以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同じ構成要素については同じ符号を付しているので説明を省略する場合がある。また、図面中に示されるX軸、Y軸およびZ軸はそれぞれ直交する方向である。ここで、Z軸は上下にあたる鉛直方向であり、各図の座標軸はそれぞれの視野の方向に対応するように描いている。
(実施の形態1)
<レーザ加工システムの主要構成>
図1は本実施の形態に係るレーザ加工システムの概略構成図である。
レーザ加工システム999は、レーザ発振器200と、アクチュエータ210と、レーザ出射ヘッド220と、制御部230と、位置・出力算出部240と、出力信号記憶部250とを備える。
レーザ発振器200は、回折格子を介してレーザ発振させることで、複数のレーザ発信源を異なる波長で発信させ、かつ、同一の光軸に就航させる波長合成レーザを用いている。このレーザ発振器の特徴は、BPPが100μm程度のシリコンファイバに導光できるほど小さく、多数のレーザ発信源によって大出力が得られることにある。一般に、1つの波長合成で500W〜1KWのレーザ出力が得られ、これを更に複数個合成することで2KW〜6KWの出力にしている。
アクチュエータ210は、6軸を自由に動かすことができ、制御部230からの制御信号により所定の位置へ繰り返し精度約0.08mmの精度で移動することができる。
レーザ出射ヘッド220は、アクチュエータ210の先端にとりつけられており、レーザ伝送ファイバ260がその後端に装着されている。レーザ伝送ファイバ260より照射されたレーザ光をf70のコリメーションレンズとf500の集光レンズによって集光径を約7倍に拡大した形でレーザ光を出射する。
また、レンズの下部には二つの平行平板を設けており、その二つの平行平板を回転させることでレーザ光の進行方向に垂直な平面においてレーザ光の位置をΦ16mmの領域内で自由に移動させることができる(トレパニング動作と呼ぶ)。また平行平板の下部には保護レンズが保護レンズホルダーに装着された形で配置されている。
制御部230は、レーザ発振器200と、アクチュエータ210と、レーザ出力測定装置100とを一括して制御している。
位置・出力算出部240は、あらかじめ算出しておいた、レーザ出力測定装置100での出力信号から、実際のレーザ出力と実際のレーザ照射位置のズレ量を逆算するための較正式を用いて、実際のレーザ出力と実際のレーザ照射位置のズレ量を求めるための計算回路である。
出力信号記憶部250は、レーザ出力測定装置100にレーザを照射した際に測定される出力信号を記憶する。ここに記憶された出力信号と、実際のレーザ出射ヘッド220から照射されるレーザ出力やレーザ照射位置の関係より、出力信号から実際の出力と位置を算出する較正式が作られる。
レーザ伝送ファイバ260はレーザ発振器200より出射されたレーザ光を装着先のレーザ出射ヘッド220まで伝送するファイバであり、コア径が100umであるダブルクラッドファイバである。
<レーザ出力測定装置の詳細な構成>
さらに、本願発明のレーザ出力測定装置について、その構成を詳細に説明する。
図2は本実施の形態に係るレーザ出力装置の詳細な構成を示す構成図である。図2(a)は上面Z軸方向から見た平面図、図2(b)は側面視野の断面図を示している。
レーザ出力測定装置100は、入力光量減少部110と、集光レンズ120と、光量測定部130と、開閉シャッター部140と、保護ガラス部150と、筐体部170とを備える。
入力光量減少部110は、レーザ出力測定装置100に入力されたレーザ光の光量を減少させるもので、第1の部分反射ミラー111と、第2の部分反射ミラー112と、部分透過フィルタ113と、第1のダンパー部114と、ダンパウィンドウ116と、と、第2のダンパー部118と、水循環用配管部119とを備えている。
第1の部分反射ミラー111は入射レーザ光160に対して45°の角度で配置されており、入射レーザ光160の波長に対する反射率は90〜99.5%であり、より好ましくは99.0%ある。その反射率分を反射し、残りを透過させる。材質は石英であり、レーザ入射側の表面には保護膜が施されている。
第2の部分反射ミラー112は第1の部分反射ミラーと同様に入射レーザ光160に対して45°の角度で配置されており、また、第1の部分反射ミラー111でのZ方向に垂直な平面での屈折によるレーザの移動量分だけその平面内に移動させた位置に配置されている。入射レーザ光160の波長に対する反射率は90〜99.5%であり、より好ましくは99.0%ある。その反射率分を反射し、残りを透過させる。材質は石英であり、レーザ入射側の表面には保護膜が施されている。
部分透過フィルタ113はZ方向に対して垂直な平面内かつ、第2の部分反射ミラー112でのZ方向に垂直な平面での屈折によるレーザの移動量分だけその平面内に移動させた位置に配置されている。2nd部分反射ミラー透過レーザ光162の波長に対して透過光の出力を光量検出範囲132の最大受光可能出力以下にさせるような透過率を持ち、その所定の透過率分を透過させ、残りは吸収または反射する。材質は石英である。
第1のダンパー部114は、第1の部分反射ミラー111で反射されたレーザ光がその開口部の中心に入射する位置に配置され、反射レーザ光を受光し、減衰させたうえで吸収するもので、水115で満たされており、円錐形状部117と、水循環用配管部119とを備える。
円錐形状部117は第1の部分反射ミラー111からの反射光を水115内に拡散させるもので、円錐上の形状を持ち、頂点が第1の部分反射ミラー111からの反射光に対して正対するように配置されている。
