JP6189683B2 - 線条体ファントム - Google Patents

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Description

本発明は、線条体の撮影画像の評価に用いうる線条体ファントムに関する。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、パーキンソン症候群などの種々の脳機能障害の診断や研究においては、大脳基底核の中の線条体におけるドパミンやアセチルコリンなどの神経伝達物質の定量的な検出がおこなわれている。その検出にあたっては、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(PET:Positron Emission Tomography)やシングル・フォトン・エミッション・コンピューテッド・トモグラフィ(SPECT:Single-Photon Emission Computed Tomography)などの画像診断技術を用いて、線条体を含む脳を画像化することが一般的である。PETやSPECTでは、放射性同位体をトレーサーとして被験者の体内に注入し、体内から放出されるガンマ線を検出することにより、この放射性トレーサーの分布を断層画像化する。
上記の脳機能障害を発症すると、黒質から線条体に投射するドパミン神経やアセチルコリン神経が変性する。ニューロンから放出されたドパミンは、ドパミン受容体に結合し、またはドパミントランスポーターによって再取り込みされる。ここで、放射性同位体であるヨウ素123をイオフルパンに結合させた放射性液体(以下、「RI液」という場合がある)であるイオフルパン(123I)は、ドパミントランスポーターに結合する。この原理を用いて、被験者の体内にRI液を注入してPET画像やSPECT画像などの核医学画像を撮影することにより、受容体の増加やドパミントランスポーターの低下などを検出することができる。RI液はイオフルパン(123I)のほか、症例に応じて種々に選択される。
PETやSPECTを用いた核医学画像診断装置の性能検査やキャリブレーションには、撮影対象部位の形状および寸法に対応した人体模型(ファントム)が用いられる。このファントムに予め既知の濃度に調整されたRI液を貯留してPET画像やSPECT画像を撮影することで、核医学画像診断装置の評価、すなわち診断性能の検査や診断結果のキャリブレーションなどをおこなうことができる。
脳画像化装置用のファントムに関し、特許文献1には、灰白質や大脳、基底核、前頭葉などに相当する特定領域が空洞で形成された頭部模型が記載されている。この頭部模型は光硬化性樹脂の三次元光造形により作成され、樹脂製の頭部模型の内部に、脳の特定領域および頭蓋骨に相当する部分が互いに非連通の独立した空洞として形成されている。
非特許文献1には、線条体の撮影画像の評価に用いられる線条体ファントムが開示されている。この線条体ファントムは、大脳を模した透明の球状の外殻の内部に4個の小型容器が設けられたものである。透明の外殻は、一対の透明椀状の軟質容器を組み合わせて球体状に分離不可に固着したものである。小型容器は、尾状核と被殻をそれぞれ模した楕円体形状の偏平容器と、この偏平容器の端部に連設された給液管とからなる。給液管は外殻に固着されており、外殻の外表面において開口している。偏平容器は外殻の略中央に配置されている。給液管を通じて外殻の外部から偏平容器の内部に高濃度のRI液を充填することが可能である。一方、密閉された外殻の上端には開口部が形成されており、水または低濃度のRI液を注入することができる。かかる線条体ファントムを用いて核医学画像を撮影することで、大脳を模した外殻を低い画素強度で画像化し、線条体を模した小型容器を高い画素強度で画像化することができる。これにより核医学画像診断装置の評価が可能である。
国際公開第10/116982号パンフレット
"STRIATAL PHANTOMS FOR SPECT/PET",Radiology Support Devices社,[2013年6月14日検索],インターネット<URL:http://www.rsdphantoms.com/nm_striatal.htm>
しかしながら、非特許文献1の線条体ファントムに作業者がRI液を注入する場合、大脳を模した大きな外殻に開口した細い給液管に高濃度のRI液を注入しなければならないため精密な作業が必要であり作業性が悪いという問題がある。作業者としては、医師、および医師の指示を受けた核医学画像撮影の専門技師等の医療関係者が挙げられる。
核医学画像を撮影する核医学画像診断装置を評価するためには放射性同位体を含むRI液を用いる必要がある。経験が浅い作業者が作業する場合、RI液の注入作業性が悪い線条体ファントムを用いると、RI液を溢して手に触れたりRI液の充填作業に長時間を要したりして、作業者がより被爆することとなる。また、放射性トレーサーに用いられる放射性同位元素は半減期が非常に短いため、線条体ファントムの調製に長時間を要すると、放射性トレーサーの崩壊が進行してしまい十分な量のガンマ線を計数することができなくなる。
また、線条体ファントムにRI液を充填するにあたり、内部に僅かでも空気が残ると、撮影される画像に誤差が発生して問題となる。線条体ファントムやRI液と空気とはガンマ線の吸収特性が異なるためである。これに対し、非特許文献1の線条体ファントムにおいては、外殻の外表面からそれぞれ内部に長く伸びる複数本の給液管の先に、線条体(尾状核や被殻)を模した小型容器が個別に取り付けられているため、各小型容器の内部に残る空気を迅速かつ確実に排出することが難しい。大きな外殻を傾けたり揺すったりしても、複数の小型容器の内部に残る空気の気泡をそれぞれ給液管に誘導することは容易でないからである。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、空気の気泡の残留なくRI液を簡便かつ迅速に充填することが可能な線条体ファントムを提供するものである。
本発明によれば、線条体の核医学撮影画像の評価に用いられるファントムであって、線条体および右線条体それぞれ模した形状および寸法をもつ一対の液体貯留部と、前記液体貯留部を収容する収容容器と、を備え、一対の前記液体貯留部は、中空であり、放射性液体を注入するための液体注入口をそれぞれ有し、前記収容容器に対して個別に着脱可能であり、一対の前記液体貯留部を、互いに離間し、かつ横断面内における長手方向が互いに傾斜する向きで前記収容容器に装着させる位置決め構造を備えることを特徴とする線条体ファントムが提供される。
上記発明によれば、RI液を充填する液体貯留部が収容容器に対して着脱可能であるため、液体貯留部を直接に把持するなどした状態でRI液を液体注入口に注入することができる。このため、RI液の精密な充填作業や空気抜き作業が可能である。これにより、線条体ファントムを用いて核医学画像診断装置を評価するにあたり、空気の気泡に起因する誤差を排除することができ、また作業者の被爆を抑えるとともに十分な量のガンマ線を計数することが可能である。
本発明によれば、空気の気泡の残留なく放射性液体(RI液)を簡便かつ迅速に充填することが可能な線条体ファントムが提供される。
