JP6153125B2 - 抗ウイルス剤 - Google Patents

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Description

本発明は、抗ウイルス作用を有する薬剤に関する。より詳細には、本発明は、抗HIVウイルス作用を有する3環系クマリン化合物(GUT−70)及びその誘導体に関する。
世界三大感染症の一つである後天性免疫不全症候群(AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)がCD4及びケモカイン受容体であるCXCR4又はCCR5を受容体とし、これらを発現しているヘルパーT細胞やマクロファージに感染し、該免疫細胞を破壊して後天的に免疫不全を起こす深刻な感染症である。近年、合成3’−デオキシヌクレオシド類である3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)がHIVの感染を阻害することが報告されて以来、2’,3’−ジデオキシイノシン(ddI)、2’,3’−ジデオキシシチジン(ddC)、3’−フルオロ−3’−デオキシチミジン(FLT)、サキナビル(SQC)等、20種類を超える様々な化合物が、抗HIV剤として使用されている。そして、複数の抗HIV剤を組み合わせてAIDS患者に投与する多剤併用療法(Highly Active Antiretrovial Therapy;HAART)が導入され、HIV感染は慢性疾患と捉えられるようにもなっている。
現在使用されている抗HIV剤は、HIVのDNA合成を阻害する、あるいは、HIVが宿主細胞に侵入するのを防止する等、HIVの生活環には有効ではあるものの、HIVの潜伏感染には効果が認められない。また、これらの抗HIV剤による副作用や薬剤耐性ウイルスの出現等の問題から、HAARTの長期継続が困難な症例も増加している。しかも、慢性化したAIDS患者が、悪性腫瘍を合併して致死となる症例も増加している。しかしながら、既存の市販の抗HIV剤の中に抗がん作用を有すものは報告されておらず、異なる作用機序を有する新たな抗HIV剤の開発が急務となっている。
本発明者らは、ブラジルオトギリ草から抽出した3環系クマリン化合物、下記のGUT−70が抗がん作用を有することを報告している(非特許文献1、特許文献1)。さらに、GUT−70をリード化合物として化学修飾を加えた種々の誘導体を合成し、それらががん細胞の増殖抑制活性を有すること、癌、神経変性疾患、自己免疫疾患及び感染症等の予防・治療等に有効であることを報告している(特許文献2)。
しかしながら、GUT−70等の抗ウイルス作用、特に抗HIV作用については報告されていない。
国際公開第2004/066994号 国際公開第2009/060835号
Kimura et al.,Int.J.Cancer,2005,113(1),p.158−165
本発明の目的は、新たな作用機序を有する抗ウイルス剤、特に抗HIV剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を行なった結果、GUT−70がHIV−1の複製又は転写を抑制することでHIV−1の増殖を阻害する増殖阻害作用を有すること、さらに、GUT−70が、細胞膜の流動性を低下させること、HIV−1 env発現細胞の膜融合を阻害する細胞融合阻害作用を併せ持ち、HIV−1の細胞内侵入を阻害することを見出した。加えて、GUT−70はCXCR4及びCCR5両方の受容体に対するHIV−1感染を阻害することも見出した。本発明者らは、これらの知見に基づき本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は下記のとおりである:
[1]下記一般式(I):
{式(I)中、
は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいアミノ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよい複素環カルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノカルボニル基又は一般式(1):
[式(1)中、
16、R17及びR18は同一又は異なって水素、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、ジアルキルアミノ基、又は置換基を有していてもよいアルケニル基を意味する]
で表される構造を意味し;
は、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、チオール基、アルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、アルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、置換基を有していてもよいアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又は置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基、或いはOR2a(式中、R2aは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は置換基を有していてもよいアリール基を意味する)を意味し、OR2aはRとともに一般式(2):
(式中、R19及びR20は、同一又は異なって、水素、アルキル基、シクロアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を意味し、或いは、C−R1920はC=Oを意味し、R21及びR22は、同一又は異なって、水素、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基又はアシルアミノ基を意味し、破線は、ベンゼン環との縮合部分を示す)
で表される環を形成し;
は、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、又はアリール基を意味し;
は、水素又はOR4a(式中、R4aは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を意味する)を意味し、OR4aはRとともに一般式(2):
(式中、R19及びR20は、同一又は異なって、水素、アルキル基、シクロアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を意味し、或いは、C−R1920はC=Oを意味し、R21及びR22は、同一又は異なって、水素、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基又はアシルアミノ基を意味し、破線は、ベンゼン環との縮合部分を示す)
で表される環を形成し;
が水素である場合RはOR2aであり、
がOR4aである場合RはOR2aではない;
式:
で表される基は、
式(a):
(式中、XはO、NH又はNR15(式中、R15は、アルキル基、シクロアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を意味する)を意味し、R5a及びR5bは同一又は異なって、水素、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、アルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、置換基を有していてもよいアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又は置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基を意味する)で表される基を意味するか、
式(b):
(式中、R及びRは、同一又は異なって水素又は置換基を有していてもよいアルキル基を意味するか、C−RはC=Oを意味し、Rはオキソ基又はアルキル基を意味し、
で表される結合は単結合又は二重結合を意味する)で表される基を意味するか、
式(c):
(式中、Rは、水素又はアルキル基を意味し、R10は、水素又はアルキル基を意味し、R11は置換基を有していてもよいアリールカルボニル基を意味する)で表される基を意味するか、
式(d):
(式中、XはN又はCHを意味し、R12は、水素又は置換基を有していてもよいアミノ基を意味する)で表される基を意味するか、又は
式(e):
(式中、R13は、水素又は置換基を有していてもよいアリール基を意味し、R14は、水素又は置換基を有していてもよいアルキル基を意味する)で表される基を意味する}で表される化合物、又は
その薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗ウイルス剤。
[2]一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である、[1]記載の抗ウイルス剤:
{式(II)中、
1’は、水素、複素環基、置換基を有していてもよいアミノ基、複素環カルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基又は一般式(1’):
[式(1’)中、
16’、R17’及びR18’は同一又は異なって水素、アルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を意味する]
で表される構造を意味し;
2’は、アルコキシ基を意味し;
3’は、水素又はアルキル基を意味し;
4’は、OR4a’(式中、R4a’はアルキル基を意味する)を意味し、OR4a’はR3’とともに一般式(2’):
[式中、R19’及びR20’は、同一又は異なってアルキル基を意味し、破線は、ベンゼン環との縮合部分を示す]
で表される環を形成し;
式:
で表される基が、
式(a’):
(式中、R5a’及びR5b’は同一又は異なって、水素又は置換基を有していてもよいアルキル基を意味する)で表される基を意味するか、又は
式(b’):
(式中、R8’はアルキル基を意味する)で表される基を意味する}。
[3]一般式(I)で表される化合物が、
5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−[(2E)−2−メチルブテ−2−ノイル]−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−(2−メチルブタノイル)−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−(2−メチルブタノイル)−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[(2E)−2−メチルブテ−2−ノイル]−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−プロピオニル−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
4−(5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−8−オキソ−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−10−イル)ブタン酸、
4−(5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−8−オキソ−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−10−イル)−N,N−ジメチルブタンアミド、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−10−[4−オキソ−4−(4−ピリジン−2−イルピペラジン−1−イル)ブチル]−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−プロピオニル−10−プロピル−2,7−ジヒドロ−2H,8H−ピラノ[2,3−f]キノリン−8−オン、
