JP6134920B2 - 細胞分離技術 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞培養液のような細胞集団から非生存細胞を除去する方法、この方法に用
いるのに適した組成物、さらにかかる組成物の使用および様々な他のシステムおよびキッ
トに関するものである。
細胞は、全ての組織中の細胞数を制御する通常の生理的プロセスを含む多くの理由によ
り死ぬ。細胞死は、培養中の細胞に、例えば培養容器中の剪断ストレスによって生起され
るところの自然な生理的プロセス(アポトーシスとしてよく知られている)並びに偶発的
損傷(壊死)により生じ得る。人体において、死滅細胞はマクロファージのような食細胞
によって効率的に除去されるが、そうでなければ死滅細胞が細胞損傷を引き起こし、疾患
の発現に寄与し得る。死滅細胞が除去されず残る(通常細胞培養液中で起こるよう)場合
、アポトーシス細胞が進展して壊死になる(「第2の壊死」と呼ぶことがある)。この進
展は細胞形質膜の完全性の喪失を特徴とする。
細胞生存率の現存のアッセイは多くあり、単純および複雑と様々である。例えば、生体
染色色素排除のような最も単純なアッセイは、生細胞から排除されて死滅細胞に入る染色
色素の能力を評価する。このような染色色素の一般に使用される例として、トリパンブル
ー、ヨウ化プロピジウムおよび臭化エチジウムがある。より複雑なアッセイは、適当な発
色基質上で活性を評価し得る乳酸脱水素酵素(LDH)のような高分子の放出を含む。し
かしながら、これらアッセイは、共に細胞形質膜完全性の損失を積極的に要求するため、
細胞死の壊死ステージの検出に制限される。所定の時間における集団の真の生存率の完全
な理解は、瀕死細胞(アポトーシス細胞)および死滅細胞(壊死細胞)の両方の評価を必
要とする。瀕死のアポトーシス細胞のアッセイは、一般に複雑で、多重ステップ(例えば
TUNELタイプのアッセイおよびカスパーゼ活性のアッセイ)を必要とし、偽陽性のよ
うな技術的問題を引き起し得る。共通の方法は、アポトーシスの特質である細胞形質膜の
リン脂質非対称における初期の変化を利用するものである。リン脂質結合タンパク、アネ
キシンVは、細胞外Ca2+の比較的高い濃度下で、細胞形質膜完全性の喪失の前にアポ
トーシス細胞の表面に急速に露出するリン脂質、ホスファチジルセリン(PS)に結合す
る。Immulosolv社のimab6モノクロナール抗体のようなPSの抗体媒介検出が、細胞外C
2+の必要性を除去する。現在、細胞培養液から瀕死/死滅細胞の選択除去を達成する
ための限られた方法およびキットがある。これらは、例えばImmunosolv社により生産され
たMiltenyiキットおよびimab6-coupled Dead-Cert(商標)Nanoparticlesを含む。
これら試薬およびキットが入手可能であるにもかかわらず、トリパンブルーのような染
色色素を用いて死滅細胞を正確に検出またはラベルし得るが、瀕死細胞を目立たせること
ができないので、新たな改良技術の必要性がある。さらに、アネキシンVはCa2+依存
型であり、従ってバイオ製造業で通常用いる懸濁培養液中で起こり得る低Ca2+条件下
での測定には不便である。
上記に加えて、非生存細胞を操り、細胞培養物の生存率並びに細胞の貯蔵および輸送を
改善するための更なる方法の必要性がある。細胞株の確立および生産性のための改良した
プロトコルもまた必要とされている。死滅細胞による背景活性を低下させ、導入効率を向
上する任意の方法もまた先行技術に対し相当な改善を示す。
ラクトフェリンのような増殖因子をもたらす初期のアポトーシス細胞がその周囲のもの
に対し好ましい効果を有することができるので、細胞をアポトーシスの最終段階で操作す
るための方法の必要性もある[Bournazou, 2008 #3517]。
本発明は、細胞死として、特定細胞成分の数が増加する(または特定の外因的な化合物
への接近性が増加する)ことを発見したことに基づく。加えて、本発明者らは、これら細
胞成分が特定の化合物、特に、例えば非タンパク化合物を結合することができることを見
出した。このように、瀕死および/または死滅細胞がこれら結合部位を生存細胞よりも多
く有するため、本発明は瀕死および/または壊死/死滅細胞を生存細胞から分離するのに
適した方法および組成物を提供する。
デキストランFITCが生存細胞および死滅(壊死)細胞に結合するが、死滅細胞により強く結合することを示すフローサイトメトリーヒストグラムである。 デキストランFITCが生存細胞および死滅(壊死)細胞に結合するが、死滅細胞により強く結合することを示す。 図3Aは、デキストランFITCがアポトーシス並びに第2の(ポストアポトーシス)壊死を検出することを示す。図3Bは、瀕死線維芽細胞の表面に結合したアミノデキストランナノ粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 細胞がアポトーシスへの入力なしの有害処理または損傷後に細胞膜完全性を失った結果として一次壊死が発生することを示す。 カルボキシル化デキストラン被覆磁性粒子を用いたハイブリドーマ細胞培養液の生存率における向上を示す。 図5と同様にカルボキシル化デキストラン被覆磁性粒子を用いたハイブリドーマ細胞培養液の生存率における向上を示す。 さまざまな条件下で約2:1の壊死:生存細胞の混合物から壊死(上述したように熱処理した)ヒトBリンパ腫細胞の減少を示す。 さまざまな条件下で約2:1の壊死:生存細胞の混合物から壊死(上述したように熱処理した)ヒトBリンパ腫細胞の減少を示すさらなるデータである。 図9Aは、G-25粒子が細胞生存率を著しく向上できないことを示す。図9Bは、非生存細胞への選択的結合を促進するためのデキストラン粒子の化学修飾を示す。 図10Aは、ナノ粒子の濃度および可溶糖またはタンパク質の濃度を変えることにより非生存細胞へのデキストランナノ粒子の選択的結合を制御することを示す。グレーのバーは生存細胞数であり、無色のバーは非生存細胞数である。 図10Bは、ナノ粒子の濃度および可溶糖またはタンパク質の濃度を変えることにより非生存細胞へのデキストランナノ粒子の選択的結合を制御することを示す。グレーのバーは生存細胞数であり、無色のバーは非生存細胞数である。 図10Cは、ナノ粒子の濃度および可溶糖またはタンパク質の濃度を変えることにより非生存細胞へのデキストランナノ粒子の選択的結合を制御することを示す。グレーのバーは生存細胞数であり、無色のバーは非生存細胞数である。 図10Dは、ナノ粒子の濃度および可溶糖またはタンパク質の濃度を変えることにより非生存細胞へのデキストランナノ粒子の選択的結合を制御することを示す。グレーのバーは生存細胞数であり、無色のバーは非生存細胞数である。 図10Eは、ナノ粒子の濃度および可溶糖またはタンパク質の濃度を変えることにより非生存細胞へのデキストランナノ粒子の選択的結合を制御することを示す。グレーのバーは生存細胞数であり、無色のバーは非生存細胞数である。 pHを変更してナノ粒子の非生存細胞への選択的結合を制御することを示す。 アミノデキストラン超常磁性ナノ粒子による死滅および瀕死細胞の除去後のバイオリアクター培地中のハイブリドーマ、O4の優れた生産性を示す。 アミノデキストランナノ粒子による生体内の腫瘍成長の調節を示す。
本発明の第1の態様は、非生存細胞を細胞集団から除去する方法を提供するもので、該
方法は、細胞集団を化合物と細胞培養液中に存在するあらゆる非生存細胞と前記化合物と
の間の結合を可能にするに適した条件下で接触させるステップと、細胞集団から化合物の
少なくとも一部を除去するステップとを備え、ここで前記化合物がタンパク質化合物では
ない。
用語「タンパク質」化合物とは、タンパク質、ペプチド、アミノ酸および/または抗体
/抗体断片を包含することを意図する。そのため、本発明の第一の態様によって提供され
る化合物はタンパク質、ペプチド、アミノ酸または抗体/抗体断片でないことを理解する
べきである。
当業者は、細胞集団が生存、瀕死および/または壊死(死滅)細胞を含むことができ、
瀕死、壊死または死滅細胞を以後まとめて「非生存細胞」と称することを理解すべきであ
る。
加えて、用語「細胞集団」は、例えば動物、特にヒト細胞のような真核性細胞からなる
細胞培養液を含んでも良い。この点で、本発明はこれら細胞タイプの集団および/または
例えば幹細胞(成人および/または胚幹細胞)、心臓細胞、上皮細胞、内皮細胞、皮膚(
真皮)細胞、神経細胞、筋細胞、循環(すなわち血液)系の細胞および/または例えばリ
ンパ細胞、骨細胞および/または軟骨細胞などの他の細胞タイプのような特定の細胞タイ
プの培養液に用いるのに適した方法および組成物を提供し得る。例を表1に示す。
Figure 0006134920
さらに、本発明の組成物および方法を用いて、モノクローナル抗体の製造用ハイブリド
ーマ細胞を含む細胞培養液から死滅細胞を除去することができる。
さらに、用語「細胞集団」は、例えば骨髄(移植用)に由来するような一次細胞、体外
受精技術用の細胞(例えば卵母細胞、精子および受精卵母細胞など)の集団を含んでも良
い。細胞集団はまた、例えば血液試料または血液全成分またはその一部(例えば白血球)
からなる寄進物を含んでも良い。そのため、「細胞集団」はへその緒由来の血液を含むこ
とができる。
細胞を培養し得る多くの異なった方法があり、正確な培養条件および/または栄養所要