本発明の第一実施形態の線条体ファントムを示す上方斜視図である。 液体貯留部が装着された座部の平面図である。 図3(a)は座部から液体貯留部を分離した状態を示す分解斜視図である。図3(b)は座部の正面図である。図3(c)は座部の平面図である。 図4(a)は一対の液体貯留部の斜視図である。図4(b)は一対の液体貯留部の正面図である。図4(c)は一対の液体貯留部の下面図である。 図5(a)は収容容器の斜視図である。図5(b)は収容容器と座部とを分離した状態を示す線条体ファントムの分解正面図である。 脳骨部材の斜視図である。 第二実施形態の線条体ファントムにおける液体貯留部が座部に装着された状態を示す平面図である。 図8(a)は第三実施形態の線条体ファントムにおける液体貯留部の斜視図である。図8(b)は液体貯留部の下面図である。 第三実施形態の液体貯留部が装着された座部の平面図である。 図8(b)のX−X線断面図である。 図11(a)は第一実施形態の線条体ファントムにおける液体貯留部の変形例を示す斜視図である。図11(b)は変形例にかかる液体貯留部の下面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態の線条体ファントム100を示す上方斜視図である。図2は、液体貯留部10(10a・10b)が装着された座部50の平面図である。はじめに、本実施形態の線条体ファントム100の概要について説明する。
本実施形態の線条体ファントム100は、線条体の核医学撮影画像の評価に用いられる人体模型(ファントム)である。線条体ファントム100は、中空の液体貯留部10と、この液体貯留部10を収容する収容容器30と、を備えている。液体貯留部10は、線条体を模した形状および寸法をもち、放射性液体(RI液)を注入するための液体注入口12を有している。線条体ファントム100は、液体貯留部10が収容容器30に対して着脱可能であることを特徴とする。
次に、本実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、収容容器30に対して液体貯留部10を固定する側を下方と呼称し、その反対側を上方と呼称する場合がある。これは線条体ファントム100の構成要素の相対的な位置関係を説明するために、ヒトの脳のタライラッハ座標系のZ軸方向を上方と便宜的に呼称するものである。この便宜的な上下方向は、線条体ファントム100を製造または使用する際における重力方向に対する上下方向とは必ずしも一致しない。そして本実施形態の線条体ファントム100の向きを表すため、図1に示すようにタライラッハ座標系と同様のXYZ座標系を規定する。
線条体ファントム100は、被験者の頭部専用または頭部を含む全身を撮影するPET装置やSPECT装置などの核医学画像診断装置に装着して用いられる。具体的には、被験者の頭部をセットする位置に、頭部の代替として線条体ファントム100を装着して用いる。線条体ファントム100はヒトの頭部と同程度の寸法を有している。ゴム材料などからなる保護部材(図示せず)で線条体ファントム100を被覆した状態で核医学画像診断装置に装着してもよい。
線条体ファントム100は、大別すると、収容容器30、座部50、液体貯留部10および脳骨部材62で構成されている。収容容器30は、上部台座32、フランジ部34および筒状部36で構成されている。脳骨部材62は筒状部36の周囲に密着して装着されている。収容容器30の筒状部36の内部には空洞部40が形成されている。収容容器30および液体貯留部10の各内容積は特に限定されない。一例として、予め較正された既存の核医学画像診断装置を用いて撮影された被験者の線条体に関する平均的な核医学画像に基づいて収容容器30および液体貯留部10の各内容積を決定することができる。具体的には、収容容器30の内容積を1〜1.5×10ミリリットル程度とし、一対の液体貯留部10のそれぞれの内容積を10〜15ミリリットル程度とすることができる。液体貯留部10は座部50に支持された状態で空洞部40の内部に配置される。中空の液体貯留部10の内部にはRI液が貯留される。
RI液としては、核医学画像診断において一般的に使用される短半減期の放射性核種を含有する液体を用いることができる。具体的な放射性核種は特に限定されないが、一例として、C−11、F−18、I−123、Tc−99m等が挙げられる。これらの放射性核種を溶解させる液体としては、水、生理食塩液、クエン酸2水素ナトリウム等の緩衝液、を用いることができる。
フランジ部34の下面には座部50が液密に密着して空洞部40を閉止する。空洞部40の内部、すなわち液体貯留部10の周囲には、液体貯留部10に貯留されるRI液よりも低濃度に希釈された低濃度RI液が貯留される。この状態で核医学画像診断装置により線条体ファントム100の核医学画像を撮影することで、液体貯留部10から多数のガンマ線が計数され、空洞部40(筒状部36)からこれよりも少数のガンマ線が計数される。かかる計数値に基づいて線条体ファントム100を三次元画像データに再構成することで、空洞部40(筒状部36)は低い画素強度で画像化され、その内部に配置された液体貯留部10は高い画素強度で画像化される。
液体貯留部10は、線条体を模した中空の偏平容器部14と、この偏平容器部14に連設されて収容容器30に支持される支柱部16と、を備えている。
本実施形態において線条体(striatum)とはヒトの新線条体(背側線条体)を意味する。ヒトは一対の線条体(左線条体および右線条体)を有する。一対の線条体は、それぞれ被殻と尾状核とで構成されている。本実施形態の線条体ファントム100は、一対の線条体をそれぞれ模した一対の液体貯留部10を有している。本実施形態における液体貯留部10の偏平容器部14は、被殻および尾状核をあわせた線条体の形状および寸法を模したものである。本実施形態の偏平容器部14は、横断面(XY平面)内の最大寸法(厚み寸法)が、体軸方向(Z方向)の最大寸法(高さ寸法)よりも小さい偏平な略楕円体形状をなしている。
所定の形状および寸法の中空の偏平容器部14の内部に既知の濃度のRI液を充填し、これを核医学画像診断装置で撮影して画像化することにより、当該核医学画像診断装置の撮影能力を評価することができる。
なお、本実施形態に代えて、第三実施形態にて後述するように1個の液体貯留部210の内部を2箇所に区画し、被殻に相当する第一貯留室20と、尾状核に相当する第二貯留室21と、を互いに非連通に隔てて構成してもよい。このほか、被殻に相当する第一の偏平容器部と、尾状核に相当する第二の偏平容器部と、を別部材で個別に作成し、一対の液体貯留部10を合計4個の偏平容器部で構成してもよい。
上部台座32は、空洞部40に液体を供給するための給液口33a、33bを備えている。給液口33a、33bには栓体37a〜37cが装着されている。複数の給液口33a、33bが上部台座32に開口形成されていることで、一方の給液口33aから空洞部40に低濃度RI液を注入し、他方の給液口33bを空気抜き穴として空洞部40の内部の空気を排出することができる。これにより、低濃度RI液を迅速に空洞部40に注入することができる。給液口33aを閉止する栓体37a、37bは二重の栓構造をなしている。栓体37aは給液口33aに対して液密に嵌合する。栓体37aは貫通孔を有している。栓体37bは栓体37aよりも細径であり、この貫通孔に液密に嵌合する。すなわち、給液口33aは栓体37aおよび栓体37bにより閉止される。一方、給液口33bには栓体37cが嵌合してこれを液密に閉止する。栓体37a〜37cを取り外して給液口33aおよび給液口33bを開放した状態で、給液口33bから空気を排出しながら給液口33aより低濃度RI液を注入する。空洞部40が低濃度RI液でほぼ満たされたところで栓体37aを給液口33bに装着し、以降は給液口33aよりも小径の栓体37aの貫通孔を通じて低濃度RI液を精細に注入する。低濃度RI液が空洞部40を満たし給液口33bから溢れ出す直前に、給液口33bを栓体37cで閉栓し、さらに栓体37aの貫通孔を栓体37bで閉栓する。これにより、空洞部40の内部に残留空気の気泡を実質的に残すことなく空洞部40に低濃度RI液を迅速に注入することができる。
