JP6222476B2 - 車両の走行ライン生成装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、燃費向上に寄与するために、道路境界線の条件を含む拘束条件を満たしている状態で、ブレーキ減速放熱総量の評価を含む評価関数によって収束演算を行って走行軌跡を導出することにより、走行路全体として減速をできるだけ抑え、放熱によるエネルギ損失を抑えた走行軌跡を生成する走行軌跡生成方法が記載されている。
また、特許文献2には、道路境界線の条件を含む拘束条件を満たしている状態で、速度の分散の評価を含む評価関数によって収束演算を行って走行軌跡を導出することにより、走行路全体で加減速をできるだけ抑え、車速のばらつきの少ない走行軌跡を生成し、最高速度の上昇による空気抵抗の増加を抑えた走行軌跡生成方法が記載されている。
このように構成された本発明においては、目標ヨーレート設定手段は、車速が高く目標ヨーレートを大きくすると操舵角が増大し易いカーブの開始位置及び終了位置の近傍では目標ヨーレートを小さい値に抑えて操舵角の増大を抑制し、車速が低く目標ヨーレートを大きくしても操舵角の増大を抑制できる中間位置近傍では目標ヨーレートを大きい値にして車両を効率的に旋回させることによって、カーブの通過に要する時間を延ばすことなくタイヤに発生するコーナリング抵抗を低減することができると共に、目標加速度が負の値の区間ではタイヤに発生するコーナリング抵抗を車両の減速に利用することができるので、コーナリング抵抗によるエネルギーロスを低減することができ、これにより、カーブへの進入から脱出に至る燃費に優れた走行ラインを生成することができる。
このように構成された本発明においては、カーブの形状に合わせて目標ヨーレートを設定することができ、カーブをスムーズに旋回しつつコーナリング抵抗によるエネルギーロスを低減することが可能な走行ラインを生成することができる。
このように構成された本発明においては、目標ヨーレートが最大値となる中間位置において車速を最小として操舵角の増大を抑制することができ、カーブをスムーズに旋回しつつコーナリング抵抗によるエネルギーロスを低減することが可能な走行ラインを生成することができる。
まず、図1により、本発明の実施形態による車両の走行ライン生成装置を搭載する車両について説明する。図1は、本発明の実施形態による車両の走行ライン生成装置を搭載した車両の電気的構成を示すブロック図である。
図2は、本発明の実施形態による車両1の走行ライン生成装置が走行ラインを生成するカーブの一例を示す平面図であり、図3は、本発明の実施形態による車両1の走行ライン生成装置が実行する走行ライン生成処理のフローチャートであり、図4は、本発明の実施形態による車両1の走行ライン生成装置により設定された加減速度制御曲線及びヨーレート制御曲線を示す線図であり、図5は、カーブの勾配に応じて補正された図4のヨーレート制御曲線を示す線図である。
例えば、カーブ形状情報取得部16は、ステップS1において読み込んだ地図データから、車両1の走行経路において曲率半径Rが300m以下である範囲を、走行ライン40の生成対象となるカーブ38として特定する。そして、特定したカーブ38の各ノードにおける曲率半径を地図データに基づいて取得する。
例えば、カーブ形状情報取得部16は、ステップS2において特定した走行ライン40の生成対象となるカーブ38の各ノードにおける路面勾配を地図データに基づいて取得する。
例えば、目標ヨーレート補正部24は、車両1の重心位置と、ステップS3において取得した走行ライン40の生成対象となるカーブ38の各ノードにおける路面勾配とに基づき、カーブ38の各ノードにおいて車両1の前輪に加わる荷重Wfslopeを、下記式により算出する。
Wfslope=mg(lrcosθ−hsinθ)/l ・・・(1)
ここで、mは車両重量、gは重力加速度、lは前後軸間距離、lrは後軸‐重心点間距離、hは重心点の高さ、θは路面勾配である。
例えば、目標ヨーレート補正部24は、カーブ38の各ノードにおけるヨーレート補正係数Kslopeを、下記式により算出する。
Kslope=(lrcosθ−hsinθ)/lr ・・・(2)
即ち、ヨーレート補正係数Kslopeは、路面が上り勾配(θが正)の場合には1未満となり、路面が下り勾配(θが負)の場合には1より大きくなる。
例えば、目標加減速度設定部20は、タイヤの摩擦特性の線形領域において一定車速で旋回中に車両1に発生させることのできる横加速度の最大値(例えば4m/s2)を、最大横加速度Gymaxとして決定する。また、旋回開始位置における車両1の進行方向の加減速度Gxentを最大横加速度Gymaxと等しい大きさの最大減速度(例えば4m/s2)に設定し、旋回終了位置における車両1の進行方向の加減速度Gxextを、車両1が達成可能な最大加速度(例えば2m/s2)に設定する。
