(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、負荷機器へ電力を供給する技術に関し、以下の問題が生じることを見出した。
特許文献1および特許文献2に記載の無停電電源装置は、停電の際に、負荷機器へ電力を供給することができる。これにより、系統電源において停電が発生した場合でも、負荷機器へ電力が供給される。
しかしながら、例えば、電力供給を停止してから、即時に、電力供給を開始することが適切でない負荷機器が存在する。このような負荷機器に対して、系統電源の停電の際に、即時に電力を供給することは適切でない。例えば、冷蔵庫は、停電の際に、即時に電力を供給することが適切でない負荷機器の例である。
冷蔵庫は、モータで動作する圧縮機(コンプレッサ)を有し、圧縮機を用いて庫内の物質を冷却する。具体的には、気化した冷媒が、圧縮機によって圧縮される。圧縮された冷媒は、外気によって冷却され、液化する。その後、液化した冷媒が、気化することによって庫内の熱を吸収する。気化した冷媒は、再び、圧縮機によって圧縮される。このような動作が繰り返されることにより、冷蔵庫は、庫内の物質を冷却することができる。
しかし、電力供給が停止された場合、冷媒が適切に循環せずに、液化した冷媒が圧縮機に入る。圧縮機が液化した冷媒を圧縮することは困難である。このような状態で、電力供給が開始されても、圧縮機を駆動するモータが動かず、負荷が大きくなる。そのため、電力供給が開始されても、冷蔵庫のオーバーロードリレーが電力供給を遮断する。これにより、冷蔵庫の回路は保護されるが、冷蔵庫は正常に動作しない。
したがって、停電の際、冷蔵庫に対して、即時に電力供給を開始するよりも、しばらく待ってから電力供給を開始する方が適切である。このように、例えば、モータで動作する圧縮機を有する負荷機器に対して、停電の際に、即時に電力を供給することは適切でない。
そこで、本発明の一態様に係る配電制御装置は、蓄電池からインバータを介して供給される電力の配電を制御する配電制御装置であって、第1負荷機器を接続するための第1出力端子と、モータで動作する圧縮機を有する第2負荷機器を接続するための第2出力端子と、前記インバータと前記第1出力端子との間の電力経路の導通および非導通を切り替える第1スイッチと、前記インバータと前記第2出力端子との間の電力経路の導通および非導通を切り替える第2スイッチと、系統電源の停電を検知し、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御することにより前記インバータから前記第1出力端子および前記第2出力端子へ電力を供給する制御部とを備え、前記制御部は、前記停電が検知された場合、前記第2出力端子への電力供給を開始せずに前記第1出力端子への電力供給を開始し、前記第1出力端子への電力供給を開始してから所定期間遅らせて前記第2出力端子への電力供給を開始する。
これにより、配電制御装置は、停電の際に、第2負荷機器の状態が落ち着いてから、第2負荷機器を接続するための第2出力端子へ電力を供給することができる。したがって、配電制御装置は、停電の際に、第2負荷機器に対して電力を適切に供給することができる。
例えば、前記第1スイッチは、前記インバータと前記第1出力端子との間の電力経路と、前記インバータと前記第2出力端子との間の電力経路とにおいて共通する電力経路の導通および非導通を切り替え、前記第2スイッチは、前記共通する電力経路と前記第2出力端子との間の電力経路の導通および非導通を切り替えてもよい。
これにより、配電制御装置は、第1出力端子と第2出力端子との両方への電力供給の制御に第1スイッチを用いることができる。
また、例えば、前記制御部は、前記停電が検知され、前記制御部が前記第1出力端子への電力供給と前記第2出力端子への電力供給とを同時に開始した後に前記インバータが停止する場合、前記第2出力端子への電力供給を開始せずに前記第1出力端子への電力供給を開始し、前記第1出力端子への電力供給を開始してから前記所定期間遅らせて前記第2出力端子への電力供給を開始してもよい。
これにより、配電制御装置は、第1出力端子と第2出力端子との両方へ同時に電力供給を開始できる場合に、第1出力端子と第2出力端子との両方へ同時に電力供給を開始する。そして、配電制御装置は、第1出力端子と第2出力端子との両方へ同時に電力供給を開始できない場合に、第2出力端子へ電力供給を遅らせる。したがって、配電制御装置は、適応的に、第1出力端子および第2出力端子へ電力を供給することができる。
また、例えば、前記制御部は、前記停電が検知され、前記制御部が前記第1出力端子への電力供給と前記第2出力端子への電力供給とを同時に開始した後に前記インバータが停止する動作が複数回繰り返された場合、前記第2出力端子への電力供給を開始せずに前記第1出力端子への電力供給を開始し、前記第1出力端子への電力供給を開始してから前記所定期間遅らせて前記第2出力端子への電力供給を開始してもよい。
これにより、配電制御装置は、第1出力端子と第2出力端子との両方へ同時に電力供給を開始する動作を複数回試行する。配電制御装置は、複数回の試行によって、第2出力端子へ電力供給を早期に開始できる可能性がある。
また、例えば、前記制御部は、前記制御部が前記第1出力端子への電力供給を開始し前記所定期間遅らせて前記第2出力端子への電力供給を開始した後に前記インバータが停止する場合、前記第1出力端子および前記第2出力端子のうち前記第1出力端子のみへ電力を供給してもよい。
これにより、配電制御装置は、第2出力端子へ電力を供給できない場合でも、第1出力端子へ電力を供給することができる。
また、例えば、前記制御部は、前記制御部が前記第1出力端子への電力供給を開始し前記所定期間遅らせて前記第2出力端子への電力供給を開始した後に前記インバータが停止する動作が複数回繰り返された場合、前記第1出力端子および前記第2出力端子のうち前記第1出力端子のみへ電力を供給してもよい。
これにより、配電制御装置は、第1出力端子へ電力供給の開始に遅れて第2出力端子へ電力供給を開始する動作を複数回試行する。配電制御装置は、複数回の試行によって、第2出力端子へ電力供給を開始できる可能性がある。
また、例えば、前記制御部は、前記インバータから前記第2出力端子への電力供給を開始する際に前記インバータの過負荷保護機能を緩和または停止させてもよい。
