JP6145055B2 - 風力発電装置用タワー及び風力発電装置 - Google Patents

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Description

本開示は、風力発電装置用タワー及び風力発電装置に関する。
風力発電装置用タワーの下部には、通常、人や風力発電装置に用いる機器が出入りするためのドア用開口部が設けられている(図5(A)参照)。
この開口部は、従来、図5(B)に示すように、タワーの径方向に見たときの形状が直線と半円の円弧とを組み合わせた形状となるように形成されることが一般的であり、特許文献1及び特許文献2にもこのような形状のドア用開口部が記載されている。
米国特許第8171674号 米国特許第8109061号
ところで、風力発電装置用タワーに設けられるドア用開口部の周囲には、風力発電装置が受ける風荷重によって、様々な方向の応力が発生する。しかしながら、ドア用開口部には、上述のように直線と半円の円弧とを組み合わせた形状が一般的に用いられており、その応力の方向を適切に考慮した形状が用いられていなかった。したがって、ドア用開口部の周囲の疲労強度について要求される水準を達成するために、コーミング等の補強構成の大型化を招いていた。
本発明は、上述したような従来の課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、ドア用開口部周囲の疲労強度に優れた簡易な構成の風力発電装置用タワーを提供することである。
(1)本発明の幾つかの実施形態に係るドア用開口部が設けられた風力発電装置用タワーは、
前記タワーの径方向から見たときに、
前記開口部の高さ方向及び幅方向における中心位置を通り、前記中心位置を通る鉛直線に対して15度の角度をなす直線と、前記開口部の上縁部との交点を交点Pとし、
前記中心位置を通り、前記中心位置を通る鉛直線に対して60度の角度をなす直線と、前記上縁部との交点を交点Qとし、
前記中心位置を通り、前記中心位置を通る鉛直線に対して−15度の角度をなす直線と、前記上縁部との交点を交点Rとし、
前記中心位置を通り、前記中心位置を通る鉛直線に対して−60度の角度をなす直線と、前記上縁部との交点を交点Sとすると、
前記上縁部は、前記交点Pと前記交点Qの間の第1区間の少なくとも一部及び前記交点Rと前記交点Sの間の第2区間の少なくとも一部において、前記開口部の幅の半分よりも大きい曲率半径を有するよう形成される。
本発明者の検討によれば、風力発電装置用タワーでは、風車が荷重を受けた場合に、装置や人が出入りするためのドア用開口部の上縁部における上記交点Pと上記交点Qの間の第1区間と、上記交点Rと上記交点Sの間の第2区間とに応力が集中しやすいことが明らかとなった。
そこで、上記(1)に記載の風力発電装置用タワーのように、上記交点Pと上記交点Qの間の第1区間の少なくとも一部(望ましくは全部)及び上記交点Rと上記交点Sの間の第2区間の少なくとも一部(望ましくは全部)において、開口部の幅の半分よりも大きい曲率半径を有するよう開口部の上縁部を形成することにより、開口部周囲のうち応力が集中しやすい部分の疲労強度を効果的に高めることができる。したがって、コーミング等の補強構成を簡素化してもドア用開口部周囲の優れた疲労強度を実現することができる。これにより、ドア用開口部周囲の疲労強度に優れた簡易な構成の風力発電装置用タワーを提供することができる。
なお、ここでの『開口部の上縁部』とは、ドア用開口部の周縁部のうち、ドア用開口部の高さ方向(タワーの高さ方向)における中心位置よりも上側部分のことを意味する。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の風力発電装置用タワーにおいて、
前記タワーの径方向から見たときに、
前記第1区間の少なくとも一部における前記上縁部の曲率半径は、前記中心位置を通る鉛直線と前記上縁部との交点Vにおける前記上縁部の曲率半径よりも大きく、
前記第2区間の少なくとも一部における前記上縁部の曲率半径は、前記交点Vにおける前記上縁部の曲率半径よりも大きい。
