図1から図18に示したように、本発明の実施の形態は、タービンエンジン構成部品を鋳造するときに使用するための、1つまたは複数の高精細度領域を備える鋳造中子システムに関する。発明の態様をタービン翼用の鋳造中子に関連して説明するが、詳細な説明は例示としてのみ意図されているものである。実際には、本発明の態様は、あらゆる中空の鋳造タービンエンジン構成部品、特に複雑な内部特徴を備える構成部品に関連して使用することができる。発明の実施の形態は図1から図8に示されているが、本発明は、例示された構造または用途に限定されない。
図1を参照すると、本発明の態様による鋳造中子10が示されている。鋳造中子10は、第1の領域11および第2の領域13を有することができる。1つの実施の形態では、中子10は、タービンブレードまたはベーンの鋳造に関連して使用することができる。このような場合、第2の領域13は、中子10の翼後縁部分16を形成することができ、第1の領域11は、中子10の翼本体部分18を形成することができる。
第1の領域11は、例えば、凹所、キャビティ、開口、突出部、通路、溝、スロットおよび/またはくぼみを含む、1つまたは複数の特徴を有することができる。これらの特徴は、通常精細度のものであってよい。すなわち、これらの特徴は、例えば射出成形(低圧または高圧)またはトランスファ成形を含む従来の鋳造技術によって製造することができる。第1の領域11は、形成される最終部品に応じて、必要に応じてサイズ決めおよび成形することができる。
第2の領域13は、最終的に形成される部品における所望の内部特徴に応じて、例えば凹所、キャビティ、開口、突出部、通路、溝、スロットおよび/またはくぼみであってよい1つまたは複数の高精細度の特徴または細部を有する高精細度領域であってもよい。中子の高精細度領域は、形成される最終部品において内部特徴または細部を形成するために使用することができる。このような特徴または細部は、鋳造される最終部品における冷却を最適化するために有効となりうる。
高精細度領域は、従来の中子形成法の自然の能力または範囲を超えている。例えば、高精細度領域は、従来の中子形成技術を用いると、4つ以上のダイ分離平面を必要とするものである。したがって、本発明の態様によれば、第2の領域13は、従来の中子形成技術を用いて以前は達成不能であった1つまたは複数の高精細度特徴を有することができる。以下の説明は1つの高精細度領域13を備える鋳造中子10に関するものであるが、本発明の態様による鋳造中子は複数の高精細度領域を有することができると理解されることに注意すべきである。さらに、高精細度領域は鋳造中子10の後縁部分16に関連するものとして示されているが、本発明の実施の形態はこのような位置に限定されないことが理解される。実際には、幾つかの例では、後縁部分16は高精細度領域を有さなくてもよい。高精細度領域は、翼本体部分18を含むあらゆる適切な位置において適用することができる。
鋳造中子10は、あらゆる適切な材料から形成することができる。1つの実施の形態では、鋳造中子10は、例えば、シリカベースのセラミック配合物を含むセラミックから形成することができる。鋳造中子10の第1および第2の領域11,13は、同じ材料から形成することができる。代替的に、鋳造中子10の第1および第2の領域11,13は、異なる材料から形成することができる。
第1の領域11および第2の領域13は、形成される最終部品、および最終部品における所望の内部特徴に応じて、必要に応じてサイズ決めおよび/または成形することができる。本発明の態様によれば、第2の領域13は概して、第1の領域11よりも、より複雑な、より高精細度の、臨界的なおよび/または入り組んだ特徴を有することができる。図6は、第1および第2の領域11,13の相対的な複雑さの一例を示している。図示したように、第1の領域11は、第1の領域11において所定の深さで延びる複数の延在した通路21および/または第1の領域11において中子を貫通して延びる延在した通路23を有することができる。対照的に、第2の領域13は、1つまたは複数の高精細度特徴を有することができる。このような高精細度特徴は、極めて入り組んだ配列における短い、薄い壁部の部材またはクロスオーバ34を有することができる。クロスオーバ34は、第2の領域13において中子10の厚さを貫通して延びる通路35によって形成することができる。その結果、クロスオーバ34は、その長さに沿って他の材料によって包囲されていない。幾つかの例では、通常精細度領域よりも高精細度領域においてより多数の特徴を設けることができる。
本発明の態様による鋳造中子10は、あらゆる適切な形式で形成することができる。1つの実施の形態では、第1および第2の領域11,13を1つのモノリシックの中子として形成することができる。代替的に、図2から図5に示したように、第1および第2の領域11,13を、中子アセンブリを形成するために互いに接合される別個のピースとして形成することができる。このような場合、第1の領域11を第1の中子ピース12によって形成することができ、第2の領域13を第2の中子ピースと14によって形成することができる。第2の中子ピース14は、第1の中子ピース12とは別個に形成することができる。
第1の領域11および/または第1の中子ピース12などの通常精細度領域は、例えば射出成形(低圧または高圧)またはトランスファ成形などの従来の技術を含むあらゆる適切な中子形成技術を用いて形成することができる。第2の領域13および/または第2の中子ピース14などの高精細度領域は、高精細度特徴および/または細部を製造するために有効な方法によって形成することができる。すなわち、高精細度領域は、従来の中子形成プロセスを用いて達成することができない高精細度特徴または細部を生ぜしめることができるプロセスによって形成することができる。
高精細度特徴または細部を生ぜしめることができるプロセスの一例は、バージニア州シャーロッツビル所在のMikro Systems Inc.から提供されているプロセスであるトモ・リソグラフィ成形(Tomo Lithographic Molding)である。トモ・リソグラフィ成形は、米国特許第7411204号、第7410606号、第7141812号、米国特許出願公開第2004/0156478号、第2008/0053638号および第2009/0084933号に記載されており、これらの出願は、引用により本明細書に組み込まれる。トモ・リソグラフィ成形は、従来の中子形成プロセスと比較して、高精細度特徴に関してより高い幾何学的および寸法的制御を提供することができる。トモ・リソグラフィ成形は、50ミクロンまでの特徴を生ぜしめることができる。
概して、トモ・リソグラフィ成形は、リソグラフィ微細加工、精密積層技術、成形および鋳造プロセスなどの複数の構成プロセスを含むことができる。まず、三次元デジタルモデルを一連のリソグラフィマスクに変換することができる。各マスクは、所望の三次元固体(この場合は第2の中子ピース14)の横断面スライスを表すことができる。次いで、金属箔またはポリマフィルムから正確な複製をリソグラフィにより機械加工するために、各マスクを使用することができる。耐久性のある、超高精度種型を形成するために、箔および/またはフィルム(“toma”)を積層することができる。最後に、高中実度モノリシック部品を鋳造するために、材料を型に注入することができる。
高精細度特徴または細部を生じることができるプロセスは、高品質の鋳造中子を製造するときに有効であるが、このようなプロセスを用いて中子全体を形成する必要はない。従来の鋳造技術を用いるのではなく、中子10の1つまたは複数の領域を形成するために高精細度特徴および/または細部を製造するために有効なプロセスを使用するかどうかを決定するためには、1つまたは複数の判断基準を用いることができる。例えば、1つの判断基準は、その領域の複雑さであってもよい。高精細度特徴および/または細部を製造するために有効な方法は、特に中子の他の部分と比較して、複雑な、臨界的なおよび/または入り組んだ特徴を有する中子のこれらの領域に関連して使用することができる。例えば、タービンブレード用の鋳造中子において、多数の冷却通路および/または複雑な後縁領域は、不可能ではないにしても、従来の成形型を過剰に複雑にする可能性があり、その結果、トモ・リソグラフィ成形などの、高精細度特徴および/または細部を製造するために有効な方法を使用するほうが重視される。
代替的にまたは付加的に、別の判断基準は、従来の中子形成技術を使用するときに必要とされるであろう中子射出ダイの複雑さであってもよい。従来の中子形成法において、ダイを引き離すことができる平面の最大の数は3である。中子の設計が、ダイを引き離すために4つ以上の平面を必要とするならば、技術の欠如または物理的干渉により、不可能ではないにしても、従来の技術の下ではコストが極めて高くなる場合がある。したがって、中子の少なくとも一部を製造するために、トモ・リソグラフィ成形などの、高精細度特徴および/または細部を製造するために有効な代替的な方法を使用することは、より費用対効果が高いものであり得る。