水循環用配管部119は、第1のダンパー部114内に満たされる水115を循環させており、114の光量減衰性能を上げている。
ダンパウィンドウ116は第1の部分反射ミラー側に反射防止膜を備えており、第1のダンパー部114の第1の部分反射ミラー側に取付けられておりと第1の部分反射ミラー111と第1のダンパー部114との空間を仕切る。また、第1のダンパー部内に満たされた水の蓋の役割もある。材質は石英である。
第2のダンパー部は、第2の部分反射ミラー112で反射されたレーザ光を受光し、吸収するものであり、第2の部分反射ミラー112からの反射光に対して正対するように配置され、反射防止のため表面を黒アルマイト処理されている。
集光レンズ120は、平凸レンズで材質はBK7であり、部分透過フィルタ113の下部の、自身へ入射する部分透過フィルタ透過レーザ光163が透過後に所定の位置に所定の集光系で集光するような任意の位置へ配置される。
光量測定部130は、自身の光量検出範囲内に入射したレーザ光の出力を測定するもので、光量検出範囲132内に第1の光量検出部131aと、第2の光量検出部131bと、第3の光量検出部131cと、第4の光量検出部131dとを備えている。
光量検出部131a〜131dは各々所定の出力範囲内のレーザ光の出力を測定できるフォトダイオードである。隙間なく並べた際に、円になるようにすべてが扇型の形状を持っている。
開閉シャッター部140は、レーザ出力測定装置100を不使用時に外部からのゴミが侵入するのを防ぐもので、シャッター141と、シャッター開閉機構部142と、樹脂製リング143とを備えている。
シャッター141は側面視でL字型の形状をしており。シャッター開閉機構部142によって開閉される。
シャッター開閉機構部142はロータリーソレノイドを用いており、ロータリーソレノイドがONの際にシャッター141が開の方向へ回転するようにシャッター141と治具を通じて接続されている。
保護ガラス部150は、レーザ出力測定装置100において開閉シャッター部140のシャッター141が開の際に、内部へ外部からゴミ等が侵入するのを防ぐもので、保護ガラス151と、保護ガラスホルダー152と、ホルダー挿入部153とを備えている。
保護ガラス151は、円形の形状をしており、材質は石英である。
保護ガラスホルダー152は保護ガラスを保持できる構造をしており、ホルダー挿入部153に簡易に挿入できる形状をしている。
ホルダー挿入部153は保護ガラスホルダー152が簡易に挿入でき、かつ十分に固定される形状をしている。
筐体部170は、レーザ出力測定装置100が備える上記各構成を覆う外部からのカバーであり、その上面に第1の基準位置設定用目印181aと、第2の基準位置設定用目印181bとを備えている。
<レーザ加工システムの動作>
以上のように構成された本発明のレーザ加工システムの動作について図面を用いて説明する。
まず定期チェック工程(詳細は後述)を実施する。定期チェック工程で問題がなければ、実際の加工工程に移る。
加工工程は、図1において、レーザ加工システムの制御部230が加工開始の信号を受けると、まず、アクチュエータ210がその先に装着されているレーザ出射ヘッド220を任意の狙い位置へと移動させる。
次に、移動完了と共に、指令によって設定された任意の出力レーザ光がレーザ発振器200からレーザ伝送ファイバ260を経由してレーザ出射ヘッドより任意の狙い位置(加工点)へと照射され、加工指令のパターンによってレーザ光を照射したまま220を任意の軌道で移動させて加工を行ったり、あるいは設定したスポット点毎にレーザ光を照射して加工を行ったりする。
<入射レーザ光測定工程とそれによる定期チェック工程>
加工を行う際、ある設定出力である狙い位置へレーザ光を照射するというこの加工指令パターンにおける実際のレーザ出力強度と照射位置が設定出力と狙い位置に対してズレなく正しいもの、すなわち狙っている加工指令パターン通りに正しく加工ができているどうか定期的に確認を行う。
この入射レーザ光の出力強度と狙い位置を測定する工程を入射レーザ光測定工程とし、更にこの入射レーザ出力測定工程を用いて出力強度と狙い位置が所望のものであり、正しい加工が実現できるか否かを確認する工程をさらに定期チェック工程と呼ぶ。以下でこれらの工程を順に説明する。
まず、入射レーザ光測定工程の動作は以下の通りである。
加工時と同様な手順でレーザ出射ヘッドが、あらかじめ設定しておいたレーザ出力測定装置100へ垂直にレーザ光を照射した際に光量測定部130の光量検出部131a〜dの全てへ等量の光量のレーザ光が入射し、かつ任意のビーム径ですべてのレーザ光が光量検出範囲へ入射する位置(定期チェック工程を行う際は定期チェック工程用の所定の位置)に、アクチュエータ210によって移動させられる。
次に、開閉シャッター部140のシャッター141が開状態になってから、レーザ光を垂直にレーザ出力測定装置100へ向けて照射する。
次に、レーザ出力測定装置100に入射した入射レーザ光160は、図2に示すように、まず、保護ガラス部150の保護ガラス151を通過する。
次に、入力光量減少部110の第1の部分反射ミラーよって111によって所定の反射率分が第1のダンパー部114へ向けて反射され、残りが第2の部分反射ミラー112へ向かって透過する。反射光は第1のダンパー部114内にダンパウィンドウ116を通って入射し、まず内部に満たされた水115によって減衰し、その後、円錐形状部117に当たって内部に拡散されて更に減衰され、結果内部に吸収される。
次に、透過した1st部分反射ミラー透過レーザ光161は第2の部分反射ミラー112によって所定の反射率分が第2のダンパー部118へ向けて反射され、残りが部分透過フィルタ113へ向かって透過する。反射光は第2のダンパー部の表面で吸収される。
