JP6230681B2 - 糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物及び糖尿病による腎肥大を抑制するための組成物 - Google Patents

糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物及び糖尿病による腎肥大を抑制するための組成物 Download PDF

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Description

本発明は、糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物及び糖尿病による腎肥大を抑制するための組成物に関するものである。
ミミズは、東アジアで古くから解熱鎮痛剤などの生薬として用いられており、また、近年では、ミミズ成分を有効成分とした糖尿病治療剤(特許文献1)、抗高脂血症剤(特許文献2)、血圧調整剤(特許文献3)などが提案されている。
特公平07−080778号公報 特公平07−080777号公報 特公平07−039349号公報
上述したように、ミミズには様々な効能があると考えられており、本願発明者らは、このミミズが有する更なる効能についての研究を行った結果、遂に、ミミズ成分が糖尿病によって引き起こされる脂肪肝及び腎肥大の発症を抑制する新たな効果を有することを見出した。
本発明は、ミミズを有効成分として含有することにより、糖尿病によって引き起こされる可能性が高い脂肪肝及び腎肥大を抑制するための組成物を提供することを目的とする。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
青果エキスに酵母を接種して得た発酵液により発酵させた発酵ミミズを有効成分として含有することを特徴とする糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物に係るものである。
また、青果エキスに酵母を接種して得た発酵液により発酵させた発酵ミミズを有効成分として含有し、肝臓への中性脂肪の蓄積を抑制する効果を有することを特徴とする糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物に係るものである。
また、請求項1,2いずれか1項に記載の糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物において、前記発酵ミミズは、シマミミズであることを特徴とする糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物に係るものである。
また、青果エキスに酵母を接種して得た発酵液により発酵させた発酵ミミズを有効成分として含有し、線溶機能を亢進させる効果を有することを特徴とする糖尿病による腎肥大を抑制するための組成物に係るものである。
また、請求項4記載の糖尿病による腎肥大を抑制するための組成物において、前記発酵ミミズはシマミミズであることを特徴とする糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、本発明を摂取することにより、糖尿病によって引き起こされる可能性が高い脂肪肝及び腎肥大の発症を抑制することができる。
本実施例の試験1における肝臓、腎臓、心臓の各臓器重量並びに腎周囲脂肪、副睾丸周囲脂肪の重量の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験1における体重100gあたりの肝臓重量を示すグラフである。 図1における腎臓重量の拡大グラフである。 本実施例の試験1における肝臓に含まれる総脂質の割合を示すグラフである。 本実施例の試験1における肝臓に含まれる総コレステロールの重量を示すグラフである。 本実施例の試験1における尿中アルブミンの測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験1におけるプラスミノゲンアクチベータインヒビター1(PAI-1)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験1におけるユーグロブリン分画溶解時間(ECLT)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験1における血糖値の推移を示すグラフである。 本実施例の試験1におけるグリコヘモグロビン(HbA1c)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験1におけるインスリンの測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験1でのアミラーゼの測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験1における尿酸の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験1におけるグルタミン酸オキサロ酢酸転移酵素(GOT)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験1におけるアルカリホスファターゼ(ALP)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験1における乳酸脱水素酵素(LD)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験1における腎臓切片の組織的観察を行った結果を示す組織画像である。 