以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態で用いられる複数の視差画像を生成可能な撮像装置は、撮像光学系の瞳のうち互いに異なる領域を通過した複数の光束を撮像素子における互いに異なる受光部(画素)に導いて光電変換を行わせる撮像系を有する。
図4は、本実施形態の撮像系における撮像素子の受光部と撮像光学系の瞳との関係を示す図である。図4において、MLはマイクロレンズであり、CFはカラーフィルタである。EXPは撮像光学系の射出瞳(瞳)であり、P1、P2は射出瞳EXPの領域である。G1、G2は画素(受光部)であり、1つの画素G1と1つの画素G2とが互いに対をなしている(画素G1、G2は1つのマイクロレンズMLを共有するように設けられている)。撮像素子には、画素G1と画素G2の対(画素対)が複数配列されている。対の画素G1と画素G2は、共通の(すなわち、画素対ごとに1つずつ設けられた)マイクロレンズMLを介して、射出瞳EXPと共役な関係を有する。各実施例において、撮像素子に配列された複数の画素G1、G2を、それぞれまとめて画素群G1、G2という場合がある。
図5は、本実施形態における撮像系の模式図であり、図4に示されるマイクロレンズMLの代わりに、射出瞳EXPの位置に薄肉レンズが設けられていると仮定した場合の撮像系を示している。画素G1は、射出瞳EXPのうち領域P1を通過した光束を受光する。画素G2は、射出瞳EXPのうち領域P2を通過した光束を受光する。OSPは、撮像している物点である。物点OSPには、必ずしも物体が存在している必要はない。物点OSPを通った光束は、その光束が通過する瞳(射出瞳EXP)内での位置(本実施形態では領域P1または領域P2)に応じて、画素G1または画素G2のいずれかの画素に入射する。瞳内の互いに異なる領域を光束が通過することは、物点OSPからの入射光が角度(視差)によって分離されることに相当する。すなわち、各マイクロレンズMLに対して設けられた画素G1、G2のうち、画素G1からの出力信号を用いて生成された画像と、画素G2からの出力信号を用いて生成された画像とが、互いに視差を有する複数(ここでは一対)の視差画像となる。以下の説明において、瞳内の互いに異なる領域を通過した光束を互いに異なる受光部(画素)により受光することを、瞳分割という場合がある。
また、図4および図5に示される射出瞳EXPの位置ずれなどにより、前述の共役関係が完全でなくなる場合や、領域P1、P2が部分的に互いに重複(オーバーラップ)する場合でも、以下の各実施例において、得られた複数の画像を視差画像として扱う。
図6を参照して、本発明の実施例1における画像処理方法を実行する撮像装置について説明する。図6は、本実施例における撮像装置200の構成を示すブロック図である。撮像光学系201は、絞り201aおよびフォーカスレンズ201bを含み、不図示の被写体からの光を撮像素子202上に結像(集光)させる。撮像素子202は、CCDセンサやCMOSセンサなどの光電変換素子により構成され、図4および図5を参照して説明した瞳内の互いに異なる領域を通過した光束を、各領域に対応する画素(受光部)にて受光する(瞳分割を行う)。このようにして、撮像素子202は、被写体像(光学像)を光電変換して画像信号(アナログ電気信号)を出力する。A/Dコンバータ203は、撮像素子202から出力されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号を画像処理部204に出力する。
画像処理部204は、デジタル信号に対して、一般的に行われる画像処理を行うとともに、不要光の決定処理および不要光を低減または除去する補正処理を行う。本実施例において、画像処理部204は、撮像装置200に搭載された画像処理装置に相当する。また画像処理部204は、第一不要成分検出部204a、合成処理部204b、不要成分低減部204c、ボケ付加処理部204d、マスク作成部204e、および、第二不要成分検出部204fを有する。
第一不要成分検出部204a(第一不要成分決定手段)は、視差画像を生成(取得)し、その視差画像から第一不要成分を検出する。合成処理部204b(合成処理手段)は、検出された不要成分の合成値の算出、また、生成された視差画像を合成する。不要成分低減部204c(画像生成手段)は、算出された第一不要成分もしくは後述の第二不要成分、または、それぞれの合成値に基づいて、合成された視差画像から不要成分を低減させる。ボケ付加処理部204d(ボケ画像生成手段)は、第一不要成分に基づいて合成された視差画像または各視差画像から第一不要成分が除去された、第一不要成分除去画像にボケを付加する。マスク作成部204e(マスク作成手段)は、第一不要成分除去画像と第一不要成分除去画像にボケを付加したボケ画像に基づいてマスクを作成する。第二不要成分検出部204f(第二不要成分決定手段)は、第一不要成分とマスクに基づいて第二不要成分を決定する。画像処理部204で処理された出力画像(画像データ)は、半導体メモリや光ディスクなどの画像記録媒体209に保存される。また、画像処理部204からの出力画像を表示部205に表示することもできる。記憶部208は、画像処理部204による画像処理に必要な画像処理プログラムや各種情報などを記憶している。
システムコントローラ210(制御手段)は、撮像素子202の動作、画像処理部204での処理、および、撮像光学系201(絞り201aおよびフォーカスレンズ201b)の制御を行う。撮像光学系制御部206は、システムコントローラ210からの制御指示に応じて、撮像光学系201の絞り201aおよびフォーカスレンズ201bの機械的な駆動を行う。絞り201aは、設定された絞り値(Fナンバー)に応じて、その開口径が制御される。フォーカスレンズ201bは、被写体距離に応じてピント調整(フォーカス制御)を行うために、不図示のオートフォーカス(AF)システムやマニュアルフォーカス機構によってその位置が制御される。状態検知部207は、システムコントローラ210の制御指示に応じて、現在の撮影条件情報を取得する。なお本実施例において、撮像光学系201は、撮像素子202を備えた撮像装置200の一部として(撮像装置200と一体的に)構成されているが、これに限定されるものではない。一眼レフカメラのように、交換式の撮像光学系(交換レンズ)を撮像装置本体に着脱可能に構成された撮像システムであってもよい。
図7は、撮像光学系201の構成および撮像光学系201にて発生する不要光の説明図である。図7(a)は、撮像光学系201の具体的な構成例を示す。図7(a)において、STPは絞り(絞り201aに相当)、IMGは撮像面である。撮像面IMGの位置には、図6に示される撮像素子202が配置される。図7(b)は、撮像光学系201に高輝度物体の例としての太陽SUNから強い光が入射し、撮像光学系201を構成するレンズの界面で反射した光が不要光(ゴーストやフレア)として撮像面IMGに到達する様子を示している。
図8は、絞りSTPのうち、図5に示される画素G1、G2に入射する光束が通過する領域P1、P2(瞳領域または瞳分割領域)を示している。なお、絞りSTPは、撮像光学系201の射出瞳EXPに相当するものとして考えることができるが、実際には絞りSTPと射出瞳EXPは互いに異なることが多い。高輝度物体(太陽SUN)からの光束は、絞りSTPのほぼ全域を通過するが、画素G1、G2に入射する光束が通過する領域は、領域P1、P2(瞳領域)に分割される。
続いて、図1乃至図3を参照して、撮像装置200により生成される撮影画像において、不要光が光電変換されることで現れる画像成分である不要成分を決定する方法について説明する。図1は、本実施例における画像処理方法の出力画像の一例である。図1(a)は、瞳分割による撮像により生成された複数の視差画像を合成した撮影画像を示している。図1(a)の撮影画像には、2つの被写体(被写体X、Y)、および、不図示の光源により発生した不要成分(ゴースト成分GST)が写っている。図1(a)の撮影画像は、星型の被写体Xにピントが合っており(合焦被写体)、丸型の被写体Yはボケている(非合焦被写体)状態を示す例である。また、撮影画像中に四角部分として示されるゴースト成分GSTは、不要光(ゴースト)の画像成分である不要成分である。なお、図1(a)において、不要成分(ゴースト成分GST)が塗りつぶして示されているが、実際には被写体がある程度透けている。また、不要成分は撮影被写体に不要光がかぶった状態であるため、撮影被写体よりも高輝度の部分である。このことは、後述する他の実施例でも同様である。
