JP6231734B2 - 無線タグ用補助部材並びに無線タグ読取り装置及び方法 - Google Patents

無線タグ用補助部材並びに無線タグ読取り装置及び方法

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本開示技術は、シートが重ねられた状態で各シートに取り付けられた無線タグの情報を読取るのに好適な無線タグ用補助部材、並びにそれを利用した無線タグ読取り装置及び方法に関する。
近年、在庫管理、物流管理等を行うために、無線自動識別(以下、RFID(Radio Frequency Identification)という。)技術を利用したシステムが広く用いられている。RFID技術を利用したシステムは、管理対象となる物品等に取り付けられた無線タグとリーダライタとを有し、無線タグとリーダライタとの間で無線通信を行う。そしてリーダライタは、無線タグに記憶された識別情報等を読取ることにより、個々の無線タグを識別する。そのため、かかるシステムは、無線タグが取り付けられた物品を個別に管理することができる。
しかし、郵便物等の物品に無線タグを取り付けて管理する場合、そのような物品が収納容器内に複数収納されることがある。このような場合、複数の無線タグが互いに近接して配置される。そのため、互いにリーダライタとの通信が阻害され、リーダライタと無線タグとの間の通信可能距離が短くなり、無線タグの読取りが困難になるおそれがある。
この問題を解決するために、無線タグを取り付けた物品を複数重ねて収納する収納ケースとリーダアンテナとの間に、導体からなる無給電素子を複数配置して、各無線タグの読取りを可能とした無線タグ読取り装置が知られている。
そのような従来技術に係る無線タグ読取り装置では、リーダアンテナと収納ケースとの間に複数の無給電素子を配置しなければならないため、装置全体のサイズが大きくなってしまうという問題がある。
特開2005−327099号公報
1つの側面では、本開示技術は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置を大型化することなく、無線タグを取り付けられたシート状物品が複数重ねられた状態にあっても、各無線タグを読取ることを可能とする無線タグ用補助部材並びにそれを利用した無線タグ読取り装置及び方法を提供することを目的とする。
1つの態様によれば、少なくとも、第一の無線タグを有する第一のシートと第二の無線タグを有する第二のシートとを挟み込む状態で配置される一対の無線タグ用補助部材が提供される。そして、その補助部材は、導体を有し、その導体が当該第一及び/又は第二の無線タグのアンテナの形成位置に対応して配置されることを特徴とする。
他の態様では、各無線タグは、該アンテナと、集積回路素子と、該集積回路素子と接続されるインダクタと、を有しており、その導体は、該集積回路素子と該インダクタとを避けて配置される。
さらに、他の態様では、上述の無線タグ用補助部材を利用した無線タグ読取り装置及び方法が提供される。
本開示技術による無線タグ読取りシステムの一実施形態を示す概略構成図である。 シート上の無線タグと無線タグ用補助部材上の導体との位置関係を示す図である。 電磁界シミュレーションの対象とされた、シート群及び無線タグ用補助部材を示す図である。 (a)及び(b)は、それぞれ、無線タグ用補助部材を配置しない場合と配置した場合とにおける電磁界シミュレーションの結果を示す特性図である。
以下、添付図面を参照して本開示技術の実施形態について説明する。図1は、本開示技術による無線タグ読取りシステムの一実施形態を示す概略構成図である。図1に示されるように、N枚(好ましくは、10〜20枚)のシート102−1〜102−N(任意のシートを符号102で表す。)が、密着して重ねられた状態に配置されている。それらのシートには、各々に対応して無線タグ104−1〜104−N(任意の無線タグを符号104で表す。)が取り付けられている。シート102は、例えば、契約書、証書等の、幅及び高さに対して厚さが薄いシート状物品であればどのような物品でもよい。
