JP6168520B2 - インドール化合物、dpプロスタノイド受容体アンタゴニスト、それを用いた薬剤、及びdpプロスタノイド受容体アンタゴニストの使用。 - Google Patents

インドール化合物、dpプロスタノイド受容体アンタゴニスト、それを用いた薬剤、及びdpプロスタノイド受容体アンタゴニストの使用。 Download PDF

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Description

本発明は、インドール化合物、DPプロスタノイド受容体アンタゴニスト、それを用いた薬剤、及びDPプロスタノイド受容体アンタゴニストの使用に関する。
アラキドン酸は、シクロオキシゲナーゼ(COX)により中間代謝物であるプロスタグランジン(PG)Hへと変換され、さらにそれぞれのPG及びトロンボキサン(TX)合成酵素によってPGD、PGE、PGF2α、PGI、TXAに変換される。
PG、TXはプロスタノイドと総称され、各々に選択的な受容体としてDP、EP、FP、IP、TPが同定されている。これらプロスタノイド受容体はいずれも7回膜貫通型のGタンパク質共役型受容体(GPCR)である。
プロスタノイドの作用は非常に幅広く、組織ごとの発現やそれぞれの受容体からのシグナル伝達経路により制御され、炎症性疾患を始めとした様々な病態に関与している。例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、COX活性を抑制することによりプロスタノイドの生成を阻害し抗炎症作用を現す。
ところで、近年の研究により、NSAIDにはCOX阻害作用に加えて、COX阻害非依存的な作用も報告されている(例えば下記非特許文献1参照)。一般的なNSAIDであるインドメタシンもCOX阻害非依存的な作用の存在が明らかになりつつある。
そのひとつとして、下記非特許文献2、3には、インドメタシンがペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)γに直接結合しアゴニストとして活性化させること、PPARγのアンタゴニストとして作用すること、が記載されている。
また、下記非特許文献4、5には、インドメタシンによるPPARγをターゲットとした脂肪酸トランスポーターfatty acid translocase(FAT/CD36)のダウンレギュレーション、それに伴うアラキドン酸取り込みの抑制作用が記載されている。
さらに、下記非特許文献6には、ヒト肺癌A549細胞株にインドメタシンを処理することにより、PPARγ依存的な上皮−間葉転換(EMT)が引き起こされることが記載されている。
また、プロスタノイド受容体に対しては、インドメタシンがDP受容体に対してアンタゴニスト作用を示すことが例えば下記非特許文献7に記載されている。また、インドメタシンがCRTH2受容体に対してアゴニスト作用を示すことが例えば下記非特許文献8に記載されている。
また、インドメタシンがPGE受容体の1つであるEP2受容体に対してアンタゴニスト様に作用することが、例えば下記非特許文献9に記載されている。
Tegeder I,Pfeilschifter J,Geisslinger G.、(2001) Cyclooxygenase−independent actions of cyclooxygenase inhibitors.、 FASEB J.、15(12):2057−72. Lehmann JM,Lenhard JM,Oliver BB,Ringold GM,Kliewer SA.、(1997) Peroxisome proliferator−activated receptors alpha and gamma are activated by indomethacin and other non−steroidal anti−inflammatory drugs.、J Biol Chem.、272(6):3406−10. Bishop−Bailey D,Warner TD.、(2003) PPARgamma ligands induce prostaglandin production in vascular smooth muscle cells: indomethacin acts as a peroxisome proliferator−activated receptor−gamma antagonist.、FASEB J.、17(13):1925−7. Orido T,Fujino H,Hasegawa Y,Toyomura K,Kawashima T,Murayama T.、(2008) Indomethacin decreases arachidonic acid uptake in HCA−7 human colon cancer cells.、J Pharmacol Sci.、108(3):389−92. Orido T,Fujino H,Kawashima T,Murayama T.、(2010) Decrease in uptake of arachidonic acid by indomethacin in LS174T human colon cancer cells; a novel cyclooxygenase−2−inhibition−independent effect. Arch Biochem Biophys. 494(1):78−85. Kato T,Fujino H,Oyama S,Kawashima T,Murayama T.、(2011) Indomethacin induces cellular morphological change and migration via epithelial−mesenchymal transition in A549 human lung cancer cells: a novel cyclooxygenase−inhibition−independent effect.、Biochem Pharmacol.、82(11):1781−91. Jones RL,Giembycz MA,Woodward DF.、(2009) Prostanoid receptor antagonists: development strategies and therapeutic applications.、Br J Pharmacol.、158(1):104−45. Hirai H,Tanaka K,Takano S,Ichimasa M,Nakamura M,Nagata K.、(2002) Cutting edge: agonistic effect of indomethacin on a prostaglandin D2 receptor, CRTH2.、J Immunol.、168(3):981−5. Ikawa Y,Fujino H,Otake S,Murayama T.、(2012) Indomethacin antagonizes EP(2) prostanoid receptor activation in LS174T human colon cancer cells.、Eur J Pharmacol.、680(1−3):16−21.