量が培養される正確な細胞タイプに応じて変わることが容易に理解されるであろう。それ
にもかかわらず、細胞タイプまたは細胞を培養する正確な条件に関係なく、生存細胞の高
いレベルを維持および/または細胞培養生産性を向上させるように非生存細胞を細胞培養
液から除去することが望ましい。
細胞培養液のような細胞集団に存在する生存細胞および非生存細胞の割合は、例えば細
胞培養液の年数、集団を維持する条件および/または栄養の入手可能性によって変わり得
る。一般に、細胞の集団が古くなり、細胞成長に必要な1種以上の栄養の入手可能性が低
くなるにつれて、より多くの非生存細胞が存在し得る。細胞集団に存在する非生存細胞の
総数が、存在する生存細胞の総数に負の影響を与え得るので、例えば細胞培養液などの細
胞集団から非生存細胞を除去することが望ましい。細胞死は、様々なさらなる理由、例え
ば安定な形質転換体の選択に使用するような薬剤選択マーカーを欠く細胞を殺す薬剤の使
用の結果、若しくは特定のバイオリアクターにおける剪断ストレスのような物理的ストレ
スの結果または取扱書理の結果または凍結/解凍外傷の結果として細胞集団中で起こる。
上記のとおり、細胞培養液のような細胞集団と接触した化合物を該細胞培養液に存在す
る任意の非生存細胞と結合し得るのに適した条件下での除去は、非生存細胞を細胞培養液
から除去する効果を有することは理解されるであろう。
本発明により提供された方法を連続的に用いて、細胞集団中に存在する非生存細胞数を
最小限に保持するのを確実にすることができる。あるいはまた、本明細書に記載した方法
を定期的にまたは断片的に用いても良い。
非生存細胞を細胞集団から除去する更なる効果は、細胞培養液に存在する生存細胞の割
合を増大させることができること、および/または細胞培養生産性を向上させ得ることで
ある。
用語「生存」細胞は、死んでいない、すなわち不可逆的に死に傾倒していないあらゆる
細胞を包含すると理解すべきである。生存細胞は、例えばタンパク質の転写および翻訳並
びに代謝恒常性などの生理的条件下で生細胞機能を発揮できる。非生存細胞は、死んでい
る細胞、すなわち細胞死プログラムが実行されている細胞のような不可逆的に死に傾倒し
ている細胞を意味する。
「優れた細胞培養生産性」または「優れた生存率」の表現は、特定の細胞集団中に存在
する生存細胞のあらゆる割合の増加に関する。一例として、典型的な細胞培養液は、細胞
培養液に存在する生存細胞、死滅細胞および瀕死細胞の総細胞数のうち約30%以下の生
存細胞の集団を含むことができる。本明細書に記載した化合物および方法を使用すること
により、生存細胞の割合が増加するように細胞培養液中に存在する非生存細胞の少なくと
も一部を除去することができる。本発明の化合物および/または方法を使用して細胞培養
液から非生存細胞を除去することにより、存在する生存細胞の割合を総細胞集団の、例え
ば、約30%から例えば約40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%ま
で増加することができ、いくつかの実施形態では、総細胞集団の約99%まで増加し得る
ことが考えられる。他の実施形態では、細胞培養液に存在する生存細胞の割合を約100
%に増加し得る。
本発明によって提供された化合物が選択的および/または優先的に非生存細胞に結合し
得るかぎり、かかる化合物は、細胞培養の分野において、および/または細胞若しくは該
細胞によって発現された特定の産物の十分な収量を作り出すために高いレベルの細胞生産
性を必要とする方法またはプロセスにおいて特に有用である。さらに、本明細書に記載し
た方法を用いて、例えば核酸、タンパク質などの細胞によって生じた産物の質を向上する
ことができる。一実施形態において、本発明によって提供された化合物および方法は、特
にモノクローナル抗体および/または組み替えタンパク質の生産用のプロセス、すなわち
多くの細胞を培養することを通常含むプロセスへ使用することを見出すことができる。こ
れらのプロセスにおいて、細胞培養液中の生存細胞の数または割合が生成物収量と正の相
関がある。細胞生存および/または細胞培養生産性に負の影響がある非生存細胞はまた、
生成物収量にも負の影響があり得る。
一実施形態において、化合物は非生存細胞上またはその中に存在する細胞成分を結合す
ることができる化合物である。一実施形態において、化合物はタンパク質ではない。既述
のように、これら細胞成分は、細胞が死ぬと、数および/または接近性を増加するので、
死滅細胞はこれら結合部位を生存細胞よりも多く有する。よって、さらなる実施形態にお
いて、化合物は、細胞が死ぬと数および/または接近性を増加する細胞成分を結合するこ
とができる化合物とすることができる。「化合物」の用語は、例えば天然おまたは合成の
ポリマー、特に多糖類のような非タンパク質ポリマーを含んでも良い。
適当な多糖類としては、例えば複合分岐グルカン分子を挙げることができる。当業者は
かような分子が様々な形態で存在しうることを容易に理解し、多くの異なるサイズおよび
形態の多糖類が本発明の範囲内に包含され得ることを理解すべきである。
一例として、ここに記載した化合物、例えば多糖類は、約10〜約150kDaのサイ
ズとし得るが、本発明の使用に適した化合物の正確な構造が非常に可変であるため、上述
した範囲よりも小さいかまたは大きい分子量を有する化合物もまた有用となり得る。実際
に、化合物は細胞が死ぬと数/接近性を増加する細胞成分に結合することがでる場合、こ
れを本発明に適用し得ることを見出した。
一実施形態において、化合物は多糖類のデキストランである。デキストランはα-1、
6グリコシド結合グルコース分子の鎖からなり、本明細書に記載した方法および組成物の
使用に適したデキストラン化合物は、2つ以上のα-1、6グルコシドが結合したグルコ
ース分子とすることができる。加えて、デキストランはさらに、α-1、6グリコシド結
合グルコース鎖からα-1、4、α-1、2および/またはα-1、3結合を介して延在す
る分岐部分を備えることができる。
そのため、本発明の使用に適したデキストラン化合物は、2つ以上のα-1、6グリコ
シドが結合したグルコース分子並びに1つ以上のα-1、4、α-1、2および/またはα-
1、3結合分岐部分を含むことができる。
多糖類デキストランは、赤血球細胞の堆積(低い剪断ストレス条件下の凝集)、浸透性
評価(例えばWakamoto, 2008 #3520;Graziadei, 1991 #3514を参照)、貪食細胞の追跡(Pa
welezik, 2008 #3521)、神経路追跡(Reiner, 2000 #3523)およびエンドサイトーシスマ
ーカー(Allavena, 1998 #2948)を含む細胞生物学において多くの用途を有する。マクロ
ファージにおいて、デキストランは主にマンノース受容体に結合した後に細胞内小胞に入
る(Allavena, 1998 #2948)。デキストランはまた、血液または血液産物を入手し得ない
場合、ショックまたは切迫したショックの治療用血液増量剤として臨床的に使用される。
デキストランは、血栓症の予防にも用途を有する。
さらに、変性デキストラン化合物(または「デキストラン類似体」として既知)もまた
使用してもよい。一例として、カルボキシル化および/またはアミノ-デキストラン化合
物が特に有用である。
例えば多糖類のような非タンパク質化合物(デキストランを含む)は、細胞、細胞培養
液および/またはこれから得た生成物(例えば核酸、タンパク質および/または組み替え
タンパク質)が臨床または治療用途を有すべき場合特に有用である。特に、ここに記載し
た方法、組成物および使用は、無タンパク質であり、従って抗体(モノクローナル抗体、
ヒト化抗体など)のような異種タンパク質の使用を回避することができる。
さらに、デキストランは可溶であり、例えば細胞培養液への添加用水溶液として容易に
形成することができる。デキストランはまた、特に安定であり、使用前長期間貯蔵するこ
ともできる。
上記に加え、デキストランのような多糖類は、さまざまな温度で、また細胞凝集を防止
し細胞分離を向上させる2価のカチオンフリーの条件下で使用することができるさらなる
利点を有する。
細胞集団を本明細書に記載した化合物と多くの方法で接触させてもよい。一実施形態に
おいて、細胞培養液中に存在するあらゆる非生存細胞と化合物との間で結合を可能にする
のに適した条件下で化合物を細胞集団に直接添加しても良い。他の実施形態において、化
合物を細胞集団に添加し得る水溶液として調製または形成してもよい。
さらなる実施形態において、化合物は細胞集団を加えることができるカラムに充填して
もよい。このようにして、重力の作用下および/またはポンプを用いて、細胞集団を化合
物中およびその上を通過させて細胞集団中に存在するあらゆる非生存細胞が化合物に結合
するようにすることができる。
さらなる実施形態において、化合物を細胞懸濁液または細胞培養液中で堆積および/ま
たは沈降し得る骨格材料で接着、結合、固定および/または合併させてもよい。有利なこ
とに、特定使用の骨格材料は、細胞が該材料中およびその上を通過し得るような透過性ま
たは多孔質性とすることができる。本発明の固定化した化合物を含む骨格材料を細胞集団
の中に置き、細胞集団中に存在するあらゆる非生存細胞および骨格材料の化合物の間で結
合を可能にするのに適した条件下で骨格材料を細胞集団で培養することにより、骨格材料
を除去する際、これ結合したあらゆる非生存細胞も除去される。
