JP6179660B2 - 3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置、及びこれを用いた3気筒エンジン用鍛造クランク軸の製造方法 - Google Patents

3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置、及びこれを用いた3気筒エンジン用鍛造クランク軸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱間鍛造により3気筒エンジン用のクランク軸(以下、「鍛造クランク軸」ともいう)を製造する技術に関する。特に、その鍛造クランク軸の製造過程において、鍛造クランク軸の最終形状を造形する仕上打ちに供する仕上打ち用素材を成形するための成形装置、及びその成形装置を用いた予備成形工程を含む3気筒エンジン用鍛造クランク軸の製造方法に関する。
乗用車を始め、自動二輪車、農業機械等のエンジンにおいては、ピストンの往復運動を回転運動に変換して動力を取り出すためにクランク軸を必要とする。クランク軸は、鍛造によって製造されるものと、鋳造によって製造されるものとに大別されるが、強度と剛性に優位な前者の鍛造クランク軸が多用される。近年では、燃費性能の向上と排ガス規制への対応のため、エンジン排気量のダウンサイジング化が加速しており、3気筒エンジンが脚光を浴びている。
一般に、3気筒エンジン用の鍛造クランク軸は、断面が丸形又は角形で全長にわたって断面積が一定のビレットを原材料とし、予備成形、型鍛造、バリ抜き及び整形の各工程を順に経て製造される。予備成形工程は、ロール成形と曲げ打ちの各工程を含み、型鍛造工程は、荒打ちと仕上打ちの各工程を含む。
図1は、従来の一般的な3気筒エンジン用鍛造クランク軸の製造工程を説明するための模式図である。図1に例示するクランク軸1は、3気筒エンジンに搭載されるものであり、4つのジャーナル部J1〜J4、3つのピン部P1〜P3、フロント部Fr、フランジ部Fl、及びジャーナル部J1〜J4とピン部P1〜P3をそれぞれつなぐ6枚のクランクアーム部(以下、単に「アーム部」ともいう)A1〜A6から構成される。このクランク軸1は、6枚のアーム部A1〜A6のうち、両端の第1及び第3ピン部P1、P3につながる第1及び第2アーム部A1、A2と第5及び第6アーム部A5、A6にバランスウエイトを有する3気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸である。中央の第2ピン部P2につながる第3及び第4アーム部A3、A4は、バランスウエイトを有しないことから、小判形の形状である。以下、ジャーナル部J1〜J4、ピン部P1〜P3、及びアーム部A1〜A6それぞれを総称するとき、その符号は、ジャーナル部で「J」、ピン部で「P」、アーム部で「A」と記す。また、バランスウエイトを有するアーム部は、バランスウエイトを有しないアーム部と区別する場合、ウエイト付きアーム部ともいう。一方、バランスウエイトを有しないアーム部は、ウエイト無しアーム部、又は小判形アーム部ともいう。
図1に示す製造方法では、以下のようにして鍛造クランク軸1が製造される。先ず、予め所定の長さに切断した図1(a)に示すビレット2を加熱炉によって加熱した後、ロール成形を行う。ロール成形工程では、例えば孔型ロールによりビレット2を圧延して絞りつつその体積を長手方向に配分し、中間素材となるロール荒地103を成形する(図1(b)参照)。次に、曲げ打ち工程では、ロール成形によって得られたロール荒地103を長手方向と直角な方向から部分的にプレス圧下してその体積を配分し、更なる中間素材となる曲げ荒地104を成形する(図1(c)参照)。
続いて、荒打ち工程では、曲げ打ちによって得られた曲げ荒地104を上下に一対の金型を用いてプレス鍛造し、クランク軸(最終鍛造製品)のおおよその形状が造形された鍛造材105を成形する(図1(d)参照)。更に、仕上打ち工程では、荒打ちによって得られた荒鍛造材105が供され、荒鍛造材105を上下に一対の金型を用いてプレス鍛造し、クランク軸と合致する形状が造形された鍛造材106を成形する(図1(e)参照)。これら荒打ち及び仕上打ちのとき、互いに対向する金型の型割面の間から、余材がバリとして流出する。このため、荒鍛造材105及び仕上鍛造材106には、造形されたクランク軸の周囲にそれぞれバリ105a、106aが大きく付いている。
バリ抜き工程では、仕上打ちによって得られたバリ106a付きの仕上鍛造材106を上下から金型で保持しつつ、刃物型によってバリ106aを打ち抜き除去する。これにより、図1(f)に示すように、鍛造クランク軸1が得られる。整形工程では、バリを除去した鍛造クランク軸1の要所(例えば、ジャーナル部J、ピン部P、フロント部Fr、フランジ部Fl等といった軸部、場合によってはアーム部A)を上下から金型で僅かにプレスし、所望の寸法形状に矯正する。こうして、鍛造クランク軸1が製造される。
なお、ピン部Pの配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程の後に、捩り工程が追加される。
ところで、このような製造方法では、製品とはならない不要なバリが大量に発生することから、歩留りの低下は否めない。このため、鍛造クランク軸を製造する上では、従来から、バリの発生を極力抑え、歩留りの向上を実現することが至上の課題となっている。この課題に対応する従来の技術としては下記のものがある。
例えば、特開2008−155275号公報(特許文献1)及び特開2011−161496号公報(特許文献2)は、ジャーナル部及びピン部が造形され、アーム部もそれなりに造形されたクランク軸を製造する技術を開示する。特許文献1の技術では、クランク軸のジャーナル部とピン部に相当する部分が個々にくびれた段付きの丸棒を素材とする。そして、ピン部相当部分を間に挟む一対のジャーナル部相当部分をそれぞれダイスで把持する。この状態から、両ダイスを軸方向に接近させて丸棒素材に圧縮変形を与える。この変形付与とともに、ピン部相当部分に軸方向と直角な方向にポンチを押し付けてピン部相当部分を偏芯させる。この動作をすべてのクランクスローにわたって順次繰り返す。
特許文献2の技術では、単なる丸棒を素材とする。そして、その丸棒素材の両端部のうちの一方を固定型で、その他方を可動型でそれぞれ保持するとともに、丸棒素材のジャーナル部相当部分をジャーナル型で、ピン部相当部分をピン型でそれぞれ保持する。この状態から、可動型、ジャーナル型及びピン型を固定型に向けて軸方向に移動させて丸棒素材に圧縮変形を与える。この変形付与と同時に、ピン型を軸方向と直角な偏芯方向に移動させてピン部相当部分を偏芯させる。
特許文献1及び2のいずれの技術でも、バリが発生しないことから、歩留りの著しい向上が期待できる。
特開2008−155275号公報 特開2011−161496号公報
上述のとおり、前記特許文献1及び2に開示される技術は、丸棒の素材をいきなりクランク軸形状に成形するものである。しかし、鍛造クランク軸は高強度と高剛性が要求されるので、その素材は変形し難い。このため、実際に製造できるクランク軸は、アーム部の厚みが厚くて、ピン部の偏芯量も小さくならざるを得ず、比較的緩やかなクランク軸形状に限定される。しかも、アーム部は、全てにバランスウエイトがない単純な形状のもの、すなわち小判形アーム部に限られる。
また、前記特許文献1及び2に開示される技術では、アーム部は、丸棒素材の軸方向の圧縮変形に伴う軸方向と直角な方向への自由膨張と、丸棒素材のピン部相当部分の偏芯移動に伴う引張変形によって造形される。このため、アーム部の輪郭形状は不定形になりがちであり、寸法精度を確保できない。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、3気筒エンジン用の鍛造クランク軸を歩留り良く、しかも、その形状を問わずに高い寸法精度で製造するために、鍛造クランク軸の製造過程において、その最終形状を造形する仕上打ちを行うことを前提とし、その仕上打ちに供する仕上打ち用素材の成形に用いる成形装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、3気筒エンジン用鍛造クランク軸を歩留り良く、しかも、その形状を問わずに高い寸法精度で製造することができる製造方法を提供することにある。
本発明の実施形態による成形装置は、3気筒エンジン用の鍛造クランク軸を製造する過程で、鍛造クランク軸の最終形状を造形する仕上打ちに供する仕上打ち用素材を、粗素材から成形する装置である。
鍛造クランク軸は、中央の第2ピン部につながる第3及び第4クランクアーム部にバランスウエイトを有さず、残りのクランクアーム部にバランスウエイトを有する。
粗素材は、
鍛造クランク軸の各ジャーナル部と軸方向の長さが同じ粗ジャーナル部と、
鍛造クランク軸の各ピン部と軸方向の長さが同じ粗ピン部と、
鍛造クランク軸の第3及び第4クランクアーム部に対応して当該クランクアーム部と軸方向の厚みが同じ第3及び第4粗クランクアーム部と、
鍛造クランク軸のバランスウエイトを有するウエイト付きクランクアーム部に対応して当該クランクアーム部よりも軸方向の厚みが厚いウエイト付き粗クランクアーム部と、を有する。
本実施形態による3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置は、更に下記(1)又は(2)の構成を備える。
(1)粗素材の粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が鍛造クランク軸のピン部の偏芯量よりも小さい。
成形装置は、下記の基準ピン型と、可動ピン型と、固定ジャーナル型と、可動ジャーナル型と、を備える。
基準ピン型は、第2粗ピン部の位置に配置され、当該粗ピン部に宛がわれるとともに、当該粗ピン部につながる第3及び第4粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、軸方向の移動を拘束され、軸方向と直角な方向に移動する。
可動ピン型は、両端の第1及び第3粗ピン部それぞれの位置に配置され、当該粗ピン部それぞれに宛がわれるとともに、各々が、当該粗ピン部につながる粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、基準ピン型に向けた軸方向及び軸方向と直角な方向に移動する。
固定ジャーナル型は、第3及び第4粗クランクアーム部につながる粗ジャーナル部の位置に配置され、当該粗ジャーナル部を個々に軸方向と直角な方向から挟み込んで保持するとともに、各々が第3及び第4粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、軸方向の移動を拘束される。
可動ジャーナル型は、第3及び第4粗クランクアーム部につながる粗ジャーナル部以外の粗ジャーナル部それぞれの位置に配置され、当該粗ジャーナル部を個々に軸方向と直角な方向から挟み込んで保持するとともに、各々が、当該粗ジャーナル部につながる粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、基準ピン型に向けて軸方向に移動する。
当該成形装置は、粗ジャーナル部を固定ジャーナル型及び可動ジャーナル型で挟み込んで保持し、粗ピン部に基準ピン型及び可動ピン型を宛がった状態から、可動ジャーナル型を軸方向に移動させるとともに、可動ピン型を軸方向に移動させつつ軸方向と直角な方向に移動させると同時に、基準ピン型を軸方向と直角な方向に移動させる。これにより、ウエイト付き粗クランクアーム部を軸方向に挟圧してその厚みを鍛造クランク軸のウエイト付きクランクアーム部の厚みまで減少させるとともに、粗ピン部を軸方向と直角な方向に押圧してその偏芯量を鍛造クランク軸のピン部の偏芯量まで増加させる。
上記(1)の成形装置において、前記基準ピン型及び前記可動ピン型は、前記粗ピン部それぞれにおける前記基準ピン型及び前記可動ピン型が宛がわれた側とは反対の外側に配置された補助ピン型を含んでおり、前記可動ジャーナル型、並びに前記可動ピン型及びこの可動ピン型と対を成す前記補助ピン型の軸方向への移動に伴って、前記可動ジャーナル型と、前記基準ピン型、前記可動ピン型及び前記補助ピン型との隙間が閉ざされた後に、押圧変形する前記粗ピン部が前記補助ピン型に到達するように、前記可動ピン型の軸方向と直角な方向への移動が制御される構成とすることが好ましい。
この成形装置の場合、前記可動ピン型の軸方向と直角な方向への総移動距離を100%としたとき、当該可動ピン型に隣接する前記可動ジャーナル型の軸方向への移動が完了した時点で、当該可動ピン型の軸方向と直角な方向への移動距離が総移動距離の90%以下であり、この後に当該可動ピン型の軸方向と直角な方向への移動が完了する構成とすることが好ましい。
また、上記(1)の成形装置において、前記基準ピン型、前記可動ピン型、前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型は、軸方向と直角な方向に沿った方向に圧下が可能なプレス機に取り付けられており、プレス機の圧下に伴って、前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型が前記粗ジャーナル部を挟み込んで保持するとともに、前記基準ピン型及び前記可動ピン型が前記粗ピン部に宛がわれ、そのままプレス機の圧下を継続するのに伴って、前記可動ジャーナル型が個々に楔機構により軸方向に移動すると同時に、この可動ジャーナル型の移動に伴って、前記可動ピン型が個々に軸方向に移動する構成とすることができる。