上記のとおり、プロスタノイドの作用は非常に幅広く、組織ごとの発現やそれぞれの受容体からのシグナル伝達経路により制御されており、炎症性疾患を始めとした様々な病態に関与しているが、医薬品として使用されているものの多くはCOXを標的とした薬である。
しかしながら、プロスタノイド受容体を標的とした医薬品はほとんど存在せず、各受容体選択的な薬剤が望まれている。
そこで、本発明は、上記課題を鑑み、新規なインドール化合物、DPプロスタノイド受容体アンタゴニスト、それを用いた薬剤、及びDPプロスタノイド受容体アンタゴニストの使用を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の一観点に係るインドール化合物は、下記式(1)で示される。
上記式において、Rは、H、Me、Et、Bn、Ts、Ms、Ac、Bz、MOM、MEM、SEM、又はAllocである。また、Rは、H、Me、Et、Bn、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル基、又はニトロ基である。Rは、インドール骨格の炭素上であれば、いずれ位置に複数結合していてもよい。
また、本発明の他の一観点におけるDPプロスタノイド受容体アンタゴニストは、下記式(1)で示されるインドール化合物を含む。
上記式において、Rは、H、Me、Et、Bn、Ts、Ms、Ac、Bz、MOM、MEM、SEM、又はAllocである。また、Rは、H、Me、Et、Bn、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル基、又はニトロ基である。Rは、インドール骨格の炭素上であれば、いずれ位置に複数結合していてもよい。
また、本発明の他の一観点における薬剤は、下記式(1)で示されるインドール化合物を含む。
上記式において、Rは、H、Me、Et、Bn、Ts、Ms、Ac、Bz、MOM、MEM、SEM、又はAllocである。また、Rは、H、Me、Et、Bn、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル基、又はニトロ基である。Rは、インドール骨格の炭素上であれば、いずれ位置に複数結合していてもよい。
また、本発明の他の一観点におけるDPプロスタノイド受容体アンタゴニストの使用は、薬剤の製造における下記式(1)で示すインドール化合物を含むDPプロスタノイド受容体アンタゴニストの使用である。
上記式において、Rは、H、Me、Et、Bn、Ts、Ms、Ac、Bz、MOM、MEM、SEM、又はAllocである。また、Rは、H、Me、Et、Bn、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル基、又はニトロ基である。Rは、インドール骨格の炭素上であれば、いずれ位置に複数結合していてもよい。
以上、本発明によって、新規なインドール化合物、DPプロスタノイド受容体アンタゴニスト、それを用いた薬剤、及びDPプロスタノイド受容体アンタゴニストの使用を提供することができる。
ヒト結腸癌細胞株LS174T細胞にインドール化合物を前処理した後、BW245Cで刺激した後のcAMP産生量を測定した結果を示す図である。 DP受容体を過剰発現したヒトHEK293モデル細胞を用い、1nM PGD刺激によるcAMP産生量を測定した結果を示す図である。 細胞にAWT−489を前処理し、1nM PGE刺激によるcAMP産生量を測定した結果を示す図である。 DP受容体を過剰発現したHEK293細胞への[H]−PGD結合量を示す図である。 実際のヒト結腸癌LS174T細胞株を用いてAWT−489によるcAMP産生抑制作用について検討を行った結果を示す図である。 既存のDP受容体アンタゴニストであるBWA868CとAWT−489の作用を比較した結果を示す図である。 PGDまたはBW245C刺激による用量作用曲線における10μM AWT−489または10nM BWA868C前処理による影響を検討した結果を示す図である。 PGDまたはBW245C刺激による用量作用曲線における10μM AWT−489または10nM BWA868C前処理による影響を検討した結果を示す図である。 DP受容体刺激によるCD55発現への効果を検討した結果を示す図である。 DP受容体刺激によるCD55発現への効果を検討した結果を示す図である。 AWT−489のPGD刺激、又は、BW245C刺激によるCD55発現上昇への効果を検討した結果を示す図である。 CD55発現量のタンパク質レベルにおけるAWT−489の効果を確認した結果を示す図である。 AWT−489のDP受容体アンタゴニスト作用が可逆的かどうかについて検討を行った結果を示す図である。 