これにより、配電制御装置は、第2出力端子へ電力供給を開始する際に一時的に過負荷の状態が発生しても、第2出力端子へ電力を供給することができる。
また、例えば、前記制御部は、前記インバータから前記第1出力端子への電力供給を開始する際に前記インバータの過負荷保護機能を緩和または停止させてもよい。
これにより、配電制御装置は、第1出力端子へ電力供給を開始する際に一時的に過負荷の状態が発生しても、第1出力端子へ電力を供給することができる。
また、例えば、前記制御部が前記第1出力端子への電力供給を開始してから前記第2出力端子への電力供給の開始を遅らせる前記所定期間は、3分以上でもよい。
これにより、配電制御装置は、第2負荷機器の状態が落ち着いた後に、第2負荷機器を接続するための第2出力端子へ電力を供給することができる。
また、例えば、前記制御部が前記第1出力端子への電力供給を開始してから前記第2出力端子への電力供給の開始を遅らせる前記所定期間は、30分以内でもよい。
これにより、配電制御装置は、第2出力端子への電力供給を開始するまでの時間が長くなりすぎることを回避することができる。
また、例えば、前記配電制御装置は、さらに、前記第2出力端子への電力供給を開始するまでの時間を報知する報知部を備えてもよい。
これにより、配電制御装置は、第2出力端子への電力供給を開始するまでの時間をユーザに通知することができる。
また、例えば、前記第2負荷機器は、物質を冷蔵する冷蔵装置であり、前記第2出力端子は、前記冷蔵装置を接続するための出力端子でもよい。
これにより、配電制御装置は、冷蔵装置用の第2出力端子への電力供給を適切に開始することができる。
また、例えば、前記冷蔵装置は、インバータを有するインバータ型冷蔵装置とは異なるインダクション型冷蔵装置でもよい。
これにより、配電制御装置は、モータの回転数を変更することが困難なインダクション型冷蔵装置への電力供給を適切に開始することができる。
また、例えば、前記第1負荷機器は、照明装置または通信装置であり、前記第1出力端子は、前記照明装置または前記通信装置を接続するための出力端子でもよい。
これにより、配電制御装置は、照明装置用または通信装置用の第1出力端子への電力供給を比較的早期に開始することができる。
また、例えば、前記配電制御装置は、さらに、前記第1出力端子および前記第2出力端子への電力供給元を前記系統電源および前記インバータのいずれかに切り替える第3スイッチを備え、前記制御部は、前記停電が検知されなかった際に前記第3スイッチを制御することにより前記系統電源から前記第1出力端子および前記第2出力端子へ電力を供給し、前記停電が検知された際に前記第3スイッチを制御することにより前記インバータから前記第1出力端子および前記第2出力端子へ電力を供給してもよい。
これにより、配電制御装置は、停電でない場合に、系統電源から電力を供給し、停電の場合に、蓄電池からインバータを介して電力を供給することができる。
また、例えば、前記配電制御装置は、さらに、前記蓄電池から出力された電力を直流電力から交流電力へ変換する前記インバータを備えてもよい。
これにより、配電制御装置は、蓄電池から供給される電力を配電制御装置の内部で適切に変換することができる。
また、例えば、前記配電制御装置は、さらに、前記蓄電池を備えてもよい。
これにより、配電制御装置は、配電制御装置が有する蓄電池によって、電力を供給することができる。
また、例えば、前記蓄電池は、前記配電制御装置から取り外し可能、かつ、前記配電制御装置とは異なる電気機器に接続可能であり、前記配電制御装置から取り外され前記電気機器に接続された際に、前記電気機器に電力を供給してもよい。
これにより、配電制御装置は、別の用途に利用可能な蓄電池を停電時の電力供給に用いることができる。
さらに、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における配電制御装置の構成を示すブロック図である。図1に示された配電制御装置100は、第1スイッチ111、第2スイッチ112、第1出力端子121、第2出力端子122、および、制御部130を備える。配電制御装置100は、蓄電池150からインバータ140を介して供給される電力の配電を制御する。
第1出力端子121は、第1負荷機器161を接続するための出力端子である。つまり、第1出力端子121には、第1負荷機器161が接続される。第2出力端子122は、第2負荷機器162を接続するための出力端子である。つまり、第2出力端子122には、第2負荷機器162が接続される。第2負荷機器162は、モータで動作する圧縮機を有する。
第1スイッチ111は、インバータ140と第1出力端子121との間の電力経路(電力線)の導通および非導通を切り替えるためのスイッチである。第2スイッチ112は、インバータ140と第2出力端子122との間の電力経路の導通および非導通を切り替えるためのスイッチである。
制御部130は、系統電源の停電を検知し、第1スイッチ111および第2スイッチ112を制御することによりインバータ140から第1出力端子121および第2出力端子122へ電力を供給する。
図2は、図1に示された配電制御装置100の動作を示すフローチャートである。まず、制御部130は、停電を検知する(S101)。そして、制御部130は、インバータ140から第1出力端子121および第2出力端子122へ電力を供給する(S102、S103)。
具体的には、制御部130は、停電が検知された場合、第2出力端子122への電力供給を開始せずに第1出力端子121への電力供給を開始する(S102)。次に、制御部130は、第1出力端子121への電力供給を開始してから所定期間遅らせて第2出力端子122への電力供給を開始する(S103)。
上記の動作により、配電制御装置100は、停電の際に、第2負荷機器162の状態が落ち着いてから、第2負荷機器162を接続するための第2出力端子122へ電力を供給することができる。したがって、配電制御装置100は、停電の際に、第1負荷機器161および第2負荷機器162に対して電力を適切に供給することができる。
特に、第2負荷機器162は、モータで動作する圧縮機を有する。したがって、第2負荷機器162に対して、停電直後に電力を供給することが適切でない場合がある。そのため、配電制御装置100は、所定期間遅らせて第2出力端子122への電力供給を開始する。これにより、配電制御装置100は、第2負荷機器162の状態が落ち着いてから第2負荷機器162へ電力を供給することができる。