上部台座32の上面には、上部台座32から栓体37a〜37cよりも外側に突出して形成されて倒置面を構成する突起部35が設けられている。突起部35は栓体37a〜37cを取り囲む複数箇所に形成されている。突起部35は、上部台座32から栓体37a〜37cよりも高く突出している。これにより、線条体ファントム100の向きを図1から上下反転(倒置)させて上部台座32を下方にして作業台等に設置するときに、栓体37a〜37cが作業台等に干渉することがない(図5(b)参照)。倒置面とは、低濃度RI液を収容容器30に注入するための給液口33a、33bを下方に向けて線条体ファントム100を設置するときにフットプリントとなる支持面をいう。突起部35は3箇所以上に設けられているとよい。本実施形態では、上部台座32の四隅にそれぞれ突起部35が形成されている態様を例示する。なお、突起部35の上端が所定の面積を有する平面状に形成されている場合は、かかる突起部35を1箇所または2箇所に形成してもよい。
座部50は、液体貯留部10a・10bを取り付ける支持台52と、この支持台52の周囲を取り囲んで形成された凹溝58と、凹溝58のさらに周囲の複数箇所に設けられたネジ穴57と、を備えている。凹溝58にはOリング64などの封止部材が装着されて座部50とフランジ部34とは液密に封止されている。一例として、Oリング64にはシリコーンゴムやニトリルゴムなどの耐薬品性の合成ゴム材料を用いることができる。
支持台52と凹溝58との間には封止部59が設けられている。封止部59は、座部50における凹溝58よりも外周側(以下、「ネジ穴形成領域」という場合がある)や支持台52よりも軟質の樹脂材料からなる。一例として、封止部59にはシリコーンゴムやウレタンゴムなどの耐薬品性の合成ゴム材料を用いることができる。封止部59とOリング64とのデュロメーター硬度の高低は特に限定されないが、封止部59をOリング64より低硬度としてもよい。
封止部59の上面は、凹溝58に装着されたOリング64の上面よりも僅かに低い。また、封止部59の上面は、ネジ穴形成領域の上面と同高さであるか、またはこれよりも僅かに高い。封止部59は、支持台52と凹溝58との間の環状領域の全体に設けられていてもよく、または当該環状領域の一部に設けられていてもよい。一部に設ける後者の場合、封止部59は凹溝58の内縁側に接して周回環状に形成するとよい。封止部59が軟質樹脂材料であることにより、収容容器30のフランジ部34が封止部59に面密着し、フランジ部34と座部50との間から低濃度RI液が漏れ出すことがない。ここで、後述するように座部50とフランジ部34とは複数本のボルトで締結される。ボルトの締付力によってOリング64は押圧変形して座部50とフランジ部34との間が水密にシールされるが、ボルトの締付トルクが不均一であるとOリング64の変形形状も不均一となりシール性が低下する。フランジ部34の下面とOリング64の上端とは線接触するため、Oリング64の変形形状が不均一になると、フランジ部34とOリング64との間に微小な隙間が生じるためである。これに対し、本実施形態のように軟質樹脂材料からなる封止部59がOリング64(凹溝58)の内縁側に周回状に設けられていることで、フランジ部34はOリング64および封止部59の両方に対して圧接される。Oリング64および封止部59がボルトの締付トルクによって共に押圧変形してフランジ部34の下面と密着するためである。これにより、ボルトの締付トルクが不均一であっても、フランジ部34と座部50とが好適にシールされる。このため、ボルトの締付作業においてトルク管理を厳密に行わなくても、また経験が浅い作業者が作業する場合でも、簡便かつ迅速に線条体ファントム100を組み立てることができる。
一対の液体貯留部10a・10bは矢状面(YZ平面)に関して対象に配置されている。そして本実施形態の線条体ファントム100は、図2に示す横断面(XY平面)において一対の液体貯留部10a・10bの偏平容器部14が互いに離間し、かつ偏平容器部14の長軸同士が互いに傾斜するようにして配置されていることを特徴とする。言い換えると、一対の偏平容器部14は、前頭側(+Y側)から後頭側(−Y側)に向かって広がるハの字型(truncated chevron shape)に配置されている。液体貯留部10の形状ならびに配置する位置および向きは特に限定されない。一例として、予め較正された既存の核医学画像診断装置を用いて撮影された被験者の線条体に関する平均的な核医学画像に基づいて設定することができる。図2に示す特徴的な配置は非特許文献1の線条体ファントムと異なるものであり特に日本人などの東洋人を被験者とする場合の核医学画像診断装置の評価に好適に用いられる。すなわち、線条体の形状や寸法は人種により異なることが本発明者らの知見により明らかになっており、東洋人の線条体の核医学画像を撮影する場合の核医学画像診断装置の評価には、東洋人の線条体を模した本実施形態の液体貯留部10を用いることが好ましい。
図3(a)は座部50から液体貯留部10を分離した状態を示す分解斜視図である。図3(b)は座部50の正面図であり、図3(c)は座部50の平面図である。本実施形態では−Y方向からみた図を正面図と呼称している。
左線条体および右線条体をそれぞれ模した一対の液体貯留部10a・10bを備えている。これらの一対の液体貯留部10a・10bは、収容容器30に対して個別に着脱可能に装着される。
これにより、液体貯留部10a・10bを取り替えたり、内部のRI液を交換したりする作業を容易かつ迅速におこなうことができる。また、一対の液体貯留部10a・10bの相対的な向きを自在に変化させることができる。液体貯留部10a・10bは、偏平容器部14に連設されて収容容器30に支持される支柱部16をそれぞれ備えている。座部50の支持突起51に対する支柱部16の取り付け角度を変化させることで、液体貯留部10a・10bの偏平容器部14の向きを変化させることができる。
支柱部16は、偏平容器部14を収容容器30に対して所定の位置に配置するための固定部である。支柱部16は中空でも中実でもよい。本実施形態の支柱部16は中空であり、偏平容器部14とともにRI液が貯留される。
すなわち、本実施形態の支柱部16は、中空の偏平容器部14の内部と連通する内腔17を有する管状をなしている。支柱部16の下端開口にあたる液体注入口12には栓体18が装着される。これにより液体貯留部10(10a、10b)は封止される。栓体18は、一対の液体貯留部10a・10bに対して個別に装着される。本実施形態の栓体18はネジであり、支柱部16のうち液体注入口12の近傍には栓体18と螺合するネジ溝が形成されている。栓体18の雄ネジ部の長さは特に限定されないが、偏平容器部14の中空内部まで到達することがないよう、支柱部16の内腔17の長さ以下であればよい。本実施形態に代えて、栓体18を液体注入口12に装着したときに栓体18の先端が偏平容器部14の中空内部の下端(すなわち偏平容器部14の中空内部と内腔17との境界)と一致する長さで栓体18を形成してもよい。これにより、栓体18を液体注入口12に装着することで、RI液は液体貯留部10のうち偏平容器部14のみに貯留され、支柱部16の内腔17の内部は栓体18で満たされて実質的にRI液が存在しないこととなる。これにより、線条体ファントム100の核医学画像を撮影したときに、ガンマ線は液体貯留部10のうちヒトの線条体を模した偏平容器部14から支配的に放射され、支柱部16からはガンマ線が実質的に検出されないことになる。これにより、支柱部16の影響(すなわち支柱部16に起因する画像ノイズ)を抑制して核医学画像診断装置を評価することができる。
