサー)として販売されている汎用のプロセッサーを用いて構成することも、専用のASICとして構成することも可能である。また、プロジェクター100が画像記憶部171に記憶した画像データを投射する場合、画像用プロセッサー131はこの画像データに対し上記の処理を行う。
光変調装置駆動部134は、画像用プロセッサー131から入力される画像信号に基づいて、光変調装置130を駆動する。これにより、A/D変換部110に入力された画像信号に対応した画像が、光変調装置130の画像形成領域に形成され、この画像が投射光学系150を介して、スクリーンSC上に投射画像として形成される。
光源駆動部141は、CPU120から入力される指示信号に応じて、光源140に電圧を印加し、光源140を点灯及び消灯させる。
レンズ駆動部154は、CPU120の制御に従ってズーム調整用モーター152及びフォーカス調整用モーター153を駆動して、ズーム調整及びフォーカス調整を行う。
RAM160は、CPU120や画像用プロセッサー131が実行するプログラムやデータを一時的に格納するワークエリアを形成する。なお、画像用プロセッサー131は、自身が行う画像の表示状態の調整処理など、各処理の実行の際に必要となるワークエリアを、内蔵RAMとして備えていてもよい。
ROM170は、上述した各処理部を実現するためにCPU120が実行するプログラムや、当該プログラムに係るデータ等を記憶する。また、ROM170は、投射部101により投射する画像を記憶する画像記憶部171、及び、上記の歪み補正処理に用いる補正パターンを記憶した補正パターン記憶部172を備えている。
撮像部180は、周知のイメージセンサーであるCCDを用いたCCDカメラ181を備えている。撮像部180は、プロジェクター100の前面、即ち、投射光学系150がスクリーンSCに向けて画像を投射する方向をCCDカメラ181により撮像可能な位置に設けられている。撮像部180は、推奨された投射距離においてスクリーンSC上に投射された投射画像の全体が少なくとも撮像範囲内に入るように、CCDカメラ181のカメラ方向及び画角が設定されている。CCDカメラ181は、CCDの他、CCD上に画像を形成する単焦点レンズ、CCDに入射する光量を調整するオートアイリスなどの機構、更にはCCDから画像信号を読み出す制御回路などを備えていてもよい。CCDカメラ181が撮影した撮影画像のデータは、撮像部180から撮影画像メモリー182に出力され、撮影画像メモリー182の所定の領域に繰り返し書き込まれる。撮影画像メモリー182は、1画面分の画像データの書き込みが完了すると、所定の領域のフラグを順次反転するので、CPU120は、このフラグを参照することにより、撮像部180を用いた撮像が完了したか否かを知ることができる。CPU120は、このフラグを参照しつつ、撮影画像メモリー182にアクセスして、必要な撮影画像データを取得する。
動き検出部185は、ジャイロセンサーや加速度センサーを備え、プロジェクター100の本体の動きを検出して、検出値をCPU120に出力する。動き検出部185の検出値には予め閾値が設定され、CPU120は、閾値を超える動きが動き検出部185によって検出された場合に、プロジェクター100が動いたと判定する。また、CPU120は、動き検出部185によって検出される動きが閾値以下となり、この状態が予め設定された待機時間を超えて継続した場合に、プロジェクター100が静止したと判定する。
なお、動き検出部185に閾値が設定され、動き検出部185の検出値が閾値を超えた場合、及び、動き検出部185の検出値が閾値以下となって待機時間が経過した場合に、動き検出部185がCPU120に検出信号を出力する構成としてもよく、この場合、CPU120の負荷を軽減できる。
リモコン制御部190は、プロジェクター100の外部のリモコン191から送信される無線信号を受信する。リモコン191は、ユーザーによって操作される操作子(図示略)を備え、操作子に対する操作に応じた操作信号を赤外線信号または所定周波数の電波を用いた無線信号として送信する。リモコン制御部190は、赤外線信号を受信する受光部(図示略)や無線信号を受信する受信回路(図示略)を備え、リモコン191から送信された信号を受信し、解析して、ユーザーによる操作の内容を示す信号を生成してCPU120に出力する。
操作部195は、例えばプロジェクター100の本体に配置された操作パネルの操作子(図示略)により構成される。操作部195は、上記操作子に対する操作を検出すると、操作子に対応する操作信号をCPU120に出力する。この操作子としては、電源ON/OFFを指示するスイッチや、歪み補正処理開始を指示するスイッチ等がある。
ここで、CPU120及び画像用プロセッサー131の機能について説明する。
