(実施例1)
図1は、本発明の実施例に係る撮像素子100の概略構成図である。100は光電変換装置としての撮像素子であり、受光した被写体像を光電変換し、その電気信号をデジタル信号として出力する。撮像素子100は、画素部10、垂直走査回路15、増幅部20、ランプ信号発生回路(参照信号発生回路)25、比較部30、カウンタ部40、メモリ部50、出力回路60、水平走査回路65、タイミング発生回路(TG)70を有する。タイミング発生回路TGは、制御部としての機能を有する。AD変換部は、比較部30とカウンタ部40とを含んで構成される。画素部10は、2次元行列状に配置された複数の画素10−1を有する。画素10−1は、光電変換により画素信号を生成する。垂直走査回路15は、駆動パルスX−1,X−2,・・・を画素部10に出力する。増幅部20は、画素部10からの画素信号を増幅する。ランプ信号発生回路25は、画素信号との比較信号として、時間に対して変化するランプ信号(参照信号)を生成する。比較部30は、増幅部20により増幅された画素信号とランプ信号とを比較する。カウンタ部40は、比較部30が比較結果を出力するまでカウントする。メモリ部(補正部)50は、カウンタ部40のカウントデータを保持し、保持データのビットシフト及び演算を行う。水平走査回路65は、水平走査により、メモリ部50からのデータを出力回路60へ転送する。タイミング発生回路70は、上記回路ブロックをそれぞれタイミング制御する。
画素部10は複数の画素10−1がエリア上に配置されているが、図1では簡略して4画素のみを図示している。各画素10−1の行は垂直走査回路15からの駆動パルスX−1,X−2により順次駆動される。各画素10−1のリセット状態における画素10−1に基づく基準信号(リセット信号)と各画素10−1の非リセット状態における画素10−1に基づく有効信号(光電変換信号)は、垂直出力線V−1〜V−nを経て増幅部20へ導かれる。増幅部20からメモリ部50までは垂直出力線V−1〜V−n毎に各回路が設けられている。増幅部20の各増幅回路20−1は画素10−1からの信号を単に増幅する機能のみであっても良いし、有効信号から基準信号の差分処理を行うことによりノイズを低減するCDS処理機能を有しても良い。増幅部20で増幅することにより、比較部30で発生するノイズの影響を小さくすることができる。増幅器部20にCDS処理機能を設けない場合は比較部30の入力部でCDS処理を行うことができる。
比較部30は、増幅部20からの画素列に対応した比較回路30−1と、複数のランプ信号からの一つを選択する選択回路30−2とを有する。比較部30は、増幅回路20−1からの基準信号と時間に対する変化率が小さいランプ信号とを比較した後、有効信号のレベルが比較レベルである比較電圧より大きいか、小さいかを判定し、その結果に応じて有効信号と比較するランプ信号を選択し、比較を行う。上記の比較電圧は、有効信号のSN比を考慮して設定される。カウンタ部40は、1つの画素に対して2回の変換動作を行う。1回目では、比較部30は基準信号と時間に対する変化率が小さいランプ信号とを比較し、カウンタ部40はランプ信号の立ち上がりから比較部30の出力信号が反転するまでダウンカウントする。基準信号とは、例えば増幅部20の入力をリセットした時に出力される信号や、増幅部20がない構成であれば画素10−1の出力をリセットした時に出力される信号である。2回目では、有効信号のレベルが大きい場合は、比較部30は、有効信号と時間に対する変化率が大きいランプ信号とを比較し、カウンタ部40は、ランプ信号の時間に対する変化率が小と大の分解能比を補正してアップカウントを行う。その結果としての多ビット数のAD変換データは、メモリ部50のメモリ回路50−1に保持される。有効信号とは、光電変換によって得られる画素10−1からの信号を増幅部20で増幅したものや、増幅部20がない場合には画素10−1からの信号である。有効信号のレベルが小さい場合は、基準信号のダウンカウント結果に引き続き、比較部30は有効信号と時間に対する変化率が小さいランプ信号とを比較し、カウンタ部40はアップカウントを行う。その結果は、AD変換データとして、メモリ部50のメモリ回路50−1に保持される。メモリ回路50−1に保持されたAD変換データは、水平走査回路65からの走査パルスにより出力回路60へ転送される。メモリ回路50−1は、フラグ信号を保持するフラグメモリを有しても良い。また、出力回路60は、メモリ回路から転送された信号に補正処理を施す機能を有しても良い。
