JP6237090B2 - ピーニング処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金属材料の表面に振動するピンによる打撃で衝撃を与え、金属材料表層部の組織、形状等を改善するためのピーニング処理装置に関する。
なお、本発明において、機械振動とは機械系に起因する50Hz以上の機械振動であり、典型例としての超音波振動の場合を含むと定義される。
鋼構造の構築物、特に、鋼橋では建設後数十年を経て、また、船舶では就航後数年を経て、例えば構築物の鋼部材の溶接部や鋼部材に形成された切欠き部などにおいて金属疲労による亀裂の発生が問題となっている。
また、建設機械などにおいては、使用時の衝撃的な繰り返し荷重に曝されるブームでの疲労亀裂の発生が問題となっている。自動車においても、シャーシー、駆動シャフト等において疲労亀裂が問題となることもある。
このように、鋼部材を使用して構造物や装置を構成する場合には、疲労による材料の性能低下や溶接部の性能低下などを考慮して、部材の設計厚さや、溶接形態などを設計している。
ところで、最近、材料の表面に超音波ピーニング処理を施すことにより、材料表面に塑性変形を与えて圧縮の残留応力を付与し、表面の結晶組織を改善し、或いは残留応力を開放することによって耐疲労性能を改善できることが知られている。例えば特許文献1には、金属材料の表層部を改質する場合の処理条件の設定方法などが提案されている。
また、溶接部や切欠き部などに超音波ピーニング処理を施すことで、溶接による引張残留応力を開放しながら逆に圧縮残留応力を付与し、ピーニング処理部の組織を改善すると共に、切欠き部の形状を曲率を持った形状に改善して応力集中を緩和し、これらの部位の耐疲労性を向上させることが研究されている。
そして、このような超音波ピーニング処理装置として、特許文献2には、傾斜角度を設けた導波体と、これに対応したピンホルダーを筺体先端に装着し、ピンの振動方向を変化させる装置の先端部構造が記載されている。しかし、特許文献2の方法では、打撃ピンの傾斜角度は20〜45度が限界であったため、狭隘部等の広範囲な部位に使用できなかった。
また、特許文献3には、導波管自体が共振し、120度まで湾曲可能な超音波衝撃処理装置が記載されている。しかし。特許文献3の方法では、導波管の形状は固定されており角度調整が困難であるうえ、共振する導波管の製造が困難であるという問題点があった。
特開2004−169099号公報 特開2006−055799号公報 特表2009−504397号公報
図1は、前述の特許文献2に記載された、超音波ピーニング処理装置の概要を示す模式図である。超音波ピーニング処理装置は、一般に、比較的小型であるため人手により処理することも可能であり、所要の箇所のみを処理できるという利点がある。この特許文献2に記載の超音波ピーニング処理装置は、図1に示すように、打撃ピン3の軸方向が、ウエーブガイドの振動方向に対して傾斜角度を有している。この処理装置によれば、被処理部である溶接金属3の止端部に対するピンの軸方向の適切な角度を得るために処理装置本体の角度を変えることが困難な「狭隘な箇所でのピーニング処理」を施すことが可能となる。
しかし、打撃ピン3の傾斜角度が大きくなると振動エネルギーの減衰率が急激に大きくなり処理効率は下がるため、この傾斜角度は20〜45度が限界であった。そこで、本発明は、従来に比べ大きな角度の振動方向変換を効率的にかつ容易に実現することにより、狭隘部等の広範囲な部位に使用でき、かつ打撃ピンの傾斜角度を大きくしても処理効率が低下しないピーニング処理装置を提供することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)機械振動発生装置により発生する機械振動を前方に導くウエーブガイドと、該機械振動により励起されて衝撃振動する複数のピンが直列に接続され、該衝撃振動を被処理材まで伝達するピン群と、該ピン群をピン軸方向に振動可能に保持するガイドホールを備えたピンホルダーとを有するピーニング処理装置であって、前記複数のピンは、端部で互いに点接触により接続されており、かつ、該接続部で互いの振動方向が角度αをなして傾斜していることを特徴とする、ピーニング処理装置。
(2)前記ウエーブガイドと前記ピンとは、互いに点接触により接続されており、かつ、該接続部でのウエーブガイド面の垂線とピン軸方向とが角度βをなして傾斜していることを特徴とする、(1)に記載のピーニング処理装置。
(3)前記ウエーブガイドは、前記ピンと接触する面がその面の垂線とウエーブガイドの軸とで、40度以下の、望ましくは30度以下の角度γをなして傾斜していることを特徴とする、(1)または(2)に記載のピーニング処理装置。