図3は、図1に示された配電制御装置100の第1変形例の構成を示すブロック図である。図3に示された配電制御装置101は、図1に示された配電制御装置100と同様に、第1スイッチ111、第2スイッチ112、第1出力端子121、第2出力端子122、および、制御部130を備える。配電制御装置101は、蓄電池150からインバータ140を介して供給される電力の配電を制御する。
配電制御装置101では、第1スイッチ111が、インバータ140と第1出力端子121との間の電力経路、および、インバータ140と第2出力端子122との間の電力経路の共通部分に配置される。そして、第1スイッチ111は、インバータ140と第1出力端子121との間の電力経路と、インバータ140と第2出力端子122との間の電力経路とにおいて共通する電力経路の導通および非導通を切り替える。第2スイッチ112は、共通の電力経路と第2出力端子122との間の電力経路の導通および非導通を切り替える。
すなわち、第1スイッチ111は、インバータ140と第1出力端子121との間の電力経路の導通および非導通を切り替えるとともに、インバータ140と第2スイッチ112との間の電力経路の導通および非導通を切り替える。第2スイッチ112は、第1スイッチ111と第2出力端子122との間の電力経路の導通および非導通を切り替える。
配電制御装置101も、図2に示された動作を行うことで、配電制御装置100と同様に、第1負荷機器161および第2負荷機器162に対して電力を適切に供給することができる。また、配電制御装置101は、第1出力端子121と第2出力端子122との両方への電力供給の制御に第1スイッチ111を用いることができる。
図4は、図1に示された配電制御装置100の第2変形例の構成を示すブロック図である。図4に示された配電制御装置102は、図1に示された配電制御装置100と同様に、第1スイッチ111、第2スイッチ112、第1出力端子121、第2出力端子122、および、制御部130を備える。また、配電制御装置102は、さらに、第3スイッチ113を備える。第3スイッチ113は、第1出力端子121および第2出力端子122への電力供給元を系統電源およびインバータ140のいずれかに切り替える。
制御部130は、停電が検知されなかった際に第3スイッチ113を制御することにより系統電源から第1出力端子121および第2出力端子122へ電力を供給する。また、制御部130は、停電が検知された際に第3スイッチ113を制御することによりインバータ140から第1出力端子121および第2出力端子122へ電力を供給する。
これにより、配電制御装置102は、停電でない場合に、系統電源から供給される電力を第1負荷機器161および第2負荷機器162へ供給することができる。また、配電制御装置102は、停電の場合に、蓄電池150からインバータ140を介して供給される電力を第1負荷機器161および第2負荷機器162へ供給することができる。
図5は、図1に示された配電制御装置100の第3変形例の構成を示すブロック図である。図5に示された配電制御装置103は、図3に示された配電制御装置101と同様に、第1スイッチ111、第2スイッチ112、第1出力端子121、第2出力端子122、および、制御部130を備える。
また、第1スイッチ111が、第1出力端子121および第2出力端子122への電力供給元を系統電源およびインバータ140のいずれかに切り替える第3スイッチ113を有する。つまり、第1スイッチ111が、第1出力端子121および第2出力端子122への電力供給元を系統電源およびインバータ140のいずれかに切り替えてもよい。
なお、第3スイッチ113が、インバータ140と第1出力端子121との間の電力経路の導通および非導通を切り替える第1スイッチ111を有してもよい。つまり、第3スイッチ113が、インバータ140と第1出力端子121との間の電力経路の導通および非導通を切り替えてもよい。
図6は、図1に示された配電制御装置100の第4変形例の構成を示すブロック図である。図6に示された配電制御装置104は、図1に示された配電制御装置100と同様に、第1スイッチ111、第2スイッチ112、第1出力端子121、第2出力端子122、および、制御部130を備える。また、配電制御装置104は、さらに、報知部180を備える。
報知部180は、例えば、第2出力端子122への電力供給を開始するまでの時間を報知する。具体的には、報知部180は、現時点から第2出力端子122への電力供給を開始するまでにかかる時間をLED(発光ダイオード)によってユーザに報知してもよい。報知部180は、開始までの時間を音声でユーザに報知してもよい。
また、報知部180は、開始までの時間に限らず、配電制御装置104の状態を報知してもよい。例えば、報知部180は、第1出力端子121および第2出力端子122のそれぞれに対して電力が供給されているか否かを報知してもよい。
図7は、図1に示された配電制御装置100の第5変形例の構成を示すブロック図である。図7に示された配電制御装置105は、図1に示された配電制御装置100と同様に、第1スイッチ111、第2スイッチ112、第1出力端子121、第2出力端子122、および、制御部130を備える。また、配電制御装置105は、さらに、インバータ140および蓄電池150を備える。インバータ140は、蓄電池150から出力された電力を直流電力から交流電力へ変換する。
これにより、配電制御装置105は、配電制御装置105が有する蓄電池150によって、電力を供給することができる。また、配電制御装置105は、インバータ140により、蓄電池150から供給される電力を配電制御装置105の内部で適切に変換することができる。
蓄電池150は、取り外し可能でもよいし、配電制御装置105とは異なる電気機器に接続可能でもよい。そして、蓄電池150は、配電制御装置105とは異なる電気機器に電力を供給してもよい。
本実施の形態に係る配電制御装置100〜105は、停電の際に、第2負荷機器162の状態が落ち着いてから、第2負荷機器162を接続するための第2出力端子122へ電力を供給することができる。したがって、配電制御装置100〜105は、停電の際に、第1負荷機器161および第2負荷機器162に対して電力を適切に供給することができる。
