JP6180064B2 - 残光を利用した検電器 - Google Patents
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Description
このケーブルチェッカーは、ケーブルの電圧の有無を検出するための第1の回路と、ケーブルの導通を確認するための第2の回路を有する。
更に、特許文献1のケーブルチェッカーは、メロディIC用電源や、2つのBAT1、2などの別の電源と必要とし、これらの電源が切れた場合には、ケーブルの電圧チェック及び導通チェックが出来ない虞がある。
尚、本発明における「電路Rが通電している状態を、残光を利用して表す発光部2」とは、実際には発光していなくとも、暫くの間、使用者の目には光っているように見える現象によって、電路Rが通電している状態を表す発光部2であって、具体的には、例えば、連続的に点滅する発光部2や、所定時間、点灯をした後に消灯する発光部2などを含む。
又、前記整流器3は、電極間に比誘電率が1より大きい誘電体を挟んだコンデンサを介さずに、前記交流電路R’からの交流電流を、直流電流に変換しても良い。
これと同時に、残光を利用する発光部2は、例えば、連続的に点滅したり、所定時間、点灯をした後に消灯すれば良いため、検電器1の回路としての「簡素化」も図れる。
これに加えて、特許文献1のケーブルチェッカーのように、別の電源を必要しないため、別の電源が切れて電圧チェック及び導通チェックが出来ない等の虞は一切なく、更なる回路の「簡素化」が図れる。
尚、本発明における「残光」とは、発光周期Tの長さや、その他、発光時間τそのものにより、発光部2を見る使用者にとって、発光(点灯)し続けているように見える現象を意味し、人の目の残光特性や、残像(残像効果)であると言っても良い。
これと同時に、残光を利用する発光部2は、例えば、連続的に点滅したり、所定時間、点灯をした後に消灯すれば良いため、検電器1の回路としての「簡素化」も図れる。
これと同時に、交流電流に導通できるのであれば、交流電路R’の何れの箇所からでも検電が可能となる。
<第1実施形態に係る検電器1>
図1〜9には、本発明の第1実施形態に係る検電器1が示されている。
この検電器1は、電路Rの通電を検査する検電器であって、発光部2を有している。
この他、検電器1は、交流電路R’と整流器3との間にゲートコンデンサ6を有していたり、このゲートコンデンサ6を内蔵する碍子7を有しても良いが、第1実施形態の検電器1では、検電回路10と、ゲートコンデンサ6を内蔵する碍子7を有しているとして、以下を述べる。
又、このような検電器1が通電の検査をする電路Rについて、まず詳解する。
図1、2、4、7に示したように、電路Rは、電流の通路、又は、電気回路であって、検電器1に導通されて、電流が流れているか(通電しているか)を検査されるものである。
電路Rに流れる電流は、交流電流、直流電流の何れでも良く、交流電流が流れる電路を交流電路R’とし、直流電路が流れる電路を直流電路R”とする。
尚、図4(a)に示したように、配電盤内は薄暗く、更にカバー越しであれば、交流電路R’の位置が確認しにくいが、検電器1の発光部2によって、使用者に容易に通電している状態を示せる。
その他の交流電路R’の例としては、商用電源として家屋、建物に設けられたコンセントやブレーカーをはじめ、送電設備などであっても良い。
その他の直流電路R”の例としては、直流電流が流れる電化製品をはじめ、デスクトップ型やノート型などのコンピュータ、オフィス機器、各種端末などであっても良い。
以下では、電路Rは、交流電路R’(特に、6600Vの三相ケーブル)であるとして述べる。
図1、3に示されたように、発光部2は、電路R(交流電路R’等)が通電している状態を、光で表すものである。
発光部2は、交流電路R’等が通電している状態を残光を利用して表したり、交流電路R’等が通電している状態を光の点滅で表すなど、何れの構成であっても良い。
発光部2は、具体的には、発光ダイオード(LED)や有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)、ネオンランプの他、発光するものであれば、ハロゲンランプ、白熱電球、蛍光ランプ(蛍光灯)、水銀ランプ(水銀灯)等の放電灯であっても良い。
以下は、発光部2が主に発光ダイオードであるとして述べる。
ここで述べた所定のデューティ比Dで、発光部2を発光させる検電器1・検電回路10について、以下に述べる。
図2は、検電器1を近似した等価回路図である。