上記判断基準のうちの1つまたは複数に加えてまたはそれらに代えて、付加的な判断基準は時間および/またはコストであってもよい。幾つかの例では、従来技術を用いて鋳造中子の少なくとも一部を形成することに伴う時間および/または関連するコストは、本明細書に記載されたような、高精細度特徴および/または細部を製造するために有効な方法によって鋳造中子の少なくとも一部を形成することに関連する時間および/またはコストを超える可能性がある。このような場合、高精細度特徴および/または細部を製造するために有効な方法によって中子の少なくとも一部を形成することがより望ましい場合がある。
上述のように第1および第2の領域11,13が別個の中子ピース12,14によって形成されている場合、中子アセンブリを形成するために、中子ピース12,14をあらゆる適切な方式で接合することができる。中子ピース12,14を接合する1つの方式が本明細書に記載されているが、本発明の態様は、いかなる特定の接合方式にも限定されない。一例として、第1および/または第2の中子ピース12,14は、このような接合を容易にするための1つまたは複数の特徴を有することができる。例えば、第1および第2の中子ピース12,14は、複数のインターロック特徴部によって接合することができる。例えば、中子ピース12,14のうちの一方が少なくとも1つの突出部を有することができ、中子ピース12,14のうちの他方が少なくとも1つの凹所を有することができる。各突出部および各凹所の少なくとも一部は、互いに実質的にインターロック係合するように適応させることができる。例えば、突出部および凹所は、幾つかの可能性を挙げるとすれば、雄型および雌型の鳩尾状部分、ほぼ球状の突出部および凹所、またはほぼT字形の突出部および凹所として構成することができる。適切なインターロック係合の付加的な例が、本明細書および米国特許出願公開第2009/0084933号に記載されており、この米国出願公開は引用により本明細書に組み込まれる。各突出部を凹所のそれぞれ1つに収容することができる。
1つの実施の形態では、図2に示したように、第1の中子ピース12は、スロットの形式などの複数の雌型鳩尾状部分20を有することができ、第2の中子ピース14は、複数の雄型鳩尾状部分22を有することができる。図面および以下の説明はこの配列に関するものであるが、代替的にまたは付加的に、第1の中子ピース12は、複数の雄型鳩尾状部分(図示せず)を有することができ、第2の中子ピース14は、複数の雌型鳩尾状部分(図示せず)を有することができる。さらに、上述のように、本発明の態様に従って中子ピースを接合することができる複数のその他の方式が存在する。
特に第2の中子ピース14がセラミックから形成されている場合、雄型鳩尾状部分22は、通常、従来の中子形成技術を用いて形成するのは困難であることが認められるであろう。しかしながら、第2の中子ピース14が、トモ・リソグラフィ成形などの、高精細度特徴を製造するために有効なプロセスを用いることによって形成されるので、雄型鳩尾状部分22を、高い信頼度および雄型鳩尾状部分22の特徴部に対する制御で、第2の中子ピース14に設けることができる。
あらゆる数の雄型鳩尾状部分22および雌型鳩尾状部分20が存在することができる。1つの実施の形態では、4つの雄型鳩尾状部分22と、4つの雌型鳩尾状部分20とが存在することができる。雄型鳩尾状部分22は、全て実質的に同じサイズおよび形状であってもよいし、または雄型鳩尾状部分22のうちの少なくとも1つが異なるサイズおよび/または形状であってもよい。当然、雌型鳩尾状部分20は、雄型鳩尾状部分22を収容するようにサイズ決めおよび成形されている。
雄型鳩尾状部分22は、第1の側面36および第2の側面38を有することができる(図2および図4)。第1の側面36および第2の側面38は、ほぼ平坦であってよい。第1の側面36および第2の側面38は、互いに対して実質的に平行であってよい。雄型鳩尾状部分22は、例えば第1の厚さ面40、第2の厚さ面42および第3の厚さ面44を含む、1つまたは複数の厚さ面を有することもできる。各雄型鳩尾状部分22は、関連する軸線46を有することができる。
厚さ面40,42および/または44(図2および図4)などの、雄型鳩尾状部分22の面のうちの1つまたは複数は、1つまたは複数の“突出するアンダカット”を有することができ、この用語は、米国特許第7411204号、第7410606号、第7141812号、米国特許出願公開第2004/0156478号および第2008/0053638号に記載されており、これらの各米国出願は引用により全体が本明細書に組み込まれる。突出するアンダカットは、トモ・リソグラフィ成形プロセスにおいて使用される多層型における鋳造の結果的な特徴でありうる。突出するアンダカット50を有する雄型鳩尾状部分22の一例が、図4に示されている。突出するアンダカット50は、例えば上端面52および/または係合面24を含む、第2の中子ピース14の他の面に設けることもできる。突出するアンダカット50は、以下でより詳細に説明するような多くの利点を提供することができる。第2の中子ピース14は、多層型における鋳造によって形成されるが、それ自体はモノリシック構造であることに注意すべきである。
雄型鳩尾状部分22は、第2の中子ピース14の係合面24から突出することができる。雄型鳩尾状部分22と、突出するアンダカット50とを除き、係合面24はそれ以外ではほぼ平坦であってよい。第2の中子ピース14が後縁中子16である場合、係合面24は、ほぼ半径方向Rに延在することができる。半径方向とは、このような翼がタービンエンジンにおける作動位置に取り付けられたときに、タービン軸線に対してほぼ半径方向であることを意味することを意図したものである。
雄型鳩尾状部分22の向きは、あらゆる適切な形式で定めることができる。1つの実施の形態では、鳩尾状部分の向きは、図2に概略的に示したように、第1の中子ピース12および/または第2の中子ピース14を互いに横方向に組み合わせることによって第1および第2の中子ピース12,14を組み合わせることができるように定めることができる。
X−Y−Z軸を含むデカルト座標系を第2の中子ピース14に適用することができる(図2および図4、5)。第2の中子ピース14の係合面24は、実質的にY−Z軸によって規定された平面にあってよい。半径方向Rは、Y軸に対して実質的に平行な方向に延びることができる。雄型鳩尾状部分22は、ほぼX軸に沿って係合面24から突出することができる。第1の側面36および第2の側面38は、実質的にX−Y軸によって規定することができる平面にあってよい。このような場合、図4に示したように、雄型鳩尾状部分22の軸線46は、実質的にX軸の方向に延びることができる。
トモ・リソグラフィ成形の使用により、高度の寸法制御および信頼性を得られることに注目すべきである。したがって、雄型鳩尾状部分22は、各鳩尾状部分軸線46が係合面24に対してまたは実質的にX−Z軸によって規定された平面に対してあらゆる適切な角度で延びるように設けることができる。図4に示したように、鳩尾状部分軸線46は、係合面24に対してまたは実質的にY−Z軸によって規定された平面に対して約90°であってよい。しかしながら、雄型鳩尾状部分22の向きは、鳩尾状部分軸線46が係合面24に対してまたは実質的にX−Z軸によって規定された平面に対して90°未満であるように定めることができる。
さらに、図5を参照すると、厚さ面40,42,44のうちの1つまたは複数は、係合面24に対してまたは実質的にY−Z軸によって規定された平面に対してほとんどあらゆる角度で延びることができる。例えば、第2の厚さ面42は、係合面24に対してまたは実質的にY−Z軸によって規定された平面に対して所定の角度αで延びることができる。1つの実施の形態では、第2の厚さ面42を、係合面24に対してまたは実質的にY−Z軸によって規定された平面に対して約28°の角度にすることができる。
複数の雄型鳩尾状部分22の場合、各鳩尾状部分22の第2の厚さ面42は全て、係合面24に対してまたは実質的にY−Z軸によって規定された平面に対して同じ角度αであってもよいし、または、鳩尾状部分22のうちの少なくとも1つは、係合面24に対してまたは実質的にY−Z軸によって規定された平面に対して異なる角度で延びる第2の厚さ面42を有してもよい。
雄型鳩尾状部分22を、係合面24において半径方向RまたはY軸の方向に実質的に整列させることができる。しかしながら、1つの実施の形態では、鳩尾状部分22のうちの少なくとも1つを、Z方向などに他の雄型鳩尾状部分22からずらすことができる(図示せず)。
第1の中子ピース12は、係合面26を有することができる。係合面26は実質的に平坦であることができ、各雌型鳩尾状部分20用の開口28を有することができる。係合面24,26を、実質的に嵌め合い係合のために構成することができる。係合面24,26は、第1および第2の中子ピース12,14の間に境界面27を規定することができる。境界面27を、あらゆる適切な位置に配置することができる。1つの実施の形態では、境界面27を、鋳造中子10における通常精細度の領域に配置することができる。