座部50の支持台52には、支柱部16を保持するための管状の支持突起51が突出して形成されている。支持突起51の内腔53には、栓体18が装着された支柱部16の下端が挿入される。支持突起51には側孔54が支柱部16の挿入方向に対して直交する方向に穿設されている。側孔54は支持突起51の内腔53に至る貫通孔である。側孔54には固定ネジ55が螺合する。支持突起51の内腔53に支柱部16を挿入した状態で固定ネジ55を側孔54に螺入することで、固定ネジ55は支柱部16を支持突起51に対して押圧する。これにより液体貯留部10が座部50に対して着脱可能に固定される。
本実施形態の線条体ファントム100においては、液体貯留部10が収容容器30に対して着脱可能であるため、液体貯留部10のハンドリング性が良く、液体貯留部10にRI液を注入する作業が容易である。また、液体貯留部10の形態やRI液の放射能濃度を変更して核医学画像を複数回に亘って撮影する場合には、各回の撮影後の線条体ファントム100から液体貯留部10やRI液を交換する作業と並行して、新たな液体貯留部10に予めRI液を充填しておくことができる。特に、本実施形態は一対の液体貯留部10a・10bが個別に着脱可能であるため、RI液の注入および気泡の除去作業が容易である。さらに、液体貯留部10a・10bのそれぞれへのRI液の注入作業と、収容容器30に対する液体貯留部10a・10bの個々の取付作業とを並行して行うことができるため、線条体ファントム100をさらに迅速にセットすることが可能である。
本実施形態の線条体ファントム100(図1参照)は、一対の液体貯留部10a・10bを所定の位置および向きで収容容器30に装着させる位置決め構造を備えている。本実施形態の位置決め構造は、一対の液体貯留部10a・10bを、互いに離間し、かつ横断面内における長手方向が互いに傾斜する向きで収容容器30に装着させる。
具体的には、座部50の支持突起51の上端に、液体貯留部10の偏平容器部14と係合する係合溝56が位置決め構造として形成されている。さらに、本実施形態の位置決め構造は、座部50に装着された液体貯留部10a・10bの位置および向きを固定する固定手段を備えている。固定ネジ55が固定手段にあたる。偏平容器部14の下面が係合溝56に係合するまで深く支柱部16を支持突起51の内腔53に挿入し、この状態で固定ネジ55を側孔54に螺合させて支持突起51に圧締する。これにより、一対の液体貯留部10a・10bは座部50に対して、ヒトの線条体を模した所望の向きに固定される。かかる座部50を収容容器30のフランジ部34に装着することで、液体貯留部10a・10bは収容容器30に対して位置および向きに配置される。
図4(a)〜図4(c)は、それぞれ一対の液体貯留部10a・10bの斜視図、正面図および下面図である。支柱部16の液体注入口12を閉栓する栓体18は図示省略してある。
液体貯留部10a・10bにおける偏平容器部14の下面側のうち支柱部16の近傍には、それぞれ突稜部19が形成されている。一対の突稜部19は、図4(c)に示すように横断面(XY面内)において互いに傾斜している。具体的には、前頭側(+Y側)から後頭側(−Y側)に向かって広がる方向に傾斜している。一対の突稜部19は、支持突起51の係合溝56と相補的な形状をなしている。係合溝56の溝形状および延在方向は、突稜部19が係合溝56に係合することで液体貯留部10a・10bが所定のハの字型に設置されるように形成されている。また、突稜部19を係合溝56に係合させることで、支持突起51に対する偏平容器部14の回転が規制される。この状態で固定ネジ55を側孔54に装着することで支柱部16すなわち液体貯留部10が座部50に対して固定される(図3(a)参照)。すなわち、互いに密着して係合する突稜部19および係合溝56は、本実施形態の線条体ファントム100における位置決め構造を構成している。これにより、経験の少ない作業者であっても線条体ファントム100の組み立てが容易となり、ヒトの線条体形状を立体的に反映した核医学画像を簡便に収集することができる。
一対の液体貯留部10a・10bにおける互いに近接する側の端部近傍には、一対の液体貯留部10a・10b並び方向(±X方向)の内側に向かって膨出する膨出部15がそれぞれ形成されている。膨出部15は、ヒトの線条体における尾状核、より具体的には尾状核頭を模した部分である。
図4(b)に示すように、支柱部16の内腔17は、偏平容器部14の中空内部の底部14aに連設されている。言い換えると、図4(b)の状態から上下反転させて液体注入口12を上に向けて液体貯留部10を保持したときに、支柱部16の内腔17は中空の偏平容器部14の頂部(底部14a)から上方に連通した状態となる。したがって、液体注入口12から偏平容器部14の中空内部にRI液を注入していくと、偏平容器部14の内部に空気の気泡が残留することなく、偏平容器部14の頂部(すなわち底部14a)から内腔17を通じて空気が排出される。このため、本実施形態の液体貯留部10は気泡が残留することなく容易にRI液を貯留することができる。
液体貯留部10はエポキシ系樹脂などの光硬化性樹脂材料からなる。液体貯留部10は光造形法などの三次元成形方法により作成することができる。具体的には、液体貯留部10の形状を、Z方向すなわち支柱部16の延在方向に多層に積層した断層データに分割し、光硬化性樹脂材料を一層ずつ光硬化させて液体貯留部10を三次元積層成形する。これにより、偏平容器部14の中空の底部14aにおいて支柱部16の内腔17と滑らかに連接させることができ、また偏平容器部14の内部に内腔17よりも大径の中空部を形成することができる。
図5(a)は収容容器30の斜視図である。図5(a)は図1の収容容器30を上下反転させて図示してある。図5(b)は収容容器30と座部50とを分離した状態を示す線条体ファントム100の分解正面図である。筒状部36の外面には脳骨部材62が装着されている。
収容容器30は中空形状であって内部に空洞部40が形成されている。空洞部40は、液体貯留部10を出し入れする開口42を有している。開口42は、液体貯留部10を保持する座部50により開閉可能に閉蓋される。より具体的には、開口42は収容容器30の下端側(−Z側)に位置するフランジ部34に形成されている。開口42には座部50の支持台52が挿入される。開口42の開口径は、座部50の凹溝58(図2参照)よりも小径である。
すなわち収容容器30は、空洞部40の上端に設けられた上部台座32と、開口42を有し空洞部40の下端に設けられて座部50が装着されるフランジ部34と、このフランジ部34と上部台座32との間に形成されて空洞部40を画成する筒状部36と、を備えている。筒状部36は、上部台座32およびフランジ部34と一材一体成形されているとともに、上部台座32とフランジ部34との中間部において外側に膨出する膨出形状をなしている。
筒状部36は、大脳の外表面の少なくとも一部を模した形状をなしている。筒状部36は、大脳の表面の皺を模した凹凸形状をなしている。
