JP6153807B2 - 大谷石加工品の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載された植木鉢の製造方法では、大谷石を切断して形成した立方体を複数用意し、この複数の立方体を相互に接触・衝突させることによる削り合いの後に、これに盛土・排水用の孔を穿孔することによって、植木鉢を形成する。
そして、特許文献1に記載された植木鉢の製造方法によれば、大谷石同士の削り合いによって、ミソが斑点状に含まれる大谷石の表情を強く浮き彫りにすることができ、従来にない植木鉢の趣を楽しむことができる。
すなわち、従来の大谷石加工品の製造方法では、大谷石が有する個性的な表情をより強く表現することのみによって装飾性を向上しているため、大谷石加工品の装飾性を向上することに限界がある。
本発明の課題は、従来の大谷石加工品の製造方法と比較して、大谷石加工品の装飾性をさらに向上させることが可能な大谷石加工品の製造方法を提供することにある。
第一の発明に係る大谷石加工品の製造方法では、加工石材の表面において装飾材が配設される。これによって、第一の発明に係る大谷石加工品の製造方法では、大谷石特有の質感に加えて装飾材が表現する美観により、大谷石加工品の装飾性をより一層向上することが可能となる。
特に、第一の発明に係る大谷石加工品の製造方法では、装飾材が、加工石材の表面に形成された装飾用穴部に配設されている。これによって、第一の発明に係る大谷石加工品の製造方法では、加工石材に対する装飾材の固定強度を向上することが可能となる。また、装飾材が加工石材の表面から突出することを抑制することができるため、大谷石加工品の使用時における装飾材への接触が抑制され、装飾材が加工石材から脱落することを防止することが可能となる。
以上のように、第一の発明に係る大谷石加工品の製造方法によれば、従来の大谷石加工品の製造方法と比較して、大谷石加工品の装飾性を格段に向上することが可能となる。
第二の発明に係る大谷石加工品の製造方法では、装飾材を配設するための装飾用穴部が、加工石材の表面に露出しているミソを切削工具で切削することによって形成される。これによって、第二の発明に係る大谷石加工品の製造方法では、装飾材を配設するための装飾用穴部を更に容易に形成することが可能となり、特に、手作業によって装飾用穴部を形成することが可能となる。
第三の発明に係る大谷石加工品の製造方法では、加工石材の表面に、装飾性を向上するための所定の表面加工が施される。ここで、所定の表面加工としては、ダイヤ仕上げ加工、リブ仕上げ加工、ビシャン仕上げ加工、格子仕上げ加工、チェーン仕上げ加工、コボリ仕上げ加工、割り肌仕上げ加工等、種々の溝や凹部を施す加工を施すことができる。これによって、第三の発明に係る大谷石加工品の製造方法では、大谷石加工品の装飾性を更により一層向上することが可能となる。
なお、所定の表面加工を施す工程は、加工石材の表面に装飾用穴部を形成する工程より先に実施されることが好ましい。具体的には、所定の表面加工を施す工程は、原料石材を所定の形状に加工して加工石材を形成する工程より後であって、加工石材の表面に装飾用穴部を形成する工程より先に実施されることが好ましい。
第四の発明に係る大谷石加工品の製造方法では、装飾材が、大谷石とは異なる材料(宝石、金属、樹脂及びガラスその他の光輝性物質のうち少なくとも一の材料)により形成されている。ここで、大谷石は、加工方法やミソの出かた等によって、趣のある個性的な表情を表現することができる。したがって、第四の発明に係る大谷石加工品の製造方法によれば、大谷石により形成された加工石材と、大谷石とは質感の異なる材料により形成された装飾材とで、互いに異なる美観が表現され、それぞれの美観をより高め合うことができ、その結果、大谷石加工品の装飾性を更により一層向上することが可能となる。
第四の発明に係る大谷石加工品の製造方法では、種々の装飾材が混在して使用されるために装飾材が大谷石とは質感が異なるばかりでなく、装飾材自体が種々の異なる質感のものが混在するために、大谷石加工品の装飾性をさらに格段に向上させることができる。
本発明に係る大谷石加工品の製造方法は、各種の大谷石加工品の製造に適用することが可能となっている。ここで、大谷石加工品としては、例えば、建築用材料(床材、柱材、壁材、石垣、壁面パネル、床面パネル、タイル等)、家具(テーブル、椅子、テレビ台等)、家庭用具・食卓用具(灰皿、コースター、火鉢、鍋敷き等)、装飾用具(額縁、花器、植木鉢等)、電気製品(照明の台座等)、浴槽等、大谷石が用いられることが可能な各種製品類が該当する。
まず、本発明に係る大谷石加工品の製造方法により製造されたコースター1の構成について、図面を参照しながら説明する。