図17の組織画像から糸球体におけるメサンギウム基質の占有割合を数値化したグラフである。 本実施例の試験1における大動脈弓の組織的観察を行った結果を示す組織画像である。 図19の組織画像から大動脈弓の血管壁厚を数値化したグラフである。 本実施例の試験2における体重変化を示すグラフである。 本実施例の試験2におけるグリコヘモグロビン(HbA1c)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2におけるインスリンの測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2におけるアディポネクチンの測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2におけるグルタミン酸オキサロ酢酸転移酵素(GOT)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2におけるアルカリホスファターゼ(ALP)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2におけるロイシンアミノペプチターゼ(LAP)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2における血中総コレステロールの測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2における血中尿素窒素の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2におけるクレアチニンクリアランス(Ccr)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2における尿中アルブミンの測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2における肝臓重量の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2における肝臓に含まれる総脂質の割合を示すグラフである。 本実施例の試験2における肝臓に含まれるトリグリセリドの重量を示すグラフである。 本実施例の試験2における肝臓に含まれる総コレステロールの重量を示すグラフである。 本実施例の試験2におけるユーグロブリン分画溶解時間(ECLT)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2におけるプラスミノゲンアクチベータインヒビター1(PAI-1)の測定結果を示すグラフである。 本実施例の試験2における糸球体におけるメサンギウム基質の占有割合を示すグラフである。
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明の糖尿病による脂肪肝及び腎肥大を抑制するための組成物を、例えば経口摂取することにより、糖尿病によって低下した脂質代謝機能が改善され、また、糖尿病による脂質代謝機能の低下が抑制される。
更に、糖尿病によって生じた細小血管障害が改善され、また、糖尿病による細小血管障害の発症が抑制される(II型糖尿病モデルラットであるZDFラット(Zucker Diabetic Fatty Rat)を用いた確認試験結果より。)。
これにより、糖尿病による脂肪肝及び腎肥大の発症若しくは進行が抑制される。
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
本実施例は、ミミズを有効成分とし、II型糖尿病を発症した際に合併症として発症し易い脂肪肝及び腎肥大の発症を抑制するための組成物に係るものであり、具体的には、ミミズ、発酵液、田七人参(別名:三七人参、学名:Panax motoginseng Berk)、蟻、イチョウ葉から成るものである。
より具体的には、本実施例の糖尿病による脂肪肝及び腎肥大を抑制するための組成物(以下、本組成物と称す)は、青果エキスに酵母を接種して得た発酵液に、ミミズを混入して該ミミズを発酵させることで発酵ミミズを得、この発酵ミミズに田七人参を混合し発酵乾燥させて発酵混合物を得、この発酵混合物に蟻とイチョウ葉を混合して成るものである。
以下、本組成物について詳細に説明する。
本実施例に用いたミミズは、シマミミズ(学名:Eisenia fetida)である。
また、発酵液は、野菜及び果物等の青果から抽出した青果エキスに酵母菌(本実施例では、複数種の酵母菌、例えば、日和見菌やカンジダ菌)を接種し発酵させたものであり、具体的には、もやし5kg、キャベツ1.8kg、白菜0.5kg、ほうれん草0.5kg、小松菜0.5kg、蓮根0.6kg、パセリ0.5kg、馬鈴薯10kg、胡瓜2kg、ごぼう0.6kg、パパイヤ45kg、パイナップル15kg、バナナ2kg、リンゴ5kg、レモン1kgを適宜な大きさに裁断し、これらに無水ブドウ糖81kg、含水ブドウ糖9kg及び酵母0.2lを加え撹拌混合し、室温21℃で約1週間発酵させ、この発酵させた発酵物をプレス機で搾り、この搾り出した発酵液を濾過(120目)したものである。
尚、青果エキスを得るための野菜及び果物は上記に限らず、上記外の野菜、果物も使用可能である。
また、田七人参は、粉末状に加工した田七人参である。