本発明者の検討によれば、風力発電装置用タワーでは、風車が荷重を受けた場合に、装置や人が出入りするためのドア用開口部の上縁部における上記交点Pと上記交点Qの間の第1区間の方が、上記交点Vの位置よりも応力が集中しやすいことが明らかとなった。また同様に、上記交点Rと上記交点Sの間の第2区間の方が、上記交点Vの位置よりも応力が集中しやすいことが明らかとなった。
そこで、上記(2)に記載の風力発電装置用タワーでは、上記第1区間の少なくとも一部(好ましくは全部)における上縁部の曲率半径を、上記交点Vにおける上縁部の曲率半径よりも大きくし、上記第2区間の少なくとも一部(好ましくは全部)における上縁部の曲率半径を、上記交点Vにおける上縁部の曲率半径よりも大きくしている。
すなわち、開口部周囲の応力が集中しやすい部分の疲労強度を効果的に高めつつ、開口部周囲の応力が集中しにくい部分の疲労強度を過度に高めないようドア用開口部が形成されている。したがって、コーミング等の補強構成を簡素化してもドア用開口部周囲の優れた疲労強度を実現することができる。これにより、ドア用開口部周囲の疲労強度に優れた簡易な構成の風力発電装置用タワーを提供することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の風力発電装置用タワーにおいて、
前記第1区間の少なくとも一部における前記上縁部の厚さは、前記中心位置を通る鉛直線と前記上縁部との交点Vにおける前記上縁部の厚さより大きく、
前記第2区間の少なくとも一部における前記上縁部の厚さは、前記交点Vにおける前記上縁部の厚さより大きい。
前述のように、本発明者の検討によれば、風力発電装置用タワーでは、風車が荷重を受けた場合に、装置や人が出入りするためのドア用開口部の上縁部における上記交点Pと上記交点Qの間の第1区間の方が、上記交点Vの位置よりも応力が集中しやすいことが明らかとなった。また同様に、上記交点Rと上記交点Sの間の第2区間の方が、上記交点Vの位置よりも応力が集中しやすいことが明らかとなった。
そこで、上記(3)に記載の風力発電装置用タワーでは、上記第1区間の少なくとも一部(好ましくは全部)における上縁部の厚さを、上記交点Vにおける上縁部の厚さより大きくし、上記第2区間の少なくとも一部(好ましくは全部)の位置での上縁部の厚さを、上記交点Vにおける上縁部の厚さより大きくしている。すなわち、開口部周囲の応力が集中しやすい部分の疲労強度を効果的に高めつつ、開口部周囲の応力が集中しにくい部分の疲労強度を過度に高めないようドア用開口部が形成されている。したがって、コーミング等の補強構成を簡素化してもドア用開口部周囲の優れた疲労強度を実現することができる。これにより、ドア用開口部周囲の疲労強度に優れた簡易な構成の風力発電装置用タワーを提供することができる。
(4)幾つかの実施形態に係る風力発電装置は、
少なくとも一つのブレードを含むロータと、
ロータの回転エネルギーが伝達されて駆動される発電機と
上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の風力発電装置用タワーと、を備える。
上記(4)に記載の風力発電装置によれば、コーミング等の補強構成を簡素化してもドア用開口部周囲の優れた疲労強度を実現することができる。これにより、簡易な構成で風力発電装置用タワーの破損が抑制され、風力発電装置の安定的な運転を実現することができる。
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、ドア用開口部周囲の疲労強度に優れた簡易な構成の風力発電装置用タワーを提供することができる。
幾つかの実施形態に係る風力発電装置を示した全体図である。 幾つかの実施形態に係るドア用開口部をタワーの径方向に見たときの、該ドア用開口部の形状を示す図である。 (a)は、図2におけるA−A断面図であり、(b)は、図2におけるB−B断面図である。 幾つかの実施形態に係るドア用開口部の形状を決定するフローを示す図である。 (a)は、風力発電装置用タワーにおける従来のドア用開口部を示す斜視図であり、(b)は、該従来のドア用開口部をタワーの径方向に見たときの形状を示す図である。