この成形装置の場合、前記楔機構の楔角度が前記可動ジャーナル型のそれぞれで互いに異なることが好ましい。更に、前記基準ピン型及び前記可動ピン型が油圧シリンダに連結されており、この油圧シリンダの駆動により軸方向と直角な方向に移動する構成とすることが好ましい。
(2)粗素材の両端の第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が互いに反対方向で鍛造クランク軸のピン部の偏芯量の√3/2よりも小さい。粗素材の中央の第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量がゼロ、又は第1及び第3粗ピン部の偏芯方向と直交する方向で鍛造クランク軸のピン部の偏芯量と同じである。
成形装置は、下記の基準ピン型と、可動ピン型と、ジャーナル型と、を備える。
基準ピン型は、第2粗ピン部の位置に配置され、当該粗ピン部に宛がわれるとともに、当該粗ピン部につながる第3及び第4粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、軸方向の移動を拘束される。
可動ピン型は、第1及び第3粗ピン部それぞれの位置に配置され、当該粗ピン部それぞれに宛がわれるとともに、各々が、当該粗ピン部につながる粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、基準ピン型に向けた軸方向及び軸方向と直角な方向に移動する。
固定ジャーナル型は、第3及び第4粗クランクアーム部につながる粗ジャーナル部の位置に配置され、当該粗ジャーナル部を個々に軸方向と直角な方向から挟み込んで保持するとともに、各々が第3及び第4粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、軸方向の移動を拘束される。
可動ジャーナル型は、第3及び第4粗クランクアーム部につながる粗ジャーナル部以外の粗ジャーナル部それぞれの位置に配置され、当該粗ジャーナル部を個々に軸方向と直角な方向から挟み込んで保持するとともに、各々が、当該粗ジャーナル部につながる粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、基準ピン型に向けて軸方向に移動する。
当該成形装置は、粗ジャーナル部を固定ジャーナル型及び可動ジャーナル型で挟み込んで保持し、粗ピン部に基準ピン型及び可動ピン型を宛がった状態から、可動ジャーナル型を軸方向に移動させるとともに、可動ピン型を軸方向に移動させつつ軸方向と直角な方向に移動させる。これにより、ウエイト付き粗クランクアーム部を軸方向に挟圧してその厚みを鍛造クランク軸のウエイト付きクランクアーム部の厚みまで減少させるとともに、第1及び第3粗ピン部を軸方向と直角な方向で互いに反対方向に押圧してその偏芯量を鍛造クランク軸のピン部の偏芯量の√3/2まで増加させる。
本発明の実施形態による製造方法は、3気筒エンジン用の鍛造クランク軸を製造する方法であり、下記(3)〜(6)のいずれか1つの構成を備える。
(3)製造方法は、下記の第1予備成形工程、第2予備成形工程、及び仕上打ち工程、の一連の工程を含む。
第1予備成形工程は、上記(1)の成形装置に供する粗素材を造形する。粗素材の両端の第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が互いに反対方向で鍛造クランク軸のピン部の偏芯量の√3/2と同じである。粗素材の中央の第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が第1及び第3粗ピン部の偏芯方向と直交する方向で鍛造クランク軸のピン部の偏芯量よりも小さい。
第2予備成形工程は、上記(1)の成形装置を用い、仕上打ち用素材を成形する。仕上打ち用素材は、ピン部の配置角度を含め鍛造クランク軸の最終形状が造形される。
仕上打ち工程は、前記仕上打ち用素材を仕上打ちし、ピン部の配置角度を含め鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上材を成形する。
(4)製造方法は、下記の第1予備成形工程、第2予備成形工程、仕上打ち工程、及び捩り工程、の一連の工程を含む。
第1予備成形工程は、上記(1)の成形装置に供する粗素材を造形する。粗素材の両端の第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が同じ方向で鍛造クランク軸のピン部の偏芯量よりも小さい。粗素材の中央の第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が第1及び第3粗ピン部の偏芯方向と反対方向で鍛造クランク軸のピン部の偏芯量よりも小さい。
第2予備成形工程は、上記(1)の成形装置を用い、仕上打ち用素材を成形する。仕上打ち用素材は、ピン部の配置角度を除き鍛造クランク軸の最終形状が造形される。
仕上打ち工程は、前記仕上打ち用素材を仕上打ちし、ピン部の配置角度を除き鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上材を成形する。
捩り工程は、前記仕上材のピン部の配置角度を鍛造クランク軸のピン部の配置角度に調整する。
(5)製造方法は、下記の第1予備成形工程、第2予備成形工程、及び仕上打ち工程、の一連の工程を含む。
第1予備成形工程は、上記(2)の成形装置に供する粗素材を造形する。粗素材の両端の第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が互いに反対方向で鍛造クランク軸のピン部の偏芯量の√3/2よりも小さい。粗素材の中央の第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量がゼロである。
第2予備成形工程は、上記(2)の成形装置を用い、仕上打ち用素材を成形する。仕上打ち用素材の両端の第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が互いに反対方向で鍛造クランク軸のピン部の偏芯量の√3/2と同じである。仕上打ち用素材の中央の第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が前記粗素材と同じままである。
仕上打ち工程は、前記仕上打ち用素材を両端の第1及び第3粗ピン部を水平姿勢にした状態で仕上打ちして、全ての粗ピン部を軸方向と直角な方向に押圧し、ピン部の配置角度を含め鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上材を成形する。
(6)製造方法は、下記の第1予備成形工程、第2予備成形工程、及び仕上打ち工程、の一連の工程を含む。
第1予備成形工程は、上記(2)の成形装置に供する粗素材を造形する。粗素材の両端の第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が互いに反対方向で鍛造クランク軸のピン部の偏芯量の√3/2よりも小さい。粗素材の中央の第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が第1及び第3粗ピン部の偏芯方向と直交する方向で鍛造クランク軸のピン部の偏芯量と同じである。
第2予備成形工程は、上記(2)の成形装置を用い、仕上打ち用素材を成形する。仕上打ち用素材の両端の第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が互いに反対方向で鍛造クランク軸のピン部の偏芯量の√3/2と同じである。仕上打ち用素材の中央の第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が前記粗素材と同じままである。
仕上打ち工程は、前記仕上打ち用素材を両端の第1及び第3粗ピン部を水平姿勢にした状態で仕上打ちして、第1及び第3粗ピン部を軸方向と直角な方向に押圧し、ピン部の配置角度を含め鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上材を成形する。
本実施形態の成形装置、及びこれを用いた予備成形工程を含む製造方法によれば、バリのない粗素材から、ウエイト付きアーム部であってもアーム部の厚みが薄い3気筒エンジン用鍛造クランク軸の形状と概ね一致した形状で、バリのない仕上打ち用素材を成形することができる。このようなバリなしの仕上打ち用素材を仕上打ちすれば、多少のバリは発生するが、アーム部の輪郭形状を含めて鍛造クランク軸の最終形状を造形することができる。したがって、3気筒エンジン用の鍛造クランク軸を歩留り良く、しかも、その形状を問わずに高い寸法精度で製造することが可能になる。
図1は、従来の一般的な3気筒エンジン用鍛造クランク軸の製造工程を説明するための模式図である。 図2は、第1実施形態の製造方法において、成形装置で被成形対象とする粗素材、成形された仕上打ち用素材、及び仕上打ち後の仕上材の各形状を模式的に示す図である。 図3は、第1実施形態における鍛造クランク軸の製造工程を示す模式図である。 図4は、第1実施形態における成形装置の構成を示す縦断面図である。 図5Aは、図4に示す第1実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図であり、成形初期の状態を示す。 図5Bは、図4に示す第1実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図であり、成形完了時の状態を示す。 図6は、成形装置による仕上打ち用素材の成形で噛み出しが発生する状況を説明するための図である。 図7は、成形装置による仕上打ち用素材の成形で噛み出しの対応策を施した場合の状況を説明するための図である。 図8は、第2実施形態の製造方法において、成形装置で被成形対象とする粗素材、成形された仕上打ち用素材、仕上打ち後の仕上材、及び捩り成形後の捩り仕上材の各形状を模式的に示す図である。 図9は、第2実施形態における鍛造クランク軸の製造工程を示す模式図である。 図10は、第2実施形態における成形装置の構成を示す縦断面図である。 図11Aは、図10に示す第2実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図であり、成形初期の状態を示す。 図11Bは、図10に示す第2実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図であり、成形完了時の状態を示す。 図12は、第3実施形態の製造方法において、成形装置で被成形対象とする粗素材、成形された仕上打ち用素材、及び仕上打ち後の仕上材の各形状を模式的に示す図である。 図13は、第3実施形態における鍛造クランク軸の製造工程を示す模式図である。 図14は、第3実施形態における成形装置の構成を示す縦断面図である。 図15Aは、図14に示す第3実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図であり、成形初期の状態を示す。 図15Bは、図14に示す第3実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図であり、成形完了時の状態を示す。 図16は、第4実施形態の製造方法において、成形装置で被成形対象とする粗素材、成形された仕上打ち用素材、及び仕上打ち後の仕上材の各形状を模式的に示す図である。 図17は、第4実施形態における鍛造クランク軸の製造工程を示す模式図である。
本発明では、3気筒エンジン用の鍛造クランク軸を製造するに際し、その製造過程で仕上打ちを行うことを前提とする。本発明の成形装置は、仕上打ちの前工程で、その仕上打ちに供する仕上打ち用素材を粗素材から成形するために用いられる。以下に、本発明の3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置、及びこれを用いた予備成形工程を含む3気筒エンジン用鍛造クランク軸の製造方法について、その実施形態を詳述する。
1.第1実施形態
1−1.粗素材、仕上打ち用素材、及び仕上材
図2は、第1実施形態の製造方法において、成形装置で被成形対象とする粗素材、成形された仕上打ち用素材、及び仕上打ち後の仕上材の各形状を模式的に示す図である。図2には、3気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸を製造する場合の状況を示す。また、図2には、各段階の形状の理解を容易にするため、外観を示す平面図と、軸方向に沿って見たときのピン部の配置図を並べて示す。
図2に示すように、第1実施形態の粗素材4は、図1(f)に示す3気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸1の形状に依拠しつつも全体として粗いクランク軸形状である。粗素材4は、4つの粗ジャーナル部J1a〜J4a、3つの粗ピン部P1a〜P3a、粗フロント部Fra、粗フランジ部Fla、及び粗ジャーナル部J1a〜J4aと粗ピン部P1a〜P3aをそれぞれつなぐ6枚の粗クランクアーム部(以下、単に「粗アーム部」ともいう)A1a〜A6aから構成される。中央の第2粗ピン部P2aにつながる第3及び第4粗アーム部A3a、A4aは、バランスウエイトを有しないことから、小判形の形状である。粗素材4にはバリはついていない。以下、粗素材4の粗ジャーナル部J1a〜J4a、粗ピン部P1a〜P3a、及び粗アーム部A1a〜A6aそれぞれを総称するとき、その符号は、粗ジャーナル部で「Ja」、粗ピン部で「Pa」、粗アーム部で「Aa」と記す。また、バランスウエイトを有する第1、第2、第5及び第6粗アーム部A1a、A2a、A5a、A6aは、ウエイト付き粗アーム部Aaともいう。一方、バランスウエイトを有しない第3及び第4粗アーム部A3a、A4aは、ウエイト無し粗アーム部Aa、又は小判形粗アーム部Aaともいう。