投射制御部121は、A/D変換部110が出力する画像データに基づいて、投射部101により画像を投射する動作を制御する。具体的には、投射制御部121は、プロジェクター100の電源オン/オフに伴い光源駆動部141によって光源140を点灯/消灯させる制御、A/D変換部110が出力する画像データを画像用プロセッサー131により処理させる制御等を行う。
また、投射制御部121は、補正制御部122が台形歪み補正部132を制御して、台形歪みを補正する歪み補正処理を開始及び終了させる機能を有する。ここで、補正制御部122は、台形歪み補正部132と協働して、補正手段として機能する。
歪み補正処理を開始する開始条件として、例えば、動き検出部185の検出値に基づきプロジェクター100の動きを検出すること、或いは、操作部195またはリモコン191の操作により歪み補正処理が指示されることが予め設定されている。投射制御部121は、設定されたいずれかの条件に該当する場合、歪み補正処理の開始条件が成立したと判定して、画像用プロセッサー131の重畳処理部133を制御し、補正パターン記憶部172に記憶された補正パターン(補正用画像)を、投射中の画像に重畳して投射させる。これにより、スクリーンSCには、歪み補正処理の開始前から投射されていた画像と、補正パターンとが重ねて表示される。
そして、投射制御部121は、補正制御部122によって歪み補正処理を実行させる。補正制御部122は、画像記憶部171に記憶された補正パターンがスクリーンSCに投射された状態で投射画像を撮像部180により撮像させる。補正制御部122は、撮影画像データを撮影画像メモリー182から取得し、この撮影画像データに基づき、後述するズーム比算出部123、焦点距離算出部124、三次元測量部125、及び投射角算出部126の各処理部の働きにより投射角及び投射距離を算出させる。そして、この投射角に対応した制御データを画像用プロセッサー131に出力するとともに、投射距離に対応してレンズ駆動部154を制御し、フォーカス調整を行わせる。
また、補正制御部122は、ズーム比算出部123、焦点距離算出部124、三次元測量部125、及び投射角算出部126の各処理部の働きにより算出された投射角及び投射距離に基づいて、歪み補正処理を行うためのパラメーターを算出する。このパラメーターは、光変調装置130により描画される画像を、スクリーンSC上の投射画像の歪みを補償するように変形させるためのパラメーターであって、変形の方向、変形量等を定義するデータである。補正制御部122は、算出したパラメーターを台形歪み補正部132に出力し、台形歪み補正部132によって歪み補正処理を実行させる。
ズーム比算出部123、焦点距離算出部124、三次元測量部125、及び投射角算出部126の各処理部は、補正制御部122の制御に従い、プロジェクター100とスクリーンSCとの相対距離(以下、投射距離という)や、スクリーンSCの平面に対する、プロジェクター100から投射した投射光の光軸の傾きである投射角を算出するために必要な処理を行う。
画像用プロセッサー131は、A/D変換部110から入力された画像データを処理する機能部である。画像用プロセッサー131は、投射対象の画像データに対して、輝度、コントラスト、色の濃さ、色合い等の画像の表示状態を調整する処理を行って、処理後の画像データを光変調装置駆動部134に出力する。
画像用プロセッサー131が備える台形歪み補正部132は、補正制御部122から入力されるパラメーターに従って、A/D変換部110が出力した画像データの画像を変形させる処理を行う。
重畳処理部133は、補正パターン記憶部172に記憶された補正パターンを投射画像に重畳させる機能を有する。ここで、重畳処理部133は、台形歪み補正部132の後段に接続されており、重畳処理部133には台形歪み補正部132の処理後の画像データが入力される。このため、台形歪み補正部132が歪み補正処理を行っている場合も、歪み補正処理を行っていない場合も、重畳処理部133は、台形歪み補正部132を経た画像データに補正パターンを重畳する。また、この構成により、重畳処理部133が補正パターンを重畳した画像に対して、歪み補正処理が施されることはない。つまり、プロジェクター100が投射する補正パターンは、常に、歪み補正処理が施されていない状態である。
続いて、プロジェクター100の動作について説明する。
図2は、プロジェクター100が画像及び補正パターンを投射する動作を示す説明図である。図2(A)は画像の例を示し、(B)は補正パターンの例を示す。また、図2(C)は、光変調装置130が画像形成可能領域136に画像と補正パターンとを描画した例を示す。