例えば、目標加減速度設定部20は、カーブ38の曲率半径最小位置において最大横加速度Gymaxを発生させた場合の車速を、初速Ventの初期値として設定する。また、目標加減速度設定部20は、カーブ38の曲率半径最小位置を、車両1の進行方向の加減速度Gxを0にする中間位置の初期値として設定する。また、目標ヨーレート設定部22は、カーブ38の曲率半径最小位置において最大横加速度Gymaxを発生させた場合のヨーレートを、目標ヨーレートの最大値γmaxの初期値として設定する。
具体的には、目標加減速度設定部20は、カーブ38における旋回開始位置から中間位置までの区間において車両1の進行方向の減速度がGxextから0まで単調減少するように、且つ、カーブ38における中間位置から旋回終了位置までの区間において車両1の進行方向の加速度が0からGxextまで単調増加するように、加減速度制御曲線を設定する。即ち、車両1が進行方向に加速する場合の加速度を正、減速する場合の加速度を負とした場合、車両1の進行方向の加速度がカーブ38の開始位置から終了位置へ向かうにつれて負の値から正の値へ単調増加するように加減速度制御曲線を設定する。
具体的には、目標ヨーレート設定部22は、カーブ38における旋回開始位置から中間位置までの区間において目標ヨーレートが0からγmaxまで単調増加するように、且つ、カーブ38における中間位置から旋回終了位置までの区間において目標ヨーレートがγmaxから0まで単調減少するように設定する。
具体的には、目標ヨーレート補正部24は、ステップS8において設定したヨーレート制御曲線に、ステップS5において決定したヨーレート補正係数Kslopeを乗算する。上述したように、ヨーレート補正係数Kslopeは、路面が上り勾配(θが正)の場合には1未満となり、路面が下り勾配(θが負)の場合には1より大きくなっているので、目標ヨーレート補正部24は、カーブ38における上り勾配の区間では、目標ヨーレートを減少させるように補正し、下り勾配の区間では、目標ヨーレートを増加させるように補正することになる。
例えば、生成ライン評価部26は、下記式により定義される評価関数Jを算出する。
J=(||RP||−R)2+(Oyext)2+(OΨext)2
ここで、RPはカーブ38の車線内側端を形成する円弧の中心から車両1の走行ライン40までの最短距離、Rはカーブ38の車線内側端を形成する円弧の半径、Oy(γ=0,t≠0)は旋回終了位置における車線外側端から車両1の走行ライン40までの距離、OΨextは旋回終了位置における車線外側端の方向と車両1の走行ライン40の方向とが成す角度である。
以降、ステップS7からS11までを繰り返すことにより、ステップS11において評価関数Jが予め設定した目標値未満となるように収束演算を行う。
図4は、本発明の実施形態による車両1の走行ライン生成装置により設定された加減速度制御曲線及びヨーレート制御曲線を例示する線図であり、図4(a)は目標ヨーレート設定部22により設定されたヨーレート制御曲線を示す線図、図4(b)は目標加減速度設定部20により設定された加減速度制御曲線を示す線図、図4(c)は車両1が図4(a)のヨーレート制御曲線及び図4(b)の加減速度制御曲線に従ってカーブ38を走行した場合にタイヤに発生するコーナリング抵抗を示す線図、図4(d)は図4(c)に示したコーナリング抵抗により発生したエネルギーロスを示す線図である。この図4の各線図において、実線は、走行ライン生成装置により生成された走行ライン40による値を示し、点線は、走行ライン生成装置により生成された走行ライン40による所要時間と同一の所要時間で同じカーブ38を定常円旋回(車速一定且つヨーレート一定)した場合における値を示している。また、図4の各線図における横軸は、カーブ38における旋回開始位置からの距離を示し、図4(a)の縦軸は反時計回りのヨーレートを示し、図4(b)の縦軸は車両1の進行方向の加速度(加速が正、減速が負)を示し、図4(c)の縦軸はタイヤに発生するコーナリング抵抗を示し、図4(d)の縦軸はコーナリング抵抗により生じるエネルギーロスを示す。
また、図5は、カーブ38の勾配に応じて補正された図4(a)のヨーレート制御曲線を示す線図であり、図5(a)はカーブ38の勾配を示す線図、図5(b)はカーブ38の勾配に応じて補正された図4(a)のヨーレート制御曲線を示す線図である。この図5の各線図における横軸は、カーブ38における旋回開始位置からの距離を示し、図5(a)の縦軸はカーブ38の勾配(上りが正、下りが負)を示し、図5(b)の縦軸は反時計回りのヨーレートを示す。