鳩尾状部分(雄型鳩尾状部分22および雌型鳩尾状部分20の双方をいう)を、あらゆる適切な形式で離間させることができる。例えば、荷重を部材全体に等しく分布させるために、鳩尾状部分を等しく離間させることができる。しかしながら、鳩尾状部分は等しく離間させられていなくてもよい。必要なところに支持を提供し、あらゆる入り組んだ細部との干渉を回避するために、鳩尾状部分を必要に応じて離間させることができる。トモ・リソグラフィ成形などの、高精細度特徴および/または細部を製造するために有効な方法を使用して高度の正確性でもって第2の構成部品14に雄型鳩尾状部分22を配置することができると認められるであろう。雄型鳩尾状部分22に強度を提供し、雄型鳩尾状部分22の間の薄い壁部のゆがみを防止するために、雄型鳩尾状部分を、第2の中子部分14におけるクロスオーバ34(図3)と実質的に直接に整列するように配置することができる。クロスオーバ34は、構造的強度を提供することができ、鋳造される最終部品に冷却通路を形成することができる。
第1の中子部材12および第2の中子部材14を、各雄型鳩尾状部分22がそれぞれ雌型鳩尾状部分20に収容されるように組み合わせることができる。XおよびY方向などの少なくとも2つの次元における移動をほぼ制限するために、雄型鳩尾状部分22は、雌型鳩尾状部分20にインターロック係合することができる。
しかしながら、第2の中子ピース14が、トモ・リソグラフィ成形または高精細度特徴および/または細部を製造するために有効なその他のプロセスを用いて形成される場合、雌型鳩尾状部分20との付加的な係合を提供するように第2の中子ピース14を構成できることに注意すべきである。例えば、突出するアンダカット50は、雌型鳩尾状部分20との付加的な係合を提供することができる。代替的にまたは付加的に、係合面24または実質的にY−Z軸によって規定された平面に対して角度をなす第2の厚さ面42を備える雄型鳩尾状部分22は、第3の係合方向成分(例えば、少なくとも部分的にZ方向を含む)を提供することができる。
したがって、本発明の態様によるシステムは、雄型および雌型鳩尾状部分20,22の間において三次元インターロック係合を提供することができる。したがって、トモ・リソグラフィ成形プロセスは、第1および第2の中子ピース12,14の係合性および整合性を高めることができると認められるであろう。組み立てられたとき、第1の中子ピース12の係合面26は、第2の中子ピース14の係合面24に当接することができる。
第1および第2の中子ピース12,14の接合を、型の外側で行うことができる。すなわち、第1および第2の中子ピース12,14を、個々のダイまたは型において別個に形成することができる。次いで、第1および第2の中子ピース12,14を互いに組み合わせ、それらの個々のダイ/型またはあらゆるその他のダイ/型から接合することができる。接合プロセスは型またはダイに制限されないので、第1および第2の中子ピース12,14および中子アセンブリ10全体を製造するときのより大きな自由度を実現することができると認められるであろう。ダイ/型の外側における第1および第2の中子ピース12,14の取扱いを、第1および第2の中子ピース12,14を形成するときのバインダシステムの使用によって容易にすることができる。このようなバインダシステムの詳細を後で説明する。
雄型鳩尾状部分22が雌型鳩尾状部分20に収容されるとき、図3に示したように雄型鳩尾状部分22と雌型鳩尾状部分20との間に僅かな間隙30が存在してもよい。間隙30は、雄型鳩尾状部分22と雌型鳩尾状部分20との間の境界面の少なくとも一部にわたって延びていることができる。1つの実施の形態では、間隙30は、雄型鳩尾状部分22と雌型鳩尾状部分20との間の境界面の全体にわたって延びていることができる。間隙30は、約0.005インチであってよい。間隙30に接着材料を充填することができる。
第1および第2の中子ピース12,14がセラミック材料から形成されている場合、接着材料は、焼成可能なセラミック材料32であってもよい。材料32は、スラリの形式であってもよい。このセラミック材料32は、第1および/または第2の中子ピース12,14の材料と同じまたは実質的に類似であってもよい。セラミック材料32は、その特性が、第1および第2の中子ピース12,14の材料の特性と同じであるかまたはさもなければ十分に適合するように選択することができ、この結果、接合された中子ピース12,14がその後に焼成させられたときに、中子アセンブリ10の材料特性は、全体を通して実質的に一定のままである。1つの実施の形態では、セラミック材料32は、第2の中子ピース14の材料と実質的に同じであってもよい。次いで、接合された第1および第2の中子ピース12,14を、中子アセンブリ10を形成するためにキルンまたは炉において一緒に焼成することができる。
雄型鳩尾状部分22の1つまたは複数の面(厚さ面40,42,44など)が1つまたは複数の突出するアンダカット50を有するならば、セラミック材料32は、付着するための付加的な表面積を有し、これにより、境界面の一体性および/または強度を潜在的に増大させることが認められるであろう。このような付加的な表面積は、より良好な成形体状態での結合およびより良好な高温焼結につながることができる。さらに、第2の中子ピース14を形成するためのトモ・リソグラフィ成形の使用により、第1および第2の中子ピースが一緒に焼成されるときに生じ得る中子ねじれまたは中子シフトによる歪みを最小限に減じるために、雄型鳩尾状部分22を選択的にサイズ決め、成形および向き決めすることができる。
第1および第2の中子ピース12,14の係合面24,26の間の境界面27を付加的な方法で強化することができる。例えば、境界面27を横切って、中子ピース12,14のそれぞれへ強化部材が延びていることができる。強化部材は、あらゆる適切な構造であってよい。1つの実施の形態では、強化部材は箔60であってもよい。箔60は、極めて薄い、しばしば柔軟なシートであってもよい。箔60は、1つの箔、または、正確に整合させられかつ/または積層されたモノリシックな中実の物体となるように結合された複数の箔、から成ることができる。個々の箔60を、化学的切削加工またはエッチングなどのあらゆる適切な形式で形成することができる。箔60を、例えばモリブデンなどのあらゆる適切な金属、またはあらゆる適切な合金から形成することができる。箔60は、中子ピース12,14を接合する際に所望の強度および/または機能性を提供するように形成することができる。箔60は、境界面27において所望の特性を提供するためにあらゆる適切なサイズ、形状および/または特徴を有することができる。1つの実施の形態では、箔60は、第2の中子ピース14の係合面24全体を横切ってほぼZ方向に延びていることができる(図2)。
箔60をあらゆる適切な形式で中子10に設けることができる。1つの実施の形態では、図3に示したように、箔60の一部を第2の中子ピース14に埋め込むことができる。そのために、箔60を、トモ・リソグラフィ型/ダイであってもよい中子型/ダイに挿入することができる。セラミックスラリを、型/ダイ内および箔60の一部の周囲に注入することができる。スラリをその後、第2の中子ピース14を形成するように硬化させることができる。その結果、箔60の一部60aを第2の中子ピース14に埋め込むことができ、箔60の一部60bは、係合面24などの第2の中子ピース14の外側から突出することができる。箔60の突出部分60bを、第1の中子ピース12における凹所62に収容することができる。凹所62を、あらゆる適切な形式で第1の中子ピース12に形成することができる。例えば、鋳造プロセスの間またはその後の機械加工作業の間に凹所62を形成することができる。1つの実施の形態において、凹所62は、横方向に箔60を収容するために、その端部のうちの一方において開放していることができる。
2つの中子ピース(第1および第2の中子ピース12,14など)は、本明細書において説明されているように組み合わされ、箔60は、2つの中子ピースの間(係合面24,26の間など)に規定された境界面27を横切って延びることができる。箔60の突出部分60bは、第1および第2の中子ピース12,14をそれらの組立ての間に正確に整列させることを助けることができる。第1および第2の中子ピース12,14が接合されるとき、箔60は、中子ピース12,14のそれぞれの中へ延びることができる。その結果、2つの中子ピース12,14の間の接合を補強することができ、これは、鋳造中子10の質を高めることができる。箔60は、必要であれば、後に中子10から化学的に溶出またはその他の形式で除去することができる。