なお、制御部130は、停電が検知された場合、第1出力端子121への電力供給と第2出力端子122への電力供給とを同時に開始してもよい。そして、制御部130は、電力供給が同時に開始された後にインバータ140が停止する場合に、第2出力端子122への電力供給を開始せずに第1出力端子121への電力供給を開始してもよい。そして、制御部130は、第1出力端子121への電力供給を開始してから所定期間遅らせて第2出力端子122への電力供給を開始してもよい。
また、制御部130は、電力供給が同時に開始された後にインバータ140が停止する場合に、再度、第1出力端子121への電力供給と第2出力端子122への電力供給とを同時に開始してもよい。そして、制御部130は、電力供給が同時に開始された後にインバータ140が停止する動作が複数回繰り返された場合に、第2出力端子122への電力供給を開始せずに第1出力端子121への電力供給を開始してもよい。
また、制御部130が第1出力端子121への電力供給を開始し所定期間遅らせて第2出力端子122への電力供給を開始した後にインバータ140が停止する場合に、制御部130は、第1出力端子121のみへ電力を供給してもよい。また、第2出力端子122への電力供給が開始された後にインバータ140が停止する動作が複数回繰り返された場合に、制御部130は、第1出力端子121のみへ電力を供給してもよい。
また、制御部130は、インバータ140から第1出力端子121および第2出力端子122の少なくとも一方への電力供給を開始する際にインバータ140の過負荷保護機能を緩和または停止させてもよい。
また、例えば、第2負荷機器162は、冷媒を圧縮する圧縮機を有していてもよい。具体的には、第2負荷機器162は、物質を冷蔵する冷蔵装置でもよい。第2出力端子122は、冷蔵装置を接続するための出力端子でもよい。ここで、冷蔵装置は、インダクション型冷蔵装置でもよい。インダクション型冷蔵装置は、インバータを有するインバータ型冷蔵装置とは異なる冷蔵装置である。第2負荷機器162は、インバータを有しないその他の機器でもよい。
また、第1負荷機器161は、基本的には、第2負荷機器162とは異なる機器であり、特定の機器に限定されなくてもよい。例えば、第1負荷機器161は、照明装置または通信装置でもよい。第1出力端子121は、照明装置または通信装置を接続するための出力端子でもよい。
また、制御部130は、第1出力端子121への電力供給を開始してから3分以上の期間遅らせて第2出力端子122への電力供給を開始してもよい。3分は、冷媒が安定するまでにかかる最短時間の例に対応する。制御部130は、第1出力端子121への電力供給を開始してから30分以内の期間遅らせて第2出力端子122への電力供給を開始してもよい。30分は、庫内の温度が所定温度以下に維持される最長時間の例に対応する。
また、本実施の形態に係る構成、および、複数の変形例に係る複数の構成が、任意に組み合わされてもよい。また、本実施の形態および複数の変形例に、構成要素が追加されてもよい。追加の構成要素は、本実施の形態および複数の変形例で示された構成要素でもよい。すなわち、複数の蓄電池、複数のインバータ、複数の第1スイッチ、複数の第2スイッチ、複数の第1出力端子、複数の第2出力端子、複数の制御部、複数の第1負荷機器、および、複数の第2負荷機器などが用いられてもよい。
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1で示された配電制御装置100〜105に関する具体的な例を示す。
図8は、本実施の形態における配電制御装置の概要を示す概念図である。図8には、分電盤201、配電制御装置202、照明装置203、および、冷蔵装置204が示されている。
分電盤201は、分岐回路を有する配電盤である。分電盤201は、系統電源から供給される電力を分岐する。基本的には、分電盤201は、複数の負荷機器に電力を供給する。また、分電盤201は、漏電遮断器(漏電ブレーカ)および配線用遮断器(安全ブレーカ)等を有する。ここでは、分電盤201は、系統電源から供給される電力を配電制御装置202に供給する。
配電制御装置202は、実施の形態1の配電制御装置100〜105に対応する。配電制御装置202は、蓄電池およびインバータを有し、蓄電池からインバータを介して供給される電力の配電を制御する。また、配電制御装置202は、系統電源から分電盤201を解して供給される電力の配電を制御する。そして、配電制御装置202は、系統電源または蓄電池から供給される電力を照明装置203および冷蔵装置204へ供給する。
具体的には、配電制御装置202は、通常時に系統電源から照明装置203および冷蔵装置204へ電力を供給する。そして、配電制御装置202は、系統電源の停電時に蓄電池から照明装置203および冷蔵装置204へ電力を供給する。すなわち、配電制御装置202は、バックアップ電源装置でもある。
照明装置203は、実施の形態1の第1負荷機器161に対応する。具体的には、照明装置203は、配電制御装置202から供給された電力を用いて発光する装置である。照明装置203の電力消費は、比較的小さい。ここでは、例として、照明装置203が用いられるが、照明装置203の代わりにその他の装置が用いられてもよい。
冷蔵装置204は、実施の形態1の第2負荷機器162に対応する。具体的には、冷蔵装置204は、モータで動作する圧縮機を有し、配電制御装置202から供給された電力を用いて物質を冷蔵するための装置である。例えば、冷蔵装置204は、家庭用の装置でもよいし、業務用の装置でもよいし、冷蔵庫でもよいし、冷凍機でもよいし、冷蔵室または冷凍室に対応する装置でもよい。
図9は、図8に示された配電制御装置202の構成を示すブロック図である。図9の通り、配電制御装置202は、入力端子301および304、出力端子302および303、DCACインバータ(Direct Current/Alternating Current Inverter)305、制御基板306、LED基板307、充電回路基板308、蓄電池331〜333、ブレーカ341〜343、および、スイッチ351等を備える。
入力端子301は、系統電源から分電盤201を介して供給される電力が入力される入力端子である。配電制御装置202には、入力端子301を介して、系統電源からの電力が入力される。
