JP6141679B2 - 導電性電極活物質、導電性電極活物質製造方法、及びマグネシウム回収方法 - Google Patents
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本発明に係る導電性電極活物質は、基材の表面に数百μmオーダーの凹凸形状で形成される基礎凹部と、前記基礎凹部上に数十μmオーダーの凹凸形状で形成される微細凹部とを含み、前記基礎凹部及び微細凹部に形成されたダイヤモンド結晶により、当該基材の表面が被膜されるという特徴を有する。基礎凹部は、例えば、100〜500μmの凹凸形状を、例えば240番のサンドペーパーを用いて基板に研磨(パフ研磨)することにより形成することができる。また、微細凹部は、例えば、10〜50μm(例えば25μm)の凹凸形状を、例えば超音波振動(超音波傷つけ処理)又はマイクロ波(マイクロ波傷つけ処理)を基板に与えることにより形成することができる。このダイヤモンド結晶による被覆膜は、例えば、ボロンをダイヤモンド結晶にドープすることによって、ボロンドープダイヤモンド(BDD)被覆膜として使用することができる。
本発明に係るマグネシウム回収方法は、上述した導電性電極活物質から構成された溶融塩電解用電極を陰極に用いて、溶融塩電解によりマグネシウム塩化物(塩化マグネシウム)から金属マグネシウムを回収するという特徴を有する。尚、本発明に係るマグネシウム回収方法では、陽極にも上記の溶融塩電解用電極を用いること、即ち、上記の溶融塩電解用電極を両極に用いる構成とすることもできる。この場合には、電極反応の妨げとなる電解現象(例えば、アノード効果による電極表面の腐食)が、上記の溶融塩電解用電極では生じ難いことから(後述の実施例参照)、従来の電解で陽極として一般に用いられているグラファイト電極(アノード効果が生じやすい)の場合と比べて、分解電圧(分極電圧)を低く設定できることとなり、従来の電解反応よりも、省エネルギーで電解反応を進行させることができる。
MgCl2 → Mg2+ + 2Cl−
以下、本発明に係る導電性電極活物質を用いた海水からの金属マグネシウムの回収方法について、図1(a)のフローチャート、及び(b)の詳細なフローチャートに沿って説明する。
(脱水反応式)
MgCl2・6H2O + 6NH4Cl → MgCl2 + 6NH4OH + 6HCl↑
NH4OH → NH3↑ + H2O↑
(1)ボロンドープダイヤモンド(BDD)被覆膜の作製
ボロンドープダイヤモンド(BDD)被覆膜は新日本無線(株)製−NJE2917のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて作製した。合成条件を以下の表1に示す。
基材(下地基材)であるグラファイトは、パフ研磨機で一段階目の傷つけ処理を両面に施した。さらに、25μmのダイヤモンド砥粒が入ったエタノール溶液中で二段階目の超音波傷つけ処理を両面に1時間施した。次に、アセトン(5分間)、エタノール(5分間)、蒸留水(5分間)の順に超音波洗浄を行った。その後、片面毎に成膜を交互に繰り返した。片面の成膜時間は35時間とした。
一方、基材(下地基材)であるモリブデンは、グラファイトと同様の二段階傷つけ処理を施した。その後、表側の片面へ成膜を5時間行った。成膜後の裏側の片面はグラファイトと同様に二段階傷つけ処理を施し、その後、裏側の片面への成膜を5時間施し、成膜を交互に繰り返した。
上述の二段階の傷つけ処理で得られたBDD被覆グラファイトのX線回折パターンとラマンスペクトルを図5(a)及び(b)に示す。X線回折パターン(X線回折装置(理学電機製、RINT1100)を使用)では43.95゜(2θ/゜)にダイヤモンドの(111)面に対応した回折線および、下地基材のグラファイト(0004)面に対応する回折線も顕著に現れた。B/Cガス流量10ccmのラマンスペクトル(レーザー顕微ラマン分光光度計(日本分光製、NRS2100)を使用)では1334cm-1にダイヤモンドに対応するピークが顕著に現れた。一方、25ccmではアモルファス状炭素に対応するピークが1360cm-1と1580cm-1に現れていた。これらの結果から、B/Cガス流量が10ccm、反応温度が900℃の成膜条件で結晶性が良く、アモルファス成分の少ない高品質なBDD被覆膜を作製することができることがわかった。
上記BDD被覆膜で被膜されたBDD被覆電極の電気化学特性を評価するために、アノード極にBDD被覆モリブデン電極、カソード極に白金電極、参照電極にAg/AgClを設置し、支持電解液として0.5mol−H2SO4水溶液のサイクリックボルタムメトリー測定(CV測定)を行った(CV装置(北斗電工製、HSV−110)を使用)。得られたCV曲線を図5(c)に示す。アノード極では2.0ボルトの電位で酸化電流が流れ、酸素ガス発生による分極が起きた。また、カソード極では−1.0ボルトの電位で還元電流が流れ、水素ガス発生による分極が起きた。有意義な電気化学測定が可能な電位領域である電位窓は3.0ボルトであった。また、分極(分解)電圧に達するまでの微小の電流すなわち残余電流は小さいことが分かった。これらの結果から、作製したBDD被覆膜の電位窓(3.0ボルト)とこれまでに報告された文献の電位窓(2.9ボルト)の電気化学特性が同じであることが判明した。このように、広い電位窓を持ったBDD被覆膜が得られたことは水溶液電解や過酷な溶融塩電解に有用な電極材料として利用が期待できる。