第1実施形態の仕上打ち用素材5は、上記の粗素材4から、詳細は後述する成形装置によって成形されるものである。仕上打ち用素材5は、4つの粗ジャーナル部J1b〜J4b、3つの粗ピン部P1b〜P3b、粗フロント部Frb、粗フランジ部Flb、及び粗ジャーナル部J1b〜J4bと粗ピン部P1b〜P3bをそれぞれつなぐ6枚の粗クランクアーム部(以下、単に「粗アーム部」ともいう)A1b〜A6bから構成される。中央の第2粗ピン部P2bにつながる第3及び第4粗アーム部A3b、A4bは、バランスウエイトを有しないことから、小判形の形状である。仕上打ち用素材5にはバリはついていない。以下、仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部J1b〜J4b、粗ピン部P1b〜P3b、及び粗アーム部A1b〜A6bそれぞれを総称するとき、その符号は、粗ジャーナル部で「Jb」、粗ピン部で「Pb」、粗アーム部で「Ab」と記す。また、バランスウエイトを有する第1、第2、第5及び第6粗アーム部A1b、A2b、A5b、A6bは、ウエイト付き粗アーム部Abともいう。一方、バランスウエイトを有しない第3及び第4粗アーム部A3b、A4bは、ウエイト無し粗アーム部Ab、又は小判形粗アーム部Abともいう。
第1実施形態の仕上材6は、上記の仕上打ち用素材5を仕上打ちして得られるものである。仕上材6は、4つのジャーナル部J1c〜J4c、3つのピン部P1c〜P3c、フロント部Frc、フランジ部Flc、及びジャーナル部J1c〜J4cとピン部P1c〜P3cをそれぞれつなぐ6枚のクランクアーム部(以下、単に「アーム部」ともいう)A1c〜A6cから構成される。中央の第2ピン部P2cにつながる第3及び第4アーム部A3c、A4cは、バランスウエイトを有しないことから、小判形の形状である。以下、仕上材6のジャーナル部J1c〜J4c、ピン部P1c〜P3c、及びアーム部A1c〜A6cそれぞれを総称するとき、その符号は、ジャーナル部で「Jc」、ピン部で「Pc」、アーム部で「Ac」と記す。また、バランスウエイトを有する第1、第2、第5及び第6アーム部A1c、A2c、A5c、A6cは、ウエイト付きアーム部Acともいう。一方、バランスウエイトを有しない第3及び第4アーム部A3c、A4cは、ウエイト無しアーム部Ac、又は小判形アーム部Acともいう。
仕上材6の形状は、ピン部Pcの配置角度を含めクランク軸(最終鍛造製品)の形状と一致し、図1(f)に示す鍛造クランク軸1に相当する。すなわち、仕上材6のジャーナル部Jcは、最終形状の鍛造クランク軸のジャーナル部Jと軸方向の長さが同じである。仕上材6のピン部Pcは、最終形状の鍛造クランク軸のピン部Pと軸方向の長さが同じである。更に、仕上材6のピン部Pcは、最終形状の鍛造クランク軸のピン部Pに対し、軸方向と直角な方向の偏芯量が同じで、配置角度も同じ120°であり、正規の位置に配置されている。仕上材6のアーム部Acは、最終形状の鍛造クランク軸のアーム部Aと軸方向の厚みが同じである。
仕上打ち用素材5の形状は、仕上材6の形状と概ね一致し、丁度、図1(d)に示す荒鍛造材105のバリ105aを除いた部分に相当する。すなわち、仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jbは、最終形状の鍛造クランク軸のジャーナル部J(仕上材6のジャーナル部Jc)と軸方向の長さが同じである。仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbは、最終形状の鍛造クランク軸のピン部P(仕上材6のピン部Pc)と軸方向の長さが同じである。更に、仕上打ち用素材5のピン部Pbは、最終形状の鍛造クランク軸のピン部Pに対し、軸方向と直角な方向の偏芯量が同じで、配置角度も同じ120°であり、正規の位置に配置されている。仕上打ち用素材5の粗アーム部Abは、最終形状の鍛造クランク軸のアーム部A(仕上材6のアーム部Ac)と軸方向の厚みが同じである。
これに対し、粗素材4の粗ジャーナル部Jaは、仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jb、すなわち鍛造クランク軸のジャーナル部J(仕上材6のジャーナル部Jc)と軸方向の長さが同じである。粗素材4の粗ピン部Paは、仕上打ち用素材5の粗ピン部Pb、すなわち鍛造クランク軸のピン部P(仕上材6のピン部Pc)と軸方向の長さが同じであるが、偏芯量が仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbよりも小さい。具体的には、粗素材4の粗ピン部Paのうち、両端の第1及び第3粗ピン部P1a、P3aの偏芯量は、互いに反対方向で鍛造クランク軸のピン部Pの偏芯量の√3/2と同じである。一方、中央の第2粗ピン部P2aの偏芯量は、第1及び第3粗ピン部P1a、P3aの偏芯方向と直交する方向で鍛造クランク軸のピン部Pの偏芯量の1/2程度である。
粗素材4の粗アーム部Aaのうち、ウエイト付き粗アーム部Aa(第1、第2、第5及び第6粗アーム部A1a、A2a、A5a、A6a)は、各々に対応する仕上打ち用素材5のウエイト付き粗アーム部Ab、すなわち鍛造クランク軸のウエイト付きアーム部A(仕上材6のウエイト付きアーム部Ac)よりも軸方向の厚みが厚い。一方、粗素材4の小判形粗アーム部Aa(第3及び第4粗アーム部A3a、A4a)は、各々に対応する仕上打ち用素材5の小判形粗アーム部Ab、すなわち鍛造クランク軸の小判形アーム部A(仕上材6の小判形アーム部Ac)と軸方向の厚みが同じである。要するに、粗素材4は、仕上打ち用素材5(最終形状の鍛造クランク軸及び仕上材6)と比較して、ウエイト付き粗アーム部Aaの厚みが厚い分だけ全長が長くて、粗ピン部Paの偏芯量が小さい。このように、粗素材4は、比較的緩やかなクランク軸形状となっている。
ただし、厳密に言えば、仕上打ち用素材5は、最終形状の鍛造クランク軸及び仕上材6に対し、粗アーム部Abの厚みが僅かに薄く、その分だけ粗ジャーナル部Jb及び粗ピン部Pbの軸方向長さが僅かに大きい。仕上打ちの際に仕上打ち用素材5を金型内に収容し易くし、かじり疵の発生を防止するためである。これに応じて、粗素材4も、最終形状の鍛造クランク軸及び仕上材6に対し、粗ジャーナル部Ja及び粗ピン部Paの軸方向長さが僅かに大きい。
1−2.鍛造クランク軸の製造工程
図3は、第1実施形態における鍛造クランク軸の製造工程を示す模式図である。図3に示すように、第1実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形、第2予備成形、仕上打ちの各工程を含み、必要に応じて、バリ抜き、整形の各工程を含む。
第1予備成形工程は、上記の粗素材4を造形する工程である。第1予備成形工程では、断面が丸形の丸ビレットを原材料とし、この丸ビレットを誘導加熱炉又はガス雰囲気加熱炉によって加熱した後に予備成形加工を施す。例えば、孔型ロールにより丸ビレットを絞り圧延してその体積を長手方向に配分するロール成形を行い、これによって得られたロール荒地を長手方向と直角な方向から部分的にプレス圧下してその体積を配分する曲げ打ちを繰り返し行う。これにより、粗素材4を造形することができる。そのほかに、前記特許文献1及び2に開示される技術を用いても、粗素材4の造形は可能である。また、クロスロール、閉塞鍛造等を採用してもよい。
第2予備成形工程は、上記の仕上げ打ち用素材5を成形する工程である。第2予備成形工程では、下記の図4に示す成形装置を用いて加工を行う。これにより、上記の粗素材4から、ピン部の配置角度を含め鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上げ打ち用素材5を成形することができる。
仕上打ち工程は、上記の仕上材6を得る工程である。仕上打ち工程では、上記の仕上打ち用素材5が供され、上下に一対の金型を用いてプレス鍛造する。これにより、ピン部の配置角度を含め鍛造クランク軸の最終形状が造形された、クランク軸と合致する形状の仕上材6を得ることができる。
1−3.仕上打ち用素材の成形装置
図4は、第1実施形態における成形装置の構成を示す縦断面図である。図4には、3気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸を製造する場合の成形装置、すなわち前記図2に示す粗素材4から仕上打ち用素材5を成形する成形装置を例示する。なお、図4に示す縦断面の中で、第1及び第3粗ピン部の部分は、実際には、いずれか一方が紙面の手前に位置し他方が奥に位置するが、便宜上、同一面上に図示する。
図4に示すように、成形装置は、プレス機を利用したものであり、基礎となる固定の下側ハードプレート20と、プレス機のラムの駆動に伴って下降する上側ハードプレート21を有する。下側ハードプレート20の真上には、弾性部材24を介して下側金型支持台22が弾性的に支持される。この下側金型支持台22は、上下方向に移動が許容される。弾性部材24としては、皿ばね、コイルばね、空気ばね等を適用することができ、そのほかにも油圧ばねシステムを適用することができる。上側ハードプレート21の真下には、支柱25を介して上側金型支持台23が固定される。この上側金型支持台23は、プレス機(ラム)の駆動により上側ハードプレート21と一体で下降する。
図4に示す成形装置では、粗素材4を、第1及び第3粗ピン部P1a、P3aを水平に配置し、第2粗ピン部P2aを鉛直方向の下向きに配置した姿勢で金型内に収容する。この姿勢の粗素材4を仕上打ち用素材に成形する。このため、下側金型支持台22と上側金型支持台23には、粗素材4の軸方向に沿って分割され、それぞれ上下で対を成す固定ジャーナル型9U、9B、可動ジャーナル型10U、10B、並びに基準ピン型11及び補助ピン型13、並びに可動ピン型12及び補助ピン型13が取り付けられる。
上下で対を成す基準ピン型11と補助ピン型13は、粗素材4における粗ピン部Paのうちの基準となる中央の第2粗ピン部P2aの位置に配置され、上下のそれぞれが上側金型支持台23、下側金型支持台22に取り付けられる。第1実施形態の基準ピン型11は、第2粗ピン部P2aの正規の位置となる側とは反対側に配置される。他方の補助ピン型13は、その第2粗ピン部P2aの正規の位置となる側の外側に配置される。例えば、第2粗ピン部P2aの位置では、第2粗ピン部P2aの配置が下側であってその正規の位置も下側である。このため、基準ピン型11が上側金型支持台23に取り付けられるとともに、これと対を成す補助ピン型13が下側金型支持台22に取り付けられる。
特に、基準ピン型11と補助ピン型13は、上下のいずれも、上側金型支持台23及び下側金型支持台22の上で、軸方向への移動が拘束される。基準ピン型11に限っては、軸方向とは直角な方向であって、粗ピン部Paの正規の位置に向く方向(図4では下向きの方向)に移動が許容される。
基準ピン型11及び補助ピン型13には、それぞれ、半円筒状の彫り込み部11a、13aが形成されている。彫り込み部11a、13aの長さは、仕上打ち用素材5における第2粗ピン部P2bの軸方向の長さと同じである。
基準ピン型11は、プレス機の駆動に伴う上側金型支持台23の下降、すなわちプレス機の圧下により、彫り込み部11aが第2粗ピン部P2aに宛がわれる。これと同時に、基準ピン型11の両側面が、第2粗ピン部P2aにつながる第3及び第4粗アーム部A3a、A4aにおける第2粗ピン部P2a側の側面に接触する。
上下で対を成す可動ピン型12と補助ピン型13は、第1及び第3粗ピン部P1a、P3aそれぞれの位置に配置され、上下のそれぞれが上側金型支持台23及び下側金型支持台22に取り付けられる。第1実施形態の可動ピン型12は、粗ピン部Paの正規の位置となる側とは反対側に配置される。他方の補助ピン型13は、その粗ピン部Paの正規の位置となる側の外側に配置される。例えば、第1粗ピン部P1aの位置では、第1粗ピン部P1aの正規の位置が上側である。このため、可動ピン型12が下側金型支持台22に取り付けられるとともに、これと対を成す補助ピン型13が上側金型支持台23に取り付けられる。
特に、可動ピン型12と補助ピン型13は、上下のいずれも、下側金型支持台22及び上側金型支持台23の上で、基準ピン型11に向けての軸方向に移動が許容される。可動ピン型12に限っては、軸方向とは直角な方向であって、粗ピン部Paの正規の位置に向く方向(図4では上向きの方向)に移動が許容される。
可動ピン型12及び補助ピン型13には、それぞれ、半円筒状の彫り込み部12a、13aが形成されている。彫り込み部12a、13aの長さは、仕上打ち用素材5における各粗ピン部Pbの軸方向の長さと同じである。
固定ジャーナル型9U、9Bは、粗素材4における小判形粗アーム部Aa(第3及び第4粗アーム部A3a、A4a)につながる粗ジャーナル部Ja(第2及び第3粗ジャーナル部J2a、J3a)の位置に配置され、上下のそれぞれが上側金型支持台23及び下側金型支持台22に取り付けられる。特に、固定ジャーナル型9U、9Bは、上下のいずれも、上側金型支持台23及び下側金型支持台22に完全に固定され、軸方向への移動が拘束される。