出力端子302は、実施の形態1の第1出力端子121に対応する。具体的には、出力端子302は、照明装置203を接続するための出力端子である。配電制御装置202は、出力端子302を介して、照明装置203へ電力を供給する。
出力端子303は、実施の形態1の第2出力端子122に対応する。具体的には、出力端子303は、冷蔵装置204を接続するための出力端子である。配電制御装置202は、出力端子303を介して、冷蔵装置204へ電力を供給する。
入力端子304は、発電システムから供給される電力が入力される入力端子である。配電制御装置202には、入力端子304を介して、発電システムからの電力が入力される。発電システムは、太陽光発電システムでもよいし、燃料電池システムでもよい。発電システムは、停電の際、電力を補う。
DCACインバータ305は、蓄電池331、332および333から供給される電力を直流電力から交流電力へ変換する。つまり、蓄電池331、332および333からDCACインバータ305へ直流電力が入力され、DCACインバータ305から交流電力が出力される。そして、DCACインバータ305は、出力端子302および303へ交流電力を供給する。ここでは、異常動作を防止するため、DCACインバータ305において、絶縁トランス素子が用いられる。
制御基板306は、スイッチ311〜313、316および317、MCU(Micro Control Unit)314、および、MUX(Multiplexer)315等を含む。すなわち、制御基板306において、これらの素子が実装される。
スイッチ311は、実施の形態1の第1スイッチ111および第3スイッチ113に対応する。具体的には、スイッチ311は、出力端子302および303への電力の供給元を系統電源およびバックアップ電源(蓄電池331〜333)のいずれかに切り替える。
また、スイッチ311は、スイッチ312および313を含む。スイッチ312が開かれ、スイッチ313が閉じられることにより、電力の供給元が系統電源に切り替えられる。スイッチ312が閉じられ、スイッチ313が開かれることにより、電力の供給元がバックアップ電源に切り替えられる。
スイッチ312は、実施の形態1の第1スイッチ111に対応する。具体的には、スイッチ312は、DCACインバータ305と出力端子302との間の電力経路の導通および非導通を切り替え、かつ、DCACインバータ305と出力端子303との間の電力経路の導通および非導通を切り替える。また、スイッチ312は、MCU314の制御に基づいて動作するリレー(継電器)である。
スイッチ313は、系統電源と出力端子302との間の電力経路の導通および非導通を切り替え、かつ、系統電源と出力端子303との間の電力経路の導通および非導通を切り替える。また、スイッチ313は、MCU314の制御に基づいて動作するリレーである。
MCU314は、実施の形態1の制御部130に対応する。MCU314は、配電制御装置202に含まれる各構成要素の動作を制御することにより、配電制御装置202の全体の動作を制御する。
MUX315は、蓄電池331、332および333から信号を受信し、MCU314に信号を送信するマルチプレクサの機能を有する。MUX315は、MCU314から信号を受信し、蓄電池331、332および333へ信号を送信するデマルチプレクサの機能を有していてもよい。
スイッチ316は、発電システムと充電回路基板308との間の電力経路の導通および非導通を切り替える。また、スイッチ316は、MCU314の制御に基づいて動作するリレーである。
スイッチ317は、系統電源と充電回路基板308との間の電力経路の導通および非導通を切り替える。また、スイッチ317は、MCU314の制御に基づいて動作するリレーである。
LED基板307は、実施の形態1の報知部180に対応する。LED基板307は、残容量LED321、運転LED322、スイッチ323および324を含む。すなわち、LED基板307において、これらの素子が実装される。
残容量LED321は、蓄電池331〜333の残容量を示すLEDである。残容量LED321は、MCU314の制御に基づいて発光する。例えば、残容量LED321は、複数のLEDを含み、発光するLEDの数で蓄電池331〜333の残容量を示す。また、残容量LED321は、赤色のLED、黄色のLED、および、青色のLEDなどを含み、発光するLEDの色で蓄電池331〜333の残容量を示してもよい。
運転LED322は、配電制御装置202の運転の状態を示すLEDである。運転LED322は、MCU314の制御に基づいて発光する。例えば、電力が出力端子302および303に供給されている時に運転LED322が発光する。配電制御装置202がバックアップ電源装置として運転している時に運転LED322が発光してもよい。つまり、電力が蓄電池331、332および333から供給されている時に運転LED322が発光してもよい。
また、運転LED322は、複数のLEDを含み、電力の供給元が系統電源か蓄電池331〜333かに基づいて、発光するLEDの数または色を変更してもよい。
スイッチ323は、配電制御装置202が運転を開始するための押しボタンスイッチである。例えば、ユーザがスイッチ323をオンにすることにより、MCU314は系統電源またはバックアップ電源(蓄電池331〜333)から出力端子302および303への電力供給を開始する。
あるいは、ユーザがスイッチ323をオンにすることにより、配電制御装置202がバックアップ電源の運転を開始してもよい。つまり、ユーザがスイッチ323をオンにすることにより、MCU314は電力の供給元を系統電源からバックアップ電源(蓄電池331〜333)へ切り替えてもよい。
スイッチ324は、交流電力の周波数を50Hzまたは60Hzに切り替えるためのスイッチである。スイッチ324がオンまたはオフにされることにより、DCACインバータ305から出力される交流電力の周波数が50Hzまたは60Hzに切り替えられる。
LED基板307は、さらに、出力端子303への電力供給が開始されるまでの時間などを表示する表示パネルを含んでもよい。また、出力端子303への電力供給が開始されるまでの時間などを音声で出力するスピーカを含んでもよい。