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。また、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する場合がある。
図1を参照して、幾つかの実施形態に係る風力発電装置1の全体構成例について説明する。
図1に示すように、風力発電装置1は、基礎B上に立設されたタワー2(風力発電装置用タワー)と、タワー2の上端に設置されたナセル3と、少なくとも一つのブレード5を含むロータ10とを備えている。
タワー2は、図1に示すように、基礎Bから上方(図1の上方)に延びる柱状であり、その上端にナセル3が設置される。なお、基礎Bは、地上に立設されていてもよいし、洋上や湖上等の水上に立設されていてもよい。タワー2の下部には、装置や人が出入りするためのドア用開口部12が設けられている。
ナセル3は、ロータ10が備えるハブ4を支持するとともに、その内部に増速機7や発電機9を収納している。すなわち、ナセル3の内部には、ハブ4に連結された主軸6と、主軸6に連結された増速機7と、増速機7の出力軸8に連結された発電機9とが設けられている。
主軸6は、ロータ10とともに回転するように、ハブ4に連結されるとともに、主軸軸受け(不図示)を介して回転可能にナセル3側に固定されている。
増速機7は、主軸6と発電機9との間に配置され、主軸6を介してハブ4側から入力された回転を増速して、発電機9に出力するように構成されている。このように、発電機9は、ロータ10の回転エネルギーが伝達されて駆動される。なお、図1には、主軸6の回転を増速機7を介して発電機9に伝達する構成を示しているが、風力発電装置1の構成はこの構成に限定されるものではなく、例えば、機械式な増速機7の代わりに油圧トランスミッションを備える増速機方式であってもよいし、主軸6と発電機9とを直結して、ブレード5の回転をそのまま発電機9に伝達するダイレクトドライブ方式であってもよい。
ハブ4には、ブレード5が取り付けられており、ブレード5が風を受けて回転することによって、ブレード5とともにハブ4も回転するようになっている。ハブ4の内部には、例えば、ブレードのピッチ制御を行う油圧機器類や制御盤等が収納設置されている。ハブ4の周囲は、ハブカバー4aで覆われている。
次に、幾つかの実施形態に係るドア用開口部12の形状について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、ドア用開口部12をタワー2の径方向から見たときの、該ドア用開口部12の形状を示す図である。図3(a)は、図2におけるA−A断面図であり、図3(b)は、図2におけるB−B断面図である。
図2、図3(a)及び図3(b)に示すように、ドア用開口部12の周りには、ドア用開口部12周囲を補強するための補強部材としての外周側コーミング14及び内周側コーミング16が設けられている。外周側コーミング14及び内周側コーミング16は、風力発電装置用タワー2のタワー本体20の外周側及び内周側にそれぞれ設けられている。また、各コーミング14,16は、各コーミング14,16の開口側端部14a,16aの位置とタワー本体20の開口側端部20aの位置とが一致するように形成されている。すなわち、このコーミングの開口側端部14a,16aと、タワー本体20の開口側端部20aとによってドア用開口部12の周縁部12Eが形成されている。
なお、図2は、タワー2の径方向外側から見たときのドア用開口部12の形状を示しているが、上述のように、各コーミングの開口側端部14a,16aの位置とタワー本体の開口側端部20aの位置とが一致しており、タワー2の径方向内側から見た時のドア用開口部12の形状も図2に示す形状と同様である。