また、蟻は、擬黒多刺蟻(学名:Polyrhachisviva Roger)とクロヤマアリ(学名:Formica japonica)の二種類の蟻であり、具体的には、これらの蟻は、発酵させた発酵蟻である。
より具体的には、この発酵蟻は、パパイヤ粉末、粉末状にした擬黒多刺蟻(以下、擬黒多刺蟻粉末と称す。)、粉末状にしたクロヤマアリ(以下、クロヤマアリ粉末と称す。)、水、を混合し、これに酵母(生イースト)を接種して発酵させ、この発酵させたものを乾燥して粉末状にしたものである。
更に詳細に説明すると、室温を28℃に設定した作業室内で、パパイヤ粉末38.2kg、擬黒多刺蟻粉末1.82kg、クロヤマアリ粉末7.28kg、水(40℃)44lを混合し、これに酵母(生イースト)7.7gを接種し、24時間静置して発酵させ、この発酵させたものを25℃、72時間、乾燥し、更に、21℃で水分が10%以下になるまで乾燥し、この水分10%以下に乾燥させたものを2mmメッシュで粗粉砕した後、0.2mmメッシュで本粉砕し粉末状にしたものである。
尚、前記パパイヤ粉末の製法は、パパイヤをスライス若しくはミンチにより細分化し、これに糖類を加えてパパイヤエキスを抽出し、このパパイヤ抽出液に酵母菌を加え、この酵母菌及びこのパパイヤに元来付着している野生酵母菌とを発酵増殖させ、これに乳酸菌を加えて前記酵母菌、野生酵母菌及び乳酸菌を共生培養したものから液分を区分し、この液分に更に酵母菌及び乳酸菌を加えて発酵熟成し乾燥させたものである(近藤らの特許第3370302号参照)。
また、イチョウ葉は、イチョウ葉から抽出したイチョウ葉エキスであり、具体的には、このイチョウ葉エキスを発酵させた発酵イチョウ葉エキスである。
より具体的には、この発酵イチョウ葉エキスは、イチョウ葉を煮てエキスを抽出し、この抽出したエキスを加熱して濃縮し、この濃縮エキスに無水ブドウ糖と発酵カルシウムを混合した後、酵母を接種して発酵させ、この発酵させたものを乾燥して粉末状にしたものである。
更に詳細に説明すると、イチョウ葉50kgと水500lをニーダーに入れ、加熱し沸騰させて1時間して、エキスを抽出し、この抽出したエキスを#350及び#500の網で濾過し、この濾過した注出エキスを加熱し、60lまで濃縮し、この濃縮エキスの液温が高いうちに無水ブドウ糖17.5kgを混合し、更に、液温を30℃にして発酵カルシウム5kgを混合した後、酵母を接種し、室温を28℃に設定した作業室内で24時間好気発酵し、発酵後、室温23〜24℃に保って乾燥させ、乾燥時は、途中、粉末状にした玄米5kgと澱粉(本実施例では打ち粉澱粉を使用)22.5kgを2日に分けて半量ずつ混合し、混合作業が終了した翌日から室温を20℃に下げ、水分量が5%以下になるまで乾燥し、この乾燥させたものを2mmメッシュで粗粉砕した後、0.2mmメッシュで本粉砕し粉末状にしたものである。
尚、前記発酵カルシウムは、前述した発酵液において、発酵期間を2週間とした発酵液を用い、この発酵液1lに対して、0.3kgの割合でカルシウム粉末(北陸貝化石70wt%、貝カルシウム28wt%、魚カルシウム2wt%から成るもの)を加え、約2週間攪拌し、これに発酵液1lに対して5.5mlの割合でコンブエキス、発酵液1lに対して0.2lの割合で水を加え(本実施例では、コンブエキスと水とを混合したものを発酵液に加えている。)、このコンブエキスと水を加えた翌日、室温を25℃に上げ、翌日、再度、室温を21℃に下げて水分8%以下になるまで乾燥させ、この乾燥させたものを2mmメッシュで粗粉砕した後、0.2mmメッシュで本粉砕し粉末状にしたものである。
次に、本組成物の製造方法について具体的に説明する。尚、以下の説明は、シマミミズ1kg(乾燥後100g、配合割合15wt%)を使用した場合である。
先ず、シマミミズを、泥出し、洗浄し、その後、2mm以下の粒状に粉砕する。
具体的には、ミキサー内に泥出し、洗浄したシマミミズと水(シマミミズ重量1kgに対して水3.5lを加える)を入れ、40〜80分間、ミキサーで粉砕処理を施し、所謂泥状のシマミミズを得る。尚、粉砕処理中は、液温が上昇し、この上昇した液温が30℃を超えてしまうとシマミミズの有効成分が変質したり破壊されたりする虞があるため、粉砕処理中の温度が30℃を超えないよう、加える水の温度を15℃以下とすると良い。
次いで、この粉砕し泥状にしたシマミミズに、発酵液を215ml(配合割合20wt%)、乳酸菌を125ml混合し、25℃で17〜21時間静置し、発酵させて発酵シマミミズを得る。尚、本実施例では、乳酸菌に制菌効果が良好なK−1菌若しくはロイコノストック・メセンテロイデス菌を使用するが、使用する乳酸菌の種類は、大腸菌、大腸菌群の増殖を抑制し、発酵・乾燥過程においてこれらを死滅させ得るものであれば特に限定しない。
次いで、この発酵シマミミズに田七人参粉末180g(配合割合27wt%)を混合し、この混合した第一混合物を発酵させながら水気が無くなるまで乾燥する。
具体的には、室温を23℃に保ち、第一混合物に送風しながら、48〜72時間、発酵乾燥させ(この発酵乾燥の段階で、発酵ミミズを作成した際に混合した乳酸菌の働きにより、大腸菌・大腸菌群が殺菌される。)、更に、この発酵乾燥終了後、室温を20〜28℃、湿度を18%以下に保ちながら、約2週間、送風乾燥して前記第一混合物の水分量が5%以下になるまで乾燥する。
次いで、この乾燥させた第一混合物に、粉末状にした発酵蟻20g(配合割合3wt%)と発酵イチョウ葉エキス233g(配合割合35wt%)とを混合し第二混合物を得る。