以上述べたように、撮像素子100は、有効信号のレベルによらず、基準信号と時間に対する変化率が小さいランプ信号と比較するので、高分解能の基準信号のAD変換データを取得できる。有効信号のAD変換データから基準信号のAD変換データを補正処理するので、結果的に高精度、多ビット数のAD変換データが得られる。また、1個の比較回路30−1が、有効信号のレベルに応じて、ランプ信号と比較するので、少ないビット数のAD変換処理を行い、高速化出来る。
図2(A)は、本実施例の撮像素子100の駆動方法を示すタイミング図である。
図2(A)において、期間Tadは、比較回路に入力されるアナログ信号Vaの基準信号及び有効信号のAD変換期間である。期間Tdataは、AD変換データを転送する転送期間である。期間Tadの中で、期間Tdが画素からの基準信号のAD変換期間で、そのための比較信号が基準信号用ランプ信号(基準信号用参照信号)VRである。期間Tjが有効信号の信号レベル判定期間であり、そのための比較信号が比較電圧VREFである。また、期間Tuが有効信号のAD変換期間で、そのための比較信号が有効信号用ランプ信号(有効信号用参照信号)VH又はVLである。増幅回路20−1の出力信号Vaは、主に図示のような基準信号と有効信号とを取り、比較回路30−1の入力端子へ導かれる。比較回路30−1のもう一方の入力端子には信号Vaの比較信号であるランプ信号VRAMPが入力される。ここで、基準信号とは、比較部30よりも前にCDS回路を備える場合には、例えば増幅回路の入力をリセットしたことによって出力される信号である。一方、CDS回路を持たない場合には、フローティングディフュージョン部をリセットしたことに対応して垂直信号線に出力される信号に相当する。同様に、有効信号とは、例えば比較部30よりも前にCDS回路を備える場合には、ノイズが低減された後の信号である。一方、CDS回路を持たない場合には、フォトダイオードで発生した電荷をフローティングディフュージョン部に転送したことによって垂直信号線に出力される信号に相当するランプ信号発生回路25は、タイミング発生回路70の制御信号CNT2に制御されて、ランプ信号VH/比較電圧VREFとランプ信号VL/ランプ信号VRを生成する。ランプ信号VHは傾きが大きい上位ビット用のランプ信号であり、ランプ信号VLは傾きが小さい下位ビット用のランプ信号である。また、比較電圧VREFは有効信号のレベルを判定するための比較基準信号であり、基準信号用ランプ信号VRは基準信号と比較するランプ信号である。これら4種のランプ信号は、タイミング発生回路70の制御信号CNT1により制御される選択回路30−2により選択され、比較回路30−1へ入力される。また、タイミング発生回路70は、制御信号CNT2によりランプ信号発生回路25を制御する。
次に、比較電圧VREFについて説明する。比較電圧VREFは、別の電源回路から発生させても良いし、ランプ発生回路25で発生させても良い。ランプ発生回路25は、ランプ信号VHの形成と同様に、発生途中(例えば60mv程度)で充電電流を停止することにより、比較電圧VREFを生成することができる。比較電圧VREFは、ランプ信号VHに対して1/16の期間で発生させることが出来る。この期間をさらに短縮するには充電電流を大きくすれば良い。また、比較電圧VREFは、ランプ信号VLの最終到達電圧VL(H)である67mvより低くする必要がある。このように低くすることで、有効信号は必ずランプ信号VH又はVLのどちらかで比較処理を行うことが出来る。
比較回路30−1は、基準信号のAD変換期間Tdで基準信号と基準信号用ランプ信号VRとを比較し、基準信号用ランプ信号VRが変化を開始してから基準信号との大小関係が逆転するまでの期間がTrであるとする。カウンタ回路40−1は、その期間Trにダウンカウントし、メモリ回路50−1はそのダウンカウント値(第1のカウント値)を基準信号デジタルデータとして保持する。基準信号用ランプ信号VRは、ランプ信号VLと同じ傾きである。同じ傾きにすることで、高分解能な基準信号デジタルデータを得ることが出来る。次に、信号振幅判定期間Tjでは、比較回路30−1は、有効信号と比較電圧VREFとを比較する。図示の例では、信号振幅判定期間Tjに、比較回路30−1は、有効信号が比較電圧VREFより大きいことを表すハイレベルの選択信号SELを選択回路30−2に出力する。その結果、有効信号AD変換期間Tuでは、選択回路30−2は、傾きが大きいランプ信号VHを選択し、比較回路30−1へ出力する。比較回路30−1は、有効信号とランプ信号VHとを比較し、両者の大小関係が逆転するまでの期間をTsとする。カウンタ回路40−1は、その期間Tsにおいて、上記の基準信号のダウンカウントに続きアップカウントを行う。