第1および第2の中子ピース12,14をそれらの処理における異なる段階において組み合わせることができる。例えば、第1の中子ピース12および第2の中子ピース14が完全に焼成または焼結されたときに、第1の中子ピース12および第2の中子ピース14を組み合わせることができる。代替的に、第1および第2の中子ピース12,14を、双方が成形体状態のとき、すなわち予備焼成または予備焼結された状態にあるときに組み合わせることができる。成形体状態では、第1および第2の中子ピースの双方は、鋳造されており、各中子ピース12,14をそれぞれの型から取り出すことができるように十分に硬化しているが、完全には焼成または焼結されていない。したがって、本発明の態様によるシステムおよび方法は、型設計の自由度を高めることができると認められるであろう。
通常、成形体状態における従来のとおりに形成された鋳造中子の強度は弱い。その結果、このような中子本体を型から搬出することは困難である。本明細書で説明されているように、このような中子本体が1つまたは複数の高精細度特徴または領域を有する場合にはこのような搬出は特に困難となり得る。中子の歩留りは低い。なぜならば、中子の脆い成形体強度のためにおよび/または中子の特徴部が極めて小さくかつ複雑であるため、型/ダイから取り出されるときに中子が破損する可能性があるからである。バインダの付加は、取扱いおよび/またはその他の有益な特性を得るために、成形体の強度を高めることができる。
バインダシステムおよび成形材料の付加的な詳細をここで示す。少なくとも部分的に型を充填するための成形材料を準備および/または提供するために、粉末材料をバインダシステムと組み合わせることができ、これにより、スラリなどの成形材料を形成する。粉末は、セラミック、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ホウ素および/またはイットリアなどのいずれかを含むことができる。粉末、成形材料および/または鋳造方法は、それぞれが引用によりその全体が本明細書に組み込まれる以下の米国特許明細書(米国特許第2961751号明細書(発明の名称“Ceramic Metal Casting Process”)、米国特許第3957715号明細書(発明の名称“Casting of High Melting Point Metals and Cores Therefore”)、米国特許第4190450号明細書(発明の名称“Ceramic Cores for Manufacturing Hollow Metal Castings”)、米国特許第4284121号明細書(発明の名称“Process and Materials for Making Refractory Cores”)、米国特許第4837187号明細書(発明の名称“Alumina-Based Core Containing Yttria”)、米国特許第5394932号明細書(発明の名称“Multiple Part Cores for Investment Casting”)、米国特許第6588484号明細書(発明の名称“Ceramic Casting Cores with Controlled Surface Textures”)、米国特許第7413001号明細書(発明の名称“Synthetic Model Casting”)および米国特許出願公開第2008/0169081号明細書(発明の名称“Method and Apparatus for Production of a Cast Component”))に記載されたもののいずれかを含む、本明細書に記載されたもののいずれかであってよい。
以下は、部材のための可能な成形材料であり、その近似組成は、以下のような範囲であってよい。すなわち、シリカ10%〜99%、アルミナ1%〜90%、クリストバライト1%〜20%、ジルコン1%〜20%、酸化マグネシウム0.01%〜1.0%、シリコーン樹脂1%〜30%、有機バインダ1%〜30%である。
引用によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4837187号明細書に記載されたタイプのものなどのセラミック材料を、成形材料のために、および/または低圧射出成形によってガスタービンエンジンのブレード中子の中子部材を形成する際に使用することができる。特に、84.5質量%のアルミナなどの約1質量%〜約90質量%のアルミナ、約7.0質量%のイットリアなどの約1質量%のイットリア〜約20質量%のイットリア、1.9質量%のマグネシアなどの約0.05質量%のマグネシア〜約10質量%のマグネシア、および/または約6.6質量%の黒鉛(粉末)などの約1質量%の黒鉛(粉末)〜約15質量%の黒鉛(粉末)、の組成を有する成形材料が、ツーピース中子構造において許容可能に機能することが分かった。例えば、例示的な成形材料は、約94質量%の200メッシュ融解石英、約6質量%の400メッシュクリストバライト、約6質量%の325メッシュ板状アルミナ、および/または約0.2%の超精密MgOを含むことができる。
この成形材料の製造された典型的な実施の形態のアルミナ成分は、約70.2%の約37マイクロメートルのサイズの粒子、約11.3%の約5マイクロメートルの粒子、および約3%の約0.7マイクロメートルの粒子を含んでいた。その他の成分の粒子サイズは、黒鉛が約17.5マイクロメートル、イットリアが約4マイクロメートル、マグネシアが約4マイクロメートルであった。使用された熱可塑性バインダは、以下の成分(混合物の質量%)、すなわち、OKERIN 1865Q(Astor Chemical)、約14.41質量%のパラフィンベースワックス、約0.49質量%のDuPont ELVAX 310 FINNECAN、約0.59質量%のオレイン酸を含んでいた。米国特許第4837187号明細書に示されたものを含む、その他のセラミック材料成分および熱可塑性バインダを使用することができる。
成形材料の典型的な実施の形態において、広範囲の様々なシリコーン樹脂のいずれかを使用することができる。例えば、置換基グループが、シリコーン原子に直接に付着した水素原子または有機ラジカルであるようなあらゆる有機シロキサンを含む、それぞれが引用によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第3090691号明細書および米国特許第3108985号明細書に記載されたタイプのシロキサンを使用することができる。一般に、ケイ素原子ごとに1〜3の水素および/または有機置換基を含むシロキサン、および、酸素原子および/または窒素原子を含むグループによって選択的に置換された、1〜12の炭素原子を含む有機グループを、使用することができる。ここで使用される場合、「シロキサン」とは、分子ごとに少なくとも1つの結合を含む材料を言いかつ含むことが意図されている。典型的な実施の形態では、約11g〜19g(全ての値およびそれらの値の間のサブレンジも含む)のMOMENTIVE 355シリコーン樹脂を、100gごとのセラミック粉末とともに使用することができる。
成形材料の典型的な実施の形態は、ジメチルシロキサン、モノメチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン、モノフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン、モノエチルシロキサン、エチルメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、フェニルエチルシロキサン、モノプロピルシロキサン、エチルプロピルシロキサン、ジビニルシロキサン、モノビニルシロキサン、エチルビニルシロキサン、フェニルビニルシロキサン、ジアリルシロキサン、モノアリルシロキサン、アリルエチルシロキサン、アリルビニルシロキサン、モノシクロヘキシルシロキサン、ガンマ−ヒドロキシプロピルメチルシロキサン、ベータ−メトキシエチルメチルシロキサン、ガンマ−カルボキシプロピルシロキサン、ガンマ−アミノプロピルシロキサン、および/またはガンマ−シアノプロピルメチルシロキサンなどのシロキサン樹脂を使用することができる。
成形材料の典型的な実施の形態は、シリカ、アルミナおよび/またはジルコンなどの耐火材および/またはセラミック材料を含むIVB族金属などの、型および鋳造部品の準備において典型的に使用されるタイプの様々なフィラー材料のうちのいずれかを使用することができる。上述のように、フィラー粒子は、シロキサン樹脂の部分的な分解の結果として、予備成形された部品の焼成においてケイ酸結合によって互いに結合することができる。ベーキングまたは焼成された部品のかさ密度、見掛け密度、見掛け空隙率および/またはその他の特性は、フィラーおよび/またはシロキサン樹脂の相対的割合を変化させることによって、成形材料において使用されているセラミック粒子のサイズ分布を変化させることによって、および/または部材の空隙率を高めるために焼成時に焼失することができる黒鉛および/または木材粉末を成形材料に付加することによって、制御することができる。
シリカが一次フィラーである場合、ベーキングおよび/または焼成された部材は、例えば約1.4〜約2.0g/mlなどの、約1〜約3g/mlの範囲のかさ密度を有することができる。この範囲は、約1.80〜約2.50g/mlの見掛け固体密度、および約15〜約35%の見掛け空隙率に対応することができる。この目的のために、約100〜約400メッシュの範囲の粒子サイズを有するフィラー材料を使用することができる。