最後に、この第二混合物を、2mmメッシュで粗粉砕した後、0.2mmメッシュで本粉砕し粉末状にし、この粉末をカプセルに収容し完成となる。尚、最終形態は、カプセル形態に限らず、粉末のまま、或いは錠剤にしても良い。
また、本実施例では、各成分(材料)を上記の配合割合で配合しているが、発酵シマミミズ12〜18wt%、田七人参粉末22〜32wt%、発酵蟻2〜4wt%、発酵イチョウ葉エキス28〜42wt%、発酵液16〜24wt%の範囲であれば適宜変更可能である。
次に、本組成物の効果について説明する。
本実施例では、試験1と試験2との二度の効果確認試験を行なった。試験1では、単純に本組成物の効果の確認を行ない、試験2では、試験1で確認できなかったミミズ(シマミミズ)成分とそれ以外の成分の効果や早期の症状での効果の確認を行なった。先ず、試験1について詳述する。
≪試験1≫
本試験は、II型糖尿病モデルラットであるZDFラット(Zucker Diabetic Fatty Rat)を用いて、上述した本組成物を含有しない通常飼料を与えたZDFラットと、本組成物を含有する飼料を与えたZDFラットとの状態の差を比較し、本組成物の効果を確認した。
具体的には、ZDFラットは、7週齢の雄性を20匹用意し、これらを体重、血糖値の平均がほぼ同等になるようにして10匹ずつ2群に分け、一方の群を、本組成物を含有しない通常飼料(コントロール飼料)を与えるControl群(以下、C群と称す。)とし、もう一方の群を、本組成物を含有する飼料を与えるEisenia fetida群(以下、EF群と称す。)とした。
このC群に与える通常飼料とは、AIN−93Gに準拠し、カゼインをタンパク質源として調整した飼料であり、また、EF群に与える飼料とは、C群に与える通常飼料に含まれるコーンスターチの5%(重量)を本組成物に置き換えた飼料である。
また、給餌方法は、夫々の群に夫々の飼料を12週間(7週齢から19週齢)、ペアフィーディングにより摂取させた。尚、水は自由摂取とし、また、週に一度、空腹時血糖値の測定を行なうため、測定前は18時間の絶食を行った。
上記条件で飼育したC群、EF群の各ZDFラットに対して、血糖値、グリコヘモグロビン(以下、HbA1cと称す。)、インスリン、臓器重量(腎臓、肝臓、心臓、腎周囲脂肪、副睾丸周囲脂肪)、ユーグロブリン分画溶解時間(以下、ECLTと称す。)、血中成分を測定するとともに、腎臓切片及び大動脈弓の組織的観察を行い、C群とEF群との間で比較し、効果を確認した。
図1〜3は、腎臓、肝臓、心臓の各臓器重量並びに腎周囲脂肪、副睾丸周囲脂肪の各重量の測定結果を示すグラフである。
この臓器等の重量の測定においては、図1に示すように、腎臓と肝臓に関して有意差(t検定、p<0.01)があった(心臓、腎周囲脂肪及び副睾丸周囲脂肪に関しては、C群とEF群との間に有意差無し)。
詳細には、図2に示す肝臓重量の測定結果及び図3に示す腎臓重量の測定結果から明らかなように、夫々、C群とEF群との間に有意差(t検定、p<0.01)があり、C群よりもEF群のほうが肝臓重量、腎臓重量が共に低い値を示す結果であった。
また、図4は、肝臓に含まれる総脂質の重量を示すグラフであり、図5は、肝臓に含まれる総コレステロール(T-cho)の重量を示すグラフである。
この肝臓に含まれる総脂質及び総コレステロールの重量の測定においては、総脂質、総コレステロール共に、C群とEF群との間に有意差(t検定、p<0.01)があり、C群よりもEF群のほうが総脂質、総コレステロールの値が共に低い値を示す結果であった。尚、参考として、通常のラット(健康なラット)は、肝臓の総重量に対して、肝臓の総脂質は約4%、総コレステロールは約0.4%である。
この図2に示す肝臓重量の測定結果、図4に示す肝臓の総脂質重量の測定結果及び図5に示す肝臓の総コレステロール重量の測定結果から、C群とEF群との夫々の肝臓重量に対する総脂質及び総コレステロールの割合を算出すると、C群は、通常のラットに比べて肝臓重量に対する総脂質及び総コレステロールの割合がいずれも高い値であったが、EF群は、肝臓重量に対する総脂質及び総コレステロールの割合が通常のラットと同等の値であった。
この結果より、EF群のZDFラットの肝臓重量がC群のZDFラットの肝臓重量よりも有意に低くなった要因は、この肝臓の総脂質及び総コレステロールの差によるものと考える。
即ち、EF群のZDFラットは、本組成物を摂取したことで糖尿病によって低下した脂質代謝機能が改善されて正常に近い状態の脂質代謝が行われたことで、或いは、本組成物を摂取したことにより糖尿病による脂質代謝機能の低下が抑制されて通常通りの脂質代謝が行われたことで、肝臓への脂肪の蓄積が抑制されて、肝臓の総脂質及び総コレステロールが増加せず、肝臓重量が通常ラットと略ほぼ同等の値を示す結果となったと考える。
また、図6は、尿中アルブミンの測定結果を示すグラフである。
この尿中アルブミンの測定においては、試験開始後(7週齢)から6週目(13週齢)まではC群とEF群との間に有意な差はなかったが、試験開始後8週目(15週齢)でC群とEF群との間に有意差(t検定、p<0.05)があり、C群よりもEF群のほうが尿中アルブミンの値が低い値を示す結果となり、また、試験開始後10週目(17週齢)以降は、再び有意な差がなくなった。しかし、試験開始4週目あたりから試験終了まで、C群よりもEF群のほうが尿中アルブミンの値が低く、アルブミンの排泄を抑制する傾向が見られた。