図2は、本実施例における画像処理方法の手順を示す図である。図2(A−1)および図2(B−1)は、領域P1、P2(瞳領域)を通過した光束のそれぞれを画素群G1、G2にて光電変換した結果として得られた一対の視差画像を示す。図2(A−1)、(B−1)に示される一対の視差画像には、画像成分として、視差に対応する差(視差成分)が含まれる。図1(a)に示されるように、被写体Xにピントが合い、後方にある被写体Yがボケているような場合、被写体Yに視差成分が存在する。また、一対の視差画像にも、四角として模式的に示される不要成分(ゴースト成分GST)が含まれているが、図2(A−1)には不要成分は存在せず図2(B−1)にのみ不要成分が存在する。ここでは、不要成分が互いにオーバーラップすることなく分離された状態の例を示しているが、オーバーラップしていて輝度差がある状態であってもよい。すなわち不要成分は、四角の不要成分の位置や輝度が互いに異なった状態であればよい。
図2(A−2)は、一対の視差画像に関し、図2(A−1)を基準画像として図2(B−1)の画像を差し引いた状態の画像を示している。この画像(相対差分画像)には、一対の視差画像が有する差分(相対差分情報)として、視差成分と不要成分(ゴースト成分GST)とが含まれている。また、前述の差分計算により、図2(B−1)に含まれる視差成分と不要成分が負値として算出されるが、後段の不要成分低減処理の簡易化のため、図2(A−2)では負値を切り捨てている。そのため、図2(A−2)の差分画像は、図2(A−1)に含まれる視差成分のみを示していることとなる。同様に、図2(B−2)は、一対の視差画像に関し、図2(B−1)を基準画像として図2(A−1)の画像を差し引いた状態の画像を示している。また、図2(A−2)と同様に、前述の差分計算により、図2(A−1)に含まれる視差成分が負の値として算出されるが、後段の不要成分低減処理の簡易化のため、図2(B−2)では負の値を切り捨てている。そのため、図2(B−2)の差分画像は、図2(B−1)に含まれる視差成分と不要成分とを示していることとなる。このようにして、差分画像における視差成分と不要成分のみを残存させる(換言すると、視差成分と不要成分を分離または抽出する)処理を行うことにより、視差成分および不要成分を決定することができる。
ただし、この状態では、不要成分(ゴースト成分GST)を抽出することはできるが、視差成分も残存している。このため、視差成分と不要成分(ゴースト成分GST)とを分離する必要がある。続いて、図3を参照して、視差成分と不要成分とを分離する方法について説明する。図3は、視差成分と不要成分とを分離する方法(画像処理方法)の手順を示す図である。
図3(a)は、図2(A−2)の相対差分画像と図2(B−2)の相対差分画像とを合成した合成図である。ここでの合成とは、例えば、各相対差分画像の合算値または平均値を算出することである。本実施例では、合成として平均値が算出される。ここで本実施例において、図3(a)に示される各視差画像の相対差分画像(相対差分情報)の平均値を第一不要成分とする。第一不要成分には、前述の視差成分および不要成分が混在している。
図3(b)は、前述の複数の視差画像を合成した撮影画像(図1(a)に示される画像)から第一不要成分(図3(a)の画像)を差し引いた画像、すなわち撮影画像から第一不要成分を除去または低減した画像(第一不要成分除去画像)である。図3(b)の画像において、不要成分(ゴースト成分)が除去されている。しかし、図3(b)の画像では、同時に視差成分も除去され、被写体Yのボケ部分も除去されてしまっている。写真におけるボケは、画像表現として重要な要素であるため、最終画像としてボケが除去されることは好ましくない。
図3(c)は、第一不要成分除去画像(図3(b)の画像)にボケを付加した画像(ボケ付加画像)である。図3(d)は、ボケ付加画像(図3(c)の画像)から第一不要成分除去画像(図3(b)の画像)を差し引いて、二値化処理を行ったマスク(マスク画像)である。図3(c)から分かるように、ボケを付加すると被写体のエッジ部がボケることにより、エッジ部の近傍に輝度勾配が生じる。このため、前述のように、ボケ付加画像(図3(c)の画像)から第一不要成分除去画像(図3(b)の画像)を差し引くと、図3(d)に示されるように輝度勾配部分のみが抽出される。すなわち、被写体のエッジ部の近傍領域のみが抽出されることとなる。ここで、前述の視差成分は、被写体のエッジ部の近傍領域のみで発生する。このため、被写体のエッジ部の近傍領域を抽出することにより、視差成分が生じる領域を特定することが可能である。図3(e)は、マスク(図3(d)の画像)を用いて第一不要成分(図3(a)の画像)から視差成分を除去した画像であり、不要成分のみが抽出された第二不要成分に相当する。本実施例によれば、このような手順を経ることにより、視差成分と不要成分(ゴースト成分)とを分離することができる。
ここで、出力画像として図1(a)に示される瞳分割による撮像により生成された複数の視差画像を合成した撮影画像を出力することを考える。本実施例では、最終出力画像として各視差画像を平均した画像を出力する。ここで、図3(e)に示される第二不要成分も各視差画像の不要成分の平均値となっている。そして、出力すべき画像において、第二不要成分を除去または低減する補正処理を行う。これにより、図1(b)に示されるように、不要成分の低減された、瞳分割を行わない撮像により生成された撮影画像と同等の画像を生成することができる。
次に、図9を参照して、本実施例における不要成分(ゴースト成分)の決定処理(画像処理)の手順について説明する。図9は、本実施例における画像処理方法(不要成分の決定方法)を示すフローチャートである。図9の各ステップは、主に、システムコントローラ210または画像処理部204により、コンピュータプログラムとしての画像処理プログラムに従って実行される。
まずステップS101において、システムコントローラ210は、入力画像を取得する。すなわちシステムコントローラ210は、撮像光学系201および撮像素子202により構成される撮像部を制御して、被写体を撮影する。続いてステップS102において、システムコントローラ210は、画像処理部204を制御し、撮像素子202(画素群G1、G2)から出力されてA/Dコンバータ203でA/D変換されたデジタル信号を用いて、入力画像としての一対の視差画像を生成させる。このとき画像処理部204は、視差画像を生成するため、通常の現像処理や各種の画像補正処理を実施してもよい。
続いてステップS103において、画像処理部204の第一不要成分検出部204aは、各視差画像の相対差分情報(相対差分画像)を求める。すなわち第一不要成分検出部204aは、図2(A−1)の画像を基準画像とした相対差分画像(図2(A−2)の画像)、および、図2(B−1)の画像を基準画像とした相対差分画像(図2(B−2)の画像)を生成する。撮像面に到達した不要光が撮像光学系201の互いに異なる瞳領域を通過する場合、図2(A−1)および図2(B−1)に示されるように、視差画像ごとに不要成分(ゴースト成分)の発生の有無や発生位置が異なる。このため、単純な相対差分画像では、双方の不要成分の差分値は正および負の値をとる。本実施例では、相対差分画像(図2(A−2)の画像)を生成するための画像(図2(A−1)の画像)から図2(B−1)の画像を差し引くと、図2(A−1)の画像に含まれる不要成分は正の値となり、図2(B−1)の画像に含まれる不要成分は負の値となる。本実施例では、後述する不要成分低減処理の簡易化のため、前記の負の値を切り捨てて0値とする処理を行う。このため、図2(A−2)の画像に関しては、図2(A−1)の画像に含まれる不要成分(ゴースト成分)と視差成分のみが正の値として検出される。また、相対差分画像(図2(B−2)の画像)についても同様の処理を実施することにより、図2(B−2)の画像に関しては、図2(B−1)の画像に含まれる不要成分(ゴースト成分)および視差成分のみが正の値として検出される。