(4)前記複数のピン同士及びピンとウエーブガイドの接続部は5箇所以下であり、1箇所の接続部における振動方向の傾斜角は、ピン同士の場合、α≦30°であり、ピンとウエーブガイドとの場合、β≦40°、望ましくはβ≦30°であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のピーニング処理装置。
(5)前記ガイドホールは、前記ピンホルダーに設けられた片側通し孔からなることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のピーニング処理装置。
(6)前記ピンホルダーは、ピンを振動可能に保持するガイドホールを有するインサート部材であって、前記複数のピンの直列方向接続部の1箇所または複数箇所が、振動伝播経路の横断面で分割された複数のインサート部材を内蔵していることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のピーニング処理装置。
(7)前記ガイドホールは、振動伝播経路の縦断面で分割された前記ピンホルダーにピンを嵌入する凹部からなるピン溝を設けることにより形成されていることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のピーニング処理装置。
(8)前記ピン群を複数系統有し、同時に複数箇所の処理が可能であることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のピーニング処理装置。
<作用>
(1)の発明によれば、衝撃振動する複数のピンは、端部で互いに点接触により接続されており、かつ、該接続部で互いの振動方向が角度αをなして少しずつ傾斜しているので、傾斜角度の合計が大きくなっても、従来技術のように一回で大きく角度を変化させるより先端部での衝撃振動の減衰率を抑制することができる。
(2)の発明によれば、ウエーブガイドとピンとは、互いに点接触により接続されており、かつ、この接続部でのウエーブガイド面の垂線とピン軸方向とが角度βをなして傾斜しているため、振動方向を容易に傾斜させることができる。
(3)の発明によれば、ピンと接触する面がその面の垂線とウエーブガイドの軸とで、40度以下の、望ましくは30度以下の角度γをなして傾斜しているため、衝撃振動の減衰率を抑制することができる。
(4)の発明によれば、複数のピン同士及びピンとウエーブガイドの接続部は5箇所以下であり、1箇所の接続部における振動方向の傾斜角をピン同士の場合、α≦30°とし、ピンとウエーブガイドとの場合、β≦40°、望ましくはβ≦30°とすることにより、傾斜角度の合計が140度であっても衝撃振動の減衰率を30%以下に抑制することができる。
(5)の発明によれば、ガイドホールは、ピンホルダーに設けられた片側通し孔のみからなるので、ピンホルダーを分割する必要がなく、分割型のような各部の接続構造も要しないため軽量・小型にすることが容易となる。
(6)の発明によれば、ピンホルダーは、ピンを振動可能に保持するガイドホールを有するインサート部材であって、前記複数のピンの直列方向接続部の1箇所または複数箇所が、振動伝播経路の横断面で分割された複数のインサート部材を内蔵する構造を有するので、分割インサート部材毎にガイドホールを高精度で加工することができる等、ピンホルダーの製造が容易である。
(7)の発明によれば、ガイドホールは、振動伝播経路の縦断面で分割された前記ピンホルダーにピンを嵌入する凹部からなるピン溝を設けることにより形成されているので、振動方向の転換回数の多い場合でもガイドホールを一つの分割面から容易に形成することができる。また、ピンホルダーが分割された状態で一度に全てのピンの装着、交換等ができる等、取扱いも容易である。
(8)の発明によれば、ピン群を複数系統有するので、同時に複数箇所処理可能である。
本発明のピーニング処理装置によれば、従来に比べ大きな角度の振動方向変換を容易に実現することにより、狭隘部等の広範囲な部位に使用でき、かつ打撃ピンの傾斜角度を大きくしても処理効率が低下しないピーニング処理装置を提供することができるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
従来のピーニング処理装置の概要を示す模式図である。 本発明のピーニング処理装置の概要を示す模式図である。 本発明のピーニング処理装置の第1の実施形態を例示する図である。 本発明のピーニング処理装置の第2の実施形態を例示する図である。 本発明のピーニング処理装置の第3の実施形態を例示する図である。 本発明のピーニング処理装置の振動減衰率の面での効果に及ぼす、振動方向変換箇所での傾斜角度と方向転換回数の影響示す図である。 本発明のピーニング処理装置の振動減衰率の面での効果に及ぼす、振動方向変換箇所での傾斜角度の組み合わせと方向転換角度の総和の影響を示す図である。