予備成形された部材構成を成形するために、上述のシリコーン樹脂と組み合わせて、フィラー材料として黒鉛を使用することができる。ベーキングおよび焼成時、約1.2g/mlの最小かさ密度と、約5g/mlの最大かさ密度とを有する所望の部材を形成するために、ケイ酸結合に加えて、炭素および/または黒鉛結合を形成することができる。このような黒鉛部材は、複雑な中子を用いる、精密鋳造チタン構成部品の製造において特に有効である可能性がある。
フィラー、シリコーン樹脂および/または触媒成分に加えて、成形材料は、望まれるならば、予備成形部品の準備における材料の成形中にその加工特性を向上させるためにシリコーン樹脂のための可塑剤を含むように配合することができる。例えば、パラフィンワックス、スチレン、フェノールまたは低分子量フェノール樹脂、および/またはN,N’−ジステアリルエチレンジアミンなどの脂肪アミンを含むシリコーン樹脂のためのあらゆる適切な可塑剤を使用することができる。成形材料における可塑剤の量は、成形材料の樹脂含有量の約0〜約7質量%で変化することができる。
離型剤または潤滑剤などの多数の添加剤のうちのいずれかを、予備成形された中子構成の準備において成形中に成形材料の加工特性を向上させるために成形材料に付加することができる。代表的な材料は、例えば、ステアリン酸カルシウムおよび脂肪酸のその他の金属塩を含む。
成形材料は、ドライブレンド、ウェットミキシング、ホットミキシング等を含む公知の混合技術に従って配合することができ、次いで、トランスファ成形、射出成形および/または圧縮成形などの従来の成形技術を用いて従来の形式で成形することができる。圧力、ダイ温度、コンパウンド温度および/または硬化時間を含む成形パラメータは、成形される部材の構成および/または成形材料の特定の組成にいくらか依存して変化することができる。トランスファ成形または射出成形に通常使用される典型的な圧力範囲は、約100psig〜約10000psig、圧縮成形の場合には約100psig〜約5000psigである。コンパウンドおよび/またはダイ温度は、通常、ほぼ室温から約400°Fの範囲であってもよく、および/または約1〜約10分の時間であってもよい。
成形材料が含む粉末の粒子の分布は、中子の場合、中子本体、中子の後縁および/または中子の前縁などの、鋳造部品全体および/またはそのあらゆる部分にわたって制御することができる。
バインダシステムは、1つまたは複数のウレタンおよび/またはエポキシ樹脂、1つまたは複数の溶剤および/または湿潤剤、および/または1つまたは複数の可塑剤等を含むことができる。パラフィンワックス、スチレン、フェノールまたは低分子量フェノール樹脂、および/またはN,N’−ジステアリルエチレンジアミンなどの脂肪アミンを含む、様々な可塑剤のうちのいずれかを使用することができる。バインダシステムは、例えばPMMAアクリル粉末、樹脂、2部エポキシシステムおよび/または複合材などのアクリル、および/またはブチル、ラウリル、ステアリル、イソブチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、グリシジルおよび/またはエチルなどのメタクリレート、例えばABS、アセチル、アクリル、アルキド、フルオロサーモプラスチック、液晶ポリマ、スチレンアクリロニトリル、ポリブチレンテレフタレート、サーモプラスチックエラストマ、ポリケトン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、PVC、ポリエステル、ポリウレタン、サーモプラスチックゴムおよび/またはポリアミドなどのサーモプラスチック、例えばフェノール、ビニルエステル、尿素および/またはアメラミンなどのサーモセット、および/または、例えばエラストマ、天然ゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ネオプレン、ブチルゴム、フルロシリコーン、TFE、SBR、および/またはスチレンブタジエンなどのゴム、を用いて製造することができる。典型的な実施の形態は、脂環式熱硬化エポキシを使用することができる。例えば、ウィスコンシン州ジャーマンタウンのResinlabから市販される、約10g〜20gのWO32701-8エポキシを、合計セラミック粉末重量の100gあたり、0.94:1にほぼ等しいA:Bの製造者の指示に従って混合して、使用することができる。
バインダ材料および/または成分は、MEK、アセトン、ヘプタンおよび/またはイソプロピルアルコールなどの様々な溶剤に完全に溶解可能であるおよび/またはこのような様々な溶剤を用いて希釈することができる液体であってよい。MEKの場合、溶剤の付加は、合計セラミック粉末重量の100グラムあたり10〜22グラムの範囲であってもよい。アセトンの場合、溶剤の付加は、合計セラミック粉末重量の100グラムあたり14〜27グラムの範囲であってもよい。イソプロピルアルコールの場合、溶剤の付加は、合計セラミック粉末重量の100グラムあたり11〜21グラムの範囲であってもよい。バインダシステムは、本明細書に組み込まれた特許のいずれかに記載されたもののうちのいずれかを含む、本明細書に記載されたこれらの適切な材料のうちのいずれかを含むことができる。
成形材料が、シリカ成分の全てまたは少なくとも一部を、クリストバライトとして特定することができるシリカの結晶相と置換するように配合された場合、約2700°F以上の温度において所望の熱的安定性を有するセラミック中子を製造できることが分かった。クリストバライトが、約2.5%よりも多いが、約10質量%以下の量で成形材料の成分として存在している場合、セラミック中子の高温安定性は、シリカ成分が、アモルファス融解石英、または中子のセラミック成分としてのジルコンおよび/またはアルミナとの融解石英の組合せから形成されているような中子の高温安定性よりも、優れている可能性がある。
溶融金属が型キャビティ内へ注入されるときの、中子本体におけるクリストバライトの量は、重要である可能性がある。量は、中子の強度または熱衝撃特性に不利に影響することなく、高温安定性の所望の向上を達成するために十分である可能性がある。シリカの全てがクリストバライトと置換された場合、有利な使用を得ることができるが、焼成された中子における最大濃度を、焼成された中子における約35質量%および/または約5〜約20質量%のクリストバライトに制限することが望ましい可能性がある。中子の残りは、上述の米国特許第3957715号明細書に記載されたような、有機ケイ素樹脂などのバインダとともに、融解石英および/または融解石英およびジルコン、および/または融解石英、ジルコンおよび/またはアルミナと配合することができる。クリストバライトの存在は、成形材料を構成する成分にクリストバライトを直接付加することによって達成することができる。このために、クリストバライトは、約70〜約−325メッシュなどの範囲において、微細に分割された形式で使用することができる。中子は、バインダとしてシリコーン樹脂を使用するトランスファ成形技術によって形成することができる。
以下の例は、成形材料のための近似成分範囲を質量によって特定する。すなわち、シリカ10%〜99%、アルミナ1%〜90%、クリストバライト1%〜20%、ジルコン1%〜20%、酸化マグネシウム0.01%〜1.0%、シリコーン樹脂1%〜30%、有機バインダ1%〜30%である。例えば、融解石英(60%)およびアルミナ(40%)の配合物を使用することができる。
上述の配合物は、重量で等分に、潤滑剤としてのステアリン酸カルシウムなどの付加的な成分と、微細に分割された酸化マグネシウムおよび/または安息香酸の形式であってよい触媒とを含むことができ、潤滑剤は、約0.2〜約2質量%の範囲の量で存在し、触媒は、約0.2〜約2質量%の範囲の量で存在している。
バインダは、標準的な混合技術を用いて部分的および/または完全に混合することができる。例えば、食品ブレンダなどのキッチンミキサおよび/または約1馬力のRoss Dispersion Mixer, model 100 LCなどのセラミックスラリミキサを使用することができる。バインダを分散させかつ/またはバインダを粉末に混合するための混合時間は、約1分〜約24時間であってもよい。バインダは、型に成形材料を充填する前に粉末と部分的および/または完全に混合することができるか、または型に直接加えることができる。混合は、せん断、振動、遠心力、共振混合、静的混合、および/または回転するボールミルなどを含むあらゆる公知の技術によって生じることができる。
スラリ配合物は、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールを含むことができる、あらゆる所望の湿潤材および/または代替的なバインダシステムを含むことができる。
