JP6197178B2 - 多成分ガスのシミュレーション方法およびシミュレーション装置 - Google Patents

多成分ガスのシミュレーション方法およびシミュレーション装置 Download PDF

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本発明は、多成分ガスのシミュレーション方法およびシミュレーション装置に関するものであり、詳しくは、連続体領域とクヌーセン領域、特に連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域をシミュレーション可能な多成分ガスのシミュレーション方法およびシミュレーション装置に関するものである。
近年、サブミクロンサイズの部材の微細構造の物理的特性をシミュレーションする技術が製品開発の場で必要となってきている。例えば、燃料電池のガス拡散層や触媒層で用いられる多孔質体中のガスのシミュレーションが、それに該当する。
このシミュレーションでは、ガスを構成する原子・分子の平均自由行程と多孔質体の空隙のサイズ(代表長さ)の関係が重要になる。
そして、ガスを構成する原子・分子の平均自由行程が多孔質体の空隙のサイズよりも十分に小さい場合には、連続体近似が許容され、系を記述する物理方程式はナヴィエストークス方程式、もしくはナヴィエストークス方程式と分子拡散に基づく連続体近似方程式の連立により記述される。
そして、連続体近似が許容される範囲でシミュレーションを行う場合には、アンシス(ANSYS)社製の汎用熱流体解析ソフトウェアであるFluent(登録商標)に代表されるような非常に多くの市販ツールを利用することが可能である。
一方、多孔質体の空隙のサイズがより小さくなり、ガスを構成する原子・分子の平均自由行程が多孔質体の空隙のサイズと同程度になってくると、もはや連続体近似は許容されなくなってくる。
この領域は、連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域として知られおり、原子・分子同士の衝突に加え、多孔質体の空隙のサイズや形状が、ガスを構成する原子・分子の挙動に大きく影響を及ぼす。
これら両方の考慮が必要になってくるのは、ガスを構成する原子・分子の平均自由行程と多孔質体の空隙のサイズが等しくなってくる、おおよそ100ナノメートル前後のサイズ(長さ)であると考えられる。
連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域における物質移動をシミュレーションする場合、以下に説明する二つの手法に大別される。
一つ目の手法は、連続体近似の基礎式を採用しつつ、有効拡散係数に代表されるようなサブミクロンサイズの材料毎の物理パラメータを設定して、市販ツールを利用する手法であり、もう一つの手法は部材にガスを導入して、原子・分子間の衝突に加えて細孔壁との衝突も計算しながらガスの挙動を計算する、ボルツマン方程式の考え方に基づくシミュレーション手法である。
ここで述べるボルツマン方程式の考え方に基づくシミュレーションとは、連続体近似に基づく基礎式をシミュレーションする手法とは異なり、ガスを構成する原子・分子の位相空間における分布関数を逐次計算し、そこから各種平均物理量を算出するシミュレーショ
ン手法のことを指している。具体的には直接モンテカルロ法、格子ガス法、格子ボルツマン法などがそれに該当する。
ECS Transactions, 50 (2) p.207-219 (2012) J. Phys. D: Appl. Phys. 40 7593-7600 (2007)
上述したように、近年の製品開発では部材のサブミクロンサイズの構造に基づく物理特性を把握する必要がある。つまり、連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域のシミュレーション技術が必須となってきているが、連続体近似に基づくシミュレーション手法だけではニーズに対して不十分なものとなっている。
上述した有効拡散係数などの物理パラメータを利用して連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域からクヌーセン領域までにわたる領域をシミュレーションする方法では、有効な物理パラメータ自体を決定するために、材料毎のサブミクロンサイズの構造に最適な物理モデルを選択する必要がある。
それらを決める公知の物理モデルでは、例えば多孔質体を考える場合であれば、一般に微細構造の空隙率、空隙の直径、形状、屈曲度などを適用することが知られている。
しかし、容易に想像できるように、これらの構造を規定するプリミティブなパラメータの幾つかは、その決定が難しいだけでなく、原理的に一意に決定が不可能なものも含まれている。例えば、空隙率などは一意に決定できるが、空隙の直径などは空隙の場所により様々な値を取り得る。その結果、該当の多孔質体の空隙の直径などは一意には決定できない。