上記得られた板状BDD被覆電極を用いて溶融塩電解を行った。真空容器内に電気炉を設置し、電気炉内にはグラファイト坩堝の電解槽を置いた。電解浴の原料には無水MgCl2を用いた。陽極、陰極の両極に板状グラファイト電極または、板状BDD被覆電極を設置し、参照電極には金線(Au)を使用した。アルゴン雰囲気、720℃の電解浴温度でCV(サイクリックボルタンメトリー)装置による分極曲線を測定し、電気化学的な電解挙動を調べた。電解製錬はアルゴン雰囲気下、720℃、電解電圧2.5V、3,5V、4.0Vで4時間行った。電解製錬で採取された金属Mg塊の物性(生成量、組成など)は、以下、粉末X線回折装置、蛍光X線分析装置、SEMなどを用いて評価を行った結果を示す。
溶融塩電解における本発明に係るBDD電極の電解安定性について確認を行った。各種電極の電解時間(分)に対する電流密度(mA/cm2)の変動(印加電圧3.5V、電解浴温度720℃)を図6(b)に示す。
マグネシウム(Mg)の収率は以下の式により求めた。
収率 (%) = [採取したMg(/mol) / 投入したMgCl2(/mol)] × 100
本発明に係るBDD被覆グラファイト電極を用いて、3.5V、4時間の溶融塩電解の精錬後に採取したMg塊の外観(a)、及び、蛍光X線分析(EDX)(蛍光X線分析(EDX)装置(島津製作所製、EDX800)を使用)による定量分析結果(b)を図7に示す。得られた生成物の塊は表面が灰色の酸化被膜で覆われているが、表面を研磨したところ銀白色の金属光沢を呈する面が現れた。これをEDX分析したところ、得られた生成物の組成は99%の高品質なマグネシウムから構成されていることが分かった。
得られた生成物の粉末X線回折による回折パターンを図7(c)に示す。この回折パターンは、本発明に係るBDD被覆グラファイト電極を用いて、3.5V、4hの電解条件で採取したマグネシウム(Mg)塊の生成物について構造評価したものである。得られた結果から、当該生成物と市販の金属マグネシウム(Mg)のピークは一致していることが分かった。従って、生成物の塊はマグネシウム(Mg)であることが同定された。
本発明に係るBDD被覆グラファイト電極の溶融塩電解後のSEM像を図8に示す。BDD被覆表面の拡大像を観察した結果、金属霧や陽極効果等の電解現象による電極表面の劣化や消耗は確認されなかった。また、BDD被覆モリブデン電極についても同様な電解劣化や消耗は観察されなかった。
海水からの金属マグネシウムの回収
上記本発明に係る金属マグネシウムの回収において、原料にMgCl2を用いたが、このMgCl2は、海水から精製することによって得ることもできる。以下、本発明に係るBDD被覆電極を用いた海水からの金属マグネシウムの回収について確認した。
海水の逆浸透膜処理で排出された高濃度塩水を用い、溶存量の多い金属資源物質であるマグネシウムの分離・回収技術について確認をした。この排出された高濃度塩水は海水(海水密度がd=1.03)の2倍程度(海水密度はd=1.07)まで濃縮されたものである。
上記で得られたMgCl2・6H2Oに対して、NH4Clを添加する以下の反応式に従う方法により脱水(無水化)を行った。
(反応式)
MgCl2・6H2O + 6NH4Cl → MgCl2 + 6NH4OH + 6HCl↑
Claims (3)
- 基材の表面に100〜500μmの凹凸形状で形成される基礎凹部と、前記基礎凹部上に10〜50μmの凹凸形状で形成される微細凹部とを含み、前記基礎凹部及び微細凹部に形成されたダイヤモンド結晶により、当該基材の表面が被膜されている導電性電極活物質から構成された溶融塩電解用電極を陰極に用いて、溶融塩電解によりマグネシウム塩化物から金属マグネシウムを回収するマグネシウム回収工程を含むことを特徴とする
マグネシウム回収方法。 - 請求項1のマグネシウム回収方法において、
前記基材が、モリブデンまたはグラファイトであることを特徴とする
マグネシウム回収方法。 - 請求項1または請求項2のマグネシウム回収方法において、
海水を濾過してにがりを得るにがり生成工程と、
前記にがり生成工程により得られたにがりから低温晶析法により塩化マグネシウム水和物を得る水和物生成工程と、
前記水和物生成工程により得られた塩化マグネシウム水和物に対して、塩化物を添加または塩素ガスを導入し、無水化処理し、塩化マグネシウム無水物を得る無水物生成工程とを含み、
前記マグネシウム回収工程が、前記無水物生成工程により得られた塩化マグネシウム無水物を、前記溶融塩電解用電極を用いて溶融塩電解し、金属マグネシウムを回収することを特徴とする
マグネシウム回収方法。
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