空洞部40の直径は、フランジ部34の開口42や上部台座32の給液口33a、33bよりも大径である。言い換えると、本実施形態の収容容器30は、上下両端の上部台座32・フランジ部34に形成された開口よりも大きな中空の空洞部40を有している。収容容器30を成形する方法は限定されないが、エポキシ系樹脂などの光硬化性樹脂材料を用いた光造形法などの三次元成形方法が好適に用いられる。具体的には、収容容器30の形状を、−Z方向すなわち上部台座32からフランジ部34に向かう方向(図5(a)に矢印で示す)に多層に積層した断層データに分割し、光硬化性樹脂材料を一層ずつ光硬化させて収容容器30を三次元積層成形することができる。これにより、大きな中空の空洞部40を内部に有する収容容器30を、単一の吸収係数の光硬化性樹脂材料で作成することができる。このほか、筒状部36に対応する形状の外型(金型)の内部で樹脂材料に加圧流体を吹き込んで筒状部36を成形するブロー成形を含む成形工程によって収容容器30を作成してもよい。このほか、上部台座32、フランジ部34および筒状部36を別個の部材として作成してから接着接合または熱融着により互いに一体化して収容容器30を成形してもよい。ただし、上記の三次元積層成形を用いることで上部台座32と筒状部36、およびフランジ部34と筒状部36の境界を滑らかに連接させることができるため、収容容器30の内部に低濃度RI液を注入した場合に残留する気泡を低減することができる。本実施形態の収容容器30の内面(空洞部40の周面)には、上部台座32、筒状部36およびフランジ部34に亘って研磨処理を施すとよい。また、研磨処理に代えて親水性処理を行ってもよい。これにより、収容容器30の内面の濡れ性が向上し、気泡の残留をさらに低減することができる。同様の理由で液体貯留部10の表面にも研磨処理または親水性処理を施してもよい。なお、収容容器30を三次元成形により積層する方向は、上部台座32からフランジ部34に向かう−Z方向に限らず、逆向きの+Z方向としてもよい。
図5(a)に示すように、フランジ部34には、座部50のネジ穴57に対応する位置にネジ穴38が形成されている。ネジ穴38は貫通孔でも止まり穴でもよい。ネジ穴38が止まり穴の場合は内周面にネジ溝を形成し、座部50の下面側から挿入したボルトを螺合させる。ネジ穴38が貫通孔の場合は、ボルトおよびナットを用いて座部50とフランジ部34を締結する。
座部50は、空洞部40の内側に向かって突出形成された支持台52を備えている。支持台52は支柱部16を支持する。すなわち、液体貯留部10は支持台52によって嵩上げされた状態で座部50に固定されている。液体貯留部10が収容容器30に固定された状態で、支柱部16の内腔17の長さは、空洞部40の開口42から偏平容器部14までの距離よりも短い。言い換えると、液体貯留部10の支柱部16を座部50に固定して偏平容器部14を空洞部40の内部略中央の所定位置に配置するにあたり、この支持台52の突出高さの分だけ支柱部16を短くすることができる。液体注入口12から偏平容器部14までの距離が短くなることで液体貯留部10a・10bにRI液を注入する作業性が向上する。また、支柱部16の内腔17が小容積となりその内部に存在するRI液から放射されるガンマ線の線量が減少するため、支柱部16に起因する画像ノイズを低減することができる。
筒状部36の周囲のうち液体貯留部10を覆う領域には、カルシウム化合物を含有する板状の脳骨部材62が設けられる(図1参照)。具体的には、脳骨部材62は炭酸カルシウムを添加した樹脂材料からなる。樹脂材料としてはエポキシ樹脂を例示することができる。炭酸カルシウムに代えて水酸化カルシウムを樹脂材料に添加してもよい。
脳骨部材62は、本実施形態のように筒状部36の外面に装着してもよく、または筒状部36の内面に装着してもよい。
図6は脳骨部材62の斜視図である。本実施形態の脳骨部材62は一対の半割環状に形成されている。一対の脳骨部材62は、互いに係合する段差境界部63を有している。脳骨部材62は、ヒトの大脳の表面の皺を模した凹凸部61を有している。凹凸部61は筒状部36の表面に対応する形状である。一対の脳骨部材62を筒状部36の外面に対して外側から装着することで、凹凸部61が筒状部36と係合し、また段差境界部63同士が係合して、脳骨部材62と筒状部36とは密着する。脳骨部材62は筒状部36に対して着脱可能に装着される。
脳骨部材62は、筒状部36の全体を覆う寸法で構成されてもよく、または筒状部36のZ寸法の一部を覆う寸法で構成されてもよい。脳骨部材62のZ方向寸法は、液体貯留部10の偏平容器部14のZ方向寸法よりも大きい。脳骨部材62は筒状部36に対して、空洞部40の内部に配置された偏平容器部14を体軸方向(Z方向)に内包するようにして装着されている。
脳骨部材62の成形方法は特に限定されない。一例として、光造形法などの三次元成形方法により脳骨部材62を成形することができる。ただし、本実施形態の脳骨部材62は半割環状であって中空部を有していないため、射出成形や、板状の樹脂材料のプレス加工によっても成形することができる。
本実施形態の線条体ファントム100は、より好ましくは、液体貯留部10および収容容器30を含む全体(Oリング64を除く)がエポキシ系樹脂などの光硬化性樹脂材料から形成されている。これにより、線条体ファントム100は高い機械的および熱的強度を得ることができ、複数回に亘って液体貯留部10を取り替えたり、線条体ファントム100を核医学画像診断装置に着脱したりしても変形または破損することがない。また、本実施形態の線条体ファントム100によれば、液体貯留部10、栓体18、座部50および脳骨部材62などの種々のパーツが着脱可能に構成されているため、これらのパーツを万が一破損した場合であっても当該パーツを交換するのみで線条体ファントム100を容易に修繕することができる。
線条体ファントム100の使用方法の一例を説明する。まず、RI液を貯留した液体貯留部10を座部50に固定し、この座部50をフランジ部34に装着することにより液体貯留部10を収容容器30の内部にセットする。つぎに、給液口33a、33bを通じて収容容器30の空洞部40に低濃度RI液を貯留して、栓体37a〜37cで給液口33a、33bを閉栓する。かかる線条体ファントム100を核医学画像診断装置のヘッドレスト(図示せず)に固定し、専用カメラでこれを撮影して核医学画像を収集する。
ここで、解剖学的な頭部構造を有する線条体ファントムは、その略球形の形状ゆえ、ヘッドレストに固定した際に設置安定性に欠ける。これに対し本実施形態の線条体ファントム100は、筒状部36および脳骨部材62を、平板状の台座32と座部50とで挟む構造を有する。台座32および座部50は略楕円板状をなし、脳骨部材62が取り付けられた筒状部36全体を平面視において覆う面積で構成されている。したがって、本実施形態の線条体ファントム100は、核医学画像診断装置のヘッドレストに固定した際の安定性に優れるという利点がある。
核医学画像は複数回に亘って撮影してもよい。たとえば、液体貯留部10に収容するRI液の放射能濃度を変更して核医学画像をそれぞれ撮影することにより、健常人の線条体を模した健常人モデルと、脳機能障害患者の線条体を模した病態モデルとの核医学画像を対比することができる。また、偏平容器部14(線条体)の形状の異なるモデル(たとえば、東洋人モデル、西洋人モデル、小児モデル等)の液体貯留部10に順次交換して核医学画像を撮像してもよい。このように核医学画像を複数回に亘って撮影する場合には、各回の撮影後に以下の操作を行えばよい。すなわち、線条体ファントム100を核医学画像診断装置から取り外し、図5(b)に示すように上部台座32を下方に向けて突起部35を脚として作業台(図示せず)に載置する。突起部35は栓体37a〜37cよりも高く上部台座32から突出しているため、上部台座32を下方に向けた場合の倒置面となる。
図5(b)は、この状態から座部50をフランジ部34から取り外して引き上げた様子を示している。収容容器30の内部には低濃度RI液のほぼ全量が残留している。つぎに、フランジ部34から取り外した座部50から、固定ネジ55を緩めて液体貯留部10を取り外す。そして、液体貯留部10に貯留されているRI液を交換するか、または予めRI液が貯留された他の液体貯留部10に交換したうえ、あらためて液体貯留部10を座部50に固定する。座部50に固定された液体貯留部10をフランジ部34の開口42に挿入して低濃度RI液に浸漬するとともに座部50をフランジ部34に固定する。座部50を取り外した際に低濃度RI液が収容容器30から僅かに溢れた場合は、上部台座32を上方に向けて栓体37a〜37cを外し、給液口33a、33b(図1を参照)を通じて少量の低濃度RI液を補充する。