PGDがDP受容体だけでなくGiタンパク質と共役しているCRTH2受容体にも作用することを示す図である。 LS174T細胞におけるAWT−489によるcAMP産生量の減少が、AWT−489がCRTH2受容体のアゴニストとして作用していることに起因する可能性について検討した結果を示す図である。 LS174T細胞におけるAWT−489によるcAMP産生量の減少が、AWT−489がCRTH2受容体のアゴニストとして作用していることに起因する可能性について検討した結果を示す図である。 LS174T細胞におけるAWT−489によるcAMP産生量の減少が、AWT−489がCRTH2受容体のアゴニストとして作用していることに起因する可能性について検討した結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
(インドール化合物)
まず、本実施形態に係るインドール化合物(以下「本化合物」という。)は、下記式(1)で示される。
ここでRは、H、Me、Et、Bn、Ts、Ms、Ac、Bz、MOM、MEM、SEM、又はAllocである。また、Rは、H、Me、Et、Bn、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル基、又はニトロ基である。Rは、インドール骨格の炭素上であれば、いずれ位置に複数結合していてもよい。
(DPプロスタノイド受容体アンタゴニスト)
また、上記化合物は、後述の記載から明らかとなるが、DPプロスタノイド受容体アンタゴニストでもある。
(薬剤)
また、上記化合物は、後述の記載から明らかとなるが、DPプロスタノイド受容体アンタゴニストもあって、薬剤として使用することができると考えられる。この薬剤は、効果を発揮することができる用途において限定されるわけではないが、癌抑制作用を有する薬剤、より具体的には抗がん剤であることが好ましい。この薬剤はNSAIDとしての抗炎症作用を有しないため、NSAIDの副作用である胃腸管障害などを引き起こすおそれがないと考えられる。
薬剤として用いる場合、上記化合物のほか、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、賦形剤、希釈剤(例えば蒸留水)、pH緩衝材(例えばリン酸緩衝生理食塩水)、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤等の各種調剤用配合剤成分を含有することができる。
また本実施形態に係る薬剤は、その使用形態に応じて経口的に又は非経口的に投与することができる。経口的な投与としては通常用いられる投与形態、例えば粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁液、油剤、乳化剤等の投与形態を採用することができる。非経口的な投与としては、通常用いられる投与形態、例えば上記の液剤、懸濁液等にしたものを点滴や注射により投与する形態、直接損傷部位に投与する形態等を採用することができる。
本実施形態に係る薬剤の投与量は、患者の体重、性別、神経損傷の程度、投与の方法に応じて適宜選択されうる。
(プロスタノイド受容体アンタゴニストの使用)
また、本化合物は、薬剤の製造において、DPプロスタノイド受容体アンタゴニストとして使用することができる。
また、本化合物は、癌抑制作用を有する薬剤、より具体的には抗がん剤の、又は、胃腸管障害などの炎症性疼痛を発症するリスクが高い被検体においてこの作用の軽減をもたらす薬剤の開発のためのリード化合物として、効果の高い癌治療薬の開発につながると期待される。
(製造方法)
また、本実施形態において、本化合物は、合成することができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば特開2012−092066号公報に記載の技術、及び、“Arai,T.;Awata,A.;Wasai,M.;Yokoyama,N.;Masu,H.J.Org.Chem.2011,76,5450−5456.”を参照して合成することができる。より具体的には、下記式(A)で示すように、三置換ニトロアクリレート1とインドール2を反応させることで合成することができる。
なお、上記式(A)において用いられる触媒を形成する下記式(2)で示される配位子も、合成できる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば特許第5131818号明細書、及び、“Yokoyama,N.;Arai,T.Chem.Commun.2009,3285−3287.”に記載の方法によって合成することができる。
以上、本実施形態によって、新規なインドール化合物、DPプロスタノイド受容体アンタゴニスト、それを用いた薬剤、及びDPプロスタノイド受容体アンタゴニストの使用を提供することができる。