本実施形態では、図2(A)に示すように矩形の画像175を投射する例について説明する。また、本実施形態では補正パターンの例として、図2(B)に示す補正パターン177を挙げる。補正パターン177は、十字形のマーカー177aが四隅近傍に配置され、全体として矩形を有する。マーカー177a以外の部分は無色(透明)である。
台形歪み補正部132が歪み補正処理を行っていない状態で、重畳処理部133が補正パターン177を画像175に重畳すると、光変調装置130の画像形成可能領域136には、図2(C)に示す画像が描画される。図2(C)の例のように、歪み補正処理を行わない状態では、光変調装置130の画像形成可能領域136を広く使って画像が描画される。このため、画像形成可能領域136の全体に画像形成領域137が設けられ、この画像形成領域137に、画像175が形成(描画)される。また、画像形成領域137には、画像175に重畳して補正パターン177が描画されている。補正パターン177はマーカー177aを除いて透明であるため、画像175の上にマーカー177aが重なって描画されている。
図3は、プロジェクター100が投射画像の歪みを補正する動作の例を示す説明図であり、(A)は補正前のスクリーンSCへの投射例を示し、(B)は画像形成可能領域136に形成される画像の例を示し、(C)は補正後のスクリーンSCへの投射例を示す。
スクリーンSCに投射される画像は、スクリーンSCに対するプロジェクター100の設置角により図3(A)に示すように台形歪みを生じる。図3(A)には、図2(C)に示したように画像175に補正パターン177を重畳した画像を投射した例を示す。この例では、画像175が歪んで投射されており、マーカー177aの位置は台形歪みに応じて矩形状の配置がずれている。
ここで、補正制御部122による歪み補正処理が実行されると、台形歪み補正部132が画像175を変形させる。これにより、画像用プロセッサー131から光変調装置駆動部134に出力される画像には変形した画像175が含まれるので、光変調装置130の画像形成領域137には、図3(B)に示すように変形した画像175が描画される。また、変形した画像175を矩形の画像形成可能領域136の内部に描画する必要があるので、画像175が描画される画像形成領域137は、画像形成可能領域136の一部である。
上述のように、補正パターン177は、台形歪み補正部132の後段に接続された重畳処理部133により、台形歪み補正部132が出力する歪み補正処理後の画像に重畳されるので、補正パターン177に対しては歪み補正処理がなされない。従って、図3(B)に示すように、画像175には、矩形の四隅に配置された4つのマーカー177aが、歪み補正処理前の図2(C)と同じ状態で描画される。
このため、スクリーンSCには、図3(C)に示すように、画像175は台形歪みが補正されて矩形で投射されるが、補正パターン177は、台形歪みの状態を残したままとなる。つまり、マーカー177aの位置は、台形歪みのない場合の位置からずれている。
補正制御部122が台形歪みを補正する場合、撮像部180によりスクリーンSCを撮影させ、撮影画像からマーカー177aの位置を検出し、この位置に基づいてズーム比算出部123、焦点距離算出部124、三次元測量部125及び投射角算出部126による演算を行う。そして、これらの演算結果に基づき、補正制御部122が歪み補正用のパラメーターを算出して、算出したパラメーターを台形歪み補正部132に設定する。この一連の処理において、補正制御部122は、撮像部180の撮影画像データで検出したマーカー177aの位置を、補正パターン記憶部172に記憶された補正パターン177のデータにおけるマーカー177aの位置と比較する。
このため、図3(C)に示すように歪み補正処理が行われた後で、さらに歪み補正処理を行う場合には、新たにスクリーンSCを撮像部180により撮影して、新しい撮影画像データからマーカー177aを検出し、パラメーターを算出する。
ところが、歪み補正処理を行う際に、画像175だけでなく補正パターン177をもパラメーターに従って変形させると、マーカー177aが歪み補正処理によって移動される。このため、スクリーンSC上のマーカー177aの位置は、スクリーンSCとプロジェクター100との設置角や距離に加え、台形歪み補正部132が行った処理によって決められる。従って、台形歪み補正部132により移動されたマーカー177aを撮影し、撮影画像データ中のマーカー177aの位置を、補正パターン記憶部172に記憶された補正パターン177におけるマーカー177aの位置と比較しても、スクリーンSCとプロジェクター100との設置角や距離を正確に求めることはできない。この場合、設置角や距離を正確に求めるためには、それ以前に行われた歪み補正処理の影響を除く処理を行う必要がある。