本発明の一実施形態において、化合物は粒子の形態、例えばミクロまたはナノ粒子で提
供される。特定の実施形態において、本発明の使用に適したミクロまたはナノ粒子は、直
径10〜500nmの小さいビーズまたは微小球の形態をとっても良い。他の実施形態に
おいて、ミクロまたはナノ粒子は約50〜450nm、約100〜400nm、約150
〜350nm、または約200〜300nmとすることができる。一実施形態において、
ミクロまたはナノ粒子は直径約250nmとすることができる。
上述の通り、ミクロまたはナノ粒子は、本明細書に記載した化合物のいずれかを含むか
、またはそれからなってもよい。例えば、ミクロまたはナノ粒子はデキストランのような
多糖類を含むか、または多糖類からなってもよい。
一実施形態において、ミクロまたはナノ粒子は、本発明により提供される化合物で被覆
されたコア材料を含んでも良い。
更なる実施形態において、ミクロまたはナノ粒子は、磁性物質をさらに含んでも良い。
特定の実施形態において、磁性物質はミクロまたはナノ粒子のコア領域またはコア材料に
塗布した被覆物の成分を形成しても良い。他の実施形態において、ミクロまたはナノ粒子
は、本発明に係る化合物で被覆された磁性コアを含んでも良い。
かかる粒子は磁性、常磁性または超常磁性粒子として既知である。有利なことに、本発
明の使用に適した超常磁性粒子は、例えばデキストランなどの多糖類で被覆(またはその
殻でかこまれている)された磁性コアを含んでも良い。
デキストラン被覆超常磁性ナノ粒子は、現在MRI用途において使用され、従ってこれ
ら粒子を有する治療上の低い汚染は調整器に対するリスクが低い。例えば、Resovi
st(登録商標)は、特に小さい重大な肝臓障害の検出および特徴付けに用いる臓器特異
的なMRI造影剤である。これらはまた、代謝的に高い活性の癌細胞による取り込み後に
誘導され得る癌細胞を熱により殺す使用に適するように記載されている(磁性流体温熱療
法)(Minamimura, 2000 #3518;Ito, 2003 #3519参照)。
化合物をある方法でタグ付けまたはラベル付けしてもよい。例えば、化合物は、ミクロ
またはナノ粒子の形態のある無しを問わず、タンパク質タグおよび/または蛍光マーカー
を含んでも良い。特定の実施形態において、タンパク質タグは、例えばヒスチジンタグま
たはGSTタグのような抗体またはタンパク質もしくは短いペプチドの形態を取ることが
できる。適当な蛍光分子は、当業界で既知であり、例えばFITC、ローダミンまたはテ
キサスレッドなどの蛍光を含む。使用し得る分子の他の型は、緑色蛍光タンパク質(GF
P)、放射性同位体ラベル物等を含む。
上記に加え、細胞培養液のような細胞集団から化合物の少なくとも一部を除去する方法
は、化合物の的確な性質および形態に応じて変わり、例えばろ過、密度分離、フローサイ
トメトリー/細胞選別および/または親和性クロマトグラフィー技術を含んでもよい。従
って、例えば細胞培養液から選択的に除去し得る化合物または粒子のあらゆる形態が使用
に適しており、かかる形態の化合物および/または粒子(上述のミクロまたはナノ粒子お
よび磁性粒子を含む)を以後「回収可能な粒子」と称する。
回収可能な粒子が磁性または超常磁性粒子の形態を取る場合、これらは細胞培養液のよ
うな細胞集団から磁界の印加(磁石、電磁石などにより)により容易に回収または除去す
ることができる。簡潔に言えば、磁界を用いて粒子を固定または回収することにより、培
養液を回収した磁性粒子から例えばピペットで取るかまたはデカンテーションすることが
できる。このようにしてピペットまたはデカンテーションにより除去した培養液は、実質
的に生存細胞を含み、非生存細胞は磁界によって保持された磁性粒子の化合物に結合した
ままである。
化合物が細胞集団を添加し得るカラムの形態で供給される場合、カラムから回収した溶
出液(すなわちカラム中を通過する物質)は実質的に生存細胞を含み、非生存細胞はカラ
ム中で化合物に結合したままである。
化合物がタグ付けまたはラベル付けされた化合物の形態で供給される場合、フローサイ
トメトリーまたは親和性クロマトグラフィーなどの技術を用いて化合物を細胞集団から除
去することができる。例えば、化合物がヒスチジンまたはGSTタグを含むように修飾さ
れる場合、適切な親和性基質(ニッケル/コバルトイオンカラムおよび/またはグルタチ
オンセファロースなど)を用いて化合物を細胞から分離することができる。タンパク質タ
グまたはラベルが抗体である場合、関連する固定化抗原を有する任意の親和性基質を使用
してもよい。
化合物が蛍光タグを含む実施形態においては、特定の蛍光タグの存在を基にして素子を
分離するフローサイトメトリーまたは細胞選別技術を使用してもよい。
回収可能粒子を例えば細胞培養液に対し分離する他の方法は、遠心分離技術の使用を含
む。かかる技術を用いて、回収可能粒子を溶液からペレット化して例えば実質的に生存細
胞を含む上澄み液を放出し、非生存細胞がペレット化した粒子に結合されたままとするこ
とができる。
本発明は、ここに記載した化合物が非生存細胞に選択的または優先的に結合する一方、
生存細胞もまたここに記載した化合物が結合する細胞表層成分のいくらかの発現を示すこ
とを確認した。初期のアポトーシス、後期のアポトーシスおよび/または壊死細胞と比較
して、生存細胞上の結合部位数が異なる(生存<初期アポトーシス<後期アポトーシス/
壊死)ことにより、本発明は非生存細胞、すなわち瀕死および死滅細胞の特異的標的化を
増強するようにここに記載した化合物の生存細胞への結合をブロックすることができる緩
衝材の設計を可能にする。
一実施形態において、本発明によって提供される方法は、細胞培養液のような細胞集団
を1以上のブロック分子を含むブロック緩衝材と接触させるステップ、例えば第一ステッ
プを備えることができる。ブロック分子は、ここに記載した非タンパク質化合物が生存細
胞に結合するのを防止、阻止または競合するあらゆる分子とすることができる。生細胞は
、本発明によって提供された非タンパク質化合物を結合し得る種々の異なる部分(例えば
、細胞表層成分)を含んでも良く、これら部分のいくらかは非生存細胞の上にも存在する
場合がある。ある場合には、本発明により提供された非タンパク質化合物を結合し得る特
定形態の部分が非生存細胞上に存在しない場合がある。
一実施形態において、ブロック分子は、例えばデキストランのような多糖類の生存細胞
に結合する性能を防止、阻止または競合しうる可溶性分子である。よって、ブロック分子
は、生存細胞上に存在する多糖類結合部分、例えばデキストラン結合部分を結合してもよ
い。これら、または他の多糖類(例えばデキストランまたは修飾デキストラン)結合部分
も非生存細胞上に存在し得るが、より多く存在してもよい。
本発明によって提供された非タンパク質化合物(例えばデキストランまたは修飾デキス
トラン)が生存細胞に結合することを防ぐことによって、本明細書に記載した方法を行う
際に、細胞集団から除去した生存細胞の数を減らすことが可能である。
「ブロック分子」の用語は、本発明によって提供されたあらゆる非タンパク質化合物に
関して取ることができ、前記非タンパク質化合物を結合し、また生存細胞上に存在するが
、非生存細胞の上または中に存在する多数の非タンパク質化合物結合部位を露出または未
ブロックで残す細胞表層成分の全て(または実質的にすべて)をブロックする濃度で処方
されている。
ブロック緩衝材を用いることによって、本発明の非タンパク質化合物を細胞培養液に添
加する際、該化合物を結合し得る露出(または未ブロック)細胞成分を有する非生存細胞
のみが、それに結合する。非タンパク質化合物をここに記載したような回収可能粒子の形
態で細胞培養液に添加することによって、ブロック緩衝材が化合物の結合を防ぐので、生
存細胞の除去数を減らすことができる。
ブロック緩衝材またはブロック分子を細胞集団に本発明によって提供された任意の非タ
ンパク質化合物と一緒に添加し得ることを理解すべきである。さらに、またはあるいは、
ブロック緩衝材または分子をここに記載した非タンパク質化合物の添加前後に別途添加し
てもよい。よって、一実施形態において、本発明によって提供される非生存細胞を細胞集
団から除去する方法は、細胞集団を一つ以上のブロック分子およびここに記載した非タン
パク質化合物を含む組成物と前記非タンパク質化合物と細胞培養液に存在する任意の非生
存細胞との間で結合を可能にするに適した条件下で接触させるステップと、非タンパク質
化合物の少なくとも一部を細胞集団から除去するステップとを備える。他の実施形態にお
いて、本発明により提供される方法は、細胞集団を非タンパク質化合物と接触させる前後
に行う分離ステップを含み、該分離ステップは細胞集団をブロック緩衝材またはブロック
分子と接触することを備える。一実施形態において、ブロック緩衝材またはブロック分子
を細胞集団と、ブロック分子(またはブロック緩衝材)と前記ブロック分子を結合し得る
部分を含む生存細胞との間で結合を可能とするに適した条件下で接触させてもよい。
一実施形態において、本発明のブロック緩衝材は、0〜50%、0〜40%、0〜30
%または0〜20%のここに記載したようなデキストランを含む。さらなる実施形態にお
いて、ブロック緩衝材は0〜10%、例えば0%、1%、2%、4%、6%、8%または
10%のデキストランを含んでもよい。「デキストラン」の用語はここに記載したデキス
トランの全ての形態(修飾された形態も含む)を包含すると理解すべきである。