ここで、上記実施形態に係る化合物について実際に作成を行い、その効果を確認した。以下具体的に説明する。
(インドール化合物の合成)
まず、上記実施形態に記載の方法を用いて、以下に示す5種類の光学活性非対称インドール化合物を用意した。
次に、上記化合物それぞれに対し、トリフルオロ酢酸(TFA)で処理することによりtBu基を除去し、カルボン酸とした下記5種類の化合物(AWT−489,AWT−746,AWT−747,AWT−748,AWT−749)を得た。具体的には、0.5 mlのジクロロメタン中に0.150mmolの上記いずれかの化合物を溶解させた溶液に、室温下、0.5mlトリフルオロ酢酸(TFA)を加え、一時間攪拌後、減圧下にて溶媒を除去し、トルエン1mlを加えトリフルオロ酢酸を共沸させることによって、カルボン酸とした5種類の化合物(AWT−489,AWT−746,AWT−747,AWT−748,AWT−749)を定量的に得た。
(スクリーニング)
DP受容体の発現が確認されているヒト結腸癌細胞株LS174T細胞に10μMのインドール化合物を15分間前処理後、1nM BW245C(DP receptor agonist)で刺激し、1時間後のcAMP産生量を測定した。この結果を図1に示しておく。本図で示すように、5種類のインドール化合物の中で、AWT−489が最も強くcAMP産生量を抑制していることを確認した。
(DP受容体発現HEK293細胞株におけるAWT−489のcAMP産生への影響)
次に、上記LS174T細胞で確認されたAWT−489によるcAMP産生抑制作用の詳細を検討するため、DP受容体を過剰発現したヒトHEK293モデル細胞を用い、1nM PGD刺激によるcAMP産生量を測定した。この結果を図2に示す。
この測定において、AWT−489単独処理ではcAMP産生は引き起こされなかった(●)。しかしながらPGD刺激により亢進したcAMP産生量に対して、AWT−489は濃度依存的に抑制した(○)(図2A)。
次に、AWT−489のPGDの用量作用曲線への影響を検討した。その結果10μM AWT−489を前処理することで(○)PGDの用量作用曲線は右へとシフトした(図2B)。
(EP2受容体発現HEK293細胞株におけるAWT−489のcAMP産生への影響)
また、EP2受容体を発現したHEK293細胞においても同様にAWT−489の効果について検討を行った。この検討では、細胞にAWT−489を前処理し、1nM PGE刺激によるcAMP産生量を測定した。その結果、どの濃度のAWT−489処理においてもPGEによるcAMP産生量を抑制することはなかった(○)。すなわち、DP受容体発現細胞において見られたAWT−489によるcAMP産生量の抑制作用はEP2受容体発現細胞株においては見られなかった。
(AWT−489のDP受容体、又は、EP2受容体結合への影響)
DP受容体への[H]−PGDの結合に対するAWT−489の影響をwhole cell binding assayにて検討した。DP受容体を過剰発現したHEK293細胞への[H]−PGD結合量はAWT−489により濃度依存的に減少した (図4A)。しかしながらEP2受容体発現HEK293細胞への[H]−PGE結合量は100μM AWT−489においても抑制されることはなかった(図4B)。
(LS174T細胞株におけるAWT−489のcAMP産生に対する影響)
次に、実際のヒト結腸癌LS174T細胞株を用いてAWT−489によるcAMP産生抑制作用について検討を行った。10nM PGD(A)及び1nM BW245C(B)刺激により亢進したcAMP産生量に対して、AWT−489は濃度依存的にcAMP産生量を抑制した(図5)。
また、既存のDP受容体アンタゴニストであるBWA868CとAWT−489の作用を比較した。BWA868CはDP受容体のアンタゴニストであるが、パーシャルアゴニスト活性も有することが報告されている(例えば“Liu et al.,1996”参照)。BWA868Cを単独処理したところ、cAMP産生量を微増させるアゴニスト活性を有することが確認された(図6A)。しかしながらAWT−489単独処理ではcAMP産生量を増加させることはなく、AWT−489のアゴニスト活性は認められなかった(図6B)。
次に、PGDまたはBW245C刺激による用量作用曲線における10μM AWT−489または10nM BWA868C前処理による影響を検討した(図7、図8)。その結果、PGD(図7A,●)、又は、BW245C(図8A,●)の用量作用曲線はAWT−489(○)、又は、BWA868C(△)前処理により右にシフトした。BWA868C前処理によりAWT−489前処理よりも大きく右へのシフトが見られた。