メモリ回路50−1は、そのアップカウント値(第2のカウント値)を有効信号デジタルデータとして保持する。もし、信号レベル判定期間Tjに比較回路30−1の出力が逆転しなければ、選択信号SELはローレベルのままであり、有効信号のレベルは比較電圧VREFよりも小さいということで、選択回路30−2は傾きが小さいランプ信号VLを選択する。その場合、比較回路30−1は、有効信号とランプ信号VLとを比較する。選択回路30−2は、増幅部20により増幅された有効信号のレベルに応じて異なる傾きのランプ信号VH又はVLを選択する。すなわち、選択回路30−2は、画素に基づく有効信号のレベルに応じて、ランプ信号の時間に対する変化率を設定する。比較回路30−1は、選択回路30−2により選択されたランプ信号と増幅部20により増幅された有効信号とを比較する。カウンタ回路40−1は、ランプ信号の変化の開始から、比較回路30−1が、有効信号とランプ信号との大小関係が逆転したことを示す信号を出力するまでアップカウントする。
図2(A)において、基準信号用ランプ信号VRとランプ信号VLは、先に述べたように同じ傾きである。基準信号用ランプ信号VRは基準信号と比較されるが、基準信号は有効信号の基準信号でもあるので、高精度が必要であり、下位ビットを生成するランプ信号VLと同じ傾きであるので、同一のランプ発生回路25を利用できるメリットがある。カウンタ回路40−1のダウンカウントモードとアップカウントモード機能は、図3(A)〜(C)を参照しながら後述する。
増幅回路20−1のゲインは、撮影環境に応じて設定しうる。例えば、感度設定が16倍の場合は、信号レベル62.5mVを1Vに増幅して比較回路30−1に入力することになる。この時、AD変換に必要なSN比は、大振幅信号をランプ信号VHと比較する10ビットAD変換の分解能で十分である。従って、感度設定が16倍以上であれば、選択回路30−2は、タイミング発生回路70からの制御信号CONT1によりランプ信号VHを選択し、比較回路30−1に出力するように制御しても良い。画素部10のSN比は画素部10の開口面積の影響が大きいので、開口面積によってランプ信号VHとランプ信号VLの傾き比や、上記のランプ信号VHを選択するための感度設定が変わってくる。
次に、ランプ信号VRの振幅や比較電圧VREFの値をどのように決定するのかの一例を説明する。図2(B)は、図2(A)に示した期間Tadにおけるランプ信号VRAMPと増幅回路20−1の出力Vaとを重ねた図である。ランプVHの取り得る最大値、すなわち振幅を1000mVとする。この場合には、信号レベルが1000mV以下のアナログ信号をデジタル値に変換することができる。
ランプ信号VRの振幅は、比較器に入力される基準信号の最大振幅よりも大きな値に設定する必要がある。ここでは、ランプ信号VRの振幅を50mVとしている。
ランプ信号VHはランプ信号VLに対して16倍の傾きであるとすると、ランプ信号VLは、期間Tu−Hが終了する時刻において62.5mVとなる。したがって、信号レベルが62.5mV未満のアナログ信号はランプ信号VLにより変換するために、比較電圧VREFは理想的には62.5mVに設定しうる。しかし、現実には、比較回路がオフセット性の特性誤差(ばらつき)を持つため、比較電圧VREFを62.5mVに設定すると不都合が生じる恐れがある。たとえば、比較回路が50mVのオフセットを持つとすると、有効信号のレベルが12.5mVより大きい場合には、ランプ信号VHを用いてAD変換することになる。つまり、62.5mV未満の有効信号はランプ信号VLで変換するべきであるにも関わらず、重畳された比較回路のオフセットのために、ランプ信号VHを用いてAD変換することになり、所望の精度が得られなくなる。
そこで、ランプ信号VLで変換すべき最大信号振幅62.5mVに比較回路のオフセット50mVを加えた112.5mVを下回る信号が有効信号として比較回路に入力された場合には、ランプ信号VLを用いてAD変換するために、比較電圧VREFを112.5mV以下に設定する。図では、参照信号発生回路もばらつきを持つことを考慮して、比較電圧VREFを110mVとした場合を示している。
ランプ信号VLの振幅は、比較電圧VREF以下のアナログ信号をAD変換できるように、比較電圧VREFよりも大きい値に設定する。ここでは、比較電圧VREFが110mVであるのに対して、ランプ信号VLの振幅を115mVとした場合を図示している。115mVは、ランプ信号VHの振幅1000mVの1/16よりも大きいため、ランプVLを用いた場合のAD変換期間Tu−Lは、ランプ信号VHを用いた場合のAD変換期間Tu−Hよりも長くなる。このように、AD変換期間Tu−LをAD変換期間Tu−Hよりも長く設定することで、比較器がオフセットを持っていたとしても、ランプ信号VLを用いたAD変換を正確に実行することができる。
