JP6229916B2 - 電力用水中・水底ケーブル線路 - Google Patents
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Description
最初に、本明細書に用いる用語について説明する。
(1)実施形態に係る水中・水底ケーブル線路は、導体と、導体の外周に設けられた電気絶縁層と、電気絶縁層の外周に設けられたしゃ水層とを備える複数のケーブルコアと、複数のケーブルコアの長手方向の少なくとも一部を一つに纏める一体機構と、を備える。また、この水中・水底ケーブル線路は、複数のケーブルコアが水中に浮遊した状態で布設される浮遊部を有し、浮遊部の少なくとも一端が浮遊設備に接続される。
以下、図面を参照して、実施形態に係る水中・水底ケーブル線路をより詳細に説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。図において、同一符号は、同一名称物を示す。
まず、実施形態に係る水中・水底ケーブル線路に利用される水中・水底ケーブルについて説明する。先に、図1〜図4を参照して、一体機構として周囲部材で纏めた囲い構造を備える形態(形態1〜形態5)を説明し、次に、図5を参照して、一体機構として撚り構造を備える形態(形態6)を説明する。
(複数のケーブルコアを一括する部材)
・周囲部材
複数のケーブルコアが過度にばらけないように纏める機能を有する部材である。
代表的な形状は、環体、筒体(環体よりも長いもの)、螺旋体などが挙げられる。周囲部材には、複数のケーブルコアのそれぞれを相対的にある程度移動可能に纏める部材又は実質的に移動不可能に拘束する部材の他、次述する防護管や収納部材を含む。
・・防護管
複数のケーブルコアを機械的に保護する機能を有する。
周囲部材のうち、特に、筒体、螺旋体といった、内部に複数のケーブルコアを収納可能なものが挙げられる。
収納対象は、ジャケット(後述)や個別がい装(後述)を有していないケーブルコアが挙げられる。
・・収納部材
周囲部材のうち、特に、筒体といった、内部に複数のケーブルコアを収納可能なものが挙げられる。
収納対象は、ジャケット(後述)を備えるケーブルコアや、個別がい装(後述)を備えるケーブルコアが挙げられる。
(各ケーブルコアにそれぞれ個別に配置される部材)
・個別がい装
金属及び非金属の少なくとも一方からなる線材を所定のピッチで巻回して形成されるものとする。
従来の鉄線がい装と同程度の機械的強度(特に布設時の張力を確保可能な抗張力など)と、防護機能(投錨などによる外傷防止、及びその他の外因からの機械的保護)とを備え、剛性が比較的高い。
・ジャケット
金属及び非金属の少なくとも一方からなる帯状材を巻回して形成されるものとする。
防護機能(特に投錨以外の外因からの機械的保護)を備え、上記個別がい装を備えるケーブルコアに比較して柔軟性に優れ、曲げ易い。
<全体構成>
形態1に係る水中・水底ケーブル1は、図1に示すように、複数のケーブルコア10と、複数のケーブルコア10の長手方向の少なくとも一部を一つに纏める周囲部材20とを備える。以下、ケーブルコア10及び周囲部材20の概要を説明し、一具体例としてケーブルコア10A及び環体の結束部材20Aを説明し、最後に周囲部材20を備える水中・水底ケーブル1の製造方法・布設方法の一例を説明する。
周囲部材20を備える水中・水底ケーブル1は、複数のケーブルコア10を用意し、これらのケーブルコア10を並べた状態で、長手方向の適宜な箇所に周囲部材20を取り付けるなどすることで製造することができる。特に、周囲部材20の取り付けは、布設現場にて、布設時に行うことができる。具体的には、まず、各ケーブルコア10をそれぞれ巻き取ったドラムを用意して、これらのドラム(この場合では3つのドラム)を布設現場に搬送する。そして、これらのドラムをそれぞれ陸上に据付け(又は適宜な船に載置し)、各ドラムからそれぞれケーブルコア10を繰り出して、繰り出した複数のケーブルコア10を並べると共に、適宜、周囲部材20を取り付けるなどして、水中・水底ケーブル1を形成しながら布設する。布設するときは、例えば、水中・水底ケーブル1にブイ(図示せず)などを適宜取り付けて、水中・水底ケーブル1を海などの水面に浮かべていき、適宜ブイを取り外して、水中・水底ケーブル1を沈める。