以下、添付の図2〜図5を参照しながら、本発明を詳細に説明する。図2〜図5において、1はピンホルダー、2は打撃ピン、2’は導波ピン、3は溶接金属、4はウエーブガイド、5はピンホルダー基部、6は片側通し孔、7はインサート部材、8はピン溝、α、β、γは傾斜角度を示す。
図2は、本発明のピーニング処理装置の概要を示す模式図である。図2に示すように、本発明のピーニング処理装置は、図示していない機械振動発生装置により発生する機械振動を前方に導くウエーブガイド4と、該機械振動により励起されて衝撃振動する複数のピンが直列に接続され、該衝撃振動を被処理材まで伝達するピン群と、該ピン群をピン軸方向に振動可能に保持するガイドホールを備えたピンホルダー1とを有するピーニング処理装置であって、前記複数のピンは、端部で互いに点接触により接続されており、かつ、該接続部で互いの振動方向が傾斜していることを特徴とする。衝撃振動する複数のピンは、端部で互いに点接触により接続されており、かつ、該接続部で振動方向が少しずつ傾斜しているので、傾斜角度の合計が大きくなっても、従来技術のように一回で大きく角度を変化させるより先端部での衝撃振動の減衰率を抑制することができる。
本発明に用いるピンホルダー1の内部構造を図3〜図5に示す。図示していない機械振動発生装置により発生する、典型例では超音波振動の場合を含む、50Hz以上の機械振動を受け、この機械振動により励起されて衝撃振動する複数のピン(打撃ピン2及び導波ピン2’)がピンホルダー内に直列に接続され、隣接するピンに衝撃振動を伝播させ、先端の打撃ピン2で溶接金属3を打撃する。
ピンホルダー1は、ピンと同等の直径でピンの機械振動を可能としつつピンを保持する機能を有するガイドホールを持ち、隣接するピン同士が常に点接触することにより、傾斜角度が得られる構造とする。また、ウエーブガイド4とピンとは、互いに点接触により接続されており、かつ、振動方向が傾斜しているため、振動方向を容易に傾斜させることができる。これらの傾斜角度を有したピン同士の接続及びピンとウエーブガイドとの接続を組み合わせて、例えば、狭隘部の溶接金属3に施工できるように、ピーニング処理装置の筺体方向から、ピンを複数接続した最先端の打撃ピン2の軸方向まで振動方向を任意の方向へ変化させることができる。なお、ピンホルダー1におけるピンの接続部に窓孔を設けることにより、ピンの接触状態を確認することができる。
また、ピンと接触する面がその面の垂線とウエーブガイド4の軸とで40度以下の角度をなして傾斜しているため、衝撃振動の減衰率を抑制することができる。40度を超えると面の振動方向とピンの振動方向の角度差が大きくなりすぎ、ピンの振動方向以外の分力がピンの振動の際の摩擦力を増大させ円滑な振動を阻害することになる。ピンの振動方向以外の分力の影響を有利に低減させる意味で、30度以下が望ましい。
さらに、ピン群を複数系統設けることにより、同時に複数箇所処理可能である。
ピーニング処理装置は、図示されていない機械振動発生装置、ウエーブガイド4、打撃ピン2、導波ピン2’及びこれを把持するピンホルダー1とから基本的に構成されている。なお、図2において、打撃ピン2側を前方、機械振動発生装置側を後方という。
機械振動発生装置は、例えば、周波数の高い振動の場合、パーメンデュールのような磁歪体とその回りに巻かれたコイルとから構成され、電源からの電気エネルギーにより、軸方向の超音波振動を生起する。また、ピエゾ圧電素子により電気信号を機械振動に変える方法もある。周波数が低い振動の場合には、空気圧や電動で先端工具が軸方向に振動する各種ハンマー機構があり、これを利用することもできる。ウエーブガイドの先端部には本体軸の方向に対して傾斜角度を有する傾斜面が形成されている。
ピンホルダー1には、打撃ピン2および導波ピン2’を支持するガイドホールが設けられている。このガイドホールは、その軸が打撃ピンの軸の方向と同じ方向となるように設けられる。すなわち、このガイドホールの軸は、本体軸の方向に対して傾斜角度を有するように設けられており、これによって打撃ピン2の軸が本体軸に対して傾斜角度を有することになる。なお、ガイドホールの端部にはピンの脱落を防止する弾性材からなるリテーナを設けて、ピンを保持することが好ましい。
ピン(打撃ピン2および導波ピン2’)は、通常、耐磨耗性、硬度、靭性等の特性に優れた材料、例えば超硬合金などで構成される。なお、本発明においては、ピンの形状は問わないが、直棒状が製造し易く好ましい。先端の形状は特に規定しないが、通常は曲率を持った凸状となっている。処理箇所の形状によっては打撃ピンの前方側の打撃処理端は凹状の先端形状としても良い。また、ピンの軸に垂直な断面形状は、円形に限らず用途に合わせ楕円形や平面などでも構わない。さらに、ピン形状が幅を有するプレート状の場合には、ピン同志の接触は線接触とすればよい。
