次に、本発明に係る各実施形態について説明する。
(I)第1実施形態
初めに、本発明に係る第1実施形態について、図1乃至図15を用いて説明する。なお以下に説明する第1実施形態は、動画及び静止画を含む画像を表示する表示装置におけるブルーライトの強度の制御処理に対して、本発明を適用した場合の実施の形態である。
(A)第1実施形態の原理
先ず、第1実施形態について具体的に説明する前に、第1実施形態の原理について図1乃至図7を用いて説明する。なお、図1は第1実施形態の原理に係る暦情報の一例示す図であり、図2乃至図7は第1実施形態の原理に係るブルーライトの一日における制御態様をそれぞれ例示する図である。
後ほど詳述するように、第1実施形態においてでは、上記ブルーライトを有害であり常に低減すべきものであるとは考えず、人が視認するディスプレイから発せられるブルーライトを、当該人の、日、月又は季節等の時間における体内リズム(生活リズム)等の変化に合わせるように、当該時間に基づいて制御する。このとき一般には、人が起きて活動している時間帯のブルーライトの強度が、当該人が就寝し又は休息している時間帯のブルーライトの強度より高くなるように、上記時間に応じて当該強度を制御する。これにより、上記のように強度が制御されるブルーライトを発するディスプレイに表示される画像等を視認する人の、その視覚を通じた体内リズム等を良好に維持又は調整する。
ここで第1実施形態では、上記ブルーライトの強度の制御の基準となる上記時間として、例えば図1に例示する暦情報を用いる。図1に例示する暦情報は、例えば国立天文台において公開されているものであり、地理的な位置(図1に例示する場合は東京)ごと且つその年の月ごとに、日の出の時刻、南中時刻及び日の入りの時刻のそれぞれを、参照可能に含んでいる。これにより本発明では、当該暦情報に含まれている各時刻に対応させて、ブルーライトの強度の強弱を例えば日ごとに制御する。より具体的に本発明では、上記暦情報に基づき、人が起きて活発に活動していると推定される時間帯ほどブルーライトの強度が高くなるように制御する。換言すれば、人が就寝又は休息していると推定される時間帯ほどブルーライトの強度が低くなるように制御する。
即ち例えば図2に例示するように、一年のうちで日照時間が短い11月から翌年2月にかけては、上記暦情報に基づき、ブルーライトの強度を相対的に低く制御する時間帯を相対的に長くすると共に、ブルーライトの強度を低減する程度を図2に示すように時刻に応じて制御する。なお図2乃至図4においては、ブルーライトの強度の低減率が大きくなるように制御する時間帯を左下ハッチングで示し、当該低減率が中程度となるように制御する時間帯を縦横ハッチングで示し、当該低減率が小さくなるように制御する時間帯を右下ハッチングで示し、ブルーライトの強度の低減を行わない(即ち低減率を0とする)ように制御する時間帯を縦ハッチングで示している。
一方図2に例示する場合に対し、一年のうちで日照時間が長い5月から8月にかけては、図3に例示するように、上記暦情報に基づいて、ブルーライトの強度を相対的に低く制御する時間帯を相対的に短くすると共に、ブルーライトの強度を低減する程度を図3に示すように時刻に応じて制御する。更に、図2に例示する期間と図3に例示する期間との間にある3月、4月、9月及び10月については、図4に例示するように、上記暦情報に基づいて、ブルーライトの強度を相対的に低く制御する時間帯を図2に例示する場合と図3に例示する場合との中間辺りとすると共に、ブルーライトの強度を低減する程度を図4に示すように時刻に応じて制御する。
なお上述した本発明の原理では、ブルーライトの強度を低減する場合について図2乃至図4を用いて説明したが、これ以外に、各例示したブルーライトの強度を相対的に強くする時間帯につき、制御しない場合よりも強度を敢えて増強することで、各例示した一日における強度の変化を実現してもよい。
より具体的に、例えば図5に例示するように、上述したように日照時間が短い11月から翌年2月にかけては、上記暦情報に基づき、ブルーライトの強度を相対的に高く制御する時間帯を相対的に長くすると共に、ブルーライトの強度を相対的に増強する程度を図5に示すように時刻に応じて制御する。なお図5乃至図7においては、ブルーライトの強度の低減率が相対的に大きくなるように制御する時間帯をハッチングなしで示し、当該低減率が相対的に小さくなるように制御する時間帯を点ハッチングで示し、増強率を相対的に小さくしてブルーライトの強度を増強するように制御する時間帯を水平ハッチングで示し、増強率を相対的に大きくしてブルーライトの強度の増強するように制御する時間帯を縦ハッチングで示している。
一方図5に例示する場合に対し、上記日照時間が長い5月から8月にかけては、図6に例示するように、上記暦情報に基づいて、ブルーライトの強度を相対的に低く制御する時間帯を相対的に短くすると共に、ブルーライトの強度を増強する程度を図6に示すように時刻に応じて制御する。更に、図5に例示する期間と図6に例示する期間との間にある3月、4月、9月及び10月については、図7に例示するように、上記暦情報に基づいて、ブルーライトの強度を相対的に低く制御する時間帯を図5に例示する場合と図6に例示する場合との中間辺りとすると共に、ブルーライトの強度を増強する程度を図7に示すように時刻に応じて制御する。
(B)第1実施形態
次に、上述した原理に基づく本発明に係る第1実施形態について、図8乃至図15を用いて説明する。なお、図8は第1実施形態に係る表示装置の概要構成を示すブロック図であり、図9は第1実施形態に係る制御処理を例示する図であり、図10は当該制御処理を示すフローチャートであり、図11は当該制御処理の具体例を示す図である。また、図12は第1実施形態に係る制御処理における設定画面等を例示する図であり、図13及び図14は当該制御処理における設定をそれぞれ例示する図であり、図15は当該制御処理の他の具体例を示す図である。なお、以下の説明では、第1実施形態に係るブルーライトの強度の制御処理を、単に「第1実施形態に係る制御処理」と称する。
図8に示すように、第1実施形態に係る表示装置D1は、画像生成部1と、CPU、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等により構成される制御部2と、切換制御部3と、上記ブルーライトを発生(発光)するLEDであるバックライトを有する液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ4と、ハードディスク等の記録媒体により構成され、後述する制御率テーブルを不揮発性に記録する記録部5と、画素値更新部6と、切換部7と、ディスプレイ4の位置を検出して当該位置を示す位置データSposを出力する位置検出部8と、キーボード、マウス又はタッチパネル等から成り、表示装置D1としての処理を指定する操作信号Sopを生成する入力部9と、上記位置データSposにより示される位置における時刻に関する時刻データStを取得する時刻取得部10と、により構成されている。
このとき、ディスプレイ4が本発明に係る「表示手段」の一例に相当し、切換制御部3が本発明に係る「画像情報取得手段」の一例に相当し、時刻取得部10が本発明に係る「時情報取得手段」の一例に相当する。また、画素値更新部6が本発明に係る「処理手段」の一例に相当し、入力部9が本発明に係る「指定手段」の一例に相当し、位置検出部8が本発明に係る「位置情報取得手段」の一例に相当する。
この構成において画像生成部1は、ディスプレイ4に表示されるべき画像(静止画又は動画の少なくともいずれか一方を含む。以下同様。)に相当する画像情報Sinを生成して切換制御部3に出力する。一方記録部5は、第1実施形態に係る制御処理のための予め設定された制御率テーブルであって、上記画像における青色成分を制御する際に用いられる低減率パラメータを少なくとも含む制御率テーブルを、不揮発性にn個(nは自然数。以下、同様。)記録している。なお、各制御率テーブルについては、後ほど詳述する。
一方入力部9は、ユーザの操作に基づき、第1実施形態に係る制御処理を実行するか否かを示す信号、及び当該制御処理を実行する場合において当該制御処理に用いられる上記制御率テーブルを指定するための信号を含む操作信号Sopを生成して制御部2に出力する。このとき、ディスプレイ4に表示する画像が例えば映画に相当する画像である場合は、その画質等を維持すべく、第1実施形態に係る制御処理を実行しない旨の操作が入力部9において行われるのが好ましい。これに対して、ディスプレイ4に表示する画像が例えば事務用の文書に相当する画像である場合は、第1実施形態に係る制御処理により有効にブルーライトの強度を制御すべく、当該制御処理を実行する旨の操作が入力部9において行われるのが好ましい。また、第1実施形態に係る制御処理を実行する場合には、その制御率(即ち、ブルーライトの強度を増強する場合はその増強率であり、ブルーライトの強度を低減する場合はその低減率となる)を選択する操作を反映した上記操作信号Sopが生成/出力されることになる。
他方位置検出部8は、例えばGPS(Global Positioning System)を用いた自動検出、又はユーザの入力操作に基づいて上記位置データSposを生成し、制御部2に出力する。更に時刻取得部10は、例えば図示しないタイマから現在時刻を示す時刻データStを取得し、制御部2に出力する。この場合に時刻取得部10は、上記現在時刻の他に、現在時刻以外の例えばユーザが指定した時刻を示す時刻データStを取得して制御部2に出力してもよい。
これらにより制御部2は、上記操作信号Sop、位置データSpos及び時刻データStに基づき、第1実施形態に係る制御処理を実行するか否かを示すオン/オフ信号、及び当該制御処理を実行する場合において当該制御処理に用いられる上記制御率テーブルを指定するためのテーブル指定信号をそれぞれ含む制御信号Scを生成する。この場合制御部2は、第1実施形態に係る制御処理を実行する場合においては、位置データSposにより示される位置(例えば東京)、及び時刻データStにより示される時刻に基づき、その位置及び時刻に対応した制御率テーブルを指定するための上記テーブル指定信号を生成する。その後制御部2は、上記オン/オフ信号を切換制御部3及び切換部7に、上記テーブル指定信号を上記記録部5に、それぞれ出力する。
これにより切換制御部3は、制御部2からの上記オン/オフ信号に基づき、画像情報Sinについて第1実施形態に係る制御処理を実行するか否かを判定し、実行する場合は画像情報Sinを画素値更新部6に出力する。一方当該制御処理を実行しない場合、切換制御部3は画像情報Sinをそのまま切換部7に出力する。
次に記録部5は、制御部2からの上記テーブル指定信号により指定されている制御率テーブルに含まれる制御率パラメータを、画素値更新部6に出力する。
これらにより画素値更新部6は、切換制御部3から出力されてくる画像情報Sinに含まれている各画素における赤色成分、青色成分及び緑色成分それぞれの画素値(より具体的には、例えば輝度)を、記録部5から出力された制御率テーブルにより示される画素値に更新し、更新画像情報Sbcとして切換部7に出力する。ここで、上記画素値(又は輝度)の上限値は階調数によって決定され、ディスプレイ4が液晶ディスプレイにより構成される場合には、RGB色空間を用いる24ビットの液晶ディスプレイであればその上限値は三色の色成分ごとに「255(28−1)」であり、同様の色空間を用いる18ビットの液晶ディスプレイであればその上限値は三色の色成分ごとに「63(26−1)」である。