充電回路基板308は、充電回路を含む。すなわち、充電回路基板308には、充電回路が実装される。充電回路は、系統電源または発電システムから供給される電力を交流電力から直流電力に変換するACDCコンバータを備える。そして、充電回路は、蓄電池331、332および333へ電力を供給することにより、蓄電池331、332および333に電力を充電させる。ここでは、異常動作を防止するため、充電回路において、絶縁トランス素子が用いられる。
蓄電池331、蓄電池332および蓄電池333は、それぞれ電力を蓄えるバッテリである。例えば、蓄電池331〜333は、充電回路基板308から供給された電力を蓄える。そして、蓄電池331〜333は、DCACインバータ305へ電力を放電することにより、DCACインバータ305へ電力を供給する。
ブレーカ341は、過負荷を検知して電力経路を遮断する配線用遮断器であり、漏電を検知して電力経路を遮断するELB(漏電遮断器:Earth Leakage Breaker)でもある。例えば、ブレーカ341は、照明装置203および冷蔵装置204の全体の過負荷を検知して、電力経路を遮断する。
ブレーカ342は、過負荷を検知して電力経路を遮断する配線用遮断器である。例えば、ブレーカ342は、照明装置203への電力または電流の過負荷を検知して、電力経路を遮断する。
ブレーカ343は、過負荷を検知して電力経路を遮断する配線用遮断器である。例えば、ブレーカ343は、冷蔵装置204への電力または電流の過負荷を検知して、電力経路を遮断する。
スイッチ351は、実施の形態1の第2スイッチ112に対応する。具体的には、スイッチ351は、DCACインバータ305と出力端子303との間の電力経路の導通および非導通を切り替えるスイッチであり、かつ、系統電源と出力端子303との間の電力経路の導通および非導通を切り替えるスイッチである。また、スイッチ351は、MCU314の制御に基づいて動作するリレーである。
上記の複数の構成要素を備える配電制御装置202は、通常時に系統電源の電力を照明装置203および冷蔵装置204に供給し、停電時にバックアップ電源(蓄電池331〜333)の電力を照明装置203および冷蔵装置204に供給する。
より具体的には、通常時において、MCU314は、スイッチ312を開き、スイッチ313を閉じ、スイッチ351を閉じ、スイッチ317を閉じ、スイッチ316を開く。これにより、系統電源の電力が、照明装置203、冷蔵装置204および蓄電池331〜333に供給される。
そして、停電時において、MCU314は、スイッチ312を閉じ、スイッチ313を開き、スイッチ351を閉じ、スイッチ317を開き、スイッチ316を閉じる。これにより、蓄電池331〜333の電力が、照明装置203および冷蔵装置204に供給される。また、発電システムの電力が蓄電池331〜333に供給される。
上記の構成によって、停電時においても、配電制御装置202は、照明装置203および冷蔵装置204に電力を供給することができる。しかし、配電制御装置202が冷蔵装置204に電力を供給することが困難な場合、または、配電制御装置202が冷蔵装置204に電力を供給しない方がよい場合がある。以下、具体的に説明する。
図10は、図8に示された冷蔵装置204に対して冷蔵装置204の初期起動の際に流れる電流の例を示す図である。図10に示された例では、バックアップ電源(蓄電池331〜333)を用いずに、系統電源のみから冷蔵装置204へ電力が供給されることが想定されている。
冷蔵装置204が停止している状態から起動する際に、冷蔵装置204に対して大きな電流が流れる。起動の際のこのような大きな電流は、突入電流とも呼ばれる。図10の例では、起動の際に24Aの電流が流れる。そして、64ミリ秒後には、電流は安定し定常状態で流れる。このように、突入電流は大きいが、突入電流が流れる期間は短い。
系統電源が用いられる場合、上記の突入電流によって、系統電源に障害が発生する可能性は少ない。しかし、バックアップ電源(蓄電池331〜333)が用いられる場合、上記の突入電流によって、配電制御装置202の動作が停止する可能性がある。
具体的には、DCACインバータ305に大きな電流が流れることにより、DCACインバータ305の過負荷保護機能(過負荷保護回路)が作動する。つまり、DCACインバータ305は、DCACインバータ305の回路が過負荷によって破損しないように、動作を停止する。したがって、配電制御装置202は、バックアップ電源(蓄電池331〜333)から冷蔵装置204へ電力を供給することができない場合がある。
そのため、配電制御装置202のMCU314は、DCACインバータ305の過負荷保護機能を停止または緩和させてから、バックアップ電源(蓄電池331〜333)から冷蔵装置204への電力供給を開始する。突入電流が流れる期間は短いため、DCACインバータ305の回路が過負荷によって破損する可能性は低い。したがって、冷蔵装置204の初期起動の際に、MCU314が過負荷保護機能を停止または緩和させても、障害が発生する可能性は低い。
上記の制御によって、配電制御装置202は、適切に、バックアップ電源(蓄電池331〜333)から冷蔵装置204へ電力を供給することができる。なお、突入電流は、冷蔵装置204以外の装置でも発生する。例えば、照明装置203でも突入電流が発生する可能性がある。そのため、MCU314は、バックアップ電源(蓄電池331〜333)から照明装置203への電力供給を開始する際に、DCACインバータ305の過負荷保護機能を停止または緩和させてもよい。
図11は、図8に示された冷蔵装置204に対して停電および復電の際に流れる電流の例を示す図である。図11に示された例でも、図10に示された例と同様に、バックアップ電源(蓄電池331〜333)を用いずに、系統電源のみから冷蔵装置204へ電力が供給されることが想定されている。
冷蔵装置204が安定して動作している場合、電流は定常状態で流れる。そして、系統電源の停電が発生した場合、冷蔵装置204への電力供給が停止し、冷蔵装置204へ電流が流れなくなる。図11の例では、系統電源が、停電してから5秒後に復電する。すなわち、系統電源が停電してから5秒後に、冷蔵装置204へ電力が供給される。
しかし、冷蔵装置204の内部の冷媒が停電によって不安定になっている。冷媒が不安定な状態では、冷蔵装置204のモータおよび圧縮機が正常に動作しない。そのため、冷蔵装置204は、大きな電力を用いる。したがって、冷蔵装置204に大きな電流が流れる。以下、この現象を具体的に説明する。