仮に部材の局所的な空隙の直径などのパラメータが決定でき、連続体近似の基礎式に反映できた場合でも、採用した各種物理パラメータに対応するモデルが実際のシミュレーション対象の材料にマッチするかどうかという本質的な課題も検討しなければならず、これらの課題を全てクリアした上で、正確な連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域からクヌーセン領域までにわたる領域のシミュレーションの実施はこれまでに例がない。
そこで、本発明は、有効物理パラメータの決定といった、煩雑なステップなしに、連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域からクヌーセン領域までにわたる領域をシミュレーション可能な、ボルツマン方程式の考え方に基づく多成分ガスのシミュレーション方法およびシミュレーション装置を提供することを目的としている。
連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域からクヌーセン領域までにわたる領域における物理法則を解析する手法として、ボルツマン方程式の考え方に基づくシミュレーション手法のうち、格子ガス法や格子ボルツマン法などの分布関数を媒介して平均物理量の計算を行う解析手法が近年、注目を集めている。
これら中でも、格子ボルツマン法は、連続体領域、クヌーセン領域、連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域の全領域がシミュレーション可能な手法であると考えられており、活発な研究開発とエンジニアリングへの適用が盛んに試みられている。
しかしながら、現状では、格子ボルツマン法のエンジニアリングへの展開は殆どの場合
で、単成分ガスの問題に限られているのが実状である。
実際、格子ボルツマン法を採用する唯一の商用ツールとしてエクサ・ジャパン株式会社の熱流体解析ソフトウェアであるPower Flow(登録商標)が知られているが、多成分ガスに対するシミュレーションの機能は有していないことが知られている。
また、研究論文に目を向けると、非特許文献1では、連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域からクヌーセン領域までにわたる領域における多孔質体材料の物質移動問題を取り扱っているように見受けられるが、異種の原子・分子の物理的な属性を完全に同一(Identical Particle)と仮定して計算を行っており、実質的には単成分ガスのシミュレーション手法となっている。
一般に、物質の拡散問題は二成分以上のガスを構成する原子・分子が存在するときに考慮すべき現象であることを考えると、単成分ガスで多成分ガスを模擬するようなシミュレーション手法だけでは、多孔質体に多成分のガスを導入する燃料電池のような製品の開発から出てくる要望には到底応えきれない。
そこで、本発明は、二成分以上の異種の原子・分子に対して、連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域からクヌーセン領域までにわたる領域がシミュレーション可能な、ボルツマン方程式の考え方に基づく多成分ガスのシミュレーション方法およびシミュレーション装置を提供するものである。
また、多成分ガスのボルツマン方程式の考え方に基づくシミュレーションにおいては、並進運動の処理が課題となる。これは異種の原子・分子では、質量などの物理的な属性が異なることで、各原子・分子の運動速度が異なってくることに起因する。従来の並進運動の処理として、非特許文献2で提案されている手法を説明する。
図8は、ある時刻に格子点上にあるNE方向の速度を有する原子・分子が、次の格子点上に並進運動する時間間隔よりも小さな間隔で移動する過程を示したものである。図8において、格子点上の○に付した符号11は、並進前の原子・分子の位置を示している。●に付した符号12は、並進後の原子・分子の位置を示し、右上方向への矢印に付した符号13は原子・分子の移動方向を示している。
図9は、並進移動前後の原子・分子の位置関係を示している。図9において、●に付した符号21は、並進後の粒子の位置を示しており、並進後の分布関数の正確な値を保有している。○に付した符号22は、格子点を示している。格子点22を取り囲む並進後の粒子の位置21から、バイリニア法などの空間補間法を利用して並進後の格子点上の分布関数の値を決定する。
しかしながら、非特許文献2で提案されるシミュレーション手法は、3次元問題に適用する場合にはインプリメントが非常に複雑になる上、質量と運動量が保存しないという課題を有している。
例えば、非特許文献2では、その課題を解決(回避)するため、異種の原子・分子に同一の原子・分子量を付与するという非物理的な処理を行っており、エンジニアリングへ適用は難しい。
そこで、本発明は、二成分以上の異種の原子・分子に対して、質量(原子・分子量)が異なったとしても、正確に質量と運動量の保存を守る、連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域からクヌーセン領域までにわたる領域がシミュレーション可能な、ボルツマ