プロジェクター100は、投射制御部121の制御により、歪み補正処理の開始条件が成立したと判定した場合に、プロジェクター100が静止する前に歪み補正処理を実行し、その後、歪み補正処理を完了する条件が整うまでの間、予め設定された周期で繰り返し歪み補正処理を実行する。これにより、スクリーンSCには、周期的に(所定の時間が経過するごとに)歪み補正処理が行われて補正後の画像が投射されるので、プロジェクター100を使用するユーザーは、プロジェクター100が静止したり、歪み補正処理を完了する操作を行ったりする前であっても、補正の様子を見ることができる。また、プロジェクター100の移動が止まってから、上記待機時間が経過する前に、プロジェクター100が静止した状態で歪み補正処理が実行されるので、プロジェクター100が静止した位置に合わせて補正された画像がスクリーンSCに投射される。これにより、実質的に、待機時間が経過する前に補正済みの画像を投射でき、歪みのない画像を速やかに投射できる。この場合、プロジェクター100が歪み補正処理を繰り返し実行する周期が、上記待機時間より短い時間であることが好ましい。
このように複数回の歪み補正を続けて実行する場合に、補正パターン177についても歪み補正処理を適用してしまうと、マーカー177aの位置について複数回の歪み補正の影響を除く演算を行う必要が生じ、パラメーターを算出する処理の負荷が増大する。そこで本実施形態のように、補正パターン177について歪み補正処理を行わないようにすれば、マーカー177aの位置は、常に、スクリーンSCとプロジェクター100との設置角や距離を反映した分だけずれた位置となる。従って、歪み補正処理を繰り返し行っても、マーカー177aの位置に基づいて、速やかにスクリーンSCとプロジェクター100との設置角や距離を正確に求めることができ、正確なパラメーターを算出できる。このパラメーターを算出する処理の負荷は、歪み補正処理を繰り返し行っても増大しない。
さらにまた、本実施形態では、投射部101が投射する画像に補正パターン177を重畳する処理を行う重畳処理部133が、歪み補正処理を行う台形歪み補正部132の後段に接続され、この重畳処理部133が重畳処理を行った画像が光変調装置駆動部134に出力され、光変調装置130に描画される。このため、プロジェクター100における処理の手順が、補正パターン177が歪み補正処理の影響を受けない手順となっているので、特段の処理を行うことなく、歪み補正処理で補正パターン177が変形しないようにすることができる。
図4は、プロジェクター100の動作を示すフローチャートである。
プロジェクター100のCPU120は、プロジェクター100の電源がオンに切り換えられると、光源駆動部141を制御して光源140を点灯させる(ステップS11)。さらに、CPU120は、レンズ駆動部154を制御して投射光学系150における光学的な調整を実行させるとともに、画像用プロセッサー131によって、画像の明るさの調整や、指定されたカラーモードに合わせた調整等を実行させる(ステップS12)。その後、CPU120が備える投射制御部121は、A/D変換部110から出力される画像を投射する(ステップS13)。
投射開始後、投射制御部121は、歪み補正処理の開始条件が成立したか否かを判定する(ステップS14)。開始条件は上述したように、リモコン191または操作部195による開始指示操作があること、及び、動き検出部185の検出値が閾値を超えたことのいずれかである。歪み補正処理の開始条件が成立した場合(ステップS14;Yes)、投射制御部121は、補正パターン記憶部172に記憶された補正パターンを読み出して、重畳処理部133により画像に重畳させ、この補正パターンをスクリーンSCに投射させる(ステップS15)。
続いて、補正制御部122が、撮像部180によりスクリーンSCを撮影させ、撮影画像データを撮影画像メモリー182から取得する(ステップS16)。補正制御部122は、撮影画像データ中の補正パターンのマーカーを検出して、ズーム比算出部123、焦点距離算出部124、三次元測量部125、及び投射角算出部126による演算を行い、スクリーンSC上の画像に生じている台形歪みを補正するためのパラメーターを算出する(ステップS1)。補正制御部122は、台形歪み補正部132に設定されているパラメーターを、新たなパラメーターにより更新し(ステップS1)、投射中の画像に対する歪み補正処理を実行させる。また、補正制御部122は、マーカーの位置から算出した値に基づいてレンズ駆動部154を制御し、フォーカス調整を実行させる(ステップS19)。その後、台形歪み補正部132により新たなパラメーターに基づく歪み補正処理が施され、処理後の画像に重畳処理部133が補正パターンを重畳した画像がスクリーンSCに投射される(ステップS20)。