図1に示される無線タグ読取りシステム100は、無線タグ104と通信して、無線タグ104が持つ情報を読取る装置である。無線タグ読取りシステム100は、一対の無線タグ用補助部材110−1及び110−2(任意の一方を符号110で表す。)、物品支持装置120、リーダライタアンテナ130、リーダライタ本体140、並びに管理装置150を備える。
一対の無線タグ用補助部材110−1及び110−2は、N枚のシート102を挟み込む状態で配置される。各無線タグ用補助部材110は、シート102と同様の形状、厚さ、及び材質を有し、更に、二つの導体112−1及び112−2(任意の一方を符号112で表す。)を有する。各導体112は、後述するように、無線タグ104のアンテナの形成位置に対応する部材内位置に配置されている。
物品支持装置120は、N枚のシート102−1〜102−Nと一対の無線タグ用補助部材110−1及び110−2とが、密着して束ねられた状態で、かつ、リーダライタアンテナ130に対して立った状態を維持するように支持する装置である。図1に示される物品支持装置120は、支持台と破線で示される収納ケースとを含む装置であるが、かかる状態を維持することができるものであれば使用可能である。例えば、物品支持装置120は、支持台とブックエンド状の一対の部材とからなる装置でもよい。
リーダライタアンテナ130は、シート102と補助部材110との束の下方に設置される。そしてリーダライタアンテナ130は、リーダライタ本体140で生成された質問信号を無線タグ104に向けて発信し、また無線タグ104から発信される応答信号を受信する。リーダライタアンテナ130は、RFIDシステムにおいて利用される様々なアンテナの何れかとすることができる。例えば、リーダライタアンテナ130は、パッチアンテナとすることができる。
リーダライタ本体140は、マイクロプロセッサとメモリとその周辺回路とを備え、メモリに格納されたプログラムに従ってマイクロプロセッサが動作することでその機能を実現する。リーダライタ本体140は、無線タグ104に向けて発信する質問信号を生成する。質問信号は、例えば、その質問信号を無線タグ104において同期させるためのプリアンブル部と、無線タグ104を制御するためのコマンドデータを含む変調部と、無線タグ104が識別情報等を用いて変調するための無変調部とを有する。リーダライタ本体140は、その質問信号を、リーダライタアンテナ130を介し無線タグ104に向けて発信する。
リーダライタ本体140は、リーダライタアンテナ130を介して無線タグ104から応答信号を受信すると、その応答信号を解析して、応答信号に含まれる無線タグ104の識別情報を抽出する。そして、リーダライタ本体140は、抽出した無線タグ104の識別情報を、通信回線を通じて接続される管理装置150へ送信する。
管理装置150は、いわゆるコンピュータであり、リーダライタ本体140から受信した無線タグ104の識別情報を記憶することにより、シート102を管理する。なお、リーダライタ本体140と管理装置150とは、一体となっていてもよい。
図2は、シート102上の無線タグ104と無線タグ用補助部材110上の導体112との位置関係を示す図である。シート102と無線タグ用補助部材110とは、前述のように、略同様の形状、厚さ、及び材質を有している。図2に示されるように、無線タグ104は、シート102に取り付けられている。
無線タグ104は、無線タグとしての機能を提供するために、アンテナ200と集積回路素子210とインダクタ220とを備える。アンテナ200は、第一と第二のアンテナ部分200−1と200−2とを含む。集積回路素子210つまりIC(Integrated Circuit)チップは、整流回路、メモリ、マイクロプロセッサ等の回路を組み込んだ素子である。インダクタ220は、ループ状に形成され、集積回路素子210と接続され、整合(マッチング)回路として機能する。
本実施形態における無線タグ104は、いわゆるパッシブ方式を採用している。さらに無線タグ104は、リーダライタとの通信に、UHF帯の周波数(例えば、953MHz)を持つ電波を使用する。そのため、無線タグ104は、アンテナを介して受信した質問信号から整流回路により直流電力を生成して、その直流電力をマイクロプロセッサ等へ駆動電力として供給する。そしてマイクロプロセッサは、リーダライタから質問信号を受信すると、無線タグ104を他の無線タグと識別するための識別コードをメモリから読み取って、その識別コードで質問信号を変調して応答信号を生成する。