電源からの電気エネルギーにより、機械振動発生装置が発生させた軸方向の機械振動は、増幅され、振動伝播方向の前方にあるウエーブガイド4に伝播し、その前方の傾斜面を機械振動させる。この機械振動は傾斜面と接触するピン群(導波ピン及び打撃ピン)に伝わり、この機械振動に励起されてピン群がランダムに衝撃振動する。これによって、その前方にあるピーニング処理対象物、例えば、金属構造物の溶接部や切欠き部に打撃を与え、圧縮残留応力を付与し,金属の表面組織を改質し、溶接部の残留応力を軽減ないし解放するなどの効果を与えることができる。
以下、図3〜図5の本発明のピーニング処理装置の実施形態について、さらに具体的に説明する。図3は、本発明のピーニング処理装置の第1の実施形態を例示する図である。前記ガイドホールは、前記ピンホルダー1に設けられた片側通し孔6からなるので、ピンホルダー1を分割する必要はなく、分割型のような各部の接続構造も要しないため、ピンホルダー1の径を細くしてコンパクトにすることができる。この場合、片側通し孔6は、図3に示すように、ピンの本数と同じ本数で、互いに傾斜した少なくともガイドホールまでの片側通し孔が製造し易く好ましい。
この片側通し孔6で形成されたガイドホールに打撃ピン2および導波ピン2’を挿入して保持し、ピンの端部を点接触させることにより、矢印で示すウエーブガイド4の振動方向をγ、β、α2、α1と順次傾斜させながら打撃振動を被処理材まで伝達することができる。なお。振動方向の傾斜角度α(α1、α2、・・・)、β、γは、同一平面における傾斜角に限らず、異なる平面における傾斜角とすることにより、傾斜方向の自由度を増やすことができる。
図4は、本発明のピーニング処理装置の第2の実施形態を例示する図である。ピンホルダー1は、ピン群を振動可能に保持するガイドホールを有するインサート部材であって、前記複数のピンの直列方向接続部の1箇所または複数箇所が、振動伝播経路の横断面で分割された複数のインサート部材7を内蔵する構造を有するので、分割インサート部材毎にガイドホールを高精度で加工することができる等、ピンホルダーの製造が容易である。この場合、インサート部材7は、図4に示すように、ピンの本数と同じ本数で、互いに傾斜した貫通孔が設けられている。この貫通孔に打撃ピン2および導波ピン2’を挿入して保持し、ピンの端部を点接触させることにより、矢印で示すウエーブガイド4の振動方向をγ、β、α2、α1と順次傾斜させながら打撃振動を被処理材まで伝達することができる。なお。振動方向の傾斜角度α(α1、α2、・・・)、β、γは、同一平面における傾斜角に限らず、異なる平面における傾斜角とすることにより、傾斜方向の自由度を増やすことができる。
図5は、本発明のピーニング処理装置の第3の実施形態を例示する図である。前記ガイドホールは、振動伝播経路の縦断面で分割された前記ピンホルダーの分割面にピン群を嵌入する凹部からなるピン溝8を設けることにより形成されているので、振動方向の転換回数の多い場合でもガイドホールを一つの分割面から容易に形成することができる。また、ピンホルダーが分割された状態で一度に全てのピンの装着、交換等ができる等、取扱いも容易である。この場合、ピン溝8は、図5に示すように、ピンの本数と同じ本数で、互いに傾斜した凹部により形成されている。このピン溝8に打撃ピン2および導波ピン2’を挿入して保持し、ピンの端部を点接触させることにより、矢印で示すウエーブガイド4の振動方向をγ、β、α2、α1と順次傾斜させながら打撃振動を被処理材まで伝達することができる。
図2および図3に示す実施形態のピーニング処理装置を用いて溶接金属3のピーニング処理を行ったところ、方向転換に伴いピンの振動方向の変位は減衰した。すなわち、1つの接続で角度θだけ回転させると、打撃能力はcosθ倍となりピーニング処理能力は低下し、ピンホルダー内でピンが生じる摩擦力による減衰も考えられるため、傾斜角度や材質、構造の検討が必要となる。傾斜角度と接続回数を想定した減衰曲線を算定し、図6及び7に示す。なお、図6及び7は、傾斜角度θに対して打撃能力がcosθ倍になると仮定して算出した結果であり、摩擦力の影響は無視した。
図6にはピンの傾斜角度ごと(0〜45度)の接続回数と打撃能力の減衰率を示す。傾斜角度の増加とともに減衰率が大きくなり、例えば、傾斜角度の総和を90度とする場合、30度×3回では減衰率が約40%に達するが、10度×9回では減衰率は約10%に抑えられる。このように、傾斜角度が大きいほど接続回数の増加に伴い減衰率は大きくなる。