ここで、図2中のVは、検査対象である交流電路R’(三相ケーブル)の電圧Vであり、図2中のCは、碍子7に内蔵されたゲートコンデンサ6の静電容量Cであり、図2中のRは、後述する検電回路10を模した抵抗Rであり、図2中のIは、この抵抗Rに流れ込む電流Iである。
(数1)
I=V/√(R2 +(1/ωC)2 )
=ωCV/√(1+(ωCR))
ここで、R=1MΩ、C=250pF、f=60Hzとすると、
(数2)
(ωCR)2 =0.0088264・・・≒8.9×10-3<<1
となるので、電流Iの計算式の分母は無視できて、
(数3)
I≒ωCV=2πfCV (1)
と簡略化できる。
この電流Iの式(1)から、ゲートコンデンサ6の低圧側電極(後述する碍子7の低圧側端子)6cは電流源出力と見なせ、その電流Iは、ゲートコンデンサ6の高圧側電極(碍子7の高圧側端子)6bの電圧V、周波数fと、ゲートコンデンサ6の静電容量に比例していると言える。
(数4)
I=2πfC×(V/2×sin60°)=0.0003・・・
≒0.3mA
となる。
そのため、検電回路10に流れ込む電流Iが約0.36mAである上記の例の場合は、発光部2を直接点灯できないものの、検電器1の検電回路10において、流れ込む電流Iでコンデンサ(チャージコンデンサ4等)を充電し、ある一定値(所定電圧値VS等)まで充電電圧(チャージ電圧V4等)が上昇したことを検出して、LED2を点灯し、このLED2の点灯でコンデンサが放電されるとLED2を消灯し、再度コンデンサ(チャージコンデンサ4等)の充電を待つ構成としても良い。
又、このような検電器1(検電回路10)は、実際に発光部2が発光している時間(発光時間τ)は、残光によって、使用者の目に光っているように見える時間より短いため、発光部2の発光に要する電力を低減できる(「省電力化」)と共に、結果的に、発光時間τが短くなる発光部2が長持ちする(「長寿命化」)。
これと同時に、残光を利用する発光部2は、例えば、連続的に点滅したり、所定時間、点灯をした後に消灯すれば良いため、検電器1の回路としての「簡素化」も図れる。
更には、別途、電源を内蔵せずとも、非常に簡単な回路で、発光部2を周期的に発光させることが出来、更なる「省電力化」が図れる。
そこで、以下の表1には、典型的な場合(表1中の2つの「Typ」)と、点灯待ち時間が最も短い場合(表1中の「Fast」と、点灯待ち時間が最も長い場合(表1中の「Slow」)について、交流電路R’の電圧V、対アース電圧、交流電路R’の周波数、ゲートコンデンサ6(検電ガイシ)7)の静電容量Cを変化させた時の最初の点灯までの待ち時間(点灯待ち時間)、発光部(LED)2の点灯時間(発光時間τ)、発光周期Tを示す。
又、表2には、発光部(LED)2が点灯しなくなる手前の最低点灯電圧(最低発光電圧)である場合(表2中の「Max」)については、交流電路R’の周波数が50Hz・60Hzの時の最低発光電圧と、そのデューティ比D(最大値)と消費電力を示すと共に、電圧が典型的な場合(表2中の「Typ」)については、そのデューティ比Dと消費電力を示す。
尚、検電回路10のアース接続線以外は、発光部(LED)2の端子も含めてアースとは電気的に絶縁が必要であり、アースとの間には±10V程度の電位差が発生するとも言える。
以下は、整流器3、チャージコンデンサ4及び比較器5を有している検電回路10について主に述べる。
図3に示されたように、整流器3は、交流電路R’から交流電流を直流電流に変換するものである(図3中においては、D1で示している)。
整流器3は、交流電路R’から交流電流を直流電流に変換できるのであれば、何れの構成でも良いが、例えば、全波整流により、交流電流から直流電流への変換を行うものであっても良い。尚、当然、半波整流により変換するものでも良い。
つまり、50Hz又は60Hzで交互に「+」と「−」の端子どちらかがアースとほぼ同電位となる動作となる。
従って、「−」側はアースから見たときには必ずしも0Vではなく、整流後の回路はアースとは絶縁する必要がある。
又、整流器3は、交流電路R’から後述するゲートコンデンサ6を介しての交流電流を直流電流に変換しても良い。
図3に示されたように、チャージコンデンサ4は、上述した整流器3からの直流電流の電荷を充電可能(及び/又は放電可能)なものである。
チャージコンデンサ4は、整流器3からの直流電流の電荷を充電可能であれば、何れの構成でも良いが、例えば、幾つかのコンデンサ部材が集まったものでも良い。
尚、図3中においては、11個のコンデンサ部材が並列接続されているが、これは、コンデンサ部材として用いた高誘電率系の積層セラミックコンデンサは電圧依存性があるため、実特性で変更できるよう11個目のコンデンサ部材(図3中においては、C11)を並列接続できるように構成している。