さらに、またはあるいは、ブロック緩衝材は、例えば血清、血清アルブミンのようなタ
ンパク質組成物または化合物を含んでも良い。一実施形態において、ブロック緩衝材は、
ウシ血清アルブミン(BSA)を含むことができる。本発明によって提供されるブロック
緩衝材は0〜50%の血清または血清アルブミンを含む場合がある。一実施形態において
、ブロック緩衝材は0〜45%、0〜40%、0〜35%、0〜30%または0〜25%
を含むことができる。いくつかの実施形態において、ブロック緩衝材は0〜10%の血清
または血清アルブミン(例えばBSA)を含んでも良い。例えば、ブロック緩衝材は0%
、2%4%、6%、8%または10%血清アルブミン(例えばBSA)を含んでも良い。
更なる実施形態において、ブロック緩衝材は血清、例えば胎児ウシ血清(FCS)を含
んでも良い。血清をここに記載したブロック緩衝材に、例えば0〜50%、0〜40%、
0〜30%または0〜20%の最終濃度まで添加してもよい。いくつかの実施形態におい
て、ブロック緩衝材を血清で0〜10%の最終濃度まで補充しても良い。いくつかの実施
形態において、ブロック緩衝材は0%、0.25%、0.5%、1%、2%、4%、6%
、8%または10%の血清を含んでも良い。
他の実施形態において、ここに記載したブロック緩衝材は、さらに、またはあるいはグ
ルコサミンを含むことができる。特定の実施形態において、ブロック緩衝材は、0〜50
%、0〜40%、0〜30%、0〜20%または0〜10%のグルコサミンを含んでも良
い。例えば、ブロック緩衝材は、0%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%のグ
ルコサミンを含むことができる。
一実施形態において、ブロック緩衝材はBSAおよびデキストランを含む。
ブロック緩衝材のブロック分子の的確な濃度を変更することによって、生存細胞だけで
なく瀕死細胞(例えばアポトーシス細胞を含む)の除去を除外および最小化することを可
能にする。当業者は、本発明の非タンパク質化合物の生存細胞への結合をブロックするた
めに形成した緩衝材が、生存細胞および瀕死細胞への化合物の結合をブロックするように
形成した緩衝材(生存細胞よりも多いが、死滅または壊死細胞よりも少ない非タンパク質
化合物を結合し得る細胞表層成分を発現する)よりも低い濃度の非生存細胞を結合し得る
非タンパク質化合物を含んでも良いことを理解するであろう。
加えて、本発明により提供される方法は、細胞集団の環境を調節するステップを含むよ
うにさらに変更してもよい。例えば、ここに記載した方法は、温度、pH、モル浸透圧濃
度、1つ以上の因子(例えば、小さい有機分子など、タンパク質、ペプチドおよび/また
はアミノ酸)の入手可能性および/または細胞集団の全装填のような環境条件を変更する
ステップを含んでも良い。一例として、装填を調節するために、さらなるタンパク質を細
胞集団に添加してもよい。例えば細胞環境の正味装填のような環境条件を変更することに
よって、生存および非生存細胞上に存在する本明細書に記載した化合物を結合し得る細胞
成分の数に影響を与えることができる。従って、かような変更は、本明細書に記載した方
法の履行後の細胞集団にとどまる生存細胞数を変更する更なる手段を提供する。
例えば、本発明によって提供する方法は、非生存細胞の選択性を強めるために低いまた
は酸性のpHで行うことができる。一実施形態において、該方法を約pH7.4、約pH
7または約pH6.6で行ってもよい。
死滅細胞(瀕死ではない細胞)のみを細胞培養液から除去する方法は従来技術よりさら
なる利点を提供しえると理解されたい。上述のとおり、細胞培養液のような細胞集団は瀕
死細胞を含んでもよく、これらは細胞死プログラムを実行するプロセス中のアポトーシス
細胞の形態をとりうる。アポトーシスの初期段階の細胞は、周囲の生存細胞に好ましい効
果をを有するラクトフェリンを含む多くの成長因子をもたらすことが知られている。生存
細胞が成長因子から利益を得るように細胞培養液中に瀕死細胞を残すあらゆる方法が、明
白な利点を有する。
さらに、細胞培養液等から非生存細胞の除去を容易にする方法を提供するために、本発
明、特に非生存細胞がここに記載した化合物を結合しうる細胞成分を生存細胞よりも多く
有することの発見は、多くの用途を有する。
特に、本発明の第2の態様は、例えば細胞培養液のような細胞集団から非生存細胞を除
去するための本明細書に記載した化合物の使用を提供する。
一実施形態において、本発明の第2の態様用の化合物はタンパク質でない。
さらに、本明細書に記載した方法および使用は、細胞系統を確率するのに用いた方法論
において特定の用途を見出すことができる。当業者は、細胞培養液の分野において、細胞
系統を確率することを試みる際、多くの非生存細胞を含む混合集団から特定タイプの細胞
を選択的に増殖させることがしばしば難しいことがわかるであろう。さらに、多数の通路
にわたる細胞の長く継続的な培養は、細胞培養液の生存能力および生産性にマイナスの影
響を与えうる非常に多くの非生存細胞の蓄積をしばしば招き得る。細胞系統をここに記載
した方法で生起または確立し、その結果本発明の化合物の使用を十分に生かすのに用いた
方法を補って非生存細胞を細胞培養液から除去することにより、特定の細胞系統の確立を
容易にすることが可能である。
上記に加えて、本明細書に記載したポリマーおよび方法は、細胞貯蔵および/または輸
送の方法においてさらなる使用を見出しうる。貯蔵細胞、特に長期間貯蔵された細胞また
は冷凍/解凍サイクルを受けた細胞は死にやすい。貯蔵細胞培養液中の非生存細胞の蓄積
は貯蔵細胞培養液の全体的な生存能力を減少し得るので、非生存細胞を除去することが望
ましい。同様に、輸送中の細胞は、特に長期間冷却(すなわち4℃)で、冷凍(-20℃
または-80℃)でない条件で輸送する際に死にやすい。これら条件下で、非生存細胞を
除去するための化合物の使用または同様の効果を得る方法は特に有利である。
一次細胞培養液、すなわち組織試料、外植片および/またはバイオプシーから直接得た
細胞培養液を確立する方法はまた、本明細書に記載した方法および/または使用の利益を
享受し得る。特に、非生存細胞を発現する一次細胞培養液から除去することによって、一
次細胞培養液確立の全効率を改善して、高い割合の生存細胞を含む培養液を得ることがで
きる。
細胞を基にしたアッセイの成功、効率または正確さは、しばしばかかるアッセイに存在
する非生存細胞のバックグラウンドレベルの結果としてしばしば悪影響をうけることが既
知である。有利なことに、本発明によって提供された方法および使用をさらに生かして、
非生存細胞を細胞を基にしたアッセイシステムから除去し、バックグラウンド活性および
/または存在する非生存細胞のレベルまたは数を減少、低減または排除することができる
上記を考慮すると、本発明によって提供される方法および使用は、エレクトロポレーシ
ョン、ヒートショックおよび/または化学トランスフェクションのようなトランスフェク
ション技術の効率を向上させる手段としてさらに活用できることが容易に分る。生存細胞
のみが核酸を吸収することができるため、あらゆる所定の細胞トランスフェクション技術
の効率は、細胞培養液中に存在する生存細胞の割合を増加することによって著しく向上さ
せ得る。従って、トランスフェクションの方法をここに記載した方法または本発明によっ
て提供される化合物の使用でさらに補助して、トランスフェクション効率(すなわち、ト
ランスフェクションプロトコールの実行後上手く形質転換した細胞数)を向上または増加
させることができる。
上記に加えて、タンパク質(特に組み換えタンパク質)および/または核酸(例えばR
NAまたはDNA)などの細胞産物を発生または得ることを目的とした方法は、非生存細
胞を除去することによって著しく向上しうる。さらに、細胞産物の質もまた向上し得る。
実際、RNA抽出法を例えばここに記載した方法および/または使用で補うことによって
、完全に無傷のRNA(RNA完全性番号(RIN)10)の調製をもたらすプロトコー
ルを得ることができる。
本明細書に記載した化合物は非生存細胞に選択的または優先的に結合することが見出さ
れたので、それらは瀕死または死滅細胞を同定、ラベル付けまたはタグ付けする手段とし
て容易に活用し得る。
よって、本発明の第3の態様は、ここに記載した化合物の非生存細胞のラベル付けまた
はタグ付けへの使用を提供する。
一実施形態において、本発明に記載した化合物をさらに検出可能なタグのある形態を含
むように修飾してもよい。一例として、化合物を比色分析または化学発光法反応によりレ
ベルを報告し得る酵素に共役または結合(さもなければ関連)させてもよい。かような共
役酵素は、限定しないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)およびアルカリフォス
ファターゼ(AlkP)を含み得る。さらに、またはあるいは、ポリマー化合物を蛍光分
子、例えばFITC、ローダミンまたはテキサスレッドのようなフルオロフォアに共役さ
せることができる。本発明の化合物に共役させ得る分子の他のタイプとしては、例えば、
緑色蛍光タンパク質(GFP)、放射ラベル部分などが挙げられる。本発明に記載した化
合物はまたは、生体外、生体内または医療画像技術の使用に適した収縮薬でラベル付けし
てもよい。
非生存細胞をラベル付けまたはタグ付けするために、タグ付けまたはラベル付けされた