一般的に、糖尿病が進行すると、合併症として糖尿病腎症を発症することが多く、この糖尿病性腎症を発症すると、本来尿中に殆ど出ることが無いアルブミンが漏出することが知られており、初期の糖尿病性腎症の判定に有効とされており、また、このアルブミンの尿中漏出は、糖尿病による細小血管障害に起因するものと考えられている。
即ち、EF群のZDFラットは、本組成物を摂取したことで、線溶能が亢進し、細小血管障害の改善効果により、C群よりも尿中アルブミン量が低くなったと考える。
また、本組成物を摂取したEF群のZDFラットの腎臓重量が、本組成物を摂取しなかったC群のZDFラットの腎臓重量よりも有意に低くなった要因は、この線溶能の亢進により糖尿病による細小血管障害の発症が抑制されて腎機能が低下しなかったため、腎肥大の症状が改善若しくは抑制されたことによるものと考える。
また、図7は、血中のプラスミノゲンアクチベータインヒビター1(以下、PAI−1と称す。)の測定結果を示すグラフである。
このPAI−1の測定においては、C群とEF群との間に有意差(t検定、p<0.05)があり、C群よりもEF群のほうがPAI−1の値が低い値を示す結果であった。
このPAI−1は、糖尿病により脂質代謝が低下し、この脂質代謝の低下による内臓脂肪の蓄積に伴い脂肪細胞が肥大化し放出量が増加するものであり、このPAI−1の放出量が増加すると、線溶能が低下し血栓が形成され易くなることが知られている。
即ち、このPAI−1の測定結果からも本組成物が糖尿病によって低下した脂質代謝を改善し、糖尿病によって引き起こされる線溶能の低下を抑制する効果を有することが裏付けられる。
また、図8は、ECLTの測定結果を示すグラフである。尚、このECLT測定においては、C群とEF群とのZDFラット以外に糖尿病を発症していない健康なラット、具体的にはSDラットを用い、このSDラットのECLT値をベンチマークとし、このSDラットのECLT値とC群とEF群との夫々のECLT値を比較した。
このECLTは、ユーグロブリン分画に血液の凝固因子であるトロンビンを加え、人工的に血栓を作り、この凝固が溶解するまでの時間を測定することで線溶能を評価するものであり、ECLTが長いほど線溶能が低下していることを示すものである。
本試験では、図8に示すように、C群とEF群との間に有意差(t検定、p<0.01)があり、C群よりも本組成物を与えたEF群のほうがECLTが低い値を示す結果であると共に、この本組成物を与えたEF群のZDFラットのECLTの値は、健康なSDラットのECLTの値と同等の値を示すことも確認できた。
このECLTの測定結果より、本組成物は、糖尿病によって低下した線溶能を改善する効果、或いは、糖尿病による線溶能の低下を抑制する効果を有する可能性があることも確認できた。
即ち、一般的に、糖尿病を発症すると、合併症として血栓症を発症することが問題となるが、本組成物は、この糖尿病による血栓症の発症を抑制する効果も発揮する可能性があることが確認できた。
また、図9は、空腹時血糖値の推移を示すグラフであり、図10は、HbA1cを測定した結果を示すグラフである。
HbA1cは、一般的に、血糖値が高いほど形成され易くなるため、糖尿病を発症すると血糖値の増加と共に顕著に増加する。
本試験では、血糖値、HbA1c共に、C群とEF群との間で有意差はなく、両群とも血糖値、HbA1c共に高い値を示す結果であった。尚、通常のZDFラットのHbA1cの値は、18週齢では約9.4%(日本チャールス・リバー社のデータを参照)であり、本試験では、これと比べると若干低い値を示す結果となっているが、血糖値の測定結果より高血糖状態が維持されていることが確認されていることより、HbA1c値に問題は無いと判断した。
また、図11は、インスリンを測定した結果を示すグラフである。
ZDFラットは、糖尿病の初期の段階でインスリンの過剰分泌が起こるが、18週齢頃になると分泌能がなくなり、インスリン濃度が低下することが分かっている。
本試験では、図11に示すように、本組成物を摂取したEF群のほうが若干インスリンの分泌能が高い傾向を示しているが、C群とEF群との間に有意差はない結果であった。
この血糖値、HbA1c、インスリンの測定結果より、本組成物は、血糖値の改善メカニズムには直接作用していなことが分かる。
即ち、本組成物は、高血糖の症状を改善することで、糖尿病によって発症する脂肪肝や腎肥大の発症を抑えるのではなく、肝臓、腎臓の機能に直接的に作用し、糖尿病によって低下した脂質代謝機能や腎機能を改善する効果、或いは、糖尿病による肝臓の脂質代謝機能の低下や腎機能の低下を抑制する効果を有するものであると考える。
また、本試験では、総タンパク(TP)、アルブミン(Alb)、硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)、チモール混濁試験(TTT)、総ビリルビン(T-BIL)、グルタミン酸オキサロ酢酸転移酵素(GOT)、グルタミン酸ピルビン酸転移酵素(GPT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、乳酸脱水素酵素(LD)、ガンマ・グルタミン酸(γ−GT)、ロイシンアミノペプチターゼ(LAP)、コリンエステラーゼ(CHE)、クレアチンキナーゼ(CK)、酸性ホスファターゼ(ACP)、アミラーゼ(AMY)、尿酸(UA)、尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Cre)、血清鉄(Fe)、総コレステロール(T-cho)、中性脂肪(TG)、HDLコレステロール(HDL)、動脈硬化指数(AI)、LDLコレステロール(LDL)の24項目について、血液検査により、測定、分析を行った。