形態1の水中・水底ケーブル1は、並列された複数のケーブルコア10の群の外周に、複数のケーブルコアを一括した従来の鉄線がい装・介在等を備えていないため、ケーブルコア10同士が相対的にある程度動くことができる。従って、形態1の水中・水底ケーブル1は、曲げ歪みや繰り返し曲げに伴う歪み変化を小さくすることができて、疲労特性に優れる。特に、図1に示す水中・水底ケーブル1Aでは、環体の周囲部材20としていることで、筒体など備える場合と比較して、周囲部材20間に存在する各ケーブルコア10が相対的に動き易く、曲げや上述の追従動作などがより行い易いと期待される。水中・水底ケーブル1は、従来の鉄線がい装・介在等を備える多心一括型の水底ケーブルのケーブル外径と比較してケーブル外径が小さいことからも、曲げ歪みや歪み変化を小さくすることができる。
別の形態の水中・水底ケーブルとして、ケーブルコア10Aとは異なる構成のケーブルコアを備える形態を説明する。このケーブルコアは、それ自身が投錨などの外力に対する保護部材を備える。例えば、複数のケーブルコアのうち、少なくとも1本のケーブルコアが、しゃ水層の外周に個別がい装を備える。この個別がい装は、金属及び非金属の少なくとも一方からなる線材を所定のピッチで巻回して形成される。より具体的には、図2に示すケーブルコア10Bのように、内側から順に、導体101と、電気絶縁層102と、しゃ水層103とを備え、更に、その外周(直上でなくてもよい)に個別がい装12Bを備える形態が挙げられる。この形態の水中・水底ケーブルは、ケーブルコア10Bが個別がい装12Bを備える以外の点は、形態1と同様の構成とすることができるため、以下、個別がい装12Bを詳細に説明する。
機械的に保護可能な部材を備える別の形態のケーブルコアとして、ケーブルコア10Aとは異なる構成のケーブルコアを備える形態を説明する。このケーブルコアは、ジャケットを備える。具体的には、複数のケーブルコアのうち、少なくとも1本のケーブルコアが、しゃ水層の外周にケーブルコアを機械的に保護するジャケットを備える。このジャケットは、金属及び非金属の少なくとも一方からなる帯状材を巻回又は縦添えして形成される。より具体的には、図2に示すケーブルコア10Cのように、内側から順に、導体101と、電気絶縁層102と、しゃ水層103とを備え、更に、その外周(直上でなくてもよい)にジャケット14Cを備える形態が挙げられる。この形態の水中・水底ケーブルは、ケーブルコア10Cがジャケット14Cを備える以外の点は、形態1と同様の構成とすることができるため、以下、ジャケット14Cを詳細に説明する。
複数のケーブルコアを纏める周囲部材20を備える別の形態として、図3に示す水中・水底ケーブル1Dのように、筒体の周囲部材として、収納部材20Dを備える形態を説明する。この形態の水中・水底ケーブル1Dは、周囲部材が筒体である以外の点は、形態1〜3と同様の構成とすることができるため、以下、収納部材20Dを詳細に説明する。
複数のケーブルコアを纏める筒体を備える別の形態として、図4に示す水中・水底ケーブル1Eのように、防護管20Eを備える形態を説明する。この形態の水中・水底ケーブル1Eは、結束部材20Aに代えて防護管20Eを備える以外の点は、形態1と同様の構成とすることができるため、以下、防護管20Eを詳細に説明する。
<全体構成>
別の形態の水中・水底ケーブルとして、図5に示す水中・水底ケーブル1Fのように、複数のケーブルコア10(図5ではケーブルコア10A)が撚り合わせられた撚り構造である形態を説明する。
形態6の水中・水底ケーブル1Fは、工場などで、複数のケーブルコア10(10A,10B,10C)を撚り合わせることで製造することができる。そして、撚り合わせ体を巻き取ったドラムを用意して、このドラムを布設現場に搬送し、ドラムを陸上に据付け(又は適宜な船に載置し)、ドラムから撚り合わせ体を繰り出して布設する。布設するときは、例えば、撚り合わせ体にブイ(図示せず)などを適宜取り付けて、水中・水底ケーブル1Fを海などの水面に浮かべていき、適宜ブイを取り外して、水中・水底ケーブル1Fを沈める。