そしてステップS104において、第一不要成分検出部204aは、ステップS103にて生成された相対差分画像に残存した成分を第一不要成分と決定する。具体的には、図2(A−2)および図2(B−2)に示される成分(相対差分画像)が第一不要成分となる。
続いてステップS105において、画像処理部204の合成処理部204bは、ステップS104にて決定された各視差画像の第一不要成分(相対差分画像)を平均値処理(合成)する。具体的には、合成処理部204bは、図2(A−2)の相対差分画像と図2(B−2)の相対差分画像との平均値演算を実行し、平均値処理された第一不要成分(図3(a)の画像)を生成する。
そしてステップS106において、合成処理部204bは、視差画像を平均値処理し、1枚の瞳分割を行わない撮像により生成された撮影画像と同等の画像(平均視差画像)を出力する。具体的には、合成処理部204bは、ステップS102にて生成された図2(A−1)の視差画像と図2(B−1)の視差画像との平均値演算を実行し、平均値処理された合成画像(図1(a)の画像)を生成する。または、視差画像を生成するステップ(ステップS102)を経ずに、撮像素子202(画素群G1、G2)から出力されてA/Dコンバータ203にてA/D変換されたデジタル信号を加算することにより、合成画像を生成してもよい。
続いてステップS107において、画像処理部204の不要成分低減部204cは、平均視差画像から平均値処理された第一不要成分を低減(または除去)する補正処理を行い、第一不要成分除去画像(図3(b)の画像)を生成する。この場合、ステップS103にて負の値を切り捨てて0値とすることで、第一不要成分のみが正の値として検出されている。このため不要成分低減部204cは、単純に、合成画像(図1(a)の画像)から平均値処理された第一不要成分(図3(a)の画像)を差し引くことにより、第一不要成分を除去した第一不要成分除去画像を生成することができる。
続いてステップS108において、画像処理部204のボケ付加処理部204dは、第一不要成分除去画像(図3(b)の画像)にボケを付加し、ボケ画像(図3(c)の画像)を生成する。具体的には、ボケ付加処理部204dは、第一不要成分除去画像に対して、ぼかし効果のあるフィルタによるフィルタ処理を実行する。本実施例において、ぼかし量を調整可能なガウシアンフィルタが使用される。本実施例では、ぼかし量としてのフィルタ係数にガウス分布の標準偏差を、前記視差成分に対して十分大きくなるように設定している。一方、状態検知部207から得られる撮像光学系201の焦点距離や絞り値Fnoなどの撮影条件を参照することでぼかし量を決定することもできる。ぼかし量とは、ガウス分布の標準偏差量などのボケの強さを制御するパラメータやフィルタサイズによるボケの範囲を制御するパラメータに基づいて決定される量である。撮像光学系201の焦点距離や絞り値Fnoに応じて被写体の視差ずれ量(視差成分の領域サイズに対応)は異なる。このため、撮影条件を参照することにより最適なぼかし量を決定することができ、フィルタサイズを削減することが可能となる。
また本実施例において、画面全体において同一のぼかし量が適用されるが、被写体距離情報が既知であれば、被写体毎に距離に応じてぼかし量を変更することが好ましい。被写体距離に応じて被写体の視差ずれ量が異なるため、被写体毎に距離に応じてぼかし量を変更することにより、各被写体に最適なぼかし量を決定することができ、フィルタサイズを削減することが可能となる。フィルタサイズを削減することにより、ボケ付加処理部204dによるボケ付加処理の処理負荷を大きく低減することができる。ここで、被写体距離情報に関しては、まず一対の視差画像に対して一般的に知られているブロックマッチング法で被写体の対応点を抽出し、視差画像間の対応点画素の画素位置差分として視差量を算出する。そして算出された視差量と既知の情報である撮像系の焦点距離と瞳分割による基線長データから撮影被写体に対する距離情報を算出することができる。本実施例では、このような被写体距離情報の算出ステップを追加してもよい。
続いてステップS109において、画像処理部204のマスク作成部204eは、ステップS108にて生成されたボケ画像(図3(c)の画像)と第一不要成分除去画像(図3(b)の画像)との差分情報に基づいて、マスク(図3(d)の画像)を生成する。具体的には、マスク作成部204eは、ボケ付加画像から第一不要成分除去画像を差し引いて、二値化処理を行うことにより、マスク(マスク画像)を作成する。本実施例では、前述のマスクをそのまま用いているが、さらにボケ付加処理部204dによりマスクにボケを付加してマスク領域を拡大することもできる。マスク領域を拡大することで、被写体が大きくボケたような状態においても、視差成分を確実にマスキングすることが可能となる。また、さらにフィルタサイズを削減するため、ステップS108、S109のそれぞれにおいて、縮小画像を用いて各処理を実行してもよい。画像サイズを縮小することにより、ぼかすためのフィルタサイズを縮小することができ、ボケ付加処理の処理負荷を大きく低減することが可能となる。また、縮小画像を用いて作成したマスクを元の画像サイズまで拡大することにより、略同等のマスクを作成することができる。
続いてステップS110において、画像処理部204の第二不要成分検出部204fは、第一不要成分およびマスクに基づいて、第二不要成分(図3(e)の画像)を決定する。具体的には、第二不要成分検出部204fは、第一不要成分(図3(a)の画像)に対して前述のマスク(図3(c)の画像)を用いてマスキング処理を実行する。これにより、視差成分と不要成分(ゴースト成分)とが混在した状態(画像)から視差成分のみを除去することができる。
続いてステップS111において、不要成分低減部204cは、出力すべき画像から第二不要成分(図3(e)の画像)を低減または除去する補正処理を行う。ここでは画像処理部204は、出力すべき画像として、図1(b)に示される、瞳分割を行わない撮像により生成された撮影画像と同等の画像を生成する。この場合、ステップS103にて負の値を切り捨てて0値とすることにより、不要成分のみが正の値として検出されているため、単純に図1(a)の合成画像から図3(e)の第二不要成分を差し引くことで、不要成分を除去することができる。最後に、ステップS112において、システムコントローラ210は、不要成分が除去(低減)された出力画像(図1(b)の画像)を、画像記録媒体209に保存し、または、表示部205に表示する。
本実施例によれば、1回の撮像で得られた複数の視差画像に基づく複数の相対差分画像から、不要光により形成された不要成分(ゴースト成分)を決定することができる。すなわち、複数回の撮像を行うことなく撮影画像に含まれる不要成分を決定することが可能である。また、相対差分画像を生成する際に、負の値を切り捨てているため、単純な差分計算のみで決定された不要成分を良好に除去または低減した高画質の撮影画像を得ることができる。
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例における撮像装置の基本構成は、図6を参照して説明した実施例1の撮像装置200と同様であるため、その説明は省略する。また、本実施例の撮像系における撮像素子の受光部の構成についても、実施例1と同様であるため、その説明は省略する。
図10および図11を参照して、本実施例における不要成分を決定する方法について説明する。瞳分割による撮像により生成された複数の視差画像を合成した撮影画像は、図1(a)と同様である。図10および図11は、本実施例における画像処理方法の手順を示す図である。
図10(A−1)および図10(B−1)は、それぞれ、領域P1、P2(瞳領域)を通過した光束を画素群G1、G2にて光電変換した結果として得られた一対の視差画像を示している。一対の視差画像には、画像成分に視差に対応する差(視差成分)が存在する。図1(a)に示されるような被写体Xにピントが合い、後方にある被写体Yがボケているような場合、被写体Yに視差成分が存在する。また、一対の視差画像にも四角として模式的に示される不要成分(ゴースト成分GST)が含まれているが、図10(A−1)には不要成分は存在せず、図10(B−1)にのみ不要成分が存在する。