次に、透過した2nd部分反射ミラー透過レーザ光162は部分透過フィルタ113によって所定の割合で透過し、残りは吸収される。ここまでで、レーザ出力測定装置100へ入射したレーザ光は光量測定部130の最大受光パワー以下に光量が減少している。
次に、集光レンズに入射した部分透過フィルタ透過レーザ光163は集光レンズ120によって所定の割合にデフォーカスでビーム径を調整されるように集光される。
次に、集光された光量測定部入射レーザ光164は所定の割合にデフォーカスされたことで、光量測定部130の光量検出範囲の光量検出部の複数箇所131a〜dの全てへ入射し、各々の光量が測定される。
次に、測定した各々の光量の測定値の割合から光量重心を算出でき、さらに、各々の光量の測定値を合計することで光量検出範囲へ入射したレーザ光のトータル光量が算出できる。したがって、光量検出範囲に入射したレーザ光の重心位置とトータル光量が同時に算出できる。この結果を後述する実際の出力と照射位置へ換算する較正式に適用して、レーザ光の出力と照射位置を測定する。
定期チェック工程の動作は以下の通りである。
定期チェック工程は加工を繰り返し行っていく中で任意のタイミングで実施される。入射レーザ光測定工程で測定されたレーザ光の出力強度と照射位置に関して、二段階のしきい値を設ける。照射位置の本来測定値として得られるべき所定値からのズレ量のしきい値Aとしきい値B(A<B)、出力強度の本来測定値として得られるべき所定値からのズレ量のしきい値Cとしきい値D(C<D)を定義する。
照射位置と出力が測定値が本来算出されるべき所定値より共に小さい方のしきい値未満であれば、加工に使われるレーザ光に異常がないものとし、再び、加工の工程に戻る。どちらか一方でも小さい方のしきい値以上で大きい方のしきい値未満の測定値であれば、その方を照射位置または出力の自動補正機構によって小さい方のしきい値未満になるように自動補正を行い(自動補正機構の原理については後述する)、補正完了後、再び加工に戻る。
ただし、どちらか一方でも大きい方のしきい値以上の測定値であれば、警告を発し、システムを停止させる。
図3は本実施の形態に係る集光レンズの作用を示す断面図である。本図に示すように、集光レンズ120に入射したレーザ光は、レンズの形状、レンズと光量検出部との距離によって所定の割合で焦点が光量測定部より手前になるようにデフォーカスされ、光量測定部へ入射する。この作用によりレーザ出射ヘッドから照射されるレーザ光の焦点位置を入力光量減少部よりも十分に手前に設定した場合であっても、光量測定部130の光量検出範囲132内へレーザ光を入射させることができ、さらに入力光量減少部内での入射する際のレーザ光のパワー密度を低減させることができるため、ミラー、レンズ、ダンパ等のレーザパワー耐性に関する信頼性を向上させることができる。
また、165bのようにレーザ光がレンズ通過前は光量検出範囲外にあった場合でも所定の範囲内であれば、レンズによって光量検出範囲132に収まるように集光することで、レーザ光を光量測定部130へ入射させることができる。
図4は本実施の形態に係る光量測定部と入射レーザ光の関係を示す平面図である。
本図に示すように、出力とスポット位置を同時に算出するためには入射レーザ光は全ての光量検出部に入射する必要がある。たとえば、仮に、131aと131dにすべてのレーザ光が入射し、131bと131cには入射しなかった場合、レーザ光の出力と、スポット位置のY方向の位置は測定できるが、X方向の位置に関しては、X方向の最大測定可能値以上であることは分かるものの、正確な位置は測定できない。
そこで位置を正確に測定するためには、図3の関する説明で前述したように光量検出範囲132にすべてのレーザ光が入射するだけでは不十分であり、全ての光量検出部にレーザ光入射するように集光レンズ120の形状と光量検出範囲132の距離を調整する。
本実施の形態では光量検出範囲に対して2割〜5割の大きさのスポット径(二次モーメント径で)でレーザ光を入射させることが望ましい。よってレーザ出力ヘッドと集光レンズの距離、集光レンズの形状、集光レンズと光量検出範囲との距離を調整することで光量検出範囲に対して2割〜5割の大きさのスポット径(二次モーメント径で)でレーザ光を入射させることができる。
図5は本実施の形態に係る光量測定部130内の光量検出範囲132への入射レーザ光のスポット重心位置と光量を算出するフローチャートである。このフローチャートを用いて、光量測定部130内の光量検出範囲132への入射レーザ光のトータル光量と入射スポット重心位置の算出手順を説明する。
まず、レーザ出射ヘッド220からレーザ出力測定装置100へレーザが入射される(S01)。次に、入射したレーザの光量を入力光量減少部110によって減少させる(S02)。次に、レーザ光を集光レンズを通過させることで集光させる。(S03)。
次に、光量検出範囲132内でスポット径が二次モーメント径で光量検出範囲132の2〜5割の大きさになるようにデフォーカスされたレーザ光が、光量検出範囲132の全ての光量検出部に入射し、それを各光量検出部で検出する。(S04)。次に、各々の光量検出部での光量測定値を出力信号記憶部に記憶する(S05)。
次に、位置、出力算出回路にて入射スポット重心位置の計算を、第1式・第2式によって行う(S06)。ここで、A,B,C,Dはそれぞれ図4の131a、132b、133c、134dに入射した光量であり、Xは光量測定部座標系におけるx方向のレーザの入射重心位置、Yは光量測定部座標系におけるy方向のレーザの入射重心位置である。