この24項目において、アミラーゼと尿酸との2項目で、C群とEF群との間に有意差(t検定、p<0.01)があった。
アミラーゼは、糖尿病や腎不全の際に高値になる傾向がある項目であるが、本試験では、図12に示すように、EF群のほうが有意に低い値を示しており、この結果からも、本組成物が、糖尿病性腎症の発症を抑制する若しくは進行を遅延する効果、或いは、糖尿病性腎症の症状を改善する効果を有することが推考できる。
また、尿酸値は、メタボリックシンドローム等で高値になる項目であるが、本試験では、図13に示すように、EF群の方が有意に低い値を示しており、この結果は、本組成物が尿酸の代謝系に何らかの影響を与えている可能性をあることを示す結果と考える。
また、有意差はないものの、図14〜16に示すように、グルタミン酸オキサロ酢酸転移酵素(GOT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、乳酸脱水素酵素(LD)の3項目でEF群のほうが良好な値を示す結果であった。これは、本組成物が肝機能の低下を抑制した可能性がる、或いは、低下した肝機能を改善させた可能性があることを示唆する結果と考える。
また、図17は、腎臓切片の組織的観察を行った結果を示す組織画像であり、図18は、この組織画像を数値化したグラフである。
この腎臓切片の組織的観察においては、図17に示すように、本組成物を摂取したEF群において、メサンギウム基質増加の抑制が観察された。
また、この観察した組織画像を数値化したものを比較した結果、C群とEF群との間に有意差(t検定、p<0.05)があり、C群よりもEF群のほうが糸球体面積に占めるメサンギウム基質の割合が少ない、即ち、メサンギウム基質の増加が抑制されていることを示す結果であった。
このメサンギウム基質は、通常腎臓で糸球体を支える役割を担っているが、糖尿病時には高血糖などが原因でメサンギウム基質が肥大し、周囲にある糸球体の毛細血管を圧迫してしまうことが知られており、本組成物を摂取しなかったC群では、まさにその傾向がみられたが、本組成物を摂取したEF群では、このメサンギウム基質の増加が抑制されていて、糸球体の毛細血管の圧迫症状が見られなかった。
また、メサンギウム基質によって圧迫された毛細血管は、内腔(血液の通り道)が狭くなって血流が悪くなるが、糸球体では流れ込む血液を濾過しているので血流の悪化によって濾過機能が低下し、さらに、毛細血管の壁には血液を濾過する孔がありフィルターの役目を担っているが、壁が厚くなって目が粗くなり、タンパク質が大量に漏れてしまい、その結果、タンパク尿が出るようになる。
本試験において、EF群のアルブミン尿が抑制されていたのは、このメサンギウム基質の肥大が抑制されていたためであると考える。
また、図19は、大動脈弓の組織的観察を行った結果を示す組織画像であり、図20は、この組織画像より動脈弓血管壁厚を数値化したグラフである。
この大動脈弓の組織的観察においては、図19に示すように、本組成物を摂取したEF群において、大動脈弓の血管壁の肥大の抑制が有意な傾向にあることが観察できた。
また、この観察した組織画像を数値化したものを比較した結果、C群よりもEF群のほうの血管壁厚が薄く、有意差はないものの、数値的に有意な傾向で肥大が抑制されていることを確認できた。
次に、試験2について詳述する。
≪試験2≫
本試験は、本組成物におけるミミズ(シマミミズ)成分の効果とミミズ(シマミミズ)以外の成分の効果を明確にすること、更に、試験期間を短期間に設定して、早期の症状に対する効果を確認することを目的としている。
具体的には、試験1同様、ZDFラットを用い、本組成物を含有しない通常飼料を与えたZDFラットと、本組成物を含有する飼料を与えたZDFラットと、本組成物においてミミズ(シマミミズ)成分が入っていないミミズ非含有組成物を含有する飼料を与えたZDFラットの状態の差を比較し、本組成物におけるミミズ成分とミミズ成分以外の成分の効果を明確にした。尚、前記ミミズ非含有組成物とは、単純に本組成物においてミミズ(シマミミズ)成分を除いたもので、他の成分の配合割合は本組成物と同じである。
具体的には、ZDFラットは、試験1と同様、7週齢の雄性を用意し、これらを体重、血糖値の平均がほぼ同等になるようにして、試験1と同様の本組成物を含有しない通常飼料(コントロール飼料)を与えるC群と、本組成物を含有する飼料を与えるEF群と、ミミズ非含有組成物を含有する飼料を与えるNon-Eisenia fetida群(以下、NE群と称す。)とに群分けした。
このC群及びEF群に与える飼料は、試験1と同じであり、また、NE群に与える飼料とは、C群に与える通常飼料に含まれるコーンスターチの4.25%(重量)をミミズ非含有組成物に置き換えた飼料である。
また、給餌方法は、試験期間を10週間(7週齢から17週齢)とする以外は全て試験1と同条件で行った。
上記条件で飼育したC群、EF群、NE群の各ZDFラットに対して、体重変化、HbA1c、インスリン、アディポネクチン、肝機能マーカー(血中)、血中総コレステロール、肝臓脂質、ECLT、PAI−1、メサンギウム基質比率を測定し、C群とEF群とNE群との間で比較して、本組成物におけるミミズ(シマミミズ)成分の効果とミミズ以外の成分の効果を明確にすると共に、早期の症状に対する効果を確認した。