化合物を細胞培養液のような細胞集団に、タグ付けまたはラベル付けされた化合物と細胞
培養液中に存在するあらゆる非生存細胞との間で結合を可能にするのに適した条件下で単
に添加すねことができる。
従って、第4の態様においては、非生存細胞をラベル付け、タグ付けおよび/または同
定する方法を提供するもので、該方法は
(a)細胞培養液のような細胞集団をここに記載した任意に修飾(すなわちタグ付けま
たはラベル付け)した化合物と、該化合物および細胞培養液中に存在するあらゆる非生存
細胞間で結合を可能とするのに適した条件下で接触させるステップと、
(b)未結合化合物を除去するステップと、
(c)化合物に結合した細胞を検出するステップと
を備え、ここで化合物に結合した細胞は非生存細胞からなる。
当業者は、非生存細胞を本発明によって提供された修飾化合物でタグ付けまたはラベル
付けすると、蛍光顕微鏡検査法のような技術を用いて死滅および/または瀕死細胞に結合
した修飾(すなわち、タグ付けまたはラベル付け)化合物を検出し得ることが分る。
未結合化合物を多くの方法で除去し得る。第一の例においては、未結合化合物を緩衝材
溶液での繰り返し洗浄により除去できる。未結合化合物を除去する他の方法としては、例
えばろ過(すなわち細胞に結合した化合物が、未結合化合物より多い事を有効に使う)お
よび/または遠心分離などの密度分離技術を挙げることができる。
本発明者らは、細胞の上および/または中に存在する多くの化合物結合部位が細胞が死
ぬと増加すること、およびある程度の生存または瀕死細胞への結合もまた発生してラベル
付け、タグ付けまたは同定した生存細胞および/または瀕死細胞の数を減少することを発
見したことから、細胞培養液を上述したようなブロック緩衝材とまず接触させる追加の第
一ステップを含めることが有益でありうる。このように、本発明の第四の態様によって提
供される方法を行う場合、死滅細胞のみ(瀕死細胞ではない)をラベル付け、タグ付けお
よび/または同定することができる。
当業者は、アポトーシス細胞がここに記載した化合物を結合し得る細胞表層成分を生存
細胞よりもより多く(しかし死細胞より少なく)発現しうるので、本発明の第四の態様に
よって提供される方法をさらに変更してアポトーシス細胞並びに死滅細胞のラベル付け、
タグ付けおよび/または同定を確実にすることが可能であるのがわかるであろう。一例と
して、本発明の化合物を結合し得る細胞表層成分全て(または実質的に全て)を生存細胞
上でブロックするが、瀕死、アポトーシスおよび/または死滅細胞上で露出または未ブロ
ックの結合部位を残すのに有効な化合物の濃度を含むように形成したブロック緩衝材と細
胞集団を接触させることによって、アポトーシス細胞もタグ付け、ラベル付けおよび/ま
たは同定される方法を提供することができる。
本明細書に記載した化合物、特に修飾された(タグ付けまたはラベル付け)化合物を生
体内および/または生体外画像技術に用いて、非生存細胞を検出または観察することがで
きる。一例として、本発明によって提供される化合物は、生体外の画像手段(MRI、C
ATスキャン、X線など)によって検出し得る収縮剤の形式を含むように変更し、患者ま
たはその装置に由来する試料に投与することができる。患者または試料を適当な装置で観
察することにより、非生存細胞の画像を得ることができる。かかる画像は多くの疾患の診
断に用いてもよい。
上記に加えて、本明細書に記載した化合物を結合し得る細胞表層成分が細胞死(アポト
ーシスを含む)中に増加する観察結果は、特定化合物を死滅細胞または瀕死細胞に対し標
的とする手段として有効に使用されてもよい。この種の利用は、例えば癌のような細胞増
殖および/または分化障害の治療に特に有用である。
従って、本発明の第5の態様は、本発明によって提供される化合物および/または修飾
された化合物の細胞増殖および/または分化障害の治療への使用を提供する。
本発明の第6の態様は、本発明によって提供される化合物および/または修飾された化
合物の細胞増殖および/または分化障害の治療用薬剤の製造への使用を提供する。
本発明の第7の態様は、細胞増殖および/または分化障害の治療方法を提供するもので
、該方法は本発明によって提供される化合物および/または修飾された化合物の治療に有
効な量を必要とする患者に投与するステップを備える。
上述の第5、第6および第7の様態に用いる用語「化合物」または「修飾された化合物
」とは、非生存細胞を結合し得る本明細書に記載したあらゆる(タグ付けまたはラベル付
け)化合物を包含する。一実施形態において、本明細書に記載した使用、薬剤および方法
は多糖類、例えばデキストラン(またはカルボキシル化/アミノデキストランおよび/また
は修飾されたデキストラン)化合物を使用することができる。
本発明の第8の態様は、本発明によって提供される化合物および/または修飾された化
合物および薬剤的に有効な賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
本発明の第5、第6および第8態様により提供される薬剤および/または組成物は、薬
剤的に許容し得るキャリアまたは賦形剤を含む薬剤組成物(好適には滅菌薬剤組成物)と
して形成してもよい。かかるキャリアまたは賦形剤は当業者に周知であり、例えば、水、
生理食塩水、リン酸塩緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、イ
オン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清アルブミンのような
血清タンパク質、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウ
ム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、硫酸プロタミン、リン酸水素ナトリウム、
リン酸水素カリウムのような水塩または電解質、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシ
リカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレン
グリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポ
リエチレン−ポリプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよびウール脂
肪、またはこれらの組合せを挙げることができる。
当業者は、ここに記載した薬剤および組成物を経口、非経口、皮下、筋肉内および/ま
たは腫瘍内投与用に処方しうることがわかる。
一実施形態において、本発明の第5〜第8の態様によって提供される使用、組成物、薬
物および/または方法は、本明細書に記載した化合物/修飾した化合物の腫瘍内投与用の処
方を含んでも良い。
本発明の第9の態様は、本発明の化合物を非生存細胞に対し標的にする生体内の方法を
提供するもので、該方法は細胞の集団をここに記載したような修飾された化合物(すなわ
ち、非生存細胞に標的とすべきさらなる化合物を含むように修飾したもの)と細胞集団に
存在するあらゆる非生存細胞および修飾化合物の間で結合を可能にするのに適した条件下
で接触させるステップを備える。
「細胞集団」の用語は、細胞培養液および/または組織試料、バイオプシーおよび/ま
たは外植片に由来するかまたは存在する細胞を含むものとして理解されたい。
一例として、本発明の第5、第6、第7、第8および第9態様にて述べた修飾化合物は
薬、毒物、タンパク質(抗体など)および/または核酸(例えばアンチセンス核酸、マイ
クロRNA、siRNA、iRNAなど)を含んでも良い。より具体的には、例えば抗癌、
抗腫瘍および/または細胞毒性化合物に結合または共役した修飾化合物を提供することに
より、これら化合物を例えば腫瘍中に存在する非生存細胞に直接送達することができる。
当業者は、非生存細胞を例えば腫瘍内で標的にすることにより、近隣の生存細胞および異
常に増殖する腫瘍細胞が修飾化合物に共役または結合した化合物(例えば細胞毒、抗腫瘍
または抗癌化合物)の第2の標的になりうることが分る。
実施形態において、化合物が回収可能な粒子(すなわちポリマー化合物で覆われた鉄含
有マイクロまたはナノ粒子)の形態をとる場合、腫瘍中の非生存細胞に対する化合物(例
えば、タンパク質、核酸、薬、細胞毒若しくは抗癌または抗腫瘍化合物をさらに含むよう
に任意に修飾された)の標的化を、磁界での熱発生により近隣の腫瘍細胞を殺すかまたは
破壊する手段として生かすことができる。加えて、非生存細胞のかかる粒子との関連は、
これら細胞に対する貪食細胞の応答に変化をもたらしうる。腫瘍環境において、これはマ
クロファージのプロ腫瘍から抗腫瘍への応答の変更とすることができる。さらに、化合物
(本発明に従って任意に修飾)に結合した非生存細胞の貪食は、細胞毒性薬剤の腫瘍支持
マクロファージへの送達を可能にするか、またはマクロファージを殺して腫瘍退縮を誘発
するために標的化熱発生をその中で可能にすることができる。
さらに、本発明の第5〜9の態様に記載した使用および方法をブロック緩衝材の使用で
さらに補足して、修飾化合物によって標的とならない細胞(例えば生存細胞)上に存在す
る本発明の化合物を結合し得る細胞表層成分をブロックすることができる。
本発明の第10の態様は、非生存細胞を細胞培養液のような細胞集団から除去するため