そして切換部7は、制御部2からの上記オン/オフ信号に基づき、第1実施形態に係る制御処理を行わない場合には、切換制御部3からの画像情報Sinをそのまま表示情報Soutとしてディスプレイ4に出力する。これに対して第1実施形態に係る制御処理を行う場合には、画素値更新部6からの上記更新画像情報Sbcを表示情報Soutとしてディスプレイ4に出力する。
最後にディスプレイ4は、切換部7から出力されてきた表示情報Soutに相当する画像を表示する。
次に、第1実施形態に係る制御処理に用いられる上記制御率テーブルについて、図9を用いて説明する。
第1実施形態に係る制御処理では、上記背景技術として説明した特別な光学部品を別途使用することなく、表示装置D1としての色調整処理により、画像情報Sinに相当する画像におけるブルーライトの強度を時間に応じて制御する。なお以下の説明における「低減率」及び「増強率」とは、第1実施形態に係る制御処理を行わない場合における入力画像(画像情報Sin)の各画素値を「1」とし、以下の式により定義されるパラメータである。
低減率[%]={1−(出力画素値/入力画素値)}×100
増強率[%]={(出力画素値/入力画素値)−1}×100
このとき、上記バックライトの明るさと表示された画像の輝度が比例関係でない場合があることにより、画像情報としての低減率又は増強率と、実際にディスプレイ4に画像を表示した際にディスプレイ4から発生するエネルギーの低減率又は増強率と、は異なることに注意を要する。
先ず、画像情報Sinにおける各画素におけるブルーライトの強度を低減する場合について図9(a)に例示するように、横軸を入力画素値とし、縦軸を出力画素値とすると、第1実施形態に係る制御処理のうちブルーライトの強度の低減処理(以下第1実施形態において、単に「低減処理」と称する)では、図9において破線で示す原画(即ち、上記画像情報Sinに相当する画像)に対して、青色成分(図9において「B」と示す)の低減率が他の色成分(赤色成分(図9(a)において「R」と示す)及び緑色成分(図9(a)において「G」と示す))の低減率よりも大きくなるように、上記画素値更新部6において各色成分の輝度を更新し、上記更新画像情報Sbcとして切換部7に出力する。この低減処理は、例えば画素ごとに実行される。ここで、上記青色成分の波長は例えば440ナノメートル乃至490ナノメートル程度であり、上記赤色成分の波長は例えば620ナノメートル乃至740ナノメートル程度であり、上記緑色成分の波長は例えば500ナノメートル乃至600ナノメートル程度である。また図9(a)において、赤色成分及び緑色成分のグラフが例えば出力画素値=入力画素値×0.9で表されるとすると、当該赤色成分及び緑色成分それぞれにおける低減率は10%((1−0.9)×100)となり、また青色成分のグラフが例えば出力画素値=入力画素値×0.75で表されるとすると、当該青色成分における低減率は25%((1−0.75)×100)となる。図9(a)からも明らかなように、第1実施形態に係る低減処理においては、青色成分だけでなく赤色成分及び緑色成分についてもそれぞれ低減するが、それらの低減率については、青色成分が他の色成分よりも大きいものとされている。
なお、図9(a)において、青色成分のみを低減することも可能であるが、その場合には画像全体としての色味が変化してしまい(より具体的には、黄色がかってしまい)、表示装置D1としては好ましくない。そこで第1実施形態に係る低減処理では、青色成分だけでなく、図9(a)に例示するように赤色成分及び緑色成分も低減させる。これにより、画像全体としての色味の変化を抑制しつつ、有害なブルーライトを低減することができる。なおこのとき、画像の内容によっては、上述した青色成分のみの低減を行ってもよい場合(換言すれば、赤色成分及び緑色成分それぞれにおける低減率はゼロとする(赤色成分及び緑色成分を低減しない)場合)もあり得る。そしてこの場合についても、第1実施形態に係る表示装置D1では、青色成分のみを低減するための制御率テーブルを選択することで、これを可能とすることができる。なお上記低減処理は、上述したRGB色空間以外にも、例えばいわゆるHLS(Hue、Luminance、Saturation)色空間、HSV(Hue、Saturation、Value)色空間、又は輝度(Y)を含むYCbCr色空間等に対しても同様に適用可能である。
次に、画像情報Sinにおける各画素におけるブルーライトの強度を増強する場合について図9(b)に例示するように、図9(a)の場合と同様に横軸を入力画素値とし、縦軸を出力画素値とすると、第1実施形態に係る制御処理のうちブルーライトの強度の増強処理(以下第1実施形態において、単に「増強処理」と称する)では、破線で示す原画に対して、青色成分が原画よりも大きくなるように、上記画素値更新部6において青色成分の輝度を更新し、上記更新画像情報Sbcとして切換部7に出力する。この増強処理も、上記低減処理と同様に例えば画素ごとに実行される。
そして、第1実施形態に係る表示装置D1の記録部5には、図9にそれぞれ例示した第1実施形態の趣旨を、異なる日及び時刻についてそれぞれ示す制御率パラメータを含む制御率テーブルが、例えば図8に例示するように第1制御率テーブルT1、第2制御率テーブルT2、第3制御率テーブルT3、…、第n制御率テーブルTnとして予め記録されている。このとき上記「制御率」には、上記低減処理を実行する場合の青色成分の低減率と、上記増強処理を実行する場合の青色成分の増強率と、の双方が含まれている。また、日及び時刻ごとの制御率テーブルにおける制御率パラメータのそれぞれは、図1に例示する暦情報に基づき、一日における第1実施形態に係る制御処理が図2乃至図4のいずれかに例示する制御態様で季節ごとに実行される値とされている。これら制御率パラメータの実際の値は、上記暦情報に基づき、例えば実験的或いは経験的に予め定められることが考えられる。
次に、第1実施形態に係る制御処理について、より具体的に図10を用いて説明する。なお図10に示す当該制御処理は、例えば表示装置D1の電源スイッチがオンとされたタイミングから開始され、主として制御部2を中心として実行される。
図10に示すように、第1実施形態に係る制御処理においては初めに、位置検出部8からの位置データSposにより示される(ディスプレイ4の)位置、及び時刻取得部10からの時刻データStにより示される日時を取得する(ステップS1)。これにより制御部2は、上記オン/オフ信号を制御信号Scとして切換制御部3及び切換部7に出力すると共に、第1実施形態に係る制御処理を実行する場合において当該制御処理に用いられる制御率テーブルを指定するための上記テーブル指定信号を含む制御信号Scを記録部5に出力する。
次に、画像生成部1から上記画像情報Sinが入力されると、最初に切換制御部3に取り込まれる(ステップS2)。そして切換制御部3は、制御部2からの上記オン/オフ信号に基づき、画像情報Sinについて第1実施形態に係る制御処理を実行するか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3の判定において当該制御処理を実行する場合(ステップS3;YES)、切換制御部3は画像情報Sinを画素値更新部6に出力する。一方、ステップS3の判定において当該制御処理を実行しない場合(ステップS3;NO)、切換制御部3は画像情報Sinをそのまま切換部7に出力する(ステップS6)。
これらと並行して記録部5では、制御部2からの上記テーブル指定信号により示されている制御率テーブルの選定(換言すれば、低減率又は増強率の指定)が行われ(ステップS4)、テーブル指定信号により指定された制御率テーブルに含まれる制御率パラメータが画素値更新部6に出力される。
これらにより画素値更新部6は、切換制御部3から出力されてくる画像情報Sinに含まれている各画素における青色成分、赤色成分及び緑色成分それぞれの画素値を、記録部5から出力された制御率テーブルにより示される画素値に更新し(ステップS5)、更新画像情報Sbcとして切換部7に出力する。
そして切換部7は、制御部2からの上記オン/オフ信号に基づき、切換制御部3側と画素値更新部6側とを切り換えて、表示情報Soutをディスプレイ4に出力して表示させる(ステップS6)。
以上説明した第1実施形態に係る制御処理が実行されると、例えば図11に例示するように、一日のうちの時刻(図11における横軸)に基づき、その時刻においてディスプレイ4を使用する場合の青色成分の強度(図11における縦軸)が、図1に例示した暦情報に基づいて図2乃至図7に例示した態様で変化する。なお図11に例示する場合、0時付近の○は暦情報における前日の日の入りの時刻と当日の日の出の時刻とに基づいて設定される青色成分の強度を示し、6時付近の○は暦情報における当日の日の出の時刻に相当する時刻における青色成分の強度を示し、18時付近の○は暦情報における当日の日の入りの時刻に相当する時刻における青色成分の強度を示し、12時付近の○は暦情報における当日の南中時刻に相当する時刻における青色成分の強度を示し、24時付近の○は暦情報における当日の日の入りの時刻と翌日の日の出の時刻とに基づいて設定される青色成分の強度を示す。
ここで上述した第1実施形態では、一日のうちの青色成分の制御率を時刻に応じて自動的に制御することとしたが、例えば図11に●で示す時刻又は上記○で示す時刻それぞれにおける青色成分の強度を、例えば入力部9を用いてユーザが任意に指定するように構成してもよい。より具体的に例えば、第1実施形態に係る制御処理の趣旨が体内リズム等の維持/調整であることに鑑み、青色成分の増強、低減、不変更等のために推奨される設定時間帯幅や選択肢をユーザに提示し、そこから当該ユーザが自身の生活パターン等に応じて上記増強処理又は低減処理を行う時間帯、及び増強又は低減の程度を指定するように構成することができる。即ち例えば、「起床から○○時間は××%程度増強し、就寝前の△△時間は●●%程度低減する」等を推奨設定として提示し、その中からユーザが調整時間を選択するといったユーザインターフェースとすることが好適である。
次に当該ユーザインターフェースの一例について、具体的に図12乃至図14を用いて説明する。即ち、ある日及び時刻の制御率テーブルにより示されている青色成分の強度のユーザによる変更を可能とする場合、当該制御率テーブルに相当した一日の青色成分の強度変化を含むインターフェース画面SGが、図12(a)に例示するようにディスプレイ4に表示される。なお図12(a)に例示するインターフェース画面SG上には、当該インターフェース画面SGに対応する制御率テーブルにより示される青色成分の強度を例えば二時間ごとに示す●を含むグラフが表示されており、更に各時刻の青色成分の強度(●)を変更する際に操作されるカーソルCも合わせて表示される。また、当該カーソルCを用いた入力部9における操作により各時刻の青色成分の強度を任意にユーザが変更できることを示す凡例NTも合わせて表示される。このとき、図12(a)に例示する凡例NTでは、各時刻の青色成分の強度を示す●が、当該強度を変える方向(インターフェース画面SGにおける図12(a)中上下方向)、又は当該強度となる時刻を変える方向(即ちインターフェース画面SGにおける図12(a)中左右方向)のいずれかに移動可能であることが、それぞれ破線両矢印により示されている。