6−アセチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−ペンタノイル−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−イソブチリル−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
10−(3−ブロモフェニル)−5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
3−(5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−8−オキソ−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−10−イル)プロピオン酸エチルエステル、
3−(5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−8−オキソ−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−10−イル)プロピオン酸、
5−ヒドロキシ−8,8−ジメチル−4−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−2−オン、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
3−(5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−8−オキソ−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−10−イル)−N,N−ジメチルプロパンアミド、
5−メトキシ−2,2−ジメチル−10−(3−オキソ−3−ピロリジン−1−イルプロピル)−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
6−シクロブチルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
6−シクロヘキシルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、又は
6−シクロペンチルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン
である、[1]記載の抗ウイルス剤。
[4]一般式(I)で表される化合物が、
5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−[(2E)−2−メチルブテ−2−ノイル]−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
6−シクロブチルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、又は
6−シクロヘキシルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン
である、[1]記載の抗ウイルス剤。
[5]一般式(I)で表される化合物が、下記構造式を有する、5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−[(2E)−2−メチルブテ−2−ノイル]−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オンである、[1]記載の抗ウイルス剤。
[6]ウイルスがレトロウイルスである、[1]記載の抗ウイルス剤。
[7]レトロウイルスがHIVである、[6]記載の抗ウイルス剤。
[8]少なくとも一種の他の抗HIV剤を含む[1]記載の抗ウイルス剤。
[9]他の抗HIV剤が、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤及びDNA合成阻害剤からなる群から選択される少なくとも1種である[8]記載の抗ウイルス剤。
[10]HIV感染患者におけるHIV複製を阻害するための薬剤を製造するための、[1]〜[4]記載の化合物の使用。
[11]患者ががん、他の感染症又は免疫疾患を患っている、[10]に記載の使用。
[12]がんが、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、カポジ肉腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、平滑筋肉腫、絨毛癌、多発性骨髄腫、軟部腫瘍、小細胞肺癌、慢性骨髄性白血病、甲状腺癌、骨肉腫、頭頸部癌、食道癌、非小細胞肺癌、乳癌、大腸癌、胃癌、胆道癌、脳腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌、子宮頚癌、睾丸癌、皮膚癌又は肛門癌からなる群より選択される[11]に記載の使用。
図1−1はGUT−70が、HIV−1を感染させた細胞内でHIV−1の複製を阻害したフローサイトメーターの結果を示す。図1−2はGUT−70が、HIV−1を感染させた細胞内でHIV−1の複製を阻害した結果を示す。縦軸はp24陽性細胞の割合(%)、横軸は培養日数を示す。図1−3は、GUT−70が、HIV−1を感染させた細胞内でHIV−1の複製を阻害した結果を示す。HIV−1を感染させた細胞を7日間培養後、当該細胞培養上清中のp24の濃度を測定した結果を示す。縦軸は、p24の濃度(ng/ml)、横軸は、GUT−70の濃度を示す。 図2は、GUT−70が、細胞膜の流動性を低下させたことを示す。縦軸は、蛍光偏光P値、横軸は時間(分)を示す。 図3−1はGUT−70が、HIV−1 env発現細胞の膜融合を阻害したフローサイトメーターの結果を示す(培養24時間後)。図3−2はGUT−70が、HIV−1 env発現細胞の膜融合を阻害した結果を示す。縦軸は細胞融合の割合(%)、横軸はGUT−70の濃度(μM)を示す。 図4はGUT−70が、HIV−1 env発現細胞の膜融合を阻害した蛍光顕微鏡像を示す(培養48時間後)。 図5−1は、GUT−70が、HUT78細胞へのHIV−1感染を阻害したフローサイトメーターの結果を示す(感染48時間後)。図5−2は、HIV−1を感染させたHUT78細胞の細胞内p24(HIV−1 gag)の発現が、GUT−70を添加すると低下したことを示す。図5−3は、GUT−70が、TZM−bl細胞へのHIV−1感染を阻害したフローサイトメーターの結果を示す(感染48時間後)。図5−4は、HIV−1を感染させたTZM−bl細胞の細胞内p24(HIV−1 gag)の発現が、GUT−70を添加すると低下したことを示す。 図6−1はPMA又はTNF−α添加によりHIV−1産生が誘導されたHIV−1潜伏細胞株U1に、GUT−70を添加すると、容量依存的にHIV−1産生が抑制されたフローサイトメーターの結果を示す。図6−2は、前記細胞でのp24陽性細胞の割合が、GUT−70を添加すると、容量依存的に低下したことを示す。図6−3は、前記細胞培養上清中のp24(HIV−1 gag)の発現が、GUT−70を添加すると容量依存的に低下したことを示す。 図7−1はTZM−bl細胞をGUT−70で前処理した後に、HIV−1株NL−4.3を感染させて24時間培養後、GUT−70がHIV−1感染を抑制した図を示す。発光シグナルデータを相対発光量(RLU)で示す。**P<0.01 図7−2は、TNF−α添加によりHIV−1産生が誘導されたHIV−1潜伏細胞株U1に、GUT−70(10μM)を添加すると、HIV−1の転写が抑制された結果を示す。GUT−70、又は、NF−κB阻害剤(10μM Bay 11−7085、又は、20nM Bortezomib)を添加し、24時間培養後のTat−Rev mRNAを、定量RT−PCRで測定した結果を示す。図7−3は、HIV−1株NL4−3を感染させたMolt−4細胞に、GUT−70(10μM)を添加すると、HIV−1の転写が抑制された結果を示す。 図8はGUT−70が、NF−kappaB p65のリン酸化を抑制したウエスタンブロット像を示す。 図9−1は、TNA−α添加によるNF−kappaBのDNA結合活性をGUT−70が阻害したゲルシフトアッセイ像を示す。図9−2は、GUT−70によるNF−kappaB抑制により、HIV−1転写を阻害した図を示す。縦軸は、conを1とした場合の相対的ルシフェラーゼ活性を示す。
以下、本明細書で用いられる各記号の定義について詳述する。
本明細書中の「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書中の「アルキル基」は、直鎖状或いは分岐状のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル等が挙げられ、なかでもC−Cアルキル基が好ましい。
本明細書中の「置換基を有していてもよいアルキル基」とは、置換可能な位置に1から5個、好ましくは1から3個の置換基を有していてもよいアルキル基を意味する。このような置換基としては、例えばカルボキシル基、ジアルキルアミノカルボニル基(例、ジメチルアミノカルボニル)、置換基を有していてもよい複素環カルボニル基(後述)、置換基を有していてもよいアリール基(後述)、アルキルオキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、アルケニルカルボニルオキシ基(例、イソブテニルカルボニルオキシ)等が挙げられる。
本明細書中の「アルケニル基」としては、直鎖状或いは分岐状のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ブタ−3−エン−1−イル、ペンタ−4−エン−1−イル、へキサ−5−エン−1−イル等が挙げられ、なかでもC−Cアルケニル基が好ましい。
本明細書中の「置換基を有していてもよいアルケニル基」としては、置換可能な位置に1から5個、好ましくは1から3個の置換基を有していてもよいアルケニル基を意味する。このような置換基としては、例えばヒドロキシ基、ジアルキルアミノ基(後述)、置換基を有していてもよいアリール基(後述)等が挙げられる。
本明細書中の「アルキニル基」は、直鎖状或いは分岐状のアルキニル基であり、例えば、エチニル、プロパ−2−イン−1−イル、ブタ−3−イン−1−イル、ペンタ−4−イン−1−イル、へキサ−5−イン−1−イル等が挙げられ、なかでもC−Cアルキニル基が好ましい。
本明細書中の「置換基を有していてもよいアルキニル基」とは、置換可能な位置に1から5個、好ましくは1から3個の置換基を有していてもよいアルキニル基を意味する。このような置換基としては、例えばヒドロキシ基等が挙げられる。
本明細書中の「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられ、なかでもC−Cシクロアルキル基が好ましい。
本明細書中の「アリール基」としては、例えば、フェニル、ナフチル(例、1−ナフチル、2−ナフチル)、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等が挙げられ、なかでもC−C14アリール基が好ましく、C10アリール基がより好ましく、例えば、フェニル基等が汎用される。
本明細書中の「置換基を有していてもよいアリール基」とは、置換可能な位置に1から5個、好ましくは1から3個の置換基を有していてもよいアリール基を意味する。このような置換基としては、例えばハロゲン(例、臭素、塩素)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アミノカルボニル基、アセチル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(後述)、置換基を有していてもよいアミノ基(後述)、アルコキシ基(後述)、置換基を有していてもよいアルキル基(前述)等が挙げられる。
本明細書中の「アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、2−エチルブトキシ等が挙げられ、なかでもC−Cアルコキシ基が好ましい。
本明細書中の「複素環基」としては、特に断りのない限り、芳香族複素環基および非芳香族複素環基が挙げられる。