通常時において、冷蔵装置204は、圧縮機を用いて庫内の物質を冷却する。具体的には、気化した冷媒が、圧縮機によって圧縮される。圧縮された冷媒は、外気によって冷却され、液化する。その後、液化した冷媒が、気化することによって庫内の熱を吸収する。気化した冷媒は、再び、圧縮機によって圧縮される。このような動作が繰り返されることにより、冷蔵装置204は、庫内の物質を冷却することができる。
一方、停電によって電力供給が停止された場合、冷媒が適切に循環せずに、液化した冷媒が圧縮機に入る。圧縮機が液化した冷媒を圧縮することは困難である。このような状態で、電力供給が開始されても、圧縮機を駆動するモータが動かず、負荷が大きくなる。そのため、冷蔵装置204へ供給される電力が大きくなり、冷蔵装置204に大きな電流が流れる。特に、冷蔵装置204が内部にインバータを有していないインダクション型冷蔵装置である場合、モータの回転数を変更することが困難であるため、影響は大きい。
図11の例では、13Aの電流が13秒間流れ続ける。このような大きな電流が、長時間流れることにより、冷蔵装置204のオーバーロードリレーが電力供給を遮断する。すなわち、冷蔵装置204は、冷蔵装置204の回路が過負荷によって破損しないように、動作を停止する。その後、冷媒が安定し、モータおよび圧縮機が正常に動作することができる状態になってから、オーバーロードリレーは電力供給の遮断を解除する。これにより、冷蔵装置204は通常状態に復帰する。
上記のように、電力供給の再開時において、大きな電流が長時間流れる。系統電源が用いられる場合、オーバーロードリレーが作動するまで電力が供給される。しかし、配電制御装置202が、オーバーロードリレーが作動するまで、バックアップ電源(蓄電池331〜333)から冷蔵装置204へ電力を供給することは困難である。具体的には、長時間大きな電流が流れることにより、DCACインバータ305の回路が破損する可能性がある。
そのため、配電制御装置202は、停電後しばらく時間が経過してから、冷蔵装置204への電力供給を開始する。これにより、配電制御装置202は、DCACインバータ305の回路を保護しつつ、冷蔵装置204へ電力を供給することができる。
図12は、図9に示された配電制御装置202の動作を示すフローチャートである。図12は、主に、MCU314による配電制御装置202の制御を示す。また、図12は、配電制御装置202が系統電源から電力を照明装置203および冷蔵装置204へ供給している状態からの動作を示す。すなわち、スイッチ312および316は開かれ、スイッチ313、317および351は閉じられている。
まず、MCU314は、系統電源が停電しているか否かを判定する(S201)。例えば、MCU314は、系統電源の停電を検知して、系統電源が停電していると判定する。具体的には、MCU314は、変流器(CT:Current Transformer)を介して系統電源からの電流を計測することにより、停電を検知してもよい。また、MCU314は、スイッチ323等へのユーザの入力によって、停電を検知してもよい。
系統電源が停電していないと判定された場合(S201でNo)、配電制御装置202は通常通りの動作を継続する。MCU314は、停電が検知されるまで、停電を検知するための動作を繰り返してもよい。
系統電源が停電していると判定された場合(S201でYes)、MCU314は、スイッチ313を開くことにより、系統電源からの電力供給を遮断する。また、MCU314は、バックアップ電源からの電力供給を開始する前に、スイッチ351および317を開き、スイッチ316を閉じる。
そして、MCU314は、DCACインバータ305の過負荷保護機能を停止する(S202)。具体的には、MCU314は、過負荷保護機能を停止するための制御信号をDCACインバータ305へ送信することにより、DCACインバータ305の過負荷保護機能を停止する。MCU314は、過負荷保護機能の停止の代わりに過負荷保護機能を緩和してもよい。
次に、MCU314は、照明装置203への電力供給を開始する(S203)。具体的には、MCU314は、スイッチ312を閉じて、蓄電池331、332および333からDCACインバータ305を介して出力端子302へ電力を供給する。MCU314は、電力を出力するように、蓄電池331〜333およびDCACインバータ305を制御してもよい。
次に、MCU314は、DCACインバータ305の過負荷保護機能を復帰する(S204)。具体的には、MCU314は、過負荷保護機能を復帰するための制御信号をDCACインバータ305へ送信することにより、DCACインバータ305の過負荷保護機能を停止または緩和の制御から復帰する。
次に、MCU314は、DCACインバータ305の過負荷保護機能の復帰後も、出力端子302への電力供給が継続されているか否かを判定する(S205)。
出力端子302への電力供給が継続されていない場合(S205でNo)、MCU314は、スイッチ312を開く。そして、MCU314は、照明装置203への電力供給の開始が所定回数に到達したか否かを判定する(S206)。つまり、MCU314は、照明装置203への電力供給の開始が所定回数繰り返されたか否かを判定する。
照明装置203への電力供給の開始が所定回数に到達している場合(S206でYes)、MCU314は制御を終了する。すなわち、この場合、配電制御装置202は、照明装置203へも冷蔵装置204へも電力を供給しない。
照明装置203への電力供給の開始が所定回数に到達していない場合(S206でNo)、MCU314は、再度、系統電源が停電していると判定した後の処理を繰り返す(S202〜S205)。
出力端子302への電力供給が継続されている場合(S205でYes)、MCU314は、所定期間が経過しているか否かを判定する(S207)。MCU314は、所定期間が経過していない場合(S207でNo)、MCU314は、再度、所定期間が経過したか否かを判定する(S207)。すなわち、MCU314は、所定期間が経過するまで待機する。
所定期間が経過している場合(S207でYes)、MCU314は、DCACインバータ305の過負荷保護機能を停止する(S208)。MCU314は、過負荷保護機能の停止の代わりに過負荷保護機能を緩和してもよい。