次に、図12(a)に例示するインターフェース画面SGがディスプレイ4に表示されている状態で、ユーザが第1例として、対応する制御率テーブルにおける16時の青色成分の強度が18時頃の強度となるように、時間的に後にずらしたいと考えたとする。この場合に当該ユーザは、図12(b)に例示するインターフェース画面SGがディスプレイ4に表示されている状態で、入力部9を構成する図示しない例えばマウスの操作により、16時の青色成分の強度を示すポイントP2の位置にカーソルCを移動させる。そして当該ユーザは、例えば上記マウスにおけるクリック操作により当該ポイントP2を選択した後、当該選択のままカーソルCを図12(b)に破線矢印で示すように右方向に18時頃に相当する位置まで移動させる。この操作により、図12(b)に破線のポイントP2で例示される元の16時の青色成分の強度が、図12(b)に実線のポイントP2で例示される18時頃の青色成分の強度となるように指定される。なお、ポイントP2近辺の他のポイントP1、ポイントP3及びポイントP4それぞれに対応する青色成分の強度については、図12(b)に例示するように、当該ポイントP2に対応する青色成分の強度の変化(ポイントP2の移動)に伴って、青色成分の強度の変化を示す曲線全体が滑らかな変化を維持するように、各ポイントP1、ポイントP3及びポイントP4それぞれに相当する青色成分の強度を変化させるのが好適である。またこの他に図12(c)に例示するように、ポイントP2に対応する青色成分の強度のみを変化させることで、青色成分の強度の変化を示す曲線が、ポイントP1(不変)に対応する青色成分の強度→実線で示されるポイントP2に対応する青色成分の強度→ポイントP3(不変)に対応する青色成分の強度、と変化するように青色成分の強度を変化させるようにしてもよい。そして、図12(b)又は図12(c)に例示する変更後の青色成分の強度に対応する制御率テーブルの記述内容(制御率パラメータ)は、記録部5に記録され、第1実施形態に係る制御処理に供される。
次に、図12(a)に例示するインターフェース画面SGがディスプレイ4に表示されている状態で、ユーザが第2例として、対応する制御率テーブルにおける16時の青色成分の強度を(時刻をずらさずに)下げたいと考えたとする。この場合に当該ユーザは、図12(a)に例示するインターフェース画面SGがディスプレイ4に表示されている状態で例えば上記マウスの操作により、16時の青色成分の強度を示すポイントP2の位置にカーソルCを移動させる。そして、例えば上記クリック操作によりポイントP2を選択した後、当該選択のままカーソルCを図13(a)に破線矢印で示すように所望の青色成分の強度の位置まで下方向に移動させる。この操作により、図13(a)に破線のポイントP2で例示される元の16時の青色成分の強度が、図13(a)に実線のポイントP2で例示される(弱い)青色成分の強度となるように指定される。なお、ポイントP2近辺の他のポイントP1及びポイントP3それぞれに対応する青色成分の強度については、図13(a)に例示するように、当該ポイントP2に対応する青色成分の強度の変化(ポイントP2の移動)に伴って、青色成分の強度の変化を示す曲線全体が滑らかな変化を維持するようにポイントP1及びポイントP3それぞれに相当する青色成分の強度を変化させるのが好適である。またこの他に図13(b)に例示するように、ポイントP2に対応する青色成分の強度のみを変化させることで、青色成分の強度の変化を示す曲線が、ポイントP1(不変)に対応する青色成分の強度→実線で示されるポイントP2に対応する青色成分の強度→ポイントP3(不変)に対応する青色成分の強度、と変化するように青色成分の強度を変化させるようにしてもよい。そして、図13(a)又は図13(b)に例示する変更後の青色成分の強度に対応する制御率テーブルの記述内容(制御率パラメータ)は、記録部5に記録され、第1実施形態に係る制御処理に供される。
最後に、図12(a)に例示するインターフェース画面SGがディスプレイ4に表示されている状態で、ユーザが第3例として、対応する制御率テーブルにおける16時の青色成分の強度を弱めて、且つ当該弱めた強度が18時頃の強度となるようにずらしたいと考えたとする。この場合に当該ユーザは、図12(a)に例示するインターフェース画面SGがディスプレイ4に表示されている状態で例えば上記マウスの操作により、16時の青色成分の強度を示すポイントP2の位置にカーソルCを移動させる。そして、例えば上記クリック操作によりポイントP2を選択した後、18時頃に相当する位置まで当該ポイントP2を移動させるための右方向の移動と、所望の青色成分の強度の位置まで当該ポイントP2を移動させるための下方向の移動と、を合わせて、当該選択のままカーソルCを図14(a)に破線矢印で示すように斜め右下方向に移動させる。この操作により、図14(a)に破線のポイントP2で例示される元の16時の青色成分の強度が、図14(a)に実線のポイントP2で例示される18時頃の(弱い)青色成分の強度となるように指定される。なお、ポイントP2近辺の他のポイントP1及びポイントP3それぞれに対応する青色成分の強度については、図14(a)に例示するように、当該ポイントP2に対応する青色成分の強度の変化(ポイントP2の移動)に伴って、青色成分の強度の変化を示す曲線全体が滑らかな変化を維持するようにポイントP1及びポイントP3それぞれに相当する青色成分の強度を変化させるのが好適である。またこの他に図14(b)に例示するように、ポイントP2に対応する青色成分の強度のみを変化させることで、青色成分の強度の変化を示す曲線が、ポイントP1(不変)に対応する青色成分の強度→実線で示されるポイントP2に対応する青色成分の強度→ポイントP3(不変)に対応する青色成分の強度、と変化するように青色成分の強度を変化させるようにしてもよい。そして、図14(a)又は図14(b)に例示する変更後の青色成分の強度に対応する制御率テーブルの記述内容(制御率パラメータ)は、記録部5に記録され、第1実施形態に係る制御処理に供される。
なお上述と同様に、図15に例示するように、第1実施形態に係る制御処理のうち青色成分の増強処理のみを実行する場合(図15(a))、又は当該青色成分の低減処理のみを実行する場合(図15(b))、のいずれについても、制御率テーブルの記述内容を用いて自動的に制御することもできるし、ユーザの指定操作により、それぞれの制御処理を実行するように構成することもできる。なお図15に例示する場合において、○及び●それぞれの意味は、上述した図11に例示する場合と同様である。
更に上述した第1実施形態では、主として青色成分についてのみ、その増強又は低減を含む制御処理の対象とすることとしたが、これ以外に、青色成分以外の色成分も合わせて、或いは青色成分以外の色成分のみを対象として、それぞれ時刻に応じてその増強又は低減を行うように構成してもよい。この場合も、第1実施形態と同様の制御率テーブルを色成分ごとに設定/記録することにより、それぞれの色成分に対する制御処理が可能となる。
以上説明したように、第1実施形態に係る制御処理によれば、画像情報Sinにおけるいずれかの色成分に相当する輝度を時刻に対応した制御率テーブルに基づいて制御して更新画像情報Sbc及び表示情報Soutを生成するので、表示情報Soutに相当する画像を視認するユーザの、視覚を通じた体内リズム等を良好に維持させることができる。
また、画像情報Sinにおける青色成分に相当する輝度を主として制御して更新画像情報Sbc及び表示情報Soutを生成する場合には、上記体内リズム等に影響を与え易いとされる青色成分に相当する輝度を適切に制御して、当該体内リズム等を良好に維持させることができる。
更に、画像を視認するユーザの活動時間における青色成分に相当する輝度を、それ以外の時間における当該輝度よりも高くなるように制御する場合(図2乃至図7参照)には、活動時間とそれ以外の時間における体内リズムを良好に調整することができる。なおこの場合、そのユーザが例えば夜間勤務者である場合には、図2乃至図7に例示する制御態様を、それぞれの中心を通る図2乃至図7水平方向の軸を対称軸として図2乃至図7において上下逆とした制御態様により、第1実施形態に係る制御処理を実行するのが好適である。
更にまた、例えば図11乃至図15に例示するように、図1に例示する暦情報における日の出の時刻又は日の入りの時刻の少なくともいずれか一方に基づいて色成分の輝度を制御する場合には、画像を視認するユーザの一日の体内リズム等の変化に合わせた色成分の画像を表示させることで、より良好に当該体内リズム等を調整することができる。なお図11乃至図15に例示する場合についても、そのユーザが例えば夜間勤務者である場合には、図11乃至図15に例示する輝度の制御態様を、それぞれの横軸を対称軸として図11乃至図15において上下逆とした制御態様により、第1実施形態に係る制御処理を実行するのが好適である。
また、例えば入力部9を用いてユーザが色成分の輝度の制御態様を入力する場合には、画像を視認する当該ユーザの好み等に合わせて輝度を制御でき、当該ユーザに適合させてその体内リズム等を調整することができる。更に図12乃至図14に例示するような、青色成分の強度の時間変化に相当するグラフを含むインターフェース画面SGをディスプレイ4に表示して当該強度の変更を行う場合は、画像を視認するユーザの好み等に合わせて簡易に輝度を制御でき、当該ユーザにより適合させてその体内リズム等を維持/調整することができる。
更にまた、位置データSposにより示されるディスプレイ4の位置に対応した暦情報及び時刻データStに基づいて色成分の輝度の制御を行うので、当該位置に適合させてより適切に体内リズム等を調整することができる。
(II)第2実施形態
次に、本発明に係る他の実施形態である第2実施形態について、図16乃至図22を用いて説明する。なお、図16乃至図20は第2実施形態の原理等を説明する図であり、図21は第2実施形態に係る表示装置の概要構成を示すブロック図であり、図22は第2実施形態に係る制御処理を示すフローチャートである。また以下の説明では、第2実施形態に係るブルーライトの強度の制御処理を、単に「第2実施形態に係る制御処理」と称する。
上記第1実施形態に係る制御処理において説明したように、当該制御処理は、上述したRGB色空間以外に、HLS色空間、HSV色空間、又は輝度(Y)を含むYCbCr色空間等に対しても同様に適用可能である。そこで以下に説明する第2実施形態では、RGB色空間からHLS色空間やHSV色空間のような色空間に変換し、R、G、Bの三原色だけではなく、シアン、マゼンタ及びイエロー等を考慮して、色空間毎に低減率又は増強率を制御して効率的なブルーライトの強度の制御を行い、RGB色空間に再変換してディスプレイに表示させるように構成する。より具体的に第2実施形態としては、本発明を上記HLS色空間又はHSV色空間を用いて実施する場合の実施形態を説明する。
(A)HLS色空間及びHSV色空間について