概して、粉末、バインダおよび/または成形材料の約500〜約10000cpsの粘度が、これらが型に流入しかつ/または型を充填するために適切でありうる。成形材料のバインダ濃度(重量でセラミック粉末に対して約10%〜約20%の範囲のバインダ)は、バインダの焼失を促進しかつ/または粉末の焼結を可能にするために十分に低いことができる。
充填された型を通気および/またはガス抜きしかつ/または型において鋳造部品を硬化および/またはセットさせるために、十分な時間を許容することができる。例えば、通気、ガス抜きおよび/または型充填のための時間は約1分〜約60分であってもよい。鋳造部品は、バインダが少なくとも部分的に架橋および/または硬化させられた後に型から解放することができる。バインダの硬化時間は、型材料と適合していることができる。硬化温度は、約90°F〜約350°Fであってもよい。硬化時間は、約15分〜約24時間であってもよい。バインダは、硬化した“成形体”状態のセラミック部分が、バインダ焼失および焼結の前に加熱および熱成形されることを許容することができる、適合した復元特性を有することができる。熱成形温度は、成形体状態セラミック中子を製造するために使用される初期硬化温度と、ポリマバインダの特定のガラス遷移温度(Tg)とに依存する。樹脂、エポキシ、ウレタンおよびその他の有機ポリマ(バインダ)の製造者は、材料特性データシートにおいて、それらの製品のTgを特定する。焼結の間、バインダは完全に焼失することができ、インベストメント鋳造材料と反応するための炭素を実質的に残留させない。
型は、充填の前、間および/または後に閉鎖されるように構成することができる。典型的な実施の形態では、型は、潜在的により容易に空気を型から通気し、成形材料における溶剤をガス抜きし、鋳造部品を型抜きすることなどができる、充填の間および/または後に開放したままである2つ以上の型部分として構成することができる。
型は、重力注入、噴射圧力、真空および/または分散などのあらゆる公知の技術を介して充填することができる。型は、適切な充填を保証するために、溢れさせることができる。真空は、通気および/またはガス抜きを補助するために使用することができる。
成形材料による型の充填の間および/または後、セラミック粒子間の間隙を実質的に排除するために、成形材料の粒子を最大密度状態にコンパクト化、高密度化および/またはパックすることができ、これにより、セラミック焼成の間に粒子が互いに焼結することを補助する。すなわち、粒子の位置、サイズ分布、数および/またはパッキング密度は、充填の間および/または後に型に振動エネルギなどのエネルギを加えることによって調節および/または制御することができる。望まれるように、調節は、振動前整定時間(約2分〜約2時間)、振動時間(約2分〜約2時間)、振動周波数範囲および/または振幅、振動後整定時間(約2分〜約2時間)および/または溶剤分離時間(約2分〜約2時間)などについて行うことができる。直線作動式ジョガーテーブルを、振幅を調節するために約10%〜約90%のパワーセッティング範囲で、かつ毎分約250〜5000、約250〜3600、および/または約3600〜5000パルスの周波数で使用することができる。型が振動させられているとき、型は、溶剤を成形材料から容易に蒸発させることができるように、開放したままであってもよい。型が振動させられている間および/または開放している間、成形材料の流動、高密度化および/または硬化などに影響するために、型を、加熱(約15分〜約24時間にわたって約100°F〜約350°Fの温度範囲)および/または冷却(約1分〜約3時間にわたって約60°F〜約80°Fの温度範囲)することができる。
要するに、本発明の態様によるバインダシステムは、3つの主な成分、すなわち樹脂、溶剤および可塑剤を含むことができる。これらの3つの主な成分は、成形体中子に所望の特性を提供するためにバインダにおいて選択的に使用することができる。例えば、所望の作動時間を提供するために、適切なエポキシ樹脂を選択することができる。
本発明の態様によるバインダシステムは、顕著な利点を提供することができる。例えば、バインダシステムは、比較的高い成形体強度、向上した歩留り、微細特徴部制御、および成形体を熱成形する能力を備える中子を製造することができる。強い成形体は、実質的に最小限の破損のリスクで中子をダイ/型から引き出すことを可能にするので有利である。さらに、強い成形体は、従来の中子型/ダイによって設けることはできないような微細かつ複雑な特徴を有することができる。このような微細かつ複雑な特徴は、あらゆる平面に設けることができ、従来にはない抜き勾配を有する。
バインダシステムにより、成形体を熱により成形することもできる。成形体が、所定の硬化温度よりも高い温度に加熱されると、成形体は、成形可能な状態になる。この状態において、欠陥を修正するためにまたは生じた曲がりを補償するために必要であり得る修正を提供するために、成形体を操作することができる。所望の特徴が達成されると、最終的な焼成を行うことができ、その際、バインダは焼失され、粒子は互いに焼結され、これにより、成形体を最終的な構成に硬化させる。焼成または焼結の間に生じ得る成形体における移動を相殺するために、成形体において過剰補償または不足補償を行うことができる点に注意すべきである。成形体を熱により成形する能力は、過去の方式に比べて顕著な利点を有することができると認められるであろう。
完成すると、中子10は、最終的な構成部品を鋳造するために使用することができる。タービンベーンまたはブレードの場合、このような鋳造は、インベストメント鋳造によって行うことができる。このような場合、中子がワックスで被覆されるように、ワックスが中子10上に噴射される。セラミックシェルをワックス上に成形することができる。ワックスを溶出させることができ、溶融した金属を、中子10とセラミックシェルとの間の空間に注入することができる。金属が固化すると、中子10を鋳造物から化学的に溶出させることができ、ベーンまたはブレードに所望の内部特徴を残す。インベストメント鋳造プロセスでは、本発明の態様に従って成形された中子10は、一回だけ使用される。
上述のように、インターロック係合の付加的な形式が可能である。図9Aおよび図9Bは、第1および第2の中子ピース12,14の間のインターロック係合を達成することができる方法の別の例を示している。第1の中子ピース12は、内側90および外側92を有することができる。第1の中子ピース12は、図9Aおよび図9Bにはほぼ矩形で示されているが、本発明の実施の形態は、いかなる特定の形状または構成にも限定されない。キャビティ94が、第1の中子ピース12を貫いて内側90から外側92へ延びていることができる。キャビティ94は、あらゆる適切なサイズ、形状および向きを有することができる。1つの実施の形態では、キャビティ94は、図9Aおよび図9Bに示したように、ほぼ矩形であってもよい。
第2の中子ピース14は、内側96および外側98を有することができる。第2の中子ピース14は、図9Aおよび図9Bにはほぼ矩形で示されているが、本発明の実施の形態は、いかなる特定の形状または構成にも限定されない。第2の中子ピース14は、突出部99を有することができる。突出部99は、図9Aにはほぼ矩形で示されているが、あらゆる適切な構成を有することができる。突出部99の少なくとも一部は、キャビティ94内に収容されるように構成することができる。
突出部99は、図9Aに示したように、突出部99の一部が第1の中子ピース12の外側を越えて延びるように十分に長くなっていることができる。第2の中子ピース14が成形体状態にあるときに、バインダの好適な流れ、成形性またはその他の特性を達成するために、突出部99および/または第2の中子ピース14の少なくとも一部に熱を加えることができる。幾つかの例では、第2の中子ピース14の残りの部分に影響を与えることなく、バインダの好適な流れ、成形性またはその他の特性を達成するために、突出部99および/または第2の中子ピース14の局所的部分を加熱することができる。次いで、突出部99が、外側92などの第1の中子ピース12上へ折り曲げられるように、第2の中子ピース14を操作または成形することができる。これにより、第1および第2の中子ピース12,14を、インターロック係合状態に維持することができる。接合された第1および第2の中子ピース12,14を、中子アセンブリを形成するためにキルンまたは炉において一緒に焼成することができる。
幾つかの例では、第1の中子ピース12に凹所100を形成することができる。凹所100は、第1の中子ピース12の外側92へ開放していることができる。凹所100は、突出部99の折り曲げられた部分を収容するようにサイズ決めおよび成形することができる。その結果、図9Bに示したように、突出部99を、第1の中子ピース12の外側92と実質的に同一平面にすることができる。