形態6の水中・水底ケーブル1Fは、複数のケーブルコア10の撚り合わせ体であり、従来の鉄線がい装・介在等を備えていないため、ケーブルコア10同士が相対的にある程度動くことができる。従って、形態6の水中・水底ケーブル1Fは、例えば、曲げ歪みや繰り返し曲げに伴う歪み変化を小さくすることができる。特に、形態6の水中・水底ケーブル1Fは、撚り構造(撚り合わせ体)であること自体でも、曲げに対してケーブルコア10に加わる外側の伸び歪みと内側の圧縮歪みとが打ち消し合うように働くことから、曲げ歪みや繰り返し曲げに伴う歪み変化をより小さくできる。また、水中・水底ケーブル1Fのケーブル外径は、撚り合わせ体の包絡円の直径となり、従来の鉄線がい装・介在等を備える多心一括型の水底ケーブルのケーブル外径と比較して小さいことからも、曲げ歪みや歪み変化を小さくすることができる。よって、形態6の水中・水底ケーブル1Fは、曲げなどの機械的履歴による性能劣化をより抑制できると期待される。更に、形態6の水中・水底ケーブル1Fは、撚り合わせ体であることから、上述の追従動作や曲げなどがより行い易いと期待される。
上述した形態1〜6の水中・水底ケーブルの変形例として、例えば、以下の構成の少なくとも一つを備える形態が挙げられる。
・複数のケーブルコアに加えて、張力を負担するテンションメンバを備える構成。
・複数のケーブルコアの群を周囲部材で纏めた囲み構造体及び複数のケーブルコアを撚り合わせた撚り構造体の少なくとも一方と、少なくとも1本のケーブルコア(少なくとも一つの囲み構造体、又は少なくとも一つの撚り構造体でもよい)とを周囲部材で更に纏めた部分を有する構成。
上述した形態1〜形態6の水中・水底ケーブルは、海底などの水底や海中などの水中に布設される水底ケーブル線路や水中ケーブル線路の構築に利用することができる。以下、実施形態に係る水中・水底ケーブル線路を説明する。なお、以下に説明する実施形態の水中・水底ケーブル線路では、ケーブル線路に接続される浮遊設備として、代表的に、海上に浮遊する水上浮遊設備の場合を例に挙げ説明する。
図6に示す水中・水底ケーブル線路は、水中・水底ケーブル1が海上に浮遊する浮遊設備60(例、洋上プラントや浮体式風力発電機など)と陸上設備200との間を電気的に接続するために布設され、ケーブル1(複数のケーブルコア)が海中に浮遊した状態で布設される浮遊部2を有し、浮遊部2の一端側が浮遊設備60に接続されている。一例としては、水中・水底ケーブル線路は、陸地Gから浮遊設備60に向けて布設される。図6に示す水中・水底ケーブル線路は、海底に沿って付設される着底部3と、浮遊部2を有し、陸地Gに設けられた陸上設備200(例、変電所など)と浮遊設備60との間をつないでいる。浮遊部2は、浮遊設備60の近傍に設けられ、水中・水底ケーブル1の中間部を水中中間ブイ70になどによって浮遊させ、水中中間ブイ70を介してS字状などのスラック(弛み)を設ける。この弛みは、潮の満干や波浪、台風の接近などによる上下左右移動やローリング、ピッチングなどの浮遊設備60の種々の挙動に対して、水中・水底ケーブル1自身の線形の変形でその動きを吸収できるように設けられる。
浮遊部2についてより具体的に詳しく説明する。例えば図7に示す水中・水底ケーブル線路は、形態1で説明した周囲部材20を備える水中・水底ケーブル1A(図1)で構成されており、浮遊部2αを有する。上述したように、形態1の水中・水底ケーブル1は、複数のケーブルコアを一括する従来の鉄線がい装・介在等を備えていないため、ケーブルコア10同士が相対的にある程度動くことを許容できる。そのため、潮の満干や波浪、台風の接近などによる浮遊設備60の挙動などに対して、浮遊部2αに設けた弛み形状の変形によって追従しても、浮遊設備60の挙動などにより生じる繰り返し曲げに伴う歪み変化を小さくすることができる。或いは、その追従に必要な弛み(S字状などに設けられたスラック)を小さくできる。また、水中中間ブイ70の規模の縮小を図ることもできる。