固定ジャーナル型9U、9Bには、それぞれ、半円筒状の第1彫り込み部9Ua、9Baと、この第1彫り込み部9Ua、9Baの前後(図4では左右)に隣接して第2彫り込み部9Ub、9Bb及び第3彫り込み部9Uc、9Bcが形成されている。第1彫り込み部9Ua、9Baの長さは、仕上打ち用素材5における粗ジャーナル部Jb(第2及び第3粗ジャーナル部J2b、J3b)の軸方向の長さと同じである。第2彫り込み部9Ub、9Bbの長さは、仕上打ち用素材5におけるその粗ジャーナル部Jbにつながるウエイト付き粗アーム部Ab(第2及び第5粗アーム部A2b、A5b)の軸方向の厚みと同じである。第3彫り込み部9Uc、9Bcの長さは、仕上打ち用素材5におけるその粗ジャーナル部Jbにつながる小判形粗アーム部Ab(第3及び第4粗アーム部A3b、A4b)の軸方向の厚みと同じである。
固定ジャーナル型9U、9Bは、プレス機の圧下により、第1彫り込み部9Ua、9Baで各々に対応する各粗ジャーナル部Jaを個々に上下から挟み込んで保持する。これと同時に、固定ジャーナル型9U、9Bは、第2彫り込み部9Ub、9Bb及び第3彫り込み部9Uc、9Bcの第1彫り込み部9Ua、9Ba側の面が、各々に対応する各粗ジャーナル部Jaにつながるウエイト付き粗アーム部Aa及び小判形粗アーム部Aaにおける各粗ジャーナル部Ja側の側面に接触する。
可動ジャーナル型10U、10Bは、粗素材4における小判形粗アーム部Aa(第3及び第4粗アーム部A3a、A4a)につながる粗ジャーナル部Ja(第2及び第3粗ジャーナル部J2a、J3a)以外の粗ジャーナル部Ja(第1及び第4粗ジャーナル部J1a、J4a)の位置に配置され、上下のそれぞれが上側金型支持台23及び下側金型支持台22に取り付けられる。特に、可動ジャーナル型10U、10Bは、上下のいずれも、上側金型支持台23及び下側金型支持台22の上で、基準ピン型11に向けての軸方向に移動が許容される。
可動ジャーナル型10U、10Bには、それぞれ、半円筒状の第1彫り込み部10Ua、10Baと、この第1彫り込み部10Ua、10Baの前後(図4では左右)に隣接して第2彫り込み部10Ub、10Bbが形成されている。第1彫り込み部10Ua、10Baの長さは、仕上打ち用素材5における粗ジャーナル部Jb(第1及び第4粗ジャーナル部J1b、J4b)の軸方向の長さと同じである。第2彫り込み部10Ub、10Bbの長さは、仕上打ち用素材5におけるその粗ジャーナル部Jbにつながるウエイト付き粗アーム部Ab(第1及び第6粗アーム部A1b、A6b)の軸方向の厚みと同じである。
可動ジャーナル型10U、10Bは、プレス機の圧下により、第1彫り込み部10Ua、10Baで各々に対応する各粗ジャーナル部Jaを個々に上下から挟み込んで保持する。これと同時に、可動ジャーナル型10U、10Bは、第2彫り込み部10Ub、10Bbの第1彫り込み部10Ua、10Ba側の面が、各々に対応する各粗ジャーナル部Jaにつながるウエイト付き粗アーム部Aaにおける各粗ジャーナル部Ja側の側面に接触する。
その際、基準ピン型11及び可動ピン型12は、プレス機の圧下により、彫り込み部11a、12aが各粗ピン部Paに宛がわれ、基準ピン型11及び可動ピン型12の両側面が、各粗ピン部Paにつながる粗アーム部Aaにおける各粗ピン部Pa側の側面に接触する。
ここで、両端の第1及び第4粗ジャーナル部J1a、J4aの位置に配置された可動ジャーナル型10U、10Bの端面は、傾斜面14U、14Bとなっている。これに対し、下側ハードプレート20上には、それらの第1及び第4粗ジャーナル部J1a、J4aの可動ジャーナル型10U、10Bの傾斜面14U、14Bの位置に対応して、個々に、楔26が立設されている。各楔26は、下側金型支持台22を貫通して上方に突き出す。第1及び第4粗ジャーナル部J1a、J4aの可動ジャーナル型10U、10Bのうち、下側の可動ジャーナル型10Bの傾斜面14Bは、初期状態で楔26の斜面に接触する。一方、上側の可動ジャーナル型10Uの傾斜面14Uは、プレス機の圧下により、楔26の斜面に接触する。
そして、プレス機の圧下の継続に伴って、上側の可動ジャーナル型10Uが下側の可動ジャーナル型10Bと一体で押し下げられる。これにより、第1及び第4粗ジャーナル部J1a、J4aの可動ジャーナル型10U、10Bは、上下のいずれも、その傾斜面14U、14Bが楔26の斜面に沿って摺動することから、基準となる第2粗ピン部P2aの基準ピン型11に向けて軸方向に移動する。要するに、可動ジャーナル型10U、10Bは、個々に楔機構により軸方向に移動することができる。
また、可動ピン型12と補助ピン型13は、プレス機の圧下の継続に伴って一体で押し下げられる。これにより、可動ピン型12と補助ピン型13は、上記したように可動ジャーナル型10U、10Bが軸方向に移動するのに連れて、基準となる第2粗ピン部P2aの基準ピン型11に向けて軸方向に移動する。また、基準ピン型11及び可動ピン型12の軸方向と直角な方向への移動は、各ピン型11、12に連結された油圧シリンダ16の駆動により行われる。
なお、可動ピン型12と補助ピン型13の軸方向への移動は、可動ジャーナル型10U、10Bと同様の楔機構を用いたり、油圧シリンダ、サーボモータ等の別途の機構を用いて、強制的に行ってもよい。補助ピン型13は、隣接する一対の可動ジャーナル型10U、10Bのうちの一方、又は固定ジャーナル型9U、9Bのうちの一方と一体化されても構わない。
図4に示す初期状態では、個々に軸方向に連なる可動ジャーナル型10U、10B及び固定ジャーナル型9U、9Bと、可動ピン型12及び補助ピン型13との間に、隙間が確保される。可動ジャーナル型10U、10B、並びに可動ピン型12及び補助ピン型13の軸方向への移動を許容するためである。これらの各隙間の寸法は、仕上打ち用素材5におけるウエイト付き粗アーム部Abの厚みと粗素材4におけるウエイト付き粗アーム部Aaの厚みの差である。
次に、このような構成の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法について説明する。
図5A及び図5Bは、図4に示す第1実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図である。これらの図のうち、図5Aは成形初期の状態を示し、図5Bは成形完了時の状態を示す。
前記図4に示す下側の可動ジャーナル型10B、固定ジャーナル型9B、可動ピン型12及び補助ピン型13に粗素材4を収容し、プレス機の圧下を開始する。すると、先ず、図5Aに示すように、上側の可動ジャーナル型10U及び固定ジャーナル型9Uが、それぞれ、下側の可動ジャーナル型10B及び固定ジャーナル型9Bに当接する。
これにより、粗素材4は、各粗ジャーナル部Jaが可動ジャーナル型10U、10B及び固定ジャーナル型9U、9Bによって上下から保持され、各粗ピン部Paに基準ピン型11及び可動ピン型12が宛がわれた状態になる。この状態のとき、粗素材4の各粗アーム部Aaにおける粗ジャーナル部Ja側の側面には、可動ジャーナル型10U、10B及び固定ジャーナル型9U、9Bが接触し、各粗アーム部Aaにおける粗ピン部Pa側の側面には、基準ピン型11及び可動ピン型12が接触している。また、この状態のとき、第1及び第4粗ジャーナル部J1a、J4aの可動ジャーナル型10U、10Bの傾斜面14U、14Bが楔26の斜面に接触している。
この状態から、そのままプレス機の圧下を継続する。すると、第1及び第4粗ジャーナル部J1a、J4aの可動ジャーナル型10U、10Bは、各々の傾斜面14U、14Bが楔26の斜面に沿って摺動し、この楔機構により、第2粗ピン部P2aの基準ピン型11に向けて軸方向に移動する。このように可動ジャーナル型10U、10Bが個々に楔機構により軸方向に移動するのに伴って、可動ピン型12と補助ピン型13も、基準ピン型11に向けて軸方向に移動する。
これにより、可動ジャーナル型10U、10B及び固定ジャーナル型9U、9Bと、可動ピン型12及び補助ピン型13との隙間が次第に狭まり、終にはそれらの各隙間がなくなる。その際、粗素材4は、可動ジャーナル型10U、10B、固定ジャーナル型9U、9B、基準ピン型11及び可動ピン型12により、粗ジャーナル部Ja及び粗ピン部Paの軸方向の長さが維持されながら、ウエイト付き粗アーム部Aaが軸方向に挟圧される。そして、ウエイト付き粗アーム部Aaの厚みが仕上打ち用素材5のウエイト付き粗アーム部Abの厚みまで減少する(図5B参照)。
また、可動ジャーナル型10U、10B、並びに可動ピン型12及び補助ピン型13の軸方向への移動に応じ、基準ピン型11及び可動ピン型12それぞれの油圧シリンダ16を駆動する。すると、各ピン型11、12は、個々に、粗素材4の粗ピン部Paを軸方向と直角な方向に押圧する。これにより、粗素材4の粗ピン部Paは、軸方向と直角な鉛直方向にずれるため、その偏芯量が仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbの偏芯量まで増加し、いずれの粗ピン部Pbも正規の位置に配置された状態となる(図2、図5B参照)。
このようにして、バリのない粗素材4から、ウエイト付きアーム部Aであってもアーム部Aの厚みが薄い3気筒エンジン用鍛造クランク軸(最終鍛造製品)の形状と概ね一致した形状で、バリのない仕上打ち用素材5を成形することができる。そして、このようなバリなしの仕上打ち用素材5を仕上打ちに供して仕上打ちを行えば、多少のバリは発生するが、アーム部の輪郭形状及びピン部の配置角度を含めて3気筒エンジン用鍛造クランク軸の最終形状を造形することができる。したがって、3気筒エンジン用の鍛造クランク軸を歩留り良く、しかも、その形状を問わずに高い寸法精度で製造することが可能になる。
前記図4、図5A及び図5Bに示す成形装置では、第1粗ジャーナル部J1aの可動ジャーナル型10U、10Bの傾斜面14U、14B及びこれと接触する楔26の斜面と、第4粗ジャーナル部J4aの可動ジャーナル型10U、10Bの傾斜面14U、14B及びこれと接触する楔26の斜面とは、傾斜角度が鉛直面を基準に正反対とされる。このように、各可動ジャーナル型10U、10Bを軸方向に移動させる楔機構の楔角度を可動ジャーナル型10U、10Bごとに異ならせる理由は、ウエイト付き粗アーム部Aaを軸方向に挟圧して厚みを減少させる変形速度をすべてのウエイト付き粗アーム部Aaで一定にするためである。
前記図4、図5A及び図5Bに示す成形装置で用いる粗素材4は、粗ジャーナル部Jaの断面積が、仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jb、すなわち鍛造クランク軸のジャーナル部Jの断面積と同じであるか、それよりも大きい。同様に、粗素材4の粗ピン部Paの断面積は、仕上打ち用素材5の粗ピン部Pb、すなわち鍛造クランク軸のピン部Pの断面積と同じであるか、それよりも大きい。粗素材4の粗ジャーナル部Jaの断面積が仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jbの断面積よりも大きい場合であっても、粗ジャーナル部Jaの断面積を仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jbの断面積まで減少させることができる。これは、可動ジャーナル型10U、10Bによる粗ジャーナル部Jaの挟み込み保持、及びこれに続く可動ジャーナル型10U、10Bの軸方向への移動による。また、粗素材4の粗ピン部Paの断面積が仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbの断面積よりも大きい場合であっても、粗ピン部Paの断面積を仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbの断面積まで減少させることができる。これは、基準ピン型11の軸方向と直角な方向への移動に加え、可動ピン型12の軸方向への移動及びこれと直角な方向への移動による。
以上説明した仕上打ち用素材の成形で留意すべき点として、ウエイト付き粗アーム部Aaに対して局部的な噛み出しの発生がある。以下に、噛み出しの発生原理とその対応策について説明する。
図6は、成形装置による仕上打ち用素材の成形で噛み出しが発生する状況を説明するための図であり、図7は、その対応策を施した場合の状況を説明するための図である。図6及び図7中、(a)は成形初期の状態を、(b)は成形途中の状態を、(c)は成形完了時の状態を、(d)は成形完了後に成形装置から取り出した仕上打ち用素材をそれぞれ示す。
図6(a)に示すように、成形が開始されると、可動ジャーナル型10U、10Bが軸方向へ移動するとともに、可動ピン型12及び補助ピン型13が軸方向及びこれと直角な方向へ移動する。その後、図6(b)に示すように、ウエイト付き粗アーム部Aaにおいて、可動ジャーナル型10U、10B、並びに可動ピン型12及び補助ピン型13の軸方向への移動が完了する前に、すなわち、可動ジャーナル型10U、10B及び固定ジャーナル型9U、9Bと、可動ピン型12及び補助ピン型13との隙間が閉ざされる前に、軸方向と直角な方向に押圧変形する粗ピン部Paが補助ピン型13に到達すると、以下に示す事態が生じる。補助ピン型13と可動ジャーナル型10U、10B及び固定ジャーナル型9U、9Bとの隙間に、粗ピン部Paの肉が流入する。この流入した肉は、成形の進行に伴って薄く延ばされていくものの、図6(c)に示すように、成形完了時にも残存する。こうして、図6(d)に示すように、仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbの外側には、隣接するウエイト付き粗アーム部Aaとの境界に局所的な噛み出し部5aが現れる。