図10Aおよび図10Bは、第1および第2の中子ピース12,14の間のインターロック係合を形成するさらに別の可能な形式を示している。第1の中子ピース12は、内側102および外側104を有することができる。第1の中子ピース12は、図10Aおよび図10Bにはほぼ矩形で示されているが、本発明の実施の形態は、第1の中子ピース12のいかなる特定の形状または構成にも限定されない。キャビティ106が、第1の中子ピース12を貫いて内側102から外側104へ延びていることができる。キャビティ106は、あらゆる適切なサイズ、形状および向きを有することができる。1つの実施の形態では、キャビティ106は、図10Aおよび図10Bに示したように、内側102から外側104へ向かって直径が拡大する、ほぼ円錐形であってもよい。
第2の中子ピース14は、内側108および外側110を有することができる。第2の中子ピース14は、図10Aおよび図10Bにはほぼ矩形で示されている。しかしながら、本発明の実施の形態は、第2の中子ピース14のいかなる特定の形状または構成にも限定されない。第2の中子ピース14は、突出部112を有することができる。突出部112の少なくとも一部は、キャビティ106に収容されるように構成することができる。
突出部112の少なくとも一部がキャビティ106に収容されると、第2の中子ピース14が成形体状態にあるときに、バインダの好適な流れ、成形性またはその他の特性を達成するために、突出部112および/または第2の中子ピース14の少なくとも一部を加熱することができる。幾つかの例では、第2の中子ピース14の残りの部分に影響を与えることなく、バインダの好適な流れ、成形性またはその他の特性を達成するために、突出部112および/または第2の中子ピース14の局所的部分を加熱することができる。このような状態において、第2の中子ピース14を、第1および第2の中子ピース12,14をインターロック係合させるように成形することができる。例えば、図10Bに示したように、突出部112を、キャビティ106の少なくとも一部に対応するように成形することができる。1つの実施の形態では、突出部112を、キャビティ106全体を充填するように成形することができる。突出部112が所望の構成に成形されると、第1および第2のピース12,14をインターロック係合させることができる。接合された第1および第2の中子ピース12,14を、中子アセンブリ10を形成するためにキルンまたは炉において一緒に焼成することができる。
幾つかの例では、突出部112および/またはキャビティ106は、第1の中子ピース12の内面102と第2の中子ピース14の内面108との間に所望の間隔Sを維持するように構成することができる。例えば、突出部112は、第1の部分114と、第2の部分116とを有することができる。第1の部分114は、キャビティ106に収容されるようにサイズ決めおよび成形することができる。第2の部分116は、第2の部分116がキャビティ106に収容されないことを保証するようにサイズ決め、成形および/またはさもなければ構成することができる。例えば、キャビティ106および突出部112の横断面形状がほぼ円形である場合、突出部112の第2の部分116の直径を、キャビティ106の直径よりも大きくすることができる。これにより、第1および第2の中子ピース14,16の間の距離は、組立ての間および焼成の間、固定および維持することができる。
本発明の態様によるシステムおよび方法は、成形の他の部分および/またはインベストメント鋳造サイド鋳造プロセスに関連して利点を提供するために適用することができる。例えば、本発明の態様によるシステムおよび方法は、中子10に関連した幅木および/または中子ロックに関連して提供することができる。概して、幅木は、ワックス噴射の間に中子を型/ダイにおいて保持および整合させることができ、中子ロックは、構成部品の鋳造の間、中子および/またはセラミックシェルを配置および保持することができる。幅木および中子ロックは、通常、鋳造される部品の範囲を超えて延びており、最終的な鋳造構成部品の一部を形成しない。本発明の態様による幅木および中子ロックを有する鋳造中子10の一例が、図7に示されている。示された中子10は、中子10の各端部に1つずつ、2つの幅木70を有している。中子ロック72は、幅木70のうちの一方に形成することができる。幅木70および中子ロック72は、あらゆる適切な位置に設けることができる。中子ロック72は、あらゆる適切なサイズおよび形状であってよい。鋳造中子は、あらゆる適切な構成を有することができるので、点線で示されている。
本発明の態様は、幅木および中子ロックを形成する際により大きな自由度を可能にすることができる。例えば、幅木を中子ピースと一緒に形成することができる。これに代えて、幅木を中子ピースとは別個に形成することができる。幅木が別個に形成される場合、幅木は、その後、本明細書に説明されているように、2つの中子ピースのための接合技術のうちのいずれかを使用して中子ピースのうちの1つまたは複数に接合することができる。したがって、中子ピースおよび幅木は、ピースを正確に位置合わせするための1つまたは複数の特徴を有することができ、これにより、中子の製造可能性を高める。
1つの実施の形態では、幅木は凹所を有することができ、中子ピースは、凹所とインターロック係合するように適応された突出部を有することができる。2つの中子ピースの接合に関連して本明細書に記載されたインターロック係合のうちのいずれかを含む、あらゆる適切なタイプのインターロック係合を使用することができる。これらの特徴は、別個に形成された幅木および中子ピースのより良い位置合わせを可能にし、ひいては、鋳造プロセスのその後の段階におけるより良い位置合わせおよび機能性につながる。逆の配列を提供することができ、その場合、幅木は、中子ピースにおける凹所とインターロック係合するように適応された突出部を有することが認められるであろう。さらに代替的に、幅木は、中子ピースにおける対応する凹所および突出部とインターロック係合するための突出部および凹所の両方を有することができる。
幅木は、通常精細度の比較的大きな構造であり、すなわち、通常は、いかなる特別な特徴またはジオメトリも有さない。したがって、中子に高精細度領域を形成する方法は、幅木の形成には適さない場合がある。中子ピースとは別個に幅木を形成することにより、保持構造の形成は、これまでは得られなかった自由度を提供できることが認められるであろう。例えば、中子ピースおよび幅木の操作においてより大きな自由度が可能になる。加えて、別個に形成された部材を、高精度の形式において後に位置合わせしかつ接合することができるので、より大きな選択範囲が、幅木の形状および位置について可能となる。同様に、中子ロックの形状および位置のためにより多くの選択肢が得られる。
上述のことを考慮して、本発明の態様は、鋳造中子を形成するための頑強なシステムおよび方法を提供することができると認められるであろう。本発明の態様によるシステムおよび方法は、中子開発プロセスを減じることができ、ひいては、新製品開発のための市場に出るまでの時間を短縮することができる。さらに、最も複雑な、決定的な、および/または入り組んだ特徴を備える中子ピースを、高度の幾何学的および寸法的制御を提供するプロセスを用いて形成することができるので、スクラップ鋳造物の量を減じることができる。
上記説明の一部は、2つの中子ピースから成る中子に関するものであるが、本発明の態様は、3つ以上のピースから成る中子に容易に適用することができると理解されることに注意すべきである。例えば、従来の鋳造技術を用いて形成された第3の中子ピース(図示せず)を、あらゆる従来の形式で第1の中子ピース12に接合することができる、またはインターロック係合などの、上述の形式のうちのいずれかにおいて第2の中子ピース14に接合することができる。第3の中子ピースが、高精細度特徴および/または細部を製造するために有効な方法を用いて形成されるならば、第3の中子ピースは、インターロック係合によってまたは上述の形式のうちのいずれかにおいて第1の中子ピース12に接合することができる、またはあらゆる適切な形式で第2の中子ピース14に接合することができる。再び、あらゆる数の中子ピースを設けることができる。
マルチピース構造を形成することに加え、本発明の態様によるシステムおよび方法を、多重壁中子を製造するために使用することができる。「多重壁」とは、近接して位置決めされた複数の壁部を備える中子を意味する。本発明の態様による多重壁中子101の一例は、図8に示されている。多重壁中子101は、第1の中子ピース80と、第2の中子ピース82とを有する。第1の中子ピースは、第1の壁部84を有することができ、第2の中子ピース82は、第2の壁部86を有することができる。各壁部は、第1の壁部84の場合のように1つの壁部、または第2の壁部86の場合のように複数の壁部を有することができる。第1および第2の壁部84,86は、高精細度特徴および/または領域を有することができる。幾つかの例では、一方または両方の壁部84,86は、通常精細度のものであってよい。
2つの隣接する壁部の間の間隔は、実質的に一定であっても、一定でなくてもよい。多重壁中子における隣接する壁部は、概して互いに対して相補的であってもよい。「壁部」は、平坦な構造を意味してもよいが、本発明の実施の形態はそれに限定されない。なぜならば、壁部は、単に幾つか可能性を挙げれば、湾曲、曲げ、複合面、突出部および凹所を含む、複数の平坦でない特徴のうちのいずれかを有することができる。壁部は比較的薄くなっていることができる。