図10(A−2)は、一対の視差画像に対して、図10(A−1)を基準画像として図10(B−1)の画像を差し引いた状態の画像を示している。この画像(相対差分画像)には、一対の視差画像が有する差分(相対差分情報)として、視差成分と前述の不要成分とが含まれている。また、前述の差分計算により、図10(B−1)に含まれる視差成分と不要成分とが負の値として算出されるが、後段の不要成分低減処理の簡易化のため、図10(A−2)では負の値を切り捨てている。このため、図10(A−2)の差分画像は、図10(A−1)に含まれる視差成分のみを示していることとなる。同様に、図10(B−2)は、一対の視差画像に対して、図10(B−1)を基準画像として図10(A−1)の画像を差し引いた状態の画像を示している。
また、図10(A−2)と同様に、前述の差分計算により図10(A−1)に含まれる視差成分が負の値として算出されるが、後段の不要成分低減処理の簡易化のため、図10(B−2)では負の値を切り捨てている。そのため、図10(B−2)の差分画像は、図10(B−1)に含まれる視差成分と不要成分とを示していることとなる。このように、差分画像における視差成分と不要成分とのみを残存させる(換言すると、視差成分と不要成分とを分離または抽出する)処理を行うことにより、視差成分および不要成分を決定することができる。本実施例では、図10(A−2)、(B−2)で示した各視差画像の相対差分画像(相対差分情報)を第一不要成分とする。ただし、この状態では不要成分(ゴースト)が抽出できているが、視差成分も残存している。このため、視差成分と不要成分とを分離する必要がある。
次に、視差成分と不要成分(ゴースト成分)とを分離する方法について説明する。第一不要成分には、前述した視差成分と不要成分とが混在している。図10(A−3)、(B−3)は、前述した各視差画像から図10(A−2)、(B−2)に示される第一不要成分をそれぞれ差し引いた(換言すると、各視差画像から第一不要成分を除去または低減した)画像(第一不要成分除去画像)である。ここで例として、図10(C)は、図10(A−3)、(B−3)に示される各第一不要成分除去画像を平均値処理して合成した画像(合成画像)である。図10(C)に示される合成画像では、不要成分であるゴーストを除去することができているが、同時に視差成分も除去され、被写体Yのボケ部分も除去されてしまっている。写真におけるボケは画像表現として重要な要素であるため、最終画像としてボケが除去されることは好ましくない。
次に、図11(A−4)、(B−4)は、各第一不要成分除去画像(図10(A−3)、図10(B−3)の各画像)にボケを付加したボケ付加画像である。図11(A−5)、(B−5)は、各ボケ付加画像(図11(A−4)、図11(B−4)の各画像)から各第一不要成分除去画像を差し引いて、二値化処理を行ったマスクである。図11(A−4)、(B−4)から分かるように、ボケを付加すると被写体エッジ部がボケることで、エッジ部近傍に輝度勾配が生じる。このため、前述のように、ボケ付加画像から第一不要成分除去画像を差し引くと、図11(A−5)、(B−5)に示されるように、輝度勾配部分のみが抽出される。すなわち、被写体エッジ部の近傍領域のみが抽出されることとなる。ここで、前述の視差成分は、被写体エッジ部の近傍領域のみで発生するため、被写体エッジ部の近傍領域を抽出することにより、視差成分が生じる領域を特定することが可能となる。図11(A−6)、(B−6)は、各マスクを用いて図10(A−2)、(B−2)に示される各第一不要成分から視差成分を除去した、不要成分のみが抽出された第二不要成分である。このような手順を経ることにより、視差成分と不要成分(ゴースト)とを分離することができる。
そして、出力すべき画像において、前述のようにして決定された不要成分を除去または低減する補正処理を行う。これにより、図11(A−7)、(B−7)に示されるように、不要成分が概ね無くなった各視差画像を得ることができる。さらに、不要成分を低減させた各視差画像を合成することにより、図1(b)に示されるように、不要成分が低減された、瞳分割を行わない撮像により生成された撮影画像と同等の画像を生成することができる。
次に、図12を参照して、本実施例における不要成分(ゴースト)の決定処理(画像処理)の手順について説明する。図12は、本実施例における画像処理方法(不要成分の決定方法)を示すフローチャートである。図12の各ステップは、主にシステムコントローラ210および画像処理部204により、コンピュータプログラムとしての画像処理プログラムに従って実行される。
図12において、ステップS201〜S204は図9を参照して説明した実施例1のステップS101〜S104とそれぞれ同様であるため、それらの説明は省略する。
続いてステップS205において、不要成分低減部204cは、視差画像のそれぞれに対応する第一不要成分を低減または除去する補正処理を行い、各第一不要成分除去画像(図10(A−3)、(B−3)に示される各画像)を生成する。このとき、ステップS203にて負の値を切り捨てて0値とすることにより、第一不要成分のみが正の値として検出されるため、単純に各視差画像から各第一不要成分を差し引くことで第一不要成分を除去することができる。
続いてステップS206において、ボケ付加処理部204dは、各第一不要成分除去画像にボケを付加し、ボケ画像(図11(A−4)、(B−4)の画像)を生成する。具体的には、ボケ付加処理部204dは、第一不要成分除去画像に対してぼかし効果のあるフィルタによるフィルタ処理を実行する。
続いてステップS207において、マスク作成部204eは、ステップS206にて生成された各ボケ画像と各第一不要成分除去画像との差分情報に基づいて、図11(A−5)、(B−5)に示されるマスク(マスク画像)を生成する。具体的には、マスク作成部204eは、ボケ付加画像から第一不要成分除去画像を差し引き、二値化処理を行うことにより、マスクを作成する。
続いてステップS208において、第二不要成分検出部204fは、第一不要成分およびマスクに基づいて、第二不要成分(図11(A−6)、(B−6)の画像)を決定する。具体的には、第二不要成分検出部204fは、各第一不要成分に対して前述の各マスクを用いてマスキング処理を実行する。これにより、視差成分と不要成分(ゴースト)とが混在した状態(画像)から視差成分のみを除去することができる。
続いてステップS209において、不要成分低減部204cは、出力すべき画像から第二不要成分を低減または除去する補正処理を行う。ここでは、画像処理部204は、出力すべき画像として、図11(A−7)、(B−7)に示される画素G1、G2をそれぞれ1画素とすることで得られる各視差画像を生成する。この場合、ステップS203にて負の値を切り捨てて0値とすることにより、各視差画像に含まれる不要成分のみが正の値として検出される。このため、単純に各視差画像からそれぞれの第二不要成分を差し引くことにより、不要成分を除去することができる。本実施例において、ステップS209は、図10(A−1)の視差画像から図11(A−6)の第二不要成分を差し引き、図10(B−1)の視差画像から図11(B−6)の第二不要成分を差し引くことに相当する。最後に、ステップS210において、システムコントローラ210は、不要成分が除去(低減)された出力画像を、画像記録媒体209に保存し、または、表示部205に表示する。
本実施例によれば、1回の撮像で得られた複数の視差画像に基づく複数の相対差分画像から、不要光により形成された不要成分(ゴースト成分)を決定することができる。すなわち、複数回の撮像を行うことなく撮影画像に含まれる不要成分を決定することが可能となる。また、相対差分画像を生成する際に、負の値を切り捨てているため、単純な差分計算のみで決定した不要成分を良好に除去または低減した高画質の撮影画像を得ることができる。
次に、本発明の実施例3(複数の瞳分割)について説明する。本実施例における撮像装置の基本構成は、図6を参照して説明した実施例1の撮像装置200と同様であるため、その説明は省略する。