以上の工程により、本実施形態の線条体ファントム100によれば、低濃度RI液を廃棄することなく迅速に、液体貯留部10に貯留したRI液の成分や濃度を変更したり異なる形状の液体貯留部10に変更したりすることができる。
<第二実施形態>
図7は、第二実施形態の線条体ファントムにおける液体貯留部110a・110bが座部50に装着された状態を示す平面図である。
本実施形態の液体貯留部110a・110bは、偏平容器部114の形状が液体貯留部10a・10bの偏平容器部14の形状と相違している点で第一実施形態と相違し、その他の点で共通する。
具体的には、偏平容器部114は、前頭側(+Y側)に膨出部15を備えている。膨出部15の反対側(後頭側:−Y側)には、ヒトの線条体の尾状核尾を模した直線状の尾部22が形成されている。本実施形態の液体貯留部110a・110bは、尾部22が互いに略平行になるように座部50に取り付けられている。
本実施形態の液体貯留部110a・110bは、西洋人の線条体を模したものであり、特に西洋人を被験者とする場合の核医学画像診断装置の評価に好適に用いられる。
本実施形態の液体貯留部110a・110bを装着した線条体ファントム100(図1参照)をSPECT装置で撮影して三次元画像データを取得することにより、任意の方向(たとえば、下方(−Z側)から上方(+Z側)に向かう方向)に断層画像化した複数のSPECT画像を得ることができる。このSPECT画像によれば、液体貯留部110a・110b(図7参照)における膨出部15と尾部22とを互いに識別可能な解像度で偏平容器部114を画像化することができる。液体貯留部110a・110bに充填されたRI液の濃度(既知)と、取得されたSPECT画像の画素強度とを対比することで核医学画像診断装置(SPECT装置)の診断性能の検査や診断結果のキャリブレーションなどの各種の評価を行うことができる。このため、第一および第二実施形態の偏平容器部14、114のように、ヒトの線条体を模して膨出部15を形成することにより、核医学画像診断装置を高精度に評価することができる。
<第三実施形態>
図8(a)は第三実施形態の線条体ファントムにおける液体貯留部210の斜視図であり、図8(b)は液体貯留部210の下面図である。図9は、第三実施形態の液体貯留部210が装着された座部50の平面図である。図10は、図8(b)のX−X線断面図であり、液体注入口122および液体注入口112の各中心を通りZ軸に平行な平面で液体貯留部210を切った断面図である。
本実施形態の液体貯留部210は、被殻および尾状核をそれぞれ模した互いに非連通に隔てられた複数の貯留室(第一貯留室20、第二貯留室21)と、液体注入口112、122とを有している点で第一実施形態と相違する。液体注入口112、122は、第一貯留室20および第二貯留室21に対して個別に連通している。液体注入口112、122には、それぞれ栓体18(図3(a)参照)が装着される。第一貯留室20と第二貯留室21とを隔てる隔壁24の厚みは、0.5mm以上10mm以下、好ましくは2mm以上6mm以下とすることができる。
液体貯留部210は、ヒトの線条体を模した中空の偏平容器部214と、この偏平容器部214に連設された支柱部(第一支柱部116、第二支柱部126)を備えている。第一支柱部116の一端は第一貯留室20の中空内部に接続され、他端は開口端(液体注入口112)である。第二支柱部126の一端は第二貯留室21の中空内部に接続され、他端は開口端(液体注入口122)である。液体注入口112と液体注入口122とが別々に形成されていることで、第一貯留室20と第二貯留室21に異なる成分または濃度のRI液を貯留することができる。これにより、核医学画像診断装置の評価精度を高めることができる。具体的には、第一貯留室20と第二貯留室21に互いに異なる濃度のRI液を貯留した状態で核医学画像を撮影し、かかる画像において第一貯留室20と第二貯留室21をそれぞれ示す画素強度に有意な差が見られることを確認するとよい。これにより、種々の病態モデルを作製することができ、核医学画像診断装置の診断能力を高い精度で評価することができる。
第一実施形態と同様、本実施形態の線条体ファントム100もまた、一対の液体貯留部210を所定の位置および向きで収容容器30(図1を参照)に装着させる位置決め構造を備えている。本実施形態の位置決め構造は支柱部(第一支柱部116)に形成されている。
より具体的には第一支柱部116の外周に、位置決め構造として、第一突条118および第二突条119が、第一支柱部116の延在方向であるZ方向に沿って形成されている。図10に示すように、第一突条118および第二突条119は第一支柱部116の略全長に亘って形成されている。第一支柱部116の下端は第一突条118および第二突条119よりも僅かに下方まで延出している。第一突条118と第二突条119とは第一支柱部116の反対側に形成されている。第一突条118は第一支柱部116から−Y方向に突出し、第二突条119は第一支柱部116から+Y方向に突出している。第一突条118および第二突条119は矩形断面の突条であり、第二突条119は第一突条118よりも太幅である。第一突条118および第二突条119の断面とは、第一支柱部116の延在方向(本実施形態では±Z方向)に対して垂直に切った断面をいう。第一支柱部116と第二支柱部126の並び方向はY方向に対して傾斜している。言い換えると、第一突条118および第二突条119の突出方向(+Y方向)は、第一支柱部116と第二支柱部126の並び方向に対して交差している。図9に示すように、一対の液体貯留部210はYZ平面に関して鏡面対称形状をなしている。このため、一対の液体貯留部210において、第一支柱部116と第二支柱部126の並び方向に対して第一突条118および第二突条119の突出方向が交差する向きも、鏡面対称に反転している。
図9に示すように、一対の液体貯留部210は互いに離間して座部50の支持台52に固定される。支持台52には、第一支柱部116および第二支柱部126をそれぞれ固定する2本の支持突起51(図9には図示せず、図3(a)参照)が設けられている。本実施形態の液体貯留部210は、複数本の支柱部(第一支柱部116および第二支柱部126)によって座部50に支持されるため、支柱部を支持突起51に挿入するだけで液体貯留部210は所定の向きで座部50に対して装着される。このため、液体貯留部10を所定の向きに固定する位置決め構造としての係合溝56を第一実施形態のように設ける必要はない。一の支持突起51の内腔53(図3(a)参照)は、第一支柱部116、第一突条118および第二突条119が嵌合可能な相補的形状をなしている。他の支持突起51の内腔53は第二支柱部126が嵌合可能な相補的形状をなし、第一突条118および第二突条119が嵌合不可に形成されている。本実施形態によれば、第一突条118および第二突条119が形成されていることにより、一対の液体貯留部210の左右の取り違えや、各液体貯留部210を座部50(支持突起51)に対して装着する向きの前後の取り違えを防止することができる。具体的には、上述のように第一突条118および第二突条119の突出方向は第一支柱部116と第二支柱部126の並び方向に対して交差しており、かつ左右一対の液体貯留部210において当該交差方向は鏡面対称であるため、左右の液体貯留部210を取り違えて支持突起51に装着することはできない。また、第二支柱部126を嵌合させるための他の支持突起51の内腔53には、第一突条118および第二突条119が嵌合不可であるため、液体貯留部210を前後(±Y方向)に取り違えて支持突起51に装着することもできない。このため、経験の少ない作業者であっても液体貯留部210を座部50に対して正しく取り付けることができる。