図21は、体重の推移を示すグラフである。この図21に示すように、C群は5週目(12週齢)あたりから体重の増加がほとんどなく、6週目(13週齢)以降、EF群、NE群と体重に有意差(LSD検定、p<0.01)があり、成長の低下に有意な差が出る結果となった(EF群とNE群とは有意差無し)。
また、図22は、HbA1cを測定した結果を示すグラフである。試験1では、C群とEF群との間に有意差はなかったが、本試験では、C群とEF群、C群とNE群との間に有意差(LSD検定、p<0.05)があり、EF群とNE群とで有意にHbA1cの値が抑制される結果であった(EF群とNE群とは有意差無し)。これは、本試験が糖尿病の早い段階のHbA1c値を見ていることによるものと考える。
また、ミミズ(シマミミズ)成分を含有していないNE群でもHbA1c値が抑制されていることから、ミミズ(シマミミズ)成分以外の成分にHbA1c値を抑制する効果があることが確認できた。
また、図23は、インスリンを測定した結果を示すグラフである。試験1同様、C群とEF群との間に有意差はなく、また、C群とNE群との間、EF群とNE群との間においても同様に有意差はない結果であった。
また、図24は、アディポネクチン(試験1では測定していない新規項目)を測定した結果を示すグラフである。この図24に示すように、C群とEF群,NE群との間に有意差(LSD検定、p<0.05)があり、EF群とNE群とで有意にアディポネクチンの値が高い結果であった(EF群とNE群とは有意差無し)。
このアディポネクチンは、糖尿病時に減少することが知られている善玉アディポカインであり、インスリン抵抗性等に関わり、血糖値の低下作用を有する。また、アディポネクチンの低下は動脈硬化を引き起こすとも言われている。
また、ミミズ(シマミミズ)成分を含有していないNE群でもアディポネクチンの値が高いことから、ミミズ(シマミミズ)成分以外の成分にアディポネクチンの減少を抑制する効果があることが確認できた。尚、上述したHbA1c値を抑制する効果は、このアディポネクチンの減少が抑制されることにより、インスリン抵抗性が改善されることで生じた結果であると考える。
また、図25〜27は、肝機能マーカー(血中)の測定結果を示すグラフであり、具体的には、図25は、グルタミン酸オキサロ酢酸転移酵素(GOT)、図26は、アルカリホスファターゼ(ALP)、図27は、ロイシンアミノペプチターゼ(LAP)の測定結果を示すグラフである。また、図28は、血中総コレステロールの測定結果を示すグラフである。
この肝機能マーカーのひとつであるロイシンアミノペプチターゼは、肝臓疾患で値が上昇することが知られており、また、脂肪肝の際にも値が上昇することが知られている項目であり、また、血中総コレステロールは、糖尿病の進行によっても上昇することが知られている項目である。
試験1では、各項目とも有意差は無い(グルタミン酸オキサロ酢酸転移酵素,アルカリホスファターゼは有意な傾向は見られた)結果であったが、本試験では、図25〜28に示すように、各項目とも、C群とEF群,NE群との間に有意差(LSD検定、p<0.05)があった。
即ち、本試験では、EF群とNE群とにおいて、肝機能マーカーのグルタミン酸オキサロ酢酸転移酵素、アルカリホスファターゼ、ロイシンアミノペプチターゼの上昇が有意に抑制されると共に、血中総コレステロールの上昇が有意に抑制され、EF群とNE群とで有意に肝機能の低下抑制、脂質代謝改善が示唆される結果であった(EF群とNE群とは有意差無し)。
また、ミミズ(シマミミズ)成分を含有していないNE群でも各項目でC群と比べて有意差があったことから、ミミズ(シマミミズ)成分以外の成分に肝機能の低下抑制効果及び脂質代謝改善効果があることが確認できた。
また、図29,30は、腎機能マーカーの測定結果を示すグラフであり、具体的には、図29は、血中尿素窒素(BUN)、図30は、クレアチニンクリアランス(Ccr)の測定結果を示すグラフである。
この腎機能マーカーである血中尿素窒素、クレアチニンクリアランスは、共に糖尿病時に腎機能の指標として用いられている項目であり、血中尿素窒素は、腎臓の濾過機能が低下すると、値が増加することが知られており、また、クレアチニンクリアランスは、腎臓の濾過能力を表すもので、糖尿病性腎症の進行により低下することが知られている項目である。
試験1では、血中尿素窒素の測定結果に有意差はなかったが、本試験では、C群とEF群,NE群との間に有意差(LSD検定、p<0.05)があった。また、クレアチニンクリアランスに関しては、有意差はなかったものの、C群とEF群,NE群との間に有意な傾向があった。
即ち、本試験では、EF群とNE群とにおいて、腎機能マーカーの血中尿素窒素の上昇が有意に抑制されると共に、クレアチニンクリアランスの低下が抑制される傾向があり、EF群とNE群とで腎機能の低下抑制効果を示唆する結果となった(EF群とNE群とは有意差無し)。
また、図31は、尿中アルブミンを測定した結果を示すグラフである。
試験1では、試験開始8週後に有意な差が見られたが、本試験では、試験開始後6週目(13週齢)からC群とEF群、NE群との間に有意差(LSD検定、p<0.05)が生じ、最終的(試験開始10週後)には、各郡間で夫々、有意差(LSD検定、p<0.05)がある結果となった。
具体的には、C群よりもEF群のほうが尿中アルブミンの漏出量が有意に抑制され、更にEF群よりもNE群のほうが尿中アルブミンの漏出量が有意に抑制される結果となった。このことから、ミミズ(シマミミズ)成分以外の成分に尿中アルブミンの漏出を抑制する効果があることが確認できた。