図3(A)〜(C)は、カウンタ回路(補正部)40−1の構成例を示す図である。カウンタ回路40−1は、基準信号と基準信号用ランプ信号VRとの比較、有効信号と有効信号用ランプ信号VH又はVLとの比較における比較回路30−1の出力が逆転するまでをカウントする。比較回路30−1が基準信号の比較を行うときにはカウンタ回路40−1はダウンカウントする。これに対し、比較回路30−1が有効信号の比較を行うときにはカウンタ回路40−1はアップカウントする。そして、メモリ部(補正部)50は、分解能比を補正するためのカウントデータのビットシフトを行う。
図3(A)は、カウンタ回路40−1の構成例を示す図である。図3(B)及び(C)は、メモリ部(補正部)50の処理を説明するための図である。図3(B)は、基準信号と基準信号用ランプ信号VRとを比較した後、有効信号が比較電圧VREFより大きい場合であり、有効信号とランプ信号VHとを比較した時のカウントデータを示す図である。図3(C)は、基準信号と基準信号用ランプ信号VRとを比較した後、有効信号が比較電圧VREFより小さい場合であり、有効信号とランプ信号VLとを比較した時のカウントデータを示す図である。
カウンタ回路40−1は、インバータ601、4ビットアップ/ダウンカウンタ602、10ビットアップ/ダウンカウンタ603及びスイッチSW1,SW2を有する。カウントクロック信号CLKは、スイッチSW1及びSW2に入力される。インバータ601は、選択信号SELの論理反転信号を出力する。スイッチSW1は、インバータ601の出力信号により制御される。スイッチSW2は、選択信号SELにより制御される。カウンタクロック信号CLKは、選択信号SELに応じて、4ビットアップ/ダウンカウンタ602又は10ビットアップ/ダウンカウンタ603のクロック端子のいずれかに入力される。
図3(B)を参照しながら、有効信号が比較電圧VREFより大きい場合であり、選択信号SELがハイレベルになり、比較回路30−1は有効信号とランプ信号VHとを比較する場合を説明する。期間Trでは、選択信号SELがローレベルになる。すると、スイッチSW1により、カウンタクロック信号CLKは、4ビットアップ/ダウンカウンタ602のクロック端子に入力される。スイッチSW2により、4ビットアップ/ダウンカウンタ602の桁上げ出力(キャリーアウト)coは、10ビットアップ/ダウンカウンタ603のクロック端子に出力される。4ビットアップ/ダウンカウンタ602は、カウンタクロック信号CLKに同期してダウンカウントを行い、データD0〜D3を出力する。10ビットアップ/ダウンカウンタ603は、4ビットアップ/ダウンカウンタ602の桁上げ出力coに同期してダウンカウントを行い、データD4〜D6を出力する。基準信号のダウンカウント値(第1のカウント値)は、データD0〜D6になる。次に、期間Tsでは、選択信号SELがハイレベルになる。すると、スイッチSW1により、カウンタクロック信号CLKは、4ビットアップ/ダウンカウンタ602のクロック端子に入力されなくなる。スイッチSW2により、カウンタクロック信号CLKは、10ビットアップ/ダウンカウンタ603のクロック端子に出力される。10ビットアップ/ダウンカウンタ603は、カウンタクロック信号CLKに同期してアップカウントし、そのアップカウント値をメモリ部50に出力する。メモリ部50は、そのアップカウント値を4ビットシフトし、4ビットシフトした10ビットデータD4〜D13をデータDa4〜Da13として記憶する。また、メモリ部50は、4ビットアップ/ダウンカウンタ602の出力4ビットデータD0〜D3をデータDa0〜Da3として記憶する。結果的に、4ビットアップ/ダウンカウンタ602及び10ビットアップ/ダウンカウンタ603において有効信号と基準信号との差分が行われたデータがDa0〜Da13になる。14ビットデータDa0〜Da13は、それぞれデータD0〜D13に対応し、メモリ回路50−1に記憶される。このように、有効信号とランプ信号VHとの比較によるAD変換データD4〜D13は、基準信号と基準信号用ランプ信号VRとの比較によるデータD0〜D6に対して、4ビットシフトされて差分処理される。これにより、高精度の14ビットAD変換データDa0〜Da13が得られる。