ここで、図2において、ドア用開口部12の上縁部12U(ドア用開口部12の周縁部12Eのうち、ドア用開口部12の高さ方向(タワーの高さ方向)における中心位置よりも上側部分(図2においては中心位置Oよりも上側部分))上の点について、以下のように定義する。まず、ドア用開口部12の高さ方向及び幅方向における中心位置Oを通り、中心位置Oを通る鉛直線Lに対して15度の角度をなす直線L15と、ドア用開口部12の上縁部12Uとの交点を交点Pとする。次に、中心位置Oを通り、中心位置Oを通る鉛直線Lに対して60度の角度をなす直線L60と、ドア用開口部12の上縁部12Uとの交点を交点Qとする。また、中心位置Oを通り、中心位置Oを通る鉛直線Lに対して−15度の角度をなす直線L―15と、ドア用開口部12の上縁部12Uとの交点を交点Rとする。また、中心位置Oを通り、中心位置Oを通る鉛直線Lに対して−60度の角度をなす直線L−60と、ドア用開口部12の上縁部12Uとの交点を交点Sとする。また、中心位置Oを通る鉛直線Lと上縁部12Uとの交点を交点Vとする。
このように定義した場合に、図2に示すドア用開口部12の上縁部12Uは、交点Pと交点Qの間の第1区間12Uの少なくとも一部及び交点Rと交点Sの間の第2区間12Uの少なくとも一部において、ドア用開口部12の幅Wの半分(W/2)よりも大きい曲率半径を有するよう形成されている。
本発明者らの検討によれば、風力発電装置用のタワー2では、ロータ10が荷重を受けた場合に、ドア用開口部12の上縁部12Uにおける上記交点Pと上記交点Qの間の第1区間12Uと、上記交点Rと上記交点Sの間の第2区間12Uとに応力が集中しやすいことが明らかとなった。
そこで、上述のように、上記交点Pと上記交点Qの間の第1区間12Uの少なくとも一部(望ましくは全部)及び上記交点Rと上記交点Sの間の第2区間12Uの少なくとも一部(望ましくは全部)において、ドア用開口部12の幅の半分よりも大きい曲率半径を有するようドア用開口部12の上縁部12Uを形成することにより、図5に示した従来のドア用開口部を有する構成と比較して、ドア用開口部12周囲のうち応力が集中しやすい部分の疲労強度を効果的に高めることができる。したがって、コーミング等の補強構成を簡素化してもドア用開口部12周囲の優れた疲労強度を実現することができる。これにより、ドア用開口部12周囲の疲労強度に優れた簡易な構成の風力発電装置用タワー2を提供することができる。
幾つかの実施形態では、図2に示すドア用開口部12において、上記第1区間12Uの少なくとも一部(好ましくは全部)における上縁部12Uの曲率半径は、上記交点Vにおける上縁部12Uの曲率半径よりも大きく、上記第2区間12Uの少なくとも一部(好ましくは全部)における上縁部12Uの曲率半径は、上記交点Vにおける上縁部12Uの曲率半径よりも大きい。
本発明者らの検討によれば、風力発電装置用のタワー2では、ロータ10が荷重を受けた場合に、ドア用開口部12の上縁部12Uにおける上記交点Pと上記交点Qの間の第1区間12Uの方が、上記交点Vの位置よりも応力が集中しやすいことが明らかとなった。また同様に、上記交点Rと上記交点Sの間の第2区間12Uの方が、上記交点Vの位置よりも応力が集中しやすいことが明らかとなった。
そこで、上述のように上記第1区間12Uの少なくとも一部における上縁部12Uの曲率半径を、上記交点Vにおける上縁部12Uの曲率半径よりも大きく設定し、上記第2区間12Uの少なくとも一部(好ましくは全部)における上縁部12Uの曲率半径を、上記交点Vにおける上縁部12Uの曲率半径よりも大きく設定している。
これにより、図5に示した従来のドア用開口部を有する構成と比較して、開口部12周囲の応力が集中しにくい部分の疲労強度を抑えつつ、開口部12周囲の応力が集中しやすい部分の疲労強度を効果的に高めることができる。したがって、コーミング等の補強構成を簡素化してもドア用開口部12周囲の優れた疲労強度を実現することができる。
幾つかの実施形態では、図3(a)に示すドア用開口部12において、上記第1区間12Uの少なくとも一部(好ましくは全部)における上縁部12Uの厚さtは、中心位置Oを通る鉛直線と上縁部12Uとの交点Vにおける上縁部12Uの厚さtより大きく、上記第2区間12Uの少なくとも一部(好ましくは全部)における上縁部12Uの厚さtは、上記厚さtより大きい。