傾斜角度及び接続回数の増加によって、減衰率が変化することから、変換角度の総和が同じであっても、ピンホルダーの組合せにより減衰率が変化し、最適な角度の組み合わせが存在することが予想される。例として、図7に10、15、20度の傾斜角度のピンホルダーを最大10個まで組合せた場合と20度の傾斜角度のピンホルダーのみを使った場合の計算結果を示す。変換角度の総和が140度以下の場合、10、15、20度の傾斜角度のピンホルダーの組合せによって減衰率を抑制することが可能である。
本発明のピーニング処理装置を用いて打撃を行った結果、複数のピンを接続してピーニング処理できることが確認された。ピンホルダーを試作し、ピンホルダーとピンに生じる摩擦力による減衰を含む実測データの収集、ピンの寸法形状、更に隣接するピンを接着させたまま複数接続かつ自由に方向転換するピンホルダーの内外の構造について検討を行った結果、複数のピン同士及びウエーブガイドの接続部は5箇所以下であり、1箇所の接続部における振動方向の傾斜角をα≦30°、β≦40°(好ましくは30度以下)、γ≦40°(好ましくは30度以下)とすることにより、傾斜角度の合計が140度であっても衝撃振動の減衰率を30%以下に抑制することができることがわかった。なお、ピンホルダー内の1箇所のピン同士の接続部における振動方向の傾斜角αが10度未満の場合、図3に示すような一体物のピンホルダーでは隣り合うガイドホールが重なってしまうために加工が困難となる場合があり、また、図3〜5に示すようなピンホルダーでも所定角度まで傾斜させるために必要な接続回数が増えるため、構造が複雑になりメインテナンス性も悪化することがわかった。
なお、図3に示すような一体物のピンホルダーでは、振動方向の傾斜角が10度未満ではピンホルダー内での方向転換回数がピン穴加工の点から1回までに制限される。
また、一体物のピンホルダーでは振動方向の傾斜角が小さい場合には、片側通し穴同士が一部重なる部分が大きくなるため、ピンが軸方向にぶれずに振動できるよう十分な長さをとることが必要となる。
1 ピンホルダー
2 打撃ピン
2’ 導波ピン
3 溶接金属
4 ウエーブガイド
5 ピンホルダー基部
6 片側通し孔
7 インサート部材
8 ピン溝
α、β、γ 傾斜角度

Claims (8)

  1. 機械振動発生装置により発生する機械振動を前方に導くウエーブガイドと、該機械振動により励起されて衝撃振動する複数のピンが直列に接続され、該衝撃振動を被処理材まで伝達するピン群と、該ピン群をピン軸方向に振動可能に保持するガイドホールを備えたピンホルダーとを有するピーニング処理装置であって、前記複数のピンは、前記ガイドホール内に挿入された状態で、端部で互いに点接触により接続されており、かつ、該接続部で互いの振動方向が角度αをなして傾斜していることを特徴とする、ピーニング処理装置。
  2. 前記ウエーブガイドと前記ピンとは、互いに点接触により接続されており、かつ、該接続部でのウエーブガイド面の垂線とピン軸方向とが角度βをなして傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載のピーニング処理装置。
  3. 前記ウエーブガイドは、前記ピンと接触する面がその面の垂線とウエーブガイドの軸とで40度以下の角度γをなして傾斜していることを特徴とする、請求項1または2に記載のピーニング処理装置。
  4. 前記複数のピン同士及びピンとウエーブガイドの接続部は5箇所以下であり、1箇所の接続部における振動方向の傾斜角は、ピン同士の場合、α≦30°であり、ピンとウエーブガイドとの場合、β≦40°であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のピーニング処理装置。
  5. 前記ガイドホールは、前記ピンホルダーに設けられた片側通し孔からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のピーニング処理装置。
  6. 前記ピンホルダーは、ピンを振動可能に保持するガイドホールを有するインサート部材であって、前記複数のピンの直列方向接続部の1箇所または複数箇所が、振動伝播経路の横断面で分割された複数のインサート部材を内蔵していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のピーニング処理装置。
  7. 前記ガイドホールは、振動伝播経路の縦断面で分割された前記ピンホルダーにピンを嵌入する凹部からなるピン溝を設けることにより形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のピーニング処理装置。
  8. 前記ピン群を複数系統有し、同時に複数箇所の処理が可能であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のピーニング処理装置。
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