次に、算出した入射スポット重心位置を出力信号記憶部に記憶する(S07)。次に、位置、出力算出回路にてトータル光量の計算を第3式によって行う(S08)。
次に、算出したトータル光量を出力信号記憶部に記憶する(S09)。
この図5のフローチャートを用いた光量検出範囲への入射レーザ光のトータル光量と入射スポット重心位置の算出手順を光量検出範囲入射レーザ光測定工程と呼ぶ。
以上に述べたように、本実施の形態のレーザ出力測定装置100によれば、高出力のレーザ光であっても計測可能な光量に調整されて複数の光量検出部131a〜131d全てに照射させ、それら各々の測定値に基いて光量の重心の位置と総量を算出することで、光量検出範囲132に入射する光量測定部入射レーザ光164のスポット重心位置と出力値を同時に測定することができる。
ただし、ここで算出した出力値とスポット重心位置はあくまでも光量測定部入射レーザ光164の光量検出範囲132への入射光の出力値と入射スポット重心であり、実際にレーザ出射ヘッド220より照射された実際に加工に使用される入射レーザ光160の出力とスポット位置を算出したわけではない。
光量検出範囲132への入射光の出力値と入射スポット重心からの、実際に加工に使用される光量測定部入射レーザ光164の出力と照射位置の算出は、光量検出範囲132への入射光の出力値と入射スポット重心を、その値から実際に加工に使用される光量測定部入射レーザ光164の出力と照射位置を逆算することができる較正式へ適用することによって行う。
<入射レーザ光測定工程における詳細な算出手順>
以下に、本実施の形態に係る、光量測定部入射レーザ光164の光量検出範囲132への入射光の出力値と入射スポット重心から、実際に加工に使用される光量測定部入射レーザ光164の出力と照射位置を算出できる較正式を導出し、実際に較正式を用いて加工に使用される光量測定部入射レーザ光164の出力と照射位置を同時に算出するまでの手順を4つのSTEPに分けて順に説明する。
<STEP1>校正の準備工程
光量検出範囲の中心を基準とした、アクチュエータのホームポジションの設定とアクチュエータ基準座標系と光量検出範囲の基準座標系のxy平面内での軸同士のなす角の算出を行う。具体的には以下に示すSTEPで順に実施する
(1−1)レーザ出力測定装置100を任意の水平面へ固定する。
(1−2)レーザ出射ヘッド220を入射レーザ光160の光軸とレーザ出力測定装置100を設置した水平面とが垂直になるように傾きを調整する。
(1−3)レーザ出射ヘッド220とレーザ出力測定装置100との光軸方向(Z方向)の距離を、光量測定部入射レーザ光164が光量検出範囲132に対して中心かつ垂直に入射する際に二次モーメント径が光量検出範囲132の径に対して2割〜5割の大きさになるように調整。
(1−4)ガイド光が第1の基準位置設定用目印181aへ照射されるようにレーザ出射ヘッド220を平行移動させ、その際の制御部230によって制御されるアクチュエータ210のX,Y座標(s1,t1)を記録。
(1−5)ガイド光が第2の基準位置設定用目印181bへ照射されるようにレーザ出射ヘッド220を平行移動させ、その際の制御部230によって制御されるアクチュエータ210のX,Y座標(s2,t2)を記録。
(1−6)記録した二つの座標を結ぶ直線とアクチュエータ210のX軸とのなす角をθと定義し、θは以下の第4式、第5式のように表す。
ベクトル(s2−s1,t2―t1)の向きは光量検出範囲座標系(ΔxPD,ΔyPD)のx軸の正方向と一致するように光量測定部は設置している。つまりこのθは光軸に垂直な平面内でのアクチュエータ座標系(xR,yR)と光量検出範囲座標系(ΔxPD,ΔyPD)のそれぞれのx軸のなす角であり、「光量検出範囲座標系のx軸に対してアクチュエータ座標系が反時計まわりにθ回転した位置にある際に、アクチュエータ座標系(xR,yR)と光量検出範囲座標系(ΔxPD,ΔyPD)のなす角はθである」という定義である。これよりこのθを「レーザ出力測定装置設置角θ」と呼ぶこととする。
(1−7)レーザ出射ヘッド220を入射レーザ光160がレーザ出力測定装置100の中心付近に入射するように移動させる。
(1−8)図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施
(1−9)第1式で計算される入射位置重心が0に向かうように、レーザ出射ヘッド220をロボット座標系において、任意のx、y座標分だけ移動させる。ここで例えばx、yを0.1mm単位で移動させる。
(1−10)図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施。
(1−11)移動量に対する(1式の入射重心位置の値の変化量から、レーザ出射ヘッド220の実際の移動量に対する、入射位置重心の値の変化の感度を大雑把に求める。変化の感度を基に再び入射重心位置がゼロに近づくようにレーザ出射ヘッド220のx、y座標を移動させる。
(1−12)再び図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施。
(1−13)再び変化の感度を基に再び入射重心位置がゼロに近づくようにレーザ出射ヘッド220のx、y座標を移動させる。
(1−14)以下、この工程を繰り返し実施、入射重心位置が任意の値以下になるまで実施する。あるいは、任意の回数を決めてあるその回数だけ繰り返すまで実施でもよい。例えば、任意の値として、X、Yが共に10以下、より精度が必要なら5以下を選ぶ。または任意の繰り返し回数として、5回、より精度がひつようなら10回を選ぶ。
(1−15)任意の値以下または任意の回数まで到達したら、較正の準備終了。この位置をホームポジションとする。