また、図32〜35は、肝臓脂質に関する測定結果を示すグラフであり、図32は、肝臓重量の測定結果を示し、図33は、肝臓総脂質の測定結果を示し、また、図34は、肝臓中のトリグリセリドの重量の測定結果を示し、図35は、肝臓中の総コレステロールの重量の測定結果を示すグラフである。
肝臓重量の測定では、C群とEF群,NE群との間に有意差(LSD検定、p<0.05)があり(EF群とNE群とは有意差無し)、肝臓総脂質の測定では、C群,NE群とEF群との間に有意差(LSD検定、p<0.05)があった(C群とNE群とは有意差無し)。
また、肝臓中のトリグリセリド重量の測定では、C群,NE群とEF群との間に有意差(LSD検定、p<0.05)があり(C群とNE群とは有意差無し)、総コレステロール重量の測定では、各郡間で有意差(LSD検定、p<0.05)がある結果となった。
具体的には、C群よりもNE群のほうが総コレステロールが有意な低値を示し、更にNE群よりもEF群のほうが総コレステロールが有意な低値を示す結果となった。
このことから、ミミズ(シマミミズ)成分に肝臓への脂質の蓄積を抑制する効果があることが確認できた。
また、図36は、ECLTの測定結果を示すグラフであり、図37は、PAI−1の測定結果を示すグラフである。
試験1同様、本試験においても、ECLTの測定結果は、C群とEF群との間に有意差(LSD検定、p<0.05)があり、C群よりもEF群のほうがECLTが低い値を示す結果であった。尚、NE群は、C群、EF群のいずれに対しても有意差無しの結果であった。
また、PAI−1に関しても、試験1同様、C群とEF群との間に有意差(LSD検定、p<0.01)があり、C群よりもEF群のほうがPAI−1が低い値を示し、また、NE群に関しても、EF群と同様に、C群との間に有意差(LSD検定、p<0.01)があり、C群よりもPAI−1が低い値を示す結果であった(EF群とNE群とは有意差無し)。
このECLTとPAI−1の測定結果から、ミミズ(シマミミズ)成分に糖尿病時の線溶機能低下を有意に抑制する効果があることが確認でき、また、ミミズ(シマミミズ)成分以外の成分に線溶阻害因子(PAI−1)を抑制する効果があることが確認できた。
また、図38は、糸球体におけるメサンギウム基質の占有割合を示すグラフである。
試験1同様、C群とEF群との間に有意差(LSD検定、p<0.05)があり、C群よりもEF群のほうが糸球体面積に占めるメサンギウム基質の割合が少ない、即ち、メサンギウム基質の増加が抑制されていることを示す結果であった。
また、本試験では、C群とNE群との間に有意差(LSD検定、p<0.05)があり、更に、このNE群とEF群との間に有意差(LSD検定、p<0.05)があった。即ち、EF群が最もメサンギウム基質の増加が抑制されており、次いで、NE群がメサンギウム基質の増加が抑制されている結果であった。このことから、腎臓の組織構造変化抑制では、ミミズ成分の寄与が大きいことが確認できた。
以上、上述した試験1及び試験2の結果から、本組成物は、糖尿病の合併症を抑制する作用(脂質代謝改善、糖尿病性腎症の進行抑制)を有することが確認できた。
また、肝臓の脂質代謝改善効果、線溶機能の亢進効果、腎臓の組織構造変化の抑制効果は、本組成物中のミミズ(シマミミズ)成分による作用が大きいことが確認でき、腎機能改善効果は、ミミズ(シマミミズ)成分以外の成分(田七人参、発酵蟻、発酵イチョウ葉エキス、発酵液)による作用が大きいことが確認できた。
このように、本組成物は、ミミズ(シマミミズ)、田七人参、発酵蟻、発酵イチョウ葉エキス、発酵液の各成分の作用により、II型糖尿病による脂肪肝及び腎肥大を抑制することができる従来にない画期的なものとなる。
しかも、本組成物は、上述した効果以外に、発酵蟻の作用により抗炎症効果や鎮痛作用も発揮し、糖尿病から生じる種々の疾病を緩和する効果も期待できるものとなる。
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。

Claims (5)

  1. 青果エキスに酵母を接種して得た発酵液により発酵させた発酵ミミズを有効成分として含有することを特徴とする糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物。
  2. 青果エキスに酵母を接種して得た発酵液により発酵させた発酵ミミズを有効成分として含有し、肝臓への中性脂肪の蓄積を抑制する効果を有することを特徴とする糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物。
  3. 請求項1,2いずれか1項に記載の糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物において、前記発酵ミミズは、シマミミズであることを特徴とする糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物。
  4. 青果エキスに酵母を接種して得た発酵液により発酵させた発酵ミミズを有効成分として含有し、線溶機能を亢進させる効果を有することを特徴とする糖尿病による腎肥大を抑制するための組成物。
  5. 請求項4記載の糖尿病による腎肥大を抑制するための組成物において、前記発酵ミミズはシマミミズであることを特徴とする糖尿病による脂肪肝を抑制するための組成物。
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