初めに、第2実施形態に係るHLS色空間及びHSV色空間について、それぞれ図16を用いてその概念を説明する。なお、これらHLS色空間及びHSV色空間自体は、画像処理用としては、第1実施形態に係るRGB色空間と共に従来一般的に知られている色空間である。
先ず図16(a)にその概念を上下錐状に示すように、第2実施形態に係る低減処理に用いられるHLS色空間は、色相(Hue)軸H、輝度(Luminance)軸L及び彩度(Saturation)軸Sにより構成されている。
このうち色相軸Hは、いわゆる「色味」を0度から360度の範囲の角度で表す軸であり、図16(a)に例示するように、R(赤)成分、G(緑)成分及びB(青)成分の他に、C(Cyan(シアン))成分、M(Magenta(マゼンタ))成分及びY(Yellow(黄))成分が含まれている。このとき、例えば0度がR成分であり、色相軸H上でその反対側に位置する180度は、R成分の反対色に当たる青緑成分となる。このようなHLS色空間を用いれば、いわゆる反対色を求めるのも容易となる。また、HLS色空間における上記B成分の波長はRGB色空間における青色成分と同様に例えば440ナノメートル乃至490ナノメートル程度であり、上記R成分の波長はRGB色空間における赤色成分と同様に例えば620ナノメートル乃至740ナノメートル程度であり、上記G成分の波長はRGB色空間における緑色成分と同様に例えば500ナノメートル乃至600ナノメートル程度である。そして、上記C成分は上記G成分と上記B成分とからなる成分であり、上記M成分は上記R成分と上記B成分とからなる成分であり、上記Y成分は上記R成分と上記G成分とからなる成分である。
次に彩度軸Sは、輝度軸L(HLS色空間の中心軸)からの距離に見立てて、0%(中心軸自体)から100%(最外周)の範囲で「色の鮮やかさ」を表す軸であり、純色から彩度が落ちるということは、即ち灰色に近付いていくという考え方に基づいた概念である。
最後に輝度軸Lは、「色の明るさ」を0%から100%の範囲で表す軸であり、輝度0%(図16(a)最下端)が「黒」であり、輝度100%(図16(a)最上端)が「白」であり、その中間(色相軸Hを表す円板の位置)が50%で純色を表している。
次に図16(b)にその概念を円柱状に示すように、第2実施形態に係る制御処理に用いられるHSV色空間は、色相(Hue)軸H、明度(又は輝度)(Value)軸V及び彩度(Saturation)軸Sにより構成されている。
このうち色相軸Hは、上記HLS色空間の色相軸Hと基本的に同様の軸であり、色の種類を0度から360度の範囲の角度で表し、R成分、G成分及びB成分の他に、C成分、M成分及びY成分が含まれている。
次に彩度軸Sは、これも上記HLS色空間の彩度軸Sと同様に、明度軸V(HSV色空間の中心軸)からの距離に見立てて、0%(中心軸自体)から100%(最外周)の範囲で、「色の鮮やかさ」を表す軸である。
最後に明度軸Vは、上記HLS色空間の輝度軸Lに類似して、「色の明るさ」を0%から100%の範囲で表す軸である。このとき当該明度軸Vが、明度100%の純色からどの程度明るさが失われるかを示すのに対し、上記HLS色空間の輝度軸Lは上述したように、「黒」が輝度0%であり、「白」が輝度100%であり、その中間の輝度50%が純色である点が異なる。この点、HLS色空間の輝度軸Lにおける50%以下がHSV色空間の明度軸Vに相当し、当該輝度軸Lにおける50%以上がHSV色空間の彩度軸Sに相当すると言える。
(B)第2実施形態の原理について
次に、上記HLS色空間又はHSV色空間に適用される第2実施形態に係る制御処理の原理について、色空間別に図17乃至図20を用いて説明する。
先ず第2実施形態に係る制御処理として、HLS色空間において白色(無彩色)に対して第2実施形態に係るブルーライトの強度の低減処理(以下第2実施形態において、単に「第2実施形態に係る低減処理」と称する)を施す場合、図17(a)に破線○及び実線○で例示するように、輝度軸L上において輝度を例えば破線○のレベルから実線○のレベルまで低減させることにより、ディスプレイによる表示上の色味を変化させることなく、ブルーライトの低減が可能である。一方、HLS色空間のB成分に対して第2実施形態に係る低減処理を施す場合、図17(b)に破線○及び実線○でそれぞれ例示するように、色相軸HにおけるB成分のみのレベルを低減することで、他の色成分(例えばC成分及びM成分)への影響を低減することにより全体的な表示上の色味の変化を抑制しつつ、ブルーライトの低減が可能である。
これに対し、HSV色空間において白色(無彩色)に対して第2実施形態に係る低減処理を施す場合、図18(a)に破線○及び実線○で例示するように、HLS色空間の場合と同様に輝度軸L上において輝度を例えば破線○のレベルから実線○のレベルまで低減させることにより、ディスプレイによる表示上の色味を変化させることなく、ブルーライトの低減が可能である。また、HSV色空間のB成分に対して第2実施形態に係る低減処理を施す場合、図18(b)に破線○及び実線○でそれぞれ例示するように、これもHLS色空間の場合と同様に色相軸HにおけるB成分のみのレベルを低減することで、他の色成分への影響を低減することにより全体的な表示上の色味の変化を抑制しつつ、ブルーライトの低減が可能である。
次に第2実施形態に係る制御処理として、HLS色空間において白色(無彩色)に対して第2実施形態に係るブルーライトの強度の増強処理(以下第2実施形態において、単に「第2実施形態に係る増強処理」と称する)を施す場合、図19(a)に破線○及び実線○で例示するように、輝度軸L上において輝度を例えば破線○のレベルから実線○のレベルまで増強させることにより、ディスプレイによる表示上の色味を変化させることなく、ブルーライトの増強が可能である。一方、HLS色空間のB成分に対して第2実施形態に係る増強処理を施す場合、図19(b)に破線○及び実線○でそれぞれ例示するように、色相軸HにおけるB成分のみのレベルを増強することで、他の色成分(例えばC成分及びM成分)への影響を低減することにより全体的な表示上の色味の変化を抑制しつつ、ブルーライトの増強が可能である。
これに対し、HSV色空間において白色(無彩色)に対して第2実施形態に係る増強処理を施す場合、図20(a)に破線○及び実線○で例示するように、HLS色空間の場合と同様に輝度軸L上において輝度を例えば破線○のレベルから実線○のレベルまで増強させることにより、ディスプレイによる表示上の色味を変化させることなく、ブルーライトの増強が可能である。また、HSV色空間のB成分に対して第2実施形態に係る増強処理を施す場合、図20(b)に破線○及び実線○でそれぞれ例示するように、これもHLS色空間の場合と同様に色相軸HにおけるB成分のみのレベルを増強することで、他の色成分への影響を低減することにより全体的な表示上の色味の変化を抑制しつつ、ブルーライトの増強が可能である。
(C)第2実施形態に係る表示装置の構成及び動作等
次に、上述した原理を用いる第2実施形態に係る制御処理を実行する第2実施形態に係る表示装置の構成及び動作等について、具体的に図21及び図22を用いて説明する。なお図21及び図22では、第1実施形態に係る表示装置D1と同一の部材又は同一のステップについては、同一の部材番号又は同一のステップ番号を付して細部の説明は省略する。また以下の説明では、第2実施形態に係る制御処理の一例としてHLS色空間を用いた場合について説明する。
図21に示すように、第2実施形態に係る表示装置D2は、第1実施形態に係る表示装置D1の場合と同様の構成及び機能を備える画像生成部1、制御部2、切換制御部3、ディスプレイ4、記録部5、切換部7、位置検出部8、入力部9及び時刻取得部10に加えて、第2実施形態に係る画素値更新部60と、第2実施形態に係る色空間変換部61と、第2実施形態に係る色空間逆変換部62と、により構成されている。なお記録部5については、それに記録されている制御率テーブルが、上記HLS色空間を用いた第2実施形態に係る制御処理のための予め設定された制御率テーブルであって、上記画像におけるB成分を低減又は増強する際に用いられる制御率パラメータを少なくとも含む制御率テーブルである点が、第1実施形態に係る表示装置D1の記録部5とは異なっている。なおこの場合でも、第1実施形態に係る制御処理と同様に、上記特別な光学部品を別途使用することなく、表示装置D2としての色調整処理により、画像情報Sinに相当する画像におけるブルーライトを制御することに変わりはない。
上記の構成を備える第2実施形態に係る表示装置D2において、画像生成部1から出力される上記画像情報Sinは、第1実施形態に係る表示装置D1の場合と同様にRGB色空間に対応した色データ等を含んでいる。そして制御部2は、入力部9からの上記操作信号Sop、位置検出部8からの上記位置データSpos及び時刻取得部10からの上記時刻データStに基づき、第2実施形態に係る制御処理を実行するか否かを示すオン/オフ信号、及び当該制御処理を実行する場合において当該制御処理に用いられる上記制御率テーブルを指定するためのテーブル指定信号をそれぞれ含む制御信号Scを生成する。この場合制御部2は、第1実施形態に係る制御処理と同様に、第2実施形態に係る制御処理を実行する場合においては、位置データSposにより示される位置、及び時刻データStにより示される時刻に基づき、その位置及び時刻に対応した制御率テーブル(HLS色空間用の制御率テーブル)を指定するための上記テーブル指定信号を生成する。その後制御部2は、上記オン/オフ信号を切換制御部3及び切換部7に、上記テーブル指定信号を上記記録部5に、それぞれ出力する。
これにより切換制御部3は、制御部2からの上記オン/オフ信号に基づき、画像情報Sinについて第2実施形態に係る制御処理を実行するか否かを判定し、実行する場合は画像情報Sinを色空間変換部61に出力する。一方当該制御処理を実行しない場合、切換制御部3は画像情報Sinをそのまま切換部7に出力する。
そして色空間変換部61は、切換制御部3から出力された画像情報Sinが対応する色空間をRGB色空間からHLS色空間に変換し、変換後のHLS色空間に対応する画像情報Sinを画素値更新部60に出力する。なお、色空間変換部60における色空間の変換処理(RGB色空間からHLS色空間への変換処理)自体は従来の当該変換処理と同一であるので、細部の説明は省略する。
他方記録部5からは、制御部2からのテーブル指定信号により指定されている低減率テーブルに含まれる低減率パラメータが画素値更新部60に出力される。
これらにより画素値更新部60は、色空間変換部61から出力されてくる画像情報Sinに含まれている各画素における、HLS色空間の少なくともB成分の画素値(より具体的には、例えば輝度)を、記録部5から出力された低減率テーブルにより示される画素値に更新し、更新画像情報Sbcとして色空間逆変換部62に出力する。この場合の画素値の更新は、図17又は図19で例示した原理に基づく画素値の更新である。
そして色空間逆変換部62は、画素値更新部60から出力された更新画像情報Sbcが対応する色空間をHLS色空間から元のRGB色空間に逆変換し、逆変換後のRGB色空間に対応する更新画像情報Sbcを切換部7に出力する。なお、色空間逆変換部62における色空間の逆変換処理(HLS色空間からRGB色空間への逆変換処理)自体は従来の当該逆変換処理と同一であるので、細部の説明は省略する。