噛み出し部5aは、次工程の仕上打ちで製品に打ち込まれてかぶり疵となる。したがって、製品品質を確保する観点から、噛み出しの発生を防止する必要がある。
噛み出しの発生を防止する対応策としては、ウエイト付き粗アーム部Aaにおいて、可動ジャーナル型10U、10B及び固定ジャーナル型9U、9Bと、可動ピン型12及び補助ピン型13との隙間が閉ざされた後に、押圧変形する粗ピン部Paが補助ピン型13に到達するように、可動ピン型12の軸方向と直角な方向への移動を制御すればよい。具体的には、可動ジャーナル型10U、10B、並びに可動ピン型12及びこの可動ピン型12と対を成す補助ピン型13の軸方向への移動が完了した後に、可動ピン型12の軸方向と直角な方向への移動を完了させればよい。例えば、可動ピン型12の軸方向と直角な方向への総移動距離を100%としたとき、その可動ピン型12に隣接する可動ジャーナル型10U、10Bの軸方向への移動が完了した時点で、可動ピン型12の軸方向と直角な方向への移動距離が総移動距離の90%以下(より好適には83%以下、更に好適には60%以下)であることが好ましい。この後に可動ピン型12のその方向への移動が完了すればよい。
例えば、図7(a)に示すように、成形を開始する。その後、図7(b)に示すように、ウエイト付き粗アーム部Aaにおいて、可動ピン型12の軸方向と直角な方向への移動距離が総移動距離の90%に達するまでに、可動ジャーナル型10U、10B、並びに可動ピン型12及び補助ピン型13の軸方向への移動を完了させる。そうすると、この時点では、可動ジャーナル型10U、10B及び固定ジャーナル型9U、9Bと、可動ピン型12及び補助ピン型13との隙間が閉ざされているものの、押圧変形する粗ピン部Paが補助ピン型13に到達していない。そして、可動ピン型12の軸方向と直角な方向への移動に伴って粗ピン部Paが補助ピン型13に到達し、その移動が完了すると、図7(c)に示すように、成形が完了する。このため、補助ピン型13と可動ジャーナル型10U、10B及び固定ジャーナル型9U、9Bとの隙間に、粗ピン部Paの肉が流入する事態は起こらない。こうして、図7(d)に示すように、噛み出しのない高品位の仕上打ち用素材5を得ることができる。
可動ジャーナル型の軸方向への移動が完了するまでの可動ピン型の軸方向と直角な方向への移動過程は、任意に変更することが可能である。例えば、可動ピン型の軸方向と直角な方向への移動は、可動ジャーナル型の軸方向への移動開始と同時に開始してもよいし、それよりも前に開始してもよく、又は可動ジャーナル型の軸方向への移動がある程度進行してから開始してもよい。また、可動ピン型の軸方向と直角な方向への移動は、開始後、一定量移動した位置で一旦停止させ、可動ジャーナル型の軸方向への移動が完了した後に再開してもよい。
2.第2実施形態
第2実施形態は、上記の第1実施形態の構成を基本とする。第2実施形態は、鍛造クランク軸の製造過程に捩り成形工程を付加するとともに、これに関連する構成を変形したものである。
2−1.粗素材、仕上打ち用素材、仕上材、及び捩り仕上材
図8は、第2実施形態の製造方法において、成形装置で被成形対象とする粗素材、成形された仕上打ち用素材、仕上打ち後の仕上材、及び捩り成形後の捩り仕上材の各形状を模式的に示す図である。図8には、前記図2と同様に、3気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸を製造する場合の状況を示す。なお、第1実施形態と重複する事項は適宜省略する。後述する第3及び第4実施形態でも同様とする。
図8に示すように、第2実施形態の粗素材4は、3気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸1の形状に依拠しつつも全体として粗いクランク軸形状である。粗素材4は、4つの粗ジャーナル部Ja、3つの粗ピン部Pa、粗フロント部Fra、粗フランジ部Fla、及び6枚の粗アーム部Aaから構成される。第2実施形態の仕上打ち用素材5は、上記の粗素材4から、詳細は後述する成形装置によって成形されるものである。仕上打ち用素材5は、4つの粗ジャーナル部Jb、3つの粗ピン部Pb、粗フロント部Frb、粗フランジ部Flb、及び6枚の粗アーム部Abから構成される。第2実施形態の仕上材6は、上記の仕上打ち用素材5を仕上打ちして得られるものである。仕上材6は、4つのジャーナル部Jc、3つのピン部Pc、フロント部Frc、フランジ部Flc、及び6枚のアーム部Acから構成される。
第2実施形態の捩り仕上材7は、上記の仕上材6を捩り成形して得られるものである。捩り仕上材7は、4つのジャーナル部J1d〜J4d、3つのピン部P1d〜P3d、フロント部Frd、フランジ部Fld、及びジャーナル部J1d〜J4dとピン部P1d〜P3dをそれぞれつなぐ6枚のクランクアーム部(以下、単に「アーム部」ともいう)A1d〜A6dから構成される。以下、捩り仕上材7のジャーナル部J1d〜J4d、ピン部P1d〜P3d、及びアーム部A1d〜A6dそれぞれを総称するとき、その符号は、ジャーナル部で「Jd」、ピン部で「Pd」、アーム部で「Ad」と記す。
捩り仕上材7の形状は、ピン部Pdの配置角度を含めクランク軸(最終鍛造製品)の形状と一致する。すなわち、捩り仕上材7のジャーナル部Jdは、最終形状の鍛造クランク軸のジャーナル部Jと軸方向の長さが同じである。捩り仕上材7のピン部Pdは、最終形状の鍛造クランク軸のピン部Pと軸方向の長さが同じである。更に、捩り仕上材7のピン部Pdは、最終形状の鍛造クランク軸のピン部Pに対し、軸方向と直角な方向の偏芯量が同じで、配置角度も同じ120°であり、正規の位置に配置されている。捩り仕上材7のアーム部Adは、最終形状の鍛造クランク軸のアーム部Aと軸方向の厚みが同じである。
仕上材6の形状は、ピン部Pcの配置角度を除きクランク軸(最終鍛造製品)の形状と一致する。すなわち、仕上材6のジャーナル部Jcは、最終形状の鍛造クランク軸のジャーナル部Jと軸方向の長さが同じである。仕上材6のピン部Pcは、最終形状の鍛造クランク軸のピン部Pと軸方向の長さが同じであり、軸方向と直角な方向の偏芯量も同じである。ただし、仕上材6のピン部Pcの配置角度は、正規の位置から外れている。具体的には、仕上材6のピン部Pcのうち、両端の第1及び第3ピン部P1c、P3cは、軸方向と直角な方向で同じ方向に偏芯している。中央の第2ピン部P2cは、第1及び第3ピン部P1c、P3cの偏芯方向とは反対方向に偏芯している。仕上材6のアーム部Acは、最終形状の鍛造クランク軸のアーム部Aと軸方向の厚みが同じである。
仕上打ち用素材5の形状は、仕上材6の形状と概ね一致する。すなわち、仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jbは、最終形状の鍛造クランク軸のジャーナル部J(仕上材6のジャーナル部Jc)と軸方向の長さが同じである。仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbは、最終形状の鍛造クランク軸のピン部P(仕上材6のピン部Pc)に対し、軸方向の長さが同じであり、軸方向と直角な方向の偏芯量も同じであるが、その配置角度は仕上材6と同様に正規の位置から外れている。仕上打ち用素材5の粗アーム部Abは、最終形状の鍛造クランク軸のアーム部A(仕上材6のアーム部Ac)と軸方向の厚みが同じである。
これに対し、粗素材4の粗ジャーナル部Jaは、仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jb、すなわち鍛造クランク軸のジャーナル部J(仕上材6のジャーナル部Jc)と軸方向の長さが同じである。粗素材4の粗ピン部Paは、仕上打ち用素材5の粗ピン部Pb、すなわち鍛造クランク軸のピン部P(仕上材6のピン部Pc)と軸方向の長さが同じであるが、偏芯量が仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbよりも小さい。具体的には、粗素材4の粗ピン部Paのうち、両端の第1及び第3粗ピン部P1a、P3aの偏芯量は、同じ方向で鍛造クランク軸のピン部Pの偏芯量の1/2程度である。一方、中央の第2粗ピン部P2aの偏芯量は、第1及び第3粗ピン部P1a、P3aの偏芯方向と反対方向で鍛造クランク軸のピン部Pの偏芯量の1/2程度である。
粗素材4の粗アーム部Aaのうち、ウエイト付き粗アーム部Aa(第1、第2、第5及び第6粗アーム部A1a、A2a、A5a、A6a)は、各々に対応する仕上打ち用素材5のウエイト付き粗アーム部Ab、すなわち鍛造クランク軸のウエイト付きアーム部A(仕上材6のウエイト付きアーム部Ac)よりも軸方向の厚みが厚い。一方、粗素材4の小判形粗アーム部Aa(第3及び第4粗アーム部A3a、A4a)は、各々に対応する仕上打ち用素材5の小判形粗アーム部Ab、すなわち鍛造クランク軸の小判形アーム部A(仕上材6の小判形アーム部Ac)と軸方向の厚みが同じである。
2−2.鍛造クランク軸の製造工程
図9は、第2実施形態における鍛造クランク軸の製造工程を示す模式図である。図9に示すように、第2実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形、第2予備成形、仕上打ち、捩り成形の各工程を含み、必要に応じて、捩り成形前のバリ抜き、捩り成形後の整形の各工程を含む。
第1予備成形工程は、上記の粗素材4を造形する工程である。第2予備成形工程は、下記の図10に示す成形装置を用いることにより、上記の粗素材4から、ピン部の配置角度を除き鍛造クランク軸の最終形状が造形された上記の仕上げ打ち用素材5を成形する工程である。仕上打ち工程は、上記の仕上打ち用素材5が供され、ピン部の配置角度を除き鍛造クランク軸の最終形状が造形された上記の仕上材6を得る工程である。
捩り成形工程は、上記の捩り仕上材7を得る工程である。捩り成形工程では、上記の仕上材6のジャーナル部及びピン部を保持した状態でジャーナル部の軸心を中心にして捩る。これにより、ピン部の配置角度を鍛造クランク軸のピン部の配置角度に調整し、ピン部の配置角度を含め鍛造クランク軸の最終形状が造形された、クランク軸と合致する形状の捩り仕上材7を得ることができる。
2−3.仕上打ち用素材の成形装置
図10は、第2実施形態における成形装置の構成を示す縦断面図である。図10には、前記図8に示す粗素材4から仕上打ち用素材5を成形する成形装置を例示する。図10に示す縦断面には、実際に全ての粗ピン部の部分が同一面上で含まれる。
図10に示す第2実施形態の成形装置では、粗素材4を、粗ピン部Paの偏芯方向を鉛直方向に合わせた姿勢で金型内に収容する。例えば、粗素材4を、第1及び第3粗ピン部P1a、P3aを上に配置し、第2粗ピン部P2aを下に配置した姿勢とする。この姿勢の粗素材4を仕上打ち用素材5に成形する。この点以外の構成は、前記図4に示す第1実施形態の成形装置と共通するので、詳しい説明は省略する。
図11A及び図11Bは、図10に示す第2実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図である。これらの図のうち、図11Aは成形初期の状態を示し、図11Bは成形完了時の状態を示す。
図11Aに示すように、下側の可動ジャーナル型10B、固定ジャーナル型9B、可動ピン型12及び補助ピン型13に粗素材4を収容し、プレス機の圧下を行う。すると、各粗ジャーナル部Jaを保持した可動ジャーナル型10U、10Bが、第2粗ピン部P2aに宛がわれた基準ピン型11に向けて軸方向に移動し、これに伴って、第1及び第3粗ピン部P1a、P3aに宛がわれた可動ピン型12と補助ピン型13も、基準ピン型11に向けて軸方向に移動する。これにより、粗素材4は、可動ジャーナル型10U、10B、固定ジャーナル型9U、9B、基準ピン型11及び可動ピン型12により、粗ジャーナル部Ja及び粗ピン部Paの軸方向の長さが維持されながら、ウエイト付き粗アーム部Aaが軸方向に挟圧される。そして、ウエイト付き粗アーム部Aaの厚みが仕上打ち用素材5のウエイト付き粗アーム部Abの厚みまで減少する(図11B参照)。
また、可動ジャーナル型10U、10B、並びに可動ピン型12及び補助ピン型13の軸方向への移動に応じ、基準ピン型11及び可動ピン型12は、それぞれの油圧シリンダ16の駆動に伴い、個々に、粗素材4の粗ピン部Paを軸方向と直角な方向に押圧する。これにより、粗素材4の粗ピン部Paは、軸方向と直角な方向にずれるため、その配置角度が正規の位置から外れていながらも、その偏芯量が仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbの偏芯量まで増加した状態となる(図8、図11B参照)。
このようにして、バリのない粗素材4から、ピン部Pの配置角度を除き3気筒エンジン用鍛造クランク軸(最終鍛造製品)の形状と概ね一致した形状で、バリのない仕上打ち用素材5を成形することができる。次いで、このようなバリなしの仕上打ち用素材5を仕上打ちに供して仕上打ちを行えば、多少のバリは発生するが、ピン部の配置角度を除き3気筒エンジン用鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上材6を得ることができる。そして、この仕上材6に捩り成形を施せば、ピン部の配置角度も含めて3気筒エンジン用鍛造クランク軸の最終形状を造形することができる。したがって、3気筒エンジン用の鍛造クランク軸を歩留り良く、しかも、その形状を問わずに高い寸法精度で製造することが可能になる。