コースター1は、コップ(グラス、カップ、ジョッキ等)、ボトル等の飲料用の容器C(図5参照)の下に敷いて使用される。
図1は、本発明の実施形態に係るコースターの斜視図である。図2は、図1に示すコースターの平面図である。図3は、図1に示すコースターの裏面図である。図4は、図2に示すA−A線に沿う断面図である。
図1乃至図4に示すコースター1(大谷石加工品)は、上面11に容器Cが載置される載置台10と、載置台10の下面側に配設された弾性材20と、載置台10に配設された装飾材30と、を備えている。
載置台10の表面には、装飾材30を配設するための装飾用穴部12が形成されている。装飾用穴部12は、載置台10の上面11及び側面(外周面)のうち少なくとも一方において形成されている。本実施形態では、載置台10の上面11及び側面のそれぞれにおいて、複数の装飾用穴部12が形成されている。
さらに、各装飾用穴部12の深さは、適宜、設定することができるが、当該装飾用穴部12に配設される装飾材30が載置台10の表面から突出することがない深さに設定されていることが好ましい。特に、載置台10の上面11の載置領域に形成される装飾用穴部12については、当該装飾用穴部12に配設される装飾材30が載置台10の表面から突出することがない深さに設定されていることが好ましい。これによって、載置台10の上面11(載置領域)に載置された容器Cの載置状態が不安定となることを防止することが可能となる。
載置台10の上面11には、描画、印刷等によって、模様、文字、絵、ロゴ等を施すことができる。また、載置台10の上面11には、ダイヤ仕上げ加工、リブ仕上げ加工、ビシャン仕上げ加工、格子仕上げ加工、チェーン仕上げ加工、コボリ仕上げ加工、割り肌仕上げ加工等、種々の溝や凹部を施す表面加工を行うことができる。これによって、コースター1の装飾性を更に向上することが可能となる。
図3に示すように、弾性材20の大きさ(直径)は、載置台10の大きさ(直径)より小さく形成されている。また、図4に示すように、弾性材20の厚さは、載置台10の厚さより薄く形成されており、本実施形態では2mmに形成されている。ここで、本実施形態では、載置台10の下面の略全域を1枚の弾性材20によって覆っているが、載置台10の下面において分割された複数の弾性材20を配設しても構わない。
図1、図2及び図4に示すように、装飾材30は、各装飾穴部12の内側に配設されている。ここで、各装飾穴部12においては、1つの装飾材30が配設されていても、複数の装飾材30が配設されていても構わず、また、1種類の装飾材30が配設されていても、複数種類の装飾材30が配設されていても構わない。
なお、各装飾材30は、載置台10の表面に対して外方に向かって僅かに突出するように構成(配置)しても構わない。
各装飾材30は、接着剤等によって、装飾用穴部12の内側に固定されている。この場合に使用される接着剤は例えばエポキシ系やシリコン系樹脂接着剤などのように接着固化後も透明性を維持できるものが好ましい。またこの際、装飾材30を装飾用穴部12の内側に挿入した状態で透明な樹脂等を装飾用穴部12に充填して、該穴部12が樹脂によって完全に塞がれた状態としても構わない。これによって、装飾材30が樹脂等により完全に覆われて、装飾材30と容器Cとの接触が抑制され、装飾材30の破損及び脱落を防止することが可能となる。
次に、コースター1(大谷石加工品)の作用・効果について説明する。
図5は、図1に示すコースターの使用例を示す図である。
図5に示すように、コースター1は、弾性材20を下側にしてテーブルTに載置されて使用される。そして、コースター1の載置台10の上面11には、飲料(食品)を入れた容器Cが載置される。
この際、コースター1の使用者は、載置台10の上面11及び側面のそれぞれに配設された装飾材30を目にすることになる。特に、容器Cが透明である場合には、容器Cを介して(透明な容器C越しに)、載置台10の上面11の載置領域に配設された装飾材30を煌びやかに視認することが可能となる。この場合に透明な容器Cの底部、および容器内に入れられている飲料水によって装飾材30が拡大され、あるいは変形して見えることになるために、大谷石本来の質感に加えて意外な装飾性を発揮させることができる。
特に、コースター1では、装飾材30が、載置台10とは質感の異なる材料により形成されている。具体的には、コースター1では、載置台10が大谷石材により形成され、装飾材30が宝石、金属、樹脂及びガラスその他の光輝性物質のうち少なくとも一の材料又はそれらの組み合わせにより形成されている。ここで、大谷石材は、加工方法やミソの出かた等によって、趣のある個性的な表情を表現することができる。これによって、コースター1では、大谷石により形成された載置台10と、大谷石とは異なる異質材料により形成された装飾材30とで、互いに異なる美観が協働表現され、それぞれの美観をより高め合うことができ、その結果、装飾性を更に向上することが可能となる。