チャージコンデンサ4に電荷がチャージ(充電)されることによる電圧(チャージコンデンサ4の電極間のチャージ電圧V4)の増加は、概算で以下に述べると、図3中の抵抗R1、R2、R3を合わせた抵抗Rは、R1=1Ω、R2=100kΩ、R3=220kΩとすれば、
(数5)
R=R1+(R2×R3)/(R2+R3)=68.751kΩ
より、チャージコンデンサ4に電荷がチャージ完了するまでの時間をtとすると
(数6)
V4=I×R×(1−exp(−t/RC’))
をtについて解き、チャージコンデンサ4のチャージ電圧V4=9.2V、上述したように、検電回路10に流れる電流I≒0.3mAとすると、
(数7)
t=−RC’×loge (1−V4/RI)=2.4366・・・≒2.4
と計算でき、検電器1(検電回路10)を作動させてから2.4秒(Sec)で点灯開始(発光開始)となる。
又、チャージコンデンサ4の静電容量は、上述したように、特に制限はないが、例えば、0.001μF以上10000.000μF以下であったり、好ましくは0.01μF以上5000.00μF以下、更に好ましくは0.1μF以上1000.00μF以下(上述した100μFなど)でも良い。
更に、チャージコンデンサ4における電極間には、比誘電率が1より大きい誘電体を挟んでいたり、比誘電率が1の状態(つまり、電極間が真空の状態)であるなど、何れの状態でも構わない。
図3に示されたように、比較器5は、上述したチャージコンデンサ4の電極間のチャージ電圧V4が所定電圧値VS以上かを判断するものである。
この比較器5がチャージ電圧V4を所定電圧値VS以上と判断した際に、チャージコンデンサ4から放電される直流電流が発光部2を発光させることとなる。
リファレンス電源を内蔵したこの比較器5は、図3中のU1におけるIN(pin3)が所定の電圧(例えば、0.4V)以上になると、OUT(pin1)が0Vになる構成でも良く、消費電流が小さいものが好ましい。
図1、2や、図5(b)、図7に示されたように、ゲートコンデンサ6は、電極間に比誘電率が1より大きい誘電体6aを挟んだコンデンサ部材である。
ゲートコンデンサ6は、交流電路R’と整流器3の間に設けられ、整流器3へは、このゲートコンデンサ6を介しての交流電流が流れ込むこととなる。
又、ゲートコンデンサ6の静電容量は、特に制限はないが、例えば、0.005pF以上50000.000pF以下であったり、好ましくは0.01pF以上10000.00μF以下、更に好ましくは0.1pF以上1000.00pF以下(上述した250pFなど)でも良い。
そして、交流電路R’からゲートコンデンサ6を介しての交流電流を、整流器3で直流電流に変換することで、交流電路R’の電位を降圧させてから整流器3で直流電流に変換することとなり、交流電路R’が高圧(例えば、6600Vや22000Vなど)であっても、検電が可能となる。
図1、4、5に示すように、碍子7は、三相ケーブルなどの電路R(交流電路R’等)を支持し、その支持物に取り付ける絶縁体の器具であって、上述したゲートコンデンサ6を内蔵している。
このように、ゲートコンデンサ6を碍子7に内蔵することで、交流電路R’において取り付けられる碍子と検電器を兼用でき、省スペース化が図れる。
尚、図5(a)における符号7aは、当該碍子7を、電路R(交流電路R’等)の支持物に取り付ける際の取付け金具である。
図3に示したように、検電回路10は、上述した整流器3、チャージコンデンサ4、比較器5等の他に、抵抗部材、MOSFET部材、コンデンサ部材、ダイオード部材、雷サージ保護素子などを有していても良く、以下に例示する。
抵抗部材(図3中においては、R1〜R9)は、それぞれ役割を有していても良いが、例えば、R2であれば、非動作時のディスチャージ用抵抗だが、抵抗値を下げることで発光部(LED)2の点灯に必要な交流電圧を増加させることが出来るとも言える。
尚、点灯開始(発光開始)電圧(つまり、所定電圧値VS)は、例えば、0.4V×(10kΩ+220kΩ)/10kΩ=9.2Vであって、この所定電圧値VSに、チャージコンデンサ4のチャージ電圧V4がなった際に、LED2が点灯開始(発光開始)する。
上述したMOSFET部材であるQ1は、PchMOSFETであっても良く、ゲートがONになる電圧が比較的低く、高い電圧でも使用可能なものが好ましい。