ン方程式の考え方に基づく多成分ガスのシミュレーション手法を提供するのである。
上記目的を達成するために、本発明は、ボルツマン方程式の考え方に基づく多成分ガスのシミュレーション手法に対し、異種の原子・分子の並進運動に関し、各々の時間間隔を適切に設定することを提案するものである。
上記の適切な時間間隔とは、各原子・分子が並進運動の後に正確に計算格子に乗るような時間間隔を意味している。
このような時間間隔を設定することで、各種の原子・分子の状態数を規定する分布関数が並進運動の前後で計算誤差を含まないようにシミュレーションすることが可能となる。
本発明では、各種の原子・分子の時間間隔の適用により、多成分ガスのボルツマン方程式の考え方に基づくシミュレーションにおいて、各種の原子・分子の状態数を規定する分布関数が並進運動の前後で計算誤差を含まないようにシミュレーションすることが可能となる。
また、インプリメントの観点からも、実際のコーディング作業が大幅に簡素化される。
本発明は、主に連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域からクヌーセン領域までにわたる領域への適用を念頭に置いた多成分ガスのボルツマン方程式の考え方に基づくシミュレーション手法であるが、連続体領域へも適用可能である。
実際、本発明を連続体近似が許容されるスケールのシミュレーションに適用した場合、Fluent(登録商標)の結果と、各種物理量の値の差分が誤差1%未満で一致することを確認している。
本発明の多成分ガスのシミュレーション方法の計算精度として最良と考えられる実施の形態1における相互の時間補間の方法の概念を示した概念図 本発明の多成分ガスのシミュレーション方法の計算精度とインプリメントの観点から最良と考えられる実施の形態2における相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子とが独立に一時間間隔進んだ状態を示した概念図 同実施の形態で一時間間隔進んだ状態における相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子の時刻の関係を示した概念図 同実施の形態で時間補間後の相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子の状態を示した概念図 本発明の多成分ガスのシミュレーション方法の計算速度とインプリメントの観点から最良と考えられる実施の形態3における相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子とが独立に一時間間隔進んだ状態を示した概念図 同実施の形態で一時間間隔進んだ状態における相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子の時刻の関係を示した概念図 同実施の形態で時間補間後の相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子の状態を示した概念図 ある時刻に格子点上にあるNE方向の速度を有する原子・分子が、次の格子点上に並進運動する時間間隔よりも小さな間隔で移動する過程を示した概念図 並進移動前後の原子・分子の位置関係を示した概念図
本発明は、多成分ガスのボルツマン方程式の考え方に基づくシミュレーションにおいて、並進運動による数値計算上の誤差の混入を最小限に抑えることで、質量および運動量が正確に保存するシミュレーション手法を提供するものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の多成分ガスのシミュレーション方法の計算精度として最良と考えられる実施の形態1における、相互の時間補間の方法の概念を示したものである。
図1において、●を起点とする実線の矢印に付した符号31は、相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子のそれぞれの原子・分子の計算における時間の流れのイメージを示しており、この矢印の長さが長いほど、長い時間の経過を意味する。
図1において、点線の矢印に付した符号32は、異種の原子・分子の計算フローのイメージを示しており、矢印が右から左に向いている場合には、左側のガスを構成する原子・分子に対して、次の計算ステップに入る際に必要となる右側のガスを構成する原子・分子の物理量の情報が矢印の向き(左側のガスを構成する原子・分子側)に流れることを意味している。
逆に、矢印が左から右に向いている場合には、右側のガスを構成する原子・分子に対して、次の計算ステップに入る際に必要となる左側のガスを構成する原子・分子の物理量の情報が矢印の向き(右側のガスを構成する原子・分子側)に流れることを意味している。