アクチュエータ座標(Hx,Hy)
光量検出範囲座標(0.0)
<STEP2>出力強度の校正式導出工程
レーザ発振器200の設定出力値またはあらかじめパワーメータで測定しておいた実際のレーザ出力値と第3式のSum値で表される光量検出範囲入射光のトータル光量との関係は一次の近似式で表される。そこでその近似式をSum値からレーザ発振器200の設定出力強度または実際のレーザ出力値を算出する校正式として最小二乗法を用いて導出する。具体的には以下に示すSTEPで順に実施する。
(2−1)レーザ発振器200からレーザ出射ヘッド220を介して出射される入射レーザ光160の定格出力P[W]を2以上の整数で割る。例えば5、より精度が必要ならば10で割ってもよい(以下整数Nで割ったとする)。
(2−2)制御部230によってレーザ発振器の出力設定値を入射レーザ光160の出力がP/N[W]になるように設定。
(2−3)図5のフローチャートで手順が示されている入射レーザ光測定工程を実施。
(2−4)制御部230によってレーザ発振器の出力設定値を入射レーザ光160の出力が2P/N[W]になるように設定。
(2−5)図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施。
(2−6)制御部230によってレーザ発振器の出力設定値を入射レーザ光160の出力が3P/N[W]になるように設定。
(2−7)図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施。
(2−8)
入射レーザ光160の出力がNP/N[W]になるまで繰り返す。
(2−9)
出力信号記憶部に記憶した、P/N,2P/N,3P/N…4P/Nの各入射レーザ光16の出力において第3式によって算出されたトータル光量を表1のように整理する。
(2−10)出力をy、の計算結果Sumをxとすると、xとyの関係は第6式のように1次の直線で近似できるので、係数a0とa1を最小二乗法を用い第7式の行列式を解くことによって導出し、第6式に代入する。
以上で出力を算出するための校正式の導出は終了する。
<STEP3>スポット位置の校正式導出工程
第2式、第3式でそれぞれ表される光量検出範囲入射レーザ光のスポット重心の値であるX、Yから、レーザ出射ヘッド220のホームポジションからのxy平面内での実際の位置ズレ量、すなわちヘッドに傾きがないと仮定した場合の、z方向にレーザを出射した場合のレーザの照射位置のxy平面内での実際の位置ズレを算出する校正式を導出する。
具体的な手順は後述するが、その前にこの校正式の導出の原理を説明する。
実際の照射位置とX、Yの間には、原点を光量検出範囲の中心とした光量検出範囲座標系での実際の照射位置の座標を(ΔxPD,ΔyPD)とすると、光、X、YがそれぞれΔxPD、ΔyPDの二次関数でよく近似できる関係がある。
そこで光量検出座標系のx軸、y軸に沿って照射位置をそれぞれに一定間隔でずらしていき、その都度その際のX、Yの測定を実施し、各位置ズレ量に対してのX、Y値を取得し、それらの結果に対して、二次の近似式を導出するために最小二乗法を用いることで、ΔxPD、ΔyPDのX、Yに対する二次の近似式を求めることができる。
しかし、実際にこの校正式を導出する際には、以下の二点を考慮にいれる必要がある。
一つ目は光用検出部の検出感度の誤差やホームポジションでX、Yが完全に双方ともゼロになっていないことに主に起因して、x軸、y軸に関してそれぞれプラスマイナス方向でも尺度が異なるため、プラス方向とマイナス方向で別々の校正式を算出する必要がある。したがって校正式はx軸のプラスマイナス方向、y軸のプラスマイナス方向の合計4つ算出する必要がある。
二つ目はアクチュエータ座標系と光量検出範囲座標系の座標軸の方向は一致しておらず、そのなす角がレーザ出力測定装置設置角θで与えられていることである。通常、校正式の作成の際はx、y軸それぞれのプラスマイナスにそってアクチュエータを移動させてデータをとる。つまり通常アクチュエータの位置制御に用いるアクチュエータ座標系(ここでは原点が光量検出範囲の中心にあるものとし、すなわり光量検出座標系と原点が一致しているものとする。)のx、y軸に沿って、一定間隔で照射位置をずらしてX,Yの測定を行っても、光量検出範囲座標系から見るとそれはx、y軸に沿った動きではなく、x軸、y軸に対してθの方向の直線上での各点でのX,Yの測定となる。
そこでアクチュエータ座標系でx、y軸のプラスマイナスの4方向それぞれでの校正式算出用測定の際に、このθの値によってその測定点が並ぶ直線に最も近い軸に測定点を垂直に投影する。なお、この際の投影の仕方はθの値によって4つの場合に場合分けされる。
図10、図11、図12、図13に角θの場合による角方向の測定点の光量検出範囲座標系の軸上への投影のイメージを記す。
例えば、図11においてはアクチュエータ座標系におけるx軸のプラス方向での各測定点は光量検出座標系のy軸のプラス方向へ投影され、同様にx軸のマイナス方向はy軸のマイナス方向へ、y軸のプラス方向はx軸のマイナス方向へ、y軸のマイナス方向はx軸のプラス方向へ投影される。
これらの各々の場合において、投影した光量検出範囲座標系の各々の軸方向に沿った各測定点に対してその際のX、Yの測定値を対応させることでこの光量検出範囲座標系における実際の照射位置ΔxPD、ΔyPDのX、Yに対する二次の近似式をx、yそれらのプラスマイナス方向の合計4つ導出する。
この時点で、あるX、Yの測定値からX、Yのプラスまたはマイナスに対応する二次の近似式を用いることで、光量検出範囲座標系における実際の照射位置ΔxPD、ΔyPDを算出することができる。