D4は、LED2を逆接続するための保護と、LED2がOFF時に逆起電力を防止するためのツェナーダイオードであり、LED2が逆接続されている際(OFF時)には、所定のツェナー電圧(例えば、4.7Vなど)がLED2へ印加される。
D5は、比較器5(U1)の保護用ダイオードであって、LED2側からESD(静電気)などの高電圧が印加された際に、D3からD5の経路で電流が流れ、比較器5(U1)の電源やGNDが高電圧になることを抑制している。
R1、D2、Z1は、雷保護用素子であって、まずR1でC1〜C11以降の回路に瞬時に高電圧が印加されるのを防止し、D2で発生した高電圧を逃がす構成としている。Z1は、整流器3(D1)の内部抵抗で端子間の電圧が増加した際、アースへ電流を流し端子電圧の上昇を防止する。
図6は、検電器1で、交流電路R’(電圧V=6600V、周波数f=50Hz)が通電している状態かを検査したときのシミュレーション結果を示すグラフである。
尚、図6中のI(Led1)は、発光部(LED)2に流れる電流値であり、図6中のV(vs)は、比較器5(U1)の電源電圧(チャージコンデンサ4のチャージ電圧V4)である。
又、図6のグラフにおいて、チャージコンデンサ4のチャージ電圧V4(発光部2にかかる電圧とも言える)は、検電回路を作動させてから発光部2の点灯が開始される2.13Sec以降、発光部2が点灯した際に9.2V(約9.2V)から少し電圧が下がり(つまり、チャージコンデンサ4から発光部2へ直流電流が放電され)、その後、1つの発光周期Tに亘ってチャージコンデンサ4に充電され、再びチャージ電圧V4が約9.2Vとなった時に、チャージコンデンサ4から発光部2へ直流電流が放電されることが、発光周期Tと同じ周期で繰り返されている。
その一方で、発光周期Tでの発光部2の電力量(発光部2が1つの発光周期Tに亘って連続して点灯させた場合に消費される電力量)JT は9.2V×約14mA×240.2mSec=9.2V×約0.014A×0.242Sec=0.0311696・・・ワット秒(W・Sec)=112.21056ワット時(Wh)≒「112.2Wh」であることから、電力量Jτと電力量JT を比較しても、確かに約100分の1となっている。
つまり、本発明に係る検電器1は、1つの発光周期Tにおいてほとんど電力を消費しておらず、顕著な「省電力化」が図れている。
図7は、雷サージへの応答時の検電器1を近似した等価回路図である。
ここで、図7中のVは、図2と同様に、検査対象である交流電路R’(三相ケーブル)の電圧Vであり、図7中のCは、碍子7に内蔵されたゲートコンデンサ6の静電容量Cであり、図7中のC’は、チャージコンデンサ4の静電容量C’であり、図7中のR1は、上述した検電回路10における抵抗R1(この抵抗R1より内部の回路に高電圧が印加されるのを抑制する抵抗)であり、図7中のIは、この抵抗R1に流れ込む電流Iであり、抵抗R1の両端の点A、Bが観察ポイントである。
このシミュレーションからゲートコンデンサ6には23A程度の電流が一時的に流れ、その結果、抵抗R1の整流器3側の点Aに24V程度の電圧が発生しているが、内部回路に相当する点Bでは、最終的に2.3V程度の電圧上昇に抑えられた。
一方、23Aのサージ電流I’について考察すると、整流器3(D1)は30Aのサージ電流I’に耐えられるものであり、更に、TVS(Transient Voltage Suppression、過渡電圧抑制)ダイオードD2は、ピークで30.2Aの電流を流せるのに加え、雷サージ保護素子であるZ1は±500Aの電流を5回流せる素子等であり、問題ないと言える。
尚、サージ電流I’は以下の式で近似的に計算できる。
(数8)
I’=C×dV/dt=275pF×100kV/1.2μSec
=22.91666・・・≒22.9A
図9は、検電器1の耐圧試験時のシミュレーション結果を示したグラフであり、この耐圧試験は、検電器1の22kV(22000V)印加時の動作について検討した。
検電器1(検電回路10)に供給される電流Iは、上述の式(1)より、
(数9)
I≒ωCV=2πfCV
=2π×60Hz×275pF×22000
=2.28079・・・≒2.28mA
と計算される。
この電流Iは、LED2の駆動電流(例えば、14mA程度)より小さい。
従って、図9に示すシミュレーション結果は、耐圧試験中であっても、通常動作と同様に、LED2は点滅し続けている。尚、点滅周期(発光周期T)が短いため、目視では、LED2は、点灯(発光)し続けているように見えるとも言える。
耐圧試験の際に述べたように、発光周期Tの長さや、その他、発光時間τそのもの、更には、発光部2を見る使用者によっては、発光(点灯)し続けているように見える。