そして切換部7は、制御部2からの上記オン/オフ信号に基づき、第2実施形態に係る制御処理を行わない場合には、切換制御部3からの画像情報Sinをそのまま表示情報Soutとしてディスプレイ4に出力する。これに対して第2実施形態に係る制御処理を行う場合には、色空間逆変換部62からの上記更新画像情報Sbcを表示情報Soutとしてディスプレイ4に出力する。
最後にディスプレイ4は、切換部7から出力されてきた表示情報Soutに相当する画像を表示する。
次に、第2実施形態に係る制御処理について、より具体的に図22を用いて説明する。
図22に示すように、第2実施形態に係る制御処理においては初めに、第1実施形態に係る制御処理と同様のステップS1乃至ステップS3が実行される。ステップS3の判定において第2実施形態に係る制御処理を実行する場合(ステップS3;YES)、切換制御部3は画像情報Sinを色空間変換部61に出力する。一方、ステップS3の判定において当該制御処理を実行しない場合(ステップS3;NO)、切換制御部3は画像情報Sinをそのまま切換部7に出力する(ステップS6)。
次に色空間変換部61は、切換制御部3から出力された画像情報Sinに対して、上述したRGB色空間からHLS色空間への変換処理を施し、色空間がHLS色空間に変換された画像情報Sinを画素値更新部60に出力する(ステップS10)。
これらと並行して記録部5では、制御部2からの上記テーブル指定信号により示されている制御率テーブルの選定(換言すれば、低減率又は増強率の指定)が行われ(ステップS11)、テーブル指定信号により指定された制御率テーブルに含まれる制御率パラメータが画素値更新部60に出力される。
これらにより画素値更新部60は、色空間変換部61から出力されてくる画像情報Sinに含まれている各画素における色相軸Hの少なくともB成分の画素値を、記録部5から出力された制御率テーブルにより示される画素値に更新し(ステップS12)、更新画像情報Sbcとして色空間逆変換部62に出力する。
そして色空間逆変換部62は、画素値更新部60から出力された更新画像情報Sbcに対して、上述したHLS色空間からRGB色空間への逆変換処理を施し、色空間がRGB色空間に戻された更新画像情報Sbcを切換部7に出力する(ステップS13)。
その後切換部7は、制御部2からの上記オン/オフ信号及び上記範囲指定信号に基づき、切換制御部3側と色空間逆変換部62側とを切り換えて、表示情報Soutをディスプレイ4に出力して表示させる(ステップS6)。
以上説明したように、第2実施形態に係る制御処理によれば、HLS色空間におけるB成分に相当する輝度の制御率が、色相軸H内のB成分以外の色成分それぞれに相当する各輝度の制御率以上となるように、当該B成分に相当する輝度を制御して更新画像情報Sbcを生成して表示させる。よって、当該B成分を低減する光学部材等を別途使用することなく、B成分を制御(低減又は増強)することができる。
また図17(a)に例示するように、画像情報Sinに相当する画像が無彩色である場合には、輝度軸L上でのみ(換言すれば彩度軸S上の彩度をゼロとして)輝度を制御して更新画像情報Sbcを生成すれば、無彩色である例えば白色の画像に対しても、眼の保護を有効に行うことができる。更に、画像情報Sinに相当する画像における彩度が例えば10%以下である場合でも、色相内のB成分及び色相内の当該B成分以外の色成分それぞれに相当する各輝度の制御率を全て略同一として更新画像情報Sbcを生成すれば、色相内の全ての色成分が略等しく制御されることで、例えば表示上の白色の色味が変化することを防止しつつB成分が制御でき、B成分を色味の変化なく制御(低減又は増強)することができる。
更にまた図17(b)に例示するように、色相内のB成分に相当する輝度のみを制御して表示用画像情報を生成する場合には、表示上の白色を含む色の色味が変化することを防止しつつ、B成分を制御(低減又は増強)することができる。
なお、上述した第2実施形態に係る制御処理は、色空間としてHLS色空間を用いる場合について説明したが、図16(b)、図18及び図20を用いて説明したHSV色空間を用いる場合でも、全く同様に第2実施形態に係る制御処理を実行することができる。この場合、上記色空間変換部61では、画像情報SinについてRGB色空間からHSV色空間への変換処理を行い、また色空間逆変換部62では、更新画像情報SbcについてHSV色空間からRGB色空間への逆変換処理を行うことになる。またこの場合の画素値の更新は、図18又は図20で例示した原理に基づく画素値の更新である。なお、色空間変換部61におけるRGB色空間からHSV色空間への変換処理自体、及び色空間逆変換部62におけるHSV色空間からRGB色空間への逆変換処理自体は、それぞれ従来の当該変換処理及び当該逆変換処理と同一である。このように第2実施形態に係る制御処理では、画像情報Sinの色空間をHLS色空間又はHSV色空間のいずれか一方に変換して当該制御処理を実行するので、白色を含む色の表示上の色味が変化することを防止しつつ、B成分を制御(低減又は増強)することができる。また、同様の色空間であるいわゆるLa*b*色空間、及び輝度と色差から成るいわゆるYCbCr(YUV)色空間についても、第2実施形態は同様に適用可能である。
更に、記録部5に記録されている制御率テーブルのうち制御部2の操作により選択された制御率テーブルを用いて制御処理を行う点については、第1実施形態に係る制御処理と同様の効果を奏し得ると共に、第1実施形態に係る制御処理と同様の応用が可能である。
なお、本発明については、上述した第1実施形態及び第2実施形態の他に、種々の態様が可能である。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態に係るディスプレイ4としては、パーソナルコンピュータ用等の設置型のディスプレイの他に、例えば車両又は自転車等の移動案内に用いられる車載型のディスプレイに本発明を適用することも可能である。この場合、青色成分の増強処理により運転者の眠気防止を図ると言った用い方も可能であり、この場合は時刻と共に運転中であるか否か(例えば、車載型のディスプレイとして稼働中であるか否か)に基づいて青色成分の増強処理を実行するように構成することが考えられる。
また例えば、第1実施形態に係る制御処理及び第2実施形態に係る制御処理を、日単位ではなく、月単位、或いは季節単位で実行するように構成することも可能である。この場合の制御率テーブルとしては、月ごと、又は季節ごとの制御率テーブルが記録部5に記録されて用いられることになる。
更に上述した第1実施形態及び第2実施形態では、画像全体に対して一律に各実施形態に係る制御処理を実行する場合について説明したが、これ以外に例えば、画像内の範囲を指定して各実施形態に係る制御処理の対象とする/しないを制御するように構成することもできる。
(III)第3実施形態
最後に、本発明に係る更に他の実施形態である第3実施形態について、図23乃至図26を用いて説明する。
(A)第3実施形態の原理
初めに、第3実施形態について具体的に説明する前に、第3実施形態の原理について簡潔に説明する。
上記第1実施形態に係る制御処理においては上述したように、日又は時刻に応じてブルーライトの強度を制御する構成としたが、以下に説明する第3実施形態では、上記液晶ディスプレイ等からなるディスプレイを視認するユーザの年齢及び性別を示すデータを取得し、そのデータに基づいて、当該ディスプレイを用いた表示におけるコントラストの補正、色の補正及び上記ブルーライトの強度の制御をそれぞれ行う。なお以下の説明において、上記年齢及び性別を単に「年齢等」と称する。このときのブルーライトの強度の制御では、当該ユーザの年齢等に合わせて、必要に応じて当該画像におけるブルーライトの強度を低減する。以上のように当該ユーザの年齢等に合わせて表示のコントラスト等を最適化することで、当該年齢等に適合した視認し易い状態で、且つ必要に応じて当該ユーザの眼をブルーライトから保護しつつ、必要な画像を表示させる。
(B)第3実施形態
次に、上述した原理に基づく本発明に係る第3実施形態について、図23乃至図26を用いて説明する。なお、以下に説明する第3実施形態は、液晶ディスプレイからなるディスプレイを備えて動画及び静止画を含む画像を表示する表示装置における表示状態(即ち、当該画像におけるコントラスト、色及びブルーライトの輝度等)の制御処理に対して、本発明を適用した場合の実施の形態である。また以下の説明において、第3実施形態に係る表示状態の制御処理を、単に「第3実施形態に係る制御処理」と称する。
更に、図23は第3実施形態に係る表示装置の概要構成を示すブロック図であり、図24は第3実施形態に係るコントラストの補正処理を示す図であり、図25は第3実施形態に係るブルーライトの強度の時刻に対応した制御処理を示す図であり、図26は第3実施形態に係る制御処理を示すフローチャートである。
図23に示すように、第3実施形態に係る表示装置D3は、画像生成部20と、CPU、ROM及びRAM等により構成される制御部21と、コントラスト補正判定部22と、上記ブルーライトを発生(発光)するLEDであるバックライトを有する液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ23と、ハードディスク等の記録媒体により構成され、後述する輝度テーブル等を不揮発性に記録する記録部24と、コントラスト補正画素値更新部25と、色補正判定部26と、ディスプレイ23を視認するユーザの年齢等を示す年齢データSageを取得する年齢データ取得部27と、色補正画素値更新部28と、現在時刻を示す時刻データStを取得する時刻取得部29と、ブルーライト制御判定部30と、ブルーライト制御画素値更新部31と、により構成されている。
このとき、年齢データ取得部27が本発明に係る「年齢対応情報取得手段」の一例に相当し、ブルーライト制御画素値更新部31が本発明に係る「処理手段」の一例に相当する。
この構成において画像生成部20は、ディスプレイ23に表示されるべき画像(静止画又は動画の少なくともいずれか一方を含む。以下同様。)に相当する画像情報Sinを生成してコントラスト補正判定部22に出力する。一方記録部24は、第3実施形態に係る制御処理のための予め設定された各種テーブルを不揮発性に複数記録している。
ここで、第3実施形態に係る上記既定の各種テーブルとして具体的には、上記コントラストの補正に用いられる強度補正テーブルと、上記色の補正に用いられる色補正テーブルと、上記ブルーライトの制御に用いられる輝度テーブルと、が、それぞれ不揮発性に記録部24に記録されている。例えば図23に例示する表示装置D3の場合、上記強度補正テーブルとしての第1強度補正テーブルTC1乃至第n強度補正テーブルTCnと、上記色補正テーブルとしての第1色補正テーブルTL1乃至第m色補正テーブルTLm(mは自然数)と、上記輝度テーブルとしての第1輝度テーブルTB1乃至第p輝度テーブルTBp(pは自然数)と、が、それぞれ不揮発性に記録されている。これら各種テーブルについては、後ほど詳述する。なお以下の説明において、上記第1強度補正テーブルTC1乃至第n強度補正テーブルTCnに共通な事項を説明する場合、これらを纏めて単に「強度補正テーブルTC」と称する。また上記第1色補正テーブルTL1乃至第n色補正テーブルTLmに共通な事項を説明する場合、これらを纏めて単に「色補正テーブルTL」と称する。更に、上記第1輝度テーブルTB1乃至第p輝度テーブルTBpに共通な事項を説明する場合、これらを纏めて単に「輝度テーブルTB」と称する。