この結果をθを用いた座標変換によってアクチュエータ座標での座標に変換することでアクチュエータ座標での実際の照射位置ΔxR、ΔyRを算出することができ、つまりは測定値X、Yより、アクチュエータ座標系での実際の照射位置ΔxR、ΔyRを算出することできるのである。これが校正式の導出手順とその原理である。具体的な手順を以下に示すSTEPで順に実施する。
(3−1)制御部230によってレーザ発振器の出力設定を入射レーザ光160の出力が任意の値になるように設定する。照射位置は基本的に出力に依存しないので任意の値で構わないが、精度をあげるために、より好ましくは実際に加工で使用する際の出力に設定するのが良い。
(3−2)ホームポジション(Hx,Hy)で図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施。なおここで最初に扱うアクチュエータ座標系は光量範囲検出座標系と原点が一致していない。
(3−3)少なくとも位置ずれを検出したい最小単位以下の任意の変位量Δtを設定。例えば0.15mm、より精度が必要ならば0.1mmに設定するとよい。
(3−4)光量検出範囲132での光量測定部入射レーザ光164の二次モーメント径の半分以下で位置ズレを検出したい最大範囲をNΔt(Nは任意の整数Nと設定。
(3−5)アクチュエータ座標が(Hx+Δt,Hy)となるように制御部230によってレーザ出射ヘッド220を平行移動。
(3−6)図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施。
(3−7)アクチュエータ座標が(Hx+2Δt,Hy)となるように制御部230によってレーザ出射ヘッド220を平行移動。
(3−8)図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施。
(3−9)アクチュエータ座標が(Hx+3Δt,Hy)となるように制御部230によってレーザ出射ヘッド220を平行移動。
(3−10)図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施。
(3−11)アクチュエータ座標が(Hx+NΔt,Hy)となるまで繰り返す。ここまででアクチュエータ座標+x方向の較正用測定は終了。
(3−12)同様にアクチュエータ座標―x方向に関して、(Hx−Δt,Hy)から(Hx−NΔt、Hy)に関して図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施。ここまででアクチュエータ座標―x方向の較正用測定は終了。
(3−13)同様にアクチュエータ座標+y方向に関して、(Hx,Hy+Δt)から(Hx,Hy+NΔt)に関して図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施。ここまででアクチュエータ座標+y方向の較正用測定は終了。
(3−14)同様にアクチュエータ座標−y方向に関して、(Hx,Hy−Δt)から(Hx,Hy−NΔt)に関して図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施。ここまででアクチュエータ座標−y方向の較正用測定は終了。
(3−15)実施した較正用測定の結果を表2のように整理する。
(3−16)ここ以降はアクチュエータ座標系でのホームポジションからの変位量を用いて。ホームポジションを(0,0)とした場合のすなわち光量検出範囲座標系とアクチュエータ座標原点を一致させた場合のアクチュエータ座標系(ΔxR、ΔyR)を用いる。ここでの各点を<STEP1>の第4式で算出したレーザ出力測定装置設置角θによって表3のように場合分けして光量測定部座標系(ΔxPD、ΔyPD)に投影して整理する。
(3−17)X,Yそれぞれ対応するΔxPD±、ΔyPD±の二次関数であるとし、第8式、第9式、第10式、第11式のように定義する。
(3−18)それぞれの(ΔxPD+,X)、(ΔxPD−,X)、(ΔyPD+,Y)、(ΔyPD−,Y)における第8式、第9式、第10式、第11式の係数a0+〜a2+、a0−〜a2−、b0+〜b2+、b0−〜b2−を最小二乗法を用い、第12式、第13式、第14式、第15式の行列式を解くことで、導出し、各々の係数を第8式、第9式、第10式、第11式に代入する。
(3−19)座標変換によって光量検出範囲座標系の座標をアクチュエータ座標系での座標に変換するための変換式をθを用いて第20式、第21式と表す。
以上で、位置を算出するための較正式の導出は終了。
<STEP4>較正式を用いた出力と照射位置の同時算出
(4−1)図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施。
(4−2)位置・出力算出部240において、第3式の計算結果Sumを出力算出用較正式第6式に代入することで、実際の入射レーザ光160の出力強度を算出する。
(4−3)位置・出力算出部240において、第2式、第3式の計算結果X、Yを位置算出用較正式第8式、第9式、第10式、第11式の対応する校正式へ代入する。ここでXについては符号がマイナスならば式第8式、プラスならば第9式の較正式へ代入し、Yについても符号がマイナスならば第10式、プラスならば第11式の較正式へ代入する。
(4−4)X、Yを代入した較正式を各々の場合について、ΔxPD、ΔyPDの二次の方程式として、第16式、第17式、第18式、第19式を用いて解くことで、それぞれに対応するΔxPD、ΔyPDを算出する。
ΔxPDに関して、Xがマイナスの場合は、第16式を用いる。