図13は、本実施例における撮像素子202aの受光部を示す図である。図13において、MLはマイクロレンズである。G11、G12、G13、G14は、画素(受光部)であり、互いに組をなしている。撮像素子202aには、画素G11、G12、G13、G14(1つの画素組)が複数配列されており、1つの画素組は、共通または共有の(すなわち画素組ごとに1つずつ設けられた)マイクロレンズMLを介して、射出瞳EXPと共役な関係を有する。本実施例において、撮像素子202aに配列された複数の画素G11をまとめて画素群G11ともいう。同様に、撮像素子202aに配列された複数の画素G12、G13、G14のそれぞれをまとめて、画素群G12、G13、G14ともいう。撮像光学系201の具体的な構成例は、図7を参照して説明した実施例1と同様であるため、その説明は省略する。
図14は、撮像光学系201の絞りSTPを透過する不要光の説明図である。図14は、絞りSTPのうち、図13に示される画素G11、G12、G13、G14に入射する光束が通過する領域P1、P2、P3、P4(瞳領域または瞳分割領域)を示している。なお、絞りSTPは、撮像光学系201の射出瞳EXPに相当するものとして考えることができるが、実際には絞りSTPと射出瞳EXPは互いに異なることが多い。高輝度物体からの光束は絞りSTPのほぼ全域を通過するが、各画素に入射する光束が通過する領域は、領域P1、P2、P3、P4に分割される。
続いて、図15乃至図17を参照して、撮像装置200による撮像により生成される撮影画像において、不要光が光電変換されることで現れる画像成分である不要成分を決定する方法について説明する。
図15は、本実施例における画像処理方法の出力画像の一例であり、図15(a)は、瞳分割による撮像により生成された複数の視差画像を合成した撮影画像を示している。この撮影画像には、2つの被写体(被写体X、Y)と不図示の光源により発生したゴーストが写っている。図15(a)の画像は、星型の被写体Xにピントが合っており(合焦被写体)、丸型の被写体Yはボケている(非合焦被写体)例である。また、撮影画像中に四角部分として示されるゴースト成分GSTは、不要光(ゴースト)の画像成分である不要成分である。また、不要成分は、撮影被写体に不要光がかぶった状態であるため、撮影被写体よりも高輝度化する部分である。このことは、後述する他の実施例に関する図でも同様である。
図16および図17は、本実施例における画像処理方法の手順を示す図である。図16(A−1)、図16(B−1)、図16(C−1)、図16(D−1)は、それぞれ、領域P1、P2、P3、P4を通過した光束を画素群G11、G12、G13、G14にて光電変換した結果として得られた一組の視差画像である。また、一組の視差画像には、四角として模式的に示される不要成分(ゴースト成分GST)が含まれている。不要成分の位置は、図16(C−1)と図16(D−1)ではその一部がオーバーラップしている。また、図16(B−1)、図16(C−1)、図16(D−1)では、その位置が互いに異なっている。また、図16(A−1)には、不要成分(ゴースト成分GST)は生じていない。
図16(A−2)は、一組の視差画像に対して、図16(A−1)を基準画像として図16(B−1)の画像を差し引いた相対差分画像である。この画像には、実施例1と同様に、相対差分情報として、被写体の視差成分と前述の不要成分とが含まれている。また、実施例1と同様に、前述の差分計算により、図16(B−1)に含まれる不要成分が負の値として算出されるが、後段の不要成分の低減処理の簡易化のため、図16(A−2)では負の値を切り捨てている。これは、後述の全ての相対差分画像についても同様である。また、図16(A−3)は、一組の視差画像に対して、図16(A−1)を基準画像として図16(C−1)の画像を差し引いた相対差分画像である。また、図16(A−4)は、一組の視差画像に対して、図16(A−1)を基準画像として図16(D−1)の画像を差し引いた相対差分画像である。図11(A−1)には不要成分(ゴースト成分GST)が生じていない。このため、図16(A−2)、(A−3)、(A−4)は、図16(A−1)に含まれる視差成分のみを示していることとなる。
また、図16(A−5)は、2次元データとして取得されている相対差分情報である図16(A−2)、図16(A−3)、図16(A−4)の相対差分画像内の各画素位置における相対差分情報間の最大値を抽出した画像情報(相対差分最大値情報)である。本実施例では、図16(A−1)に含まれる視差成分の位置およびその量である。
同様に、図16(B−2)は、一組の視差画像に対して、図16(B−1)を基準画像として図16(A−1)の画像を差し引いた相対差分画像である。図16(B−3)は、一組の視差画像に対して、図16(B−1)を基準画像として図16(C−1)の画像を差し引いた相対差分画像である。図16(B−4)は、一組の視差画像に対して、図16(B−1)を基準画像として図16(D−1)の画像を差し引いた相対差分画像である。図16(B−5)は、2次元データとして取得されている相対差分情報である図16(B−2)、図16(B−3)、図16(B−4)の相対差分画像内の各画素位置における相対差分情報間の最大値を抽出した画像情報(相対差分最大値情報)である。本実施例では、図16(B−1)に含まれる視差成分および不要成分の位置とその量となる。
同様に、図16(C−2)は、一組の視差画像に対して、図16(C−1)を基準画像として図16(A−1)の画像を差し引いた相対差分画像である。図16(C−3)は、一組の視差画像に対して、図16(C−1)を基準画像として図16(B−1)の画像を差し引いた相対差分画像である。図16(C−4)は、一組の視差画像に対して、図16(C−1)を基準画像として図16(D−1)の画像を差し引いた相対差分画像である。前述のように、図16(C−1)および図16(D−1)において、同じ位置に不要成分の一部がオーバーラップしているため、相対差分情報に一部の不要成分が検出されない。このように、同じ位置に生じている不要成分は相対差分画像には現れない。すなわち、2画像間だけの差分情報だけでは、検出することができない不要成分が存在する。
しかしながら、本実施例のように複数の視差画像の相対差分情報を取得することにより、例えば図16(B−1)のように1つの視差画像でも基準画像と異なる位置に不要成分が生じていれば、その不要成分を効果的に検出することが可能となる。図16(C−5)は、2次元データとして取得されている相対差分情報である図16(C−2)、図16(C−3)、図16(C−4)の相対差分画像内の各画素位置における相対差分情報間の最大値を抽出した画像情報(相対差分最大値情報)である。本実施例では、図16(C−1)に含まれる視差成分および不要成分の位置とその量となる。
同様に、図16(D−2)は、一組の視差画像に対して、図16(D−1)を基準画像として図16(A−1)の画像を差し引いた相対差分画像である。図16(D−3)は、一組の視差画像に対して、図16(D−1)を基準画像として図16(B−1)の画像を差し引いた相対差分画像である。図16(D−4)は、一組の視差画像に対して、図16(D−1)を基準画像として図16(C−1)の画像を差し引いた相対差分画像である。図16(D−5)は、2次元データとして取得されている相対差分情報である図16(D−2)、図16(D−3)、図16(D−4)の相対差分画像内の各画素位置における相対差分情報間の最大値を抽出した画像情報(相対差分最大値情報)である。本実施例では、図16(D−1)に含まれる視差成分および不要成分位置とその量となる。
ここで、出力画像として図15(a)に示される瞳分割による撮像により生成された視差画像を平均合成した撮影画像を出力することを考える。このとき、前述のように視差画像毎に不要成分が抽出されているため、一つの手法として各視差画像から夫々抽出された不要成分を差し引くことで低減することが考えられる。しかしながら、画像として視差画像を平均した1枚の画像を出力するのに対して、不要成分の低減処理を視差画像枚数分だけ実行する必要があり、低減処理工程の複雑さを招く。そのため、本実施例では、出力画像の視差画像の合成処理に合わせて、同様の処理で前述の各視差画像の不要成分を合成処理する。本実施例では、最終出力画像として各視差画像を平均した画像を出力しているため、各視差画像の不要成分の平均値を演算し合成処理する。