ここで、芳香族複素環基としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1から4個含有する4から7員(好ましくは5又は6員)の単環式芳香族複素環基および縮合芳香族複素環基が挙げられる。該縮合芳香族複素環基としては、例えば、これら4から7員の単環式芳香族複素環基に対応する環と、1又は2個の窒素原子を含む5又は6員の芳香族複素環(例、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリジン、ピリミジン)、1個の硫黄原子を含む5員の芳香族複素環(例、チオフェン)およびベンゼン環から選ばれる1又は2個が縮合した環から誘導される基等が挙げられる。
「芳香族複素環基」としては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等の単環式芳香族複素環基;およびベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]イソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾ[d]イソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトリジニル、フェナントロリニル、インドリジニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、イミダゾ[1,5−a]ピリジル、イミダゾ[1,2−a]ピリダジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジル、1,2,4−トリアゾロ[4,3−b]ピリダジニル等の縮合芳香族複素環基;が挙げられる。
非芳香族複素環基としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1から4個含有する4から7員(好ましくは5又は6員)の単環式非芳香族複素環基および縮合非芳香族複素環基が挙げられる。該縮合非芳香族複素環基としては、例えば、これら4から7員の単環式非芳香族複素環基に対応する環と、1又は2個の窒素原子を含む5又は6員の芳香族複素環(例、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリジン、ピリミジン)、1個の硫黄原子を含む5員の芳香族複素環(例、チオフェン)およびベンゼン環から選ばれる1又は2個の環が縮合した環から誘導される基、ならびに該基の部分飽和により得られる基等が挙げられる。
「非芳香族複素環基」としては、例えば、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル等の単環式非芳香族複素環基;およびイソクロマニル、ジヒドロベンゾピラニル、ジヒドロキノリル、イソクロメニル、クロメニル(2H−クロメニル、4H−クロメニル)、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル等の縮合非芳香族複素環基;が挙げられる。
本明細書中の「置換基を有していてもよい複素環基」とは、置換可能な位置に1から5個、好ましくは1から3個の置換基を有していてもよい複素環基を意味する。このような置換基としては、例えばハロゲン(上述)、アルキル基(上述)、アラルキル基(例、ベンジル)、複素環基(上述)、アルコキシ基(後述)等が挙げられる。
本明細書中の「置換基を有していてもよいアミノ基」としては、アルキル基(好ましくはC−Cアルキル基)でモノ置換されたアミノ基(モノアルキルアミノ基、単にアルキルアミノ基ともいう)あるいはジ置換されたアミノ基(ジアルキルアミノ基)、置換基(例、ハロゲン化されたアルキル基)を有していてよいアリール基(好ましくはC−C14アリール基)でモノ置換されたアミノ基(モノアリールアミノ基)あるいはジ置換されたアミノ基(ジアリールアミノ基)、置換基を有していてもよいアミノカルボニル基(後述)で置換されたアミノ基、アルケニルカルボニル基(後述)で置換されたアミノ基、複素環カルボニル基(後述)で置換されたアミノ基等が例示される。ハロゲン化されたアルキル基としてはトリフルオロメチル基等が例示される。
「置換基を有していてもよいアミノ基」の具体例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ペンチルアミノ、イソペンチルアミノ、ネオペンチルアミノ、tert−ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ等のC−Cアルキルアミノ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ等のジ(C−C)アルキルアミノ基、フェニルアミノ、1−ナフチルアミノ、2−ナフチルアミノ、トリフルオロフェニルアミノ等のC−C14アリールアミノ基、ジフェニルアミノ、ジナフチルアミノ等のジ(C−C14)アリールアミノ基、フェニルアミノカルボニル、ブテニルカルボニル、ベンゾジオキソリルカルボニル等が挙げられる。
本明細書中の「アルキルアミノ基」及び「ジアルキルアミノ基」は、それぞれ上記した「置換基を有していてもよいアミノ基」として例示されたものと同義である。
本明細書中の「アルキルカルボニル基」、「アルケニルカルボニル基」、「アルコキシカルボニル基」、「置換基を有していてもよいアリールカルボニル基」、「シクロアルキルカルボニル基」及び「置換基を有していてもよいアミノカルボニル基」は、それぞれ前記した「アルキル基」、「アルケニル基」、「アルコキシ基」、「置換基を有していてもよいアリール基」、「シクロアルキル基」及び「置換基を有していてもよいアミノ基」で置換されたカルボニル基を意味する。
「アルキルカルボニル基」は、好ましくは、C−Cアルキル−カルボニル基であり、具体的には、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、3−メチルブタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル等が挙げられる。
「アルケニルカルボニル基」は、好ましくはC−Cアルケニル−カルボニル基であり、具体的には、ビニルカルボニル、1−プロペニルカルボニル、2−プロペニルカルボニル、2−ブテニルカルボニル、3−ブテニルカルボニル等が挙げられる。
「アルコキシカルボニル基」は、好ましくはC−Cアルコキシ−カルボニル基であり、具体的には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等が挙げられる。
「シクロアルキルカルボニル基」は、好ましくはC−Cシクロアルキル−カルボニル基であり、具体的には、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘプチルカルボニル、シクロオクチルカルボニル等が挙げられる。
「置換基を有していてもよいアリールカルボニル基」は、好ましくは、C−C14アリール−カルボニル基であり、具体的には、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等が挙げられる。
本明細書中において、「置換基を有していてもよいアミノカルボニル基」とは、例えばアルキルアミノ基(好ましくはC−Cアルキルでモノ又はジ置換されたアミノ基)あるいはアリールアミノ基(好ましくはC−C14アリール基でモノ又はジ置換されたアミノ基)で置換されたカルボニル基を意味し、具体的には、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、イソブチルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、n−ペンチルアミノカルボニル、イソペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジn−プロピルアミノカルボニル、ジイソプロピルアミノカルボニル、ジn−ブチルアミノカルボニル、ジイソブチルアミノカルボニル、ジtert−ブチルアミノカルボニル、ジn−ペンチルアミノカルボニル、ジイソペンチルアミノカルボニル、ジヘキシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、ナフチルアミノカルボニル等が挙げられる。
本明細書中において「シクロアルケニルカルボニル基」とは、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等のC−Cシクロアルケニル基で置換されたカルボニル基を意味する。
本明細書中の「複素環カルボニル基」とは、前記した「複素環基」で置換されたカルボニル基を意味する。「複素環カルボニル基」の「複素環基」としては、例えば、前記複素環基として例示した芳香族又は非芳香族複素環基に対応する環が挙げられる。「複素環カルボニル基」の具体例としては、ベンゾフラニルカルボニル、チエニルカルボニル、ベンゾイミダゾリルカルボニル、ピリミジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、1−ピペラジニルカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル等が挙げられる。
本明細書中の「置換基を有していてもよい複素環カルボニル基」とは、カルボニル基の他に、置換可能な位置に1〜3個の置換基を有していてもよい複素環カルボニル基を意味する。そのような置換基としては、ハロゲン(上述)、アルキル基(上述)、アラルキル基(例、ベンジル)、複素環基(上述)、アルコキシ基(後述)等が挙げられる。
本明細書中の「置換基を有していてもよいカルボキシル基」における「置換基」としては、例えばアルキル基(上述)、アリール基(上述)、アラルキル基(例、ベンジル、フェネチル)等が挙げられる。
本明細書中の「アルキルチオ基」及び「置換基を有していてもよいアリールチオ基」は、それぞれ前記した「アルキル基」及び「置換基を有していてもよいアリール基」で置換されたチオ基を意味する。
「アルキルチオ基」は、好ましくは、C−Cアルキルチオ基であり、具体的には、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ等が挙げられる。
「置換基を有していてもよいアリールチオ基」は、好ましくは、置換基を有していてもよいC−C14アリールチオ基であり、具体的には、フェニルチオ、ナフチルチオ等が挙げられる。
本明細書中の「アルキルスルホニル基」及び「置換基を有していてもよいアリールスルホニル基」は、それぞれ前記した「アルキル基」及び「置換基を有していてもよいアリール基」で置換されたスルホニル基を意味する。
「アルキルスルホニル基」は、好ましくは、C−Cアルキルスルホニル基であり、具体的には、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル等が挙げられる。
「置換基を有していてもよいアリールスルホニル基」は、好ましくは、置換基を有していてもよいC−C14アリールスルホニル基であり、具体的には、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等が挙げられる。
「置換基を有していてもよいアミノスルホニル基」としては、(C−C)アルキルアミノ−スルホニル基、ジ(C−C)アルキルアミノ−スルホニル基、(C−C14)アリールアミノ−スルホニル基、ジ(C−C14)アリールアミノ−スルホニル基等が挙げられ、具体的には、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、n−プロピルアミノスルホニル、イソプロピルアミノスルホニル、n−ブチルアミノスルホニル、イソブチルアミノスルホニル、tert−ブチルアミノスルホニル、n−ペンチルアミノスルホニル、イソペンチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ジエチルアミノスルホニル、ジn−プロピルアミノスルホニル、ジイソプロピルアミノスルホニル、ジn−ブチルアミノスルホニル、ジイソブチルアミノスルホニル、ジtert−ブチルアミノスルホニル、ジn−ペンチルアミノスルホニル、ジイソペンチルアミノスルホニル、ジヘキシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、ナフチルアミノスルホニル等が挙げられる。