次に図7A、図8Aから10nM PGD、1nM BW245Cにおけるデータを抽出し、棒グラフへとre−plotした(図7B,8B)。その結果、AWT−489、BWA868Cともに10nM PGD、又は、1nM BW245C刺激によるcAMP産生量を有意に抑制した。しかしながら、BWA868Cのアゴニスト活性により、basalレベルのcAMP産生量が増加したため、PGD、又は、BW245C刺激によるcAMP産生への抑制効果はAWT−489の方がBWA868Cよりも高いことが明らかとなった。
(LS174T細胞におけるDP受容体を介したCD55の発現とAWT−489の影響)
ところで、癌細胞において補体系を抑制することで癌を悪化させるCD55は、PGD刺激により発現量が増加することが報告されている(Holla et al.,2005)。そこで、DP受容体情報伝達系へのAWT−489の効果を検証するためDP受容体刺激によるCD55発現への効果を検討した。LS174T細胞に10nM PGD、又は、1nM BW245Cを処理し、CD55 mRNA産生量の変化をRT−PCR法により検討した。その結果、PGD、BW245C両処理共に刺激後4時間をピークとした時間依存的なCD55 mRNAの発現量の増大が確認された(図9)。
またPGD、又は、BW245Cを4時間処理したところ、CD55 mRNAはPGDおよびBW245Cの濃度依存的に上昇した(図10)。
次に、AWT−489のPGD刺激、又は、BW245C刺激によるCD55発現上昇への効果を検討した。10μM AWT−489、又は、10nM BWA868Cを15分間前処理し、10nM PGDまたは1nM BW245Cを4時間刺激した時のCD55 mRNA発現量を測定した(図11)。
PGDまたはBW245Cにより亢進したCD55 mRNAはAWT−489前処理で有意に抑制された。BWA868C前処理では、DP受容体に対するアゴニスト活性により、単独処理においてもCD55発現の亢進が見られ、PGD、又は、BW245CによるCD55 mRNA産生に対する有意な抑制は見られなかった。さらにCD55発現量のタンパク質レベルにおけるAWT−489の効果を確認するためWestern blot法を用いて検討を行った。10μM AWT−489、又は、10nM BWA868Cを15分間前処理し、10nM PGD、又は、1nM BW245Cで8時間刺激した時のCD55タンパク質発現量を検討した(図12)。
PGD、又は、BW245C刺激により上昇したCD55はAWT−489前処理により有意に抑制された。しかしながら、CD55 mRNA発現への効果と同様にBWA868C前処理ではアゴニスト活性によりAWT−489ほど抑制効果は見られなかった。
(AWT−489作用の可逆性の検討)
AWT−489のDP受容体アンタゴニスト作用が可逆的かどうかについて検討を行った。DP受容体を発現させたHEK293細胞に10μM AWT−489を30分間前処理後、FBSの入っていないOpti−MEMで3回washを行った。次にその細胞を用いて、AWT−489を再び前処理し1nM PGD刺激した時のcAMP産生量を測定した(図13)。その結果、washを行うことでAWT−489のcAMP産生抑制作用は減少し、2度目のAWT−489前処理により再び1nM PGD刺激によるcAMP産生量の抑制が見られた。
(LS174T細胞における[H]−PGD結合へのAWT−489の影響)
LS174T細胞においてもDP受容体を発現させたHEK293細胞と同様にAWT−489の作用点が受容体であるかどうかをwhole cell binding assayにて検討した(図14)。この結果、LS174T細胞への[H]−PGDの結合量は10 μM AWT−489により8割程度抑制された。
(LS174T細胞におけるCRTH2受容体)
PGDはDP受容体だけでなくGiタンパク質と共役しているCRTH2受容体にも作用する。RT−PCR法によりLS174T細胞においてDP受容体だけでなくCRTH2受容体mRNAの発現が確認された(図15)。
そこでLS174T細胞におけるAWT−489によるcAMP産生量の減少が、AWT−489がCRTH2受容体のアゴニストとして作用していることに起因する可能性について検討した。CRTH2受容体アゴニストである100nM DK−PGD、又は、CRTH2受容体アンタゴニストである10nM CAY10471を15分間前処理し、forskolin刺激によりアデニル酸シクラーゼを活性化させたときのcAMP産生量を測定した(図16)。