第一貯留室20はヒトの被殻を模した位置および容積を有しており、第二貯留室21はヒトの尾状核を模した位置および容積を有している。具体的には、第一貯留室20は偏平容器部214における後頭側(−Y側)に配置され、第二貯留室21は前頭側(+Y側)から頭頂側(+Z側)にかけて配置されている。第二貯留室21の容積は、第一貯留室20の容積よりも大きい。ただし、本実施形態に代えて、対向する一対の液体貯留部210の各内側に第一貯留室20を配置し、第二貯留室21をその外側を取り囲むようにして配置してもよい。なお、第一貯留室20および第二貯留室21の形状は、図示したものに限定されない。イオフルパン(123I)を用いたSPECT画像により描出される健常人の被殻および尾状核の形状に基づいてこれらを決定してもよく、または被殻および尾状核の解剖学的な形状に基づいてこれらを決定してもよい。
図10に示すように、隔壁24は、第一支柱部116と第二支柱部126との間から上方に直立したのち、連続して後頭側(−Y側)に向かって斜め上方に傾斜して、偏平容器部214に接続して終端している。すなわち、隔壁24は単調に+Z方向に直立または傾斜して形成されている。このため、液体注入口112・122から第一貯留室20・第二貯留室21にRI液を注入したときに、それぞれの内部に空気の気泡が残留することがない。より具体的には、第一貯留室20は略直方体状をなし、液体注入口112は第一貯留室20の平坦な下面に連通している。第二貯留室21は、液体注入口122の近傍の直立貯留部21aと、その遠位側に連続して形成された偏平貯留部21bとからなる。直立貯留部21aは膨出部15を含み、液体注入口122の直上(+Z側)に位置している。偏平貯留部21bは、隔壁24に沿って斜め上方に傾斜している。本実施形態の液体貯留部210は、第一貯留室20および第二貯留室21(直立貯留部21a、偏平貯留部21b)とも、液体注入口112・122の近傍を除き、−Z方向を頭頂とするような窪み部を有していない。言い換えると、第一貯留室20の内部形状は、液体注入口112を鉛直上方に向けたときに上に凸になる部分を有していない。同様に、第二貯留室21の内部形状は、液体注入口122を鉛直上方に向けたときに上に凸になる部分を有していない。このため、液体注入口112・122を上方に向けてRI液を注入したときに、第一貯留室20・第二貯留室21の内部に空気の気泡が残留することがない。
本実施形態の液体貯留部210はエポキシ系樹脂などの光硬化性樹脂材料の三次元積層成形により作成することができる。これにより、偏平容器部214の内部に第一貯留室20と第二貯留室21とを隔てる隔壁を容易に形成することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
図11(a)は、図4(a)から図4(c)に示した第一実施形態の液体貯留部10bの変形例を示す斜視図である。図11(b)は、本変形例にかかる液体貯留部10bの下面図である。
本変形例の液体貯留部10bは、位置決め構造が支柱部16に形成されている点で第一実施形態と相違する。本変形例の液体貯留部10bにおける支柱部16の周囲には、位置決め構造として、第一突条118および第二突条119が突出して形成されている。液体貯留部10bを取り付ける本変形例の支持突起51(図3(a)〜(c)を参照)には、支柱部16、第一突条118および第二突条119がともに嵌合する形状の内腔53が形成されている。
本変形例の液体貯留部10bとともに用いられる液体貯留部10a(図2を参照)は、YZ平面に関して液体貯留部10bと鏡面対称形状をなしている。本変形例によれば、支持突起51に係合溝56を形成することなく、一対の液体貯留部10bを支持突起51にそれぞれ取り付けるだけで、液体貯留部10bが所定のハの字型に設置される。
位置決め構造の形状は特に限定されないが、本変形例の第一突条118および第二突条119の形状は第三実施形態と共通である。すなわち、第一突条118は支柱部16から−Y方向に突出し、第二突条119は支柱部16から+Y方向に突出している。第一突条118および第二突条119は矩形断面の突条であり、断面の形状または寸法は互いに相違する。具体的には、第二突条119は第一突条118よりも太幅である。このように第一突条118と第二突条119の断面形状が互いに異なることで、液体貯留部10bの向きを前後反転した場合に一方の突条(第二突条119)が支持突起51の内腔53に嵌合不可となる。このため、液体貯留部10bを支持突起51に対して装着する向きの前後の取り違えを防止することができる。
なお、図11(b)に示すように、第一突条118および第二突条119の突出方向は、偏平容器部14の長手方向に対して交差している。このため、液体貯留部10a・10bを左右に取り違えた場合、液体貯留部10a・10bが為すハの字形状は後頭側(−Y側)から前頭側(+Y側)に向かって広がるように反転する。このため、経験が浅い作業者であっても、左右の液体貯留部10a・10bを取り違えて座部50に装着したことを目視的に容易に知得することができる。また、このように左右の液体貯留部10a・10bを取り違えて座部50に装着した場合、液体貯留部10a・10bが収容容器30の筒状部36(図5(b)を参照)に干渉するように構成してもよい。これにより、座部50をフランジ部34に固定しようとする時点で、液体貯留部10a・10bの装着位置を左右に取り違えていることが確実に知得される。
本発明は更に他の変形や改良を許容する。たとえば、上記実施形態では、液体貯留部10が座部50に対して着脱可能であり、さらに座部50が収容容器30に対して着脱可能であることを例示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、液体貯留部10は座部50に対して着脱不可に固着されていてもよい。具体的には、支柱部16を支持台52に対して固着するとともに、支持台52には偏平容器部14の内部と連通する貫通孔を設け、座部50の下面(−Z面)側に液体注入口12を開口形成してもよい。
また上記実施形態では、給液口33a、33bが形成された上部台座32の反対側にあたるフランジ部34に座部50を固定することを例示したが、本発明はこれに限られない。上部台座32の一部または全部を筒状部36に対して着脱可能に構成したうえ、液体貯留部10の支柱部16を上部台座32に固定してもよい。または、上記実施形態の線条体ファントム100において、給液口33a、33bを座部50のたとえば支持台52に開口形成してもよい。
また上記実施形態では、液体貯留部10を偏平容器部14と支柱部16とで構成し、座部50を介して支柱部16を収容容器30に固定することにより偏平容器部14を空洞部40の略中央にセットすることを例示した。これに代えて、液体貯留部10を実質的に偏平容器部14のみで構成してもよい。具体的には、収容容器30の内部に多孔質材料などの保形性を有する浸液性の保持体を収容し、この保持体の所定位置に偏平容器部14を嵌合させるための空室部を形成しておくとよい。この保持体の空室部に対して液体貯留部10を着脱可能に装着することにより、支柱部16を用いることなく偏平容器部14を収容容器30の内部の所定位置に装着することができる。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)線条体の核医学撮影画像の評価に用いられるファントムであって、前記線条体を模した形状および寸法をもち、放射性液体を注入するための液体注入口を有する中空の液体貯留部と、前記液体貯留部を収容する収容容器と、を備え、前記液体貯留部が前記収容容器に対して着脱可能であることを特徴とする線条体ファントム。