本明細書中の「置換基を有していてもよいアリールオキシ基」としては、例えばフェノキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。
本明細書中の「置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基」としては、例えば、フェノキシカルボニル、1−ナフチルオキシカルボニル、2−ナフチルオキシカルボニル等が挙げられる。
本明細書中の「アシルアミノ基」としては、−NHCOR’’’(式中、R’’’は、前記「アルキル基」、又は前記「置換基を有していてもよいアリール基」を意味する)で表される基が挙げられ、例えばアセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。
本明細書中の「アルキルスルホニルアミノ基」は、前記「アルキル基」で置換されたスルホニルアミノ基を意味し、具体的には、例えばメチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、n−ブチルスルホニルアミノ、イソブチルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノ、n−ペンチルスルホニルアミノ、イソペンチルスルホニルアミノ、ヘキシルスルホニルアミノ等が挙げられる。
本明細書中の「置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基」は、前記「置換基を有していてもよいアリール基」で置換されたスルホニルアミノ基を意味し、具体的にはフェニルスルホニルアミノ、ナフチルスルホニルアミノ等が挙げられる。
式(I)中、Rとして好ましくは、(i)水素、(ii)置換基を有していてもよいアルケニル基、(iii)置換基を有していてもよいアルキニル基、(iv)置換基を有していてもよい複素環基、(v)置換基を有していてもよいアミノ基、(vi)アルコキシ基、(vii)アルキルカルボニル基、(viii)置換基を有していてもよい複素環カルボニル基、(ix)シクロアルキルカルボニル基、(x)シクロアルケニルカルボニル基、(xi)置換基を有していてもよいアミノカルボニル基、及び(xii)一般式(1)で表される構造が例示される。
(式中、各記号の定義は上述と同義)
式(1)中、R16は好ましくは、水素又はアルキル基であり、R17及びR18は、好ましくは、同一又は異なって、水素、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、ジアルキルアミノ基又は置換基を有していてもよいアルケニル基である。
式(I)中、Rは、好ましくは、水素、ヒドロキシ基又はアルコキシ基である。さらにRがOR2a(式中、R2aは水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は置換基を有していてもよいアリール基を意味する)である場合は、Rとともに置換基を有していてもよい一般式(2)で表される環を形成する。ただし、RがOR2aである場合、RはOR4a(式中、R4aは水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基を意味する)ではない。
(式中、各記号の定義は上述と同義)
式(2)中、R19及びR20はアルキル基であることが好ましく、R21及びR22は水素であることが好ましい。
OR2aがRとともに置換基を有していてもよい一般式(2)で表される環を形成する場合には式(I)で表される化合物は下記一般式で表される化合物である。
(式中、各記号の定義は上述と同義)
式(I)中、Rは、好ましくは、水素、アルキル基又はアルコキシ基である。
式(I)中、Rは、好ましくは、水素、ヒドロキシ基又はアルコキシ基である。さらにRがOR4a(式中、R4aは、上述と同義)である場合は、Rとともに置換基を有していてもよい一般式(2)で表される環を形成する。ただし、Rが水素である場合RはOR2a(式中、R2aは上述と同義)であり、RがOR4aである場合RはOR2aではない。
(式中、各記号の定義は上述と同義)
式(2)中、R19及びR20はアルキル基であることが好ましく、R21及びR22は水素であることが好ましい。
OR4aがRとともに置換基を有していてもよい一般式(2)で表される環を形成する場合には式(I)で表される化合物は下記一般式で表される化合物である。
(式中、各記号の定義は上述と同義)
式(I)中、
で表される基は、下記一般式(a)〜(e)で表される基を意味する。
(式中、各記号の定義は上述と同義)
式(a)において、Xは好ましくはO又はNHであり、R5a及びR5bは好ましくは、同一又は異なって水素、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基である。
式(b)において、R及びRは好ましくは、同一又は異なってアルキル基を意味する。C−RがC=Oを形成することも又好ましい。Rは好ましくはオキソ基又はアルキル基であり、
で表される結合は単結合又は二重結合である。
式(c)において、Rは好ましくは水素であり、R10は好ましくは水素であり、R11は好ましくは置換基を有していてもよいアリールカルボニル基である。
式(d)において、Xは、好ましくはNであり、R12は好ましくは置換基を有していてもよいアミノ基である。
式(e)において、R13は好ましくはアリール基であり、R14は好ましくはアルキル基である。
式(I)で表される化合物のうち、特に好ましくは下記一般式(II)で表される化合物である。
{式(II)中、
1’は、水素、複素環基、置換基を有していてもよいアミノ基、複素環カルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基又は一般式(1’):
[式(1’)中、
16’、R17’及びR18’は同一又は異なって水素、アルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を意味する]
で表される構造を意味し;
2’は、アルコキシ基を意味し;
3’は、水素又はアルキル基を意味し;
4’は、OR4a’(式中、R4a’はアルキル基を意味する)を意味し、OR4a’はR3’とともに一般式(2’):
[式中、R19’及びR20’は、同一又は異なってアルキル基を意味し、破線は、ベンゼン環との縮合部分を示す]
で表される環を形成し;
式:
で表される基が、
式(a’):
(式中、R5a’及びR5b’は同一又は異なって、水素又は置換基を有していてもよいアルキル基を意味する)で表される基を意味するか、又は
式(b’):
(式中、R8’はアルキル基を意味する)で表される基を意味する。}
このような化合物としては、例えば、
5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−[(2E)−2−メチルブテ−2−ノイル]−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(GUT-70)、
5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−(2−メチルブタノイル)−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−1)、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−(2−メチルブタノイル)−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−2)、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[(2E)−2−メチルブテ−2−ノイル]−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−3)、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−プロピオニル−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−4)、
4−(5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−8−オキソ−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−10−イル)ブタン酸(BNS−6)、
4−(5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−8−オキソ−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−10−イル)−N,N−ジメチルブタンアミド(BNS−8)、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−10−[4−オキソ−4−(4−ピリジン−2−イルピペラジン−1−イル)ブチル]−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−9)、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−プロピオニル−10−プロピル−2,7−ジヒドロ−2H,8H−ピラノ[2,3−f]キノリン−8−オン(BNS−10)、
6−アセチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−12)、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−ペンタノイル−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−13)、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−イソブチリル−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−14)、
10−(3−ブロモフェニル)−5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−15)、
3−(5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−8−オキソ−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−10−イル)プロピオン酸エチルエステル(BNS−16)、
3−(5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−8−オキソ−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−10−イル)プロピオン酸(BNS−18)、
5−ヒドロキシ−8,8−ジメチル−4−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−2−オン(BNS−19)、
5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−20)、
3−(5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−8−オキソ−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−10−イル)−N,N−ジメチルプロパンアミド(BNS−21)、
5−メトキシ−2,2−ジメチル−10−(3−オキソ−3−ピロリジン−1−イルプロピル)−6−プロピオニル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−24)、
6−シクロブチルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−26)、
6−シクロヘキシルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−27)、及び