なお、無線タグ104は、内蔵バッテリからの給電を利用して応答信号を生成するアクティブ方式又はセミアクティブ方式を採用するものであってもよい。また、無線タグとリーダライタとの間の通信に使用される通信電波の周波数(以下、通信周波数という。)は、RFIDシステムにおいて利用される周波数のうち、電波の送受信にアンテナが使用されるもの、例えばマイクロ波帯の2.45GHzとしてもよい。
図2において破線で示されるように、無線タグ用補助部材110上の二つの導体112−1及び112−2は、無線タグ用補助部材110上において、無線タグ104の第一と第二のアンテナ部分200−1及び200−2の形成位置に対応して、アンテナ両端と重なるように配置されている。また、それらの導体112は、集積回路素子210とインダクタ220とを避けて配置されることが好ましい。
導体112は、導電性を有する材料、例えば、アルミニウム、銅、鉄などの金属で形成される。そして、導体112は、様々な方法で無線タグ用補助部材110上に形成されてよく、例えば、接着剤または両面テープを用いて貼り付けられる。
図2に示されるような構成により、アンテナ200と導体112とが容量結合(電磁結合)し、等価的にアンテナ面積が増え、利得が増大し、読取り性能が向上する。そのため、無線タグ用補助部材110が存在しない場合に積層状態に起因して読取ることができなかった無線タグについても、読取ることが可能となる。すなわち、重ねて読取ることができる枚数が大幅に増大する。
次に、上述の効果を示すシミュレーションの結果について説明する。図3は、電磁界シミュレーションの対象とされた、シート群及び無線タグ用補助部材を示す図である。このシミュレーションでは、5枚のシート102−1〜102−5を一対の無線タグ用補助部材110−1及び110−2で挟み込んだ束に対し、有限要素法を用いた電磁界シミュレーションが実施された。
シート102及び無線タグ用補助部材110の各々は、幅10cm、高さ8cm、厚さ0.1mmを有する。無線タグ用補助部材110の下方両端には、シート102の無線タグのアンテナ形成位置に対応する導体112−1及び112−2として、それぞれ、幅2cm、高さ2cmの二枚の銅箔が貼付されている。リーダライタアンテナ130の表面から無線タグ104の下端までの距離は、10cmである。
図4(a)は、図3の状態において一対の無線タグ用補助部材110−1及び110−2を仮に配置しないとした場合における電磁界シミュレーションの結果を示す特性図であり、図4(b)は、図3の状態どおりに一対の無線タグ用補助部材110−1及び110−2を配置した場合における電磁界シミュレーションの結果を示す特性図である。これらの特性図において、横軸は通信周波数を示し、縦軸は無線タグの集積回路素子の両端に発生する電圧を示す。
また、これらの特性図において、3本の曲線402、404、及び406は、それぞれ、シート102−1、102−2、及び102−3に係る特性を示している。なお、シート102−4に係る特性はシート102−2に係る特性404と一致し、シート102−5に係る特性はシート102−1に係る特性402と一致するため、それらのシートに係る特性は省略されている。
図4(a)及び(b)に示されるように、無線タグ用補助部材110を使用する場合にも使用しない場合にも、重ねた束の端にあるシートの方が、中央にあるシートよりも、発生電圧が低下する。
そして、図4(a)及び(b)に示されるように、UHF帯の周波数(例えば、953MHz)を通信周波数として使用する場合、束のどの位置にあるシートにおいても、無線タグ用補助部材110を使用するときには使用しないときに比較して、約3倍の発生電圧を得ることができる。
かくして、無線タグ用補助部材を使用しない場合には、せいぜい数枚程度の重ね読みしかできなかったシート群について、無線タグ用補助部材を使用する場合には、20枚程度の重ね読みが可能となる。