図8に示された多重壁中子101の例は2つの壁部84,86を有するが、3つ以上の壁部を設けることができると理解される。さらに、多重壁中子101は、第1の中子ピース80と、第2の中子ピース82とを有するが、多重壁中子101は、単一ピース構造として一緒に形成することができる。代替的に、各壁部は、別個に形成された中子ピース80,82によって形成することができ、中子ピース80,82は、あらゆる適切な形式で組み合わせることができる。別個の中子ピース80,82は、あらゆる適切な位置において接合することができる。例えば、中子ピース80,82は、それらの端部領域のうちの1つまたは複数において接合することができる。中子ピース80,82は、本明細書に記載され形式のうちのいずれかにおいて直接に接続することができる、または幅木などによって、間接的に接続することができる。代替的にまたは付加的に、その長さに沿った1つまたは複数の位置において、隣接する壁部の間に相互接続部を設けることができる。例えば、2つ以上の別個の中子ピースを接合することに関して上述された相互接続のうちのいずれかを含む、相互接続のあらゆる適切な形式を形成することができる。
中子が複数の壁部を有すると、中子の表面積全体を増大させることができ、その結果、最終部品の熱伝達特性に影響を与えることができる、より多くの特徴部を提供することができると認められるであろう。さらに、鋳造される構成部品に、より多くの内部特徴を提供することにより、従来の構成部品設計と比べて、重量の全体的な減少を実現することができる。さらに、内部特徴は、集合的に構成部品の強度を高めることができる。
本明細書に記載された多重壁中子は、従来の中子形成技術を用いて得ることはできないことが容易に認められるであろう。幾つかの例では、多重壁中子は、トモ・リソグラフィ成形などの、本明細書に記載された技術およびシステムのいずれかを含む、高精細度特徴を製造するために有効な方法を用いて形成することができる。本発明の態様による多重壁中子は、高精細度特徴を有しても、有さなくてもよい。多重壁構造は、鋳造される構成部品に高効率冷却特徴部を製造するために有効であり得る。
幾つかの例では、アセンブリが焼成または焼結されるときに複数の鋳造中子ピースを接合するために接続部材としてガラスまたは石英のロッドが使用されることにも注意すべきである。このような方式は、本明細書に記載された鋳造中子ピースを接合するシステムおよび方法によって排除することができると容易に認められるであろう。代替的に、本発明の態様による鋳造中子ピースを接合するシステムおよび方法は、鋳造中子ピースを接合するときのガラスおよび石英ロッドの使用を最適化するために使用することができる。
第1および第2の中子ピース12,14の間のインターロック係合の別の実施の形態は、図11〜図18に示したように、三次元インターロック継手を形成するために熱変形によって第1および第2の中子ピース12,14を不可逆的にインターロックさせるために使用されてもよい。少なくとも1つの実施の形態では、第1および第2の中子ピース12,14は、タービンブレードに限定されないが、タービンブレードなどのガスタービンエンジン用のタービン翼の少なくとも一部を形成するために使用されてもよい。第1の中子ピース12は、第1の成形プロセスを用いて中子122の通常精細度領域120から形成されてもよい。第2の中子ピース14は、第1のプロセスとは異なる、高精細度特徴を製造するために有効な成形法であるリソグラフィ成形を用いて中子122の高精細度領域124から形成されてもよい。高精細度領域124は、凹所、キャビティ、開口、突出部、通路、溝、スロットおよびくぼみから成るグループから選択された1つまたは複数の高精細度特徴を有してもよい。第1の中子ピース12は、キャビティ126を有してもよく、第2の中子ピース14は、突出部128を有してもよい。第1および第2の中子ピース12,14は、突出部128の第1の部分130がキャビティ126の少なくとも一部に収容されるように接合されてもよい。突出部128は、突出部128を熱により変形させる中間熱処理プロセスによって加熱されてもよい。熱クリープを許容することによって第1および第2の中子ピース12,14の間に三次元のインターロック継手132を形成し、これにより、継手132が物理的にロックされて熱処理による継手安定性を提供するように第1および第2の中子ピース12,14を不可逆的にインターロックする。突出部128は、所望のクリストバライト構造を製造するために、中間熱処理プロセスによって、1100℃よりも高い温度に、約10時間まで加熱されてもよい。
図11〜図14に示したように、突出部128は、Z−Y平面であってもよい第1の平面142で見て長手方向軸線140に対して鋭角138で第2の中子ピース14から延びる第1および第2の突出部134および136から形成されてもよい。図11〜図13に示したように、第1の平面は、X−Y平面によって規定される平面に対して直交していてもよい。加えて、図11に示したように、第1の突出部134は、Z−Y平面に規定された第1の平面に対して90°であるX−Y平面における第2の平面で見て長手方向軸線140から鋭角138で互いから離れるように軸方向に延びる外側側壁144,146を備える鳩尾形状を有してもよい。第1および第2の突出部134,136は、それらの間に位置決めされた開放空間148によって分離されていてもよい。第1の中子ピース12におけるキャビティ126は、第1および第2の突出部134,136を収容するように形成された第1および第2のキャビティ150,152を含んでもよい。第1のキャビティ150は、鳩尾状側壁154,156を有してもよく、また、第1の突出部134が中間熱処理プロセスを受け、熱により変形して第1のキャビティ150内の所定の位置に入り、不可逆的にインターロックされた継手132を形成するとき、第1の突出部134を収容するようにサイズ決めされてもよく、この場合、第1の中子ピース12の一部158が第1のキャビティ150を第2のキャビティ152から分離する。第2の突出部136は、Z−Y平面における第1の平面に対して90°であるX−Y平面における第2の平面で見て長手方向軸線140から鋭角138で互いから離れるように軸方向に延びる外側側壁144,146を備える鳩尾形状を有してもよい。第2のキャビティ152は、鳩尾状側壁154,156を有してもよく、また、第2の突出部136が中間熱処理プロセスを受け、熱により変形して第2のキャビティ152内の所定の位置に入り、不可逆的にインターロックされた継手132を形成するとき、第2の突出部136を収容するようにサイズ決めされていてもよい。
突出部128は、図15〜図18に示したように、中間熱処理プロセスを受けた後に不可逆的にインターロックされた継手132を形成する、さねはぎ継手を形成してもよい。キャビティ126は、突出部128を収容し、中間熱処理プロセスの間に突出部128が熱により変形することができるようにサイズ決めされていてよい。キャビティ126は、キャビティ126よりも小さな断面積を有するネック162を介してキャビティ126が第1の中子ピース12を貫通して露出させられるように、横方向接触面160からずれていてもよい。第1および第2の中子ピース12,14は、突出部128の第1の部分130がキャビティ126の少なくとも一部に収容されるように第1および第2の中子ピース12,14が接合されるときには、成形体状態であってもよい。これにより、中間熱処理プロセスの間に突出部128が熱により変形させられたときに、突出部はキャビティ126から外れず、その結果、第1および第2の中子ピース12,14が互いに取り付けられた状態を保持する。図18に示したように、突出部128を収容したキャビティ126の、中間熱処理プロセスの間に突出部128が熱により変形させられたときに突出部128によって空けられたキャビティ126における空間の少なくとも一部に、ロッキング部材164が挿入されてもよい。ネック162は、第2の外面168よりも第1の中子ピース12の第1の外面166に近くなるように、キャビティ126に対してずれていてもよい。少なくとも1つの実施の形態では、第1および第2の中子ピース12,14は、突出部128の第1の部分130がキャビティ126の少なくとも一部に収容されるように構成されていてもよく、第1および第2の中子ピース12,14を型の外側で接合することを含む。
前記説明は、本発明の態様によるシステムおよび方法のための1つの可能な適用に関連して提供されている。上記説明は、タービンブレードまたはベーンの鋳造に関連してなされているが、本発明の態様によるシステムは、特に複雑な内部特徴を備える、あらゆる中空の鋳造されたタービンエンジン構成部品に容易に適用できることが理解されるであろう。したがって、本発明は、単なる例として示された本明細書に記載された特定の詳細に限定されることはなく、以下の請求項に定義された発明の範囲において様々な変更および改変が可能であることが当然に理解されるであろう。