6−シクロペンチルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン(BNS−29)等が挙げられ、好ましくは
5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−[(2E)−2−メチルブテ−2−ノイル]−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
6−シクロブチルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、及び
6−シクロヘキシルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン
であり、特に好ましくは下記構造式を有する化合物5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−[(2E)−2−メチルブテ−2−ノイル]−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オンである。
上述の一般式(I)で表される化合物は、特許文献1又は特許文献2に開示されている方法で製造することができる。
本明細書中では、一般式(I)で表される化合物を化合物(I)あるいは本発明化合物とも称する場合がある。
「薬学的に許容されるその塩」とは、本発明化合物から形成されるあらゆる非毒性の塩を示す。例えばそれは:塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸などのような無機酸;シュウ酸、マロン酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、アスコルビン酸、メチルスルホン酸、ベンジルスルホン酸などのような有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウムなどのような無機塩基;メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、グアニジン、コリン、シンコリンなどのような有機塩基;またはリジン、アルギニン、アラニンなどのようなアミノ酸との反応によって得られうる。本発明は、化合物(I)の、水和物のような含水生成物および溶媒和物、などを包含する。
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体等の異性体を有する場合には、いずれか一方の異性体も、異性体の混合物も化合物(I)に包含される。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。これらの異性体は、自体公知の合成手法、分離手法(濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等)によりそれぞれを単品として得ることができる。
化合物(I)は、結晶であっても無晶形であってもよい。化合物(I)が結晶である場合、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても化合物(I)に包含される。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
化合物(I)は、同位元素(例、H,14C,35S,125I等)等で標識されていてもよい。
本発明化合物は、抗ウイルス作用を有し、抗ウイルス剤として有用である。本発明化合物が対象とするウイルスとして、好ましくはレトロウイルスである。該レトロウイルスとしては、RNAの転写により生命維持をしているウイルス類を包含するものであり、例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)等のヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)、肝炎ウイルス(HBV、HCV等)等が挙げられる。好ましくはHIVである。特に本発明の抗ウイルス剤はHIV感染症に対して有用である。HIV感染症とはエイズ、症候性又は無症候性のHIV感染症(エイズ関連症候群:ARCを含む)を含めてHIVに感染している病態をいう。本発明の抗ウイルス剤は、HIV感染症をはじめとした各種レトロウイルス感染症の治療用の薬剤として用いることができる。「治療」とは症状の改善、緩和又は治癒を目的とする処置を含む。例えばHIV感染症の治療とは、HIV感染による症状の改善、緩和又は治癒、エイズ発症の予防又は遅延を目的とした処置を含む。具体的には、CD4陽性リンパ球数の増加又は減少の抑制、NK細胞活性の増加又は低下の抑制、ARCの予防、改善、緩和又は治癒、エイズ発症の予防又は遅延、日和見感染症の予防、改善、緩和又は治癒、エイズの症状の改善、緩和又は治癒を目的とした処置を含む。ARCの症状には、リンパ節腫脹、食欲不振、下痢、体重減少、発熱、倦怠感、発疹、気管支喘息等が含まれる。
本発明化合物は、HIV−1の複製及び/又は転写を抑制することにより、HIV−1の増殖を抑制することができる。より詳細には、本発明化合物は、NF−kappaB p65の活性化(リン酸化)を抑制することができる。また、本発明化合物は、NF−kappaBのDNA結合を阻害することで、HIV−1の転写を抑制し、その複製を抑制することができる。しかも、本発明化合物は、HIV−1潜伏感染細胞株において前記抑制作用を発揮することができるため、HIV−1の潜伏感染の治療に有用である。さらに、HIV−1はHIV−1の表面に発現するenvが宿主細胞に結合することで感染が起きるが、本発明化合物は、細胞膜の流動性を低下させること、HIV−1のenvを発現する細胞が膜融合することを阻害すること、HIV−1の細胞内侵入を阻害すること、並びに、CXCR4及びCCR5両方の受容体に対するHIV−1感染を阻害することができるため、既知の抗HIV剤とは異なる作用機序を有する抗HIV剤として有用である。
さらに、本発明化合物は、抗がん作用も有することから、がん(例、悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫等)、白血病(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病等)、肉腫(カポジ肉腫、平滑筋肉腫等の軟部肉腫、悪性末梢神経性腫瘍、骨肉腫等の悪性骨腫瘍)、多発性骨髄腫、絨毛癌、軟部腫瘍、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌等)、甲状腺癌、頭頸部癌、食道癌、乳癌、大腸癌、胃癌、胆道癌、脳腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌、子宮頚癌、睾丸癌、黒色腫、皮膚癌又は肛門癌等)に罹患した患者に対して好適に適用することができる。さらに、自己免疫疾患(例、全身性エリテマトーデスや関節リウマチ等)、感染症(例、日和見感染等)等の予防又は治療効果を有することから、これらの疾患に罹患した患者に対しても好適に適用することができる。
本発明化合物を有効成分として含有する医薬(例えばHIV剤等)中における本発明化合物の含有量は製剤全体に対して通常、約0.01〜約99.9重量%、好ましくは約0.1〜約50重量%である。
本発明化合物は、薬学的に許容される担体と配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤;シロップ剤、注射剤等の液状製剤;貼付剤、軟膏剤、硬膏剤等の経皮吸収剤;吸入剤;坐剤として、適宜製剤化することができる。
また、静脈内滴下、皮膚用パッチ剤、皮下ポンプ、ポリマーインプラント;あるいはナノスフェア製剤を使用した投与のように、治療的に効果的な任意の長さの時間中、連続して実行され得る形態にて投与されても良い。
本発明化合物を含有する医薬は、経口又は非経口投与され、上記した化合物を1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用して用いてもよい。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用されている各種有機あるいは無機担体物質を用いることができる。具体的には、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等を配合することができる。又、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の例としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、でんぷん、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
結合剤の例としては、結晶セルロース、白糖、マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
崩壊剤の例としては、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油等が挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤の例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
等張化剤の好適な例として、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。
緩衝剤の好適な例として、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩及びクエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
無痛化剤の好適な例として、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。
防腐剤の好適な例として、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
抗酸化剤の好適な例として、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸等が挙げられる。
着色剤の好適な例として、例えばタール色素、カラメル、三二酸化鉄、酸化チタン、リボフラビン類等が挙げられる。
甘味剤の好適な例として、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、単シロップ等が挙げられる。
本発明化合物はヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、ブタなどを含む哺乳類、好ましくはヒトに投与することができる。
本発明化合物の投与量は、年令、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組み合わせ、患者のその時に治療を行なっている病状の程度に応じ、それらあるいはその他の要因を考慮して決められる。
投与量は対象疾患、症状、投与対象、投与方法等によって異なるが、例えば、本発明化合物を1日量約0.1〜100mg/kg(体重)程度、好ましくは約1〜10mg/kg(体重)程度、更に好ましくは約1〜3mg/kg(体重)程度を1回又は2ないし3回に分けて投与するのが好ましい。
本発明化合物は、所望の効果を得るために、単独で投与することもでき、又他の抗ウイルス剤(例、他の抗HIV剤)やウイルス感染の治療に有用な他の薬剤と併用することができる。本発明化合物は従来の抗ウイルス剤と作用機序を異にするため、従来の抗ウイルス剤で得られなかった効果を得られる可能性があり、また、併用することにより従来の抗ウイルス剤で懸念されていた副作用等の問題を回避することが可能となる。例えば従来の他の抗HIV剤のいずれかへの耐性株の存在下でさえも、本発明化合物は、ウイルスの増殖を効果的に調節することができる。