投射制御部121は、歪み補正処理を完了する条件が成立したか否かを判定する(ステップS21)。歪み補正処理を完了する条件は、上記のように、リモコン191または操作部195により歪み補正処理を完了する指示操作が行われること、及び、動き検出部185の検出値が閾値以下となって待機時間が経過することのいずれかである。このいずれの条件も成立していない場合は(ステップS21;No)、ステップS16に戻る。この後、ステップS17以降の処理が再び行われるため、歪み補正処理の開始条件が成立してから完了する条件が成立するまでの間、プロジェクター100は歪み補正処理をリアルタイムに行う。つまり、歪み補正処理の開始条件が成立してから、歪み補正処理を完了する条件が整うまでの間に、複数回の歪み補正処理(つまり、2回以上の歪み補正処理)が行われることになる。換言すれば、歪み補正処理の開始条件が成立してから、歪み補正処理を完了する条件が整うまでの間に、複数の歪み補正処理が連続的に行われる。これに対し、歪み補正処理を完了する条件が成立した場合(ステップS21;Yes)、投射制御部121は、重畳処理部133が補正パターンを重畳する処理を終了させ(ステップS22)、その後、投射制御部121は、プロジェクター100が投射を終了するか否かを判定し(ステップS23)、投射を終了しない場合は(ステップS23;No)、ステップS14に戻る。また、リモコン191または操作部195の操作に従って投射を終了する場合(ステップS23;Yes)、投射制御部121は、投射部101による画像の投射に係る動作を停止させ、光源140を消灯させる(ステップS24)。
また、歪み補正処理の開始条件が成立していない場合には(ステップS14;No)、ステップS23に移行して投射が終了したか否かを判定する。なお、ステップS23で投射を終了しない場合、ステップS14に戻って開始条件が成立したか否かの判定を繰り返し実行するが、ステップS14の判定の周期は予め設定されている。つまり、開始条件が成立せず、かつ投射を終了しない間は設定された周期で判定が繰り返し実行される。
以上説明したように、本発明を適用した第1の実施形態に係るプロジェクター100によれば、スクリーンSCに画像を投射する投射部101と、投射部101が投射する画像の歪みを補正する歪み補正処理の開始条件が成立した場合に、投射部101によって、投射中の画像に重畳して補正パターンを投射させるCPU120と、投射部101により投射された補正パターンの状態に基づいて、歪み補正処理を行う補正制御部122及び台形歪み補正部132と、を備え、CPU120は、歪み補正処理の開始条件が成立してから、歪み補正処理を完了する条件が整うまでの間であって、台形歪み補正部132が複数回の歪み補正処理を行う間、歪み補正処理の結果を反映しない状態で補正パターンを投射させるので、スクリーンSCに投射した補正パターンの状態に基づいて歪み補正を実行した場合に、補正パターンには歪み補正処理が反映されないで、歪み補正処理が完了されるまで補正パターンが投射される。これにより、歪み補正の処理を複数回行う際に、既に実行された補正を加味することなく歪み補正を行うことができる。従って、スクリーンSCにおける投射画像の歪みを補正する処理を、複数回実行することが可能で、かつ、補正に係る演算処理の負荷を抑えることができる。
また、CPU120が備える投射制御部121は、台形歪み補正部132が歪み補正処理を実行した場合に、歪み補正処理の結果を反映しない状態で補正パターンを投射させる一方、投射中の画像の投射状態を歪み補正処理の結果を反映するように更新させるので、一連の歪み補正処理の完了を待たずに、歪み補正処理による画像の変化を即時的にユーザーに知らせることができる。
また、投射制御部121は、動き検出部185が検出したプロジェクター100の動き或いはリモコン191又は操作部195の操作に基づき、歪み補正処理の開始条件が成立したと判定するので、歪み補正処理を速やかに開始して、例えば複数回の歪み補正処理を、処理の負荷を抑えて実行できる。
さらに、投射制御部121は、プロジェクター100の動き或いは外部からの操作に基づき、歪み補正処理を完了する条件が成立したと判定するので、条件が整うまでの間、歪み補正処理を継続して実行し、投射画像の歪みを、確実に、かつ高精度に補正できる。さらに、複数回の歪み補正処理を行って、歪み補正処理の完了を待たずに補正した画像をスクリーンSCに投射するので、ユーザーに歪んだ画像を見せたままユーザーを待たせることがない。このため、歪み補正処理を完了する条件を厳しく設定しても利便性を損なうことがないので、より確実にプロジェクター100が静止した場合に歪み補正処理を完了するよう設定すれば、より確実に台形歪みを補正できる。