ΔxPDに関して、Xがプラスの場合は、第17式を用いる。
ΔyPDに関して、Yがマイナスの場合は、第18式を用いる。
ΔyPDに関して、Yがプラスの場合は、第19式を用いる。
これで光量測定部座標系におけるXY平面内での入射レーザ光160の照射位置の光軸に垂直な平面での光量検出範囲座標系における中心からのズレ量(ΔxPD、ΔyPD)がわかる。
(4−5)前述の式第20式、第21式を用いて座標変換を行って、光量測定部座標系でのズレ量をアクチュエータ座標系でのズレ量に変換する。これにより、アクチュエータ座標系でのxy平面内での入射レーザ光の照射位置の中心からのズレ量(ΔxR,ΔyR)を算出できる。
以上で、実際の入射レーザ光の出力と照射位置の中心からの変位量を同時に算出できる。
<定期チェック工程における校正式を用いた補正手順>
以下で<STEP4>で算出した照射位置が所定値よりしきい値A以上でしきい値B未満のgだけズレていた場合にしきい値A未満に自動で補正する自動補正機構の手順(原理)と、同様に<STEP4>で算出した出力が所定値よりしきい値C以上でしきい値D未満のhだけズレていた場合にしきい値C未満に自動で補正する自動補正機構の手順(原理)をそれぞれ記す。
まず、アクチュエータ座標が(Hx−g,Hy)となるように制御部230によってレーザ出射ヘッド220を平行移動する。
次に<STEP4>を実施する。ここで、(a)照射位置の算出値の所定値からのズレ量がA未満であれば、新たにホームポジションをアクチュエータ座標系で(Hx−g,Hy)と再設定し、補正作業終了。新たにホームポジションをアクチュエータ座標系で(Hx−g,Hy)と再設定し、補正作業を終了する。(b)照射位置の算出値の所定値からのズレ量がA以上B未満のg’であれば、アクチュエータ座標が(Hx−g−g’,Hy)となるように制御部230によってレーザ出射ヘッド220を平行移動し、次へ進む。
再度<STEP4>を実施する。次に、その測定結果によって、上述のように(a)または(b)の場合分けを行い、各場合における動作を実施する。以下、測定結果(a)の条件を満たし、補正作業を終了できるまで繰り返す。
なお、照射位置の算出値の所定値からのズレ量がB以上である場合は、異常なズレ量であると判断して、警告を発し、レーザ加工システムを停止させる。
次に出力の補正手順を記す。まず、230によってレーザ発振器の出力設定を入射レーザ光160の出力強度が所定値[W](例えば4KWや6KW、加工に用いられる出力値)になるように設定する。
次に<STEP4>を実施する。ここで、(c)出力の算出値の所定値からのズレ量がC未満であれば、新たに(従来の所定値―h)を真の所定値とし再設定し、補正作業を終了する。(d)出力の算出値の所定値からのズレ量がC以上D未満のh’であれば、制御部230によってレーザ発振器の出力設定を入射レーザ光160の出力が(所定値―h―h’)[W]になるように設定となるように設定する。
再度<STEP4>を実施する。次に、その測定結果によって、上述のように(c)または(d)の場合分けを行い、各場合における動作を実施する。以下、測定結果(d)の条件を満たし、補正作業を終了できるまで繰り返す。
なお、出力の算出値の所定値からのズレ量がD以上である場合は、異常なズレ量であると判断して、警告を発し、レーザ加工システムを停止させる。
ここで、さらに照射位置の算出方法を応用することで、レーザ出射ヘッド220のトレパニング動作時の加工点での軌跡が所望のものであるかをチェックすることができる。
前述の<STEP4>における(4−1)で、図5のフローチャートで手順が示されている光量検出範囲入射レーザ光測定工程を実施する際に、トレパニング動作を実施し、その際の各光量出力検出部161a〜161dを連続的に出力信号記憶部に保存し、それらすべてに対して連続的に照射位置を算出すれば、トレパニング動作時の軌跡を算出できる。ただし軌跡を算出できるのはトレパング動作がSTEP3におけるφNΔtの範囲内に限られる。
また、レーザ出射ヘッド220から照射される入射レーザ光160の焦点位置を入力光量減少部110よりも十分に手前に設定した場合であっても、集光レンズ120によって光量測定部130の光量検出範囲内へ所定のビーム径で入射させることができるため、入力光量減少部110内での入射する際の入射レーザ光160のパワー密度を低減させることができる。その結果、ミラー、レンズ、ダンパ等のレーザパワー耐性に関する信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態では入力光量減少部110が、第1の部分反射ミラー111と、第2の部分反射ミラー112と、部分透過フィルタ113と、第1のダンパー部114と、ダンパウィンドウ116と、と、第2のダンパー部118と、水循環用配管部119とを備えている場合を説明したが、必ずしもこれら全ての構成が必要なわけでなく、例えば元の入射レーザ光の出力が小さく部分透過フィルタ113のみで光量測定部130の最大受光パワー以下に光量を調整できる場合は、入力光量減少部110が備えるのは部分透過フィルタ113のみであってもよい。
図8は本実施の形態に係る入力光量減少部110が部分透過フィルタ113のみを備えている場合の概略構成図である。
ここでは、入射した入射レーザ光160は部分透過フィルタ113によって所定の割合で透過し、残りは吸収される。ここまでで、入射レーザ光160は光量測定部130の最大受光パワー以下に光量が減少している。
次に、集光レンズに入射した部分透過フィルタ透過レーザ光163は集光レンズによって所定の割合にデフォーカスでビーム径を調整されるように集光される。