(2)左線条体および右線条体をそれぞれ模した一対の前記液体貯留部を備え、一対の前記液体貯留部が前記収容容器に対して個別に着脱可能に装着されている上記(1)に記載の線条体ファントム。
(3)一対の前記液体貯留部を、互いに離間し、かつ横断面内における長手方向が互いに傾斜する向きで前記収容容器に装着させる位置決め構造を備える上記(2)に記載の線条体ファントム。
(4)一対の前記液体貯留部における互いに近接する側の端部近傍に、並び方向の内側に向かって膨出する膨出部がそれぞれ形成されていることを特徴とする上記(3)に記載の線条体ファントム。
(5)前記液体貯留部が、被殻および尾状核をそれぞれ模した互いに非連通に隔てられた複数の貯留室と、前記貯留室に個別に設けられた前記液体注入口と、を有する上記(1)から(4)のいずれかに記載の線条体ファントム。
(6)前記液体貯留部が、前記線条体を模した中空の偏平容器部と、前記偏平容器部に連設されて前記収容容器に支持される支柱部と、を備える上記(1)から(5)のいずれかに記載の線条体ファントム。
(7)前記位置決め構造が前記支柱部に形成されている上記(3)に従属する上記(6)に記載の線条体ファントム。
(8)前記支柱部が、中空の前記偏平容器部の内部と連通する内腔を有する管状をなしている上記(6)または(7)に記載の線条体ファントム。
(9)前記内腔が、前記偏平容器部の中空内部の底部に連設されている上記(8)に記載の線条体ファントム。
(10)前記収容容器は中空形状であって内部に空洞部が形成されており、前記空洞部は前記液体貯留部を出し入れする開口を有し、前記開口は前記液体貯留部を保持する座部により開閉可能に閉蓋される上記(8)または(9)に記載の線条体ファントム。
(11)前記座部が、前記空洞部の内側に向かって突出形成され前記支柱部を支持する支持台を備え、前記支柱部の前記内腔の長さが、前記空洞部の前記開口から前記偏平容器部までの距離よりも短いことを特徴とする上記(10)に記載の線条体ファントム。
(12)前記収容容器が、前記空洞部の上端に設けられた上部台座と、前記開口を有し前記空洞部の下端に設けられて前記座部が装着されるフランジ部と、前記フランジ部と前記上部台座との間に形成されて前記空洞部を画成する筒状部と、を備え、前記筒状部が、前記上部台座および前記フランジ部と一材一体成形されているとともに、前記上部台座と前記フランジ部との中間部において外側に膨出する膨出形状をなしていることを特徴とする上記(10)または(11)に記載の線条体ファントム。
(13)前記上部台座は、前記空洞部に液体を供給するための給液口と、前記給液口を閉止する栓体と、前記上部台座から前記栓体よりも外側に突出して形成されて倒置面を構成する突起部と、を備える上記(12)に記載の線条体ファントム。
(14)前記筒状部が、大脳の外表面の少なくとも一部を模した形状をなし、前記筒状部の周囲のうち前記液体貯留部を覆う領域に、カルシウム化合物を含有する板状の脳骨部材が設けられている上記(12)または(13)に記載の線条体ファントム。
上述の説明において、各実施形態の線条体ファントムを構成する各要素は個々に独立した存在である必要はない。複数の要素が一個の部材で構成されていること、一つの要素が複数の部材で構成されていること、およびある要素と他の要素との一部または全部が互いに重複していること、等を許容する。
10・10a・10b・110a・110b・210:液体貯留部、12・112・122:液体注入口、14・114・214:偏平容器部、14a:底部、15:膨出部、16:支柱部、17:内腔、18:栓体、19:突稜部、20:第一貯留室、21:第二貯留室、21a:直立貯留部、21b:偏平貯留部、22:尾部、24:隔壁、30:収容容器、32:上部台座、33a・33b:給液口、34:フランジ部、35:突起部、36:筒状部、37a〜37c:栓体、38:ネジ穴、40:空洞部、42:開口、50:座部、51:支持突起、52:支持台、53:内腔、54:側孔、55:固定ネジ、56:係合溝、57:ネジ穴、58:凹溝、59:封止部、61:凹凸部、62:脳骨部材、63:段差境界部、64:Oリング、100:線条体ファントム、116:第一支柱部、118:第一突条、119:第二突条、126:第二支柱部

Claims (12)

  1. 線条体の核医学撮影画像の評価に用いられるファントムであって、
    線条体および右線条体それぞれ模した形状および寸法をもつ一対の液体貯留部と、
    前記液体貯留部を収容する収容容器と、
    を備え、
    一対の前記液体貯留部は、中空であり、放射性液体を注入するための液体注入口をそれぞれ有し、前記収容容器に対して個別に着脱可能であり、
    一対の前記液体貯留部を、互いに離間し、かつ横断面内における長手方向が互いに傾斜する向きで前記収容容器に装着させる位置決め構造を備えることを特徴とする線条体ファントム。
  2. 一対の前記液体貯留部における互いに近接する側の端部近傍に、並び方向の内側に向かって膨出する膨出部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項に記載の線条体ファントム。
  3. 前記液体貯留部が、被殻および尾状核をそれぞれ模した互いに非連通に隔てられた複数の貯留室と、前記貯留室に個別に設けられた前記液体注入口と、を有する請求項1または2に記載の線条体ファントム。
  4. 前記液体貯留部が、前記線条体を模した中空の偏平容器部と、前記偏平容器部に連設されて前記収容容器に支持される支柱部と、を備える請求項1からのいずれか一項に記載の線条体ファントム。
  5. 前記位置決め構造が前記支柱部に形成されている請求項に記載の線条体ファントム。
  6. 前記支柱部が、中空の前記偏平容器部の内部と連通する内腔を有する管状をなしている請求項またはに記載の線条体ファントム。
  7. 前記内腔が、前記偏平容器部の中空内部の底部に連設されている請求項に記載の線条体ファントム。
  8. 前記収容容器は中空形状であって内部に空洞部が形成されており、前記空洞部は前記液体貯留部を出し入れする開口を有し、前記開口は前記液体貯留部を保持する座部により開閉可能に閉蓋される請求項またはに記載の線条体ファントム。
  9. 前記座部が、前記空洞部の内側に向かって突出形成され前記支柱部を支持する支持台を備え、前記支柱部の前記内腔の長さが、前記空洞部の前記開口から前記偏平容器部までの距離よりも短いことを特徴とする請求項に記載の線条体ファントム。
  10. 前記収容容器が、前記空洞部の上端に設けられた上部台座と、前記開口を有し前記空洞部の下端に設けられて前記座部が装着されるフランジ部と、前記フランジ部と前記上部台座との間に形成されて前記空洞部を画成する筒状部と、を備え、
    前記筒状部が、前記上部台座および前記フランジ部と一材一体成形されているとともに、前記上部台座と前記フランジ部との中間部において外側に膨出する膨出形状をなしていることを特徴とする請求項またはに記載の線条体ファントム。
  11. 前記上部台座は、前記空洞部に液体を供給するための給液口と、前記給液口を閉止する栓体と、前記上部台座から前記栓体よりも外側に突出して形成されて倒置面を構成する突起部と、を備える請求項10に記載の線条体ファントム。
  12. 前記筒状部が、大脳の外表面の少なくとも一部を模した形状をなし、
    前記筒状部の周囲のうち前記液体貯留部を覆う領域に、カルシウム化合物を含有する板状の脳骨部材が設けられている請求項10または11に記載の線条体ファントム。
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