これにより、図5に示した従来のドア用開口部と比較して、開口部12周囲の応力が集中しにくい部分の疲労強度を抑えつつ、開口部12周囲の応力が集中しやすい部分の疲労強度を効果的に高めることができる。したがって、コーミング等の補強構成を簡素化してもドア用開口部12周囲の優れた疲労強度を実現することができる。
幾つかの実施形態では、図3(a)に示すドア用開口部12において、上記第1区間12Uの少なくとも一部(好ましくは全部)及び上記第2区間12Uの少なくとも一部(好ましくは全部)における外周側コーミング14の厚さを、上記交点Vにおける外周側コーミング14の厚さより大きくすることにより、上述の厚さt及び厚さtを厚さtよりも大きしてもよい。また、上記第1区間12Uの少なくとも一部(好ましくは全部)及び上記第2区間12Uの少なくとも一部(好ましくは全部)における内周側コーミング16の厚さを、上記交点Vにおける内周側コーミング16の厚さより大きくすることにより、上述の厚さt及び厚さtを厚さtよりも大きくしてもよい。また、外周側コーミング14及び内周側コーミング16の両方の厚さを調節することによって、上述の厚さt及び厚さtを厚さtよりも大きくしてもよい。また、タワー本体20自体の厚さを調節することによって、上述の厚さt及び厚さtを厚さtよりも大きくしてもよい。
なお、図1〜図3を用いて説明した上述のドア用開口部12の形状は、例えば図4に示す手法によって決定することができる。図4は、幾つかの実施形態に係るドア用開口部12の形状を決定するフローを示す図である。
図4において、処理41では、有限要素法(FEM法)におけるメッシュ分割されたドア用開口部12の各部について、風車に単位荷重が作用したときに生じる応力を算出する。
処理42では、(a)風車に作用する荷重について、荷重履歴1〜荷重履歴NまでのN個のケースの時系列荷重データと、(b)処理41によって算出された、風車に単位荷重が作用したときにドア用開口部12の各部(メッシュに対応する各部)に生じる応力の分布と、(c)N個のケースの時系列荷重データについての、各ケースの発生頻度(発生回数)と、(d)S−N線図と、に基づいて、ドア用開口部12の各部について、応力評価方向1〜m(例えば、主方向から10度刻みで180度分(±90度分)の方向)の各々における累積疲労損傷度DFを算出し(処理4211〜処理421m)、それらの累積疲労損傷度DFのうちの最大値DFMAXを抽出する(処理422)。なお、処理4211〜処理421mの各処理フローは、応力の評価方向が異なること以外は同じであるため、方向2〜方向mについての処理フローは図4中において一部省略している。
上記処理4211〜処理421mの各々における詳細な処理フローは以下の通りである。まず、(a)風車に作用する荷重について、荷重履歴1〜荷重履歴NまでのN個のケースの時系列荷重データと、(b)処理41によって算出された、風車に単位荷重が作用したときにドア用開口部12の各部(メッシュに対応する各部)に生じる応力の分布と、を積算することにより、各ケース(荷重履歴1〜N)の時系列荷重データが風車に作用した際にドア用開口部12の各部に生じる応力履歴(応力分布)を評価方向毎に算出する。次に、その算出結果に対して2次元レインフロー処理(波数計数処理)を行い、その処理結果と、(c)N個のケースの時系列荷重データについての、各ケースの発生頻度(発生回数)と、(d)S−N線図と、に基づいて、各ケースの疲労損傷度を算出する。その後、各ケースの疲労損傷度を加算して、各評価方向における累積疲労損傷度DFを算出する。なお、ドア用開口部12の非溶接部については、累積損傷度を算出する前に、2次元レインフロー処理の結果に対して、平均応力の補正処理を行ってもよい。
判定43では、処理422によって算出されたドア用開口部12の各部についての最大値DFMAXが、ドア用開口部12の全部分において1.0未満となるような制約条件下で、コーミングの重量を最小化できたか否かを判定する。判定43において上記制約条件下でコーミングの重量を最小化できたと判定した場合には、処理44においてドア用開口部の形状の最適化を完了し、ドア用開口部の形状が決定される。判定43において、上記制約条件下でコーミングの重量を最小化できていないと判定した場合には、処理45においてFEMモデルの形状変更を行って、処理41に戻り、判定43において上記制約条件下でコーミングの重量を最小化できたと判断されるまで、上述の処理及び判定を繰り返す。