本発明の本発明化合物との併用に用いることができる他の薬剤としては、HIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤またはDNA合成阻害剤、インターフェロンまたはインターフェロン作動薬、HIVアンチセンス薬、抗HIV抗体または他の抗体、HIVワクチンまたは他のワクチン、インターフェロンまたはインターフェロン作動薬、CCR5拮抗剤、HIV p24に対して作用する医薬、HIV融合阻害剤、IL−2作動薬または拮抗剤、プリンヌクレオシドリン酸化酵素阻害剤、アポトーシス作動薬または阻害剤、コリンエステラーゼ阻害剤、免疫調節剤等から選択される。二つまたは三つ、あるいはより多数の薬剤を併用することができる。異なる作用機構を有する医薬の併用は、本発明の一つの実施態様である。加えて、副作用の重複のない医薬の選択は、本発明の他の実施態様である。
HIV逆転写酵素阻害剤の特定の例としては、レトロビル(登録商標)(ジドブジンまたはAZT)、エピビル(登録商標)(ラミブジンまたは3TC)、ゼリット(登録商標)(サニルブジン)、ヴァイデックス(登録商標)(ジダノシン)、ハイビット(登録商標)(ザルシタビン)、ザイアジェン(登録商標)(硫酸アバカビル)、ビラムン(登録商標)(ネビラピン)、ストクリン(登録商標)(エファビレンツ)、レスクリプトール(登録商標)(メシル酸デラビルジン)、コンビビル(登録商標)(ジドブジン+ラミブジン)、トリジビル(登録商標)(硫酸アバカビル+ラミブジン+ジドブジン)、コアクチノン(登録商標)(エミビリン)、フォスフォノビル(Phosphonovir)(登録商標)、コビラシル(登録商標)、アロブジン(3’−フルオロ−3’−デオキシチミジン)、チオビル(Thiovir)(チオホスホノギ酸)、カプラビリン(カルバミン酸5−[(3,5−ジクロロフェニル)チオ]−4−イソプロピル−1−(4−ピリジルメチル)イミダゾール−2−メタノール)、テノフォビル(PMPA)、フマル酸テノフォビルジソプロキシル(フマル酸(R)−[[2−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)−1−メチルエトキシ]メチル]ホスホン酸ビス(イソプロポキシカルボキシルオキシメチル)エステル)、DPC−083((4S)−6−クロロ−4−[(1E)−シクロプロピルエテニル]−3,4−ジヒドロ−4−トリフルオロメチル−2(1H)−キナゾリノン)、DPC−961((4S)−6−クロロ−4−(シクロプロピルエチニル)−3,4−ジヒドロ−4−(トリフルオロメチル)−2(1H)−キナゾリノン)、DAPD((−)−β−D−2,6−ジアミノプリンジオキソラン)、イミュノカル、MSK−055、MSA−254、MSH−143、NV−01、TMC−120、DPC−817、GS−7340、TMC−125、SPD−754、D−A4FC、カプラビリン、UC−781、エムトリシタビン、アロブジン、フォスファジド(Phosphazid)、UC−781、BCH−10618、DPC−083、エトラビリン(Etravirine)、BCH−13520、MIV−210、硫酸アバカビル/ラミブジン、GS−7340、GW−5634、GW−695634などが挙げられる。
HIVプロテアーゼ阻害剤の特定の例としては、クリキシバン(登録商標)(硫酸インジナビルエタノレート)、サクイナビル、インビラーゼ(登録商標)(メシル酸サクイナビル)、ノルビル(登録商標)(リトナビル)、ビラセプト(登録商標)(メシル酸ネルフィナビル)、ロピナビル、プローゼ(登録商標)(アンプレナビル)、カレトラ(登録商標)(リトナビル+ロピナビル)、ジメシル酸モゼナビル(mozenavir)(二メタンスルホン酸[4R−(4α,5α,6β)]−1−3−ビス[(3−アミノフェニル)メチル]-ヘキサヒドロ−5,6−ジヒドロキシ−4,7−ビス(フェニルメチル)−2H−1,3−ジアゼピン−2−オン)、チプラナビル(3’−[(1R)−1−[(6R)−5,6−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−6−フェニルエチル−6−プロピル−2H−ピラン−3−イル]プロピル]−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジン硫酸アミド)、ラシナビル(N−[5(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−(2,3,4−トリメトキシベンジル)ヘキサノイル]−L−バリン 2−メトキシエチレンアミド)、KNI−272((R)−N−tert−ブチル−3−[(2S,3S)−2−ヒドロキシ−3−N−[(R)−2−N−(イソキノリン−5−イルオキシアセチル)アミノ−3−メチルチオプロパノイル]アミノ−4−フェニルブタノイル]−5,5−ジメチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド)、GW−433908、TMC−126、DPC−681、バックミンスターフラーレン、MK−944A(MK944(N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−2(R)−フェニルメチル−4(S)−ヒドロキシ−5−[4−(2−ベンゾ[b]フラニルメチル)−2(S)−(tert−ブチルカルバモイル)ピペラジン−1−イル]ペンタンアミド)+硫酸インジナビル)、JE−2147([2(S)−オキソ−4−フェニルメチル−3(S)−[(2−メチル−3−オキシ)フェニルカルボニルアミノ]−1−オキサブチル]−4−[(2−メチルフェニル)メチルアミノ]カルボニル−4(R)−5,5−ジメチル−1,3−チアゾール)、BMS−232632((3S,8S,9S,12S)−3,12−ビス(1,1−ジメチルエチル)−8−ヒドロキシ−4,11−ジオキソ−9−(フェニルメチル)−6−[[4−(2−ピリジニル)フェニル]メチル]−2,5,6,10,13−ペンタアザテトラデカン二カルボン酸ジメチルエステル)、DMP−850((4R,5S,6S,7R)−1−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルメチル)−4,7−ジベンジル−3−ブチル−5,6−ジヒドロキシパーヒドロ−1,3−ジアゼピン−2−オン)、DMP−851、RO−0334649、Nar−DG−35、R−944、VX−385、TMC−114、チプラナビル、ホスアンプレナビルナトリウム、ホスアンプレナビルカルシウム、ダルナビル、GW−0385、R−944、RO−033−4649、AG−1859などが挙げられる。
HIVインテグラーゼ阻害剤は、S−1360、L−870810などであり得る。DNAポリメラーゼ阻害剤またはDNA合成阻害剤は、ホスカビル(登録商標)、ACH−126443(L−2’,3’−ジデヒドロ−ジデオキシ−5−フルオロシチジン)、エンテカビル((1S,3S,4S)−9−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−2−メチレンシクロペンチル]グアニン)、カラノライドA([10R−(10α,11β,12α)]−11,12−ジヒドロ−12−ヒドロキシ−6,6,10,11−テトラメチル−4−プロピル−2H,6H,10H−ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b”]トリピラン−2−オン)、カラノライドB、NSC−674447(1,1’−アゾビスホルムアミド)、イスカドール(ヤドリギ抽出物(viscum alubm extract))、ルブテカン(Rubutecan)などであり得る。HIVアンチセンス薬は、HGTV−43、GEM−92などであり得る。抗HIV抗体または他の抗体は、NM−01、PRO−367、KD−247、シトリン(登録商標)、TNX−355(CD4抗体)、AGT−1、PRO−140(CCR5抗体)、抗CTLA−4 Mabなどであり得る。HIVワクチンまたは他のワクチンは、ALVAC(登録商標)、AIDSVAX(登録商標)、レミューン(登録商標)、HIV gp41ワクチン、HIV gp120ワクチン、HIV gp140ワクチン、HIV gp160ワクチン、HIV p17ワクチン、HIV p24ワクチン、HIV p55ワクチン、AlphaVaxベクター系、キャナリーポックスgp160ワクチン、AntiTat、MVA−F6 Nefワクチン、HIV revワクチン、C4−V3ペプチド、p2249f、VIR−201、HGP−30W、TBC−3B、PARTICLE−3Bなど、アンチフェロン(インターフェロン−αワクチン)などであり得る。
インターフェロンまたはインターフェロン作動薬は、スミフェロン(登録商標)、マルチフェロン(登録商標)、インターフェロン-τ、Reticulose、ヒト白血球インターフェロンαなどであり得る。CCR5拮抗剤はSCH−351125などであり得る。HIV p24に対して作用する医薬は、GPG−NH2(グリシル−プロリル−グリシンアミド)などであり得る。HIV融合阻害剤は、FP−21399(1,4−ビス[3−[(2,4−ジクロロフェニル)カルボニルアミノ]−2−オキソ−5,8−硫酸二ナトリウム(disodium sulfonyl)]ナフチル−2,5−ジメトキシフェニル−1,4−ジヒドラゾン)、T−1249、Synthetic Polymeric Construction No3、ペンタフジド(pentafuside
)、FP−21399、PRO−542、エンフビルチドなどであり得る。IL−2作動薬または拮抗剤は、インターロイキン−2、イムネース(登録商標)、プロロイキン(登録商標)、ムルチキン(Multikine)(登録商標)、オンタック(登録商標)などであり得る。TNF−α拮抗剤は、サロミド(登録商標)(サリドマイド)、レミケード(登録商標)(インフリキシマブ)、カードラン硫酸などであり得る。α−グルコシダーゼ阻害剤は、ブキャスト(Bucast)(登録商標)などであり得る。
プリンヌクレオシドリン酸化酵素阻害剤は、ペルデシン(2−アミノ−4−オキソ−3H,5H−7−[(3−ピリジル)メチル]ピロロ[3,2−d]ピリミジン)などであり得る。アポトーシス作動薬または阻害剤は、アーキンZ(登録商標)、パナビル(Panavir)(登録商標)、補酵素Q10(2−デカ(3−メチル−2−ブテニレン)−5,6−ジメトキシ−3−メチル−p−ベンゾキノン)などであり得る。コリンエステラーゼ阻害剤は、コグネックス(登録商標)などであり得、免疫調節剤は、イムノックス(Imunox)(登録商標)、プロキン(Prokine)(登録商標)、Met−エンケファリン(6−de−L−アルギニン−7−de−L−アルギニン−8−de−L−バリンアミド−アドレノルフィン)、WF−10(10倍希釈テトラクロロデカオキシド溶液)、Perthon、PRO−542、SCH−D、UK−427857、AMD−070、AK−602などであり得る。
加えて、ニューロトロフィン(登録商標)、リダコール(Lidakol)(登録商標)、アンサー20(登録商標)、アンプリゲン(登録商標)、アンチコート(Anticort)(登録商標)、イナクチビン(Inactivin)(登録商標)など、PRO−2000、Rev M10遺伝子、HIV特異的細胞傷害性T細胞(CTL免疫治療、HVTNプロトコール080治療等)、SCA結合タンパク質、RBC−CD4複合体、モテキサフィンガドリニウム、GEM−92、CNI−1493、(±)−FTC、Ushercell、D2S、BufferGel(登録商標)、VivaGel(登録商標)、Glyminox vaginal gel、ラウリル硫酸ナトリウム、2F5、2F5/2G12、VRX−496、Ad5gag2、BG−777、IGIV−C、BILR−255などが本発明化合物との併用治療に用いられ得る。
本発明化合物と、上記した各種薬剤との併用(以下、本発明の併用剤とも称する)において、それぞれの用量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法などに依存して変化するが、各薬剤について臨床的に用いられている用量とすることができるが、併用により、相加乃至相乗効果が期待できるので一般的に各薬剤の用量を減じることができる。
さらに、本発明化合物は、抗がん作用を有し、さらに、炎症、自己免疫疾患や感染症等にも有効であることから、癌、炎症、自己免疫疾患、感染症等に罹患したHIV感染患者に好適に投与することができる。そのような場合、本発明化合物を抗癌剤、抗炎症剤又は免疫療法剤等と適宜組み合わせて用いることができる。