のキットを提供するもので、該キットは本発明によって提供される化合物および使用説明
書を含む。該キットは、本明細書に記載した方法に使用する緩衝材および試薬、例えば細
胞培養液から生存および/または瀕死細胞の除去を防ぐかまたは最小限にするための特定
の濃度で化合物を提供するように処方したブロック緩衝材を任意に含有することができる
本発明を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、デキストランFITCが生存細胞および死滅(壊死)細胞に結合するが、死滅
細胞により強く結合することを示すフローサイトメトリーヒストグラムである。これは、
デキストランFITC(蛍光イソチオシアン酸塩に結合したデキストラン)で生存および
死細胞の蛍光ラベル付けにより明示された。壊死(死滅)細胞は熱処理(56℃、1時間
;Devitt, 1998 #872参照)によって発生した。点線:バックグラウンドの蛍光、破線:
1mg/mlデキストランFITC、実線:0.1mg/mlデキストランFITC。Aは
陽性細胞の%(1mg/mlデキストランFITC)、Bは強力な陽性細胞の%(1mg/
mlデキストランFITC)である。
図2は、デキストランFITCが生存細胞および死滅(壊死)細胞に結合するが、死滅
細胞により強く結合することを示す。黒色ヒストグラム:生存領域細胞、グレーのヒスト
グラム:死滅領域死細胞である。
図3は、図3Aは、デキストランFITCがアポトーシス並びに第2の(ポストアポト
ーシス)壊死を検出することを示す。黒色ヒストグラム:プロピジウムヨウ化物(PI)
に陰性の細胞、0時間、グレーのヒストグラム:PIに陰性の細胞、1または4時間、色
のないヒストグラム:PIに陽性の細胞、0時間である。図3Bは、瀕死線維芽細胞の表
面に結合したアミノデキストランナノ粒子の走査型電子顕微鏡写真である。L929線維
芽細胞をガラスカバースリップ上で密集するまで培養し、次いでスタウロスポリン(1マ
イクロモル)を含有する血清の無い培養培地に3時間移動してアポトーシスを誘発し、そ
の後250nmのアミノデキストランナノ粒子に曝した。次いで、カバースリップをPB
Sで洗浄して未結合のナノ粒子を除去し、一晩冷蔵庫において3%グルタルアルデヒドに
固定した。これらをスタブに搭載する前にEMS臨界点乾燥器のエタノール中で脱水し、
オスミウムでスパッタリングにより被覆した。試料を検査し、画像をPhenom(商標
)デスクトップ走査型電子顕微鏡(FEI社)を用いて記録した。ナノ粒子が細胞表面上
の離れた部位およびその延長部に結合していることが明白に観察することができる。
図4は、細胞がアポトーシスへの入力なしの有害処理または損傷後に細胞膜完全性を失
った結果として一次壊死が発生することを示す。
図5は、カルボキシル化デキストラン被覆磁性粒子を用いたハイブリドーマ細胞培養液
の生存率における向上を示す。
図6は、図5と同様にカルボキシル化デキストラン被覆磁性粒子を用いたハイブリドー
マ細胞培養液の生存率における向上を示す。
図7は、さまざまな条件下で約2:1の壊死:生存細胞の混合物から壊死(上述したよ
うに熱処理した)ヒトBリンパ腫細胞の減少を示す。
図8は、さまざまな条件下で約2:1の壊死:生存細胞の混合物から壊死(上述したよ
うに熱処理した)ヒトBリンパ腫細胞の減少を示すさらなるデータである。
図9は、図9Aは、G-25粒子が細胞生存率を著しく向上できないことを示す。約2
:1の壊死:生存細胞の混合物から壊死(上述したように熱処理した)ヒトBリンパ腫細
胞の減少を試みた。分離は完全培養培地(RPMI+10%FCS)において洗浄したセ
ファドックスG-25粒子(85〜260μm、GEヘルスケア社製)の2ml充填容量
を用いて行った。要約すれば、細胞をG-25(完全培養培地で平衡させた)で90分間
37℃で培養した。その後、細胞+粒子を完全な培養培地に再懸濁し、粒子の急速な1g
の沈降後に細胞を粒子から回収した。分離後、3回の血球計によるトリパンブルー染色細
胞の計測を行い、平均%生存細胞+SEM(黒および青のバー)として示す。モックは入
力細胞(粒子を含まない)である。図9Bは、非生存細胞への選択的結合を促進するため
のデキストラン粒子の化学修飾を示す。寒冷損傷チャイニーズハムスター卵巣細胞(CH
O)に、図4に記載したような方法を用いて超常磁性ナノ粒子での分離を施した。ナノ粒
子を、単純なデキストランまたは表示した化学基で修飾したデキストランのいずれかで被
覆した。コントロールは入力細胞、分離は出力細胞である。生存率の計測は、トリパンブ
ルーを除外し、ノイバウエル血球計室を用いて行った。グレーのバーは生存細胞数、無色
のバーは非生存細胞数である。全ての分離は、4℃で10%ウシ胎児血清(FCS)を含
むRPMI培地において行った。結果は、-COOH-および-NH2-修飾粒子両方が非生
存細胞への選択的結合に優れていることを示す。しかしながら、後者は、本例において生
存細胞の最高収量を非生存細胞による低レベルの汚染だけで提供するのにより効果的であ
ることを示した。これらの結果は、非生存細胞の選択的な標的化を容易にするデキストラ
ンの修飾を実証した。
図10は、ナノ粒子の濃度および可溶糖またはタンパク質の濃度を変えることにより非
生存細胞へのデキストランナノ粒子の選択的結合を制御することを示す。グレーのバーは
生存細胞数であり、無色のバーは非生存細胞数である。図10Aは、様々な濃度のウシ血
清アルブミン(BSA、0〜10%)を含有するリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)にお
いて生存細胞を非生存細胞から分離するのに使用したナノ粒子の異なる投与量(2または
6μlストック)を示す。生存細胞の収率は、多量のナノ粒子の存在下でBSAの存在に
より著しく増強された。より低いナノ粒子の濃度で、タンパク質の存在が効率を落とす。
本例は、デキストラン被覆ナノ粒子の非生存細胞への選択的結合が粒子数およびタンパク
質濃度を調節することにより制御され得ることを示す。図10Bは、デキストラン(MW
7,000)の様々な濃度(%)を用いてデキストラン被覆ナノ粒子が生存細胞に選択的
に結合するのを阻害することを除いて、図10Aに極めて類似する例である。図10Cは
、粒子/細胞比率の増加が死滅細胞除去の効率を向上するが、生存細胞の収率を減ずるこ
とを示す。本例における入力集団の生存率は51%であり、出力試料の生存率は生存細胞
の収率%(出力バーに対し下方のパーセンテージ)を超えて得られる(出力バーに対し上
方のパーセンテージ)。出力収率は、生存細胞の入力数量のパーセンテージとして計算さ
れる。粒子数の調節は、分離の最適効率および生存細胞の得られる収率を画定するための
手段である。入力はナノ粒子なしでのモック分離であり、出力はナノ粒子の存在下表示す
る濃度におけるストックからの分離である。図10Dは、グルコサミン濃度の増加がナノ
粒子の生存細胞への結合を選択的に阻害するが、最高の濃度ではナノ粒子の非生存細胞へ
の結合を阻害し始めることを示す。%は分離中に存在するPBS中のグルコサミンのパー
センテージを示す。0%はPBSのみである。入力はナノ粒子なしでのモック分離であり
、ナノは、ナノ粒子存在下での分離である。図10Eは、血清濃度の増加がナノ粒子の生
存細胞への結合を選択的に阻害することを示す。%は分離中に存在するPBSのウシ胎仔
血清のパーセンテージを示す。0%はPBSのみである。入力はナノ粒子なしでのモック
分離であり、ナノは、ナノ粒子存在下での分離である。すべての場合において、デキスト
ラン粒子をアミノ基の追加により修飾した以外、分離を図4に記載したように行った。そ
れぞれの場合において、「入力」は「モック」分離、すなわちナノ粒子なしでの細胞集団
の処理に相当する。
図11は、pHを変更してナノ粒子の非生存細胞への選択的結合を制御することを示す
。CHO細胞に、アミノ基の追加により修飾した超常磁性デキストランを用いて分離(出
力)またはモック分離(入力)を施した。非生存細胞がクリオ損傷により生じた。分離(
モック/入力はナノ粒子なしでの「分離」である)を、10%BSA含有PBS中表示す
るpHで行った。pHの低下は、生存細胞の損失(すなわち、非生存細胞対生存細胞への
粒子の相対的結合)を減少しながら、非生存細胞の選択的除去を促進することが分かった
。グレーのバーは生存細胞数であり、無色のバーは非生存細胞数である。本例は、pHの
操作を用いて非生存細胞をアミノデキストラン粒子による除去に選択的に標的とし得るこ
とを示す。
図12は、アミノデキストラン超常磁性ナノ粒子による死滅および瀕死細胞の除去後の
バイオリアクター培地中のハイブリドーマ、O4の優れた生産性を示す。ハイブリドーマ
は、IgMクラスの抗体抗乏突起膠細胞O4マーカーを産出する。Sommer、Iおよ
びSchachner、M、乏突起膠細胞細胞表面へのモノクローナル抗体(O1からO
4):中枢神経系中の免疫細胞学、Dev.Biol.,83、311〜127(198
1)。ハイブリドーマを冷凍ストックから回復させ、10%胎児ウシ血清およびグルタミ
ンを含有するダルベッコ変性イーグル培地で24時間培養した。この段階で、トリパンブ
ルー透過率に基づいて細胞はたった2%生存率であった。培地を分割し、その5分の1を
アミノデキストラン超常磁性ナノ粒子を用いて分画した。除去した細胞の生存率は、7.