以上のように、図4に示すドア用開口部12の形状を決定するための手法では、複数の応力方向について、複数の荷重条件での疲労損傷度を加算して累積損傷度DFを算出し、複数の応力方向の累積損傷度DFのうち大きな累積損傷度DFMAXを最適化の評価指標として選択している。このような手法を用いることにより、ミーゼス応力や主応力をベースに評価する手法よりも、応力方向を適切に考慮した強度評価を行うことが可能となり、図1〜図3を用いて上述したドア用開口部12の形状を導くことができる。
1 風力発電装置
2 風力発電装置用タワー
3 ナセル
4 ハブ
4a ハブカバー
5 ブレード
6 主軸
7 増速機
8 出力軸
9 発電機
10 ロータ
12 ドア用開口部
12E 周縁部
12U 上縁部
12U 第1区間
12U 第2区間
14 外周側コーミング
14a 外周側コーミングの開口側端部
16 内周側コーミング
16a 内周側コーミングの開口側端部
20 タワー本体
20a タワー本体の開口側端部

Claims (5)

  1. ドア用の開口部が設けられた風力発電装置用のタワーであって、
    前記タワーの径方向から見たときに、
    前記開口部の高さ方向及び幅方向における中心位置を通り、前記中心位置を通る鉛直線に対して15度の角度をなす直線と、前記開口部の周縁部のうち前記タワーの高さ方向における前記開口部の中心位置よりも上側部分である前記開口部の上縁部との交点を交点Pとし、
    前記中心位置を通り、前記中心位置を通る鉛直線に対して60度の角度をなす直線と、前記上縁部との交点を交点Qとし、
    前記中心位置を通り、前記中心位置を通る鉛直線に対して−15度の角度をなす直線と、前記上縁部との交点を交点Rとし、
    前記中心位置を通り、前記中心位置を通る鉛直線に対して−60度の角度をなす直線と、前記上縁部との交点を交点Sとすると、
    前記上縁部は、前記交点Pと前記交点Qの間の第1区間の少なくとも一部及び前記交点Rと前記交点Sの間の第2区間の少なくとも一部において、前記開口部の幅の半分よりも大きい曲率半径を有する曲線を含むよう形成され、
    前記第1区間の少なくとも一部における前記上縁部の厚さは、前記中心位置を通る鉛直線と前記上縁部との交点Vにおける前記上縁部の厚さより大きく、
    前記第2区間の少なくとも一部における前記上縁部の厚さは、前記交点Vにおける前記上縁部の厚さより大きい風力発電装置用タワー。
  2. 前記第1区間の少なくとも一部における前記上縁部の曲率半径は、前記中心位置を通る鉛直線と前記上縁部との交点Vにおける前記上縁部の曲率半径よりも大きく、
    前記第2区間の少なくとも一部における前記上縁部の曲率半径は、前記交点Vにおける前記上縁部の曲率半径よりも大きい請求項1に記載の風力発電装置用タワー。
  3. 前記上縁部は、前記第1区間の全部及び前記第2区間の全部において、前記開口部の幅の半分よりも大きい曲率半径を有するよう形成された請求項1又は2に記載の風力発電装置用タワー。
  4. 前記第1区間の全部における前記上縁部の曲率半径は、前記中心位置を通る鉛直線と前記上縁部との交点Vにおける前記上縁部の曲率半径よりも大きく、
    前記第2区間の全部における前記上縁部の曲率半径は、前記交点Vにおける前記上縁部の曲率半径よりも大きい請求項1乃至3の何れか1項に記載の風力発電装置用タワー。
  5. 少なくとも一つのブレードを含むロータと、
    ロータの回転エネルギーが伝達されて駆動される発電機と
    請求項1〜4の何れか1項に記載の風力発電装置用タワーと、を備える風力発電装置。
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