他の抗癌剤としては、例えば、代謝拮抗剤(例、メソトレキセート、5−フルオロウラシル等)、アルキル化剤(例、サイクロフォスファミド、イフォスファミド等)、白金系抗癌剤(例、シスプラチン、カルボプラチン等)、トポイソメラーゼ阻害剤(例、エトポシド等)、抗癌性抗生物質(例、マイトマイシン、アドリアマイシン等)、植物由来抗癌剤(例、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール等)、チロシンキナーゼ阻害剤(例、ゲフィニチブ、イマニチブ等)、ヒト化抗体(例、ハーセプチン等)等が挙げられる。
抗炎症剤としては、アセトアミノフェン、フェナセチン、エテンザミド、スルピリン、アンチピリン、ミグレニン、アスピリン、メフェナム酸、フルフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、プラノプロフェン、フロクタフェニン、エピリゾール、塩酸チアラミド、ザルトプロフェン、メシル酸ガベキサート、メシル酸カモスタット、ウリナスタチン、コルヒチン、プロベネジド、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、アロプリノール、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、塩酸モルヒネ、サリチル酸、アトロピン、スコポラミン、モルヒネ、ペチジン、レボルファイノール、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキシモルフォン又はその塩等の非ステロイド性抗炎症剤等が挙げられる。
免疫療法剤としては、例えば、微生物又は細菌成分(例、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール等)、免疫増強活性のある多糖類(例、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン等)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例、インターフェロン、インターロイキン(IL)等)、コロニー刺激因子(例、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン等)等が挙げられ、中でもIL−1、IL−2、IL−12等が好ましい。
本発明化合物と併用する薬剤の投与は本発明化合物と同時に投与することができるが、別々に投与してもよい。同時に投与する場合、一つの医薬製剤として製することもできる。医薬製剤として用いられる場合、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定化剤、防腐剤、緩衝剤、乳化剤、香料添加剤、着色剤、甘味剤、増粘剤、矯正剤、溶解補助剤、他の添加剤などと混合され、それは一般に水、植物油、アルコール(例、エタノールまたはベンジルアルコールなど)、ポリエチレングリコール、グリセロール三酢酸、ゼラチン、糖質(例、ラクトース、デンプンなど)、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラノリン、ワセリンを含むことが知られており、常法により錠剤、ピル、粉末剤、顆粒剤、坐剤、注射剤、点眼剤、液剤、カプセル剤、トローチ剤、エアロゾル剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤などに形成され、次いで全身的もしくは局所的、および経口的もしくは非経口的に投与される。
また、別の実施態様としては、本発明化合物と併用する薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、本発明化合物と併用する薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、本発明化合物と併用する薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、本発明化合物と併用する薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与などが挙げられる。
本発明化合物はまた、インビトロの溶液中におけるレトロウイルスの増殖を予防するのにも効果的である。Tリンパ球細胞培養のような、ヒト、動物および微生物の細胞培養は、キャリブレータおよびコントロールを含む研究および診断手順のような種々のよく知られた目的で活用される。細胞培養類の増殖および保存の前ならびにそれらの間において、不注意にもしくは知らずに細胞培養中に存在し得るレトロウイルスの、不測もしくは望外の複製を防止する有効濃度で、本発明化合物が細胞培養液中に添加され得る。ウイルスはもともと細胞培養中に存在し得、例えばHIVは、血液中で検出され得るずっと以前にヒトTリンパ球中に、あるいはウイルスへの曝露を通じて存在し得ることが知られている。本発明化合物の使用は、無意識のまたは不慮の、研究者もしくは医者への、致死的となり得るレトロウイルスの曝露を防止する。
さらに、本発明化合物はまた、HIV感染を治療するための本発明化合物との併用治療に有益であり得るさらなる抗HIV剤を同定するための、インビトロにおけるスクリーニング方法に有効に用いることができる。
例えば試験化合物を、本発明化合物と組み合わせて、HIV感染細胞培養物中に添加し、細胞培養物中のレトロウイルスの複製を測定し、標準サンプル(例、試験化合物を含まないサンプル、試験化合物のみ含むサンプル、または他のそれらのバリアント)と比較することができる。結果の比較によって、例えば本発明化合物との併用治療において有益に用いられ得る試験化合物が示される。さらに同様の手法で、本発明化合物と他の薬剤との併用治療において有益に用いられる試験化合物を得ることもできる。
以下の実施例により本発明をより具体的に説明するが、実施例は本発明の単なる例示にすぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
細胞株と試薬
T細胞株Molt−4(RIKEN CELL BANKより入手)、T細胞株HUT78、T細胞株Jurkat−HXBc2及びJurkat−522F/Y(いずれもNIH AIDS Research & Reference Reagent Programより入手)、HIV−1潜伏細胞株U1(NIH AIDS Research & Reference Reagent Programより入手)、TZM−bl細胞(NIH AIDS Research & Reference Reagent Programより入手)を使用した。
HIV−1株NL4−3(NIH AIDS Research & Reference Reagent Programより入手)を使用した。
GUT−70(佐賀大学から提供)、PMA(SIGMA−ALDRICH,ST.Louis,MO)及びTNF−α(Pepro Tech)を使用した。
Molt−4細胞は、RPMI−1640(和光純薬)に10%ウシ胎仔血清(FCS,Thermo Scientific HyClone,South Logan, Utah, USA)を添加した培地で培養した。
T細胞株HUT78は、RPMI−1640(和光純薬)に10%ウシ胎仔血清(FCS,Thermo Scientific HyClone,South Logan, Utah, USA)、100U/mL ペニシリン及び50μg/mL ストレプトマイシンを添加した培地で培養した。
Jurkat−HXBc2細胞及びJurkat−522F/Y細胞は、RPMI−1640(和光純薬)に10%ウシ胎仔血清(FCS,Thermo Scientific HyClone,South Logan, Utah, USA)、200μg/mL G418、200μg/mL ハイグロマイシン及び1μg/mL テトラサイクリンを添加した培地で培養した。
U1細胞は、RPMI−1640(和光純薬)に10%ウシ胎仔血清(FCS,Thermo Scientific HyClone,South Logan, Utah, USA)、100U/mL ペニシリン及び100μg/mL ストレプトマイシンを添加した培地で培養した。
TZM−bl細胞は、DMEM(和光純薬)に10%ウシ胎仔血清(FCS,Thermo Scientific HyClone,South Logan, Utah, USA)、100U/mL ペニシリン及び100μg/mL ストレプトマイシンを添加した培地で培養した。
HIV−1複製の抑制
T細胞株Molt−4に、spinoculation法(J.Virol.,vol.74, p.10074−10080,2000)で、HIV−1株NL4−3を感染させた。12穴マイクロプレートに1×105個/ウエルに前記細胞を播種し3日間培養した。前記細胞にGUT−70を、0、10μM添加した。さらに前記細胞を4−7日間培養し、FITC標識抗p24抗体(Beckman−Coulter社、以下同様)で定法通り染色し、LSR−II flow cytometer(BD Bioscience, San Jose, CA、以下同様)を用いてp24の発現細胞の割合を解析した。p24抗原はHIV−1ウイルスの構造タンパク質であり、当該タンパク質を検出することによりHIV−1の複製の程度を測定することができる。結果を図1に示す。図中、mockは、(HIV−1及びGUT−70添加なし)、conは(HIV−1添加あり、GUT−70添加なし)を示す。GUT−70添加により、HIV−1の複製は抑制された。さらに、それを裏付けるために、前記培養7日目の細胞培養上清中のp24 Gagタンパク質量をELISA法により、HIV−1 p24 antigen ELISA kit(Tropical Technology Center, Okinawa, Japan)を使用して定量した。結果を図1−3に示す。
細胞膜の流動性に対するGUT−70の効果
GUT−70の細胞膜の流動性に対する効果を検討した。T細胞HUT78(2.5×10個)を、最終濃度2×10−6M DPH(1,6−ジフェニル−1,3,5−ヘキサトリエン;和光純薬)で標識し、37℃で培養後、30分間遮光した。DPHでの標識後、PBSで当該細胞を洗浄し、PBSで2.5×10cells/mLとなるよう調製した。当該細胞に、最終濃度が、0、10、50μMとなるようにGUT−70を添加し、添加から10分間の蛍光偏光を分光蛍光光度計(F4500;日立)により測定した。結果を図2に示す。仮に、蛍光分子の回転が大きく、細胞膜の流動性が高い場合、蛍光偏光P値は低くなり、逆に、蛍光分子の回転が小さく、細胞膜の流動性が低い場合、蛍光偏光P値は高くなる。当該T細胞では、容量依存的にGUT−70の添加により、細胞膜の流動性が低下した。
HIV−1 env発現細胞の膜融合阻害
GUT−70の細胞膜融合に対する抑制効果を検討した。テトラサイクリン存在下で培養しておいたT細胞株Jurkat−HXBc2及びJurkat−522F/YをPBS洗浄によりテトラサイクリンを除去し、3日間培養した。2×106個のJurkat−HXBc2及びJurkat−522F/Y細胞をPKH 26 Red Fluorescent Cell Linker Kit(SIGMA−ALDRICH,ST.Louis,MO)を用いて染色し、対照となるT細胞株(Molt−4)をPKH 67 Green Fluorescent Cell Linker Kit(SIGMA−ALDRICH,ST.Louis,MO) を用いて染色した(Cytometry, vol.47, p.100−106,2002)。
細胞を染色後、最終濃度が0、 5、7.5、10μM になるようにGUT−70を添加し、等量の両細胞を共培養して、24穴マイクロプレートに各サンプル3つ、500μLずつ播種した。24時間後、細胞を回収し遠心してペレットをFACS washing bufferで洗浄及び懸濁し、LSR−II flow cytometerで解析を行った。PKH 26 Red Fluorescent Cell Linker Kitで染色した細胞はFL2 (585nm) で検出し、PKH 67 Green Fluorescent Cell Linker Kitで染色した細胞はFL1(530nm) で検出した。データはFlowJoソフトウェア(Tree Star,Scan Carlos,CA)で解析した。結果を図3に示す。また、48時間後、Biozero(KEYENCE,Japan)で蛍光顕微鏡観察を行った。結果を図4に示す。GUT−70は、HIV−1 env発現細胞の膜融合を阻害した。