図17(a)は、平均合成された不要成分を示す図である。出力画像を各視差画像の平均値として出力する場合、出力画像に含まれる不要成分は、各視差画像に含まれる不要成分の平均値と一致する。ここで、本実施例では、図17(a)に示される各視差画像の相対差分画像(相対差分情報)の平均値を第一不要成分とする。第一不要成分には、前述した視差成分と不要成分とが混在している。
図17(b)は、前述した複数の視差画像を合成した撮影画像(図15(a)の画像)から第一不要成分(図17(a)の画像)を差し引いた(換言すると、図15(a)の画像から第一不要成分を除去または低減した)画像(第一不要成分除去画像)である。図17(b)に示される第一不要成分除去画像では、不要成分であるゴースト成分が除去されているが、同時に視差成分も除去され、被写体Yのボケ部分も除去されている。写真におけるボケは画像表現として重要な要素であるため、最終画像としてボケが除去されることは好ましくない。
図17(c)は、第一不要成分除去画像(図17(b)の画像)にボケを付加したボケ付加画像である。図17(d)は、ボケ付加画像(図17(c))から第一不要成分除去画像(図17(b)の画像)を差し引いて、二値化処理を行ったマスク(マスク画像)である。図17(c)から分かるように、ボケを付加すると被写体エッジ部がボケることで、エッジ部近傍に輝度勾配が生じる。このため、前述のようにボケ付加画像(図17(c)の画像)から第一不要成分除去画像(図17(b)の画像)を差し引くと、図17(d)に示されるように輝度勾配部分のみが抽出される。すなわち、被写体エッジ部の近傍領域のみが抽出されることとなる。ここで、前述の視差成分は、被写体エッジ部の近傍領域のみで発生するため、被写体エッジ部の近傍領域を抽出することにより、視差成分が生じる領域を特定することが可能となる。
図17(e)は、マスク(図17(d)の画像)を用いて、第一不要成分(図17(a)の画像)から視差成分を除去した、不要成分のみが抽出された第二不要成分である。このような手順を経ることにより、視差成分と不要成分(ゴースト成分)とを分離することができる。
ここで、出力画像として図15(a)に示される瞳分割による撮像により生成された複数の視差画像を合成した撮影画像を出力することを考える。本実施例では、最終出力画像として各視差画像を平均した画像を出力する。ここで、図17(e)に示される第二不要成分も各視差画像の不要成分の平均値となっている。そして、出力すべき画像において、第二不要成分を除去または低減する補正処理を行う。これにより、図15(b)に示されるように、不要成分の低減された瞳分割を行わない撮像により生成された撮影画像と同等の画像を生成することができる。
次に、図18を参照して、本実施例における不要成分(ゴースト成分)の決定処理(画像処理)の手順について説明する。図18は、本実施例における画像処理方法(不要成分の決定方法)を示すフローチャートである。図18の各ステップは、主にシステムコントローラ210および画像処理部204により、コンピュータプログラムとしての画像処理プログラムに従って実行される。図18において、ステップS301、S302は図9を参照して説明した実施例1のステップS101、S102とそれぞれ同様であるため、それらの説明は省略する。
続いてステップS303において、画像処理部204の第一不要成分検出部204aは、一組の視差画像について、各視差画像を基準画像とした複数の相対差分情報を求める。すなわち第一不要成分検出部204aは、図16(A−1)を基準画像とした相対差分画像(図16(A−2)、図16(A−3)、図16(A−4)の各画像)を生成する。また第一不要成分検出部204aは、図16(B−1)を基準画像とした相対差分画像(図16(B−2)、図16(B−3)、図16(B−4)の各画像)を生成する。また第一不要成分検出部204aは、図16(C−1)を基準画像とした相対差分画像(図16(C−2)、図16(C−3)、図16(C−4)の各画像)を生成する。また第一不要成分検出部204aは、図16(D−1)を基準画像とした相対差分画像(図16(D−2)、図16(D−3)、図16(D−4)の各画像)を生成する。
撮像面に到達した不要光が撮像光学系201の互いに異なる瞳領域を通過する場合、図16(B−1)および図16(C−1)に示されるように、視差画像ごとに不要成分の発生位置は異なる。そのため、単純な相対差分画像では、不要成分の差分値は正の値および負の値をとる。そこで本実施例では、後述の不要成分低減処理の簡易化のため、前記の負の値を切り捨てて0値とする処理を行う。そのため、視差成分と不要成分のみが正の値として検出される。一方、図16(C−1)と図16(D−1)に示されるように、同じ位置に一部の不要成分がオーバーラップしている場合、前述のように相対差分情報に一部の不要成分は検出されない。また、各視差画像間の輝度ムラによる検出誤差を緩和するため、シェーディング補正などの輝度補正ステップを追加してもよい。
続いてステップS304において、第一不要成分検出部204aは、ステップS303にて生成された各視差画像を基準画像とした相対差分画像内の各画素位置における相対差分情報間の最大値を抽出する。ここで、複数の相対差分情報間の最大値を抽出する効果について説明する。本実施例のように、図16(C−1)と図16(D−1)の画像では、同じ位置に一部の不要成分がオーバーラップしている。このように、光学系や高輝度光源の位置によっては、視差画像間でも同じ位置に不要成分が生じる場合がある。このような場合に2画像の差分を算出すると、不要成分も0値となってしまう。すなわち、2画像間だけの差分情報だけでは、検出することができない不要成分が存在する。そこで本実施例では、複数の視差画像の相対差分情報を取得することにより、例えば図16(B−1)のように1つの視差画像でも基準画像と異なる位置に不要成分が生じていれば、図16(C−3)のようにその不要成分を効果的に検出することを可能としている。このように、複数の相対差分情報を取得し、その複数の相対差分情報間の相対差分最大値情報を抽出することにより、1つでも視差画像間で不要成分の位置が異なる画像が存在すれば、不要成分の位置と量を確実に検出することができる。
そしてステップS305において、第一不要成分検出部204aは、ステップS304にて抽出された相対差分最大値画像中に残存した成分を第一不要成分と決定する。また、ノイズなどの影響を除去するため、ノイズ低減処理や閾値処理などのステップを加えてもよい。
続いてステップS306において、画像処理部204の合成処理部204bは、ステップS305にて得られた各視差画像の第一不要成分である相対差分最大値情報の平均値処理を行う。具体的には、合成処理部204bは、図16(A−5)、(B−5)、(C−5)、(D−5)の各相対差分最大値情報の平均値演算を実行し、平均処理された第一不要成分(図17(a)の画像)を生成する。
そしてステップS307において、合成処理部204bは、視差画像を平均処理し、1枚の瞳分割を行わない撮像により生成された撮影画像と同等の画像を出力する。具体的には、合成処理部204bは、ステップS302にて生成された視差画像(図16(A−1)、(B−1)、(C−1)、(D−1)の画像)の平均値演算を実行し、平均処理された合成画像(図15(a)の画像)を生成する。または、合成処理部204bは、視差画像を生成するステップを経ずに、撮像素子202(画素群G11〜G14)から出力されてA/Dコンバータ203にてA/D変換されたデジタル信号の平均値を演算することで、合成画像を生成してもよい。
続いてステップS308において、画像処理部204の不要成分低減部204cは、平均視差画像から平均値処理された第一不要成分を低減または除去する補正処理を行い、第一不要成分除去画像(図17(b)の画像)を生成する。この場合、ステップS303にて負の値を切り捨てて0値とすることで、第一不要成分のみが正の値として検出されている。このため、単純に合成画像(図15(a)の画像)から図17(a)の平均値処理された第一不要成分(図17(a)の画像)を差し引くことで、第一不要成分を除去することができる。