次に、MCU314は、冷蔵装置204への電力供給を開始する(S209)。具体的には、MCU314は、スイッチ351を閉じて、蓄電池331、332および333からDCACインバータ305を介して出力端子303へ電力を供給する。これにより、出力端子302および出力端子303の両方に電力が供給される。
次に、MCU314は、DCACインバータ305の過負荷保護機能を復帰する(S210)。具体的には、MCU314は、過負荷保護機能を復帰するための制御信号をDCACインバータ305へ送信することにより、DCACインバータ305の過負荷保護機能を停止または緩和の制御から復帰する。
次に、MCU314は、DCACインバータ305の過負荷保護機能の復帰後も、出力端子302および出力端子303への電力供給が継続されているか否かを判定する(S211)。
出力端子302および出力端子303への電力供給が継続されている場合(S211でYes)、MCU314は、制御を終了する。この場合、バックアップ電源から照明装置203および冷蔵装置204へ電力が継続して供給される。
出力端子302および出力端子303への電力供給が継続されていない場合(S211でNo)、MCU314は、スイッチ312および351を開く。そして、MCU314は、冷蔵装置204への電力供給の開始が所定回数に到達したか否かを判定する(S212)。つまり、MCU314は、冷蔵装置204への電力供給の開始が所定回数繰り返されたか否かを判定する。
冷蔵装置204への電力供給の開始が所定回数に到達している場合(S212でYes)、MCU314は冷蔵装置204へ電力を供給せずに照明装置203のみへ電力を供給する(S213)。つまり、この場合、MCU314は、照明装置203への電力供給を開始するための動作(S202〜S206)を行って、冷蔵装置204への電力供給を行わずに、照明装置203への電力供給を継続する。
冷蔵装置204への電力供給の開始が所定回数に到達していない場合(S212でNo)、MCU314は、再度、系統電源が停電していると判定した後の処理を繰り返す(S202〜S211)。
上記の動作によって、配電制御装置202は、停電時に、照明装置203および冷蔵装置204への電力供給を適切に制御することができる。
図13は、図9に示された配電制御装置202の動作の例を示すタイムチャートである。まず、系統電源がONであり、バックアップ電源から照明装置203への電力がOFFであり、バックアップ電源から冷蔵装置204への電力がOFFであり、DCACインバータ305の過負荷保護機能がOFFである。つまり、系統電源は停電しておらず、バックアップ電源から照明装置203および冷蔵装置204へ電力は供給されておらず、DCACインバータ305の過負荷保護機能は停止している。
その後、系統電源がOFFになる。つまり、系統電源が停電する。系統電源がOFFになってから、ΔT1の時間が経過した後、バックアップ電源から照明装置203への電力がONになる。つまり、ΔT1の時間が経過した後、バックアップ電源から照明装置203へ電力が供給される。
さらに、バックアップ電源から照明装置203への電力がONになってから、ΔT2の時間が経過した後、DCACインバータ305の過負荷保護機能がONになる。つまり、ΔT2の時間が経過した後、DCACインバータ305の過負荷保護機能が動作する。
さらに、その後、しばらく時間が経過してから、DCACインバータ305の過負荷保護機能がOFFになる。つまり、DCACインバータ305の過負荷保護機能が停止する。その後、バックアップ電源から冷蔵装置204への電力がONになる。つまり、バックアップ電源から冷蔵装置204へ電力が供給される。
さらに、DCACインバータ305の過負荷保護機能がOFFになってから、ΔT3の時間が経過した後に、DCACインバータ305の過負荷保護機能がONになる。つまり、ΔT3の時間が経過した後に、DCACインバータ305の過負荷保護機能が動作する。
上記の動作によって、電力供給を早く開始することに弊害がない照明装置203への電力供給は早く開始され、電力供給を早く開始することに弊害がある冷蔵装置204への電力供給は遅く開始される。配電制御装置202は、上記の動作に基づいて、照明装置203および冷蔵装置204へ適切に電力を供給する。
上記の複数の実施の形態で示された通り、配電制御装置は、停電の際に、第2負荷機器の状態が落ち着いてから、第2負荷機器を接続するための第2出力端子へ電力を供給することができる。したがって、配電制御装置は、停電の際に、第2負荷機器に対して電力を適切に供給することができる。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の配電制御装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、蓄電池からインバータを介して供給される電力の配電を制御する配電制御方法であって、系統電源の停電を検知する検知ステップと、前記インバータから、第1負荷機器を接続するための第1出力端子、および、モータで動作する圧縮機を有する第2負荷機器を接続するための第2出力端子へ、電力を供給する供給ステップとを含み、前記供給ステップでは、前記停電が検知された場合、前記第2出力端子への電力供給を開始せずに前記第1出力端子への電力供給を開始し、前記第1出力端子への電力供給を開始してから所定期間遅らせて前記第2出力端子への電力供給を開始する配電制御方法を実行させる。
また、このプログラムは、配電制御装置に、上記の電力供給方法を実行させてもよいし、配電制御装置に含まれるコンピュータに、上記の電力供給方法を実行させてもよい。配電制御装置は、プログラムを実行できてもよいし、プログラムを実行できるコンピュータを備えてもよい。
また、配電制御装置は、分電盤でもよいし、バックアップ電源装置でもよい。また、配電制御装置は、バックアップ電源を有する分電盤でもよい。
また、各構成要素は、回路でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
以上、一つまたは複数の態様に係る配電制御装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記各実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。