また、図1の左側で、時間の流れ方向(図1において下から上に向かう方向)に隣接する2つの●同士の間隔に付した符号33は、相対的に軽い原子・分子の(シミュレーションにおける)時間間隔を示している。一方、図1の右側で、時間の流れ方向(図1において下から上に向かう方向)に隣接する2つの●同士の間隔に付した符号34は、相対的に重い原子・分子の(シミュレーションにおける)時間間隔を示している。
図1に示すように、一般に温度が等しい条件では、相対的に軽い原子・分子は相対的に重い原子・分子よりも大きな原子・分子速度を有しているため、共有の格子点間を移動する時間は、相対的に短くなる。
以上のように構成された相互の時間補間の方法について、以下その動作、作用を説明する。
まず、図1の左側に示した相対的に軽い原子・分子は、相対的に軽い原子・分子の時間間隔33で並進運動を行い、図1の右側に示した相対的に重い原子・分子は、相対的に重い原子・分子の時間間隔34で並進運動を行う。この時の時間間隔は、各種の原子・分子が厳密に格子点に乗るように、完全に独立に決定されうる。
この場合、相対的に重い原子・分子が次の格子点に移動するまでの時間間隔は、相対的に軽い原子・分子の時間間隔よりも相対的に大きいため、図1のケースでは、相対的に重い原子・分子が一時間間隔進む間に、相対的に軽い原子・分子は複数の時間間隔進むことが理解される。
ところで、相対的に軽い原子・分子の計算が進む際に、それと同時刻の相対的に重い原子・分子の物理量が必要となる。図1では、相対的に重い原子・分子の時間間隔34の時
間の中で、相対的に軽い原子・分子の時間間隔33と同時刻の物理量が必要になることが示される。
相対的に重い原子・分子の計算は相対的に重い原子・分子の時間間隔34の時間間隔で進むことから、相対的に軽い原子・分子の時間間隔33と同時刻の物理量を保有していないことから、相対的に重い原子・分子が相対的に重い原子・分子の時間間隔34進む前後の物理量から、相対的に軽い原子・分子の時間間隔33と同時刻の物理量を時間的に内挿補間する必要がある。
その後、その補間結果の情報を相対的に軽い原子・分子に渡すことで、相対的に軽い原子・分子の次の時間間隔の計算が可能となる。
この一連の操作を繰り返すうちに、相対的に軽い原子・分子の時刻が相対的に重い原子・分子の時刻を追い越すタイミングが生じる。図1のケースででは、相対的に軽い原子・分子の3ステップ目がそのタイミングに当たる。
この時には、これまでとは逆に、相対的に軽い原子・分子の時刻が、相対的に重い原子・分子の時刻を追い越す前後の相対的に軽い原子・分子の物理量を内挿補間し、補完結果の情報を相対的に重い原子・分子に渡すことで、相対的に重い原子・分子の次の時間間隔の計算を可能とする。
以上のように、本実施の形態では、各種の原子・分子が正確に格子点に乗るように時間間隔を決めた後、図1に示した一連の流れで計算を進めることにより、並進運動によって生じる数値計算上の誤差の発生を最小限に抑えることを可能にする。これにより、質量と運動量が正確に保存する多成分ガスのボルツマン方程式の考え方に基づくシミュレーションが実現される。
(実施の形態2)
図2から図4は、本発明の多成分ガスのシミュレーション方法の計算精度とインプリメントの観点から最良と考えられる実施の形態2における、相互の時間補間の方法の概念を示したものである。
図2は相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子とが独立に一時間間隔進んだ状態を示している。図3は一時間間隔進んだ状態における相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子の時刻の関係を示したものである。図4は時間補間後の相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子の状態を示している。図2から図4において、時間の流れ方向は、各図の下から上に向かう方向である。
次に本実施の形態の多成分ガスのシミュレーション方法での相互の時間補間の方法について、図面を参照しながら説明する。
まず、図2に示すように、相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子とが、それぞれの原子・分子の並進運動を独立に一時間間隔だけ行う。ここで、これらの時間間隔は、それぞれの原子・分子が正確に格子点上に来るように設定されているので、相対的に重い原子・分子の時間間隔は相対的に軽い原子・分子の時間間隔の値よりも相対的に長く設定されている。
次に、図3、図4に示すように、相対的に重い原子・分子の時刻を相対的に軽い原子・分子の時刻と等しくなるよう、時間的に内挿補間を行う。その結果、図4の状態では、再び相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子の時刻は一致することから、図2の状態に戻り、所定の時刻まで本手順を繰り返す。
以上のように、本実施の形態により、質量と運動量が高精度に保存し、インプリメントの観点でも優位性を有するシミュレーションが実現される。