続いてステップS309において、画像処理部204のボケ付加処理部204dは、第一不要成分除去画像にボケを付加し、ボケ画像(図17(c)の画像)を生成する。具体的には、ボケ付加処理部204dは、第一不要成分除去画像に対してぼかし効果のあるフィルタによるフィルタ処理を実行する。本実施例において、ぼかし量を調整可能なガウシアンフィルタが使用される。また本実施例において、ぼかし量としてのフィルタ係数に、ガウス分布の標準偏差を視差成分に対して十分大きくなるように設定している。これに代えて、状態検知部207から得られる撮像光学系の焦点距離や絞り値Fnoなどの撮影条件を参照することで、ぼかし量を決定することもできる。撮像光学系201の焦点距離や絞り値Fnoに応じて被写体の視差ずれ量(視差成分の領域サイズに対応)が異なるため、撮影条件を参照することで最適なぼかし量を決定することができ、フィルタサイズを削減することが可能である。また、本実施例において、ぼかし量を画面全体に同一としているが、被写体距離情報が既知であれば、被写体毎に距離に応じてぼかし量を変更することが好ましい。被写体距離に応じて被写体の視差ずれ量が異なるため、被写体毎に距離に応じてぼかし量を変更することで、各被写体に最適なぼかし量を決定でき、フィルタサイズを削減することが可能となる。また、フィルタサイズを削減することで、ボケ付加処理の処理負荷を大きく低減することができる。
続いてステップS310において、画像処理部204のマスク作成部204eは、ステップS309にて生成されたボケ画像とステップS308にて生成された第一不要成分除去画像との差分情報に基づいて、マスク(図17(d)の画像)を生成する。具体的には、マスク作成部204eは、ボケ付加画像から第一不要成分除去画像を差し引いて、二値化処理を行ったマスク(マスク画像)を生成する。本実施例では、前述のマスクをそのまま用いているが、さらにボケ付加処理部204dにより、マスクにボケを付加してマスク領域を拡大することもできる。マスク領域を拡大することで、被写体が大きくボケたような状態においても、視差成分を確実にマスキングすることが可能となる。また、ノイズなどの影響を除去するためにノイズ低減処理や閾値処理などのステップを加えてもよい。
続いてステップS311において、画像処理部204の第二不要成分検出部204fは、第一不要成分およびマスクに基づいて、第二不要成分(図17(e)の画像)を決定する。具体的には、第二不要成分検出部204fは、第一不要成分に対して前述のマスクを用いてマスキング処理を実行する。これにより、視差成分と不要成分(ゴースト成分)とが混在した状態(画像)から視差成分のみを除去することができる。
続いてステップS312において、不要成分低減部204cは、出力すべき画像から第二不要成分を低減または除去する補正処理を行う。ここでは、出力すべき画像として、図15(b)に示されるように、瞳分割を行わない撮像により生成された撮影画像と同等の画像が生成される。このとき、ステップS303にて負の値を切り捨てて0値とすることにより、不要成分のみが正の値として検出されている。このため、単純に合成画像(図15(a)の画像)から第二不要成分(図17(e)の画像)を差し引くことにより、不要成分を除去することができる。最後に、ステップS313において、システムコントローラ210は、図15(b)に示されるように不要成分が除去(低減)された出力画像を、画像記録媒体209に保存し、または、表示部205に表示する。
本実施例によれば、1回の撮像で得られた複数の視差画像に基づく複数の相対差分画像から不要光(ゴースト)により形成された不要成分を決定することができる。すなわち、複数回の撮像を行うことなく撮影画像に含まれる不要成分を決定することが可能となる。また、相対差分画像を生成する際に、負の値を切り捨てているため、単純な差分計算のみで決定した不要成分を良好に除去または低減した高画質の撮影画像を得ることができる。また、複数の相対差分情報を算出し、その最大値を抽出した相対差分最大値情報を算出することで、複数の視差画像内に不要成分位置がオーバーラップした場合にも効果的に不要成分を検出して低減することができる。また、不要成分を合成処理することで、視差画像を合成した画像に含まれる不要成分を1つのデータとして生成するため、不要成分低減処理を1度の差分計算で実行することが可能となり、不要成分低減処理を簡易化することができる。
次に、本発明の実施例4について説明する。Ren.Ng等の「Light Field Photography with a Hand−held Plenoptic Camera」(Stanford Tech Report CTSR 2005−2)において、「Plenoptic Camera」が提案されている。「Plenoptic Camera」において「Light Field Photography」という手法を用いることで、物体側からの光線の位置と角度の情報を取り込むことができる。
図19は、本実施例における撮像装置の撮像系を示す図であり、「Plenoptic Camera」の撮像系の構成を示している。撮像光学系301は、主レンズ(撮影レンズ)301bと開口絞り301aとを備えて構成される。撮像光学系301の結像位置には、マイクロレンズアレイ301cが配置されており、さらにその後方(像側)に撮像素子302が配置されている。マイクロレンズアレイ301cは、例えば点Aのような被写体空間のある一点を通る光線群と、点Aの近傍の点を通る光線とが撮像素子302上で混ざらないようにセパレータ(分離手段)としての機能を有する。図19から分かるように、点Aからの上線、主光線および下線は、それぞれ異なる画素によって受光される。このため、点Aを通る光線群を光線の角度ごとに分離して取得することができる。
また、Todor Georgive等による「Full Resolution Light Field Rendering」(Adobe Technical Report January 2008)が知られている。この文献では、光線の位置と角度の情報(Light Field)を取得する方法として、図20および図21に示される撮像系を提案している。
図20に示される撮像系の構成では、マイクロレンズアレイ301cを主レンズ301bの結像位置よりも後方(像側)に配置し、点Aを通る光線群を撮像素子302上に再結像させることで、光線群を光線の角度ごとに分離して取得することができる。また、図21に示される撮像系の構成では、マイクロレンズアレイ301cを主レンズ301bの結像位置よりも前方(物体側)に配置し、点Aを通る光線群を撮像素子302上に結像させることで、光線群を光線の角度ごとに分離して取得することができる。いずれの構成も、撮像光学系301の瞳を通過する光束を瞳内での通過領域(通過位置)に応じて分割する点は同じである。そして、これらの構成では、撮像素子302は、図22に示されるように、1つのマイクロレンズMLと1つの受光部G1とカラーフィルタCFを介して対になっている従来の撮像素子を用いることができる。
図19に示される撮像光学系301を用いると、図23(a)に示されるような画像が得られる。図23(b)は、図23(a)中に多数並んだ円のうち1つを拡大して示している。1つの円は絞りSTPに相当し、その内側は複数の画素Pj(j=1、2、3、…)により分割されている。これにより、1つの円内で瞳の強度分布が得られる。また、図20および図21に示される撮像光学系301を用いると、図24に示されるような視差画像が得られる。図23(a)に示される画像において、各円(絞りSTP)内の複数の画素Pjを並べて再構成することによっても、図24に示すような複数の視差画像が得られる。
実施例1〜3で説明したように、ゴーストなどの不要光は、瞳内で偏りを持って瞳を通過する。このため、本実施例のように瞳を分割して撮像する撮像装置において実施例1〜3にて説明した画像処理方法を使用することにより、不要成分を決定することもできる。