図8を参照して、浮遊部の別の一例を説明する。図8に示す水中・水底ケーブル線路は、浮遊部2βの一端側で各ケーブルコア10が分離されている以外の点は、図7に示す実施例1の浮遊部2αと同様の構成であるため、以下、相違点を中心に説明する。
図9を参照して、水中・水底ケーブル線路の別の形態を説明する。図9に示す水中・水底ケーブル線路は、形態6で説明した撚り構造の水中・水底ケーブル1F(図5)で構成されており、浮遊部2γを有する。上述したように、形態6の水中・水底ケーブル1は、複数のケーブルコアを一括する従来の鉄線がい装・介在等を備えていないため、ケーブルコア10同士が相対的にある程度動くことを許容できる。従って、浮遊部2γにおいて、曲げ歪みや繰り返し曲げに伴う歪み変化を小さくすることができる。特に、撚り構造であれば、曲げ歪みや繰り返し曲げに伴う歪み変化をより小さくできる。或いは、浮遊設備60の挙動などに追従するために必要な上記した弛みをより小さくできる。浮遊設備60の挙動が小さい環境であれば、実施例3の形態を利用すると、この弛みを省略することができる場合がある。よって、水中中間ブイ70の規模の縮小や、環境条件によっては水中中間ブイ70の省略を図ることもできる。浮遊部2γにおいて、適宜、ケーブルコア10の撚り構造の外周に周囲部材(例、形態1で説明した結束部材20A(図1)や形態4で説明した収納部材20D(図3)など)を取り付けてもよい(後述する実施例4の浮遊部2δにおいても同様)。
図10を参照して、浮遊部の別の一例を説明する。図10に示す水中・水底ケーブル線路は、浮遊部2δの一端側で各ケーブルコア10が分離されている以外の点は、図9に示す実施例3の浮遊部2γと同様の構成であるため、以下、相違点を中心に説明する。
図11を参照して、浮遊部の別の一例を説明する。図11に示す水中・水底ケーブル線路は、浮遊部2εの一端側で、ケーブルコア10の撚りにゆとり(弛み)が設けられている以外の点は、図9に示す実施例3の浮遊部2γと同様の構成であるため、以下、相違点を中心に説明する。
2,2α,2β,2γ,2δ,2ε 浮遊部
3 着底部
10,10A,10B,10C ケーブルコア
101 導体 102 電気絶縁層 103 しゃ水層
12B 個別がい装 14C ジャケット
20 周囲部材 20A 結束部材 20D 収納部材 20E 防護管
60 浮遊設備 70 水中中間ブイ
80 ばらけ防止部材
G 陸地 200 陸上設備
Claims (6)
- 導体と、前記導体の外周に設けられた電気絶縁層と、前記電気絶縁層の外周に設けられたしゃ水層とを備える複数のケーブルコアと、
前記複数のケーブルコアの長手方向の少なくとも一部を一つに纏める一体機構と、を備え、
前記一体機構は、前記複数のケーブルコアの外周を周囲部材で纏めた囲い構造であり(但し、前記複数のケーブルコアを一括するがい装、及び前記ケーブルコアの撚り合わせた隙間を埋める介在を除く)、
前記複数のケーブルコアが水中に浮遊した状態で布設される浮遊部を有し、前記浮遊部の少なくとも一端が浮遊設備に接続される電力用水中・水底ケーブル線路。 - 前記周囲部材が、前記複数のケーブルコアに対してその長手方向に間隔をあけて設けられている請求項1に記載の電力用水中・水底ケーブル線路。
- 前記複数のケーブルコアが撚り合わせられた撚り構造である請求項1又は請求項2に記載の電力用水中・水底ケーブル線路。
- 前記浮遊部は、ブイによって水中に浮遊した状態で布設され、
前記浮遊部のうち、前記ブイと前記浮遊設備との間の区間が一端側であり、それ以外の残部側に前記一体機構を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力用水中・水底ケーブル線路。 - 前記浮遊部の一端側は、前記一体機構を備えておらず、前記各ケーブルコアが分離されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電力用水中・水底ケーブル線路。
- 前記浮遊部の一端側も、前記一体機構を備える請求項4に記載の電力用水中・水底ケーブル線路。
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