3.第3実施形態
第3実施形態は、上記の第1及び第2実施形態の構成を基本とする。第3実施形態は、鍛造クランク軸の製造過程に捩り成形工程を付加することなく、仕上打ち工程でクランク軸の最終形状を造形することを意図し、これに関連する構成を変形したものである。
3−1.粗素材、仕上打ち用素材、及び仕上材
図12は、第3実施形態の製造方法において、成形装置で被成形対象とする粗素材、成形された仕上打ち用素材、及び仕上打ち後の仕上材の各形状を模式的に示す図である。図12には、前記図2及び図8と同様に、3気筒−4枚カウンターウエイトのクランク軸を製造する場合の状況を示す。
図12に示すように、第3実施形態の粗素材4は、3気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸1の形状に依拠しつつも全体として粗いクランク軸形状である。粗素材4は、4つの粗ジャーナル部Ja、3つの粗ピン部Pa、粗フロント部Fra、粗フランジ部Fla、及び6枚の粗アーム部Aaから構成される。第3実施形態の仕上打ち用素材5は、上記の粗素材4から、詳細は後述する成形装置によって成形されるものである。仕上打ち用素材5は、4つの粗ジャーナル部Jb、3つの粗ピン部Pb、粗フロント部Frb、粗フランジ部Flb、及び6枚の粗アーム部Abから構成される。第3実施形態の仕上材6は、上記の仕上打ち用素材5を仕上打ちして得られるものである。仕上材6は、4つのジャーナル部Jc、3つのピン部Pc、フロント部Frc、フランジ部Flc、及び6枚のアーム部Acから構成される。
仕上材6の形状は、ピン部Pcの配置角度を含めクランク軸(最終鍛造製品)の形状と一致する。すなわち、仕上材6のジャーナル部Jcは、最終形状の鍛造クランク軸のジャーナル部Jと軸方向の長さが同じである。仕上材6のピン部Pcは、最終形状の鍛造クランク軸のピン部Pと軸方向の長さが同じである。更に、仕上材6のピン部Pcは、最終形状の鍛造クランク軸のピン部Pに対し、軸方向と直角な方向の偏芯量が同じで、配置角度も同じ120°であり、正規の位置に配置されている。仕上材6のアーム部Acは、最終形状の鍛造クランク軸のアーム部Aと軸方向の厚みが同じである。
これに対し、仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jbは、仕上材6のジャーナル部Jc、すなわち鍛造クランク軸のジャーナル部Jと軸方向の長さが同じである。仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbは、仕上材6のピン部Pc、すなわち鍛造クランク軸のピン部Pと軸方向の長さが同じであるが、偏芯量も配置角度も正規の位置から外れている。具体的には、仕上打ち用素材5の粗ピン部Pbのうち、両端の第1及び第3粗ピン部P1b、P3bの偏芯量は、互いに反対方向で鍛造クランク軸のピン部Pの偏芯量の√3/2と同じである。一方、中央の第2粗ピン部P2bは偏芯されることなく、偏芯量がゼロである。仕上打ち用素材5の粗アーム部Abは、最終形状の鍛造クランク軸のアーム部A(仕上材6のアーム部Ac)と軸方向の厚みが同じである。
また、粗素材4の粗ジャーナル部Jaは、仕上打ち用素材5の粗ジャーナル部Jb、すなわち鍛造クランク軸のジャーナル部J(仕上材6のジャーナル部Jc)と軸方向の長さが同じである。粗素材4の粗ピン部Paは、仕上打ち用素材5の粗ピン部Pb、すなわち鍛造クランク軸のピン部P(仕上材6のピン部Pc)と軸方向の長さが同じである。ただし、粗素材4の粗ピン部Paのうち、第1及び第3粗ピン部P1a、P3aの偏芯量は、仕上打ち用素材5のそれよりも小さく、互いに反対方向で鍛造クランク軸のピン部Pの偏芯量の√3/2よりも小さい。一方、第2粗ピン部P2aの偏芯量は、仕上打ち用素材5のそれと同様に、ゼロである。
粗素材4の粗アーム部Aaのうち、ウエイト付き粗アーム部Aa(第1、第2、第5及び第6粗アーム部A1a、A2a、A5a、A6a)は、各々に対応する仕上打ち用素材5のウエイト付き粗アーム部Ab、すなわち鍛造クランク軸のウエイト付きアーム部A(仕上材6のウエイト付きアーム部Ac)よりも軸方向の厚みが厚い。一方、粗素材4の小判形粗アーム部Aa(第3及び第4粗アーム部A3a、A4a)は、各々に対応する仕上打ち用素材5の小判形粗アーム部Ab、すなわち鍛造クランク軸の小判形アーム部A(仕上材6の小判形アーム部Ac)と軸方向の厚みが同じである。
3−2.鍛造クランク軸の製造工程
図13は、第3実施形態における鍛造クランク軸の製造工程を示す模式図である。図13に示すように、第3実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形、第2予備成形、仕上打ちの各工程を含み、必要に応じて、バリ抜き、整形の各工程を含む。
第1予備成形工程は、上記の粗素材4を造形する工程である。第2予備成形工程は、下記の図14に示す成形装置を用いることにより、上記の粗素材4から、全てのピン部の偏芯量及び配置角度を除き鍛造クランク軸の最終形状が造形された上記の仕上げ打ち用素材5を成形する工程である。
仕上打ち工程は、上記の仕上材6を得る工程である。仕上打ち工程では、上記の仕上打ち用素材5が供され、その第1及び第3粗ピン部を水平に配置した姿勢の状態で、上下に一対の金型を用いてプレス鍛造し、全ての粗ピン部を軸方向と直角な鉛直方向に押圧する。これにより、ピン部の配置角度を含め鍛造クランク軸の最終形状が造形された、クランク軸と合致する形状の仕上材6を得ることができる。
3−3.仕上打ち用素材の成形装置
図14は、第3実施形態における成形装置の構成を示す縦断面図である。図14には、前記図12に示す粗素材4から仕上打ち用素材5を成形する成形装置を例示する。図14に示す縦断面には、実際に全ての粗ピン部の部分が同一面上で含まれる。
図14に示す第3実施形態の成形装置は、前記図4に示す第1実施形態の成形装置及び前記図10に示す第2実施形態の成形装置と比較し、大きくは、次の点で相違する。第3実施形態の成形装置では、粗素材4を、互いに反対方向に偏芯した第1及び第3粗ピン部P1a、P3aを鉛直方向に沿って配置した姿勢で金型内に収容する。この姿勢の粗素材4を仕上打ち用素材5に成形する。その際、第2粗ピン部P2aの位置に配置された基準ピン型11は、軸方向への移動のみならず、軸方向とは直角な方向への移動も拘束される。このため、第3実施形態の基準ピン型11は、第1及び第2実施形態のような油圧シリンダが連結されておらず、上側金型支持台23及び下側金型支持台22のうちの一方に直に取り付けられる。その他方には、この基準ピン型11と対を成す補助ピン型13が直に取り付けられる。図14では、基準ピン型11が上側金型支持台23に取り付けられ、補助ピン型13が下側金型支持台22に取り付けられた態様を示す。
また、第3実施形態の成形装置では、第1及び第3粗ピン部P1a、P3aそれぞれの位置に配置された可動ピン型12と補助ピン型13は、第1粗ピン部P1aの位置と第3粗ピン部P3aの位置で上下の配置が入れ替わっている。第1及び第3粗ピン部P1a、P3aが鉛直方向で互いに反対方向に偏芯しているからである。図14では、第1粗ピン部P1aの位置の補助ピン型13、及び第3粗ピン部P3aの位置の可動ピン型12が上側に配置され、第1粗ピン部P1aの位置の可動ピン型12、及び第3粗ピン部P3aの位置の補助ピン型13が下側に配置された態様を示す。
図15A及び図15Bは、図14に示す第3実施形態の成形装置による仕上打ち用素材の成形方法を説明するための縦断面図である。これらの図のうち、図15Aは成形初期の状態を示し、図15Bは成形完了時の状態を示す。
図15Aに示すように、下側の可動ジャーナル型10B、固定ジャーナル型9B、可動ピン型12及び補助ピン型13に粗素材4を収容し、プレス機の圧下を行う。すると、先ず、粗素材4は、各粗ジャーナル部Jaが可動ジャーナル型10U、10B及び固定ジャーナル型9U、9Bによって上下から挟み込まれて保持されると同時に、第2粗ピン部P2aが基準ピン型11及び補助ピン型13によって上下から挟み込まれて保持され、第1及び第3粗ピン部P1a、P3aに可動ピン型12が宛がわれた状態になる。この状態から、プレス機の圧下を継続すると、各粗ジャーナル部Jaを保持した可動ジャーナル型10U、10Bが、第2粗ピン部P2aを保持した基準ピン型11に向けて軸方向に移動し、これに伴って、第1及び第3粗ピン部P1a、P3aに宛がわれた可動ピン型12と補助ピン型13も、基準ピン型11に向けて軸方向に移動する。これにより、粗素材4は、可動ジャーナル型10U、10B、固定ジャーナル型9U、9B、基準ピン型11及び可動ピン型12により、粗ジャーナル部Ja及び粗ピン部Paの軸方向の長さが維持されながら、ウエイト付き粗アーム部Aaが軸方向に挟圧される。そして、ウエイト付き粗アーム部Aaの厚みが仕上打ち用素材5のウエイト付き粗アーム部Abの厚みまで減少する(図15B参照)。
また、可動ジャーナル型10U、10B、並びに可動ピン型12及び補助ピン型13の軸方向への移動に応じ、可動ピン型12は、それぞれの油圧シリンダ16の駆動に伴い、個々に、粗素材4の第1及び第3粗ピン部P1a、P3aを軸方向と直角な鉛直方向に押圧する。これにより、粗素材4の第1及び第3粗ピン部P1a、P3aは、軸方向と直角な鉛直方向にずれるため、互いに反対方向で鍛造クランク軸のピン部Pの偏芯量の√3/2と同じ偏芯量まで増加した状態となる(図12、図15B参照)。一方、粗素材4の第2粗ピン部P2aは、成形の前後で、その軸方向とは直角な方向の位置が変わらずに維持され、偏芯量がゼロのままの状態となる。
このようにして、バリのない粗素材4から、全てのピン部Pの偏芯量及び配置角度を除き3気筒エンジン用鍛造クランク軸(最終鍛造製品)の形状と概ね一致した形状で、バリのない仕上打ち用素材5を成形することができる。そして、このようなバリなしの仕上打ち用素材5を仕上打ちに供し、その第1及び第3粗ピン部を水平に配置した姿勢の状態で仕上打ちを行う。このとき、仕上打ち用素材5の全ての粗ピン部を軸方向と直角な鉛直方向に押圧して、正規の位置まで変位させるようにすれば、多少のバリは発生するが、アーム部の輪郭形状、ピン部の偏芯量及び配置角度を含めて3気筒エンジン用鍛造クランク軸の最終形状を造形することができる。したがって、3気筒エンジン用の鍛造クランク軸を歩留り良く、しかも、その形状を問わずに高い寸法精度で製造することが可能になる。
4.第4実施形態
第4実施形態は、上記の第3実施形態の構成を変形したものである。
4−1.粗素材、仕上打ち用素材、及び仕上材
図16は、第4実施形態の製造方法において、成形装置で被成形対象とする粗素材、成形された仕上打ち用素材、及び仕上打ち後の仕上材の各形状を模式的に示す図である。
図16に示すように、第4実施形態の仕上材6は、前記図12に示す第3実施形態の仕上材6と同じ形状である。
これに対し、第4実施形態の仕上打ち用素材5は、前記図12に示す第3実施形態の仕上打ち用素材5と比較し、次の点が異なる。図16に示すように、第4実施形態の仕上打ち用素材5における中央の第2粗ピン部P2bは、両端の第1及び第3粗ピン部P1b、P3bの偏芯方向と直交する方向に偏芯し、その偏芯量が仕上材6のピン部Pc、すなわち鍛造クランク軸のピン部Pと同じである。
また、第4実施形態の粗素材4は、前記図12に示す第3実施形態の粗素材4と比較し、次の点が異なる。図16に示すように、第4実施形態の粗素材4における中央の第2粗ピン部P2aは、両端の第1及び第3粗ピン部P1a、P3aの偏芯方向と直交する方向に偏芯し、その偏芯量が、仕上打ち用素材5のそれと同様に、鍛造クランク軸のピン部P(仕上材6のピン部Pc)と同じである。
4−2.鍛造クランク軸の製造工程
図17は、第4実施形態における鍛造クランク軸の製造工程を示す模式図である。図17に示すように、第4実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、前記図13に示す第3実施形態と同様に、第1予備成形、第2予備成形、仕上打ちの各工程を含み、必要に応じて、バリ抜き、整形の各工程を含む。
第1予備成形工程は、上記の粗素材4を造形する工程である。
第2予備成形工程は、上記の仕上げ打ち用素材5を成形する工程である。第2予備成形工程では、前記図14、図15A及び図15Bに示す第3実施形態の成形装置と同様のものを用いる。なお、第4実施形態では、前記図14に示す縦断面の中で、第2粗ピン部の部分は、実際には、紙面の手前又は奥に位置する。
第4実施形態の第2予備成形工程では、前記図14、図15A及び図15Bに示す第3実施形態と同様に、下側のジャーナル型10B、固定ジャーナル型9B、可動ピン型12及び補助ピン型13に粗素材4を収容し、プレス機の圧下を行う。これにより、各粗ジャーナル部Jaを保持した可動ジャーナル型10U、10B、並びに第1及び第3粗ピン部P1a、P3aに宛がわれた可動ピン型12と補助ピン型13が、第2粗ピン部P2aを保持した基準ピン型11に向けて軸方向に移動する。これに伴って、粗素材4は、粗ジャーナル部Ja及び粗ピン部Paの軸方向の長さが維持されながら、ウエイト付き粗アーム部Aaが軸方向に挟圧される。そして、ウエイト付き粗アーム部Aaの厚みが仕上打ち用素材5のウエイト付き粗アーム部Abの厚みまで減少する。