図3(C)を参照しながら、有効信号が比較電圧VREFより小さい場合であり、選択信号SELがローレベルになり、比較回路30−1は有効信号とランプ信号VLとを比較する場合を説明する。期間Trでは、図3(B)と同様に、基準信号のダウンカウントが行われる。ダウンカウント値(第2のカウント値)は、データD0〜D6になる。次に、期間Tsでは、選択信号SELがローレベルになる。すると、スイッチSW1により、カウンタクロック信号CLKは、4ビットアップ/ダウンカウンタ602のクロック端子に入力される。スイッチSW2により、4ビットアップ/ダウンカウンタ602の桁上げ出力(キャリーアウト)coは、10ビットアップ/ダウンカウンタ603のクロック端子に出力される。4ビットアップ/ダウンカウンタ602は、カウンタクロック信号CLKに同期してアップカウントを行う。10ビットアップ/ダウンカウンタ603は、4ビットアップ/ダウンカウンタ602の桁上げ出力coに同期してアップカウントを行い、10ビットデータD0〜D9をメモリ部50に出力する。ダミーデータD11〜D13は、「0」である。データD0〜D9はそれぞれデータDa0〜Da9として、ダミーデータD11〜D13はデータDa11〜Da13として、14ビットデータDa0〜Da13がメモリ部50に記憶される。結果的に、4ビットアップ/ダウンカウンタ602及び10ビットアップ/ダウンカウンタ603において有効信号と基準信号との差分が行われたデータがDa0〜Da10になる。ダミーデータD11〜D13は、データDa11〜Da13として追加される。14ビットデータDa0〜Da13は、メモリ回路50−1に記憶される。ダミーデータD10〜D13は、小振幅データであるので高位ビットがゼロであることを意味している。図3(B)の場合はデータD4〜D13の10ビットで合ったのに対して、図3(C)の場合にはデータD0〜D10の11ビットが、AD変換によって得られるデータとなる。これは、図2(B)に示したように、AD変換期間Tu−Lの方がAD変換期間Tu−Hよりも長いため、AD変換期間の差分が、1ビットのデータの差として現れているためである。
以上のように、有効信号が大振幅信号か小振幅信号かによらず、有効信号と基準信号との差分処理する際に、基準信号は基準信号用ランプ信号VRにより高分解能で比較処理したカウントデータを利用する。これにより、量子化ノイズの影響を小さくした高精度のAD変換データを得ることが出来る。また、図3(B)では、4ビットシフトさせた10ビットデータD4〜D13を用いることにより、14ビットのAD変換データDa0〜Da13を取得することができる。
比較回路30−1は、期間Tdで、画素に基づく基準信号と基準信号用ランプ信号VRとを比較し、カウンタ回路40−1は、画素に基づく基準信号と基準信号用ランプ信号VRとの大小関係が逆転するまでの期間Trに第1のカウント値のカウントを行う。その後、比較回路30−1は、期間Tuで、画素に基づく有効信号と有効信号用ランプ信号VH又はVLとを比較し、画素に基づく有効信号と有効信号用ランプ信号VH又はVLとの大小関係が逆転するまでの期間Tsに第2のカウント値のカウントを行う。カウンタ回路40−1及びメモリ部50の補正部は、基準信号用ランプ信号VR及び有効信号用ランプ信号VH又はVLの時間に対する変化率の違いに対応する第1のカウント値及び第2のカウント値の分解能の違いを補正する。そして、メモリ部(補正部)50は、補正した第1のカウント値及び第2のカウント値の差分データDa0〜Da13を出力する。具体的には、メモリ部(補正部)50は、図3(B)の場合、第2のカウント値をビットシフトすることにより、分解能の違いを補正する。
上記では、期間Trで第1のカウント値をダウンカウントし、期間Tsで第2のカウント値をアップカウントする例を説明したが、その逆でもよい。カウンタ回路40−1は、期間Trで第1のカウント値をアップカウントし、期間Tsで第2のカウント値をダウンカウントすることにより、第1のカウント値及び第2のカウント値の差分データDa0〜Da13を出力するようにしてもよい。すなわち、カウンタ回路40−1は、第1のカウント値をダウンカウント又はアップカウントし、第1のカウント値のアップダウン方向と逆方向になるように第2のカウント値をカウントする。これにより、メモリ部(補正部)50は、補正した第1のカウント値及び第2のカウント値の差分データDa0〜Da13を出力することができる。
上述の差分処理は、ダウンカウントモードとアップカウントモードのカウント機能を有するカウンタ回路40−1により行う例を説明したが、これに限らない。有効信号と基準信号の差分処理は、基準信号と有効信号のカウンタ結果をメモリに記憶し、メモリ部50から出力回路60へ転送する時、出力回路60から撮像素子100の外部へ出力する時、又は外部回路(例えば図8の映像信号処理回路部830)で行っても良い。この際、比較電圧VREFに対する信号判定レベル(選択信号SEL)を認識するフラグデータをAD変換データに追加すれば、どのようなビットシフト方法にも対応が容易となる。カウンタ部40が出力するAD変換データは、有効信号のレベルを示すフラグデータと共に出力される。