この第1の実施形態において、プロジェクター100は、歪み補正処理を完了する条件が成立する前に、台形歪み補正部132により画像を補正して、補正後の画像をスクリーンSCに投射し、複数回の歪み補正を実行する場合には、スクリーンSCに投射する画像を歪み補正処理を実行する毎に更新する構成とした。この構成では、プロジェクター100が激しく動かされた場合に、画像の変化が急激になる。そこで、歪み補正処理を完了する条件が成立する前には、画像の急峻な変化を抑える処理を行ってもよい。すなわち、投射制御部121は、台形歪み補正部132が歪み補正処理を実行した場合に、投射中の画像の投射状態を、歪み補正処理を反映した状態と反映する前の状態との中間の状態になるように更新させる。具体的には、歪み補正処理を行う毎に、当該歪み補正処理で補正制御部122が算出したパラメーターに従って補正した画像と、当該歪み補正処理の前に投射していた画像との中間の画像を生成し、この中間の画像を光変調装置130に描画してスクリーンSCに投射してもよい。そして、歪み補正処理を完了する条件が成立する前は上記の中間の画像を投射する動作を継続し、歪み補正処理を完了する条件が成立した後で、補正制御部122が算出したパラメーターに従って補正した画像をそのまま投射すればよい。この場合、歪み補正処理を完了する条件が成立するまでの間は画像の変化の度合いを抑えることができるので、仮にプロジェクター100が激しく移動した場合であっても、ユーザーに与える印象を抑えることができる。
[第2の実施形態]
以下、本発明を適用した第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態では、歪み補正処理を繰り返し実行する間、スクリーンSCに、歪み補正処理を施した画像ではなく、歪み補正処理後の画像の形状を示す輪郭線を投射する構成について説明する。なお、この第2の実施形態では、プロジェクター100の各部は上記第1の実施形態と同様に構成されるため、同符号を付して説明を省略する。
図5は、第2の実施形態におけるプロジェクター100が投射画像の歪みを補正する動作の例を示す説明図である。図5(A)は補正前のスクリーンSCへの投射例を示し、(B)は光変調装置130の画像形成可能領域136に形成される画像の例を示し、図5(C)は補正後のスクリーンSCへの投射例を示す。
歪み補正処理を開始する際に、画像175に補正パターン177を重畳してスクリーンSCに投射した状態が、図5(A)に示すように台形歪みを生じている場合を想定する。この場合、補正制御部122が撮像部180により撮影を実行し、撮影画像データ中のマーカー177aの位置に基づいて補正用のパラメーターを算出する。本実施形態では、補正制御部122が算出したパラメーターに基づいて、台形歪み補正部132は、画像175を描画する画像形成領域137の形状、すなわち画像175の補正後の外形を変形させる処理を行うが、画像175の内部については処理を行わず空白とする。すなわち、光変調装置130の画像形成可能領域136には、図5(B)に示すように、歪み補正処理により補正された画像175の輪郭を示す輪郭線138が描画されるが、画像175は描画されない。また、歪み補正処理がされていない補正パターン177が、輪郭線138に重ねて描画される。
この状態でスクリーンSCへの投射を行うと、図5(C)に示すように、補正された輪郭線138が矩形となってスクリーンSCに結像する。また、補正パターン177が補正されない形状で投射されている。
図6は、第2の実施形態におけるプロジェクター100の動作を示すフローチャートである。図6において、図4で説明した処理と同様の処理には同じステップ番号を付している。
図6の動作において、プロジェクター100は、ステップS18で補正制御部122が台形歪み補正部132のパラメーターを更新した後、台形歪み補正部132は、更新されたパラメーターに従って、画像175の形状を変形させる処理を行い、その外形形状を決定し、輪郭線の画像を生成する(ステップS31)。
そして、補正制御部122がステップS19でフォーカス調整を行った後、台形歪み補正部132が生成した輪郭線が光変調装置130に描画され、スクリーンSCに投射される(ステップS32)。
これにより、台形歪み補正部132は、画像175を構成する全ての画素について変換処理を行う必要がないので、歪み補正処理の負荷を大幅に軽減できる。このため、例えばステップS14で歪み補正処理の開始条件が成立してからステップS21で完了条件が成立するまでの間、短い周期で歪み補正処理を繰り返し実行して、スクリーンSCに投射する画像を更新できる。また、ユーザーにとっては、スクリーンSCに輪郭線138が投射されていれば、台形歪みの補正の状態が良好であるかどうかを知ることができるので、輪郭線138だけでもユーザーに十分な情報を提供できる。