実際の使用者(人間)の目には、発光周期T、発光時間τ、つまりは、発光周期Tに対する発光時間τのデューティ比Dを、どの程度まで小さくしても、発光部2の発光を認識できるかが重要である。
この残光試験の使用者(被験者)は36人であるが、年齢、性別、目の病気等の有無など幅広い層に対して行っている。
この試験装置1’は、発光周期Tと発光時間τをそれぞれのツマミによって調整でき、調整された発光周期Tと発光時間τで、赤、橙、緑の3色のLEDが点滅する。
各使用者(被験者)は、発光周期Tについては「長いほど良い」、発光時間τについては「短いほど良い」と伝えられた後に、3色のLEDが光っていると認識できる限界の値と、最も適する値をそれぞれ記入し、3色のうち何れの色のLEDが認識し易いかを回答した。
尚、発光周期Tが長いほど、発光時間τが短いほど、デューティ比Dは小さくなり、省電力化が図れる。
この残光試験について、各使用者(被験者)に行った試験日と、試験時の照度、使用者の性別、年齢、目の病気等、発光周期Tにおける認識できる限界値と認識し易い最適値、発光時間τにおける認識できる限界値と認識し易い最適値、限界値と最適値におけるデューティ比D、認識し易い色の結果を、以下の表3に示す。尚、表3中の「−」は、使用者(被験者)が無記入であったことを示す。
表3より、使用者(被験者)の最高齢は73歳、最年少は20歳であり、平均年齢は44.6歳である。
発光周期Tについては、限界値における最大値は1000mSec、最小値は150mSec、平均値は483.4mSecであり、最適値における最大値は500mSec、最小値は100mSec、平均値は459.7mSecであり、限界値と最適値に大きな違いはなかった。
発光時間τについては、限界値における最大値は400μSec、最小値は8μSec、平均値は48.4μSecであり、最適値における最大値は400μSec、最小値は5μSec、平均値は97.2μSecであり、限界値は最適値の約半分であった。
よって、デューティ比Dは、0.00001(=0.001%)から0.00266・・・(≒0.27%)の間にあると言える。
一方、デューティ比Dが更に小さくなり、0となれば、当然、発光周期T全体にわたって消灯していることから、当然、何れの使用者にも、発光部2の発光を認識できない。
つまり、デューティ比Dが0から0.00001の間に、使用者の認識できない境界があることがわかり、その境界値(最小値)を「0.000001」とする。
更に加えて、デューティ比Dが0.5を超えると、発光周期Tにおいて半分以上が発光時間τとなり(発光周期Tのうち半分以上で点灯していることとなり)、省電力化の観点から、その境界値(最大値)を「0.5(=0.500000)」であるとしても良い。
よって、発光部2における発光周期Tに対する発光時間τのデューティ比は、0.000001以上0.500000以下であるとも言える。
又、残光試験で用いた試験用検電器1’における発光部2を点滅させる電力量Jは、当該検電器1’の発光部2(LED)にかかる電圧・電流と、当該発光部2の発光時間τ・発光周期Tによって決まり、検電器1’における発光部2の電圧・電流がシミュレーション結果等で述べたように、9.2Vで約14mAである場合、この残光試験における使用者(被験者)それぞれが、「残光を利用して」、どれくらい電力量Jを低減(節約)できるかについて、表3中の発光周期Tにおける限界値・最適値や、発光時間τにおける限界値・最適値から、限界値における発光時間τの電力量Jτ・1つの発光周期Tに亘って点灯させた時の電力量JT と、最適値における発光時間τの電力量Jτ・1つの発光周期Tに亘って点灯させた時の電力量JT を算出して、以下の表4に示す。
尚、表4中の使用者1〜36は、表3中に示した使用者1〜36と同一人物である。
又、限界値について、電力量Jτを電力量JT で割ったもの(Jτ/JT )における最大値は0.267%(≒0.270%)、最小値は0.001%、平均値は0.017%である(上述したデューティ比Dと同様である)ことから、36人もの使用者全員が、発光周期Tの電力量JT の1%にも満たない電力量Jτで十分に発光部2の発光を認識できている(この認識は、実際には点滅しているにも関わらず、発光部2がずっと点灯しているとの認識でも、実際の通り、発光部2は点滅しているとの認識でも、何れでも良い)。