その結果、forskolinにより亢進したcAMP産生量はDK−PGD、CAY10471前処理により変化することはなかった。また、CRTH2受容体アゴニストである100nM DK−PGDと10μM AWT−489を15分間前処理後、10nM PGD、又は、1nM BW245Cを1時間処置した時のcAMP産生量を測定した(図17)。DK−PGDを前処理することにより、Giタンパク質に共役しているCRTH2受容体が活性化し、PGD、又は、BW245C刺激によるcAMP産生が抑制されることが考えられる。しかしながら、PGD、又は、BW245C単独処理よりもcAMP産生が減少することはなかった。また10μM AWT−489によるcAMP産生抑制効果にDK−PGDは影響を与えなかった。
これらの実験結果を要約すると、以下のようになる。
1.LS174T細胞においてAWT−489がBW245C刺激によるcAMP産生抑制作用を示した。
2.DP受容体を過剰発現したヒトHEK293モデル細胞を用い、PGD刺激によるcAMP産生量に対するAWT−489の効果を検討し、AWT−489の濃度依存的な減少が見られ、LS174T細胞特異的な作用ではないことが確認した。DP受容体を過剰発現させたHEK293細胞への[H]−PGDの結合量は、AWT−489の濃度依存的に減少した。
3.AWT−489のDP受容体親和性はインドメタシンより強い。
4.AWT−489はDP受容体の競合的アンタゴニストとして作用することによりcAMP産生を可逆的に抑制している。
5.AWT−489は、DP受容体に選択的に作用していることが示唆された。(EP2受容体選択性は低い。)
6.タンパク質発現への影響について、AWT−489はCD55の産生抑制作用を示した。
7.補体系の抑制を解除することによる免疫作用の活性化により癌抑制作用を有する可能性が示唆される。
尚、LS174T細胞においてAWT−489のCRTH2受容体への影響は極めて低いことも確認している。
以上の通り、本実施例により、DP受容体に対するアンタゴニスト様作用物質として新規インドール化合物AWT−489を創出し、新規なインドール化合物、DPプロスタノイド受容体アンタゴニスト、それを用いた薬剤、及びDPプロスタノイド受容体アンタゴニストの使用を提供することができることを確認した。
PGD刺激によるcAMP産生抑制作用を示すAWT−489をリード化合物とすることで、効果の高い癌治療薬の開発につながると期待される。例えば、CD55発現を抑制することでrituximabの補体依存性細胞障害(CDC)活性抵抗性が解消され抗癌作用が亢進することが報告されていることからも、モノクロ―ナル抗体と組み合わせる癌治療が考えられる。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で示されるインドール化合物。
    (ここでRは、H、Me、Et、Bn、Ts、Ms、Ac、Bz、MOM、MEM、SEM、又はAllocである。また、Rは、H、Me、Et、Bn、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル基、又はニトロ基である。Rは、インドール骨格の炭素上であれば、いずれ位置に複数結合していてもよい。)
  2. 下記式(1)で示されるインドール化合物であるDPプロスタノイド受容体アンタゴニスト。

    (ここでRは、H、Me、Et、Bn、Ts、Ms、Ac、Bz、MOM、MEM、SEM、又はAllocである。また、Rは、H、Me、Et、Bn、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル基、又はニトロ基である。Rは、インドール骨格の炭素上であれば、いずれ位置に複数結合していてもよい。)
  3. 下記式(1)で示されるインドール化合物を含む薬剤。

    (ここでRは、H、Me、Et、Bn、Ts、Ms、Ac、Bz、MOM、MEM、SEM、又はAllocである。また、Rは、H、Me、Et、Bn、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル基、又はニトロ基である。Rは、インドール骨格の炭素上であれば、いずれ位置に複数結合していてもよい。)
  4. 薬剤の製造における、下記式(1)で示されるインドール化合物であるDPプロスタノイド受容体アンタゴニストの使用。
    (ここでRは、H、Me、Et、Bn、Ts、Ms、Ac、Bz、MOM、MEM、SEM、又はAllocである。また、Rは、H、Me、Et、Bn、ハロゲン、アルコキシ、アミノ、アシル基、又はニトロ基である。Rは、インドール骨格の炭素上であれば、いずれ位置に複数結合していてもよい。)
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