また、コースター1では、装飾材30が配設される装飾用穴部12が、大谷石に含まれる粘土鉱物であるミソを取り除くことによって形成されている。ここで、ミソは、大谷石における他の部分(基質部分)と比較して強度が著しく低いため、基質部分から容易に取り除くことができる。したがって、コースター1によれば、装飾材30を配設するための装飾用穴部12を容易に形成することができ、その結果、装飾材30入りのコースター1の製造を容易に行うことが可能となる。
この際、コースター1では、容器Cが載置される載置台10が、高い吸水性を有する大谷石により形成されていることによって、載置台10の上面11に落下した水滴が載置台10の内部に吸収され、載置台10の上面11に水滴が溜まることが防止される。したがって、コースター1によれば、容器Cの外面に発生した水滴がテーブルTや洋服等に垂れることを防止でき、また、水滴の粘性によりコースター1が容器Cの底部に付着することを防止できる。
特に、コースター1では、載置台10が紙等と比較して重量が大きい大谷石により形成されていることによって、容器Cの底部への付着をより確実に防止することができる。
また、コースター1から周囲に対して多量のマイナスイオンが照射され、周囲の人間にアルファ波を発生させる。したがって、コースター1によれば、大谷石の見た目の柔らかさとともに、周囲の人間をリラックスさせることが可能となる。
また、コースター1では、載置台10に含まれる天然ゼオライトが有する強い脱臭作用によって、脱臭効果を奏することが可能となる。
さらに、コースター1では、載置台10を軟岩(軟質)である大谷石により形成することによって、加工性が向上し、円形、四角形、星形、ハート形等、様々な形を容易に形成することが可能となる。
特に、本実施形態に係るコースター1では、弾性材20がコルクにより形成されているため、コルクが持つ弾力性、断熱性、吸音性、耐水性軽量性等の特性により、コースター1の使い勝手を向上することが可能となる。
次に、コースター1(大谷石加工品)の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図6は、本発明の実施形態に係るコースターの製造方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、コースター1の製造方法では、原料石材形成工程、加工石材形成工程、表面加工工程、(装飾用)穴部形成工程、装飾材配設工程、弾性材配設工程の順に、各工程が実施される。
原料石材形成工程では、大谷石を採掘して、採掘された大谷石から原料石材を形成する。具体的には、切断装置を用いて、採掘された大谷石を所定の大きさに切断して、原料石材を形成する。ここで、切断装置としては、ガングソー、サーキュラーソー、ダイヤモンドブレード等を用いることができる。
加工石材形成工程では、原料石材形成工程で形成された原料石材を所定の形状に加工して加工石材を形成する。具体的には、切断装置、切削装置、研削装置等を用いて、原料石材を、平面視で円形の平板状に切断・切削・研削して、載置台10(穴部12が形成されていない状態の載置台10)を形成する。ここで、切断装置・切削装置としては、原料石材形成工程で用いた切断装置と同一のものを用いることができる。また、研削装置としては、ドラムホイール、バーチカルホイール等のダイヤモンド工具を用いることができる。
穴部形成工程では、表面加工工程で所定の表面加工が施された加工石材(載置台10)の表面に、(装飾用)穴部12を形成する。具体的には、加工石材(所定の表面加工が施された載置台10)に含まれる粘土鉱物であるミソのうち、加工石材の表面に露出しているミソを取り除くことによって、加工石材の表面に(装飾用)穴部12を形成する。本実施形態では、各穴部12は、切削工具を用いて、ミソを切削することにより形成される。ここで、切削工具としては、ドリルビットや、ホールソー、ダイヤモンドビット、簡単なものでは先の細めのドライバーなどの工具等を用いることができる。
弾性材配設工程では、装飾材配設工程で装飾材30が配設された加工石材(装飾材30が配設された載置台10)の下面に、弾性材20を配設する。具体的には、接着剤によって、コルクからなる弾性材20を載置台10の下面に接着する。これによって、コースター1が完成する。
ここで、本実施形態では、表面加工工程が、(装飾用)穴部形成工程及び装飾材配設工程の先に実施される。しかしながら、表面加工工程は、穴部形成工程の後に実施しても構わず、また、穴部形成工程及び装飾材配設工程の後に実施しても構わない。また、表面加工工程については、省略しても構わない。