又、最適値について、電力量Jτを電力量JT で割ったもの(Jτ/JT )における最大値は0.120%、最小値は0.001%、平均値は0.026%である(上述したデューティ比Dと同様である)ことから、限界値よりも余裕を持って発光部2の発光を認識する最適値であっても、やはり36人もの使用者全員が、発光周期Tの電力量JT の1%にも満たない電力量Jτで十分に発光部2の発光を認識できている。
つまり、この残光試験においても、本発明に係る検電器1は、1つの発光周期Tにおいてほとんど電力を消費しておらず、顕著な「省電力化」が図れていることがわかる。
上述した残光試験により、発光部2における発光周期Tに対する発光時間τのデューティ比(発光部2を発光させる比率)は、非常に小さくとも良く、その結果、チャージコンデンサ4に充電させる電荷の量(電気エネルギー)も小さくとも構わないことがわかった。
従って、ゲートコンデンサ6の電極間に比誘電率の高い誘電体6a(エポキシ樹脂等)を挟んで、ゲートコンデンサ6の静電容量を上げずとも、発光部2により、電路R(交流電路R’)が通電している状態かを表せることがわかった。
又、ゲートコンデンサ6の電極間は、エポキシ樹脂等の誘電体6aではなく、空気が存在している。
その他の検電器1の構成、作用効果及び使用態様は、第1実施形態と同様である。
図11〜16には、本発明の第2実施形態に係る検電器1が示されている。
この第2実施形態において第1実施形態と最も異なるのは、ゲートコンデンサ6を有していない点である。
この整流器3が交流電路R’からの交流電流を変換した直流電流の電荷をチャージコンデンサ4に充電し、比較器5がチャージコンデンサ4におけるチャージ電圧V4を所定電圧値VS以上と判断した際に、チャージコンデンサ4から放電される直流電流で発光部2を発光させることで、第1実施形態の検電器1と同様に、交流電路R’に対する通電状態の検査が可能となる。
これによって、検電器1の「簡素化」を更に図れる。
この第2実施形態の検電回路10も、上述した整流器3、チャージコンデンサ4、比較器5等の他に、抵抗部材、MOSFET部材、コンデンサ部材、ダイオード部材、雷サージ保護素子などを有していても良い。
ここで、D3は、定電流ダイオード(CRD:Current Regulative Diode)であり、電圧や負荷抵抗が変化しても常に一定の電流を流すこととなり、発光部2が電流駆動型の素子である(LEDなど)である場合でも、発光部2の輝度を一定に保つ。
そして、D2、Z1のGND(アース)側の配線は、検電回路10の基板11におけるハンダ面に、ベタパターン(広範囲のパターン(銅箔等))11aにて、配置しても良い。
又、図12中のチャージコンデンサ4(C1、C2)は、それぞれの静電容量が公称値で1μFのコンデンサ部材であっても良く、その他の部材についても、図12中の抵抗R1、R2、R3は、R1=10k、R2=1MΩ、R3=100Ωとしたり、図12中のコンデンサ部材C3は、静電容量が公称値で0.1μFのコンデンサ部材としても良い。
これら図13〜15における碍子7の具体例1と具体例2は、その直径や一対のネジ穴の位置が異なるが、検電器1(検電回路10)の基板11、筐体12に、平面視で略ダルマ状(大小2つの円形孔が合わさった形状)の位置決め孔を有しており、何れの碍子7の具体例1、2(特にその上面)に対しても、検電器1は同じ筐体12で、取り付けが可能となっている。
このような基板11に対して、接点端子のある基板11の略中央部から周端部にかけて検電回路10は設けられており、発光部(LED)2は、基板11の周端から突出するように配置され、発光部2の突出した部分に沿って、筐体12の隆起部12bに、凹部(逃がし)12cが設けられている。
又、筐体12における底板12aの直径(隆起部12bの内径)は、例えば、52mm以上76mm以下、好ましくは56mm以上72mm以下、更に好ましくは60mm以上68mm以下(63.9mmなど)でも良く、底板12aの厚さは、例えば、0.5mm以上3.5mm以下、好ましくは1.0mm以上3.0mm以下、更に好ましくは1.5mm以上2.5mm以下(2.0mmなど)でも良い。
筐体12の凹部12cは、上述したように、発光部(LED)2の発光方向に沿って形成されているが、この発光部2の発光方向は、基板11や筐体12の径方向に略沿っている。
尚、検電器1における基板11と筐体12は、両面テープ13や、接着剤などで、接着されていても良く、基板11と筐体12が両面テープ13で接着されている場合、その両面テープ13の厚さも、特に限定はないが、例えば、0.01mm以上0.50mm以下、好ましくは0.05mm以上0.40mm以下、更に好ましくは0.10mm以上0.30mm以下(0.20mmなど)でも良い。