その後、投射制御部121は、ステップS21で歪み補正処理の完了条件が成立したと判定し、ステップS22で補正パターン177の投射を終了した後、台形歪み補正部132によって、設定されているパラメーターに従って画像175全体を変形させる処理を行い、補正後の画像175の全体をスクリーンSCに投射する(ステップS33)。これにより、スクリーンSCに投射されていた輪郭線138の投射が終了して、画像175が補正された状態で投射される。つまり、歪み補正が完了した後に速やかに通常の投射状態に移行する。
このように、第2の実施形態に係るプロジェクター100によれば、台形歪み補正部132が歪み補正処理を実行した場合に、歪み補正処理の結果を反映しない状態で補正パターン177を投射させるとともに、歪み補正処理後の画像175の形状を示す輪郭線138を投射する。これにより、一連の歪み補正処理の完了を待たずに、歪み補正処理による画像の変化をユーザーに知らせることができるとともに、歪み補正処理に係る負荷を軽減できる。
なお、上述した各実施形態は本発明を適用した具体的態様の例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、上記実施形態とは異なる態様として本発明を適用することも可能である。例えば、上記各実施形態では、ケーブル200を介してA/D変換部110に入力された画像を投射する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像記憶部171に記憶している画像または映像を投射する場合にも勿論適用可能である。また、上記各実施形態においてプロジェクター100の各部の動作を規定する時間や閾値等に関する設定値は、ROM170に予め記憶されているが、これらの設定値を、プロジェクター100外部の記憶媒体や装置に記憶しておき、必要に応じてプロジェクター100により設定値が取得される構成としてもよく、リモコン191や操作部195の操作によってその都度設定値が入力される構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、スクリーンSC上の画像に生じる台形歪みを補正する処理について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、いわゆる樽型歪みや糸巻き歪みと呼ばれる歪みを補正する処理にも本発明を適用可能である。
また、上記実施形態では、撮像部180はCCDイメージセンサーを備えたCCDカメラ181を有する構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、撮像部180のイメージセンサーとしてCMOSセンサーを用いても良い。また、上記実施形態では、光変調装置として、RGBの各色に対応した3枚の透過型または反射型の液晶パネルを用いた構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1枚の液晶パネルとカラーホイールを組み合わせた方式、RGB各色の色光を変調する3枚のデジタルミラーデバイス(DMD)を用いた方式、1枚のデジタルミラーデバイスとカラーホイールを組み合わせた方式等により構成してもよい。ここで、表示部として1枚のみの液晶パネルまたはDMDを用いる場合には、クロスダイクロイックプリズム等の合成光学系に相当する部材は不要である。また、液晶パネル及びDMD以外にも、光源が発した光を変調可能な構成であれば問題なく採用できる。
また、図1に示した各機能部は、プロジェクター100の機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
100…プロジェクター、101…投射部(投射手段)、120…CPU(制御手段)、121…投射制御部、122…補正制御部(補正手段)、130…光変調装置、131…画像用プロセッサー、132…台形歪み補正部(補正手段)、133…重畳処理部、134…光変調装置駆動部、170…ROM、172…補正パターン記憶部、177…補正パターン(補正用画像)、180…撮像部、185…動き検出部、191…リモコン、195…操作部、SC…スクリーン(投射面)。

Claims (9)

  1. 投射面に画像を投射する投射手段と、
    前記投射手段が投射する画像の歪みを補正する歪み補正処理の開始条件が成立した場合に、前記投射手段によって、投射中の画像に重畳して補正用画像を投射させる制御手段と、
    前記投射手段により前記投射面に投射された前記補正用画像を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段により撮像された前記補正用画像の状態に基づいて、前記画像の歪みを補正する補正パラメーターを求める処理と、前記補正パラメーターを設定する処理とを含む前記歪み補正処理を行う補正手段と、を備え、