次に、参照信号VHおよびVLについて、より詳しく説明する。図4は図2の期間Tuにおけるランプ信号VLおよびVHの遷移を示す。仮に、ランプ信号VLで変換する場合とランプ信号VHで変換する場合とで、3ビット分の違いを持たせることを考える。そのため、ランプ信号VHに対してランプ信号VLの傾きは1/(2^3)=1/8に設定される。ランプ信号VLを用いて変換するアナログ信号の振幅は小さいため、比較器の特性ばらつきの影響が相対的に大きくなる。そのため、信号レベル1/8 Vramp付近の信号は、比較器のオフセット成分が重畳されて1/8 Vrampを超えるおそれがある。そこで、図4に示すように、ランプ信号VLはランプ信号VHよりも長い期間、信号レベルを変化させることで、比較器のオフセット成分を考慮してもAD変換できるようにすることができる。このときのランプ信号VLが取り得る最大値は、例えば図2で示した比較電圧VREFである。
図5は横軸を入射光量、縦軸をAD変換後のデジタルデータとして、両者の関係を示す図である。光量は、比較回路に与えられるアナログ信号Vaに対応する。V(H)はランプ信号VHとの比較処理から得た信号を表し、V(L)はランプ信号VLとの比較処理から得た信号を表している。また、実線V(H)と信号レベルゼロ間の破線はV(L)の理想的な傾きの場合の直線である。理想的には、入射光量に対して、デジタルデータは線形になる。図5(A)では、光量I1未満の場合にはランプ信号VLで変換し、光量I1を超える場合にはランプ信号VHで変換する場合を示している。光量I1の時の信号電圧は、ランプ信号VLで変換して得られたデータV1と、ランプ信号VHで変換して得られたデータV2とで値が異なっている。
これはランプ信号発生器でのランプVLとランプVH信号が、製造時のバラツキにより理想的な傾きからの傾き誤差や、ランプ信号VLとランプ信号VHとをそれぞれ利用する画素数が信号レベルにより変わり、信号を伝送する配線の寄生容量の合成値が異なり、結果的に傾きが変わることなどによる。さらに、ランプVLとVHの傾きの比を変えた時も、信号電圧V1とV2が異なることが起こりうる。このように信号電圧V1とV2が異なると画素信号レベルの連続性が断たれ、微妙な輝度差がある画像上では輝度段差が発生する。従ってV(L)あるいはV(H)の傾きを調整して、リニアリティを向上させる必要がある。
また、傾きの誤差とは別に、オフセット誤差も生じうる。図5(B)は、オフセット誤差を説明する図である。光量I1よりも光量が小さい領域では理想的な特性を示し、光量I1よりも光量が大きい領域では、点線で示す理想的な特性に対して、信号レベルが低くなるオフセットが生じている場合を図5(B)に示す。オフセット誤差が生じている場合も、オフセット量を調整することで、リニアリティを向上させることができる。
次に、リニアリティを補正する方法を説明する。
図6は本実施例に係る出力回路60の構成例を示す図である。出力部60は傾き比の調整、傾き比の誤差検出、傾き比の誤差補正、さらに有効信号データから基準信号データを減算する差分処理を行う機能を有する。
メモリ回路50は、メモリ(フラグ)、メモリ(S)、およびメモリ(N)を含む。メモリ(S)は、AD変換期間Tu−HもしくはTu−Lで得られたデジタルデータを保持し、メモリ(N)は、D変換期間Tdで得られたデジタルデータを保持する。メモリ(フラグ)は、ランプ信号VHとVLのうちのどちらを用いて有効信号のAD変換を行ったかを示すデータを保持するメモリである。
出力部60はランプ信号の傾き比を調整するレベルシフト回路60−2、ランプ信号の傾き誤差を検出する傾き誤差検出回路60−4、ADデータの傾き誤差を補正する傾き比補正回路60−6、傾き比及び傾き誤差を補正した有効信号のAD変換結果(S3−AD)から基準信号のAD変換結果(N−AD)を差分するS−N差分回路60−8からなる。レベルシフト回路60−2および傾き誤差補正回路60−6は、フラグデータFGによって処理を切り替えられる。
図7は傾き誤差を説明するランプ信号波形図である。
デジタルデータの傾き誤差について詳しく説明する。図7において、有効信号と比較するランプ信号VH(実線)が実際の信号であり、ランプ信号VH’(破線)が理想の信号を表している。ここで、基準信号と比較するランプ信号VLの傾きをk、ランプ信号VHとVLの傾き比をa、ランプ信号の傾き誤差をβとすると、ランプ信号VH’の傾きはa・kであり、ランプ信号VHの傾きはa・β・kである。