(実施の形態3)
図5から図7は、本発明の多成分ガスのシミュレーション方法の計算速度とインプリメントの観点から最良と考えられる実施の形態3における、相互の時間補間の方法の概念を示したものである。
図5は相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子とが独立に一時間間隔進んだ状態を示している。図6は一時間間隔進んだ状態における相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子の時刻の関係を示したものである。図7は時間補間後の相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子の状態を示している。図5から図7において、時間の流れ方向は、各図の下から上に向かう方向である。
次に本実施の形態の多成分ガスのシミュレーション方法での相互の時間補間の方法について、図面を参照しながら説明する。
まず、図5に示すように、相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子とが、それぞれの原子・分子の並進運動を独立に一時間間隔だけ行う。ここで、これらの時間間隔は、それぞれの原子・分子が正確に格子点上に来るように設定されているので、相対的に重い原子・分子の時間間隔は相対的に軽い原子・分子の時間間隔の値よりも相対的に長く設定されている。
次に、図6、図7に示すように、相対的に軽い原子・分子の時刻を相対的に重い原子・分子の時刻と等しくなるよう、時間的に外挿補間を行う。その結果、図7の状態では、再び相対的に軽い原子・分子と相対的に重い原子・分子の時刻は一致することから、図5の状態に戻り、所定の時刻まで本手順を繰り返す。
以上のように、本実施の形態により、質量と運動量が十分に保存し、計算速度にも優位性を有するシミュレーションが実現される。
なお、本発明の実施の形態1から3の多成分ガスのシミュレーション方法は、セルフコリジョン(自己衝突)や、マルチコリジョン(相互衝突)の場合にも、適用可能である。
また、本発明の実施の形態1から3の多成分ガスのシミュレーション方法は、演算部を備えた多成分ガスのシミュレーション装置の演算部における演算で用いても構わない。
以上のように、本発明により、連続体領域とクヌーセン領域との間の遷移領域からクヌーセン領域までにわたる広い領域で、多成分ガス拡散のシミュレーションが可能となることから、100ナノメートル程度のサブミクロンの微細構造を持つ部材、材料を用いる産業分野の製品設計最適化に利用可能である。

Claims (9)

  1. ボルツマン方程式の考え方に基づく多成分ガスのシミュレーション方法であって、
    第1の分子は、第1の時間間隔で並進運動を行い、前記第1の分子とは異なる第2の分子は、前記第1の時間間隔とは異なる第2の時間間隔で並進運動を行い、
    前記第1の時間間隔と前記第2の時間間隔とは、前記第1の分子と前記第2の分子のそれぞれの分子が正確に格子点に乗るように、独立に決定される、多成分ガスのシミュレーション方法。
  2. 前記第2の分子は、前記第1の分子とは異なる質量を有する、請求項1に記載の多成分ガスのシミュレーション方法。
  3. 前記第2の分子の質量は前記第1の分子の質量よりも大きく、前記第2の時間間隔は、前記第1の時間間隔よりも大きい、請求項2に記載の多成分ガスのシミュレーション方法。
  4. セルフコリジョン(自己衝突)及び/又はマルチコリジョン(相互衝突)を含む、請求項1に記載の多成分ガスのシミュレーション方法。
  5. 前記マルチコリジョンは、マクロスケールの計算結果がマクスウェル−ステファンの拡散方程式の計算結果に一致する衝突モデルを採用する、請求項4に記載の多成分ガスのシミュレーション方法。
  6. 前記第1の分子及び前記第2の分子は、各々設定された時間間隔の物理量または分布関数を相互に時間的に補間しながら、マルチコリジョン(相互衝突)の効果を計算する、請求項1に記載の多成分ガスのシミュレーション方法。
  7. 前記第2の分子の質量は前記第1の分子の質量よりも大きく、前記第1の分子及び前記第2の分子の分布関数をそれぞれ計算した後に、前記第1の分子の時間及び時間間隔へ前記第2の分子の前記分布関数を時間的に内挿補間する、請求項1に記載の多成分ガスのシミュレーション方法。
  8. 前記第2の分子の質量は前記第1の分子の質量よりも大きく、前記第1の分子及び前記第2の分子の分布関数をそれぞれ計算した後に、前記第2の分子の時間及び時間間隔へ前記第1の分子の前記分布関数を時間的に外挿補間する、請求項1に記載の多成分ガスのシミュレーション方法。
  9. 演算部を備え、前記演算部において、請求項1から8のいずれか1項に記載されたシミュレーション方法を用いて演算する、多成分ガスのシミュレーション装置。
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