    前記歪み補正処理の開始条件が成立してから、前記歪み補正処理を完了する条件が整うまでの間、前記撮像手段は、前記補正用画像の撮像を繰り返し、前記補正手段は、前記撮像手段により撮像された前記補正用画像の状態に基づいて前記補正パラメーターを求めて設定を更新する処理を繰り返し、
    前記制御手段は、前記歪み補正処理の開始条件が成立してから、前記歪み補正処理を完了する条件が整うまでの間であって、前記補正手段が複数回の前記歪み補正処理を行う間、前記歪み補正処理の結果を反映しない状態で前記補正用画像を投射させること、
    を特徴とするプロジェクター。
  2. 記制御手段は、前記歪み補正処理の開始条件が成立してから、前記歪み補正処理を完了する条件が整うまでの間であって、前記補正手段が前記補正パラメーターを求める処理を複数回行う間、前記補正パラメーターを用いて前記画像の歪みを補正する処理の結果を反映しない状態で前記補正用画像を投射させること、
    を特徴とする請求項1記載のプロジェクター。
  3. 前記制御手段は、前記補正用画像として複数のマーカーを含む補正パターンを前記投射手段によって投射させ、
    前記歪み補正処理の開始条件が成立してから、前記歪み補正処理を完了する条件が整うまでの間であって、前記補正手段が前記補正パラメーターを求める処理を複数回行う間、前記補正パターンにおける前記マーカーの位置を変えないで前記補正パターンを投射させること、
    を特徴とする請求項2記載のプロジェクター。
  4. 前記制御手段は、前記補正手段が前記歪み補正処理を実行した場合に、前記歪み補正処理の結果を反映しない状態で前記補正用画像を投射させる一方、投射中の前記画像の投射状態を前記歪み補正処理の結果を反映するように更新させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプロジェクター。
  5. 前記制御手段は、前記補正手段が前記歪み補正処理を実行した場合に、前記歪み補正処理の結果を反映しない状態で前記補正用画像を投射させる一方、投射中の前記画像の投射状態を、前記歪み補正処理を反映した状態と反映する前の状態との中間の状態になるように更新させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプロジェクター。
  6. 前記制御手段は、前記補正手段が前記歪み補正処理を実行した場合に、前記歪み補正処理の結果を反映しない状態で前記補正用画像を投射させるとともに、前記歪み補正処理後の前記画像の形状を示す投射を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプロジェクター。
  7. 前記制御手段は、前記プロジェクターの動き或いは外部からの操作に基づき、前記歪み補正処理の開始条件が成立したと判定することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のプロジェクター。
  8. 前記制御手段は、前記プロジェクターの動き或いは外部からの操作に基づき、前記歪み補正処理を完了する条件が成立したと判定することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のプロジェクター。
  9. 投射面に画像を投射する投射手段を備えたプロジェクターの制御方法であって、
    前記投射手段が投射する画像の歪みを補正する歪み補正処理の開始条件が成立した場合に、前記投射手段によって、投射中の画像に重畳して補正用画像を投射し、
    前記投射手段により前記投射面に投射された前記補正用画像を撮像し、
    撮像された前記補正用画像の状態に基づいて、前記画像の歪みを補正する補正パラメーターを求める処理と、前記補正パラメーターを設定する処理とを含む前記歪み補正処理を実行し、
    前記歪み補正処理の開始条件が成立してから、前記歪み補正処理を完了する条件が整うまでの間、前記補正用画像の撮像を繰り返し、撮像された前記補正用画像の状態に基づいて前記補正パラメーターを求めて設定を更新する処理を繰り返し、
    前記歪み補正処理の開始条件が成立してから、前記歪み補正処理を完了する条件が整うまでの間であって、複数回の前記歪み補正処理を行う間、前記歪み補正処理の結果を反映しない状態で前記補正用画像を投射させること、
    を特徴とするプロジェクターの制御方法。
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