本実施形態に係るコースター1(大谷石加工品)の製造方法では、加工石材(載置台10)の表面において装飾材30が配設される。これによって、装飾材30が表現する美観により、コースター1の装飾性を向上することが可能となる。
特に、本実施形態に係るコースター1の製造方法では、装飾材30が、加工石材(載置台10)の表面に形成された装飾用穴部12に配設される。これによって、加工石材に対する装飾材30の固定強度を向上することが可能となる。また、装飾材30が加工石材の表面から突出することを抑制することができるため、コースター1の使用時における装飾材30への接触が抑制され、装飾材30が加工石材から脱落することを防止することが可能となる。
さらに、本実施形態に係るコースター1の製造方法では、装飾材30が配設される装飾用穴部12が、加工石材(大谷石)に含まれる粘土鉱物であるミソを取り除くことによって形成される。ここで、ミソは、大谷石における他の部分(基質部分)と比較して強度が低いため、基質部分から容易に取り除くことができるために加工性に優れる。したがって、加工石材において、装飾材30を配設するための装飾用穴部12を容易に形成することができ、その結果、加工石材に対して装飾材30を容易に配設することが可能となる。
また、本実施形態に係るコースター1の製造方法では、加工石材の表面に、装飾性を向上するための所定の表面加工が施される。これによって、コースター1の装飾性を更に向上することが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る大谷石加工品(コースター1)の製造方法によれば、従来の大谷石加工品の製造方法と比較して、大谷石本来の風合いとは全く異なった加工品の装飾性を向上することが可能となる。
装飾用穴部形成工程では、表面加工工程で所定の表面加工が施された加工石材(壁材40)の表面に、装飾用穴部を形成する。具体的には、加工石材(所定の表面加工が施された壁材40)に含まれる粘土鉱物であるミソのうち、加工石材の表面に露出しているミソを取り除くことによって、加工石材の表面に装飾用穴部を形成する。本実施形態では、各装飾用穴部は、切削工具を用いて、ミソを切削することにより形成される。ここで、切削工具としては、ドリルビットや、ホールソー、ダイヤモンドビット、簡単なものでは先の細めのドライバーなどの工具等を用いることができる。
以上の壁材40およびその表側となる部分の表面加工工程をはじめとした各工程については既述した実施例1のコースター1の製造方法における場合と異ならない。コースター1の特有の形状や構造の部分を除いた大谷石の加工石材表面に装飾材30を施すためのすべての手法については、この実施例2における壁材40の製造のための手法にそのまま当てはまる。
なお図7の例において、41は建物内の支柱、42は床面部、43は天井部、44は照明器具を、それぞれ表している。
10 載置台
11 上面
12 装飾用穴部
20 弾性材
30 装飾材
C 容器
T テーブル
40 壁材
41 支柱
42 床面部
43 天井部
44 照明器具
Claims (5)
- 大谷石を所定の大きさに切断して原料石材を形成する工程と、
前記原料石材を所定の形状に加工して加工石材を形成する工程と、
前記加工石材に含まれる粘土鉱物であるミソのうち、当該加工石材の表面に露出しているミソを取り除くことによって、当該加工石材の表面に装飾用穴部を形成する工程と、
前記装飾用穴部に装飾材を取り付ける工程と、を備えることを特徴とする大谷石加工品の製造方法。 - 前記装飾用穴部は、切削工具を用いて、前記ミソを切削することにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の大谷石加工品の製造方法。
- 前記加工石材の表面に、装飾性を向上するための所定の表面加工を施す工程を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の大谷石加工品の製造方法。
- 前記装飾材は、宝石、金属、樹脂及びガラス、光輝性物質のうち少なくとも一の材料からなることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の大谷石加工品の製造方法。
- 前記装飾材は、宝石、金属、樹脂及びガラス、光輝性物質の材料のうちの複数種の混合物からなることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の大谷石加工品の製造方法。
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