5倍の15%に向上した。除去した未処理の細胞を、上述したようにさらに3週間培養し
、次いでグルタミンおよびコレステロールを補ったタンパク質なしのCDハイブリドーマ
培地(InVitrogen社製)中でさらに7日間培養した。各培地からの同数の生存
細胞をCelline CL350バイオリアクター(IntegraBioscien
ces社製)に移した。生存率はコントロールおよび除去した細胞に対しそれぞれ69%
および73%であった。5日後、細胞上澄み液を回収し、IgM濃度を測定した。各培地
の生存細胞ごとのIgM生産を図に付与し、未処理(コントロール)培地と比べて除去し
た培地ではおよそ300%高かった。これらの結果は、死滅細胞が抗体産出細胞の生産性
に抑制的で、またデキストラン結合死滅細胞の除去(かように低い生存率にもかかわらず
死滅細胞除去は部分的にある)が死滅細胞集団の阻害因子を効果的に排除することを示す
図13は、アミノデキストランナノ粒子による生体内の腫瘍成長の調節である。SCI
Dマウスに10×10ヒトリンパ腫細胞(BL2)を皮下注射し、直径14mm(許容
最大サイズ)に達する前の数日間の腫瘍の検出を記録した。左のバーは平均±SEM、未
処理BL2(n=14腫瘍)である。中央のバーは、BL2腫瘍に検出3日後50μl(
1mg/ml)のアミノデキストランナノ粒子を腫瘍内に注射した。右のバーは、BL2
腫瘍に検出3日後50μl(0.1mg/ml)アミノデキストランナノ粒子を腫瘍内に注
射した。未処理の腫瘍は、通常組織学的所見で高レベルのアポトーシスおよびマクロファ
ージ浸潤の指標である「starry sky」である。これらの結果は、ナノ粒子の腫瘍内注射が
腫瘍成長を著しく遅くすることができ、デキストランナノ粒子の瀕死または死滅腫瘍細胞
への結合が腫瘍中の自然免疫反応(マクロファージによる浄化活性)の特徴を変更すると
いう考えと一致したことを示す。
例1:デキストランが生存細胞および死滅(壊死)細胞の両方に結合するが、死滅細胞に
対し強力な強度を有する(デキストラン結合部位が死滅細胞上でより多い
集団全体において壊死を誘発するように熱処理したヒトBリンパ腫細胞(すべての細胞
がトリパンブルーに陽性)を生存リンパ腫細胞と約1:1の比率で混合した。次いで、細
胞を表示投与量のデキストランFITC(分子量4,000:Sigma社製)でラベル
付けし、洗浄し、ホルムアルデヒドで固定し、その後EPICS血球計(Beckman
−Coulter社製)を用いてフローサイトメトリーにより分析した。横座標はデキス
トランFITCのLog蛍光である。光散乱パラメータを使用して、「生存ゾーン」と「
死滅ゾーン」細胞集団を区別した(Dive, 1992 #350参照)。データを図1に示す。0.
1mg/mlで、デキストランFITC蛍光が生存細胞間のバックグランドを超えてほと
んど観察されず、この濃度において蛍光の小さいシフトのみが死滅ゾーンでみられた。一
方、1mg/mlでは、>90%の生存細胞および死細胞が陽性であった(Aゲート)。
そのうち、ほぼ全ての死滅ゾーン細胞が強くデキストランFITCに陽性(Bゲート)で
あったが、生存ゲート細胞はほとんどこれら条件下強い陽性で無かった。
(デキストランFITCが生存細胞および死滅(壊死)細胞に結合するが、死滅細胞に対
し強力な強度を有する:死滅細胞上の余分な結合部位が長期間保持された)
ヒトBリンパ腫細胞を熱処理して、図1に記載したように壊死を誘発し、死滅細胞を熱
処理直後または37℃での更なる培養4日後のいずかで生存細胞と同比率で混合した。そ
の後、細胞混合物を1mg/mlのデキストランFITCでラベル付けし、固定し、前述
同様にフローサイトメトリーで分析した。図1にすでに示すように、デキストランに対す
るより多くの結合部位が生存細胞(図2:左のパネル)と比較して初期の死滅細胞におい
てほぼ観察された蛍光のlogシフトで入手し得ることを見出した。生理的な条件下での培
養の4日後、死滅細胞のほぼ全体の集団で見られる蛍光のより高いレベル(図2:右のパ
ネル)により示されるように、死滅細胞がデキストラン分子に対し実質的により多くの結
合部位を示し続けた。しかしながら、生存および死滅細胞集団の間での蛍光の差異が、壊
死の兆候直後より死後4日目のほうがより低かったことに注目すべきである。
これらの結果は、死滅細胞を生存細胞から入手しやすいデキストラン結合部位の差動表
示に基づいて壊死後の長期にわたり分化し得ることを示す。
例2:デキストラン結合部位がアポトーシスの兆候後急速に増加し、時間とともに壊死細
胞によって示されるレベルを達成する。
デキストラン結合部位に対するアポトーシスの効果を研究するために、タンパク質キナ
ーゼ阻害剤、スタウロスポリン、確立したアポトーシス誘因剤を用いて、細胞がアポトー
シスを受けるように誘導した。細胞死は、瀕死および死滅細胞の表面上のリン脂質変化を
検出する抗リン脂質抗体、Dead−Cert(商標)imab6(さらなる情報はwww.immu
nosolv.com/Apo-Technology.html(英国出願第0723797.7号明細書)を参照)を用
いる細胞の抗体着色後フローサイトメトリーによってモニターした。瀕死細胞(アポトー
シス)を死滅細胞(ポスト−アポトーシス、2次の壊死)から壊死の兆候(細胞膜完全性
の損失)前に細胞から除外されるヨウ化プロピジウム(PI)を用いてさらに区別した。
ヒトBリンパ腫細胞を1μMのスタウロスポリンでの処理によりアポトーシスを誘発し
、試料を処理後1〜5時間採取した。表示した時間で、細胞を上述したようにデキストラ
ンFITCでラベル付けし、フローサイトメトリーによる未固定試料の分析直前にPI(
2μg/ml)で染色した。平行して、試料をDead-Cert(商標)imab6(Imm
unosolv社製)で免疫染色し、二次ヤギ抗マウスIg-FITC(Sigma社製
)を用いて可視化した。imab6でラベル付けした細胞もフローサイトメトリーの前にPI
で染色した。緑色(FITC)蛍光ヒストグラムを、ゲートPI陽性およびPI陰性細胞
集団に対し得た。PI陰性(非壊死)細胞集団内において、「総量」および「高度」のデ
キストランまたはimab6ラベル付けのレベルが評価された。データを図3に示す。
左上のヒストグラムパネル(図3)に示すように、デキストランーFITC蛍光の右方
へのシフトが、アポトーシス誘発後1時間のPI陰性アポトーシス細胞(緑と青とのヒス
トグラムを比較)においてみられた。これは、これら細胞のimab6蛍光における相当のシ
フト(図3:左下のパネル)と同等であった。表のまとめ(表2)によれば、この時間に
おいて、比較して、デキストランに結合したPI陰性細胞の45%がimab6に結合したも
のの68%に匹敵することを示す。
Figure 0006134920
細胞を、アポトーシス誘導剤であるスタウロスポリンに表示の時間曝露した後、ラベル
付けした。分析した全ての細胞はヨウ化プロピジウム陰性であり、よって、それらの細胞
膜は透過性がないため、デキストランがアポトーシス(瀕死)細胞の細胞表面に結合した
。比較は、蛍光デキストランを結合する細胞と、アポトーシス細胞を結合するモノクロー
ナル抗体Imab6の間で行った。総量はすべて陽性細胞であり(バックグラウンド蛍光
以上)、高度は強い蛍光の細胞である。フローサイトメトリーの例を図3Aに示す。
1時間の時点でPI陰性細胞は、ほぼデキストランまたはimab6の高い結合剤でなかっ
た(図3:左のパネルおよび図3:表1参照)。しかしながら、4時間では、非常に多く
のPI陰性アポトーシス細胞がデキストラン蛍光の高いレベル(図3:右上のヒストグラ
ムおよび表)を示し、観察したimab6ラベル付けの高いレベル(図3:右下のヒストグラ
ムおよび表)に匹敵しうることが見られた。かかる高いレベルの蛍光は、PI陽性細胞に
みられたレベルにも匹敵した(赤いヒストグラムと比較、PI陽性細胞の緑色蛍光レベル
が全ての時点で非常に類似、図示せず)。表を参照すると、PI陰性集団内でデキストラ
ン陽性およびimb6陽性細胞の総パーセンテージが調査した5時間以内で上昇し、ピーク
に達し、減少した。一方、これらラベルのそれぞれに高い蛍光を示す細胞のパーセンテー
ジは、総蛍光のピークパーセンテージの時間を越えて上がり続け、これは比較的低い蛍光
ラベル付けを最初に示す細胞がアポトーシスの進行と共に膜完全性の喪失前に強いデキス
トランおよびimab6ラベル付け相へと発達することを強く示唆する。
これらの結果は、デキストランを用いて生存細胞、瀕死(アポトーシス)細胞および死
滅(壊死)細胞のあいだで区別することが手切ることを示す。さらに、デキストランの結
合レベルをアポトーシスの相の指示として用いることができる:すなわち、中間結合レベ
ルはアポトーシスプログラムの初期段階を示すが、強力な結合レベルは細胞膜完全性の喪
失前後末期段階を示す。
例3:デキストラン被覆粒子を用いて多様な用途の生体内死滅細胞を除去し得る。
死滅細胞の除去は、培養中の細胞の生産性の向上、細胞を基にしたアッセイにおけるバ
ックグラウンドノイズの減少、細胞選択および細胞系統確率の向上、バイオケミカル用途
のRNAおよびタンパク質の品質向上、および患者に送達する間の細胞(例えば治療細胞
)の寿命の延長を含む多様な用途に重要である。デキストランを用いて生存細胞、アポト