その他の検電器1の構成、作用効果及び使用態様は、第1実施形態と同様である。
ここまで述べた第2実施形態の検電器1(特に、図12〜16に示した検電器1)に対して、以下の検査1〜4にて動作確認を行った。
尚、これら検査1〜4で動作確認を行う検電回路10の数は、10個(回路1〜10)であり、検査1〜4は全て常温で行った。
検査1では、検電器1の検電回路10におけるリーク電流について動作確認(測定)を行う。
その測定方法は、図12の検電回路10におけるTP(テストピン)3とTP(テストピン)2に±2.5Vの電圧を印可し(交流を想定して、TP3に2.5V且つTP2に0V、又は、TP3に0V且つTP2に2.5Vを印可し)、検電回路10に流れるリーク電流をμAレベルで測定する。
検査1では、このようにして測定した電流が0.5μA(電圧であれば、0.5V)未満であれば、リーク電流がほぼ流れていないこととなり、合格とした。
それぞれの検電回路10(回路1〜10)の測定結果を、以下の表5に示す。
又、実際に流れる電流は、最も大きい場合でも「0.16μA」であり、最と小さい場合には「0.06μA」と非常に微小な電流しか流れていないことがわかる。
検査2では、検電器1の検電回路10において、発光部(LED)2が点灯している時に流れる電流について動作確認(測定)を行う。
その測定方法は、図12の検電回路10におけるTP(テストピン)1とTP(テストピン)2に±5.0Vの電圧を印可し(交流を想定して、TP1に5V且つTP2に0V、又は、TP1に0V且つTP2に5Vを印可し)、検電回路10におけるTP1へ流れる電流と、TP2へ流れる電流をmAレベルで測定する。
それぞれの検電回路10(回路1〜10)の測定結果を、以下の表6に示す。
又、実際に流れる電流は、最も大きい場合でも「7.25mA」であり、最と小さい場合には「7.10mA」と、チャージコンデンサ4に充電された電荷(電流)は、整流器3より交流電路R’側に流れることなく、発光部2側へ流れ込んでいることがわかる。
検査3では、検電器1の検電回路10において、発光部(LED)2の点滅についての動作確認(所定の発光周期Tで点滅するかの動作確認)を行う。
その動作確認の方法は、図12の検電回路10におけるTP(テストピン)3とTP(テストピン)2に±5.0Vの電圧を印可し(交流を想定して、TP3に5V且つTP2に0V、又は、TP3に5V且つTP2に5Vを印可し)、検電回路10における発光部2が点滅するかを目視により動作確認する。
ステップ1:チャージコンデンサ4の電極間のチャージ電圧V4が所定電圧値VS未満と比較器5が判断している間は、チャージコンデンサ4に電荷が充電される。
ステップ2:チャージ電圧V4が所定電圧値VS以上と比較器5が判断した際には、チャージコンデンサ4から放電される直流電流で発光部2を発光(点灯)させる。
ステップ3:R2=1MΩであるため、チャージコンデンサ4から直流電流が放電されることによって、チャージ電圧V4が低下していく。
ステップ4:チャージ電圧V4が所定電圧値VS未満と比較器5が判断した際には、チャージコンデンサ4からの放電が止まり、発光部2を消灯させ、ステップ1に戻る。
それぞれの検電回路10(回路1〜10)の動作確認の結果を、以下の表7に示す。
検査4では、検電器1に対して実際に高電圧の交流を印加した時における発光部(LED)2の点滅についての動作確認(所定の発光周期Tで点滅するかの動作確認)等を行う。
その動作確認の方法は、図12〜15に示した検電器1(検電回路10)を、図16に示す高電圧印可測定系20に用い、検電回路10における発光部2が点滅するかを目視により動作確認する。
尚、検査4では、高電圧印可測定系20により、検電器1への高電圧交流の印加を開始してから発光部2が点滅するまでの時間(上述したチャージコンデンサ4に電荷がチャージ完了するまでの時間)tも測定した。
それぞれの検電回路10(回路1〜10)における発光部2が点滅するまでの時間tと動作確認の結果を、以下の表8に示す。
又、発光部2が点滅するまでの時間tは、最も大きい場合でも「14Sec」であり、最と小さい場合には「11Sec」と、検電器1に高電圧の交流を印加してから(つまり、検電器1を高電圧の交流電路R’に導通してから)15Sec(15秒)足らずで、交流電路R’が通電(導通)しているかチェックできることがわかる。
図17は、本発明の第3実施形態に係る検電器を示す等価回路図である。
この第3実施形態において第1、2実施形態と最も異なるのは、検査対象である電路Rが直流電路R”である点である。