次に、集光された光量測定部入射レーザ光164は所定の割合にデフォーカスされたことで、光量測定部130の光量検出範囲の光量検出部の複数箇所131a〜dの全てへ入射し、各々の光量が測定される。
トータル光量やスポット重心位置の算出、それらから較正式を用いて、実際のレーザ光の出力と照射位置を算出する過程は前述の全ての構成を備える場合と同様ある。
更に、本発明のレーザ加工方法によれば、具備するレーザ出力測定装置が入射したレーザ光照射位置と出力値を同時に測定することができるので、設定出力と所定の狙い位置に対して実際のレーザ出力と照射位置がずれていた場合にそれらを同時に自動補正することを可能とする。
<附帯構成の説明>
本発明の効果をより高める附帯構成について図面を用いて説明する。
図6は本実施の形態に係るレーザ導入部における開閉シャッター部の動作を示す概略構成図である。図6(a)はシャッターを閉じたときの状態、図6(b)はシャッターを開いたときの状態を示している。
本図において、開閉シャッター部140はシャッター141とシャッター開閉機構部142と樹脂製リング143と樹脂製リングホルダー144とショックアブソーバー145とを備える。
シャッター141は閉の時、保護ガラス部150に対して上から蓋をするような形状をもちシャッター開閉機構部142にとりつけられている。
シャッター開閉機構部142はロータリーソレノイドを用いており、外部よりON信号を入力するとソレノイドの軸部分が所定の角度分だけ回転する。この軸部分がシャッター141に取り付けられている。
樹脂製リング143は円形の形状を持ち、シャッター141と保護ガラス部150と衝突する際の衝撃を吸収するものである。
樹脂製リングホルダー144は樹脂製リング143をシャッター141の保護ガラス部との接触面に落下しないように固定するものである。
ショックアブソーバー145はシャッター141がシャッター開閉機構部142によって閉から開になる際、ソレノイドが直接あて止めされるとその衝撃が強く開閉シャッター部140の信頼性低下の原因となるので、それを防ぐためにあて止め前から回転のスピードを抑えながらあて止めさせることで、衝撃を低減させるためのものである。
以上のように構成された本発明の開閉シャッター部140の動作について図面を用いて説明する。
まず、レーザ光をレーザ出力測定装置100へ照射する前に図6(a)にあるシャッターが閉じたときの状態で、制御部からシャッター開閉機構部142のロータリーソレノイドへON信号が送られる。
次に、その信号によってソレノイドの回転軸が回転を始め、ぞれに伴ってシャッター141が開の方向へ回転しながら開いていく。
次に、ソレノイドがあて止めされ、完全な開状態になる直前にシャッター141のショックアブソーバー145との接触面がショックアブソーバー145へ接触を始める。
次に、ショックアブソーバー145の作用によってソレノイドの回転スピードが抑制され、すなわちシャッター141が開くスピードも抑えられる。
次にショックアブソーバーによって回転スピードを抑制されながらあて止め箇所までソレノイドの軸が回転し、衝撃が低減されてソレノイドの軸があて止めされ、すなわちシャッター141が全開状態となる。
次にレーザ光がレーザ測定装置内へ照射され、出力と位置の同時測定が行われ、終了する
次に制御部からシャッター開閉機構部142のロータリーソレノイドへOFF信号が送られる。
次に、その信号によってソレノイドの回転軸が回転を始め、それに伴ってシャッター141が閉の方向へ回転しながら閉まっていく。
次に、シャッター141が完全に閉まる際に保護ガラス部150と衝突する衝撃を樹脂製リング143がクッションとなって衝撃を吸収し、衝撃が低減されてシャッター141が図6(b)の全閉状態となる。
以上に述べたように、本実施の形態に係る開閉シャッター部140によれば、開閉時の各々の衝突の際の衝撃を低減させ、繰り返し使用時の開閉シャッター部140の信頼性を向上させることができる。
次に、図7は本実施の形態に係るレーザ導入部における保護ガラス部の脱着動作を示す概略構成図である。図7(a)は保護ガラス151を備える保護ガラスホルダー152を保護ガラス部150に装着したときの状態、図7(b)は同様な保護ガラスホルダー152を取り外したときの状態を示している。
本図において、保護ガラス部150は開閉シャッター部140が開状態の際にレーザ出力測定装置100の内部への外部からのゴミの侵入を防ぐものであり、保護ガラス151と、保護ガラスホルダー152とを備える。保護ガラス151はレーザ光がすべて透過させるが、ゴミ等は通さない。保護ガラスホルダー152は保護ガラス151を保持し、手で持ちやすい形状になっている。
以上のように構成された本発明の保護ガラス部150の動作について図面を用いて説明する。
まず、保護ガラスホルダーが装着されている図7(a)の状態でレーザ出力と位置の同時測定を行う。
次に、使用していく中で何らかの要因で保護ガラスが汚れた場合、保護ガラスホルダー152を挿入部より引き抜くことで保護ガラス部150より保護ガラスホルダー152を取り外すことができる。
次に、汚れた保護ガラス151ふいて清掃する、または保護ガラス151を保護ガラスホルダー152より取り外して交換する。
次に、きれいな保護ガラス151を装着した状態の保護ガラスホルダー152を保護ガラス部150へ挿入部に挿入するだけで再び保護ガラスホルダー152を保護ガラス部150へ装着することができる。
以上に述べたように、本実施の形態に係る保護ガラス部150によれば、保護ガラスが汚れた際の交換、清掃作業が外部から引き抜く、挿入するだけで可能であり、非常に簡易であり、作業時間を低減することができる。