ランプ信号VRAMPと一点鎖線で表した画素信号Vaの比較処理を行う。基準信号のAD期間はT1、有効信号のAD期間は、理想のランプ信号VH’では、基準信号のAD期間がT2’、有効信号のAD期間がT3’である。また、実際のランプ信号VHでは、それぞれのAD期間がT2、T3である。
理想のランプ信号VH’によるAD期間では、基準信号と有効信号の傾き比を調整するために、有効信号のAD期間をa倍すると、a・(T2’+T3’)となり、基準信号T1との差分処理により、a・T2’=T1であるので、有効信号のAD期間は
a・T3’=a・(T2’+T3’)−T1 (1)
となる。
実際のランプ信号VHによるAD期間では、実際のADデータの傾き比を調整後、傾き誤差βで除算し、基準信号T1を差分処理することで、正しい有効信号のADデータを得ることができ、
a・(T2+T3)/β−T1 = a・T3’ (2)
となる。
従って、精度良いADデータを取得するためには、傾き誤差βを検出する必要がある。図8に、信号源としてのテスト用基準信号生成部の構成を示す。テスト用基準信号生成部107は、信号生成回路1071を含む。信号生成回路1071は信号φS1に応じて電圧Vs1もしくはVs2を供給できるように構成されている。信号生成回路1071は、信号φS2で駆動されるスイッチを介して、各垂直信号線接続される。
図9はランプ信号VLとランプ信号VHの傾きの比を検出するためのタイミング図である。
信号φS2をHレベルにし、基準信号生成部107からの基準信号をテスト信号VTとして比較回路30−1に入力する。比較回路30−1ではテスト信号VTとランプ信号VRAMPを比較処理する。期間Ts−Lで、ランプ信号VLによりAD変換して得られたデータSLをメモリ回路50−1に保持させる。次に期間Ts−Hでランプ信号VHにより変換して得られたデータSHを、メモリ回路に保持させる。メモリ回路に保持させたデータSLおよびSHは、同時に外部に転送しても良いし、順次転送しても良い。
比較回路のオフセット電圧を除去するために、オフセット電圧を得るために図示のランプ信号VR−L、ランプ信号VR−Hを入力してもよい。ランプ信号VR−LとVLとは同じ傾きであり、ランプVR−HはランプVHと同じ傾きである。同じ傾きにすることにより、図3のアップダウンカウンタでオフセット電圧を差分処理することが可能となる。
ここでは、テスト信号VTを用いて分解能の補正を行う場合を例にとって簡単に説明する。傾き比が1/16の場合、ランプ信号VLでは、クロックCLKを4ビットアップダウンカウンタへ入力し、ランプ信号VHではクロックCLKを10ビットアップダウンカウンタへ入力することで分解能の補正が行われる。補正されたデータを、後段の映像信号処理回路830で、傾き誤差を演算し、その演算結果Kをメモリする。図5の信号レベルでは、K=V1/V2であり、信号V(L)この1/Kを乗算すれば、信号V(L)の傾きが補正され、信号V(H)と信号V(L)が直線的に連続するように、データSLを補正できる。この補正処理により、画像の輝度段差は検知減以下に低減出来る。補正は信号V(H)で補正処理を行っても良い。分解能の相違の補正はアップダウンカウンタに限らず、ランプ信号VLとランプ信号VHの比較処理からのデータを後段の回路で4ビット分レベルシフトさせても良い。ランプ信号VR−LやVR−Hを用いて変換した信号との差分を処理する、S−N処理も同様である。
また、基準信号生成部107を設けずに、撮像素子に一様光を照射することで、テスト信号VTとしても良い。
テスト信号生成部107からのテスト信号VTを、信号φS2をHレベルにし、テスト信号線1072と垂直信号線V−1を接続し、増幅回路を経て比較回路30−1に入力する。テスト信号は信号φS1をHレベルとすることで、画素信号の基準信号に相当する電圧を、φS1をLレベルにすることで有効信号に相当する電圧を生成する。
図9の実施例ではTest1の期間に、テスト信号VTと傾き小のランプ信号VR−Lとランプ信号VLの比較処理の結果であるADデータの差分処理により、有効信号のADデータ1(TsL−Tr1)を取得し、傾き誤差検出回路60−4に保持する。次に、Test2の期間に、テスト信号VTと傾き大のランプ信号VR−Hとランプ信号VHの比較処理の結果であるADデータの差分処理により、有効信号のADデータ2(TsH−Tr2)を取得し、傾き誤差検出回路60−4に保持する。傾き誤差βは、保持したADデータ1とAD2データ2から、式(3)で求めることが出来る。