つまり、直流電路R”からの直流電流の電荷を、直接チャージコンデンサ4に充電し、比較器5がチャージコンデンサ4におけるチャージ電圧V4を所定電圧値VS以上と判断した際に、チャージコンデンサ4から放電される直流電流で発光部2を発光させることで、第1、2実施形態の検電器1と同様に、電路R(直流電路R”)に対する通電状態の検査が可能となる。
これによって、検電器1の更なる「簡素化」を図れる。
その他の検電器1の構成、作用効果及び使用態様は、第1、2実施形態と同様である。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。検電器1等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
検電器1は、通電の状態を検査(検電)する電路R(交流電路R’や直流電路R”)に後付け可能な構成としたり、又、電路Rの製造当初から取り付けていても良い。
検電器1は、一旦、電路Rに取り付けた後は、そのまま付けたままで、常に検電を行う構成としたり、検電する時だけ取り付ける構成としても良い。
2 発光部
3 整流器
4 チャージコンデンサ
5 比較器
6 ゲートコンデンサ
7 碍子
R 電路
R’ 交流電路
T 発光周期
τ 発光時間
V4 チャージ電圧
VS 所定電圧値
Claims (5)
- 交流電路(R’)の通電を検査する検電器であって、
前記交流電路(R’)が通電している状態を、光の点滅で表す発光部(2)を有し、
この発光部(2)における発光周期(T)に対する発光時間(τ)のデューティ比が、0.00001以上0.00270以下であり、
前記発光周期(T)は、100mSec以上1000mSec以下であり、
前記交流電路(R’)から交流電流を直流電流に変換する整流器(3)と、この整流器(3)からの直流電流の電荷を充電可能なチャージコンデンサ(4)と、このチャージコンデンサ(4)の電極間のチャージ電圧(V4)が所定電圧値(VS)以上かを判断する比較器(5)を有し、
この比較器(5)が前記チャージ電圧(V4)を所定電圧値(VS)以上と判断した場合の間に、前記チャージコンデンサ(4)から放電される直流電流が前記発光部(2)を発光させ、
前記発光部(2)が発光している発光時間(τ)の間は、前記チャージ電圧(V4)が下がり、
前記発光時間(τ)の経過後で発光部(2)が消灯している残りの発光周期(T)に亘っては、前記チャージコンデンサ(4)が充電されて、前記チャージ電圧(V4)が上がり、
前記整流器(3)は、ゲートコンデンサ(6)を介して、前記交流電路(R’)からの交流電流を、直流電流に変換し、
前記整流器(3)とゲートコンデンサ(6)の間に、雷サージ保護素子(Z1)と、所定の電圧を印加可能なテストピンを有していることを特徴とする検電器。 - 交流電路(R’)の通電を検査する検電器であって、
前記交流電路(R’)が通電している状態を、光の点滅で表す発光部(2)を有し、
この発光部(2)における発光周期(T)に対する発光時間(τ)のデューティ比が、0.00001以上0.00270以下であり、
前記発光周期(T)は、100mSec以上1000mSec以下であり、
前記交流電路(R’)から交流電流を直流電流に変換する整流器(3)と、この整流器(3)からの直流電流の電荷を充電可能なチャージコンデンサ(4)と、このチャージコンデンサ(4)の電極間のチャージ電圧(V4)が所定電圧値(VS)以上かを判断する比較器(5)を有し、
前記整流器(3)は、ゲートコンデンサ(6)を介して、前記交流電路(R’)からの交流電流を、直流電流に変換し、
前記整流器(3)とゲートコンデンサ(6)の間に、雷サージ保護素子(Z1)と、所定の電圧を印加可能なテストピンを有していることを特徴とする検電器。 - 前記発光時間(τ)は、5μSec以上400μSec以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の検電器。
- 前記ゲートコンデンサ(6)は、電極間に空気が存在していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の検電器。
- 前記発光部(2)は、発光ダイオードであり、
この発光ダイオードのアノード側と前記チャージコンデンサ(4)の間に、所定の電圧を印加可能なテストピンを有していることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の検電器。
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