一方年齢データ取得部27は、上記年齢データSageを取得して制御部21に出力する。このとき年齢データ取得部27は、例えば図示しない入力部を上記ユーザが操作することにより入力された上記年齢データSageを当該入力部から取得してもよい。或いは年齢データ取得部27は、例えば上記ユーザが受診している病院のカルテに相当するカルテデータを当該病院から例えばインターネット等のネットワークを介して取得し、そのカルテデータから上記年齢データSageを抽出して制御部21に出力してもよい。更に年齢データ取得部27は、例えば特開2009−301323号公報に記載されているような従来と同様の顔認識技術を用いてユーザの年齢等を推定/検出し、当該検出された年齢等を示す上記年齢データSageを抽出して制御部21に出力してもよい。他方時刻取得部29は、例えば図示しないタイマから上記時刻データStを取得し、制御部21に出力する。
これらにより制御部21は、上記年齢データSage及び時刻データStに基づき、ディスプレイ23に表示すべき画像において上記第3実施形態に係る各制御処理の対象とする部分を示す等の役割を担うオン/オフ信号、及び当該制御処理を実行する場合において当該制御処理に用いられる上記各種テーブルを指定するためのテーブル指定信号等を含む制御信号Scを生成する。この場合に制御部21は、上記表示すべき画像において上記第3実施形態に係る各制御処理の対象とする部分に相当する画像情報Sinの画素値が画像生成部20から入力されるタイミングにおいては、オン信号である上記オン/オフ信号を含む制御信号Scを生成する。これに対し制御部21は、上記第3実施形態に係る各制御処理の対象としない部分に相当する画像情報Sinの画素値が画像生成部20から入力されるタイミングにおいては、オフ信号である上記オン/オフ信号を含む制御信号Scを生成する。なお、ディスプレイ23に表示する画像を第3実施形態に係る制御処理の対象とするか否かについては、第1実施形態に係る制御処理と同様に、例えば当該画像が映画に相当する画像である場合は第3実施形態に係る制御処理の対象とせず、一方当該画像が事務用の文書に相当する画像である場合は当該制御処理の対象とするのが好ましい。
また制御部21は、第3実施形態に係る制御処理を実行する場合においては、年齢データSageにより示される年齢等、及び時刻データStにより示される時刻に基づき、強度補正テーブルTC、色補正テーブルTL及び輝度テーブルTBを指定するための上記テーブル指定信号を生成する。その後制御部21は、上記コントラストの補正の対象とする画像の部分を示す上記オン/オフ信号を制御信号Scとしてコントラスト補正判定部22に出力し、上記色の補正の対象とする画像の部分を示す上記オン/オフ信号を制御信号Scとして色補正判定部26に出力し、上記ブルーライトの制御の対象とする画像の部分を示す上記オン/オフ信号を制御信号Scとしてブルーライト制御判定部30に出力し、更に上記テーブル指定信号を制御信号Scとして上記記録部24に出力する。
なお以下の第3実施形態の説明において、上記コントラストの補正の対象とする画像の部分を示す上記オン/オフ信号を単に「コントラスト補正オン/オフ信号」と称し、上記色の補正の対象とする画像の部分を示す上記オン/オフ信号を単に「色補正オン/オフ信号」と称し、上記ブルーライトの制御の対象とする画像の部分を示す上記オン/オフ信号を単に「ブルーライト制御オン/オフ信号」と称する。また、強度補正テーブルTCを指定するための上記テーブル指定信号を単に「強度補正テーブル指定信号」と称し、上記色補正テーブルTLを指定するための上記テーブル指定信号を単に「色補正テーブル指定信号」と称し、上記輝度テーブルTBを指定するための上記テーブル指定信号を単に「輝度テーブル指定信号」と称する。
上記制御部21の動作によりコントラスト補正判定部22は、当該制御部21からの上記コントラスト補正オン/オフ信号に基づき、上記画像のうち上記コントラストの補正の対象とする部分に相当する画像情報Sinの画素については、その画素値をコントラスト補正画素値更新部25に出力する。一方、上記画像のうち上記コントラストの補正の対象とする部分以外の部分に相当する画像情報Sinの画素については、その画素値をそのまま色補正判定部26に出力する。
次に記録部24は、制御部21からの上記強度補正テーブル指定信号により指定されている強度補正テーブルTCに含まれる強度補正パラメータを、コントラスト補正画素値更新部25に出力する。
これらによりコントラスト補正画素値更新部25は、コントラスト補正判定部22から出力されてくる画像情報Sinに含まれている各画素における例えば赤色成分、青色成分及び緑色成分それぞれの画素値(より具体的には、例えば輝度値)を、記録部24から出力された上記強度補正パラメータに対応した画素値に更新し、そのコントラストが当該強度補正パラメータに基づいて補正されたコントラスト補正画像情報Sccとして色補正判定部26に出力する。このとき、上記画素値(又は輝度値)の上限値は階調数によって決定され、ディスプレイ23がRGB色空間を用いた24ビットの液晶ディスプレイであれば、その上限値は三色の色成分ごとに「255(28−1)」である。またディスプレイ23がRGB色空間を用いた18ビットの液晶ディスプレイであれば、その上限値は三色の色成分ごとに「63(26−1)」である。また以下の説明において、上記赤色成分、青色成分及び緑色成分に共通の事項を説明する場合、単に「各色成分」と称する。
次に上記強度補正テーブルTCについて、具体的に図24を用いて説明する。上述したように制御部21は、ディスプレイ23に表示される画像のうち上記コントラストの補正の対象とする部分に相当する画像情報Sinの画素について、当該コントラストの補正に用いられる強度補正テーブルTCを指定する上記強度補正テーブル指定信号を記録部24に出力する。このとき、第3実施形態に係る強度補正テーブルTCとしては、例えば、コントラストの補正強度「弱」に相当する第1強度補正テーブルTC1と、当該補正強度「中」に相当する第2補正強度テーブルTC2と、当該補正強度「強」に相当する第3強度補正テーブルと、が予め設定され、それぞれの補正強度テーブルTCに相当する強度補正パラメータが記録部24に不揮発性に記録されている。この場合、上記nが「3」であることになる。そして、ディスプレイ23がRGB色空間を用いた24ビットの液晶ディスプレイであり、且つコントラストの補正をしない場合の各色における入力画素値と出力画素値との関係が図24(a)に例示する関係であるとすると、補正強度「弱」に相当する上記第1補正強度テーブルTC1としては、例えば図24(b)に例示するような態様(図24(a)に例示する場合との相違は図24(b)中破線矢印参照)でコントラストを補正するための当該第1補正強度テーブルTC1が記録されている。また同様に、補正強度「中」に相当する上記第2補正強度テーブルTC2としては、例えば図24(c)に例示するような態様(図24(b)に例示する場合との相違は図24(c)中破線矢印参照)でコントラストを補正するための当該第2補正強度テーブルTC2が記録されている。更に、補正強度「強」に相当する上記第3補正強度テーブルとしては、例えば図24(d)に例示するような態様(図24(c)に例示する場合との相違は図24(d)中破線矢印参照)でコントラストを補正するための第3補正強度テーブルが記録されている。なお、各補正強度テーブルTCに含まれる具体的な補正強度パラメータの値としては、例えば、年代別の分光視感効率を規定したJIS S0031規格に沿って設定するのが好ましい。
一方上述したように制御部21は、コントラストの補正については、年齢データSageにより示される年齢等に基づき、その年齢等に対応した強度補正テーブルTCを指定するための上記補正強度テーブル指定信号を生成する。
より具体的に、年齢データSageにより示される年齢が予め設定された第1閾値年齢以下の「子供」に該当する年齢である場合、一般に子供の眼では画像の暗い部分及び明るい部分共に比較的見易いとされている。そこで制御部21は、コントラストの補正自体をオフとする(即ち、オフ信号に相当する上記コントラスト補正オン/オフ信号を生成してコントラスト補正判定部22に出力する)か、又は当該補正の強度を「弱」とするべく上記第1補正強度テーブルTC1を指定するための補正強度テーブル指定信号を生成して記録部24に出力する。
一方、年齢データSageにより示される年齢が上記第1閾値年齢より高く且つ予め設定された第2閾値年齢以下の「成人」に該当する年齢である場合、一般に成人の眼でも暗い部分及び明るい部分共に比較的見易いとされている。そこで制御部21は、上記「子供」の場合と同様に、コントラストの補正自体をオフとするか、又は上記第1補正強度テーブルTC1を指定するための補正強度テーブル指定信号を生成して記録部24に出力する。なおこのとき、ディスプレイ23自体の明るさ(ブライトネス)が強いと眼が疲れ易いと言われているため、制御部21がコントラストの補正強度を上げるための補正強度テーブルTCを指定すると共に当該ブライトネスを下げるように制御することで、画像としての視認性を確保しつつ、眼の疲れを軽減するように構成してもよい。
更に、年齢データSageにより示される年齢が上記第2閾値年齢より高い「高齢者」の年齢である場合、一般に画像の暗い部分が見えづらいとされている。そこで制御部21は、コントラストの補正の強度を「中」又は「強」とするべく上記第2補正強度テーブルTC2又は上記第3補正強度テーブルを指定するための補正強度テーブル指定信号を生成して記録部24に出力する。
以上の制御部21、コントラスト補正判定部22、記録部24及びコントラスト補正画素値更新部25の動作により、年齢データSageにより示される年齢に基づいてディスプレイ23に表示される画像のコントラストの強度が適切に補正される。なお、上記第1閾値年齢及び上記第2閾値年齢それぞれの具体的な値は、例えば統計的或いは経験的な数値に基づいて予め設定されていればよい。
次に、上記制御部21の動作により色補正判定部26は、当該制御部21からの上記色補正オン/オフ信号に基づき、上記画像のうち上記色の補正の対象とする部分に相当する上記コントラスト補正画像情報Sccの画素については、その画素値を色補正画素値更新部28に出力する。一方、上記画像のうち上記色の補正の対象とする部分以外の部分に相当する上記コントラスト補正画像情報Sccの画素については、その画素値をそのままブルーライト制御判定部30に出力する。
そして記録部24は、制御部21からの上記色補正テーブル指定信号により指定されている色補正テーブルTLに含まれる色補正パラメータを、色補正画素値更新部28に出力する。
これらにより色補正画素値更新部28は、色補正判定部26から出力されてくるコントラスト補正画像情報Sccに含まれている各画素における例えば各色成分それぞれの画素値を、記録部24から出力された上記色補正パラメータに対応した画素値に更に更新し、その色が当該色補正パラメータに基づいて補正された色補正画像情報Sclとしてブルーライト制御判定部30に出力する。