また、可動ピン型12が第1及び第3粗ピン部P1a、P3aを軸方向と直角な鉛直方向に押圧する。これにより、粗素材4の第1及び第3粗ピン部P1a、P3aは、互いに反対方向で鍛造クランク軸のピン部Pの偏芯量の√3/2と同じ偏芯量まで増加した状態となる。一方、粗素材4の第2粗ピン部P2aは、成形の前後で、その軸方向とは直角な方向の位置が変わらずに維持され、偏芯量が鍛造クランク軸のピン部の偏芯量と同じままの状態となる。
このようにして、バリのない粗素材4から、第1及び第3ピン部P1、P3の偏芯量及び配置角度を除き3気筒エンジン用鍛造クランク軸(最終鍛造製品)の形状と概ね一致した形状で、バリのない上記の仕上打ち用素材5を成形することができる。
仕上打ち工程は、上記の仕上材6を得る工程である。仕上打ち工程では、上記の仕上打ち用素材5が供され、その第1及び第3粗ピン部を水平に配置した姿勢の状態で仕上打ちを行う。このとき、仕上打ち用素材5の第1及び第3粗ピン部P1b、P3bを軸方向と直角な鉛直方向に押圧して、正規の位置まで変位させる。そうすれば、多少のバリは発生するが、アーム部の輪郭形状、ピン部の偏芯量及び配置角度を含めて3気筒エンジン用鍛造クランク軸の最終形状が造形された、クランク軸と合致する形状の仕上材6を得ることができる。
その他本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、可動ジャーナル型を軸方向へ移動させる機構としては、上記の実施形態ではプレス機を利用した楔機構を採用しているが、これに限らず、リンク機構を採用してもよいし、プレス機の利用に代えて油圧シリンダ、サーボモータ等を利用しても構わない。また、ピン型を軸方向と直角な方向へ移動させる機構としては、油圧シリンダに限らず、サーボモータであってもよい。
また、上記の実施形態では、可動ジャーナル型を軸方向に移動させる楔機構として、可動ジャーナル型の端面に傾斜面を設け、この傾斜面に対応して楔を設ける。これに代わる楔機構として、可動ジャーナル型の第1彫り込み部及び第2彫り込み部から外れた側部に、傾斜面を有するブロックを固定し、このブロックの傾斜面に対応して楔を設けても構わない。
また、上記の実施形態では、上側金型支持台を上側ハードプレートに固定するとともに、下側金型支持台を下側ハードプレートで弾性的に支持し、当該下側ハードプレートに楔を設置して、この楔で上下の可動ジャーナル型を移動させるようにした構成であるが、これとは上下を反転させた構成でも構わない。上下の各金型支持台をそれぞれのハードプレートで弾性的に支持し、ハードプレートにそれぞれ楔を設置して、各楔で上下の各可動ジャーナル型を移動させるように構成することもできる。
また、上記の実施形態では、補助ピン型は、軸方向にのみ移動が許容されるが、対を成すピン型に向く方向にも移動が許容される構成としても構わない。この場合、ピン型と補助ピン型が各粗ピン部Paを個々に上下から挟み込んで保持しながら、互いに連動して軸方向と直角な方向に移動する。
また、上記の実施形態では、ピン型を軸方向と直角な鉛直方向に移動させて粗ピン部Paを鉛直方向に押圧する構成であるが、粗ピン部Paを水平方向に押圧するようにピン型及びジャーナル型の配置を変形することもできる。
本発明は、3気筒エンジン用の鍛造クランク軸を製造する際に有用である。
1:鍛造クランク軸、 J、J1〜J4:ジャーナル部、
P、P1〜P3:ピン部、 Fr:フロント部、
Fl:フランジ部、 A、A1〜A6:クランクアーム部、
2:ビレット、 4:粗素材、
Ja、J1a〜J4a:粗素材の粗ジャーナル部、
Pa、P1a〜P3a:粗素材の粗ピン部、
Fra:粗素材の粗フロント部、
Fla:粗素材の粗フランジ部、
Aa、A1a〜A6a:粗素材の粗クランクアーム部、
5:仕上打ち用素材、
Jb、J1b〜J4b:仕上打ち用素材の粗ジャーナル部、
Pb、P1b〜P3b:仕上打ち用素材の粗ピン部、
Frb:仕上打ち用素材の粗フロント部、
Flb:仕上打ち用素材の粗フランジ部、
Ab、A1b〜A6b:仕上打ち用素材の粗クランクアーム部、
5a:噛み出し部、
6:仕上材、 Jc、J1c〜J4c:仕上材のジャーナル部、
Pc、P1c〜P3c:仕上材のピン部、
Frc:仕上材のフロント部、 Flc:仕上材のフランジ部、
Ac、A1c〜A6c:仕上材のクランクアーム部、
7:捩り仕上材、
Jd、J1d〜J4d:捩り仕上材のジャーナル部、
Pd、P1d〜P3d:捩り仕上材のピン部、
Frd:捩り仕上材のフロント部、
Fld:捩り仕上材のフランジ部、
Ad、A1d〜A6d:捩り仕上材のクランクアーム部、
9U、9B:固定ジャーナル型、
9Ua、9Ba:固定ジャーナル型の第1彫り込み部、
9Ub、9Bb:固定ジャーナル型の第2彫り込み部、
9Uc、9Bc:固定ジャーナル型の第3彫り込み部、
10U、10B:可動ジャーナル型、
10Ua、10Ba:可動ジャーナル型の第1彫り込み部、
10Ub、10Bb:可動ジャーナル型の第2彫り込み部、
11:基準ピン型、 11a:彫り込み部、
12:可動ピン型、 12a:彫り込み部、
13:補助ピン型、 13a:彫り込み部、
14U、14B:第1、4粗ジャーナル部の可動ジャーナル型の傾斜面、
16:油圧シリンダ、
20:下側ハードプレート、 21:上側ハードプレート、
22:下側金型支持台、 23:上側金型支持台、
24:弾性部材、 25:支柱、 26:楔

Claims (17)

  1. 3気筒エンジン用の鍛造クランク軸であって、中央の第2ピン部につながる第3及び第4クランクアーム部にバランスウエイトを有さず、残りのクランクアーム部にバランスウエイトを有する鍛造クランク軸を製造する過程で、前記鍛造クランク軸の最終形状を造形する仕上打ちに供する仕上打ち用素材を、粗素材から成形する装置であって、
    前記粗素材は、
    前記鍛造クランク軸の各ジャーナル部と軸方向の長さが同じ粗ジャーナル部と、
    前記鍛造クランク軸の各ピン部と軸方向の長さが同じ粗ピン部と、
    前記鍛造クランク軸の前記第3及び第4クランクアーム部に対応して当該クランクアーム部と軸方向の厚みが同じ第3及び第4粗クランクアーム部と、
    前記鍛造クランク軸の前記バランスウエイトを有するウエイト付きクランクアーム部に対応して当該クランクアーム部よりも軸方向の厚みが厚いウエイト付き粗クランクアーム部と、を有し、
    前記粗素材の前記粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量よりも小さくされており、
    前記成形装置は、
    2粗ピン部の位置に配置され、当該粗ピン部に宛がわれるとともに、当該粗ピン部につながる前記第3及び第4粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、軸方向の移動を拘束され、軸方向と直角な方向に移動する基準ピン型と、
    両端の第1及び第3粗ピン部それぞれの位置に配置され、当該粗ピン部それぞれに宛がわれるとともに、各々が、当該粗ピン部につながる前記粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、前記基準ピン型に向けた軸方向及び軸方向と直角な方向に移動する可動ピン型と、
    前記第3及び第4粗クランクアーム部につながる前記粗ジャーナル部の位置に配置され、当該粗ジャーナル部を個々に軸方向と直角な方向から挟み込んで保持するとともに、各々が前記第3及び第4粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、軸方向の移動を拘束された固定ジャーナル型と、
    前記第3及び第4粗クランクアーム部につながる前記粗ジャーナル部以外の前記粗ジャーナル部それぞれの位置に配置され、当該粗ジャーナル部を個々に軸方向と直角な方向から挟み込んで保持するとともに、各々が、当該粗ジャーナル部につながる前記粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、前記基準ピン型に向けて軸方向に移動する可動ジャーナル型と、を備え、
    前記粗ジャーナル部を前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型によって挟み込んで保持し、前記粗ピン部に前記基準ピン型及び前記可動ピン型を宛がった状態から、前記可動ジャーナル型を軸方向に移動させるとともに、前記可動ピン型を軸方向に移動させつつ軸方向と直角な方向に移動させると同時に、前記基準ピン型を軸方向と直角な方向に移動させることにより、前記ウエイト付き粗クランクアーム部を軸方向に挟圧してその厚みを前記鍛造クランク軸の前記ウエイト付きクランクアーム部の厚みまで減少させるとともに、前記粗ピン部を軸方向と直角な方向に押圧してその偏芯量を前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量まで増加させる、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  2. 請求項1に記載の成形装置において、
    前記基準ピン型及び前記可動ピン型は、前記粗ピン部それぞれにおける前記基準ピン型及び前記可動ピン型が宛がわれた側とは反対の外側に配置された補助ピン型を含んでおり、
    前記可動ジャーナル型、並びに前記可動ピン型及びこの可動ピン型と対を成す前記補助ピン型の軸方向への移動に伴って、前記可動ジャーナル型と、前記可動ピン型及び前記補助ピン型との隙間が閉ざされた後に、押圧変形する前記粗ピン部が前記補助ピン型に到達するように、前記可動ピン型の軸方向と直角な方向への移動が制御される、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  3. 請求項2に記載の成形装置において、
    前記可動ピン型の軸方向と直角な方向への総移動距離を100%としたとき、当該可動ピン型に隣接する前記可動ジャーナル型の軸方向への移動が完了した時点で、当該可動ピン型の軸方向と直角な方向への移動距離が総移動距離の90%以下であり、この後に当該可動ピン型の軸方向と直角な方向への移動が完了する、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形装置において、
    前記基準ピン型、前記可動ピン型、前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型は、軸方向と直角な方向に沿った方向に圧下が可能なプレス機に取り付けられており、
    プレス機の圧下に伴って、前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型が前記粗ジャーナル部を挟み込んで保持するとともに、前記基準ピン型及び前記可動ピン型が前記粗ピン部に宛がわれ、そのままプレス機の圧下を継続するのに伴って、前記可動ジャーナル型が個々に楔機構により軸方向に移動すると同時に、この可動ジャーナル型の移動に伴って、前記可動ピン型が個々に軸方向に移動する、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  5. 請求項4に記載の成形装置において、
    前記楔機構の楔角度が前記可動ジャーナル型のそれぞれで互いに異なる、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  6. 請求項4又は5に記載の成形装置において、
    前記基準ピン型及び前記可動ピン型が油圧シリンダに連結されており、この油圧シリンダの駆動により軸方向と直角な方向に移動する、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  7. 3気筒エンジン用の鍛造クランク軸であって、中央の第2ピン部につながる第3及び第4クランクアーム部にバランスウエイトを有さず、残りのクランクアーム部にバランスウエイトを有する鍛造クランク軸を製造する過程で、鍛造クランク軸の最終形状を造形する仕上打ちに供する仕上打ち用素材を、粗素材から成形する装置であって、
    前記粗素材は、
    前記鍛造クランク軸の各ジャーナル部と軸方向の長さが同じ粗ジャーナル部と、
    前記鍛造クランク軸の各ピン部と軸方向の長さが同じ第1、第2及び第3粗ピン部と、
    前記鍛造クランク軸の前記第3及び第4クランクアーム部に対応して当該クランクアーム部と軸方向の厚みが同じ第3及び第4粗クランクアーム部と、
    前記鍛造クランク軸の前記バランスウエイトを有するウエイト付きクランクアーム部に対応して当該クランクアーム部よりも軸方向の厚みが厚いウエイト付き粗クランクアーム部と、を有し、
    前記成形装置は、
    前記第2粗ピン部の位置に配置され、当該粗ピン部に宛がわれるとともに、当該粗ピン部につながる前記第3及び第4粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、軸方向の移動を拘束された基準ピン型と、
    前記第1及び第3粗ピン部それぞれの位置に配置され、当該粗ピン部それぞれに宛がわれるとともに、各々が、当該粗ピン部につながる前記粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、前記基準ピン型に向けた軸方向及び軸方向と直角な方向に移動する可動ピン型と、