ーシス細胞および死滅細胞間を区別し得るので、このポリマーは、多様な用途に高い純度
の生存細胞を産出するために、死滅細胞を生存細胞から分離するためのタンパク質の無い
ツール(従ってGMP用途に非常に適している)として用いるのに相当な可能性を有する
。さらに、上記のとおりデキストラン結合部位がアポトーシスプログラムの比較的末期段
階まで高いレベルに達しないため、デキストランは初期アポトーシス細胞を「使わない」
用に設計した分離に使用する可能性を有する。これは、初期のアポトーシス細胞がラクト
フェリンのような成長因子の生産を含む有益な性質を有するため、特定の用途において特
に重要となり得る。
非生存細胞へのデキストランの増強された結合を細胞分離に適用しうるかを調査するた
めに、デキストランの殻で囲まれたマグネタイト芯からなる超常磁性粒子を様々な状況下
で試験した。これらの例において、250nmの粒子を使用し、単純な磁石を用いて分離
した。
(デキストラン粒子を用いて一次壊死に由来した死滅細胞を含有する細胞懸濁液の生存能
力を著しく向上し得る)
一次壊死は、細胞がアポトーシスへの入力なしの毒性処理または損傷後に細胞膜完全性
を喪失する結果として起こる。
熱処理して全集団に壊死を誘発したヒトBリンパ種細胞(全ての細胞がトリパンブルー
陽性)を生存リンパ腫細胞と約1:1の比率で混合した。細胞(2.5×106)を、2
50nmのデキストラン被覆超常磁性粒子(10μg、Micromod、「裸の」粒子
(すなわち未修飾)またはメーカーによってCOOH基が加えられた粒子)と、37℃で
55分間エッペンドルフチューブにおいて200μlの完全培養培地で培養した。培養後
、0.8mlの培養培地をチューブに添加後、細胞および粒子を1mlで再懸濁した。モ
ック分離細胞を、磁性粒子が含まれていないこと以外は同一に処理した。モック分離細胞
の生存数は、未処理(入力)細胞と同一であった。粒子+細胞を含有するチューブを単純
な磁石(Immunosolv社製,DC-M1)上に3分間置き、その後粒子の無い細
胞懸濁を除去し、ノイバウエル血球計を用いてトリパンブルー染色細胞集団の生存率計測
を行った。3回計測を行い、平均%生存細胞+SEM(黒および青バー)として示した。
単離した生存細胞の収率を入力(モック分離)生存細胞の絶対数のパーセンテージとして
示した。データを図4で示す。
図4は、壊死細胞の効果的な除去を磁性デキストラン粒子の死滅細胞への単純結合、続
いて結合および非結合粒子の急速な磁性分離によって得ることができることを示す。本例
において、生存細胞の収率がカルボキシル化粒子で低かったが、カルボキシル化(COO
H)粒子は「裸の」粒子より一層効果的に機能した(約50%からほぼ100%までの生
存率の向上)。
(デキストラン粒子を用いてアポトーシスに由来した死滅細胞を含有する細胞懸濁液の生
存率を向上し得る)
アポトーシスの結果としての細胞死は、アポトーシス後のポスト−アポトーシス壊死、
すなわち細胞膜破壊をもたらし、このプロセスをしばしば2次壊死と称する。かかる細胞
は、細胞膜完全性の喪失前にアポトーシス細胞を効率的に除去する食細胞の活動により通
常生体内に生き残らない。
非常に低い生存率のネズミ科ハイブリドーマ細胞の懸濁液が放置(栄養素/成長因子の
不在下アポトーシスが細胞におこる)により得られ、上述の修飾のレジームに従って磁性
粒子を用いて分離した:粒子を有する細胞の培養を大気温度(〜20℃)で45分間行っ
た。未修飾粒子(裸の)をカルボキシル化(COOH)粒子およびimab6に共役結合した
粒子と比較した。磁性分離後、3度の血球計測定を行い、平均%生存細胞+SEMとして
現した。単離した生存細胞の収率を入力(モック分離)生存細胞の絶対数のパーセンテー
ジとして示す。データを図5に示す。
本例(図5参照)において、ハイブリドーマ培養液の非常に低い生存率がカルボキシル
化粒子を用いて2倍以上に強化され、裸のまたはimab6結合粒子よりもいっそう効果的と
証明された。
図6に示すように、ヒトリンパ腫細胞をピューロマイシン(2μg/ml)またはスタ
ウロスポリン(1μM)で18時間処理することによりアポトーシスを誘発し、然る後薬
剤誘導したアポトーシス細胞を洗浄し、ほぼ同じ割合で生存細胞と混合した。次いで、デ
キストラン被覆磁性粒子を用いて分離を行い、ピューロマイシン処理またはスタウロスポ
リン処理細胞を含む集団の生存率を向上させた。カルボキシル化粒子は一番効果的である
ことが示された(図6)。
(デキストラン粒子は低温度で、また血清、タンパク質および2価カチオンがない条件下
で高い効率で死滅細胞を除去することができる)
死滅細胞除去用デキストランの多用途性を例証するため、分離を異なる条件下で行った
:4℃、37℃、血清およびタンパク質の無い条件下でおよびCa2+およびMg2+の不
在下(低温分離は遺伝子発現研究において細胞の調製に好ましい;傷みやすい細胞用生理
的条件;治療用途の血清またはタンパク質の無い条件;Ca2+およびMg2+は細胞分離
の効率に非常に効果があることが知られている細胞凝集を引き起こしうる)。
壊死(上述のように熱処理した)ヒトBリンパ腫細胞を様々な条件下約2:1の壊死細
胞:生存細胞の混合物から除去した。分離を、前述したようなカルボキシル化デキストラ
ン被覆超常磁性粒子を用いて種々のバリエーションで行った:すなわち、分離を完全な培
養培地(RPMI+10%FCS)中またはCa2+フリーおよびMg2+フリーのリン
酸塩緩衝生理食塩水(PBS)中4℃または37℃で行った。データを図7に示す。
次の磁性分離、トリパンブルー染色細胞の3度の血球計測定を行い、平均%生存細胞+
SEMとして表わした(図7:黒および青バー)。単離した生存細胞の収率を、入力(モ
ック分離)生存細胞の絶対数のパーセンテージとして示した。本例(図7)は、生存率を
<30%からほぼ100%まで増強し得るような高い効率の死滅細胞除去が冷温または生
理的温度で完全培養培地(左パネル)またはCa2+フリーおよびMg2+フリーのPBS
(図7:右パネル)のような単純緩衝材中で行うことができることを示す。本例において
、いずれの温度での生存細胞の精製の最高効率がPBSを用いて得らる一方、最適収率が
完全培養培地を用いて見られた。
壊死(上述のような熱処理した)ヒトBリンパ腫細胞を様々な条件下で約2:1の壊死
:生存細胞の混合物から除去した。分離を、前述したようなカルボキシル化デキストラン
被覆超常磁性粒子を用いて種々のバリエーションで行った:分離を完全培養培地(RPM
I+10%FCS)または血清の無いX-Vivo20培地(Lonza社;ヒト血清ア
ルブミン、HSA)若しくは化学的に定義されたハイブリドーマ培地(Invitrog
en社)において4℃または37℃で行った。本例において、死滅細胞除去が全ての条件
下で達成され、著しく効率的な除去が完全培地および血清の無いX-Vino培地で見ら
れ、生存細胞の最低収率が後者を用いて得られた。データを図8で示す。
これらの結果は、デキストラン被覆粒子が広い範囲の条件下死滅細胞を除去するのに効
果的および多用途であることを示す。さらに、これらは効率および収率を調節するために
結合および分離の環境を変更できることを示す。

Claims (6)

  1. 細胞もしくは該細胞によって発現される特定の産物の十分な収量を作り出すための、生存率および/または細胞培養生産性を改善する方法であって、
    細胞培養液中に存在するあらゆる死滅細胞または瀕死細胞と、カルボキシル化および/またはアミノデキストランとの間の結合を可能にするのに適した条件下で、細胞培養液の細胞集団をカルボキシル化および/またはアミノデキストランに接触させるステップ、
    カルボキシル化および/またはアミノデキストランの少なくとも一部を前記細胞培養液から除去するステップ、および、
    細胞培養液を培養して、細胞の十分な収量および/または細胞培養液の細胞によって発現される向上した産物をもたらすステップを含む方法。
  2. 前記カルボキシル化またはアミノデキストランが、
    (a)細胞集団に添加する足場物質に、付着、結合、固定および/または関連付けられ、または、
    (b)ミクロ粒子またはナノ粒子のような粒子の形態である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ミクロ粒子またはナノ粒子が、直径10〜500nmの小さいビーズまたは微小球の形態をとる、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ミクロ粒子またはナノ粒子が、さらに磁性物質を含む、請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記カルボキシル化またはアミノデキストランの少なくとも一部が、磁界の印加により細胞培養液から除去される、請求項4に記載の方法。
  6. 死滅細胞または瀕死細胞にタグ付けまたはラベル付けするために、前記カルボキシル化および/またはアミノデキストランがタグ付けまたはラベル付けされている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
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