従来、磁界結合方式(13.56MHz)の無線タグが市販されている。しかし、この無線タグの場合、重ね読みには有効である一方、単体での読取り距離は小さいという問題を有する。また、電波方式(UHF帯)の無線タグでは、衣類用に50mm×30mm程度の大きさで重ね読み可能な無線タグが実用化されているが、書類に貼付するには幅が広いという問題を有する。開示の無線タグ用補助部材を使用することにより、これらの問題が克服される。
開示の無線タグ用補助部材並びに無線タグ読取り装置及び方法によれば、装置を大型化することなく、無線タグを取り付けられたシート状物品が複数重ねられた状態で各無線タグを読取ることが可能となる。
100 無線タグ読取りシステム
102 シート
104 無線タグ
110 無線タグ用補助部材
112 導体
120 物品支持装置
130 リーダライタアンテナ
140 リーダライタ本体
150 管理装置
200 アンテナ
210 集積回路素子
220 インダクタ

Claims (3)

  1. 集積回路素子に対してループ状に接続されたインダクタと、前記集積回路及び前記インダクタの両側にそれぞれ配された第1のアンテナと第2のアンテナと、を備える無線タグを有し、紙のように幅及び高さに対して厚さが薄いシートを、N枚(Nは自然数)束ねた状態で両側から挟み込む、一対の無線タグ用補助部材であって、
    前記シートと同様の形状、厚さ及び材質を有し、
    前記無線タグに配された前記第1と第2のアンテナの形成位置に対応して、前記第1と第2のアンテナの両端に重なるように配置されると共に、前記集積回路及び前記インダクタを避けて配置された独立した2つの導体を備えることを特徴とする無線タグ用補助部材。
  2. 集積回路素子に対してループ状に接続されたインダクタと、前記集積回路及び前記インダクタの両側にそれぞれ配された第1のアンテナと第2のアンテナと、を備える無線タグを有し、紙のように幅及び高さに対して厚さが薄いシートを、N枚(Nは自然数)束ねた状態で、前記無線タグの情報を読み取る無線タグ読取り装置であって、
    前記シートと同様の形状、厚さ及び材質を有し、前記N枚のシートを両側から挟み込むことが可能である一対の無線タグ用補助部材と、
    前記N枚のシートの無線タグに対して質問信号を送信し、かつ、前記N枚のシートの無線タグから応答信号を受信するリーダライタアンテナと、
    前記N枚のシートの無線タグから前記リーダライタアンテナを介して受信される応答信号により、前記N枚のシートの無線タグの情報を取得するリーダライタ本体とを具備し、前記無線タグ用補助部材の各個が、
    前記無線タグに配された前記第1と第2のアンテナの形成位置に対応して、前記第1と第2のアンテナの両端に重なるように配置されると共に、前記集積回路及び前記インダクタを避けて配置された独立した2つの導体を備えることを特徴とする無線タグ読取り装置。
  3. 集積回路素子に対してループ状に接続されたインダクタと、前記集積回路及び前記インダクタの両側にそれぞれ配された第1のアンテナと第2のアンテナと、を備える無線タグを有し、紙のように幅及び高さに対して厚さが薄いシートを、N枚(Nは自然数)束ねた状態で、前記無線タグの情報を読み取る無線タグ読取り方法であって、
    前記シートと同様の形状、厚さ及び材質を有し、前記無線タグに配された前記第1と第2のアンテナの形成位置に対応して、前記第1と第2のアンテナの両端に重なるように配置されると共に、前記集積回路及び前記インダクタを避けて配置された独立した2つの導体を備え、前記N枚のシートを両側から挟み込むことが可能である一対の無線タグ用補助部材を配置し
    リーダライタアンテナが、前記N枚のシートの無線タグに対して質問信号を送信し、かつ、前記N枚のシートの無線タグから応答信号を受信し、
    リーダライタ本体が、前記N枚のシートの無線タグから前記リーダライタアンテナを介して受信される応答信号により、前記N枚のシートの無線タグの情報を取得する、
    無線タグ読取り方法。
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