次に上記色補正テーブルTLについて説明する。上述したように制御部21は、ディスプレイ23に表示される画像のうち上記色の補正の対象とする部分に相当するコントラスト補正画像情報Sccの画素について、当該色の補正に用いられる色補正テーブルTLを指定する上記色補正テーブル指定信号を記録部24に出力する。このとき、第3実施形態に係る色補正テーブルTLとしては、例えば、高齢者において加齢による黄斑変性に伴って画像全体が黄色っぽく見えるようになっていわゆる寒色が見えづらくなっている場合に備え、いわゆる暖色の比率を上げる色補正を行うための色補正テーブルTLが予め設定され、それに相当する色補正パラメータが記録部24に不揮発性に記録されている。この場合、上記mが「1」であることになる。なお、当該色補正テーブルTLに含まれる具体的な色補正パラメータの値としては、例えば、年齢を考慮した基本色領域に基づく組み合わせ方法を規定したJIS S0033規格、或いは「シニアコム 色に関するアンケート(例えばURL「http://www.seniorcom.co.jp/pdf/120615_survey_iro.pdf」参照)」等の内容に沿って設定するのが好ましい。
一方上述したように制御部21は、色の補正については、年齢データSageにより示される年齢等に基づき、その年齢等に対応した色補正テーブルTLを指定するための上記色補正テーブル指定信号を生成する。
より具体的に、例えばディスプレイ23の出荷時等において既定の測色器により測定された色の再現が正常である場合、年齢データSageにより示される年齢が上記「子供」に該当する年齢であるとき及び上記「成人」に該当する年齢であるときには、一般に色の補正は不要であるとされている。そこで制御部21は、色の補正自体をオフとする(即ち、オフ信号に相当する上記色補正オン/オフ信号を生成して色補正判定部26に出力する)と共に、上記色補正テーブル指定信号は生成しない。
これに対し、年齢データSageにより示される年齢が上記「高齢者」に該当する年齢である場合、上記黄斑変性の可能性を考慮して制御部21は、第3実施形態に係る色の補正を行うべく上記色補正テーブルTLを指定するための色補正テーブル指定信号を生成して記録部24に出力する。
以上の制御部21、記録部24、色補正判定部26及び色補正画素値更新部28の動作により、年齢データSageにより示される年齢に基づいてディスプレイ23に表示される画像の色が適切に補正される。
次に、上記制御部21の動作によりブルーライト制御判定部30は、当該制御部21からの上記ブルーライト制御オン/オフ信号に基づき、上記画像のうち上記ブルーライトの制御の対象とする部分に相当する上記色補正画像情報Sclの画素については、その画素値をブルーライト制御画素値更新部31に出力する。一方、上記画像のうち上記ブルーライトの制御の対象とする部分以外の部分に相当する上記色補正画像情報Sclの画素については、その画素値をそのままディスプレイ23に出力する。
そして記録部24は、制御部21からの上記輝度テーブル指定信号により指定されている輝度テーブルTBに含まれる輝度制御パラメータを、ブルーライト制御画素値更新部31に出力する。
これらによりブルーライト制御画素値更新部31は、ブルーライト制御判定部30から出力されてくる色補正画像情報Sclに含まれている各画素における例えば各色成分それぞれの画素値を、記録部24から出力された上記輝度制御パラメータに対応した画素値に更新し、対応するブルーライトの輝度が当該輝度制御パラメータに基づいて制御されたブルーライト制御画像情報Sbcとしてディスプレイ23に出力する。
次に、上記輝度テーブルTBについて、具体的に図25を用いて説明する。上述したように制御部21は、ディスプレイ23に表示される画像のうち上記ブルーライトの制御の対象とする部分に相当する色補正画像情報Sclの画素について、当該ブルーライトの制御に用いられる輝度テーブルTBを指定する上記輝度テーブル指定信号を記録部24に出力する。
ここで第3実施形態に係るブルーライトの制御では、例えば、ディスプレイ23に表示される画像における青色成分の画素値(輝度値)を他の色成分の画素値に対して相対的に小さくする方法や、ディスプレイ23のバックライトの輝度自体を低減する方法等を用いて、当該画像におけるブルーライトの輝度を低減する。これに加えて第3実施形態に係るブルーライトの制御では、例えば図25に示すように、一日のうちの時刻(図25横軸参照)に応じてディスプレイ23に表示される画像におけるブルーライトの低減率(図25縦軸参照)を制御する。即ち、上記画像を視るユーザの活動時間帯が昼間である場合、当該ユーザが就寝する夜間よりも低減率を下げる(換言すれば、夜間に比べて昼間にブルーライトの輝度を増強する)。図25に例示する低減率の制御パターンを用いてブルーライトを制御するのは、一般にブルーライトは人の時刻調整に作用するとも言われており、時刻に応じたそのオン/オフ又は低減率の変更(制御)を行うべきとされているからである。図25に例示する制御パターンは、昼間はブルーライトがより必要となり、屋内における通常の生活だけでは足りない可能性も指摘されていることによる。そして、上述したようなブルーライトの制御に供される、第3実施形態に係る輝度テーブルTBとしては、図25に例示する変化を有する時刻毎のブルーライトの低減率を示す輝度テーブルTBが、上記年齢等毎に複数予め設定され、それぞれの輝度テーブルTBに相当する輝度制御パラメータが記録部24に不揮発性に記録されている。このとき、年齢毎の輝度テーブルTBとしては例えば、低減率が予め設定された第1低減率閾値以上である「低減率;大」の第1輝度テーブルTB1と、低減率が上記第1低減率閾値未満で且つ予め設定された第2低減率閾値以上である「低減率;中」の第2輝度テーブルTB2と、低減率が上記第2低減率閾値未満である「低減率;小」の第3輝度テーブルと、が、記録部24に記録されている。この場合、上記pが「3」であることになる。このとき、「低減率;大」の第1輝度テーブルTB1、「低減率;中」の第2輝度テーブルTB2及び「低減率;小」の第3輝度テーブルそれぞれにおける時刻毎の低減率の変化は、例えば図25に例示する変化に相当する変化となるように予め設定されている。なお、各輝度テーブルTBに含まれる具体的な輝度制御パラメータの値としては、例えば、黄斑変性の年齢別受療数(例えば、URL「http://homepage3.nifty.com/SAI-EYE-CLINIC/page/ohan/ohan.html」参照)」等の内容に沿って設定するのが好ましい。また、上記第1低減率閾値及び上記第2低減率閾値それぞれの具体的な値は、例えば統計的或いは経験的な数値に基づいて予め設定されていればよい。
そして、上述したように制御部21は、ブルーライトの制御については、年齢データSageにより示される年齢等及び時刻データStにより示される現在時刻に基づき、その年齢等及び現在時刻に対応した輝度テーブルTBを指定するための上記輝度テーブル指定信号を生成する。
より具体的に制御部21は、年齢データSageにより示される年齢が上記「子供」に該当する年齢である場合、一般に子供の眼は成長過程にあるため外光等の影響を受け易いとされており、成人の眼よりも感受性が強いとされている。また、加齢と共に小さくなるとされている眼の瞳孔も子供のうちは大きく、成人の眼よりも外光が眼の中に入り易い状態にあるとされており、これらのことは即ち、子供の眼は上記ブルーライトの透過率が高いことを示している。従ってこの場合に制御部21は、上記「低減率;大」の第1輝度テーブルTB1を指定する輝度テーブル指定信号を生成して記録部24に出力する。
一方、年齢データSageにより示される年齢が上記「成人」に該当する年齢である場合では、例えばディスプレイ23を長時間に渡って視続ける作業では、バックライトを構成する上記LEDが発するブルーライトが、いわゆる加齢黄斑変性症や睡眠障害(いわゆるサーカディアンリズムの乱れ)の原因となる可能性があるとされている。従ってこの場合に制御部21は、上記「低減率;大」の第1輝度テーブルTB1又は「低減率;中」の第2輝度テーブルTB2を指定する輝度テーブル指定信号を生成して記録部24に出力する。
更に、年齢データSageにより示される年齢が上記「高齢者」の年齢である場合、そのユーザが例えば加齢黄斑変性に罹っていることが上記年齢データSage等により示されているのであれば、そもそも当該黄斑変性によりブルーライト自体がカットされてしまう。従ってこの場合に制御部21は、上記「低減率;小」の第3輝度テーブルを指定する輝度テーブル指定信号を生成して記録部24に出力する。なおこの場合に制御部21は、当該輝度テーブル指定信号を出力せずに、第3実施形態に係るブルーライトの制御自体をオフとする旨の上記ブルーライト制御オン/オフ信号を生成して、ブルーライト制御判定部30に出力してもよい。
以上の制御部21、ブルーライト制御判定部30、記録部24及びブルーライト制御画素値更新部31の動作により、年齢データSageにより示される年齢に基づいてディスプレイ23に表示される画像におけるブルーライトが適切に制御される。
なお、ブルーライトの輝度の低減については、上記ブルーライト制御判定部30及びブルーライト制御画素値更新部31等の動作による方法の他に、ディスプレイ23のバックライトを構成するLED自体の輝度(ブライトネス)を画像の部分的又は全体として低減することにより、当該ブルーライトの輝度を低減する構成としてもよい。この場合に制御部21は、例えば図25に例示する変化に沿って上記LEDの輝度を制御する。
最後にディスプレイ23は、ブルーライト制御判定部30から出力されてきた色補正画像情報Scl又はブルーライト制御画素値更新部31から出力されてきたブルーライト制御画像情報Sbcのいずれか一方を表示情報Soutとして受信し、当該表示情報Soutに相当する画像を表示する。
次に、第3実施形態に係る制御処理について、時系列的に纏めつつ図26を用いて説明する。なお、図26に示す当該制御処理は、例えば表示装置D3の電源スイッチがオンとされたタイミングから開始され、主として制御部21を中心として実行される。
図26に示すように、第3実施形態に係る制御処理においては初めに、上記年齢データ取得部27を介して上記年齢データSageを取得し(ステップS15)、更に上記時刻取得部29を介して上記時刻データStを取得する(ステップS16)。このとき、ステップS16の時刻データStは例えば所定の時間間隔で定期的に実行するのが好ましいが、ステップS15の年齢データSageの取得は、例えば表示装置D3の上記電源スイッチがオンとされたタイミング毎に実行するのが好ましい。
次に、画像生成部20から上記画像情報Sinが入力されると、最初にコントラスト補正判定部22に取り込まれる(ステップS17)。そして制御部21は、上述した基準に従って第3実施形態に係るコントラストの補正を実行するか否かを判定し、その判定結果に対応する上記コントラスト補正オン/オフ信号を生成して制御信号Scとしてコントラスト補正判定部22に出力する(ステップS18)。ステップS18の判定において第3実施形態に係るコントラストの補正を実行しない場合(ステップS18;NO)、コントラスト補正判定部22は画像情報Sinをそのまま色補正判定部26に出力し、更に制御部21は後述するステップS21に移行する。一方ステップS18の判定において第3実施形態に係るコントラストの補正を実行する場合(ステップS18;YES)、コントラスト補正判定部22は画像情報Sinをコントラスト補正画素値更新部25に出力すると共に、制御部21は、上述した基準に従って上記強度補正テーブル指定信号を生成し、制御信号Scとして記録部24に出力することで、その時点で必要とされている強度補正テーブルTCを指定する(ステップS19)。