また、目標加減速度設定部20により設定された加減速度制御曲線では、図4(b)に示すように、カーブ38における旋回開始位置から中間位置までの区間において車両1の進行方向の減速度がGxextから0まで単調減少し、且つ、カーブ38における中間位置から旋回終了位置までの区間において車両1の進行方向の加速度が0からGxextまで単調増加する。即ち、車両1が進行方向に加速する場合の加速度を正、減速する場合の加速度を負とした場合、車両1の進行方向の加速度がカーブ38の開始位置から終了位置へ向かうにつれて単調増加する。
また、図4(c)に示すように、目標ヨーレート設定部22により設定されたヨーレートに応じてタイヤに発生するコーナリング抵抗の最大値は、定常円旋回において発生するコーナリング抵抗より大きいが、図4(c)に示したコーナリング抵抗が図4(b)に示した加減速度制御曲線における減速度を達成するために要求される制動力以上又は加減速度制御曲線において加速度が正の区間(図4では位置Aから旋回終了位置までの区間)においてタイヤに発生するコーナリング抵抗の総量は、定常円旋回の場合に同区間で発生するコーナリング抵抗の総量よりも小さい。従って、図4(d)に示すように、車両1が走行ライン生成装置により設定された加減速度制御曲線及びヨーレート制御曲線に従ってカーブ38を走行した場合に発生するコーナリング抵抗によるエネルギーロスは、定常円旋回をした場合のエネルギーロスと比較して大幅に低減される。
即ち、カーブ38における上り勾配の区間では、前輪の荷重が減少することによりタイヤのコーナリングフォースが減少するが、目標ヨーレートが減少側に補正されているので、目標ヨーレートを達成するために必要となる操舵角の増大が抑制され、これにより、コーナリング抵抗の増加が抑制される。
一方、カーブ38における下り勾配の区間では、前輪の荷重が増加することによりタイヤのコーナリングフォースが増大するが、目標ヨーレートが増加側に補正されているので、目標ヨーレートを達成するために必要となる操舵角を維持しつつ、より早い旋回を実現することができ、これにより、上り勾配の区間における目標ヨーレートの減少を補うことができる。
上述した実施形態においては、車両1の走行ライン生成装置を搭載する車両1は、動力源としてガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃エンジン28を搭載する場合を例として説明したが、これらのエンジン28に代えて、あるいはこれらのエンジン28と共に、動力源として車両1にバッテリ及びモータを搭載してもよい。この場合、加減速制御部32は、加減速制御処理において設定された加減速度制御曲線に従って、車両1のモータ及びブレーキ30を制御する。
また、上述した実施形態において、目標ヨーレート設定部22は、ヨーレート制御曲線が直線状になるように目標ヨーレートを設定しているが、車両1の進行方向の加速度がカーブ38の開始位置から終了位置へ向かうにつれて単調増加する限りにおいて、加減速度制御曲線が例えばcosカーブのような曲線状に目標加減速度を設定してもよい。
2 車外カメラ
4 地図データベース
6 GPS
8 車速センサ
10 加速度センサ
12 ヨーレートセンサ
14 ECU
16 カーブ形状情報取得部
18 最大横加速度取得部
20 目標加減速度設定部
22 目標ヨーレート設定部
24 目標ヨーレート補正部
26 生成ライン評価部
28 エンジン
30 ブレーキ
32 加減速制御部
34 電動パワーステアリング
36 ステアリングトルクコントローラ
38 カーブ
40 走行ライン
Claims (3)
- カーブへの進入から脱出に至る車両の走行ラインを生成する走行ライン生成装置であって、
カーブの形状情報を取得するカーブ形状情報取得手段と、
上記カーブの形状情報に基づき特定された上記カーブの開始位置と終了位置との間における車両の進行方向の目標加速度を、上記カーブの開始位置から終了位置へ向かうにつれて負の値から正の値へ単調増加するように設定する目標加速度設定手段と、
上記カーブの開始位置と終了位置との間における車両の目標ヨーレートを、上記カーブの開始位置から上記カーブの開始位置と終了位置との間にある中間位置へ向かうにつれて単調増加し、この中間位置から上記カーブの終了位置へ向かうにつれて単調減少するように設定する目標ヨーレート設定手段と、を有し、
上記目標加速度設定手段及び上記目標ヨーレート設定手段は、設定した上記目標加速度及び上記目標ヨーレートにより表される車両の走行ラインが、上記カーブの車線内側端と車線外側端との間に位置するように、上記目標加速度及び上記目標ヨーレートを設定することを特徴とする車両の走行ライン生成装置。 - 上記目標ヨーレート設定手段は、上記カーブの曲率半径最小位置を上記中間位置とする請求項1に記載の車両の走行ライン生成装置。
- 上記目標加速度設定手段は、上記中間位置における上記目標加速度を0に設定する請求項1又は2に記載の車両の走行ライン生成装置。
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