GUT−70によるHIV−1感染阻害
GUT−70のHIV−1感染に対する阻害効果を検討した。T細胞HUT78(5×10cells/mL)に、GUT−70を、0、10、30、50μM添加して、37℃で1時間培養した。当該細胞にHIV−1株NL4−3(HIV−1 gag タンパク質 p24濃度;200ng/mL)を感染させ、1時間後、PBSで洗浄し、さらに前記細胞を48時間培養した。当該細胞をFITC標識抗p24抗体(Beckman−Coulter社、以下同様)で定法通り染色し、LSR−II flow cytometer(BD Bioscience, San Jose, CA、以下同様)を用いて、GUT−70処理後の細胞内p24を検出した。結果を図5−1及び図5−2に示す。同様の手法で、TZM−bl細胞(3.5×10cells/mL)にHIV−1株NL4−3(HIV−1 gag タンパク質 p24濃度;50ng/mL)を感染させ、前記同様のGUT−70処理後の細胞内p24を検出した。結果を図5−3及び図5−4に示す。
HIV−1潜伏感染細胞株U1におけるHIV−1増殖抑制
6穴マイクロプレートに1×106個/ウエルにU1細胞を播種し、100ng/mLのPMA及び10ng/mLのTNF−αを添加して24時間培養し、HIV−1産生を誘導した(J.Immunol.,vol.140,p.1117−1122,1988、Biol.Pharm.Bull.,vol.31,p.2334−2337,2008)。本系に、最終濃度1、3、10μMになるようにGUT−70を添加した。結果を図6−1及び図6−2に示す。GUT−70の容量依存的にHIV−1の産生が抑制された。さらに、それを裏付けるために、前記細胞培養上清中のp24 Gagタンパク質量を、上述同様、HIV−1 p24 antigen ELISA kit(Tropical Technology Center, Okinawa, Japan)を使用して定量した。結果を図6−3に示す。
HIV−1の転写抑制
6穴マイクロプレートに1×106個/ウエルにU1細胞を播種し、TZM−bl細胞(HeLa細胞株にCD4とCCR5とを遺伝子導入し、更にHIV−1プロモーター下にルシフェラーゼ及びβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を別々に遺伝子導入した細胞株)に、前処理として0.2時間後に10μMのGUT−70を添加した。spinoculation法(J.Virol.,vol.74, p.10074−10080,2000)により、2ng/mL又は10ng/mLのHIV−1株NL4−3を感染させ、24穴マイクロプレートに前記細胞を播種した。前記細胞がサブコンフルエントな状態で、0.5μgのNF−kappaB ルシフェラーゼ レポータープラスミド(Stratagene, La Jplla, CA, U.S.A.)及び0.05μgのRenilla ルシフェラーゼ構築物を、HilyMax(Dojindo)を用いて遺伝子導入し、24時間後にルシフェラーゼ活性を公知の手法により測定した(Biol.Pharm.Bull.,vol.31,p.2334−2337,2008)。GUT−70添加により、HIV−1感染は著しく抑制された。結果を図7−1に示す。さらに、GUT−70によるHIV−1の転写抑制効果を裏付けるために、Tat−Revに対するプライマー(配列番号1:atggcaggaa gaagcggag、配列番号2:attccttcgg gcctgtcg)を用いて、定量RT−PCRを行った(Nat Immunol. 2010;11(5):419-426)。TNF−α添加によりHIV−1産生が誘導されたHIV−1潜伏細胞株U1に、10μM GUT−70、10μM Bay 11−7085、又は、20nM Bortezomib(いずれもNF−κB阻害剤)を添加し、24時間培養後のTat−Rev mRNAを定量RT−PCRで測定した。GUT−70及びNF−κB阻害剤の添加により、Tat−Rev転写が阻害された。結果を図7−2に示す。加えて、HIV−1株NL4−3を感染させたMolt−4細胞に、GUT−70有/無で24時間培養後のTat−Rev mRNAを定量RT−PCRで測定した。GUT−70の添加により、Tat−Rev転写が阻害された。結果を図7−3に示す。
HIV−1のNF−kappaBの活性化抑制
HIV−1のLTR領域には、2カ所のNF−kappaB結合領域が存在することが知られている。そこで、実施例3と同様の方法でHIV−1潜伏感染細胞株U1を調製した。前記細胞に、10μMのGUT−70を添加し、GUT−70添加(+)及び非添加(−)後の細胞から、それぞれ核抽出液を分離し、10%SDS−ポリアクリルアミドゲルに10μgの核タンパク質をロードして電気泳動で分離後、ゲルをPVDF膜に転写した。該膜を、抗p−65モノクローナル抗体(Santa Cruz,CA)、抗pp−65モノクローナル抗体(Santa Cruz,CA)、抗HSC70抗体(Santa Cruz,CA)で反応させ、0.5、2、4、6、12、24時間後のNF−kappaBの活性化を検出した(Biol.Pharm.Bull.,vol.31,p.2334−2337,2008)。GUT−70は、10ng/mLのTNF−α添加によるNF−kappaBの活性化(リン酸化)を抑制した。結果を図8に示す。
NF−kappaBのDNA結合阻害及び転写抑制
実施例5と同様の方法で、HIV−1潜伏感染細胞株U1を調製し、10ng/mLのTNF−α及び10μMのGUT−70を添加した。0.5、1時間、4時間後、GUT−70添加(+)及び非添加(−)後のU1細胞から、それぞれ核抽出液を分離し、NF−kappaBのDNA結合活性をゲルシフトアッセイにより検出した(Int.J.Cancer,vol.125,p.1464−1472,2009)。さらに、2、4時間後の前記細胞の転写活性を実施例4と同様に、ルシフェラーゼアッセイで測定した(Biol.Pharm.Bull.,vol.31,p.2334−2337,2008)。GUT−70は、NF−kappaBのDNA結合を阻害し、転写を抑制することが示唆された。結果を図9に示す。
以上のとおり、GUT−70は、HIV−1の複製及び転写を阻害する効果を有する上に、細胞膜の流動性を低下させ、細胞膜融合阻害作用と同様、HIV−1の細胞内侵入を阻害する効果も有することが示された。このような作用機序を有する抗HIV剤は知られておらず、新たな作用機序を有する本発明化合物は、AIDS治療に新たな可能性をもたらすものである。
本発明化合物は、HIVに対する増殖阻害作用、細胞膜の流動性低下作用、細胞膜融合阻害作用等を有し、AIDS治療分野への適用が可能となる。しかも、本発明化合物は抗癌作用も有することから、HIV感染のみならず、悪性腫瘍が合併した患者への適用も可能となるため、臨床上極めて有用である。

Claims (11)

  1. 下記一般式(II)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗ウイルス剤:


    {式(II)中、
    1’は、水素、複素環基、置換基を有していてもよいアミノ基、複素環カルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、シクロアルケニルカルボニル基又は一般式(1’):


    [式(1’)中、
    16’、R17’及びR18’は同一又は異なって水素、アルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を意味する]
    で表される構造を意味し;
    2’は、アルコキシ基を意味し
    4’は、OR4a’(式中、R4a’はアルキル基を意味する)を意味し、OR4a’はR3’とともに一般式(2’):


    [式中、R19’及びR20’は、同一又は異なってアルキル基を意味し、破線は、ベンゼン環との縮合部分を示す]
    で表される環を形成し;
    式:


    で表される基が、
    式(a’):


    (式中、R5a’及びR5b’は同一又は異なって、水素又は置換基を有していてもよいアルキル基を意味する)で表される基を意味するか、又は
    式(b’):


    (式中、R8’はアルキル基を意味する)で表される基を意味する}。
  2. 一般式(II)で表される化合物が、
    5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−[(2E)−2−メチルブテ−2−ノイル]−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
    6−シクロブチルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
    6−シクロヘキシルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、又は
    6−シクロペンチルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン
    である、請求項1記載の抗ウイルス剤。
  3. 一般式(II)で表される化合物が、
    5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−[(2E)−2−メチルブテ−2−ノイル]−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、
    6−シクロブチルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン、又は
    6−シクロヘキシルカルボニル−2,2−ジメチル−5−メトキシ−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オン
    である、請求項1記載の抗ウイルス剤。
  4. 一般式(II)で表される化合物が、下記構造式を有する、5−メトキシ−2,2−ジメチル−6−[(2E)−2−メチルブテ−2−ノイル]−10−プロピル−2H,8H−ピラノ[2,3−f]クロメン−8−オンである、請求項1記載の抗ウイルス剤。
  5. ウイルスがレトロウイルスである、請求項1記載の抗ウイルス剤。
  6. レトロウイルスがHIVである、請求項5記載の抗ウイルス剤。
  7. 少なくとも一種の他の抗HIV剤を含む請求項1記載の抗ウイルス剤。
  8. 他の抗HIV剤が、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、インテグラーゼ阻害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤及びDNA合成阻害剤からなる群から選択される少なくとも1種である請求項7記載の抗ウイルス剤。
  9. HIV感染患者におけるHIV複製を阻害するための薬剤を製造するための、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物の使用。
  10. 患者ががん、他の感染症又は免疫疾患を患っている、請求項9記載の使用。
  11. がんが、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、カポジ肉腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、平滑筋肉腫、絨毛癌、多発性骨髄腫、軟部腫瘍、小細胞肺癌、慢性骨髄性白血病、甲状腺癌、骨肉腫、頭頸部癌、食道癌、非小細胞肺癌、乳癌、大腸癌、胃癌、胆道癌、脳腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌、子宮頚癌、睾丸癌、皮膚癌又は肛門癌からなる群より選択される請求項10記載の使用。
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