そして記録部24では、制御部21からの上記強度補正テーブル指定信号により示されている強度補正テーブルTCの選定(換言すれば、コントラストの補正の強度の指定)が行われ、当該選定された強度補正テーブルTCに含まれる強度補正パラメータがコントラスト補正画素値更新部25に出力される。
これらによりコントラスト補正画素値更新部25は、コントラスト補正判定部22から出力されてくる画像情報Sinに含まれている各画素における各色成分それぞれの画素値を、記録部24から出力された強度補正パラメータにより示される画素値に更新し(ステップS20)、上記コントラスト補正画像情報Sccとして色補正判定部26に出力する。
次に制御部21は、上述した基準に従って第3実施形態に係る色の補正を実行するか否かを判定し、その判定結果に対応する上記色補正オン/オフ信号を生成して制御信号Scとして色補正判定部26に出力する(ステップS21)。ステップS21の判定において第3実施形態に係る色の補正を実行しない場合(ステップS21;NO)、色補正判定部26はコントラスト補正画素値更新部25から出力されてきた上記コントラスト補正画像情報Sccをそのままブルーライト制御判定部30に出力し、更に制御部21は後述するステップS24に移行する。一方ステップS21の判定において第3実施形態に係る色の補正を実行する場合(ステップS21;YES)、色補正判定部26はコントラスト補正画像情報Sccを色補正画素値更新部28に出力すると共に、制御部21は、上述した基準に従って上記色補正テーブル指定信号を生成し、制御信号Scとして記録部24に出力することで、その時点で必要とされている色補正テーブルTLを指定する(ステップS22)。
そして記録部24では、制御部21からの上記色補正テーブル指定信号により示されている色補正テーブルTLの選定(換言すれば、色の補正態様の指定)が行われ、当該選定された色補正テーブルTLに含まれる色補正パラメータが色補正画素値更新部28に出力される。
これらにより色補正画素値更新部28は、色補正判定部26から出力されてくるコントラスト補正画像情報Sccに含まれている各画素における各色成分それぞれの画素値を、記録部24から出力された色補正パラメータにより示される画素値に更新し(ステップS23)、上記色補正画像情報Sclとしてブルーライト制御判定部30に出力する。
次に制御部21は、上述した基準に従って第3実施形態に係るブルーライトの制御を実行するか否かを判定し、その判定結果に対応する上記ブルーライト制御オン/オフ信号を生成して制御信号Scとしてブルーライト制御判定部30に出力する(ステップS24)。ステップS24の判定において第3実施形態に係るブルーライトの制御を実行しない場合(ステップS24;NO)、ブルーライト制御判定部30は色補正画素値更新部28から出力されてきた上記色補正画像情報Sclをそのままディスプレイ23に表示情報Soutとして出力する(ステップS27)。一方ステップS24の判定において第3実施形態に係るブルーライトの制御を実行する場合(ステップS24;YES)、ブルーライト制御判定部30は色補正画像情報Sclをブルーライト制御画素値更新部31に出力すると共に、制御部21は、上述した基準に従って上記輝度テーブル指定信号を生成し、制御信号Scとして記録部24に出力することで、その時点で必要とされている輝度テーブルTBを指定する(ステップS25)。
そして記録部24では、制御部21からの上記輝度テーブル指定信号により示されている輝度テーブルTBの選定(換言すれば、ブルーライトの低減率の指定)が行われ、当該選定された輝度テーブルTBに含まれる輝度制御パラメータがブルーライト制御画素値更新部31に出力される。
これらによりブルーライト制御画素値更新部31は、ブルーライト制御判定部30から出力されてくる色補正画像情報Sclに含まれている各画素における各色成分それぞれの画素値を、記録部24から出力された輝度制御パラメータにより示される画素値に更新し(ステップS26)、上記ブルーライト制御画像情報Sbcとしてディスプレイ23に表示情報Soutとして出力する。
そしてディスプレイ23は、上記色補正画像情報Scl又は上記ブルーライト制御画像情報Sbcのいずれか一方を表示情報Soutとして受信し、当該表示情報Soutに相当する画像を表示する(ステップS27)。その後制御部21は第3実施形態に係る制御処理を終了する。
以上それぞれ説明したように、第3実施形態に係る制御処理によれば、画像情報Sinにおけるブルーライトの輝度を年齢データSageに基づいて低減しつつ、当該年齢データSageに基づいて画像情報Sinに相当する画像を表示する。よって、当該画像を視認するユーザの年齢に応じた見易い状態で、且つ当該ユーザの眼を保護しつつ、画像を表示することができる。
また、第3実施形態に係る制御処理として、ブルーライトの制御、コントラストの補正、及び色の補正、のいずれかを画像情報Sinに対して実行して画像を表示するので、多面的な制御処理により、画像を視認するユーザの年齢に応じた見易い状態で、且つ当該ユーザの眼を効果的に保護しつつ、画像を表示することができる。
更に、年齢データSageにより示される年齢が「子供」に相当する年齢又は「成人」に相当する年齢である場合に、ブルーライトの輝度の低減率を大きくすると共に、コントラストの補正の強度を「弱」以下とするので、子供又は成人の眼を保護すると共に、見易いコントラストの状態で画像を表示することができる。
更にまた、年齢データSageにより示される年齢が「成年」に相当する年齢である場合において、ブルーライトの輝度の低減率を大きくすると共に、コントラストの補正強度を上げると共にディスプレイ23の明るさ(ブライトネス)を下げるように制御すれば、画像としての視認性を確保しつつ、眼の疲れを軽減して画像を表示することができる。
また、年齢データSageにより示される年齢が「高齢者」に相当する年齢であり、且つ、そのユーザが例えば黄斑変性に罹っていることが示されている場合において、ブルーライトの輝度の低減率を小さくすると共に、コントラストの補正強度を「中」又は「強」とし、当該年齢に基づいて色を補正して画像を表示するので、高齢者において見易い状態で画像を表示することができる。
更に、ブルーライトの制御を年齢データSage及び時刻データStに基づいて実行しつつ(図25参照)、当該年齢データSage及び当該時刻データStに基づいて他の制御処理を実行する場合には、画像を視認するユーザの年齢に応じた見易い状態で、且つ当該ユーザの眼を保護し、更にその視覚を通じた体内リズム等に合致させて、画像を表示させることができる。
更にまた、画像を視認するユーザの活動時間(例えば昼間)におけるブルーライトの輝度が、当該活動時間以外の時間における当該輝度に対して相対的に高くなるようにして表示用画像情報を生成する(図25参照)場合には、画像を視認するユーザの活動時間とそれ以外の時間における体内リズム等に合致させて画像を表示させることができる。なおこのとき、そのユーザが例えば夜間勤務者である場合には、図25に示す変化を図25において上下逆とした変化により、第3実施形態に係るブルーライトの制御を実行するのが好適である。
また、新たな年齢データSageが取得された場合に、当該新たな年齢データSageに基づいてブルーライトの制御を含むいずれかの処理を改めて実行して画像を表示するように構成すれば、新たな年齢データSageが取得できた場合にも、画像を視認するユーザの年齢に応じた見易い状態で、且つ当該ユーザの眼を保護しつつ、適切に画像を表示させることができる。この場合に例えば、新たな年齢データSageにより、「高齢者」に相当する年齢のユーザに対する白内障の手術が終了した旨のデータが取得できた場合、白内障が治療されるとブルーライトの透過率が高くなるため、たとえ「高齢者」に相当する年齢のユーザであっても低減率を「大」又は「中」としてブルーライトの制御を実行するのが好ましい。
更に、第3実施形態のようにユーザの年齢で一括りとするのではなく、例えば図示しない入力部を用いてユーザが事後的に強度補正テーブルTC、色補正テーブルTL又は輝度テーブルTBそれぞれの内容に相当する各パラメータを入力する構成とすれば、画像を視認する当該ユーザの好み等に合わせて第3実施形態に係る制御処理を実行でき、当該ユーザに適合させて画像の表示態様を調整することができる。
なお、上述した第3実施形態については、上述の他に、種々の態様が可能である。
例えば上述した第3実施形態では、画像情報Sinに対するコントラストの補正(コントラスト補正判定部22及びコントラスト補正画素値更新部25による)→色の補正(色補正判定部26及び色補正画素値更新部28による)→ブルーライトの制御(ブルーライト制御判定部30及びブルーライト制御画素値更新部31による)の順で実行することとした。しかしながらこれ以外に、コントラストの補正、色の補正及びブルーライトの制御の順序をどのように変更してもよいし、或いは、コントラストの補正、色の補正及びブルーライトの制御を画像情報Sinに対して同時並行的に実行し、それぞれの実行結果を最後に重畳して表示情報Soutとしてディスプレイ23に出力するように構成することもできる。
また例えば、第3実施形態に係るブルーライトの制御を、日単位(図25参照)ではなく、月単位、或いは季節単位で実行するように構成することも可能である。この場合の輝度テーブルTBとしては、月毎、又は季節毎の輝度テーブルが記録部24に記録されて用いられることになる。
更に例えば、時刻データStを用いず、予め設定された低減率で例えば一律にブルーライトの制御を行うように構成してもよい。
更にまた上述した第3実施形態において、画像内の範囲を指定して第3実施形態に係る制御処理の対象とする/しないを制御するように構成することもできる。
また第3実施形態に係る制御処理は、上述したRGB色空間以外にも、例えば上記HLS色空間、HSV色空間、又は輝度(Y)を含むYCbCr色空間等に対しても同様に適用可能である。
更にまた、図10、図22又は図26にそれぞれ示すフローチャートに対応するプログラムを光ディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得して記録しておき、これらを例えば汎用のマイクロコンピュータ等により読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を、各実施形態に係る制御部2又は制御部21、切換制御部3、コントラスト補正判定部22、コントラスト補正画素値更新部25、色補正判定部26、年齢データ取得部27、色補正画素値更新部28、ブルーライト制御判定部30、ブルーライト制御画素値更新部31及び画素値更新部6並びに切換部7として機能させることも可能である。