β=(TsH−Tr2)/(TsL−Tr1) (3)
また、傾き誤差βは基準信号生成部107を設けずに、撮像素子に一様光を照射することで、テスト信号VTとしても良い。
傾き誤差βは誤差検出回路60−4にメモリされ、撮像素子の実駆動で、傾き大のランプ信号VHで比較したADデータSH1−DATAに対し1/β倍の処理を行う。
上記の操作は、例えば撮像素子を撮像システムに組み込む前に行って、補正用のデータを撮像システムが備えるメモリに記憶させておくことができる。また、撮像操作に先立って行うことで、温度などの環境条件による影響を合わせて低減することもできる。
(実施例2)
図10は、本発明の第3の実施例による撮像システムの構成例を示す図である。撮像システム800は、例えば、光学部810、撮像素子100、映像信号処理回路部830、記録・通信部840、タイミング制御回路部850、システムコントロール回路部860、及び再生・表示部870を含む。撮像装置820は、撮像素子100及び映像信号処理回路部830を有する。撮像素子100は、第1の実施例で説明した撮像素子100が用いられる。
レンズ等の光学系である光学部810は、被写体からの光を撮像素子100の、複数の画素が2次元状に配列された画素部10(図1)に結像させ、被写体の像を形成する。撮像素子100は、タイミング制御回路部850からの信号に基づくタイミングで、画素部10に結像された光に応じた信号を出力する。撮像素子100から出力された信号は、映像信号処理部である映像信号処理回路部830に入力され、映像信号処理回路部830が、プログラム等によって定められた方法に従って信号処理を行う。映像信号処理回路部830は、入力された信号に対して図3のビットシフト処理及び/差分処理等の信号処理を行ってもよい。映像信号処理回路部830での処理によって得られた信号は画像データとして記録・通信部840に送られる。記録・通信部840は、画像を形成するための信号を再生・表示部870に送り、再生・表示部870に動画や静止画像を再生・表示させる。記録・通信部840は、また、映像信号処理回路部830からの信号を受けて、システムコントロール回路部860と通信を行うほか、不図示の記録媒体に、画像を形成するための信号を記録する動作も行う。
システムコントロール回路部860は、撮像システムの動作を統括的に制御するものであり、光学部810、タイミング制御回路部850、記録・通信部840、及び再生・表示部870の駆動を制御する。また、システムコントロール回路部860は、例えば記録媒体である不図示の記憶装置を備え、ここに撮像システムの動作を制御するのに必要なプログラム等が記録される。また、システムコントロール回路部860は、例えばユーザの操作に応じて駆動モードを切り替える信号を撮像システム内に供給する。具体的な例としては、読み出す行やリセットする行の変更、電子ズームに伴う画角の変更や、電子防振に伴う画角のずらし等である。タイミング制御回路部850は、システムコントロール回路部860による制御に基づいて撮像素子100及び映像信号処理回路部830の駆動タイミングを制御する。
以上のように、第1及び第2の実施例によれば、画素の有効信号が大振幅信号か小振幅信号であるかにかかわらず、画素の基準信号は高分解能の基準信号用ランプ信号VRを利用して比較を行う。有効信号のレベルを判定後、その判定された信号に適したランプ信号VH又はVLを選択し、有効信号と基準信号の分解能比を補正した差分処理によりAD変換データを取得することにより、高精度・多ビット化を達成することができる。
暗い撮影環境では、露光条件にもよるが、画素信号は小振幅信号になり易く、画素信号を増幅して感度アップすることができる。第1の実施例では、増幅回路20−1で信号を増幅することにより感度をアップさせることができる。画素部10からの信号を増幅せずに比較回路30−1へ入力する場合は、ランプ信号の傾きを変えて結果的に感度アップを行うことができる。第1及び第2の実施例は、ランプ信号の傾きを一義的に決めるものではなく、求める感度アップに対応してランプ信号の傾きを変えることができ、例えば感度アップが2倍の場合は、ランプ信号の傾きを1/2に制御することができる。
上述の各実施例では参照信号として、時間に対して連続的に変化するランプ信号を例示したが、階段状に変化する参照信号など、他の形式でも良い。
上記の各実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、参照信号として、ランプ信号は時間に対してレベルが直線的に変化するものを説明したが、階段状に変化するものを用いても良い。