また、別の例として、図25に示されるような複数のカメラを用いて同一被写体を撮像する場合でも、視差画像が得られる。このため、このような複数のカメラにおいても、実施例1〜3にて説明した画像処理方法を用いることができる。C1、C2、C3は、実際には別々の撮像装置であるが、大きな瞳を3つに分割して撮像する一体の撮像装置と見なすことができる。また、図26に示されるように、1つの撮像装置に複数の撮像光学系OSj(j=1、2、3、…)を設けることで瞳分割を行うことも可能である。
次に、本発明の実施例5について説明する。前述の各実施例では、画像全域において不要成分を決定し、または除去する場合について説明したが、図1に示されるように、多くの場合、不要成分は画像の一部にのみ生じる。画像中の不要成分領域は、ユーザが判定することが容易であるため、ユーザに低減処理を行う画像領域を指定させることにより、各実施例での処理負荷を低減させることができる。また、領域を限定することにより、前述の近距離被写体撮影の場合に生じる被写体視差成分の影響を低減することもできる。また、不要成分を合成することにより、1つのデータとして扱うことができるため、パラメータ処理などの重み係数をかけた不要成分除去量の調節を簡易に行うこともできる。
図27は、本実施例における不要成分低減処理領域の選択例および不要成分低減処理量の選択例を示す図である。具体的には、ユーザは、タッチパネル(不図示)などの操作手段の操作により、図27(a)に示されるように、不要成分除去処理前の出力画像内の不要成分領域を実線で囲まれた範囲のように指定する。
続いてユーザは、図27に示される不要成分除去量調節インジケータ10の範囲内で、除去量を指定する。本実施例では、不要成分除去量調節インジケータ10の左端が不要成分にかける重み係数が0となり、図27(a)に示されるような不要成分除去処理前の画像が生成される。また、不要成分除去量調節インジケータ10の右端が不要成分にかける重み係数が1となり、図27(c)に示されるような不要成分が完全に除去された画像が生成される。さらに、不要成分除去量調節インジケータ10の中間では、不要成分にかける重み係数は0から1の間となり、図27(b)に示されるような不要成分が重み係数分だけ除去された画像が生成される。本実施例では、不要成分にかける重み係数を最大で1としているが、さらに不要成分を除去する必要がある場合、1以上の重み係数をかけることで、検出された不要成分量以上に除去処理を実行することが可能である。このように領域を限定した場合にも、視差画像から実施例1〜3と同様の画像処理方法を用いて不要成分(ゴースト成分)を決定し、または除去することができる。
また、各実施例では、不要成分(第二不要成分、すなわちゴースト成分)を除去または低減する場合について説明したが、決定した不要成分(ゴースト成分)に関する情報を用いて、別の不要成分を付加(または強調)する補正処理を行うようにしてもよい。例えば、図24に示される複数の視差画像のそれぞれについて、不要成分(ゴースト成分)が存在する画像と存在しない画像が生じる。再構成後の画像にも、不要成分(ゴースト成分)を残したい場合、決定した不要成分(ゴースト成分)を各視差画像に付加してもよい。また、再構成した画像に対して不要成分(ゴースト成分)を付加することもできる。
各実施例では、本発明の画像処理方法を使用する(画像処理装置を搭載した)撮像装置について説明したが、本発明の画像処理方法は、パーソナルコンピュータにインストールされる画像処理プログラムによっても実施することができる。この場合、パーソナルコンピュータが本発明の画像処理装置に相当する。パーソナルコンピュータは、撮像装置により生成された画像回復処理前の画像(入力画像)を取り込み(取得し)、画像処理プログラムによって画像回復処理を行って、その結果得られた画像を出力する。
このように各実施例において、画像処理装置(画像処理部204)は、第一不要成分決定手段(第一不要成分検出部204a)、および、画像生成手段(不要成分低減部204c)を有する。また画像処理装置は、ボケ画像生成手段(ボケ付加処理部204d)、マスク作成手段(マスク作成部204e)、および、第二不要成分決定手段(第二不要成分検出部204f)を有する。第一不要成分決定手段は、複数の視差画像の複数の相対差分情報に基づいて複数の視差画像のそれぞれの第一不要成分を決定する(S104、S204、S305)。画像生成手段は、複数の視差画像および第一不要成分に基づいて第一不要成分が低減された第一画像(第一不要成分除去画像)を生成する(S107、S205、S308)。ボケ画像生成手段は、第一画像にボケを付加してボケ画像を生成する(S108、S206、S309)。マスク作成手段は、ボケ画像および前記第一画像に基づいてマスクを作成する(S109、S207、S310)。第二不要成分決定手段は、第一不要成分およびマスクに基づいて第二不要成分を決定する(S110、S208、S312)。
好ましくは、撮像系(撮像光学系201、撮像素子202)および画像処理部204は、撮影により複数の視差画像を取得する(S101、S102、S202、S203、S301、S302)。また好ましくは、第一不要成分検出部204aは、複数の視差画像のそれぞれを基準画像として設定し、複数の視差画像のうち基準画像を除く他の視差画像と基準画像との差分を算出して複数の相対差分情報を求める(S103、S203、S303)。
好ましくは、第一不要成分決定手段は、複数の視差画像のうち、不要成分を決定する対象となる視差画像を基準画像として得られた複数の相対差分情報を負の値(または、所定の第一閾値以下の値)を切り捨てた2次元データとして取得する。そして第一不要成分決定手段は、2次元データの各位置における複数の相対差分情報の間の最大値(または、所定の第二閾値以上の値)を抽出し、基準画像における第一不要成分の位置および量を決定する。
好ましくは、ボケ画像生成手段は、第一画像に対してぼかし効果を付与するフィルタを用いてボケ画像を生成する。より好ましくは、ボケ画像生成手段は、フィルタを用いたフィルタ処理によるぼかし量を、視差画像の撮影条件に基づいて決定する。また好ましくは、ボケ画像生成手段は、フィルタを用いたフィルタ処理によるぼかし量を、視差画像の被写体距離情報に基づいて決定する。より好ましくは、被写体距離情報は、複数の視差画像から算出される。
好ましくは、マスク作成手段は、ボケ画像から第一画像を減算して得られた差分情報に基づいてマスクを作成する。より好ましくは、マスク作成手段は、ボケを付加してマスクを補正する。
好ましくは、画像生成手段は、複数の視差画像の少なくとも一つから第二不要成分を低減した第二画像(出力画像)を生成する(S111、S209、S312)。そして第二不要成分決定手段は、第二不要成分として、第一不要成分およびマスクに基づいて複数の視差画像のそれぞれの不要成分を決定する。
好ましくは、画像生成手段は、複数の視差画像の合成値から第二不要成分を低減した第二画像(出力画像)を生成する(S111、S209、S312)。そして第二不要成分決定手段は、第二不要成分として、第一不要成分の合成値およびマスクに基づいて複数の視差画像の合成値に含まれる不要成分を決定する。より好ましくは、第一不要成分の合成値および複数の視差画像の合成値は、それぞれ、第一不要成分の平均値および複数の視差画像の平均値である。
好ましくは、画像処理部204は、第二不要成分の判定対象領域を選択する。そして第二不要成分決定手段は、選択された判定対象領域において第二不要成分を決定する。また好ましくは、複数の視差画像は、撮像光学系の瞳のうち互いに異なる領域を通過した複数の光束に基づいて生成された複数の画像である。また好ましくは、画像処理部204は、第二不要成分に関する情報を用いて、複数の視差画像の少なくとも一つに別の不要成分を付加する補正処理を行う。
各実施例によれば、複数の撮像を行うことなく(1回の撮影を行うだけで)撮影画像に含まれる視差成分と不要成分(ゴースト成分)とを分離可能な画像処理方法、画像処理装置、撮像装置、画像処理プログラム、および、記憶媒体を提供することができる。また、視差成分と不要成分を分離する際には予め視差ずれを補正する必要もない。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。