    前記第3及び第4粗クランクアーム部につながる前記粗ジャーナル部の位置に配置され、当該粗ジャーナル部を個々に軸方向と直角な方向から挟み込んで保持するとともに、各々が前記第3及び第4粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、軸方向の移動を拘束された固定ジャーナル型と、
    前記第3及び第4粗クランクアーム部につながる前記粗ジャーナル部以外の前記粗ジャーナル部それぞれの位置に配置され、当該粗ジャーナル部を個々に軸方向と直角な方向から挟み込んで保持するとともに、各々が、当該粗ジャーナル部につながる前記粗クランクアーム部の側面に接触しつつ、前記基準ピン型に向けて軸方向に移動する可動ジャーナル型と、を備え、
    前記粗ジャーナル部を前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型によって挟み込んで保持し、前記粗ピン部に前記基準ピン型及び前記可動ピン型を宛がった状態から、前記可動ジャーナル型を軸方向に移動させるとともに、前記可動ピン型を軸方向に移動させつつ軸方向と直角な方向に移動させることにより、前記ウエイト付き粗クランクアーム部を軸方向に挟圧してその厚みを前記鍛造クランク軸の前記ウエイト付きクランクアーム部の厚みまで減少させるとともに、前記第1及び第3粗ピン部を軸方向と直角な方向で互いに反対方向に押圧してその偏芯量を前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量の√3/2まで増加させる、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  8. 請求項7に記載の成形装置において、
    前記成形装置は、仕上打ち用素材を、粗素材から成形する装置であって、
    前記粗素材は、
    前記鍛造クランク軸の各ジャーナル部と軸方向の長さが同じ粗ジャーナル部と、
    前記鍛造クランク軸の各ピン部と軸方向の長さが同じ第1、第2及び第3粗ピン部と、
    前記鍛造クランク軸の前記第3及び第4クランクアーム部に対応して当該クランクアーム部と軸方向の厚みが同じ第3及び第4粗クランクアーム部と、
    前記鍛造クランク軸の前記バランスウエイトを有するウエイト付きクランクアーム部に対応して当該クランクアーム部よりも軸方向の厚みが厚いウエイト付き粗クランクアーム部と、を有し、
    前記粗素材の両端の前記第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が互いに反対方向で前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量の√3/2よりも小さくされ、前記粗素材の中央の前記第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量がゼロ、又は前記第1及び第3粗ピン部の偏芯方向と直交する方向で前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量と同じにされている、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  9. 請求項7又は8に記載の成形装置において、
    前記基準ピン型及び前記可動ピン型は、前記粗ピン部それぞれにおける前記基準ピン型及び前記可動ピン型が宛がわれた側とは反対の外側に配置された補助ピン型を含んでおり、
    前記可動ジャーナル型、並びに前記可動ピン型及びこの可動ピン型と対を成す前記補助ピン型の軸方向への移動に伴って、前記可動ジャーナル型と、前記可動ピン型及び前記補助ピン型との隙間が閉ざされた後に、押圧変形する前記粗ピン部が前記補助ピン型に到達するように、前記可動ピン型の軸方向と直角な方向への移動が制御される、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  10. 請求項9に記載の成形装置において、
    前記可動ピン型の軸方向と直角な方向への総移動距離を100%としたとき、当該可動ピン型に隣接する前記可動ジャーナル型の軸方向への移動が完了した時点で、当該可動ピン型の軸方向と直角な方向への移動距離が総移動距離の90%以下であり、この後に当該可動ピン型の軸方向と直角な方向への移動が完了する、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  11. 請求項7〜10のいずれか1項に記載の成形装置において、
    前記基準ピン型、前記可動ピン型、前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型は、軸方向と直角な方向に沿った方向に圧下が可能なプレス機に取り付けられており、
    プレス機の圧下に伴って、前記固定ジャーナル型及び前記可動ジャーナル型が前記粗ジャーナル部を挟み込んで保持するとともに、前記基準ピン型及び前記可動ピン型が前記粗ピン部に宛がわれ、そのままプレス機の圧下を継続するのに伴って、前記可動ジャーナル型が個々に楔機構により軸方向に移動すると同時に、この可動ジャーナル型の移動に伴って、前記可動ピン型が個々に軸方向に移動する、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  12. 請求項11に記載の成形装置において、
    前記楔機構の楔角度が前記可動ジャーナル型のそれぞれで互いに異なる、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  13. 請求項11又は12に記載の成形装置において、
    前記可動ピン型が油圧シリンダに連結されており、この油圧シリンダの駆動により軸方向と直角な方向に移動する、3気筒エンジン用鍛造クランク軸の仕上打ち用素材の成形装置。
  14. 3気筒エンジン用の鍛造クランク軸であって、中央の第2ピン部につながる第3及び第4クランクアーム部にバランスウエイトを有さず、残りのクランクアーム部にバランスウエイトを有する鍛造クランク軸を製造する方法であって、
    前記製造方法は、下記の第1予備成形工程、第2予備成形工程、及び仕上打ち工程、の一連の工程を含む:
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形装置に供する前記粗素材として、両端の前記第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が互いに反対方向で前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量の√3/2と同じにされ、中央の前記第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が前記第1及び第3粗ピン部の偏芯方向と直交する方向で前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量よりも小さくされた粗素材を造形する第1予備成形工程;
    前記成形装置を用い、前記仕上打ち用素材として、前記ピン部の配置角度を含め前記鍛
    造クランク軸の最終形状が造形された仕上打ち用素材を成形する第2予備成形工程;及び
    前記仕上打ち用素材を仕上打ちし、前記ピン部の配置角度を含め前記鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上材を成形する仕上打ち工程。
  15. 3気筒エンジン用の鍛造クランク軸であって、中央の第2ピン部につながる第3及び第4クランクアーム部にバランスウエイトを有さず、残りのクランクアーム部にバランスウエイトを有する鍛造クランク軸を製造する方法であって、
    前記製造方法は、下記の第1予備成形工程、第2予備成形工程、仕上打ち工程、及び捩り工程、の一連の工程を含む:
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形装置に供する前記粗素材として、両端の前記第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が同じ方向で前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量よりも小さくされ、中央の前記第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が前記第1及び第3粗ピン部の偏芯方向と反対方向で前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量よりも小さくされた粗素材を造形する第1予備成形工程;
    前記成形装置を用い、前記仕上打ち用素材として、前記ピン部の配置角度を除き前記鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上打ち用素材を成形する第2予備成形工程;
    前記仕上打ち用素材を仕上打ちし、前記ピン部の配置角度を除き前記鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上材を成形する仕上打ち工程;及び
    前記仕上材の前記ピン部の配置角度を前記鍛造クランク軸の前記ピン部の配置角度に調整する捩り工程。
  16. 3気筒エンジン用の鍛造クランク軸であって、中央の第2ピン部につながる第3及び第4クランクアーム部にバランスウエイトを有さず、残りのクランクアーム部にバランスウエイトを有する鍛造クランク軸を製造する方法であって、
    当該製造方法は、下記の第1予備成形工程、第2予備成形工程、及び仕上打ち工程、の一連の工程を含む:
    請求項7〜13のいずれか1項に記載の成形装置に供する前記粗素材として、両端の前記第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が互いに反対方向で前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量の√3/2よりも小さくされ、中央の前記第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量がゼロにされた粗素材を造形する第1予備成形工程;
    前記成形装置を用い、前記仕上打ち用素材として、両端の前記第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が互いに反対方向で前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量の√3/2と同じにされ、中央の前記第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が前記粗素材と同じままにされた仕上打ち用素材を成形する第2予備成形工程;及び
    前記仕上打ち用素材を両端の前記第1及び第3粗ピン部を水平姿勢にした状態で仕上打ちして、全ての前記粗ピン部を軸方向と直角な方向に押圧し、前記ピン部の配置角度を含め前記鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上材を成形する仕上打ち工程。
  17. 3気筒エンジン用の鍛造クランク軸であって、中央の第2ピン部につながる第3及び第4クランクアーム部にバランスウエイトを有さず、残りのクランクアーム部にバランスウエイトを有する鍛造クランク軸を製造する方法であって、
    当該製造方法は、下記の第1予備成形工程、第2予備成形工程、及び仕上打ち工程、の一連の工程を含む:
    請求項7〜13のいずれか1項に記載の成形装置に供する前記粗素材として、両端の前記第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が互いに反対方向で前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量の√3/2よりも小さくされ、中央の前記第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が前記第1及び第3粗ピン部の偏芯方向と直交する方向で前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量と同じにされた粗素材を造形する第1予備成形工程;
    前記成形装置を用い、前記仕上打ち用素材として、両端の前記第1及び第3粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が互いに反対方向で前記鍛造クランク軸の前記ピン部の偏芯量の√3/2と同じにされ、中央の前記第2粗ピン部は、軸方向と直角な方向の偏芯量が前記粗素材と同じままにされた仕上打ち用素材を成形する第2予備成形工程;及び
    前記仕上打ち用素材を両端の前記第1及び第3粗ピン部を水平姿勢にした状態で仕上打ちして、前記第1及び第3粗ピン部を軸方向と直角な方向に押圧し、前記ピン部の配置角度を含め前記鍛造クランク軸の最終形状が造形された仕上材を成形する仕上打ち工程。
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